実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
本発明の一態様の表示装置は、可視光を反射する第1の表示素子と、可視光を発する第2の表示素子とが混在した表示装置である。
表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光と、第2の表示素子が発する第2の光のうち、いずれか一方、または両方により、画像を表示する機能を有する。または、表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光の光量と、第2の表示素子が発する第2の光の光量と、をそれぞれ制御することにより、階調を表現する機能を有する。
また、表示装置は、第1の表示素子の反射光の光量を制御することにより階調を表現する第1の画素と、第2の表示素子からの発光の光量を制御することにより階調を表現する第2の画素を有する構成とすることが好ましい。第1の画素及び第2の画素は、例えばそれぞれマトリクス状に複数配置され、表示部を構成する。
また、第1の画素と第2の画素は、同ピッチで、表示領域内に配置されていることが好ましい。このとき、隣接する第1の画素と第2の画素を合わせて、画素ユニットと呼ぶことができる。
さらに、第1の画素及び第2の画素は表示装置の表示領域に混在して配置されていることが好ましい。これにより、後述するように複数の第1の画素のみで表示された画像と、複数の第2の画素のみで表示された画像、ならびに複数の第1の画素及び複数の第2の画素の両方で表示された画像のそれぞれは、同じ表示領域に表示することができる。
第1の画素が有する第1の表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。
第1の表示素子には、反射型の液晶素子を用いることができる。
表示装置は、光拡散板および偏光板を有する。光拡散板および偏光板は、第1の表示素子よりも表示面側に設けられる。表示装置が光拡散板を有することで、第1の表示素子による表示の視認性を向上させることができる。
本発明の一態様に用いる光拡散板は、一方の面側(後方)の様々な角度から入射する光を他方の面側のより前方に(すなわち、面の垂線を基準とした射出角が入射角より小さくなるように)拡散させる性質を有することが好ましい。また、他方の面側から入射する光を拡散させずに(光の入射角と射出角が概ね等しくなるように)一方の面側に射出させる性質を有することが好ましい。このような光拡散板を他方の面が第1の表示素子および第2の表示素子と向き合うように表示装置に設けることで、第2の表示素子による表示の視認性を落とすことなく、第1の表示素子による表示の視認性を向上させることができる。
また、第2の画素が有する第2の表示素子は光源を有し、その光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。特に、電界を印加することにより発光性の物質から発光を取り出すことのできる、電界発光素子を用いることが好ましい。このような画素が射出する光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。
第2の表示素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)などの自発光性の発光素子を用いることができる。または、第2の表示素子として、光源であるバックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを組み合わせたものを用いてもよい。
第1の画素は、例えば白色(W)を呈する副画素、または例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。また、第2の画素も同様に、例えば白色(W)を呈する副画素、または例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。なお、第1の画素及び第2の画素がそれぞれ有する副画素は、4色以上であってもよい。副画素の種類が多いほど、消費電力を低減することが可能で、また色再現性を高めることができる。
本発明の一態様は、第1の画素で画像を表示する第1のモード、第2の画素で画像を表示する第2のモード、及び第1の画素及び第2の画素で画像を表示する第3のモードを切り替えることができる。
第1のモードは、第1の表示素子による反射光を用いて画像を表示するモードである。第1のモードは光源が不要であるため、極めて低消費電力な駆動モードである。例えば、外光の照度が十分高く、且つ外光が白色光またはその近傍の光である場合に有効である。第1のモードは、例えば本や書類などの文字情報を表示することに適した表示モードである。また、反射光を用いるため、目に優しい表示を行うことができ、目が疲れにくいという効果を奏する。
第2のモードでは、第2の表示素子による発光を利用して画像を表示するモードである。そのため、外光の照度や色度によらず、極めて鮮やかな(コントラストが高く、且つ色再現性の高い)表示を行うことができる。例えば、夜間や暗い室内など、外光の照度が極めて小さい場合などに有効である。また外光が暗い場合、明るい表示を行うと使用者が眩しく感じてしまう場合がある。これを防ぐために、第2のモードでは輝度を抑えた表示を行うことが好ましい。またこれにより、眩しさを抑えることに加え、消費電力も低減することができる。第2のモードは、鮮やかな画像や滑らかな動画などを表示することに適したモードである。
第3のモードでは、第1の表示素子による反射光と、第2の表示素子による発光の両方を利用して表示を行うモードである。具体的には、第1の画素が呈する光と、第1の画素と隣接する第2の画素が呈する光を混色させることにより、1つの色を表現するように駆動する。第1のモードよりも鮮やかな表示をしつつ、第2のモードよりも消費電力を抑えることができる。例えば、室内照明下や、朝方や夕方の時間帯など、外光の照度が比較的低い場合や、外光の色度が白色ではない場合などに有効である。また、反射光と発光とを混色させた光を用いることで、まるで絵画を見ているかのように感じさせる画像を表示することが可能となる。
[発明の技術的思想]
ここで、本発明の技術的思想について図1を用いて説明する。なお、ここでは第2の表示素子はOLED素子であるとする。
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置20の使用時における、使用者および表示装置20の位置関係を表している。表示装置20は第1の表示素子(図示しない)よりも上面側(視認側)に偏光板16を有し、偏光板16の下に光拡散板15Aを有する。偏光板16および光拡散板15Aは表示装置20に含まれるが、図では説明のため、偏光板16および光拡散板15Aを表示装置20と分けて描出している。
eyeLおよびeyeRは、それぞれ使用者の左目および右目を表している。2・θeyeは、使用者が表示装置20を左目または右目から距離ddispだけ離して使用している場合における、使用者が注目する点Pから左目および右目のそれぞれに延伸する2つの直線がなす角である。θeyeは、左目と右目の間隔deyeおよびddispによって以下の数式1で表すことができる。例えば、deyeが65mm、ddispが300mmであれば、θeyeは約6.2°となる。
[数1]
θeye=tan−1(0.5・deye/ddisp) (1)
θ1Aは、表示装置20が第1のモードで表示する画像を正面(図1(A)においては真上)から見た場合の輝度を基準として、斜めから見た場合にX%以上輝度が低下する限界角である。すなわち、表示面に垂直な方向からθ1Aだけ傾斜した方向から第1のモードで表示する画像を見た場合、同じ画像を正面から見た場合よりも輝度がX%低下する。X%の輝度低下率は、使用者が輝度の低下を認識できる値であるとする。なお、ここでは表示装置20は表示装置20の表示面に入射する外光の角度依存性が低い環境(例えば、天井に複数の照明が設けられた広い室内、曇天下の屋外など)で使用される場合を想定している。また、第1のモードによる表示における輝度とは、第1の表示素子を二次光源とみなした場合の輝度を指す。
θ2は、表示装置20が第2のモードで表示する画像を正面から見た場合の輝度を基準として、斜めから見た場合にX%以上輝度が低下する限界角である。すなわち、表示面に垂直な方向からθ2だけ傾斜した方向から第2のモードで表示する画像を見た場合、同じ画像を正面から見た場合よりも輝度がX%低下する。
一般的に、反射型液晶素子を有するディスプレイでは表示の視野角依存性を低くするために、画素電極に凹凸を形成する方法またはディスプレイ表面に光拡散板を設ける方法が用いられる。これらのうちいずれかの方法を用いてディスプレイに入射する外光がディスプレイの反射表面で鏡面反射する割合を減らすことで、ディスプレイの表示を斜めから見た場合でも高い輝度が得られるようにすることができる。
ところで、光拡散板を用いた反射型液晶素子を有するディスプレイは、自発光型、例えばOLED素子を有するディスプレイよりも視野角依存性が高いことが経験上知られている。
表示装置20を上記の外光の角度依存性が低い環境で使用した場合、θ1Aはθ2よりも小さい(図1(A)参照)。このことは、使用者が注目する表示画像の位置を固定したまま目の位置が変化する際に目が視認する輝度または色度の変化が、第2のモードによる表示よりも第1のモードによる表示の方が大きいことを示す場合がある。
また、使用者が表示装置20を使用する状況において、使用者の目と表示装置20が表示する画像の相対位置は連続的に変化すると考えられる。例えば、使用時における使用者の頭部運動(無意識的な頭部の揺れや、首を意識的に左右に傾ける動作など)によって、目と画像の相対位置は変化する。また、表示装置20を使用者が把持して使用する場合は、把持する手の振動や手首の回転によって、目と画像の相対位置は変化する。
そして、使用時における使用者の目と表示装置20が表示する画像の位置関係は、図1(A)に示すような理想的な位置関係ではない場合が多い。ここで理想的な位置関係とは、使用者および表示装置20が、使用者が画像を注目する点Pを通る表示装置20の表示面に対する垂線(図1(A)に示す一点鎖線)が、左目eyeLと右目eyeRを結ぶ線分の中点を通る位置にある状態をいう。使用者の目と画像の位置関係が理想的でない場合が多いことは、使用時において、画像を正面から見た場合を基準とした輝度または色度の変化が、右目が見る場合と左目が見る場合とで異なることを示す。本明細書では、画像を正面から見た場合を基準とした輝度または色度の変化が、右目と左目とで異なることを疑似視差と呼ぶ。また、上記の輝度または色度の変化量の右目と左目の差を疑似視差量と呼ぶ。
以上のことから、使用者が表示装置20の表示画像を見る場合、第1のモードによる表示と第2のモードによる表示とで疑似視差量が異なるといえる。具体的には、第1のモードによる表示における疑似視差量は、第2のモードによる表示における疑似視差量よりも大きい。
ここで、表示装置20の第3のモードによる表示を考える。ここでは第3のモードによる表示は、同じ表示画像の第1のモードによる表示と第2のモードによる表示が混合したものである。よって、第3のモードによる表示画像の輝度(以下、第3の輝度とも表記する)は概ね、第1の表示素子による表示画像の輝度(以下、第1の輝度とも表記する)および第2の表示素子による表示画像の輝度(以下、第2の輝度とも表記する)を足した値となる。第3の輝度を、以下の各々の環境において使用者が違和感を抱かない輝度に設定して表示装置20を使用する場合を考える。
外光の照度が十分高い晴天下の屋外などでは第1の輝度は第2の輝度よりも大きくなる(例えば、第1の輝度は500cd/m2以上1500cd/m2以下、第2の輝度は10cd/m2以下)。一方で、外光の照度が低い夜間や暗い室内では、第1の輝度は第2の輝度よりもきわめて小さくなる(例えば、第1の輝度は1cd/m2以下、第2の輝度は100cd/m2以上200cd/m2以下)。照明が十分に点灯している室内などの外光の照度が適度に低い環境では、第1の輝度は第2の輝度より小さいが、上記の夜間や暗い室内における第1の輝度よりは大きい(例えば、第1の輝度は5cd/m2以上20cd/m2以下、第2の輝度は150cd/m2以上300cd/m2以下)。このような外光の照度が適度に低い環境においては、第3のモードによる表示画像において第2の表示素子による表示が優勢であり、かつ第1の表示素子による表示も表示画像に寄与している。
第3のモードによる表示が、第2の表示素子による表示が優勢であり、かつ第1の表示素子による表示も表示画像に寄与している場合、使用者は第1のモードによる表示からプルフリッヒ効果を体験し、かつ自然で違和感の小さい表示画像を視認することができると考えられる。よって、表示装置20は特に外光の照度が適度に低い環境において、キレのある、または絵画的な、または写実的な表示を行えると考えられる。ここでプルフリッヒ効果とは、人が同じ絵柄で輝度の高い映像を一方の目で、輝度の低い映像を他方の目で同時に視認する場合に、映像の認識に要する脳の処理速度が異なることに起因して立体感を得る現象をいう。
プルフリッヒ効果は、表示装置20が備える光拡散板15Aが一方の面側(後方)の様々な角度から入射する外光を他方の面側のより前方に拡散させる性質を有することで得ることができると考えられる。光拡散板のこのような性質は、光拡散領域によって表現することができる。
光拡散領域とは、光拡散板を水平面に設置し、ある回転角θにおいて、入射光が最も拡散される傾斜角ψに点光源を固定した場合に得られる拡散光の角度領域である。具体的には、入射光を光拡散板の表面における照度が65ルクスとなるように照射し、光拡散板によって拡散された光の強度が100cd/m2以上となる、ある回転角θに対する拡散光の角度領域である。図1(B)は、光拡散板15Aまたは後述する光拡散板15Bの下方から点光源による入射光LIを回転角θおよび傾斜角ψで照射した場合に得られる、回転角θに対応する拡散光LOの模式図である。光拡散領域は、図1(B)に示す傾斜角φmを最小値とし、傾斜角φMを最大値とする。なお、φmおよびφMは光拡散板に垂直な軸(Z軸)を基準とした角度であり、−90°以上90°以下の値をとりうる。
光拡散板15Aの光拡散領域は、例えば、最小値(傾斜角φm)が−25°以上−5°以下、最大値(傾斜角φM)が5°以上25°以下であり、φM−φmが20°より大きいことが好ましい。
ここで、表示装置20が奏するプルフリッヒ効果は、第3のモードによる表示における第1の表示素子による表示の疑似視差量を大きくすることで、増幅させることができると考えられる。また、使用者は表示装置20の使用において上記の理想的な位置関係を維持はできないが、理想的な位置関係に近づける意図を持ちながら表示装置20を使用すると考えられる。よって、光拡散板15Aに代えて図1(C)に示す光拡散板15Bを用いることで、表示装置20はよりキレのある、または絵画的な、または写実的な表示を行えると考えられる。
図1(C)に示す表示装置20は、第1のモードにおける表示画像の輝度が最も高くなる視認方向が、表示面の垂線から角度θaだけ傾いている。θ1Bは、表示装置20が第1のモードで表示する画像を表示面に垂直な方向(図1(C)においては真上方向)から角度θaだけ傾いた向きから見た場合の輝度を基準として、斜めから見た場合にX%以上輝度が低下する限界角である。よって、θaがθ1Bより小さい場合において、表示装置20の表示面に対する垂線を基準とした第1のモードによる表示の限界角は、最大値がθ1B+θa、最小値がθ1B−θaとなる。図1(C)に示すように、θ1B−θaがθeyeより小さいことで、使用者が表示装置20を理想的な位置関係に近い状態で使用していても第1のモードによる表示の疑似視差量を大きくすることができる。
以上のことから、光拡散板15Bは、図1(B)に示す傾斜角φMがθeyeより小さいことが好ましい。例えば、光拡散板15Bの光拡散領域は、最小値(傾斜角φm)が−30°以上−10°以下、最大値(傾斜角φM)が−5°以上5°以下であり、φM−φmが20°より大きいことが好ましい。φmの絶対値がφMの絶対値よりも大きいことで、θaが0より大きくなる場合がある。
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
[表示装置の構成例]
図2に、表示装置10のブロック図を示す。表示装置10は、表示部14を有する。
表示部14は、マトリクス状に配置された複数の画素ユニット30を有する。画素ユニット30は、第1の画素31pと、第2の画素32pを有する。
