JP6926695B2 - 振幅変調成分の分析方法及び変調信号分析システム - Google Patents

振幅変調成分の分析方法及び変調信号分析システム Download PDF

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本発明は、振幅変調されている時系列の観測データの振幅変調成分の分析方法及び変調信号分析システムに関する。
一般的に、振幅変調されている観測データの振幅変調成分を分析する手法は、DEMON(Demodulation of Envelope On Noise)と呼ばれる。DEMONの処理対象として代表的なものは、水中または水上を航行する船舶が発する音響信号であり、このような音響信号は、船舶の発する広帯域航行雑音が、船舶のシャフトの回転によって振幅変調された状態となっていることが多い。DEMONを用いることによって、そのような船舶のシャフトレート及びブレードレートの推定が可能となる。
振幅変調を分析するシステムにおいて、音響センサによって何らかの音響信号x[t]が観測されたとする。このとき、DEMONの古典的な処理では、音響信号x[t]に対して次の手順で処理が適用される。
[DEMONの古典的な処理の流れ]
まず、観測した音響信号x[t]に対して、バンドパスフィルタh[t]を適用し、バンドパスフィルタ出力y[t]を得る。次に、バンドパスフィルタ出力y[t]を二乗し、直流成分を除去し、出力z[t]を得る。そして、出力z[t]に対してNfftのブロック長のFFT(Fast Fourier Transform)を適用し、周波数分析結果Z[k]を得る。最後に、周波数分析結果Z[k]に対して、振幅二乗、時間積分、周期周波数方向の正規化処理を適用し、狭帯域周波数の時間変化を表示する。
上記の処理の流れが、DEMONの古典的な処理の概要であり、キャリア成分に変調された信号成分の分析を行う際の代表的な方式である。しかしながら、この方法には次のような問題があった。
1つ目の問題は、バンドパスフィルタを適用する際、フィルタの通過帯域を決めるための先見情報がないことである。この処理では、振幅変調されているキャリア成分の周波数帯域のみを効果的に抽出することが望まれる。しかしながら、処理の対象としている音響信号の全帯域、あるいは、想定しているキャリア成分の周波数帯域に基づいてフィルタの通過帯域が選択されているのが実情である。したがって、従来の分析方法では、信号成分によって振幅変調されているキャリア成分の周波数帯域を効果的に抽出できていない可能性が高く、その結果、相手船舶のシャフト回転による信号成分を高い利得で抽出することができない。
2つ目の問題は、スケーリングに関するものである。上記のFFT以降の処理で得られる信号成分の大きさは、キャリア成分のパワースペクトルに依存するが、これらキャリア成分のパワーは一定であるとは限らない。このため、キャリア成分の中で、パワーの小さいキャリア成分に信号成分が振幅変調されていると、DEMONの出力における信号成分のパワーが小さくなる。また、DEMONの古典的な処理では、信号成分が存在しない周波数帯域の成分も処理に使用される。これらのことから、パワーが大きいキャリア成分及び信号成分が変調されていない広帯域雑音成分によって、信号成分のうち、キャリア成分のパワーが小さいものについては、DEMONの出力で観測されない場合もある。
このような、DEMONの古典的な処理の問題に対応するために、Cyclic Modulation Coherence(以降、「CMC」と呼ぶ)という方法が提案されている(例えば、非特許文献1)。
[CMCの処理の流れ]
(手順1)
観測した音響信号x[t]に対してブロックサイズNfftで、窓関数w[t]のFFT(1段目FFT)を適用し、式(1)により周波数分析結果X[f]を得る。
Figure 0006926695
(手順2)
周波数分析結果X[f]に対して、振幅二乗を適用し、パワースペクトルX[f]を得る。
Figure 0006926695
(手順3)
上記(手順1)及び(手順2)の処理結果を、観測した音響信号をNshiftサンプルずらしながら計算し、その結果得られたパワースペクトルX[f]を時間方向にNサンプル集めてスペクトログラムXspe[t,f]を形成する。このスペクトログラムXspe[t,f]に対して時間方向にFFT(2段目FFT)を適用し、その結果の振幅二乗を計算して周期変調スペクトルP[k,f]を得る。
Figure 0006926695
(手順4)
