JP6921621B2 - エアジェット織機の緯糸検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、メインノズル及びサブノズルからのエア噴射により、筬内通路を経て緯入れされる緯糸の筬内通路に対する位置を検知するエアジェット織機の緯糸検知装置に関する。
エアジェット織機において、緯糸は、メインノズル及びサブノズルからのエア噴射により、筬内通路を飛走する。例えば特許文献1では、光電センサから構成される感光素子が、筬内通路の上部境界の領域に多数配設されている。各感光素子は、筬内通路に沿って延びている。多数の感光素子は、筬内通路の奥行き方向に並設されている。各感光素子は、光源から発生する光線を受光可能である。そして、筬内通路を飛走する緯糸は、光線の一部を遮断する。これにより、多数の感光素子のうち、緯糸によって覆われた感光素子には、弱い光線が受光される。したがって、多数の感光素子のうち、どの感光素子が弱い光線を受光したかを検出することによって、筬内通路における緯糸の奥行き方向位置を検出することが可能となる。
特表2001−504902号公報
しかしながら、特許文献1においては、感光素子が多数必要になるため、コストが嵩むとともに、筬打ち時における筬のエアジェット織機の前後方向への往復揺動に伴い、筬が振動して多数の感光素子に衝撃が加わることから、耐久性の面でも問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コストを抑えることができるとともに耐久性を向上させることができるエアジェット織機の緯糸検知装置を提供することにある。
上記課題を解決するエアジェット織機の緯糸検知装置は、緯入れ用のメインノズルと、緯入れ用のサブノズルと、ガイド凹部を有する筬羽が緯入れ方向に複数列設された筬と、を備え、前記メインノズル及び前記サブノズルからのエア噴射により、複数の前記ガイド凹部によって形成された筬内通路を経て緯糸が緯入れされるエアジェット織機の緯糸検知装置であって、前記ガイド凹部に対して前記ガイド凹部よりも織布側に配置される投光部及び受光部を有する反射式光電センサと、前記投光部から出射されて前記緯糸に当たって反射した後、前記受光部に受光される反射光の光量レベルに基づいて、前記筬内通路に対する前記緯糸の奥行き方向位置を判別する判別部と、を備えた。
これによれば、判別部は、受光部に受光される反射光の光量レベルが高いほど、緯糸が投光部及び受光部に近い位置にあると判別し、受光部に受光される反射光の光量レベルが低いほど、緯糸が投光部及び受光部から離れた位置にあると判別する。よって、判別部によって、筬内通路に対する緯糸の奥行き方向位置を判別することができる。したがって、従来技術のように、多数の光電センサを用いること無く、一つの反射式光電センサを用いるだけで、筬内通路における緯糸の奥行き方向位置を判別することができるため、コストを抑えることができるとともに耐久性を向上させることができる。
上記エアジェット織機の緯糸検知装置において、前記反射式光電センサは、前記筬内通路の織幅内に配置されているとよい。
これによれば、例えば、反射式光電センサを、筬内通路におけるメインノズルとは反対側の織幅の外に配置して、筬内通路に対する緯糸の奥行き方向位置を判別する場合に比べると、筬内通路に対する緯糸の奥行き方向位置を早く判別することができる。
上記エアジェット織機の緯糸検知装置において、前記反射式光電センサは、前記筬内通路の織幅内における前記織幅の中央よりも前記メインノズル側に配置されているとよい。
筬内通路の織幅内における織幅の中央よりもメインノズル側は、筬内通路の織幅内における織幅の中央よりもメインノズルとは反対側に比べると、筬内通路に緯入れされた緯糸の先端における筬内通路からの飛び出しが発生し易い。このような、緯糸の先端における筬内通路からの飛び出しが発生し易い位置において、筬内通路に対する緯糸の奥行き方向位置を判別することができる。
上記エアジェット織機の緯糸検知装置において、前記判別部によって判別された前記筬内通路に対する前記緯糸の奥行き方向位置に応じて、前記サブノズルの噴射タイミング及び前記サブノズルの噴射圧のうち少なくとも一方をフィードバック制御するフィードバック制御部を備えているとよい。
これによれば、例えば、判別部による筬内通路に対する緯糸の奥行き方向位置の判別によって、緯糸が筬内通路から飛び出していたことが分かった場合に、フィードバック制御部が、サブノズルの噴射タイミング及び前記サブノズルの噴射圧のうち少なくとも一方をフィードバック制御することで、緯入れミスを抑えることができる。
この発明によれば、コストを抑えることができるとともに耐久性を向上させることができる。
