以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[第1実施形態]
[1] 距離測定装置の構成
距離測定装置は、LIDAR(Light Detection and Ranging)とも呼ばれる。LIDARは、レーザー光を用いて例えば車両前方のある範囲を走査し、この走査範囲に存在する対象物によって反射されたレーザー光を検出する。そして、LIDARは、投光したレーザー光と受光したレーザー光とを用いて、対象物の検出、及び車両から対象物までの距離を測定する。
距離測定装置は、車両の前部(例えば、フロントバンパー、又はフロントグリル)、車両の後部(例えば、リアバンパー、又はリアグリル)、及び/又は、車両の側部(例えば、フロントバンパーの側部)に配置される。また、距離測定装置10は、ルーフやボンネット等、車両の上部に配置されてもよい。
[1−1] 距離測定装置のブロック構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る距離測定装置10のブロック図である。
距離測定装置10は、投光素子11、角度検出光源12、偏向素子13、偏向角検出部14、偏向角制御部15、受光素子16、パルスタイミング制御部17、距離演算部18、及び主制御部19を備える。
投光素子11は、偏向素子13に向けて、レーザー光を発光する。投光素子11は、レーザーダイオードなどを備える。レーザー光としては、例えば、赤外線レーザー光(例えば波長λ=905nm)が用いられる。投光素子11は、所定の周波数を有するパルス信号としてレーザー光を発光する。また、後述するように、投光素子11は、直線偏光を発光する。
角度検出光源12は、光線、例えばレーザー光を発光する。本実施形態に係る距離測定装置10は、対象物2に向けた投光機能に加えて、出射されるレーザー光の偏向角を検出する機能を有する。角度検出光源12は、この偏向角検出機能に使用されるレーザー光を発光する。角度検出光源12のレーザー光の波長は、投光素子11のレーザー光の波長と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
偏向素子(走査素子)13は、レーザー光を偏向させるとともに、レーザー光を走査(ステアリングともいう)する。すなわち、偏向素子13は、投光素子11から出射されたレーザー光を受け、このレーザー光を透過する。さらに、偏向素子13は、投光素子11からのレーザー光の偏向角を制御することで、レーザー光を走査する。また、偏向素子13は、投光領域に加えて、偏向角を検出するための検出領域を有する。偏向素子13の具体的な構成については後述する。
偏向角検出部14は、角度検出光源12から出射されたレーザー光が偏向素子13を透過した後のレーザー光を検出する。偏向角検出部14は、レーザー光を検出する受光素子を備える。偏向角検出部14に含まれる受光素子は、例えば後述する受光素子16と同じ光センサで構成してもよい。また、偏向角検出部14に含まれる受光素子は、受光素子16と同等の感度が要求されないため、受光素子16の感度より低い安価な素子を用いてもよい。偏向角検出部14は、検出したレーザー光の強度を用いて、偏向角を算出する。
偏向角制御部15は、偏向素子13の動作を制御する。偏向角制御部15は、偏向素子13に複数の電圧を印加することで、偏向素子13の偏向動作を制御する。
受光素子16は、対象物2によって反射されたレーザー光を検出する。受光素子16は、光センサ(例えば赤外線センサ)から構成される。光センサは、フォトダイオードやCMOS(complementary metal oxide semiconductor)フォトセンサから構成される。その他、受光素子16として赤外線カメラを用いてもよい。
パルスタイミング制御部17は、投光素子11の動作を制御する。投光素子11は、パルス信号としてレーザー光(すなわち、パルス状のレーザー光)を発光する。パルスタイミング制御部17は、レーザー光に含まれるパルスのタイミングを制御する。パルスのタイミングには、パルス信号の周期、パルス信号の周波数、及びパルス幅が含まれる。
距離演算部18は、投光されたレーザー光のタイミング情報をパルスタイミング制御部17から受け、レーザー光の偏向角の情報を偏向角検出部14から受け、受光されたレーザー光のタイミング情報及び光強度の情報を受光素子16から受ける。距離演算部18は、これらの情報を用いて、車両から対象物までの距離を算出する。具体的には、距離演算部18は、偏向角及び投光から受光までの時間などの情報を用いて、直線距離、水平距離、及び垂直距離を算出する。また、距離演算部18は、偏向角及び投光から受光までの時間などの情報を用いて、対象物の相対座標を算出する。距離演算部18によって算出された距離及び/又は相対座標は、例えばデータDOUTとして外部に出力可能である。
