JP6928845B2 - レーダ装置およびレーダ装置の物標検出方法 - Google Patents

レーダ装置およびレーダ装置の物標検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーダ装置およびレーダ装置の物標検出方法に関するものである。
レーダ装置は、送信信号を送信し、物標からの反射波を受信し、受信信号を信号処理することで物標の距離や方位角の推定を行うが、同時に複数の物標からの反射波を受信した場合、複数の反射波が互いに干渉し、誤った位置を推定しまうことがある。特に、レーダ装置からみた複数の物標の距離差が近い場合や、方位角の差が小さい場合に干渉が生じやすい。
このような干渉の問題への対策として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された技術では、複数の受信アンテナの受信信号の振幅の不均一さからマルチパスによる干渉波の存在を検知し、方位角の誤推定結果を破棄することを特徴とする。
また、特許文献2には、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダ装置が、他のパルスレーダ装置の送信信号を受信してしまう場合に複数のスイープデータから中心値を算出して採用することにより、瞬間的に生じるパルスレーダからの干渉波の影響を除去する方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、実像とミラーゴーストを分離することができずに、誤った方位に物標を推定してしまうことを防止するために、受信強度がピークの周波数の受信波の振幅と位相をアンテナ毎に求め、複数のアンテナがそれぞれ受信した受信波の位相に基づいて物標の方位を検出し、検出した方位に物標が存在する場合に、アンテナが受信すると推定される受信波の振幅と位相をアンテナ毎に出力し、求めた位相および振幅をアンテナ毎に比較する技術が開示されている。
特開平9−211114号公報 特開2010−25901号公報 国際公開WO2013/175558号
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された技術による干渉波対策では、瞬間的に生じて短時間で終息する干渉波には対応可能であるが、持続的な干渉波には対応することが出来ないという問題点がある。また、特許文献3に開示された技術では、誤った推定結果を破棄することは可能であるが、その間はレーダ機能が失われてしまうという問題点がある。
本発明は、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能なレーダ装置およびレーダ装置の物標検出方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、物標を検出するレーダ装置において、送信アンテナを介して送信信号を送信する送信手段と、前記送信手段によって送信され、前記物標によって反射された反射波を、受信アンテナを介して受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された受信信号を、前記送信信号の周波数によって直交復調することで前記送信信号との同相成分と直交成分とを生成する直交復調手段と、前記同相成分および前記直交成分により、前記物標の位置に応じて強度が極大をとる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置に応じて強度が極小をとるとともに前記第1距離関数および前記第1角度関数に対して直交する第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成するスペクトラム生成手段と、前記スペクトラム生成手段によって生成される前記第1スペクトラムと前記第2スペクトラムに基づいて前記物標の位置を推定する推定手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能となる。
また、本発明は、前記スペクトラム生成手段は、単一の前記物標が存在する場合に、前記物標の位置において強度が極大となる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置において強度が極小となる第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、物標の位置を正確に検出することができる。
また、本発明は、前記送信手段は、前記送信信号を複数回送信し、前記スペクトラム生成手段は、複数回送信された前記送信信号に対する複数の前記第2スペクトラムを生成し、前記推定手段は、複数の前記第2スペクトラムを比較し、強度変化が極小となる位置を前記物標の位置と推定する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、物標の位置を正確に検出することができる。
また、本発明は、前記送信手段は、前記送信信号を複数回送信し、前記スペクトラム生成手段は、複数回送信された前記送信信号に対する複数の前記第2スペクトラムを生成し、前記推定手段は、複数の前記第2スペクトラムの各位置における最大値が極小となる位置を前記物標の位置と推定する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、物標の位置を正確に検出することができる。
また、本発明は、前記送信手段は、所定の周波数を有する局発信号をパルス状のベースバンド信号によって変調することで前記送信信号を生成し、前記直交復調手段は、前記受信信号を前記局発信号によって直交復調することで前記同相成分であるI成分と前記直交成分であるQ成分とを生成し、前記スペクトラム生成手段は、jを虚数単位とし、前記第1距離関数として(I+jQ)に比例する値を有するとともに時間軸を距離軸に変換した関数を使用し、第1距離スペクトラムとして前記第1距離関数の強度を示す関数を使用し、前記第2距離関数として、(I+jQ)をヒルベルト変換して得られる値を(I’+jQ’)とする場合に(I’+jQ’)に比例する値を有するとともに時間軸を距離軸に変換した関数を使用し、第2距離スペクトラムとして前記第2距離関数の強度を示す関数を使用する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、パルス方式のレーダ装置において、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能となる。
また、本発明は、前記送信手段は、周波数が連続的に変化するFM変調信号を前記送信信号として生成し、前記直交復調手段は、前記受信信号と前記送信信号の周波数差を有するビート信号を生成し、前記ビート信号をフーリエ変換により周波数領域に変換することで、前記同相成分であるI成分と前記直交成分であるQ成分とを生成し、前記スペクトラム生成手段は、jを虚数単位とし、前記第1距離関数として(I+jQ)に比例する値を有するとともに周波数軸を距離軸に変換した関数を使用し、第1距離スペクトラムとして前記第1距離関数の強度を示す関数を使用し、前記第2距離関数として、(I+jQ)をヒルベルト変換して得られる値を(I’+jQ’)とする場合に(I’+jQ’)に比例する値を有するとともに周波数軸を距離軸に変換した関数を使用し、第2距離スペクトラムとして前記第2距離関数の強度を示す関数を使用する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、FM変調方式のレーダ装置において、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能となる。
また、本発明は、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの少なくとも一方を複数有し、前記スペクトラム生成手段は、jを虚数単位とし、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの組み合わせによる(I+jQ)を配列とし、フーリエ変換を行うことで、角度軸における前記第1角度関数を生成し、前記第1角度関数の実部および虚部をRe_AおよびIm_Aとする場合に、Re_AおよびIm_Aをヒルベルト変換した結果をRe_BおよびIm_Bとしたとき、前記第2角度関数は、(Re_B+jIm_B)に比例する角度軸の関数であり、第2角度スペクトラムは、前記第2角度関数の強度を反映した角度軸信号である、ことを特徴とする。
