JP6929516B2 - 斜板式可変容量ピストンポンプ - Google Patents

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本発明は、建設機械や産業機械用に用いられる斜板式可変容量ピストンポンプまたはモータの斜板角制御部に関するものである。
従来、この種の建設機械や産業機械用に用いられる斜板式可変容量ピストンポンプ・モータとしては、斜板の傾斜角を制御するためにコントロールピストンを有し、該コントロールピストンは、斜板の平面に形成された接触部に直接もしくは間接的に点または線で接触している。(例えば特許文献1、特許文献2参照)
このような斜板式可変容量ピストンポンプ・モータは、コントロールピストンには、ピストンの軸方向以外の荷重、偏荷重が作用し、コントロールピストンのハウジングとなる穴(以下、ボアと記す)が摩耗、かじりを発生する危険性があるので、ボアの嵌合を大きくしたり、特許文献1に記載のように硬度を上げる表面処理を行うといった対策が行われる。
また、特許文献3では斜板とコントロールピストンとの接触部位を傾斜面に形成することにより、コントロールピストンに回転力が作用し、コントロールピストンが回転することで油膜が形成されやすくなり、かじり、摩耗の発生を抑制する斜板式ピストンポンプが開示されている。
ここで、従来技術の主な構造について特許文献3を引用した図3を用いて説明する。
斜板式可変容量ピストンポンプ10はボディ11とケース12が図示しないねじ部材によって本体13が一体的に形成され、前記ボディ11及びケース12には、玉軸受14、ニードル軸受15により回転自在に支持されたシャフト(軸部材)16が装着されている。前記シャフト16には、スプライン16aが形成され、シリンダバレル18の内周面に形成されたスプライン溝16bと結合されてシリンダバレル18がシャフト16と共に回転する。
前記シリンダバレル18の回転軸線を中心とする同一円周上には複数個のボア19が形成され、該ボア19の内部にはピストン20が摺動自在に挿入されている。前記ピストン20の一端部である頭部21は、前記ボア19の開口から突出し、シュー22を介して斜板23の表面に摺動自在に当接されている。
前記斜板23は、ボディ11に結合されたすべり軸受24に当接されている。前記斜板23には、スプリング28の弾発力がニードル軸受17、バレルホルダ29、シューホルダー30を介して作用している。斜板23は、すべり軸受24を摺動することで傾斜角θが変化する。斜板23は、通常、傾動用のばね部材25の弾発力により傾斜角θが最大となるようにスプリングホルダ31を介して背面側端部に付勢されており、ばね部材25とは反対側に配されたコントロールピストン(ピストン部材)26が該ばね部材25の弾発力の付勢に抗して斜板23を最小の傾斜角θとなるまで制御動作する。そして、前記コントロールピストン26を作動させることにより、斜板23に所要の傾斜角θを付与してポンプの吐出容量を制御する。なお、前記コントロールピストン26は、ケース12に穿設されたボア27に摺動自在に嵌入されている。
このように構成された斜板式可変容量ピストンポンプ10は、シャフト16と同期して回転するシリンダバレル18に内蔵されたピストン20がばね部材25とコントロールピストン26とによって押圧され、例えば傾斜角θを備えた斜板23の当接面に係合して摺動することにより、シャフト16の軸方向に沿って往復動して圧力流体を図示しないアクチュエータに吐出する。
特開2002−202048 特開2013−113132 特開2005−315241
しかし、図3においては、斜板との接触点の1点集中を避けるためにコントロールピストンが回転し油膜切れがおきにくい構造であり、摩耗対策として有効であるが、斜板の回転軸方向の位置を規制する構造が別に必要である。また、可変頻度が多い用途の場合はスプリングホルダ接触部の摩耗が発生するため、斜板もしくはスプリングホルダへの摩耗対策も別途必要となる。
つまり可変頻度が多い用途の場合は、斜板とコントロールピストン接触部および斜板とスプリングホルダ接触部の双方への摩耗対策が必要となる。摩耗対策を一つの部品に行うとすれば、斜板が候補となる。しかし、斜板のサイズはピストンポンプを構成する部品の中でも比較的大きいため、表面処理をするにも生産性が低くいものになる。