主制御部19は、距離測定装置10の全体動作を統括的に制御する。また、主制御部19は、角度検出光源12の発光動作を制御する。また、主制御部19は、偏向角を演算する際に必要な情報を記憶する記憶部も備える。
[1−2] 偏向素子13の構成
図2は、偏向素子13の模式的な断面図である。
偏向素子13は、複数の液晶パネル21を備える。本実施形態では、偏向素子13が10個の液晶パネル21−1〜21−10を備える構成例について説明する。液晶パネル21−1〜21−10は、例えば、透明な接着材を用いて積層される。
図3は、1つの液晶パネル21の平面図である。図4は、図3のA−A´線に沿った液晶パネル21の断面図である。
液晶パネル21は、透過型の液晶素子である。液晶パネル21は、対向配置された基板24、25と、基板24、25間に挟持された液晶層26とを備える。基板24、25の各々は、透明基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。基板24は、投光素子11側に配置され、投光素子11からのレーザー光は、基板24側から液晶層26に入射する。
液晶層26は、基板24、25間に充填される。具体的には、液晶層26は、基板24、25と、シール材27とによって包囲された領域内に封入される。シール材27は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいて基板24又は基板25に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
液晶層26を構成する液晶材料は、基板24、25間に印加された電圧(電界)に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態の液晶パネル21は、例えばホモジニアスモードである。すなわち、液晶層26として正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられ、液晶分子は、電圧(電界)を印加しない時には基板面に対して概略水平方向に配向する。ホモジニアスモードでは、電圧を印加しない時に液晶分子の長軸(ダイレクタ)が概略水平方向に配向し、電圧を印加した時に液晶分子の長軸が垂直方向に向かって傾く。液晶分子の傾斜角は、印加される実効電圧に応じて変化する。液晶層26の初期配向は、液晶層26を挟むようにして基板24、25にそれぞれ設けられた2つの配向膜によって制御される。
なお、液晶モードとして、ネガ型(N型)のネマティック液晶を用いた垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードを用いてもよい。VAモードでは、電界を印加しない時に液晶分子の長軸が概略垂直方向に配向し、電圧を印加した時に液晶分子の長軸が水平方向に向かって傾く。
偏向素子13は、対象物2に向けてレーザー光を投光する投光領域22と、偏向角を検出するための検出領域23とを備える。
投光領域22における基板24の液晶層26側には、それぞれがY方向に延びる複数の電極28、及び複数の電極29が設けられる。複数の電極28と複数の電極29とは、Y方向に直交するX方向に沿って、交互に配置される。複数の電極28は、同じ幅を有する。複数の電極29は、同じ幅を有する。本実施形態では、3つの電極28−1〜28−3と、3つの電極29−1〜29−3とを一例として示している。複数の電極28と複数の電極29とは、互いの間隔が同じであり、例えば、この間隔は、電極を加工する際の製造工程に起因する最小加工寸法である。
1つの電極28と1つの電極29との対が繰り返し単位30を構成する。すなわち、繰り返し単位30−1は、電極28−1と電極29−1とから構成され、繰り返し単位30−2は、電極28−2と電極29−2とから構成され、繰り返し単位30−3は、電極28−3と電極29−3とから構成される。繰り返し単位30の幅は、屈折率変化の周期幅Wである。液晶パネル21−1〜21−10は、同じ周期幅Wを有する。
検出領域23における基板24の液晶層26側には、Y方向に延びる電極31が設けられる。電極31の幅は、任意に設定可能である。例えば、電極31の幅は、検出領域23に入射するレーザー光の幅より大きく設定される。
基板24、及び電極28、29、31上には、液晶層26の初期配向を制御する配向膜32が設けられる。
基板25の液晶層26側には、共通電極33が設けられる。共通電極33は、基板25全面(すなわち、投光領域22及び検出領域23)に平面状に設けられる。基板25、及び共通電極33上には、液晶層26の初期配向を制御する配向膜34が設けられる。なお、基板24に共通電極33を配置し、基板25に電極28、29、31を配置してもよい。
電極28、29、31、及び共通電極33はそれぞれ、透明電極から構成され、例えば、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。
