以下、本発明のいくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
各実施形態においては、減圧弁の一例として、真水や海水などの液体が流れる流路に設けられる減圧弁を開示する。ただし、本実施形態に係る減圧弁と同様の構造は、ガスなどの気体や液体と気体が混ざりあった混相流が流れる流路に設けられる減圧弁にも適用することができる。減圧弁は、ホース同士を接続するための媒介金具である。減圧弁は、他種のホース敷設ラインなどに用いられる媒介金具として使用することも可能である。また、媒介金具としてホースとホースの間だけでなく、ホースと他の機器類との間にも使用することができる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る減圧弁100の概略的な部分断面図である。図2は、図1におけるII−II線に沿う減圧弁100の概略的な断面図である。図に示した矢印Aは、流体の流れ方向を示している。
減圧弁100は、第1軸X1を中心とした円筒状の第1管体11と、第2軸X2を中心とした円筒状の第2管体12とを有する本体1を備えている。第2管体12は、第1管体11の側面に設けられた開口Oを介して第1管体11と接続されている。第1管体11の第1軸X1と第2管体12の第2軸X2は交差しており、図1においては第1軸X1と第2軸X2が直交している。
第1管体11の内部には第1流路110が形成され、第2管体12の内部には第2流路120が形成されている。第2流路120は、第1流路110と接続されている。第1管体11と第2管体12の内径は等しくてもよいし、第1管体11の内径が第2管体12の内径よりも大きくてもよいし、第1管体11の内径が第2管体12の内径よりも小さくてもよい。第1管体11および第2管体12は、第1軸X1および第2軸X2に沿って一様な径で延びているが、径が異なる部分を有してもよい。
ここで、第1軸X1と平行な方向を軸方向Dx1と定義し、第2軸X2と平行な方向を軸方向Dx2と定義する。また、第1軸X1を中心として第1軸X1から遠ざかる方向を半径方向Dr1と定義する。図1においては、半径方向Dr1と軸方向Dx2が平行である。
第1管体11は、軸方向Dx1において端部11aおよび端部11bを有している。第1管体11の端部11aには、接続具11Aが設けられている。端部11bの内周面には、後述する調整部材3と接続するための第1ねじ部S1が設けられている。第2管体12は、軸方向Dx2において第1管体11と接続された端部12aおよび端部12aと反対側の端部12bを有している。第2管体12の端部12bには、接続具12Aが設けられている。
接続具11A,12Aには、様々な形状を適用することができる。接続具11A,12Aが例えば雌雄の区別のない同一の構造であれば、同形状の接続対象に解除可能に接続することが可能である。接続具11A,12Aは、雌雄の区別のある構造であってもよい。
本体1は、第1管体11と第2管体12が一体で形成されてもよいし、別部材からなる集合体であってもよい。第1管体11を流れる流体の流れ方向は、軸方向Dx1の端部11a側から端部11b側に向かう方向と一致しており、第2管体12を流れる流体の流れは、軸方向Dx2の端部12a側から端部12b側に向かう方向と一致している。
減圧弁100は、第1管体11の内部に設けられた弁体2をさらに備えている。弁体2は、第1軸X1に沿って軸方向Dx1に移動可能となるように第1流路110に設けられている。弁体2は、軸方向Dx1に延びる円柱状であり、端部11a側の受圧面21と、受圧面21と反対側の付勢面22と、外周面23とを有している。図1において、弁体2の軸は、第1軸X1と一致している。受圧面21および付勢面22は、第1軸X1と直交した面であり、受圧面21と付勢面22の面積は等しい。弁体2の外周面23と第1管体11の内周面の間には、隙間が形成されてもよい。
弁体2は、第1管体11に形成されている第1流路110を受圧面21側の第1部分P1と第1部分P1と反対側の第2部分P2とに隔てている。図1において、第1部分P1は端部11a側に位置し、第2部分P2は端部11b側に位置している。
受圧面21には、第1流路110の第1部分P1を流れる流体の動圧が作用する。受圧面21に第1流路110を流れる流体の動圧が作用することで、弁体2は軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動する。
弁体2は、図1および図2に示すように外周面23により開口Oを塞ぐことができる。図2において図中左方が端部11a側であり、図中右方が端部11b側である。開口Oのうち弁体2の外周面23により塞がれていない部分を連通部C1とし、弁体2の外周面23により塞がれている部分を閉塞部B1とする。連通部C1は、第1部分P1と第2流路120とを連通している。第1部分P1を流れる流体は、連通部C1を通過し第2流路120に流入する。第1部分P1を流れる流体の動圧が受圧面21に作用していない状態において、弁体2の外周面23は開口Oの少なくとも一部を塞ぐ。また、減圧弁100は、開口O以外に流路が変化する部分を有していない。
弁体2は軸方向Dx1に移動可能に設けられているため、弁体2の第1流路110における位置に応じて連通部C1および閉塞部B1の大きさは変化する。弁体2が端部11a側に移動すると連通部C1は縮小し、弁体2が端部11b側に移動すると連通部C1は拡大する。弁体2が軸方向Dx1に移動していない状態において、開口Oは連通部C1を有しており、受圧面21は開口Oのうち最も端部11a側に近い部分T1と一致していない。この場合、開口Oは弁体2の外周面23によりすべて塞がれていない。弁体2の外周面23により開口Oがすべて塞がれた場合には、後述する導圧管4の影響により弁体2の軸方向Dx1における移動が制限される。
受圧面21が開口Oのうち最も端部11b側に近い部分T2と一致する場合には、開口Oには弁体2の外周面23により塞がれている部分がないため、開口Oと連通部C1が一致する。この場合、連通部C1が最大となり、開口Oは閉塞部B1を有さない。受圧面21が第2軸X2と一致する場合には、受圧面21が開口Oの中心に位置するため、連通部C1と閉塞部B1は等しくなる。弁体2の軸方向Dx1における移動範囲は、上述した例より狭くてもよいし、広くてもよい。
