JP6929141B2 - 画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム、および、記憶媒体 - Google Patents

画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム、および、記憶媒体 Download PDF

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本発明は、光学部材の特性による画質変化を補正する画像処理装置に関する。
撮像装置により得られた撮影画像は、撮像光学系の球面収差、コマ収差、像面湾曲、非点収差等の各収差を高精度に補正した場合でも、絞り値(Fナンバー)に依存した回折現象により劣化する。
図2は、回折限界曲線であり、横軸は空間周波数、縦軸はMTFをそれぞれ示している。図2に示されるように、絞り値(F値)が大きくなるほど遮断周波数が低周波側にシフトする。例えば、画素サイズが4μmの撮像素子のナイキスト周波数は125本/mmである。このため、F2.8など明るい場合、その影響は小さい。しかし、F11やF22など暗い場合、その影響は大きくなる。回折現象も収差と同様に点像分布関数PSF(Point Spread Function)や光学伝達関数OTF(Optical Transfer Function)やPSF(Point Spread Function)で記述できる。このため、上記の画像回復処理により回折によるぼけを補正することができる。
収差や回折による画像のぼけ成分は、無収差で回折の影響もない場合に、被写体の一点から発した光束が撮像面上で再度一点に集まるべきものが広がっていることを意味し、点像分布関数PSFで表される。点像分布関数PSFをフーリエ変換して得られる光学伝達関数OTFは、収差の周波数成分情報であり、複素数で表される。光学伝達関数OTFの絶対値、すなわち振幅成分をMTF(Modulation Transfer Function)と呼び、位相成分をPTF(Phase Transfer Function)と呼ぶ。振幅成分MTFおよび位相成分PTFはそれぞれ、収差による画像劣化の振幅成分および位相成分の周波数特性であり、位相成分を位相角として以下の式で表される。
PTF=tan−1(Im(OTF)/Re(OTF))
ここで、Re(OTF)およびIm(OTF)はそれぞれ、光学伝達関数OTFの実部および虚部を表す。振幅成分MTFおよび位相成分PTFの劣化を補正する方法として、撮像光学系の光学伝達関数OTFの情報を用いて補正する方法が知られている。以下、撮像光学系の光学伝達関数(OTF)の情報を用いて撮影画像の劣化を補正する処理を画像回復処理という。また、画像回復の方法の一つとして、光学伝達関数(OTF)の逆特性を有する関数(画像回復フィルタ)を入力画像に対して畳み込む(コンボリューション)方法が知られている。画像回復処理を効果的に行うには、撮像光学系のより正確なOTF情報を得る必要がある。OTFを得る方法は、例えば撮像光学系の設計値情報があれば、その情報から計算によって求めることが可能である。また、点光源を撮影し、その強度分布にフーリエ変換を施すことでも求めることが可能である。更に、回折においては理論的に導かれた計算式から求めることもできる。
次に、撮像光学系に光学部材(アポダイジングフィルタ)を設けた場合の回折について説明する。透明部材を基板とし中心部に向かって透過率が連続的に変化する透過率を有する光学部材が撮像光学系の光路内に配されている場合を考える。このとき、光学部材が配されていない撮像光学系の回折による画像のぼけ成分と光学部材が配されている撮像光学系の回折による画像のぼけ成分は、互いに異なる。このため、光学部材が配されている撮像光学系の収差や回折による画像のぼけ成分を正しく補正するには、例えば光学部材と撮像光学系の設計値情報があれば、その情報から計算によってOTFを求める必要がある。
特許文献1には、画像回復に用いるOTFを係数化して保持し、撮像装置の種々の撮影条件に対応して収差や回折による劣化画像に対して画像回復処理を行う方法が開示されている。しかしながら、特許文献1には、光学部材が撮像光学系に配された場合のOTFについては、具体的に説明されていない。絞り開口径や撮影距離やズームレンズにおける焦点距離が同じでも、光学部材が撮像光学系の光路内に配された場合と、光学部材が撮像光学系の光路内に配されていない場合とでは、OTFは互いに異なる。また画面内の像高が同じでも光学部材が撮像光学系の光路内に配された場合と、光学部材が撮像光学系の光路内に配されていない場合とでは、OTFは互いに異なる。このため、高精度なOTFデータを保持する場合、光学部材が撮像光学系の光路内に配された場合と、光学部材が撮像光学系の光路内に配されていない場合との2つの条件について保持する必要があり、非常に大きなデータ量となる。また、1つの画像について画像回復処理を行う場合にも、像高に応じてOTFを変更して用いるため、演算量は大きくなる。
特許文献2には、光学素子のアポダイゼーション効果を可変にする方法が開示されている。
特開2012−73691号公報 特開2001−228307号公報
しかし、特許文献2には、アポダイゼーション効果による回折に対する画像回復処理を高精度に行う方法が開示されていない。
そこで本発明は、データ量を削減しつつ高精度な画像回復処理が可能な画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム、および、記憶媒体を提供する。
本発明の一側面としての画像処理装置は、絞り値に応じた複数の画像回復フィルタを記憶する記憶手段と、前記複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得する取得手段と、前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行う画像回復手段とを有する。
本発明の他の側面としての撮像装置は、撮像光学系を介して形成される光学像を光電変換して画像データを出力する撮像素子と、絞り値に応じた複数の画像回復フィルタを記憶する記憶手段と、前記複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得する取得手段と、前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた前記画像データに対応する撮影画像の回復処理を行う画像回復手段とを有する。
