JP6931574B2 - 熱膨張係数測定装置、及び熱膨張係数測定方法 - Google Patents

熱膨張係数測定装置、及び熱膨張係数測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱膨張係数を測定する熱膨張係数測定装置、及び熱膨張係数測定方法に関する。
従来、物質の正確な熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion:以降、CTEと略す場合がある)を測定する熱膨張係数測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
CTEαは、被測定物の標準温度における長さ寸法をL、標準温度からの温度変化量(測定時の温度−標準温度)をΔT、被測定物の温度を標準温度からΔTだけ変化させた際の長さ寸法の変化量(熱膨張量)をΔLとして、次式(1)により求められる。
Figure 0006931574
式(1)において、ΔL/Lは、10−5オーダーとなるため、ΔL/Lの値の精度を上げるためには、ΔLの精度が重要となる。高精度にCTEαを求めるためには、温度変化量ΔT及び熱膨張量ΔLを精度良く測定する必要がある。このうち、温度変化量ΔTは、工業用の高精度温度計を用いることで、十分な精度を満足することができる。
一方、熱膨張量ΔLは、例えばマイケルソン干渉計やトワイマングリーン干渉計等の光波干渉計を用いることができる。このような光波干渉計を用いる場合、例えば特許文献1に記載のように、独立に得られた複数回の被測定対象の絶対寸法測定データから間接的に熱膨張量ΔLを求める。
特許第3897655号公報
ところで、光波干渉計を用いた絶対寸法測定では、次式(2)により被測定物の長さ寸法が与えられる。
Figure 0006931574
式(2)において、Nは干渉次数(整数)であり、εは端数である。光波干渉計により実測される値は端数εのみであり、測定に使用する光の半波長以下の範囲となる。一方、干渉次数Nは、寸法の予備値を用いて推定する。この際、干渉次数Nの決定を誤ると、半波長の整数倍単位で値がオフセットされることになる。
CTEを算出するためには、温度と長さ寸法との測定を、被測定物の温度を変化させて複数回繰り返して取得して一次近似関数を算出し、その傾きからCTEを求める。ここで、以降の説明において、温度と長さ寸法との測定を実施した際の1つの測定データ(温度,長さ寸法)とし、被測定物の温度を変えて複数回の測定を実施した際の一連のデータ群を実測データセットとする。
図18は、干渉次数Nが正しい値であった場合に得られる実測データセットの一例であり、図19は、干渉次数Nの決定を一部誤った場合に得られる実測データセットの一例である。
図18,19では、20±Δt℃の7温度で測定した実測データセットの一例である。図18に示すように、干渉次数Nに誤りがない場合では、各データから得られる一次近似関数は、被測定物の温度と長さ寸法の本来の関係となる。式(1)から一次近似関数の傾き(ΔL/ΔT)を被測定物の長さ寸法Lで除算することでCTEαが得られる。
一方、図19は、温度20−Δt℃に対する長さ寸法の測定において、干渉次数Nを本来の値よりも小さく決定され、温度20+Δt℃に対する長さ寸法の測定において、干渉次数Nを本体の値よりも大きく決定された場合の例である。図19の例では、干渉次数Nが誤って決定されることで、CTEαが本体の値よりも大きい値として算出されることになる。
上記のような干渉次数Nは、光波干渉計を用いた被測定物の寸法の予備測定により得られた予備測定値に基づいて推算される。ここで、光波干渉計において単一波長の光源を用いた場合では、被測定物の寸法の真値に対して、半波長以下の精度で予備測定値が求められている必要がある。例えば、波長633nmのレーザ光を用いる場合では、被測定物の寸法の真値に対して許容幅で約300nm以下の精度の予備測定値が必要となり、要求される精度が厳しい値となり、干渉次数Nの決定を誤る確率が高くなる。
これに対して、予備値の許容範囲を拡大するために、複数波長の光源を用いた合致法が利用されることがある。例えば633nmのレーザ光と、543nmのレーザ光の2波長の光源を用いる場合、被測定物の寸法の真値に対して、1.9μmまで許容幅を拡大できる。しかしながら、この場合、複数波長の光のそれぞれに対応する光源が必要となる。すなわち、複数の光源の用意に係るコストアップとともに、波長校正等の定期メンテナンスも複数台分必要となり、管理に係るコストアップにもつながる。
また、一つの光源が故障し、代替機が直ちに用意できない場合は、単一波長の光のみを用いた測定を行う必要があり、この場合、上記のように、干渉次数Nの決定を誤る確率が高くなる。或いは、測定精度を高めるために、代替機を準備するまでの間、測定を中止する必要がある。
本発明は、以上のような課題に鑑み、継続的に精度の高い測定を実施できる熱膨張係数測定装置、及び熱膨張係数測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る熱膨張測定装置は、被測定物の温度を検出する温度検出部と、単一波長の光を用いて前記被測定物の長さ寸法を測定する光波干渉計と、前記被測定物の温度を順次変更し、各温度Ti(i=1〜k)において前記光波干渉計により測定される前記被測定物の長さ寸法の実測データLiを取得する実測データ取得部と、各前記実測データLiに対して、干渉次数を任意の範囲で設定した複数の検証用データDiを生成し、i=1〜kの各温度Tiに対する前記検証用データDiからそれぞれ1つの前記検証用データDiを選び出してデータセットとし、前記検証用データDiの選択の組合せがそれぞれ異なる複数の前記データセットを生成するデータセット生成部と、複数の前記データセットのそれぞれについて、次数がそれぞれ異なる複数の近似関数を導出し、前記データセットの各前記検証用データDiと前記近似関数との差に基づく評価指標値を前記近似関数毎に算出し、複数の前記データセットから前記評価指標値が最小となる候補データセットを抽出して、各前記近似関数に対して抽出された前記候補データセットが同一であるか否かに基づいて前記候補データセットの妥当性を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
本発明では、各温度Tiに対するそれぞれの実測データLiにおいて、干渉次数を任意の範囲で設定(変更)した検証用データDiを生成し、各温度Tiに対して1つの検証用データDiを選択してデータセットを生成し、当該データセットを検証用データDiの全ての組合せ分生成する。そして、それぞれのデータセットに対して、次数が異なる複数の近似関数(例えば、一次近似関数と二次近似関数等)を算出して、各近似関数とデータセットに含まれる各検証用データDiとの差(残差)に基づいた評価指標値が最小となる候補データセットを、近似関数毎に抽出する。そして、これらの候補データセットが各近似関数で同じデータセットであるか否かを判定する。
本発明では、検証用データDiと近似関数との差に基づいた評価指標値を比較することで、実測データLiが真値に対して正しいか否か、また、どのデータセットが真値に近い検証用データDiを有し、CTEの測定(算出)に適切であるかを判定することができる。
例えば、複数の実測データLiの幾つかにおいて干渉次数を誤って決定していた場合、その実測データLiを検証用データDiとしたデータセットでは、幾つかの検証用データDiと近似関数との差も大きくなる。これに対して、検証用データセット群(生成されたデータセット)のうち、評価指標値がより小さいものが含まれていれば、これは、近似関数との差が小さい、つまり、各検証用データDiが図18に示すような関係となり、各温度Tiに対して正しい長さ寸法となっている可能性が高い。本発明では、各データセットの評価指標値を算出することで、実測データLiが被測定対象の各温度Tiにおける長さ寸法の真値となるデータであるか否かを検証することができ、CTE測定の信頼性を高めることができる。
