JP6934401B2 - 溶射部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶射部材の製造方法に関する。
半導体デバイス、液晶デバイスなどを製造する場合、Siウエハやガラス基板に形成された所定の膜をCFなどのハロゲン系の腐食性ガスを用いプラズマ環境下で処理するドライエッチングなどの工程が存在する。そこで、近年、半導体デバイス、液晶デバイスなどの製造装置において、プラズマ環境下で腐食ガスに曝されるチャンバーや各種部材に用いられる、Alなどの金属材料からなる基材の耐食を防止するために、基材の表面に耐食性を有するYなどからなる溶射膜を形成することがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、このような溶射膜は、パーティクルの発生を抑制するために、表面が緻密であることが要求され、そのためには気孔率を小さくすることが必要である。気孔率を小さくするためには、粉末原料の平均粒子径を小さくすればよいことが知られている。
粉末原料をそのまま溶射する乾式溶射と比較して、粉末原料を分散させたスラリーを用いて溶射する湿式溶射によって溶射膜を形成すれば、平均粒子径が小さな粉末材料を用いることができ、溶射膜の気孔率が小さくなる。例えば、特許文献2には、平均粒子径が6μm以下の酸化イットリウム(Y)を粉末原料とした湿式プラズマ溶射によって溶射膜を形成することが開示されている。
特開2001−164354号公報 特開2010−150617号公報
しかしながら、湿式プラズマ溶射においても、例えば気孔率が2%など、非常に緻密な溶射膜を形成すること、又は、密着強度が20MPa以上など、基材と溶射膜との密着性を非常に強固なものとすることはできないという課題があった。
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、溶射膜の緻密性及び基材との密着性の向上を図ることが可能な溶射部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の溶射部材の製造方法は、プラズマ炎を形成する工程と、平均粒子径が1μm以上6μm以下の溶射粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記プラズマ炎に供給する工程と、前記スラリーが供給された前記プラズマ炎の一部を前記プラズマ炎の周囲から冷却溶媒によって冷却する工程と、金属からなる基材の表面温度を100℃以上150℃以下に制御した状態で、前記溶射粒子を600m/秒以上1100m/秒以下の速さで前記基材の表面に衝突させる工程とを備えることにより、前記基材の表面に溶射膜を形成することを特徴とする。
本発明の溶射部材の製造方法によれば、プラズマ炎の中央部にて運ばれる溶射粒子は十分に溶融した状態であるため、基材に衝突しその後冷却することにより、気孔の少ない緻密な溶射膜が得られる一方で、プラズマ炎の周囲部にて運ばれる溶射粒子は十分な溶射状態とは言えず、このような溶射粒子が溶射膜に含まれると緻密な溶射膜が得られないことを見出したことに基づき、プラズマ炎の一部をその周囲から冷却溶媒によって冷却することによって、プラズマ炎の周囲部の温度を低下させている。これにより、プラズマ炎の周囲部の溶射粒子は非溶融状態となり、溶射粒子はそのまま基材と衝突して、基材の表面に堆積しない。よって、緻密性及び基材との密着性が劣る溶射膜が形成されることの防止を図ることが可能となる。
さらに、溶射粒子の平均粒子径が6μm以下と小さいので、基板の表面に堆積された溶射粒子同士又は溶射粒子と基板との間に生じる隙間が小さい。また、基材の表面温度を100℃以上に制御しているので、基板の表面に衝突した溶射粒子が急激に冷却されることの抑制を図ることが可能となる。また、溶射粒子の溶射速度が600m/秒以上であるので、半溶融状態の溶射粒子が基板の表面に高速で衝突する。これらにより、溶射膜の緻密性及び溶射膜と基材との密着性が劣ることの防止を図ることが可能となる。
また、溶射粒子の平均粒子径が1μm以上であるので、溶射粒子が基板の表面に堆積されずに飛散するものが少なく、材料効率が劣らないように図ることが可能となる。
また、基材20の表面温度を150℃以下に制御しているので、基材の熱変形を防止することができ、これによって、その後の冷却による内部応力による変形によって基材又は溶射膜が割れるなどの不具合の防止を図ることが可能となる。
また、溶射粒子の溶射速度が1100m/秒以下であるので、プラズマ溶射装置の負担軽減、半溶融状態の溶射粒子が基板の表面に衝突する速度が高速過ぎるための飛び散りによる材料ロスの抑制を図ることが可能となる。
本発明の溶射部材の製造方法において、例えば、前記基材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、前記溶射粒子は、酸化イットリウム(Y)である。また、例えば、前記冷却溶媒は水である。
