以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(第一の実施形態)
図1に第一の実施形態の成形板100の概略の断面図を示す。成形板100は、板状であり、その長手方向に延びる複数の中空部101を有する。成形板100は、押出成形機10によって成形される。
図2Aに本実施形態の押出成形機10の概略の平面図を示す。押出成形機10は、押出成形型1(以下、成形型1ともいう)と、この成形型1に接続された押出機20とを備える。押出機20は、成形材料が投入される投入口200と、成形材料を押し出すスクリュー201と、成形型1と接続する流入口202とを備える。図2Bに示すように、押出機20は、上下2段方式となっている。押出機20の上段は、投入口200が接続され、成形材料を送り出すスクリュー201a(パグスクリュー)を備え、押出機20の下段は、流入口202が接続され、成形材料を送り出すスクリュー201b(オーガスクリュー)を備え、押出機20の上段と下段とは真空ボックス203を介して接続され、この真空ボックス203は真空引きされている。この真空引きによって成形材料に含まれる空気を除くことができ、成形材料から除かれた空気は機外に排気される。
図3に、本実施形態の成形型1の概略の断面図を示す。成形型1は、上型11、下型12、流路13、及び中空部成形部材14を備える。流路13は、上型11と下型12との間に設けられている。中空部成形部材14は、流路13内に配置され、成形板100に中空部101を成形するように構成されている。流路13には、押出機20の流入口202が接続され、押出機20のスクリュー201bによって押し出された成形材料が流れこむ。そして成形型1の押出口15から成形材料が押し出され、成形板が形成される。
流路13は、第一流路131及び第二流路132を含む。このため、第一流路131及び第二流路132の両方には、押出機20から押し出された成形材料が流れる。第一流路131及び第二流路132は、流路13が中空部成形部材14が有する中空部成形部材本体140によって上下に分断されることで形成されている。このため、第一流路131は中空部成形部材本体140の板厚方向一方側に位置し、第二流路132は中空部成形部材本体140の板厚方向他方側に位置する。尚、本明細書において、板厚方向とは成形型1の押出口15から押し出される成形板100の厚み方向を意味し、板幅方向とは成形型1の押出口15から押し出される成形板100の幅方向を意味する。第一流路131及び第二流路132の始まりの位置は、中空部成形部材本体140の上流側端146である。第一流路131と第二流路132とは、中空部成形部材本体140の下流側端144で合流して合流路133を形成している。
図4に、本実施形態の中空部成形部材14の下流側端144の概略の斜視図を示す。中空部成形部材14は、中空部成形部材本体140と、中空ピン141と、ダミーピン143と、を有する。中空部成形部材本体140は、流路13の出口である押出口15から押出成形される成形板の板幅方向に延びた形状を有する。中空部成形部材本体140は、下流側端144に向かって厚みが薄くなる形状を有する。中空ピン141は、中空部成形部材本体140に板幅方向に並ぶように設けられ、それぞれの中空ピン141は中空部成形部材本体140から下流側に延びた形状を有する。複数の中空ピン141間の間隔は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。複数の中空ピン141間の間隔が同じであると、中空ピン141によって形成される中空部を略等間隔に形成することができる。複数の中空ピン141間の間隔がそれぞれ異なっていると、中空ピン141によって形成される中空部を異なる間隔で形成することができる。中空ピン141は、エアーが通過可能な孔147を備えることが好ましい。中空ピン141の太さは、その基部から先端まで同じであることが好ましいが、これに限定されず、例えば中空ピン141に段が設けられ、その太さが異なっていてもよく、中空ピン141が途中から異形形状を有していてもよい。ダミーピン143は、中空ピン141と同様に、下流側端144に複数並べて設けられ、複数の中空ピン141を挟む位置に配置されている。複数のダミーピン143間の間隔は、同じであってもよく、異なっていてもよい。ダミーピン143の太さは、基部から先端に向かって細くなることが好ましい。これにより、ダミーピン143に隣接する中空ピン141によって成形される中空部の形状がダミーピン付近を流れる成形材料によって変形することを抑制することができ、これにより、押出口15から真っ直ぐな板形状の成形板を押し出すことができる。ダミーピン143の長さは、中空ピン141の長さよりも短いことが好ましい。