実施形態におけるエアジェット織機の緯入れ装置を示す概略図。 エアジェット織機の緯入れ装置を部分的に示す概略斜視図。 筬羽と第2織幅内センサとの位置関係を示す模式図。 第2織幅内センサから出射される光の光量分布を示す模式図。 (a)は緯糸が筬内通路を正常に飛走している状態を示す模式図、(b)はセンサ電圧とクランク角度との関係を示すグラフ。 (a)は緯糸が筬内通路から飛び出している状態を示す模式図、(b)はセンサ電圧とクランク角度との関係を示すグラフ。 (a)は緯糸が筬内通路から飛び出している状態を示す模式図、(b)はセンサ電圧とクランク角度との関係を示すグラフ。
以下、エアジェット織機の緯糸検知装置を具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。なお、以下の説明において、緯糸を経糸開口内に緯入れして緯糸を搬送する緯入れ方向に対し、緯入れ方向とは反対側を上流側、緯入れ方向側を下流側とする。
図1に示すように、緯入れ装置10は、緯入れノズル11、給糸部12、緯糸測長貯留装置13、筬14、複数の緯入れ用のサブノズル15、及び制御装置16を備えている。制御装置16には、表示機能及び入力機能を有する表示装置16aが付属されている。
給糸部12は、緯入れノズル11の上流側に配設されている。給糸部12の緯糸Yは、緯糸測長貯留装置13の巻付けアーム(図示せず)の回転により引き出され、貯留ドラム17に巻き付けられた状態で貯留される。
緯糸測長貯留装置13には、緯糸係止ピン18、及び緯糸Yの緯糸測長貯留装置13からの解舒を検出するバルーンセンサ19が設けられている。緯糸係止ピン18及びバルーンセンサ19は、貯留ドラム17の周囲に配設されている。緯糸係止ピン18は、制御装置16と電気的に接続されている。緯糸係止ピン18は、制御装置16に予め設定された織機回転角度において、貯留ドラム17に貯留された緯糸Yを解舒する。緯糸係止ピン18による緯糸Yの解舒が行われるタイミングは、緯入れ開始タイミングである。
バルーンセンサ19は、制御装置16と電気的に接続されている。バルーンセンサ19は、緯入れ中に貯留ドラム17から解舒される緯糸Yを検出し、制御装置16に緯糸解舒信号を発信する。制御装置16は、予め設定された回数(本実施形態では4回)の緯糸解舒信号を受信すると、緯糸係止ピン18を作動する。緯糸係止ピン18は、貯留ドラム17から解舒される緯糸Yを係止し、緯入れを終了させる。
なお、緯糸係止ピン18が緯糸Yを係止するための作動タイミングは、織幅TLに相当する長さの緯糸Yを貯留ドラム17に貯留するために要する巻き付け回数に応じて設定されている。本実施形態では、制御装置16は、バルーンセンサ19の緯糸解舒信号を4回受信すると、緯糸Yを係止する動作信号が緯糸係止ピン18に発信されるように設定されている。したがって、本実施形態の緯入れ装置10では、貯留ドラム17の4巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yが緯入れされる。
バルーンセンサ19の緯糸検出信号は、貯留ドラム17からの緯糸Yの解舒信号であり、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき緯糸解舒タイミングとして認識される。
緯入れノズル11は、貯留ドラム17の緯糸Yを引き出すタンデムノズル21と、緯糸Yを筬14の筬内通路14aに緯入れする緯入れ用のメインノズル22と、を有する。エアジェット織機においては、メインノズル22及びサブノズル15からのエア噴射により、筬内通路14aを経て緯糸Yが緯入れされる。タンデムノズル21の上流側には、緯入れ終了前に、飛走する緯糸Yを制動するブレーキ23が設けられている。
メインノズル22は、配管22aを介してメインバルブ22vに接続されている。メインバルブ22vは、配管22bを介してメインエアタンク26に接続されている。タンデムノズル21は、配管21aを介してタンデムバルブ21vに接続されている。タンデムバルブ21vは、配管21bを介してメインバルブ22vと共通のメインエアタンク26に接続されている。
メインエアタンク26は、メイン圧力計27、メインレギュレータ28、元圧力計29、及びフィルタ30を介して、織布工場に設置された共通のエアコンプレッサ31に接続されている。メインエアタンク26では、エアコンプレッサ31から供給され、メインレギュレータ28により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。また、メインエアタンク26に供給される圧縮エアの圧力は、メイン圧力計27により常時検出されている。
複数のサブノズル15は、1例として6群に分けられ、各群は、4本のサブノズル15により構成されている。各群に対応して6個のサブバルブ32が配設され、各群のサブノズル15は、それぞれ配管33を介して各サブバルブ32に接続されている。各サブバルブ32は、共通のサブエアタンク34に接続されている。
