JP6930469B2 - 液体吐出装置および液体吐出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
従来、複数のノズルから液体を液滴として吐出させる液体吐出装置が知られている。液体吐出装置では、通常、各ノズルに対応して加圧液室とアクチュエータが設けられ、アクチュエータにより加圧液室内の液体に圧力を生じさせて、液体を吐出させる。
特許文献1には、液体吐出装置において、複数のノズルに設けられるアクチュエータの間の特性の差により、吐出される液滴の速度や体積にばらつきが生じるのを抑えようとする技術が開示されている。具体的には、特許文献1では、液滴の吐出速度や体積を一定に保つために、駆動波形の最大電圧と最小電圧の差を駆動波形検出器により検出し、それに反比例した補正値を駆動波形データに乗じて駆動波形を補正している。
しかしながら、液滴吐出装置には、吐出される液滴の速度と体積をそれぞれ目標値に制御することが望まれる場合がある。従来技術では、吐出される液滴の速度と体積の一方を目標値に制御することができるとしても、両方をそれぞれの目標値に制御するのは困難である場合がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のノズルから吐出される液滴の速度と体積をそれぞれ目標値に制御することができる液体吐出装置および液体吐出方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する複数のノズルと、複数のノズルから液体を吐出させる圧力を液体に付与する圧力発生手段と、液体を吐出させる圧力を発生させるために圧力発生手段に印加する駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、駆動波形生成手段と圧力発生手段との間に複数のノズルに対応する複数のチャネルごとに設置され、滴制御信号に応じて開閉する複数のスイッチと、複数のスイッチと圧力発生手段との間に、複数のチャネルごとに設置され、可変素子をそれぞれ有し、可変素子の可変素子値に応じて通過帯域の周波数特性がそれぞれ変化する複数の可変フィルタと、複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定する設定手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、複数のノズルから吐出される液滴の速度と体積をそれぞれ目標値に制御することができる液体吐出装置および液体吐出方法を提供することができる。
図1は、実施形態のインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面図である。 図2は、図1のインクジェットヘッドの液室短手方向に沿う模式的な断面図である。 図3は、実施形態の画像形成装置の機構部の全体構成を説明するための概略構成図である。 図4は、図3の機構部の要部の平面図である。 図5は、図3の画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。 図6は、図5の制御部の印刷制御部およびヘッドドライバを説明するためのブロック図である。 図7は、図5の制御部の駆動波形発生部から圧電素子にかけての、比較例における構成を示すブロック図である。 図8は、比較例における駆動波形の電圧強度と、液滴の速度および体積との相関の一例を示すグラフである。 図9は、比較例における液滴の速度と体積の相関の一例を示すグラフである。 図10は、図5の制御部の駆動波形発生部から圧電素子にかけての、実施形態における構成を示すブロック図である。 図11は、実施形態の可変フィルタの一例の回路図である。 図12は、図11の可変フィルタ回路の周波数応答の一例を模式的に示すグラフである。 図13は、実施形態における駆動波形の電圧強度と、液滴の速度および体積との相関の一例を示すグラフである。 図14は、実施形態における液滴の速度と体積の相関の一例を示すグラフである。 図15は、可変フィルタ回路の設定用データの一例の制御テーブルを示す図である。 図16Aは、近接駆動パターンを説明する図である。 図16Bは、近接駆動パターンの一例を示す図である 図17は、可変フィルタ回路の設定を行うフローの一例を示す図である。 図18は、液滴の速度を自動測定する系を示す模式図である。 図19は、図18におけるカメラによって撮影された、液滴がノズルから吐出される様子を模式的に示す図である。 図20は、液滴の速度を自動で測定する一例のフローを示す図である。 図21は、液滴の体積を自動測定するための系を示す模式図である。 図22は、液滴の体積を自動で測定する一例のフローを示す図である。 図23は、液滴の速度と体積の許容範囲を例示するグラフである。 図24は、駆動状況に応じて可変フィルタ回路の設定を行う一例のフローを示す図である。 図25は、変形例の可変フィルタ回路に用いる可変抵抗の一例を示す模式的な回路図である。 図26は、変形例の可変フィルタ回路に用いる可変キャパシタの一例を示す模式的な回路図である。 図27は、変形例の可変フィルタ回路を示す模式的な回路図である。 図28は、変形例の画像形成装置を示す模式的な正面図である。 図29は、図28の画像形成装置の模式的な平面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態では、液体吐出装置を構成する液体吐出ヘッドの複数のノズルから液体を液滴として吐出させる圧力を液体に付与する圧力発生手段の制御系における、各ノズルに対応するチャネルごとに、各ノズルから吐出される液滴の速度と体積を制御する。そのために、各チャネルに対して個別に、印加される駆動波形のスペクトル分布を制御することにより、各ノズルから吐出される液滴の速度と体積の相関関係を変化させる。
本願において、「液体吐出ヘッド」は、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子としての圧力発生手段を備えている。液体吐出ヘッドに使用する圧力発生手段は、限定されるものではない。圧力発生手段としては、例えば、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどが挙げられる。
また、本願において、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体を「液体吐出ユニット」と称することができる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
本願において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドまたは液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
以下、本実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
最初に、液体吐出ヘッドの一例としての本実施形態のインクジェットヘッドの構成にいて図1,2を参照して説明する。図1は、インクジェットヘッドの液室長手方向に沿う模式的な断面図、図2は、インクジェットヘッドの液室短手方向に沿う模式的な断面図である。
このインクジェットヘッドは、共通液室1a、および共通液室1aに外部からインクを供給するためのインク供給口となる彫り込みを形成したフレーム1を有している。フレーム1には、共通液室1aに連通する液体導入部2c、各ノズル3aに対応する加圧液室2b、および液体導入部2cと加圧液室2bとの間の流体抵抗部2aとなる彫り込みが形成された流路板2が振動板6を介して結合されている。流路板2には、ノズル3aを形成するノズルプレート3が結合されており、加圧液室2bからノズル3aに連通する連通口2dが形成されている。
