JP6926566B2 - ポリイミドフィルムとハードコート層とを含む積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドフィルムと、このポリイミドフィルムの上に形成されたハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高い積層体に関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの分野で広く使用されてきた。一方、近年、高度情報化社会の到来に伴い、光通信分野の光ファイバーや光導波路等、表示装置分野の液晶配向膜やカラーフィルター用保護膜等の光学材料の開発が進んでいる。特に表示装置分野で、ガラス基板の代替として軽量でフレキシブル性に優れたプラスチック基板の検討や、曲げたり丸めたりすることが可能なディスプレイの開発が盛んに行われている。また、ディスプレイ表示面を保護するカバーガラスの代替としてプラスチック製のカバーシートの検討も行われている。このため、その様な用途に用いることができる、より高性能の光学材料が求められている。
芳香族ポリイミドは、分子内共役や電荷移動錯体の形成により、本質的に黄褐色に着色する。このため着色を抑制する手段として、例えば分子内へのフッ素原子の導入、主鎖への屈曲性の付与、側鎖として嵩高い基の導入などによって、分子内共役や電荷移動錯体の形成を阻害して、透明性を発現させる方法が提案されている。
また、原理的に電荷移動錯体を形成しない半脂環式または全脂環式ポリイミドを用いることにより透明性を発現させる方法も提案されている。
例えば、特許文献1には、テトラカルボン酸成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)及び4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)と、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(H−PMDA)を用い、ジアミン成分として、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用いたポリイミド前駆体から得られるポリイミドフィルムが開示されている。特許文献2には、テトラカルボン酸成分として、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミン成分として、2,2'−ジメチルベンジジンを用いたポリイミドからなるフィルムが開示されている。
ポリイミドフィルムは種々の用途に用いられているが、用途によっては、例えば、ディスプレイ表示面を保護するカバーシートに用いる場合には、表面の耐擦傷性を向上するために、ポリイミドフィルムの上にハードコート層が設けられる。
例えば、特許文献3には、テトラカルボン酸成分として、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミン成分として、2,2’−ジメチルベンジジン(2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル)と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを用いたポリイミド樹脂と、シリカ微粒子とを含有するポリイミド樹脂組成物からなるポリイミドフィルムの表面にハードコート層が形成されてなる、ハードコート積層フィルムが開示されている。特許文献3の実施例5には、シリカ微粒子を添加していない、上記のポリイミド樹脂からなるポリイミドフィルムの表面にハードコート層を形成した、ハードコート積層フィルムも記載されている。
特開2014−139302号公報 特開2006−83209号公報 国際公開第2016/060213号
上記のように、用途によっては、ポリイミドフィルムの上にハードコート層が設けられるが、このハードコート層には、その形成目的から、より高い硬度が求められる。
本発明は、ポリイミドフィルムとハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高い積層体を提供することを目的とする。また、本発明は、ポリイミドフィルムとハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高く、且つ、透明性にも優れた積層体を提供することも目的とする。
本発明は、以下の各項に関する。
1. ポリイミドフィルムとハードコート層とを含む積層体であって、
前記ポリイミドフィルムを構成するポリイミドが、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2)で表される繰り返し単位を含み、
下記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、下記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合が、合計で、50モル%以上であることを特徴とする積層体。
(ただし、化学式(1)は、化学式(1−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式であり、化学式(2)は、化学式(2−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式である。)
Figure 0006926566
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2. 前記ポリイミドフィルムを構成するポリイミドが、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合が、合計で、75モル%以上であることを特徴とする前記項1に記載の積層体。
3. 前記ハードコート層表面の鉛筆硬度が、2H以上であることを特徴とする前記項1または2に記載の積層体。
4. 前記ポリイミドフィルムの表面の鉛筆硬度が、B以上であることを特徴とする前記項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
5. 前記ハードコート層が、硬化性樹脂成分、または、少なくとも硬化性樹脂成分と無機フィラーを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されていることを特徴とする前記項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
6. 下記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2)で表される繰り返し単位を含み、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、下記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合が、合計で、50モル%以上であるポリイミドのフィルムの上に、少なくとも硬化性樹脂成分を含む硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、