減圧弁100は、弁体2を付勢する付勢部材E1をさらに備えている。付勢部材E1は、第1管体11の第2部分P2に設けられている。付勢部材E1は、弁体2の付勢面22と接する第1端部Eaと、第1端部Eaと反対側の第2端部Ebとを有している。第2端部Ebは、後述する調整部材3と接している。図1において、付勢部材E1は軸方向Dx1に延びている。付勢部材E1は、端部11b側から端部11aに向けて弁体2の付勢面22を付勢する。付勢部材E1は、例えばコイルばねである。付勢部材E1は、コイルばね以外にもゴムなどの弾性体で形成することもできる。
減圧弁100は、調整部材3をさらに備えている。調整部材3は、第1管体11の端部11bに設けられている。調整部材3は、軸方向Dx1に延びる円柱状であり、付勢部材E1の第2端部Ebと接する端面31と、端面31の反対側の端面32とを有している。調整部材3の軸は、第1軸X1と一致している。つまり、第1管体11、弁体2、付勢部材E1、および調整部材3の軸は、第1軸X1と一致している。調整部材3は、外周面に第1ねじ部S1に対応する第2ねじ部S2を有している。図1において、第1ねじ部S1は雌ねじであり、第2ねじ部S2は雄ねじである。第1ねじ部S1が雄ねじであり、第2ねじ部S2が雌ねじとなるように調整部材3が構成されてもよい。
調整部材3は、第1ねじ部S1と第2ねじ部S2とを接続することで本体1に回動自在に設けられている。調整部材3は、例えば第1管体11に着脱可能に設けられている。調整部材3と第1管体11との間は図示しないシール部材等により端部11bの開口を通じて外部に流体が流出しないようにシールされ、端部11bの開口は調整部材3により閉塞されている。調整部材3を回動させることで、調整部材3は軸方向Dx1に移動可能である。調整部材3を軸方向Dx1に移動させると、端面31に接している付勢部材E1の第2端部Ebが、調整部材3とともに軸方向Dx1に移動する。調整部材3は、軸方向Dx1における第2端部Ebの位置を調整することができる。調整部材3は、減圧弁100に流体が流れている状態のみならず、流体が流れていない状態においても回動させることができる。
調整部材3は、例えば第2端部Ebの位置を調整することで連通部C1の大きさ(開度)を変化させることができる。調整部材3を回動させ軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に移動させると、付勢部材E1の第2端部Ebが第1端部Eaに向かって移動する。第2端部Ebが第1端部Eaに向かって移動すると、付勢部材E1が弁体2の付勢面22を軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に向けて付勢する。付勢部材E1に付勢されることで弁体2が端部11b側から端部11a側に移動する。この結果、連通部C1は縮小する。調整部材3を回動させ軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動させた場合には、連通部C1は拡大する。
調整部材3は、第1管体11から取り外すことができるため、第1管体11から調整部材3を取り外すことで生じる端部11bの開口を通じて付勢部材E1は交換可能である。減圧弁100は、異なる付勢力を有する付勢部材E1に交換することで付勢部材E1が弁体2を付勢する付勢力を変更することができる。
本体1は、第1部分P1と第2部分P2とを接続する導圧管4を有している。導圧管4は、第1管体の端部11a側に設けられた接続口J1に接続された管体41と、端部11b側に設けられた接続口J2に接続された管体42と、管体41と管体42とを接続する管体43とを有している。管体41,42は、半径方向Dr1に突出しており、管体43は、軸方向Dx1において第1管体11に沿って延びている。導圧管4は、管体41,42,43を有しているが、鋼管等を折り曲げて形成されてもよい。
本体1は、第2部分P2内の流体を排出するための排出口5を第2部分P2に有している。排出口5から排出される流体には、第2部分P2の液体や気体が含まれる。例えば、導圧管4を通じて第1部分P1から第2部分P2に第1部分P1を流れる液体を送液する場合、排出口5を通じて第2部分P2の気体を排出口5から外部に排出することで、第2部分P2を液体で満たすことができる。
例えば減圧弁100が設置される設置面に対して排出口5を設置面と反対側の第1管体11の外周面(設置面に対して上方)に設けることで、第2部分P2内の気体が排出口5から効率的に外部に排出され、第2部分P2を液体で満たすことができる。排出口5を接続口J2から離れた位置に設けることで、第2部分P2に液体が流入する際に気体を効率的に外部へ排出することができる。排出口5には、例えば排出口5を閉止するためのプラグやバルブ、逆止弁などが設けられている。
減圧弁100の各部は、例えば金属材料で形成することができる。ただし、減圧弁100は、樹脂などの非金属材料で形成された部材を含んでもよい。弁体2は、例えば樹脂で形成されてもよい。第1管体11および第2管体12の形状は円筒状であるが、図1に示した例に限られず、第1管体11および第2管体12の形状には種々の形状を適用することができる。第1管体11の形状に応じて弁体2の形状には種々の形状を適用することができる。第1管体11および第2管体12の口径は、一例としては100mmである。第1管体11および第2管体12の口径は、100mmよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
減圧弁100内の流体の流れについて説明する。流体は、接続具11Aを通じて端部11aから減圧弁100に流入する。減圧弁100に流入した流体は、第1流路110の第1部分P1、連通部C1、および第2流路120の順に減圧弁100内を流れる。第2流路120を流れる流体は、端部12bから接続具12Aを通じて外部に流出する。第1部分P1を流れる流体の流れは、軸方向Dx1の端部11aから端部11bに向かう方向と一致する。第2流路120の流体の流れは、軸方向Dx2の端部12aから端部12bに向かう方向と一致する。減圧弁100において、端部11aが流体の入口側であり、端部12bが流体の出口側である。
第1部分P1と第2部分P2は導圧管4により接続されているため、第1部分P1を流れる流体は、導圧管4を通じて第2部分P2に流入する。第1部分P1を流れる流体が第1管体11の内周面と弁体2の外周面23の間を通じて第2部分P2に移動してもよい。