以下、上記の成形型1を備える押出成形機10を用いて、成形板を製造する方法を説明する。
まず成形材料を用意する。成形材料としては、水硬性無機質材料を含むものを使用することができる。成形材料は、例えば、無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、補強繊維、及び水を含有している。
無機質系主材としては、ケイ素とカルシウムのうち少なくとも一方を含む化合物が使用可能であって、セメントなどの水硬性無機質材料を使用することができる。無機質系主材には、更に、フライアッシュ、シリカヒューム、珪石粉などが含有されていてもよい。
無機質系混和材は軽量骨材として使用される無機発泡体などであって、パーライト、フライアッシュバルーン、及びバーミキュライトなどを例示することができる。無機質系混和材としては、更に、マイカ、ワラストナイトなどを使用することができる。
有機質系混和材としては、メチルセルロース、有機質系発泡粒子等を例示することができる。有機質系発泡粒子としては、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、及びアクリロニトリル系樹脂などの発泡粒子を例示することができる。
補強繊維としては、例えば、パルプ繊維等の天然繊維、ポリプロピレン、ビニロン等の有機繊維、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維等の無機繊維などを例示することができる。
次に、押出機20の投入口200に成形材料を投入する。成形材料は、押出機20内に設けられたスクリュー201a(パグ)及びスクリュー201b(オーガ)によって混練圧縮されながら搬送される。
次に、成形材料は押出機20から流入口202を介して流路13に流入する。流路13に流入した成形材料は、中空部成形部材本体140の上流側端146において、第一流路131及び第二流路132に分かれて流れる。そして、第一流路131を流れる成形材料と第二流路132を流れる成形材料は、中空部成形部材本体140の下流側端144において合流し、合流路133に流れる。これにより、合流材料が形成される。この際、第一流路131及び第二流路132を流れるコア材料は、中空ピン141を避けながら隣合う中空ピン141の基部間の部位で合流する。このため、合流材料のうち、中空ピン141が存在する部分に、中空部が形成される。
次に、合流材料が押出口15から押し出される。押出口15から押し出された成形材料を任意の長さで切断することによって、未硬化の成形体(グリーンシート)が形成される。この未硬化の成形体にプレス等を施すことによって、その表面に凹凸模様を形成してもよい。この場合、凹凸模様を有する建築板を形成することができる。
次に、未硬化の成形体を養生して硬化させる。これにより、図1に示すような成形板100が得られる。
本実施形態では、成形板100の成形に用いる成形材料を、この成形材料が充填されたシリンダー径が16mm且つ出口径が5mmであるシリンダー5の出口52から流出させるのに要する圧力P[kPa]が、下記式(1)の条件を満たす。図5Aにシリンダー5の模式図を示す。シリンダー5は、円筒状のシリンダー部50と、シリンダー部50と連なり、先端に向かって内径が小さくなる形状を備えた出口部51とを備える。このためシリンダー径とは、シリンダー部50の内径X1を意味し、出口径とは出口部51の出口52の内径X2を意味する。また内径X2は内径X1よりも小さく形成されている。シリンダー5から成形材料を流出させるのに要する圧力Pとは、シリンダー5に成形材料を押し出す押子53を取り付け、出口52から成形材料が流出する際の押子53に掛かった圧力を意味する。
本実施形態では、合流路133の板厚方向の寸法L3に対する、第一流路の板厚方向の寸法L1及び第二流路132の板厚方向の寸法L2の合計値の比L(以下、圧縮比Lともいう)が、下記式(2)の条件を満たす。図5Bに合流路133の要部の拡大断面図を示す。寸法L3は、図5Bに示す合流路133の上流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L1は、図5Bに示す第一流路131の下流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L2は、図5Bに示す第二流路132の下流側端の板厚方向の寸法である。尚、寸法L3は、合流路133における中空ピン141がない部分の板厚方向の寸法を意味しており、換言すると合流路133における中空ピン141間の板厚方向の寸法を意味する。
