JP6924616B2 - 研磨用スラリー - Google Patents
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Description
回転数がXrpmである時の粘度をμ1とし、回転数がX/2rpmである時の粘度をμ2としたときに下記式(1)に示す擬塑性を有する。
μ2/μ1>1.1 ・・・(1)
また、斯かる研磨用スラリーは、擬塑性を有することにより、研磨するのに用いられている際には、研磨によるせん断力がかかり粘度が低下し、研磨速度が高くなる。
前記被研磨物は、以下のようにして形成することができる。
まず、銅又は銅合金で形成された銅シートを樹脂シートに積層させることにより樹脂シートで形成されたコア層と銅シートで形成された銅層とを形成する。そして、銅層にレーザーを照射すること、或いは、銅層をエッチング処理することにより、銅層に穴を開け、或いは、銅層に溝を形成して、パターニングする(特に、配線パターンを形成する場合には、銅層に溝を形成する)。そして、銅層に樹脂フィルムを積層させることにより、前記穴又は前記溝を樹脂フィルムで埋め表面層を形成する。
前記表面層を形成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、該材料としては、例えば、エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものも挙げられる。エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものとしては、例えば、Ajinomoto built up film(ABF)等が挙げられる。
エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものとしては、例えば、エポキシ樹脂を5〜95質量%含有し、シリカフィラーを5〜95質量%含有するものが挙げられる。
前記被研磨物は、研磨用スラリーで研磨した後に、プリント基板等として用いられる。
また、本実施形態に係る研磨用スラリーは、回転数Xrpmにおける粘度(回転数(回転速度)がXrpmである時の粘度)をμ1とし、回転数X/2rpmにおける粘度(回転数(回転速度)がX/2rpmである時の粘度)をμ2としたときに下記式(1)に示す擬塑性を有する。
μ2/μ1>1.1 ・・・(1)
また、「μ2/μ1」は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上である。また、「μ2/μ1」は、好ましくは100以下、より好ましくは10以下である。
より具体的には、粘度は、株式会社トキメック社製の単一円筒形回転粘度計(B形粘度計)(TVB−20L)を用いて測定する。
上記回転数は、粘度の測定で用いるローター(スピンドル)の回転数である。
前記Xとしては、例えば、0.02〜1000(rpm)の範囲の何れかの値を選択でき、具体的には、2〜100(rpm)の範囲の何れかの値を選択でき、より具体的には、60(rpm)を選択できる。
また、本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記Xが2〜100(rpm)のすべての範囲において上記式(1)に示す擬塑性を有することがより好ましい。
さらに、本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記Xが60(rpm)において上記式(1)に示す擬塑性を有することがさらにより好ましい。
例えば、ローター(スピンドル)については、回転数が60rpmである時には、粘度が以下の範囲にある際には下記のローターを用いることができる。
粘度が10mPa・s以上100mPa・s未満である場合:M1
粘度が50mPa・s以上500mPa・s未満である場合:M2
粘度が200mPa・s以上2,000mPa・s未満である場合:M3
粘度が1,000mPa・s以上10,000mPa・s未満である場合:M4
また、回転数が30rpmである時には、粘度が以下の範囲にある際には下記のローターを用いることができる。
粘度が20mPa・s以上200mPa・s未満である場合:M1
粘度が100mPa・s以上1000mPa・s未満である場合:M2
粘度が400mPa・s以上4,000mPa・s未満である場合:M3
粘度が2,000mPa・s以上20,000mPa・s未満である場合:M4
なお、ローターM1〜M4は下記の対応関係にある。
M1:JIS5101−6−2:2004のSB1号スピンドル
M2:JIS5101−6−2:2004のSB2号スピンドル
M3:JIS5101−6−2:2004のSB3号スピンドル
M4:JIS5101−6−2:2004のSB4号スピンドル
また、スピンドルの回転数を10分の1にすれば、測定下限の粘度及び測定上限の粘度がそれぞれ10倍になる。
例えば、SB4号スピンドルを用いた場合、回転数が6rpmである場合には、10,000mPa・s以上100,000mPa・s未満の粘度を測定でき、回転数が3rpmである場合には、20,000mPa・s以上200,000mPa・s未満の粘度を測定でき、回転数を0.6rpmと0.3rpmにすればさらに高粘度のスラリーの粘度を測定できる。
粘度の測定条件については、25℃で1分間ローターを回転させて粘度を測定する。
さらに、本実施形態に係る研磨用スラリーは、水を更に含有してもよい。また、本実施形態に係る研磨用スラリーは、アルカリ、グリシン、及び、酸化剤を含有してもよい。
前記無機粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、セリア粒子、炭酸カルシウム粒子等が挙げられる。
前記シリカ粒子としては、ヒュームドシリカ粒子、コロイダルシリカ粒子、ゾルゲル法で得られたシリカ粒子等が挙げられる。
前記有機粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、オレフィン系共重合体、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、(メタ)アクリル系樹脂、アクリル系共重合体などの有機ポリマー粒子が挙げられる。
