JP6933070B2 - 製品の特性の予測装置、方法、及びプログラム、並びに製造プロセスの制御システム - Google Patents

製品の特性の予測装置、方法、及びプログラム、並びに製造プロセスの制御システム Download PDF

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Description

本発明は、物理モデルを用いて、製造プロセスで製造する製品の特性を予測する製品の特性の予測装置、方法、及びプログラム、並びに製造プロセスの制御システムに関する。
製品の製造プロセスにおいては、製造プロセスの挙動を物理的見地から説明し、物理現象を数式で表現した物理モデルを構築し、その物理モデルを用いて、製品が所望の特性となるための製造プロセスの操作量を逆算して、セットアップする制御(セットアップ制御と呼ばれる)が広汎に用いられている。
しかしながら、製造プロセスの挙動を正確に説明する物理モデルの構築は困難であることが多い。例えば鋼材の塑性加工においては、所望の形状や機械特性を得るため、鋼材の温度を制御しながら加工する必要がある。しかしながら、鋼材の内部まで含めた温度を測定する手法はなく、計算で推定する場合、材料の変形に伴い発生する熱の単位量が必要であるが、これまでの知見ではこの効率値を導出する手法は確立していない。また、例えば鋼板の熱間圧延工程の下流では加速冷却を行い、所定の温度まで鋼板を冷却することで製品に必要な機械特性を得る。この冷却温度の計算に必要な熱伝達率は、冷却水の鋼板への接し方や鋼板の表面性状によって異なるが、冷却水の状態を測定する手法はなく、また、表面性状が熱伝達率に与える影響の定量的な解明は未だなされていないため、高精度な物理モデルの構築は困難である。
そこで、過去の操業経験や実績データを用いて、経験又は統計的な観点から、物理モデルの不確かさを補償する学習制御が用いられている。
特許文献1には、プロセス制御の操作量プリセット方法として、対象プロセスを表す数式モデルの入・出力値、および出力値と対象プロセスの実績値との誤差を収集するデータ収集ステップと、複数のデータを逐次蓄積するデータ蓄積ステップと、制御しようとする操業条件に対応した入力値と類似した入力値を有するデータを蓄積したデータ群から抽出したデータを用いて、前記数式モデルの出力誤差を予測する数式モデル誤差予測ステップと、前記数式モデルの出力誤差を加算あるいは乗算して、制御量の予測値とする制御量予測ステップと、前記制御量の予測値が所望の制御量と一致するように操作量を決定する操作量決定ステップとを有することが開示されている。
特開2012−208538号公報
従来の学習制御を用いたセットアップ制御では、対象製品の製造条件を物理モデルに与えて、製品の特性の計算値を計算する。また、対象製品の製造条件と類似する実績データを学習データとして、実績データに含まれる特性の実績値と物理モデルの計算値との誤差を予測する回帰モデルを生成する。そして、この回帰モデルに対象製品の製造条件を入力して誤差予測値を計算し、物理モデルの計算値に加算することにより製品の特性の予測値を計算して、この予測値が目標値に一致するように操作量を決定する。
このようにした従来のセットアップ制御における予測モデルは、式(1)〜式(3)のように表わされる。xが製造条件、y´pが物理モデルf(x)の特性の計算値、e´が回帰モデルg(x)による誤差予測値、y´が特性の予測値である。
Figure 0006933070
式(1)〜式(3)をまとめると、式(4)のように表わされる。従来の手法では、物理モデルf(x)の係数が1であるため、実際の特性を高精度に予測でき、実績データを用いて多少補正すればよいという前提となっている。
しかしながら、実際には製造プロセスにおける物理現象が正確に把握できず、物理モデルf(x)が必ずしも高精度であるといえない場合がある。この場合でも、一律に物理モデルf(x)の係数を1にすると、製品の特性の予測精度が低下してしまう。また、適当な物理モデルが存在しない(もしくは、物理モデルが全く当たらない)製造プロセスに対しては、式(5)のように物理モデルf(x)の係数を0として、回帰モデルg(x)だけで予測値を計算した方が、予測精度が高い場合もある。
Figure 0006933070
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、物理モデルの予測精度の高低に関わらず、製造プロセスで製造する製品の特性を精度良く予測することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 製造プロセスで製造する製品の特性を予測する製品の特性の予測装置であって、
前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算手段と、
前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算手段と、
前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成手段とを備え
前記回帰モデル生成手段は、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とする製品の特性の予測装置。
] 前記回帰モデル生成手段は、前記実績データに含まれる前記製造プロセスの実績値と前記回帰モデルの予測値との誤差を含む評価関数に基づいて、前記回帰モデルを生成することを特徴とする[1]に記載の製品の特性の予測装置。
