JP6925147B2 - 熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物およびその使用 - Google Patents

熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化型かつ縮合硬化型のシリコーンレジンペースト組成物に関する。
本発明はまた、上記組成物の電子部品等の保護膜材料の作製への使用に関する。
本発明はさらに、上記組成物の硬化物に関する。
電子部品等の封止材料や保護膜材料として、付加硬化型シリコーン組成物(液状シリコーンゴム硬化物)や縮合硬化型シリコーン組成物(主にシリコーンレジン)が用いられている。
特許文献1には、光学素子や電子素子の基板やパッケージに用いる樹脂成形体を構成するためのシリコーン樹脂組成物として、付加硬化型の液状シリコーン樹脂、無機フィラー、炭素数12〜16の直鎖アルカンを含有する熱硬化型シリコーン樹脂組成物が開示されている。直鎖アルカンを添加することにより、シリコーン樹脂組成物に適度な流動性を付与している。
また、特許文献2には、抵抗器の上面側に、温度変化の繰り返しに対する熱応力の緩和を図るために、シリコーンゴム製の緩衝層を設けることが開示されている。
特許文献3は、セラミック素子本体とセラミック素子本体の表面に形成された外部電極とを有するコンデンサ素子において、セラミック素子本体と外部電極とを覆うように防水処理膜が形成されている電子部品を開示する。この防水処理膜は、高い耐熱性を備え、熱を加えることにより流動性が生じるシリコーンレジンを含んでいる。
特開2014−201627号公報 特許第4075905号公報 特開2014−110318号公報
特許文献1、2等に記載された付加硬化型シリコーン組成物(液状シリコーンゴム硬化物)は、以下の特徴を有する。
1)熱硬化型が多く、スクリーン印刷プロセスに適用可能である
2)反応性の高い溶融球状シリカがフィラーとして高充填可能である。
一方、特許文献3に記載された縮合硬化型シリコーン組成物(主にシリコーンレジン)は、以下の特徴を有する。
1)環状シロキサンをほとんど生成しないため,耐熱性(250℃程度)が高い。
2)多くの材料に対して濡れ性が良く、硬化物の密着性が高くなるため、耐湿性が良い。
ところで、図9に示すように、電子部品、例えば抵抗の保護膜としては、抵抗値調整のために設けられる抵抗皮膜上にシリコーン系のオーバーコート膜101が形成され、その上にエポキシ樹脂系のオーバーコート膜103が被覆された2層構造を有している。そのため、線膨張率の大きい下層のシリコーン系のオーバーコート膜101に対して、シリコーン系に比べて線膨張率の小さい上層のエポキシ樹脂系のオーバーコート膜103において、温度サイクル試験中に、特に2層の線膨張率が大きく異なる場合には、線膨張率差によって短期間でエポキシ樹脂系のオーバーコート膜103にクラック105が発生してしまう恐れがある。
さらにまた、電子部品用の保護膜として従来用いられていた上記の付加硬化型シリコーン組成物(液状シリコーンゴム硬化物)には、以下のような問題点がある。
1)150℃以上に加熱すると、環状シロキサンを生成しやすいため、耐熱性が低い。
2)多くの材料に対して濡れ性が悪く、硬化物の密着性が低くなるため、耐湿性が悪い。3)硬化物の線膨張率(400〜500ppm/K)が大きい。
一方、縮合硬化型シリコーン組成物(主にシリコーンレジン)には、以下のような問題点がある。
1)硬化物の線膨張率(250ppm/K程度)がシリコーンゴムより小さいものの依然として大きい。
2)室温硬化型が多く、スクリーン印刷プロセスを適用することが難しい。
3)反応性の高い溶融球状シリカを使用できない。
本発明は、上記の課題のような従来のシリコーン系組成物の問題点を克服し、線膨張率を低くし、密着性を高めて耐湿性を向上させ、かつ、スクリーン印刷を可能にすることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を克服するための新規の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を見出した。以下に、本発明の特徴について要約する。
(1)下記の成分(A)、(B)および(C):
(A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサンと、
(B)末端にアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマーと、
(C)両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンと、
を含む熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(2)さらに下記の成分(D):
(D)反応抑制剤を含む、(1)に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(3)無機フィラーとして、球状アルミナを含む、(1)又は(2)に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(4)前記成分(A)、(B)および(C)の総量に対する成分(A)の含有率が、40〜60重量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(5)前記成分(A)、(B)および(C)の総量に対する前記成分(B)、成分(C)の含有率が、それぞれ、20〜40重量%、10〜40重量%である、(4)に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(6)前記成分(B):成分(C)の重量比は、3:1〜1:2である、(5)に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を用いた熱硬化型シリコーンレジンペースト硬化物。