前記硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化して、ハードコート層を形成する工程と
を有することを特徴とする積層体の製造方法。
(ただし、化学式(1)は、化学式(1−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式であり、化学式(2)は、化学式(2−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式である。)
Figure 0006926566
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7. 前記硬化性樹脂組成物が、さらに、無機フィラーを含むことを特徴とする前記項6に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、ポリイミドフィルムとハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高い積層体を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、ポリイミドフィルムとハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高く、且つ、透明性にも優れた積層体を提供することができる。例えば、ディスプレイ表示面を保護するカバーシートには高い透明性が必要であるが、本発明の一態様によれば、このディスプレイ表示面のカバーシート(保護フィルム)として好適に用いることができるポリイミドフィルム/ハードコート層積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、ポリイミドフィルムと、その上に形成されているハードコート層とを有する。ハードコート層は、ポリイミドフィルムの表面上に直接設けられていても、または、プライマー層などの他の層を介して設けられていてもよい。ハードコート層は、用途によって、ポリイミドフィルムの片面のみに形成されていても、または両面に形成されていてもよい。また、ハードコート層は、ポリイミドフィルムの片側または両側の全表面に形成されていても、表面の一部にのみ形成されていてもよい。さらに、本発明の積層体は、ポリイミドフィルム、またはハードコート層上に他の層が形成、または積層されたものも含み、また、ポリイミドフィルムを用いて半完成品を製造した後に、そのポリイミドフィルムの上にハードコート層を形成したものも含む。本発明の積層体は、表面にハードコート層が形成されたポリイミドフィルムとしての形態(フィルム製品として流通する形態)に加えて、例えば電子製品、光学製品、ディスプレイ製品などの製品(部品、製造途中の半完成品等を含む)の中に存在する形態等も含む。
<<ポリイミドフィルム>>
本発明において用いるポリイミドフィルムを構成するポリイミド(本発明のポリイミドとも言う。)は、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2)で表される繰り返し単位を含み、この化学式(1)で表される繰り返し単位および/または化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、下記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または下記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合が、合計で、50モル%以上であるポリイミドである。ただし、ここで、化学式(1)は、化学式(1−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式であり、化学式(2)は、化学式(2−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式である。
Figure 0006926566
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ここで、前記化学式(1)、および前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位を与えるジアミン成分は、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(2,2’−ジメチルベンジジン)であり、前記化学式(2)、および前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位を与えるジアミン成分は、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである。一方、前記化学式(1)で表される繰り返し単位、および前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分は、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等(テトラカルボン酸類等とは、テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を表す)であり、そのうち、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位、および前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分は、1R,2S,4S,5R−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等である。
換言すれば、本発明のポリイミドは、1R,2S,4S,5R−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等の割合が50モル%以上である1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等を含むテトラカルボン酸成分と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルおよび/または2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含むジアミン成分から得られるポリイミドである。なお、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等(テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を含む)は、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