また、検証用データセット群から、CTEを算出するために最も適したデータセットを絞り込むことができ、当該データセットに基づいてCTEを精度良く算出することができる。つまり、干渉次数の決定の誤りにより、実測データLiに誤差が有る場合でも、正しいCTEに補正することができる。
そして、このような構成では、複数の光源を有していない(つまり、干渉次数Nの決定に不安要素がある)光波干渉計においても、CTEの測定精度を向上させることができる。また、複数の光源を用いる必要がないので、装置のコストダウンを図れ、かつ、1つの光源に対するメンテナンスを実施すればよいので、管理にかかるコストダウンをも図ることができる。
ところで、被測定物によっては、熱膨張量と温度との関係が一次近似関数とはならず、二次以上の多項式近似関数となるものが存在する。このような被測定物では、干渉次数に誤りがなく、かつ測定誤差もない理想的な実測データであっても、一次近似関数と各検証用データDiとの残差が生じ、評価指標値が大きくなる。
この際、各データセットから、二次以上の多項式近似関数で近似し、各検証用データDiと当該近似関数との残差を評価する方法が考えられる。しかしながら、実測データLiには、ばらつきが含まれており、二次以上の多項式近似関数で近似した場合に一次近似関数よりも残差を小さくできるとは必ずしも言えない。
このような実測データLiのばらつきは、例えば光波干渉計の光路中の空気の揺らぎ等によって空気屈折率が変動することで生じる。このような測定環境の変化によるばらつきに対して、例えば温度、気圧、湿度、二酸化炭素濃度を測定して空気屈折率を算出して補正することが考えられるが、これらのパラメータは測定中においても変動する場合がある。また、測定環境を維持するために、例えば、真空ポンプや真空チャンバーに光波干渉計を配置することも考えられるが、この場合、装置が大型化し、かつ、装置コストも高くなる。
そこで、本発明では、判定部は、各データセットに対して次数が異なる複数の近似関数を導出し、各近似関数に対して評価指標値が最小となる候補データセットを抽出する。そして、各近似関数に対して抽出された候補データセットが同一のデータセットであるか否かを判定する。
データセットに含まれる各検証用データDiが正しいデータである場合、近似方法によらず、各近似関数で評価指標値が最小となる第一位の候補データセットとなり、異なる場合は、データセットに含まれる検証用データDiが誤っている、すなわち、CTEの算出に適さないデータセットである。
本発明では、上記のように、各近似関数に対する評価指標値に基づいた候補データセットが同一であるか否かを判定する。したがって、候補データセットが正確なCTEを算出するための正しいデータセットであるか否かを判定することができ、精度の高いCTEを求めることができる。また、真空ポンプや真空チャンバー等の装置が不要であるため、装置の大型化や装置コストを抑制できる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、複数の前記データセットのそれぞれについて熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出部を備え、前記判定部は、算出された前記熱膨張係数が予め設定された第一許容範囲の範囲外となる前記データセットを除外することが好ましい。
本発明では、被測定物のCTEが概略既知である場合に、予めCTEの許容範囲(第一許容範囲)を設定しておき、その範囲を超えるデータセットを除外する。これによって、有りえないCTEが算出されるデータセットを候補から外すことができ、迅速かつ安定してデータセットの妥当性の判定、すなわち、CTEの算出に適したデータセットの絞り込みを行うことができる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記判定部は、各前記データセットの前記検証用データDiと前記近似関数との差の代表値を前記評価指標値とし、前記評価指標値が最小となる前記データセットの妥当性を判定することが好ましい。
本発明では、判定部は、各データセットの検証用データと各近似関数との差(残差)の代表値を評価指標値として算出する。代表値としては、例えば最大値や平均値、二乗平均平方根等を用いることができる。この場合、評価指標値が小さいと、各検証用データの値が近似関数に近いことを示し、各温度における被測定物の長さ寸法の真値に近い、つまり、干渉次数が誤っている確率が低いことを示す。したがって、評価指標値が最小となるデータセットの妥当性を判定することで、CTEを算出するために相応しいデータセットを絞り込むことができる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記判定部は、前記評価指標値が最小となる前記データセットの前記評価指標値が、予め設定された第二許容範囲の範囲内であるか否かを判定することが好ましい。
評価指標値が第二許容範囲の範囲外である場合は、最小の評価指標値のデータセットであったとしても、被測定物の長さ寸法の真値に対して、実測データが誤った値である可能性が高い。これに対し、本発明では、評価指標値が第二許容範囲であるか否かを判定する。これにより、誤ったデータに基づいてCTEが算出される不都合を抑制できる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記判定部は、前記評価指標値が最小となる前記データセットの前記評価指標値と、前記評価指標値が2番目に小さい前記データセットの前記評価指標値との差分値が、所定値以上であるか否かを判定してもよい。
評価指標値が最小となる第1のデータセットと、評価指標値が2番目に小さい第2のデータセットとを比較し、評価指標値の差分値が小さい場合、第1のデータセットと第2のデータセットとのどちらが正解であるか否かの判定は困難となる。これに対して、本発明では、第1のデータセットと、第2のデータセットとの評価指標値の差分値が所定値以上であるか否かを判定するため、誤ったデータに基づいてCTEが算出される不都合を抑制できる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記干渉次数の範囲を取得する次数範囲取得部を備え、前記データセット生成部は、前記次数範囲取得部で取得した前記干渉次数の範囲内で前記干渉次数を設定した前記検証用データDiを生成することが好ましい。
本発明では、次数範囲取得部により取得された範囲で、各検証用データを生成する際の干渉次数の増減範囲が設定される。つまり、ユーザにより干渉次数の増減範囲を任意に設定することが可能となる。干渉次数を増減させる範囲を大きくすると、検証用データセット群におけるデータセットの数が増大し、小さくすると減少する。したがって、迅速にCTE測定処理を実施したい場合や、被測定物のCTEが概略既知である場合は、干渉次数を変化させる範囲を小さくすることができる。また、被測定物のCTEが未知である場合等では、干渉次数を変化させる範囲を大きくすることもでき、これにより、傾きΔL/ΔTが大きい場合でも、精度の高いCTEの測定を実施することができる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記データセット生成部は、任意の1つの温度Tfに対する実測データLfの前記干渉次数を固定して検証用データDfとし、それ以外の前記実測データLiについて、前記干渉次数を前記任意の範囲で設定した前記検証用データDiを算出することが好ましい。
上述したような熱膨張係数測定装置では、例えば、各温度Tiの実測データLiから干渉次数を同じ数だけ増加(又は減少)させた検証用データDiを含むデータセットは、実質的にデータセットの平行シフトとなる。つまり、傾き(ΔL/ΔT)が同一となる複数のデータセットが発生する。このようなデータセットでは、評価指標値(残差)が同じであり、算出されるCTEも同じとなるので、評価指標値の小さい順にデータセットを並び替えて絞り込む際に、複数のデータセットが同一順位に並ぶ場合がある。しかしながら、正確なCTEに対するデータセットを特定する上で、このような重複したデータセットの存在は好ましくなく、計算処理の負荷増大にも繋がる。
