<第一実施形態>
以下、本発明による燃料電池システムの第一実施形態について説明する。本明細書においては説明の便宜上、図1における上側および下側をそれぞれ燃料電池システム1の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ燃料電池システム1の左方および右方として説明する。
燃料電池システム1は、図1に示すように、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、凝縮器12、インバータ装置13、改質水を貯留する水タンク14、および、制御装置15を備えている。
燃料電池モジュール11(30)は、図1に示すように、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
蒸発部32には、改質用原料供給管11aを介して供給源Gsから改質用原料が供給される。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
また、蒸発部32には、水供給管11bを介して水タンク14から改質水が供給される。水供給管11bは、改質水を送出する改質水ポンプ11b1が設けられている。改質水ポンプ11b1は、制御装置15からの制御指令値にしたがって改質水の流量(単位時間あたりの流量)を調整する。
蒸発部32は、改質水から水蒸気を生成するものである。蒸発部32は、具体的には、後述する燃焼ガスにより加熱されて、水タンク14から供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成する。また、蒸発部32は、供給源Gsから供給された改質用原料を予熱する。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料とを混合して改質部33に供給する。
改質部33は、改質用原料と水蒸気とから改質ガスを生成し、改質ガスを燃料電池34に供給するものである。改質部33は、具体的には、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出する。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。
改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
燃料電池34は、水素を含む改質ガスと酸化剤ガスにより発電するものである。燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口(図示なし)に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出される。
カソードエアは、カソードエア供給管11cを介してカソードエアブロワ11c1から供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出される。カソードエアブロワ11c1は、筐体10a内の空気をカソードエアとして送出する。
燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間には、燃焼部36が設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて改質部33を加熱する。
燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37が発生している。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼排ガス(本発明の排ガスに相当)が発生している。また、燃焼部36は、燃料電池モジュール30内の温度を燃料電池34の動作温度にする。
凝縮器12は、燃料電池34からの水蒸気を含む燃焼排ガスを凝縮して凝縮水を生成するとともに、凝縮された燃焼排ガスを排出するガス排出口12aを有するものである。凝縮器12は、具体的には、燃料電池モジュール30から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。ガス排出口12aは、凝縮器12の側壁に設けられている。
貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび凝縮器12が配設されている。
凝縮器12において、燃料電池モジュール30からの燃焼排ガスは、第一排気管11dを通って凝縮器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ冷却されるとともに燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮される。冷却後の燃焼排ガスはガス排出口12aおよびガス排出口12aに接続された第二排気管11eを通って外部に排出される。一方、凝縮された凝縮水は、混合水管40に導出される(詳細は後述する)。
