以下では、図1及び図2を用いて、第一実施形態に係る給湯システム1の構成について説明する。
給湯システム1は、ヒートポンプを用いて発生させた熱を蓄えると共に、当該熱を用いて沸かされた湯を供給するものである。給湯システム1は、住宅その他の建物や施設に適宜設けられる。給湯システム1は、主として浴槽10、貯湯槽20、ヒートポンプユニット30、給湯機構40、追いだき機構50及び制御装置60を具備する。
浴槽10は、入浴のための湯を入れる槽である。浴槽10は、浴室に設けられる。
貯湯槽20は、内部に貯溜された熱媒体を介して熱を蓄えるものである。具体的には、貯湯槽20内には、熱媒体として水(湯)が満たされる。
ヒートポンプユニット30は、電力を消費して熱を発生させる(製造する)ものである。ヒートポンプユニット30は、主として第一配管31、圧縮機32、熱交換器33、膨張弁34、蒸発器35、ファン36、第二配管37及びポンプ38を具備する。
第一配管31は、熱媒体(冷媒)が循環するための流路を形成するものである。第一配管31は環状に形成される。第一配管31内には、熱媒体(冷媒)が満たされる。
圧縮機32は、電力を消費して、第一配管31を流通する熱媒体を圧縮するものである。圧縮機32は、第一配管31の中途部に配置される。
熱交換器33は、温度差のある流体間で熱(熱エネルギー)を交換するものである。熱交換器33は、第一配管31の中途部に配置される。より具体的には、熱交換器33は、第一配管31を流通する熱媒体の流通方向において、圧縮機32の下流側に配置される。
膨張弁34は、第一配管31を流通する熱媒体を膨張させるものである。膨張弁34は、第一配管31の中途部に配置される。より具体的には、膨張弁34は、第一配管31を流通する熱媒体の流通方向において、熱交換器33の下流側に配置される。
蒸発器35は、熱媒体を蒸発させるための熱交換器である。蒸発器35は、第一配管31の中途部に配置される。より具体的には、蒸発器35は、第一配管31を流通する熱媒体の流通方向において、膨張弁34の下流側に配置される。
ファン36は、蒸発器35へと風(外気)を送るためのものである。
第二配管37は、熱交換器33と貯湯槽20との間で水が循環するための流路を形成するものである。第二配管37の一端は、貯湯槽20における下部に接続される。第二配管37の中途部は、熱交換器33の内部を通るように配置される。第二配管37の他端は、貯湯槽20における上部に接続される。
ポンプ38は、第二配管37内の水を循環させるものである。ポンプ38は、第二配管37の中途部に配置される。ポンプ38が駆動すると、第二配管37内の水は、当該第二配管37の一端(貯湯槽20の下部側)から他端(貯湯槽20の上部側)に向かって流通する。
このように構成されたヒートポンプユニット30は、沸き増し運転を行うことができる。具体的には、ヒートポンプユニット30において、圧縮機32によって圧縮された熱媒体は、高温の気体となる。当該高温の熱媒体は、第一配管31を介して熱交換器33を流通する。熱交換器33を流通する熱媒体の熱は、第二配管37を流通する熱媒体(水)に移動する。これによって、熱交換器33を流通する熱媒体の温度は低下し、当該熱媒体は液体になる。熱交換器33を流通した第一配管31内の熱媒体は、膨張弁34において膨張することで、低温の液体(又は気体)になる。膨張弁34を流通した低温の熱媒体は、蒸発器35において外気から熱を受け取って蒸発し、再び気体になる。外気から熱を受け取った熱媒体は、再び圧縮機32へと供給される。
また第二配管37を流通する水は、熱交換器33を通過することで、ヒートポンプユニット30で発生した熱を受け取り、温度が上昇する。こうして温度が上昇した水を貯湯槽20に戻すことで、ヒートポンプユニット30で得られた熱を貯湯槽20に集めることができる。このように沸き増し運転を行うことで、貯湯槽20に貯溜された水(湯)を昇温させることができる。
給湯機構40は、貯湯槽20に貯溜された水(湯)を浴槽10へと供給するものである。給湯機構40は、主として注水配管41、給湯配管42及び混合配管43を具備する。