図2には、液晶パネル21−1〜21−10の各々に含まれる電極28−1〜28−3、電極29−1〜29−3、及び電極31を抽出して示している。前述したように、液晶パネル21−1〜21−10は、同じ繰り返し単位30の幅(周期幅W)を有する。以下に、1つの繰り返し単位30−1を例に挙げて説明するが、繰り返し単位30−2、30−3は、繰り返し単位30−1と同じ構成である。
繰り返し単位30−1において、液晶パネル21−1〜21−10に含まれる10個の電極28−1(28−1_1〜28−1_10と表記する)は、液晶パネル21−1〜21−10の順に長くなる。繰り返し単位30−1において、液晶パネル21−1〜21−10に含まれる10個の電極29−1(29−1_1〜29−1_10と表記する)は、液晶パネル21−1〜21−10の順に短くなる。
電極28−1_1〜28−1_10は、逆階段状に形成される。電極28−1_1〜28−1_10の増加分は一定である。例えば、電極28−1_1の幅が最小値の5μm、電極28−1_10の幅が最大値の50μmであり、液晶パネル21ごとに5μmずつ大きくなる。
電極29−1_1〜29−1_10は、階段状に形成される。電極29−1_1〜29−1_10の減少分は一定である。例えば、電極29−1_1の幅が最大値の50μm、電極28−1_10の幅が最小値の5μmであり、液晶パネル21ごとに5μmずつ小さくなる。
検出領域23において、液晶パネル21−1〜21−5に含まれる5個の電極31は、信号線SL1に共通接続される。すなわち、液晶パネル21−1〜21−5に含まれる5個の電極31には、同じ電圧が印加される。液晶パネル21−6〜21−10に含まれる5個の電極31は、信号線SL2に共通接続される。すなわち、液晶パネル21−6〜21−10に含まれる5個の電極31には、同じ電圧が印加される。なお、信号線SL1に接続される電極31の数と、信号線SL2に接続される電極31の数とは、任意に設定可能であるが、平均的な数にすることが望ましい。
検出領域23における液晶パネル21−1(具体的には、液晶パネル21−1の基板24の液晶層26と反対側)には、偏光板35が設けられる。検出領域23における液晶パネル21−10(具体的には、液晶パネル21−10の基板25の液晶層26と反対側)には、偏光板36が設けられる。偏光板35は、例えば、透明な接着材を用いて液晶パネル21−1に接着される。偏光板36は、例えば、透明な接着材を用いて液晶パネル21−10に接着される。
偏光板(直線偏光子)35、36の各々は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板35、36の各々は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、吸収軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を吸収する。偏光板35、36は、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。図2に示した透過軸は、偏光板35、36を同じ側から見た場合の方向である。
偏光板35の透過軸は、液晶分子の配向方向に対して斜め(例えば45度)になるように設定される。液晶分子の配向方向とは、液晶層に電界を印加していない(電極に電圧を印加していない)ときに、液晶分子のダイレクタ(分子長軸)が配列する方向である。液晶分子の配向方向は、配向膜32、34によって設定される。
偏光板36の液晶パネル21−10と反対側には、所定の間隔を空けて、偏向角検出部14に含まれる受光素子14Aが設けられる。
なお、液晶パネル21として、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式を用いた透過型液晶素子(透過型LCOS)を用いてもよい。透過型LCOSを用いることで、電極を微細加工することが可能となり、より小型の液晶パネル21を実現できる。透過型LCOSでは、シリコン基板(又は透明基板上に形成されたシリコン層)が用いられる。シリコン基板は、バンドギャップとの関係で、特定の波長以上の波長を有する光(赤外線を含む)を透過するため、LCOSを透過型液晶素子として使用することができる。LCOSを使用することにより、セル電極がより小さい液晶素子を実現することができるため、液晶素子を小型化することが可能となる。
[1−3] 角度検出光源12の構成
次に、角度検出光源12の構成について説明する。本実施形態では、角度検出光源12として、投光素子11の光を利用する構成例を説明する。
図2に示すように、角度検出光源12は、ビームスプリッター12A、及びミラー12Bを備える。ビームスプリッター12Aは、投光素子11の光路上に配置される。ビームスプリッター12Aは、投光素子11から出射された光を、偏向素子13に直交する方向の光と、偏向素子13に平行な方向の光とに分離する。偏向素子13に直交する方向の光は、そのまま直進して偏向素子13の投光領域22に入射する。偏向素子13に平行な方向の光は、偏向素子13の検出領域23まで進み、ミラー12Bによって偏向素子13に直交する方向に反射される。ミラー12Bによって反射された光は、偏向素子13の検出領域23に入射する。