以下に示すように、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等には、6種類の立体異性体が存在する。(4価のシクロヘキサン基の部分の立体構造のみ示す。)
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通常、テトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸類等)の立体構造は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドにおいても保持される。前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位を含むポリイミドのフィルムとハードコート層とを含む積層体において、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等の6種類の立体異性体のうち、前記(B)で表される立体構造を有する1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等、すなわち1R,2S,4S,5R−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等を50モル%以上、他の立体異性体を50モル%以下で使用することにより、すなわち、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合を50モル%以上にすることにより、得られるポリイミドフィルムの表面硬度、および、得られる積層体のハードコート層表面の硬度を向上させることができる。
前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合は、合計で、70モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることがより好ましく、78モル%以上であることが特に好ましい。
なお、本発明のポリイミドが前記化学式(1)で表される繰り返し単位と前記化学式(2)で表される繰り返し単位の両方を含むものである場合、前記化学式(1)で表される繰り返し単位100モル%中の前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位の割合と、前記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中の前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位の割合とは異なっていてもよい。
1R,2S,4S,5R−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等の合成方法は、特に限定されないが、例えば、特開2009−286706号公報に記載の方法等がある。
前記化学式(1)で表される繰り返し単位(前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位も含む)および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位(前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位も含む)の合計含有量は、全繰り返し単位に対して、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが特に好ましい。
本発明のポリイミドは、前記化学式(1)で表される繰り返し単位または前記化学式(2)で表される繰り返し単位のいずれか一方のみを含むものであってもよいが、前記化学式(1)で表される繰り返し単位と前記化学式(2)で表される繰り返し単位の両方を含むものであることが好ましい。前記化学式(1)で表される繰り返し単位と前記化学式(2)で表される繰り返し単位の割合は特に限定されないが、前記化学式(1)で表される繰り返し単位が30〜90モル%、前記化学式(2)で表される繰り返し単位が70〜10モル%であることが好ましく、前記化学式(1)で表される繰り返し単位が40〜80モル%、前記化学式(2)で表される繰り返し単位が60〜20モル%であることがより好ましい。
本発明のポリイミドは、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および前記化学式(2)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位の1種以上を含むものであってもよい。
他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、特に限定されず、他の芳香族テトラカルボン酸類、脂肪族テトラカルボン酸類、または脂環族テトラカルボン酸類いずれも使用することができる。例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、および、これらのテトラカルボン酸の誘導体(テトラカルボン酸二無水物など)などが挙げられる。これらのテトラカルボン酸成分は、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、組み合わせるジアミン成分が前記化学式(1)で表される繰り返し単位および前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるジアミン成分[2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン]でない場合、他の繰り返し単位のテトラカルボン酸成分は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等]であってもよい。