本発明の他の側面としての画像処理方法は、絞り値に応じた複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得するステップと、前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行うステップとを有する。
本発明の他の側面としてのプログラムは、前記画像処理方法をコンピュータに実行させる。
本発明の他の側面としての記憶媒体は、前記プログラムを記憶している。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、データ量を削減しつつ高精度な画像回復処理が可能な画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することができる。
実施例1における画像回復処理のフローチャートである。 回折限界曲線の説明図である。 各実施例における画像回復フィルタの説明図である。 各実施例における点像分布関数PSFの説明図である。 各実施例における光学伝達関数の振幅成分と位相成分の説明図である。 各実施例におけるOTFの逆フィルタのゲイン特性と画像回復フィルタのゲイン特性の関係図である。 各実施例における撮像装置の構成図である。 各実施例における画像回復フィルタのゲイン特性である。 実施例1におけるアポダイジングフィルタのOTFの模式図である。 実施例1における画像回復フィルタのゲイン特性の模式図である。 実施例2における画像回復処理のフローチャートである。 各実施例において、軸上光線が絞り値に応じて光線高さを変える様子を示す模式図である。 各実施例におけるアポダイジングフィルタの濃度を量子化する模式図である。 各実施例における軸外光束を示す模式図である。 実施例1における結像光学系の説明図である。 実施例1における計算アルゴリズムの説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本実施形態で説明される用語の定義および画像回復処理(画像処理方法)について説明する。ここで説明される画像処理方法は、後述の各実施例において適宜用いられる。
[入力画像]
入力画像は、撮像光学系と光学部材とを介して撮像素子で受光することで得られたデジタル画像(撮影画像)であり、レンズと各種の光学フィルタ類を含む撮像光学系の収差による光学伝達関数OTFと、光学部材の回折によるOTFにより劣化している。撮像光学系は、レンズだけでなく曲率を有するミラー(反射面)を用いて構成することもできる。入力画像は、例えばRGB色成分の情報を有するRAW画像であるが、これに限定されるものではない。入力画像や出力画像には、光学部材の有無、レンズの焦点距離、絞り値、および、撮影距離などの撮影条件や、この画像を補正するための各種の補正情報を付帯することができる。
[画像回復処理]
続いて、画像回復処理の概要について説明する。劣化画像(撮影画像)をg(x,y)、元の画像をf(x,y)、光学伝達関数OTFのフーリエペアである点像分布関数PSFをh(x,y)とするとき、以下の式(1)が成立する。
g(x,y)=h(x,y)*f(x,y) … (1)
式(1)において、*はコンボリューション(畳み込み積分、積和)、(x,y)は撮影画像上の座標である。
また、式(1)をフーリエ変換して周波数面での表示形式に変換すると、周波数ごとの積で表される式(2)が得られる。
G(u,v)=H(u,v)・F(u,v) … (2)
式(2)において、Hは点像分布関数PSF(h)をフーリエ変換することにより得られた光学伝達関数OTFであり、G、Fはそれぞれ劣化画像をg、元の画像fをフーリエ変換して得られた関数である。(u,v)は2次元周波数面での座標、すなわち周波数である。
撮影された劣化画像gから元の画像fを得るには、以下の式(3)のように両辺を光学伝達関数Hで除算すればよい。
G(u,v)/H(u,v)=F(u,v) … (3)
そして、F(u,v)、すなわちG(u,v)/H(u,v)を逆フーリエ変換して実面に戻すことにより、元の画像f(x,y)が回復画像として得られる。
−1を逆フーリエ変換したものをRとすると、以下の式(4)のように実面での画像に対するコンボリューション処理を行うことで、同様に元の画像f(x,y)を得ることができる。
g(x,y)*R(x,y)=f(x,y) … (4)
ここで、R(x,y)は画像回復フィルタと呼ばれる。画像が2次元画像である場合、一般的に、画像回復フィルタRも画像の各画素に対応したタップ(セル)を有し、2次元のフィルタ値の分布を有する。また、画像回復フィルタRのタップ数(セルの数)は、一般的に多いほど回復精度が向上する。このため、要求画質、画像処理能力、PSFの広がり幅、収差の特性などに応じて実現可能なタップ数が設定される。画像回復フィルタRは、少なくとも収差や回折の特性を反映している必要があるため、従来の水平垂直各3タップ程度のエッジ強調フィルタ(ハイパスフィルタ)などとは異なる。画像回復フィルタRは光学伝達関数OTFに基づいて設定されるため、振幅成分および位相成分の劣化の両方を高精度に補正することができる。
また、実際の画像にはノイズ成分が含まれるため、上記のように光学伝達関数OTFな逆数をとって作成した画像回復フィルタRを用いると、劣化画像の回復とともにノイズ成分が大幅に増幅されてしまう。これは、画像の振幅成分にノイズの振幅が付加されている状態に対して、光学系のMTF(振幅成分)が1に正規化されているとすると、MTFを全周波数に渡って1に戻すようにMTFを持ち上げるためである。光学系による振幅劣化であるMTFは1に戻るが、同時にノイズのパワースペクトルも持ち上がってしまい、結果的にMTFを持ち上げる度合(回復ゲイン)に応じてノイズが増幅されてしまう。
したがって、ノイズが含まれる場合には、鑑賞用画像としては良好な画像は得られない。このことは、以下の式(5−1)、(5−2)で表される。
G(u,v)=H(u,v)・F(u,v)+N(u,v) … (5−1)
G(u,v)/H(u,v)=F(u,v)+N(u,v)/H(u,v) … (5−2)
ここで、Nはノイズ成分である。
