JP6921053B2 - 改変アルファウイルス表面糖タンパク質と腫瘍関連抗原とを含む融合タンパク質、およびその手法 - Google Patents

改変アルファウイルス表面糖タンパク質と腫瘍関連抗原とを含む融合タンパク質、およびその手法 Download PDF

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Description

関連出願
本願は、2015年3月18日出願の米国特許出願第62/134,933号に基づく利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に取り込まれたのもとする。
本開示は、単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質と単一または複数の腫瘍特異抗原とを含む、融合タンパク質に関する。また、単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質と単一または複数のウイルス特異抗原とを含む、融合タンパク質が開示される。また、単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質を含む、融合タンパク質が開示される。また、本開示は、がん患者の免疫系を活性化し、腫瘍細胞、または潜在性ウイルスに感染した細胞に浸潤させ、それを殺傷するための方法に関する。本開示は、前記融合タンパク質を用いて、より速やかで、より広範で、より強力な免疫応答を誘発するプラットフォーム技術を提供する。
卵巣癌は米国における婦人科悪性腫瘍による死の主要な原因である(1)。不幸なことに、前記疾患はステージ3または4に進行するまで診断されない場合がほとんどであり、これらの時点では、初期に手術や化学療法が奏功したとしても、その後再発となることが多い(2)。しかし、腫瘍にリンパ球の浸潤がみられる患者はそうでない患者に比べ5年生存率が有意に高いことが示されており(3)、免疫系が腫瘍の増殖と戦う重要な役割を担っていることや、免疫療法がこの疾患との戦いを成功に導くための戦略となりうることが示唆されている。また、多くの癌はウイルス感染により引き起こされることが知られている。
免疫系は、「癌免疫編集」として知られるメカニズムを介して、異常な免疫細胞の成長を抑制および阻止する重要な役割を担っている(4)。細胞傷害性CD8 T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞は、これらの細胞が発生した際にそれを認識し、破壊することができる。これらの細胞型を欠く免疫不全マウスでは、腫瘍形成に対する感受性が増大する(4)。しかし、腫瘍細胞は、免疫系による自身の検出を回避することを助ける変異を発生させることができ、そのため、成熟した腫瘍では免疫原性が低いことが多い。従って、これらの療法の多くはヒト患者への移行がうまくいっていない(4)。さらに、腫瘍は、白血球が自身へ直接接触することを防ぐ固有の微小環境を形成することができる。
しかし、腫瘍の免疫抑制性を回避することが可能ないくつかの進展があった。最近、免疫療法抗体であるイピリムマブおよびニボルマブが、ある種の癌の治療に対して認可された。これらのチェックポイント阻害剤はT細胞上の免疫抑制受容体CTLA−4(イピリムマブ)およびPD−1(ニボルマブ)を標的とし、その活性をブロックする。しかし、これらの薬剤には安全上の懸念がないとは言えない。なぜなら、これらの免疫抑制機構は潜在的に危険な自己免疫およびアレルギー反応の抑制に重要であるためである。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法が、B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の血液性の癌の治療に対して高い将来性があることが示されている。CAR T細胞を生成する際には、患者自身のT細胞を採取し、遺伝的に改変して、腫瘍細胞上の特異的表面抗原を認識する受容体を発現するようにする(5)。この方法によって、T細胞と抗原提示腫瘍細胞との間に典型的に生ずるシグナル伝達経路が回避され、それらを免疫抑制に対して抵抗性にする。この方法では患者自身の細胞の遺伝子操作が必要であり、サイトカイン放出症候群という潜在的に危険な副作用が発生しうる(6)ことから、CAR T療法には、従来の薬物療法では不要であろうはずの密接な個人モニタリングが必要となる。CAR T細胞が卵巣癌等の固形腫瘍と戦う能力は、未だ評価の途上である。
癌と闘う他の方法で将来性が示されているものは、腫瘍崩壊ウイルス(OVs)またはウイルスベクターの使用である。これらのウイルスは癌細胞に特異的に感染し、それを殺傷することによって作用すると考えられている。癌細胞が溶解すると、放出された腫瘍抗原を樹状細胞が拾い上げ、より良好な抗腫瘍免疫応答を生成することが可能になる。しかし、前記ウイルスおよびウイルスベクターは、リンパ節または他の臓器、および意図された標的腫瘍以外の部位に蓄積することが明らかになった。従って、上記で議論された危険性や欠点を有しない、安全で効果的な癌の治療および予防のための方法を提供する必要が未だ存在している。
本明細書には、単一または複数の腫瘍関連抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む、融合タンパク質が記載される。また、前記多量体複合体、前記改変融合タンパク質をコードする核酸、前記改変タンパク質のアミノ酸配列、前記融合タンパク質に対する抗体、およびそれらの使用も記載される。ある態様において、前記アルファウイルスはシンドビスアルファウイルスまたはチクングニヤウイルスである。ある態様において、前記改変アルファウイルス表面糖タンパク質はE1、E2、または6Kである。ある態様において、前記改変アルファウイルス表面糖タンパク質はE1およびE2である。ある態様において、改変アルファウイルスポリプロテインが本明細書に提供される。ある態様において、前記ポリプロテインはE3またはキャプシドタンパク質である。単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質と、NCI Pilot Project to Prioritize Cancer Antigens Clin. Cancer Res 2009; 15:5323-5337の表3に開示される他のタンパク質とを含む融合タンパク質が本明細書において提供される。また、改変アルファウイルス表面糖タンパク質と、単一または複数の遺伝子または遺伝子断片とを含む組換え融合タンパク質も本明細書に記載される。ある態様において、前記融合タンパク質は、前記アルファウイルス表面糖タンパク質の遺伝子断片の内部または末端に挿入された、前記腫瘍関連抗原の遺伝子または遺伝子断片、を含んだ構築物によってコードされる。ある態様において、前記遺伝子または遺伝子断片は、単一または複数の腫瘍関連抗原である。ある態様において、前記融合タンパク質は、単量体、複合体、コンジュゲートである。ある態様において、前記融合タンパク質は、二量体、三量体、または多量体である。
また本明細書には、単一または複数のウイルス抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む、融合タンパク質が記載される。
また本明細書には、単一または複数の腫瘍関連抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む融合タンパク質の投与による、疾患の治療または予防の方法が記載される。ある態様において、本明細書に開示される前記方法は、対象の抑制された免疫系を活性化させる治療のためのものである。ある態様において、前記治療は癌患者のためのものである。ある態様において、前記治療は腫瘍細胞に浸潤してそれを殺傷することを含む。ある態様において、前記治療は潜在性のウイルスに感染した細胞を殺傷することを含む。
一態様においては、融合タンパク質をそれを必要とする対象に投与することを含む、該対象の癌を治療するための方法であって、前記融合タンパク質はアルファウイルス表面膜糖タンパク質E1、E2、および少なくとも1個のリンカーから本質的になり、前記融合タンパク質は該対象に投与された際に免疫応答を刺激する、方法が開示される。
本明細書には、疾患の予防または治療のための融合タンパク質を含むキットが開示される。
開示される方法は、単一または複数の腫瘍関連抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む融合タンパク質の投与を含む。ある態様において、前記改変アルファウイルス表面糖タンパク質は単量体、複合体、融合体、またはコンジュゲートである。ある態様において、前記融合タンパク質は、二量体、三量体、または多量体を形成することができる。単一または複数の腫瘍関連抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む前記融合タンパク質は,次のうちの一つまたは複数に対して有用である:(i)ヒト免疫系を興奮・活性化すること;(ii)ヒトT細胞の増殖を刺激・活性化させること;(iii)T細胞、NK細胞、B細胞、樹状細胞、制御性T細胞、マクロファージ、赤血球、その他のヒト造血細胞を興奮・活性化すること;(iv)T細胞をアネルギーから開放すること;(v)T細胞のブレイクポイント阻害を克服すること;(vi)癌を治療または予防すること;および(vii)潜在性ウイルスに感染した細胞。ある態様において、前記方法は、腫瘍関連抗原と改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含んだ前記融合タンパク質を、それを必要とする対象に投与し、(i)ヒト免疫系を興奮・活性化させること;(ii)ヒトT細胞の増殖を刺激・活性化させること;(iii)T細胞、NK細胞、B細胞、樹状細胞、制御性T細胞、マクロファージ、赤血球、その他のヒト造血細胞を興奮・活性化させること;(iv)T細胞をアネルギーから開放すること;(v)T細胞のブレイクポイント阻害を克服すること;および(vi)癌を治療または予防すること;を含む。ある態様において、本明細書に開示される前記方法は、対象を治療し、癌患者の抑制された免疫系を活性化し、腫瘍細胞に浸潤させてそれを殺傷するためのものである。他の態様において、単一または複数のウイルス抗原と単一または複数の改変アルファウイルス表面糖タンパク質とを含む前記融合タンパク質は、潜在性のウイルスに感染した細胞を殺傷するのに有用である。
図1A〜Bは、アルファウイルスの構造タンパク質である。(A)T=4シンメトリーを示すシンドビスウイルスの低温EM密度(cryo-EM density)。1個の非対象単位における4個のE2分子。これらは各二十面体3回転軸上の1個の三量体スパイク(trimeric spike)および1個の一般配置スパイク(generally positioned spike)となる。(B)シンドビスウイルス構造ポリプロテインの小胞体膜の通過。キャプシド、E3、E2、6K、およびE1タンパク質の位置を示す。(Li, L. et al. Structural changes of envelope proteins during alphavirus fusion. Nature 468, 705-708 (2010))。 図2A〜Bは、糖タンパク質スパイクのドメイン構造である。(A)p62−E1ヘテロ二量体のリボンダイアグラム。E1ドメインI、II、およびIIIを、それぞれ赤色、黄色、および青色で示し、融合ループ(FL)を橙色で示す。E3を白色/灰色で示し、E2ドメインAをシアン色、Bを濃緑色、Cを桃色、およびβ−リボンを濃紫色で示す。N−結合グリカンは球および棒で表され、原子の種類によって色分けされ、ラベルが表記してある。ジスルフィドを緑色の棒で表す。黒色の矢印(それぞれp62およびE1のC末端を示す、桃色および青色の星印の隣)はウイルス膜を指し示している。挿入図(模式図)にはヘテロ二量体「プレート」が「ねじれのない状態で」描かれており、各ドメインが互いにどのように位置しているか、そしてそれらの接続性が示されている。(B)p62の構成。E3を示すため、aに対して約90度の向きになっている。(Voss JE, et al. Glycoprotein organization of chikungunya virus particles revealed by x-ray crystallography. Nature 468, 709-712 (2010))。 図3は、人工組換えシンドビスVGPの構造である。左は、SINVにコードされる完全な構造タンパク質の構成を示す。右は、膜貫通ドメインおよび6K領域を欠く人工VGPであり、腫瘍関連抗原(TAA)と連結されている。 図4A〜Cは、人工ウイルス糖タンパク質構築物E2E1二量体およびTAAによるスパイク三量体の形成を示す。膜貫通および6K領域が除去され、E2およびE1がフレキシブルリンカーによって結合される。E3配列はERターゲティング配列として働き、E2/E1二量体化を助ける。TAAが他のフレキシブルリンカーおよびプロテアーゼ切断部位とともにE1のC末端に付加される。ゴルジ体からの分泌の際、三量体化されたVGPがTAAを有する可溶スパイクを形成する。 同上。 同上。 図5は、融合タンパク質の一例、E3−E2−リンカー−E1−TEV−リンカー−NY−ESO−1−6X Hisのアミノ酸配列である。第1〜65位におけるE3−アミノ酸残基;第66〜429位におけるE2−アミノ酸残基;430〜448位におけるリンカー−アミノ酸残基;第449〜854位におけるE1−アミノ酸残基;第855〜876位におけるTEV−リンカー−アミノ酸残基;877〜978位におけるNY−ESO−1ペプチド断片アミノ酸残基;および979〜984位における6X His−アミノ酸残基。太字のNはグリコシル化部位である:第261、383、587、および693位におけるアミノ酸残基。 図6は、融合タンパク質の一例、E3−E2−リンカー−E1−TEV−リンカー−NY−ESO−1−6X Hisの核酸配列である。 図7は、精製融合タンパク質のウェスタンブロットである。上清を100mlの培養物から採取し、タンパク質をNiアフィニティークロマトグラフィーで精製した。予測分子量:106.8kDaレーンM2:Easyウェスタンマーカーレーン1:細胞ライセートの培地レーン2:フロースルーレーン3:20mMイミダゾールによる溶出レーン4:500mMイミダゾールによる溶出レーン5:溶出後の樹脂抗体:抗His抗体(Genscript,Cat.No.A00186) 図8A〜Fは、本開示の融合タンパク質の作製に有用な抗原のアミノ酸配列(配列番号3〜11)である。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 図9は、シンドビス構造タンパク質の全長配列(キャプシド、E3、E2細胞外ドメイン、E2膜貫通ドメイン、6K、E1細胞外ドメイン、E1膜貫通ドメイン)配列番号12である。