上述した凝縮器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール30の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。
インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム1の運転を制御する。
次に、改質用原料供給管11aに関して詳述する。改質用原料供給管11aには、上流から順番に遮断弁11a1、圧力センサ11a2、流量センサ11a3、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6が設けられている。
遮断弁11a1は、改質用原料の供給を遮断可能とするものである。遮断弁11a1は、制御装置15の指令によって改質用原料供給管11aを開閉自在に遮断する弁(2連弁)である。圧力センサ11a2は、改質用原料の圧力(圧力センサ11a2の設置場所の圧力)を検出するものである。圧力センサ11a2の検出結果は、制御装置15に出力される。流量センサ11a3は、改質用原料の流量(単位時間あたりの流量)を検出するものである。流量センサ11a3の検出結果は、制御装置15に出力される。
圧力調整装置11a4は、入力した改質用原料の圧力を所定の圧力に調整して出力する。例えば、圧力調整装置11a4は、入力した改質用原料の圧力を大気圧にて出力するゼロガバナである。圧力調整装置11a4は、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5より1次側を後述するリサイクルガス管39に対して圧力を低くするためのものである。圧力調整装置11a4が、改質用原料供給管11aをリサイクルガス管39より低圧とすることにより、改質ガスがリサイクルガス管39を流通する。
原料ポンプ11a5は、改質用原料を送出するものである。原料ポンプ11a5は、制御装置15からの制御指令値にしたがって改質用原料の流量(単位時間あたりの流量)を調整する。
脱硫器11a6は、改質用原料に含まれる硫黄成分(例えば、硫黄化合物)を水素によって除去し、かつ、改質用原料を改質部33に供給するものである。脱硫器11a6内には、触媒および超高次脱硫剤が収容されている。触媒においては、硫黄化合物と水素とが反応して硫化水素が発生する。例えば、触媒は、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系である。超高次脱硫剤としては、例えば銅−亜鉛系脱硫剤、銅−亜鉛−アルミニウム系脱硫剤などを用いることができる。
超高次脱硫剤は、触媒にて硫黄化合物から変換された硫化水素を取り込んで除去するものである。このような超高次脱硫剤は、200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態で優れた脱硫作用を発揮する。したがって、脱硫器11a6は、内部が200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態となる箇所に配置されている。例えば、脱硫器11a6は、後述する燃焼部36によって高温状態となる燃料電池モジュール30のケーシング31内、またはケーシング31外面に配置されている。また、燃料電池システム1は、脱硫剤として超高次脱硫剤を用いることに関連して、リサイクルガス管39が設けられている。
リサイクルガス管39は、改質部33から燃料電池34に改質ガスを供給する改質ガス供給管38と、脱硫器11a6に改質用原料を供給する改質用原料供給管11aとを接続し、改質ガスの一部をリサイクル燃料として脱硫器11a6に戻す管である。上述したように、改質ガスには水素が含まれている。
リサイクルガス管39の第一端は、改質部33から燃料電池34に改質ガスを供給する改質ガス供給管38に接続されている。リサイクルガス管39の第二端は、改質用原料供給管11aの脱硫器11a6の上流位置、さらに具体的には、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の配設部位と圧力調整装置11a4の配設部位との間にて接続されている。これにより、改質部33から改質ガス供給管38を通して流れる改質ガスの一部がリサイクル燃料としてリサイクルガス管39を通して改質用原料供給管11aに戻される。
このように、改質ガスの一部が改質用原料供給管11aに戻されることにより、改質ガス中の水素が改質用原料に混合されて改質用原料供給管11aを通して脱硫器11a6内の超高次脱硫剤に送給される。その結果、改質用原料中の硫黄化合物が水素と反応して硫化水素が発生し、その硫化水素が超高次脱硫剤によって除去される。
リサイクルガス管39には、オリフィス39aが設けられている。オリフィス39aには流路孔(図示なし)が設けられ、流路孔によってリサイクルガス管39を通して戻される改質ガスの流量を所定流量に調整する。
