JP6922498B2 - 磁気検出素子 - Google Patents

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本発明は、磁気検出素子に関する。
微弱な磁気を高い感度で検出することができる磁気検出素子としてSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)がある。SQUIDは、超伝導ループの途中にジョセフソン接合が設けられた構造を有しており、そのジョセフソン接合の特性によって磁気の検出感度が定まる。
ジョセフソン接合の一つにステップエッジ型のジョセフソン接合がある。ステップエッジ型のジョセフソン接合は、段差を備えた基板の上に酸化物超伝導体膜を形成し、段差に沿って酸化物超伝導体膜に形成された粒界をジョセフソン接合とするものであり、簡単なプロセスで形成できる。
また、このようにステップエッジ型のジョセフソン接合を形成できる酸化物超伝導体は臨界温度が高く、高価で取扱いが困難な液体ヘリウムで冷却をする必要がない。そのため、液体窒素で77K程度の温度に冷却したり、冷凍器で50K〜77K程度の温度に冷却したりすることで、酸化物超伝導体を超伝導状態にすることができる。
特開平5−211352号公報 特開平11−135849号公報 特開平4−164272号公報
B. H. Moeckly et al., "Properties of interface-engineered high TcJosephson junctions", Appl. Phys. Lett. 71, 2526(1997)
ところで、ジョセフソン接合を流れる臨界電流密度は冷却温度によって変わるため、冷却温度の如何によってはSQUIDの出力電流が後段の回路が受け付け可能な許容範囲から外れることがある。
これを防ぐには、液体窒素と冷凍器のうちで出力電流が許容範囲に収まる冷却温度を実現できる方を選択し、選択した冷却方法でSQUIDを冷却すればよい。
しかしながら、これでは液体窒素や冷凍器のいずれか一方に冷却方法が制限されてしまい、不便である。
一側面によれば、本発明は、冷却方法に対する制限を緩和することができる磁気検出素子を提供することを目的とする。
一側面によれば、基板と、前記基板の表面に形成され、前記表面からの傾斜角度が異なる複数の側面を備えた平面視で多角形状の凹部と、前記凹部の外側の前記表面と複数の前記側面の各々に重なるように形成され、前記表面と前記側面との境目にジョセフソン接合を有する複数の超伝導ループとを有する磁気検出素子が提供される。
一側面によれば、傾斜角度が異なる複数の側面に重なるように各々の超伝導ループを形成するため、ジョセフソン接合を流れる臨界電流密度を超伝導ループごとに変えることができる。そのため、冷却温度が変わっても各超伝導ループのうちの少なくとも一つは後段の回路が受け付け可能な電流を出力するようになるため、冷却方法に対する制限を緩和することができる。
図1は、調査に使用したサンプルの平面図である。 図2は、図1のI - I線に沿う断面図である。 図3は、臨界電流密度と傾斜角度との関係の調査結果を示す図である。 図4は、本実施形態に係る磁気測定装置の構成図である。 図5は、本実施形態に係る磁気検出素子の平面図である。 図6は、超伝導ループの選択方法を説明するための平面図である。 図7(a)〜(d)は、各側面における超伝導ループの断面図である。 図8は、傾斜角度と臨界電流密度との関係を示す模式図である。 図9(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の断面図(その1)である。 図10(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の断面図(その2)である。 図11(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の断面図(その3)である。 図12は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の断面図(その4)である。 図13(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の平面図(その1)である。 図14(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の平面図(その2)である。 図15(a)、(b)は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の平面図(その3)である。 図16は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の平面図(その4)である。 図17は、本実施形態に係る凹部の各側面の傾斜角度の調査結果を示す図である。 図18は、本実施形態に係る凹部のバリエーションについて説明するための平面図である。
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が調査した事項について説明する。