周期変調スペクトルP[k,f]を周期周波数k=0の値で規格化し、周期変調コヒーレンスcmc[k,f]を得る。
Figure 0006926695
(手順5)
所定の帯域[f,f]の周期変調コヒーレンスcmc[k,f]を周波数方向に帯域加算し、CMCによるDEMONの結果を得る。
このようなCMCの処理は、(手順4)において、P[k,f]をP[0,f]で規格化することにより、DEMONの古典的な処理における上述した2つ目の問題(スケーリングの問題)に対処している。また、(手順4)の結果は、奥行きを周波数f、横軸を周期周波数k、縦軸を周期変調コヒーレンスcmc[k,f]としたキャリア表示で表されるので、信号成分がどの周波数帯域に変調されているか、つまりキャリア成分がどの帯域であるかといったことが視覚的に把握できる。これにより、CMCの処理では、(手順5)において帯域加算する周波数帯域を適切に選択することができ、DEMONの古典的な処理における1つ目の問題(キャリア成分周波数の選択の問題)が解決できる。
J. Antoni et.al, "Detection of Surface Ships From Interception of Cyclostationary Signature With the Cyclic Modulation Coherence", IEEE Journal of OCEANIC ENGINEERING Vol.37, No.3, July, 2012
非特許文献1に記載されるCMCは、DEMONの古典的な処理の問題を解決する方法ではあるが、最終的なDEMONの処理結果を表示する際に問題がある。CMCの処理では、キャリア表示によって信号成分が存在する周波数帯域を把握し、帯域加算する周波数を設定することができる。しかしながら、例えば、信号成分が変調されているキャリア成分の周波数帯域が時間と共に変化する場合、あるいは、新しい信号成分が別の周波数帯域に現れる場合には、CMCの処理を用いても、適切な周波数帯域を選択することは難しい。結局、周波数方向に帯域加算する周波数帯域の設定値が固定的である分析方法では、信号成分が存在している周波数帯域と帯域加算する周波数帯域とが異なる場合があり、信号成分の抽出において高いSNR(信号雑音比)が得られないといった課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、振幅変調されている観測データの振幅変調成分を従来よりも高いSNRで抽出できる振幅変調成分の分析方法及び変調信号分析システムを提供するものである。
本発明に係る振幅変調成分の分析方法は、振幅変調された受信信号を分析する振幅変調成分の分析方法において、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算する際に、前記周期変調コヒーレンスの各周波数の出力に対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出処理と、前記ピーク検出処理によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に全帯域加算する帯域加算処理とを行う。
また、本発明に係る振幅変調成分の分析方法は、振幅変調された受信信号を分析する振幅変調成分の分析方法において、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に所定の周波数範囲で帯域加算する際に、周期変調コヒーレンスの各周波数の出力について周期周波数方向の正規化をする正規化処理と、前記正規化処理により正規化された周期変調コヒーレンスに対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出処理と、前記ピーク検出処理によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に部分帯域加算する帯域加算処理とを行う。
また、本発明に係る変調信号分析システムは、振幅変調された受信信号を分析する変調信号分析システムにおいて、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算する際に、前記周期変調コヒーレンスの各周波数の出力に対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に全帯域加算する帯域加算部とを有する。