また、リサイクルガス管39は、燃焼部36によって高温状態となる燃料電池モジュール30内から、燃料電池モジュール30内より低温の燃料電池モジュール30外にかけて配設されている。これにより、燃料電池モジュール30内において比較的高温であった改質ガスの温度は、燃料電池モジュール30外を通るときに低下するため、改質ガスに含まれる水蒸気が凝縮されて、ドレイン水(凝縮水)が生成される。このドレイン水は、混合水管40に導出される。
混合水管40は、図1および図2に示すように、ガス排出口12aより下方にて上方を開口するU字状に設けられている。混合水管40は、第一部位40aを有している。第一部位40aは、混合水管40の底部の流路である。第一部位40aは、混合水管40の底部にて左右方向に延びるように形成されている。
混合水管40は、第一端(右端)が凝縮器12から凝縮水を導入する凝縮水導入口40bであり、第二端(左端)がリサイクルガス管39からドレイン水を導入するドレイン水導入口40cである。凝縮水導入口40bは、凝縮器12の底壁に配置されている。
ドレイン水導入口40cは、リサイクルガス管39におけるオリフィス39aよりも上流側にて、リサイクルガス管39の側壁に接続されている。リサイクルガス管39においては、オリフィス39aより上流側が正圧となるため、ドレイン水がオリフィス39aを通らずに混合水管40に流入する。これにより、ドレイン水の改質用原料供給管11aへの流入が抑制される。
混合水管40内においては、ドレイン水と凝縮水とが混合される。混合水管40は、底部(第一部位40a)と凝縮水導入口40bとの間かつドレイン水導入口40cより下方に配置され、ドレイン水と凝縮水とが混合された混合水を導出する混合水導出口40dが設けられている。混合水導出口40dは、混合水管40の側壁に開口するように形成されている。混合水導出口40dから導出された混合水は、水タンク14へ改質水導出管41を介して供給される。
水タンク14は、第一部位40aより上方に配置されている。水タンク14は、具体的には、上下方向において、第一部位40aとドレイン水導入口40cとの間に配置されている。水タンク14は、上方を開放する有底筒状に形成されている。水タンク14は、内部に改質水を貯留する。水タンク14は、水排出口14aおよび水導出口14bが設けられている。
水排出口14aは、ドレイン水導入口40cより下方にて改質水を外部に排出するものである。水排出口14aは、ドレイン水導入口40cより下方にて水タンク14の上側部に形成され、外部に向けて改質水を排出可能に設けられている。すなわち、水タンク14の水位の上限は、水排出口14aの下端と同じ高さとなる。
水導出口14bは、水排出口14aより下方に形成され、水供給管11bの下端が接続され、改質水を蒸発部32に向けて導出するものである。また、水タンク14は、水位センサ14cが配置されている。
水位センサ14cは、水タンク14の水位を検出するものである。水タンク14の水位は、水タンク14の内側の底面から水タンク14の水面Smまでの高さである。水位センサ14cは、例えば、フロート14c1を有するリードスイッチ式の水位センサである。
水位センサ14cは、水タンク14の水位が第一所定水位Sw1より高い場合に第一オン信号を、水タンク14の水位が第一所定水位Sw1以下である場合に第一オフ信号を制御装置15に出力する。第一所定水位Sw1は、上下方向において水導出口14bと水排出口14aとの間に設けられている。
第一オフ信号が出力された場合、水源W(例えば水道配管)からの水が、給水管42を介して、給水管42に配置された第一水精製部42aを通って改質水として水タンク14に供給される。第一水精製部42aは、水を精製するものである。制御装置15は、第一オフ信号が出力された場合、給水管42に配置された開閉弁42bを開状態にする給水制御部15aを備えている(図3参照)。開閉弁42bは、ノーマルクローズ型の電磁弁である。
改質水導出管41は、第一部位40aより上方かつドレイン水導入口40cより下方に配置され、混合水導出口40dから導出された混合水を改質水として水タンク14へ導出するとともに、混合水を精製する第二水精製部43(本発明の水精製部に相当)が配置されたものである。
改質水導出管41の第一端は、混合水導出口40dに接続され、混合水が導入される混合水導入口41aである。改質水導出管41の第二端は、水タンク14の側壁の下側部に接続され、改質水を導出する改質水導出口41bである。改質水導出管41は、混合水導出口40dから左方に延びてから下方に向けて折れ曲がり、下方に延びるように形成され、さらに、左方に折れ曲がることにより、水タンク14に接続される。また、改質水導出管41の流路における最も上方の部位である第二部位41cが、水排出口14aより上方に配置されている。第二部位41cは、本第一実施形態において、混合水導入口41aを含んだ部位である。