その調査ではステップエッジ型のジョセフソン接合の特性について調べた。図1は、その調査に使用したサンプルの平面図である。
そのサンプル1は、基板2とその上に形成された超伝導パターン3とを有する。
このうち、基板2は、MgO基板等の絶縁基板であって、その表面に段差2xを備える。
一方、超伝導パターン3は、段差2xに重なるように形成されたYBCO(Y1Ba2Cu3Ox)膜等の酸化物超伝導体膜であり、段差2xの上にステップエッジ型のジョセフソン接合3jを備える。
図2は、図1のI - I線に沿う断面図である。
図2に示すように、段差2xに超伝導パターン3を形成すると、段差2xの頂点において超伝導パターン3が屈曲して結晶粒界が形成される。その結晶粒界は、クーパー対の波動関数にとって障壁となるため前述のジョセフソン接合3jとなる。
ここで、基板2の表面2aに対する段差2xの傾斜角度θが大きくなると超伝導パターン3に明瞭に結晶粒界が形成され、これによりジョセフソン接合3jを電流が流れ難くなると考えらえる。
そこで、本願発明者は、ジョセフソン接合3jを流れる臨界電流密度Jcと傾斜角度θとの関係について調査した。
その調査結果を図3に示す。
図3の横軸は段差2xの傾斜角度θを表し、その縦軸は臨界電流密度Jcを対数目盛で表す。
なお、この調査では図1のサンプル1を複数用意し、それらの中で最も臨界電流密度が大きいものをJc-highとし、臨界電流密度が最も小さいものをJc-lowとした。
図3に示すように、傾斜角度θが0°から45°に増えるほど臨界電流密度Jcが減少することが確かめられた。その減少の程度は極めて大きく、傾斜角度θが7°程度増加するだけで臨界電流密度Jcは約一桁も減少する。
なお、ジョセフソン接合3jを形成する結晶粒界の構造としてはチルト、ツイスト、basal-plane-faced tiltの三種類があるが、いずれの構造でも上記と同様の結果が得られた。
この結果より、臨界電流密度Jcを制御するには、傾斜角度θを変えることが有効であることが明らかとなった。
以下に、本実施形態について説明する。
(本実施形態)
次に、本実施形態に係る磁気測定装置について説明する。
図4は、本実施形態に係る磁気測定装置の構成図である。
この磁気測定装置10は、脳磁場や地磁気等の微弱な磁気を測定する装置であって、容器11、引き出し線12、蓋13、FLL(Flux Locked Loop)回路14、ASP(Analog Signal Processor)15、計算機16、及び磁気検出素子20を備える。
このうち、容器11は、液体窒素17を溜める断熱容器であって、例えば真空断熱された樹脂容器とガラス容器との二層構造を有する。
また、蓋13は圧力解放弁を備えており、これにより容器11内が所定の圧力に維持される。
そして、磁気検出素子20は、液体窒素17によって77Kに冷却された複数のSQUIDを含む素子である。そのSQUIDの出力電流は、引き出し線12を介してFLL回路14に出力される。
FLL回路14は、SQUIDの出力電流を電圧に変換してそれを積分してASP15に出力すると共に、その積分電圧をフィードバックコイルに供給して帰還磁束を発生させる。その帰還磁束によってSQUIDの鎖交磁束はゼロにロックされるため、FLL回路14の出力電圧はSQUIDが検知した信号磁束に比例するようになる。
このようにFLL回路14の入力はSQUIDの出力電流となるが、FLL回路14が受け付けることができる出力電流の範囲には制限が設けられていることがある。例えば、一つの超伝導ループに二つのジョセフソン接合が設けられたDC-SQUIDにおいては、FLL回路14が受け付けることができる電流の範囲ΔIは20μA〜200μA程度の範囲に制限されることがある。
一方、ASP15は、FLL回路14の出力を増幅して計算機16に出力する。
そして、計算機16は、FLL回路14の出力を基にして信号磁束の大きさを求めるパーソナルコンピュータである。
なお、この例では電源が不要な液体窒素17によって磁気検出素子20を77Kに冷却しているが、電源が確保できる状況では冷凍器で磁気検出素子20を50K〜77K程度の温度に冷却してもよい。
次に、上記の磁気検出素子20について説明する。
図5は、本実施形態に係る磁気検出素子の平面図である。
図5に示すように、磁気検出素子20は、基板21とその上に形成された第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dとを備える。
このうち、基板21は、MgO基板等の絶縁基板であって、その表面21yには六角形状の凹部21xが形成される。
凹部21xの大きさは特に限定されない。この例では、凹部21xの深さを0.2μm〜0.4μm程度にすると共に、凹部21xの一辺の長さを3mm〜5mm程度とする。
また、凹部21xは複数の側面21a〜21dを備えており、その凹部21xの外側の表面21yと各側面21a〜21dの各々に重なるように第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dが形成される。
第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dは、それぞれ独立したSQUIDであって、その各々は10μm×50μm程度の矩形状である。