このような構成によれば、物標の方位角を正確に検出することができる。
また、本発明は、(I+jQ)の配列から前記第2角度関数を算出する際に、奇関数の窓関数を用いることを特徴とする。
このような構成によれば、簡易な計算で第2角度関数を求めることができる。
また、本発明は、前記受信アンテナを複数有するとともに第1方向に並べて配置され、前記送信アンテナは、複数の前記受信アンテナの配列の中心からずれた位置に配置されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、方位角が0度の方向に不要な直接波が検出されることを防止できる。
また、本発明は、物標を検出するレーダ装置の物標検出方法において、送信アンテナを介して送信信号を送信する送信ステップと、前記送信ステップによって送信され、前記物標によって反射された反射波を、受信アンテナを介して受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された受信信号を、前記送信信号の周波数によって直交復調することで前記送信信号との同相成分と直交成分とを生成する直交復調ステップと、前記同相成分および前記直交成分により、前記物標の位置に応じて強度が極大をとる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置に応じて強度が極小をとるとともに前記第1距離関数および前記第1角度関数に対して直交する第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成するスペクトラム生成ステップと、前記スペクトラム生成ステップによって生成される前記第1スペクトラムと前記第2スペクトラムに基づいて前記物標の位置を推定する推定ステップと、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能となる。
本発明によれば、レーダ機能を停止することなく持続的な干渉波に対応可能なレーダ装置およびレーダ装置の物標検出方法を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。 図1に示す距離推定部の詳細な構成例を示す図である。 図2に示す第1距離関数演算部および第1距離スペクトラム演算部の動作を説明するための図である。 図2に示す第2距離関数演算部および第2距離スペクトラム演算部の動作を説明するための図である。 第1物標〜第3物標とレーダ装置の位置関係が波長と同程度の範囲内で変化した場合における第1距離関数演算部および第1距離スペクトラム演算部の動作を説明するための図である。 第1物標〜第3物標とレーダ装置の位置関係が波長と同程度の範囲内で変化した場合における第2距離関数演算部および第2距離スペクトラム演算部の動作を説明するための図である。 図2に示す第2距離スペクトラム演算部よりも後段の出力を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。 図8に示す第2実施形態の送信アンテナおよび受信アンテナの配置例を示す図である。 図8に示す方位角推定部の詳細な構成例を示す図である。 方位角0度に物標が存在する場合の第1角度スペクトラムおよび第2角度スペクトラムを示す図である。 単一方向から反射波を受信した場合の角度スペクトラムを示す図である。 複数の方向から反射波を受信した場合の角度スペクトラムを示す図である。 物標が方位角+30度と−30度に存在する場合の角度スペクトラムを示している。 複数ショットのデータを用いた干渉波が存在する環境下における、方位角推定の具体例を説明するための図である。 位相角が0度と−20度の位置に物標が存在する場合の動作を示す図である。 G(θ)およびH(θ)を示す図である。 位相角が0度と−20度の位置に物標が存在する場合の検出結果を示す図である。 直接波を説明するための図である。 C(θ)、D(θ)、E(θ)、および、F(θ)を示す図である。 G(θ)およびH(θ)を示す図である。 位相角−20度の位置に物標が存在する場合の検出結果を示す図である。 C(θ)、D(θ)、E(θ)、および、F(θ)を示す図である。 G(θ)およびH(θ)を示す図である。 C(θ)、D(θ)、E(θ)、および、F(θ)を示す図である。 G(θ)およびH(θ)を示す図である。 位相角が20度と−45度の位置に物標が存在する場合の検出結果を示す図である。 本発明の第3実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。 図28に示す第3実施形態の動作を説明するための図である。 図28に示す第3実施形態の動作を説明するための図である。 本発明の第3実施形態の送信アンテナのオフセットの効果を説明するための比較となるレーダ装置の構成例を示す図である。 図31に示す従来のレーダ装置の動作を説明するための図である。 図31に示す従来のレーダ装置の動作を説明するための図である。
次に、本発明の実施形態について説明する。
(A)本発明の第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。本発明の第1実施形態に係るレーダ装置10は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両の周囲に存在する他の車両、歩行者、障害物等の物標を検出する。
ここで、レーダ装置10は、制御部11、変調信号生成部12、VCO(Voltage Controlled Oscillator)13、変調部14、遅延部15、増幅部16、送信アンテナ17、受信アンテナ18、増幅部19、ミキサ20,21、LPF(Low Pass Filter)22,23、ADC(Analog to Digital Converter)24,25、および、受信信号処理部26を有している。
ここで、制御部11は、変調信号生成部12、VCO13、および、受信信号処理部26等を制御する。なお、図1において、破線は制御信号を伝送するための信号線を示している。
変調信号生成部12は、例えば、パルス信号等の変調信号を生成して変調部14に供給する。VCO13は、制御部11の制御に応じて所定の周波数の局発信号を生成して変調部14、遅延部15、および、ミキサ20に供給する。
変調部14は、VCO13から供給される局発信号を、変調信号生成部12から供給される変調信号によって変調し、RF(Radio Frequency)信号として出力する。
遅延部15は、VCO13から供給される局発信号をπ/2遅延して、ミキサ21に供給する。
増幅部16は、変調部14から供給されるRF信号を増幅し、送信信号として送信アンテナ17に供給する。
送信アンテナ17は、増幅部16から供給される送信信号を電磁波として、物標に向けて送信する。
受信アンテナ18は、送信アンテナ17から送信され、物標によって反射された反射波を受信し、受信信号として増幅部19に供給する。
増幅部19は、受信アンテナ18から供給される受信信号を所定のゲインで増幅して、RF信号として出力する。
ミキサ20は、増幅部19から供給されるRF信号を、VCO13から供給される局発信号によってダウンコンバートしてIF(Intermediate Frequency)信号として出力する。ミキサ21は、増幅部19から出力されるRF信号を遅延部15から出力される局発信号によってダウンコンバートしてIF信号として出力する。
LPF22は、ミキサ20から出力されるIF信号から高調波成分を減衰して出力する。LPF23は、ミキサ21から出力されるIF信号から高調波成分を減衰して出力する。