] 前記回帰モデル生成手段は、予め設定された確率密度関数から計算される前記実績データに含まれる実績値の尤度を含む評価関数に基づいて、前記回帰モデルを生成することを特徴とする[1]に記載の製品の特性の予測装置。
] 前記評価関数は、さらに前記回帰モデルの回帰係数の大きさに所定の重みを乗じた項を含むことを特徴とする[]又は[]に記載の製品の特性の予測装置。
] 製品の特性の上限値及び下限値のうち少なくともいずれか一方を設定し、前記回帰モデルの予測値が前記上限値又は前記下限値の範囲外となった場合、前記回帰モデルの予測値を前記上限値又は前記下限値に制限することを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一つに記載の製品の特性の予測装置。
] 前記回帰モデル生成手段は、前記実績データから、製造条件空間内の距離に基づいて抽出された、前記対象製品の製造条件と類似する類似データに基づいて前記回帰モデルを生成することを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一つに記載の製品の特性の予測装置。
] 前記回帰モデルは線形重回帰モデルであることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一つに記載の製品の特性の予測装置。
] [1]乃至[]のいずれか一つに記載の製品の特性の予測装置の前記回帰計算手段で計算した予測値が、前記対象製品の特性の目標値目標値と一致するように前記製造プロセスの操作量を決定するセットアップ制御を行うことを特徴とする製造プロセスの制御システム。
] 製造プロセスで製造する製品の特性を予測する製品の特性の予測方法であって、
前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算ステップと、
前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算ステップとを有し、
前記回帰計算ステップの前段に、前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成ステップを有し、
前記回帰モデル生成ステップでは、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とする製品の特性の予測方法。
10] 製造プロセスで製造する製品の特性を予測するためのプログラムであって、
前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算手段と、
前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算手段と、
前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成手段としてコンピュータを機能させ
前記回帰モデル生成手段は、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とするプログラム。
本発明によれば、物理モデルの予測精度の高低に関わらず、製造プロセスで製造する製品の特性を精度良く予測することができる。
実施形態に係る製造プロセスの制御システムの構成例を示す図である。 実施例1における加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを示す特性図である。 実施例2における加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを示す特性図である。 従来例1における加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを示す特性図である。 従来例2における加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを示す特性図である。 実施例2における加工終了温度予測値の推移図(横軸:加工番号、縦軸:加工終了温度)である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、実施形態に係る製造プロセスの制御システムの構成例を示す。
製造プロセスの制御システムは、新たに製造する対象製品の製造条件が与えられると、物理モデルを用いて、対象製品の品質等の特性を予測し、対象製品に対する製造プロセス101の操作量を決定するセットアップ制御を行う。物理モデルは、製造プロセス101の挙動を物理的見地から説明し、物理現象を数式で表現する。
製造プロセス101は、例えば鋼材の塑性加工プロセスや鋼板の加速冷却プロセスであり、塑性加工を施した鋼材や加速冷却した鋼板が製品に該当し、その温度が特性に該当する。
セットアップ計算部102は、詳細は後述するが、物理モデル計算部102aと、回帰計算部102bと、操作量修正部102cとを備える。セットアップ計算部102は、対象製品の製造条件が与えられると、物理モデルを用いて、対象製品の特性の予測値である計算値を計算し、さらに物理モデルの計算値を説明変数とする回帰モデルを用いて、対象製品の特性の予測値を再計算して、その予測値に基づいて製造プロセス101の操作量を決定する。
データベース103は、製造プロセス101の実績データを保存する。実績データとして、製品毎に、製造条件と、特性を含む製造プロセス101の観測可能な実績値と、物理モデルの計算値とを保存する。鋼材の塑性加工プロセスや鋼板の加速冷却プロセスである場合、製造条件は、例えば鋼材や鋼板のサイズ、成分値、プロセス開始温度等、製造プロセス101の挙動を説明するのに必要と考えられる項目となる。