本発明の実施形態に係る溶射部材の製造方法において好適に使用されるプラズマ溶射装置の模式図。 本発明の実施形態に係る溶射部材の製造方法のフローチャート。
本発明の実施形態に係る溶射部材10の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、本製造方法において好適に使用されるプラズマ溶射装置100の一例について、模式的に示す図1を参照して説明する。プラズマ溶射装置100は、プラズマ溶射を行うことが可能な通常のプラズマ溶射装置本体110に加えて、スラリー供給装置120、ウォータシュラウド(water shroud:水シュラウド)130及び基板保持装置140を備えている。
プラズマ溶射装置本体110は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、加圧プラズマ溶射法などのガスプラズマ溶射法によってプラズマ溶射を行うことが可能な従来公知の装置でよい。以下、プラズマ溶射装置本体110の一例について説明する。プラズマ溶射装置本体110は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、加圧プラズマ溶射法などのガスプラズマ溶射法で溶射する市販のプラズマ溶射装置であればよく、特に限定されない。
プラズマ溶射装置本体110は、ノズル状のアノード(陽極電極)111とアノードの中心に配置されたカソード(陰極電極)112とからなる一対の電極を備えている。アノード111とカソード112との間には図示しない直流高圧電源が接続されている。
さらに、プラズマ溶射装置本体110は、ガス供給路113を備えている。ガス供給路113は、プラズマガス(キャリアガス)Gをアノード111とカソード112との間の隙間を介して外部に向けて供給するように構成されている。プラズマガスGとして、例えば、Ar、Ar+N,Ar+H、Ar+N+H、Ar+CO又はAr+Oなどが用いられる。
スラリー供給装置120は、プラズマ炎Pの軸に交差するようにアノード111の開口部付近に設けられており、図示しないスラリー供給源から溶射粒子を溶媒に分散させたスラリーSを供給する。
アノード111とカソード112との間に高電圧が印加されるとアークが発生し、これにより、ガス供給路113を介して供給されるプラズマガスGはプラズマ炎Pとなって噴出する。そして、この噴出するプラズマ炎Pに、スラリー供給装置120からスラリーSを供給することにより、プラズマ炎Pに溶射粒子が投入される。
これによって、溶射粒子は、プラズマ炎P中で高温加熱され外表面付近が少なくも半溶融状態となって、プラズマ炎Pに乗って基板保持装置140に保持されている基板20に衝突する。基板20に衝突した溶射粒子は、基板20に堆積され、その後冷却される。これにより、基材20の表面に溶射膜30が形成される。
ウォータシュラウド130は、スラリー供給装置120より下流側に設けられている。ウォータシュラウド130は、図示しない水供給源から水供給管131を介して水Wが供給され、この水Wを複数の噴射口132から、プラズマ溶射装置本体110が噴出したプラズマ炎Pに向けて噴射させる。これにより、プラズマ炎Pの周囲部が冷却される。
噴射口132は同一円周状に等間隔に配置されており、プラズマ炎Pの噴出方向と直交する平面における外縁周部に略均一に水がかかるように、噴射する水の勢いが調整される。なお、水を噴射するウォータシュラウド130の代わりに、水以外の気体、例えば空気、窒素などの冷却溶媒を噴射する冷却溶媒噴射装置を用いてもよい。
基板保持装置140には、基板20が公知の保持方法によって、取り外し可能に保持される。基板保持装置140は、基板20の表面を予め設定された温度に維持することが可能な温度維持機構141を備えている。本実施形態においては、温度維持機構141は、図示しない溶媒供給源から空気などの気体溶媒が供給され、この気体溶媒が基板保持装置140内に形成された溶媒流路を介して基板20の裏面に吹き付けられて、基板20ひいては基板20の表面が冷却又は加熱されるように構成されている。
ただし、温度維持機構141は、水などの流体を溶媒として、この流体溶媒が基板保持装置140内に形成された溶媒流路を流れることにより、基板20が間接的に冷却又は加熱されるように構成されていてもよい。
温度維持機構141は、溶射中の基板20の温度を管理する。温度維持機構141は、例えば、溶射開始時に基板20の温度を100℃に管理し、溶射中は基板20の温度が150℃を超えないように、溶射中は基板20を冷却し続ける。
次に、上述したプラズマ溶射装置100を用いた、本発明の実施形態に係る溶射部材10の製造方法について説明する。