なお、角度検出光源12は、投光素子11の別の光源で構成してもよい。角度検出光源12は、LED(light-emitting diode)、又はレーザーダイオード(LD)で構成してもよい。この場合、角度検出光源12の光の波長は、投光素子11の光の波長と異なる。投光領域22を透過する第1光線の波長と、検出領域23を透過する第2光線の波長とが同じであれば、偏向角の計算が容易である。しかし、第1光線の波長と第2光線の波長とが異なる場合でも、第1光線における液晶層の光学特性と、第2光線における液晶層の光学特性との関係性を予め取得しておくことで、第2光線の検出結果を用いて、第1光線の偏向角を算出できる。
また、距離測定装置10が出射するレーザー光は、パルス駆動であるため、取得されるデータは間欠的になる。このため、連続点灯、又は計測周波数よりも短い周期で点灯するLEDやLDを用いてもよい。また、コスト低減のため、安価なLEDやLDを用いてもよい。
また、投光素子11から出射されるレーザー光のスポット径が十分に大きければ、投光素子11は、投光領域22と検出領域23との両方に1本のレーザー光を入射するように構成してもよい。
[2] 距離測定装置10の動作
[2−1] 距離測定装置10の基本動作
まず、距離測定装置10の基本動作について説明する。図5は、距離測定装置10の基本動作を説明する概略図である。なお、図5では、距離測定装置10が車両1の前方を走査する態様を一例として示している。
距離測定装置10に含まれる偏向素子13は、角度2αの走査範囲でレーザー光を投光する。受光素子16は、対象物2によって反射されたレーザー光を受光する。想定する対象物2までの距離L、距離Lにおける走査範囲Rとする。例えば、角度2α=10度、距離L=10mである場合は、走査範囲R=1.7mであり、角度2α=10度、距離L=50mである場合は、走査範囲R=8.7mである。角度2α、距離L、及び走査範囲Rは、距離測定装置10に求められる仕様に応じて任意に設計可能である。
図6は、距離測定装置10によるレーザー光の波形を説明する図である。図6の上側が投光の波形、下側が受光の波形である。図6の横軸が時間であり、図6の縦軸が強度(光強度)である。
投光素子11は、パルス信号からなるレーザー光を発光する。すなわち、投光素子11は、時分割でレーザー光を出射する。距離測定装置10は、パルス信号としてレーザー光を投光する。パルス信号の周期P、パルス幅WPとする。1つのパルスを投光してから、このパルスが対象物で反射されたパルスを受光するまでの時間である遅れ量Δ、光の速度Cとする。遅れ量Δは、“Δ=2L/C”で算出される。
例えば、パルス幅WP=10nsec、周期P=10μsec(すなわち、周波数f=100kHz)であるものとする。遅れ量Δ=67nsecの場合、距離L=10mが算出される。
このような動作により、対象物が検出でき、また、対象物までの距離が算出できる。
[2−2] 距離測定装置10の偏向動作
次に、距離測定装置10の偏向動作について説明する。図7は、距離測定装置10の偏向動作を説明する模式的な断面図である。図7は、レーザー光が左側に偏向される例である。
投光素子11から出射されたレーザー光は、特定の方向に偏光している。投光素子11の偏光方向は、液晶層に含まれる液晶分子の配向方向と同じに設定される。投光素子11から出射されたレーザー光は、ビームスプリッター12Aを透過して偏向素子13の投光領域22に入射する。また、ビームスプリッター12Aによって分離されたレーザー光は、ミラー12Bによって反射された後、偏向素子13の検出領域23に入射する。
偏向角制御部15は、共通電極33に0Vを印加し、複数の電極28に0Vを印加し、複数の電極29に電圧(正電圧)V1を印加する。電圧V1は、液晶層のしきい値電圧に応じて設定される。液晶層の液晶分子を概略垂直方向に配向させる場合、電圧V1は、液晶層のしきい値電圧より若干大きい値に設定される。液晶層に電界を印加することで、液晶分子が垂直方向に傾くため、液晶層の屈折率が低くなる。
なお、液晶層は、交流駆動され、液晶層を挟む2つの電極に印加される電圧は、半周期ごとに、極性が反転される。例えば、共通電極33に0Vが印加され、電極29(又は電極28)に絶対値がV1で極性が正と負との電圧が交互に印加される。以下の説明において、特に言及しない場合でも、液晶層は交流駆動される。
図7の各液晶パネル21において、ハッチングがない領域は、液晶層の屈折率が相対的に高い領域を表しており、ドットハッチングの領域は、液晶層の屈折率が相対的に低い領域を表している。