サブエアタンク34は、サブ圧力計35を介してサブレギュレータ36に接続されている。また、サブレギュレータ36は、配管36aにより、メイン圧力計27とメインレギュレータ28とを接続している配管28aに接続されている。サブエアタンク34では、エアコンプレッサ31から供給され、サブレギュレータ36により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。また、サブエアタンク34に供給される圧縮エアの圧力は、サブ圧力計35により常時検出されている。
メインバルブ22v、タンデムバルブ21v、サブバルブ32、元圧力計29、メイン圧力計27、サブ圧力計35、及びブレーキ23は、制御装置16と電気的に接続されている。制御装置16には、メインバルブ22v、タンデムバルブ21v、サブバルブ32、及びブレーキ23を作動するための作動タイミングや作動期間が予め設定されている。また、制御装置16は、元圧力計29、メイン圧力計27、及びサブ圧力計35の検出信号を受信する。
メインバルブ22v及びタンデムバルブ21vには、緯糸係止ピン18が作動する緯入れ開始タイミングよりも早いタイミングで制御装置16から作動指令信号が出力され、メインノズル22及びタンデムノズル21から圧縮エアが噴射される。ブレーキ23には、緯糸係止ピン18が作動して貯留ドラム17の緯糸Yを係止する緯糸先端到達タイミングよりも早い時期に制御装置16から作動指令信号が出力される。ブレーキ23は、高速で飛走する緯糸Yを制動して緯糸Yの飛走速度を低下させ、緯糸先端到達タイミングにおける緯糸Yの衝撃を緩和する。
制御装置16には、各種の織物条件及び製織条件が登録され、記憶されている。織物条件としては、例えば、緯糸Yに使用する糸の材質、番手、等の緯糸種類、緯糸密度、経糸に使用する糸の材質、番手等の経糸種類、経糸密度、織幅、織物組織等が含まれている。製織条件としては、例えば、織機の回転数、メインエアタンク26及びサブエアタンク34の圧縮エアの圧力、メインバルブ22v及びタンデムバルブ21vの開度、緯入れ開始タイミング、目標緯糸先端到達タイミング等が含まれる。
図2に示すように、メインノズル22、サブノズル15、及び筬14は、スレイ24上に配設され、エアジェット織機の前後方向に往復揺動される。複数のサブノズル15は、支持ブロック25を介してスレイ24上にそれぞれ固定されている。サブノズル15は、スレイ24の揺動に伴って経糸Tの列の間から経糸Tの開口内に対して出入り可能となっている。
また、タンデムノズル21、ブレーキ23、緯糸測長貯留装置13、及び給糸部12は、エアジェット織機のフレーム(図示せず)又は床面(図示せず)に取り付けられたブラケット(図示せず)等に固定されている。
筬14は、ガイド凹部14bを有する筬羽14cが緯入れ方向に複数列設されて構成されている。筬内通路14aは、複数の筬羽14cのガイド凹部14bによって形成されている。
図1及び図2に示すように、筬内通路14aの下流側には、エンドセンサ40が配設されている。エンドセンサ40は、筬内通路14aにおけるメインノズル22とは反対側の織幅TLの外に配置されている。
エンドセンサ40は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17の4巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、エンドセンサ40の検出位置となるように、織幅TLの外に配置されている。エンドセンサ40は、制御装置16と電気的に接続されている。また、エンドセンサ40の緯糸検出信号は、緯糸Yの到達信号であり、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき、緯入れされた緯糸Yの先端がエンドセンサ40の検出位置に到達した緯糸先端到達タイミングとして認識される。
エンドセンサ40よりも上流側の織幅TL内の筬内通路14aには、第1織幅内センサ41が配設されている。よって、第1織幅内センサ41は、筬内通路14aの織幅TL内に配置され、筬内通路14aにおける織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側に配置されている。第1織幅内センサ41は、緯糸Yが正常に緯入れされた状態で、貯留ドラム17の3巻分の緯糸貯留長さに相当する緯糸Yの先端位置が、第1織幅内センサ41の検出位置となるように、織幅TL内に配置されている。第1織幅内センサ41は、制御装置16と電気的に接続されている。第1織幅内センサ41による緯糸検出信号は、制御装置16において、エンコーダ20から得られる織機回転角度信号に基づき、緯入れされた緯糸Yの先端が第1織幅内センサ41の検出位置に到達した緯糸中間到達タイミングとして認識される。
第1織幅内センサ41よりも上流側の織幅TL内の筬内通路14aには、第2織幅内センサ42が配設されている。よって、第2織幅内センサ42は、筬内通路14aの織幅TL内に配置され、筬内通路14aの織幅TL内における織幅TLの中央よりもメインノズル22側に配置されている。第2織幅内センサ42は、制御装置16と電気的に接続されている。
