JP6930881B2 - 締付用補助具及び同補助具を用いた装着装置 - Google Patents
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Description
ところで、装着装置Bが装着される柱状の部材の外径は一定ではなく、大径の柱状の部材C1(図1参照)から、小径の柱状の部材C2(図2参照)まで多種多様である。
このため、図1に示す大径の柱状の部材C1には有効に適用される長さの長いボルト3,3を、図2に示すような小径の柱状の部材C2にそのまま適用して締付固定しようとすると、取付金具1のフランジ部1a,2a及び1b,2bと対向接触する位置までの(締付固定に寄与しない)長い距離、ナット4,4を無駄に回していかなければならない。その結果、締付固定作業に必要以上の時間と労力がかかり、作業性が悪いという問題がある。
この問題を解決するために、従来は、柱状の部材の外径に対応した長さを有するボルトを予め複数種用意し、柱状の部材の外径に応じて使い分けている。しかし、その場合、多数種のボルトの管理、保管しなければならないという、管理上の問題があり、また、多数種のボルトを用意しなければならないというコスト上の問題もある。
また、ボルトの頭の部分がない長ネジを使用し、両側にナットを取り付けて、締付固定作業を行う場合も、上述したボルトの場合と同様な問題が生じる。
検討の結果、本発明者は、ボルトとナットとの間に締付用補助具を介装することにより、ボルトとナットとを直接螺合させなくても、締付固定することができる構造を見出した。
すなわち、特許文献1の雄カプラーは、ボルトとナットとの間に介装されているが、この雄カプラーを締付用補助具とした場合、雄カプラー自体をフランジ部の対向位置まで回していかなければならず、本発明の技術的課題を解決することができない。
同様に、特許文献2のボルトとナットとの間に介装されている連結部材5、特許文献3のボルトとナットとの間に介装されている操作用介装材、特許文献4のボルトとナットとの間に介装されている緩み止めブッシュについても、特許文献1の雄カプラーと同様に本発明の技術的課題を解決することはできない。
前記締付用補助具は、円柱の外周面に沿って螺旋状の溝を設けた雄ネジ固着具と、円筒の内周面に沿って螺旋状の溝を設けた雌ネジ固着具とで被締付物を締め付ける際に使用されるものであって、
長手方向に分割された分割体を互いに係合して一体化した円筒体で構成され、この円筒体は、その内周面に前記雄ネジ固着具の外周面の螺旋状の溝に嵌着する雌ネジ部を形成し、
その外周面に前記雌ネジ固着具の内周面の螺旋状の溝に嵌着する雄ネジ部を形成し、
各分割体は、一方の端面にフランジ面を有しており、互いに係合して円筒体を組立てた際に前記フランジ面にて円筒体のフランジ部を構成してなり、他方の端面にナット形成部を有しており、互いに係合して円筒体を組立てた際に前記ナット形成部にてナットを構成してなり、
上記締付用補助具を用いた装着装置は、
柱状の部材の周面を覆い、その端部に相対向するフランジ部を有する取付金具を備えた被締付物と、この被締付物を締付固定する装着部とを備え、
被締付物を締付固定する装着部は、
円柱の外周面に沿って螺旋状の溝を設けて、取付金具の相対向するフランジ部間に挿通される雄ネジ固着具と、
前記雄ネジ固着具の外周面の螺旋状の溝に螺着する前記締付用補助具と、
円筒の内周面に沿って螺旋状の溝を設けて、前記締付用補助具の雄ネジ部に螺着する雌ネジ固着具とを具備し、
前記締付用補助具に一体に形成されたナットを回して、前記締付用補助具を、前記雄ネジ固着具上を移動させることにより、取付金具を柱状の部材に締付固定するようにした装着装置である。
(実施例1)
図3は、本発明に係る締付用補助具の実施例1(基本形)を示す斜視図である。この締付用補助具10は全体で円筒状をなし、軸方向に2分割した2つの分割体11,12から構成されている。一方の分割体11は、分割面(他方の分割体12と対向する面)の一方に矩形状の係合凸部11aを、また、分割面の他方に矩形状の係合凹部11bを形成している。他方の分割体12は、係合凸部11aに対向する分割面に係合凹部12aを形成し、また、係合凹部11bに対向する分割面に係合凸部12bを形成している。そして、係合凸部11aと係合凹部12a、及び係合凹部11bと係合凸部12bとを嵌め合わせることにより、円筒状の一体化された締付用補助具10が組立構成される。
また、各分割体11,12は、内周面に雌ネジ部分、外周面に雄ネジ部分を形成しており、これら分割体11,12で一体的に組み立てられた円筒状の締付用補助具10は、円筒体全体として、その内周面に雌ネジ部13を形成し、その外周面に雄ネジ部14を形成した構成を具備する。