本発明の目的は、斜板のコントロールピストン接触部について、ボア穴摩耗を防止するためにコントロールピストン側に偏荷重を作用させることなく、斜板との接触面圧の低減を図り、且つ斜板とスプリングホルダ接触部の摩耗を防止し、斜板の回転軸方向の位置決め機構を兼ね備えた斜板制御構造のピストンポンプ・モータを低コストで提供する事である。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
本体内にシャフトとともに回転可能に支持されたシリンダバレルと、
前記シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンの頭部に摺動可能に保持されかつ前記シャフトの回転方向に回転不能に前記本体内に支持された斜板と、
を有し、
前記斜板の傾斜角がコントロールピストンにより変更される斜板式可変容量型ピストンポンプにおいて、
前記斜板と、
前記本体に摺動自在に嵌挿された前記コントロールピストンと、
前記コントロールピストン及び前記斜板を連接するリテーナピンと、
を有し、
前記コントロールピストンの先端に凹部溝を設け、
前記リテーナピンのコントロールピストン接触側には前記凹部溝に係合する断面半円形状の突起を設け、該突起の反対側には前記斜板に嵌合する円筒部を設け、
前記円筒部のスプリングホルダ保持側には略円すい形状のくぼみが形成され、該略円すい形状のくぼみに前記スプリングホルダを保持し、スプリングピンにより前記斜板と前記リテーナピンとを一体にし、前記スプリングピンの嵌合穴と前記略円すい形状のくぼみとが連通していることを特徴とする。
上記構成では、斜板側に円筒形状のリテーナピンをコントロールピストン端面の平面部に当接させる事で、斜板が斜めに位置したときにもコントロールピストン側には偏荷重が作用しないことから、コントロールピストンのボアの摩耗防止を図ることができる。
またリテーナピンのコントロールピストン接触部分を円筒形状にしたことで線接触となり、リテーナピンのコントロールピストン側接触部分の円筒半径を大きく取れるのでヘルツの接触応力が低減され、接触面圧の低減を図ることができるため、接触部の摩耗、へたりを防止できる。またリテーナピンがコントロールピストンの溝に嵌まっているため、斜板の回転軸方向への移動が制限され、位置保持のための構造を必要としない。
さらに、リテーナピンにスプリングホルダ保持機能を持たせたため、斜板への硬度アップ等摩耗対策の必要がない。
また好ましくは、前記スプリングピンの割り位置が前記略円すい形状のくぼみの方向を向くように組み付けられた事を特徴とする。
リテーナピンのスプリングピンの嵌合穴と略円すい形状のくぼみとが連通しており、スプリングピンの割位置が略円すい形状のくぼみ側を向くことでスプリングホルダ保持状態においても下穴側はケース内作動油に満たされることとなり、潤滑性が向上し接触部の摩耗防止を図ることができる。
本発明によれば、斜板のコントロールピストン接触部及びスプリングホルダ保持部にリテーナピンを使用する事で信頼性の高い、コンパクトで、且つ低コストで製造可能な斜板式可変容量ピストンポンプ・モータを提供が可能となる。
本発明の実施の形態に係る斜板式可変容量ピストンポンプの概略構造を示す縦断面図である。 (a)は、リテーナピン40単体の斜視図、(b)はリテーナピンのB−B横断面図、(c)はコントロールピストン26とリテーナピン40、スプリングホルダ31の接触部分を図1の視点Rから見た場合の横断面概略図、(d)は図1の破線丸枠で囲った要部拡大図である。 従来の斜板式可変容量ピストンポンプを示す縦断面図である。
本発明の実施の形態に係る斜板式可変容量ピストンポンプについて図面により詳細に説明する。図1中に、図3に示す構成要件と同一の構成要件は、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の実施形態に係る斜板式可変容量ピストンポンプ70の特徴は、図1に示すようにコントロールピストン26およびスプリングホルダ31の接触する部分を斜板23に嵌合したリテーナピン40によって一体にすることを特徴とする。
次にリテーナピン40の構造について主に図2を用いて説明する。
リテーナピン40のコントロールピストン26の接触部側は、断面半円形状の突起41を有しており、図2(c)のように、コントロールピストン26の凹部溝26aに線接触する形状となっている。リテーナピン40は、コントロールピストン26との接触が線接触となることでヘルツの接触応力が低減する。
また、コントロールピストン26に対してリテーナピン40の接触が断面半円形状の突起41つまりは円筒形状との接触なので接線の垂直方向に荷重が作用するため、コントロールピストン26には軸方向の荷重しか作用しない。このことから偏荷重(軸方向以外の荷重)が作用しないため、コントロールピストン26のボア27の摩耗防止を図ることができる。