図2及び図3に示すように、エンドセンサ40、第1織幅内センサ41、及び第2織幅内センサ42は、支持ブロック43を介してスレイ24上に位置調整可能に固定されている。第1織幅内センサ41及び第2織幅内センサ42は、メインノズル22の噴射圧の影響を受けない範囲において緯糸Yを検知可能な位置でスレイ24に固定されている。
図3に示すように、第1織幅内センサ41及び第2織幅内センサ42は、筬内通路14aと対向し、且つ図3において二点鎖線で示すように、筬打ち時に、織布W及び織前W1の下方を移動して織布Wと干渉しないようにスレイ24に固定されている。
図4及び図5(a)に示すように、第2織幅内センサ42は、投光部42a及び受光部42bを有する反射式光電センサである。なお、エンドセンサ40及び第1織幅内センサ41も、第2織幅内センサ42と同様に投光部及び受光部を有する。
第2織幅内センサ42の本体部42cは、二つの収容孔42dを有する筒状である。投光部42a及び受光部42bは、各収容孔42dにそれぞれ収容される光ファイバーである。
図5(a)に示すように、投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421bは、ガイド凹部14bに対してガイド凹部14bよりも織布W側に配置されている。投光部42a及び受光部42bは、両先端部421a,421bが上下方向に並ぶように本体部42cに設けられている。投光部42aの先端部421aは、受光部42bの先端部421bよりも上側に位置している。
エアジェット織機の駆動時、投光部42aの先端部421aから筬内通路14aに向けて光が出射される。投光部42aの先端部421aから出射された光は、筬内通路14aを飛走する緯糸Yに当たると反射する。そして、緯糸Yに当たって反射した反射光の一部は、受光部42bの先端部421bに受光される。
図1に示すように、受光部42bの先端部421bで受光された反射光は、フィラーアンプ46に入力される。フィラーアンプ46は、入力された反射光をフォトダイオードで受光して電気信号に変換し、変換された電気信号を増幅した後、バンドパスフィルタ47へ出力する。バンドパスフィルタ47は、フィラーアンプ46からの出力信号のうち2〜5kHzの範囲の周波数の出力信号の通過を許容する。
さらに、バンドパスフィルタ47の出力信号は、A/D変換器48を介して制御装置16に入力される。制御装置16は、バンドパスフィルタ47からの出力信号値が予め設定された閾値まで低下したタイミングを緯糸Yの伸びきりタイミングとして推定する。具体的には、制御装置16は、バンドパスフィルタ47で処理されたアナログ信号を、数十kHzのサンプリングでA/D変換器48を介して入力し、絶対値算出、緯入れ100回の平均値算出、移動平均算出、伸びきりタイミング算出、推定の処理を行う。制御装置16には、伸びきりタイミングを推定するための閾値が、緯糸Yの見かけ直径との関係式あるいはグラフとしてのデータで記憶されている。閾値は、平均出力電圧の値で設定されている。
ところで、図4に示すように、投光部42aの先端部421aから出射された光の光量分布は、第2織幅内センサ42を投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421b側から見たときに、第2織幅内センサ42の中央部から離間するほど低くなる同心円状の分布となっている。具体的には、光量分布が最も高い最高領域Z1は、第2織幅内センサ42の中央部に最も近く、最高領域Z1よりも光量分布が低い高領域Z2は、最高領域Z1よりも外側に位置している。さらに、高領域Z2よりも光量分布が低い中領域Z3は、高領域Z2よりも外側に位置しており、中領域Z3よりも光量分布が低い低領域Z4は、中領域Z3よりも外側に位置している。
また、図5(a)に示すように、第2織幅内センサ42を側面視したときに、投光部42aの先端部421aから出射された光の光量分布において、最高領域Z1は、その大部分が、高領域Z2の大部分及び中領域Z3の大部分よりもガイド凹部14bの底面141bから離れた位置にある。高領域Z2は、最高領域Z1全体を覆うとともに、その大部分が、最高領域Z1よりもガイド凹部14bの底面141bに近い位置にある。中領域Z3は、高領域Z2全体を覆うとともに、その大部分が、高領域Z2よりもガイド凹部14bの底面141bに近い位置にある。低領域Z4は、中領域Z3のほぼ全体を覆っている。低領域Z4の一部分は、ガイド凹部14bの底面141b全体に連続している。受光部42bに受光される反射光に基づく電気信号の信号強度、すなわち、反射光の光量レベルは、光量分布と比例関係にある。
次に、本実施形態の作用について説明する。