定義
本明細書で用いられる「アルファウイルス」という用語は当該分野の従来の意味を有し、VEE、SFV、シンドビス(Sindbis)、ロスリバー(Ross River)ウイルス、西部ウマ脳炎(Western Equine Encephalitis)ウイルス、東部ウマ脳炎(Eastern Equine Encephalitis)ウイルス、チクングンヤ(Chikungunya)、S.A.AR86、エバーグレーズ(Everglades)ウイルス、ムカンボ(Mucambo)、バーマフォレスト(Barmah Forest)ウイルス、ミデルブルグ(Middelburg)ウイルス、ピクスナ(Pixuna)ウイルス、オニョンニョン(O'nyong-nyong)ウイルス、ゲタ(Getah)ウイルス、サギヤマ(Sagiyama)ウイルス、ベバル(Bebaru)ウイルス、マヤロ(Mayaro)ウイルス、ウナ(Una)ウイルス、アウラ(Aura)ウイルス、ワタロア(Whataroa)ウイルス、バンバンキ(Banbanki)ウイルス、キジラガチ(Kyzylagach)ウイルス、ハイランズ(Highlands)Jウイルス、フォートモーガン(Fort Morgan)ウイルス、ヌドゥム(Ndumu)ウイルス、およびバギークリーク(Buggy Creek)ウイルス等の各種を含む。ある態様において、本開示の構築物および方法に使用される前記アルファウイルスはVEE、S.AAR86、シンドビス(例えばTR339;米国特許第6,008,035号を参照)、およびSFVである。
アジュバントという用語は、投与された免疫原性決定基/抗原/核酸構築物と混合された際に、前記決定基に対する免疫応答が増加し、あるいは改変される、任意の物質のことをいう。
アミノ酸という用語は、合成または天然のアミノカルボン酸のことを表し、in vivoで合成されたタンパク質や酵素を含むペプチドおよびポリペプチドにおいて生ずる任意のアミノ酸がこれに含まれ、ひいてはアミノ酸の改変物もこれに含まれる。アミノ酸という用語は、本明細書において「アミノ酸残基」と同義的に使用され、ここで「アミノ酸残基」は上述の通り少なくとも一つの他の種、例えば2種の、例えば3種の、例えば3種よりも多い他の種と反応したアミノ酸も包含することが意図される。アミノ酸という総称は天然および非天然のアミノ酸の両者を含み、いずれのアミノ酸も「D」または「L」異性体であってよい。
抗体という用語は免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の活性部位のことを表す。抗体は、例えば、完全な免疫グロブリン分子であるか、または免疫活性を保持しているその断片である。
抗原という用語は、クローン的に分布する免疫受容体(T細胞またはB細胞受容体)に結合しうる任意の物質のことを表す。通常はペプチド、ポリペプチド、または多量体ポリペプチドである。抗原は好ましくは免疫応答を誘発しうるものである。
本明細書でブースター注射またはブースター投与によるブーストに関して用いられるブーストという用語は、ワクチン等の免疫剤の追加投与を、初回投与の後に一度に行い、その前回の同一薬剤の投与によって誘発された免疫応答を持続させることである。
担体という用語は、抗原を連結した実体または化合物であって、免疫応答の誘導に役立つものを表す。
融合タンパク質という用語は、2個またはそれ以上の完全または部分的な遺伝子、または一連の核酸、を互いに結合することによって作製されたヌクレオチド配列にコードされる、遺伝子操作されたタンパク質のことを表す。あるいは、融合タンパク質は2個またはそれ以上の異種ペプチドを互いに結合することにより作製されたものであってもよい。
サイトカインという語は、本明細書で非決定的(non-determinative)に用いられる増殖または分化調節因子のことを表す。サイトカイン以外にも、接着もしくはアクセサリー分子、またはその任意の組み合わせを、単独で、または他のサイトカインと組み合わせて、使用してもよい。
細胞傷害性Tリンパ球という用語は、T細胞受容体とともにCD8を発現しており、従ってクラスI分子によって提示される抗原に対して応答することが可能なT細胞の亜群のことを表す。
送達担体という用語は、ヌクレオチド配列もしくはポリペプチド、またはその両者を、少なくとも一つの媒体から他の媒体へと運搬することができる実体のことを表す。
断片という用語は、核酸またはポリペプチドの非全長部分のことを表す。
対象という用語は、鳥類、哺乳類、ヒト、非ヒト、魚類、両生類、または爬虫類の任意の種または亜種のことを表す。
核酸、ポリペプチド、および抗体との関連で使用される単離という用語は、これらの天然の、典型的には細胞の、環境の構成要素からこれらが同定され、分離され、および/または回収されることを表す。
核酸、ポリペプチド、および抗体という用語は、好ましくは単離されたものであり、本発明のワクチンおよび他の組成物は、好ましくは単離された核酸、ポリペプチド、または単離された抗体を含む。
MHCまたは主要組織適合遺伝子複合体という用語は、MHCの主要な二つのサブクラスであるクラスIおよびクラスIIのことを表す。
核酸という用語は、遺伝情報を伝達するヌクレオチドの鎖または配列のことを表す。核酸構築物とは、遺伝子操作された核酸のことを表す。典型的には、遺伝子またはその断片、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリA尾部、リンカー、ポリリンカー、機能リンカー(operative linker)、マルチクローニングサイト(MCS)、マーカー、終止コドン、他の調節因子、または内部リボソーム侵入部位(IRES)等を含む。
機能リンカーという用語は、核酸構築物または融合ポリペプチドの2個の部分を、該核酸またはポリペプチドの生物学的プロセシングが保証される様式で互いに結合する、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列のことを表す。
病原体という用語は、疾患の特異的な原因因子、特に宿主に疾患を引き起こしうるウイルス、細菌、プリオン、または寄生生物等の生物学的因子のことを表し、感染性因子とも称する。
「癌」または「腫瘍」という用語は、細胞の異常な無制御の増殖の結果生ずる新生物または腫瘍のことを表す。「癌」という用語は、前癌および悪性癌細胞の両者を含む疾患を包含する。一部の態様においては、癌とは、対象の他の部位に拡がっていない細胞の局所的な異常増殖、すなわち良性腫瘍のことを表す。他の態様においては、癌とは、隣接する身体構造に侵入してそれを破壊し、離れた部位に拡がった悪性腫瘍のことを表す。さらなる他の態様においては、癌とは、特異的な癌抗原と関連したものである。
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、癌およびその単一または複数の症状の発生、再発、または発症を結果的に予防すること、他の療法の予防効果を強化または改善すること、癌の重症度や期間を減少させること、癌の単一または複数の症状を軽減すること、癌の進行を予防すること、癌の退縮を誘起すること、および/または他の療法の治療効果を強化または改善すること、において十分な治療の量のことを表す。一態様において、前記治療の量は、1種、2種、または3種の治療を施した後に次の結果のうちの1種、2種、3種、またはそれ以上を達成するのに有効である:(1)癌幹細胞集団の安定化、減少、または排除;(2)癌細胞集団の安定化、減少、または排除;(3)腫瘍または新生物の増殖の安定化または減少;(4)腫瘍形成の減少;(5)原発、局所、および/または転移性癌の根絶、除去、または抑制;(6)死亡率の減少;(7)無病、無再発、無進行、および/または全生存期間もしくは率の増加;(8)奏効率、奏効の存続性、または、効果が見られる、もしくは寛解にある患者の数の増加;(9)入院率の低下;(10)入院期間の減少;(11)腫瘍のサイズが維持され、増加しないこと、または腫瘍のサイズの増加が10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは2%未満であること;(12)寛解にある患者の数の増加;(13)寛解期間の延長;(14)癌の再発率の減少;(15)癌の再発までの期間の延長;ならびに(16)癌関連症状および/または生活の質の改善。
ペプチドという用語は、配列を定義し、アミド結合によって連結されている、共有結合した複数のアミノ酸残基のことを表す。この用語はオリゴペプチドおよびポリペプチドと同様に用いられる。前記天然および/または非天然アミノ酸は、ペプチド結合または非ペプチド結合により連結されていてよい。またペプチドという用語は、当該分野で公知の化学的にまたは酵素に触媒された反応によって導入された翻訳後修飾も包含する。この用語はポリペプチドのバリアントまたは断片も表しうる。
医薬担体、賦形剤、または安定化剤という用語は、使用時の用量または濃度でそれに曝露された細胞または個体に対して、非毒性のものをいう。生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液であることが多い。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸、クエン酸、および他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸等の酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリン等の単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトールまたはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン(salt-forming counterion);ならびに/あるいはTWEENTM、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICSTM等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
プロモーターという用語は、RNAポリメラーゼが結合して単一または複数の近隣の構造遺伝子のメッセンジャーRNAの転写が始まる、DNA鎖内の結合部位のことを表す。
シグナルペプチドという用語は、細胞内におけるタンパク質の最終的な位置を決定する短いアミノ酸の配列のことを表し、ソーティングペプチド(sorting peptide)とも称される。
界面活性剤という用語は、それが溶解している液体の表面張力を減ずることができる表面活性剤のことを表す。界面活性剤は親水性の極性基と疎水性の非極性基とを含む化合物であり、脂肪鎖からなることが多い。
ワクチンという用語は、動物において免疫応答を誘起することができる物質または組成物のことを表す。免疫原性組成物とも称する。免疫応答が生物において記憶を誘導する免疫応答(体液性/抗体性、および/または細胞性)である場合、一次応答ではなく二次応答によって感染性因子の宿主生物に対する影響が減少する。ワクチンは予防および/または治療薬として与えてよい。前記組成物は次のうちの一つまたは複数を含んでいてよい:単一または複数の腫瘍関連抗原に結合したVGP;抗原、担体、アジュバント、および医薬担体のうち1個または複数に機能的に連結したVGPを含む核酸構築物。
バリアントという用語は、任意の標準核酸またはポリペプチドに対してある程度の配列相同性・同一性を示すが、該標準核酸またはポリペプチドとは同一ではない核酸またはポリペプチドのことを表す。
詳細な説明
改変アルファウイルス糖タンパク質および抗原を含む融合タンパク質
全てのアルファウイルスと同様、シンドビスゲノムは、RNA複製に関与する4個の非構造タンパク質(nsP1〜4)と、5個の構造タンパク質(キャプシド、E3、E2、6K、およびE1)とをコードする。前記構造タンパク質は単一のポリプロテインとして発現し、細胞プロテアーゼにより切断されて成熟タンパク質を生成する(図1参照)。前記キャプシドタンパク質はウイルスゲノムを取り囲む内部コアを形成し、E2エンベロープ糖タンパク質の細胞質尾部と相互作用する(7)。E3タンパク質は、E3およびE2からなる前駆体タンパク質pE2のシグナル配列として働き、E2の正確なフォールディングを媒介し、E2がE1とヘテロ二量体化するのに必要となる(7)。ゴルジ体におけるタンパク質プロセシングの際、E3はフューリン(furin)によって切断され、細胞からのウイルス出芽の際に除去される(7)。シンドビスウイルス(「SINV」)E2は、第196位および第318位に2個のN結合グリコシル化部位を有する膜貫通型糖タンパク質である(8)。6Kタンパク質はE1のシグナル配列として働き、E1およびE2からシグナルペプチダーゼによって切断され、成熟ウイルス粒子内には最小限しか存在しない。SINV E1は、第139位および第245位に2個のN結合グリコシル化部位を有する膜貫通型糖タンパク質である(8)。ウイルスが細胞から出芽する際、キャプシドは宿主細胞の原形質膜に由来するウイルスエンベロープ内に収容される。E2/E1ヘテロ二量体はウイルスエンベロープ表面上の三量体スパイクとして存在する。E2領域は標的細胞上の受容体との相互作用に関与する一方、E1は後期エンドソームおよびリソソームの低pH条件下で膜融合を引き起こす(8)。
本明細書に記載されるのは、改変ウイルス糖タンパク質(VGP)を含む融合タンパク質であって、単一の組換えタンパク質として同時に発現されたE1およびE2タンパク質(図3参照)が腫瘍特異抗原と結合して融合タンパク質VGP−TAAを形成する、治療のための融合タンパク質である。特定の態様において、前記融合タンパク質は膜貫通タンパク質、6K領域、および非構造タンパク質を含まない。特定の態様において、前記融合タンパク質を発現する発現ベクターはウイルスベクターではない。一態様において、前記融合タンパク質は配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。ある態様において、前記融合タンパク質は次の改変を伴った配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。(1)次のアミノ酸残基の欠失:1〜65、979〜978。前記融合タンパク質は単一または複数の腫瘍関連抗原に機能的に連結したウイルス表面膜糖タンパク質のヌクレオチド配列を有するヌクレオチドによってコードされる組換えタンパク質である。ある態様において、前記の単一または複数の腫瘍関連抗原はNCI Pilot Project to Prioritize Cancer Antigens Clin. Cancer Res 2009; 15:5323-5337の表3に開示されるものである。