減圧弁100に流体が送液されている場合の軸方向Dx1における弁体2の移動について説明する。減圧弁100に流体が送液されている場合、第1部分P1、第2部分P2、および第2流路120は流体で満たされている。この場合、弁体2には、軸方向Dx1において端部11a側から受圧面21に向けて第1部分P1を流れる流体の動圧と静圧が作用し、端部11b側から付勢面22に向けて第2部分P2の流体の静圧と付勢部材E1の付勢力が作用している。静圧とは、配管内の流体が持つ圧力のことである。図1のように、第1管体11の第1軸X1と第2管体12の第2軸X2が交差する構造であって、弁体2が第1管体11に設けられている場合には、受圧面21が第2流路120を流れる流体の影響を受けないため、第2管体12に形成されている第2流路120を流れる流体は、弁体2の軸方向Dx1における移動に影響を与えない。
第1部分P1を流れる流体は導圧管4を通じて第2部分P2に流入するため、第1部分P1と第2部分P2の流体の静圧は等しい。弁体2には、第1部分P1を流れる流体の静圧と第2部分P2の流体の静圧が軸方向Dx1においてそれぞれ双方向から作用している。受圧面21と付勢面22の面積は等しいため、弁体2に作用している軸方向Dx1における第1部分P1および第2部分P2の流体の静圧の影響は互いに打ち消される。第1部分P1および第2部分P2の流体の静圧は、弁体2の軸方向Dx1における移動に影響をほとんど与えない。第1流路110の流体の静圧が与える影響は、導圧管4によりキャンセルされているといえる。
この場合、弁体2は、端部11a側から受圧面21に向けて作用している第1部分P1を流れる流体の動圧により軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動し、端部11b側から付勢面22に向けて作用している付勢部材E1の付勢力により軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に移動する。例えば、減圧弁100に流入する流体の流量が増加し、受圧面21に作用する第1部分P1を流れる流体の動圧が増加すると、弁体2は、付勢面22に作用する付勢部材E1の付勢力に抗して軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動する。
弁体2の軸方向Dx1における移動は、第1部分P1を流れる流体の動圧に対して付勢部材E1の付勢力を調整することで制御できるため、導圧管4により弁体2への流体の静圧が与える影響をキャンセルしない場合と比較して、弁体2の制御は容易に行うことができる。第1部分P1を流れる流体の動圧に対して付勢部材E1の付勢力を調整すればよいため、導圧管4により弁体2への静圧の影響をキャンセルしない場合と比較して、付勢部材E1の付勢力は小さくてよい。
図3乃至図5は、第1実施形態に係る減圧弁100内の弁体2の動きを示す模式図である。図3乃至図5は、減圧弁100を流れる流体の流量が増加することによって、弁体2が軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側(流体の流れ方向)に移動している状態を示している。各図に示した矢印Aは、流体の流れ方向を示している。
図3は、弁体2が第1部分P1を流れる流体の動圧により軸方向Dx1に移動していない状態を示している。弁体2が軸方向Dx1に移動していない状態において、開口Oは連通部C1を有している。減圧弁100を流体が流れる場合、第1部分P1を流れる流体の動圧が受圧面21に作用する。第1部分P1を流れる流体の流量が少ない場合、受圧面21に作用する流体の動圧は小さい。受圧面21に作用する流体の動圧が付勢面22に作用する付勢部材E1の付勢力よりも小さい場合、弁体2は軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動しない。弁体2が軸方向Dx1に移動していない状態において開口Oが連通部C1を有するように弁体2を第1管体11に設けることで、第1部分P1から第2流路120に流体が流れる。
図3において第1部分P1を流れる流体が連通部C1を通じて第2流路120に流入する際に流体が通過する流路は、連通部C1において縮小している。そのため、第1部分P1から連通部C1を通過する際の圧力損失によって、流体が減圧される。つまり、第1部分P1を流れる流体は、第1部分P1から連通部C1を通過し減圧され、第2流路120へ流入する。この結果、第1部分P1と第2流路120を流れる流体間で第1部分P1から連通部C1を通過する際の圧力損失の影響により圧力の差(差圧)が発生する。
図3の状態から第1部分P1を流れる流体の流量が増加すると、受圧面21に作用する流体の動圧が増加し、弁体2が付勢部材E1の付勢力に抗して軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動する。これにより、図4に示すように連通部C1は、図3の状態よりも拡大する。一方、閉塞部B1は、図3の状態よりも縮小する。
図4において第1部分P1を流れる流体が連通部C1を通じて第2流路120に流入する際に流体が通過する流路は連通部C1において縮小しているが、図3の状態と比べ連通部C1が拡大しているため、流体が通過する流路の縮小幅は図3の状態よりも小さくなる。そのため、流体が連通部C1を通過する際の圧力損失は、図3の状態と比較すると小さくなる。つまり、流体が減圧弁100を通過した際の減圧効果は、図3の状態と比較すると低くなる。
図4の状態から第1部分P1を流れる流体の流量がさらに増加すると、受圧面21に作用する流体の動圧が増加し、弁体2が付勢部材E1の付勢力に抗して軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側にさらに移動する。これにより、図5に示すように連通部C1は、図4の状態よりもさらに拡大する。一方、閉塞部B1は、図4の状態よりも縮小する。連通部C1が拡大することで、流体が通過する流路の縮小幅は図4の状態よりも小さくなる。そのため、流体が連通部C1を通過する際の圧力損失は、図4の状態と比較するとさらに小さくなる。つまり、流体が減圧弁100を通過した際の減圧効果は、図4の状態と比較するとさらに低くなる。