これに対して、本発明では、検証用データDiを生成する際に、複数の温度Tiのうちの1つの温度(固定温度Tf)に対する実測データLfに対して干渉次数を固定し、その他の温度に対する実測データLiに対して干渉次数を前記範囲内で設定した検証用データDiを生成する。すなわち、全てのデータセットにおいて、固定温度Tfでの検証用データDfは、必ず実測データLfとなる。この場合、上述のような評価指標値が同じとなるデータセットの発生を防止することができる。
本発明の熱膨張係数測定装置において、前記実測データ取得部は、前記被測定物の温度の温度変化量を不等間隔で変化させた際の前記実測データLiを取得することが好ましい。
温度変化量が等間隔である場合、特定の干渉次数の変化パターンにおいて、評価指標値が同じデータセットが生じる場合がある。例えば、干渉次数を変更していないデータセットと、干渉次数を順次1ずつ増加させたデータセットとで、CTEが大きく変わるにもかかわらず、評価指標値が同じ値となる場合がある。これに対して、本発明では、温度変化量を不等間隔とすることで、上記のような特定の干渉次数の変化パターンに対して、異なる評価指標値が算出されることになり、CTEの算出に適したデータセットを精度良く絞り込むことができる。
本発明の熱膨張係数測定方法は、被測定物の熱膨張係数を測定する熱膨張係数測定方法であって、前記被測定物の温度を順次変更し、各温度Ti(i=1〜n)における前記被測定物の長さ寸法を単一波長の光を用いた光波干渉計により測定した際に得られる各温度Tiに対する実測データLiを取得するステップと、各前記実測データLiに対して、干渉次数を任意の範囲で設定した複数の検証用データDiを生成し、i=1〜kの各温度Tiに対する前記検証用データDiからそれぞれ1つの前記検証用データDiを選び出してデータセットとし、前記検証用データDiの選択の組合せがそれぞれ異なる複数の前記データセットを生成するステップと、複数の前記データセットのそれぞれについて、次数がそれぞれ異なる複数の近似関数を導出し、前記データセットの各前記検証用データDiと前記近似関数との差に基づく評価指標値を前記近似関数毎に算出し、複数の前記データセットから前記評価指標値が最小となる候補データセットを抽出して、各前記近似関数に対して抽出された前記候補データセットが同一であるか否かに基づいて前記候補データセットの妥当性を判定するステップとを実施することを特徴とする。
本発明では、上述した発明と同様、実測データLiが被測定物の真値に対して正しい値であるか否かを判定することができる。また、検証用データセット群から、CTEを算出するために用いるデータセットの候補を絞り込むことができ、実測データLiに干渉次数の誤りが有る場合でも、正しいCTEに補正することができる。
さらに、複数の光源を有していない(つまり、干渉次数Nの決定に不安要素がある)光波干渉計に用いる場合でも、CTEの測定精度を向上させることができる。さらには、複数の光源を用いる必要がなく、かつ、1つの光源に対するメンテナンスを実施すればよいので、装置に係るコストダウン、及び管理にかかるコストダウンを図ることができる。
これに加え、実測データにばらつきがある場合であっても、測定環境における多種のパラメータを測定したり、真空チャンバー等の装置を用いたりすることなく、候補データセットが正しいデータセットであるか否かを判定することができる。
第一実施形態の熱膨張係数測定装置の概略構成を示す概念図。 第一実施形態の温度制御装置の一例を示す概略図。 第一実施形態の演算部の機能構成を示すブロック図。 第一実施形態における検証用データセット群の一例を示す図。 一次近似関数と検証量データとの残差の算出を説明するための図。 二次近似関数と検証量データとの残差の算出を説明するための図。 第一実施形態における熱膨張係数測定方法を示すフローチャート。 実測データセットAに対して導出される一次近似関数及び二次近似関数の一例を示す図。 別の実測データセットBに対して導出される一次近似関数及び二次近似関数の一例を示す図。 評価指標値及びCTEが同一となるデータセットの一例を示す図。 第二実施形態におけるデータセットの一例を示す図。 CTEが異なり評価指標値が略同一となるデータセットの一例を示す図。 図12のデータセットA,Bの各検証用データ及び一次近似関数を拡大した図。 図12のデータセットA,Bにおける残差を示す図。 第三実施形態において取得される実測データに基づいて生成されたデータセットの一例。 図15のデータセットA,Bの各検証用データ及び一次近似関数を拡大した図。 図15のデータセットA,Bにおける残差を示す図。 干渉次数が正しい値であった場合に得られる実測データセットの一例を示す図。 干渉次数の決定を一部誤った場合に得られる実測データセットの一例を示す図。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態の熱膨張係数測定装置について説明する
図1は、第一実施形態の熱膨張係数測定装置1の概略構成を示す概念図である。
図1に示すように、熱膨張係数測定装置1は、光波干渉計2と、温度制御装置3と、制御装置4とを備えて構成されている。
[温度制御装置3の構成]
図2は、温度制御装置3の一例を示す概略図である。
温度制御装置3は、本発明の温度検出部に相当し、図2に示すように、被測定物Wを収容する可変温度槽31を有する。当該可変温度槽31は、壁部が断熱材又は断熱層により構成されている。可変温度槽31の内部には、均熱プレートにより構成された載置台32が設けられ、この載置台32の上面(載置面321)は、被測定物Wが載置可能な例えば平面形状に形成されている。
また、載置台32には、載置面321と、光波干渉計2から入力される光の進行方向(X軸)とに対して直交する基準平面322が設けられている。被測定物Wは、例えば下面が載置面321に載置された梁部材によってエアリー点又はベッセル点において支持され、かつ、長さ測定方向の一端面W1が基準平面322に密着固定されるように載置台32に載置される。
基準平面322は、X方向に対して移動可能に設けられており、載置台32には、基準平面322を移動させ、その移動量を検出する移動制御機構323が設けられている。この移動制御機構323は、光波干渉計2に接続され、検出した移動量を光波干渉計2に出力する。
また、可変温度槽31の基準平面322に対向する位置には、レーザ光が入射される窓311が設けられている。この窓311は、例えばガラス等により構成され、光波干渉計2から出力されたレーザ光が通過する。
そして、載置台32には、ヒータ33、ヒータ33に接続される温度コントローラ34が設けられている。さらに、載置台32に載置される被測定物Wには、温度センサ35が設けられ、当該温度センサ35は、温度コントローラ34に接続されている。
これにより、被測定物Wの温度が温度センサ35により検出され、温度コントローラ34により、被測定物Wの温度が所望の温度となるようにヒータ33が駆動されて、被測定物Wが加熱される。
また、温度コントローラ34は、制御装置4に接続されており、温度センサ35により検出された被測定物Wの温度を制御装置4に出力する。
[光波干渉計2の構成]
光波干渉計2は、図1に示すように、レーザ光源21と、ビームスプリッタ22と、反射ミラー23と、受光部24と、計測制御部25と、を備えて構成されている。
レーザ光源21は、単一波長λのレーザ光を出力する。レーザ光源21としては、例えば、λ=633nmのレーザ光を出力する波長安定化He−Neレーザ光源等を例示できる。