他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、特に限定されず、他の芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、または脂環族ジアミン類いずれも使用することができる。例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、p−フェニレンビス(p−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジカルボキシレート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル ビス(4−アミノベンゾエート)、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,3−ジアミノシクロブタン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノビシクロヘプタン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、ジアミノオキシビシクロヘプタン、ジアミノメチルオキシビシクロヘプタン、イソホロンジアミン、ジアミノトリシクロデカン、ジアミノメチルトリシクロデカン、ビス(アミノシクロへキシル)メタン、ビス(アミノシクロヘキシル)イソプロピリデン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンなどが挙げられる。これらのジアミン成分は、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、組み合わせるテトラカルボン酸成分が前記化学式(1)で表される繰り返し単位および前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸類等]でない場合、他の繰り返し単位のジアミン成分は、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および前記化学式(2)で表される繰り返し単位を与えるジアミン成分[2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン]であってもよい。
ポリイミドフィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。ただし、本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
まず、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させてポリイミド前駆体を合成し、ポリイミド前駆体の溶液(ポリイミド前駆体組成物)を得る。ポリイミド前駆体は、1)ポリアミド酸(または、ポリアミック酸とも呼ばれる)、2)ポリアミド酸エステル(ポリアミド酸のカルボキシル基のHの少なくとも一部がアルキル基)、3)4)ポリアミド酸シリルエステル(ポリアミド酸のカルボキシル基のHの少なくとも一部がアルキルシリル基)に分類することができる。ポリイミド前駆体は、この分類ごとに、以下の製造方法により容易に製造することができる。
1)ポリアミド酸
本発明のポリイミド前駆体は、溶媒中でテトラカルボン酸成分としてのテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを略等モル、好ましくはテトラカルボン酸成分に対するジアミン成分のモル比[ジアミン成分のモル数/テトラカルボン酸成分のモル数]が好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05の割合で、例えば120℃以下の比較的低温度でイミド化を抑制しながら反応することによって、ポリイミド前駆体溶液組成物として好適に得ることができる。
限定するものではないが、より具体的には、有機溶剤にジアミンを溶解し、この溶液に攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。上記製造方法でのジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序は、ポリイミド前駆体の分子量が上がりやすいため、好ましい。また、上記製造方法のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序を逆にすることも可能であり、析出物が低減することから、好ましい。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比がジアミン成分過剰である場合、必要に応じて、ジアミン成分の過剰モル数に略相当する量のカルボン酸誘導体を添加し、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比を略当量に近づけることができる。ここでのカルボン酸誘導体としては、実質的にポリイミド前駆体溶液の粘度を増加させない、つまり実質的に分子鎖延長に関与しないテトラカルボン酸、もしくは末端停止剤として機能するトリカルボン酸とその無水物、ジカルボン酸とその無水物などが好適である。
2)ポリアミド酸エステル
テトラカルボン酸二無水物を任意のアルコールと反応させ、ジエステルジカルボン酸を得た後、塩素化試薬(チオニルクロライド、オキサリルクロライドなど)と反応させ、ジエステルジカルボン酸クロライドを得る。このジエステルジカルボン酸クロライドとジアミンを−20〜120℃、好ましくは−5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。また、ジエステルジカルボン酸とジアミンを、リン系縮合剤や、カルボジイミド縮合剤などを用いて脱水縮合することでも、簡便にポリイミド前駆体が得られる。
3)ポリアミド酸シリルエステル(間接法)
あらかじめ、ジアミンとシリル化剤を反応させ、シリル化されたジアミンを得る。必要に応じて、蒸留等により、シリル化されたジアミンの精製を行う。そして、脱水された溶剤中にシリル化されたジアミンを溶解させておき、攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
4)ポリアミド酸シリルエステル(直接法)
1)の方法で得られたポリアミド酸溶液とシリル化剤を混合し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
3)の方法、及び4)の方法で用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたジアミン、または、シリル化されたポリアミド酸、もしくは、得られたポリイミドを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
また、3)の方法のジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。この触媒はポリイミド前駆体の重合触媒として、そのまま使用することができる。
前記製造方法は、いずれも有機溶媒中で好適に行なうことができるので、その結果として、ポリイミド前駆体を含む溶液または溶液組成物(ポリイミド前駆体組成物)を容易に得ることができる。