図5に示す例においては、受圧面21が開口Oのうち最も端部11b側に近い部分T2と一致する位置まで移動している。開口Oには弁体2の外周面23により塞がれている部分がないため、開口Oと連通部C1が一致する。この場合、連通部C1が最大となる。
弁体2の移動は、受圧面21が開口Oのうち最も端部11b側に近い部分T2と一致する位置までであることが好ましい。弁体2が最も端部11b側に移動した場合、弁体2の外周面23は接続口J2や排出口5を塞がない。導圧管4は、弁体2の位置にかかわらず、第1部分P1と第2部分P2とを接続している。
なお、軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側への弁体2の移動を制限するために、本体1は止め具Gをさらに有してもよい。止め具Gは、例えば第1管体11の内周面のうち付勢面22側の少なくとも一部に第1軸X1に向かって突出するように設けられた突出部である。
止め具Gが第1管体11の内周面から第1軸X1に突出するように設けられていることで、弁体2が軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側へ移動する際に止め具Gと付勢面22が接触するため、弁体2の軸方向Dx1における移動を止め具Gにより制限することができる。止め具Gは、第1管体11に着脱可能に取り付けられてもよい。
また、第1部分P1を流れる流体の流量が減少した場合には、受圧面21に作用する流体の動圧が減少するため、弁体2は付勢面22に作用している付勢部材E1の付勢力により軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に移動する。これにより、連通部C1は縮小することになる。連通部C1は、第1部分P1を流れる流体の流量に応じて変化する。減圧弁100は、開口O以外に流路が変化する部分を有していない。そのため、端部11aから減圧弁100に流入する流体の流量が増加すれば、端部12bから流出する流体の流量は増加し、端部11aから減圧弁100に流入する流体の流量が減少すれば、端部12bから流出する流体の流量は減少する。
以上の通り、減圧弁100においては、第1部分P1を流れる流体の流量が増加するに従い弁体2の受圧面21に作用する動圧が増加することで、弁体2が付勢部材E1の付勢力に抗して軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動し、連通部C1が拡大する。連通部C1が拡大することで、減圧弁100の減圧効果は低くなる。
図6は、第1実施形態に係る減圧弁100の設置状況の一例を示した図である。図に示した矢印Aは、流体の流れ方向を示している。図6に示すように減圧弁100は、例えば減圧弁100が設置される現場において可撓性を有するホースH1,H2と接続される。ホースH1,H2は、減圧弁100と接続される側の端部に接続具11A,12Aと接続可能な接続具11B,12Bをそれぞれ有している。
上述したように接続具11B,12Bは、例えば接続具11A,12Aと雌雄の区別のない同一の構造を有している。減圧弁100は、一次側(入口側)配管であるホースH1が有する接続具11Bと接続具11Aを介して接続され、二次側(出口側)配管であるホースH2が有する接続具12Bと接続具12Aを介して接続されている。ホースH1内の流体は、接続具11Aを通じて第1管体11に流入し、第2管体12から接続具12Aを通じてホースH2へ流出する。
以上説明した第1実施形態によれば、配管内の流量に応じた減圧効果を発揮する減圧弁100を提供することができる。つまり、以上のような構成を有する減圧弁100であれば、流量が少ないときに高く、流量が増加すると低くなる減圧効果を発揮することができる。
減圧弁100が導圧管4を備えることで、第1流路110の流体の静圧は、弁体2の軸方向Dx1における移動に影響をほとんど与えない。弁体2の軸方向Dx1における端部11a側から端部11b側への移動には、第1部分P1を流れる流体の動圧のみが影響するため、第1部分P1を流れる流体の動圧に対して付勢部材E1の付勢力を調整することで第1部分P1と第2流路120を流れる流体間に大きな差圧を発生させることができる。弁体2の軸方向Dx1における移動は、第1部分P1を流れる流体の動圧に対して付勢部材E1の付勢力を調整することで制御できるため、導圧管4により弁体2への流体の静圧が与える影響をキャンセルしない場合と比較して、弁体2の制御は容易に行うことができる。
減圧弁100は、調整部材3によって連通部C1の大きさ(開度)を調整したり、付勢部材E1を交換することで付勢部材E1の付勢力を調整したりすることで、連通部C1を通過する際の圧力損失の調整が可能であるため、第1部分P1と第2流路120を流れる流体間で発生する差圧の範囲を幅広く設定することができる。減圧弁100は、本体1の交換など構造を大きく変更することなく、減圧効果を変更することができる。これにより、使用現場に適した減圧効果を有する減圧弁100を実現することが可能であり、減圧弁100の適用範囲は広くなる。
減圧弁100は、電気的制御を使用しない制御機構のため、構造がシンプルであり、使用方法も簡便である。また、減圧弁100はホース間やホースと他の機器との間に設置することでき、着脱可能な接続具と組み合わせることで媒介金具として使用できる。減圧弁100は、例えば海水利用型消防水利システム、自動調圧装置付き消防ポンプ車、石油備蓄基地大容量泡消火システム、原子力施設における代替注水ライン、ITO/AI等による自動送水制御ライン、およびその他流体移送自動制御ライン等の分野に利用することが可能である。
第1実施形態の変形例の一例として、例えば第1管体11の内周面のうち受圧面21側の少なくとも一部に第1軸X1に向かって突出する突出部を設けてもよい。突出部を設けることで弁体2が軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側へ移動する際に突出部と受圧面21が接触するため、弁体2の軸方向Dx1における移動を突出部により制限することができる。
弁体2の軸方向Dx1における移動が制限されている場合、調整部材3は、第2端部Ebの位置を調整することで付勢部材E1が弁体2を付勢する付勢力を変化させることができる。調整部材3を回動させ軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に移動させると、付勢部材E1の第2端部Ebが第1端部Eaに向かって移動する。第2端部Ebが第1端部Eaに向かって移動すると、付勢部材E1が弁体2の付勢面22を軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に向けて付勢する。