例えば、図5(a)に示すように、緯糸Yの先端が、第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過する際に、光量分布における低領域Z4であり、且つ筬内通路14aにおいて中領域Z3よりもガイド凹部14bの底面141b寄りを通過しているとする。
図5(b)では、図5(a)の状態のときのエアジェット織機の運転時のクランク角度と、第2織幅内センサ42の受光部42bに受光される反射光に基づく電気信号の信号強度、すなわち、反射光の光量レベルであるセンサ電圧(信号出力電圧)との関係を示している。なお、本実施形態では、クランク角度が80°から270°までが緯入れ許容期間であり、そこから外れたクランク角度の範囲では、第2織幅内センサ42は経糸Tの動きを検知している。
図5(b)に示すように、緯糸Yの先端が第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過するクランク角度105°のタイミングにおいて、センサ電圧の急峻な上昇が無く、センサ電圧は、その後もほぼ一定で推移している。
一方、図6(a)に示すように、緯糸Yの先端が、第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過する際に、光量分布における高領域Z2を通過しているとする。図6(b)では、図6(a)の状態のときのエアジェット織機の運転時のクランク角度と、第2織幅内センサ42のセンサ電圧との関係を示している。
図6(b)に示すように、センサ電圧は、緯糸Yの先端が第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過するクランク角度105°のタイミングにおいて2.6V程度まで急上昇した後2.0V程度まで下がり、その後、ほぼ一定で推移している。
図7(a)に示すように、緯糸Yの先端が、第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過する際に、光量分布における低領域Z4であり、且つ中領域Z3よりもガイド凹部14bの底面141bとは反対側を通過しているとする。図7(b)では、図7(a)の状態のときのエアジェット織機の運転時のクランク角度と、第2織幅内センサ42のセンサ電圧との関係を示している。この場合、緯糸Yにおいて、先端よりも下流側の部分は、筬内通路14aを飛走する際に、最高領域Z1、高領域Z2、及び中領域Z3のいずれかの領域を通過する可能性が高い。
図7(b)に示すように、緯糸Yの先端が第2織幅内センサ42の投光部42aから出射される光の出射領域を通過するクランク角度105°のタイミングにおいては、センサ電圧の急峻な上昇は無い。しかし、その後、緯糸Yにおいて、先端よりも下流側の部分が最高領域Z1、高領域Z2、及び中領域Z3のいずれかの領域を通過するクランク角度のタイミングにおいて、センサ電圧が急上昇し、その後、センサ電圧が2.0Vまで下がって、ほぼ一定で推移する。
センサ電圧の急上昇の度合いは、光量分布に比例する。よって、緯糸Yが通過する光量分布の領域が高い領域であるほど、センサ電圧の急上昇の度合いは大きくなり、緯糸Yが通過する光量分布の領域が低い領域であるほど、センサ電圧の急上昇の度合いは小さくなる。
制御装置16は、図5(b)に示すように、緯入れ許容期間内に、センサ電圧の急峻な上昇が無く、センサ電圧がほぼ一定で推移している場合、緯糸Yが筬内通路14aを正常に飛走している状態であると判別する。また、制御装置16は、図6(b)及び図7(b)に示すように、緯入れ許容期間内に、センサ電圧の急峻な上昇があった場合、緯糸Yが筬内通路14aから飛び出しているか、あるいは飛び出しが起こる直前の異常状態であると判別する。よって、本実施形態において、制御装置16は、第2織幅内センサ42のセンサ電圧に基づいて、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向(図5(a)、図6(a)及び図7(a)において示す矢印Aの方向)位置を判別する。
制御装置16は、センサ電圧の急上昇の度合いによって、緯糸Yにおける筬内通路14aに対する奥行き方向位置を判別する。制御装置16は、センサ電圧が高い、すなわち、受光部42bに受光される反射光の光量レベルが高いほど、緯糸Yが投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421bに近い位置にあると判別する。一方、制御装置16は、センサ電圧が低い、すなわち、受光部42bに受光される反射光の光量レベルが低いほど、緯糸Yが投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421bから遠い位置にあると判別する。したがって、制御装置16は、投光部42aから出射されて緯糸Yに当たって反射した後、受光部42bに受光される反射光の光量レベルに基づいて、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別する判別部として機能する。そして、第2織幅内センサ42は、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するために用いられる反射式光電センサとして用いられている。