ビームスプリッタ22は、レーザ光源21から出力されたレーザ光を被測定物Wの他端面W2に向かう測定光と、反射ミラー23に向かう参照光とに分離する。また、ビームスプリッタ22は、被測定物Wの他端面W2にて反射された測定光と、反射ミラー23により反射された参照光を合成して干渉光を生成する。同様に、ビームスプリッタ22は、レーザ光源21から出力されたレーザ光を被測定物Wの他端面W1に密着固定された基準平面322に向かう測定光と、反射ミラー23に向かう参照光とに分離する。また、ビームスプリッタ22は、基準平面322にて反射された測定光と、反射ミラー23により反射された参照光とを合成して干渉光を生成する。
反射ミラー23は、例えば被測定物Wに向かう方向に直交する方向に配置される。なお、反射ミラー23としては、ビームスプリッタ22との距離を可変可能な構成とし干渉縞を位相シフトして測定してもよい。
受光部24は、ビームスプリッタ22で合成された干渉光を受光し、光強度に応じた信号を計測制御部25に出力する。
計測制御部25は、レーザ光源21、受光部24、及び移動制御機構323に接続され、レーザ光源21におけるレーザ光の出力の制御や、予備測定値の推算、受光部24からの受光信号に基づいた測長処理等を実施する。
この計測制御部25は、上述した式(2)に基づいて、被測定物Wの長さ寸法L(実測データLi=(λ/2)×(N+ε))を測定し、制御装置4に出力する。
上述したように、光波干渉計2により受光部24から出力される信号に基づいて測定される値は、端数εの値である。
干渉次数Nは、予備測定を実施することで、推算される。例えば、移動制御機構323により基準平面322を被測定物Wの一端面W1及び他端面W2のそれぞれに対応する位置に移動させて白色光の干渉を生じさせる。そして、一端面W1及び他端面W2の間の距離(移動量)を、被測定物Wの予備測定値L´として予備測定を実施する。この後、計測制御部25は、予備測定値L´をλ/2で除算してその整数部分を求めることで、干渉次数Nを推算する。
そして、計測制御部25は、上記の様に予備測定により推算された干渉次数Nと、被測定物Wに対する測定により得られた端数εとを用い、式(2)に基づいて被測定物Wの長さ寸法を測定し、実測データLiとして制御装置4に出力する。
[制御装置4の構成]
制御装置4は、例えば、パーソナルコンピューター等のコンピューターにより構成されており、図1に示すように、表示部41と、入力部42と、メモリ43と、演算部44と、を備えて構成される。
表示部41は、測定結果等を表示させるディスプレイである。
入力部42は、例えばマウスやキーボード等の入力機器であり、ユーザの入力操作に応じた操作信号を演算部44に出力する。
メモリ43は、熱膨張係数測定装置1を制御する各種データや、各種プログラムが記憶されている。
図3は、演算部44の機能構成を示すブロック図である。
演算部44は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路や、記憶回路等により構成されており、メモリ43に記憶されている各種プログラムを読み込み実行することで、各種処理を実施する。具体的には、演算部44は、各種プログラムとの協働により、図3に示すように、実測データ取得部441、次数範囲取得部442、データセット生成部443、判定部444等として機能する。
実測データ取得部441は、温度制御装置3(温度コントローラ34)から入力される被測定物Wの温度Ti、及び当該温度Tiにおける光波干渉計2から入力される被測定物Wの長さ寸法(実測データLi)を取得する。本実施形態では、被測定温度の温度Ti(i=1〜k)を順次変更し、各温度Tiにおける被測定物Wの長さ寸法(実測データLi)を測定するので、各温度Tiに対するそれぞれの実測データLiが得られる。これらの実測データLiを実測データセットと称する。
次数範囲取得部442は、入力部42からの操作信号に基づいて、後述する検証用データDiを生成する際の干渉次数の増減範囲を取得する。
データセット生成部443は、実測データセットの各実測データLiに対して、式(2)の干渉次数Nを増減させた検証用データDiを生成する。
干渉次数Nの増減範囲は、入力部42の操作によりユーザが任意に設定することができる。次数範囲取得部442が干渉次数Nの範囲を取得していない場合は、予め設定された範囲で干渉次数を増減させる。
例えば、干渉次数を±nで変化させる場合、式(2)の干渉次数Nに対して、干渉次数Nを増減させた干渉次数N´(N´=N−n,N−(n−1),N−(n−2)…N,…N+(n−2),N+(n−1),N+n)に設定して各検証用データDiを算出する。この場合、各温度Tiにおけるそれぞれの実測データLiに対して、それぞれm=2n+1個の検証用データDiが生成されることになる。
ここで、検証用データDiは、以下の式(3)により与えられる。
Figure 0006931574
よって、データセット生成部443は、各実測データLiを半波長単位で増減させることで容易に各検証用データを生成することができる。
また、データセット生成部443は、生成した検証用データDiの組み合わせを変更した検証用データセットを生成する。つまり、i=1〜kの各温度Tiに対する実測データLiを測定する場合、k個の実測データLiが得られ、各温度Tiの実測データLiに対して、それぞれ、m個の検証用データが得られるので、データセットの組合せ総数jはj=kとなる。以降、これらのデータセットの集まりを検証用データセット群と称す。
図4は、検証用データセット群の一例である。図4は、被測定物Wの温度を7段階で変化させ(k=7)、干渉次数を元の次数Nに対して±3で増減させる場合(n=3)の一例である。この場合、1つの実測データLiに対して7通りの検証用データDiが得られ、データセットの組合せ総数jは、j=7=823543通りとなる。
判定部444は、近似関数算出手段444A(近似関数算出部)、CTE算出手段444B(熱膨張係数算出部)、残差算出手段444C、順位付け手段444D、妥当性判定手段444Eを有する。
近似関数算出手段444Aは、各検証用データセットに含まれる検証用データDiから近似関数を導出する。なお、本実施形態では、各データセットに対して、一次近似関数及び二次近似関数の2つの近似関数を導出するが、これに限定されない。例えば、近似関数としては、二次近似関数と三次近似関数との2つの近似関数を導出してもよく、1次近似関数と二次近似関数と三次近似関数の3つの近似関数を導出してもよい。
CTE算出手段444Bは、上述した式(1)に基づいて、一次近似関数の傾き(ΔL/ΔT)を被測定物Wの長さ寸法L(実測データLi)で除算してCTEαを算出する。なお、ここでは、一次近似関数からCTEαを求める例を示すが、二次近似関数からCTEαを算出してもよい。この場合は、二次近似関数の基準温度(例えば20℃)における接線の傾き(ΔL/ΔT)を求め、当該傾き(ΔL/ΔT)に基づいてCTEαを算出すればよい。なお、近似関数として、三次近似関数等を用いる場合も同様であり、多項式近似関数の基準温度(例えば20℃)における接線の傾き(ΔL/ΔT)からCTEαを求めればよい。
残差算出手段444Cは、各近似関数と検証用データDiとの残差、及び残差の代表値(評価指標値)を算出する。
残差は、近似関数と各検証用データDiとの差により算出されてもよく、検証用データDiと近似関数との差に基づいて算出されてもよい。
図5は、本実施形態において、一次近似関数と検証用データDiとの残差の算出を説明するための図である。また、図6は、二次近似関数と検証用データDiとの残差の算出を説明するための図である。
本実施形態では、残差算出手段444Cは、図5に示すように、各温度Tiに対する検証用データDiと一次近似関数との差(残差Δs)をそれぞれ算出する。さらに、残差算出手段444Cは、図6に示すように、各温度Tiに対する検証用データDiと二次近似関数との差(残差Δs)をそれぞれ算出する。
そして、残差算出手段444Cは、これらの残差Δsにおける代表値を評価指標値sとして使用する。評価指標値sは、各近似関数に対してそれぞれ算出される。ここで、一次近似関数に対して算出された残差Δsの代表値を第一評価指標値s1、二次近似関数に対して算出された残差Δsの代表値を第二評価指標値s2とする。