本実施形態では、上記の圧力P[kPa]と、上記の圧縮比Lとが、下記式(3)の条件を満たす。
圧力P[kPa]と圧縮比Lとが上記式(1)乃至(3)の条件を満たすことにより、第一合流路131を流れる成形材料と、第二合流路132を流れる成形材料との密着性を特に向上させることができる。これにより、成形板100における成形材料同士の剥離を生じにくくすることができる。尚、圧力Pと圧縮比Lとが上記式(1)乃至(3)の条件を満たすとは、図5Cに示す横軸が圧力P、縦軸が圧縮比Lで表されるPL直行座標平面のグラフにおいて、座標(P,L)が図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。
本実施形態では、成形材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、成形材料に含まれる水の配合割合を調整するとともに、第一流路131、第二流路132、合流路133の板厚方向の寸法を調整することによって、圧力P[kPa]と圧縮比Lとが、上記式(1)乃至(3)の条件を満たすようにすることができる。
(第二の実施形態)
図6に第二の実施形態の成形板100の概略の断面図を示す。成形板100は、板状のコア部102と、このコア部102の表面及び裏面を覆うスキン部103を含み、コア部102は、その長手方向に延びる複数の中空部101を有する。成形板100は、押出成形機0によって成形される。
図7に、本実施形態の押出成形機10の概略の平面図を示す。押出成形機10は、成形型1と、この成形型1に接続された押出機20とを備える。押出機20は、第一押出機21及び第二押出機22を含む。第一押出機21は、成形材料が投入される投入口210と、成形材料を押し出すスクリュー211と、成形型1と接続するパイプ212とを備える。第二押出機22は、成形材料が投入される投入口220と、成形材料を押し出すスクリュー221と、成形型1と接続する流入口222とを備える。第一押出機21及び第二押出機22は、第一の実施形態に係る押出機20と同様に、上下2段で構成されている。すなわち、第一押出機21の上段にスクリュー211a(パグスクリュー)が設けられ、下段にスクリュー211b(オーガスクリュー)が設けられ、上段と下段とが真空ボックス213を介して接続されている。また第二押出機22の上段にスクリュー221a(パグスクリュー)が設けられ、下段にスクリュー221b(オーガスクリュー)が設けられ、上段と下段とが真空ボックス223を介して接続されている。尚、図7においては、第一押出機22及び第二押出機23は、並列に配置されているが、これに限定されず、直行型或いはY型に配置してもよい。
図8に、本実施形態の成形型1の概略の断面図を示す。成形型1は、上型11、下型12、流路13、流路16、中空部成形部材14、及び中子17を備える。流路16は、上型11と下型12との間に設けられている。中子17は、流路16内に設けられている。流路13は、中子17の内部に設けられている。中空部成形部材14は、流路13内に配置され、成形板に中空部を成形するように構成されている。流路13には、第一押出機21のパイプ212が接続され、第一押出機21のスクリュー211bによって押し出された成形材料が流れこむ。流路16には、第二押出機22の流入口222が接続され、第二押出機22のスクリュー221bによって押し出された成形材料が流れ込む。そして成形型1の押出口15から、流路13を流れる成形材料と、流路16を流れる成形材料とが押し出され、成形板が形成される。
流路13は、第一流路131及び第二流路132を含む。このため、第一流路131及び第二流路132の両方には、第一押出機131から押し出された成形材料が流れる。第一流路131及び第二流路132は、流路13が中空部成形部材14が有する中空部成形部材本体140によって上下に分断されることで形成されている。このため、第一流路131は中空部成形部材本体140の板厚方向一方側に位置し、第二流路132は中空部成形部材本体140の板厚方向他方側に位置する。