第二水精製部43は、混合水を純水化するイオン交換樹脂が収納されている。第二水精製部43は、混合水が上方から下方に流れるように配置されている。改質水導出管41は、第二水精製部43によって精製された混合水を改質水として水タンク14に導出する。
また、第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さが、第一位置P1に第一境界面Sk1が位置した場合において、所定高さHsとなるように、混合水管40、改質水導出管41および水タンク14が設けられている。
第一境界面Sk1は、混合水管40の流路における第一部位40aからドレイン水導入口40c側の部位に位置する、改質ガスと混合水との境界面である。
第一位置P1は、第一境界面Sk1の上下方向の位置であって、改質ガスが第一境界面Sk1から第一部位40aへ流出しない下限の位置である。第一境界面Sk1に対して所定圧力の改質ガスが作用することにより、第一位置P1に第一境界面Sk1が位置する。所定圧力は、燃料電池システム1の運転中における改質ガスの圧力の正常圧力範囲より大きい圧力に設定されている。第一位置P1は、具体的には、第一部位40aの最上端と同じ高さである。
第一境界面Sk1が第一位置P1より下方に位置した場合、改質ガスが第一部位40aに流出する。この場合、改質ガスが混合水管40の第一部位40aから凝縮水導入口40bを通って、凝縮器12のガス排出口12aから外部に流出することが考えられる。
第二境界面Sk2は、少なくとも混合水管40の流路における第一部位40aより混合水導出口40d側の部位に位置するとともに、第一境界面Sk1と混合水を介して連通した、混合水と大気との境界面である。
第二境界面Sk2は、本第一実施形態においては、燃料電池システム1の発電運転中において、混合水管40の流路における第一部位40aより混合水導出口40d側の部位にて、改質水導出管41の流路の第二部位41c(具体的には混合水導入口41aの最下端)と同じ高さに位置する(詳細は後述する)。本第一実施形態においては、第一位置P1と混合水導入口41aの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。第二境界面Sk2は、本実施形態において、凝縮水導入口40bおよび凝縮器12のガス排出口12aを介して大気と連通している。
所定高さHsは、第一位置P1に位置する第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との間の混合水によって、第一境界面Sk1から第一部位40aへの改質ガスの流出が規制される高さである。すなわち、所定高さHsは、第一位置P1に位置する第一境界面Sk1に作用する改質ガスの圧力と、第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との間の混合水の圧力とが等しくなる高さである。本第一実施形態においては、所定圧力の改質ガスが第一境界面Sk1に作用して第一位置P1に第一境界面Sk1が位置する場合、第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との間の混合水によって第一境界面Sk1に対して作用する圧力が所定圧力となる。これにより、第一境界面Sk1から第一部位40aへの改質ガスの流出が抑制される。
このように、第一位置P1に位置する第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さが、所定高さHsとなるように改質水導出管41および水タンク14が設けられることにより、混合水管40、改質水導出管41によって、改質ガスに対する水封構造が構成される。
次に、上述した燃料電池システム1の発電運転中において、ドレイン水および凝縮水が改質水として水タンク14に供給されるまでの燃料電池システム1の動作について、図4を用いて説明する。
燃料電池システム1の発電運転中においては、制御装置15は、燃料電池34の発電電力を外部電力負荷16cの消費電力となるように制御する(負荷追従運転)。制御装置15は、燃料電池34の発電電力に応じて改質用原料の流量および改質水の流量を調整する。
燃料電池システム1の発電運転中においては、上述したようにリサイクルガス管39においてドレイン水が生成される。ドレイン水は、混合水管40にドレイン水導入口40cから導入される。また、燃料電池システム1の発電運転中においては、上述したように凝縮器12において凝縮水が生成される。凝縮水は、混合水管40に凝縮水導入口40bから導入される。
ドレイン水および凝縮水は、混合水管40内にて混合されて、混合水として第一部位40aに溜まる。さらに混合水が増加することにより、混合水が混合水導出口40dから混合水導入口41aに導入される。上述したように、改質水導出管41の流路における最も上方の第二部位41cは、混合水導入口41aを含んだ部位であり、かつ、水タンク14の水位の上限となる水排出口14aより上方に位置する。よって、混合水は、混合水導入口41aから水タンク14へ流れ落ちる。したがって、第二境界面Sk2は、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位において、混合水導入口41aの最下端と同じ位置に位置する。