この製造方法は、図2も参照して、プラズマ炎Pを形成するプラズマ炎形成工程S1と、溶射粒子を溶媒に分散させたスラリーSをプラズマ炎Pに供給するスラリー供給工程S2と、スラリーSが供給されたプラズマ炎Pの一部をプラズマ炎Pの周囲から水Wによって冷却する冷却工程S3と、基材20の表面温度を制御した状態で、溶射粒子を高速で基材20の表面に衝突させる衝突工程S4とを備える。これにより、基材20の表面に溶射膜30が形成される。
プラズマ炎形成工程S1においては、アノード111とカソード112との間に高電圧を印加してアークを発生させる。これにより、ガス供給路113を介して供給されるプラズマガスがプラズマ炎Pとなって噴出する。
スラリー供給工程S2においては、スラリー供給装置120からスラリーSをプラズマ炎Pに供給する。これにより、プラズマ炎Pに溶射粒子が投入される。
本実施形態において、溶射の粉末原料である溶射粒子は、イットリア(Y)からなる。ただし、溶射粒子は、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ−ジルコニア(Al−ZrO)、スピネル(MgAl)などの絶縁性セラミックスからなるもの、又はこれらの何れかを主成分とするものであってもよい。
溶射粒子の平均粒子径は1μm以上6μm以下、より好ましくは2μm以上4μm以下である。溶射粒子の平均粒子径が1μm未満であると、溶射粒子が細かすぎて基板20の表面に堆積されずに飛散するものが多くなり、材料効率が劣るからである。溶射粒子の平均粒子径が6μmを超えると、基板20の表面に堆積された溶射粒子同士又は溶射粒子と基板20との間に生じる隙間が大きくなり、溶射膜30の緻密性及び溶射膜30と基材20との密着性が劣るものとなるからである。
スラリー供給工程S2において、スラリー供給装置120からスラリーSをプラズマ炎に供給することにより、プラズマ炎に溶射粒子が投入される。これにより、溶射粒子は、プラズマ炎中で高温加熱され外表面付近が少なくも半溶融状態となる。
このように、本実施形態に係る方法においては、溶射粒子を溶媒に分散させたスラリーSの形態で溶射する湿式溶射を行うことによって行われる。溶媒としては、エタノールなどの可燃性有機溶媒又は水などが用いられる。スラリーSにおける溶射粒子の割合は、例えば20〜40重量%である。
冷却工程S3においては、ウォータシュラウド130によって水Wを噴射する。これにより、スラリーSが供給されたプラズマ炎Pの一部をプラズマ炎Pの周囲部分を冷却する。
衝突工程S4においては、基材20の表面温度を制御した状態で、溶射粒子を高速で基材20の表面に衝突させる。
本実施形態において、基材20は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。ただし、基材20は、ステンレス鋼、チタン合金、タングステン、シリコン、金属複合材料(MMC)などの金属からなるものであってもよい。また、基材20の形状は、円板状、多角形板状、楕円板状などの種々の形状であってもよく、複雑形状であってもよい。
なお、基材20の表面を、サンドブラストなどにより表面粗さが例えばRa2.0μm以上になるように粗面状態に加工しておくことが好ましい。また、基材20の表面に、溶射膜30との熱膨張差の緩衝層となるアンダーコート層を被覆しておいてもよい。
衝突工程S4においては、具体的には、基材20の表面温度を100℃以上150℃以下に制御した状態で、溶射粒子を600m/秒以上1100m/秒以下の高速で基材の表面に衝突させる。
このようにしてプラズマ炎Pに投入された溶射粒子は、プラズマ炎Pに乗って基板保持装置140に保持されている基板20に衝突する。基板20に衝突した溶射粒子は、基板20に堆積され、その後冷却される。これにより、基材20の表面に溶射膜30が形成されてなる溶射部材10が製作される。
溶射部材10は、例えば、内部に埋設された電極に電圧が印加されることによって発生するクーロン力により、基板を載置面である基材20の表面に吸引する静電チャックであってもよい。また、溶射部材10は、内部に埋設された発熱抵抗体によって、載置面である基材20の表面に載置された基板を加熱するヒータであってもよい。また、溶射部材10は、ヒータ機能付きの静電チャックであってもよい。
プラズマ炎Pは、中心部に近いほど高温であり、周辺部は中心部と比較すると左程高温ではない。そのため、プラズマ炎Pの中心部付近の溶射粒子はその表面が十分に半溶融状態となるが、プラズマ炎Pの周囲部の溶射粒子はその表面が必ずしも十分な半溶融状態とならない。このような不十分な半溶融状態の溶射粒子が堆積してなる溶射膜30は、溶射粒子同士又は溶射粒子と基材20との密着が不十分なものとなり、溶射膜30の緻密性及び溶射膜30と基材20との密着性が劣るものとなると考えられる。
