JP6924342B2 - 燃料電池のアノード用触媒、アノード及び燃料電池 - Google Patents
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Description
好ましくは、前記白金スキン層が2原子層である。
好ましくは、前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、ニオブ、モリブデン、鉛、タングステンから選ばれる少なくとも1種を含む。
好ましくは、前記遷移金属は、鉄又はコバルトである。
好ましくは、前記遷移金属は、鉄又はコバルトであり、前記遷移金属の前記合金粒子における原子組成百分率が10%〜80%である。
好ましくは、前記原子組成百分率が25%〜60%である。
好ましくは、前記原子組成百分率が50%である。
好ましくは、前記燃料電池のアノード用触媒は、担体に担持された担持触媒である。
好ましくは、前記担体は、カーボンブラック、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、酸化錫、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む。
好ましくは、燃料電池のアノード用触媒を備えるアノードが提供される。
好ましくは、アノードを備える燃料電池が提供される。
好ましくは、白金及び遷移金属の合金からなる合金粒子の表面に1から2原子層の白金スキン層を有する触媒がアノード側に備えられたことを特徴とする燃料電池が提供される。
好ましくは、前記白金スキン層が2原子層である。
好ましくは、前記遷移金属は、鉄又はコバルトである。
好ましくは、前記遷移金属の前記合金粒子における原子組成百分率が10%〜80%である。
好ましくは、前記原子組成百分率が25%〜60%である。
好ましくは、前記原子組成百分率が50%である。
好ましくは、前記燃料電池は、前記燃料電池の停止中に、前記アノードに空気が流入可能な態様で構成される。
好ましくは、前記燃料電池は、燃料電池自動車(FCV)に搭載されるものであり、前記触媒は、CO濃度が0.2ppm以上の燃料ガスを許容可能に構成される
また、前記燃料ガスのCO濃度が0.2ppm以上、10ppm以下である燃料ガスも許容することができる。
好ましくは、燃料電池自動車(FCV)用の燃料電池であって、白金及び遷移金属の合金からなる合金粒子の表面に1から2原子層の白金スキン層を有する触媒を備え、前記遷移金属は、鉄又はコバルトであり、前記触媒は、CO濃度が0.2ppm以上の燃料ガスを許容可能に構成される燃料電池が提供される。
また、前記燃料ガスのCO濃度が0.2ppm以上10ppm以下である燃料ガスも許容できる。
図1は、本実施形態に係る触媒の構成を示す概念図である。白金及び遷移金属の合金からなる合金微粒子が、白金原子からなる1から2原子層の白金スキン層で被覆されている。遷移金属は、白金との合金粒子の状態において、その表面上に白金原子からなる1から2原子層の白金スキン層を備えることが可能なものであれば、その種類は特に限定されない。遷移金属としては、4周期〜6周期の元素を用いることができ、特に、4周期の元素が好ましい。遷移金属は、具体的には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、ニオブ、モリブデン、鉛、タングステンから選ばれる少なくとも1種を含む。遷移金属は、好ましくは4周期の元素である鉄、コバルト、ニッケルであり、より好ましくは鉄又はコバルトである。これらの金属を含有することで、HOR活性及びCO耐性が向上する。
本実施形態に係る白金スキン層又は担持触媒を備えるアノード及びカソードについて説明する。アノードは、燃料電池の燃料極のことであり、ガス拡散基材または高分子電解質膜に直接、白金スキン触媒又は担持触媒が塗布されたものである。一般的に、ガス拡散基材としては多孔質の炭素が用いられる。そして、アノード側に燃料ガスとして水素が導入されると、塗布された触媒により水素が分解され、プロトンH+及び電子e−が生成される。カソードは、燃料電池の空気極のことであり、ガス拡散基材または高分子電解質膜に直接、白金スキン触媒又は担持触媒が塗布されたものである。一般的に、ガス拡散基材としては多孔質の炭素が用いられる。そして、カソード側に酸化剤として空気が導入されると、塗布された触媒により酸素とプロトンが反応し、水を生成する。
次に、燃料電池について説明する。図2は燃料電池の構成及び原理を説明する概念図である。燃料電池は、アノード及びカソードにより高分子電解質膜が挟持されたものである。燃料室からアノードに水素が導入される。アノードに水素が導入されると、アノードで、「H2→2H++2e−」の反応が生じ、プロトンH+及び電子e−が生成される。このプロトンH+が高分子電解質膜を通ってカソードへ移動する。また、電子e−が配線を通ってカソードへ移動する。そして、カソードで、アノードから移動してきたプロトンH+及び電子e−と、注入されたO2と、により、「O2+4H++4e−→2H2O」の反応が生じ、水が生成される。このようにして電子e−が流れることにより、エネルギーを生成することができる。