注水配管41は、上水を貯湯槽20へと案内する配管である。注水配管41の一端は、貯湯槽20における下部に接続される。
給湯配管42は、貯湯槽20における上部に貯溜された水(湯)を取り出し、浴槽10へと供給する配管である。給湯配管42の一端は、貯湯槽20における上部に接続される。給湯配管42の他端は、浴槽10に接続される。
混合配管43は、給湯配管42を流通する水(湯)に上水を混合させるための配管である。混合配管43の一端は、注水配管41の中途部に接続される。混合配管43の他端は、給湯配管42の中途部に接続される。
このように構成された給湯機構40において、浴槽10が設けられた浴室には、利用者(入浴者)が操作するための設定パネル(不図示)が設置されている。当該設定パネルに設けられた自動お湯はりボタンが押下されると、図示せぬポンプが駆動され、貯湯槽20から給湯配管42を介して取り出された湯(高温水)に、混合配管43を介して供給される上水が混合される。このように、貯湯槽20からの湯(高温水)と上水を適宜混合することで、要求に応じた温度の水(湯)を得ることができる。このように混合された水(湯)は、給湯配管42を介して浴槽10へと供給される。この場合、給湯配管42を介して貯湯槽20に貯溜された水(湯)が取り出されると共に、注水配管41を介して上水が貯湯槽20に供給される。このようにして、貯湯槽20内は常に水(湯)で満たされる。
また、給湯機構40は、たし湯運転を行うことができる。具体的には、貯湯槽20から給湯配管42を介して取り出された湯(高温水)に、混合配管43を介して供給される上水を適宜混合することで、要求に応じた温度(たし湯温度)の水(湯)を得ることができる。このように混合された水(湯)は、給湯配管42を介して浴槽10へと供給される。このようにして、浴槽10にたし湯することができる。この場合、お湯はり時と同様に、給湯配管42を介して貯湯槽20に貯溜された水(湯)が取り出されると共に、注水配管41を介して上水が貯湯槽20に供給される。このようにして、貯湯槽20内は常に水(湯)で満たされる。
追いだき機構50は、浴槽10内の水(湯)を追いだきするものである。追いだき機構50は、貯湯槽側追いだき配管51、熱交換器52及び浴槽側追いだき配管53を具備する。
貯湯槽側追いだき配管51は、貯湯槽20内の湯が循環するための流路を形成するものである。貯湯槽側追いだき配管51の一端は、貯湯槽20における上部に接続される。貯湯槽側追いだき配管51の他端は、貯湯槽20における上下中途部に接続される。
熱交換器52は、温度差のある流体間で熱(熱エネルギー)を交換するものである。熱交換器52は、貯湯槽側追いだき配管51の中途部に配置される。
浴槽側追いだき配管53は、浴槽10内の水(湯)が循環するための流路を形成するものである。浴槽側追いだき配管53の一端は、浴槽10に接続される。浴槽側追いだき配管53の中途部は、熱交換器52の内部を通るように配置される。浴槽側追いだき配管53の他端は、浴槽10に接続される。
浴室に設置された設定パネルには、追いだきボタンが設けられている。追いだきボタンが押下されると、追いだき機構50による追いだき運転が行われる。具体的には、追いだき機構50の図示せぬポンプが駆動され、貯湯槽20内の上部の湯(高温水)が貯湯槽側追いだき配管51を介して熱交換器52の内部を流通し、また浴槽10内の水(湯)が浴槽側追いだき配管53を介して熱交換器52の内部を流通する。熱交換器52によって、貯湯槽側追いだき配管51を流通する湯(高温水)の熱は、浴槽側追いだき配管53を流通する水(湯)に移動する。これにより、浴槽側追いだき配管53を流通する水(湯)が温められる。このようにして温められた湯が浴槽10に戻ることにより、浴槽10内の水(湯)を昇温させることができる。
図2に示す制御装置60は、給湯システム1の動作を制御するものである。制御装置60は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、I/O等の入出力装置、並びにモニター等の表示装置等により構成される。制御装置60には、給湯システム1の動作を制御するための種々の情報やプログラム等が予め記憶される。制御装置60は、上部温度センサ61、下部温度センサ62、入水温度センサ63、流量センサ64及び浴槽温度センサ65に接続される。