ある態様において、前記融合タンパク質の腫瘍関連抗原部分は配列番号3〜11と少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有していてよい。ある態様において、前記融合タンパク質の腫瘍関連抗原部分は、アミノ酸番号877〜978において、配列番号1と少なくともa%の同一性を有するアミノ酸配列を有していてよい。
ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11のいずれかにおける少なくとも7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上の個数の連続したアミノ酸を含んでおり、該連続したアミノ酸は免疫原性である。
ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11からの10〜20個、20〜30個、30〜50個、50〜150個、150〜200個、200〜400個、または400〜500個のアミノ酸を有する。ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11からの全長タンパク質を含んでいない。
ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11由来のタンパク質のうち1200アミノ酸未満、1100アミノ酸未満、1000アミノ酸未満、950アミノ酸未満、900アミノ酸未満、850アミノ酸未満、800アミノ酸未満、750アミノ酸未満、700アミノ酸未満、650アミノ酸未満、600アミノ酸未満、590アミノ酸未満、または580アミノ酸未満を有する。
限定されることはないが、上記で議論される配列番号3〜11からの腫瘍関連抗原断片は、アジュバント(限定されることはないが、例えば下記の「免疫原性組成物および薬剤」の節で列挙または議論されるアジュバントのいずれか)または前記ポリペプチドに結合した適した担体を含みうる適した組成物で対象に投与された際に、単離された完全長ポリペプチド配列番号3〜11をそれぞれ認識する抗体またはT細胞媒介免疫応答を誘起する、該ポリペプチド由来の免疫原性断片を含む。
腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11のいずれかと比較して、1個または複数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個等)のアミノ酸置換、例えば保存的置換(すなわち、あるアミノ酸と、関連性のある側鎖を有する他のアミノ酸との置換)を含んでいてもよい。遺伝的にコードされるアミノ酸は一般的に4つのファミリーに分けることができる:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、まとめて芳香族アミノ酸に分類されることがある。一般に、これらファミリー内の単一アミノ酸の置換は生物学的活性に大きな影響をもたらさない。
ポリペプチドは、配列番号3〜11のいずれかに対し、1個または複数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個等)の単一アミノ酸欠失を含んでいてもよい。同様に、ポリペプチドは、配列番号3〜11のいずれかに対し、1個または複数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個等)の挿入(例えば、それぞれ1、2、3、4、または5アミノ酸)を含んでいてもよい。
欠失または置換はN末端および/またはC末端のものであってよく、あるいはこれら2個の末端の間のものであってもよい。従って、トランケーション(truncation)は欠失の一例である。トランケーションはN末端および/またはC末端における40個(またはそれ以上)までのアミノ酸の欠失を含みうる。
一般に本発明のポリペプチドが配列番号3〜11の完全配列と同一でない配列を含む場合(例えば、それらに対し100%未満の配列同一性の配列を含む場合、またはその断片を含む場合)、該ポリペプチドは、該完全配列番号配列からなるポリペプチドを認識する抗体を誘発しうる、すなわち該抗体が前記配列番号3〜11の一つまたは複数に結合することが好ましい。このような抗体は、特異的に配列番号3〜11それぞれに結合し、一方で、ホモログではない他のタンパク質に対しては、非特異的結合標準試料としてのヒト血清アルブミンに対する該抗体の非特異的親和性よりも有意に高い親和性では結合しないものであってよい。
本発明のポリペプチドは、金属イオン、例えば、ポリペプチド鎖の単一または複数のアミノ酸に配位する金属イオン、を含んでいてよい。例えば、前記ポリペプチドは1価、2価、または3価の金属カチオンを含んでいてよい。典型的にはMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+等の2価のカチオンである。該2価カチオンは好ましくはZn2+である。
本明細書に開示するポリペプチドは、各種の形態(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、微粒子、変性等)でありうる。例えば、本発明のポリペプチドは脂質化されたN末端システインを有していてよい。
本明細書に開示するポリペプチドは、各種の手段(例えば、組換え発現、細胞培養物からの精製、化学合成等)によって作製されうる。組換え発現されたタンパク質が好ましい。
本明細書に開示するポリペプチドは、好ましくは精製されたまたは実質的に精製された形態で、すなわち、他のポリペプチド(例えば天然ポリペプチド)、特に他の大腸菌または宿主細胞ポリペプチドが実質的に含まれない形態で、提供され、一般的に少なくとも約50%の純度(重量基準)、通常少なくとも約90%の純度である。すなわち、約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば5%)の組成が他の発現ポリペプチドからなる。このように、前記組成物中の抗原は、該分子が発現する生物全体からは分離されている。
ペプチド断片からの腫瘍関連抗原内のエピトープはB細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであってよい。このようなエピトープは経験的に(例えばPEPSCANもしくは類似の方法を用いて)同定することができるか、あるいは(例えばJameson−Wolf抗原指標(antigenic index)、マトリクスに基づくアプローチ(matrix-based approaches)、MAPITOPE、TEPITOPE、ニューラルネットワーク(neural networks),OptiMer&EpiMer、ADEPT、Tsites、疎水性、抗原指標(antigenic index)等を用いて)予測することができる。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位に認識され、結合する、抗原の部分である。それらは「抗原決定基」と呼ばれることもある。
本明細書に開示されるいずれのポリペプチドも、ワクチンの成分として有用である。従って、他の態様においては、前記単離または組換えポリペプチドはアジュバントと組み合わせられる。
一態様において、前記融合タンパク質は単一もしくは複数の抗原性タンパク質、または抗原性タンパク質のペプチドもしくは断片を含み、該タンパク質は腫瘍関連抗原である。多くのタンパク質が同定され、特定の種類の癌と関連づけられてきた。これらは腫瘍関連抗原と呼ばれる。一般に、癌腫瘍と関連することが明らかであるいずれの抗原を使用してもよい。ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、WT1(UniProt Knowledgebase)、MUC1(P15941)、LMP2(P13285)、HPV16 E6(P03126)およびE7(P03129)、HPV18(E6−P06463)およびE7(P06788)、RGL4(Q8IZJ4)、EGFRvIII(P0533)、HER−2/neu(P04626)、MAGE A3(Q53EX0)、PSMA(Q04609)、CEA(P06731)、MelanA/MART(Q16655)、gp100(P40967)、プロテイナーゼ3(PR1)(P24158)、bcr−abl fusion、bcr(P11274)、abl(P00519)、チロシナーゼ(P14679)、サバイビン(Survivin)(O15392)、PSA(P07288)、hTERT(O14746)、EphA2(P29317)、PAP(P15309)、ML−IAP(Q96CA5)、AFP(P02771)、EpCAM(P16422)、TMPRSS2/ERG fusion、TMPRSS2(O15393)、ERG(P11308)、PAX3(P23760)、ALK(Q9UM73)、アンドロゲン受容体(P10275)、サイクリンB1(P14635)、MYCN(P04198)、RhoC(P08134)、TRP−2(P40126)、メソテリン(Mesothelin)(Q13421)、PSCA(O43653)、MAGE A1(P43355)、CYP1B1(Q16678)、PLAC1(Q9HBJ0)、BORIS(Q8NI51)、NY−BR−1(Q9BXX3)、RGS5(O15539)、SART3(Q15020)、炭酸脱水酵素IX(Q16790)、PAX5(Q02548)、OY−TES1(Q8NEB7)、精子タンパク質17(Q15506)、LCK(P06239)、HMWMAA(Q6UVK1)、AKAP−4(Q5JQC9)、SSX2(Q16385)、XAGE 1(Q9HD64)、レグマイン(Legumain)(Q99538)、Tie 2(Q02763)、VEGFR2(P35968)、PDGFR−β(P09619)、およびFos関連抗原1(P15407)である。
ある態様においては、単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質が、単一または複数の腫瘍関連抗原に機能的に連結される。一態様において、前記腫瘍特異抗原は癌−精巣抗原NY−ESO−1の主要抗原性領域(primary antigenic region)である。ある態様において、前記腫瘍特異抗原は、癌免疫療法のための標的ヒトTAAのリスト(9)を含む。ある特定の態様においては、SINV VGP組換えタンパク質がNY−ESO−1タンパク質の主要抗原性領域に結合され、融合タンパク質を形成する。
ある態様においては、さらなるN−結合グリコシル化部位をウイルス糖タンパク質に人工的に導入してもよい。N−結合グリカンは、アスパラギン−X−セリン/スレオニン配列(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)の一部として存在するアスパラギン側鎖に結合される。
本開示はまた、単一または複数の腫瘍関連抗原と単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質とを含み、配列番号1に識別されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質、またはその断片、をコードする核酸構築物に関する。ある態様において、前記断片は、40〜80、80〜150、150〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜850、または850〜900アミノ酸残基を有する。ある態様において、前記断片は、配列番号2に対して少なくとも85%、90%、95%、または99%同一である。ある態様において、前記腫瘍関連抗原は全長タンパク質である。ある態様において、前記腫瘍関連抗原は全長タンパク質の断片である。ある態様において、前記断片は、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜80、80〜150、150〜200、200〜300、300〜400、400〜500、または500〜600アミノ酸残基を有する。ある態様において、前記断片は、野生型腫瘍関連抗原に対して少なくとも85%、90%、95%、または99%同一である。アミノ酸配列間の同一性/相同性は周知のスコアリングマトリックスを用いて算出してよく、該マトリックスの例として、BLOSUM30、BLOSUM40、BLOSUM45、BLOSUM50、BLOSUM55、BLOSUM60、BLOSUM62、BLOSUM65、BLOSUM70、BLOSUM75、BLOSUM80、BLOSUM85、およびBLOSUM90のいずれかが挙げられる。
ある態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11のいずれかにおける少なくとも10個の連続したアミノ酸であるポリペプチド断片であり、少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む該ポリペプチド断片は免疫原性であり、該免疫原性ポリペプチド断片は配列番号3〜11のポリペプチドのうち1100アミノ酸未満を含む。
一態様において、アルファウイルス表面膜糖タンパク質E1、E2、および任意にE3、ならびにリンカーおよび少なくとも1個の腫瘍関連抗原、から本質的になる単離または組換え融合タンパク質であって、該融合タンパク質は対象に投与された際に免疫応答を刺激する、融合タンパク質が開示される。一態様において、前記融合タンパク質は、配列番号1に対して少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸を含む。一態様において、前記融合タンパク質は、少なくとも配列番号1の第66〜978位のアミノ酸残基を含む。一態様において、前記融合タンパク質は、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸分子によってコードされる。一態様において、前記融合タンパク質は、配列番号1の、(i)第1〜65位;(ii)第979〜984位;または(iii)第1〜65位および第979〜984位;のアミノ酸残基の欠失をさらに含む。一態様において、E2は、少なくとも300アミノ酸の長さの、第66〜429位において配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一態様において、E1は、少なくとも300アミノ酸の長さの、第449〜854位において配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一態様において、前記腫瘍関連抗原は、配列番号3〜11のいずれかにおける少なくとも10個の連続したアミノ酸であるポリペプチド断片であり、少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む該ポリペプチド断片は免疫原性であり、該免疫原性ポリペプチド断片は配列番号3〜11のポリペプチドのうち1100アミノ酸未満を含む。