また、制御装置16は、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別し、緯糸Yが筬内通路14aから飛び出している状態、あるいは飛び出しが起こる直前の異常状態であると判別した場合、その判別した筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置に応じて、サブノズル15の噴射タイミングやサブノズル15の噴射圧をフィードバック制御する。具体的には、制御装置16は、フィードバック制御として、6群に分けられたサブノズル15のうち、最も上流側に配置されている群のサブノズル15の噴射タイミングを早めたり、サブノズル15の噴射圧を高くしたりして、緯糸Yにおける筬内通路14aからの飛び出しを抑える。
制御装置16は、判別した筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置に応じて、サブノズル15の噴射タイミングのみをフィードバック制御したり、サブノズル15の噴射圧のみをフィードバック制御したりする。さらには、制御装置16は、判別した筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置によっては、サブノズル15の噴射タイミング及び噴射圧の両方をフィードバック制御することもある。したがって、制御装置16は、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置に応じて、サブノズル15の噴射タイミング及びサブノズル15の噴射圧のうち少なくとも一方をフィードバック制御するフィードバック制御部としても機能する。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)制御装置16は、投光部42aから出射されて緯糸Yに当たって反射した後、受光部42bに受光される反射光の光量レベルに基づいて、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別する。これによれば、制御装置16は、受光部42bに受光される反射光の光量レベルが高いほど、緯糸Yが投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421bに近い位置にあると判別し、受光部42bに受光される反射光の光量レベルが低いほど、緯糸Yが投光部42a及び受光部42bの先端部421a,421bから遠い位置にあると判別する。よって、制御装置16によって、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別することができる。したがって、従来技術のように、多数の光電センサを用いること無く、一つの第2織幅内センサ42を用いるだけで、筬内通路14aにおける緯糸Yの奥行き方向位置を判別することができるため、コストを抑えることができるとともに耐久性を向上させることができる。
(2)第2織幅内センサ42は、筬内通路14aの織幅TL内に配置されている。これによれば、例えば、反射式光電センサを、筬内通路14aにおけるメインノズル22とは反対側の織幅TLの外に配置して、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別する場合に比べると、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を早く判別することができる。
(3)第2織幅内センサ42は、筬内通路14aの織幅TL内における織幅TLの中央よりもメインノズル22側に配置されている。筬内通路14aの織幅TL内における織幅TLの中央よりもメインノズル22側は、筬内通路14aの織幅TL内における織幅TLの中央よりもメインノズル22とは反対側に比べると、筬内通路14aに緯入れされた緯糸Yの先端における筬内通路14aからの飛び出しが発生し易い。このような、緯糸Yの先端における筬内通路14aからの飛び出しが発生し易い位置において、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別することができる。
(4)制御装置16は、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別し、緯糸Yが筬内通路14aから飛び出している状態、あるいは飛び出しが起こる直前の異常状態であると判別した場合、その判別した筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置に応じて、サブノズル15の噴射タイミング及びサブノズル15の噴射圧のうちの少なくとも一方をフィードバック制御する。これによれば、緯入れミスを抑えることができる。