流路16は、第一スキン流路161及び第二スキン流路162を含む。このため、第一スキン流路161及び第二スキン流路162の両方には、第二押出機22から押し出された成形材料が流れる。第一スキン流路161及び第二スキン流路162は、流路16が中子17によって板厚方向一方側と板厚方向他方側に分断されることで形成されている。第一スキン流路161は、第一流路131の板厚方向一方側に位置し、第二スキン流路162は、第二流路132の板厚方向他方側に位置する。このため、第一スキン流路161は、上型11と中子17との間に位置する空間であり、第二スキン流路162は、下型12と中子17との間に位置する空間である。第一スキン流路161及び第二スキン流路162の始まりの位置は、中子17の上流側端170である。本実施形態において、第一スキン流路161は、その下流端が合流路133における押出口15よりも上流側の部位に板厚方向一方側から合流しており、また第二スキン流路162は、その下流端が合流路133における押出口15よりも上流側の部位に合流している。また合流路133と、第一スキン流路161及び第二スキン流路162との合流部は、中子17の下流側端171でもあり、合流路133における押出口15付近でもある。
本実施形態に係る中空部成形部材14は、第一の実施形態と同様の構成を有するため、中空部成形部材本体140と、中空ピン141と、ダミーピン143とを有する。
以下、上記の成形型1を備える押出成形機10を用いて、成形板を製造する方法を説明する。
まず成形材料を用意する。成形材料としては、第一の実施形態と同様の成形材料を使用することができる。成形材料に含まれる各成分の配合割合は特に限定されない。第一押出機21及び第二押出機22には、同じ配合の成形材料を投入してもよく、異なる配合の成形材料を投入してもよい。以下、第一押出機21に投入する成形材料をコア材料といい、第二押出機22に投入する成形材料をスキン材料という。
次に、第一押出機21の投入口210にコア材料を投入すると共に、第二押出機22の投入口220にスキン材料を投入する。スキン材料及びコア材料は、それぞれ、第一押出機21内に設けられたスクリュー211a(パグ)及びスクリュ−211b(オーガ)と、第二押出機22内に設けられたスクリュー221a(パグ)及びスクリュー221b(オーガ)とによって混練圧縮されながら搬送される。
次に、コア材料は第一押出機21からパイプ212を介して流路13に流入する。また、スキン材料は第二押出機22から流入口222を通って流路16に流入する。
流路13に流入したコア材料は、中空部成形部材本体140の上流側端146において、第一流路131及び第二流路132に分かれて流れる。そして、第一流路131を流れるコア材料と第二流路132を流れるコア材料は、中空部成形部材本体140の下流側端144において合流し、合流路133に流れる。これにより、合流材料が形成される。この際、第一流路131及び第二流路132を流れるコア材料は、中空ピン141を避けながら隣合う中空ピン141の基部間の部位で合流する。このため、合流材料のうち、中空ピン141が存在する部分に、中空部が形成される。
更に、流路16に流入したスキン材料は、中子17の上流側端170において、第一スキン流路161及び第二スキン流路162に分かれて流れる。そして、第一スキン流路161及び第二スキン流路162を流れるスキン材料は、中子17の下流側端171において、合流路133を流れる合流材料と合流する。詳細には、合流材料の板厚方向一方側に第一スキン流路161を流れるスキン材料が合流し、合流材料の板厚方向他方側に第二スキン流路162を流れるスキン材料が合流する。これによって、合流材料の表面が第一スキン流路161を流れるスキン材料で覆われるとともに、合流材料の裏面が第二スキン流路162を流れるスキン材料で覆われる。
次に、合流材料及びスキン材料を含む成形材料が、押出口15から押し出される。押出口15から押し出された成形材料を、任意の長さで切断することにより、未硬化の成形体(グリーンシート)が形成される。
次に、未硬化の成形体を養生して硬化させる。これにより、図6に示すような成形板100が得られる。
本実施形態では、コア材料を、このコア材料が充填されたシリンダー径が16mm且つ出口径が5mmであるシリンダー5の出口52から流出させるのに要する圧力PC[kPa]が、下記式(4)の条件を満たす。
また本実施形態では、合流路133の板厚方向の寸法L3に対する、第一流路131の板厚方向の寸法L1及び第二流路132の板厚方向の寸法L2の合計値の比LC(以下、圧縮比LCともいう)が、下記式(5)の条件を満たす。尚、寸法L3は、図9に示す合流路133の上流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L1は、図9に示す第一流路131の下流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L2は、図9に示す第二流路132の下流側端の板厚方向の寸法である。尚、寸法L3は、合流路133における中空ピン141がない部分の板厚方向の寸法を意味しており、換言すると合流路133における中空ピン141間の板厚方向の寸法を意味する。