振動板6の、加圧液室2bと反対側には、接着層を介して圧力発生手段である積層型の圧電素子5が接合されている。圧電素子5は、チタン酸バリウム系セラミックからなるベース4上に2列配置して接合されている。圧電素子5は、圧電層5aと内部電極層5bとが交互に積層された構造を有している。圧電素子5の、液室長手方向の両端面には、端面電極(外部電極)である個別電極5cと共通電極5dが設けられている。内部電極層5bとしては、個別電極5cに接続された電極層と、共通電極5dに接続された電極層が交互に積層されている。
圧電素子5は、櫛歯状に分割されている。圧電素子5の、櫛歯状に分割された部分は、1つおきに駆動部5eと支持部5f(非駆動部)として使用されている。駆動部5eは、加圧液室2bに対応する位置に位置し、支持部5fは、加圧液室2b間の隔壁2eに対応する位置に位置している。
本実施形態のインクジェットヘッドは、圧電素子5として、厚み方向変位であるd33方式の変位を生じるものを使用し、圧電素子5の伸縮により加圧液室2bを収縮、膨張させるようになっている。圧電素子5は、駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また、圧電素子5に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
個別電極5cには、FPC7が半田接合されている。また、共通電極5dは、圧電素子5の端部に回り込むように設けられた電極層を介してFPC7のGnd電極に接合されている。FPC8にはドライバICが実装されており、これにより駆動部5eへの駆動電圧印加が制御される。
振動板6は、加圧液室2bに対応する位置に形成された薄膜のダイアフラム部6bを有している。ダイアフラム部6bの中央部には、加圧液室2bと反対側に、圧電素子5の駆動部5eと接合された島状の凸部(アイランド部)6aが形成されている。振動板6の凸部6aの周りは、支持部5fに接合する梁を含む厚膜部となっている。振動板6の、共通液室1aと液体導入部2cの間の部分には、インク流入口6cとなる開口が形成されている。
圧電素子5において、圧電層5aは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなり、1層当たりの厚さが10〜50μmである。内部電極層5bは、銀・パラジューム(AgPd)からなり、1層当たりの厚さが数μmである。圧電素子5は、ハーフカットのダイシング加工により上記のように、櫛歯状に形成されている。
流路板2は、シリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部2a、加圧液室2b、液体導入部2cとなる彫り込み、および、連通口2dとなる貫通口をエッチング工法でパターニングして形成されている。エッチングで残された部分が加圧液室2bの隔壁2fとなっている。
ノズルプレート3は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル3aを多数形成している。このノズル3aの内部形状(内側形状)は、ホーン形状にとしているが、略円柱形状または略円錘台形状としてもよい。
ノズルプレート3のインク吐出面(ノズル表面側)には、撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
振動板6は、電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成されている。フレーム1は樹脂成形で作製している。
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部5eに駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部5eに積層方向の変位が生起する。駆動部5eのこの変位により、振動板6を介して加圧液室2bが加圧されて圧力が上昇し、ノズル3aからインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室2b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程での駆動部5eの変位によって加圧液室2b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、外部のインクタンクから供給されたインクが共通液室1aに流入し、共通液室1aからインク流入口6cを経て液体導入部2c、流体抵抗部2aを通り、加圧液室2b内に充填される。
流体抵抗部2aは、吐出後の残留圧力振動を減衰させる効果を奏する反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部2aを適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
次に、液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の一例としての本実施形態のシリアル型の画像形成装置について図3および図4を参照して説明する。図3は、この画像形成装置の機構部の全体構成を説明するための概略構成図、図4は、この機構部の要部の平面図である。
この画像形成装置は、左右の側板201A、201の間に架け渡されたガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持している。キャリッジ233は、主走査モータ554(図5)によってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動させられ、それによって主走査が行われる。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)として、前述のインクジェットヘッドが装着されている。記録ヘッド234a、234bは、複数のノズルからなるノズル列が主走査方向と直交する副走査方向に配列されるように、インク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンクであるヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。
このヘッドタンク235には各色の供給チューブ36を介して、キャリッジ233から離れて配置されているメインタンクである各色のインクカートリッジ210k、210c、210m、210yから各色のインクが補充供給される。
キャリッジ233の下方には、給紙トレイ202が設けられている。給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する給紙コロ(半月コロ)243と、給紙コロ243に対向して、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244が設けられている。分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を、搬送ベルト251に向かって上方へ案内するガイド部材245が設けられている。搬送ベルト251は、用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である。搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成されている。搬送ベルト251は、副走査モータ555(図5)によってタイミングベルトを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回するように動かされる。
搬送ローラ252に対向してカウンタローラ246が設けられ、ガイド部材245によって案内されて搬送される用紙242が、搬送ベルト251とカウンタローラ246によってさらに搬送されるようになっている。カウンタローラ246の上方には、搬送ベルト251とカウンタローラ246によって搬送される用紙242を搬送ベルト251の上面へと案内する搬送ガイド部材247が設けられている。搬送ベルト251の上面と対向する位置には、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248が設けられている。これらによって、用紙242が搬送ベルト251上に導かれる。