図2では、第1の画素31p及び第2の画素32pが、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応する表示素子を有する場合の例を示している。
第1の画素31pは、赤色(R)に対応する表示素子31R、緑色(G)に対応する表示素子31G、青色(B)に対応する表示素子31Bを有する。表示素子31R、31G、31Bはそれぞれ、外光の反射を利用した表示素子である。
第2の画素32pは、赤色(R)に対応する表示素子32R、緑色(G)に対応する表示素子32G、青色(B)に対応する表示素子32Bを有する。表示素子32R、32G、32Bはそれぞれ、光源の光を利用した表示素子である。
[画素ユニットの構成例]
図3(A)〜(C)は、画素ユニット30の構成例を示す模式図である。図3(A)〜(C)に示す画素ユニット30は、第1の画素31pと、第2の画素32pを有する。
第1の画素31pは、表示素子31R、表示素子31G、表示素子31Bを有する。表示素子31R、表示素子31G、及び表示素子31Bは、それぞれ外光を反射して表示する素子である。表示素子31Rは、外光を反射し、赤色の光Rrを表示面側に射出する。表示素子31G、表示素子31Bも同様に、それぞれ緑色の光Grまたは青色の光Brを、表示面側に射出する。
第2の画素32pは、表示素子32R、表示素子32G、表示素子32Bを有する。表示素子32R、表示素子32G、及び表示素子32Bは、それぞれ発光素子である。表示素子32Rは赤色の光Rtを、表示面側に射出する。表示素子32G、表示素子32Bも同様に、それぞれ緑色の光Gtまたは青色の光Btを、表示面側に射出する。これにより、低消費電力で、且つ鮮やかな表示を行うことができる。また、まるで絵画を見ているかのように感じさせる画像を表示することが可能となる。
図3(A)は、第1の画素31pと第2の画素32pの両方を駆動させることで表示を行うモード(第3のモード)に対応する。画素ユニット30は、光Rr、光Gr、光Br、光Rt、光Gt、及び光Btの6つの光を混色させることにより、反射光と透過光とが混在した所定の色の光35trを表示面側に射出することができる。
このとき、光35trが所定の輝度及び色度の光となるような、光Rr、光Gr、光Br、光Rt、光Gt、及び光Btの6つの光それぞれの輝度の組み合わせは、多数存在する。そこで、本発明の一態様は、同じ輝度及び色度の光35trを実現する6つの光それぞれの輝度(階調)の組み合わせのうち、第1の画素31pから射出される光Rr、光Gr及び光Brの輝度(階調)が最も大きくなる組み合わせを選択することが好ましい。これにより、色再現性を犠牲にすることなく、消費電力を低減することができる。
図3(B)は、第1の画素31pを駆動させることにより、反射光のみを用いて表示を行うモード(第1のモード)に対応する。画素ユニット30は、例えば外光の照度が十分に高い場合などでは、第2の画素32pを駆動させずに、第1の画素31pからの光(光Rr、光Gr、及び光Br)のみを混色させることにより、反射光を組み合わせた所定の色の光35rを表示面側に射出することができる。これにより、極めて低消費電力な駆動を行うことができる。また、目に優しい表示を行うことができる。
図3(C)は、第2の画素32pを駆動させることにより、発光(透過光)のみを用いて表示を行うモード(第2のモード)に対応する。画素ユニット30は、例えば外光の照度が極めて小さい場合などでは、第1の画素31pを駆動させずに、第2の画素32pからの光(光Rt、光Gt、及び光Bt)のみを混色させることにより、所定の色の光35tを表示面側に射出することができる。これにより鮮やかな表示を行うことができる。また外光の照度が小さい場合に輝度を低くすることで、使用者が感じる眩しさを抑えると共に消費電力を低減できる。
[変形例]
上記では、第1の画素31pと第2の画素32pとが、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応した表示素子を有する例を示したが、これに限られない。以下では、上記とは異なる構成例を示す。
図4(A)〜(C)、図5(A)〜(C)に、それぞれ画素ユニット30の構成例を示す。なおここでは、第1の画素31pと第2の画素32pの両方を駆動させることで表示を行うモード(第3のモード)に対応した模式図を示しているが、上記と同様に、第1の画素31pを駆動させることにより、反射光のみを用いて表示を行うモード(第1のモード)、及び第2の画素32pを駆動させることにより、発光(透過光)のみを用いて表示を行うモード(第2のモード)でも表示を行うことができる。
図4(A)は、第2の画素32pが、表示素子32R、表示素子32G、表示素子32Bに加えて、白色(W)を呈する表示素子32Wを有する例を示している。これにより、第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)における消費電力を低減することができる。
図4(B)は、第2の画素32pが、表示素子32R、表示素子32G、表示素子32Bに加えて、黄色(Y)を呈する表示素子32Yを有する例を示している。これにより、第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)における消費電力を低減することができる。
図4(C)は、第1の画素31pが、表示素子31R、表示素子31G、表示素子31Bに加えて、白色(W)を呈する表示素子31Wを有する例を示している。さらに図4(C)は、第2の画素32pが、表示素子32R、表示素子32G、表示素子32Bに加えて、白色(W)を呈する表示素子32Wを有する例を示している。これにより、第1の画素31pを用いた表示モード(第1のモード及び第3のモード)、及び第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)における消費電力を低減することができる。
図5(A)では、第1の画素31pが、白色を呈する表示素子31Wのみを有する例を示している。このとき、第1の画素31pのみを用いた表示モード(第1のモード)では、白黒表示またはグレースケールでの表示を行うことができ、第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)では、カラー表示を行うことができる。
また、このような構成とすることで、第1の画素31pの開口率を高めることができるため、第1の画素31pの反射率を向上させ、より明るい表示を行うことができる。
第1の画素31pのみで表示を行うモード(第1のモード)では、例えば、文書情報などのカラー表示を必要としない情報を表示することに適している。第1のモードで表示している時は、表示装置を組み込んだ電子機器を、例えば電子書籍端末や教科書などのように用いることができる。
図5(B)では、図5(A)に加えて、白色(W)を呈する表示素子32Wを有する例を示している。これにより、第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)における消費電力を低減することができる。
図5(C)では、図5(A)に加えて、黄色(Y)を呈する表示素子32Yを有する例を示している。これにより、第2の画素32pを用いた表示モード(第2のモード及び第3のモード)における消費電力を低減することができる。
以上が表示ユニットの構成例についての説明である。
[表示装置の断面構成例]
図6に、表示装置10の断面構成の一例を示す。
表示装置10は、基板11と基板12との間に、第1の層41、絶縁層134、絶縁層135、表示素子32、接着層151、第2の層42、絶縁層234、表示素子31等を有する。また、表示装置10は基板11上に光拡散板15および偏光板16を有する。光拡散板15には、本実施の形態で説明する光拡散板15Aまたは光拡散板15Bを用いることができる。
表示素子31は、導電層221、導電層223、及びこれらに挟持された液晶222を有する。導電層221は可視光を反射し、導電層223は可視光を透過する。したがって、表示素子31は基板12側に反射光22を射出する反射型の液晶素子である。ここで、導電層221は、画素毎に配置され、画素電極として機能する。導電層223は、複数の画素にわたって配置されている。導電層223は、図示しない領域で定電位が供給される配線と接続され、共通電極として機能する。
表示素子32は、導電層121、導電層123、及びこれらに挟持されたEL層122を有する。EL層122は、少なくとも発光性の物質を含む層である。導電層121は可視光を反射し、導電層123は可視光を透過する。したがって、表示素子32は、導電層121と導電層123との間に電圧を印加することで、基板12側に光21を射出する電界発光素子である。導電層121は、画素毎に配置され、画素電極として機能する。EL層122と導電層123は、複数の画素にわたって配置されている。導電層123は、図示しない領域で定電位が供給される配線と接続され、共通電極として機能する。
第1の層41は、表示素子31を駆動する回路を含む層である。第2の層42は、表示素子32を駆動する回路を含む層である。例えば第1の層41及び第2の層42はそれぞれ、トランジスタ、容量素子、配線、電極等により、画素回路が構成されている。
第1の層41と導電層221との間には、絶縁層234が設けられている。また絶縁層234に設けられた開口を介して導電層221と第1の層41とが電気的に接続され、これにより第1の層41と表示素子31とが電気的に接続されている。
第2の層42と導電層121との間には、絶縁層134が設けられている。また絶縁層134に設けられた開口を介して導電層121と第2の層42とが電気的に接続され、これにより第2の層42と表示素子32とが電気的に接続されている。
第1の層41と導電層123とは、接着層151によって貼り合わされている。接着層151は、表示素子32を封止する封止層としても機能する。
ここで、第1の層41の画素回路に、酸化物半導体が適用され、オフ電流が極めて低いトランジスタを適用した場合や、当該画素回路に記憶素子を適用した場合などでは、表示素子31を用いて静止画を表示する際に画素への書き込み動作を停止しても、階調を維持させることが可能となる。すなわち、フレームレートを極めて小さくしても表示を保つことができる。本発明の一態様は、ノイズを遮断する導電層123が設けられているため、ノイズの影響による表示素子31の階調の変動を抑制できる。そのため、表示品位を維持したまま、フレームレートを極めて小さくでき、低消費電力な駆動を行うことができる。
以上が表示装置の断面構成例についての説明である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、及びその作製方法について説明する。
本発明の一態様の表示装置は、反射型の液晶素子を有する第1の画素が設けられた第1の表示パネルと、発光素子を有する第2の画素が設けられた第2の表示パネルとが、接着層を介して貼り合わされた構成を有する。反射型の液晶素子は、反射光の光量を制御することにより階調を表現することができる。発光素子は、発する光の光量を制御することにより階調を表現することができる。
表示装置は、例えば反射光のみを利用して表示を行うこと、発光素子からの光のみを利用して表示を行うこと、及び、反射光と発光素子からの光の両方を利用して表示を行うことができる。
第1の表示パネルは視認側に設けられ、第2の表示パネルは視認側とは反対側に設けられる。第1の表示パネルは、最も接着層側に位置する第1の樹脂層を有する。また第2の表示パネルは、最も接着層側に位置する第2の樹脂層を有する。
また、第1の表示パネルの表示面側に第3の樹脂層を設け、第2の表示パネルの裏面側(表示面側とは反対側)に第4の樹脂層を設けることが好ましい。これにより、表示装置を極めて軽くすることが可能で、また表示装置を割れにくくすることが可能となる。
第1の樹脂層乃至第4の樹脂層(以下、まとめて樹脂層とも表記する)は、極めて薄いことを特徴とする。より具体的には、それぞれ厚さが0.1μm以上3μm以下とすることが好ましい。そのため、2つの表示パネルを積層した構成であっても、厚さを薄くすることができる。また、第2の画素の発光素子が発する光の経路上に位置する樹脂層による光の吸収が抑制され、より高い効率で光を取り出すことができ、消費電力を小さくすることができる。
樹脂層は、例えば以下のように形成することができる。すなわち、支持基板上に低粘度の熱硬化性の樹脂材料を塗布し、熱処理により硬化させて樹脂層を形成する。そして樹脂層上に、構造物を形成する。その後、樹脂層と、支持基板との間で剥離を行うことにより、樹脂層の一方の面を露出させる。
支持基板と樹脂層とを剥離する際、これらの密着性を低下させる方法として、レーザ光を照射することが挙げられる。例えば、レーザ光に線状のレーザを用い、これを走査することにより、レーザ光を照射することが好ましい。これにより、支持基板の面積を大きくした際の工程時間を短縮することができる。レーザ光としては、波長308nmのエキシマレーザを好適に用いることができる。
樹脂層に用いることのできる材料としては、代表的には熱硬化性のポリイミドが挙げられる。特に感光性のポリイミドを用いることが好ましい。感光性のポリイミドは、表示パネルの平坦化膜等に好適に用いられる材料であるため、形成装置や材料を共有することができる。そのため本発明の一態様の構成を実現するために新たな装置や材料を必要としない。
また、樹脂層に感光性の樹脂材料を用いることにより、露光及び現像処理を施すことで、樹脂層を加工することが可能となる。例えば、開口部を形成することや、不要な部分を除去することができる。さらに露光方法や露光条件を最適化することで、表面に凹凸形状を形成することも可能となる。例えばハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いた露光技術や、多重露光技術などを用いればよい。
なお、非感光性の樹脂材料を用いてもよい。このとき、樹脂層上にレジストマスクやハードマスクを形成して開口部や凹凸形状を形成する方法を用いることもできる。
またこのとき、発光素子からの光の経路上に位置する樹脂層を、部分的に除去することが好ましい。すなわち、第1の樹脂層及び第2の樹脂層に、発光素子と重なる開口部を設ける。これにより、発光素子からの光の一部が樹脂層に吸収されることに伴う色再現性の低下や、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
または、樹脂層の発光素子からの光の経路上に位置する部分が、他の部分よりも薄くなるように、樹脂層に凹部が形成された構成としてもよい。すなわち、樹脂層は厚さの異なる2つの部分を有し、厚さの薄い部分が発光素子と重なる構成とすることもできる。この構成としても、樹脂層による発光素子からの光の吸収を低減できる。
また、第1の表示パネルが第3の樹脂層を有する場合、上記と同様に発光素子と重なる開口部を設けることが好ましい。これにより、さらに色再現性や光取り出し効率を向上させることができる。
また、第1の表示パネルが第3の樹脂層を有する場合、反射型の液晶素子における光の経路上に位置する第3の樹脂層の一部を除去することが好ましい。すなわち、第3の樹脂層に、反射型の液晶素子と重なる開口部を設ける。これにより、反射型の液晶素子の反射率を向上させることができる。
樹脂層に開口部を形成する場合、支持基板上に光吸収層を形成し、当該光吸収層上に開口部を有する樹脂層を形成し、さらに開口部を覆う透光性の層を形成する。光吸収層は、光を吸収して加熱されることで、水素または酸素などのガスを放出する層である。したがって、支持基板側から光を照射し、光吸収層からガスを放出させることで、光吸収層と支持基板の界面、または光吸収層と透光性の層との間の密着性が低下し、剥離を生じさせることができる。または、光吸収層自体が破断して、剥離させることができる。
または、以下の方法を用いることもできる。すなわち、樹脂層の開口部となる部分を、部分的に薄く形成し、上述した方法により支持基板と樹脂層とを剥離する。そして樹脂層の剥離した表面にプラズマ処理等を行うことで、樹脂層を薄膜化すると、樹脂層の薄い部分に開口を形成することができる。
また、第1の画素及び第2の画素は、それぞれトランジスタを有することが好ましい。さらに、当該トランジスタのチャネルを形成する半導体として、酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体はトランジスタの作製工程にかかる最高温度を低温化(例えば400℃以下、好ましくは350℃以下)しても、高いオン電流を実現でき、また高い信頼性を確保することができる。また、酸化物半導体を用いることで、トランジスタの被形成面側に位置する樹脂層に用いる材料として、高い耐熱性が要求されないため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、平坦化膜として用いる樹脂材料と兼ねることもできる。