ADC24は、LPF22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部26に供給する。ADC25は、LPF23から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部26に供給する。
受信信号処理部26は、ADC24,25から供給されるデジタル化されたIF信号を入力し、物標の距離推定処理、速度推定処理、方位角推定処理、クラスタリング処理、および、トラッキング処理等を実行することで物標を検出し、検出した結果を図示しない上位のECU(Electric Control Unit)等に供給する。なお、図1では、前述した複数の処理を実行する処理部のうち、物標の距離を推定する距離推定部27(図2を参照して後述する)を例示している。
図2は、図1に示す距離推定部27の構成例を示す図である。図2に示すように、距離推定部27は、第1距離関数演算部271、第1距離スペクトラム演算部272、最大値抽出部273、ヒルベルトフィルタ274、第2距離関数演算部275、第2距離スペクトラム演算部276、最大値、最小値抽出部277、最大値−最小値算出部278、および、推定処理部279を有している。
ここで、第1距離関数演算部271は、ADC24,25から供給されるI,Q成分から、距離に対する(I+jQ)の値を持つ第1距離関数を生成して出力する。
第1距離スペクトラム演算部272は、第1距離関数演算部271から供給される第1距離関数から、|I+jQ|の値を持つ、第1の距離スペクトラムを生成して出力する。なお、||は、括弧内の絶対値を示す。
最大値抽出部273は、第1距離スペクトラム演算部272から供給される第1距離スペクトラムから最大値を抽出し、推定処理部279に供給する。
ヒルベルトフィルタ274は、第1距離関数演算部271から供給される第1距離関数に対して、ヒルベルト変換を施して出力する。なお、ヒルベルトフィルタ274は、信号の位相成分を90度シフトさせる働きをするフィルタであり、例えば、cosθはsinθに、sinθは−cosθに変換される。このようなフィルタは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ等のデジタル信号処理によって実現することができる。
第2距離関数演算部275は、ヒルベルトフィルタ274から供給されるヒルベルト変換された第1距離関数から、距離に対する、第2距離関数(I’+jQ’)を生成して出力する。
第2距離スペクトラム演算部276は、第2距離関数演算部275から供給される第2距離関数から、|I’+jQ’|の値を持つ、第2距離スペクトラムを生成して出力する。
最大値、最小値抽出部277は、第2距離スペクトラム演算部276から供給される第2距離スペクトラムから最大値および最小値を抽出し、最大値−最小値算出部278に供給する。
最大値−最小値算出部278は、最大値から最小値を減算して得た値を、推定処理部279に供給する。
推定処理部279は、最大値抽出部273および最大値−最小値算出部278から供給される情報に基づいて、物標の距離を推定する処理を実行する。
(B)本発明の第1実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第1実施形態の動作を説明する。図3は、第1物標がレーダ装置10から0mの距離に存在し、第2物標がレーダ装置10から4mの距離に存在する場合の動作を示す図である。なお、0mに存在する第1物標は、実際には、レーダ装置10の送信アンテナ17から受信アンテナ18に直接回り込む電磁波によって生じるものであり、実在する物標からの反射波によるものではない。しかしながら、従来技術における問題点である持続的な干渉波の好適な例であるので、ここでは回り込み信号も物標として扱う。
図3(A)および図3(B)は、図2に示す第1距離関数演算部271から出力されるI,Q成分をそれぞれ示す図である。また、図3(C)は、図2に示す第1距離スペクトラム演算部272から出力される第1距離スペクトラムを示す図である。なお、図3において横軸は距離[m]を示し、縦軸は出力値を示している。
図3の例は、準ミリ波である24GHz帯のレーダ装置を想定しており、第1距離スペクトラム演算部272から出力される第1距離スペクトラムにおけるピーク形状の幅が約2mであるのは、電波法で定められている使用可能な周波数帯域幅の制限によるものである。
送信アンテナ18は、受信アンテナ18と同一の筐体内に配置されているためにアンテナ間の距離が短く、回り込み信号が大きくなりやすいため、第1距離スペクトラムにおける第1物標のピークは第2物標に比べ大きくなっている。図3の例では、第1物標と第2物標が4m離れており、互いの反射波の干渉が小さいことから、従来のレーダ装置の距離推定法である第1距離スペクトラムのピークサーチにより、これら2つの物標の位置を正しく推定することが可能となる。
図4(A)および図4(B)は、図2に示す第2距離関数演算部275から出力される第2距離成分I’+jQ’をそれぞれ示す図である。また、図4(C)は、図2に示す第2距離スペクトラム演算部276から出力される第2距離スペクトラム|I’+jQ’|を示す図である。図4(C)に示すように、第1距離スペクトラムが極大となる距離(0mおよび4m)において、第2距離スペクトラムは極小となる。
以上は、2つの第1物標および第2物標が距離4mを隔てて配置されている場合についての説明である。つぎに、レーダ装置10から0mおよび4mの位置に存在する第1物標および第2物標に加えて、1mの位置に第3物標が存在する場合について説明する。
第3物標がレーダ装置10から1mの距離に存在する場合、当該位置は第1物標によるピークの裾野内であることから、第1物標と第3物標からの反射波は強く干渉しあう。また、波の干渉であるため、反射波の位相により干渉結果は様々な状態を示す。図5は、第1物標〜第3物標とレーダ装置10の位置関係が波長と同程度(例えば、24GHzの場合は約1.2cm)の範囲内で変化した場合における、第1距離関数演算部271および第1距離スペクトラム演算部272からの出力を示す図である。また、図6は、第1物標〜第3物標とレーダ装置10の位置関係が波長と同程度の範囲内で変化した場合における、第2距離関数演算部275および第2距離スペクトラム演算部276からの出力を示す図である。
図5(C)に示す、第1距離スペクトラムでは、第1物標による大きなピークに埋れてしまうため第3物標のピークは認識できない。また、第1物標についても第3物標との干渉のため、正しい位置にピークが生じていない。この結果、従来の距離推定法では第1物標および第物標のどちらも正しい距離を推定することは困難である。
なお、図5(C)において、第1物標に関する波形は、送信アンテナ17から受信アンテナ18への回り込みであるため持続的に生じる干渉波である。
一方、図6(C)に示す、第2距離スペクトラムでは、物標が存在する距離位置に注目すると、0m、1m、および、4m地点において値のばらつきが小さくなっている。これは、ヒルベルトフィルタ274の効果により第2距離関数の振幅が、物標の位置で0となるため、第2距離スペクトラムにおいて、その物標距離からの反射波の影響を低減している(つまり物標距離においてのみ干渉が生じない状態としている)ことによる。
図7は、第2距離スペクトラム演算部276よりも後段の出力を示す図である。図7(A)に示す、曲線C1は、図2に示す最大値、最小値抽出部277によって抽出される、第2距離スペクトラムにおける各距離での最大値を示し、曲線C2は第2距離スペクトラムにおける各距離での最小値を示している。
図7(B)に示す曲線C3は、最大値−最小値算出部278によって算出される、最大値である曲線C1と、最小値である曲線C2の差分値を示す曲線である。この曲線C3では、各物標の位置で下に凸の屈曲が生じている。
推定処理部279では、最大値抽出部273から供給される第1距離スペクトラムにおける最大値付近で、最大値−最小値算出部278から供給される最大値と最小値の差分値である曲線C3において下に凸の屈曲点となる距離物標の推定距離とする。これにより、図7(C)に示す曲線C4のように、第1物標、第2物標、および、第3物標の距離を正しく推定することができる。