また、図5から理解できるように、取付金具2のフランジ部2a(又は2b)に形成されたボルト挿通孔(図示せず)は、ボルト3とともに締付用補助具10をも挿通しうる口径を有している(ただしナット4は挿通しない口径である)。
図2に示す小径の柱状の部材C2の周面に一対の取付金具1,2を配置した後、取付金具1,2のフランジ部1a,2a間及び1b,2b間にボルト3,3を挿通する。なお、取付金具1,2のフランジ部1a,2a間の締付固定と、取付金具1,2のフランジ部1b,2b間の締付固定とは、同じ作業手順となるため、ここでは取付金具1,2のフランジ部1a,2a間の締付固定に関して説明し、取付金具1,2のフランジ部1b,2b間の締付固定に関する説明は省略する。
ここで、ナット4は、締付用補助具10に螺着する寸法、形状を有し、ボルト3に直接螺合する寸法、形状を有していない。ナット4の内径は、ボルト3の外径より締付用補助具10の厚さ分だけ大きい。このため、ナット装着作業時に、図2に示すように、ボルト3の長さが、不必要に長い場合であっても、ナット4をボルト3の軸方向に沿って直線的にスムーズに締付用補助具10の位置まで移動することができる。すなわち、締付用補助具10の位置に到達するまで、ナット4をネジ回す必要がない。
なお、上記は、本発明の本質的な説明であり、実際の作業時において、締付用補助具10を用いて柱状の部材Cの周面に一対の取付金具1,2を締付固定するには、図6に示すように、ナット4とフランジ部2aとの間にスプリングワッシャ5と平ワッシャ6を介装していることは勿論である。
図7は、本発明の実施例2の締付用補助具20を示す。締付用補助具20が図3乃至図6に示す締付用補助具10と共通する構成については、共通する部材の符号のみを提示し、その具体的な説明は省略する。すなわち、各分割体21,22は係合凸部21a,22b、係合凹部21b,22aを備え、締付用補助具20は雌ネジ部23、雄ネジ部24を備え、雌ネジ部23はボルト3の雄ネジ部に螺合し、雄ネジ部24とは、ナット4との雌ネジ部に螺合する。
この締付用補助具20が図3乃至図6に示す締付用補助具10に追加された構成は、2つの分割体21,22の片面にそれぞれフランジ面21c,22cを形成しており、2つの分割体21,22を組合せて、締付用補助具20を構成した時に、これらフランジ面21c,22cにて、円筒体の締付用補助具20にフランジ20aを形成したことである(図9参照)。
この状態で、締付用補助具20を取り付けた側(ボルト3の下端側)から、ナット4をボルト3に挿通する。実施例1の説明でも述べたように、ナット4の内径は、ボルト3の外径に比べて締付用補助具20の厚さ分だけ大きいので、ナット4を締付用補助具20の位置まで、ボルト3の軸方向に沿って(ネジ回すことなく)直線的に移動することができる。そして、締付用補助具20の端面に接してから初めてナット4を締付用補助具20上でネジ締めをしていく。ここまでの締付作業手順は、実施例1と同様である。
なお、ここでは、本発明の本質的な構成、作用を説明したが、実作業時には、ナット4と締付用補助具20のフランジ20aとの間にはスプリングワッシャ25が介装され、締付用補助具20のフランジ20aとフランジ部2aとの間には、スプリングワッシャ26と平ワッシャ27が介装されている(図10参照)。
なお、フランジ部1b,2b間についても同様であるので、ここでの説明は省略する。
図11は、本発明の実施例3を示す。実施例3の筒状の締付用補助具30は、一対の分割体31,32で構成され、一方の分割体31は、係合凸部31aと係合凹部31bとを備え、他方の分割体32は、係合凸部31aに係合する係合凹部32a,係合凹部31bに係合する係合凸部32bを備えている。また、各分割体31,32は、その一端面にフランジ面31c,32cを形成している。そして、分割体31,32を一体に組み合わせた状態で、筒状の締付用補助具30は、内周面に雌ネシ部33、外周面に雄ネジ部34を形成し、フランジ面31c,32cを突き合せた状態でフランジ30aを形成している(図13参照)。この構成は実施例2と同様である。
実施例3に係る締付用補助具30が実施例2の締付用補助具に対して追加した構成は、フランジ30aを設けた面とは反対側の面に更にナット30bをそれぞれ取り付けている。すなわち、実施例3では、分割体31,32の他面(フランジ面を形成した面と反対側の面)にナット部31d,32dを一体に形成している。そして、分割体31,32を一体的に組立て、筒状の締付用補助具30としたときに、ナット部31d,32dにより締付用補助具30に六角柱のナット30bが形成されることなる。
但し、実施例2とは、異なる手順で取付金具1,2のフランジ部1a,2aが締付固定される。