一方、第一境界面Sk1は、第二境界面Sk2より下方に位置する。このときの第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さの差は、燃料電池システム1の発電運転中における改質ガスの圧力と、大気圧との差によって生じる。
燃料電池システム1の発電運転中における改質ガスの圧力は、正常圧力範囲内であるため、上述した所定圧力より小さい。よって、このときの第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さHdは、所定高さHsより小さい。このため、第一境界面Sk1は第一位置P1より上方に位置する。したがって、改質ガスが第一境界面Sk1から第一部位40aを通って第二境界面Sk2ひいては外部に流出しない。
改質水導出管41に導入された混合水は、第二水精製部43を通るときに精製され、改質水として水タンク14に供給される。改質水は、水タンク14に貯留されるとともに、改質水ポンプの駆動によって水導出口14bより蒸発部32に向けて導出される。
また、ドレイン水および凝縮水の生成される量が蒸発部32に供給される改質水の量の方より多い場合、水タンク14の水位が上昇する。水タンク14の水位が水排出口14aに到達した場合、改質水は、水排出口14aより外部に排出される。
そして、混合水導出口40dが水排出口14aより上方に位置するため、第二境界面Sk2が混合水導出口40dより上昇しない。また、第一境界面Sk1は、第二境界面Sk2ひいては混合水導出口40dより下方に位置する。さらに、混合水導出口40dより上方に、ドレイン水導入口40cおよびガス排出口12aが設けられている。したがって、混合水がリサイクルガス管39内およびガス排出口12aに到達しない。
一方、ドレイン水および凝縮水の生成される量が蒸発部32に供給される改質水の量の方より少ない場合、水タンク14の水位が低下する。水タンク14の水位が低下して第一所定水位Sw1となった場合、水位センサ14cの出力信号に基づいて、上述したように、水源Wからの水が改質水として水タンク14に供給される。
本第一実施形態によれば、燃料電池システム1は、水素を含む改質ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、改質水から水蒸気を生成する蒸発部32と、改質用原料と水蒸気とから改質ガスを生成し、改質ガスを燃料電池34に供給する改質部33と、改質用原料に含まれる硫黄成分を水素によって除去し、かつ、改質用原料を改質部33に供給する脱硫器11a6と、改質部33から燃料電池34に改質ガスを供給する改質ガス供給管38と、脱硫器11a6に改質用原料を供給する改質用原料供給管11aとを接続し、改質ガスの一部をリサイクル燃料として脱硫器11a6に戻すリサイクルガス管39であって、ドレイン水が生じるリサイクルガス管39と、燃料電池34からの水蒸気を含む燃焼排ガスを凝縮して凝縮水を生成するとともに、凝縮された燃焼排ガスを排出するガス排出口12aを有する凝縮器12と、ガス排出口12aより下方にて上方を開口するU字状に設けられ、第一端が凝縮器12から凝縮水を導入する凝縮水導入口40bであり、第二端がリサイクルガス管39からドレイン水を導入するドレイン水導入口40cであるとともに、底部と凝縮水導入口40bとの間かつドレイン水導入口40cより下方に配置され、ドレイン水と凝縮水とが混合された混合水を導出する混合水導出口40dが設けられた混合水管40と、混合水管40の底部の流路である第一部位40aより上方に配置され、改質水を貯留するとともに、ドレイン水導入口40cより下方にて改質水を外部に排出する水排出口14aを有する水タンク14と、第一部位40aより上方かつドレイン水導入口40cより下方に配置され、混合水導出口40dから導出された混合水を改質水として水タンク14に導出するとともに、混合水を精製する第二水精製部43が配置された改質水導出管41と、を備えている。混合水管40の流路における第一部位40aからドレイン水導入口40c側の部位に位置する、改質ガスと混合水との境界面である第一境界面Sk1と、少なくとも混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位に位置するとともに、第一境界面Sk1と混合水を介して連通した、混合水と大気との境界面である第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さが、第一境界面Sk1に対して所定圧力の前記改質ガスが作用することにより、改質ガスが第一境界面Sk1から第一部位40aへ流出しない下限の位置である第一位置P1に第一境界面Sk1が位置した場合において、第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との間の混合水によって、第一境界面Sk1から第一部位40aへの改質ガスの流出が規制される所定高さHsとなるように、混合水管40、改質水導出管41および水タンク14が設けられている。