本発明者らは、白金と遷移金属M(M:鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、ニオブ、モリブデン、鉛、タングステンから選ばれる少なくとも1種)のナノメートルサイズの合金を、1から2原子層の白金スキン層で被覆した「PtXAL−PtM」を炭素やセラミック等の担体に高分散に担持した触媒「PtXAL−PtM/CR」について、少なくとも90℃までの上限作動温度域で純白金及びPt−Ruよりも高いHOR活性、CO耐性及び耐酸化性を備えることを証明した。かかる触媒をFCVのアノード用触媒として用いる場合には、高いCO耐性を備えるために、純白金を触媒として用いる従来技術のようにCOを0.2ppm以下まで精製する必要がなくなる。これにより、燃料ガスのコストを低減することが可能となる。また、かかる触媒を定置用のアノード用触媒として用いる場合には、Pt−Ruを触媒として用いる従来技術と比較して極めて高いHOR活性のために燃料電池の効率を高めることができる。さらに、かかる触媒は、高いCO耐性のために触媒の劣化を低減することができる。一方、かかる触媒は、高い酸化耐性を備えるため、現状の定置用システムでの燃料極への空気流入防止装置が不要になって、コストを削減できる。かかる耐酸化性触媒は、FCV、定置用を問わず燃料電池のカソード用触媒としても用いることが可能である。これにより、アノード用触媒及びカソード用触媒の両方に本触媒を用いることができるので、製造コストを低減することができる。さらに、白金と比べてHOR活性と酸素還元活性が高いため、白金の使用量を低減させることができるので、材料コストを低減することができる。
白金スキン触媒の製造方法は特に限定されないが、例えば特許文献「WO2014/178283」に開示されているような方法により、合金微粒子を白金スキン層で被覆する。具体的には、含水溶媒(例:水)中に分散状態の合金微粒子及び水溶性の白金前駆体を共存させた状態で水素ガスを含む反応ガスのバブリング(以下、「水素バブリング」とも称する。)を行うことにより、白金前駆体を合金属微粒子の表面上で還元させて、合金微粒子を白金の原子層で被覆する。なお、合金微粒子は、水素バブリングによってその表面上で金属前駆体の還元反応が起こるものであれば、その種類は特に限定されない。ここで、水素バブリングの前に、合金微粒子を担体に担持させておくことが好ましい。合金微粒子を担体に担持させる方法は任意であり、例えば、逆ミセル法や含浸法で合成した合金微粒子を有機溶媒に分散させた状態で、担体粉体を添加する。そして、合金微粒子を担体粒子表面に吸着させ、ろ過と乾燥を経て、加熱処理することで、合金粒子を担体に担持させる。
次に、遷移金属MとしてコバルトCoを、担体として炭素Cを用い、2原子層の白金スキン層で被覆した「Pt2AL−PtCo/C」について説明する。
1−1.n−PtCo/GCBの作製
Pt(acac)2を0.125mmol(49mg)、Co(acac)3を0.125mmol(44mg)、1,2−ヘキサデカンジオール1mmol(260mg)、ジフェニルエーテル12.5ml(13.5g,79.3mmol)をビーカーに加え、スターラーを用いて100℃に昇温して10分間攪拌混合した。これにオレイン酸0.25mmol(85μl)およびオレイルアミン0.25mmol(80μl)を加えた後、攪拌しながら200℃まで昇温し、そのまま20分間攪拌して、ナノカプセル溶液を得た。得られたナノカプセル溶液に1M(mol/L) LiB(C2H5)3H・THF溶液1.0ml(1mmol)を2分間かけて徐々に滴下し、5分間攪拌した後260℃に昇温し、この温度にて20分間還流加熱して還元反応させ、ナノカプセル内にてPtCo粒子を含む溶液Aを得た。その後、溶液Aを100℃付近まで降温し、PtCoの担持量がカーボンブラックに対し27.2wt%となるように黒鉛化カーボンブラック(GCB、150m2/g)を混合攪拌し、有機保護基がついたままの状態でPtCo微粒子をGCBに担持させた。そして、濾過した後60℃で真空乾燥後、残存した有機溶媒の除去とPtCo微粒子の表面へのPt析出を同時に行うため4%水素ガス雰囲気下で400℃で4時間の加熱処理を行い、Pt1AL−PtCo/GCBを得た。
Ptスキン前駆体として、Pt1原子層分のヘキサクロロ白金(IV)酸(H2PtCl6・6H2O)を純水10mLに溶解させて、Ptスキン前駆体溶液を作製した。
1−2の方法で反応溶液を作製し、n−PtCo/GCBに濡れ性を高めるために、反応溶液を煮沸した。煮沸当初は、n−PtCo/GCBが部分的に反応溶液中または表面に浮遊していたが、煮沸を10分ほど継続するとn−PtCo/GCBの全量が容器の底に沈んだので、その時点で煮沸を終了した。その後、反応溶液が60℃になるのを待って、水素ガス濃度5%、温度60℃、時間1Hの条件で、水素バブリングを行った。その結果、図3(a)、(b)に示すように、各PtCo微粒子の表面にPtスキン層が均一に形成された。