偏向素子13の投光領域22において、繰り返し単位30は、右に向かって順に低くなる屈折率の勾配を有する。繰り返し単位30において、最も左側の領域は、屈折率が最も高く、最も右側の領域は、屈折率が最も低い。屈折率が最も高い領域は、光が進む速度が最も遅く、屈折率が最も低い領域は、光が進む速度が最も速い。すなわち、屈折率が最も高い領域を透過したレーザー光と、屈折率が最も低い領域を透過したレーザー光とは、所定の位相差を有する。よって、図7の例では、偏向素子13は、レーザー光を左側に偏向させることができる。
また、0V以外に1種類の電圧を用いるのみで、偏向素子13に屈折率の勾配を形成することができる。すなわち、偏向角制御部15の電圧制御を容易にすることができる。
図8は、距離測定装置10の偏向動作を説明する模式的な断面図である。図8は、レーザー光が右側に偏向される例である。
偏向角制御部15は、共通電極33に0Vを印加し、複数の電極28に電圧V1を印加し、複数の電極29に0Vを印加する。
偏向素子13の投光領域22において、繰り返し単位30は、右に向かって順に高くなる屈折率の勾配を有する。よって、図8の例では、偏向素子13は、レーザー光を右側に偏向させることができる。
偏向角θ、屈折率変化の周期幅W、周期幅W内の位相差(リタデーション)Re、液晶層の屈折率異方性Δn、全ての液晶パネルの液晶ギャップの合計dとする。液晶ギャップとは、液晶パネルの2つの基板間の距離、又は液晶層の厚さを意味する。本実施形態では、10個の液晶パネル21−1〜21−10の液晶ギャップの合計が“d”である。偏向角θは以下の式(1)で表され、リタデーションReは以下の式(2)で表される。
θ=asin(Re/W) ・・・(1)
Re=Δn・d ・・・(2)
asinは、アークサインを意味する。
なお、液晶パネル21(具体的には、電極28、又は電極29)に印加する電圧V1のレベルを変えることで、液晶分子の傾きを変えることができる。電圧V1が大きくなるにつれて、液晶層に印加される電界が高くなり、液晶分子がより垂直方向に傾く。すなわち、電圧V1が大きくなるにつれて、液晶層の屈折率が低くなる。電圧V1の大きさを変えることで、偏向角が調整できる。最大の偏向角は、液晶層のしきい値電圧以上の電圧V1を電極28又は電極29に印加した場合に実現される。
[2−3] 距離測定装置10の偏向角検出動作
次に、距離測定装置10の偏向角検出動作について説明する。本実施形態では、偏向角を検出するために、偏向素子13は、検出領域23を備える。
図7及び図8に示すように、偏向素子13の投光領域22をレーザー光が透過するとともに、偏向素子13の検出領域23をレーザー光が透過する。図7及び図8において、検出領域23を透過するレーザー光を示す矢印の幅は、強度を模式的に表している。
偏向角制御部15は、液晶パネル21−1〜21−5に含まれる電極31に接続された信号線SL1に、電極29と同じ電圧を印加し、液晶パネル21−6〜21−10に含まれる電極31に接続された信号線SL2に、電極28と同じ電圧を印加する。図7の例では、液晶パネル21−1〜21−5の検出領域23は、屈折率が低くなり、液晶パネル21−6〜21−10の検出領域23は、屈折率が高くなる。図8の例では、液晶パネル21−1〜21−5の検出領域23は、屈折率が高くなり、液晶パネル21−6〜21−10の検出領域23は、屈折率が低くなる。
なお、信号線SL1及び信号線SL2に印加する電圧は、上記例と逆でもよい。すなわち、信号線SL1に、電極28と同じ電圧を印加し、信号線SL2に、電極29と同じ電圧を印加してもよい。
偏向素子13の検出領域23には、偏光板35によって偏光されたレーザー光が入射する。すなわち、偏向素子13の検出領域23には、液晶層に含まれる液晶分子の配向方向に対して斜めの偏光を持つレーザー光が入射する。電圧V1を変化させて偏向角を変化させると、液晶層の屈折率も変化する。偏向素子13の検出領域23を透過するレーザー光の偏光状態は、液晶層の屈折率の変化によって、直線偏光、楕円偏光、円偏光、楕円偏光、初期から90度した直線偏光と順次変化する。さらに、クロスニコル配置された偏光板35、36をレーザー光が透過することで、偏向角検出部14は、受光するレーザー光の強度変化を検出することができる。
図9は、リタデーションと強度比との関係を示すグラフである。図9の横軸がリタデーション(nm)、縦軸が強度比(%)である。強度比は、最大透過率に対する光強度の割合である。本実施形態では、偏光板35を透過した直後の光強度を100%とする。
強度比は周期的な変化を示すため、単一の計測データのみからはリタデーションを算出することができない場合がある。例えば、電圧を印加しない状態(電圧無印加状態)での位相差が20,000nm前後になるように設計された液晶素子であれば、一旦、液晶素子を電圧無印加状態として、計測した強度比から20,000nm付近の正確なリタデーションを得ることができる。ここを基準として連続的に計測を行えば、その時点の正確なリタデーションを算出することが可能である。