ノイズ成分が含まれる画像に関しては、例えば以下の式(6)で表されるウィナーフィルタのように、画像信号とノイズ信号の強度比SNRに応じて回復度合を制御する方法がある。
Figure 0006929141
式(6)において、M(u,v)はウィナーフィルタの周波数特性、|H(u,v)|は光学伝達関数OTFの絶対値(MTF)である。本実施形態において、M(u,v)は、画像回復フィルタの周波数特性に相当する。この方法では、周波数ごとに、MTFが小さいほど回復ゲイン(回復度合)を小さくし、MTFが大きいほど回復ゲインを大きくする。一般的に、撮像光学系のMTFは低周波側が高く高周波側が低くなるため、この方法では、実質的に画像の高周波側の回復ゲインを低減することになる。
このことを模式的に表したのが図6である。式(6)のSNR項により、画像回復フィルタのゲイン特性は変化する。このため、SNR項を単純に回復ゲイン(回復度合)を制御するためのパラメータCとして、以下の式(7)を用いる。
Figure 0006929141
式(7)において、C=0の場合にはM(u,v)はOTFの逆フィルタ(MTFの逆数)と一致し、Cを大きくするに従って画像回復フィルタのゲインが低下する。また、C>|H(u,v)|−|H(u,v)|になると、画像回復フィルタのゲインが1倍以下となる。このことを模式的に表したのが図6である。
図6は、OTFの逆フィルタのゲイン特性と画像回復フィルタのゲイン特性との関係図である。図6(a)〜(c)において、縦軸はゲイン、横軸は空間周波数をそれぞれ示している。また図6(a)〜(c)において、点線はOTFの逆フィルタのゲイン特性、実線は画像回復フィルタのゲイン特性をそれぞれ示している。絞り値Fnが所定値Th1未満である場合(Fn<Th1)、画像回復フィルタのゲインは所定の最大ゲインよりも大きくならないため、C=0とすることができる。このため、MTFの逆数(OTFの逆フィルタのゲイン)と画像回復フィルタのゲインとが互いに一致する(図6(a))。絞り値Fnが所定値Th1以上かつ所定値Th2未満である場合(Th1≦Fn<Th2)、逆フィルタの高周波側のゲインが所定の最大ゲインよりも大きくなる。このため、Cを大きくして画像回復フィルタの高周波側のゲインを抑制する(図6(b))。絞り値FnがTh2以上になり(Th2≦Fn)、C>|H(u,v)|−|H(u,v)|になると、画像回復フィルタのゲインが1倍以下となる(図6(c))。所定値Th1、Th2(絞り値)は、撮像素子の画素ピッチ、撮像素子の前面に配置される光学ローパスフィルタの特性、画像回復フィルタの回復ゲイン(回復度合)の最大値、回復ゲイン(回復度合)を制御するためのパラメータCなどに応じて決定される。
図8は、本実施形態における画像回復フィルタのゲイン特性である。図8において、縦軸はゲイン、横軸は空間周波数をそれぞれ示している。ここでは、画像回復フィルタの最大ゲインを1.5、撮像素子の画素ピッチを6μmとしている。F22までは、画像回復フィルタのゲインは単調に増加する。F32では、1.5に設定した最大ゲインによって高周波側のゲインが抑制される。F91では、低周波側のゲインは1倍以上で、画像回復の効果はあるものの、高周波側は1倍以下になる。F128では、全周波数領域に対してゲインが1倍以下になり画像回復の効果が得られないため、このフィルタをそのまま使用することはできない。
以上のように、絞り値に応じて画像回復フィルタのゲイン特性(の傾向)は大きく変化する。この傾向を加味した上で、撮像装置で保持する画像回復フィルタを後述する方法で決定することにより、画像回復フィルタのデータ量を削減することが可能である。
続いて、図3を参照して、画像回復フィルタについて説明する。図3は、画像回復フィルタの一断面である。画像回復フィルタは、撮像光学系の収差や回折によるPSFの広がりや要求される回復精度に応じてそのタップ数が決定される。本実施形態において、画像回復フィルタは、11×11タップの2次元フィルタである。ただし、これに限定されるものではなく、PSFの広がり幅と画素ピッチとの関係から、更に大きなタップ数を用いてもよい。画像回復フィルタの各タップの値(係数値)の分布は、収差により空間的に広がった信号値または画素値を、理想的には元の1点に戻す機能を有する。ここで、回転対称と近似できる絞りによる回折を対象とする場合、回折によるPSFが回転対称となる。このため画像回復フィルタの断面形状も、図3に示されるように対称となる。
画像回復フィルタの各タップは、画像の各画素に対応して画像回復処理の工程でコンボリューション処理(畳み込み積分、積和)される。コンボリューション処理では、所定の画素の信号値を改善するために、その画素を画像回復フィルタの中心と一致させる。そして、画像と画像回復フィルタの対応画素ごとに画像の信号値とフィルタの各タップの値の積をとり、その総和を中心画素の信号値として置き換える。
続いて、図4および図5を参照して、画像回復の実空間と周波数空間での特性について説明する。図4は、点像分布関数PSFの説明図であり、図4(a)は画像回復前の点像分布関数PSF、図4(b)は画像回復後の点像分布関数PSFを示している。図5は、光学伝達関数OTFの振幅成分MTF(図5(a))と位相成分PTF(図5(b))の説明図である。図5(a)中の破線(G)は画像回復前のMTF、一点鎖線(EB)は画像回復後のMTFを示す。また図5(b)中の破線(G)は画像回復前のPTF、一点鎖線(E)は画像回復後のPTFを示す。図4(a)に示されるように、画像回復前の点像分布関数PSFは、収差の影響により非対称な広がりを有し、この非対称性により位相成分PTFは周波数に対して非直線的な値を有する。画像回復処理は、振幅成分MTFを増幅し、位相成分PTFがゼロになるように補正するため、画像回復後の点像分布関数PSFは対称で先鋭な形状になる。
回転対称であると近似できる絞りによる回折を対象とする場合、回折によるPSFは回転対称となる。このため、図5(b)の破線Eは0となる。換言すると、本実施形態で扱う回折には位相ずれがない。また、位相ずれの有無に関わらず、前述の画像回復の原理は機能するため、回折を補正対象とする本実施形態においても、画像回復は有効である。
このように画像回復フィルタは、撮像光学系の光学伝達関数OTFの逆関数に基づいて設計された関数を逆フーリエ変換して得ることができる。本実施形態で用いられる画像回復フィルタは適宜変更可能であり、例えば前述のようなウィナーフィルタを用いることができる。ウィナーフィルタを用いる場合、式(6)を逆フーリエ変換することにより、実際に画像に畳み込む実空間の画像回復フィルタを作成することが可能である。