(8)熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の硬化物であって、下記の成分(A)、(B)および(C):
(A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサン、
(B)末端にアルコキシ基をもつシリコーンオリゴマー、および
(C)両末端にシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、
の分子間での三次元網目構造を有し、かつ、無機フィラーを含むことを特徴とする熱硬化型シリコーンレジンペースト硬化物。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の電子部品の保護膜作製への使用。
(10)前記電子部品は、
絶縁基板と、
前記絶縁基板の少なくとも一面に対向して形成された一対の電極と、
前記電極間を電気的に接続する抵抗体と、
前記抵抗体を覆う第1保護膜と、
前記第1保護膜を覆う第2保護膜と、
前記第2保護膜を覆う第3保護膜を有する(9)に記載の使用。
本発明によれば、スクリーン印刷プロセスに適した新規の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物が提供され、この組成物を厚膜チップ抵抗器等の保護膜材料として使用したとき、従来の材料に比べて顕著に線膨張率を低下させることができるため、上記のクラックの発生を著しく抑制することが可能であり、当該保護膜としての性能を向上させるという優れた利点がある。
本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を適用することができる電子部品の一例として示す厚膜チップ抵抗器の一構成例を示す図である。 図1に示す厚膜チップ抵抗器の製造工程の一例を示すフローチャート図である。 図2のステップS11、S12に示す工程において熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の硬化時に形成される三次元網目構造(一部)を示す。 試料5の硬化物に関する線膨張率のグラフである。 試料6の硬化物に関する線膨張率のグラフである。 試料7の硬化物に関する線膨張率のグラフである。 本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物(試料6)を保護膜として用いた抵抗器の印加電圧75Vでの抵抗値変化率の測定(耐湿負荷寿命試験)結果を示す図である。 本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物(試料6)を保護膜として用いた抵抗器の100kΩ(158V印加)、1MΩ(500V印加)、10MΩ(500V印加)での抵抗値変化率の測定(耐湿負荷寿命試験)結果を示す図である。 抵抗器の保護膜として抵抗皮膜上にシリコーン系のオーバーコート膜が形成され、その上にエポキシ樹脂系のオーバーコート膜が被覆された2層構造における課題の一例を示す断面図である。
本発明についてさらに具体的に説明する。
1. 熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物
本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、下記の成分(A)、(B)および(C):
(A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサン、
(B)末端にアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマー、および
(C)両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン、
を含むことを特徴とする。
成分(A)は主剤であり、シリコーンレジンペーストが加熱により硬化することにより形成される三次元網目構造のコアとなる。
成分(B)は、成分(A)を希釈するための低粘度の液体の反応性希釈剤であり、これらの成分が反応して脱アルコールが起こり、成分(A)と成分(B)が化学的に架橋し三次元網目構造が形成される。
成分(C)は、低粘度の液体の柔軟化剤であり、成分(B)との間で脱アルコール反応が起こり、より緻密な三次元網目構造が形成される。
上記の各成分について以下に説明する。
1.1 シラノール基を有するポリシルセスキオキサン(成分(A))
成分(A)は、上記のとおり、3つの成分のなかで主剤となる成分である。
ポリシルセスキオキサンは、一般式(RSiO3/2(nは、非限定的に、6〜300の整数であり、Rは、非限定的に、C1−C6などのアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、フェニル、トリルなどのアリール基などの有機基である。)で表され、ケイ素上に有機置換基(R)を有する有機ケイ素ポリマーであり、合成法の違いなどによりランダム構造、ラダー型構造、かご状構造などの形態をとることができる(和田健司ら、有機合成化学協会誌、64巻8号、836−844頁、2006年)。本発明における成分(A)のポリシルセスキオキサンは、上記の一般式においてケイ素上に水酸基(すなわち、シラノール基(SiOH))を有しており、複数(2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上)のシラノール基を有する、好ましくは不完全かご状構造(式1)またはランダム構造をもつポリシルセスキオキサンである。
Figure 0006925147
成分(A)の分子量は、非限定的に、約3000〜約10000の範囲内である。