当業者は、上記をウイルス抗原に適用しうることも理解するであろう。従って、ある態様において、前記腫瘍関連抗原はウイルス抗原に置き換えられる。ある態様において、前記融合タンパク質は、単一または複数のウイルス抗原と単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質とを含む。ある態様において、前記ウイルス抗原は、HSV−1糖タンパク質B(P06437)、糖タンパク質E(P04488)、HIV gag−pol(P04585)、水痘(Varicella zoster)糖タンパク質B(Q4JR05)、または糖タンパク質E(Q9J3M8)である。
VGP−TAAの作製方法
本明細書においては、融合タンパク質をコードする核酸で形質転換された宿主細胞をポリペプチド発現が誘導される条件下で培養する工程を含む、融合タンパク質を製造するための方法が提供される。前記ポリペプチドはその後、例えば培養上清から、精製してもよい。
本発明は、化学的手段によってポリペプチドの少なくとも一部を合成する工程を含む、本発明のポリペプチドの製造方法を提供する。
前述の全てのタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片は、限定されることなく、(このようなタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープ、および免疫原性断片と天然に共存している材料から)組換えられた、単離された、または実質的に精製されたものなどを含む多数の形態のいずれのものであってもよい。
一局面において、本明細書に開示される前記融合タンパク質は、単一または複数の腫瘍関連抗原に機能的に連結された単一または複数のウイルス表面膜糖タンパク質を含む、核酸構築物によってコードされる。前記融合タンパク質は単一または複数の腫瘍関連抗原に機能的に連結したウイルス表面膜糖タンパク質のヌクレオチド配列を有するヌクレオチドによってコードされる組換えタンパク質である。一態様において、前記核酸構築物は発現ベクターである。一態様において、前記発現ベクターは非ウイルス、ウイルス、またはプラスミドである。ある態様においては、前記発現ベクターは、遺伝子または遺伝子の断片、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル、ポリA尾部、リンカー、ポリリンカー、機能リンカー、マルチクローニングサイト、マーカー、終止コドン、内部リボソーム侵入部位、組み込みのための宿主相同配列、またはその他の定義された因子を含む。核酸構築物を操作するための方法は当該分野において周知である(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Sambrook et al., eds., Cold Spring Harbor Laboratory, 2nd Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照)。
一部の態様においては、本発明の核酸は、低いストリンジェンシー(stringency)の条件下で標的にハイブリダイズする。他の態様においては、該核酸は中間的なストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。好ましい態様においては、該核酸は高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の組み合わせの例として、50℃、10×SSCが挙げられる。中間的なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の組み合わせの例として、55℃、1×SSCが挙げられる。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の組み合わせの例として、68℃、0.1×SSCが挙げられる。
本発明には、これらの配列の相補的な配列を含む核酸も含まれる(例えばアンチセンスまたはプロ−ビング(probing)用、またはプライマーとしての用途のため)。
本発明の核酸は、ハイブリダイゼーション反応(例えばノーザンもしくはサザンブロッティング、または核酸マイクロアレイもしくは「遺伝子チップ」において)および増幅反応(例えばPCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBA等)、ならびに他の核酸技術において使用することができる。
本発明の核酸は各種の形態(例えば一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識済等)をとりうる。本発明の核酸は環状または分岐状であってもよいが、通常は直鎖状である。他に断りがない限り、また他に必要がない限り、核酸を利用する本発明のいずれの態様も、二本鎖型、および該二本鎖型を構成する2種の相補的一本鎖型それぞれ、の両者を利用するものであってよい。プライマーおよびプローブは一般的には一本鎖であり、アンチセンス核酸と同様である。
本発明の核酸は、好ましくは精製されたまたは実質的に精製された形態で、すなわち、他の核酸(例えば天然の核酸)、特に宿主細胞の核酸が実質的に含まれない形態で、提供され、一般的に少なくとも約50%の純度(重量基準)、通常少なくとも約90%の純度である。
本発明の核酸は、様々な方法で調製してよい。例えば、全体または部分を化学合成(例えばDNAのホスホラミダイト合成)してもよく、より長い核酸をヌクレアーゼ(例えば制限酵素)を用いて消化してもよく、より短い核酸またはヌクレオチドを(例えばリガーゼまたはポリメラーゼを用いて)連結してもよく、ゲノムまたはcDNAライブラリー由来であってもよい。
本発明の核酸は、固形支持体(例えばビーズ、プレート、フィルター、フィルム、スライド、マイクロアレイ支持体、樹脂等)に結合させてもよい。本発明の核酸は、例えば放射性もしくは蛍光標識により、またはビオチン標識により、標識されてもよい。これは特に、前記核酸が検出技術において使用される場合、例えば前記核酸がプライマーまたはプローブである場合に、特に有用である。
「核酸」という用語は、一般的手段においては、ヌクレオチドが任意の長さで重合した形態のものを含み、そこにはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらのアナログが含まれる。例としてDNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドが挙げられる。また、DNAまたはRNAアナログ、例えば修飾された主鎖(例えばペプチド核酸(PNA)もしくはホスホロチオエート)または修飾塩基を含むものも挙げられる。従って、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマー等を包含する。本発明の核酸がRNAの形態をとる場合、5’キャップを有していても有していなくてもよい。
本発明の核酸は、ベクターの一部であってもよい。すなわち、単一または複数の細胞型の形質導入/トランスフェクションのために設計された核酸構築物の一部であってもよい。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増幅、および複製のために設計された「クローニングベクター」、宿主細胞中のヌクレオチド配列の発現のために設計された「発現ベクター」、組換えウイルスまたはウイルス様粒子の産生をもたらすために設計された「ウイルスベクター」、または複数のベクターの特性を有する「シャトルベクター」等であってもよい。上述の通り、好ましいベクターはプラスミドである。「宿主細胞」には、外来核酸を受け取ることができる、または受け取っている、個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞の例として単一宿主細胞の子孫が挙げられ、該子孫は、天然の、偶然の、または意図的な変異および/または変化によって、必ずしも、起源となる親細胞と(形態または全DNA相補体(total DNA complement)において)完全に同一でなくなったものであってもよい。宿主細胞の例として、in vivoまたはin vitroで本発明の核酸をトランスフェクトまたは感染させた細胞が挙げられる。
核酸がDNAである場合、RNA配列中の「U」は該DNA中において「T」に置き換わることが望ましい。同様に、核酸がRNAである場合、DNA配列中の「T」は該RNA中において「U」に置き換わることが望ましい。
「相補体(complement)」または「相補的(complementary)」という用語は、核酸と関連して使用される場合、ワトソンークリック塩基対のことを表す。従って、Cの相補体はGであり、Gの相補体はCであり、Aの相補体はT(またはU)であり、T(またはU)の相補体はAである。例えばピリミジン(CまたはT)の相補体として、I(プリンであるイノシン)等の塩基を使用することも可能である。
本発明の核酸は、例えば、ポリペプチドを製造するために;生体試料における核酸の検出のためのハイブリダイゼーションプローブとして;核酸のさらなるコピーを生成するために;リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを生成するために;一本鎖DNAプライマーまたはプローブとして;または、三本鎖形成オリゴヌクレオチドとして;使用することができる。
本発明は、本発明の核酸を製造するための方法であって、化学的手段を用いて該核酸の一部または全体を合成する方法を提供する。
本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(クローニングまたは発現ベクター等)、およびこのようなベクターで形質転換した宿主細胞を提供する。
本発明による核酸増幅は、定量的な、および/またはリアルタイムなものであってよい。
本発明のある態様において、核酸は好ましくは少なくとも7ヌクレオチド(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、もしくは300ヌクレオチド、またはそれ以上)の長さである。
本発明のある態様において、核酸は好ましくは最大で500ヌクレオチド(例えば、450、400、350、300、250、200、150、140、130、120、110、100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、もしくは15ヌクレオチド、またはそれ以下)の長さである。
本発明のプライマーおよびプローブ、ならびにハイブリダイゼーションに使用する他の核酸は、好ましくは10〜30ヌクレオチド(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)の長さである。
ある態様において、融合タンパク質をコードする前記開示の核酸構築物は、単一または複数の腫瘍関連抗原に機能リンカーを介して結合された、単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質を含む。一態様において、前記リンカーは直接結合(direct link)である。一態様において、前記リンカーはスペーサー領域である。機能リンカーという用語は、核酸構築物または融合タンパク質の2個の部分を、該核酸またはタンパク質の生物学的プロセシングが保証される様式で互いに結合する、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列として理解される。前記機能リンカーが直接結合である場合、オープンリーディングフレームまたはオープンリーディングフレームの断片のいずれかをそれぞれコードする前記2個の核酸は、互いに直接隣接するように配置され、従って同様にフレーム内となる。前記機能リンカーがスペーサー領域に媒介される場合、前記単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質と前記単一または複数の腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチドとの間に、一連のヌクレオチドが挿入される。ある態様において、前記機能リンカーは、少なくとも1個のポリリンカーまたはマルチクローニングサイト(MCS)を含む。
核酸構築物の例を図6、および配列番号2として識別される配列に提供する。配列番号1に示す部分ベクター配列は、上記のように各種要素をサブクローニングすることによって生成された。これら部分配列は全てpUC57に挿入され、その後pFastBac1に移し替えられる。GenBankアクセッション番号AY598466を参照のこと。
一態様においては、前記膜貫通および6K領域が除去され、E2およびE1がフレキシブルリンカーによって結合される。E3配列はERターゲティング配列として働き、E2/E1二量体化を助ける。TAAが他のフレキシブルリンカーおよびプロテアーゼ切断部位とともにE1のC末端に付加される。ゴルジ体からの分泌の際、VGPが三量体化し、TAAを有する可溶スパイクを形成する。一態様においては、前記タンパク質はバキュロウイルス発現系によって昆虫細胞において作製される。
一態様においては、人工組換えアルファウイルス糖タンパク質(VGPs)がバキュロウイルス発現系によって製造され、天然ウイルスに対する同程度の標的特異性を有する。
ある態様においては、望ましくない免疫応答を誘発しない融合タンパク質において、適切なグリコシル化が維持される。
ある態様においては、前記融合タンパク質は可溶性である。ある態様においては、前記融合タンパク質は不溶性である。
ある態様においては、本明細書に開示される方法は腫瘍細胞の直接殺傷である。ある態様においては、本明細書に開示される方法は、ウイルスの侵入の際に生じ、ウイルス複製を必要としない、アポトーシスの誘導である。ある態様においては、前記融合タンパク質上の糖タンパク質はアポトーシスを誘導する。ある態様においては、他の腫瘍関連抗原の放出が腫瘍殺傷を実現する。ある態様においては、腫瘍細胞表面上のウイルスタンパク質の提示が細胞傷害性T細胞および/またはNK応答を誘導する。
ある態様においては、前記組換え発現ベクターは、特定の送達担体を介して送達される。前記送達担体は、RNAまたはDNAを基盤とする担体、脂質を基盤とする担体、細胞を基盤とする担体、生分解性ポリマーマイクロスフェア、リポソーム、コロイド金粒子、またはリポ多糖であってよい。裸のDNAを、遺伝子銃等の微粒子銃装置を用いて、バリスティック導入(ballistic transfer)等の機械的または電気的技術によって、送達してもよい。