抽出部104は、データベース103から、対象製品の製造条件に類似する製造条件を有する実績データ(以下、類似データと呼ぶ)を抽出する。抽出部104は、対象製品の製造条件が与えられると、対象製品の製造条件とデータベース103に保存されている実績データにおける製造条件との製造条件空間内の距離を計算し、この距離が近い順に所定の数だけ類似データを抽出する。製造条件空間内の距離は、ユークリッド距離やマハラノビス距離等、多次元空間内の距離の定義として公知のものが適用可能である。なお、製造条件空間を定義する製造条件は、製造条件のすべてでなく、製造条件の一部としてもよい。また、製造条件だけでなく、物理モデルの計算値や製造プロセス101の操作量を加えて、類似度を計算するようにしてもよい。
回帰モデル生成部105は、詳細は後述するが、抽出部104でデータベース103から抽出した類似データに基づいて、セットアップ計算部102の回帰計算部102bで用いる回帰モデルを生成する。回帰モデルは、製品の製造条件と、その製造条件下での物理モデルの計算値とを説明変数とし、当該製品の特性の予測値を計算する。
ここで、セットアップ計算部102について詳述する。
物理モデル計算部102aは、物理モデルを用いて、対象製品の特性の予測値である計算値y´pを、対象製品の製造条件に基づいて計算する。
回帰計算部102bは、回帰モデル生成部105で生成した回帰モデルに、対象製品の製造条件と、物理モデル計算部102aで計算した物理モデルの計算値y´pとを与えて、対象製品の特性の予測値y´を計算する。
操作量修正部102cは、回帰計算部102bで計算した回帰モデルの予測値y´と、所与の対象製品の特性の目標値とが一致するまで、製造プロセス101の操作量に修正を加えて計算を繰り返す収束計算を行い、操作量を決定する。なお、予測値と目標値とが一致するとは、完全に一致することまで要求する意味ではなく、予測値が目標値を基準として予め定められた範囲内の値となるという条件を満たせばよい。
このようにしてセットアップ計算部102で決定した操作量に従って、製造プロセス101の制御が実行される。データベース103には、実績データとして、対象製品について、製造条件と、特性を含む製造プロセス101の観測可能な実績値と、物理モデルの計算値とが保存される。
次に、回帰モデルについて詳述する。
回帰モデルは、製品の製造条件xと、その製造条件x下での物理モデルf(x)の計算値とを説明変数とし、式(6)のように表わされる。
回帰モデルが線形重回帰モデルである場合、式(6)は式(7)の形式になる。回帰係数b0,b1,b2,・・・,bm,bfは類似データに基づいて計算することができ、類似データに対する予測精度が高くなるように決定される。式(7)の一部をあらためて式(8)のように統計モデルg´(x)とすると、式(9)のように書き直され、物理モデルf(x)に回帰係数bfを乗じた値と統計モデルg´(x)とを足し合わせる形式の予測モデルが得られる。回帰係数bfは、物理モデルf(x)に対する重みといえる。回帰係数bfが1.0のとき、式(4)と同じく、物理モデルの計算値を統計モデルで補正して予測値y´を計算する回帰モデルとなる。また、回帰係数bfが0.0のときには、式(5)と同じく、物理モデルを用いずに、統計モデルだけで予測値y´を計算する回帰モデルとなる。
Figure 0006933070
このような考え方は、回帰モデルがニューラルネットワークや決定木、ランダムフォレストのような非線形モデルの場合にも成立し、式(6)の回帰モデルは、物理モデルの予測精度が高いときには、物理モデルの計算値の重要度が高く、物理モデルの予測精度が低いときには、物理モデルの計算値の重要度が低いモデルとなる。
次に、回帰モデル生成部105で回帰モデルを生成する処理を説明する。
回帰モデルを生成する際には、式(10)のように、類似データに含まれる実績値ynと回帰モデルの予測値yn´との誤差の絶対値の合計を最小化する評価関数Jを設定して、回帰係数b0,b1,b2,・・・,bm,bfを計算する。なお、pは累乗数、n(n=1〜N)は類似データを表わす識別番号である。
Figure 0006933070
また、物理モデルを積極的に使用する回帰モデルを生成するようにしてもよい。物理モデルは物理法則という普遍的なメカニズムに基づいたモデルであり、その計算値が実績値から大きく外れることは少なく、高精度と言う意味ではないが、信頼性が高い。一方、統計モデルは実績データから予測するモデルであり、実績データに異常値が含まれていたり、実績データの範囲外を予測したりする場合、予測値が実績値から大きく外れることがあり、信頼性が低い。したがって、予測精度が大きく変わらなければ、物理モデルを積極的に使用する方が予測値の信頼性が向上するといえる。
そこで、回帰モデルが線形重回帰モデルである場合、式(11)のように、回帰係数b0,b1,b2,・・・,bm,bfの大きさを表わす項を評価関数Jに加え、物理モデルf(x)の回帰係数bfの重みwfを他の重みよりも小さい値に設定することで、物理モデルを積極的に使用する回帰モデルを生成することができる。なお、qは累乗数である。
また、回帰モデルがランダムフォレストのような決定木を使うモデルである場合、物理モデルの計算値で優先的に分岐することで、物理モデルを積極的に使用する回帰モデルを生成することができる。
Figure 0006933070
また、式(12)のように、予め設定された確率密度関数P(・)の尤度の合計値を評価関数Jとして設定し、評価関数Jを最大化するように回帰モデルを生成するようにしてもよい。例えば確率密度関数をポアソン分布として、類似データに含まれる実績値の尤度が最大となるように、ポアソン分布のパラメータである平均発生回数を予測する回帰モデルを生成する。