また、光学伝達関数OTFは、1つの撮影状態(撮影条件)においても撮像光学系の像高(画像の位置)に応じて変化する。このため、画像回復フィルタは像高に応じて変更して用いられる。一方、絞り値が大きくなるに従って回折の影響が支配的になる光学伝達関数(OTF)に対しては、光学系のビネッティング(けられ)の影響が小さい場合、像高に対して一律な(一定の)光学伝達関数OTFとして扱うことができる。
本実施形態は、回折(回折ぼけ)を対象とする。また本実施形態において、撮像光学系には光学部材(アポダイジングフィルタ)が設けられている。このため画像回復フィルタは、絞り値が小さい場合には、絞り値、光の波長、および、像高(画像の位置)に依存する。このため、一つの画像内について一律の(一定の)画像回復フィルタを用いることができない。すなわち本実施形態の画像回復フィルタは、絞り値に応じて発生する回折ぼけによる光学伝達関数(第1の光学伝達関数)を使用し、演算により生成される。画像回復フィルタの演算方法については後述する。波長については、複数の波長での光学伝達関数を算出し、想定する光源の分光特性や撮像素子の受光感度情報に基づいて波長ごとの重み付けにより色成分ごとの光学伝達関数を生成することができる。または、予め決めた色成分ごとの代表波長を用いて算出してもよい。そして、色成分ごとの光学伝達関数に基づいて画像回復フィルタを生成することができる。
次に、画像回復フィルタの演算方法について説明する。透明部材を基板とし中心部に向かって濃度が連続的に変化する透過率を有する光学部材(アポダイジングフィルタ)の中心は、撮像光学系の光軸中心に重なる位置に配置される。光学部材は、撮像光学系の絞りの近傍に配置することが理想的であるが、それ以外の位置に配置してもよい。例えば、撮像光学系の開放絞り値が5.6である場合を考える。光学部材を設けた位置により、絞り値により軸上に点像を結ぶ光線の光線高さが決定する。このとき、例えば最小絞り値が22であるとすると、軸上光線の光線高さは、絞り値5.6から22へ変化する過程で低下する。この絞り値の変化を、例えば絞り値(F値)5.6、8、11、16、22のように、複数の段階へ分ける。図12は、軸上光線が絞り値に応じて光線高さを変える様子を示す模式図である。
次に、光線高さを光学部材(アポダイジングフィルタ)の濃度変化(透過率分布)に対応させる。すなわち、光線高さにおける濃度(透過率)を、それぞれの光線高さについて量子化する。図13は、光学部材の濃度を量子化する模式図である。光学部材は、透明部材を基板とし中心部に向かって濃度が連続的に変化する透過率を有する。このため、その連続性を量子化し、そのステップは各絞り値に合わせた光線高さにする。
ここで、各絞り値に対する画像回復フィルタについて説明する。絞り値5.6の光線は、絞り値5.6、8、11、16、22の中で最も光線高さが高い。しかし、回折は、絞りの直径に依存して発生する現象であるため、絞り値5.6のときの画像回復フィルタが、他の絞り値の画像回復フィルタを含むものではない。光学部材の濃度を量子化したステップとして、全てのステップを含む画像回復フィルタをするには、量子化した全ての絞り値の画像回復フィルタを考慮する必要がある。本実施形態では、絞り値5.6、8、11、16、22の全ての絞り値を含む画像回復フィルタが光学部材を含む撮像光学系で撮影した画像の画像回復フィルタとなる。このため、それぞれの絞り値に対する画像回復フィルタを例えば合算し、平均したレスポンスを持つ画像回復フィルタが光学部材を光路に配置した場合の回折を補正する画像回復フィルタとなる。
ここで、合算と平均についてさらに説明する。軸上光束における理想的な回折に対する補正であれば、理想的な補正値の単純な合算と平均で画像回復フィルタを作成することができる。それ以外の実情に鑑みて画像回復フィルタを作成する場合、例えば高周波の補正過剰を抑制するために画像回復フィルタの高い空間周波数成分を意図的に減少して合算することもできる。また平均についても、単純平均ではなく、例えばより効果のある絞り値の画像回復フィルタを強く効かせるため、平均する画像回復フィルタに重み付けを行うこともできる。
したがって、回折のみを対象とする本実施形態では、絞り値に依存する複数の画像回復フィルタを予め保持し、撮影条件に応じて複数の画像回復フィルタを演算する。そして、光学部材を撮像光学系に設けた場合の回折による画像の劣化を演算により求めた画像回復フィルタを用いて、回折による画像の劣化を低減するように画像処理を行うことができる。また、軸外光束については、光学部材が撮像光学系に設けられていない場合、軸外光束の直径や光束の断面形状や大きさによって回折の影響を求め、その影響に対応した画像回復フィルタを作成し補正することが好ましい。ただし、実害がなければ、軸上光束の画像回復フィルタを軸外光束の画像回復フィルタとして使用してもよい。
続いて、軸外光束についてさらに説明する。光学部材が撮像光学系に設けられている場合、以下のようになる。軸上光束は、光学部材の濃度が影響する光線高さを有する場合、軸上光束について前述の絞り値に依存する複数の画像回復フィルタを予め保持し、撮影条件に応じて複数の画像回復フィルタを演算する。そして、光学部材を撮像光学系に設けた場合の回折による画像の劣化を演算により求めた画像回復フィルタを用いて処理を行う。すなわち、軸外光束においても軸上光束と同様の考え方で画像回復フィルタを作成することができる。
次に、軸外光束が光線高さを決定する事由について個別に説明する。軸外光束が絞り以外の部分で光線高さが決定している場合、光学部材における軸外光束が透過する領域に応じた濃度の量子化を行い、複数の画像回復フィルタを演算する。そして、光学部材を撮像光学系に設けた場合の回折による画像の劣化を演算により求めた画像回復フィルタを用いて処理を行う。軸外光束が絞りで光線高さが決定している場合、軸上光束の処理方法と同じ処理で画像回復を行うことができる。
図14は、軸外光束を示す模式図である。この例では、軸上光束の光線トレースが図12のような模式図で示されると、撮像光学系を通る光線高さは略同等である。このとき、アポダイジングフィルタを通る光線高さも略同等であるとすると、アポダイジングフィルタを透過する際の濃度の影響も略同等である。このため、これを補正するための画像回復フィルタは、軸上光束を補正する場合と同等である。