ポリイミド前駆体を調製する際に使用する溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミドが好ましいが、原料モノマー成分と生成するポリイミド前駆体が溶解すれば、どんな種類の溶媒であっても問題はなく使用できるので、特にその構造には限定されない。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。なお、溶媒は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明で用いるポリイミド前駆体組成物において、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量は、溶媒とテトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量に対して、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上の割合であることが好適である。なお、通常は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量は、溶媒とテトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量に対して、60質量%以下、好ましくは50質量%以下であることが好適である。この濃度は、ポリイミド前駆体に起因する固形分濃度にほぼ近似される濃度であるが、この濃度が低すぎると、例えばポリイミドフィルムを製造する際に得られるポリイミドフィルムの膜厚の制御が難しくなることがある。
本発明において用いるポリイミド前駆体組成物は、必要に応じて、イミド化促進触媒(イミダゾール系化合物など)、化学イミド化剤(無水酢酸などの酸無水物や、ピリジン、イソキノリンなどのアミン化合物)、酸化防止剤、フィラー(シリカ等の無機粒子など)、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)、剥離剤などを添加することができる。
また、本発明において用いるポリイミド前駆体組成物は、イミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物を含むことが好ましいことがある。イミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物の含有量は、合計で、ポリイミド前駆体の繰り返し単位1モルに対して4モル未満、より好ましくは0.05モル以上1モル以下であることが好ましい。
イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾールなどが挙げられる。トリアルキルアミン化合物としては、特に限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物およびトリアルキルアミン化合物は、1種を単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
イミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物を含むポリイミド前駆体組成物は、前記製造方法により得られるポリイミド前駆体溶液または溶液組成物にイミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物を加えて調製することができる。また、溶媒にテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物等)とジアミン成分とイミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物を加え、イミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物の存在下で、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて、ポリイミド前駆体とイミダゾール系化合物および/またはトリアルキルアミン化合物とを含むポリイミド前駆体組成物を得ることもできる。
次いで、ポリイミド前駆体と溶媒とを含むポリイミド前駆体組成物を、例えばセラミック(ガラス、シリコン、アルミナなど)、金属(銅、アルミニウム、ステンレスなど)、耐熱プラスチックフィルム(ポリイミドフィルムなど)等の基材に流延し、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用いて、20〜180℃、好ましくは20〜150℃の温度範囲で乾燥する。次いで、得られたポリイミド前駆体フィルムを基材上で、もしくはポリイミド前駆体フィルムを基材上から剥離し、そのフィルムの端部を固定した状態で、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用い、例えば200〜500℃、より好ましくは250〜450℃程度の温度で加熱イミド化することでポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを製造することができる。ポリイミド前駆体フィルムを基材上で加熱イミド化してポリイミドフィルム/基材積層体を得た後、ポリイミドフィルムを基材上から剥離して、ポリイミドフィルムを得ることもできる。なお、得られるポリイミドフィルムが酸化劣化するのを防ぐため、加熱イミド化は、真空中、或いは不活性ガス中で行うことが望ましい。加熱イミド化の温度が高すぎなければ空気中で行なっても差し支えない。
また、ポリイミド前駆体のイミド化反応は、前記のような加熱処理による加熱イミド化に代えて、ポリイミド前駆体をピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬するなどの化学的処理によって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめ、ポリイミド前駆体組成物中に投入・攪拌し、それを基材上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリイミド前駆体を作製することもでき、得られた部分的にイミド化したポリイミド前駆体フィルムを基材上で、もしくはポリイミド前駆体フィルムを基材上から剥離し、そのフィルムの端部を固定した状態で、更に前記のような加熱処理することで、ポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明において用いるポリイミドフィルムの厚さは、用途にもよるが、通常、好ましくは0.1μm〜250μm、より好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μmである。ディスプレイ用途等、ポリイミドフィルムを光が透過する用途に使用する場合、ポリイミドフィルムが厚すぎると光透過率が低くなる恐れがあり、薄すぎると機械的特性が低下してフィルムとして好適に用いることができなくなる恐れがある。また、カバーシートとして用いる場合、ポリイミドフィルムが薄いと、耐衝撃性が低くなり、内部のデバイス保護を十分にはできなくなることがある。
なお、本発明において用いるポリイミドフィルムは、シリカ等の無機粒子、有機粒子(フィラー)や、その他の添加剤を含有してもよい。
本発明において用いるポリイミドフィルムの鉛筆硬度は、特に限定されないが、好ましくはB以上、より好ましくはHB以上、さらに好ましくはF以上であることが好ましい。
<<プライマー層>>