この場合にも、式(11)と同様に、回帰係数b0,b1,b2,・・・,bm,bfの大きさを表わす項を加え、例えばwfを他の重みより大きい値に設定することにより、物理モデルを積極的に使用する回帰モデルを生成するようにしてもよい。
式(10)のように実績値ynと予測値yn´との誤差を評価関数Jとして使用する場合、誤差の発生確率が左右対称であることが前提となる。例えば予測値より10%高い実績値が発生する確率と、10%低い実績値が発生する確率とが等しいことが前提となる。多くの場合には、この前提で問題なく、式(10)の評価関数Jであれば、計算コストも少なくて済む。その一方で、誤差の発生確率が左右非対称の場合、式(10)の評価関数Jでは回帰モデルの予測精度が低くなってしまうため、誤差の発生確率に応じた非対称の確率密度関数を指定した方がよい。
Figure 0006933070
さらに、製品の特性の上限値や下限値を設定するようにしてもよい。例えば式(13)のように、物理モデルの計算値yp´を基準として上限値y´UB、下限値y´LBを設定する。Δyは最大の差異を表わすパラメータであり、物理的知見により設定する。そして、式(14)のように、回帰モデルの予測値y´が上限値y´UBの範囲外となった場合(上限値y´UBを超えた場合)、予測値y´を上限値y´UBに制限する。また、回帰モデルの予測値y´が下限値y´LBの範囲外となった場合(下限値y´LBを下回った場合)、予測値y´を下限値y´LBに制限する。これにより、回帰モデルの予測値y´が上下限値の範囲内に制限され、利用者にとって信頼性の高い予測モデルとすることができる。
Figure 0006933070
以上述べたように、回帰モデルは、対象製品の製造条件に加えて、その製造条件下での物理モデルの計算値を説明変数として、対象製品の特性を直接的に予測する。実績データに基づいて回帰モデルを生成すると、実績値と相関の高い説明変数は強く活用され、実績値と相関の低い説明変数はあまり活用されなくなる。これにより、予測モデルを構成する物理モデルに対する重みに相当する係数は、物理モデルの予測精度に応じて変更されることになり、計算値の活用度が適切に調整され、物理モデルの予測精度の高低に関わらず製品の特性を精度良く予測することができる。
なお、本実施形態では、製品の製造条件と、その製造条件下での物理モデルの計算値とを説明変数とする回帰モデルとしたが、他の要素を説明変数に加えるようにしてもよい。例えば制御対象によっては製造プロセス101の操作量を回帰モデルの説明変数に加えた方が、予測精度が向上することがある。この場合、製造プロセス101の操作量をデータベース103に保存するようにし、操作量を説明変数に加えた回帰モデルを生成するようにしてもよい。
本実施形態においては、物理モデル計算部102a、回帰計算部102b、及び回帰モデル生成部105が相まって、本発明を適用した製品の特性の予測装置として機能する。
また、セットアップ計算部102、データベース103、抽出部104、回帰モデル生成部105は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータにより実現される。
なお、図1に示す構成は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。例えば図1ではセットアップ計算部102と回帰モデル生成部105とを別の構成要素として図示したが、回帰モデル生成部105がセットアップ計算部102に含まれるような構成としてもよい。
数値実験により、本発明を適用することによる製品の特性の予測精度の向上効果を検証した。本実施例では、鋼管製造プロセスを対象とし、ピアサによる加工終了温度を予測すべき特性とした。
図2は、本発明を適用して特性値を予測する手法(実施例1と呼ぶ)での加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを比較した結果を示す。
一方、図4は、物理モデルを用いずに、統計モデル(線形の回帰モデル)だけで特性を予測する比較手法(式(5)の場合に相当、従来例1と呼ぶ)での加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを比較した結果を示す。また、図5は、物理モデルの計算値を統計モデルで補正して特性を予測する比較手法(式(4)の場合に相当、従来例2と呼ぶ)での加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを比較した結果を示す。
統計モデルだけで特性を予測する従来例1の場合、図4に示すように、予測精度(RMSE:Root Mean Square Error)は4.957℃であった。物理モデルの計算値を統計モデルで補正して特性を予測する従来例2では、図5に示すように、予測精度は4.861℃に改善した。さらに、本発明を適用した実施例1では、図2に示すように、予測精度は4.733℃まで改善した。
また、従来例1、従来例2では、図4、図5に示すように、予測値が実績値から大きく外れる点も散見されるが(例えば予測値1070℃、実績値1140℃付近の点等)、本発明を適用した実施例1では、図2に示すように、予測値が大きく外れることもなく、予測精度が向上している。
図3は、本発明を適用した手法において、式(11)のΔyを50℃と設定した場合(実施例2と呼ぶ)の加工終了温度予測値と加工終了温度実績値とを比較した結果を示す。また、図6は、実施例2における加工終了温度予測値の推移図である。ここで、図6の横軸は加工番号であり、加工順番を意味する。