次に、図7を参照して、本実施形態における撮像装置について説明する。図7は、本実施形態における撮像装置100の構成図である。撮像装置100は、後述する画像処理方法(画像回復フィルタを用いた画像回復処理)を行うことにより、撮影画像(入力画像)から回復画像(出力画像)を生成可能である。
撮像装置100において、被写体像は、撮像光学系101を介して撮像素子102に結像する。撮像光学系101は、絞り101a、フォーカスレンズ101b、および、アポダイジングフィルタ111を含む。絞り101aは、その開口径を変化させて絞り値(F値)を制御することにより、撮像素子102に到達する光量を調節する。フォーカスレンズ101bは、被写体距離に応じてピント調整を行うため、不図示のオートフォーカス(AF)機構やマニュアルフォーカス機構により光軸方向におけるその位置が制御される。
アポダイジングフィルタ111(光学部材)は、被写体のボケ像の光量分布を変化させるように(すなわち、ボケ像を制御可能なように)所定の透過率分布を有する透過率分布フィルタ(グラデーション型NDフィルタ)である。すなわち、アポダイジングフィルタ111は、光学面の中心から径方向(光軸に直交する方向)に距離r1、r2(r1<r2)における透過率をT(r1)、T(r2)とするとき、条件式T(r1)≧T(r2)を満たす。すなわちアポダイジングフィルタ111は、光軸から離れるに従って透過率が(連続的に)低くなるような透過率分布を有する。ただし、アポダイジングフィルタ111は、その一部の領域において、前記条件式を満たさないような透過率分布を有していてもよく、全体として実質的に前記条件式を満たすと評価される透過率分布を有していればよい。撮像光学系101にアポダイジングフィルタ111を設けることにより、アポダイゼーション効果により品位の高いボケ像を得ることができる。
撮像素子102は、CCDセンサやCMOSセンサなどを有し、撮像光学系101を介して形成された被写体像(光学像)を光電変換して画像データ(アナログ画像信号)を出力する。撮像素子102上に結像した被写体像は、電気信号に変換され、A/Dコンバータ103に出力される。A/Dコンバータ103は、入力された電気信号(アナログ画像信号)をデジタル画像信号に変換し、デジタル画像信号を画像処理部104に出力する。以上の処理により、撮影画像が取得される。
画像処理部104は、所定の処理と併せて画像回復処理を行う。まず画像処理部104は、状態検知部107から撮像装置100の撮影条件(撮影条件情報)を取得する。撮像条件情報は、撮影の際における絞り値、撮影距離、ズームレンズにおける焦点距離などを含む。状態検知部107は、システムコントローラ110から直接に撮像条件情報を取得可能であり、また、例えば撮像光学系101に関する撮像条件情報を撮像光学系制御部106から取得することもできる。記憶部108は、アポダイジングフィルタ111(光学部材)を含まない光学系における回折補正用の画像回復フィルタを記憶している。好ましくは、記憶部108は、アポダイジングフィルタ111の濃度変化(透過率分布)を量子化した値に対応する絞り値に応じて(絞り値ごとに)複数の画像回復フィルタを記憶している。
画像処理部104は、記憶部108から、撮像光学系101の光線高さとアポダイジングフィルタ111の撮像光学系101における位置とに基づいて、最小絞り値から撮影条件の絞り値までの画像回復フィルタを読み出す。演算部112は、最小絞り値から撮影条件の絞り値までの画像回復フィルタを演算し、アポダイジングフィルタ111が撮像光学系101に設けられた場合の画像回復フィルタを作成する。作成した画像回復フィルタは、記憶部108に記憶される。また記憶部108は、撮像光学系101の軸上光束および軸外光束のそれぞれがアポダイジングフィルタ111を通過する光線高さを記憶している。
画像処理部104は、データ選択手段104a(取得手段)および画像処理手段104b(画像回復手段)を有する。データ選択手段104aは、撮像光学系101にアポダイジングフィルタ111が設けられている場合、撮影時の絞り値に応じて演算部112(画像回復手段)により演算された画像回復フィルタを軸上光束用と軸外光束用でそれぞれ1つ以上選択する。またデータ選択手段104aは、絞り値に応じて量子化したアポダイジングフィルタ111の画像回復フィルタの演算時の合算割合や平均化の重み付け割合を選択する。画像処理手段104bは、データ選択手段104aにより選択された画像回復フィルタを用いて演算部112により演算された画像回復フィルタを用いて、撮影画像から回復画像を生成する。
画像処理部104で処理された出力画像(回復画像)は、画像記録媒体109に所定のフォーマットで記録される。表示部105には、本実施形態における画像処理後の画像に表示用の所定の処理を行った画像が表示される。または、高速表示のために簡易的な処理を行った画像を表示してもよい。撮像装置100における一連の制御は、システムコントローラ110により行われる。また、撮像光学系101の機械的な駆動は、システムコントローラ110の指示に基づいて撮像光学系制御部106により行われる。
撮像光学系101は、光学ローパスフィルタや赤外線カットフィルタなどの光学素子を含んでもよい。光学ローパスフィルタなどの光学伝達関数(OTF)の特性に影響を与える素子を用いる場合、画像回復フィルタを生成する際にその影響を考慮することが好ましい。この場合、画像回復フィルタは、更に、光学ローパスフィルタによる光学伝達関数(第2の光学伝達関数)に基づいて生成される。赤外カットフィルタにおいても、分光波長の点像分布関数(PSF)の積分値であるRGBチャンネルの各PSF、特にRチャンネルのPSFに影響するため画像回復フィルタを生成する際にその影響を考慮することが好ましい。また、画素開口の形状も光学伝達関数に影響を与えるため、その影響を考慮することがより好ましい。この場合、画像回復フィルタは、更に、画素開口による光学伝達関数に基づいて生成される。
なお本実施形態の撮像装置100において、撮像光学系101は、撮像素子102を有する撮像装置本体と一体的に構成されているが、これに限定されるものではない。一眼レフカメラなどの撮像装置本体と、撮像装置本体に着脱可能な撮像光学系(交換レンズ、レンズ装置)とを備えて構成される撮像装置に関しても、本実施形態は適用可能である。