また、評価指標値sとして使用する残差Δsの代表値は、例えば、残差Δsの絶対値の最大値を用いてもよく、各残差Δs又は各残差Δsの絶対値の平均値や二乗平均平方根を用いてもよい。
順位付け手段444Dは、評価指標値sが小さい順に各データセットを順位付けし、評価指標値sが最小となるデータセットを第1番候補データセットとする。この際、順位付け手段444Dは、算出されたCTEαが予め設定された第一許容範囲外である場合、当該CTEαに対応するデータセットを除外して、順位付けを行う。
妥当性判定手段444Eは、第1番候補データセットの妥当性を判定する。すなわち、評価指標値sが最小となる第1番候補データセットに対応するCTEαを採用することで、干渉次数Nの決定が誤った場合でも正しいCTEαに補正することができる。しかしながら、干渉次数N以外の他の要因によって発生したばらつきや誤差が重畳することもある。この場合、評価指標値sが最小であっても正しいCTEαに対応したデータセットでない可能性もある。
したがって、妥当性判定手段444Eは、第1番候補データセットの評価指標値sが、例えば、予め設定された第二許容範囲内であるか否かを判定することで、その妥当性を判定する。
[熱膨張係数測定方法]
次に、本実施形態の熱膨張係数測定方法について説明する。図7は、熱膨張係数測定方法を示すフローチャートである。
被測定物Wの熱膨張係数の測定では、被測定物Wの長さ寸法に対する干渉次数Nが予め予備測定により得られているものとする。この干渉次数Nは、上述したように、例えば、基準平面322を被測定物Wの長さ寸法に相当する移動量だけ移動させ、その移動量をレーザ光の半波長で除算した整数部分により得ることができる。
そして、被測定物Wの測定では、先ず、温度制御装置3により被測定物Wの温度Tiを順次変更しながら、各温度Tiにおける被測定物Wの実測データLiを光波干渉計2により測定する。得られた実測データLiは、メモリ43に記憶される(ステップS1)。
次に、実測データ取得部441は、メモリ43に記憶された一連の実測データLi(i=1〜k)を読み込む(ステップS2)。
そして、データセット生成部443は、読み出した実測データLiを元に、干渉次数Nを所定の範囲(±n)内で設定(変更)した検証用データDiを生成する。また、生成した検証用データDiから、各温度Tiに対して1つの検証用データDiを選択したデータセットを、全ての組み合せ分生成し、検証用データセット群とする(ステップS3)。
この後、判定部444の近似関数算出手段444Aは、各データセットに対して一次近似関数及び二次近似関数を導出し、また、CTE算出手段444Bは、各データセットに対してCTEαを式(1)に基づいて算出する(ステップS4)。CTEαの算出は、上述したように、二次近似関数の基準温度における接線の傾きから算出されてもよい。
さらに、残差算出手段444Cは、データセットに含まれる各検証用データDiの近似関数に対する残差Δsをそれぞれ算出し、その代表値をデータセットの評価指標値sとする(ステップS5)。ステップS5では、上述したように、一次近似関数と各検証用データDiとの残差Δs、及び二次近似関数と各検証用データDiとの残差Δsがそれぞれ算出され、一次近似関数に関して第一評価指標値s1が算出され、二次近似関数に関して第二評価指標値s2が算出される。
判定部444は、全組合せのデータセットに対してステップS4及びステップS5の処理が完了したか否かを判定し(ステップS6)、Noと判定された場合(完了していない場合)ステップS4に戻る。
ステップS6において、Yesと判定された場合、順位付け手段444Dは、各データセットを順位付けする(ステップS7)。
この際、ステップS4で算出されたCTEαが、第一許容範囲外である場合、当該データセットは順位付けの対象外とする。第一許容範囲は、被測定物WのCTEαが概略既知である場合に、当該概略既知のCTEαを中心とした所定範囲となり、被測定物Wの素材等によって、その範囲を拡大縮小することができる。当該第一許容範囲は、例えば、入力部42の操作によってユーザが設定入力することで得られてもよく、メモリ43に予め記憶されていてもよい。なお、被測定物Wの大凡のCTEαが不明である場合等では、データセットの除外処理を行うことなく、データセットの順位付けを行えばよい。
また、ステップS7では、評価指標値s(残差Δsの代表値)が最小となるデータセットを第1番候補データセットとして抽出する(絞り込む)。この際、近似関数毎に候補データセットを抽出する。例えば、本実施形態では、各データセットに対して、一次近似関数に対する評価指標値s1と、二次近似関数に対する評価指標値s2とが算出される。したがって、順位付け手段444Dは、評価指標値s1に基づく第1番候補データセットを一次近似の第1番候補データセットとし、評価指標値s2に基づく第1番候補データセットを二次近似の第1番候補データセットとして、それぞれ抽出する。
この後、妥当性判定手段444Eは、一次近似の第1番候補データセットと、二次近似の第1番候補データセットとが同一のデータセットであるか否かを判定する(ステップS8)。
図8は、実測データセットAに対して導出される一次近似関数及び二次近似関数の一例を示す図である。また、図9は、別の実測データセットBに対して導出される一次近似関数及び二次近似関数の一例を示す図である。
図8の実測データセットAは、各実測データLiに、測定環境によるばらつきがない場合の例である。このような場合、一次近似関数よりも二次近似関数の方が、残差Δsが小さくなる傾向がある。しかしながら、実際の測定においては、上述したように測定環境の変動等を要因とするばらつきが生じる。例えば、図9に示す実測データセットBは、測定環境により実測データLiにばらつきが生じた場合の実測データセットである。この場合、評価指標値sとして、残差Δsの平均値を用いた場合、一次近似関数に対する第一評価指標値s1はs1=0.8898となり、第二評価指標値s2はs2=0.9976857となり、s1<s2となる。
ここで、一次近似の第1番候補データセットと、二次近似の第1番候補データセットと、が異なるデータセットである場合、いずれのデータセットが正解であるかを判別することは困難である。上述したように、第一評価指標値s1と第二評価指標値s2とを比較して、必ずしも第二評価指標値s2が各検証用データDiに近い近似関数になると言えないからである。
したがって、ステップS8において、Noと判定された場合、本実施形態では、ステップS1に戻り、被測定物Wの長さ寸法の測定を再度実施する。
一方、ステップS8において、Yesと判定された場合、妥当性判定手段444Eは、第1番候補データセットの妥当性を判定する(ステップS9)。
妥当性判定手段444Eは、例えば第1番候補データセットの評価指標値s(第一評価指標値s1及び第二評価指標値s2)が、予め設定された第二許容範囲内であるか否かを判定する。第二許容範囲としては、例えば、求めるCTEαの精度によって任意に設定することができ、例えば入力部42から入力によりユーザが設定入力する。この場合、評価指標値sが第二許容範囲内である場合に、第1番候補データセットがCTEαの算出に適したデータセットであり、妥当であると判定する。
また、評価指標値sが最小となる第1番候補データセットと、評価指標値sが次に小さい第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値が、所定値以上であるか否かを判定してもよい。
すなわち、第1番候補データセットと、評価指標値sが2番目に小さい第2番候補データセットとにおいて、評価指標値sの差分値が小さい場合、他の要因によるばらつきや誤差の重畳によって、第2番候補データセットが正確なCTEαに対応するデータである可能性もある。よって、第1番候補データセット及び第2番候補データセットの評価指標値の差分値が所定値以上である場合は、第1番候補データセットは妥当であると判定する。