第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dの材料は酸化物超伝導体であれば特に限定されない。本実施形態ではその材料としてYBCOを使用する。また、各超伝導ループ22a〜22dの線幅は5μm程度であり、その膜厚は200nm程度である。
更に、このように側面21a〜21dに第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dを形成することで、各超伝導ループ22a〜22dにはそれぞれ二つのステップエッジ型のジョセフソン接合22jが形成される。このように一つの超伝導ループに二つのジョセフソン接合が設けられたSQUIDはDC-SQUIDと呼ばれる。
そして、基板21の上には、凹部21xを内側に含むピックアップコイル22eとインプットコイル22fとが設けられる。
このうち、ピックアップコイル22eは、第2の超伝導コイルの一例であって、インプットコイル22fを内側に含むように設けられる。そして、そのピックアップコイル22eの内側を検出対象の信号磁束が貫くことにより、ピックアップコイル22eに誘導電流IBが発生する。
この例では、ピックアップコイル22eを貫く信号磁束を多くして誘導電流IBを大きくするために、ピックアップコイル22eを一辺の長さが数cm程度の大きな矩形状とする。
一方、インプットコイル22fは、第1の超伝導コイルの一例であって、凹部21xよりも外側の超伝導ループ22a〜22dを相互に接続し、誘導電流IBにより磁界を生成する。
なお、ピックアップコイル22eとインプットコイル22fは各超伝導ループ22a〜22dと同じYBCO膜から形成されており、インプットコイル22fの端部22gにおいて相互に接続される。
また、ピックアップコイル22eとインプットコイル22fはいずれも段差がない表面21yに形成されるため、これらのコイルにはジョセフソン接合は形成されない。そのため、ピックアップコイル22eとインプットコイル22fの各々を流れる超伝導電流がジョセフソン接合で阻害されることはなく、信号磁束から効率的に誘導電流IBを発生させることができる。
そして、そのインプットコイル22fで発生した磁界に各超伝導ループ22a〜22dが曝されることにより、その磁界の強度に応じた電流が各超伝導ループ22a〜22dにおいて発生する。
実使用下においては、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dのうちのいずれか一つを選択し、選択した超伝導ループを用いて磁界の測定を行う。
第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dの選択方法は特に限定されない。
図6は、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dの選択方法を説明するための平面図である。
この例では、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dのうちから一つを選択するための第1の超伝導パッド28a〜28dと第2の超伝導パッド28eとを設ける。
このうち、第1の超伝導パッド28a〜28dは凹部21xの内側に設けられており、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dの各々と接続される。
一方、第2の超伝導パッド28eは凹部21xの外側に設けられており、第4の超伝導ループ22dと接続される。なお、第4の超伝導ループ22dに代えて、第1〜第3の超伝導ループ22a〜22cのいずれかに第2の超伝導パッド28eを接続してもよい。
また、各超伝導パッド28a〜28eの材料は、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dと同じYBCOである。
そして、第1の超伝導パッド28a〜28dの各々に第1の導線27a〜27dを接続すると共に、第2の超伝導パッド28eに第2の導線27eを接続する。
更に、各超伝導パッド22p、22qに一対の導線27a〜27dを接続する。これらの導線27a〜27eの各々は、引き出し線12(図4参照)を通って不図示の選択回路に導入される。
そして、第2の導線27eを選択した状態で、第1の導線27a〜27dのいずれかをその選択回路において選択することにより、その第1の導線に繋がる超伝導ループ22a〜22dを選択することができる。
なお、凹部21xの外側の部分の各超伝導ループ22a〜22dは、インプットコイル22fによって相互に接続されているため、当該部分の超伝導ループ22a〜22dは一つの第2の導線27eのみで選択することができる。
図7(a)〜(d)は、各側面21a〜21dにおける超伝導ループ22a〜22dの断面図である。
図7(a)〜(d)に示すように、本実施形態においては、基板21の表面21yから測った各側面21a〜21dの傾斜角度θa〜θdはそれぞれ異なる。
図8は、傾斜角度θa〜θdと、各超伝導ループ22a〜22dのジョセフソン接合22jを流れる臨界電流密度Jcとの関係を示す模式図である。