また、本発明に係る変調信号分析システムは、振幅変調された受信信号を分析する変調信号分析システムにおいて、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に所定の周波数範囲で帯域加算する際に、周期変調コヒーレンスの各周波数の出力について周期周波数方向の正規化をする正規化部と、前記正規化部により正規化された周期変調コヒーレンスに対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に部分帯域加算する帯域加算部とを有する。
本発明に係る振幅変調成分の分析方法及び変調信号分析システムは、帯域加算するための周波数帯域の選択が容易であり、振幅変調の状態が変化する場合でも、振幅変調されている観測データの振幅変調成分を従来のDEMON処理よりも高いSNRで抽出できる。
本発明の実施の形態1における変調信号分析システムの構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における変調信号分析システムの出力と従来のシステムの出力とを比較した図であり、図2(a)は変調信号分析システムのDEMON出力、図2(b)は従来のシステムのDEMON出力、図2(c)は変調信号分析システムの最終時刻のDEMON出力、図2(d)は従来のシステムの最終時刻のDEMON出力を表す。 本発明の実施の形態1における周波数方向の帯域加算時に生じる可能性のある問題を示す図である。 本発明の実施の形態2における変調信号分析システムの構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における正規化前後の周期変調コヒーレンスを示す図であり、図5(a)は正規化前の周期変調コヒーレンス、図5(b)は正規化後の周期変調コヒーレンスを表す。 本発明の実施の形態2における変調信号分析システムの出力と従来のシステムの出力とを比較した図であり、図6(a)は変調信号分析システムのDEMON出力、図6(b)は従来のシステムのDEMON出力、図6(c)は変調信号分析システムの最終時刻のDEMON出力、図6(d)は従来のシステムの最終時刻のDEMON出力を表す。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る変調信号分析システムについて説明する。変調信号分析システム100は、入力された観測データの振幅変調成分を分析するものである。以下、観測データが音響信号である場合について説明するが、処理対象は音響信号に限定されず、時間と共に振幅が変調される観測信号であれば、どのような信号であってもよい。
図1は、本発明の実施の形態1における変調信号分析システムの構成の一例を示すブロック図である。変調信号分析システム100は、受信部1と演算処理部2と出力部3等とから構成される。受信部1は、音響センサ等で観測された音響信号を受信し、演算処理部2に送る。演算処理部2は、受信部1から音響信号を受け取ると、音響信号に対して各種演算処理を行い、処理結果を出力部3に送る。処理結果は、出力部3に、DEMON出力又はキャリア表示で出力される。
ところで、観測された音響信号すなわち振幅変調されている音響信号x[t]は、式(5)のように表わされる。
Figure 0006926695
ここで、音響信号x[t]はあるサンプリング周波数で時間方向に離散化されたものであるとし、tは時刻インデックスとする。sb[t]は、分析したい所望の成分であり、通常は狭帯域信号である(以後、「信号成分」と呼ぶ)。Nb[t]は広帯域雑音成分(以後、「キャリア成分」と呼ぶ)、mbは信号成分による振幅変調の大きさを表す係数、v[t]は海中雑音及びシステム雑音、fnは信号成分の数である。式(5)のモデルは、信号成分sb[t]によって、ある周波数特性を有したキャリア信号Nb[t]の振幅が変調されていることを表している。以降、音響信号は、全て時間方向にサンプリングされたものであるとする。
次に、変調信号分析システム100の演算処理部2が行う処理について、詳細を説明する。演算処理部2は、1段目FFT部21と、第1パワー算出部22と、2段目FFT部23と、第2パワー算出部24と、時間積分部25と、規格化部26と、ピーク検出部28と、帯域加算部29等とから構成される。