ここで、例えば低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly−Silicon))を用いた場合では、高い電界効果移動度が得られるものの、レーザ結晶化工程、結晶化の前処理のベーク工程、不純物の活性化のためのベーク工程などが必要であり、トランジスタの作製工程にかかる最高温度が上記酸化物半導体を用いた場合よりも高い(例えば500℃以上、または550℃以上、または600℃以上)。そのため、トランジスタの被形成面側に位置する樹脂層には高い耐熱性が必要となる。さらに、レーザ結晶化工程において、当該樹脂層にもレーザが照射されるため、当該樹脂層は比較的厚く形成する必要がある(例えば10μm以上、または20μm以上)。
一方、酸化物半導体を用いた場合では、耐熱性の高い特殊な材料が不要で、且つ薄く形成できるため、表示パネル全体に対する当該樹脂層にかかるコストの割合を小さくできる。
また、酸化物半導体は、バンドギャップが広く(例えば2.5eV以上、または3.0eV以上)、光を透過する性質を有する。そのため、支持基板と樹脂層の剥離工程において、レーザ光が酸化物半導体に照射されても吸収しにくいため、その電気的特性への影響を抑制できる。したがって、上述のように樹脂層を薄く形成することが可能となる。
本発明の一態様は、感光性のポリイミドに代表される低粘度な感光性樹脂材料を用いて薄く形成した樹脂層と、低温であっても電気特性に優れたトランジスタを実現できる酸化物半導体と、を組み合わせることにより、極めて生産性に優れた表示装置を実現できる。
続いて、画素の構成について説明する。第1の画素及び第2の画素は、それぞれマトリクス状に複数配置され、表示部を構成する。また、表示装置は、第1の画素を駆動する第1の駆動部と、第2の画素を駆動する第2の駆動部を有することが好ましい。第1の駆動部は第1の表示パネルに設けられ、第2の駆動部は第2の表示パネルに設けられていることが好ましい。
また、第1の画素と第2の画素は、同じ周期で表示領域内に配置されていることが好ましい。さらに、第1の画素及び第2の画素は表示装置の表示領域に混在して配置されていることが好ましい。これにより、後述するように複数の第1の画素のみで表示された画像と、複数の第2の画素のみで表示された画像、及び複数の第1の画素及び複数の第2の画素の両方で表示された画像のそれぞれは、同じ表示領域に表示することができる。
ここで、第1の画素は、例えば白色(W)を呈する1つの画素により構成されていることが好ましい。また第2の画素は、例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有することが好ましい。またはこれに加えて白色(W)または黄色(Y)の光を呈する副画素を有していてもよい。このような第1の画素と第2の画素が同じ周期で配列することで、第1の画素の面積を大きくし、第1の画素の開口率を高めることができる。
なお、第1の画素として、例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有していてもよく、これに加えて白色(W)または黄色(Y)の光を呈する副画素を有していてもよい。
続いて、第1の表示パネル及び第2の表示パネルに用いることのできるトランジスタについて説明する。第1の表示パネルの第1の画素に設けられるトランジスタと、第2の表示パネルの第2の画素に設けられるトランジスタとは、同じ構成のトランジスタであってもよいし、それぞれ異なるトランジスタであってもよい。
トランジスタの構成としては、例えばボトムゲート構造のトランジスタが挙げられる。ボトムゲート構造のトランジスタは、半導体層よりも下側(被形成面側)にゲート電極を有する。また、例えばソース電極及びドレイン電極が、半導体層の上面及び側端部に接して設けられていることを特徴とする。
また、トランジスタの他の構成としては、例えばトップゲート構造のトランジスタが挙げられる。トップゲート構造のトランジスタは、半導体層よりも上側(被形成面側とは反対側)にゲート電極を有する。また、例えば第1のソース電極及び第1のドレイン電極が、半導体層の上面の一部及び側端部を覆う絶縁層上に設けられ、且つ当該絶縁層に設けられた開口を介して半導体層と電気的に接続されることを特徴とする。
また、トランジスタとして、半導体層を挟んで対向して設けられる第1のゲート電極及び第2のゲート電極を有していることが好ましい。
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な例について、図面を参照して説明する。
[構成例1]
図7に、表示装置10の断面概略図を示す。表示装置10は、表示パネル100と表示パネル200とが接着層50によって貼り合わされた構成を有する。また、表示装置10は、裏側(視認側とは反対側)に基板11と、表側(視認側)に基板12と、を有する。
表示パネル100は、樹脂層101と樹脂層102との間に、トランジスタ110と、発光素子120と、を有する。表示パネル200は、樹脂層201と樹脂層202との間にトランジスタ210と、液晶素子220と、を有する。樹脂層101は、接着層51を介して基板11と貼り合わされている。また樹脂層202は、接着層52を介して基板12と貼り合わされている。
また、樹脂層102、樹脂層201、及び樹脂層202は、それぞれ開口部が設けられている。図7に示す領域81は、発光素子120と重なる領域であって、且つ樹脂層102の開口部、樹脂層201の開口部、及び樹脂層202の開口部と重なる領域である。
また、基板12上に光拡散板15が設けられ、光拡散板15上に偏光板16が設けられる。光拡散板15上に偏光板16を設けることで、外光反射による表示装置10の表面の映り込みを低減することができる。光拡散板15として、実施の形態1で説明する光拡散板15Aまたは光拡散板15Bを用いることができる。偏光板16は、円偏光板であってもよい。
〔表示パネル100〕
樹脂層101には、トランジスタ110、発光素子120、絶縁層131、絶縁層132、絶縁層133、絶縁層134、絶縁層135等が設けられている。また、樹脂層102には、遮光層153、及び着色層152等が設けられている。樹脂層101と樹脂層102とは、接着層151により接着されている。
トランジスタ110は、絶縁層131上に設けられ、ゲート電極として機能する導電層111と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層132の一部と、半導体層112と、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能する導電層113aと、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する導電層113bと、を有する。
半導体層112は、酸化物半導体を含むことが好ましい。
絶縁層133及び絶縁層134は、トランジスタ110を覆って設けられている。絶縁層134は、平坦化層として機能する。
発光素子120は、導電層121と、EL層122と、導電層123と、が積層された構成を有する。導電層121は可視光を反射する機能を有し、導電層123は、可視光を透過する機能を有する。したがって、発光素子120は、被形成面側とは反対側に光を射出する上面射出型(トップエミッション型ともいう)の発光素子である。
導電層121は、絶縁層134及び絶縁層133に設けられた開口を介して導電層113bと電気的に接続されている。絶縁層135は、導電層121の端部を覆い、且つ導電層121の上面が露出するように開口が設けられている。EL層122及び導電層123は、絶縁層135及び導電層121の露出した部分を覆って、順に設けられている。
樹脂層102の樹脂層101側には、絶縁層141が設けられている。また絶縁層141の樹脂層101側には、遮光層153と、着色層152とが設けられている。着色層152は、発光素子120と重なる領域に設けられている。遮光層153は、発光素子120と重なる部分に開口を有する。
絶縁層141は、樹脂層102の開口部を覆って設けられている。また絶縁層141の樹脂層102の開口部と重なる部分は、接着層50と接している。
〔表示パネル200〕
樹脂層201には、トランジスタ210、導電層221、配向膜224a、絶縁層231、絶縁層232、絶縁層233、絶縁層234等が設けられている。また、樹脂層202には、絶縁層204、導電層223、配向膜224b等が設けられている。また配向膜224aと配向膜224bとの間に液晶222が挟持されている。樹脂層201と樹脂層202とは、図示しない領域で接着層により接着されている。
トランジスタ210は、絶縁層231上に設けられ、ゲート電極として機能する導電層211と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層232の一部と、半導体層212と、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能する導電層213aと、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する導電層213bと、を有する。
半導体層212は、酸化物半導体を含むことが好ましい。
絶縁層233及び絶縁層234は、トランジスタ210を覆って設けられている。絶縁層234は、平坦化層として機能する。
液晶素子220は、導電層221と、導電層223と、これらの間に位置する液晶222と、により構成されている。導電層221は可視光を反射する機能を有し、導電層223は、可視光を透過する機能を有する。したがって、液晶素子220は反射型の液晶素子である。
導電層221は、絶縁層234及び絶縁層233に設けられた開口を介して導電層213bと電気的に接続されている。配向膜224aは、導電層221及び絶縁層234の表面を覆って設けられている。
樹脂層202の樹脂層201側には、導電層223と配向膜224bとが積層されて設けられている。なお、樹脂層202と導電層223との間に絶縁層204が設けられている。また、液晶素子220の反射光を着色するための着色層を設けてもよい。
絶縁層231は、樹脂層201の開口部を覆って設けられている。また、絶縁層231の樹脂層202の開口部と重なる部分は、接着層50と接して設けられている。また、絶縁層204は、樹脂層202の開口部を覆って設けられている。また、絶縁層204の樹脂層202の開口部と重なる部分は、接着層52と接して設けられている。
〔表示装置10〕
表示装置10は、上面から見たときに、発光素子120が、反射型の液晶素子220と重ならない部分を有する。これにより、図7に示すように、発光素子120からは、着色層152によって着色された光21が、視認側に射出される。また、液晶素子220では、導電層221により外光が反射された反射光22が液晶222を介して射出される。
発光素子120から射出された光21は、樹脂層102の開口部、樹脂層201の開口部、及び樹脂層202の開口部を通って視認側に射出される。したがって、樹脂層102、樹脂層201、及び樹脂層202が可視光の一部を吸収する場合であっても、光21の光路上にこれら樹脂層が存在しないため、光取り出し効率や、色再現性を高いものとすることができる。
ここでは、表示パネル200が着色層を有さず、カラー表示を行わない構成としているが、樹脂層202側に着色層を設け、カラー表示可能な構成としてもよい。
以上が構成例についての説明である。
[作製方法例]
以下では、図7で例示した表示装置10の作製方法の例について、図面を参照して説明する。
なお、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
また、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
また、表示装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上に感光性のレジスト材料を塗布し、これをフォトマスク用いて露光した後、現像することによりレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と、がある。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、光や電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
〔樹脂層の形成〕
まず、支持基板61を準備する。支持基板61としては、搬送が容易となる程度に剛性を有する材料であり、且つ作製工程にかかる温度に対して耐熱性を有する材料を用いることができる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂、半導体、金属または合金などの材料を用いることができる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等を用いることができる。
続いて、支持基板61上に、樹脂層101を形成する(図8(A))。
まず、樹脂層101となる材料を支持基板61上に塗布する。塗布は、スピンコート法を用いると大型の基板に均一に薄い樹脂層101を形成できるため好ましい。
他の塗布方法として、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法を用いてもよい。
当該材料は、熱により重合が進行する熱硬化性(熱重合性ともいう)を発現する重合性モノマーを有する。さらに、当該材料は、感光性を有することが好ましい。また当該材料は、粘度を調整するための溶媒が含まれていることが好ましい。
当該材料には、重合後にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂となる、重合性モノマーを含むことが好ましい。すなわち、形成された樹脂層101は、これら樹脂材料を含む。特に当該材料に、イミド結合を有する重合性モノマーを用いることが好ましい。例えば、ポリイミド樹脂に代表される樹脂を樹脂層101に用いると、耐熱性や耐候性を向上させることができるため好ましい。
塗布に用いる当該材料の粘度は、5cP以上500cP未満、好ましくは粘度が5cP以上100cP未満、より好ましくは粘度が10cP以上50cP以下であることが好ましい。材料の粘度が低いほど、塗布が容易となる。また、材料の粘度が低いほど、気泡の混入を抑制でき、良質な膜を形成できる。また材料の粘度が低いほど、薄く均一に塗布することが可能なため、より薄い樹脂層101を形成することができる。
続いて、支持基板61を加熱し、塗布した材料を重合させることで樹脂層101を形成する。このとき、加熱により材料中の溶媒は除去される。また加熱は、後のトランジスタ110の作製工程にかかる最高温度よりも高い温度で加熱することが好ましい。例えば300℃以上600℃以下、好ましくは350℃以上550℃以下、より好ましくは400℃以上500℃以下、代表的には450℃で加熱することが好ましい。樹脂層101の形成時に、樹脂層101の表面が露出した状態でこのような温度で加熱することにより、樹脂層101から脱離しうるガスを除去することができるため、トランジスタ110の作製工程中にガスが脱離することを抑制できる。
樹脂層101の厚さは、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。低粘度の溶液を用いることで、樹脂層101を薄く均一に形成することが容易となる。
また、樹脂層101の熱膨張係数は、0.1ppm/℃以上20ppm/℃以下であることが好ましく、0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることがより好ましい。樹脂層101の熱膨張係数が低いほど、加熱による膨張または収縮に伴う応力により、トランジスタ等が破損することを抑制できる。
また、トランジスタ110の半導体層112に酸化物半導体膜を用いる場合には、低温で形成できるため、樹脂層101に高い耐熱性が要求されない。樹脂層101の耐熱性は、例えば加熱による重量減少率、具体的には5%重量減少温度等により評価できる。樹脂層101の5%重量減少温度は、450℃以下、好ましくは400℃以下、より好ましくは400℃未満、さらに好ましくは350℃未満とすることができる。また、トランジスタ110の形成工程にかかる最高温度を、350℃以下とすることが好ましい。