また本実施形態では、圧力PC[kPa]と圧縮比LCとが下記式(6)の条件を満たす。
圧力PC[kPa]と圧縮比LCとが、上記式(4)乃至(6)の条件を満たすことにより、第一流路131を流れるコア材料と、第二流路132を流れるコア材料との密着性を特に向上させることができる。これにより、成形板100のコア部102における成形材料同士の剥離を生じにくくすることができる。尚、圧力PC[kPa]と圧縮比LCとが、上記式(4)乃至(6)の条件を満たすとは、図5Cに示すグラフにおいて、座標(Pc、Lc)が図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。
本実施形態では、コア材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、コア材料に含まれる水の配合割合を調整するとともに、合流路133、第一流路131及び第二流路132の板厚方向の寸法を調整することによって、圧力PC[kPa]と圧縮比LCとが、上記式(4)乃至(6)の条件を満たすようにすることができる。
更に本実施形態では、スキン材料を図5Aに示すシリンダー5に充填し、このシリンダー5の出口52からスキン材料を流出させるのに要する圧力PS[kPa]が、下記式(7)の条件を満たすことが好ましい。
また本実施形態では、図9に示す合流路133の押出口15付近の板厚方向の寸法の板厚方向の寸法L6に対する、合流路133の板厚方向の寸法L3と、第一スキン流路161の板厚方向の寸法L4と、第二スキン流路162の板厚方向の寸法L5との合計値の比LSC(以下、圧縮比LSCともいう)が、下記式(8)の条件を満たすことが好ましい。
また本実施形態では、圧力Pc[kPa]と圧縮比LSCとが下記式(9)の条件を満たすとともに、圧力PS[kPa]と圧縮比LSCとが下記式(10)の条件を満たすことが好ましい。
このように圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LSCとが、上記式(7)乃至(10)の条件を満たすことにより、合流路133を流れる合流材料(コア材料)と、第一スキン流路161を流れるスキン材料と、第二スキン流路162を流れるスキン材料との密着性を向上させることができる。これにより、成形板100のコア部102及びスキン部103におけるコア材料とスキン材料との剥離を生じにくくすることができる。尚、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LSCとが、上記式(7)乃至(10)の条件を満たすとは、図5Cに示すグラフにおいて、座標(Pc,LSC)及び座標(PS,LSC)が、いずれも図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。
本実施形態では、コア材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、コア材料に含まれる水の配合割合を調整するとともに、スキン材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、スキン材料に含まれる水の配合割合を調整し、更に合流路133、第一スキン流路161及び第二スキン流路162の板厚方向の寸法を調整することによって、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LSCとが、上記式(7)乃至(10)の条件を満たすようにすることができる。
(第三の実施形態)
第三の実施形態に係る成形板100は、第二の実施形態に係る成形板100と同様の構成を有する。また第三の実施形態に係る押出成形機10は、図8に示す成形型1に代わって図10に示す成形型1を有すること以外は、第二の実施形態に係る押出成形機10と同様の構成を有する。
図10に第三の実施形態に係る成形型1の概略の断面図を示す。この成形型1は、上型11、下型12、流路13、流路16、中空部成形部材14、及び中子17を備えるが、流路13、流路16、及び中子17の構造が異なっている。
流路13は、第一流路131及び第二流路132を含む。第一流路131及び第二流路132は、流路13が中空部成形部材14によって板厚方向一方側と板厚方向他方側とに分断されることによって形成されている。
流路16は、第一スキン流路161及び第二スキン流路162を含む。第一スキン流路161及び第二スキン流路162は、流路16が中子17によって板厚方向一方側と板厚方向他方側とに分断されることによって形成されている。