このとき、上述の突出部により弁体2が移動できない場合、付勢部材E1は弁体2の付勢面22と調整部材3の端面31との間で圧縮される。この結果、付勢部材E1の弁体2を付勢する付勢力は増加する。この場合、調整部材3によって付勢部材E1の付勢力を調整することで、第1部分P1と第2流路120を流れる流体間で発生する差圧の範囲を幅広く設定することができる。
第1実施形態の変形例の一例として、減圧弁100が導圧管4を備えていない場合、弁体2への流体の静圧が与える影響がキャンセルされないため、弁体2が軸方向Dx1に移動していない状態において、受圧面21が開口Oのうち最も端部11a側に近い部分T1と一致してもよい。
第1実施形態において、弁体2は減圧弁100に流体が流れていない状態において開口Oが連通部C1を有するように第1管体11の内部に設けられているが、弁体2は減圧弁100に流体が流れていない状態において開口Oをすべて塞ぐように第1管体11の内部に設けられてもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図7は、第2実施形態に係る減圧弁200の概略的な部分断面図である。減圧弁200は、第1管体11の内部に導圧管7を有する弁体6を備えている。第2実施形態においては、導圧管7が弁体6と一体となっている点で第1実施形態と相違する。
弁体6は、軸方向Dx1に移動可能となるように第1流路110に設けられている。弁体6は、軸方向Dx1に延びる円柱状であり、端部11a側の受圧面61と、受圧面61と反対側の付勢面62と、外周面63とを有している。弁体6は、軸方向Dx1において弁体6の軸と一致する位置に、受圧面61と付勢面62との間を貫通する貫通部6oをさらに有している。受圧面61および付勢面62は、第1軸X1と直交した面であり、受圧面61と付勢面62の面積は等しい。
導圧管7は、第1部分P1と第2部分P2とを接続している。導圧管7は、第1部分P1に突出する突出部分71を有するように貫通部6oに挿入されている。導圧管7の軸方向Dx1の長さは、弁体6の軸方向Dx1の長さよりも長い。導圧管7の突出部分71と反対側の端面は、付勢面62と一致している。図7において、第1軸X1と弁体6の軸は一致しているため、第1軸X1と導圧管7の軸は一致する。導圧管7および貫通部6oは、弁体6の軸とずらして弁体6に設けられてもよい。
導圧管7は、突出部分71の先端に設けられた遮蔽部材72と、突出部分71の外周面に設けられた孔7aと、突出部分71と反対側の端部に設けられた孔7bを有している。第1部分P1を流れる流体は、孔7aから導圧管7に流入し、孔7bから第2部分P2に流出する。第1部分P1を流れる流体は、導圧管7が遮蔽部材72を有するため軸方向Dx1に沿って導圧管7に流入しない。第1部分P1を流れる流体は、突出部分71の外周面に設けられた孔7aから導圧管7に流入するため、第2部分P2の流体は第1部分P1を流れる流体の動圧の影響を受けにくい。図7において、孔7aは突出部分71の第2流路120側の外周面に設けられているため、第2部分P2の流体は第1部分P1を流れる流体の動圧の影響をより受けにくくなる。
第1部分P1を流れる流体は導圧管7を通じて第2部分P2に流入するため、第1部分P1と第2部分P2の流体の静圧は等しい。弁体6には、第1部分P1を流れる流体の静圧と第2部分P2の流体の静圧が軸方向Dx1においてそれぞれ双方向から作用している。第1部分P1と第2部分P2の流体の静圧は等しく、受圧面61と付勢面62の面積も等しいため、弁体6に作用している軸方向Dx1における第1部分P1および第2部分P2の流体の静圧の影響は互いに打ち消される。第1部分P1および第2部分P2の流体の静圧は、弁体6の軸方向Dx1における移動に影響をほとんど与えない。第1流路110の流体の静圧が与える影響は、導圧管7によりキャンセルされているといえる。
この場合、弁体6は、端部11a側から受圧面61に向けて作用している第1部分P1を流れる流体の動圧により軸方向Dx1において端部11a側から端部11b側に移動し、端部11b側から付勢面62に向けて作用している付勢部材E1の付勢力により軸方向Dx1において端部11b側から端部11a側に移動する。
第2実施形態に係る減圧弁200においては、第1管体11の内部に導圧管7が弁体6と一体として設けられている。このような構成であれば、第1部分P1を流れる流体のうち受圧面61付近の流体が導圧管7を通じて第2部分P2に流入するため、減圧弁200においては、受圧面61に作用する流体の静圧と付勢面62に作用する流体の静圧を第1実施形態と比較してより等しくすることができる。この結果、第1部分P1および第2部分P2の流体の静圧が弁体6の軸方向Dx1における移動に与える影響をさらに小さくすることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図8は、第3実施形態に係る減圧弁300の概略的な部分断面図である。減圧弁300は、第1軸X1を中心とした円筒状の第1管体11と、第2軸X2を中心とした円筒状の第2管体82とを有する本体8を備えている。第2管体82は、第1管体11の側面に設けられた開口Oを介して第1管体11と接続されている。第2管体82の内部には第2流路820が形成されている。第2管体82は、軸方向Dx2において第1管体11と接続された端部82aおよび端部82aと反対側の端部82bを有している。第2管体82の端部82bには、接続具12Aが設けられている。
第1管体11の第1軸X1と第2管体82の第2軸X2は交差している。図8において、第1管体11から第2管体82に向けて反時計回りの方向に第1軸X1と第2軸X2がなす角度αは鋭角(0°<α<90°)である。角度αは、鋭角に限られず、鈍角(90°<α<180°)であってもよい。
減圧弁300は、第1管体11の内部に設けられた弁体9を備えている。弁体9は、軸方向Dx1に移動可能となるように第1流路110に設けられている。弁体9は、軸方向Dx1に延びる円柱状であり、端部11a側の受圧面91と、受圧面91と反対側の付勢面92と、外周面93とを有している。