上部温度センサ61は、貯湯槽20における上部に貯溜された水(高温水)の温度を検出するものである。上部温度センサ61は、貯湯槽20内の上部に配置される。
下部温度センサ62は、貯湯槽20における下部に貯溜された水(低温水)の温度を検出するものである。下部温度センサ62は、貯湯槽20内の下部に配置される。
入水温度センサ63は、第二配管37を介して貯湯槽20の下部からヒートポンプユニット30の熱交換器33へと供給される水の温度を検出するものである。入水温度センサ63は、第二配管37の中途部(熱交換器33より上流側)に配置される。
流量センサ64は、給湯配管42を流通する水(湯)の流量を検知するものである。流量センサ64は、給湯配管42の中途部に配置される。より詳細には、流量センサ64は、給湯配管42を流通する水(湯)の流通方向において、給湯配管42と混合配管43との接続部の下流側に配置される。
浴槽温度センサ65は、浴槽側追いだき配管53を流通する水(湯)の温度を検出するものである。浴槽温度センサ65は、浴槽側追いだき配管53の中途部に配置される。これにより、浴槽温度センサ65は、浴槽10から排水された水(湯)の温度を検知する。
また、制御装置60は、ヒートポンプユニット30(圧縮機32等)に接続され、当該ヒートポンプユニット30の動作を制御することができる。具体的には、制御装置60は、ヒートポンプユニット30を稼働(運転)又は停止させることができる。
また制御装置60は、ヒートポンプユニット30を運転させることで得られる水(具体的には、第二配管37を流通することによって、熱交換器33で温められる水)の温度の目標値を制御することができる。
また、制御装置60は、給湯機構40(当該給湯機構40のポンプ等)に接続され、当該給湯機構40の動作を制御することができる。具体的には、制御装置60は、給湯機構40を稼働(運転)又は停止させることができる。
また制御装置60は、浴槽10にお湯はりされる湯の量(お湯はり量)及びたし湯される湯の量(たし湯量)を制御することができる。当該制御は、流量センサ64による給湯配管42を流通する湯の流量の検知結果に基づいて行われる。制御装置60は、流量センサ64で検知された流量が設定された湯量となると、浴槽10への給湯を停止させる。
また、制御装置60は、追いだき機構50(当該追いだき機構50のポンプ等)に接続され、当該追いだき機構50の動作を制御することができる。具体的には、制御装置60は、追いだき機構50を稼働(運転)又は停止させることができる。
次に、図3を用いて沸き増し運転及び追いだき運転に係る制御について説明する。なお、以下では、既に自動お湯はりボタンが押下され、浴槽10にお湯はりが行われていることを前提として説明を行う。
ステップS10において、制御装置60は、設定パネルの追いだきボタンが押下されたか否かを判定する。制御装置60は、追いだきボタンからの信号を受信したか否かに基づいてこの判定を行う。制御装置60は、追いだきボタンが押下されたと判定した場合(ステップS10で「YES」)、ステップS12に移行する。一方、制御装置60は、追いだきボタンが押下されていないと判定した場合(ステップS10で「NO」)、最初のステップに処理を戻す。
ステップS12において、制御装置60は、目標温度T1を検知する。目標温度T1とは、利用者が所望する浴槽温度(浴槽10内の湯の温度)を示すものである。つまり、目標温度T1とは、利用者が追いだき等によって浴槽10内の湯をどの温度まで温めたいかを示す温度である。目標温度T1は、利用者によって設定パネルを操作することにより設定される。また、目標温度T1は、利用者が設定しない場合は、予め定められた値(例えば40℃)に設定される。制御装置60は、当該ステップS12の処理を行った後、ステップS14に移行する。
ステップS14において、制御装置60は、貯湯槽上部温度T2を検知する。貯湯槽上部温度T2とは、貯湯槽20内の上部の湯(すなわち、貯湯槽20から給湯配管42に供給される湯)の温度を示すものである。制御装置60は、上部温度センサ61を介して貯湯槽上部温度T2を検知することができる。制御装置60は、当該ステップS14の処理を行った後、ステップS16に移行する。