次に、図1を参照して、本発明の実施例1における画像回復処理(画像処理方法)について説明する。図1は、本実施例における画像回復処理のフローチャートであり、アポダイジングフィルタ111(Apodizing−Filter、以後「APF」という)を撮像光学系101に設けた場合の回折による画像劣化を回復するための処理を示している。図1の各ステップは、主に、システムコントローラ110の指令に基づいて、画像処理部104または演算部112により実行される。
まずステップS101において、システムコントローラ110は、撮像光学系101(撮影レンズ)にAPF111が設けられているか否かを判定する。この判定は、機械的または電気的のいずれの手段によっても行うことができる。または、システムコントローラ110は、撮影者の入力に応じてこの判定を行ってもよい。続いてステップS102において、画像処理部104は、撮影時の情報、すなわち撮影条件情報(撮影条件)を取得する。撮影条件情報は、撮影の際における、撮像光学系101の種別、焦点距離、絞り値(F値)、および、物体距離を含むが、これらに限定されるものではない。
続いてステップS103において、画像処理部104(データ選択手段104a)は、ステップS102にて取得した撮影時の絞り値(撮影時Fナンバー)などの撮影条件情報に基づいて、補正データ(回折補正データ)を選択する。すなわちデータ選択手段は、記憶部108に記憶されている複数の画像回復フィルタから複数の画像回復フィルタ(第1画像回復フィルタ)を補正データとして選択(取得)する。このときデータ選択手段104aにより選択される画像回復フィルタは、APF111を含まない撮像光学系101に関する画像回復フィルタ(APF111の影響を考慮していない第1画像回復フィルタ)である。この画像回復フィルタ(第1画像回復フィルタ)は、APF111を含む撮像光学系101に関する画像回復フィルタ(APF111の影響を考慮した第2画像回復フィルタ)を生成するのに必要な補正データである。続いてステップS104において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、記憶部108から選択された複数の画像回復フィルタ(補正データ)を取得する。
続いてステップS105において、演算部112は、ステップS104にて取得された複数の画像回復フィルタ(補正データ)に対して所定の演算処理を行う。そして画像処理部104(画像処理手段104b)は、演算部112による演算処理結果に基づいて、APF111を含む撮像光学系101に関する画像回復フィルタ(第2画像回復フィルタ)を取得する。このとき取得される画像回復フィルタ(第2画像回復フィルタ)は、APF111による回折の影響を考慮した補正データ(APF用補正データ)である。続いてステップS106において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、ステップS105にて取得した画像回復フィルタ(APF用補正データ)を用いて、撮影画像に対する回復処理(回折補正処理)を行う。続いてステップS107において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、回復処理後の画像データ(回復画像、すなわち回折補正した画像)を出力する。
ここで、ステップS105における所定の演算処理について説明する。図13で説明した各絞り値の透過率の規格化値を、各スポットダイヤグラムに対して畳み込む。このとき、量子化した絞り値の段数分だけ、各絞り値の透過率の比率に基づいてスポットダイヤグラムを規格化するとともに、合成したスポットダイヤグラムが規格化値を超えないようにする必要がある。
次に、スポットダイヤグラムから波動関数である波面収差を求める方法を説明する。瞳関数と点像振幅分布はフーリエ変換で結ばれている。互いにフーリエ変換の関係にある2つの関数の強度分布から、各位相分布を求めるGerchbergとSaxtonの位相回復アルゴリズムを波面収差の回復計算に適応する。
図15のような結像光学系を考え、物体面、像面、および瞳面の換算座標をそれぞれ(xo,yo)、(x,y)及び(ξ,η)とする。ただし物体面、像面の実座標をそれぞれ(Xo、Yo)および(X、Y)とするとき、以下の式(8)が成り立つ。
Figure 0006929141
式(8)において、no、niは物体側、像側のそれぞれにおける媒質の屈折率、αo、αiは物体側、像側のそれぞれにおける開口角、k=2π/λ、λは波長である。
また、瞳面の実座標を(a、b)、瞳の半径をRとするとき、以下の式(9)の関係が成り立つ。
ξ=a/R、 η=b/R … (9)
瞳関数は式(10)で定義される。
f(ξ,η)=|f(ξ,η)|exp〔ikW(ξ,η)〕 … (10)
式(10)において、|f(ξ,η)|は瞳の振幅透過率、W(ξ,η)は波面収差である。物点および像点の広がりが物体距離Zo、像距離Ziに比べ十分小さく、また開口も小さいとき、点像振幅分布ha(x,y)を求め、次いで点像強度分布|ha(x,y)|2を算出することは従来からよく行われている。しかし逆に、点像強度分布が与えられたとき、これから瞳関数を求めることは容易ではない。ここから、瞳の振幅透過率|f(ξ,η)|と点像強度分布|ha(x,y)|2 が既知であるときに、瞳関数の位相部分に相当する波面収差 W(ξ,η)を計算する方法を説明する。以下、図16に示される計算アルゴリズムに従って説明する。
まず、ステップS1において、初期位相 kW0(ξ,η)として、−πからπの範囲に分布する乱数を仮定し、以下の式(11)で表されるように、既知の振幅透過率にこの位相項を付加した瞳面での複素振幅分布を作る。
f1(ξ,η)=|f(ξ,η)|exp〔ikW0(ξ,η)〕 … (11)
続いてステップS2において、式(11)をフーリエ変換する。この結果得られた関数をF1(x,y)とし、その位相部分をφ(x,y)とすると、以下の式(12)のように表すことができる。
F1(x,y)=|F1(x,y)|exp〔iφ(x,y)〕 … (12)
続いてステップS3において、式(12)において位相項はそのままにして絶対値部分を既知の点像強度分布から算出された|ha(x,y)|で置き換える。このようにして、以下の式(13)で表されるように、像面でF1´(x,y)を得る。