前記有機無機複合粒子としては、例えば、有機粒子の存在下で、金属のアルコキシド化合物(例えば、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等)又はケイ素のアルコキシド化合物(例えば、アルコキシシラン等)を重縮合させて得られる粒子等が挙げられる。
前記砥粒としては、上述した粒子を複数種用いてもよい。
前記砥粒のメジアン径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは0.2〜10μm、さらにより好ましくは0.25〜5μmである。
なお、砥粒のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、日機装社製マイクロトラックX100)によって測定した値を意味する。
また、前記砥粒のメジアン径は、砥粒の体積基準のメジアン径を意味する。
また、アルミナ粒子は、シリカ粒子よりも硬いので、シリカフィラーとエポキシ樹脂とを含有する樹脂層を研磨するのに好適に用いられる。
前記増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマーの塩等が挙げられる。本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、及び、カルボキシビニルポリマーの塩の少なくとも一方を含有することが好ましい。
前記カルボキシビニルポリマーやカルボキシビニルポリマーの塩を構成するモノマーとしては、置換又は非置換のアクリル酸、置換又は非置換のメタクリル酸等が挙げられる。
置換のアクリル酸としては、アクリル酸アルキル等が挙げられる。アクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等が挙げられる。
置換のメタクリル酸としては、メタクリル酸アルキル等が挙げられる。メタクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられ、また、メタクリル酸アルキルのアルキル基(CnH2n+1)におけるnが3以上であってもよい。
前記カルボキシビニルポリマーとしては、前記モノマーの単独重合体、前記モノマーの共重合体が挙げられる。
前記カルボキシビニルポリマーの塩としては、前記モノマーの単独重合体の塩、前記モノマーの共重合体の塩が挙げられる。
単独重合体としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキル、ポリメタクリル酸アルキル等が挙げられる。
単独重合体の塩としては、ポリアクリル酸の塩、ポリメタクリル酸の塩、ポリアクリル酸アルキルの塩、ポリメタクリル酸アルキルの塩等が挙げられる。
共重合体としては、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体(アクリル酸とメタアクリル酸アルキルとの共重合体)等が挙げられる。
共重合体の塩としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の塩(アクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体の塩)等が挙げられる。
前記増粘剤としては、酸性からアルカリ性まで幅広いpH領域において安定的に前記研磨用スラリーに擬塑性を付与できるという観点から、カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマーの塩が好ましい。また、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体の塩がより好ましい。
また、カルボキシビニルポリマーの塩としては、カルボキシビニルポリマーをトリエタノールアミン(TEA)で中和したものが好ましい。
本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記増粘剤を、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有する。
前記増粘剤としては、上述した増粘剤を複数種用いてもよい。
前記アルカリは、pH調整剤として用いられ、前記研磨用スラリーのpHを、前記砥粒が凝集し難いpHにする。例えば、砥粒がアルミナ粒子を含有する場合には、アルミナの等電点であるpH9から前記研磨用スラリーのpHが外れるようにpH調整剤の種類や量を選択すればよく、pHは10〜11が好ましい。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウムが好ましい。
前記アルカリとしては、上述したアルカリを複数種用いてもよい。
前記グリシンは、pH緩衝剤として用いられる。
また、被研磨物の銅層も研磨する場合には、グリシンは、銅や、銅合金の銅と錯体を形成することができ、その結果、銅層の研磨速度を高めることができる。
本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記グリシンを、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有する。
被研磨物の銅層も研磨する場合には、前記酸化剤は、前記銅層の銅や、銅合金の銅とを酸化させることができ、その結果、銅層の研磨速度を高めることができる。
前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、有機過酸化物、過マンガン酸化合物、重クロム酸化合物、ハロゲン酸化合物、硝酸、硝酸化合物、過ハロゲン酸化合物、過硫酸塩、ヘテロポリ酸などが挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。過マンガン酸化合物としては、例えば、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。重クロム酸化合物としては、例えば、重クロム酸カリウム等が挙げられる。ハロゲン酸化合物としては、例えば、ヨウ素酸カリウム等が挙げられる。硝酸化合物としては、例えば、硝酸鉄等が挙げられる。過ハロゲン酸化合物としては、例えば、過塩素酸等が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨用スラリーは、前記酸化剤を、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%含有する。