上記成分(A)の含有率は、前記成分(A)、(B)および(C)の総量(重量)に対し、約40〜約60重量%、好ましくは約45〜約55重量%、より好ましくは約47〜約53重量%、例えば約50重量%である。主剤(A)が約30重量%未満では、シリコーンレジンペーストの硬化後の粘度(もしくは分子量)がスクリーン印刷工程に供するに十分な値を確保できず、一方、主剤(A)が約60重量%を超えると、反応性希釈剤(B)により溶解しきれない主剤(A)が残存してしまう。
成分(A)として、市販のもの、例えば、商品名YR3370(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KR−220L、KR−220LP(いずれも信越化学工業株式会社製)などを使用することができる。
1.2 末端にアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマー(成分(B))および両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(成分(C))
本発明における成分(B)は、末端に複数のアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマーであり、好ましくは、両末端にアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサンである。
成分(C)は、主鎖がポリジメチルシロキサンであり、その両末端はシラノール基である。成分(B)のアルコキシ基は、成分(A)および成分(C)のシラノール基と反応して脱アルコールが生じ、3つの分子間で三次元網目構造が形成される。成分(B)は、末端にアルコキシ基を複数有しており、好ましくは両末端にアルコキシ基を有している。これにより、3つの成分の官能基同士が反応しやすく、未反応の官能基が残りにくいため、3つの分子間で三次元網目構造が形成されやすくなる。
アルコキシ基は、RO−(R:アルキル基)の構造を有しており、ここで低級アルキルはC1−C6、好ましくはC1−C4、さらに好ましくはC1−C3、最も好ましくはC1−C2(すなわち、メチルまたはエチル)である。
末端に複数のアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマー(式2)、その一例として末端にアルコキシ基(例えばメトキシ基)を有するポリジメチルシロキサン(式3)、および両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(式4)の構造を以下に示す。式2、式3および式4中、nは約3〜約50、好ましくは約5〜約40の整数である。
Figure 0006925147
Figure 0006925147
Figure 0006925147
成分(B)は、粘度が例えば4.5〜270mPa・s(25℃)、あるいは、比重が例えば0.95〜1.20であることが好ましい。
成分(C)は、動粘度が例えば30〜700mm/s(25℃)、あるいは、比重が例えば0.97〜0.98であることが好ましい。
成分(B)として、市販のもの、例えば、商品名XC96−B0446、C96−C2813、C96−C2814、XR31−B14010、XR31−B2733、XR31−B2230、XR31−B6667、XR31−B1763(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などを使用することができる。
成分(C)として、市販のもの、例えば、商品名XC96−723、YF3800、XF3905(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、X−21−5841、KF−9701(いずれも信越化学工業株式会社製)などを使用することができる。
成分(B)と成分(C)を合わせた含有率は、前記成分(A)、(B)および(C)の総量(重量)に対し、約40〜約60重量%、好ましくは約45〜約55重量%、より好ましくは約47〜約53重量%、例えば約49〜約51重量%である。また、成分(B):成分(C)の重量比は、好ましくは2:3〜3:2であり、さらに好ましくはおよそ1:1である。成分(B)および成分(C)は、分子量が小さいもの(密度が小さいもの)を選択すると、架橋密度を上げることができる。
本発明の実施形態により、本発明の組成物における成分(A):成分(B):成分(C)の好ましい重量比は、4:3:3〜6:2:2であり、より好ましくは約2:約1:約1である。
これに関連して、本発明の組成物を厚膜抵抗器のスクリーン印刷のために使用するときには、チキソトロピー性の指標であるTI値が2以上であることが好ましい。そのようなTI値が得られるように成分(A):成分(B):成分(C)の配合比を最適化するのがよい。
1.3 その他の成分
本発明の組成物は、さらに下記の成分(D)および/または成分(E)を含むことができる。
(D)反応抑制剤
(E)無機フィラー
以下では、これらの追加の成分について説明する。
1.3.1 反応抑制剤(成分(D))
成分(D)は、成分(B)のアルコキシ基に配位することにより、アルコキシ基が成分(A)および成分(C)のシラノール基と脱アルコール反応を起こすことを妨げる作用を有する。言い換えれば、成分(D)は、成分(B)のアルコキシ基の反応性を抑制することによって反応性のより高いアルコキシ基を安定化する反応抑制剤としての働きをする。成分(D)を用いることにより、常温での脱アルコール反応、すなわち分子間架橋反応、を抑制することができる。
上記の性質を有する成分(D)として、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のβ−ジケトン類を用いることができる。
成分(D)は、上記の分子間架橋反応を常温で抑制しうる程度に本発明の組成物に添加される。成分(D)の含有量は、上記反応を抑制するために、成分(B)のモル数の少なくとも2倍のモル数であることが好ましい。