検出領域23の電極31に0Vが印加される液晶パネルを、“電圧が印加されない液晶パネル”と呼び、検出領域23の電極31に電圧V1が印加される液晶パネルを、“電圧が印加される液晶パネル”と呼ぶ。強度比I、リタデーションRe、波長λ、電圧が印加されない液晶パネルの屈折率異方性Δn1、電圧が印加される液晶パネルの屈折率異方性Δn2、電圧が印加されない全液晶パネルの液晶ギャップの合計d1、電圧が印加される全液晶パネルの液晶ギャップの合計d2とする。図7の例では、5個の液晶パネル21−1〜21−5の液晶ギャップの合計がd2であり、5個の液晶パネル21−6〜21−10の液晶ギャップの合計がd1である。強度比Iは、以下の式(3)で表され、リタデーションReは、以下の式(4)で表される。
I=sin2(π・Re/λ) ・・・(3)
Re=Δn1・d1+Δn2・d2 ・・・(4)
本実施形態のように、電圧が印加される液晶パネルと、電圧が印加されない液晶パネルとがそれぞれ5個ずつ積層されている場合、電圧が印加される液晶パネルと、電圧が印加されない液晶パネルとの両方が影響したデータが得られる。
電圧が印加されない液晶パネルの屈折率異方性Δn1は一定の値として考えることができる。従って、リタデーションRe、Δn1、d1、d2は既知の値であることから、Δn2の値が算出される。
偏向角検出部14は、屈折率異方性Δn1、Δn2、全液晶パネルの液晶ギャップの合計dを用いて、偏向角θ´を算出する。偏向角θ´は、以下の式(5)で表される。
θ´=asin((Δn1・d−Δn2・d)/W) ・・・(5)
本実施形態では、ずらしピッチが5μm、積層される液晶パネルの数が10であるので、屈折率変化の周期幅Wは、50μmである。上記の計算式では、偏向角θ´の絶対値が算出され、左右どちらに偏向しているかは、電極28と電極29とのどちらに電圧を印加しているかで判定できる。すなわち、図7に示すように、電極29に電圧V1を印加している場合は、左側に偏向する。図8に示すように、電極28に電圧V1を印加している場合は、右側に偏向する。この判定動作は、例えば偏向角制御部15によって行われる。
図10は、距離測定装置10の偏向角検出動作を説明するフローチャートである。
偏向角制御部15は、偏向素子13の投光領域22から、所望の偏向角θでレーザー光を投光する(ステップS100)。具体的には、偏向角制御部15は、偏向角θになるように、偏向素子13の電極28、29、31、33の電圧を制御する。
続いて、角度検出光源12は、偏向素子13の検出領域23に向けて、レーザー光を出射する(ステップS101)。
続いて、偏向角検出部14は、偏向素子13の検出領域23から出射されるレーザー光を検出する(ステップS102)。続いて、偏向角検出部14は、ステップS102で検出されたレーザー光を用いて、偏向角θ´を算出する(ステップS103)。偏向角θ´の算出方法は、前述した通りである。
続いて、距離演算部18は、ステップS103で算出された偏向角θ´を用いて、対象物2までの距離を算出する(ステップS104)。これにより、距離測定装置10は、より正確な偏向角θ´を用いて、距離算出動作を実行することができる。
[3] 変形例
次に、偏向角検出動作の変形例について説明する。図11は、変形例に係る距離測定装置10の偏向角検出動作を説明するフローチャートである。図11のステップS200〜S203は、図10のステップS100〜S103と同じである。
続いて、偏向角制御部15は、ステップS203で算出された偏向角θ´を用いて、偏向素子13の投光領域22におけるレーザー光の偏向角θを調整する(ステップS204)。具体的には、偏向角制御部15は、偏向素子13の投光領域22における偏向角θが、ステップS203で算出された偏向角θ´と概略同じになるように、偏向素子13の電極28、29、31、33の電圧を調整する。
続いて、距離演算部18は、ステップS203で算出された偏向角θ´を用いて、対象物2までの距離を算出する(ステップS205)。
変形例によれば、所望の偏向角θでレーザー光を出射することができる。
[4] 第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、距離測定装置10は、第1光線(レーザー光)を出射する投光素子11と、第2光線を出射する角度検出光源12と、第1光線を受ける投光領域22と、第2光線を受ける検出領域23とを有し、第1光線を偏向させる偏向素子13と、検出領域23を透過した光を検出する偏向角検出部14と、偏向素子13の動作を制御する偏向角制御部15とを備える。偏向素子13は、積層された複数の液晶パネル21と、検出領域23において複数の液晶パネル21を挟み、互いの透過軸が交差する偏光板35、36とを備える。複数の液晶パネル21は、投光領域22において、逆階段状に幅が異なる複数の電極28と、階段状に幅が異なる複数の電極28とを備え、検出領域23において、複数の電極31を備える。偏向角制御部15は、偏向素子13の投光領域22に屈折率の勾配を形成するとともに、複数の電極31の一部に、電極28と同じ電圧を印加し、複数の電極31の他の一部に、電極29と同じ電圧を印加する。そして、偏向角検出部14は、検出した光の強度を用いて、投光領域22を透過する光の偏向角を算出するようにしている。