まず、1段目FFT部21は、受信部1を介して入力された音響信号x[t]に対して1段目FFTを適用する。1段目FFTを適用する際の処理パラメータとしては、ブロックサイズNfft、窓関数w[t]、ブロック処理におけるシフトサンプル数Nshiftがある。1段目FFT部21の出力は複素であるので、第1パワー算出部22は、パワー(電力)を得るために1段目FFT部21からの出力に対して振幅二乗の処理を適用する。この処理によって、周波数分析幅fs/Nfft及び処理周期Nshift/fsで、音響信号のスペクトログラムが得られる。ここで、fsは音響信号のサンプリング周波数である。
次に、このスペクトログラムの時間方向に対して、2段目FFT部23は、時間方向にブロックサイズNkの2段目FFTを適用する。この結果、スペクトログラムの各周波数のパワーが時間的にどの程度の速度で変化するかに関する情報、つまり、周期周波数の情報が得られる。2段目FFT部23からの出力は複素であるので、第2パワー算出部24は、パワー(電力)を得るために2段目FFT部23からの出力の振幅二乗値を計算する。この処理により、周期変調スペクトルが得られる。ここまでの処理は、CMCの処理と同じである。
実施の形態1では、次に、時間積分部25により、周波数−周期周波数空間の周期変調コヒーレンスに対して時間積分処理が適用される。時間積分の方式としては、移動平均、指数積分等、様々な方式が適用可能であるが、本発明の主題ではないので説明は省略する。
そして、時間積分部25からの出力値は、規格化部26により規格化される。具体的には、規格化部26は、周波数ごとに、周期周波数0Hzの周期変調スペクトルの値で、他の周期周波数の周期変調スペクトルの値を除算することによって、時間積分が適用された周期変調コヒーレンスを得る。ここでの規格化処理は、従来のCMCの処理と同じものである。
次に、ピーク検出部28は、時間積分が適用された周期変調コヒーレンスcmc[k,f]の周波数ごとの出力に対して、周期周波数方向のピークを検出し、ピークが生じている周期周波数及びピークの値を帯域加算部29に送る。そして、帯域加算部29により、ピーク部分の全帯域加算が行われる。このとき、ピークとして判断された周期変調コヒーレンスの値のみが周波数方向に帯域加算される。以上の処理により、変調信号分析システム100のDEMON出力が得られる。
次に、実施の形態1における上記の振幅変調成分の分析方法により得られる効果について説明する。時間積分された周期変調コヒーレンスの値は、信号成分のSNRによって決まる。ここで、時間積分された周期変調コヒーレンスcmc[k,f]において、周波数f0、周期周波数k0にのみ信号成分が存在し、それ以外の周波数及び周期周波数の周期変調コヒーレンスcmc[k,f]には雑音のみが含まれるとする。
まず、周波数f0、周期周波数k0の周期変調コヒーレンスcmc[k0,f0]に着目する。このとき、その両隣の周期周波数k-1及びk+1の周期変調コヒーレンスはcmc[k-1,f0]又はcmc[k+1,f0]である。周期周波数方向のピーク検出の処理では、cmc[k-1,f0]及びcmc[k+1,f0]を比較対象として、cmc[k0,f0]がピークになるかどうかを判断する。
これら3つの周期周波数の周期変調コヒーレンスcmc[k0,f0]、cmc[k-1,f0]及びcmc[k+1,f0]は、周期周波数k0に信号成分が存在し、周期周波数k-1及びk+1には雑音のみが含まれるので、この周期周波数k0の周期変調コヒーレンスcmc[k0,f0]が、周囲の周期周波数k-1及びk+1の周期変調コヒーレンスcmc[k-1,f0]及びcmc[k+1,f0]よりも平均的に大きい。したがって、信号成分が周期周波数k0の周期変調コヒーレンスcmc[k0,f0]が、ピークとして判断される。
一方で、周波数f0以外の周期変調コヒーレンスについては雑音のみが含まれるため、ピークとなる確率は、信号成分を含む場合よりも低い。したがって、周期変調コヒーレンスcmc[k,f]が雑音のみ含む場合でも、周波数方向の帯域加算に全ての出力を使用している従来のCMCと比べ、実施の形態1では、周波数方向の帯域加算の際に、雑音のみを含む部分が加算される確率が低下するため、信号成分のSNRが向上する。
図2は、本発明の実施の形態1における変調信号分析システムの出力と従来のシステムの出力とを比較した図である。図2に示す処理結果は、海中で収録された音響信号に対するものであり、この音響信号には航行船舶の航走音、つまり、振幅変調された成分が含まれている。計算に用いられた条件は、以下の通りである。
サンプリング周波数 :24kHz
ブロックサイズNfft :512
シフトサンプル数Nshift :64
窓関数w[t] :ハニング窓
ブロックサイズNk :2048