これによれば、第一位置P1に位置する第一境界面Sk1と、第一境界面Sk1に混合水を介して連通した第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さが所定高さHsになるとなるように、混合水管40、改質水導出管41および水タンク14が設けられている。このため、第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との間の混合水によって、第一境界面Sk1から第一部位40a、第二境界面Sk2ひいては外部への改質ガスの流出が抑制される。よって、従来技術のようなスチームトラップやU字管等の水封部材が不要となるため、燃料電池システム1の部品点数を低減することができる。したがって、燃料電池システム1の低コスト化を図ることができる。
また、ドレイン水が、従来技術のように外部に排出されずに水タンク14に回収されるため、燃料電池システム1の水自立運転を可能とすることができる。水自立運転は、改質部33にて必要な水蒸気量を、外部からの補給なしで水タンク14の改質水の量、すなわち凝縮器12からの凝縮水の量およびリサイクルガス管39からのドレイン水の量、のみにより確保することができる燃料電池システム1の運転である。換言すれば、水自立運転は、水タンク14への外部からの給水なしで発電運転可能である燃料電池システム1の運転である。
また、改質水導出管41の流路における最も上方の部位である第二部位41cが、水排出口14aより上方に配置されることにより、第二境界面Sk2が、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位にて、第二部位41cと同じ高さに位置する。
これによれば、第二境界面Sk2が、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位にて、改質水導出管41の流路の第二部位41c(具体的には混合水導入口41aの最下端)と同じ高さに位置するように、混合水管40、改質水導出管41および水タンク14が設けられている。よって、混合水管40内の混合水によって改質ガスに対する水封構造を確実に構成することができる。
<第一実施形態の第一変形例>
次に、第一実施形態の第一変形例について、主として上述した第一実施形態と異なる部分を、図5を用いて説明する。
上述した第一実施形態において改質水導出管41は、上方から下方に向けて延びるように形成されているが、本第一変形例の改質水導出管141は、上方を開放するU字状に形成されている。改質水導出口141bは、水タンク14の上方にて開口するように設けられている。また、本第一変形例の第二水精製部43は、混合水が下方から上方に流れるように配置されている。
また、本第一変形例においても、改質水導出管141の流路における最も上方の第二部位141cは、混合水導入口141aを含んだ部位であり、かつ、水タンク14の水排出口14aより上方に位置する。よって、第二境界面Sk2は、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位において、混合水導入口141aの最下端と同じ位置に位置する。本第一変形例においては、第一位置P1と混合水導入口141aの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。
<第一実施形態の第二変形例>
次に、第一実施形態の第二変形例について、主として上述した第一実施形態と異なる部分を、図6を用いて説明する。本第二変形例の改質水導出管241は、上方を開放するU字状に形成されている。
改質水導出口241bは、水タンク14の上方(すなわち水排出口14aより上方)にて開口するように設けられている。また、本第二変形例において、改質水導出管241の流路における最も上方の第二部位241cは、改質水導出口241bを含んだ部位であり、かつ、水タンク14の水排出口14aより上方に位置するように設けられている。よって、本第二変形例においては、混合水は、改質水導出口241bから水タンク14へ流れ落ちる。
よって、第二境界面Sk2は、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位、および改質水導出管241内において、第二部位241c(具体的には改質水導出口241bの最下端)と同じ位置に位置する。本第二変形例においては、第一位置P1と改質水導出口241bの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。
<第一実施形態の第三変形例>