ここで、本実施形態では、一次近似の第1番候補データセットと第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値、及び、二次近似の第1番候補データセットと第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値のいずれか一方が、所定値以上であるか否かを判定すればよい。なお、一次近似関数の第1番候補データセット及び第2番候補データセットの評価指標値sの差分値と、二次近似関数の第1番候補データセット及び第2番候補データセットの評価指標値sの差分値と、の双方が所定値以上となっているか否かを判定してもよい。
なお、上記のような評価指標値sが第二許容範囲内であるか否かの判定、及び第1番候補データセットと第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値が所定値以上であるか否かの判定の双方を実施して妥当性を判定してもよい。
ステップS9においてNoと判定された場合、つまり、評価指標値sが第二許容範囲を超える場合や、第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値が所定値以内である場合、ステップS1に戻る。つまり、ステップS9において、Noと判定された場合、第1番候補データセットに対して算出されたCTEαに誤差が含まれている可能性が高い。従って、このような場合では実測データLiを再度測定し直すことが好ましい。
一方、ステップS9においてYesと判定された場合、第1番候補データセットに対して算出されたCTEαを、被測定物Wに対するCTEαとする。この場合、例えば表示部41に当該CTEαを熱膨張係数測定結果として表示させる(ステップS10)。なお、本実施形態では、一次近似関数により算出されるCTEαを採用する例を示すが、上述のように、二次近似関数の基準温度における接線の傾きから算出されるCTEαを採用してもよい。
以上により、本実施形態では、実測データにおいて、干渉次数Nの決定に誤りがあった場合でも、当該実測データに基づいたCTEαが、第1番候補データセットに基づいたCTEαに補正されることになり、精度の高いCTEαの測定が可能となる。
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、温度制御装置3により、被測定物Wの温度Tiを順次変更して、温度センサ35で被測定物Wの温度Tiを検出する。また、光波干渉計2により、各温度Tiにおける被測定物Wの長さ寸法 (実測データLi)を測定する。そして、制御装置4のデータセット生成部443は、各実測データLiの干渉次数Nを、所定の範囲(±n)に設定した複数の検証用データDiを生成し、各温度Tiに対して1つの検証用データDiを選択したデータセットを生成し、検証用データDiの組合せがそれぞれ異なる全組合せ分、当該データセットを生成する。この後、判定部444は、データセットに含まれる検証用データDiに基づいて、次数が異なる複数の近似関数を導出し、さらに、これらの近似関数と各検証用データDiとの残差Δsの代表値を評価指標値sとして、近似関数毎に算出する。そして判定部444は、複数の近似関数のそれぞれについて評価指標値sが最小となる第1番候補データセットを抽出し、これらの第1番候補データセットが同一であるか否かを判定する。
このような評価指標値sに基づいた妥当性の判定により、例えば、実測データLiより生成した検証用データDiから、各実測データLiが被測定物Wの長さ寸法の真値に対して正しく測定されているか否かを判定できる。また、実測データLiに干渉次数Nの決定ミスがあった場合でも、他のデータセットにおいて、評価指標値sがより小さいデータセットがあれば、当該データセットを第1番候補データセットとして絞り込むことができる。従って、実測データLiが誤っていた場合でも、第1番候補データセットの各検証用データDiに基づいてCTEαを精度良く算出することができる。すなわち、複数の光源を有していない単一波長の光源のみを有する(干渉次数Nの決定に不安要素がある)光波干渉計2を用いる場合でも、CTEαを高精度に測定することができる。
また、光波干渉計2において、複数の光源を用いる必要がないため、装置のコストダウン、メンテナンス等の管理に係るコストダウンを図ることができる。
また、評価指標値sが最小となる第1番候補データセットが各近似関数で異なる場合、いずれのデータセットが正解であるかを判別することは困難である。これに対して、本実施形態では、このような場合、被測定物Wの長さ寸法の測定を再度実施する。そして、評価指標値sが最小となる第1番候補データセットが各近似関数で同一である場合に、その第1番候補データセットの各検証用データDiに基づくCTEαを算出する。これにより、測定環境の変動により実測データLiにばらつきが生じた場合でも、精度の高いCTEを求めることができる。さらに、測定環境の変動を抑制するための構成(例えば真空ポンプや真空チャンバー等)が不要となり、構成の簡略化を図れ、装置コストの低減を図れる。
本実施形態では、判定部444は、検証用データセット群の各データセットに対するCTEαを算出し、CTEαが第一許容範囲の範囲外となるデータセットを除外する。
すなわち、被測定物WのCTEαが概略既知である場合に、当該CTEαを中心とした第一許容範囲を予め設定しておき、その範囲を超えるデータセットを除外する。これによって、有りえないCTEαが算出されるデータセットを候補から外すことができ、迅速かつ安定してデータセットの妥当性の判定を行うことができ、正しいCTEαを迅速に導き出すことができる。
本実施形態では、判定部444は、第1番候補データセットの評価指標値sが、第二許容範囲の範囲内であるか否かを判定し、第二許容範囲内である場合に当該データセットをCTEαの算出に用いるデータセットとする。また、第二許容範囲外である場合に、実測データLiを測定し直す。
第1番候補データセットの評価指標値sが、第二許容範囲外の場合、近似関数と検証用データDiとの差が大きく、正しい実測データLiが得られていない可能性が高い。このような場合、第1番候補データセットに基づいてCTEαを算出しても、正しいCTEαが算出される可能性が低くなる。これに対して、本実施形態では、このような場合に、実測データLiを再度測定し直す。これにより、精度の低いCTEαが算出される不都合を抑制できる。
本実施形態では、判定部444は、第1番候補データセットと第2番候補データセットとの評価指標値sの差分値が所定値以内である場合に、実測データLiを測定し直す。つまり、第1番候補データセットと第2番候補データセットとの評価指標値sが近い値である場合、本来第2番候補データセットが正しいにもかかわらず、他のばらつき要因等によって評価指標値sが低くなり、第1番候補データセットと順位が入れ替わっていることも考えられる。このような場合、誤ったCTEαが算出される可能性がある。これに対して、本実施形態では、このような場合に、実測データLiを再度測定し直す。これにより、精度の低いCTEαが算出される不都合を抑制できる。
本実施形態では、制御装置4は、干渉次数の範囲を取得する次数範囲取得部442を備える。これにより、ユーザにより、干渉次数Nを任意の範囲で設定した検証用データDiを生成することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、複数のデータセットにおいて、評価指標値sやCTEが同一となるデートセットが存在する。図10は、評価指標値s及びCTEが同一となるデータセットの一例を示す図である。
具体的に説明すると、図10に示すように、データセットAに対して、各検証用データの干渉次数を同一数(例えば1)だけ減らしたデータセットBや、同一数(例えば1)だけ増やしたデータセットCは、データセットAを平行シフトさせたデータとなる。これらのデータセットB,Cは、一次近似関数の切片だけが異なり、傾き(ΔL/ΔT)がデータセットAと同一となるので、算出されるCTEαや評価指標値sも同一となる。