本発明の積層体においては、ハードコート層をポリイミドフィルムの表面上に直接形成してもよいが、例えば、ポリイミドフィルムの表面上にプライマー層を形成し、その上にハードコート層を形成してもよい。プライマー層は、必要に応じて、ポリイミドフィルムとハードコート層との密着性を向上させるために、あるいは、耐候性、耐衝撃性、または意匠性を向上させるために設けることができる。
プライマー層を形成する材料は、特に限定されず、一般に使用されているものいずれも使用することができる。
プライマー層は、例えば、硬化性樹脂成分(モノマーやオリゴマー含む)を含有するプライマー組成物の硬化物で形成される。プライマー層の硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
プライマー組成物は、必要に応じて、硬化性樹脂成分の他に、溶媒と、硬化剤(光または熱重合開始剤)とを含有する。また、プライマー組成物は、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、増感剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、レべリング材、つや消し材、帯電防止剤、防曇剤、可塑剤、滑剤、撥水剤等が挙げられる。
プライマー層は、例えば、上記のような硬化性樹脂成分と、必要により溶媒と硬化剤(光または熱重合開始剤)等とを含有するプライマー組成物をポリイミドフィルムの表面に塗布し、必要により溶媒を乾燥して除去した後、硬化して形成することができる。硬化は、例えば、光照射または加熱処理によって行われる。光硬化の場合、硬化させる際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。熱硬化の場合、硬化させる際の加熱処理温度は、特に限定されないが、通常、80〜200℃程度である。また、光照射と加熱処理の両方を行って、プライマー組成物を硬化してもよい。
プライマー層を形成する材料(プライマー組成物)としては、市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、宇部興産株式会社製 UVPUD(ウレタン樹脂/アクリル樹脂ブレンド)、大成ファインケミカル社製 8SQ(シロキサン架橋型シリコーン変性アクリルポリマー〔アクリルポリマー側鎖にアルコキシシリル基〕)、大成ファインケミカル社製 8UA(ウレタン変性アクリルポリマー〔アクリルの側鎖がウレタン〕)、Moment社製 SHP401(ポリメタクリル酸メチル溶液(1−メトキシ−2−プロパノール,ジアセトンアルコール)等が挙げられる。
プライマー層の厚さは、特に限定されないが、通常、5nm〜20μm程度であり、好ましくは10nm〜10μmである。プライマー層の厚さが厚くなると、その上にハードコート層を形成したときに、表面の硬度が不足する場合がある。
<<ハードコート層>>
本発明において、ハードコート層は、ポリイミドフィルム上に直接、または、プライマー層などを介して形成される。
本発明のハードコート層は、有機材料(硬化樹脂)、無機材料、有機−無機ハイブリッド型材料(無機材料を含む硬化樹脂等)等で形成することができる。その形成方法は、それぞれの材料に合わせて選択することができる。
本発明において、ハードコート層は、硬化性樹脂成分、または、少なくとも硬化性樹脂成分と無機フィラーを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されていることが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、少なくとも硬化性樹脂成分を含有し、光や熱によって硬化して硬化物(重合物、架橋物)となるものである。硬化性樹脂組成物は、必要により硬化剤(架橋剤、光または熱重合開始剤、共反応剤)を含有する。硬化性樹脂組成物は、無機フィラーを含むことも好ましい。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。また、必要により溶媒を含んでいてもよい。本明細書において、硬化性樹脂組成物は、各成分が混合された液状のもの、塗布された液膜状のもの、溶媒が除去されたが最終硬化されていない膜状のもの等、最終硬化処理を受けていないものを含む。
光硬化性を有する硬化性樹脂は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものが挙げられる。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。具体的な光硬化性樹脂成分としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリレート系プレポリマー、光硬化性を有するポリマー等が挙げられる。多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび(メタ)アクリレート系プレポリマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。硬化性樹脂組成物(光硬化性の場合)を硬化させる際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
熱硬化性を有する熱硬化性樹脂は、熱硬化性官能基を少なくとも1つ有するものである。硬化性樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いる場合、使用し得る熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、シアネート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル樹脂(熱硬化性PPE)、ホルムアルデヒド系樹脂、不飽和ポリエステルまたはこれらの共重合体等が挙げられる。
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、ベーマイト、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、ベーマイト、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が好ましく、シリカ、酸化チタンおよび酸化ジルコニウムがさらに好ましい。また、無機フィラーは、表面修飾されていることが好ましいことがある。このような特に好ましい無機フィラーとして、反応性シリカを例示することができる。
本明細書において「反応性シリカ」とは、光硬化性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子である。上記光硬化性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(反応性シリカ)は、例えば、通常、平均粒径0.5〜500nm程度、好ましくは平均粒径1〜200nmのシリカ微粒子表面のシラノール基に、当該シラノール基と反応し得る官能基および(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。