本実施形態においては、ウォータシュラウド130から噴射する水Wをプラズマ炎Pの周囲部にかけており、これにより、水がかかったプラズマ炎Pの周囲部の温度が低下する。そのため、プラズマ炎Pの周囲部の溶射粒子は非溶融状態となり、溶射粒子はそのまま基材20と衝突して、基材20には堆積されない。よって、緻密性及び基材20との密着性が劣る溶射膜30が形成されることを防止することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、溶射粒子の溶射速度を600m/秒以上に制御しているので、半溶融状態の溶射粒子が基板20の表面に高速で衝突する。そのため、溶射膜30の緻密性及び溶射膜30と基材20との密着性の向上を図ることが可能となる。そして、これらのさらなる向上を図るために、溶射粒子の溶射速度を800m/秒以上に制御することが好ましい。
なお、溶射粒子の溶射速度は、プラズマ溶射装置本体110における入力電力を調整することによってアークの発生態様を制御する、プラズマガスGの供給速度又は溶射距離を制御することなどによって制御することができる。
さらに、本実施形態においては、溶射粒子の溶射速度を1100m/秒以下に制御しているので、プラズマ溶射装置本体110の負担軽減、半溶融状態の溶射粒子が基板20の表面に衝突する速度が高速過ぎるための飛び散りによる材料ロスの抑制を図ることが可能となる。そして、これらの効果をさらに確実にするために、溶射粒子の溶射速度を900m/秒以下に制御することが好ましい。
さらに、本実施形態においては、基材20の表面の温度を100℃以上に制御しているので、基板20の表面に衝突した溶射粒子が急激に冷却されることを抑制することが可能となる。さらに、ウォータシュラウド130から噴射された水Wに起因する水分は蒸発するので、基材20の表面や溶射膜30に付着しない。これらによって、溶射膜30の緻密性及び溶射膜30と基材20との密着性が劣ることの防止を図ることが可能となる。
また、本実施形態においては、基材20の表面の温度を150℃以下に制御しているので、基材20の熱変形を防止することができ、これによって、その後の冷却による内部応力による変形によって基材20又は溶射膜30が割れるなどの不具合の防止を図ることが可能となる。そして、このような不具合をより確実に防止するために、基材20の表面の温度を120℃以下に制御することは好ましい。
以上のようにして形成された溶射膜30は、後述する実施例から分かるように、気孔率は2%以下と緻密であって、且つ、基材10との密着強度が20MPa以上と密着性が高いものとなる。
(実施例1)
基材20として、アルミニウム合金(A6061)からなり、直径300mm、厚さ5mmの円板状のものを用意した。基材20の表面をサンドブラストによって粗面化した。
溶射粒子として、メディアン径D50が3μmの酸化イットリウム粉末を用意した。
そして、図1を参照して、プラズマ溶射装置100によって上記溶射粒子を30重量%の割合で水を用いて分散させたスラリーSを基材20の表面に溶射して基材20の表面に、厚さ100μmの溶射膜30を形成した。プラズマ溶射装置本体110として、Progressive Surface社製の100HE型を用いた。プラズマガスGとして、Ar、N、Hの混合ガスを用い、溶射距離を75mm、スキャン速度を1600m/秒とした。
このとき、プラズマ溶射装置本体110における入力電力は90kWであり、溶射粒子の溶射速度は900m/秒であり、基材20の表面温度は100℃に維持した。溶射原料の温度及び速度は、Sulzer Metco社(現在はOerlikon Metco社)製のAccurasprayを用いて測定した。基材20の表面温度は、KEYENCE社製の放射温度計(FT-H20)を用いて測定した。ウォータシュラウド130からは基材20には水Wをかけず、プラズマ炎Pの外周部にのみ水Wをかけた。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。
溶射膜30の気孔率は0.4%であった。なお、気孔率は、面積気孔率として算出した。詳述すると、面積気孔率は、溶射膜30について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍に拡大した断面画像を撮影し、2値化処理して得られた断面画像に占める気孔の面積割合を算出することにより求めた。このとき、画像解析ソフトとしてImage J等の汎用ソフトウェアを用いることで組織のエッジ検出、面積の数値化及び面積割合の算出を容易に行うことができた。
引っ張りにより基材20と溶射膜30とが剥離する強度、すなわち密着強度を、JIS H8666に準じた試験方法によって測定した。密着強度は29.7MPaであった。
(実施例2)
上述した実施例1と比較して、基材20の表面温度を150℃に維持したことのみが相違する。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は0.3%であり、密着強度は30.2MPaであった。
(実施例3)