ここで、樹脂層101に感光性の材料を用いた場合、フォトリソグラフィ法により、一部を除去することが可能となる。具体的には、材料を塗布した後に溶媒を除去するための熱処理(プリベーク処理ともいう)を行い、その後露光を行う。続いて、現像処理を施すことで、不要な部分を除去することができる。また、その後に熱処理(ポストベーク処理ともいう)を行うことが好ましい。2回目の熱処理を、上記で示した温度で行えばよい。
上記方法で樹脂層101に開口部を設けることにより、以下のような構成を実現できる。例えば、開口部を覆うように導電層を配置することで、後述する剥離工程後に、裏面側に一部が露出した電極(裏面電極、貫通電極とも言う)を形成することができる。当該電極は、外部接続端子として用いることもできる。また、例えば2つの表示パネルを貼り合せるためのマーカー部に樹脂層101を設けない構成とすることで、位置合わせ精度を高めることができる。
〔絶縁層131の形成〕
続いて、樹脂層101上に絶縁層131を形成する(図8(B))。
絶縁層131は、樹脂層101に含まれる不純物が、後に形成するトランジスタや発光素子に拡散することを防ぐバリア層として用いることができる。そのためバリア性の高い材料を用いることが好ましい。
絶縁層131としては、例えば窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁材料を用いることができる。また、上述の2以上の絶縁膜を積層して用いてもよい。特に、樹脂層101側から窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜を用いることが好ましい。
また、樹脂層101の表面に凹凸がある場合、絶縁層131は当該凹凸を被覆することが好ましい。また、絶縁層131が当該凹凸を平坦化する平坦化層としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁層131として、有機絶縁材料と無機絶縁材料を積層して用いることが好ましい。有機絶縁材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等の有機樹脂を用いることができる。
絶縁層131は、例えば室温以上400℃以下、好ましくは100℃以上350℃以下、より好ましくは150℃以上300℃以下の温度で形成することが好ましい。
〔トランジスタの形成〕
続いて、図8(C)に示すように、絶縁層131上にトランジスタ110を形成する。ここではトランジスタ110の一例として、ボトムゲート構造のトランジスタを作製する場合の例を示している。
絶縁層131上に導電層111を形成する。導電層111は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
続いて、絶縁層132を形成する。絶縁層132は、絶縁層131に用いることのできる無機絶縁膜を援用できる。
続いて、半導体層112を形成する。半導体層112は、半導体膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該半導体膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
半導体膜は、成膜時の基板温度を室温以上300℃以下、好ましくは室温以上220℃以下、より好ましくは、室温以上200℃以下、さらに好ましくは室温以上170℃以下の温度で形成する。ここで成膜時の基板温度が室温であるとは、基板を加熱しないことを指す。このとき、成膜時に基板が受けるエネルギーにより、室温よりも高い温度になる場合も含む。また、室温とは例えば10℃以上30℃以下の温度範囲を指し、代表的には25℃とする。
半導体膜としては、酸化物半導体を用いることが好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
また、酸化物半導体として、バンドギャップが2.5eV以上、好ましくは2.8eV以上、より好ましくはバンドギャップが3.0eV以上の材料を用いることが好ましい。このような酸化物半導体を用いることにより、後述する剥離工程におけるレーザ光等の光の照射において、当該光が半導体膜を透過するため、トランジスタの電気特性への悪影響が生じにくくなる。
特に、本発明の一態様に用いる半導体膜は、不活性ガス(例えばAr)及び酸素ガスのいずれか一方または両方を含む雰囲気下にて基板を加熱した状態で、スパッタリング法によって成膜することが好ましい。
成膜時の基板温度は室温以上200℃以下、好ましくは室温以上170℃以下の温度とすることが好ましい。基板の温度を高めることにより、配向性を有する結晶部がより多く形成され、電気的な安定性に優れた半導体膜を形成できる。このような半導体膜を用いることで、電気的な安定性に優れたトランジスタを実現できる。また、基板温度を低くする、または加熱しない状態で成膜することで、配向性を有する結晶部の割合が小さく、キャリア移動度の高い半導体膜を形成できる。このような半導体膜を用いることで、高い電界効果移動度を示すトランジスタを実現できる。
また、成膜時の酸素の流量比(酸素分圧)を、0%以上100%未満、好ましくは0%以上50%以下、より好ましくは0%以上33%以下、さらに好ましくは0%以上15%以下とすることが好ましい。酸素流量を低減することにより、キャリア移動度の高い半導体膜を形成でき、より高い電界効果移動度を示すトランジスタを実現できる。
成膜時の基板温度と、成膜時の酸素流量を上述の範囲とすることで、配向性を有する結晶部と、配向性を有さない結晶部とが混在した半導体膜を得ることができる。また、基板温度と酸素流量を上述の範囲内で最適化することにより、配向性を有する結晶部と配向性を有さない結晶部の存在割合を制御することが可能となる。
半導体膜の成膜に用いることの可能な酸化物ターゲットとしては、In−Ga−Zn系酸化物に限られず、例えば、In−M−Zn系酸化物(Mは、Al、Y、またはSn)を適用することができる。
また、複数の結晶粒を有する多結晶酸化物を含むスパッタリングターゲットを用いて、結晶部を含む半導体膜を成膜すると、多結晶酸化物を含まないスパッタリングターゲットを用いた場合に比べて、結晶性を有する半導体膜が得られやすい。
特に、膜の厚さ方向(膜面方向、膜の被形成面、または膜の表面に垂直な方向ともいう)に配向性を有する結晶部と、このような配向性を有さずに無秩序に配向する結晶部が混在した半導体膜を適用したトランジスタは、電気特性の安定性を高くできる、チャネル長を微細にすることが容易となる、などの特徴がある。一方、配向性を有さない結晶部のみで構成される半導体膜を適用したトランジスタは、電界効果移動度を高めることができる。なお、後述するように、酸化物半導体中の酸素欠損を低減することにより、高い電界効果移動度と高い電気特性の安定性を両立したトランジスタを実現することができる。
このように、酸化物半導体膜を用いることで、LTPSで必要であった高い温度での加熱処理や、レーザ結晶化処理が不要であり、極めて低温で半導体層112を形成できる。そのため、樹脂層101を薄く形成することが可能となる。
続いて、導電層113a及び導電層113bを形成する。導電層113a及び導電層113bは、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
なお、導電層113a及び導電層113bの加工の際に、レジストマスクに覆われていない半導体層112の一部がエッチングにより薄膜化する場合がある。半導体層112として配向性を有する結晶部を含む酸化物半導体膜を用いると、この薄膜化を抑制できるため好ましい。
以上のようにして、トランジスタ110を作製できる。トランジスタ110は、チャネルが形成される半導体層112に、酸化物半導体を含むトランジスタである。またトランジスタ110において、導電層111の一部はゲートとして機能し、絶縁層132の一部はゲート絶縁層として機能し、導電層113a及び導電層113bは、それぞれソース又はドレインのいずれか一方として機能する。
〔絶縁層133の形成〕
続いて、トランジスタ110を覆う絶縁層133を形成する。絶縁層133は、絶縁層132と同様の方法により形成することができる。
絶縁層133は例えば室温以上400℃以下、好ましくは100℃以上350℃以下、より好ましくは150℃以上300℃以下の温度で形成することが好ましい。温度が高いほど緻密でバリア性の高い絶縁膜とすることができる。
また、絶縁層133として、酸素を含む雰囲気下で上述のような低温で成膜した酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等の酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。また当該酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜上に窒化シリコン膜などの酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層して形成することが好ましい。酸素を含む雰囲気下で低温で形成した酸化物絶縁膜は、加熱により多くの酸素を放出しやすい絶縁膜とすることができる。このような酸素を放出する酸化物絶縁膜と、酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層した状態で、加熱処理を行うことにより、半導体層112に酸素を供給することができる。その結果、半導体層112中の酸素欠損、及び半導体層112と絶縁層133の界面の欠陥を修復し、欠陥準位を低減することができる。これにより、極めて信頼性の高い半導体装置を実現できる。
以上の工程により、可撓性を有する樹脂層101上にトランジスタ110と、これを覆う絶縁層133を形成することができる。なお、この段階において、後述する方法を用いて樹脂層101と支持基板61とを分離することで、表示素子を有さないフレキシブルデバイスを作製することもできる。例えば、トランジスタ110や、トランジスタ110に加えて容量素子、抵抗素子、及び配線などを形成することで、半導体回路を有するフレキシブルデバイスを作製することができる。
〔絶縁層134の形成〕
続いて、絶縁層133上に絶縁層134を形成する。絶縁層134は、後に形成する表示素子の被形成面を有する層であるため、平坦化層として機能する層であることが好ましい。絶縁層134は、絶縁層131に用いることのできる有機絶縁膜または無機絶縁膜を援用できる。
絶縁層134は、樹脂層101と同様に、感光性及び熱硬化性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。特に、絶縁層134と樹脂層101とに、同じ材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層134と樹脂層101を形成するための装置を共通化することが可能となる。
また、絶縁層134の厚さは、樹脂層101と同様に、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。低粘度の溶液を用いることで、絶縁層134を薄く均一に形成することが容易となる。
〔発光素子120の形成〕
続いて、絶縁層134及び絶縁層133に、導電層113b等に達する開口を形成する。
その後、導電層121を形成する。導電層121は、その一部が画素電極として機能する。導電層121は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
続いて、図8(D)に示すように、導電層121の端部を覆う絶縁層135を形成する。絶縁層135は、絶縁層131に用いることのできる有機絶縁膜または無機絶縁膜を援用できる。
絶縁層135は、樹脂層101と同様に、感光性及び熱硬化性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。特に、絶縁層135と樹脂層101とに、同じ材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層135と樹脂層101を形成するための装置を共通化することが可能となる。
また、絶縁層135は、樹脂層101と同様に、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。低粘度の溶液を用いることで、絶縁層135を薄く均一に形成することが容易となる。
続いて、図8(E)に示すように、EL層122及び導電層123を形成する。
EL層122は、蒸着法、塗布法、印刷法、吐出法などの方法で形成することができる。EL層122を画素毎に作り分ける場合、メタルマスクなどのシャドウマスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法等により形成することができる。EL層122を画素毎に作り分けない場合には、メタルマスクを用いない蒸着法を用いることができる。ここでは、メタルマスクを用いない蒸着法により形成した例を示している。
導電層123は、蒸着法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。
以上のようにして、発光素子120を形成することができる。発光素子120は、一部が画素電極として機能する導電層121、EL層122、及び一部が共通電極として機能する導電層123が積層された構成を有する。
〔光吸収層103aの形成〕
支持基板62を準備する。支持基板62は、支持基板61の記載を援用することができる。
続いて、支持基板62上に、光吸収層103aを形成する(図9(A))。光吸収層103aは、後の光70の照射工程において、当該光70を吸収し、発熱することにより、水素または酸素等を放出する層である。
光吸収層103aとしては、例えば加熱により水素が放出される、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)膜を用いることができる。水素化アモルファスシリコン膜は、例えばSiH4を成膜ガスに含むプラズマCVD法により成膜することができる。また、さらに水素を多く含有させるため、成膜後に水素を含む雰囲気下で加熱処理をしてもよい。
または、光吸収層103aとして、加熱により酸素が放出される酸化物膜を用いることもできる。特に、酸化物半導体膜または不純物準位を有する酸化物半導体膜(酸化物導電体膜ともいう)は、酸化シリコン膜等の絶縁膜に比べて、バンドギャップが狭く、光を吸収しやすいため好ましい。酸化物半導体を用いる場合、上述した半導体層112の形成方法、及び後述する半導体層に用いることのできる材料を援用できる。酸化物膜は、例えば酸素を含む雰囲気下でプラズマCVD法やスパッタリング法等により成膜することができる。特に酸化物半導体膜を用いる場合には、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により成膜することが好ましい。また、さらに酸素を含有させるため、成膜後に酸素を含む雰囲気下で加熱処理をしてもよい。
または、光吸収層103aに用いることのできる酸化物膜として、酸化物絶縁膜を用いてもよい。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、等を用いることもできる。例えば、このような酸化物絶縁膜を、酸素を含む雰囲気下にて、低温(例えば250℃以下、好ましくは220℃以下)で成膜することで、酸素を過剰に含有した酸化物絶縁膜を形成することができる。成膜は、例えばスパッタリング法またはプラズマCVD法等を用いることができる。
〔樹脂層102の形成〕
続いて、光吸収層103a上に、開口部を有する樹脂層102を形成する(図9(B))。樹脂層102の形成方法及び材料については、開口部を形成する部分以外は樹脂層101と同様の方法及び材料を用いることができる。
樹脂層102の形成は、まず感光性の材料を光吸収層103a上に塗布して薄膜を形成し、プリベーク処理を行う。続いて、フォトマスクを用いて当該材料を露光し、現像処理を行うことで、開口部を有する樹脂層102を形成することができる。その後、ポストベーク処理を行い、材料を十分に重合させるとともに、膜中のガスを除去する。
〔絶縁層141の形成〕
続いて、樹脂層102、及び樹脂層102の開口部を覆って絶縁層141を形成する(図9(C))。絶縁層141の一部は、光吸収層103aと接して設けられる。絶縁層141は、樹脂層102に含まれる不純物が、後に形成するトランジスタや発光素子に拡散することを防ぐバリア層として用いることができる。そのためバリア性の高い材料を用いることが好ましい。
絶縁層141の形成方法及び材料については、絶縁層131の記載を援用できる。
〔遮光層、着色層の形成〕
続いて、絶縁層141上に遮光層153及び着色層152を形成する(図9(D))。