本発明の組成物を加熱により硬化させる際には、成分(D)による上記配位が緩むため、成分(A)、(B)および(C)の分子間で架橋反応が起こり、三次元網目構造が形成されるようになる(図3)。
1.3.2 無機フィラー(成分(E))
本発明で使用可能な無機フィラーは、球状のアルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニアなどの無機酸化物、あるいは、それらの混合物であり、好ましくは球状アルミナ(溶融球状アルミナ等)である。
球状粒子の好ましい粒径は、ミクロンオーダーであり、好ましくは約1〜約10μm、より好ましくは数μm(約1〜約5μm)である。
無機フィラーは、電子部品の保護膜材料として必須の成分であり、保護膜に適度の機械的強度を付与することができ、シリコーンレジンペースト組成物の線膨張係数を調整することができる。
本発明の組成物においては、無機フィラーの含有率が、組成物の総重量に対し約60〜約85重量%、好ましくは約70〜約80重量%である。
本発明の組成物においては、エポキシ樹脂の線膨張率に近づけるために無機フィラーを用いたが、無機フィラーに替えて、または無機フィラーに加えて有機フィラー(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の各樹脂のビーズ等)を用いても良い。有機フィラーはシリコーンレジンペースト用ビヒクルと同程度の比重であるため沈降しにくく、保存安定性が良いため、スクリーン印刷以外の用途、例えばローラーによる塗布等に用いる、低粘度領域の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物に適している。有機フィラーは、組成物の総重量に対し約50重量%以下含有させることができる。
無機フィラーにはさらに、組成物の総重量に対し約1〜約5重量%、好ましくは約2〜約3重量%のナノシリカを含有させることができる。ナノシリカの好ましい粒径は、約5nm〜約900nm、好ましくは約10nm〜約100nmの範囲内である。
2.電子部品保護膜材料としての組成物の使用
本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、電子部品の保護膜作製のために使用することができる。
電子部品としては、例えば抵抗器、コンデンサ、チップヒューズ、バリスタなどが挙げられる。抵抗器には、例えば厚膜抵抗器および薄膜抵抗器等の皮膜抵抗器が含まれる。
以下に、図面を参照しながら、電子部品保護膜材料としての上記組成物の使用例を説明する。
図1は、本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を適用することができる電子部品の一例として示す厚膜チップ抵抗器の一構成例を示す。
図1に示す厚膜チップ抵抗器Aは、絶縁基板1に抵抗体3が形成されている。抵抗体3は、例えばレーザーにより抵抗値を調整するためのトリミング溝3aが形成されている。トリミング工程の前に、抵抗体3を保護するガラス保護膜(第1保護膜)11を形成し、トリミング工程後に外部環境から抵抗体3と電極5a、5bを保護する、本実施の形態にかかるシリコーン樹脂保護膜(第2保護膜)15を形成する。さらに、抵抗体3と電極5a、5b、および第2保護膜15を覆うエポキシ樹脂保護膜(第3保護膜)17が形成される。
第2保護膜15と第3保護膜17とを合わせてオーバーコート膜と称することがある。
尚、絶縁基板1の端面および裏面には、それぞれ端面電極(Ni/Cr等)5a、5bおよび裏面電極(Ag、Cuまたは導電性接着剤)7a、7bが形成されている。
図2は、図1に示す厚膜チップ抵抗器の製造工程の一例を示すフローチャート図である。
まず、ステップS1において、多数個取り用の大判の絶縁基板として、例えば、純度96%のアルミナ基板を準備する。ステップS2において、例えば、Ag/Ag−Pd電極ペースト材料を作製する。ステップS3において、Ag/Ag−Pd電極ペースト材料を裏面電極7a、7bとして絶縁基板1の一面に、例えばスクリーン印刷法により印刷・焼成する。次いで、ステップS3にて裏面電極7a、7bを形成した絶縁基板1の面と反対の面に、ステップS5として、ステップS4において作製したAg/Ag−Pd電極ペースト材料を用いて表面電極5a、5bを、例えばスクリーン印刷法により印刷・焼成する。
次いで、ステップS6において、例えば、RuO抵抗体ペーストを作製し、ステップS7において、表面電極5a、5bに一端を接続する抵抗体3を、例えばスクリーン印刷法により印刷・焼成する。
次いで、ステップS8において、ガラスペーストを作製し、ステップS9において、第1保護膜11を、例えばスクリーン印刷法により抵抗体3上に印刷・焼成する。
この状態で、抵抗値を測定し、ステップS10において、所望の抵抗値になるように、レーザートリミングによりトリミング溝3aを形成することで抵抗値調整を行う。
次いで、ステップS12において、本実施の形態によるシリコーン組成物を、抵抗体3および第1保護膜11上に、少なくともトリミング溝3aを覆うようにスクリーン印刷し、例えば約200℃でシリコーンレジンペースト組成物を加熱硬化することにより第2保護膜15を形成する。
次いで、ステップS14において、エポキシ樹脂ペーストを作製し、スクリーン印刷のあと、例えば約200℃で加熱硬化することにより第3保護膜17を形成する。
ステップS15において、基板1を短冊状に分割し、ステップS16において、端面電極9a、9bを形成し、ステップS17において短冊を分割して抵抗器の個片化を行う。ステップS18で、メッキ工程などにより、外部電極13a、13bを形成する。
以上の工程により、本実施の形態により抵抗器が完成する。
抵抗体3、裏面電極7a、7b、表面電極5a、5b、第1〜3保護膜11、15、17は、すべてスクリーン印刷により形成することができる。尚、第1保護膜11は省略可能である。
表面電極5a、5bおよび裏面電極7a、7bの各電極の形成工程は同一工程により形成しても良く、工程の順番の前後を変更しても良い。抵抗体形成工程と表面電極形成工程とに関しても、工程の順番の前後を変更しても良い。