図8において、弁体9の軸は、第1軸X1と一致している。受圧面91は、第1軸X1に対して傾斜する傾斜面91aと、第1軸X1に対して垂直な垂直面91bとを有している。図8において、第1管体11から第2管体82に向けて反時計回りの方向に第1軸X1と傾斜面91aがなす角度βは鋭角(0°<β<90°)である。角度βは、鋭角に限られず、鈍角(90°<β<180°)であってもよい。受圧面91が垂直面91bを有さず、傾斜面91aのみを有してもよい。図8において、角度αは角度βよりも小さい。この関係に限られず、角度αは角度βよりも大きくてもよいし、角度αと角度βは等しくてもよい。
角度αが鋭角の場合、第1部分P1から第2流路820への流体の流れ方向は、角度αが直角の場合と比較して緩やかに変化するため、第1部分P1を流れる流体が連通部C1を通じて第2流路820に流入する際の抵抗は小さくなる。角度αが鋭角であれば、流体が連通部C1を通過する際の圧力損失は角度αが直角の場合と比較して小さくなるため、流体が減圧弁300を通過した際の減圧効果を低くすることができる。一方、角度αが鈍角の場合、第1部分P1から第2流路820への流体の流れ方向は、角度αが直角の場合と比較して急激に変化するため、第1部分P1を流れる流体が連通部C1を通じて第2流路820に流入する際の抵抗は大きくなる。角度αが鈍角であれば、流体が連通部C1を通過する際の圧力損失は角度αが直角の場合と比較して大きくなるため、流体が減圧弁300を通過した際の減圧効果を高くすることができる。
角度βが鋭角の場合、受圧面91は第1部分P1を流れる流体の動圧の影響を受けにくいため、弁体9を制御する際における付勢部材E1の付勢力は、受圧面91が傾斜面91aを有さない場合と比較して小さくなる。第1部分P1を流れる流体は、傾斜面91aに沿って第2流路820へ流入することができる。角度βが鋭角であれば、受圧面91が動圧の影響を受けにくいため、減圧弁300を流れる流体の流量が多い場合であっても、付勢部材E1の付勢力を小さくすることができる。
角度βが鈍角の場合、受圧面91は第1部分P1を流れる流体の動圧の影響を受けやすいため、弁体9を制御する際における付勢部材E1の付勢力は、受圧面91が傾斜面91aを有さない場合と比較して大きくなる。角度βが鈍角であれば、受圧面91が動圧の影響を受けやすいため、減圧弁300を流れる流体の流量が少ない場合であっても、弁体9を制御することができる。
第3実施形態に係る減圧弁300においては、調整部材3によって連通部C1の大きさ(開度)や付勢部材E1の付勢力を調整するだけでなく、角度αおよび角度βを調整することでも流体が減圧弁300を通過した際の減圧効果を調整することができる。
第3実施形態の受圧面91の形状は、第1実施形態および第2実施形態にも適用することができる。また、第3実施形態の第2管体82の形状は、第1実施形態および第2実施形態にも適用することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。第4実施形態や後述する第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。
図9は、第4実施形態に係る減圧弁400の概略的な断面図である。減圧弁400は、本体13と、第1接続具14Aと、第2接続具14Bと、導圧管16と、弁部15とを備えている。本体13は、筒体131と、第1取付部132Aと、第2取付部132Bとを有している。筒体131は、軸AXに沿って延びる円筒状である。ただし、本体13の形状は、円筒状に限られない。本体13の内部には、流路Fが形成されている。
本体13は、内部に後述する受圧面157aの周縁部と向かい合う対向面133を有している。対向面133は、筒体131の内周面から延び、軸AXと直交する面である。本体13は、筒体131の軸AXと交差する軸を有する他の筒体を有していない。図9において、対向面133は、第1取付部132Aの内面の一部である。対向面133には、軸AX周りに後述する第1流路F1と同径の流路が形成されている。
ここで、軸AXに沿い、かつ第1取付部132Aから第2取付部132Bに向かう方向を軸方向X、軸方向Xと反対方向を軸方向Y、軸AXを中心として軸AXから遠ざかる方向を半径方向Rと定義する。図9に示した矢印Aは、流体の流れ方向を示しており、軸方向Xと一致している。
第1取付部132Aは、筒体131の一次側(入口側)端部に設けられている。第2取付部132Bは、筒体131の二次側(出口側)端部に設けられている。筒体131、第1取付部132A、および第2取付部132Bは、一体物であっても、別部材からなる集合体であってもよい。図9においては、筒体131の外径が第1取付部132Aおよび第2取付部132Bの外径よりも大きいが、筒体131の外径と第1取付部132Aおよび第2取付部132Bの外径は等しくてもよい。第1接続具14Aは第1取付部132Aに設けられており、第2接続具14Bは第2取付部132Bに設けられている。第1接続具14A、第2接続具14Bには、様々な形状を適用することができる。
弁部15は、弁箱151と、調整弁152と、付勢部材E2とを有している。弁部15は、本体13の内部であって、筒体131の中央付近に配置されている。弁部15の本体13における配置は、筒体131の中央付近以外であってもよい。弁箱151は、円筒部153と、円底部154と、円柱部155とを有している。
円筒部153は、内部に軸AXに向かって突出する円環状の突出部153aを有している。円底部154は、円筒部153の第2接続具14B側の端部を閉塞している。円底部154は、第1接続具14A側に面154aを有している。円柱部155は、円底部154の面154aより軸AXに沿って第1接続具14Aに向けて突出する円柱である。円筒部153、円底部154、および円柱部155は、一体物であってもよい。円筒部153、円底部154、および円柱部155の各中心軸は、軸AX上にある。
弁箱151は、筒体131の内周面から軸AXに向かって延びる棒状のシャフト134が円筒部153の外周面と接続されることで、筒体131の内部に支持されている。シャフト134は、円筒部153の第2接続具14B側の端部と接続されている。シャフト134が円筒部153に接続される位置は、円筒部153の第2接続具14B側の端部以外であってもよい。例えば、シャフト134は、軸AXを中心とした円周方向において等間隔で配置された4本の棒状部材である。シャフト134の本数は、3本以下であってもよいし、5本以上であってもよい。シャフト134は、流路Fを閉塞していない。