第2物標においては、他の物標より3m以上離れているため、他の物標からの反射波との干渉が小さい。そのため、第2物標の距離以外でも第2距離スペクトラムのばらつきが小さくなり、最大値と最小値の差分値である曲線C3で屈曲が明瞭には生じていない。このような場合は、第2距離スペクトラムの最大値を用いた曲線C1における屈曲を用いてもよい。より具体的な手順としては、曲線C1と曲線C3の下に凸な屈曲を比較してより明確な方を採用する。下に凸な屈曲の定量的な比較方法として、曲線C1および曲線C3を距離について2階微分を行ったときに、正の値でより大きな値となった方を明瞭な屈曲として採用してもよい。
このように、本発明の第1実施形態では、以上の特徴を用いて、第1距離スペクトラムにおける値が大きく、かつ、第2距離スペクトラムから得られる図7(B)において谷となる距離を推定距離とすることで、図7(C)の曲線C4に示すように第1物標、第2物標、および、第3物標の距離を正しく推定することが可能となる。
このように、干渉波の位相が異なる複数の条件下において測定された第1距離スペクトラムおよび第2距離スペクトラムを利用することによって、持続的な干渉波が存在する環境下においても、物標の距離を正しく推定することが可能となる。
なお、干渉波の位相が異なる複数の条件を作り出すには、物標間の相対距離を僅かに変化させるだけでよい。例えば、レーダ装置10が24GHz帯の電磁波(レーダ波)を使用する場合、レーダ波の波長が約12mmであるので、物標が12mm動く範囲内で全ての位相条件を作り出すことが出来る。これは、24GHz帯レーダの距離スペクトラムにおけるピーク幅(約2m)に対して極僅かな位置変位である。また、必要な変化は、レーダ装置10と物標の相対位置の変化であるので、物標ではなくレーダ装置10が移動しても良い。また、位相の変化はレーダ波の波長変化によっても生じるので、レーダ波の中心周波数を変化させた複数ショットを用いることで、前述した複数の位相組合せ条件を作り出してもよい。
また図2の例では、第2距離関数を生成するために、ヒルベルトフィルタ274を用いたが、FM変調を用いるレーダ装置である場合には、ビート信号をフーリエ変換して距離関数を生成する際の窓関数を奇関数にする方法で生成してもよい。窓関数の具体的な使用方法は、後述する第2実施形態における方位角度の推定方法と同じである。
(C)本発明の第2実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態の構成例を示す図である。なお、図8において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図8では、図1と比較すると、受信アンテナ18が受信アンテナ18−1〜18−n(n>1)に置換されている。また、増幅部19、ミキサ20,21、LPF22,23、ADC24,25が増幅部19−1〜19−n、ミキサ20−1〜20−n,21−1〜21−n、LPF22−1〜22−n,23−1〜23−n23、ADC24−1〜24−n,25−1〜25−nに置換されている。なお、これらの機能および動作は、図1に示す場合と同様であるのでその説明を省略する。
また、図8の例では、受信信号処理部26を構成する処理部として、距離推定部27、速度推定部28、方位角推定部29、および、クラスタリング処理部30が例示されている。ここで、距離推定部27は、物標の距離を推定する処理を実行する機能ブロックである。速度推定部28は、物標の速度を推定する処理を実行する機能ブロックである。方位角推定部29は、物標の方位角を推定する処理を実行する機能ブロックである。クラスタリング処理部30は、複数の検出結果をクラスタリングすることで、物標を特定する処理を実行する機能ブロックである。なお、図8で示される機能ブロックは一例であって、これ以外の処理部(例えば、物標の時間的な変化を検出するトラッキング処理部等)を有するようにしてもよい。
図9は、図8において、n=4の場合における、送信アンテナ17および受信アンテナ18−1〜18−4の詳細な構成例を示す図である。図9に示すように、受信アンテナ18−1〜18−4は、y軸方向(例えば、垂直方向)に複数のパッチアンテナ素子が並べて配置され、これら複数のパッチアンテナ素子が給電線によって接続されて構成されている。また、受信アンテナ18−1〜18−4は、x軸方向に所定の距離d(d≦λ/2)(λは送信アンテナ17から送信される電磁波の波長)を隔てて配置されている。また、送信アンテナ17は、受信アンテナ18−4からx軸方向に所定の距離を隔てて配置されている。なお、図9に示す構成は、一例であって、本発明が図9に示す場合に限定されるものではない。
図10は、図8に示す方位角推定部29の詳細な構成例を示す図である。図10に示す例では、同距離ゲートのI,Q受信データについて、W(A)およびW(B)の2種類の窓関数を乗算することで、第1角度スペクトラムおよび第2角度スペクトラムを算出し、これらの第1角度スペクトラムおよび第2角度スペクトラムに基づいて物標の方位角を推定する。
より詳細には、図10の例では、窓関数乗算部281〜284、角度推定処理部285、窓関数乗算部291〜294、および、角度推定処理部295を有している。
ここで、窓関数乗算部281〜284は、入力される同距離ゲートのI,Q受信データに対して、第1窓関数であるWA=(WA1,WA2,WA3,WA4)=(0.5,1,1,0.5)を乗算し、第1角度スペクトラムA(θ,n)として出力する。また、窓関数乗算部291〜294は、入力される同距離ゲートのI,Q受信データに対して、第2窓関数であるWB=(WB1,WB2,WB3,WB4)=(0.5,1,−1,−0.5)を乗算し、第2角度スペクトラムB(θ,n)として出力する。なお、第1窓関数および第2窓関数は一例であって、前述した窓関数に限定されるものではない。
ここで、第1角度スペクトラムA(θ,n)および第2角度スペクトラムB(θ,n)において、θは角度インデックスを示し、nは過去における同距離および同角度の推定結果に付与された番号を示す。例えば、一定時間毎に取得したデータを10個保存する場合には、n=0〜9となる。なお、時間に対して降順となるか昇順となるかは任意である。また、第1角度スペクトラムA(θ,n)および第2角度スペクトラムB(θ,n)の値としては、(実部+虚部0.5が格納される。
なお、第1角度スペクトラムおよび第2角度スペクトラムを求める方法としては、例えば、送信アンテナ17と受信アンテナ18−1〜18−4の組み合わせ毎に、(I+jQ)を求めてフーリエ変換を施すことにより実部がRe_Aであり虚部がIm_Aである第1角度関数(Re_A+jIm_A)を求める。そして、Re_AおよびIm_Aをヒルベルト変換したものをRe_BおよびIm_Bとするとき、(Re_B+jIm_B)を第2角度関数とする。そして、得られた第1角度関数(Re_A+jIm_A)と第2角度関数(Re_B+jIm_B)のそれぞれの強度を計算し、これらを第1角度スペクトラム|Re_A+jIm_A|および第2角度スペクトラム|Re_B+jIm_B|とすることができる。もちろん、これ以外の方法で求めてもよい。
(D)本発明の第2実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第2実施形態の動作について説明する。図11は、方位角0度に物標が存在する場合の第1角度スペクトラムおよび第2角度スペクトラムを示す図である。図11に示すように、単一方向からの到来波が存在する場合、第1角度スペクトラムは実線で示すように到来角である0度で最大となり、第2角度スペクトラムは破線線で示すように到来角である0度で0となる。
第1角度度スペクトラムによる角度推定は、メインローブで角度推定を行う従来のBeamformer法と同じである。しかしながら、第2実施形態では、窓関数WAによってサイドローブを抑制することで、サイドローブによって干渉波を受信してしまう、従来の方法の問題点を解消することができる。また、第2角度スペクトラムによる角度推定では、窓関数WBによって、到来波の方位角において鋭いヌル(NULL)を形成することができる。このような鋭いヌルを用いることで高い角度分解能を得ることができる(詳細は後述する)。