なお、図8においては、各超伝導ループ22a〜22dの冷却温度TがT1の場合と、冷却温度TをT1よりも低いT2とした各場合について示している。
また、図8における電流密度範囲ΔImは、FLL回路14(図4参照)が受け付けることができる20μA〜200μA程度の電流に対応した範囲である。
図3を参照して説明したように、臨界電流密度Jcは傾斜角度によって異なる。
よって、上記のように各傾斜角度θa〜θdを異なる値とすることにより、冷却温度TがT1のときの臨界電流密度Jcを超伝導ループ22a〜22dごとに変えることが可能となる。
そのため、各超伝導ループ22a〜22dのいずれかの臨界電流密度Jcが電流密度範囲ΔImに収まるようになり、その超伝導ループを選択することでFLL回路14が受け付け可能な出力電流を得ることができる。
しかも、T = T2とすると、各超伝導ループ22a〜22dのうちでT = T1のときとは別の超伝導ループの臨界電流密度Jcが電流密度範囲ΔImに収まる。よって、本実施形態では冷却温度の如何を問わずに磁気検出素子20の出力電流をFLL回路14が受けることができ、磁気検出素子20の冷却方法に対する制限を緩和することができる。
各温度T1、T2は特に限定されない。例えば、温度T1は冷凍器で実現可能な50K〜77K程度の温度でもよいし、温度T2は液体窒素の沸点(77K)でもよい。
これにより、冷凍器の電源を確保できない環境下では液体窒素で冷却し、電源を確保できる場合には冷凍器で長時間冷却する等のように、磁気検出素子20の使用環境の選択の幅を広げることができる。
なお、超伝導ループ22a〜22dごとに臨界電流密度Jcを変えるために、超伝導ループ22a〜22dの各々の線幅や膜厚を変えることも考えられる。
しかし、ジョセフソン接合22jの特性を維持できる超伝導ループ22a〜22dの線幅は2μm〜5μm程度である。これでは線幅を高々2.5倍程度にしか変化させることができず、超伝導ループ22a〜22dごとに臨界電流密度Jcを大きく変えるのは難しい。
また、超伝導ループ22a〜22dは同一の製造工程で同時に形成されるため、超伝導ループ22a〜22dの膜厚は自動的に同一となる。そのため、超伝導ループ22a〜22dごとに膜厚を変えて臨界電流密度Jcを変えるのも難しい。
本実施形態ではこのように線幅や膜厚を変えずに、傾斜角度θa〜θdが異なる複数の側面21a〜21dを利用するだけで臨界電流密度Jcを大きく変えることができるため、超伝導ループ22a〜22dごとに臨界電流密度Jcを簡単に変えることができる。
次に、本実施形態に係る磁気検出素子の製造方法について説明する。
図9〜図12は、本実施形態に係る磁気検出素子の製造途中の断面図であり、図13〜図16はその平面図である。
まず、図9(a)、図13(a)に示すように、基板21としてMgO基板を用意する。基板21の大きさは特に限定されないが、この例では基板21の厚さを0.5mmとし、その平面形状を一辺の長さが15mmの正方形とする。
そして、基板21の上にポジ型の第1のレジスト膜31をスピンコータで1μm程度の厚さに塗布した後、第1のレジスト膜31から溶媒成分を蒸発させるためのプリベークを行う。そのプリベークは、例えば基板温度を85℃、加熱時間を20分とする条件で行われる。
次に、図9(b)、図13(b)に示すように、第1のレジスト膜31を露光、現像することにより、第1のレジスト膜31に開口31aを形成する。
図13(b)に示すように、その開口31aの平面形状は六角形である。
その後に、基板21の全面を洗浄し、更に基板温度を115℃、加熱時間を10分とする条件で第1のレジスト膜31を架橋させる。このような加熱処理はポストベークとも呼ばれる。
続いて、図10(a)、図14(a)に示すように、Arイオンミリング装置内に基板21を傾けて設置する。この例では、Arイオンの入射方向に対する基板21の表面21yの傾斜角度αを60°とする。
そして、傾斜角度αを固定しながら、開口31aを通じて基板21にArイオンを照射することにより、開口31aの下の基板21に凹部21xを0.2μm〜0.4μm程度の深さに形成する。
図14(a)に示すように、その凹部21xは、複数の側面21a〜21dを備えた六角形状である。
その後に、酸素雰囲気中で第1のレジスト膜31をアッシングして除去する。
次に、図10(b)、図14(b)に示すように、基板21の上側全面にPLD(Pulse Laser Deposition)法によりYBCO(Y1Ba2Cu3Ox)膜を200nm程度の厚さに形成し、そのYBCO膜を酸化物超伝導体膜22とする。
その酸化物超伝導体膜22の成膜条件は特に限定されない。例えば、圧力が100mTorr〜200mTorrの酸素雰囲気中で基板温度を740℃にしながら、YBCOターゲットに発光周波数が5Hzのエキシマレーザを照射することにより酸化物超伝導体膜22を形成し得る。なお、エキシマレーザの波長は248nmであり、YBCOターゲット上でのエキシマレーザのエネルギ密度は2J/cm2である。
また、このように基板21の上側全面に酸化物超伝導体膜22を形成することにより、凹部21xの外側の表面21yと各側面21a〜21dとの境目の酸化物超伝導体膜22にステップエッジ型のジョセフソン接合22jが形成される。