ステップS16において、制御装置60は、貯湯槽上部温度T2から目標温度T1を引いた値が、所定の閾値α1未満であるか否か、つまり[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1]であるか否かを判定する。本実施形態において、閾値α1は15℃に設定される。制御装置60は、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1]であると判定した場合(ステップS16で「YES」)、ステップS18に移行する。一方、制御装置60は、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1]でないと判定した場合(ステップS16で「NO」)、ステップS24に移行する。
なお、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1]である場合(ステップS16で「YES」)とは、現在の貯湯槽上部温度T2が比較的低いために、現在の貯湯槽上部温度T2で追いだき運転を行った場合に、浴槽温度が目標温度T1に到達するまでに時間がかかりすぎる、或いは目標温度T1に到達できない可能性があることを示している。一方、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1]でない場合(ステップS16で「NO」)とは、現在の貯湯槽上部温度T2が比較的高く、現在の貯湯槽上部温度T2で追いだき運転を行った場合に、比較的短い時間で浴槽温度が目標温度T1に到達することを示している。換言すれば、閾値α1は、追いだき運転によって浴槽温度が目標温度T1に到達するのに要する時間を考慮して設定される。
ステップS18において、制御装置60は、貯湯槽上部温度T2から目標温度T1を引いた値が、所定の閾値α2未満であるか、つまり、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2]であるか否かを判定する。ここで、閾値α2は、ステップS16の判定で用いた閾値α1よりも小さな値に設定される。本実施形態において、閾値α2は10℃に設定される。制御装置60は、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2]でないと判定した場合(ステップS18で「NO」)、ステップS20に移行する。一方、制御装置60は、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2]であると判定した場合(ステップS18で「YES」)、ステップS22に移行する。
なお、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2]である場合(ステップS18で「YES」)とは、後述するステップS20の通常沸き増し運転を行うと共に追いだき運転を行ったとしても、浴槽温度が目標温度T1に到達するまでに時間がかかりすぎる、或いは目標温度T1に到達できない可能性があることを示している。一方、[貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2]でない場合(ステップS18で「NO」)とは、後述するステップS20の通常沸き増し運転と共に追いだき運転を行った場合に、比較的短い時間で浴槽温度が目標温度T1に到達することを示している。
ステップS20において、制御装置60は、通常沸き増し運転を行うようにヒートポンプユニット30の動作を制御する。具体的には、制御装置60は、貯湯槽上部温度T2が第一の温度T2aとなるようにヒートポンプユニット30の動作を制御する。第一の温度T2aは、例えば55℃に設定される。制御装置60は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS24に移行する。