遮光層153は、金属材料または樹脂材料を用いることができる。金属材料を用いる場合には、導電膜を成膜した後に、フォトリソグラフィ法等を用いて不要な部分を除去することにより形成できる。また金属材料、顔料または染料を含む感光性の樹脂材料を用いた場合は、フォトリソグラフィ法等により形成することができる。
また、着色層152は、感光性の材料を用いることで、フォトリソグラフィ法等により島状に加工することができる。
以上により、樹脂層102上に絶縁層141、遮光層153及び着色層152を形成することができる。なお、樹脂層101側の作製工程と、樹脂層102側の作製工程は、互いに独立して行うことができるため、その順序は問われない。またはこれら2つの工程を並行して行ってもよい。
〔貼り合せ〕
続いて、図9(E)に示すように、支持基板61と支持基板62とを、接着層151を用いて貼り合せる。貼り合せは、樹脂層102の開口部と、発光素子120とが重なるように行う。そして、接着層151を硬化させる。これにより、発光素子120を接着層151で封止することができる。
接着層151は、硬化型の材料を用いることが好ましい。例えば光硬化性を示す樹脂、反応硬化性を示す樹脂、熱硬化性を示す樹脂等を用いることができる。特に、溶媒を含まない樹脂材料を用いることが好ましい。
以上の工程により、表示パネル100を作製することができる。図9(E)に示す時点では、表示パネル100は、支持基板61及び支持基板62に挟持された状態である。
〔光吸収層103bの形成〕
支持基板63を準備し、支持基板63上に光吸収層103bを形成する。支持基板63は、支持基板61の記載を援用できる。
光吸収層103bは、上記光吸収層103aと同様の材料、及び方法により形成することができる。
〔樹脂層201の形成〕
続いて、光吸収層103b上に、開口部を有する樹脂層201を形成する。樹脂層201の形成方法及び材料については、樹脂層102と同様の方法を用いることができる。
〔絶縁層231の形成〕
続いて、樹脂層201、及び樹脂層201の開口部を覆って絶縁層231を形成する(図10(A))。絶縁層231の形成方法及び材料については、絶縁層131の記載を援用できる。
〔トランジスタ210の形成〕
続いて、図10(B)に示すように、絶縁層231上に、トランジスタ210を形成する。
トランジスタ210は、導電層211、絶縁層231、半導体層212、ならびに導電層213a及び導電層213bを、順に形成することにより形成する。各層の形成方法は、上記トランジスタ110の形成方法の記載を援用できる。
トランジスタ210は、チャネルが形成される半導体層212に、酸化物半導体を含むトランジスタである。またトランジスタ210において、導電層211の一部はゲートとして機能し、絶縁層232の一部はゲート絶縁層として機能し、導電層213a及び導電層213bは、それぞれソース又はドレインのいずれか一方として機能する。
〔導電層221、配向膜224aの形成〕
続いて、絶縁層234及び絶縁層233に、導電層213bに達する開口部を形成する。
その後、導電層221を形成する。導電層221は、その一部が画素電極として機能する。導電層221は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
続いて、図10(C)に示すように、導電層221及び絶縁層234上に配向膜224aを形成する。配向膜224aは、樹脂等の薄膜を成膜した後に、ラビング処理を行うことにより形成できる。
以上の工程により、樹脂層201上に、トランジスタ210、導電層221及び配向膜224a等を形成することができる。
〔光吸収層103cの形成〕
支持基板64を準備し、支持基板64上に光吸収層103cを形成する。支持基板64は、支持基板61の記載を援用することができる。
光吸収層103cは、上記光吸収層103aと同様の材料、及び方法により形成することができる。
〔樹脂層202の形成〕
続いて、光吸収層103c上に、開口部を有する樹脂層202を形成する。樹脂層202の形成方法及び材料については、樹脂層101と同様の方法を用いることができる。
〔絶縁層204の形成〕
続いて、樹脂層202、及び樹脂層202の開口部を覆って絶縁層204を形成する(図10(D))。絶縁層204の形成方法及び材料については、絶縁層131の記載を援用できる。
〔導電層223、配向膜224bの形成〕
続いて、絶縁層204上に導電層223を形成する。導電層223は、導電膜を成膜することにより形成することができる。なお、導電層223は、メタルマスクなどのシャドウマスクを用いたスパッタリング法等の方法により、樹脂層202の外周部に導電層223が設けられないように形成してもよい。または、導電膜を成膜した後に当該導電膜の不要な部分をエッチング法等により除去してもよい。
続いて、導電層223上に配向膜224bを形成する(図10(E))。配向膜224bは、配向膜224aと同様の方法により形成できる。
以上により、樹脂層202上に絶縁層204、導電層223、及び配向膜224bを形成することができる。なお、樹脂層201側の作製工程と、樹脂層202側の作製工程は、互いに独立して行うことができるため、その順序は問われない。またはこれら2つの工程を並行して行ってもよい。
〔貼り合せ〕
続いて、図10(F)に示すように、支持基板63と支持基板64とを、液晶222を挟んで貼り合せる。このとき、樹脂層201の開口部と、樹脂層202の開口部とが重なるように、貼り合せを行う。またこのとき、樹脂層201と樹脂層202とを、外周部において図示しない接着層により接着する。
例えば、樹脂層201と樹脂層202のいずれか一方、または両方に、これらを接着する接着層(図示しない)を形成する。接着層は、画素が配置されている領域を囲むように形成する。接着層は、例えばスクリーン印刷法や、ディスペンス法等により形成することができる。接着層としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂等を用いることができる。また、紫外線により仮硬化した後に、熱を加えることにより硬化する樹脂などを用いてもよい。または、接着層として、紫外線硬化性と熱硬化性の両方を有する樹脂などを用いてもよい。
続いて、液晶222をディスペンス法等により接着層に囲まれた領域に滴下する。続いて、液晶222を挟むように支持基板63と支持基板64とを貼り合せ、接着層を硬化する。貼り合せは、減圧雰囲気下で行うと支持基板63と支持基板64との間に気泡等が混入することを防ぐことができるため好ましい。
なお、液晶222の滴下後に、画素が配置されている領域や、当該領域の外側に粒状のギャップスペーサを散布してもよい。また、画素が配置されている領域や、当該領域の外側にギャップスペーサを含む液晶222を滴下してもよい。また、液晶222は、支持基板63と支持基板64を貼り合せた後に、減圧雰囲気下において、接着層に設けた隙間から注入する方法を用いてもよい。
以上の工程により、表示パネル200を作製することができる。図10(F)に示す時点では、表示パネル200は、支持基板63及び支持基板64に挟持された状態である。
〔支持基板62の分離〕
続いて、図11(A)に示すように、表示パネル100の支持基板62側から、支持基板62を介して光吸収層103aに光70を照射する。
光70としては、好適にはレーザ光を用いることができる。特に、線状のレーザ光を用いることが好ましい。
なお、レーザ光と同等のエネルギーの光を照射可能であれば、フラッシュランプ等を用いてもよい。
光70は、少なくともその一部が支持基板62を透過し、且つ光吸収層103aに吸収される波長の光を選択して用いる。また、光70は、樹脂層102に吸収される波長の光を用いることが好ましい。特に、光70の波長としては、可視光線から紫外線の波長領域の光を用いることが好ましい。例えば波長が200nm以上400nm以下の光、好ましくは波長が250nm以上350nm以下の光を用いることが好ましい。特に、波長308nmのエキシマレーザを用いると、生産性に優れるため好ましい。エキシマレーザは、LTPSにおけるレーザ結晶化にも用いるため、既存のLTPS製造ラインの装置を流用することができ、新たな設備投資を必要としないため好ましい。また、Nd:YAGレーザの第三高調波である波長355nmのUVレーザなどの固体UVレーザ(半導体UVレーザともいう)を用いてもよい。また、ピコ秒レーザ等のパルスレーザーを用いてもよい。
光70として、線状のレーザ光を用いる場合には、支持基板61と光源とを相対的に移動させることで光70を走査し、剥離したい領域に亘って光70を照射する。この段階では、樹脂層102が配置される全面に亘って照射すると、樹脂層102全体が剥離可能となり、後の分離の工程で支持基板62の外周部をスクライブ等により分断する必要がない。または、樹脂層102が配置される領域の外周部に光70を照射しない領域を設けると、光70の照射時に樹脂層102と支持基板62とが分離してしまうことを抑制できるため好ましい。
光70の照射により、光吸収層103aが加熱され、光吸収層103aから水素または酸素等が放出される。このとき放出される水素または酸素等は、ガス状となって放出される。放出されたガスは光吸収層103aと樹脂層102の界面近傍、または光吸収層103aと支持基板62の界面近傍に留まり、これらを引き剥がす力が生じる。その結果、光吸収層103aと樹脂層102の密着性、または光吸収層103aと支持基板62の密着性が低下し、容易に剥離可能な状態とすることができる。
また、光吸収層103aから放出されるガスの一部が、光吸収層103a中に留まる場合もある。そのため、光吸収層103aが脆化し、光吸収層103aの内部で分離しやすい状態となる場合がある。
また、光吸収層103aとして、酸素を放出する膜を用いた場合、光吸収層103aから放出された酸素により、樹脂層102の一部が酸化され、脆化する場合がある。これにより、樹脂層102と光吸収層103aとの界面で剥離しやすい状態とすることができる。
また、樹脂層102の開口部と重なる領域においても、上記と同じ理由により、光吸収層103aと絶縁層141との界面、光吸収層103aと支持基板62の界面の密着性が低下し、剥離しやすい状態となる。または、光吸収層103aが脆化し、分離しやすい状態となる場合もある。
一方、光70を照射していない領域は、密着性は高いままである。
ここで、光吸収層103aと、半導体層112とにそれぞれ酸化物半導体膜を用いた場合、光70としては、当該酸化物半導体膜が吸収しうる波長の光を用いる。しかしながら、トランジスタ110の上側には、光吸収層103aと樹脂層102とが積層されて配置されている。さらに、十分に加熱処理が施された樹脂層102は酸化物半導体膜よりも光を吸収しやすい傾向があり、厚さが薄くても十分に光を吸収することができる。したがって、光70のうち光吸収層103aで吸収しきれずに透過する光が存在しても、樹脂層102によって吸収されるため、これが半導体層112に到達することが抑制される。その結果、トランジスタ110の電気特性の変動はほとんど生じない。
続いて、支持基板62と樹脂層102とを分離する(図11(B1))。
分離は、支持基板61をステージに固定した状態で、支持基板62に垂直方向に引っ張る力をかけることにより行うことができる。例えば支持基板62の上面の一部を吸着し、上方に引っ張ることにより、引き剥がすことができる。ステージは、支持基板61を固定できればどのような構成でもよいが、例えば真空吸着、静電吸着などが可能な吸着機構を有していてもよいし、支持基板61を物理的に留める機構を有していてもよい。
また、分離は表面に粘着性を有するドラム状の部材を支持基板62の上面に押し当て、これを回転させることにより行ってもよい。このとき、剥離方向にステージを動かしてもよい。
また、樹脂層102の外周部に光70を照射しない領域を設けた場合、樹脂層102の光70を照射した部分の一部に切欠き部を形成し、剥離のきっかけとしてもよい。切欠き部は、例えば鋭利な刃物または針状の部材を用いることや、支持基板62と樹脂層102を同時にスクライブにより切断すること等により形成することができる。
図11(B1)では、光吸収層103aと樹脂層102の界面、及び光吸収層103aと絶縁層141の界面で分離が生じている例を示している。
また、図11(B2)では、光吸収層103aの一部である光吸収層103aaが、樹脂層102及び絶縁層141の表面に接して残存している例を示している。例えば、光吸収層103aの内部で分離(破断)が生じている場合に相当する。なお、光吸収層103aと支持基板62との界面で分離が生じる場合には、光吸収層103aの全部が樹脂層102及び絶縁層141の表面に接して残存する場合がある。
このように、光吸収層103aa(または光吸収層103a)が残存した場合、これを除去することが好ましい。光吸収層103aaの除去は、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができるが、特にドライエッチング法を用いることが好ましい。なお、光吸収層103aaを除去する際に、樹脂層102の一部、及び絶縁層141の一部がエッチングにより薄くなる場合がある。
なお、光吸収層103aに透光性を有する絶縁性材料を用いた場合には、残存した光吸収層103aaを残したままの状態としてもよい。
〔支持基板63の分離〕
続いて、図12(A)に示すように、表示パネル200の支持基板63側から、支持基板63を介して光吸収層103bに光70を照射する。
光70の照射方法については、上記の記載を援用できる。
続いて、支持基板63と樹脂層201とを分離する(図12(B))。分離は、上記の記載を援用することができる。図12(B)では、光吸収層103bと樹脂層201との界面、及び光吸収層103bと絶縁層231の界面で分離が生じている例を示している。
〔表示パネル100と表示パネル200の貼り合せ〕
続いて、図13(A)に示すように、表示パネル100の樹脂層102と、表示パネル200の樹脂層201とを、接着層50によって貼り合せる。接着層50としては、上記接着層151の記載を援用できる。
表示パネル100と表示パネル200とは、樹脂層102の開口部と、樹脂層201の開口部と、樹脂層202の開口部と、発光素子120とがそれぞれ重なるように貼り合せることが重要である。
このとき、表示パネル100と表示パネル200の位置ずれが生じてしまうと、発光素子120からの光が、表示パネル200の遮光性の部材に遮られてしまう場合がある。また、発光素子120からの光の光路上に、樹脂層201または樹脂層202が位置してしまう場合がある。そのため、表示パネル100と表示パネル200には、それぞれ位置合わせ用のマーカーが形成されていることが好ましい。また、本作製方法例によれば、貼り合せの段階において、支持基板61と支持基板64を有しているため、可撓性を有する表示パネル同士を貼り合せる場合と比較して、位置合わせの精度を高めることが可能で、表示装置の高精細化が可能となる。例えば500ppiを超える精細度の表示装置を実現することができる。
〔支持基板61の分離〕
続いて、支持基板61側から、支持基板61を介して樹脂層101に光70(図示しない)を照射する。光70(図示しない)の照射方法については、上記の記載を援用できる。光70の照射により、樹脂層101の支持基板61側の表面近傍、または樹脂層101の内部の一部が改質され、支持基板61と樹脂層101との密着性が低下する。
その後、図13(B)に示すように支持基板61と樹脂層101とを分離する。
図13(B)には、支持基板61側に樹脂層101の一部である樹脂層101aが残存している例を示す。光70の照射条件によっては、樹脂層101の内部で分離(破断)が生じ、このように樹脂層101aが残存する場合がある。または、樹脂層101の表面の一部が融解する場合にも、同様に支持基板61側に樹脂層101aの一部が残存することがある。なお、支持基板61と樹脂層101の界面で分離する場合、支持基板61側に樹脂層101aが残存しないことがある。
支持基板61側に残存する樹脂層101aの厚さは、例えば、100nm以下、具体的には40nm以上70nm以下程度とすることができる。残存した樹脂層101aを除去することで、支持基板61は再利用が可能である。例えば、支持基板61にガラスを用い、樹脂層101にポリイミド樹脂を用いた場合は、発煙硝酸等を用いて樹脂層101aを除去することができる。
分離は、支持基板64をステージ等に固定した状態で行うことができる。分離方法については、上記の記載を援用できる。
〔基板11の貼り合せ〕
続いて、図14(A)に示すように、接着層51を用いて樹脂層101と基板11とを貼り合せる。
接着層51は、上記接着層151の記載を援用できる。