積分時間 :10秒
帯域加算の周波数 :200〜5000Hz
図2(a)は、変調信号分析システム100のDEMON出力を示す図であり、図2(b)は、従来のシステムのDEMON出力を示す図である。これらのDEMON出力は、横軸が周期周波数[Hz]、縦軸が時間[s]を表し、レベルが濃淡で表される。色が黒い部分はレベルが大きいことを示し、色が白い部分はレベルが小さいことを示している。これら2つのDEMON出力の表示レベルの範囲は同一に設定しているため、図2(a)と図2(b)との比較から、実施の形態1のDEMON出力の方が背景雑音部分の色が白く、背景雑音レベルが低下していることが確認できる。
また、図2(c)は、変調信号分析システム100のDEMON出力(最終時刻)を示す図であり、図2(d)は、従来のシステムのDEMON出力(最終時刻)を示す図である。図2(c)及び図2(d)は、各DEMON出力の最終時刻の結果について、横軸を周期周波数[Hz]、縦軸をレベル[dB]として表したものである。図2(c)と図2(d)との比較からも、実施の形態1による最終時刻のDEMON出力のほうが、雑音レベルが低下していることが確認できる。
以上のように、実施の形態1において、振幅変調成分の分析方法は、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算する際に、ピーク検出処理と帯域加算処置をと行う。ピーク検出処理は、周期変調コヒーレンスの各周波数の出力に対して、周期周波数方向のピークを検出し、帯域加算処理は、ピークとして検出された成分を周波数方向に全帯域加算する。
これにより、実施の形態1の振幅変調成分の分析方法では、従来のCMCの処理に、周期周波数方向のピーク検出の処理が追加されることで、ピーク部分の成分のみを周波数方向に帯域加算できるため、従来のCMCよりも信号成分のSNRが向上する。
また、実施の形態1の振幅変調成分の分析方法では、受信信号から周期変調コヒーレンスを算出する際に、受信信号をフーリエ変換して周期変調スペクトルを算出し、算出した周期変調スペクトルを時間積分して規格化する処理を行う。これにより、実施の形態1の分析方法では、従来のCMCの処理に、先述したピーク検出の処理と、時間積分の処理とを追加することで、従来のCMCよりも信号成分のSNRが良い処理結果を得ることができる。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、従来のCMCの処理に、時間積分の処理と、周期周波数方向のピーク検出の処理を追加し、従来のCMCよりも信号成分のSNRが向上した。しかしながら、周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算することによって最終的なDEMON出力を計算する点は、従来のCMCと同じである。このように、周期周波数方向のピーク検出の処理の有無に関わらず周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算すると、次のような問題が生じる場合がある。
図3は、本発明の実施の形態1における周波数方向の帯域加算時に生じる可能性のある問題を示す図である。図3において、奥行きは周波数f、横軸は周期周波数k、縦軸は周期変調コヒーレンスcmc[k,f]を表している。図3には、低周波の帯域の周期周波数k1に信号成分が存在し、高周波の帯域には信号成分が存在せず、高周波の帯域の周期変調コヒーレンスのほうが低周波帯域の周期変調コヒーレンスよりも大きい状態が例示されている。このような状態の場合、低周波帯域の信号成分は、周期周波数方向のピーク検出処理によって、当然のようにピークとして判断される。一方で、高周波帯域の同じ周期周波数の成分(図中、領域Aで示される)については、たとえ信号成分を含まない場合であっても、偶発的に周期変調コヒーレンスにピークが生じる可能性がある。このように、偶発的とはいえ、周期変調コヒーレンスの値が大きいが雑音しか含まない部分にピークが生じると、周波数方向の帯域加算により、他の周波数帯域に存在している微弱な信号成分がマスクされる場合がある。