調整弁152は、ベース156と、弁体157と、接続部材158とを有している。調整弁152の中心軸は、軸AX上に位置している。ベース156は、円柱状であって、第1接続具14A側の面156aと、面156aと反対側の面156bと、貫通部156cとを有している。貫通部156cは、ベース156の中心部にあって、面156aと面156bとの間を貫通する。ベース156の外径は、円筒部153の内径よりも小さい。貫通部156cの直径は、円柱部155の直径よりも大きい。
ベース156は、弁箱151の内部に配置されている。ベース156は、軸方向X,Yにおいて円筒部153の内部を移動可能である。言い換えると、ベース156は、軸AXに沿って移動可能に弁箱151内に配置されている。突出部153aの内径は、ベース156の外径よりも小さい。ベース156は、面156bが突出部153aに接触するので、ベース156の軸方向Xにおける移動は、突出部153aによって制限されている。
他の方法によりベース156の軸方向Xにおける移動を制限する場合には、突出部153aを設置しなくともよい。例えば、弁体157の外径を円筒部153の外径よりも大きくすることで、面157bを円筒部153の第1接続具14A側の端部に接触するようにし、調整弁152の軸方向Xにおける移動を制限してもよい。一方、軸方向Yにおける移動は、対向面133によって制限されている。
弁体157は、円板状である。弁体157は、受圧面157aと、受圧面157aと反対側の面157bと、連通部C2とを有している。受圧面157aの周縁部と対向面133は、向かい合っている。本体13内の流路Fは、弁体157によって隔てられており、弁体157よりも一次側(入口側)の流路Fを第1流路F1とし、弁体157よりも二次側(出口側)の流路Fを第2流路F2とする。第1流路F1と第2流路F2の流体の流れる方向は、一致している。
連通部C2は、受圧面157aの中心部に位置する孔である。連通部C2は、受圧面157aの中心部以外に位置してもよいし、複数の孔から形成されてもよい。連通部C2は必ずしも孔である必要はなく、弁体157に設けられた切り欠きや受圧面157aと対向面133の間の隙間であってもよい。流路Fは、弁体157によって閉塞されることはない。受圧面157aの周縁部が対向面133に接触している場合であっても、連通部C2を通じて第1流路F1と第2流路F2は連通している。
弁体157は、ベース156と棒状の接続部材158により接続されている。接続部材158は、面156aと面157bに接続されている。例えば、接続部材158は、軸AXを中心とした円周方向において等間隔で配置された4本の棒状部材である。接続部材158の本数は、3本以下であってもよいし、5本以上であってもよい。弁体157は、ベース156と接続部材158により接続されているため、弁体157の動きとベース156の動きは、連動している。ベース156の動きが、調整弁152の動きである。
弁箱151の内部には、円筒部153の内周面、面154a、および面156bによって弁室15Aが形成される。付勢部材E2は、弁室15Aに収容されている。付勢部材E2は、例えば、コイルばねである。コイルばねの内径は、円柱部155の直径よりも大きい。付勢部材E2は、円柱部155に通すよう配置されている。付勢部材E2は、ベース156の面156bを軸方向Yに向けて付勢している。
流体が送液されていない場合、付勢部材E2の付勢力によって、受圧面157aの周縁部が対向面133と接触している。第4実施形態において、本体13、弁箱151、および調整弁152は、軸AX上に位置している。弁箱151と調整弁152の軸は一致するが、弁箱151と調整弁152の軸は、軸AXと一致しなくてもよい。
導圧管16は、管体161と、管体162と、管体163とを有する。管体161は、第1取付部132Aの外周面に設けられた接続口161aから半径方向Rに向かって突出している。管体162は、弁室15Aの外周面に設けられた接続口162aから半径方向Rに向かって突出し、筒体131の外周面に設けられた接続口162bを通過している。管体163は、筒体131の外周面に沿って軸方向Xと平行に延び、管体161と管体162とを接続する。導圧管16は、管体161,162,163を有しているが、鋼管等を折り曲げて形成されてもよい。第1流路F1と弁室15Aは、導圧管16により接続されている。流体が送液されている場合、第1流路F1内の流体が導圧管16を通じて弁室15Aに流入するため、第1流路F1の静圧と弁室15Aの静圧は等しい。
減圧弁400に流体が送液されている場合の調整弁152の軸方向X,Yにおける移動について説明する。調整弁152には、第1流路F1の流体の静圧と第2流路F2の流体の静圧がそれぞれ作用している。第1流路F1の流体の静圧は、軸方向Xから受圧面157aに作用している。弁室15Aが導圧管16により第1流路F1と接続されているため、第1流路F1の流体の静圧は、軸方向Yからベース156の面156bに作用している。第1流路F1の流体の静圧は、調整弁152に対して双方向から作用しており、その静圧の影響は互いに打ち消されるので、第1流路F1の流体の静圧の影響は、調整弁152の移動に関してほとんどない。第1流路F1の流体の静圧が与える影響は、導圧管16によりキャンセルされているといえる。
第2流路F2の流体の静圧は、軸方向Xからベース156の面156aに作用し、軸方向Yから面157bに作用している。第2流路F2の流体の静圧は、調整弁152に対して双方向から作用しており、その静圧の影響は互いに打ち消されるので、第2流路F2の流体の静圧の影響は、調整弁152の移動に関してほとんどない。調整弁152は、受圧面157aに作用する第1流路F1を流れる流体の動圧の影響で軸方向X(流体の流れ方向)に移動する。
減圧弁400においては、流体の流量が増加し、受圧面157aに作用する第1流路F1を流れる流体の動圧が増加することで、調整弁152が付勢部材E2の付勢力に抗して軸方向X(流体の流れ方向)に移動する。調整弁152が軸方向Xに移動することで、受圧面157aの周縁部と対向面133の間に流路が形成される。受圧面157aと対向面133の間に形成された流路は、調整弁152が軸方向Xに移動することで拡大する。