一態様においては、VGP−TAA融合タンパク質が、組換え発現ベクターによって生成される。一態様においては、シンドビス融合糖タンパク質が、Sf9昆虫細胞において、バキュロウイルス発現によって生成される。バキュロウイルス系は、組換えタンパク質発現のための昆虫細胞を使用する、汎用性かつ強力な真核生物ベクター系であり(10)、他の発現ベクター系と比べて多数の利点を提供する。バキュロウイルスは特定の無脊椎動物種にのみ感染することができ、哺乳類に対しては非病原性である。細菌タンパク質発現とは異なり、バキュロウイルス系で発現したタンパク質は、哺乳類発現系において産生されるものと同様に、プロセシングを受け、折りたたまれ、修飾される。さらに、バキュロウイルスで発現するタンパク質は容易にスケールアップでき、組換えタンパク質を大量に製造することができる。昆虫細胞株は、懸濁培養において良好に増殖するものが利用可能であり、大規模バイオリアクター内で組換えタンパク質の生産が可能となる。バキュロウイルス系の利用は、本タンパク質に特異的な、さらなる明確な利点を提供する。昆虫および哺乳類細胞は両者ともN結合グリコシル化が可能であるが、具体的なグリコシル化経路は異なっている。昆虫細胞において産生されるN−グリカンは、高マンノース(high-mannose)または低マンノース性(paucimannosidic)構造のいずれかを有する場合があり、両者とも末端マンノース残基を有する(11)。哺乳類細胞で産生されるNーグリカンは、高マンノース構造、またはガラクトースおよびシアル酸で終結する複合構造のいずれかを有する場合がある(11)。前記VGPをコードする遺伝子は、遺伝子合成および昆虫細胞発現向けのコドン最適化を介して生産される。前記組換え融合タンパク質は、フレキシブルリンカーによって接続されたpE2およびE1シンドビス糖タンパク質の細胞外ドメインが第二のリンカーによってTAAに連結されたものからなる(図3参照)。一態様においては、前記TAAはNY−ESO−1である。他の態様においては、別のTAAがコード配列に挿入される。ある態様においては、2個またはそれ以上の並列のTAAで構築物が生成され、これがより強力な免疫応答をもたらしうる。
ある態様においては、T細胞媒介および抗体媒介応答等の任意の種類の免疫応答が、様々な強度で免疫応答を誘発する抗原のエピトープによって開始されうる。ある態様においては、前記融合タンパク質は、従来の免疫法を用いた場合では弱すぎることが知られる腫瘍関連抗原に対する免疫応答を誘発することに成功する。ある態様においては、本明細書に開示される前記融合タンパク質は、従来の免疫法と比べ、5〜10倍、10〜20倍、20〜30倍、30〜50倍、50〜100倍、100〜500倍、または500〜1000倍強力な免疫応答を誘発することに成功する。Saroja, Laskshmi, and Bhaskaran. Int J Pharm Investig. 2011。
ある態様においては、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、20個、30個、40個、50個、またはそれ以上のTAAがVGPに結合される。pE2のE3成分は、前記タンパク質の分泌のためのシグナルペプチドとして働き、E1およびE2の結合を助け、成熟タンパク質からフューリンによって切断される(7)。前記成熟分泌タンパク質は、E2およびE1のヘテロ二量体複合体の三量体を形成し、SINVエンベロープ上に見られる三量体糖タンパク質スパイクを模倣する。前記第二のフレキシブルリンカーは、E2/E1の多量体化を妨げることなく、NY−ESO−1の正確なフォールディングを可能にする。ある態様においては、前記TAAはNY−ESO−1のアミノ酸残基1〜180を含む。他の態様においては、前記TAAはNY−ESO−1のアミノ酸残基81〜180を含む。ある態様においては、精製の目的のため、前記タンパク質のC末端にHisタグが付加される。前記融合タンパク質が分析され、非変性ゲルおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって、その多量体構造が決定される。前記融合タンパク質はELISAおよび特異的なウェスタンブロットアッセイで分析される。前記融合タンパク質は、市販の抗体によって検出可能ないくつかの抗原性標的(NY−ESO−1、Hisタグ、ならびにSINV E1およびE2)を有する。一態様においては、前記TAAはRGL4である。ある態様においては、前記TAAはヒトパピローマウイルスのE6タンパク質である。ある態様においては、前記TAAはヒトパピローマウイルスのE7タンパク質である。
また、前記融合タンパク質をコードする核酸構築物を含んだ細胞が開示される。このような組換え細胞は、in vitro研究のためのツールとして、前記核酸構築物のための送達担体として、または遺伝子療法レジメンの一部として、利用することができる。
また、本明細書に開示の前記融合タンパク質に免疫特異的に結合する抗体または結合断片が開示される。ある態様においては、前記抗体は前記抗原に免疫特異的に結合する免疫グロブリン分子およびその活性断片である。前記抗体および結合断片を、対象の免疫のために使用してもよい。前記抗体および結合断片を、抗原の検出のためのアッセイに使用してもよい。
免疫原性組成物および薬剤
本発明のポリペプチドは、免疫原性組成物における活性成分(免疫原)として有用であり、このような組成物はワクチンとして有用でありうる。本発明によるワクチンは予防用(すなわち、感染症を防ぐためのもの)または治療用(すなわち、感染症を治療するためのもの)のいずれであってもよいが、典型的には予防用である。
免疫原性組成物は、薬理学的に許容されるものである。これらは通常、抗原以外の成分も含む。例えば、これらは典型的には単一または複数の医薬担体、賦形剤、および/またはアジュバントを含む。また、単一または複数の腫瘍関連抗原に機能的に連結した単一または複数のアルファウイルス表面膜糖タンパク質、を含んだ融合タンパク質をコードする核酸配列、を含むワクチンも開示される。従って、前記ワクチンは核酸構築物を含んでいてよく、または上記で定義される融合タンパク質を含む。前記ワクチンは、さらには、薬剤として使用されてもよい。
前記ワクチン組成物は公知の方法、例えば、単一または複数の、賦形剤または安定化剤としても知られる薬理学的に許容される担体と活性薬剤との混合によって処方されうる。これらの賦形剤は、使用する投与量および濃度でそれらに曝露される細胞または個体に対して非毒性であることにより、対象へ、好ましくは脊椎動物へ、より好ましくはヒトへ、投与可能なものであってよい。ある態様においては、利用可能な担体としてpH緩衝水溶液が挙げられる。このような賦形剤、担体、および製剤は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton, PA)に記載のものであってよい。生理学的に許容される担体の例としては、限定されるものではないが、リン酸、クエン酸、および他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸等の酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリン等の単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトールまたはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン(salt-forming counterion);ならびに/あるいはTWEENTM、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICSTM等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
効果的な投与に適した薬理学的に許容される組成物を製剤するためには、このような組成物は有効量の前記核酸構築物を含み、該核酸構築物は、本明細書に記載されるように、送達担体または融合タンパク質内に含まれる。前記融合タンパク質を結合することにより、担体を足場として使用し、免疫応答の誘導を改善してもよい。該担体タンパク質は、免疫原性決定基を提示するのに適した任意のタンパク質を含む、任意の従来の担体であってよい。適した担体は典型的には大型で、ゆるやかに代謝される高分子であり、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体、脂質凝集体(油滴またはリポソーム等)、および不活性ウイルス粒子等が例として挙げられる。このような担体は当業者に周知である。さらに、これらの担体は免疫賦活剤(「アジュバント」)として機能するものであってよい。動物の免疫は、アジュバントおよび/または医薬担体を用いて行ってよい。従来の担体タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン;トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、またはヒト血清アルブミン等の血清タンパク質;オボアルブミン;免疫グロブリン;またはインシュリン等のホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。前記担体はアジュバントと共存するものであってもよい。ワクチン組成物は予防および治療用として有用であり、例えば対象における免疫応答を刺激することに有用である。本明細書に開示されるワクチン組成物は、全身もしくは局所毒性反応、または他の副作用を何ら誘発しない。
アジュバントを前記ワクチン組成物に含有させ、特異的免疫応答を強化してよい。従って、抗原、核酸構築物、および/または送達担体(これらはいずれも免疫原性決定基と称する場合がある)と組み合わせた際に強力な特異的免疫応答を誘導することが可能なワクチン組成物をもたらすアジュバントを同定することが特に重要である。前記免疫原性決定基は、免疫の前に、2種またはそれ以上の異なるアジュバントと混合されてもよい。これまでに多数のアジュバントが記載されており、マウス、ラット、およびウサギ等の実験動物において抗体を生成するために使用されてきた。このような状況においては、強力な抗体応答を得ることが主な目的であるため、副作用の許容範囲はかなり大きい。使用のため、および医薬用途に対する認可のため、そして特にヒトにおける使用のためには、アジュバントを含む前記ワクチン組成物の成分は十分に特徴付けられる必要がある。さらに前記組成物は、あらゆる副作用のリスクが最小限である必要がある。一態様においては、ワクチン組成物はアジュバントを含む。好ましい一態様においては、前記ワクチン組成物は哺乳類に、最も好ましくはヒト対象に、投与するのに適している。アジュバントの選択はさらに、それが所望の種類の免疫応答、B細胞、および/またはT細胞活性化を刺激する能力によって行ってもよく、前記ワクチン組成物を、関連のあるリンパ組織における分布や提示を最適化するように製剤化してよい。
リポ多糖とその各種誘導体、例えばリピドAは、リポソームや他の脂質エマルジョンと組み合わせた際に、強力なアジュバントであることが明らかになっている。フロイントの完全アジュバントは、ほとんどの実験研究における標準である。抗原が急速に異化されるのを防ぐため、ミネラルオイルを前記免疫原性組成物に加えてもよい。多くの他の種類の材料を免疫原性組成物におけるアジュバントしして使用することができ、例としてサポニン等の植物生産物、キチン等の動物生産物、および多数の合成化学物質が挙げられる。
免疫原性組成物は、緩衝液;アスコルビン酸等の抗酸化剤;低分子(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質;アミノ酸;グルコース、ショ糖、またはデキストリン等の炭水化物;EDTA等のキレート剤;グルタチオン;ならびに他の安定化剤および賦形剤;等の希釈剤も含んでいてよい。中性緩衝食塩水、または非特異的血清アルブミンと混合した食塩水は、適当な希釈剤の例である。
組成物のpHは、一般的には5.0〜8.1、より典型的には6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5、または7.0〜7.8である。
前記組成物は、好ましくは無菌である。前記組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば1回投与量あたり1EU(内毒素単位(endotoxin unit)、標準的な尺度)未満、好ましくは1回投与量あたり0.1EU未満である。前記組成物は、好ましくはグルテンを含まない。
投与量
本明細書に開示されるワクチン組成物は、典型的には、対象に利益を提供するのに十分な量で該対象に投与される。この量は「治療的有効量」と定義される。治療的有効量は、特定の組成物の有効性または効力、投与の期間または頻度、ならびに対象のサイズおよび状態、例えば対象の特定の治療反応等によって決定される。さらに、治療的有効量を決定する際には投与経路についても考慮すべきである。ワクチン組成物の治療的有効量は、全核酸約0.1μg/kgから1mg/kgの範囲であろうと予想される。適した投与量の例として、約5μg/kg〜500mg/kgの全DNA、10μg/kg〜250μg/kgの全DNA、または10μg/kg〜170μg/kgの全DNAが挙げられる。一態様においては、ヒト対象(18〜50歳、45〜75kg)に1.2mg〜7.2mgのDNAが投与される。「全DNA」および「全核酸」とは、異なる免疫原性分子をコードする核酸のプールのことを表す。例えば、5種の異なる免疫原性分子をコードする50mgの全DNAの投与量は、各分子1mgを含みうる。前記ワクチンは複数回、例えば約2〜6回投与してもよい。方法の一例においては、100μgのDNA組成物をヒト対象に0、4、および12週目に投与する(1回投与あたり100μg)。ワクチン組成物の治療的有効量は、融合タンパク質約0.1μg/kgから1mg/kgの範囲である。適した投与量の例として、約5μg/kg〜500mg/kgの融合タンパク質、10μg/kg〜250μg/kgの融合タンパク質、または10μg/kg〜170μg/kgの融合タンパク質が挙げられる。一態様においては、ヒト対象(18〜50歳、45〜75kg)に1.2mg〜7.2mgの融合タンパク質が投与される。ヒトワクチンは、典型的には約0.5mlの投与容量で投与されるが、小児には半分量(すなわち約0.25ml)を投与してよい。
本願の治療は、各種の「単位用量」を含んでよい。単位用量とは、所定量の本願の治療用組成物を含むことと定義される。投与すべき量、ならびに具体的な経路および剤形は、臨床分野における当業者の技術の範囲内である。単位用量は単回投与で投与する必要はなく、設定期間にわたって持続投与することを含んでもよい。単位用量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、または50.0mgの活性成分を含んでよい。単位用量は、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、または50.0mg未満の活性成分を含んでもよい。少なくとも一つの態様においては、単位用量は約0.001mgから約50mgの活性成分を含む。一つまたは複数の態様においては、単位用量は約1mgから約10mgの活性成分を含む。