実施の形態2では、図3に示す問題にも対応できる変調信号分析システム200について説明する。図4は、本発明の実施の形態2における変調信号分析システムの構成の一例を示すブロック図である。実施の形態2において、変調信号分析システム200は、実施の形態1の場合と同様に、受信部1と演算処理部102と出力部3と備える。実施の形態2において、演算処理部102は、1段目FFT部21、第1パワー算出部22、2段目FFT部23、第2パワー算出部24、時間積分部25、規格化部26、ピーク検出部28及び帯域加算部29に加え、さらに正規化部27を有している。以下、実施の形態2の変調信号分析システム200において、実施の形態1の場合と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、新たに追加された正規化部27が行う処理について説明する。
正規化部27には、周期周波数0Hzの成分で規格化された、規格化部26からの出力が入力され、正規化部27は、周期周波数方向での正規化の処理を行い、正規化した結果をピーク検出部28に送る。このとき、周期周波数方向での正規化の処理では、狭帯域信号である信号成分を抽出するために、周期変調コヒーレンスcmc[k、f]の各周波数の出力に対して、周期周波数方向での正規化を実施する。
図5に基づき、周期周波数方向の正規化の方法について説明する。図5は、本発明の実施の形態2における正規化前後の周期変調コヒーレンスを示す図であり、図5(a)は正規化前の周期変調コヒーレンス、図5(b)は正規化後の周期変調コヒーレンスを表す。また、図5(a)及び図5(b)において、横軸は周期周波数kを表している。ここでは、周波数f0の周期変調コヒーレンスcmc[k,f0]について、周期周波数方向に正規化し、正規化した周期変調コヒーレンスnorm_cmc[k,f0]を得るものとする。
まず、正規化部27は、周期変調コヒーレンスcmc[k,f0]の正規化したい周期周波数をkcとする。次に、ギャップとして幅g及び推定サンプルとして幅eを設定する。そして、正規化部27は、これらによって決まる領域R1のサンプルと領域R2のサンプルとを用いて、周期周波数kcに対する周期周波数方向の平均レベルμc及び標準偏差σcを、次のように計算する。
Figure 0006926695
Figure 0006926695
ここで、領域R1のサンプルは、cmc[kc−g−e,f0]〜cmc[kc−g−1,f0]、領域R2のサンプルは、cmc[kc+g+1,f0]〜cmc[kc+g+e,f0]である。
正規化部27は、このようにして計算した平均レベルμc及び標準偏差σcを用いて、正規化した周期変調コヒーレンスnorm_cmc[kc,f0]を以下の式で計算する。
Figure 0006926695
ここでの説明は、周期周波数kcに対するものであるが、周期周波数を変えながら同じの処理を適用することによって、図5(b)に示すような、正規化した周期変調コヒーレンスnorm_cmc[k,f0]が得られる。また、他の周波数の周期変調コヒーレンスに対しても同じ処理を適用することによって、全ての周波数及び周期周波数に対する、正規化した周期変調コヒーレンスnorm_cmc[k,f]を得ることができる。なお、周期周波数方向の正規化の方式としては、上述した方法以外に、OTAやTPM等のような一般的な方法を用いることもできる。
次に、実施の形態2における振幅変調成分の分析方法により得られる効果について説明する。図6は、本発明の実施の形態2における変調信号分析システムの出力と従来のシステムの出力とを比較した図である。図6(a)は、変調信号分析システム200のDEMON出力を示し、図6(b)は、従来のシステムのDEMON出力を示す図である。横軸は周期周波数、縦軸は時間を表し、レベルが濃淡で表される。また、図6(c)は、変調信号分析システム200の最終時刻のDEMON出力を示し、図6(d)は従来のシステムの最終時刻のDEMON出力を示す図である。横軸は周期周波数を表し、縦軸はレベルを表している。
処理対象となる音響信号には、図2の場合と同様の信号を使用し、また、ブロックサイズNfft等の処理パラメータは、実施の形態1の場合と同じである。実施の形態2では、周期周波数方向の正規化処理によって、変調信号分析システム200のDEMON出力のレベルが、従来のCMC及び実施の形態1の出力と比べてオフセットされているため、図6において実施の形態2の処理結果を示す際に、表示レベルの範囲を他の処理の結果と揃えている。
図6に示すように、実施の形態2では、従来のCMC及び実施の形態1では検出できなかった新たな信号成分が検出されると共に、実施の形態1で検出されていた信号成分についても、より明瞭に見えるようになった。