(5)第2織幅内センサ42は、緯糸Yの伸びきりタイミングを推定するセンサとしても機能している。よって、本実施形態の構成によれば、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するための反射式光電センサを、伸びきりタイミングを推定するセンサとは別に設ける必要が無く、構成を簡素化することができる。
(6)制御装置16は、6群に分けられたサブノズル15のうち、最も上流側に配置されている群のサブノズル15の噴射タイミングや噴射圧をフィードバック制御する。これによれば、制御装置16が、6群のサブノズル15全ての噴射タイミングや噴射圧をフィードバック制御する場合に比べて、空気消費量を低減することができ、省エネ化を図ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するために用いられる反射式光電センサとして、第2織幅内センサ42を用いずに、例えば、第1織幅内センサ41を用いてもよい。つまり、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するための反射式光電センサが、緯糸中間到達タイミングを推定するセンサとして機能していてもよい。
○ 実施形態において、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するために用いられる反射式光電センサとして、第2織幅内センサ42を用いずに、例えば、エンドセンサ40を用いてもよい。つまり、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するための反射式光電センサが、緯糸先端到達タイミングを推定するエンドセンサとして機能していてもよい。
○ 実施形態において、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するために用いられる反射式光電センサが、筬内通路14aの織幅TL内における織幅TLの中央に配置されていてもよい。
○ 実施形態において、筬内通路14aに対する緯糸Yの奥行き方向位置を判別するための反射式光電センサを、伸びきりタイミングを推定するセンサとは別に設けてもよい。
○ 実施形態において、制御装置16により緯糸Yが筬内通路14aから飛び出している状態、あるいは飛び出しが起こる直前の異常状態であると判別された場合に、作業者に警告を出すようにしてもよい。この場合、例えば、表示装置16aに警告を表示するようにしてもよいし、警告表示用のランプを点灯させるようにしてもよい。
○ 実施形態において、制御装置16は、6群のサブノズル15全ての噴射タイミングや噴射圧をフィードバック制御するようにしてもよい。
TL…織幅、W…織布、Y…緯糸、14…筬、14a…筬内通路、14b…ガイド凹部、14c…筬羽、15…サブノズル、16…判別部及びフィードバック制御部として機能する制御装置、22…メインノズル、42…反射式光電センサである第2織幅内センサ、42a…投光部、42b…受光部。

Claims (3)

  1. 緯入れ用のメインノズルと、
    緯入れ用のサブノズルと、
    ガイド凹部を有する筬羽が緯入れ方向に複数列設された筬と、を備え、
    前記メインノズル及び前記サブノズルからのエア噴射により、複数の前記ガイド凹部によって形成された筬内通路を経て緯糸が緯入れされるエアジェット織機の緯糸検知装置であって、
    前記ガイド凹部に対して前記ガイド凹部よりも織布側に配置される投光部及び受光部を有する反射式光電センサと、
    前記投光部から出射されて前記緯糸に当たって反射した後、前記受光部に受光される反射光の光量レベルに基づいて、前記筬内通路に対する前記緯糸の奥行き方向位置を判別する判別部と、を備え
    前記判別部によって判別された前記筬内通路に対する前記緯糸の奥行き方向位置に応じて、前記サブノズルの噴射タイミング及び前記サブノズルの噴射圧のうち少なくとも一方をフィードバック制御するフィードバック制御部を備えていることを特徴とするエアジェット織機の緯糸検知装置。
  2. 前記反射式光電センサは、前記筬内通路の織幅内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
  3. 前記反射式光電センサは、前記筬内通路の織幅内における前記織幅の中央よりも前記メインノズル側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機の緯糸検知装置。
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