F1´(x,y)=|ha(x,y)|exp〔iφ(x,y)〕 … (13)
続いてステップS4において、式(13)を逆フーリエ変換する。得られた関数f1´(ξ,η)は、その位相をkW1(ξ,η)とすると、以下の式(14)で表すことができる。
f1´(ξ,η)=|f1´(ξ,η)|exp〔ikW1(ξ,η)〕 … (14)
続いてステップS5において、式(14)の位相項を保持したまま、絶対値部分を既知の|f(ξ,η)|で置き換え、以下の式(15)を得る。
f2(ξ,η)=|f(ξ,η)|exp〔ikW1(ξ,η)〕 … (15)
以上が1回のループであり、同様の演算により、以下の式(16)で表されるような瞳面での自乗誤差が得られる。
ε=∫∫||f(ξ,η)|−|f1´(ξ,η)||2dξdη …(16)
そして、式(16)の値が所定値以下に収束するまでステップS2乃至ステップS5を繰り返す。このようにω回のループ演算を繰り返した後、回復された波面収差Wω(ξ,η)を得ることができる。波面収差は波動関数であり、これをPSFへ変換する。
本実施例において、撮像装置100の絞り101aは、F2.8からF128まで変更可能である。一般的に、絞り値がF2.8からF22までは画像回復フィルタのゲインが単調に増加する図6(a)の領域に相当する。絞り値がF22からF32の場合、画像回復フィルタのゲイン特性が低周波側では増加するのに対し、高周波側では絞り値に応じて単純に増加しなくなる。図6においては、図6(a)から図6(b)の領域に移行する状態にあるため、離れた絞り値の補間により生成された画像回復フィルタでは、高精度に画像回復処理を行うことができない。絞り値がF32からF91の場合、図6(b)の状態に相当するため、1段ごとに画像回復フィルタを保持しても精度を保つことができる。絞り値がF91からF128の場合、図6(c)の状態に相当し、F128の画像回復フィルタのゲインが1倍以下になるため、補間割合を1倍として、F128の画像回復フィルタは実質的に使用されないようにする。
図9は、本実施例におけるAPF111のOTF(APF111を有する理想レンズのOTF)の模式図である。図9において、縦軸はゲイン(レスポンス)、横軸は空間周波数をそれぞれ示している。図9に示されるOTFを理想的に補正するように画像回復処理を行うことにより、高精度に画像回復処理を行うことができる。
図10は、本実施例における画像回復フィルタのゲイン特性の模式図である。F5.6、F8、F11、F16、F22のそれぞれに関する複数の画像回復フィルタの演算により生成された画像回復フィルタのゲイン特性(実線)と、F11に関する画像回復フィルタのゲイン特性(細かい点線)とが互いに近いことが分かる。APF111を含む撮像光学系101により撮影した画像の補正ゲインは、図10中のAPFに関する実線に重なっており、本例の場合には補間精度が高いことが分かる。また、APF111に対応する画像回復フィルタ(第2画像回復フィルタ)を保持することなく複数の画像回復フィルタ(第1画像回復フィルタ)の演算により求めることにより、データ量が削減されている。
本実施例によれば、画像回復処理の精度を劣化させることなく撮像装置に保持される画像回復フィルタのデータ量を削減することができる。
次に、図11を参照して、本発明の実施例2における画像回復処理について説明する。図11は、本実施例における画像回復処理のフローチャートであり、アポダイジングフィルタ(Apodizing−Filter、以後「APF」という)を撮像光学系101に設けた場合の回折による画像劣化を回復するための処理を示している。図11の各ステップは、主に、システムコントローラ110の指令に基づいて、画像処理部104または演算部112により実行される。なお、図11のステップS201〜S204、S208は、実施例1にて説明した図1のステップS101〜S104、S107とそれぞれ同様であるため、それらの説明については省略する。
ステップS205において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、ステップS204にて取得した複数の画像回復フィルタ(第1画像回復フィルタ)を用いて、撮影画像に対する回復処理(回折補正処理)を行い、回復画像(補正画像)を生成する。このとき画像処理手段104bは、絞り値に応じた画像回復フィルタを用いて、APF111の濃度(透過率)を量子化した段数だけ撮影画像に対する回復処理(回折補正処理)を行い、複数の補正画像(中間画像)を生成する。
続いてステップS206において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、APF111の濃度を量子化した段数だけ回折補正処理を行って生成された複数の中間画像のそれぞれを複数の領域に分割する。また画像処理手段104bは、複数の分割領域から所望の領域を抽出する。そして画像処理手段104bは、領域ごとのAPF111の効き量を重み付けとして算出する。この領域分割は、画素単位で行うことが好ましいが、実害が無ければある程度の画素数で構成される領域としてもよい。各領域の重み付けは、各領域を代表する座標における光線トレースにより、APF111の透過領域を求め、透過領域の濃度が量子化された段数に関する領域に応じて行われる。
続いてステップS207において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、複数の画像(中間画像)のそれぞれの対応領域(分割領域)を重み付けに従って重ね合わせる。複数の画像とは、絞り値によって変化する撮影画像を意味する。絞り値が異なる各画像は、各種収差と回折の影響を受けて、それぞれ異なる解像感で撮影されている。これらの画像のそれぞれに対して回折補正処理を行い、量子化した段数分の枚数を計算する。分割領域とは、理想的には各画素単位で分割される領域であるが、影響が小さい場合には複数の画素による領域として合成する。重み付けとは、APFで量子化した段数分の分割数であり、各絞り値による透過率の割合を示す。このように画像処理手段104bは、透過率の比率で各絞り値の画像を合成してAPFの効果を反映した画像を作成する。そして画像処理手段104bは、重ね合わせた分割領域(複数の領域)を互いに結合し、回折補正処理が全面に適用された画像(回復画像)を生成する。続いてステップS208において、画像処理部104(画像処理手段104b)は、回復処理後の画像データ(回復画像)を出力する。