また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256が、搬送ベルト251を挟んで搬送ローラ252に対向して設けられている。帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。
さらに、搬送ベルト251を挟んでテンションローラ253に対向する位置には、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261が設けられている。また、分離爪261によって分離された用紙242を搬送する排紙ローラ262および排紙コロ263が設けられている。排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203が設けられている。これらによって、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部が構成されている。
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272として利用できるように構成されている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズル3aの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)が設けられている。キャップ282a、282bに並んで、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283が設けられている。キャップ282a、282bとワイパーブレード283の間には、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284が設けられている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288が配置されている。このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289が形成されている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離され給紙される。略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送される。更に、用紙242は、先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返す、つまり交番する電圧が印加される。それによって、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターンに帯電され、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスに帯電された領域とマイナスに帯電された領域が、所定の幅で帯状に交互に形成された状態になる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分の画像を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号、または用紙242の後端が記録領域に到達したことを示す信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
次に、本実施形態の画像形成装置の制御部500について、図5を参照して説明する。図5は、画像形成装置の制御部500の概要を示すブロック図である。
この制御部500は、画像形成装置全体の制御を司っており、制御のための各種演算処置を実行するCPU501を有している。また制御部500には、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するために、ROM502が設けられている。画像データ等を一時格納するために、RAM503が設けられている。装置の電源が遮断されている間もデータを保持するために、書き換え可能な不揮発性メモリ504が設けられている。画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するために、ASIC505が設けられている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段や駆動信号発生手段を含む印刷制御部508が設けられている。印刷制御部508は、キャリッジ33側に設けた、記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509に接続されている。また、キャリッジ33を移動させ主走査を行う主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するために、モータ駆動部510が設けられている。また、帯電ローラ256にACバイアスを供給するACバイアス供給部511が設けられている。
また、この制御部500には、画像形成装置に必要な情報の入力および表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を有している。I/F506は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介して、データや信号を受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。ASIC505は、必要な画像処理、データの並び替え処理等を行う。このようにして生成された画像データが、印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送される。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送および転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。それ以外にも、印刷制御部508は、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器および電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される、記録ヘッド34による1行分の記録画像に相当する画像データに基づいて、印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド234の圧電素子5に対して印加することで記録ヘッド234を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出する。抽出された情報は、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用される。
センサ群515には、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどが含まれる。I/O部513は、このような様々なセンサの情報を処理することができる。
次に、印刷制御部508およびヘッドドライバ509について図6を参照してより詳細に説明する。図6は、印刷制御部508およびヘッドドライバ509を説明するためのブロック図である。