本実施形態において、第一スキン流路161はその下流端が、第一流路131に板厚方向一方側から合流しており、また第二スキン流路162はその下流端が、第二流路132に板厚方向他方側から合流している。第一流路131と第一スキン流路161との合流部には、板幅方向に延びる第一合流プレート171aが配設されている。一方、第二流路132と第二スキン流路162との合流部には、板幅方向に延びる第二合流プレート161bが配設されている。換言すると、第一流路131と第一スキン流路161とは、第一合流プレート171aの下流側端で合流し、第二流路132と第二スキン流路162とは、第二合流プレート171bの下流側端で合流している。また第一流路131と第一スキン流路161とが合流することにより第一合流路134が構成され、第二流路132と第二スキン流路162とが合流することにより第二合流路135が構成される。
そして、第一合流路134と第二合流路135とが合流することによって合流路133が構成される。第一合流路134と第二合流路135とは、中空部成形部材本体140の下流端側144で合流している。この合流路133は、押出口15まで延びている。
第一合流プレート171a及び第二合流プレート171bは、中子17に連結されている。第一合流プレート171a及び第二合流プレート171bは、同様の形状を有するが、上下逆向きに設置されている。第一合流プレート171a及び第二合流プレート171bは、下流端に向かって突出した構造を有する。
上記の成形型1を備える押出成形機10を用いて、成形板を製造する方法を説明する。
まずコア材料及びスキン材料を用意して、コア材料を第一押出機21の投入口210に投入し、スキン材料を第二押出機22の投入口220に投入する。スキン材料及びコア材料は、それぞれ、第一押出機21内に設けられたスクリュー211a及びスクリュー211bと、及び第二押出機22内に設けられたスクリュー221a及びスクリュー221bとによって混練圧縮されながら搬送される。そしてコア材料及びスキン材料は、それぞれ流路13及び流路16に流入する。
流路13に流入したコア材料は、中空部成形部材本体140の上流側端146において、第一流路131及び第二流路132に分かれて流れる。また流路16に流入したスキン材料は、中子17の上流側端170において、第一スキン流路161及び第二スキン流路162に分かれて流れる。
次に第一流路131を流れるコア材料は、第一合流プレート171aの下流側端において、第一スキン流路161を流れるスキン材料と合流して第一合流材料が形成され、第一合流路134に流れ込む。また、第二流路132を流れるコア材料は、第二合流プレート171bの下流側端において、第二スキン流路162を流れるスキン材料と合流して第二合流材料が形成され、第二合流路135に流れ込む。
第一合流材料が第一合流路134を流れるとともに、第二合流材料が第二合流路135を流れ、そして中空部成形部材本体140の下流側端144において、第一合流材料と第二合流材料とが合流して合流路133に流入する。これにより、合流材料が形成される。この際、第一合流材料に含まれるコア材料と、第二合流材料に含まれるコア材料とが、重なるようにして合流する。また、第一合流材料及び第二合流材料は、中空ピン141を避けながら、中空ピン141の基部間の部位で合流する。このため、合流材料のうち、中空ピン141が存在する部分に中空部が形成される。
次に、合流材料が合流路133を通って押出口15から押し出される。この際、コア材料の表面及び裏面がスキン材料によって覆われたままで押し出される。この合流材料を任意の長さで切断することにより、未硬化の成形体(グリーンシート)が形成される。
。
次に、未硬化の成形体を養生して硬化させる。これにより、図6に示すような成形板100が得られる。
本実施形態では、コア材料を図5Aに示すシリンダー5に充填し、このシリンダー5の出口52からコア材料を流出させるのに要する圧力PC[kPa]が、下記式(11)の条件を満たす。またスキン材料を図5Aに示すしシリンダー5に充填し、このシリンダー5の出口52からスキン材料を流出させるのに要する圧力PS[kPa]が、下記式(12)の条件を満たす。
また本実施形態では、第一合流路134の板厚方向の寸法L7に対する、第一流路131の板厚方向の寸法L1及び第二スキン流路161の板厚方向の寸法L4の合計値の比LCS1(以下、圧縮比LCS1ともいう)が、下記式(13)の条件を満たす。寸法L7は、図11に示す第一合流路134の上流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L1は、図11に示す第一流路131の下流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L4は、図11に示す第一スキン流路161の下流側端の板厚方向の寸法である。