続いて、図11(a)、図15(a)に示すように、第1のレジスト膜31と同じ成膜条件で酸化物超伝導体膜22の上に第2のレジスト膜32を形成する。
そして、図11(b)、図15(b)に示すように、第2のレジスト膜32をマスクにしながらArのイオンミリングにより酸化物超伝導体膜22をエッチングすることにより、線幅が5μm程度の第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dを形成する。
また、これと同時に、線幅が1mm程度のピックアップコイル22eと線幅が10μm程度のインプットコイル22fも形成される。
なお、第1〜第4の超伝導ループ22a〜22dの各々の側面の傾斜角度を同一にするために、本工程では基板21を回転させながらイオンミリングを行うのが好ましい。
その後に、図12、図16に示すように、酸素雰囲気中で第2のレジスト膜32をアッシングして除去する。
以上により、本実施形態に係る磁気検出素子20の基本構造が完成する。
上記した磁気検出素子20の製造方法では、図10(a)に示したように、傾斜角度αを固定しながら基板21に対してイオンミリングを行うことにより凹部21xを形成する。
本願発明者は、これにより形成された凹部21xの各側面21a〜21dの傾斜角度を調査した。
その調査結果を図17に示す。
その調査では、各側面21a〜21dの断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で観察した。なお、観察時に基板21がチャージアップするのを防止するために、この調査では基板21の表面にチタン膜と金膜とをこの順に形成した。チタン膜は、金膜と基板21との密着性を高める密着膜であり、10nmの厚さに形成した。また、金膜は50nmの厚さに形成した。
図17に示すように、上記のように傾斜角度αを固定してイオンミリングを行うと、各側面21a〜21dの傾斜角度θa〜θdが異なることが明らかとなった。
これにより、前述のように超伝導ループ22a〜22dの各々の臨界電流密度Jcが異なる値となるため、各超伝導ループ22a〜22dの中から冷却温度等の使用環境に適したものを選ぶことができ、磁気検出素子20の使用環境に対する制限が緩和される。
しかも、傾斜角度θa〜θdが異なる各側面21a〜21dを一度のイオンミリングにより形成できるため、磁気検出素子20の製造コストが上昇するのも抑えることができる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は上記に限定されない。
例えば、凹部21xは、多角形であればその形状は特に限定されない。
図18は、凹部21xのバリエーションについて説明するための平面図である。
図18に示すように、凹部21xは三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、及び八角形のいずれかとし得る。更に、九角形以上の多角形の凹部21xを形成してもよい。
1…サンプル、2…基板、2x…段差、2a…表面、3…超伝導パターン、3j…ジョセフソン接合、10…磁気測定装置、11…容器、12…引き出し線、13…蓋、14…FLL回路、15…ASP、16…計算機、17…液体窒素、20…磁気検出素子、21…基板、21x…凹部、21y…表面、21a〜21d…側面、22…酸化物超伝導体膜、22a〜22d…第1〜第4の超伝導ループ、22e…ピックアップコイル、22f…インプットコイル、22j…ジョセフソン接合、27a〜27d…第1の導線、27e…第2の導線、28a〜28d…第1の超伝導パッド、28e…第2の超伝導パッド、31…第1のレジスト膜、31a…開口、32…第2のレジスト膜。

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板の表面に形成され、前記表面からの傾斜角度が異なる複数の側面を備えた平面視で多角形状の凹部と、
    前記凹部の外側の前記表面と複数の前記側面の各々に重なるように形成され、前記表面と前記側面との境目にジョセフソン接合を有する複数の超伝導ループと、
    を有する磁気検出素子。
  2. 前記凹部を内側に含むように前記表面に形成され、前記凹部の外側の前記超伝導ループの各々を接続する第1の超伝導コイルと、
    前記第1の超伝導コイルを内側に含むように前記表面に形成され、かつ前記第1の超伝導コイルに接続された第2の超伝導コイルとを更に有することを特徴とする請求項1に記載の磁気検出素子。
  3. 前記第1の超伝導コイルと前記第2の超伝導コイルはジョセフソン接合を含まないことを特徴とする請求項2に記載の磁気検出素子。
  4. 前記凹部の内側に形成され、複数の前記超伝導ループの各々に接続された複数の第1の超伝導パッドと、
    前記凹部の外側に形成され、複数の前記超伝導ループのいずれかに接続された第2の超伝導パッドとを更に有することを特徴とする請求項2に記載の磁気検出素子。
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