端面電極9a、9bは、例えば、絶縁基板1を短冊状に分割した後、スパッタリング法などにより形成することができる。
本実施の形態では、保護膜を3層としたが、第1保護膜11または第3保護膜17は形成しなくても良く、保護膜は2層または単層とすることができる。また、本実施の形態では、第2保護膜15にシリコーンレジンペースト組成物を使用したが、第1保護膜11または第3保護膜17として使用しても良い。
図3は、ステップS11、S12に示す工程において用いる熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を加熱により硬化する際の成分(A)、成分(B)および成分(C)の間での分子間架橋反応によって形成される三次元網目構造の一部を示す図である。
硬化工程は、通常、約200℃で上記組成物を加熱することによって行うことができる。
粉体状の主剤(A)として、例えば式1で示す化学構造を有し、シラノール基を有するポリシルセスキオキサン(例えば、YR3370)を準備する。
また、主剤(A)を希釈する低粘度の液体の反応性希釈剤(B)として、例えば、式2又は式3で示す化学構造を有し、末端にアルコキシ基をもつポリジメチルシロキサンからなる反応性のある溶剤(例えばXC96−B0446)を準備する。アルコキシ基は、ポリジメチルシロキサンの両末端に有していることが好ましい。
加熱硬化の際には、例えば、下記に示すような反応式により示される主剤(A)と反応性希釈剤(B)との脱アルコール(脱メタノール)反応により、主剤(A)と反応性希釈剤(B)が化学的に架橋し、三次元網目構造が形成される。
Figure 0006925147
上記硬化の際、低粘度の液体を用いた柔軟化剤(C)としての、例えば、式4で示す化学構造を有する両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンは、その両末端のシラノール基と反応性希釈剤(B)のアルコキシ基(例えばメトキシ基)が反応することにより、より緻密な三次元網目構造を形成する。
本発明の組成物には、無機フィラー、例えば球状アルミナ粒子も含まれており、例えば、公転自転回転数独立制御型攪拌脱泡装置などの撹拌装置やニーダーなどの装置による混練により、シリコーンレジンペーストが作製される。
尚、図1から図3までに示した構造、工程は、一例を示すものであり、これらの形態に限定されるものではない。
ところで、従来、電子部品の封止材や保護膜に使用されてきた付加硬化型シリコーン組成物の硬化物はシリコーンゴムであるため、環状シロキサンの生成が避けられない。たとえ原料中に含まれる環状シロキサンを低減したとしても、150℃以上に加熱すると環状シロキサンが新たに生成される。
これに対し、本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の硬化物は、縮合硬化型であるため加熱時に環状シロキサンはほとんど生成されない。
さらにまた、従来の縮合硬化型シリコーン組成物は、空気中の水分を利用した湿気硬化型のシリコーン組成物であるため、常温で硬化する。しかし、常温での硬化は電子部品製造におけるスクリーン印刷工程には適さないという問題があった。
これに対して、本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、成分(A)もしくは成分(C)と成分(B)との間で約200℃での加熱時に脱アルコール反応による縮合硬化が起こるため、付加硬化型と同様に加熱硬化が可能な縮合硬化型シリコーンレジンペースト組成物である。
次に、無機フィラーの添加量とシリコーン組成物の特性との関係について説明する。
表1は、本発明の一実施形態による熱硬化型のシリコーンレジンペースト組成物(試料5から7まで)と、従来の付加硬化型シリコーンゴムペースト(試料1から4まで)との、線膨張率の測定結果を示す表であり、無機フィラーの有無、無機フィラーの種類および無機フィラーの含有率を変化させたときの結果を含む。
本発明の一実施形態による熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、スクリーン印刷プロセスに適用可能な熱硬化型ペーストであり、従来の液状シリコーンゴム硬化物と異なり、硬化物の線膨張率を10〜250ppm/Kの範囲に、好ましくは例えば100ppm/K以下、75ppm/K以下、より好ましくは60ppm/K以下、例えば10〜75ppm/K、10〜50ppm/Kなどの範囲に制御することができる。よって、電子部品の保護膜として、特にエポキシ樹脂保護膜の下層に積層して用いた場合に、エポキシ樹脂保護膜の線膨張率に近づけることが可能となり、温度サイクルによる保護膜へのクラック発生を抑制することができる。
Figure 0006925147
スクリーン印刷プロセス(方法)は、まず、アルミナ等の基板を印刷テーブル上に載置し、この基板の真上に所定のギャップをもってスクリーン製版を配置する。スクリーン製版上にペーストを供給した後、スクリーン製版上でスキージを所定方向へ移動させることにより、スクリーン製版の開口部(孔)にペーストが充填され、基板にパターンが形成される。その後、スクリーン製版を基板から離すと、ペーストの表面張力がスクリーン製版の跡をレべリングさせる。
また、図7および図8は、厚膜チップ抵抗器の保護膜(試料6(本発明))の耐湿負荷寿命試験における抵抗値変化率(ΔR)の評価結果を示す。
本発明の一実施形態による加熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、その硬化物を電子部品の保護膜として使用した場合に、抵抗値の変動幅が小さくできること、すなわちエポキシ樹脂保護膜(第3保護膜)に発生しうるクラックを抑制できるため耐湿性が優れていることがわかる。
また、本発明の組成物中の無機フィラーは、保存安定性をよくするために、好ましくは主成分として球状アルミナ粒子を含むことができる。