図12は、単一方向から反射波を受信した場合の角度スペクトラムを示す図である。より詳細には、図12(A)は、方位角0度の方向に単一の物標が存在する場合を示している。図12(A)において、実線は第1角度スペクトラムを示し、破線は第2角度スペクトラムを示している。図12(A)では、実線で示す第1角度スペクトラムは物標が存在する方位角0度の方向で極大となり、破線で示す第2角度スペクトラムは物標が存在する方位角0度の方向で極小となる。また、図12(B)は、方位角が−20度の方向に単一の物標が存在する場合を示している。図12(B)において、実線は第1角度スペクトラムを示し、破線は第2角度スペクトラムを示している。図12(B)では、実線で示す第1角度スペクトラムは物標が存在する方位角−20度の方向で極大となり、破線で示す第2角度スペクトラムは物標が存在する方位角−20度の方向で極小となる。
図13は、複数の方向から反射波を受信した場合の角度スペクトラムを示す図である。より詳細には、図13(A)は、方位角0度と−20度の方向に2つの物標が存在する場合を示し、実線が第1角度スペクトラムを示し、破線が第2角度スペクトラムを示している。図13(A)では、2つの物標が存在するにも拘わらず、第1角度スペクトラムの分解能の低さに起因して、1つに見える状態を示す。このとき、第1角度スペクトラムよって推定された角度(この例では−10度)において、第2角度スペクトラムは0にはなっておらず、谷の部分が横軸から浮いている。このような浮きは、物標が1つでない場合に生じることから、このような浮きを検出することで、誤推定の発生を容易に検出することが可能となる。このような検出は、窓関数WBにより実現できることから、特許文献3の技術に比較して、検出を容易に行うことができる。
また、図13(B)は、方位角0度と−20度の方向に2つの物標が存在する場合であって、図13(A)とは位相の組み合わせが異なるときを示している。図13(B)の例では、図13(A)に比較すると、2つの物標を分離して検出できているように見えるが、実線で示す第1角度スペクトラムのピークから推定される方位角は明らかに間違っている。この場合においても、破線で示す第2角度スペクトラムの谷が浮いていることから干渉波による誤推定を検出することができる。また、第1角度スペクトラムのピーク角度と、第2角度スペクトラムの谷となる角度がずれを有することも本発明の第2実施形態の特徴である。すなわち、このような角度ずれを検出することで、誤推定の発生を検出することができる。
図14は、物標が方位角+30度と−30度に存在する場合の角度スペクトラムを示している。より詳細には、図14(A)は、物標が方位角+30度に存在する場合を示し、この例では、実線で示す第1角度スペクトラムのピークと、破線で示す第2角度スペクトラムの谷とが一致している。図14(B)は、物標が方位角−30度に存在する場合を示し、この例でも、実線で示す第1角度スペクトラムのピークと、破線で示す第2角度スペクトラムの谷とが一致している。図14(C)は、2つの物標が方位角+30度と−30度にそれぞれ存在する場合を示している。この例では、破線で示す第2角度スペクトラムの谷は浮いている(谷の値は0ではない)が、実線で示す第1角度スペクトラムのピークの位置と、破線で示す第2角度スペクトラムの谷の位置は一致している。このため、第2角度スペクトラムの谷が浮いている場合であっても、第1角度スペクトラムのピークの位置と、第2角度スペクトラムの谷の位置が一致する場合には、これらの位置に物標が存在すると判定することができる。
このような特徴により、本発明の第2実施形態では、干渉波が存在する場合でも推定角を破棄せずに採用できる機会が増える。これは、特許文献1に開示された従来技術では実現不能であり、また、特許文献3に開示された従来技術に示す方法のように、到来波の波数を検出する必要もないことから、容易に実施することができる。
つぎに、第2実施形態の詳細な動作について、具体例を挙げて説明する。図15は、複数ショットのデータを用いた干渉波が存在する環境下における、方位角推定の具体例を説明するための図である。図15では、レーダ装置10から距離5m離れた位置の方位角0度と−20度の方向に物標が存在し、1ショット毎に測定条件を僅かに変えるために、レーダ装置10を0度の方向に2mm間隔で移動させた場合における10ショット分のシミュレーション結果を示している。複数ショットのデータ(n=0〜9)のうち、第1角度スペクトラムA(θ,n)における各θでの最大値(図15(A)の実線の太線)を以下の式(1)で表す。なお、MAX[]は、括弧内の最大値を求める関数である。
C(θ)=MAX[A(θ,n)] ・・・(1)
なお、図15(A)は、2方向からの反射信号の重ね合わせであるが、重ね合わせの位相の組み合わせによって、反射波が強め合ったり弱め合ったりするので、様々な値を取る。打ち消しあう条件の場合、実際とは異なる方位角にピークを持つ場合があるので、ここでは最大値MAX[]を用いる。
図15(B)は、第2角度スペクトラムについて、複数時間のデータ(n=0〜9)のうち、各θでの最大値を実線の太線で示し、最小値を破線の太線で示す。なお、最大値は以下の式(2)で示し、最小値は以下の式(3)で示すことができる。ここで、MIN[]は、括弧内の最小値を求める関数である。
D(θ)=MAX[B(θ,n)] ・・・(2)
E(θ)=MIN[B(θ,n)] ・・・(3)
なお、第2角度スペクトラムでは、重ね合わせられる受信波の位相によって様々な値を取るが、物標の方位角においては、NULL方位であることから、片方の値が必ず0になるため、値がばらつかない。図16(A)は、位相角が0度の位置に単一の物標が存在する場合を示し、図16(B)は、位相角が−20度の位置に単一の物標が存在する場合を示している。これらの図に示すように、物標の位相角においては、NULL方位であることから、片方の値が必ず0になる。このため、物標の方位角では後述する式(4)のF(θ)が谷となる。
図15(C)は、最大値D(θ)と、最小値E(θ)との差分値を示す図である。なお、差分値は以下の式(4)で表すことができる。
F(θ)=D(θ)−E(θ) ・・・(4)
式(4)は、複数の物標が存在する場合に、物標の方位角において極小となる。その極小を検出する方法のひとつとして、式(4)をθで2階微分して得た式(5)を用いる方法がある。但し、式(5)では、受信強度の大小による影響を低減するために、C(θ)によって規格化している。
G(θ)={dF(θ)/dθ}/C(θ) ・・・(5)
図17(A)は、式(5)を示す図である。そして、G(θ)が閾値Thを超えた方位角に物標が存在する可能性が高いとして、以下の式(6)によって、H(θ)を求める。ここで、u[]は、ステップ関数で、括弧内の値≧0である場合には1となり、括弧内の値<0である場合には0となる関数である。
H(θ)=C(θ)・u[G(θ)−Th] ・・・(6)
図17(B)は、式(6)に示すH(θ)の図である。なお、式(6)の右辺のTh=0.02としている。この図に示すように、式(5)のG(θ)における位相角+40度のピークに関しては、C(θ)の値が小さいことから目立たなくなり、物標の方位角である位相角0度と−20度のピークのみが残っている。
図18は、前述したような演算を、各距離で実施し、輝度情報に変換して描画した図である。図18(A)は、C(θ)による推定結果を示し、図18(B)は、H(θ)による推定結果を示している。これらの図の比較から、図18(B)では、物標の位相角である0度と−20度に物標が検出されているが、図18(A)では、これらの物標は識別可能には検出されていない。
このように、本発明の第2実施形態では、物標の大きさをある程度反映しているが、方位角分解能が低いC(θ)と、物標の方位情報を強く反映したG(θ)と閾値の差分値との積を求めることで、物標のサイズを反映しつつ、高い方位角分解能を得ることができる。
なお、前述した例では、レーダ装置10の位置の変位は、トータルで18mm(波長換算で約1.5λ)であり、物標までの距離である5mに比較すると、ごく僅かな変位で実現可能である。