基板11及び後述する基板12としては、樹脂材料を用いると、同じ厚さであってもガラス等を用いた場合に比べて、表示装置を軽量化できる。また、可撓性を有する程度に薄い材料を用いると、より軽量化できるため好ましい。また、樹脂材料を用いることで、表示装置の耐衝撃性を向上させることができ、割れにくい表示装置を実現できる。
また、基板11は視認側とは反対側に位置する基板であるため、可視光に対して透光性を有していなくてもよい。そのため、金属材料を用いることもできる。金属材料は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができる。
〔支持基板64の分離〕
続いて、支持基板64側から、支持基板64を介して光吸収層103cに光70(図示しない)を照射する。その後、図14(B)に示すように支持基板64と樹脂層202とを分離する。図14(B)では、光吸収層103cと樹脂層202の界面、及び光吸収層103cと絶縁層204の界面において分離が生じている例を示している。
光70(図示しない)の照射方法については、上記の記載を援用できる。
分離は、基板11をステージ等に固定した状態で行うことができる。分離方法については、上記の記載を援用できる。
〔基板12の貼り合せ〕
続いて、接着層52を用いて樹脂層202と基板12とを貼り合せる。
接着層52は、上記接着層151の記載を援用できる。
基板12は、視認側に位置する基板であるため、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。
〔光拡散板15および偏光板16の形成〕
続いて、基板12上に光拡散板15および偏光板16を設形成する。
以上の工程により、図7に示す表示装置10を作製することができる。
[作製方法例の変形例]
以下では、光吸収層を用いずに、開口部を有する樹脂層を形成する方法について説明する。
なお、ここでは、表示パネル100の樹脂層102を例に挙げて説明するが、同様の方法を表示パネル200が有する樹脂層201及び樹脂層202にも適用できる。
〔変形例1〕
まず、図15(A)に示すように凹部を有する樹脂層102を形成する。
まず、樹脂層102となる材料を支持基板62上に塗布し、プリベーク処理を行う。続いて、フォトマスクを用いて露光を行う。このとき、樹脂層102に開口部を形成する条件よりも露光量を減らすことで、樹脂層102に凹部を形成することができる。例えば、樹脂層102に開口部を形成する露光条件よりも、短い露光時間で露光する、露光の強度を弱める、焦点をずらす、樹脂層102を厚く形成するなどの方法が挙げられる。
また、樹脂層102に開口部と凹部の両方を形成したい場合には、ハーフトーンマスク、またはグレートーンマスクを用いた露光技術、または2以上のフォトマスクを用いた多重露光技術を用いればよい。
このようにして露光を行った後、現像処理を施すことで凹部が形成された樹脂層102を形成することができる。またその後にポストベーク処理を行う。
続いて、図15(B)に示すように、樹脂層102の上面及び凹部を覆って絶縁層141を形成する。
図15(C)は、支持基板61と支持基板62とを貼り合せた後に、光70を照射する工程における図である。光70を照射することで樹脂層102と支持基板62との密着性が低下する。
図15(D)は、支持基板62を剥離した後の状態における断面概略図である。
その後、樹脂層102の表面側の一部を、絶縁層141の表面が露出するようにエッチングすることで、図15(E)に示すように、開口部を有する樹脂層102を形成することができる。エッチングは、例えば酸素を含む雰囲気下でのプラズマ処理(アッシング処理)を用いると、制御性が高まり、均一にエッチングできるため好ましい。
なお、樹脂層102をエッチングせずに、図15(D)に示した状態のままとしてもよい。この構成でも、発光素子120からの光の経路上に位置する樹脂層102の厚さが他の部分の樹脂層102よりも薄いため、光の吸収が抑制され、光取り出し効率を高めることができる。
〔変形例2〕
まず、図16(A)に示すように、支持基板62に樹脂層102bと、開口部を有する樹脂層102cとを、積層して形成する。
樹脂層102bは、上記樹脂層101と同様に形成することができる。また樹脂層102cは、上記樹脂層102、樹脂層201等と同様に形成することができる。
ここで、先に形成する樹脂層102bに対して十分に加熱処理を施し、重合させておくことが好ましい。これにより、樹脂層102bと樹脂層102cに同じ材料を用いた場合であっても、後に形成する樹脂層102cとなる材料を塗布した時に、これに含まれる溶媒に樹脂層102bが溶けてしまうことを抑制できる。
図16(B)は支持基板61と支持基板62とを貼り合せた後に、光70を照射する工程における図である。光70を照射することで樹脂層102cと支持基板62との密着性が低下する。
図16(C)は、支持基板62を剥離した後の状態における断面概略図である。
その後、樹脂層102cを、絶縁層141の表面が露出するようにエッチングすることで、図16(D)に示すように、開口部を有する樹脂層102を形成することができる。エッチングは、例えば酸素を含む雰囲気下でのプラズマ処理(アッシング処理)を用いると、制御性が高まり、均一にエッチングできるため好ましい。
なお、樹脂層102bと樹脂層102cとに同じ材料を用いると、材料や装置を共通化できるため生産性を向上させることができる。また、これらに異なる材料を用いると、エッチング速度の選択比を大きくできるため、加工条件の自由度を広げることができる。
なお、樹脂層102bをエッチングせずに、図16(C)に示した状態のままとしてもよい。この構成でも、発光素子120からの光の経路上に位置する樹脂層102の厚さが他の部分よりも薄いため、光の吸収が抑制され、光取り出し効率を高めることができる。
以上が作製方法例の変形例についての説明である。
[構成例の変形例]
以下では、図7で示した構成例と比較して、一部の構成の異なる構成例について説明する。
図7では、発光素子120からの光の経路上に位置する樹脂層に、開口部を設ける構成としたが、反射型の液晶素子220における光の経路上に位置する樹脂層にも開口部を設けてもよい。
図17には、領域81に加えて領域82を有する例を示している。領域82は、樹脂層202の開口部、及び液晶素子220と重なる領域である。
なお、図17では樹脂層202に、発光素子120及び液晶素子220の両方を包含する1つの開口部が設けられている例を示したが、発光素子120と重なる開口部と、液晶素子220と重なる開口部とが別々に設けられた構成としてもよい。
[トランジスタについて]
図17で例示した表示装置10は、トランジスタ110とトランジスタ210の両方に、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合の例である。
トランジスタ110は、ゲート電極として機能する導電層111が、半導体層112よりも被形成面側(樹脂層101側)に位置する。また、絶縁層132が導電層111を覆って設けられている。また半導体層112は、導電層111を覆って設けられている。半導体層112の導電層111と重なる領域が、チャネル形成領域に相当する。また、導電層113a及び導電層113bは、それぞれ半導体層112の上面及び側端部に接して設けられている。
なお、トランジスタ110は、導電層111よりも半導体層112の幅が大きい場合の例を示している。このような構成により、導電層111と導電層113aまたは導電層113bの間に半導体層112が配置されるため、導電層111と導電層113aまたは導電層113bとの間の寄生容量を小さくすることができる。
トランジスタ110は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、トランジスタの占有面積を縮小することが比較的容易であるため、高精細な表示装置に好適に用いることができる。
トランジスタ210は、トランジスタ110と共通の特徴を有している。
ここで、トランジスタ110及びトランジスタ210に適用可能な、トランジスタの構成例について説明する。
図18(A)に示したトランジスタ110aは、トランジスタ110と比較して、導電層114及び絶縁層136を有する点で相違している。導電層114は、絶縁層133上に設けられ、半導体層112と重なる領域を有する。また絶縁層136は、導電層114及び絶縁層133を覆って設けられている。
導電層114は、半導体層112を挟んで導電層111とは反対側に位置している。導電層111を第1のゲート電極とした場合、導電層114は、第2のゲート電極として機能することができる。導電層111と導電層114に同じ電位を与えることで、トランジスタ110aのオン電流を高めることができる。また導電層111及び導電層114の一方にしきい値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタ110aのしきい値電圧を制御することができる。
ここで、導電層114として、酸化物を含む導電性材料を用いることが好ましい。これにより、導電層114を構成する導電膜の成膜時に、酸素を含む雰囲気下で成膜することで、絶縁層133に酸素を供給することができる。好適には、成膜ガス中の酸素ガスの割合を90%以上100%以下の範囲とすることが好ましい。絶縁層133に供給された酸素は、後の熱処理により半導体層112に供給され、半導体層112中の酸素欠損の低減を図ることができる。
特に、導電層114には低抵抗化された酸化物半導体を用いることが好ましい。このとき、絶縁層136に水素を放出する絶縁膜、例えば窒化シリコン膜等を用いることが好ましい。絶縁層136の成膜中、またはその後の熱処理によって導電層114中に水素が供給され、導電層114の電気抵抗を効果的に低減することができる。
図18(B)に示すトランジスタ110bは、トップゲート構造のトランジスタである。
トランジスタ110bは、ゲート電極として機能する導電層111が、半導体層112よりも上側(被形成面側とは反対側)に設けられている。また、絶縁層131上に半導体層112が形成されている。また半導体層112上には、絶縁層132及び導電層111が積層して形成されている。また、絶縁層133は、半導体層112の上面及び側端部、絶縁層132の側面、及び導電層111を覆って設けられている。導電層113a及び導電層113bは、絶縁層133上に設けられている。導電層113a及び導電層113bは、絶縁層133に設けられた開口部を介して、半導体層112の上面と電気的に接続されている。
なお、ここでは絶縁層132が、導電層111と重ならない部分に存在しない場合の例を示しているが、絶縁層132が半導体層112の上面及び側端部を覆って設けられていてもよい。
トランジスタ110bは、導電層111と導電層113aまたは導電層113bとの物理的な距離を離すことが容易なため、これらの間の寄生容量を低減することが可能である。
図18(C)に示すトランジスタ110cは、トランジスタ110bと比較して、導電層115及び絶縁層137を有している点で相違している。導電層115は絶縁層131上に設けられ、半導体層112と重なる領域を有する。また絶縁層137は、導電層115及び絶縁層131を覆って設けられている。
導電層115は、上記導電層114と同様に第2のゲート電極として機能する。そのため、オン電流を高めることや、しきい値電圧を制御することなどが可能である。
ここで、表示装置10において、表示パネル100が有するトランジスタと、表示パネル200が有するトランジスタとを、異なるトランジスタで構成してもよい。一例としては、発光素子120と電気的に接続するトランジスタは、比較的大きな電流を流す必要があるためトランジスタ110aやトランジスタ110cを適用し、その他のトランジスタには、トランジスタの占有面積を低減するために、トランジスタ110を適用することができる。
一例として、図19には、図17のトランジスタ210に代えてトランジスタ110aを適用し、図17のトランジスタ110に代えてトランジスタ110cを適用した場合の例を示している。
以上がトランジスタについての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な例について説明する。以下で例示する表示装置は、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置である。
[構成例]
図20(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置400は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置400は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素410、及び回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及び複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素410、及び回路SDと電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDと、発光素子を駆動する回路GD及び回路SDとを、別々に設けてもよい。
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
図20(B1)は、画素410が有する電極311bの構成例を示す。電極311bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また電極311bには、開口451が設けられている。
図20(B1)には、電極311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示している。発光素子360は、電極311bが有する開口451と重ねて配置されている。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
図20(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。このとき、図20(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口451が一列に配列されないように、電極311bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することができるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
また、図20(B2)に示すような配列としてもよい。
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
また、反射電極として機能する電極311bに設ける開口451の面積が小さすぎると、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
[回路構成例]
図21は、画素410の構成例を示す回路図である。図21では、隣接する2つの画素410を示している。
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C2、及び発光素子360等を有する。また、画素410には、配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続されている。また、図21では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、及び発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
図21では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子340の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
またスイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソース又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又はドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
図21では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御する信号を与えることができる。
図21に示す画素410は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また両方のモードで駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