また本実施形態では、第二合流路135の板厚方向の寸法L8に対する、第二流路132の板厚方向の寸法L2及び第二スキン流路162の板厚方向の寸法L5の合計値の圧縮比LCS2(以下、圧縮比LCS2ともいう)が、下記式(14)の条件を満たす。寸法L8は、図11に示す第二合流路135の上流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L2は、図11に示す第二流路132の下流側端の板厚方向の寸法であり、寸法L5は、図11に示す第二スキン流路162の下流側端の板厚方向の寸法である。
また本実施形態では、圧力PC[kPa]と圧縮比LCS1とが下記式(15)の条件を満たすと共に、圧力PS[kPa]と圧縮比LCS1とが下記式(16)の条件を満たす。更に本実施形態では、圧力PC[kPa]と圧縮比LCS2とが下記式(17)条件を満たすとともに、圧力PS[kPa]と圧縮比LCS2とが下記式(18)の条件を満たす。
このように圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS1とが、上記式(11)、(12)、(13)、(15)及び(16)の条件を満たすことにより、第一流路131を流れるコア材料と、第一スキン流路161を流れるスキン材料との密着性を向上させることができる。また圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS2とが、上記式(11)、(12)、(14)、(17)及び(18)の条件を満たすことにより、第二流路132を流れるコア材料と、第一スキン流路162を流れるスキン材料との密着性を向上させることができる。これにより、成形板100のコア部102とスキン部103との剥離を生じにくくすることができる。尚、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS1とが、上記式(11)、(12)、(13)、(15)及び(16)の条件を満たすとは、図5Cに示すグラフにおいて、座標(Pc,LCS1)及び座標(PS,LCS1)がいずれも図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。また圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS2とが、上記式(11)、(12)、(14)、(17)及び(18)の条件を満たすとは、図5Cに示すグラフにおいて、座標(Pc,LCS2)及び座標(PS,LCS2)がいずれも図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。
本実施形態では、コア材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、コア材料に含まれる水の配合割合を調整するとともに、スキン材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、スキン材料に含まれる水の配合割合を調整し、更に第一合流路134、第一流路131及び第一スキン流路161の板厚方向の寸法を調整することにより、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS1とが、上記式(11)、(12)、(14)、(17)及び(18)の条件を満たすようにすることができる。またコア材料に及びスキン材料の配合を調整すると共に、第二合流路135、第二流路132及び第二スキン流路162の板厚方向の寸法を調整することによって、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比LCS2とが、上記式(11)、(12)、(14)、(17)及び(18)の条件を満たすようにすることができる。
更に本実施形態では、合流路133の板厚方向の寸法L3に対する、第一合流路134の板厚方向の寸法L7及び第二合流路135の板厚方向の寸法L8の合計値の比L2CS(以下、圧縮比L2CSともいう)が、下記式(19)の条件を満たすことが好ましい。尚、寸法L3は、合流路133における中空ピン141がない部分の板厚方向の寸法を意味しており、換言すると合流路133における中空ピン141間の板厚方向の寸法を意味する。