以上に説明したように、本発明の第2実施形態によれば、干渉波が存在する環境下においても2つの窓関数を組み合わせることで、Beamformer法では方位角の分解能が低いという問題点を解消することができる。また、窓関数によりサイドローブを抑圧することで、メインローブが広くなる。この結果、所望波と干渉波との方位角度差が小さい場合にはメインローブによって所望波と干渉波の両方を受信してしまうという問題点を解消することができる。
また、Beamformer法に対して方位角度分解能を向上させた、従来の方位角度推定法である、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、MUSIC法は、到来波の数に対応した数のヌルを生成する必要があり、その複雑なヌルを生成するウェイトベクトルを算出するために無相関な多数のショットデータが必要となる。しかしながら、本発明の第2実施形態では、窓関数WBではメインローブの中心に1つのヌルを生成するのみであり、そのような1つのヌルで干渉波が存在する環境下において、角度推定を行うことができる本手法では、従来の推定法に比べて少ないショット数で角度の推定を実現することが可能となる。
また、本発明の第2実施形態では、複雑なヌルを生成しないため、明らかに間違った角度推定を行うことも少ないことから、安定な手法ということができる。
すなわち、従来の角度推定方法である、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、MUSIC法は、無相関な多数のショットデータが必要という問題点があり、また、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、MUSIC法は、誤推定が多く生じるという問題点があり、さらに、最小ノルム法、MUSIC法は固有値、固有ベクトルを用いることから、受信アンテナアレイのアンテナ数よりも少ない到来波にしか対応できないという問題点があった。しかしながら、本発明の第2実施形態によれば、これらの問題点を解消することができる。
以上では、角度差が小さい物標からの反射波が互いに干渉波として働くために分離検出が困難である場合の動作について説明したが、つぎに、強度の強い干渉波に埋れるために検出困難となる場合の解消例について説明する。
図19に示すように、レーダ装置10の受信アンテナ18−1〜18−4には、物標からの反射波だけでなく、送信アンテナ17からの直接波が入射する。近年では、レーダ装置10の小型化の要求から、送信アンテナ17と受信アンテナ18−1〜18−4の間の距離は短い方が望ましい。しかしながら、これらの距離を短縮するに従って、直接波の振幅が大きくなり、物標からの反射波が、直接波に埋もれてしまい、物標の検出が困難になるという問題点がある。
遠方に存在する物標を検出する場合、FMCW方式のレーダ装置では、ダウンコンバート後の0Hz付近の成分を除去することで対応することができる。また、パルス方式のレーダ装置では、直接波の受信が完了してから反射波を受信することで直接波の影響を低減することができる。
しかしながら、レーダ装置の近傍に物標が存在する場合には、従来のレーダ装置では、前述した対策を施しても、検出が困難であった。例えば、24GHz帯の準ミリ波レーダ装置では、割り当てられた周波数帯域幅が200MHzであることから、距離に換算して2m程度の範囲内では、このような問題が深刻となる。
本発明の第2実施形態では、直接波が存在する場合であっても、レーダ装置10の近傍に存在する物標を検出することができる。これについて、以下に説明する。
図20は、レーダ装置10からの距離が0.5mで、方位角が−20度の位置に物標が存在する場合において、図19に示すような直接波が存在する環境下で物標を検出する場合を示す図である。なお、受信アンテナ18−1〜18−4の間隔は、約λ/2である。
図20(A)は、第1角度スペクトラムを示す図である。この図に示すように、受信アンテナ18−1〜18−4の間隔が約λ/2である場合、±90度方向の符号は区別できないことから、A(θ,n)においては、±90度に強いピークを有し、振幅が1/10程度の物標からの反射波はこのピークに埋もれてしまうことから、C(θ)においても−20度方向のピークは確認することができない。
図20(B)は、第2角度スペクトラムを示す図である。この図において、実線の太線で示すD(θ)は、前述した式(2)で示す第2角度スペクトラムの最大値を示し、破線の太線で示すE(θ)は、前述した式(3)で示す第2角度スペクトラムの最小値を示している。
図20(C)は、第2角度スペクトラムの式(4)に係るF(θ)を示す図である。この図では、−20度付近に谷が現れている。図21(A)は、式(5)に係るG(θ)を示す図であり、図21(B)は、式(6)に係るG(θ)を示す図である。図21(B)では、直接波が存在する環境下にも拘わらず、方位角−20度であって、距離0.5mに存在する物標が正確に検出されている。
図22(A)は、第1角度スペクトラムに係るC(θ)による推定結果を示す図である。この図の例では、−20度の方位角に存在する物標は、直接波にマスクされるので、弁別することができない。
図22(B)は、H(θ)による推定結果を示す図である。この図の例では、−20度の方位角であって、距離0.5mに存在する物標が弁別可能に検出されている。
以上に説明したように、送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への直接波は、物標からの反射波に比べ振幅が大きいことから、従来の方式では、レーダ装置10の近傍に存在する物標からの反射波は直接波に埋れてしまい検出不能であった。一方、本発明の第2実施形態によれば、窓関数WBによる第2角度スペクトラムの特徴的な振る舞いによって、埋れていた反射波の成分を抽出することが可能となる。
また、本発明の第2実施形態において、不要波である送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への直接波が、角度推定結果に現れない理由は、直接波は受信アンテナ18−1〜18−4に対して−90°の方角から入射するのに対し、受信アンテナ18−1〜18−4は±90度方向に角度分解能を有しないため、直接波の成分が角度スペクトラムF(θ)に反映されないためである。
つまり、受信アンテナ18−1〜18−4のアレイ方向の中心軸に対して送信アンテナ17を非対称な位置に配置することで、不要で振幅の大きな直接波をレーダ装置10の近傍の物標の検出の対象から外すことが可能になる。
以上は、従来のBeamformer法において特に問題となる干渉波の影響下における方位角推定方法であるが、角度スペクトラムF(θ)に角度スペクトラムD(θ)を採用することで、干渉波の有無を考慮せずに方位角を推定することが出来る。これについて、以下に説明する。
図23〜図26は、レーダ装置10から1mと5mの位置に物標を配置した場合の動作を示す図である。より詳細には、図23〜図24は、レーダ装置10から1mの位置であって、方位角が−45度の位置に物標を配置した場合の動作を示している。また、図25〜図26は、レーダ装置10から5mの位置であって、方位角が+20度の位置に物標を配置した場合の動作を示している。
図23(A)は、レーダ装置10から1mの位置であって、方位角が−45度の位置に物標を配置した場合の第1角度スペクトラムに係るC(θ)を示す図である。また、図23(B)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るD(θ)を示す図である。また、図23(C)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るF(θ)およびD(θ)を示す図である。また、図24(A)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るG(θ)を示す図である。さらに、図24(B)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るH(θ)を示す図である。