なお、図21では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360とを有する例を示したが、これに限られない。図22(A)は、一つの画素410に一つの液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、360w)を有する例を示している。図22(A)に示す画素410は、図21とは異なり、1つの画素でフルカラーの表示が可能な画素である。
図22(A)では図21の例に加えて、画素410に配線G3及び配線S3が接続されている。
図22(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
また、図22(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極311が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bとを有する。発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
[表示装置の構成例]
図23は、本発明の一態様の表示装置300の斜視概略図である。表示装置300は、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。図23では、基板361を破線で明示し、基板361上にこの順で上から設けられる偏光板599および光拡散板598は省略している。
表示装置300は、表示部362、回路部364、配線365、回路部366、配線367等を有する。基板351には、例えば回路部364、配線365、回路部366、配線367及び画素電極として機能する電極311b等が設けられる。また図23では基板351上にIC373、FPC372、IC375及びFPC374が実装されている例を示している。そのため、図23に示す構成は、表示装置300とIC373、FPC372、IC375及びFPC374を有する表示モジュールと言うこともできる。
回路部364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
配線365は、表示部や回路部364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC372を介して外部、またはIC373から配線365に入力される。
また、図23では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、または信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示装置300が走査線駆動回路及び信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して表示装置300を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としてもよい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC372に実装してもよい。
図23には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する電極311bがマトリクス状に配置されている。電極311bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
また、図23に示すように、電極311bは開口を有する。さらに電極311bよりも基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、電極311bの開口を介して基板361側に射出される。
[断面構成例]
図24に、図23で例示した表示装置の、FPC372を含む領域の一部、回路部364を含む領域の一部、表示部362を含む領域の一部、回路部366を含む領域の一部、及びFPC374を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
図24に示す表示装置は、表示パネル100と、表示パネル200とが積層された構成を有する。表示パネル100は、樹脂層101と樹脂層102を有する。表示パネル200は、樹脂層201と樹脂層202を有する。樹脂層102と樹脂層201とは、接着層50によって接着されている。また樹脂層101は、接着層51により基板351と接着されている。また樹脂層202は、接着層52により基板361と接着されている。
〔表示パネル100〕
表示パネル100は、樹脂層101、絶縁層478、複数のトランジスタ、容量素子405、配線407、絶縁層411、絶縁層412、絶縁層413、絶縁層414、絶縁層415、発光素子360、スペーサ416、接着層417、着色層425、遮光層426、絶縁層476、及び樹脂層102を有する。
樹脂層102は、発光素子360と重なる領域に開口部を有する。
回路部364はトランジスタ401を有する。表示部362は、トランジスタ402及びトランジスタ403を有する。
各トランジスタは、ゲート、絶縁層411、半導体層、ソース、及びドレインを有する。ゲートと半導体層は、絶縁層411を介して重なる。絶縁層411の一部は、ゲート絶縁層としての機能を有し、他の一部は、容量素子405の誘電体としての機能を有する。トランジスタ402のソース又はドレインとして機能する導電層は、容量素子405の一方の電極を兼ねる。
図24では、ボトムゲート構造のトランジスタを示す。回路部364と表示部362とで、トランジスタの構造が異なっていてもよい。回路部364及び表示部362は、それぞれ、複数の種類のトランジスタを有していてもよい。
容量素子405は、一対の電極と、その間の誘電体とを有する。容量素子405は、トランジスタのゲートと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、を有する。
絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414は、それぞれ、トランジスタ等を覆って設けられる。トランジスタ等を覆う絶縁層の数は特に限定されない。絶縁層414は、平坦化層としての機能を有する。絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414のうち、少なくとも一層には、水又は水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。外部から不純物がトランジスタに拡散することを効果的に抑制することが可能となり、表示装置の信頼性を高めることができる。
絶縁層414として有機材料を用いる場合、表示装置の端部に露出した絶縁層414を通って発光素子360等に表示装置の外部から水分等の不純物が侵入する恐れがある。不純物の侵入により、発光素子360が劣化すると、表示装置の劣化につながる。そのため、図24に示すように、絶縁層414が、表示装置の端部に位置しないことが好ましい。図24の構成では、有機材料を用いた絶縁層が表示装置の端部に位置しないため、発光素子360に不純物が侵入することを抑制できる。
発光素子360は、電極421、EL層422、及び電極423を有する。発光素子360は、光学調整層424を有していてもよい。発光素子360は、着色層425側に光を射出する、トップエミッション構造である。
トランジスタ、容量素子、及び配線等を、発光素子360の発光領域と重ねて配置することで、表示部362の開口率を高めることができる。
電極421及び電極423のうち、一方は、陽極として機能し、他方は、陰極として機能する。電極421及び電極423の間に、発光素子360の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層422に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層422において再結合し、EL層422に含まれる発光物質が発光する。
電極421は、トランジスタ403のソース又はドレインと電気的に接続される。これらは、直接接続されてもよいし、他の導電層を介して接続されてもよい。電極421は、画素電極として機能し、発光素子360ごとに設けられている。隣り合う2つの電極421は、絶縁層415によって電気的に絶縁されている。
EL層422は、発光性の物質を含む層である。
電極423は、共通電極として機能し、複数の発光素子360にわたって設けられている。電極423には、定電位が供給される。
発光素子360は、接着層417を介して着色層425と重なる。スペーサ416は、接着層417を介して遮光層426と重なる。図24では、電極423と遮光層426との間に隙間がある場合を示しているが、これらが接していてもよい。図24では、スペーサ416を基板351側に設ける構成を示したが、基板361側(例えば遮光層426よりも基板361側)に設けてもよい。
カラーフィルタ(着色層425)とマイクロキャビティ構造(光学調整層424)との組み合わせにより、表示装置からは、色純度の高い光を取り出すことができる。光学調整層424の膜厚は、各画素の色に応じて変化させる。
着色層425は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。
なお、本発明の一態様は、カラーフィルタ方式に限られず、塗り分け方式、色変換方式、又は量子ドット方式等を適用してもよい。
遮光層426は、隣接する着色層425の間に設けられている。遮光層426は隣接する発光素子360からの光を遮光し、隣接する発光素子360間における混色を抑制する。ここで、着色層425の端部を、遮光層426と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。遮光層426としては、発光素子360が発する光を遮る材料を用いることができる。なお、遮光層426は、回路部364などの表示部362以外の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
樹脂層101の一方の表面には絶縁層478が形成されている。また、樹脂層102の一方の表面には絶縁層476が形成されている。絶縁層476及び絶縁層478に防湿性の高い膜を用いることが好ましい。一対の防湿性の高い絶縁層の間に発光素子360及びトランジスタ等を配置することで、これらの素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、表示装置の信頼性が高くなるため好ましい。
防湿性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜、及び、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、防湿性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10−5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10−6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10−7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10−8[g/(m2・day)]以下とする。
接続部406は、配線365を有する。配線365は、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成することができる。接続部406は、回路部364に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC372を設ける例を示している。接続層419を介してFPC372と接続部406は電気的に接続する。
接続層419としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
以上が表示パネル100についての説明である。
〔表示パネル200〕
表示パネル200は、縦電界方式が適用された反射型液晶表示装置である。
表示パネル200は、樹脂層201、絶縁層578、複数のトランジスタ、容量素子505、配線367、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514、液晶素子529、配向膜564a、配向膜564b、接着層517、絶縁層576、及び樹脂層202を有する。
樹脂層201と樹脂層202とは、接着層517によって貼り合わされている。樹脂層201、樹脂層202、及び接着層517に囲まれた領域に、液晶563が封止されている。基板361の外側の面には、偏光板599および光拡散板598が位置する。光拡散板598として、実施の形態1で説明する光拡散板15Aまたは光拡散板15Bを用いることができる。
また樹脂層201には、発光素子360と重なる開口部が設けられている。また、樹脂層202には、液晶素子529及び発光素子360と重なる開口部が設けられている。
液晶素子529は、電極311b、電極562、及び液晶563を有する。電極311bは画素電極として機能する。電極562は共通電極として機能する。電極311bと電極562との間に生じる電界により、液晶563の配向を制御することができる。液晶563と電極311bの間には配向膜564aが設けられている。液晶563と電極562の間には、配向膜564bが設けられている。
樹脂層202には、絶縁層576、電極562、及び配向膜564b等が設けられている。
樹脂層201には、電極311b、配向膜564a、トランジスタ501、トランジスタ503、容量素子505、接続部506、及び配線367等が設けられている。
樹脂層201上には、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514等の絶縁層が設けられている。
ここで、トランジスタ503のソース又はドレインのうち、電極311bと電気的に接続されていない方の導電層は、信号線の一部として機能してもよい。また、トランジスタ503のゲートとして機能する導電層は、走査線の一部として機能してもよい。
図24では、表示部362の例として、着色層を設けない構成を示している。そのため、液晶素子529は、白黒の階調表示を行う素子である。
図24では、回路部366の例としてトランジスタ501が設けられている例を示している。
各トランジスタを覆う絶縁層512、絶縁層513のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。
絶縁層514上には、電極311bが設けられている。電極311bは、絶縁層514、絶縁層513、絶縁層512等に形成された開口を介して、トランジスタ503のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。また電極311bは、容量素子505の一方の電極と電気的に接続されている。
表示パネル200は、反射型の液晶表示装置であるため、電極311bに可視光を反射する導電性材料を用い、電極562に可視光を透過する導電性材料を用いる。
可視光を透過する導電性材料としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などが挙げられる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。
可視光を反射する導電性材料としては、例えば、アルミニウム、銀、またはこれらの金属材料を含む合金等が挙げられる。そのほか、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料または合金に、ランタン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al−Ni−La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag−Pd−Cu、APCとも記す)、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いてもよい。
ここで、偏光板599として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板599の種類に応じて、液晶素子529のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