印刷制御部508は、画像形成時に1印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形発生部701を有している。また、駆動波形発生部701は、空吐出動作時に1空吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する。また、印刷制御部508は、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、および滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部702を備えている。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ509の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号である。滴制御信号は、印刷周期に合わせてHレベル(ON)に状態遷移し、それによって、共通駆動波形から、圧電素子5の駆動に必要な波形が選択される。滴制御信号は、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ509のシフトレジスタ711には、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)およびシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)が入力される。シフトレジスタ711の各レジスト値は、ラッチ回路712で、ラッチ信号によってラッチされる。デコーダ713は、入力される階調データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力する。レベルシフタ714は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換する。アナログスイッチ716は、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)される。
このアナログスイッチ716は、可変フィルタ回路10を介して圧電素子5の個別電極(選択電極)5cに接続され、駆動波形発生部701からの共通駆動波形が個別電極5cに入力される。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号MN0〜MN3をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子5に印加される。
次に、駆動波形発生部701から圧電素子5にかけての構成の詳細について説明する。このために、まず、図7に示す比較例について説明する。図7は、比較例の構成を示すブロック図であり、本実施形態の構成とは異なり、可変フィルタ回路10が設けられていない。
この構成において、駆動波形は駆動波形発生部701より配線のみを通じてヘッドドライバ509内のアナログスイッチ715へ入力される。そしてレベルシフタ714からアナログスイッチ715に入力される信号により各ノズル3aに対応するチャネルごとに制御されて圧電素子5に印加される。
この構成では、駆動波形発生部701により生成される駆動波形を用いて液滴を吐出した際に、液滴の速度や体積が目標値からずれていた場合、それらを調整する手段としては駆動波形の電圧強度に倍率をかけることが挙げられる。このように印可する電圧強度を変化させた場合、液滴の速度と体積は、圧電素子5の駆動量、つまり圧電素子5に印加される駆動波形の電圧強度に対してともに正の相関がある。
この際、駆動波形の電圧強度と、液滴の速度や体積との相関は、ノズル3aの径などの機械的特性、圧電素子5の静電容量など電気的特性、近接するノズル3aから液滴を吐出するか否かなどの記録ヘッド234の駆動状況などの条件によって変化する。一方、これらの条件が同じであれば、駆動波形の電圧強度と、液滴の速度や体積との相関は一定である。すなわち、電圧強度のみを、倍率をかけて変化させた場合、任意の電圧倍率の値に対して液滴の速度と体積がそれぞれ一意に決まる。そこで、図8に例示するように、電圧強度のみを、倍率をかけて変化させた場合、吐出される液滴の速度の変化は、電圧強度と速度を横軸と縦軸にとったグラフにおいて、典型的には右肩上がりの直線状の1つの線によって示され、吐出される液滴の体積は、電圧強度と速度を横軸と縦軸にとったグラフにおいて、同様に、1つの線によって示される。
その結果、電圧強度のみを、倍率をかけて変化させた場合の、吐出される液滴の速度と体積の関係は、図9に例示するように、速度と体積を横軸と縦軸にとったグラフにおいて、典型的には右肩上がりの直線状の1つの線によって示される。すなわち、電圧強度のみを、倍率をかけて変化させた場合、吐出される液滴の速度と体積の相関も一定である。換言すると、液滴の速度あるいは体積のどちらか一方を電圧倍率によって制御した場合、もう一方も一意的に決定される。
そこで、図9に例示するように、図9のグラフ上で、液滴の速度と体積の目標値の組み合わせを示す点が、図9に示す線上に無い場合、電圧強度のみを、倍率をかけて変化させて、例えば、液滴の速度を目標値にしても、液滴の体積は、目標値からずれた値になることになる。
次に、図10は、本実施形態における、印刷制御部508中の駆動波形発生部701から圧電素子121までの構成を示す概略ブロック図である。この構成では、可変フィルタ回路10がヘッドドライバ509の直後に設けられている。
駆動波形発生部701において発生される駆動波形はアナログスイッチ715に入力される。アナログスイッチ715からは、各ノズル3aに対応するチャネルごとにレベルシフタ714を介してアナログスイッチ715に入力される制御信号に応じてチャネルごとに駆動波形が出力される。その後、駆動波形は、チャネルごとに設けられた可変フィルタ回路10に入力される。可変フィルタ回路10は、制御部500により制御されて、出力する駆動波形のスペクトル分布をチャネルごとに変化させることができる。そして、本実施形態では、このように、可変フィルタ回路10により、チャネルごとにスペクトル分布を調整された駆動波形が、圧電素子5に印加される。この際、このように、可変フィルタ回路10を、チャネルごとに設けられた複数のスイッチとしてのアナログスイッチ715の後(アナログスイッチ715と圧電素子5の間)に設けることにより、ノズルごと(チャネルごと)に印可される波形に対してフィルタリングを行うことができる。
図11は、スペクトル分布を変化させるために用いる可変フィルタ回路10の一例としての、周波数遮断帯域を可変とする帯域遮断フィルタを示す回路図である。この可変フィルタ回路10は、抵抗R1〜R5、キャパシタC1〜C3、オペアンプOP1,OP2を有し、可変抵抗、可変キャパシタなどの可変素子を用いることで遮断帯域や遮断量を自在に変化させることができる。より具体的には、抵抗R1〜R3は可変抵抗として構成され、その可変素子値である抵抗値を変化させることができる。また、キャパシタC1〜C3は、可変キャパシタとして構成され、その可変素子値である容量値を変化させることができる。そして、可変フィルタ回路10は、これらの可変素子の可変素子値を変化させることで、通過帯域の周波数特性が変化する。
図12は、帯域遮断フィルタとして構成された可変フィルタ回路10の周波数応答を模式的に例示したものである。周波数領域において、可変素子の可変素子値を調整し任意の帯域のスペクトル強度を選択的に減衰させることで波形になまりを持たせることができる。
可変フィルタ回路10としては、図11に例示するような帯域遮断フィルタを複数接続したものを用いてもよく、それによって、より詳細にスペクトルを選択することが可能である。
このように、チャネルごとに、可変フィルタ回路10の遮断帯域や遮断量を調整し、圧電素子5に印可する駆動波形のスペクトルを変化させることにより、駆動波形の電圧強度と、吐出される液滴の速度および体積との相関を様々に変化させることができる。その結果、図13に例示するように、駆動波形の電圧強度を変化させた時の、吐出される液滴の速度と体積の相関も様々に変化させることができる。
それによって、図14のグラフに実線によって示すように、液滴の速度と体積を横軸と縦軸にとったグラフにおいて、チャネルごとに、駆動波形の電圧強度を変化させた時の、液滴の速度と体積の相関を示す線が、液滴の速度の目標値と体積の目標値の組を示す点を通るようにすることができる。したがって、このように駆動波形のスペクトルを調整した上で、電圧倍率を適切に調整することによって、液滴の速度と体積との両方を、それぞれの目標値に調整することができる。