第1接続具14A側から流入してきた流体は、第1流路F1から調整弁152を通過し減圧され、第2流路F2から第2接続具14B側に流出する。流体が減圧弁400を通過した際の減圧効果は、流体の流量が増加し流路が拡大することで低くなる。また、減圧弁400は、調整弁152を通過した後に流路が変化する部分を有していない。このような構成を有する減圧弁400であれば、流量が少ないときに高く、流量が増加すると低くなる減圧効果を発揮することができる。
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態に係る減圧弁500の概略的な部分断面図である。減圧弁500は、本体13と、弁部17とを備えている。図10には図示していないが、減圧弁500は第4実施形態と同様、一次側(入口側)に第1接続具14Aや二次側(出口側)に第2接続具14Bを備えてもよい。本体13は、筒体131を有している。筒体131は、軸AXに沿って延びる円筒状である。ただし、本体13の形状は、円筒状に限られない。本体13の内部には、流路Fが形成されている。
筒体131は、内周面131aと、突出部135とを有している。内周面131aは、軸AXに沿って一様な径で延びている。突出部135は、内周面131aから軸AXに向かって突出する円環状である。突出部135は、後述する受圧面172a,173aの周縁部と向かい合う対向面135aを有している。突出部135の内側には、内周面135bが規定されている。
ここで、軸AXに沿い、かつ図10において左から右に向かう方向を軸方向X、軸方向Xと反対方向を軸方向Yと定義する。図10に示した矢印Aは、流体の流れ方向を示しており、軸方向Xと一致している。
弁部17は、調整弁171と、軸部174とを有している。調整弁171は、円板状であり、2枚の弁体172,173と、連通部C3とを有している。調整弁171は、軸方向Xと直交するように位置している。弁体172,173は、半円形の板状である。弁体172,173は、受圧面172a,173aと、受圧面172a,173aと反対側の面172b,173bとをそれぞれ有している。受圧面172a,173aの周縁部は、対向面135aと向かい合っている。弁体172,173の外径は、内周面131aの直径より小さく、内周面135bの直径よりも大きい。
本体13内の流路Fは、弁体172,173によって隔てられており、弁体172,173よりも一次側(入口側)の流路Fを第1流路F1とし、弁体172,173よりも二次側(出口側)の流路Fを第2流路F2とする。
連通部C3は、軸AXを中心軸とする孔である。弁体172,173にそれぞれ設けられた半円状の切り欠きを組み合わせることで、円形の連通部C3が形成されている。連通部C3は、軸AXを中心軸とした孔でなくてもよい。連通部C3は、必ずしも軸AXを中心とした孔である必要はなく、弁体172,173にそれぞれ設けられた孔、切り欠き、および受圧面172a,173aと対向面135aの間の隙間であってもよい。流路Fは、弁体172,173によって閉塞されることはない。受圧面172a,173aの周縁部が対向面135aに接触している場合であっても、連通部C3を通じて第1流路F1と第2流路F2は連通している。
軸部174は、軸175と、付勢部材E3とを有している。軸175は、軸方向X(流れ方向)と直交する方向に延び、軸AXと交わる軸である。軸部174は、軸175を中心に弁体172,173を回動可能に支持している。弁体172は、図10において軸175を中心に反時計回りに面172bが軸AXに近づく方向に向かって回動する。一方、弁体173は、図10において軸175を中心に時計回りに面173bが軸AXに近づく方向に向かって回動する。
付勢部材E3は、例えば、ねじりコイルばねであり、コイル部分が軸175に通され、一端が面172bに当接し、他端が面173bに当接する。付勢部材E3は、軸175を中心に、受圧面172a,173aが軸方向X(流体の流れ方向)に対して垂直に近づく方向に向けて弁体172,173を回動するように付勢する。流体が送液されていない場合、付勢部材E3の付勢力によって、受圧面172a,173aの周縁部が対向面135aと接触している。
減圧弁500に流体が送液されている場合の調整弁171の動きについて説明する。減圧弁500は第4実施形態と異なり導圧管を備えていないため、第1流路F1から第2流路F2へ調整弁171を通過する際の圧力損失により発生する差圧が調整弁171の動きに影響を与える。この場合、調整弁171は、受圧面172a,173aに作用する第1流路F1の流体の動圧と調整弁171を通過する際の圧力損失により発生する差圧の影響により回動する。
減圧弁500においては、流体の流量が増加することで、調整弁171の弁体172,173が付勢部材E3の付勢力に抗して軸方向X(流体の流れ方向)に対し平行に近づく方向に回動し、受圧面172a,173aの周縁部が対向面135aから離れる。受圧面172a,173aの周縁部が対向面135aから離れると内周面131aと弁体172,173の間に流路が形成される。内周面131aと弁体172,173の間に形成された流路は、弁体172,173が軸方向Xに対し平行に近づく方向に回動することで拡大する。
第1接続具14A側から流入してきた流体は、第1流路F1から調整弁171を通過し減圧され、第2流路F2から第2接続具14B側に流出する。流体が減圧弁500を通過した際の減圧効果は、流体の流量が増加し流路が拡大することで低くなる。また、減圧弁500は、調整弁171を通過した後に流路が変化する部分を有していない。このような構成を有する減圧弁500であれば、流量が少ないときに高く、流量が増加すると低くなる減圧効果を発揮することができる。
減圧弁500においては調整弁171が2枚の弁体172,173を有しているが、1枚の弁体のみを有してもよい。この場合、軸175は、軸AXとは交わらない位置に配置されてもよい。減圧弁500は導圧管を備えていないが、第1流路F1と第2流路F2を接続する導圧管をさらに備えてもよい。
以上の通り、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を各実施形態で開示した構成に限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能である。これらの実施形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。