以上のように、実施の形態2において振幅変調成分の分析方法は、周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に所定の周波数範囲で帯域加算する際に、正規化処理と、ピーク検出処理と、帯域加算処置とを行う。正規化処理は、周期変調コヒーレンスの各周波数の出力について周期周波数方向の正規化を行い、ピーク検出処理は、正規化処理により正規化された周期変調コヒーレンスに対して、周期周波数方向のピークを検出する。帯域加算処置は、ピーク検出処理によりピークとして検出された成分を、周波数方向に部分帯域加算する。
これにより、実施の形態2では、周期周波数方向の正規化の処理を用いて狭帯域成分が抽出されることにより、周期変調コヒーレンスの値が、周期変調コヒーレンスにおけるSNRへ変換される。したがって、図3に示したような、周期変調コヒーレンスのフロアレベルが周波数によって異なる場合でも、全周波数帯域に渡ってほぼ同等のフロアレベルとなり、周波数方向の帯域加算を行っても微弱な信号成分がマスクされることが抑制される。この結果、実施の形態2では、実施の形態1よりも信号成分のSNRが向上する。
1 受信部、2,102 演算処理部、3 出力部、21 1段目FFT部、22 第1パワー算出部、23 2段目FFT部、24 第2パワー算出部、25 時間積分部、26 規格化部、27 正規化部、28 ピーク検出部、29 帯域加算部、100,200 変調信号分析システム。

Claims (5)

  1. 振幅変調された受信信号を分析する振幅変調成分の分析方法において、
    周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算する際に、
    前記周期変調コヒーレンスの各周波数の出力に対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出処理と、
    前記ピーク検出処理によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に全帯域加算する帯域加算処理と
    を行う振幅変調成分の分析方法。
  2. 振幅変調された受信信号を分析する振幅変調成分の分析方法において、
    周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に所定の周波数範囲で帯域加算する際に、
    周期変調コヒーレンスの各周波数の出力について周期周波数方向の正規化をする正規化処理と、
    前記正規化処理により正規化された周期変調コヒーレンスに対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出処理と、
    前記ピーク検出処理によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に部分帯域加算する帯域加算処理と
    を行う振幅変調成分の分析方法。
  3. 前記受信信号から前記周期変調コヒーレンスを算出する際に、
    前記受信信号をフーリエ変換して周期変調スペクトルを算出し、算出した前記周期変調スペクトルを時間積分して規格化する処理を行う請求項1又は2に記載の振幅変調成分の分析方法。
  4. 振幅変調された受信信号を分析する変調信号分析システムにおいて、
    周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に帯域加算する際に、
    前記周期変調コヒーレンスの各周波数の出力に対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出部と、
    前記ピーク検出部によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に全帯域加算する帯域加算部と
    を有する変調信号分析システム。
  5. 振幅変調された受信信号を分析する変調信号分析システムにおいて、
    周波数−周期周波数領域の周期変調コヒーレンスを周波数方向に所定の周波数範囲で帯域加算する際に、
    周期変調コヒーレンスの各周波数の出力について周期周波数方向の正規化をする正規化部と、
    前記正規化部により正規化された周期変調コヒーレンスに対して、周期周波数方向のピークを検出するピーク検出部と、
    前記ピーク検出部によりピークとして検出された成分のみを、周波数方向に部分帯域加算する帯域加算部と
    を有する変調信号分析システム。
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