例えば、チャネルごとに、ノズル3aの径などの機械的特性、圧電素子5の静電容量など電気的特性、近接するノズル3aから液滴を吐出するか否かなどの記録ヘッド234の駆動状態などの条件に差があることにより、電圧倍率に対する吐出特性(吐出される液滴の速度と体積)に差異が生じることが考えられる。この場合、可変フィルタ回路10が無ければ、図14のグラフに破線によって例示するように、各チャネルで、液滴の速度と体積の相関が、液滴の速度の目標値と体積の目標値の組に対応する点を通らない様々な線に対応するものとなることが考えられる。この場合でも、チャネルごとに可変フィルタ回路10を用いて、電圧倍率とスペクトル分布の組み合わせを、チャネルごとに適切に選択することにより、液滴の速度と体積の組み合わせを制御することが可能である。すなわち、チャネル単位で、速度と体積を同時にそれぞれの目標値に制御することが可能になる。
このように、チャネルごとに、駆動波形のスペクトル分布を調整するため、制御部500は、図10に示すように、特性データ取得部521、可変フィルタ制御データ記憶部522、可変フィルタ制御データ設定部523を有している。これらの機能部は、図5に示す、CPU501が、ROM502に記憶されたプログラムを読み出し、RAM503などを利用して実行することにより構成することができる。また、これらの機能部の少なくとも一部は、ASICなどの専用のハードウェアにより実現されてもよい。
可変フィルタ制御データ記憶部522には、適切な記録を行うための速度と体積の目標値が得られるように可変フィルタ回路10を制御するための制御データが記憶されている。図15は、このような制御データの一例であり、可変フィルタ回路10のそれぞれの可変素子に対して設定すべき可変素子値を決定するための可変素子値制御データを構成する制御テーブルを示している。図15に示す制御テーブルによって例示される制御データは、設計段階で、可変フィルタ回路10の種々の設定をした時の、吐出される液滴の速度および体積を測定することにより、用意することができる。
図15に示す制御テーブルは、ノズル3aの径(ノズル径ランク)、圧電素子5の静電容量(静電容量ランク)、駆動ch数、近接駆動パターンの4つの様々な組み合わせに対応するブロックに、各組み合わせの時に、可変フィルタ回路10に設定すべき設定値(例えば、図11の可変素子R1〜R3,C1〜C3の可変素子値)を格納したものである。すなわち、制御テーブルは、各ブロックに四次元の座標が割り当てられたものである。図15では、駆動ch数が1、近接駆動パターンがVI(図16A)の場合の、ノズル径ランクと静電容量ランクの組み合わせごとの設定値を示している。この制御テーブルでは、隣接するブロックに、可変フィルタ回路10の特性が近くなる可変素子の設定値の組み合わせが格納されることになる。
ここで、駆動ch数とは、同一の駆動波形生成回路によって駆動されるチャネル群に対応するノズル群のうち、各駆動周期で駆動されるチャネルの総数である。駆動波形生成回路は、駆動波形発生部701において、一列に並んで配置される各ノズル群に対して1つ設けられている。駆動ch数が変化すると、各チャネルに印加される駆動波形に電圧変化が生じ、同一のチャネルにおいても吐出液滴の速度、および体積に変動が生じる。そこで、駆動ch数に応じて、可変フィルタ回路10の設定を変えることにより、吐出液滴の速度、および体積を目標値に調整することができる。
近接駆動パターンとは、制御しようとするチャネルに対応するノズル3aに隣接、および近接する、周囲のノズル3aに対応するチャネルの、各駆動周期における駆動パターンである。近接駆動パターンが変化することによって、制御しようとするチャネルの機械的な特性に、近接するノズル間での干渉などのために変動がもたらされ、吐出液滴の速度、および体積に変動が生じる。そこで、近接駆動パターンに応じて、可変フィルタ回路10の設定を変えることにより、吐出液滴の速度、および体積を目標値に調整することができる。
図16A,16Bは、本実形態における一例の近接駆動パターンを示す図であり、液滴を吐出するチャネルを○、吐出しないチャネルを×によって示している。図16A,16Bでは、問題とするチャネルに近接する両側2チャネルと、問題とするチャネルとを含む計5チャネルの吐出パターンを、近接パターンとして考慮する例を示している。チャネルChnの周囲での液滴の吐出状況が図16Bに示すパターンであった場合、チャネルChnの近接パターンは、図16Aに示す近接パターンIVに当たり、Chn−1の近接パターンは、近接パターンVに当たる。
また、同一の記録ヘッド234内であってもチャネルごとの初期特性(ノズル径などの機械的特性や、圧電素子5の静電容量など電気的特性)には、ばらつきが存在する。そこで、本実施形態では、図10に示すように、チャネルごとの初期特性データ(機械的特性データおよび電気的特性データ)を、記録ヘッド234の特性データ記憶部9に記憶させている。特性データ記憶部9は、記録ヘッド234内に設けた記憶素子の所定の領域によって構成することができる。このように、初期特性データを記憶する特性データ記憶部9を記録ヘッド234に設けることにより、記録ヘッド234の交換時や新規搭載時に、確実に、交換または新規搭載された記録ヘッド234の特性に応じた設定が可能となる。
制御部500では、特性データ取得部521が、記録ヘッド234の特性データ記憶部9から初期特性データを取得する。可変フィルタ制御データ設定部523は、ホスト600のプリンタドライバ601などから得られるドットパターンデータから、駆動ch数および近接パターンを判定する。そして、可変フィルタ制御データ設定部523は、判定した駆動ch数および近接パターン、特性データ取得部521によって取得した初期特性データ、および、可変フィルタ制御データ記憶部522に記憶されたデータに基づいて、各チャネルの可変フィルタ回路10の設定値を制御する。それによって、制御部500は、駆動波形の電圧強度の倍率の制御との組み合わせにより、各チャネルのノズル3aから吐出される液滴の速度および体積を目標値に制御することができる。
上記のように、可変フィルタ回路10の設定は、チャネルごとの初期特性データを用いて行うこともできるが、実際の液滴の速度および体積を測定して目標値が得られるように設定を調整することで、液滴の速度および体積をより精度良く制御することができる。図17は、このような設定の調整のフローの一例を示している。
まず、ステップS1で、チャネル1〜Nの各チャネルについて、制御テーブルから、初期ブロック(In0,Jn0,Kn0,Ln0)を決める。In0,Jn0,Kn0,Ln0は、制御テーブルのブロックの各座標成分であり、第一成分In0、第二成分Jn0は、ノズル径ランクと静電容量ランクに対応している。第三成分Kn0は、駆動ch数に対応している。第四成分Ln0は、駆動パターンに対応している。初期ブロック(In0,Jn0,Kn0,Ln0)は、特性データ記憶部9に記憶された初期特性データに基づいて決めることができる。
次に、ステップS2で、ドットパターンデータから、駆動ch数をカウントして求め、ステップS3で、第三成分を、駆動ch数に応じてKn0+Dとする。また、このフローでは、チャネルnで初期特性データに基づいて決めたブロックから、第一成分、第二成分をずらした周辺の近接するブロックの設定で、目標値が得られる場合、そのブロックの設定をチャネルnの設定とするようにするものである。このために、最大でQ個の周辺のブロックについて、目標値が得られるか否かの判定を行う。このため、ここで、この判定の回数qを0にリセットする。
次に、ステップS4で、ドットパターンデータから、チャネルnの近接パターンを認識し、第四成分を決める。そして、ステップS5で、このようにして各成分を決めたブロックに基づいてチャネルnの可変フィルタ回路10の設定を行い、また、駆動波形の電圧強度の倍率Maを用いてチャネルnに対応するノズル3aから液滴を吐出させ、液滴の速度と体積を測定する。
図18は、液滴の速度を自動測定する系を示す図である。図19は、図18におけるカメラ801によって撮影された、液滴803がノズルから吐出される様子を模式的に示したものである。図20は、液滴の速度を自動で測定する一例のフローを示している。