一方、ステップS22において、制御装置60は、高温沸き増し運転を行うようにヒートポンプユニット30の動作を制御する。具体的には、制御装置60は、貯湯槽上部温度T2が第二の温度T2bとなるようにヒートポンプユニット30の動作を制御する。ここで、第二の温度T2bは、第一の温度T2aよりも大きな温度に設定される。第二の温度T2bは、例えば65℃に設定される。制御装置60は、当該ステップS22の処理を行った後、ステップS24に移行する。
このように貯湯槽上部温度T2と目標温度T1との温度差が比較的小さい(貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α1である)場合に、沸き増し運転を行うことで、貯湯槽上部温度T2を上昇させることができ、これにより追いだき運転によって浴槽温度を目標温度T1に到達させるのに要する時間(目標温度到達時間)を短縮することができる。さらに、貯湯槽上部温度T2と目標温度T1との温度差が非常に小さい(貯湯槽上部温度T2−目標温度T1<α2である)場合に、貯湯槽上部温度T2を高温(65℃)とすることにより、追いだき運転による目標温度到達時間を短縮することができる。また、追いだき運転に利用される貯湯槽20の戻り湯(貯湯槽20の上部から貯湯槽側追いだき配管51を介して貯湯槽20の中途部に戻る湯)を比較的高温とすることができるので、戻り湯との攪拌によって貯湯槽上部温度T2が著しく低下するのを防ぐことができる。
ステップS24において、制御装置60は、現状浴槽温度T3を検知する。現状浴槽温度T3とは、浴槽10内の湯の現在の温度を示すものである。制御装置60は、現状浴槽温度T3を検知するためにさぐり運転を行う。
具体的には、制御装置60は、図示せぬポンプを駆動させて浴槽10内の湯を浴槽側追いだき配管53に流通(循環)させる。そして、制御装置60は、浴槽温度センサ65によって浴槽側追いだき配管53に流通する水(湯)の温度を検知することで、現状浴槽温度T3を検知することができる。浴槽側追いだき配管53を流通する水(湯)は、そのまま浴槽側追いだき配管53を流通して浴槽10に戻される。また、さぐり運転は、現状浴槽温度T3を検知することが目的であるので、非常に短い時間で行われる。制御装置60は、当該ステップS24の処理を行った後、ステップS26に移行する。
ステップS26において、制御装置60は、目標温度T1から現状浴槽温度T3を引いた値が、所定の閾値βを超えているか、つまり、[目標温度T1−現状浴槽温度T3>β]であるか否かを判定する。本実施形態において、閾値βは5℃に設定される。制御装置60は、[目標温度T1−現状浴槽温度T3>β]でないと判定した場合(ステップS26で「NO」)、ステップS28に移行する。一方、制御装置60は、[目標温度T1−現状浴槽温度T3>β]であると判定した場合(ステップS26で「YES」)、ステップS30に移行する。
なお、[目標温度T1−現状浴槽温度T3>β]である場合(ステップS26で「YES」)とは、追いだき運転のみでは浴槽温度が目標温度T1に到達するまでに時間がかかりすぎることを示している。これは、追いだき運転のみ(たし湯を併用しない場合)では、戻り湯との攪拌によって貯湯槽上部温度T2が著しく低下するためである。一方、[目標温度T1−現状浴槽温度T3>β]でない場合(ステップS26で「NO」)とは、追いだき運転のみ(たし湯を併用しない場合)であっても比較的短い時間で浴槽温度が目標温度T1に到達することを示している。
ステップS28において、制御装置60は、追いだき運転を行うように追いだき機構50の動作を制御する。制御装置60は、浴槽温度が目標温度T1に到達するように、追いだき機構50を介して追いだき運転を行う。当該ステップS28の処理が終わると、図3に示す制御は終了する。
一方、ステップS30において、制御装置60は、たし湯併用追いだき運転を行うように給湯機構40及び追いだき機構50の動作を制御する。制御装置60は、浴槽温度が目標温度T1に到達するように、追いだき機構50及び給湯機構40を介して追いだき運転及びたし湯運転を行う。具体的には、制御装置60は、まず給湯機構40を動作させてたし湯運転を行い、たし湯運転で浴槽温度が目標温度T1に到達しなかった場合は、追いだき機構50を動作させて浴槽温度が目標温度T1に到達するまで追いだき運転を行う。当該ステップS30の処理が終わると、図3に示す制御は終了する。