本実施例の画像回復処理では、画像回復フィルタのPSFをFFTする工程が無く、純粋な画素の重ね合わせで回復画像を生成することにより計算負荷をより低減することができる。本実施例によれば、画像回復処理の精度を劣化させることなく撮像装置に保持される画像回復フィルタのデータ量を削減することができる。
このように各実施例において、画像処理装置は、記憶手段(記憶部108)、取得手段(データ選択手段104a)、および、画像回復手段(画像処理手段104bおよび演算部112)を有する。記憶手段は、絞り値に応じた複数の画像回復フィルタを記憶する。取得手段は、複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得する。画像回復手段は、複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行う。
好ましくは、複数の第1画像回復フィルタは、光学部材を含まない撮像光学系に関する画像回復フィルタである。また好ましくは、光学部材は、透明部材を基板として、光学面の中心から径方向に沿って透過率が連続的に変化するアポダイジングフィルタである。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
104a データ選択手段(取得手段)
104b 画像処理手段(画像回復手段)
108 記憶部(記憶手段)
112 演算部(画像回復手段)

Claims (13)

  1. 絞り値に応じた複数の画像回復フィルタを記憶する記憶手段と、
    前記複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得する取得手段と、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行う画像回復手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記複数の第1画像回復フィルタは、前記光学部材を含まない撮像光学系に関する画像回復フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記光学部材は、透明部材を基板として、光学面の中心から径方向に沿って前記透過率が連続的に変化するアポダイジングフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記画像回復手段は、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて前記所定の演算処理を行うことにより、前記光学部材を含む前記撮像光学系に関する第2画像回復フィルタを生成し、
    前記第2画像回復フィルタを用いて前記画像の回復処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記画像回復手段は、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて複数の中間画像をそれぞれ生成し、
    前記複数の中間画像のそれぞれを複数の領域に分割し、
    分割された前記複数の領域に対して重み付けを行い、
    重み付け後の前記複数の領域を結合することにより前記画像の回復処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記記憶手段は、前記光学部材の前記透過率を量子化して得られた透過率に対応する前記絞り値ごとに、前記複数の画像回復フィルタを記憶していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記画像回復手段は、前記画像を撮影した際の絞り値に応じて選択された前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて、前記画像の回復処理を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記画像回復手段は、回折による前記画像の劣化を低減するように前記回復処理を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  9. 前記撮影条件は、撮影の際における絞り値、撮影距離、および、焦点距離を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  10. 撮像光学系を介して形成される光学像を光電変換して画像データを出力する撮像素子と、
    絞り値に応じた複数の画像回復フィルタを記憶する記憶手段と、
    前記複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得する取得手段と、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた前記画像データに対応する撮影画像の回復処理を行う画像回復手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
  11. 絞り値に応じた複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得するステップと、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行うステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
  12. 絞り値に応じた複数の画像回復フィルタから撮影条件に応じた複数の第1画像回復フィルタを取得するステップと、
    前記複数の第1画像回復フィルタに基づいて所定の演算処理を行うことにより、領域によって透過率が変化する光学部材を含む撮像光学系を介して得られた画像の回復処理を行うステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  13. 請求項12に記載のプログラムを記憶していることを特徴とする記憶媒体。
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