図20のフローでは、ノズル3aより一定周期tで連続して吐出された液滴に対して光源802とカメラ801を用いてVjを自動で測定する。このフローでは、ステップS31で、維持回復機構281のような機構を適宜用いて、ノズル面234cのメンテナス動作を行う。次に、ステップS32で、連続吐出を開始する。
次に、ステップS33でnを1に設定し、吐出開始から、遅延時間ntで画像を撮影し、ステップS35で、画像の2値化処理を行う。すなわち、このようにして、光源802の発光間隔と同等の時間分解能で画像撮影を行う。そして、ステップS36で、2値化処理した画像に基づいて、液滴の位置を感知し、液滴の一部分が着弾面を越えているか否かを判定する。ステップS36で、液滴が着弾面を越えていないことが判定された場合は、nを1だけインクリメントして、ステップS34に戻る。
ステップS36で、液滴が着弾面を越えていることが判定された場合は、ステップS38に進み、吐出を中止する。そして、ステップS39で、液滴が吐出されてから着弾面に到達するまでの時間をTj=nt(図19に示す例では、Tj=n)として求め、ステップS40で、ノズル面234cから着弾面までの距離Lを用いて、液滴の速度をVj=L/Tjとして求める。
図21は、液滴の体積を自動測定するための系を示している。図22は、液滴の体積を自動で測定するフローである。
図21に示すように、記録ヘッド234のノズル面234cに対面するように配置した受け皿812を有する電子天秤811を用いて、ノズル3aより一定周期で連続して液滴813を吐出させて液滴の体積Mjを自動で測定する。このために、まず、ステップS51で、ノズル面234cのメンテナス動作を行う。
次に、ステップS52で、電子天秤811をリセットすると共に、連続吐出を開始する。そして、一滴目の吐出信号の入力と同時に吐出液滴数のカウントを始め、N滴の液滴を吐出した後、ステップS53で吐出を中止し、ステップS54で、電子天秤811の指示値Mを読み取る。そして、ステップS55で、指示値Mを吐出液滴数Nで割ることで液滴の平均体積Mjが得られる。
このようにして、ステップS5で、電圧強度の倍率Maで液滴を吐出させた時の液滴の速度と体積の測定値Vj、MjをVja,Mjaとして、ステップS6で、Vja,Mjaが、図23に示す許容範囲S内に入っているか否かを判定する。図23に示すように、許容範囲Sは、仕様値Vjs、Mjsを中心として、速度がVjs−からVjs+までの範囲、体積がMjs−からMjs+までの範囲とする。
ステップS6で、測定値Vja、Mjaが許容範囲Sに入っている場合には、チャネルnの設定は、測定を行ったブロック(In0,Jn0,Kn0,Ln0)の設定、電圧強度の倍率はMaのままで、液滴の速度と体積を目標値にすることができるになる。そこで、ステップS19に進み、チャネルnの設定を読み出すべきブロックの座標の初期値を、このブロック(In0,Jn0,Kn0,Ln0)の座標に決定する。
ステップS6で、測定値Vj、Mjが許容範囲Sに入っていない場合には、ステップS7において、電圧強度の倍率の設定をMaからMbに変更する。そして、ステップS8で、変更した倍率Mbを用いて液滴を吐出させた時の液滴の速度と体積を、ステップS5と同様にして測定する。
次に、ステップS9で、ステップS8の測定によって得られた液滴の速度Vjbと体積Mjbが許容範囲S内に入っているか否かを判定する。ステップS9で、測定値Vja、Mjaが許容範囲Sに入っている場合には、ステップS19に進み、チャネルnの設定を読み出すべきブロックの座標の初期値を、ブロック(In0,Jn0,Kn0,Ln0)の座標に決定する。この際、電圧強度の倍率の設定はMbとする。
ステップS9で、測定値Vja、Mjaが許容範囲Sに入っていない場合には、ステップS10で、電圧強度の倍率を変更した時の液滴の速度と体積の相関を示す線を、直線Lとして求める。そして、ステップS11で、直線Lの式に、液滴の速度として仕様値Vjsを代入して、液滴の速度として仕様値Vjsの時の液滴の体積Mj(s)を求め、ステップS12で、Mj(s)が許容範囲Sに入っているか否かを判定する。
ステップS12で、Mj(s)が許容範囲Sに入っていない場合、ステップS13で、qがQ未満か否かを判定する。ステップS13で、qがQ未満でない場合には、チャネルnの初期ブロック、およびその周囲のQ個のブロックの設定としても、液滴の速度と体積を目標値の許容範囲内にすることができなかったことになる。そこで、ステップS14で、エラー表示を行って、このフローを終了する。一方、ステップS13で、qがQ未満である場合は、qを1だけインクリメントする。そして、ステップS16で、所定のパターンにしたがって、設定を読み出すブロックを、現在のブロックに対して、第一成分と第二成分都の少なくとも一方を変更して、初期ブロックに近接するQ個のブロックのうちのいずれか1つにし、ステップS4に戻る。
一方、ステップS12で、Mj(s)が許容範囲Sに入っている場合、ステップS17で、液滴の速度Vjs、体積Mj(s)が得られる電圧強度の倍率Msを求める。そして、ステップS18で電圧の倍率の設定を、ステップS17で求めた倍率Msとし、ステップS19に進む。
ステップS19で、チャネルnの設定を読み出すべきブロックの座標の初期値を決定した後、ステップS20で、nがN未満か否かを判定する。nがN未満の場合、ステップS21でnを1だけインクリメントして、ステップS2に戻る。一方、nがN未満でない場合、N個全てのチャネルについて、設定を読み出すべきブロックの座標の初期値を決定したことになるので、このフローを終了する。
図17のフローによって決定された、それぞれのチャネルの設定を読み出すべき制御テーブルのブロックの座標の初期値は、可変素子値制御データを構成するデータとして、可変フィルタ制御データ記憶部522に記憶しておくことができる。
図17のフローに示した設定方法により、液滴の速度と体積が精度よく許容範囲S内となる設定を、同様の設定を、例えば総当り的に設定を試して決めるよりも、迅速に決定できる。したがって、図17のフローを用いることにより、液滴の速度と体積が精度よく許容範囲S内となる設定を決めるプロセスにかかる時間やコストを低減できる。
図17に示す処理は、画像形成装置外で行ってもよいが、図18、図21に示すような自動測定のための系を組み込んで、画像形成装置で、例えば、可変フィルタ制御データ設定部523で実行するようにしてもよい。この場合、この処理は、初回起動時や、一定の期間ごとに実行するようにしてもよいし、ユーザーや保守員の操作により、適宜実行されるようにしてもよい。
次に、図24を参照して、同一の駆動波形生成回路によって駆動される他のチャネルの駆動状況に応じて、適切なブロックを選択して各チャネルの設定を行う処理について説明する。
ステップS61で、上記のようにして決定した、各チャネルの設定を読み出すべきブロックの座標の初期値をセットする。次に、ステップS62で、駆動ch数xをカウントし、ステップS63で、xに応じて、ブロックの座標の第三成分の変位量zを算出する。そして、ステップS64で、チャネルの番号に対応するnを1に設定し、チャネルnでの座標を、初期値から、第三成分をステップS63で算出した変位量zだけずらした座標に設定する。
次に、ステップS66で、近接駆動パターンpを認識し、ステップS67で、認識した近接駆動パターンpに応じて、ブロックの座標の第四成分の変位量wを算出する。そして、ステップS68で、チャネルnの設定を読み出すブロックの座標を(In0,Jn0,Kn+Z,Ln0+W)に決定する。
次に、ステップS69で、nがチャネルの総数N未満か否かを判定し、nがN未満の場合は、ステップS70でnを1だけインクリメントして、ステップS65に戻る。一方、ステップS69で、nがN未満でない場合は、全てのチャネルについて、可変フィルタ回路10の設定を読み出すべきブロックが選択されたことになるので、ステップS71に進み、各チャネルの可変フィルタ回路10の可変素子の設定値を、選択ブロックから読み出した値に設定する。