本実施形態において用いる無機フィラーは、平均粒径が1〜200nmであることが好ましく、10〜200nmであることが特に好ましく、20〜200nmであることがさらに好ましい。無機フィラーの平均粒径が1nm以上であることで、硬化性樹脂組成物を硬化させたハードコート層が、より高い表面硬度を有するものとなる。また、無機フィラーの平均粒径が200nm以下であると、得られるハードコート層において光の散乱が発生しにくくなり、ハードコート層の透明性が高くなる。
ハードコート層における無機フィラーの含有量は、ハードコート層に対して10〜85体積%であることが好ましく、20〜80体積%であることがより好ましく、40〜70体積%であることがさらに好ましく、45〜65体積%であることが特に好ましい。無機フィラーの含有量が10体積%以上であることで、ハードコート層に付与される表面硬度がより高いものとなる。一方、無機フィラーの含有量が85体積%以下であることで、ハードコート層の形成が容易になる。
硬化性樹脂組成物は、前述した成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、有機系充填材、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されたハードコート層は、例えば、上記のような少なくとも硬化性樹脂成分を含む硬化性樹脂組成物をポリイミドフィルムの表面に(ポリイミドフィルムの表面にプライマー層などを形成した場合は、その表面に)塗布し、必要により溶媒を乾燥して除去した後、硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化して形成することができる。硬化は、例えば、光照射または加熱処理によって行われる。また、光照射と加熱処理の両方を行って、硬化性樹脂組成物を硬化してもよい。
ハードコート層の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜50μmであり、好ましくは5〜40μmである。ハードコート層の厚さが1μm以上であることで、本発明の積層体に十分な表面硬度が付与される。一方、ハードコート層の厚さが50μm以下であることで、本発明の積層体が耐屈曲性に優れ、取り扱いが容易になるほか、積層体が不要に厚くなったり、製造コストが増加したりするのを防止することができる。
<<積層体>>
以上のように、ポリイミドフィルムの上にハードコート層を形成することで、本発明の積層体を製造することができる。
本発明の積層体におけるハードコート層表面の鉛筆硬度は、特に限定されないが、好ましくは2H以上であることが好ましい。
特にディスプレイ用途などの積層体を光が透過する用途に使用する場合、ポリイミドフィルム/ハードコート層積層体は透明性が高い方が望ましい。本発明の積層体のYI(黄色度)は、特に限定されないが、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下であることができる。
本発明の積層体のヘイズは、特に限定されないが、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1%未満であることができる。例えばディスプレイ用途で使用する場合、ヘイズが3%を超えて高いと、光が散乱して画像がぼやけることがある。
本発明の積層体は、表面硬度が高く、且つ、透明性にも優れており、例えば、ディスプレイ表示面のカバーシート(保護フィルム)に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例において評価は次の方法で行った。
<ポリイミドフィルムの評価>
[鉛筆硬度]
JIS K5600−5−4に準じて、ポリイミドフィルムの鉛筆硬度の測定を行った。荷重は750gとした。
<ポリイミドフィルム/ハードコート積層体の評価>
[YI(黄色度)]
ASTM E313に準じて、ポリイミドフィルム/ハードコート積層体のYIの測定を行った。
[ヘイズ]
濁度計/NDH2000(日本電色工業製)を用いて、JIS K7136の規格に準拠して、ポリイミドフィルム/ハードコート積層体のヘイズを測定した。
[鉛筆硬度]
JIS K5600−5−4に準じて、ポリイミドフィルム/ハードコート積層体の鉛筆硬度の測定を行った。荷重は750gとした。
以下の各例で使用した原材料の略称等は、次のとおりである。
[ジアミン成分]
m−TD:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
[テトラカルボン酸成分]
PMDA−H:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
PMDA−HS:1R,2S,4S,5R−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
PMDA−H−1:PMDA−H100モル%中、PMDA−HSの割合が79.4モル%であるPMDA−Hの立体異性体の混合体。
PMDA−H−2:PMDA−H100モル%中、PMDA−HSの割合が0.69モル%であるPMDA−Hの立体異性体の混合体。
なお、実施例、比較例で使用したテトラカルボン酸成分のPMDA−H−1およびPMDA−H−2のPMDA−HSの含有率は、ガスクロマトグラフィー分析により確認した。
[イミダゾール化合物]
1,2−DMz:1,2−ジメチルイミダゾール
[溶媒]
DMAc: N,N−ジメチルアセトアミド
表1に実施例、比較例で使用したテトラカルボン酸成分およびジアミン成分の構造式を記す。
Figure 0006926566
〔実施例1〕
窒素ガスで置換した反応容器中にm−TD 1.70g(8ミリモル)とTFMB 0.64g(2ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 18質量%となる量の20.87gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にPMDA−H−1(PMDA−HSの割合:79.4モル%) 2.24g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、その後、1,2−ジメチルイミダゾール 0.19gとDMAc 0.19gの混合溶液を反応容器に加え、室温で30分間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミド前駆体の繰り返し単位1モルに対して、1,2−ジメチルイミダゾールは0.2モルである。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液を宇部興産株式会社製のポリイミドフィルム、ユーピレックス(登録商標)−125S(以後、「125S」と記載)に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのまま125S上で室温から260℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/125S積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルムを125Sから剥離し、膜厚が50μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