また本実施形態では、圧力PC[kPa]と圧縮比L2CSとが下記式(20)の条件を満たすと共に、圧力PS[kPa]と圧縮比L2CSとが下記式(21)の条件を満たすことが好ましい。
このように圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比L2CSとが、上記式(11)、(12)、(19)、(20)及び(21)の条件を満たすことにより、第一合流路134を流れる第一合流材料と、第二合流路135を流れる第二合流材料との密着性を向上させることができる。この場合、第一合流材料に含まれるコア材料と、第二合流材料に含まれるコア材料との密着性を向上させることができるとともに、第一合流材料に含まれるコア材料とスキン材料との密着性、及び第二合流材料に含まれるコア材料とスキン材料との密着性を更に向上させることができる。これにより、成形板100のコア部102における剥離を抑制することができるとともに、コア部102とスキン部103との剥離も抑制することができる。尚、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比L2CSとが、上記式(11)、(12)、(19)、(20)及び(21)の条件を満たすとは、図5Cに示すグラフにおいて、座標(Pc,L2CS)及び座標(PS,L2CS)が、いずれも図5Cに示す領域内に含まれることを意味する。
本実施形態では、コア材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、コア材料に含まれる水の配合割合を調整するとともに、スキン材料に含まれる無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、及び補強繊維の種類又は配合割合、スキン材料に含まれる水の配合割合を調整し、更に第一合流路134、第二合流路135、及び合流路133の板厚方向の寸法を調整することによって、圧力Pc[kPa]と、圧力PS[kPa]と、圧縮比L2CSとが、上記式(11)、(12)、(19)、(20)及び(21)の条件を満たすようにすることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(成形材料1〜6)
無機質系主材、無機質系混和材、有機質系混和材、補強繊維、及び水を、下記の表1に示す割合で配合することで、成形材料1〜6を調製した。尚、表1中の水含有量は、成形材料中の全固形分に対する水の比率である。
そして図5Aに示すシリンダー径が16mm、出口径が5mmのシリンダーに成形材料1〜6を充填した。このシリンダーに押子を取り付て圧力を掛けることにより、シリンダー出口から成形材料を流出させた。成形材料がシリンダー出口から流出する際の押子に掛けた圧力の値を測定して、この値を成形材料の圧力P[kPa]とした。その結果を表1に示す。
(条件1〜条件30)
次に、上記第一の実施形態に係る成形型1と、この成形型1に接続された押出機20とを備える押出成形機10を用意した。この成形型1は、第一流路131、第二流路132、合流路133の板厚方向の寸法を調整できるように構成されており、成形型1における第一流路131の板厚方向の寸法L1、第二流路132の板厚方向の寸法L2、及び合流路133の板厚方向の寸法L3を調整して、L3に対する、L1とL2との合計値の比L(圧縮比L)を変化させた。
そして、この押出成形機10を使用して、成形材料1〜6から、未硬化の成形し、図1に示すような中空部101を有する板状の成形板100を製造した。この成形板100の密着性及び押出性を以下のようにして測定した。
(押出性)
成形板100を押出成形することができ、押し出された成形板100に材料切れが生じなかったものを○、成形板100を押出成形することができない、又は押し出された成形板100に材料切れが生じたものを×と評価した。
(密着性)
成形板100から縦40mm、横40mmの試験体を作製し、オートグラフを用いて試験体を上下方向に引っ張り、0.7MPa以下の力を掛けても破損が生じない試験体を○、0.7MPa未満の力を掛けた場合に破損が生じた試験体を×と評価した。
その結果を、以下の表2、3に示す。
上記の通り、成形材料の圧力Pと、成形型の圧縮比Lとが、式(1)乃至(3)を満たしている条件6〜15、17〜19、23〜24では、成形板の押出性及び密着性が優れている。これに対して、成形材料の圧力Pが式(1)を満たしていない条件1〜5、26〜30では、押出成形ができない、或いは材料切れが生じている。また成形材料の圧力Pと、成形型の圧縮比Lとが式(3)を満たしていない条件16、20〜22、25〜30では、十分な押出性または密着性が得られていない。