図24のフローでは、駆動ch数および近接駆動パターンに対応する成分を含む座標を用いた制御テーブルを用いることにより、駆動ch数および近接駆動パターンの違いによる影響を低減する制御を、設定を読み出すブロックの座標をずらすのみの単純な処理で実行することができる。それによって、駆動ch数および近接駆動パターンの、液滴の吐出周期ごとの変化による、液滴の速度および体積の変動を抑える制御を単純な処理によって実現できる。
以上説明した本実施形態によれば、チャネルごとに設けられた可変フィルタ回路10を用いて、チャネルごとに駆動波形のスペクトル分布を制御することにより、各ノズルから吐出される液滴の速度および体積をそれぞれ目標値に制御することができる。特に、複数のノズル間で、機械的特性や電気的特性にばらつきがある場合でも、全てのノズルについて、個別に、対応する可変フィルタ回路10の設定を調整することによって、液滴の速度および体積をそれぞれ目標値に制御することができる。特に、本実施形態によれば、吐出される液滴を画像形成に利用する場合、液滴の着弾位置と、着弾により形成されるドットのドット径とを制御して、画像形成の精度を高めることができる。
上記実施形態の制御部500の特性データ取得部521、可変フィルタ制御データ設定部523などの各部を実現するプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
また、このプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、このプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、このプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記の実施形態は本発明を例示したものであり、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、可変フィルタ回路10に用いる可変素子としては、図25に示す構成の可変抵抗、および図26に示す可変キャパシタを用いてもよい。図25に示す可変抵抗は、直列に接続された複数の抵抗822と、各抵抗822と並列に接続された複数の半導体スイッチ821とを有しており、半導体スイッチ821のスイッチング制御によりinとoutの間の抵抗値を切り替えることができる。図26に示す可変キャパシタは、直列に接続された半導体スイッチ831とキャパシタ832の複数の組が並列に接続されており、半導体スイッチ831のスイッチング制御によりinとoutの間の容量値を切り替えることができる。
図27は、図25,26に示すような構成の可変抵抗、および可変キャパシタを用いた一例の可変フィルタ回路を示している。この可変フィルタ回路を用いる場合、制御用テーブルの各ブロックには、半導体スイッチのスイッチングデータSD_n(SD_R1,SD_R2,SD_C1,SD_C2)を格納することができる。そして、チャネルごとに、制御用テーブルから選択されたブロックから読み出したスイッチングデータSD_nを用いて、可変素子の半導体スイッチを制御することにより、可変フィルタ回路の特性を上記実施形態のように適切に設定することができる。
また、上記の実施形態では、液体吐出装置として、シリアル型の画像形成装置を例示したが、本発明は、ライン型の画像形成装置にも適用可能である。図28,29は、このような一例のライン型の画像形成装置を示している。
このライン型の画像形成装置であり、装置本体901を有している。装置本体901の前後には、用紙910を積載し給紙する給紙トレイ902と、印刷された用紙910が排紙され積載される排紙トレイ903が設けられている。装置本体901内には、用紙910を給紙トレイ902から排紙トレイ903まで搬送する搬送ユニット904が設けられている。
搬送ユニット904による搬送経路上には、画像形成ユニット905が設けられている。画像形成ユニット905は、搬送ユニット904によって搬送される用紙910に液滴を吐出し印字する記録ヘッド911を構成するヘッドモジュールアレイ950を含んでいる。
また、装置本体901には、印刷終了後または所要のタイミングで画像形成ユニット905の各ヘッドモジュールアレイ950の複数のヘッドの維持回復を行う維持回復機構であるヘッドクリーニング装置906が設けられている。さらに、画像形成装置には、画像形成ユニット905のヘッドモジュールアレイ950にインクを供給するサブタンクやメインタンクで構成されるインク供給系が備えられている。なお、被記録媒体である用紙910としては、紙に限らず、OHPシートなどの他の材料からなるシートも用いられる。
装置本体901は、前後側板およびステーなどで構成されており、給紙トレイ902上に積載されている用紙910は、分離ローラ921および給紙ローラ922によって1枚ずつ搬送ユニット904に給紙される。
搬送ユニット904は、搬送駆動ローラ941Aと搬送従動ローラ941Bと、これらのローラ941A、941B間に掛け回された無端状の搬送ベルト943とを備えている。この搬送ベルト943の表面には複数の吸引穴が形成されており、搬送ベルト943の下方には用紙910を吸引する吸引ファン944が配置されている。また、搬送駆動ローラ941A、搬送従動ローラ941Bの上方には、それぞれ搬送ガイドローラ942A、942Bが、ガイドに保持されて、自重にて搬送ベルト943に当接している。
搬送ベルト943は、搬送駆動ローラ941Aが、モータにより回転されることで周回するように動かされ、用紙910は搬送ベルト943上に吸引ファン944により吸い付けられ、搬送ベルト943の周回によって搬送される。なお、搬送従動ローラ941B、搬送ガイドローラ942A、942Bは搬送ベルト943に従動して回転する。
搬送ユニット904の上部には、用紙910に印字する液滴を吐出するヘッドモジュールアレイ950で構成される画像形成ユニット905が矢示A方向(および逆方向)に移動可能に配置されている。この画像形成ユニット905は、維持回復動作時(クリーニング時)にはヘッドクリーニング装置906の上方まで移動され、画像形成時には図28,29の位置に戻される。
画像形成ユニット905のヘッドモジュールアレイ950は、ライン型であり、搬送ベルト943上に吸着保持されて搬送される用紙910に対して4色分のインク(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)の液滴を吐出するように構成されている。
ヘッドモジュールアレイ950では、各列の記録ヘッド911にインクを分配して供給する分岐部材954が一体に設けられている。分岐部材954には、サブタンクからインクが供給され、サブタンクにはメインタンクからインクが供給される。なお使用するインク色は4色に限らず再現する色や階調の領域を拡大するためにレッド、グリーン、ブルー、グレー等の色を加える構成としてもよい。
また、ヘッド配列方向(図29においてX方向、用紙搬送方向に対して直交する方向)において隣り合う2つの記録ヘッド911の端部の1または複数のノズルが重なり合う(重複する)ように記録ヘッド911が配列されている。これにより、2つの記録ヘッド911それぞれのノズルによって同じ記録位置(ドット位置)に記録を行うことができる。
搬送ユニット904の下流側には用紙910を排紙トレイ903に排紙する搬送ガイド部907が設けられている。搬送ガイド部907にて案内されて搬送される用紙910は排紙トレイ903に排紙される。排紙トレイ903は、用紙910の幅方向を規制する対のサイドフェンス931と用紙910の先端を規制するエンドフェンス932を備えている。
ヘッドクリーニング装置906には、画像形成ユニット905の各記録ヘッド911に対応するキャップ部材962およびワイパ部材が設けられている。また、キャップ部材962で記録ヘッド911のノズル面(ノズル102aが形成された面)をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引するための吸引ポンプ963が配置されている。