無機フィラーはさらに、5〜100nmサイズ、好ましくは数十nm(通常、10〜100nm)サイズのナノシリカを組成物に対し1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%を含むことができる。ナノシリカによりシリコーンレジンペースト組成物の粘弾性を調整し、印刷性をコントロールすることができる。
3.硬化物
本発明はさらに、上で説明した熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の硬化物であって、下記の成分(A)、(B)および(C):
(A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサン、
(B)末端にアルコキシ基をもつシリコーンオリゴマー、望ましくは両末端にアルコキシ基をもつポリジメチルシロキサン、および
(C)両末端にシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、
の分子間での三次元網目構造を有し、かつ、無機フィラーを含むことを特徴とする硬化物を提供する。
無機フィラーは、上記のいずれかのフィラーであってよいが、より好ましくは球状アルミナ(溶融球状アルミナ等)を含む。
組成物の構成成分である成分(A)、成分(B)、成分(C)および無機フィラーについては、上記のとおりであり、ここでも同様の説明を適用する。
本発明組成物の硬化は、通常約200℃で行うことができる。
本発明硬化物の線膨張率は、無機フィラーの含有率を調節することにより10ppm/K〜250ppm/Kの範囲内で制御しうるが、無機フィラーの含有率を例えば60重量%以上とするときには、硬化物の線膨張率を約10ppm/K〜約75ppm/Kに低下させることが可能である。
本発明の硬化物のさらなる特徴として成分(A)および成分(C)と成分(B)との間の分子間架橋により形成される三次元網目構造を挙げることができる。網目のなかに無機フィラー粒子が入り込み、硬化物に機械的強度などの性質が付与される。
以上、説明したように、本発明によれば、これらに限定されるものではないが、以下に示す利点がもたらされる。
1)本発明により、シリコーン系硬化物の線膨張率を広範囲(10〜250ppm/K)に制御できる熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を提供することができる。
2)本発明のシリコーン系硬化物を電子部品の保護膜として使用した場合に、クラックの発生をほとんど起こさない、かつ高い耐湿性を付与することが可能である。
3)本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、スクリーン印刷プロセスに適用可能である。
4)本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物は、加熱硬化の際に環状シロキサンの生成が抑制され、かつ耐熱性が高い(250℃)。
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
以下に、本発明の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の特性と製造手順(混合の順番・添加量・硬化条件等)について、詳細に説明する。
まず、主剤(A)に対して、反応性希釈剤(B)、柔軟化剤(C)の割合を変更した組成物について説明する。
主剤(A)は、反応性希釈剤(B)、柔軟化剤(C)に対する溶解性を考慮し、50重量(wt)%に固定し、反応性希釈剤(B)および柔軟化剤(C)は合わせて50wt%となるように、かつ、反応性希釈剤(B)は反応性が高いため25wt%以下となるように、反応性希釈剤(B)および柔軟化剤(C)それぞれの重量比を1:1(組成1)、1:3(組成2)、1:7(組成3)、1:15(組成4)と変更してシリコーンレジンペースト用ビヒクルを作製した。表2に、各組成毎の配合比と特性値を示す。
Figure 0006925147
チキソトロピー性の指標であるTI値を評価するため、導電性粒子と絶縁粒子とをシリコーンレジンペースト用ビヒクルに、表3に示す割合で混合してシリコーンペーストを作製し、0から30s-1の剪断速度の範囲で粘度測定を行った。表2に示すように、組成1で、TI値が2以上となった。
Figure 0006925147
スクリーン印刷用ペーストとするためには、チキソトロピー性の指標であるTI値が2以上であることが望ましい。主剤(A)、反応性希釈剤(B)、柔軟化剤(C)の割合の一例として、主剤(A):反応性希釈剤(B):柔軟化剤(C)=2:1:1(組成1)にすると、チキソトロピック性を示すTI値を2以上にすることが可能であり、望ましい組成の一例とすることができることがわかった。この値は、上記の主剤(A)が40〜60wt%、反応性希釈剤(B)および柔軟化剤(C)がそれぞれ、(A)と(B)と(C)の合計が100wt%になる範囲内で、20〜30wt%内に入っていることがわかる。
次に、シリコーンレジンペースト組成物の製造手順(混合の順番・添加量・硬化条件等)について、詳細に説明する。
まず、シリコーンレジンペースト用ビヒクル1kgの作製方法(主剤(A)+反応性希釈剤(B)+柔軟化剤(C))を示す。
(1)作製道具
容器(1L程度)、乳鉢、乳棒、篩、スコップ、攪拌機、ビーカー(2L)、ジャッキ台、アルミ箔、酢酸エチルの洗浄瓶、AP−1の洗浄瓶を準備する。
(2)原料
主剤(A)(シラノール基を有するポリシルセスキオキサンであるシリコーン樹脂)(YR3370(商品名)、モメンティブ社製)
反応性希釈剤(B)(末端にメトキシ基を有するポリジメチルシロキサンであるシリコーンオイル)(XC96−B0446(商品名)、モメンティブ社製)