すなわち、実施例3において、ナット4は単に組み立てられた締付用補助具30の一体化を維持するために装着され、実施例2のように、このナット4を回してフランジ部1a,2aを柱状の部材C2に締付固定する必要はない。また、実施例3では、締付用補助具30に一体に取り付けたナット30bを回すことにより、ナット4がフランジ部2aに接していなくとも、締付用補助具30がボルト3上を移動し、この移動に伴って、フランジ部2aがフランジ部1a方向(図13の矢印上方)に移動し、フランジ部1a,2aが柱状の部材C2に締付固定される。この実施例3によれば、ナット4は締付固定時における締付用補助具30の一体状態を保持するのに寄与し、締付用補助具30はフランジ部1a,2aの締付固定に寄与し、両者で機能を分担している。このため、フランジ部1a,2aの締付固定を、より安定して行うことができる。
なお、ここでは、本発明の本質的な構成、作用を説明したが、実作業時には、ナット4と締付用補助具30のフランジ30aとの間にはスプリングワッシャ35が介装され、締付用補助具30のフランジ30aとフランジ部2aとの間には、スプリングワッシャ36と平ワッシャ37が介装されている(図14参照)。
なお、フランジ部1b,2b間についても同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記実施例ではボルト3とナット4とで締付固定する場合について説明したが、その他の雄ネジ固着具、雌ネジ固着具とで締付け固定する場合、例えば、ボルトの頭の部分がない長ネジを使い、両側にナットを取り付ける場合であって、その長ネジが不必要に長さが長くても、ボルト3とナット4とで締付固定する場合と同様に、柱状の部材への取付作業を短時間で効率よく行うことができ、作業性を向上することができることは勿論である。
B・・・超音波送受器の装着装置
C1,C2・・・柱状の部材(被締付物)
1,2・・・略半円弧状の取付金具
1a,1b,2a,2b,3a,3b・・・取付金具のフランジ部
3・・・ボルト(雄ネジ固着具)
3a・・・ボルトの雄ネジ部(雄ネジ固着具の螺旋状の溝)
4・・・ナット(雌ネジ固着具)
4a・・・ナットの雌ネジ部(雌ネジ固着具の螺旋状の溝)
5,25,26,35,36・・・スプリングワッシャ
6,27,37・・・平ワッシャ
10,20,30・・・締付用補助具
11,21,31・・・一方の分割体
11a,21a,31a・・・一方の分割体の係合凸部
11b,21b,31b・・・一方の分割体の係合凹部
12,22,32・・・他方の分割体
12a,22a,32a・・・他方の分割体の係合凹部
12b,22b,32b・・・他方の分割体の係合凸部
21c,22c,31c,32c・・・分割体のフランジ面
31d,32d・・・分割体のナット部形成部
13,23,33・・・締付用補助具の雌ネジ部
14,24,34・・・締付用補助具の雄ネジ部
20a,30a・・・締付用補助具のフランジ
30b・・・締付用補助具のナット
Claims (1)
- 締付用補助具を用いた装着装置であって、
前記締付用補助具は、円柱の外周面に沿って螺旋状の溝を設けた雄ネジ固着具と、円筒の内周面に沿って螺旋状の溝を設けた雌ネジ固着具とで被締付物を締め付ける際に使用されるものであって、
長手方向に分割された分割体を互いに係合して一体化した円筒体で構成され、この円筒体は、その内周面に前記雄ネジ固着具の外周面の螺旋状の溝に嵌着する雌ネジ部を形成し、
その外周面に前記雌ネジ固着具の内周面の螺旋状の溝に嵌着する雄ネジ部を形成し、
各分割体は、一方の端面にフランジ面を有しており、互いに係合して円筒体を組立てた際に前記フランジ面にて円筒体のフランジ部を構成してなり、他方の端面にナット形成部を有しており、互いに係合して円筒体を組立てた際に前記ナット形成部にてナットを構成してなり、
上記締付用補助具を用いた装着装置は、
柱状の部材の周面を覆い、その端部に相対向するフランジ部を有する取付金具を備えた被締付物と、この被締付物を締付固定する装着部とを備え、
被締付物を締付固定する装着部は、
円柱の外周面に沿って螺旋状の溝を設けて、取付金具の相対向するフランジ部間に挿通される雄ネジ固着具と、
前記雄ネジ固着具の外周面の螺旋状の溝に螺着する前記締付用補助具と、
円筒の内周面に沿って螺旋状の溝を設けて、前記締付用補助具の雄ネジ部に螺着する雌ネジ固着具とを具備し、
前記締付用補助具に一体に形成されたナットを回して、前記締付用補助具を、前記雄ネジ固着具上を移動させることにより、取付金具を柱状の部材に締付固定するようにした装着装置。
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