前記酸化剤としては、上述した酸化剤を複数種用いてもよい。
μ2/μ1>1.1 ・・・(1)
斯かる研磨用スラリーは、擬塑性を有するので、静置されている際には粘度が高いものとなり、砥粒が沈降し難くなる。
すなわち、斯かる研磨用スラリーは、擬塑性を有することにより、研磨するのに用いられている際には、研磨によるせん断力がかかり粘度が低下し、流動性が高まると考えられる。
そして、その結果、被研磨物に対する、研磨用スラリーに含まれる砥粒の機械的作用が向上され(研磨用スラリーに含まれる砥粒が被研磨物に接触する回数が増加し)、研磨速度が高くなるものと考えられる。
また、研磨用スラリーは通常研磨パッドに滴下されて用いられるが、斯かる研磨用スラリーは、研磨によるせん断力で流動性が高まり、被研磨物の中央部にも行き渡りやすくなり、被研磨物の中央における研磨速度が高まると考えられる。そして、その結果、被研磨物全体としての研磨速度も高まると考えられる。
また、斯かる研磨用スラリーは、擬塑性を有するので、研磨によるせん断力で流動性が高まり、被研磨物全体に(被研磨物の端部から中央部まで)十分均一に供給されやすくなり、研磨平坦性に優れたものとなると考えられる。
さらに、斯かる研磨用スラリーは、擬塑性を有するので、被研磨物にチューブを介して供給される場合には、せん断力がかかり粘度が低下し、被研磨物にチューブを介して供給しやすいものとなる。
また、被研磨物の表面層たる樹脂層は一般に厚みが大きいので(例えば、厚み:10μm程度)、前記被研磨物を研磨する場合には、研磨速度を高めることが求められる。よって、前記砥粒の比重が2以上である、斯かる研磨用スラリーが前記被研磨物に好適に用いられる。
また、被研磨物の表面層たる樹脂層は一般に厚みが大きいので(例えば、厚み:10μm程度)、前記被研磨物を研磨する場合には、研磨速度を高めることが求められる。よって、前記砥粒のメジアン径が100nm以上である、斯かる研磨用スラリーが前記被研磨物に好適に用いられる。
被研磨物の材質としては、例えば、電子材料用途の樹脂全般が挙げられる。また、被研磨物の材質としては、例えば、アクリル樹脂、エステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、被研磨物の材質としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどが特に挙げられる。さらに、被研磨物の材質としては、エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものも挙げられる。エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものとしては、例えば、Ajinomoto built up film(ABF)等が挙げられる。
エポキシ樹脂とシリカフィラーとが混合されたものとしては、例えば、エポキシ樹脂を5〜95質量%含有し、シリカフィラーを5〜95質量%含有するものが挙げられる。
酸としては、強酸が挙げられる。強酸としては、硝酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。なお、強酸は、第一酸解離定数pKa1が1未満の酸を意味する。
そして、スラリーの粘度及びスラリーのpHを測定した。なお、スラリーの粘度については、上述した方法で回転数が60rpmである時(X=60(rpm))の粘度と、回転数が30rpmである時(X/2=30(rpm))の粘度を測定した。
また、スラリーにおける砥粒の分散性(沈降のし難さ)を確認した。分散性は以下の基準で判定した。
○:容器に入れたスラリーを常温で1週間静置した後に、目視で沈降物が確認できず、さらに、容器をひっくり返しても容器の底に砥粒が溜まっていない状態、或いは、砥粒が少し沈降していたとしても容器を数回振れば容易に砥粒が再分散できる状態。
×:○以外
さらに、下記条件で被研磨物を研磨し、チューブポンプで被研磨物に供給するスラリーの流量と、研磨速度とを測定した。
被研磨物:ガラスエポキシ樹脂(エポキシ樹脂とシリカフィラーを含むエポキシ樹脂層の代わりに用いた。)
研磨機:ECOMET4
研磨条件:研磨圧=5psi、プラテン回転数/ヘッド回転数=120rpm/67rpm、研磨時間=10min
研磨パッド:SUBA600 XY(ニッタ・ハース社製)
Claims (7)
- 砥粒を含有する研磨用スラリーであって、
回転数がXrpmである時の粘度をμ1とし、回転数がX/2rpmである時の粘度をμ2としたときに下記式(1)に示す擬塑性を有し、
前記Xrpmが、2〜100rpmであり、
増粘剤を含有し、
前記増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、及び、カルボキシビニルポリマーの塩の少なくとも何れか一方を含有し、
pHが10〜11である、研磨用スラリー。
μ2/μ1>1.1 ・・・(1) - 前記砥粒の比重が2以上である、請求項1に記載の研磨用スラリー。
- 前記砥粒は、1次粒子及び1次粒子が複数凝集した2次粒子となって含まれ、
前記砥粒のメジアン径が100nm以上である、請求項1又は2に記載の研磨用スラリー。 - 前記砥粒として、アルミナ粒子を含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の研磨用スラリー。
- アルカリを更に含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の研磨用スラリー。
- グリシンを更に含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の研磨用スラリー。
- 酸化剤を更に含有する、請求項1〜6の何れか1項に記載の研磨用スラリー。
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