柔軟化剤(C)(両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであるシリコーンオイル)(XC96−723(商品名)、モメンティブ社製)
反応抑制剤:アセチルアセトン(関東化学社製・特級)
(3)作製手順
3−1)反応性希釈剤(B)と反応抑制剤(アセチルアセトン)の混合
反応性希釈剤(B)(XC96−B0446)250gをビーカー(2L)に入れた後、反応抑制剤としてアセチルアセトン50gを添加して、室温で30分程度攪拌する。
3−2)柔軟化剤(C)の添加
上記3−1)の溶液を攪拌しながら、柔軟化剤(C)(XC96−723)250gを添加して、室温で30分程度攪拌する。
3−3)主剤であるシリコーン樹脂(A)の粉砕
乳鉢の中に塊状のシリコーン樹脂(A)(YR3370)を適量入れて、乳棒を用いて粉砕、または常温でフードミキサーを用いて粉砕する。粉砕したものを篩(20メッシュ程度)にかけて、細かいものだけを取り出して容器に入れる。500g以上になるように、一連の操作を繰り返し、粉砕したものを容器(1リットル程度)に移す。
3−4)主剤(A)であるシリコーン樹脂の添加
上記3−2)の溶液を攪拌しながら、3−3)のシリコーン樹脂粉砕品を少しずつ添加する。
3−5)混合
12時間以上攪拌する。未溶解の主剤(A)が残っていなければ、ほぼ透明になる。
次に、シリコーンレジンペースト(表1の「試料6」)の作製方法について説明する。
(1)作製道具の例
公転自転回転数独立制御型撹拌脱泡装置(写真化学(株)・カクハンター)を用いる。
(2)原料の例
原料としては、以下のものを用いる。
2−1)上記の工程により作製したシリコーンレジンペースト用ビヒクル
2−2)球状アルミナ(電気化学工業社製DAW-03DC)
2−3)添加剤(粘弾性調整剤,沈降防止剤,分散剤等)
(3)作製手順例
3−1)秤量
シリコーンレジンペースト用ビヒクルとアルミナとの重量比が例えば25:75となるようにそれぞれを秤量する。必要に応じて添加剤を添加する。
3−2)混合
上記撹拌脱泡装置を用いて撹拌混合する。
次いで、シリコーンレジンペーストの硬化条件について説明する。
例えば、図1の抵抗体3および第1保護膜11上に、シリコーンレジンペーストをスクリーン印刷し、200℃で30分以上加熱することで加熱硬化物となる(図2のステップS12)。
(実験結果)
上記表1には、作製した各試料の線膨張率を示している。
Figure 0006925147
表4は、試料5から試料7までの原料を示す表である。
図4から図6までは、試料5から試料7までのそれぞれの加熱硬化物に関する長さの温度依存性を示す図であり、その傾きから線膨張率を得ることができる。
尚、表1に示すように、従来の付加型シリコンゴムペースト(試料1から試料4)においては、線膨張率が185〜295ppm/K程度であるのに対して、本実施形態の熱硬化型シリコーンレジンペーストを用いると、試料5〜7に示すように、それぞれの加熱硬化物は、溶融球状アルミナフィラーの割合に依存して線膨張率を18〜248ppm/Kまでの広い範囲の線膨張率が得られる。特に、低い線膨張率が得られることから、エポキシ樹脂(約80ppm/K)との多層構造に適する保護膜を得ることが可能である。
次に、上記のようにして作製した本実形態による熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を用いて加熱硬化することによって形成した保護膜の評価結果について説明する。
抵抗値変化率測定データを測定する条件は以下の通りである。
用いた試料は、表1の「試料6」であり、抵抗器の構造は図1に示すものである。
試験内容は、耐湿負荷寿命試験であり、60±2℃、90〜95%RH(相対湿度)で、恒温恒湿槽(ESPEC PL−3J)において、電圧印加を1.5時間オン、0.5時間オフで3000時間の間、以下のようにして抵抗率を測定した。
抵抗器への印加電圧は、75Vである。
保護膜の評価を行った抵抗器は、角形チップ抵抗器(厚膜抵抗体)であり、そのサイズは1.6mm×0.8mmである。抵抗値は6.8MΩであり、個数nは40個である。
抵抗測定器により抵抗を測定した。
図7に示すように、抵抗値の経時変化はきわめて少なく、3,000時間までの負荷試験に耐えることがわかった。これは、第2保護膜に用いた本発明のシリコーンレジンペースト組成物が、加熱硬化した後に一部残存するシラノール基の親水性と、シリコーンのもともと有する疎水性という性質を併せ持つことにより、第1保護膜のガラス、第3保護膜のエポキシ樹脂、および電極という抵抗器の他の材料表面に対する密着性が高まり、界面からの水分の侵入を防ぐことができ、耐湿性が向上したためである。
また、以下のような試験も行った。
試験内容は、耐湿負荷寿命試験であり、40℃±2℃、90〜95%RH(相対湿度)で、恒温恒湿槽(ESPEC PL−3J)において、電圧印加を1.5時間オン、0.5時間オフで2,000時間とした。
印加電圧は、100kΩ(158V印加)、1MΩ(600V印加)および10MΩ(600V印加)である。抵抗器は、角形チップ抵抗器(厚膜抵抗体)であり、それぞれ20個を用いた。製品サイズは、3.2mm×1.6mmで、図1に示す構造である。
図8に示すように、どの抵抗値であっても、2,000時間までの過負荷試験において抵抗値の変動は小さいことがわかり、耐湿性が向上した。
[実施例2]
表2においては、主剤(A)の重量比が50wt%の場合について示した。実施例2においては、主剤の重量比も変化させた結果について説明する。
Figure 0006925147
表5は、主剤(A)、反応性希釈剤(B)、柔軟化剤(C)の配合比を変化させた結果を示す。表5に示す試料では、さらに、安定化剤(D)と、Alを加えている。さらに、(A+B+C)/Al2O3に加え、(A+B+C)=100wt%に対して、ナノシリカを3wt%添加している。
表5においては、それぞれの試料の、粘度、TI値、溶解性を示している。