次に、第一実施形態の第三変形例について、主として上述した第一実施形態の第二変形例と異なる部分を、図7を用いて説明する。本第三変形例の第二水精製部43は、混合水が上方から下方に流れるように配置されている。
本第三変形例においても、上述した第二変形例と同様に、改質水導出管341の流路における最も上方の第二部位341cは、改質水導出口341bを含んだ部位であり、かつ、水タンク14の水排出口14aより上方に位置する。よって、第二境界面Sk2は、混合水管40の流路における第一部位40aより凝縮水導入口40b側の部位、および改質水導出管341内において、第二部位341c(具体的には改質水導出口341bの最下端)と同じ位置に位置する。本第三変形例においては、第一位置P1と改質水導出口341bの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。
<第二実施形態>
次に、本発明による燃料電池システム1の第二実施形態について、主として上述した第一実施形態と異なる部分を、図8を用いて説明する。
本第二実施形態においては、改質水導出管441の流路における最も上方の部位である第二部位441cが、改質水導出口441bを含む部位である。改質水導出口441bが、水タンク14の側壁における第一所定水位Sw1より上方、かつ、水排出口14a以下の位置に配置されている。
また、上述した第一実施形態と同様に、水タンク14の水位が第一所定水位Sw1以下となった場合、水源Wから水タンク14に改質水が供給される(給水制御部15a)。また、水タンク14の水位が水排出口14aに到達した場合、改質水が水排出口14aから外部に排出される。すなわち、水タンク14の水位は、第一所定水位Sw1と水排出口14aとの間にて変動する。
よって、第一境界面Sk1と混合水(および改質水(精製された混合水))を介して連通した第二境界面Sk2は、水タンク14の水位が改質水導出口441bより上方に位置する場合、水タンク14内および混合水管40内において水タンク14の水位と同じ高さに位置する。また、第二境界面Sk2は、水タンク14の水位が改質水導出口441bと同じ高さに位置する場合、図8に示すように、混合水管40内、水タンク14内および改質水導出管441内において、水タンク14の水位と同じ高さに位置する。
さらに、水タンク14の水位が改質水導出口441bより下方に位置する場合、改質水は、改質水導出口441bから水タンク14内に流れ落ちる。よってこの場合、第二境界面Sk2は、混合水管40内および改質水導出管441内において、改質水導出口441bの最下端と同じ位置に位置する。本第二実施形態においては、第一位置P1と改質水導出口441bの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。したがって、第一位置P1に位置する第一境界面Sk1と第二境界面Sk2との上下方向の高さは、所定高さHs以上となる。
本第二実施形態によれば、燃料電池システム1は、改質水導出管441の流路における最も上方の部位である第二部位441cが、水排出口14a以下の位置に配置されることにより、第二境界面Sk2が、第二部位441cおよび第二部位441cより上方の水タンク14の水位の一方と同じ高さに位置する。
これによれば、第二境界面Sk2が第二部位(具体的には、改質水導出口441bの最下端)および第二部位より上方の水タンク14の水位の一方と同じ高さに位置するように、混合水管40、改質水導出管および水タンク14が設けられている。よって、混合水管40内、改質水導出管441内および水タンク14内の混合水(改質水)によって改質ガスに対する水封構造を確実に構成することができる。
<第二実施形態の第一変形例>
次に、本発明による燃料電池システム1の第二実施形態の第一変形例について、主として上述した第二実施形態と異なる部分を、図9を用いて説明する。
本第一変形例においては、改質水導出管541の流路における最も上方の部位である第二部位541cが、混合水導入口541aを含む部位である。混合水導入口541aが、水タンク14の側壁における第一所定水位Sw1より上方、かつ、水排出口14a以下の位置に配置されている。また、上述した第二実施形態と同様に、水タンク14の水位は、第一所定水位Sw1と水排出口14aとの間にて変動する。
よって、第一境界面Sk1と混合水(および改質水(精製された混合水))を介して連通した第二境界面Sk2は、水タンク14の水位が混合水導入口541aより上方に位置する場合、水タンク14内および混合水管40内において水タンク14の水位と同じ高さに位置する。また、第二境界面Sk2は、水タンク14の水位が混合水導入口541aと同じ高さに位置する場合、図9に示すように、混合水管40内、水タンク14内および改質水導出管541内において、水タンク14の水位と同じ高さに位置する。