なお、ステップS28又はS30の処理により浴槽温度が目標温度T1に到達したときには、制御装置60は、沸き増し運転(ステップS20又はS22)が完了していなくても、当該沸き増し運転を終了させる。
このように構成される本実施形態に係る給湯システム1においては、追いだき運転の際に必要に応じて沸き増し運転を行うので、深夜電力で沸き増しを行う場合と比べて、貯湯槽20の貯湯温度を低温化すること(低温貯湯)が可能となる。これにより、COPを向上させることができ、かつ貯湯損失の低下を抑制することができる。
また、貯湯槽上部温度T2と目標温度T1との温度差を判定し、温度差が小さい場合に沸き増し運転を行うので、浴槽温度の昇温時間を短縮することができる。
また、貯湯槽上部温度T2と目標温度T1との温度差が非常に(例えば、浴槽温度を目標温度T1に到達させることができない程度まで)小さい場合には、高温沸き増しを行って貯湯槽上部温度T2を高温化させるので、浴槽温度の昇温時間を短縮することができる。また、貯湯槽20への戻り湯を高温化することができるので、戻り湯との攪拌による貯湯槽上部温度の低下を抑制することができる。また、必要な場合のみ高温沸き増しを行う(通常沸き増し運転で十分な場合には高温沸き増しを行わない)ので、省エネ化を図ることができる。
また、目標温度T1と現状浴槽温度T3との温度差が大きい場合には、追いだき運転の際にたし湯運転を併用するので、貯湯槽20への戻り湯を減らすことができる。これにより、貯湯槽20の上部の湯と戻り湯との攪拌による貯湯槽上部温度T2の低下を抑制することができる。このため、浴槽温度の昇温時間を短縮することができる。
以上の如く、本実施形態に係る給湯システム1は、内部に熱媒体が貯溜された貯湯槽20(蓄熱槽)と、前記貯湯槽20内の熱媒体を加熱して当該貯湯槽20内の上部の熱媒体を昇温させる沸き増し運転を行うヒートポンプユニット30と、前記貯湯槽20内の上部の熱媒体と浴槽10内の湯とを熱交換させることで、前記浴槽10内の湯を目標温度T1まで昇温させる追いだき運転を行う追いだき機構50(追いだき手段)と、前記貯湯槽20内の上部の熱媒体の温度を示す貯湯槽上部温度T2(蓄熱槽上部温度)を検知する上部温度センサ61(蓄熱槽上部温度検知手段)と、前記ヒートポンプユニット30及び前記追いだき機構50の動作を制御する制御装置60と、を具備し、前記制御装置60は、前記貯湯槽上部温度T2から前記目標温度T1を引いた値が第一の閾値α1未満であるか否かを判定する第一判定処理を行い、前記第一判定処理において前記貯湯槽上部温度T2から前記目標温度T1を引いた値が第一の閾値α1未満でないと判定した場合、前記沸き増し運転を行うことなく、前記追いだき運転を行うように前記追いだき機構50を動作させ、前記第一判定処理において前記貯湯槽上部温度T2から前記目標温度T1を引いた値が前記第一の閾値α1未満であると判定した場合、前記沸き増し運転を行うように前記ヒートポンプユニット30を動作させると共に、前記追いだき運転を行うように前記追いだき機構50を動作させるものである。
このように構成することにより、浴槽温度を目標温度T1まで上昇させるのに要する時間を短縮することができる。
また、前記制御装置60は、前記第一判定処理において前記貯湯槽上部温度T2から前記目標温度T1を引いた値が、前記第一の閾値α1未満であると判定し、かつ前記第一の閾値α1よりも小さい第二の閾値α2未満でないと判定した場合、前記沸き増し運転において、前記貯湯槽上部温度T2が第一の温度T2aとなるように前記ヒートポンプユニット30の動作を制御し、前記第一判定処理において前記貯湯槽上部温度T2から前記目標温度T1を引いた値が前記第二の閾値α2未満であると判定した場合、前記沸き増し運転において、前記貯湯槽上部温度T2が前記第一の温度T2aよりも高い第二の温度T2bとなるように前記ヒートポンプユニット30の動作を制御するものである。