従って第1実施形態によれば、投光領域22から投光されたレーザー光の偏向角を取得することができる。そして、この取得した偏向角を用いて、対象物までの距離を算出することができる。これにより、より高い精度で距離を測定できる距離測定装置10を実現できる。
また、偏向角検出部14によって算出された偏向角θ´をフィードバックし、投光領域22から投光されるレーザー光の偏向角θを調整するようにしている。これにより、所望の偏向角θで偏向素子13を動作させることができる。
また、投光素子11から出射されたレーザー光をビームスプリッター12Aで分離し、一方のレーザー光を投光領域22に入射させ、他方のレーザー光を検出領域23に入射するようにしている。これにより、1つのレーザー光源を用いて、偏向動作と、偏向角の検出動作とを実現できる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、偏向素子13の検出領域23の他の構成例である。
[1] 距離測定装置10の構成
図12は、本発明の第2実施形態に係る偏向素子13の模式的な断面図である。図13は、1つの液晶パネル21の平面図である。図14は、図13のA−A´線に沿った液晶パネル21の断面図である。偏向素子13の投光領域22の構成は、第1実施形態と同じである。
液晶パネル21−1〜21−10の各々は、電極31A、31Bを備える。電極31A、31Bは、検出領域23における基板24の液晶層26側に設けられ、Y方向に延びる。電極31A、31Bの幅は、任意に設定可能である。例えば、電極31A、31Bの各々の幅は、検出領域23に入射する2本のレーザー光のうち1つの幅より大きく設定される。
液晶パネル21−1〜21−10に含まれる全ての電極31Aは、信号線SL1に共通接続される。液晶パネル21−1〜21−10に含まれる全ての電極31Bは、信号線SL2に共通接続される。信号線SL1には、投光領域22の電極28と同じ電圧が印加される。すなわち、液晶パネル21−1〜21−10に含まれる全ての電極31Aには、電極28と同じ電圧が印加される。信号線SL2には、投光領域22の電極29と同じ電圧が印加される。すなわち、液晶パネル21−1〜21−10に含まれる全ての電極31Bには、電極29と同じ電圧が印加される。
なお、信号線SL1及び信号線SL2に印加する電圧は、上記例と逆でもよい。すなわち、信号線SL1に、電極28と同じ電圧を印加し、信号線SL2に、電極29と同じ電圧を印加してもよい。
偏光板36の液晶パネル21−10と反対側には、所定の間隔を空けて、偏向角検出部14に含まれる受光素子14A、14Bが設けられる。受光素子14Aは、偏向素子13の検出領域23のうち左側の領域(電極31Aが設けられた領域)から出射するレーザー光を受光する。受光素子14Bは、偏向素子13の検出領域23のうち右側の領域(電極31Bが設けられた領域)から出射するレーザー光を受光する。
(角度検出光源12の構成)
次に、角度検出光源12の構成について説明する。本実施形態では、角度検出光源12として、投光素子11の光を利用する構成例を説明する。
図12に示すように、角度検出光源12は、ビームスプリッター12Cをさらに備える。ビームスプリッター12Cは、ビームスプリッター12Aからの光を、偏向素子13に直交する方向の光と、偏向素子13に平行な方向の光とに分離する。偏向素子13に直交する方向の光は、そのまま直進して偏向素子13の検出領域23のうち左側の領域(電極31Aが設けられた領域)に入射する。偏向素子13に平行な方向の光は、ミラー12Bによって偏向素子13に直交する方向に反射される。ミラー12Bによって反射された光は、偏向素子13の検出領域23の右側の領域(電極31Bが設けられた領域)に入射する。
[2] 距離測定装置10の動作
次に、距離測定装置10の動作について説明する。図15は、距離測定装置10の偏向動作を説明する模式的な断面図である。図15は、レーザー光が右側に偏向される例である。
偏向角制御部15は、共通電極33に0Vを印加し、複数の電極28に電圧V1を印加し、複数の電極29に0Vを印加する。電圧V1が印加された液晶層は、屈折率が低くなり、電圧が印加されていない液晶層は、屈折率が高いままである。
偏向角制御部15は、信号線SL1を用いて、液晶パネル21−1〜21−10の検出領域23に配置された全ての電極31Aに、電極28と同じ電圧を印加する。また、偏向角制御部15は、信号線SL2を用いて、液晶パネル21−1〜21−10の検出領域23に配置された全ての電極31Bに、電極29と同じ電圧を印加する。これにより、偏向素子13の検出領域23のうち左側の領域では、液晶パネル21−1〜21−10の屈折率が低くなる。偏向素子13の検出領域23のうち右側の領域では、液晶パネル21−1〜21−10の屈折率が高くなる。