しかしながら、判定部444は、評価指標値sが小さい順に順位付けするため、同一順位となるデータセットが複数あることは、正しいデータセットを特定する際に、処理を不安定にさせるだけでなく、計算処理においても負荷が増大するため、好ましくない。
第二実施形態は、このような評価指標値sやCTEが重複するデータセットの発生を抑制するべく、データセット生成部443の処理が第一実施形態と相違している。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同符号を付し、その説明を省略する。
図11は、第二実施形態のデータセットの一例を示す図である。
本実施形態では、データセット生成部443では、ステップS3において、特定の温度(以降、固定温度Tfと称する)に対する実測データLfに対して、干渉次数Nを増減させた検証用データDfを生成しない。つまり、実測データLfについては、実測データLf(干渉次数N)に対応する1つの検証用データDfのみを用いる。
図11では、20℃を固定温度Tfとした例である。第一実施形態では、図10に示すように、傾き(ΔL/ΔT)、CTEα、評価指標値sが同一となるデータセットA,B,Cが生じる。これに対して、第二実施形態では、図11に示すように、各データセットの固定温度Tfに対する検証用データDfは、必ず1つとなる。従って、データセットA,B,Cの傾きが同一であっても、評価指標値sがそれぞれ異なる値となる。図11の例では、一次近似関数においても二次近似関数においても、データセットB,CがデータセットAよりも評価指標値sが大きくなる。
このため、順位付け手段444Dにより第1番候補データセットを絞り込む際に、データセットB,CがデータセットAと同一順位として選択されることがない。
これにより、複数のデータセットが、第1番候補データセットとして選択されることがなく、処理の安定化を図れ、計算負荷の増大も抑制することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。
上述した第一実施形態及び第二実施形態では、実測データLiの取得する温度間隔ΔTi(温度変化量)が等間隔となる例を示した。しかしながら、この場合、CTEαが異なるにもかかわらず、評価指標値sが略同一となるデータセットが存在する場合がある。
図12は、CTEが異なり評価指標値sが略同一となるデータセットの一例を示す図である。
具体的に説明すると、式(3)に示すように、各検証用データDiは、実測データLiに対して、半波長の整数倍を加減算した値となる。したがって、データセットA,B,Cにおいて1つの検証用データが同一であり、他の検証用データDiにおいて干渉次数Nが順次増加又は順次減少する場合のような特定のデータセットにおいて、評価指標値sが略同一となるデータセットが複数存在する場合がある。
例えば、図12に示すように、20−Δt℃から20+Δt℃までを、温度を等間隔で7回変化させて実測データLiを測定した場合を説明する。なお、この7点において、干渉次数Nの誤りがなく、実測データLiに基づいたデータセットAにおいて、正しいCTEαが算出されるものとする。
ここで、データセットBは、20℃において、データセットAと同一の干渉次数の検証用データD4(=L4)を含む。また、データセットBでは、20℃より高温において、20℃から離れるに従って干渉次数Nが順に+1、+2、+3となる(1ずつ増大する)検証用データDi(D5=L5+n×λ/2,D6=L6+2n×λ/2,D7=L7+3n×λ/2)が選択されている。また、20℃より低温において、20℃から離れるに従って干渉次数Nが順に−1、−2、−3となる(1ずつ減少する)検証用データDi(D3=L3−n×λ/2,D2=L2−2n×λ/2,D1=L1−3n×λ/2)が選択されている。なお、データセットCは、データセットBとは逆に、20℃より高温において、干渉次数Nが順次1ずつ減少し、20℃より低温において、干渉次数Nが順次1ずつ増大する検証用データを含む。
図13は、図12のデータセットA,Bの各検証用データDi及び一次近似関数を拡大した図であり、図14は、図12のデータセットA,Bにおける残差Δsを示す図である。
データセットBでは、図13に示すように、一次近似関数の傾き(ΔL/ΔT)は、データセットAとは異なる値となるので、算出されるCTEαも異なる値となる。しかしながら、図13及び図14に示すように、残差Δsは、データセットAと略同一値となる。したがって、順位付け手段444Dにより第1番候補データセットを絞り込む際に、データセットAと同一順位でデータセットBやデータセットCが絞り込まれる可能性があり、この場合、正しいCTEを特定できない。
これに対して、第三実施形態では、実測データLiの取得する温度間隔ΔTiが不等間隔となる。
図15は、第三実施形態において取得される実測データLiに基づいて生成されたデータセットの一例である。なお、図12と同様、データセットAは、実測データLiに対応する検証用データDiであり、実測データLiにおいて、干渉次数Nの誤りがなく、データセットAにより正しいCTEが算出されるものと仮定する。
第三実施形態では、ステップS1において、被測定物Wに対する各温度Tiの実測データLiを測定する際に、各温度Tiの温度間隔ΔTiを不等間隔に測定する。この間隔としては、特に限定されない。図15に示す例では、20℃を中心として、温度間隔ΔTiが対象となるように温度を変更しているが、1つのみの温度間隔ΔTiを他と異ならせてもよく、全ての温度間隔ΔTiを異ならせてもよい。また、1つの温度間隔を他と異ならせるよりも、複数の温度間隔ΔTiを異ならせる方が好ましく、全ての温度間隔ΔTiをそれぞれ異なる値とすることがより好ましい。
図16は、図15のデータセットA,Bの一部(20℃以上の部分)を拡大した図であり、図17は、図16における残差Δsを示す図である。
図15に示すように、データセットBは、20℃において、データセットAと同一の干渉次数の検証用データD4を含む。また、データセットBは、20℃より高温において、干渉次数Nを順次1ずつ増加させた検証用データD5〜D7を含む。
本実施形態では、図15に示すように、温度間隔が不等間隔となるので、温度設定の値と、与える次数変化の大きさが比例関係とはならない。したがって、図16に示すように、データセットAと、データセットBとでは、残差Δsが異なる値となる。
これにより、複数のデータセットが、第1番候補データセットとして選択されることがなく、処理の安定化を図れ、かつ、正しいデータセットを第1番候補データセットとして特定することができ、CTEαを高精度に算出することが可能となる。
なお、上記において一次近似関数について説明したが、2次以上の多項式近似関数においても同様である。
[変形例]
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、第一実施形態において、第1番候補データセットを絞り込んで、当該第1番候補データセットに基づいてCTEαを算出する例を示したが、実測データLiの妥当性のみを判定してもよい。例えば全ての実測データLiを含むデータセット(実測データセット)の評価指標値sよりも小さい評価指標値sを有するデータセットが有る場合、干渉次数Nの決定に誤りがある実測データLiが含まれると判定し、実測データの再測定を促す表示を表示部41に表示させてもよい。
第一実施形態において、ステップS4で全てのデータセットに対してCTEαを算出する例を示したが、これに限定されない。例えば、ステップS7で第一許容範囲外となるCTEαのデータセットの除外を行わない場合では、ステップS4においてCTEαの算出を行わず、近似関数の算出のみを実施してもよい。この場合、ステップS8及びステップS9においてYesと判定された場合に、第1番候補データセットに対するCTEαのみを算出すればよい。
また、第一実施形態において、ステップS4での近似関数の算出を行わず、先ず、各データセットに対するCTEαの算出のみを実施してもよい。この場合、算出したCTEαが第一許容範囲内であるか否かを判定し、CTEαが第一許容範囲内であるデータセットに対してのみ近似関数を算出してもよい。