図25(A)は、レーダ装置10から5mの位置であって、方位角が+20度の位置に物標を配置した場合の第1角度スペクトラムに係るC(θ)を示す図である。また、図25(B)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るD(θ)を示す図である。また、図25(C)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るF(θ)およびD(θ)を示す図である。また、図26(A)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るG(θ)を示す図である。さらに、図26(B)は、同じ場合における、第2角度スペクトラムに係るH(θ)を示す図である。
図27は、前述した2つの物標(距離1mで方位角−45度の第1物標と、距離5mで方位角+20度の第2物標)が存在する場合における検出結果を示す図である。図27(A)は、第1角度スペクトラムに係るC(θ)による推定結果を示している。この例では、干渉波に隠れて物標が検出できない状態となっている。一方、図27(B)は、第2角度スペクトラムに係るH(θ)による推定結果を示している。この例では、+20度と−45度に2つの第1物標および第2物標が検出されている。
以上に説明したように、本発明の第2実施形態では、2つの第1物標および第2物標は、レーダ装置10からの距離が異なるため、方位角推定部29において処理を行う前に、距離推定部27において分離可能である。このため、第1物標は送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への直接波である干渉波の影響下にあり、第2物標は干渉波の影響が無い状態での方位角推定である。図27に示すように、2つの窓関数を組み合わせることで、干渉波の有無に関わらず物標からの到来波の方位角を推定することが可能となる。
(E)本発明の第3実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態の回路構成は、図8と同様であるが、送信アンテナ17および受信アンテナ18−1〜18−4の配置が図9とは異なっている。図28は、第3実施形態における送信アンテナ17および受信アンテナ18−1〜18−4の配置例を示す図である。図28の例では、受信アンテナ18−1〜18−4は、図9と同様に、x軸方向に所定の間隔d(d≦λ/2)を隔てて配置されている。一方、送信アンテナ17は、受信アンテナ18−1〜18−4よりもy軸方向の下側に配置されるとともに、破線で示す受信アンテナ18−1〜18−4の中心からオフセットして配置されている。
図9においては、送信アンテナ17と受信アンテナ18−1〜18−4が同一線上に配置されているため、送信アンテナ17からx軸とz軸からなる面上に強く放射される送信信号を同一面上にある受信アンテナ18−1〜18−4が受信しやすいため、送信アンテナから受信アンテナへの回り込み信号の影響が大きかったが、図28の第3実施形態では、送信アンテナ17をy軸方向にオフセットすることで、受信アンテナ18−1〜18−4への回り込みを低減することができる。さらに、送信アンテナ17を受信アンテナ18−1〜18−4の中心からx軸に平行にオフセットして配置することにより、さらに回り込み信号の影響を低減することができる。
(F)本発明の第3実施形態の動作の説明
図29〜図30は、送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への回り込みに対する第3実施形態の動作を説明するための図である。より詳細には、図29(A)は第1角度スペクトラムに係るC(θ)を示し、図29(B)は第2角度スペクトラムに係るD(θ)を示し、図29(C)は第2角度スペクトラムに係るF(θ)を示している。また、図30(A)はG(θ)を示し、図30(B)はTh=0.02である場合のH(θ)を示している。
図31は、第3実施例における送信アンテナ17のオフセットの効果を説明する例として、送信アンテナ17および受信アンテナ18−1〜18−4の配置例を示している。図31の例では、図28に比較すると、送信アンテナ17の配置位置が図28とは異なっている。すなわち、図31に示す例では、送信アンテナ17は、図中に破線で示す、受信アンテナ18−1〜18−4の中心軸と同じ位置に配置されている。
図32〜図33は、図31に示すオフセットの無い例の送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への回り込みに対する動作を説明するための図である。より詳細には、図32(A)は第1角度スペクトラムに係るC(θ)を示し、図32(B)は第2角度スペクトラムに係るD(θ)を示し、図32(C)は第2角度スペクトラムに係るF(θ)を示している。また、図33(A)はG(θ)を示し、図33(B)はTh=0.02である場合のH(θ)を示している。
図29〜図30および図32〜図33の比較から、図33に示すオフセットの無い例では、送信アンテナ17から受信アンテナ18−1〜18−4への回り込みによって方位角0度の方向に物標が誤検出されている。一方、図29〜図30では、方位角0度の方向の物標の誤検出はされていない。
以上に説明したように、本発明の第3実施形態では、受信アンテナ18−1〜18−4の中心軸に対して、送信アンテナ18をオフセットさせて非対称な位置に配置するようにしたので、振幅の大きな直接波をレーダ装置10の近傍の物標として検出対象から外すことが可能になる。
(G)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、1つの送信アンテナ17と4つの受信アンテナ18−1〜18−4を有するようにしたが、2つ以上の送信アンテナと3つ以下または5つ以上の受信アンテナを有するようにしてもよい。
また、図8に示す第2実施形態では、受信アンテナ18−1〜18−4のそれぞれに対して増幅部19−1、ミキサ20−1〜20−n,21−1〜21−n、LPF22−1〜22−n,23−1〜23−n、および、ADC24−1〜24−n,25−1〜25−nを有するようにしたが、増幅部19、ミキサ20,21、LPF22,23、および、ADC24,25のみを有するようにするとともに、受信アンテナ18〜1〜18−4の出力のいずれかを選択して増幅部19に供給するようにしてもよい。
また、以上の各実施形態では、パルス信号を送信するパルス変調方式のレーダ装置を例に挙げて説明したが、FM変調方式のレーダ装置に対して本発明を適用することも可能である。パルス方式のレーダ装置の場合、ADC24,25,24−1〜24―n,25−1〜25―nから出力されるI,Q信号は受信信号を局発周波数で直交復調した時系列の信号であり、第1の距離関数は(I+jQ)で、時間軸を距離軸に変換した信号であり、また、第1の距離スペクトラムは、値が|I+jQ|の距離軸信号とする。一方、FM変調方式のレーダ装置の場合、送信信号は周波数を連続的に変調させたFM変調信号であり、ADC24,25,24−1〜24―n,25−1〜25―nから出力されるI,Q信号は、受信信号と周波数変調された送信信号とのビート信号であり、ビート信号をフーリエ変換により周波数領域のデータに変換することで、距離に対応したIおよびQ信号を新たに算出し、さらに、周波数軸を距離軸に変換した(I+jQ)の値を有する関数を、第1の距離関数とし、第1の距離スペクトラムは、値が|I+jQ|の距離軸信号とすることができる。
また、物標の位置において強度が極大となる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、物標の位置において強度が極小となるとともに第1距離関数および第1角度関数のそれぞれに対して直交する第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成し、これらの第1スペクトラムおよび第2スペクトラムに基づいて、対象物の位置を推定するようにしてもよい。より詳細には、第2スペクトラムを参照して、干渉波の有無の判定、干渉波による位置推定の誤りの判定、または、干渉波が存在する環境下における位置推定に用いるようにしてもよい。
10 レーダ装置
11 制御部