予測精度は4.758℃となり、実施例1と同等或いは若干劣り、散布図は図2とほとんど変わらないが、図6に示すように、予測値は物理モデルの計算値の50℃以内に制限され、利用者にとっては信頼性の高い予測モデルとなっている。なお、図6は、85,482本のデータ中、先頭から9,500〜10,000本のデータを示している。
以上、本発明を一実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術的思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、上記実施形態のように鋼材の塑性加工プロセスや鋼板の加速冷却プロセスに適用されるだけでなく、汎用的に適用可能であって、製造プロセスにより製造される製品の特性を予測するのに広く効果を有する。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
101:製造プロセス
102:セットアップ計算部
102a:物理モデル計算部
102b:回帰計算部
102c:操作量修正部
103:データベース
104:抽出部
105:回帰モデル生成部

Claims (10)

  1. 製造プロセスで製造する製品の特性を予測する製品の特性の予測装置であって、
    前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算手段と、
    前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算手段と、
    前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成手段とを備え
    前記回帰モデル生成手段は、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とする製品の特性の予測装置。
  2. 前記回帰モデル生成手段は、前記実績データに含まれる前記製造プロセスの実績値と前記回帰モデルの予測値との誤差を含む評価関数に基づいて、前記回帰モデルを生成することを特徴とする請求項に記載の製品の特性の予測装置。
  3. 前記回帰モデル生成手段は、予め設定された確率密度関数から計算される前記実績データに含まれる実績値の尤度を含む評価関数に基づいて、前記回帰モデルを生成することを特徴とする請求項に記載の製品の特性の予測装置。
  4. 前記評価関数は、さらに前記回帰モデルの回帰係数の大きさに所定の重みを乗じた項を含むことを特徴とする請求項又はに記載の製品の特性の予測装置。
  5. 製品の特性の上限値及び下限値のうち少なくともいずれか一方を設定し、前記回帰モデルの予測値が前記上限値又は前記下限値の範囲外となった場合、前記回帰モデルの予測値を前記上限値又は前記下限値に制限することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の製品の特性の予測装置。
  6. 前記回帰モデル生成手段は、前記実績データから、製造条件空間内の距離に基づいて抽出された、前記対象製品の製造条件と類似する類似データに基づいて前記回帰モデルを生成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の製品の特性の予測装置。
  7. 前記回帰モデルは線形重回帰モデルであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の製品の特性の予測装置。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の製品の特性の予測装置の前記回帰計算手段で計算した予測値が、前記対象製品の特性の目標値と一致するように前記製造プロセスの操作量を決定するセットアップ制御を行うことを特徴とする製造プロセスの制御システム。
  9. 製造プロセスで製造する製品の特性を予測する製品の特性の予測方法であって、
    前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算ステップと、
    前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算ステップとを有し、
    前記回帰計算ステップの前段に、前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成ステップを有し、
    前記回帰モデル生成ステップでは、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とする製品の特性の予測方法。
  10. 製造プロセスで製造する製品の特性を予測するためのプログラムであって、
    前記製造プロセスにおける物理現象を数式で表現した物理モデルを用いて、新たに製造する対象製品の特性の予測値である計算値を、前記対象製品の製造条件に基づいて計算する物理モデル計算手段と、
    前記対象製品の製造条件と、前記計算値とを説明変数とし、前記対象製品の特性を予測する回帰モデルを用いて、前記対象製品の特性の予測値を計算する回帰計算手段と、
    前記回帰モデルを前記製造プロセスの実績データに基づいて生成する回帰モデル生成手段としてコンピュータを機能させ
    前記回帰モデル生成手段は、前記物理モデルの予測精度に応じて前記物理モデルに対する重みに相当する回帰係数を調整した前記回帰モデルを生成することを特徴とするプログラム。
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