このように構成することにより、浴槽温度を目標温度T1まで上昇させるのに要する時間を短縮しつつ、省エネルギー化を図ることができる。
また、前記熱媒体は湯であって、前記貯湯槽20内の湯を前記浴槽10に供給するたし湯運転を行う給湯機構40(たし湯手段)と、前記浴槽10内の湯の温度を示す現状浴槽温度T3(浴槽温度)を検知する浴槽温度センサ65(浴槽温度検知手段)と、を具備し、前記制御装置60は、前記目標温度T1から前記現状浴槽温度T3を引いた値が第三の閾値βを超えているか否かを判定する第二判定処理を行い、前記第二判定処理において前記目標温度T1から前記現状浴槽温度T3を引いた値が第三の閾値βを超えていないと判定した場合、前記追いだき運転を行うように前記追いだき機構50を動作させ、前記第二判定処理において前記目標温度T1から前記現状浴槽温度T3を引いた値が第三の閾値βを超えていると判定した場合、前記追いだき運転と前記たし湯運転とを併用するように前記追いだき機構50及び前記給湯機構40を動作させるものである。
このように構成することにより、浴槽温度を目標温度T1まで上昇させるのに要する時間を短縮することができる。
なお、本実施形態に係る貯湯槽20は、蓄熱槽の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る給湯機構40は、たし湯手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る追いだき機構50は、追いだき手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る上部温度センサ61は、蓄熱槽上部温度検知手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る浴槽温度センサ65は、浴槽温度検知手段の実施の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、沸き増し運転をするか否かの判定は、追いだきボタンの押下を契機として行われるものとしたが、これに限定されるものではなく、任意の情報を契機として行われるものであってもよい。以下では、追いだきボタンの押下以外の情報を契機として沸き増し運転をするか否かの判定が行われる例について説明する。
次に、本発明の第二実施形態に係る給湯システム1について説明する。
第二実施形態において制御装置60は、当該制御装置60の記憶装置に、追いだき機構50の動作の履歴を蓄積する。制御装置60は、例えば追いだき運転の開始時刻等の履歴を蓄積する。
次に、図4を用いて、本発明の第二実施形態に係る沸き増し運転及び追いだき運転に係る制御について説明する。
ステップS11aにおいて、制御装置60は、現在時刻が沸き増し開始時刻になっているか否かを判定する。ここで、「沸き増し開始時刻」は、沸き増し運転を開始する時刻であって、制御装置60に蓄積された追いだき手段の動作の履歴に基づいて決定される。具体的には、制御装置60は、追いだき手段の動作の履歴から、追いだき運転が開始される(行われる)と予測される時刻(予測開始時刻)を算出する。そして、制御装置60は、予測開始時刻、或いは予測開始時刻よりも少し前の時刻に、沸き増し開始時刻を設定する。制御装置60は、現在時刻が沸き増し開始時刻になっていると判定した場合(ステップS11aで「YES」)、ステップS12に移行する。一方、制御装置60は、現在時刻が沸き増し開始時刻になっていないと判定した場合(ステップS11aで「NO」)、最初のステップに処理を戻す。
ステップS12からステップS22の処理については、図3に示す第一実施形態の処理と同様であるので、説明を省略する。制御装置60は、ステップS20の処理を行った後、ステップS23に移行する。また、制御装置60は、ステップS22の処理を行った後、ステップS23に移行する。
ステップS23において、制御装置60は、設定パネルの追いだきボタンが押下されたか否かを判定する。制御装置60は、追いだきボタンからの信号を受信したか否かに基づいてこの判定を行う。制御装置60は、追いだきボタンが押下されたと判定した場合(ステップS23で「YES」)、ステップS24に移行する。一方、制御装置60は、追いだきボタンが押下されていないと判定した場合(ステップS23で「NO」)、再び当該ステップS23に処理を戻す(処理を先に進めない)。