12 変調信号生成部
13 受信アンテナ
14 変調部
15 遅延部
16 増幅部
17 送信アンテナ
18,18−1〜18−4 受信アンテナ
19,19−1〜19−n 増幅部
20,21,20−1〜20−n,21−1〜21−n ミキサ
22,23,22−1〜22−n,23−1〜23−n LPF
26 受信信号処理部
27 距離推定部
28 速度推定部
29 方位角推定部
30 クラスタリング処理部
271 第1距離関数演算部
272 第1距離スペクトラム演算部
273 最大値抽出部
274 ヒルベルトフィルタ
275 第2距離関数演算部
276 第2距離スペクトラム演算部
277 最大値、最小値抽出部
278 最大値−最小値算出部
279 推定処理部
281〜284 窓関数乗算部
291〜294 窓関数乗算部
285,295 角度推定処理部

Claims (10)

  1. 物標を検出するレーダ装置において、
    送信アンテナを介して送信信号を送信する送信手段と、
    前記送信手段によって送信され、前記物標によって反射された反射波を、受信アンテナを介して受信する受信手段と、
    前記受信手段によって受信された受信信号を、前記送信信号の周波数によって直交復調することで前記送信信号との同相成分と直交成分とを生成する直交復調手段と、
    前記同相成分および前記直交成分により、前記物標の位置に応じて強度が極大をとる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置に応じて強度が極小をとる第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成するスペクトラム生成手段と、
    前記スペクトラム生成手段によって生成される前記第1スペクトラムと前記第2スペクトラムに基づいて前記物標の位置を推定する推定手段と、
    を有することを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記スペクトラム生成手段は、単一の前記物標が存在する場合に、前記物標の位置において強度が極大となる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置において強度が極小となる第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成する、ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  3. 前記送信手段は、前記送信信号を複数回送信し、
    前記スペクトラム生成手段は、複数回送信された前記送信信号に対する複数の前記第2スペクトラムを生成し、
    前記推定手段は、複数の前記第2スペクトラムを比較し、強度変化が極小となる位置を前記物標の位置と推定する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーダ装置。
  4. 前記送信手段は、前記送信信号を複数回送信し、
    前記スペクトラム生成手段は、複数回送信された前記送信信号に対する複数の前記第2スペクトラムを生成し、
    前記推定手段は、複数の前記第2スペクトラムの各位置における最大値が極小となる位置を前記物標の位置と推定する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーダ装置。
  5. 前記送信手段は、所定の周波数を有する局発信号をパルス状のベースバンド信号によって変調することで前記送信信号を生成し、
    前記直交復調手段は、前記受信信号を前記局発信号によって直交復調することで前記同相成分であるI成分と前記直交成分であるQ成分とを生成し、
    前記スペクトラム生成手段は、
    jを虚数単位とし、前記第1距離関数として(I+jQ)に比例する値を有するとともに時間軸を距離軸に変換した関数を使用し、第1距離スペクトラムとして前記第1距離関数の強度を示す関数を使用し、
    前記第2距離関数として、(I+jQ)をヒルベルト変換して得られる値を(I’+jQ’)とする場合に(I’+jQ’)に比例する値を有するとともに時間軸を距離軸に変換した関数を使用し、第2距離スペクトラムとして前記第2距離関数の強度を示す関数を使用する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
  6. 前記送信手段は、周波数が連続的に変化するFM変調信号を前記送信信号として生成し、
    前記直交復調手段は、前記受信信号と前記送信信号の周波数差を有するビート信号を生成し、前記ビート信号をフーリエ変換により周波数領域に変換することで、前記同相成分であるI成分と前記直交成分であるQ成分とを生成し、
    前記スペクトラム生成手段は、
    jを虚数単位とし、前記第1距離関数として(I+jQ)に比例する値を有するとともに周波数軸を距離軸に変換した関数を使用し、第1距離スペクトラムとして前記第1距離関数の強度を示す関数を使用し、
    前記第2距離関数として、(I+jQ)をヒルベルト変換して得られる値を(I’+jQ’)とする場合に(I’+jQ’)に比例する値を有するとともに周波数軸を距離軸に変換した関数を使用し、第2距離スペクトラムとして前記第2距離関数の強度を示す関数を使用する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
  7. 前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの少なくとも一方を複数有し、
    前記スペクトラム生成手段は、
    jを虚数単位とし、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの組み合わせによる(I+jQ)を配列とし、フーリエ変換を行うことで、角度軸における前記第1角度関数を生成し、
    前記第1角度関数の実部および虚部をRe_AおよびIm_Aとする場合に、Re_AおよびIm_Aをヒルベルト変換した結果をRe_BおよびIm_Bとしたとき、前記第2角度関数は、(Re_B+jIm_B)に比例する角度軸の関数であり、第2角度スペクトラムは、前記第2角度関数の強度を反映した角度軸信号である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレーダ装置。
  8. (I+jQ)の配列から前記第2角度関数を算出する際に、奇関数の窓関数を用いることを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
  9. 前記受信アンテナを複数有するとともに第1方向に並べて配置され、
    前記送信アンテナは、複数の前記受信アンテナの配列の中心からずれた位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレーダ装置。
  10. 物標を検出するレーダ装置の物標検出方法において、
    送信アンテナを介して送信信号を送信する送信ステップと、
    前記送信ステップによって送信され、前記物標によって反射された反射波を、受信アンテナを介して受信する受信ステップと、
    前記受信ステップによって受信された受信信号を、前記送信信号の周波数によって直交復調することで前記送信信号との同相成分と直交成分とを生成する直交復調ステップと、
    前記同相成分および前記直交成分により、前記物標の位置に応じて強度が極大をとる第1距離関数および第1角度関数の少なくとも一方を有する第1スペクトラムと、前記物標の位置に応じて強度が極小をとる第2距離関数および第2角度関数の少なくとも一方を有する第2スペクトラムとを生成するスペクトラム生成ステップと、
    前記スペクトラム生成ステップによって生成される前記第1スペクトラムと前記第2スペクトラムに基づいて前記物標の位置を推定する推定ステップと、
    を有することを特徴とするレーダ装置の物標検出方法。
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