得られたポリイミドフィルムに、ハードコート塗料(藤倉化成製 FUJIHARD(登録商標) HO3313U−8)を、乾燥後のハードコート層の膜厚が約10μmになるように、バーコーターで塗工した。次いで、80℃で10分乾燥させ、高圧水銀ランプを用いて積算光量が1000mJ/cmになるように紫外線を照射し、ポリイミドフィルム/ハードコート積層体を得た。
このポリイミドフィルム/ハードコート積層体の特性を測定した結果を表2に示す。
〔比較例1〕
窒素ガスで置換した反応容器中にm−TD 1.70g(8ミリモル)とTFMB 0.64g(2ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 22質量%となる量の16.24gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にPMDA−H−2(PMDA−HSの割合:0.69モル%) 2.24g(10ミリモル)を徐々に加えた。室温で12時間撹拌し、その後、1,2−ジメチルイミダゾール 0.19gとDMAc 0.19gの混合溶液を反応容器に加え、室温で30分間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。仕込み量から計算すると、ポリイミド前駆体の繰り返し単位1モルに対して、1,2−ジメチルイミダゾールは0.2モルである。
このポリイミド前駆体溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行い、膜厚が50μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
さらに、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルム/ハードコート積層体を得た。
このポリイミドフィルム/ハードコート積層体の特性を測定した結果を表2に示す。
Figure 0006926566
テトラカルボン酸成分としてPMDA−HSの割合が79.4モル%と高いPMDA−H−1を用いた実施例1のポリイミドフィルムは、PMDA−HSの割合が0.69モル%で、PMDA−HSをほとんど含まないPMDA−H−2を用いた比較例1のポリイミドフィルムと比較して表面硬度が高く、ポリイミドフィルム上にハードコート層を形成して得られる積層体のハードコート層表面の硬度も高いことが分かる。
本発明によれば、ポリイミドフィルムと、このポリイミドフィルム上に形成されたハードコート層とを含み、ハードコート層表面の硬度が高く、透明性にも優れた積層体を提供することができる。この積層体は、例えば、ディスプレイ表示面のカバーシート(保護フィルム)に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. ポリイミドフィルムとハードコート層とを含む積層体であって、
    前記ポリイミドフィルムを構成するポリイミドが、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位を含み、
    下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、下記式(10)の構造が下記式(11)の構造である繰り返し単位の割合が、合計で、50モル%以上であることを特徴とする積層体。
    (ただし、化学式(1)は、化学式(1−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式であり、化学式(2)は、化学式(2−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式である。)
    Figure 0006926566
    Figure 0006926566
    Figure 0006926566
  2. 前記ポリイミドフィルムを構成するポリイミドが、前記化学式(1)で表される繰り返し単位および/または前記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、前記式(10)の構造が前記式(11)の構造である繰り返し単位の割合が、合計で、75モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ハードコート層表面の鉛筆硬度が、2H以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記ポリイミドフィルムの表面の鉛筆硬度が、B以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記ハードコート層が、硬化性樹脂成分、または、少なくとも硬化性樹脂成分と無機フィラーを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位を含み、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位100モル%中、下記式(10)の構造が下記式(11)の構造である繰り返し単位の割合が、合計で、50モル%以上であるポリイミドのフィルムの上に、少なくとも硬化性樹脂成分を含む硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、
    前記硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化して、ハードコート層を形成する工程と
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
    (ただし、化学式(1)は、化学式(1−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式であり、化学式(2)は、化学式(2−1)と、それ以外の立体異性体の全てを含む化学式である。)
    Figure 0006926566
    Figure 0006926566
    Figure 0006926566
  7. 前記硬化性樹脂組成物が、さらに、無機フィラーを含むことを特徴とする請求項6に記載の積層体の製造方法。
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