また、この画像形成装置においては、図28に示すように、搬送ユニット904全体が搬送従動ローラ941Bを支点に矢印B方向に回動可能になっている。このように、搬送ユニット904全体を回動させることで、画像形成ユニット905との間の空間を画像形成時よりも大きくし、画像形成ユニット905をヘッドクリーニング装置906上へと移動させるための移動スペースを確保するようにしている。このとき、ヘッドクリーニング装置906上部に配置されている搬送ガイド部907の搬送ガイド板971も支点972にて矢印C方向上方に回動され、ヘッドクリーニング装置906の上方が開放される。そして、搬送ユニット904と搬送ガイド部907がそれぞれ解放(解除)された後に、画像形成ユニット905が用紙通紙方向(矢示A方向)に移動し、ヘッドクリーニング装置906上方で停止される。印刷終了後に、必要に応じて、このように画像形成ユニット905が、ヘッドクリーニング装置906上に移動させられる。そして、キャップ部材962などが上昇して記録ヘッド911の各ヘッドのクリーニング動作(維持回復動作)に移行する。維持回復動作としては、液滴を吐出する記録ヘッド911の各ヘッドのノズル面をヘッドクリーニング装置906のキャップ部材962でキャッピングした状態でノズルからインクを吸引したり、あるいは、記録ヘッド911の各ヘッドのノズル面に付着したインクをワイピング部材で清掃したりする処理が行われる。
図28,29に示す構成の画像形成装置において、液体吐出ヘッドの一例としての、ヘッドモジュールアレイ950の有する記録ヘッド911に、上記の実施形態と同様に、各ノズルに対応するチャネルごとに設けた可変フィルタ回路を用いた制御を適用することができる。
3a ノズル
5 圧電素子
10 可変フィルタ回路
500 制御部
523 可変フィルタ制御データ設定部
701 駆動波形発生部
特許第5454385号公報

Claims (14)

  1. 液体を吐出する複数のノズルと、
    前記複数のノズルから前記液体を吐出させる圧力を前記液体に付与する圧力発生手段と、
    前記液体を吐出させる圧力を発生させるために前記圧力発生手段に印加する駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、
    前記駆動波形生成手段と前記圧力発生手段との間に前記複数のノズルに対応する複数のチャネルごとに設置され、滴制御信号に応じて開閉する複数のスイッチと、
    前記複数のスイッチと前記圧力発生手段との間に、前記複数のチャネルごとに設置され、可変素子をそれぞれ有し、該可変素子の可変素子値に応じて通過帯域の周波数特性がそれぞれ変化する複数の可変フィルタと、
    前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定する設定手段と、を有する液体吐出装置。
  2. 前記複数のノズルの機械的特性データと前記複数のチャネルの電気的特性データとを取得する取得手段をさらに有し、
    前記設定手段は、前記取得手段によって取得された前記機械的特性データおよび前記電気的特性データに応じて、前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定する、請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記複数のノズルと前記圧力発生手段とを有する液体吐出ヘッドを有し、
    前記液体吐出ヘッドは、前記機械的特性データと前記電気的特性データとを記憶する特性データ記憶手段を有し、
    前記取得手段は、前記特性データ記憶手段から前記機械的特性データと前記電気的特性データとを取得する、請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記機械的特性データは、前記複数のノズルのそれぞれの径のデータを含む、請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記圧力発生手段は圧電素子であり、前記電気的特性データは、前記圧電素子の、前記複数のチャネルごとの静電容量のデータを含む、請求項2から4のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  6. 前記設定手段は、前記駆動波形が前記圧力発生手段に印加される周期ごとの、前記複数のノズルの駆動状況に応じて、前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定する、請求項1から5のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  7. 前記設定手段は、前記駆動状況としての、前記複数のノズルのうちの、液体を吐出させるノズルの総数に応じて、前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定する、請求項6に記載の液体吐出装置。
  8. 前記設定手段は、前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を、前記駆動状況としての、当該可変フィルタのチャネルに対応するノズルを中心として並んで位置する複数のノズルからの液体の吐出パターンに応じて設定する、請求項6または7に記載の液体吐出装置。
  9. 前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子に対して設定すべき可変素子値を決定するための可変素子値制御データを記憶する記憶手段をさらに有する、請求項1から8のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  10. 前記複数のノズルから吐出される前記液体の速度および体積を測定する測定手段をさらに有し、
    前記設定手段は、前記測定手段により測定された前記液体の速度および体積が目標値の範囲に収まるように、前記可変素子値制御データを調整する、請求項9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記可変素子値制御データは、前記複数のノズルの機械的特性データ、前記複数のチャネルの電気的特性データ、および、前記駆動波形が前記圧力発生手段に印加される周期ごとの、前記複数のノズルの駆動状況に対して、前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子に対して設定すべき可変素子値を対応づけた制御テーブルを含む、請求項9または10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記可変素子は可変抵抗を含む、請求項1から11のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  13. 前記可変素子は可変キャパシタを含む、請求項1から12のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  14. 液体を吐出する複数のノズルと、
    前記複数のノズルから前記液体を吐出させる圧力を前記液体に付与する圧力発生手段と、
    前記液体を吐出させる圧力を発生させるために前記圧力発生手段に印加する駆動波形を生成する駆動波形生成手段と、
    前記駆動波形生成手段と前記圧力発生手段との間に前記複数のノズルに対応する複数のチャネルごとに設置され、滴制御信号に応じて開閉する複数のスイッチと、
    前記複数のスイッチと前記圧力発生手段との間に、前記複数のチャネルごとに設置され、可変素子をそれぞれ有し、該可変素子の可変素子値に応じて通過帯域の周波数特性がそれぞれ変化する複数の可変フィルタと、を有する液体吐出装置による液体吐出方法であって、
    前記複数の可変フィルタのそれぞれの可変素子の可変素子値を設定するステップと、
    前記駆動波形を、それぞれの可変素子の可変素子値を設定した前記複数の可変フィルタを介して前記圧力発生手段に印可して前記複数のノズルから前記液体を吐出させるステップと、を有する液体吐出方法。
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