投与
ワクチン組成物は、治療的有効量で対象に投与してよい。該有効量は、対象の状態、体重、性別、年齢等の各種要素によって異なりうる。他の要素として、投与の様式が挙げられる。前記医薬または獣医薬組成物は、皮下、局所、経口、および筋肉内等の各種経路で個体に対して提供されうる。医薬組成物の投与は経口または非経口で達成される。非経口送達の方法として、局所、動脈内(組織に対して直接)、筋肉内、皮下、髄内、鞘内、心室内、静脈内、腹腔内、または鼻腔内投与が挙げられる。また、前記ワクチン組成物を用いた予防および治療の方法における使用のための適当な局所、経口、全身、および非経口医薬製剤も提供される。
例えば、前記ワクチン組成物は、錠剤、カプセル剤(それぞれ持効性および徐放性製剤を含む)、丸剤、粉末剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、および乳剤等の経口投与製剤により、または注射により、投与されうる。同様に、これらは静脈内投与(ボーラスおよび点滴)、腹腔内投与、皮下投与、オクルージョン(occlusion)を用いる、もしくは用いない局所投与、または筋肉内投与の方式で投与されてもよく、これらはすべて医薬分野の当業者に周知の方式を用いる。本明細書に記載のいずれかの化合物を含んだ非毒性かつ有効量のワクチンを、予防または治療薬として使用することができる。注射可能な免疫原性ペプチド組成物を製剤するために適当であることが当業者に公知である、あらゆる従来の剤形も包含される。例として、凍結乾燥された形態、ならびに、必要に応じて従来の薬理学的に許容される担体、希釈剤、保存剤、アジュバント、緩衝成分等を含む液剤、懸濁剤、または乳剤の形態が挙げられる。
前記ワクチン組成物の投与の好ましい様式として、全身投与、例えば静脈内または皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経口投与、直腸投与、膣内投与、経肺投与、および一般に経粘膜投与の任意の形態が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されるワクチンは1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の回数投与することができる。前記ワクチンを複数回投与することには、得られる免疫応答を強化する効果がある。前記ワクチンは、該ワクチンを前回の投与とは異なる様式で投与することによってさらに強化されうる。このブースター注射は同種または異種いずれのブースター注射であってもよい。同種のブースター注射の場合、1回目と次のワクチン接種が同一の構築物、融合タンパク質、および、より具体的には同一の送達担体を含む。異種のブースター注射の場合、異なるベクター内に同一の構築物または融合タンパク質が含まれる。
前記ワクチンの好ましいレシピエントは哺乳動物であり、該哺乳動物は、より好ましい一態様においては、その対象がウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、マウス、ラット、サル、イヌ、ネコ、およびヒトの群より選択される。
一態様においては、前記ワクチン組成物はさらに第2の活性成分を含む。前記第2の活性成分は抗生物質、化学療法薬、抗アレルギー薬、サイトカイン、補体因子、および免疫系の共刺激分子である。
治療および予防の方法
対象に本明細書に記載されるワクチンを投与することを含む、該対象における免疫応答を誘導する方法も開示される。前記免疫応答は次の種類の応答を含む:MHC−I依存性応答、MHC−Iおよび/またはMHC−II依存性応答、T細胞依存性応答、CD4 T細胞依存性応答、CD4 T細胞非依存性応答、CD8 T細胞依存性応答、およびB細胞依存性免疫応答。本方法は、動物の遺伝子免疫のために、またはそれを必要とする対象における臨床状態の治療のために使用される。
本明細書で議論される「治療」とは、治療的処置および予防または防止的処置の両者を含み、その目的は、標的とする病態または疾患を予防または減速させることである。治療を必要とする対象には、疾患を既に有する対象のほか、疾患を有する傾向がある対象または疾患が予防されるべき対象が含まれる。「治療(therapy)」「治療的」「治療(treatment)」または「治療すること」という語には、疾患の症状または進行の減少、緩和、阻害、または除去の能力または作用が含まれる。治療の望ましい効果の例として、疾患の発症または再発の予防、症状の緩和、疾患の直接または間接の病理的帰結の減少、転移の予防、疾患の進行速度の減少、病状の改善または軽減、および、寛解または予後の改善が挙げられる。一部の態様においては、本願の方法および組成物は、疾患もしくは障害の発生を遅らせるため、または疾患もしくは障害の進行を遅らせるために使用される。
本願による治療の例として、治療を必要とする患者に本願のペプチド、核酸、または抗体組成物を投与することを含む、癌または他の新生物疾患の治療の方法を挙げることができる。少なくとも一態様においては、前記治療はさらに、前記患者にプロドラッグの形態の薬物等の化学療法薬を投与することを含む。二つの成分を同時に、例えば組み合わせ丸剤(combined pill)の形態で、または別々に投与してよい。投与は順次または同時であってもよい。「順次」投与とは、前記成分を、異なる、しかし互いに重複していてもよい、時間または時点に投与することを意味する。同時投与とは、前記成分を同時に投与することを意味する。
有効量、好ましくは治療的有効量、の本願の治療が施される。「有効量」とは、必要な投与量および期間において、所望の治療的または予防的結果を達成するのに有効な量のことを表す。有効量は、前記治療に併用される薬剤またはプロドラッグによって異なりうる。本願の治療の「治療的有効量」は、個人の病状、年齢、性別、および体重等の各要素、ならびに前記タンパク質が所望の治療結果をもたらす能力によって異なりうる。治療的有効量には、前記タンパク質のいずれの毒性または有害な効果よりも、治療上の有益な効果が上回る量が包含される。治療的有効量には、利益、例えば臨床上の利益、を与えるのに十分な量も包含される。
本発明は、有効量の本発明の組成物を投与する工程を含む、哺乳動物における免疫応答を上昇させるための方法も提供する。該免疫応答は好ましくは防御的なものであって、好ましくは抗体および/または細胞性免疫を含む。本方法は既往反応(booster response)を引き起こすものであってよい。
本発明は、薬剤としての使用のための、例えば哺乳動物の免疫応答を上昇させることにおける使用のための、本発明のポリペプチドも提供する。
本発明は、哺乳動物の免疫応答を上昇させるための薬剤の製造における、本発明のポリペプチドの使用も提供する。
本発明は、本発明の免疫原性組成物をあらかじめ充填した送達装置も提供する。
これらの使用および方法によって哺乳動物において免疫応答を上昇させることにより、該哺乳動物をHIV、帯状疱疹、およびヘルペス等の潜在性ウイルス感染から保護することができる。
前記哺乳動物は好ましくはヒトであるが、例えばウシ、ブタ、ニワトリ、ネコ、またはイヌ等であってもよい。これは大腸菌疾患がこれらの種においても問題となるためである。前記ワクチンが予防的に使用するためのものである場合、前記ヒトは好ましくは小児(例えば幼児(toddler or infant))またはティーンエージャーである。前記ワクチンが治療的使用のためのものである場合、前記ヒトは好ましくはティーンエージャーまたは成人である。小児用ワクチンは、例えば安全性、投与量、免疫原性等を評価するために、成人に投与されてもよい。本発明のワクチンは、小児および成人の両者を治療するために使用してよい。従って、ヒト患者は1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であってよい。前記ワクチンを投与される好ましい患者は、高齢者(例えば50歳以上、60歳以上、および好ましくは65歳以上)、若年者(例えば5歳以下)、入院患者、医療従事者、軍隊および軍関係者、妊婦、慢性疾患患者、または免疫不全患者である。前記ワクチンは、これらのグループに対してのみ適しているわけではなく、集団において、より一般的に使用してよい。
治療処置の有効性を確認するための一つの方法は、本発明の組成物の投与後に大腸菌感染を調べることを含む。予防処置の有効性を確認するための一つの方法は、本発明の組成物の投与後に、該組成物内の抗原に対する免疫応答を、全身的に(例えばIgG1およびIgG2産生の水準を調査することによって)および/または粘膜的に(例えばIgA産生の水準を調査することによって)調査することを含む。典型的には、抗原特異的血清抗体反応は、免疫後、チャレンジの前に決定され、抗原特異的粘膜抗体反応は、免疫後およびチャレンジ後に決定される。
本発明の組成物の免疫原性を調べる他の方法は、イムノブロッティングおよび/またはマイクロアレイによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングするために、タンパク質を組換え的に発現することである。前記タンパク質と患者試料の間で陽性反応が起こることは、患者において問題のタンパク質に対する免疫応答が開始されていることを意味する。この方法は、主要抗原および/または抗原内のエピトープを同定するために使用してもよい。
また、アルファウイルス表面膜糖タンパク質で処置することによってヒトT細胞の増殖を刺激するための方法も開示される。
また、アルファウイルス表面膜糖タンパク質で処置することによってヒト造血細胞(T細胞、NK細胞、B細胞、樹状細胞、制御性T細胞、マクロファージ、赤血球、およびそれら以外の全て)を活性化させるための方法も開示される。
また、アルファウイルス表面膜糖タンパク質で処置することによってT細胞をアネルギーから開放するための方法も開示される。
また、アルファウイルス表面膜糖タンパク質で処置することによってT細胞のブレイクポイント阻害を克服するための方法も開示される。
また、アルファウイルス表面膜糖タンパク質で処置することによって癌を治療するための方法も開示される。
併用療法
ある態様においては、前記融合タンパク質は、少なくとも1種の他の治療薬とともに併用療法において使用することができる。前記融合タンパク質および前記治療薬は相加的に、より好ましくは相乗的に、作用しうる。好ましい一態様においては、融合タンパク質を含む組成物が他の治療薬の投与の際に同時に投与され、該治療薬は前記融合タンパク質と同一の組成物の一部、または異なる組成物でありうる。他の一態様においては、融合タンパク質を含む組成物が、他の治療薬の投与に先立って、またはそれに続いて、投与される。前記融合タンパク質が治療において有用である疾患の多くは慢性疾患であるため、一態様においては、併用療法は、融合タンパク質を含んだ組成物と他の治療薬を含んだ組成物とを交互に用い、例えば特定の薬物と関連した毒性を最小限にすることを含む。各薬物または医薬の投与の期間は、例えば1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年でありうる。ある態様においては、毒性等の、しかし限定されない、有害な副作用を潜在的に生ずる他の治療薬と同時に融合タンパク質を投与する場合、前記治療薬は有利に、該有害副作用が生ずる閾値未満に収まる投与量で投与することができる。
ある態様においては、前記融合タンパク質はチェックポイント療法(check point therapy)または化学療法と併せて投与される。ある態様においては、前記融合タンパク質はCTLA4、PD1、またはPDL1に対する抗体とともに投与される。
本融合タンパク質は、照射または単一もしくは複数の化学療法薬を用いた治療と併せて投与されうる。照射治療において、前記照射はガンマ線またはX線でありうる。放射線治療の概説としては、Hellman, Chapter 12: Principles of Radiation Therapy Cancer, in: Principles and Practice of Oncology, DeVita et al., eds., 2.nd. Ed., J.B. Lippencott Company, Philadelphia.を参照のこと。有用な化学療法剤の例としては、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、エトポシド、カンパテシン(campathecins)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、およびドセタキセルが挙げられる。特定の態様においては、前記融合タンパク質を含む組成物は、さらに単一または複数の化学療法剤を含み、および/または放射線治療と同時に投与される。他の特定の態様においては、化学療法または放射線治療が、本組成物の投与に先立って、またはそれに続いて施され、好ましくは前記融合タンパク質を含む組成物の投与の少なくとも1時間後、5時間後、12時間後、1日後、1週間後、1ヶ月後、より好ましくは数ヶ月(例えば3ヶ月まで)後に、施される。
本発明の組成物および方法においては、癌等の疾患の予防、治療、および/または管理に有用な、有用であった、または現在使用されている、任意の治療(例えば治療または予防薬)を使用することができる。治療(例えば治療または予防薬)の例としては、ペプチド、ポリペプチド、複合体、核酸分子、小分子、模倣薬、合成薬、無機分子、および有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。癌治療の限定されない例としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または、生物学的療法/免疫療法、ならびに手術が挙げられる。ある態様においては、本発明の、予防的に、および/または治療的に有効なレジメンは、治療の組み合わせを施すことが含まれる。