電極562は、樹脂層202の端部に近い部分において、樹脂層201側に設けられた導電層と接続体543により電気的に接続されている。これにより、樹脂層201側に配置されるFPC374やIC等から電極562に電位や信号を供給することができる。
接続体543としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体543として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体543は、図24に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体543と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
接続体543は、接着層517に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前の接着層517に接続体543を分散させておけばよい。
樹脂層201の端部に近い領域には、接続部506が設けられている。接続部506は、接続層519を介してFPC374と電気的に接続されている。図24に示す構成では、配線367の一部と、電極311bと同一の導電膜を加工して得られた導電層を積層することで接続部506を構成している例を示している。
以上が表示パネル200についての説明である。
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
〔基板〕
表示パネルが有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
厚さの薄い基板を用いることで、表示パネルの軽量化、薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示パネルを実現できる。
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示パネルの局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上400μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いることができる。
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成してもよい。
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10−6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示パネルも軽量にすることができる。
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ましい。
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。または、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
可撓性を有する基板に、表示パネルの表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示パネルとすることができる。
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、酸化物半導体を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
特にシリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ランタノイドである、プラセオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
半導体層を構成する酸化物半導体として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
半導体層を構成する酸化物半導体は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
半導体層を構成する酸化物半導体がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのとき酸化物半導体を用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できる、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、アクリル、エポキシ、シリコーン樹脂等の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10−5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10−6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10−7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10−8[g/(m2・day)]以下とする。
〔表示素子について〕
表示面側に位置する第1の画素が有する表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。第1の画素が有する表示素子には、代表的には反射型の液晶素子を用いることができる。または、第1の画素が有する表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いることができる。
また、表示面側とは反対側に位置する第2の画素が有する表示素子は光源を有し、その光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。このような画素が射出する光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。第2の画素が有する表示素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)などの自発光性の発光素子を用いることができる。または、第2の画素が有する表示素子として、光源であるバックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを組み合わせたものを用いてもよい。
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることができる。
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、QLED、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
本発明の一態様では、特に発光素子は、トップエミッション型の発光素子を用いることが好ましい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の波長(例えば350nm〜750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層または燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、及び電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、それぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。また銅、パラジウム、またはマグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接して金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いることができる。
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形成することができる。
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
以上が各構成要素についての説明である。
[変形例]
以下では、上記断面構成例で例示した表示装置とは一部の構成の異なる例を説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略し、相違点のみ説明する。
〔断面構成例の変形例1〕
図25は、図24と比較してトランジスタの構成及び樹脂層202の構成が異なる点、ならびに着色層565、遮光層566、及び絶縁層567を有する点で相違している。
図25に示すトランジスタ401、トランジスタ403、トランジスタ501は、第2のゲート電極を有する。このように、回路部364や回路部366に設けるトランジスタ、及び発光素子360に流れる電流を制御するトランジスタに、一対のゲートを有するトランジスタを適用することが好ましい。
樹脂層202は、液晶素子529と重なる開口部と、発光素子360と重なる開口部とが、別々に設けられている。これにより、液晶素子529の反射率を向上させることができる。
また、絶縁層576の液晶素子529側の面には、遮光層566と、着色層565が設けられている。着色層565は、液晶素子529と重ねて設けられている。これにより、表示パネル200はカラー表示を行うことができる。また、遮光層566は、液晶素子529と重なる開口部と、発光素子360と重なる開口部を有する。これにより、隣接画素間の混色を抑制し、色再現性の高い表示装置を実現できる。
〔断面構成例の変形例2〕
図26は、各トランジスタにトップゲート型のトランジスタを適用した場合の例である。このように、トップゲート型のトランジスタを適用することにより、寄生容量が低減できるため、表示のフレーム周波数を高めることができる。また、例えば8インチ以上の大型の表示パネルに好適に用いることができる。
〔断面構成例の変形例3〕
図27は、各トランジスタに第2のゲート電極を有するトップゲート型のトランジスタを適用した場合の例を示している。
各トランジスタは、チャネル領域と重なるように導電層591を有する。また導電層591を覆って絶縁層475または絶縁層578が設けられている。
また、表示パネル200の接続部506において、樹脂層201の一部が開口され、当該開口を埋めるように導電層592が設けられている。導電層592は、その裏面側(表示パネル100側)の表面が露出するように設けられている。導電層592は、配線367と電気的に接続されている。FPC374は、導電層592の露出した表面と、接続層519を介して電気的に接続されている。導電層592は導電層591と同一の導電膜を加工して形成することができる。導電層592は、裏面電極とも呼ぶことのできる電極として機能する。
このような構成は、樹脂層201に感光性の有機樹脂を用いることにより実現することができる。例えば、支持基板上に樹脂層201を形成する際に、樹脂層201に開口部を形成し、当該開口を埋めるように導電層592を形成する。そして樹脂層201と支持基板とを剥離する際、導電層592と支持基板とも同時に剥離されることにより、図27に示すような導電層592を形成することができる。例えば、実施の形態1で例示したように、光吸収層を用いた方法や、または凹部を有する樹脂層または2層構造の樹脂層を形成した後に導電層592の裏面が露出するように樹脂層の一部をエッチングする方法等を用いることができる。
このような構成とすることで、表示面側に位置する表示パネル200に接続するFPC374を、表示面とは反対側に配置することができる。そのため、表示装置を電子機器に組み込む際に、FPC374を折り曲げるためのスペースを省くことができ、より小型化した電子機器を実現できる。
以上が変形例についての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
[CAC−OSの構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC−OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
図28に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、フレーム8009、プリント基板8010、及びバッテリ8011を有する。
本発明の一態様を用いて作製された表示装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004としては、抵抗膜方式又は静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、タッチパネル8004を設けず、表示パネル8006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について説明する。
本発明の一態様の表示装置は、外光の強さによらず、高い視認性を実現することができる。そのため、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末などに好適に用いることができる。
図29(A)、(B)に、携帯情報端末800の一例を示す。携帯情報端末800は、筐体801、筐体802、表示部803、表示部804、及びヒンジ部805等を有する。
筐体801と筐体802は、ヒンジ部805で連結されている。携帯情報端末800は、図29(A)に示すように折り畳んだ状態から、図29(B)に示すように筐体801と筐体802を開くことができる。
例えば表示部803及び表示部804に、文書情報を表示することが可能であり、電子書籍端末としても用いることができる。また、表示部803及び表示部804に静止画像や動画像を表示することもできる。
このように、携帯情報端末800は、持ち運ぶ際には折り畳んだ状態にできるため、汎用性に優れる。
なお、筐体801及び筐体802には、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
図29(C)に携帯情報端末の一例を示す。図29(C)に示す携帯情報端末810は、筐体811、表示部812、操作ボタン813、外部接続ポート814、スピーカ815、マイク816、カメラ817等を有する。
表示部812に、本発明の一態様の表示装置を備える。
携帯情報端末810は、表示部812にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部812に触れることで行うことができる。
また、操作ボタン813の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部812に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
また、携帯情報端末810の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末810の向き(縦か横か)を判断して、表示部812の画面表示の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部812を触れること、操作ボタン813の操作、またはマイク816を用いた音声入力等により行うこともできる。
携帯情報端末810は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯情報端末810は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
図29(D)に、カメラの一例を示す。カメラ820は、筐体821、表示部822、操作ボタン823、シャッターボタン824等を有する。またカメラ820には、着脱可能なレンズ826が取り付けられている。
表示部822に、本発明の一態様の表示装置を備える。
ここではカメラ820として、レンズ826を筐体821から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ826と筐体821が一体となっていてもよい。
カメラ820は、シャッターボタン824を押すことにより、静止画、または動画を撮像することができる。また、表示部822はタッチパネルとしての機能を有し、表示部822をタッチすることにより撮像することも可能である。
なお、カメラ820は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体821に組み込まれていてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。