TIの目標値をスクリーン印刷に適した範囲(保護膜の場合には1.5以上3以下の範囲)とする。すると、サンプルNo.22〜No.27およびNo.29は、TIの目標値を達成していることがわかる。
一方、主剤(A)の重量%が30wt%のとき(No.21)はTI値が大きくなりすぎる。主剤(A)の重量%が60wt%を超えたとき(No.28〜31)は、反応性希釈剤(B)の配合量が20wt%以下となると未溶解分が存在することがわかる。
従って、上記のように、主剤(A)は40〜60wt%の範囲で添加することが望ましいことが再確認された。
また、反応性希釈剤(B)および柔軟化剤(C)の範囲は以下の通りであることが好ましい。
主剤(A)が40〜60wt%の範囲内において、(A)〜(C)の合計が100wt%になる範囲内で、反応性希釈剤(B)は20〜40wt%、柔軟化剤(C)は10〜40wt%内であることが好ましい。
このとき、スクリーン印刷用のシリコーンレジンペーストとして適したTIとなる。
また、主剤(A)が40〜60wt%の範囲内において、(A)〜(C)の合計が100wt%になる範囲内で、反応性希釈剤(B)と柔軟化剤(C)との比は、3:1〜1:2であることが好ましい。
(適用例)
本発明のシリコーンレジンペースト組成物は、熱硬化型であるため、スクリーン印刷が可能であり、各種電子部品の保護膜として用いることができる。適用可能な電子部品の例としては、チップ抵抗器のほかにコンデンサ、チップヒューズ、バリスタ等である。
高耐熱・高耐湿の電子部品用保護膜として、シリコーン樹脂層とエポキシ樹脂層を積層することがある。しかしながら、従来のシリコーン樹脂は密着性が悪いという問題があった。また、下層の線膨張率が上層の線膨張率よりも大きいと線膨張率の違いから、下層の方が体積の変化が大きくなり、上層に亀裂(クラック)が入ることがあった。その結果、耐湿性が悪くなるという問題がある。
本発明のシリコーンレジンペースト組成物は、付加硬化型と縮合硬化型の特性を併せ持っているため密着性が良く、さらに、無機フィラーの量の調整により、線膨張率を10〜250ppm/Kまで調整することができる。組成物中の無機フィラー(溶融球状アルミナ使用)の含有率を75〜80wt%とするときには、線膨張率は30〜18ppm/Kとなる(表1参照)。したがって、エポキシの線膨張率(例えば80ppm/K程度)よりも低い線膨張率に調整することができるため、熱応力による上層保護膜への亀裂が生じにくくなる。
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
本発明は、抵抗器の保護膜として利用可能である。
A…厚膜チップ抵抗器、1…絶縁基板、3…抵抗体、5a、5b…表面電極、7a、7b…裏面電極、11…ガラス保護膜(第1保護膜)、15…第2保護膜、17…第3保護膜。

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)、(B)および(C):
    (A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサンと、
    (B)末端にアルコキシ基を有するシリコーンオリゴマーと、
    (C)両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンと、
    を含み、
    前記成分(A)、(B)および(C)の総量に対する前記成分(A)の含有率が40〜60重量%であり、前記総量に対する前記成分(B)の含有率が20〜40重量%であり、前記総量に対する前記成分(C)の含有率が10〜40重量%である熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
  2. さらに下記の成分(D):
    (D)反応抑制剤を含む、請求項1に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
  3. さらに下記の成分(E):
    (E)無機フィラーとして、球状アルミナを含む、請求項1または2に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
  4. 前記成分(B):成分(C)の重量比は、3:1〜1:2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物を用いた熱硬化型シリコーンレジンペースト硬化物。
  6. 熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の硬化物であって、下記の成分(A)、(B)および(C):
    (A)シラノール基を有するポリシルセスキオキサン、
    (B)末端にアルコキシ基をもつシリコーンオリゴマー、および
    (C)両末端にシラノール基をもつポリジメチルシロキサン、を含み、
    前記成分(A)、(B)および(C)の総量に対する前記成分(A)の含有率が40〜60重量%であり、前記総量に対する前記成分(B)の含有率が20〜40重量%であり、前記総量に対する前記成分(C)の含有率が10〜40重量%であり、
    前記成分(A)、(B)および(C)の分子間での三次元網目構造を有し、かつ、無機フィラーを含むことを特徴とする熱硬化型シリコーンレジンペースト硬化物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱硬化型シリコーンレジンペースト組成物の電子部品の保護膜作製への使用。
  8. 前記電子部品は、
    絶縁基板と、
    前記絶縁基板の少なくとも一面に対向して形成された一対の電極と、
    前記電極間を電気的に接続する抵抗体と、
    前記抵抗体を覆う第1保護膜と、
    前記第1保護膜を覆う第2保護膜と、
    前記第2保護膜を覆う第3保護膜を有する請求項に記載の使用。
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