偏向素子13の検出領域23には、偏光板35によって偏光された2本のレーザー光が入射する。すなわち、偏向素子13の検出領域23には、液晶層に含まれる液晶分子の配向方向に対して斜めの偏光を持つレーザー光が入射する。偏向角検出部14は、偏向素子13の検出領域23のうち左側の領域と右側の領域とからそれぞれ出射する2本のレーザー光を検出する。
偏向素子13の検出領域23のうち左側の領域(電極31Aが設けられた領域)の強度比IA、偏向素子13の検出領域23のうち右側の領域(電極31Bが設けられた領域)の強度比IB、電極31Aの領域のリタデーションRA、電極31Bの領域のリタデーションRB、電極31Aの領域の屈折率異方性ΔnA、電極31Bの領域の屈折率異方性ΔnB、全液晶パネルの液晶ギャップの合計dとする。強度比IA、IBは、以下の式(6)、(7)で表され、リタデーションRA、RBは、以下の式(8)、(9)で表される。
IA=sin2(π・RA/λ) ・・・(6)
IB=sin2(π・RB/λ) ・・・(7)
RA=ΔnA・d ・・・(8)
RB=ΔnB・d ・・・(9)
偏向角検出部14は、屈折率異方性ΔnA、ΔnB、液晶ギャップの合計dを用いて、偏向角θ´を算出する。偏向角θ´は、以下の式(10)で表される。
θ´=asin((ΔnA・d−ΔnB・d)/W) ・・・(10)
上記の計算式では、偏向角θ´の絶対値が算出され、左右どちらに偏向しているかは、電極28と電極29どちらに電圧を印加しているかで判定できる。例えば、図15に示すように、電極28に電圧V1を印加している場合は、右側に偏向する。この判定動作は、例えば偏向角制御部15によって行われる。
[3] 第2実施形態の効果
以上詳述したように第2実施形態では、偏向素子13の検出領域23を2つの領域(電極31Aが設けられた領域、及び電極31Bが設けられた領域)に分割し、2つの領域の一方を用いて、屈折率が高い液晶層の強度比を検出し、2つの領域の他方を用いて、屈折率が低い液晶層の強度比を検出する。そして、得られた2つの強度比を用いて、偏向角θ´を算出するようにしている。
従って第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、投光領域22から投光されたレーザー光の偏向角を取得することができる。第2実施形態は、偏向を高速に行う、すなわち、液晶層を高速に駆動する場合により適している。
また、屈折率が高い液晶層の強度比と、屈折率が低い液晶層の強度比とをより正確に検出することができる。さらに、偏向角θ´を算出するための演算を簡略化できる。
なお、上記各実施形態では、偏向素子13の検出領域23において、複数の液晶パネル21に電圧V1を印加している。しかし、複数の液晶パネルの特性(及び/又は品質)が一定であれば、少なくとも1つの液晶パネルに電圧V1を印加するようにしてもよい。
なお、上記各実施形態では、1次元にレーザー光を走査する構成例を示している。勿論、2次元にレーザー光を走査することも可能である。2次元に走査する構成例は、X方向に走査する第1偏向素子と、X方向に直交するY方向に走査する第2偏向素子とを積層する。第2偏向素子は、第1偏向素子を90度回転させた構成を有する。そして、レーザー光をX方向に偏向させる場合には、第1偏向素子を使用し、レーザー光をY方向に偏向させる場合は、第2偏向素子を使用し、X方向に対して斜め方向に偏向させる場合は、第1偏向素子及び第2偏向素子を使用する。このような偏向素子を用いることで、レーザー光を2次元に走査することができる。
上記各実施形態では、距離測定装置が扱うレーザー光として赤外線レーザー光を用いている。しかし、これに限定されず、距離測定装置は、赤外線以外の光線にも適用可能である。
上記各実施形態では、車両に搭載される距離測定装置について説明している。しかし、これに限定されず、距離測定装置は、レーザー光を走査する機能を有する様々な電子機器に適用できる。
本明細書において、「平行」とは、完全に平行であることが好ましいが、必ずしも厳密に平行である必要はなく、本発明の効果に鑑みて実質的に平行と同視できるものを含み、また、製造プロセス上発生しうる誤差を含んでいてもよい。また、「垂直」とは、必ずしも厳密に垂直である必要はなく、本発明の効果に鑑みて実質的に垂直と同視できるものを含み、また、製造プロセス上発生しうる誤差を含んでいてもよい。
本明細書において、板やフィルムは、その部材を例示した表現であり、その構成に限定されるものではない。例えば、偏光板は、板状の部材に限定されるものではなく、明細書で記載した機能を有するフィルムやその他の部材であってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、これらの構成要素が削除された実施形態が発明として抽出されうる。