またリテーナピン40のスプリングホルダ31の保持部側は略円すい形状のくぼみ44を有しており、スプリングホルダ31の保持が可能になっている。
スプリングホルダ31の保持部の外周となる円筒部45は、斜板23に形成された嵌合穴23cに嵌め合うようになっている。
そして、スプリングピン33を斜板のスプリングピン嵌合穴23bおよびリテーナピンのスプリングピン嵌合穴42に嵌め合う事でリテーナピン40を斜板23に固定することが可能となっている。
組立の際にリテーナピン40と一体化した斜板23とコントロールピストン凹部溝26aを組み合わせることで位置決めが容易となり、斜板23の回転軸方向への移動が制限される。そのため、別途位置保持のための構造を必要としないので、構造の簡略化が可能となる。
また、リテーナピン40のスプリングホルダ31の保持部側は略円すい形状のくぼみ44と、リテーナピンのスプリングピン嵌合穴42は貫通した下穴43を有しており、ピストンポンプ70内を循環する油がリテーナピン40のスプリングピン嵌合穴42を通じて流出入することが可能となっていて、潤滑性を保持することが可能となる。
ちなみにスプリングピン33は種々の形状が存在するが、弾発性を備えるためいずれにおいても割位置(隙間)が存在する。そこで図2(d)に示すようにスプリングピンの割位置33aを下穴43の方向に向けることで斜板23に形成された嵌合穴23bから油の流出入が可能となり、スプリングホルダ31の接触面に油が導かれることで潤滑性が向上し、接触部の摩耗防止を図ることが可能となる。
なお、前記実施形態においては、下穴43はスプリングホルダ31の接触部である略円すい形状のくぼみ44とスプリングピン嵌合穴42の貫通のみであったが、下穴43をコントロールピストン26側の断面半円形状の突起41の表面まで貫通する構造にすることで、コントロールピストン26との接触部の潤滑性向上、摩耗防止を図る構造にすることも可能である。他にも、リテーナピン40に下穴43とは別のコントロールピストン26接触部である断面半円形状の突起41の表面からスプリングピン嵌合穴へ連通する貫通穴を有することでも同様に潤滑性向上、摩耗防止を図ることができる。
10 、70 斜板式可変容量ピストンポンプ
11 ボディ 12 ケース
13 本体 16 シャフト
17 ニードル軸受 18 シリンダバレル
19 、27 ボア 20 ピストン
22 シュー 23 斜板
26 コントロールピストン 31 スプリングホルダ
33 スプリングピン 40 リテーナピン

Claims (3)

  1. 本体内にシャフトとともに回転可能に支持されたシリンダバレルと、
    前記シリンダバレルに軸方向に摺動可能に挿入された複数個のピストンの頭部に摺動可能に保持されかつ前記シャフトの回転方向に回転不能に前記本体内に支持された斜板と、
    を有し、
    前記斜板の傾斜角がコントロールピストンにより変更される斜板式可変容量型ピストンポンプにおいて、
    前記斜板と、
    前記本体に摺動自在に嵌挿された前記コントロールピストンと、
    前記コントロールピストン及び前記斜板を連接するリテーナピンと、
    を有し、
    前記コントロールピストンの先端に凹部溝を設け、
    前記リテーナピンのコントロールピストン接触側には前記凹部溝に係合する断面半円形状の突起を設け、該突起の反対側には前記斜板に嵌合する円筒部を設け、
    前記円筒部のスプリングホルダ保持側には略円すい形状のくぼみが形成され、該略円すい形状のくぼみに前記スプリングホルダを保持し、スプリングピンにより前記斜板と前記リテーナピンとを一体にし、前記スプリングピンの嵌合穴と前記略円すい形状のくぼみとが連通していることを特徴とする斜板式可変容量型ピストンポンプ。
  2. 請求項1記載の斜板式可変容量型ピストンポンプにおいて、前記スプリングピンの割り位置が前記略円すい形状のくぼみの方向を向くように組み付けられた事を特徴とする斜板式可変容量型ピストンポンプ。
  3. 請求項1又は2記載の斜板式可変容量型ピストンポンプにおいて、
    前記リテーナピンにはスプリングピン嵌合穴から前記断面半円形状の突起表面へと貫通した穴が形成されていることを特徴とする斜板式可変容量型ピストンポンプ。
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