さらに、水タンク14の水位が混合水導入口541aより下方に位置する場合、混合水は、混合水導入口541aから流れ落ちる。よってこの場合、第二境界面Sk2は、混合水管40内において、混合水導入口541aの最下端と同じ位置に位置する。本第一変形例においては、第一位置P1と混合水導入口541aの最下端との上下方向に沿った高さが、所定高さHsに設定されている。
<第二実施形態の第二変形例>
次に、本発明による燃料電池システム1の第二実施形態の第二変形例について、主として上述した第二実施形態の第一変形例と異なる部分を、図10を用いて説明する。
本第二変形例において、改質水導出管641が、水タンク14の第二所定水位Sw2(本発明の所定水位に相当)より下方に配置されている。第二所定水位Sw2は、第一所定水位Sw1より下方に設定されている。改質水導出口641bは、水タンク14の第二所定水位Sw2より下方(例えば底部)に接続されている。
上述した第二実施形態と同様に、水タンク14の水位は、第一所定水位Sw1と水排出口14aとの間を変動する。また、改質水導出管641が第一所定水位Sw1より下方に位置する。よって、第二境界面Sk2は、水タンク14内および混合水管40内において、水タンク14の水位と同じ高さに位置する。
また、第一位置P1と水タンク14の第二所定水位Sw2との上下方向に沿った高さが所定高さHsとなるように設けられている。よって、第二境界面Sk2と第一位置P1との上下方向に沿った高さは、所定高さHs以上となる。
また、制御装置15は、図11に示すように、停止制御部615bをさらに備えている。停止制御部615bは、水位センサ14cによって検出された水タンク14の水位が第二所定水位Sw2以下である場合、改質ガスの燃料電池34への供給を停止する制御を行うものである。
例えば、開閉弁42bが故障したために、水タンク14の水位が第一所定水位Sw1以下になったときにおいても、改質水が水タンク14に供給されず、水タンク14の水位が第二所定水位Sw2になった場合、制御装置15が遮断弁11a1を閉じるように制御する。これにより、改質ガスの燃料電池34への供給が停止されるため、リサイクルガス管39ひいては混合水管40への改質ガスの流入が停止する。よって、改質ガスが混合水管40を通って外部に流出することが規制される。
本第二実施形態の第二変形例によれば、改質水導出管641が、水タンク14の第二所定水位Sw2より下方に配置されている。燃料電池システム1は、水タンク14の水位を検出する水位センサ14cをさらに備えている。第一位置P1に位置する第一境界面Sk1と水タンク14の第二所定水位Sw2との上下方向に沿った高さが、所定高さHsとなるように設定されている。制御装置15は、水位センサ14cによって検出された水タンク14の水位が第二所定水位Sw2以下である場合、改質ガスの燃料電池34への供給を停止する制御を行う停止制御部615bをさらに備えている。
これによれば、水位センサ14cによって検出された水タンク14の水位が第二所定水位Sw2以下であるとき、改質ガスの燃料電池34への供給が停止される。すなわち、水タンク14の水位が第二所定水位Sw2より低くなることにより、第一位置P1と第二境界面Sk2との上下方向に沿った高さが所定高さHsより低くなる前に、改質ガスの供給が停止される。よって、改質ガスが混合水管40から改質水導出管641および水タンク14を通って外部に排出されることがより確実に抑制される。
<他の変形例>
なお、上述した各実施形態において、燃料電池システムの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、水位センサ14cは、リードスイッチ式の水位センサであるが、静電容量式の水位センサとしても良い。
また、上述した第一実施形態および第一実施形態の各変形例において、第二部位41c、141c、241cは、混合水導入口41a,141a,541aおよび改質水導出口241b,341b,441bの一方を含んだ部位であるが、これに代えて、改質水導出管41,141,241の第一端と第二端との間の部位に設けるようにしても良い。
また、上述した各実施形態および各変形例においては、第一位置P1と、混合水導入口41a,141a,541aの最下端、改質水導出口241b,341b,441bまたは第二所定水位Sw2との上下方向に沿った高さが所定高さHsに設定されているが、これらの高さが所定高さHs以上となるように設定されるようにしても良い。
また、上述した第二実施形態の第二変形例において、停止制御部615bは、水位センサ14cによって検出された水タンク14の水位が第二所定水位Sw2以下である場合、改質ガスの燃料電池34への供給を停止する制御を行うが、これに代えて、燃料電池システム1を停止するようにしても良い。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、リサイクルガス管39、混合水管40、改質水導出管41,141,241,341,441,541,641および水タンク14の形状や配置位置等を変更しても良い。