Ptスキン層で被覆されたPtCo微粒子(Pt2AL−PtCo/GCB)について、走査透過型電子顕微鏡エネルギー分散X線分光(STEM−EDS)によるライン解析を行った。その結果を図4に示す。図4から分かるように、中央にはPtとCoが共存しているのに対し、両端の約0.5nmの領域にはPtのみが存在していた。この結果は、Ptスキン層が約0.5nmの厚さ(2原子層の厚さ)で形成されたことを示している。またこのようにして作成されたPt2AL−PtCo/GCBは、2原子層の厚さのPtスキン層を有するが、この2原子層の内側の1原子層は、PtCo微粒子の表面層が4%の水素ガス雰囲気下で400℃4時間の加熱処理による相変化によって被膜されたものであり、さらにその外側にPtスキン前駆体溶液中のPtにより1原子相分被膜されてできたものである。したがって本実施例1における2原子層の白金スキン層で被覆したPt2AL−PtCo粒子の粒径は元のPtCo粒子の粒径よりもPtの1原子層のスキン層分(すなわちPt2原子分)だけ大きくなる。
次に、上記方法で製造したPt2AL−PtCo/C触媒につき、種々の実験結果について説明する。
次に、遷移金属Mとして鉄Feを、担体として炭素Cを用い、2原子層の白金スキン層で被覆した「Pt2AL−PtxFe/C」について説明する。なお、かかる触媒の製造方法については、実施例1におけるCoをFeに変えた点以外は同じであるので、その説明を省略する。
Claims (22)
- 白金及び遷移金属の合金からなる合金粒子の表面に1から2原子層の白金スキン層を備える燃料電池のアノード用触媒。
- 前記白金スキン層が2原子層である、
請求項1に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、ニオブ、モリブデン、鉛、タングステンから選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項1又は請求項2に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記遷移金属は、鉄又はコバルトである、
請求項3に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記遷移金属は、鉄又はコバルトであり、
前記遷移金属の前記合金粒子における原子組成百分率が10%〜80%である、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記原子組成百分率が25%〜60%である、
請求項4に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記原子組成百分率が50%である、
請求項4に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記燃料電池のアノード用触媒は、担体に担持された担持触媒である、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 前記担体は、カーボンブラック、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、酸化錫、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項8に記載の燃料電池のアノード用触媒。 - 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池のアノード用触媒を備えるアノード。
- 請求項10のアノードを備える燃料電池。
- 白金及び遷移金属の合金からなる合金粒子の表面に1から2原子層の白金スキン層を有する触媒がアノード側に備えられたことを特徴とする燃料電池。
- 前記白金スキン層が2原子層である、
請求項12に記載の燃料電池。 - 前記遷移金属は、鉄又はコバルトである、
請求項12又は請求項13のいずれかに記載の燃料電池。 - 前記遷移金属の前記合金粒子における原子組成百分率が10%〜80%である、
請求項14に記載の燃料電池。 - 前記原子組成百分率が25%〜60%である、
請求項14に記載の燃料電池。 - 前記原子組成百分率が50%である、
請求項14に記載の燃料電池。 - 前記燃料電池は、前記燃料電池の停止中に前記アノードに空気が流入可能な態様で構成される、
請求項12〜請求項17のいずれか1項に記載の燃料電池。 - 前記燃料電池は、燃料電池自動車(FCV)に搭載されるものであり、
CO濃度が0.2ppm以上の燃料ガスが前記アノード側に供給される、
請求項12〜請求項18のいずれか1項に記載の燃料電池。 - 前記燃料ガスのCO濃度が0.2ppm以上、10ppm以下である、
請求項19に記載の燃料電池。 - 燃料電池自動車(FCV)用の燃料電池であって、
白金及び遷移金属の合金からなる合金粒子の表面に1から2原子層の白金スキン層を有する触媒をアノードに備え、
前記遷移金属は、鉄又はコバルトであり、
前記触媒は、CO被毒後におけるHOR質量活性の、CO被毒前におけるHOR質量活性に対する維持率%が86%以上であり、
前記HOR質量活性は、純H2を飽和した0.1M HClO4電解液中、20mVで測定される、前記触媒の実作動面積当たりの電流密度であり、
前記CO被毒は、1,000ppm CO/H2を飽和した、0.1M HClO4電解液中において、前記触媒からなる電極の電圧を90分間50mV、70℃に維持することにより行われる、燃料電池。 - CO濃度が0.2ppm以上、10ppm以下である燃料ガスで運転される、
請求項21に記載の燃料電池。
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