上述した実施例1と比較して、溶射粒子のメディアン径D50を6μmとしたことのみが相違する。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は0.4%であり、密着強度は32.0MPaであった。
(実施例4)
上述した実施例1と比較して、プラズマ溶射装置本体110における入力電力を80kWとして、溶射粒子の溶射速度を600m/秒としたことのみが相違する。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は0.6%であり、密着強度は22.1MPaであった。
(実施例5)
上述した実施例1と比較して、プラズマ溶射装置本体110における入力電力を110kWとして、溶射粒子の溶射速度を1100m/秒としたことのみが相違する。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は0.2%であり、密着強度は34.1MPaであった。
(比較例1)
実施例1と同じ基材20を用いた。溶射粒子として、メディアン径D50が30μmの酸化イットリウム粉末を用意した。
そして、図1を参照して、プラズマ溶射装置本体110によって上記溶射粒子をそのため溶射原料として用いて、基材20の表面に厚さ100μmの溶射膜30を形成した。
プラズマ溶射装置本体110として、エアロプラズマ社製のAPS-7100を用いた。プラズマガスとして、Ar、Oの混合ガスを用い、溶射距離は80mm、スキャン速度は650m/秒とした。ウォータシュラウド130は用いなかった。
このとき、プラズマ溶射装置本体110における入力電力は60kWであり、溶射粒子の溶射速度は280m/秒であり、基材20の表面温度は80℃に維持した。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は4.1%であり、密着強度は16.5MPaであった。両者とも実施例1〜5と比較して大きく劣っていた。
(比較例2)
上述した比較例1と同じ基材20及びプラズマ溶射装置本体110を用いた。
比較例1と異なり、メディアン径D50が6μmの酸化イットリウム粉末を用意し、この溶射粒子を30重量%の割合で水を用いて分散させたスラリーSを溶射原料として溶射した。溶射速度は310m/秒であった。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は3.2%であり、密着強度は14.2MPaであった。両者とも実施例1〜5と比較して大きく劣っていた。
(比較例3)
上述した実施例1と比較して、基材20の表面温度を80℃に維持したことのみが相違する。
溶射膜30には、クラックなどの欠陥は目視で確認できなかった。溶射膜30の気孔率は1.5%であり、密着強度は17.1MPaであった。両者とも実施例1〜5と比較して劣っていた。これは、ウォータシュラウド130から噴射された水Wに起因する水分が残存したために、溶射膜30の緻密性及び溶射膜30と基材20との密着性が劣るものとなったと思われる。
(比較例4)
上述した実施例1と比較して、基材20の表面温度を180℃に維持したことのみが相違する。
溶射膜30には、目視でクラックが確認され、割れていた。これは、熱変形した基材20がその後の冷却による内部応力による変形によって生じたものであると思われる。
以上の結果を表1にまとめた。
Figure 0006934401
10…溶射部材、 20…基材、 30…溶射膜、 100…プラズマ溶射装置、 110…プラズマ溶射装置本体、 111…アノード、 112…カソード、 113…ガス供給路、 120…スラリー供給装置、 130…ウォータシュラウド、 131…水供給管、 132…噴射口、 140…基板保持装置、 141…温度維持機構、 G…プラズマガス、 P…プラズマ炎、 S…スラリー、 W…水。

Claims (3)

  1. プラズマ炎を形成する工程と、
    平均粒子径が1μm以上6μm以下の溶射粒子を溶媒に分散させたスラリーを前記プラズマ炎に供給する工程と、
    前記スラリーが供給された前記プラズマ炎の一部を前記プラズマ炎の周囲から冷却溶媒によって冷却する工程と、
    金属からなる基材の表面温度を100℃以上150℃以下に制御した状態で、前記溶射粒子を600m/秒以上1100m/秒以下の速さで前記基材の表面に衝突させる工程とを備えることにより、前記基材の表面に溶射膜を形成することを特徴とする溶射部材の製造方法。
  2. 前記基材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、前記溶射粒子は、酸化イットリウム(Y)であることを特徴とする請求項1に記載の溶射部材の製造方法。
  3. 前記冷却溶媒は水であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶射部材の製造方法。
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