ステップS24からステップS30の処理については、図3に示す第一実施形態の処理と同様であるので、説明を省略する。
このように、第二実施形態に係る給湯システム1においては、追いだき運転が開始されると予測される時刻に応じて自動的に沸き増し運転を行うことができる。よって、追いだき運転の前に、沸き増し運転をして貯湯槽上部温度T2を高めておくことができるので、沸き増しと追いだきとを略同時に行う場合と比べて、浴槽温度の昇温時間(目標温度到達時間)をより短縮することができる。
以上の如く、第二実施形態に係る給湯システム1は、前記追いだき機構50の動作の履歴を蓄積する蓄積部(制御装置60)を具備し、前記制御装置60は、現在時刻が、前記追いだき機構50の動作の履歴に基づいて決定される沸き増し開始時刻(所定の時刻)になったときに、前記第一判定処理を行うものである。
このように構成することにより、自動的に沸き増し運転を行うことができる。
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、第二実施形態においては、追いだきボタンの押下を契機として追いだき運転を行うものとしたが、追いだきボタンが押下されなくても、沸き増し開始時刻になったことを契機として自動的に追いだき運転を行うものとしてもよい。
次に、図5を用いて、本発明の第三実施形態に係る給湯システム1の制御に関する構成の概要について説明する。
第三実施形態が第一実施形態と異なる点は、人感センサ66を具備する点である。よって以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
人感センサ66は、浴室内の人の存在を検知するものである。人感センサ66は、浴室内の適宜の場所に設置される。人感センサ66は、制御装置60と接続される。
次に、図6を用いて、本発明の第三実施形態に係る沸き増し運転及び追いだき運転に係る制御について説明する。
ステップS11bにおいて、制御装置60は、浴室内に人が存在するか否かを判定する。制御装置60は、人感センサ66の検知結果に基づいてこの判定を行う。制御装置60は、浴室内に人が存在すると判定した場合(ステップS11bで「YES」)、ステップS12に移行する。一方、制御装置60は、浴室内に人が存在しないと判定した場合(ステップS11bで「NO」)、最初のステップに処理を戻す。
ステップS12からステップS30の処理については、図4に示す第二実施形態の処理と同様であるので、説明を省略する。
このように、第三実施形態に係る給湯システム1においては、浴室内の人の存在を検知すると自動的に沸き増し運転を行うことができる。よって、追いだき運転の前に、沸き増し運転をして貯湯槽上部温度T2を高めておくことができるので、沸き増しと追いだきとを略同時に行う場合と比べて、浴槽温度の昇温時間(目標温度到達時間)をより短縮することができる。
以上の如く、第三実施形態に係る給湯システム1は、前記浴槽10が設けられた浴室内の人の存在を検知する人感センサ66(人検知部)を具備し、前記制御装置60は、前記人感センサ66が前記浴室内の人の存在を検知した場合に、前記第一判定処理を行うものである。
このように構成することにより、自動的に沸き増し運転を行うことができる。
以上、本発明の第三実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、第三実施形態においては、追いだきボタンの押下を契機として追いだき運転を行うものとしたが、追いだきボタンが押下されなくても、浴室内の人の存在の検知を契機として自動的に追いだき運転を行うものとしてもよい。
また、第一実施形態から第三実施形態は、同時に実施することもできる。つまり、追いだきボタンの押下(図3に示すステップS10)、沸き増し開始時刻になったことの検知(図4に示すステップS11a)、及び浴室内の人の存在の検知(図6に示すステップS11b)の全てを、沸き増し運転の開始の契機とすることもできる。