ステップS7において、各データセットの順位付けを実施する際に、第1番候補データセットと、第2番候補データセットとを抽出すればよく、その他のデータセットにおける順位付けは実施しなくてもよい。また、ステップS9において、第1番候補データセットと、第2番候補データセットとにおける評価指標値sの差分値を用いた妥当性の判定を実施しない場合では、第1番候補データセットのみを絞り込めばよい。すなわち、検証用データセット群から、評価指標値sが最小となる候補データセットを抽出すればよく、他のデータセットに対する順位付けを実施しなくてもよい。
上記実施形態では、データセット生成部443によって検証用データDiを生成する際に、干渉次数Nを変更する範囲として±nを例示したが、これに限定されない。例えば、−n1から+n2(n1≠n2)の範囲で干渉次数Nを変更してもよい。
上記第一実施形態において、一次近似関数に基づいて算出されたCTEαを被測定物Wに対するCTEαとし、ステップS10にて出力する例を示したが、上述したように、二次近似関数等に基づいて算出されたCTEαであってもよい。
また、一次近似関数に対して算出される第一評価指標値s1と、二次近似関数に対して算出される第二評価指標値s2とを比較し、値が小さい方の近似関数に基づいてCTEαを算出してもよい。例えば、s1>s2である場合、二次近似関数の基準温度における接線の傾きからCTEαを算出し、s1<s2である場合は、一次近似関数の傾きからCTEαを算出する。
第二実施形態において、固定温度Tfに対して実測データLfの干渉次数Nを変更せず、必ず検証用データDfとして実測データLfを用いる例、第三実施形態において、温度を変更する間隔ΔTiを不等間隔とする例を示した。これに対して、第二実施形態のように、所定の固定温度Tfに対して、検証用データDfとして必ず実測データLfを用い、かつ、各温度Tiの温度間隔ΔTiを不等間隔としてもよい。
本発明は、ゲージブロック等の被測定物の熱膨張係数を光波干渉を用いて測定する熱膨張係数測定装置に利用できる。干渉計で使用する光源は1波長でも、2波長以上使用した場合でもどちらでも本発明を適用することができる。
1…熱膨張係数測定装置、2…光波干渉計、3…温度制御装置(温度検出部)、4…制御装置、21…レーザ光源、22…ビームスプリッタ、23…反射ミラー、24…受光部、25…計測制御部、32…載置台、33…ヒータ、34…温度コントローラ、35…温度センサ、43…メモリ、44…演算部、322…基準平面、323…移動制御機構、441…実測データ取得部、442…次数範囲取得部、443…データセット生成部、444…判定部、444A…近似関数算出手段、444B…CTE算出手段、444C…残差算出手段、444D…順位付け手段、444E…妥当性判定手段、W…被測定物。

Claims (9)

  1. 被測定物の温度を検出する温度検出部と、
    単一波長の光を用いて前記被測定物の長さ寸法を測定する光波干渉計と、
    前記被測定物の温度を順次変更し、各温度Ti(i=1〜k)において前記光波干渉計により測定される前記被測定物の長さ寸法の実測データLiを取得する実測データ取得部と、
    各前記実測データLiに対して、干渉次数を任意の範囲で設定した複数の検証用データDiを生成し、i=1〜kの各温度Tiに対する前記検証用データDiからそれぞれ1つの前記検証用データDiを選び出してデータセットとし、前記検証用データDiの選択の組合せがそれぞれ異なる複数の前記データセットを生成するデータセット生成部と、
    複数の前記データセットのそれぞれについて、次数がそれぞれ異なる複数の近似関数を導出し、前記データセットの各前記検証用データDiと前記近似関数との差に基づく評価指標値を前記近似関数毎に算出し、複数の前記データセットから前記評価指標値が最小となる候補データセットを抽出して、各前記近似関数に対して抽出された前記候補データセットが同一であるか否かに基づいて前記候補データセットの妥当性を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  2. 請求項1に記載の熱膨張係数測定装置において、
    複数の前記データセットのそれぞれについて熱膨張係数を算出する熱膨張係数算出部を備え、
    前記判定部は、算出された前記熱膨張係数が予め設定された第一許容範囲の範囲外となる前記データセットを除外する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記判定部は、各前記データセットの前記検証用データDiと前記近似関数との差の代表値を前記評価指標値とし、前記評価指標値が最小となる前記データセットの妥当性を判定する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  4. 請求項3に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記判定部は、前記評価指標値が最小となる前記データセットの前記評価指標値が、予め設定された第二許容範囲の範囲内であるか否かを判定する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  5. 請求項3に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記判定部は、前記評価指標値が最小となる前記データセットの前記評価指標値と、前記評価指標値が2番目に小さい前記データセットの前記評価指標値との差分値が、所定値以上であるか否かを判定する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記干渉次数の範囲を取得する次数範囲取得部を備え、
    前記データセット生成部は、前記次数範囲取得部で取得した前記干渉次数の範囲内で前記干渉次数を設定した前記検証用データDiを生成する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記データセット生成部は、任意の1つの温度Tfに対する実測データLfの前記干渉次数を固定して検証用データDfとし、それ以外の前記実測データLiについて、前記干渉次数を前記任意の範囲で設定した前記検証用データDiを算出する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱膨張係数測定装置において、
    前記実測データ取得部は、前記被測定物の温度の温度変化量を不等間隔で変化させた際の前記実測データLiを取得する
    ことを特徴とする熱膨張係数測定装置。
  9. 被測定物の熱膨張係数を測定する熱膨張係数測定方法であって、
    前記被測定物の温度を順次変更し、各温度Ti(i=1〜n)における前記被測定物の長さ寸法を単一波長の光を用いた光波干渉計により測定した際に得られる各温度Tiに対する実測データLiを取得するステップと、
    各前記実測データLiに対して、干渉次数を任意の範囲で設定した複数の検証用データDiを生成し、i=1〜kの各温度Tiに対する前記検証用データDiからそれぞれ1つの前記検証用データDiを選び出してデータセットとし、前記検証用データDiの選択の組合せがそれぞれ異なる複数の前記データセットを生成するステップと、
    複数の前記データセットのそれぞれについて、次数がそれぞれ異なる複数の近似関数を導出し、前記データセットの各前記検証用データDiと前記近似関数との差に基づく評価指標値を前記近似関数毎に算出し、複数の前記データセットから前記評価指標値が最小となる候補データセットを抽出して、各前記近似関数に対して抽出された前記候補データセットが同一であるか否かに基づいて前記候補データセットの妥当性を判定するステップと、
    を実施することを特徴とする熱膨張係数測定方法。
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