癌治療の例としては、アシビシン(acivicin);アクラルビシン(aclarubicin);塩酸アコダゾール(acodazole hydrochloride);アクロニン(acronine);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);アルトレタミン(altretamine);アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン(ametantrone acetate);アミノグルテチミド(aminoglutethimide);アムサクリン(amsacrine);アナストロゾール(anastrozole);アントラマイシン(anthramycin);アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン;アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド(bicalutamide);塩酸ビスアントレン(bisantrene hydrochloride);ビスナフィドジメシレート(bisnafide dimesylate);ビスホスホネート(例えばパミドロネート(pamidronate)(アレドリア(Aredria))、クロンドロネートナトリウム(sodium clondronate)(ボネフォス(Bonefos))、ゾレドロン酸(zoledronic acid)(ゾメタ(Zometa))、アレンドロネート(alendronate)(フォサマックス(Fosamax))、エチドロネート(etidronate)、イバンドルネート(ibandornate)、シマドロネート(cimadronate)、リセドロメート(risedromate)、およびチルドロメート(tiludromate));ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン(bleomycin sulfate);ブレキナールナトリウム(brequinar sodium);ブロピリミン(bropirimine);ブスルファン(busulfan);カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン(calusterone);カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン(carboplatin);カルムスチン(carmustine);塩酸カルビシン(carubicin hydrochloride);カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル(chlorambucil);シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン(cisplatin);クラドリビン(cladribine);メシル酸クリスナトール(crisnatol mesylate);シクロホスファミド(cyclophosphamide);シタラビン(cytarabine);ダカルバジン(dacarbazine);ダクチノマイシン(dactinomycin);塩酸ダウノルビシン(daunorubicin hydrochloride);デシタビン(decitabine);デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);メシル酸デザグアニン(dezaguanine mesylate);ジアジコン(diaziquone);ドセタキセル(docetaxel);ドキソルビシン(doxorubicin);塩酸ドキソルビシン(doxorubicin hydrochloride);ドロロキシフェン(droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン(droloxifene citrate);プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate);デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート(edatrexate);塩酸エフロルニチン(eflornithine hydrochloride);EphA2阻害剤;エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン(enloplatin);エンプロメート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン(epirubicin hydrochloride);エルブロゾール(erbulozole);塩化エソルビシン(esorubicin hydrochloride);エストラムスチン(estramustine);リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium);エタニダゾール(etanidazole);エトポシド(etoposide);リン酸エトポシド(etoposide phosphate);エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール(fadrozole hydrochloride);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フロクスウリジン(floxuridine);リン酸フルダラビン(fludarabine phosphate);フルオロウラシル(fluorouracil);フルオロシタビン(fluorocitabine);ホスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム(fostriecin sodium);ゲムシタビン(gemcitabine);塩酸ゲムシタビン(gemcitabine hydrochloride);ヒドロキシ尿素(hydroxyurea);塩酸イダルビシン(idarubicin hydrochloride);イホスファミド(ifosfamide);イルモホシン(ilmofosine);インターロイキンII(組換えインターロイキンII、rIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン(irinotecan hydrochloride);酢酸ランレオチド(lanreotide acetate);レトロゾール(letrozole);酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate);塩酸リアロゾール(liarozole hydrochloride);ロメトレキソールナトリウム(lometrexol sodium);ロムスチン(lomustine);塩酸ロソキサントロン(losoxantrone hydrochloride);マソプロコール(masoprocol);メイタンシン(maytansine);塩酸メクロレタミン(mechlorethamine hydrochloride);抗CD2抗体;酢酸メゲストロール(megestrol acetate);酢酸メレンゲストロール(melengestrol acetate);メルファラン(melphalan);メノガリル(menogaril);メルカプトプリン(mercaptopurine);メトトレキセート(methotrexate);メトトレキセートナトリウム(methotrexate sodium);メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン(mitomalcin);ミトマイシン(mitomycin);ミトスペル(mitosper);ミトタン(mitotane);塩酸ミトキサントロン(mitoxantrone hydrochloride);ミコフェノール酸(mycophenolic acid);ノコダゾール(nocodazole);ノガラマイシン(nogalamycin);オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル(paclitaxel);ペガスパルガーゼ(pegaspargase);ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン(peplomycin sulfate);ペルホスファミド(perfosfamide);ピポブロマン(pipobroman);ピポスルファン(piposulfan);塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride);プリカマイシン(plicamycin);プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニムスチン(prednimustine);塩酸プロカルバジン(procarbazine 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癌治療の他の例としては、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン(aclarubicin);アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン(altretamine);アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミホスチン(amifostine);アミノレブリン酸(aminolevulinic acid);アムルビシン(amrubicin);アムサクリン(amsacrine);アナグレリド(anagrelide);アナストロゾール(anastrozole);アンドログラホリド(andrographolide);血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス(antarelix);抗背側化形態形性タンパク質−1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1);抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン(antineoplaston);アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート(aphidicolin glycinate);アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA(ara-CDP-DL-PTBA);アルギニンデアミラーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン1(axinastatin 1);アキシナスタチン2(axinastatin 2);アキシナスタチン3(axinastatin 3);アザセトロン(azasetron);アザトキシン(azatoxin);アザチロシン(azatyrosine);バッカチンIII(baccatin III)誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット(batimastat);Bcl−2阻害剤;ABT−737等のBcl−2ファミリー阻害剤;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン(benzochlorins);ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン(beta-alethine);ベータクラマイシンB(betaclamycin B);ベツリニン酸(betulinic acid);bFGF阻害剤;ビカルタミド(bicalutamide);ビサントレン(bisantrene);ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド(bisnafide);ビストラテンA(bistratene A);ビゼレシン(bizelesin);ブレフレート(breflate);ブロピリミン(bropirimine);ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルフォキシミン(buthionine sulfoximine);カルシポトリオール(calcipotriol);カルホスチンC(calphostin C);カンプトテシン(camptothecin)誘導体;カナリポクスIL−2(canarypox IL-2);カペシタビン(capecitabine);カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキサミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン(carzelesin);カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン(castanospermine);セクロピンB(cecropin B);セトロレリクス(cetrorelix);クロルルンス(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト(cicaprost);シス−ポリフィリン;クラドリビン(cladribine);クロミフェン(clomifene)類似体;クロトリマゾール(clotrimazole);コリスマイシンA(collismycin A);コリスマイシンB(collismycin B);コンブレタスタチンA4(combretastatin A4);コンブレタスタチン(combretastatin)類似体;コナゲニン(conagenin);クラムベシジン816(crambescidin 816);クリスナトール(crisnatol);クリプトフィシン8(cryptophycin 8);クリプトフィシンA(cryptophycin A)誘導体;クラシンA(curacin A);シクロペンタントラキノン(cyclopentanthraquinones);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate);細胞溶解因子;シトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン(decitabine);デヒドロジデムニンB(dehydrodidemnin B);デスロレリン(deslorelin);デキサメタソン(dexamethasone);デキシホスファミド(dexifosfamide);デキスラゾキサン(dexrazoxane);デキスベラパミル(dexverapamil);ジアジクオン(diaziquone);ジデムニンB(didemnin B);ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine);ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール(dihydrotaxol);ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine);ドセタキセル(docetaxel);ドコサノール(docosanol);ドラセトロン(dolasetron);ドキシフルリジン(doxifluridine);ドロロキシフェン(droloxifene);ドロナビノール(dronabinol);デュオカルマイシンSA(duocarmycin SA);エブセレン(ebselen);エコムスチン(ecomustine);エデルホシン(edelfosine);エドレコロマブ(edrecolomab);エフロルニチン(eflornithine);エレメン(elemene);エミテフル(emitefur);エピルビシン(epirubicin);エプリステリド(epristeride);エストラムスチン(estramustine)類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール(etanidazole);リン酸エトピシド(etoposide phosphate);エキセメスタン(exemestane);ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フィルグラスチム(filgrastim);フィナステリド(finasteride);フラボピリドール(flavopiridol);フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン(fludarabine);塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride);ホルフェニメクス(forfenimex);ホルメスタン(formestane);ホストリエシン(fostriecin);ホテムスチン(fotemustine);ガドリニウムテキサフィリン(gadolinium texaphyrin);硝酸ガリウム(gallium nitrate);ガロシタビン(galocitabine);ガニレリクス(ganirelix);ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン(gemcitabine);グルタチオン阻害剤;HMGーCoAレダクターゼ阻害剤(例えばアトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、レスコール(lescol)、ルピトール(lupitor)、ロバスタチン(lovastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、およびシンバスタチン(simvastatin));ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン(heregulin);ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン(hypericin);イバンドロン酸(ibandronic acid);イダルビシン(idarubicin);イドキシフェン(idoxifene);イドラマントン(idramantone);イルモホシン(ilmofosine);イロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン(imidazoacridones);イミキモド(imiquimod);免疫増強ペプチド;インシュリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール(ipomeanol)、4−イロプラクト(4-iroplact);イルソグラジン(irsogladine);イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリンB(isohomohalicondrin B);イタセトロン(itasetron);ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリドF(kahalalide F);三酢酸ラメラリン−N(lamellarin-N triacetate);ランレオチド(lanreotide);レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム(lenograstim);硫酸レンチナン(lentinan 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sk);モピダモール(mopidamol);多剤抵抗性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍サプレッサー1(multiple tumor suppressor 1)を基盤とする療法;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB(mycaperoxide B);ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N−アセチルジナリン(N-acetyldinaline);N置換ベンズアミド;ナファレリン(nafarelin);ナグレスチプ(nagrestip);ナロキソン(naloxone)+ペンタゾシン(pentazocine);ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム(nartograstim);ネダプラチン(nedaplatin);ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸(neridronic acid);中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド(nilutamide);ニサマイシン(nisamycin);酸化窒素モジュレータ;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン(nitrullyn);O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド(octreotide);オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン(ondansetron);オンダンセトロン(ondansetron);オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン(ormaplatin);オサテロン(osaterone);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル(paclitaxel);パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸(pamidronic acid);パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ペガスパルガーゼ(pegaspargase);ペルデシン(peldesine);ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン(pentostatin);ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン(perflubron);ペルホスファミド(perfosfamide);ペリリルアルコール(perillyl alcohol);フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル(picibanil);塩酸ピロカルピン(pilocarpine hydrochloride);ピラルビシン(pirarubicin);ピレトレキシム(piritrexim);プラセチンA(placetin A);プラセチンB(placetin B);プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニゾン(prednisone);プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAを基盤とした免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;
プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類(microalgal);タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン(purpurins);ピラゾロアクリジン(pyrazoloacridine);ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド(raltitrexed);ラモセトロン(ramosetron);rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン(retelliptine demethylated);レニウムRe 186エチドロネート(rhenium Re 186 etidronate);リゾキシン(rhizoxin);リボザイム;RIIレチナミド(RII retinamide);ログレチミド(rogletimide);ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド(romurtide);ロキニメックス(roquinimex);ルビギノンB1(rubiginone B1);ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴール(safingol);サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA(sarcophytol A);サルグラモスチム(sargramostim);Sdi1模倣剤;セムスチン(semustine);セネセンス(senescence)由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン(sizofuran);ソブゾキサン(sobuzoxane);ボロカプテートナトリウム(sodium borocaptate);フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン(somatomedin)結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホス酸(sparfosic acid);スピカマイシンD(spicamycin D);スピロムスチン(spiromustine);スプレノペンチン(splenopentin);スポンギスタチン1(spongistatin 1);スクアラミン(squalamine);幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメライシン(stromelysin)阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);超活性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン(suramin);スワインソニン(swainsonine);合成グリコサミノグリカン;タリムスチン(tallimustine);5−フルオロウラシル;ロイコボリン(leucovorin);タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide);タウロムスチン(tauromustine);タザロテン(tazarotene);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン(temoporfin);テモゾロミド(temozolomide);テニポシド(teniposide);テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポイエチン(thrombopoietin);トロンボポイエチン模倣剤;チマルファシン(thymalfasin);チモポイエチン(thymopoietin)受容体アゴニスト;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン(tin ethyl etiopurpurin);チラパザミン(tirapazamine);二塩化チタノセン(titanocene bichloride);トプセンチン(topsentin);トレミフェン(toremifene);全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン(tretinoin);トリアセチルウリジン(triacetyluridine);トリシリビン(triciribine);トリメトレキセート(trimetrexate);トリプトレリン(triptorelin);トロピセトロン(tropisetron);ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン(tyrphostins);UBC阻害剤;ウベニメックス(ubenimex);尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド(vapreotide);バリオリンB(variolin B);ベクター系、赤血球遺伝子療法;サリドマイド(thalidomide);ベラレソル(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン(verdins);ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン(vinorelbine);ビンキサルチン(vinxaltine);ボロゾール(vorozole);ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン(zeniplatin);ジラスコルブ(zilascorb);およびジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の態様においては、前記融合タンパク質と組み合わせて使用される前記治療は免疫調節剤である。免疫調節剤の限定されない例としては、サイトカイン、ペプチド模倣薬、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、FabもしくはF(ab)2断片、またはエピトープ結合断片)等のタンパク質性薬剤;核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子および三重らせん);小分子;有機化合物;および無機化合物が挙げられる。特に、免疫調節剤の例としては、メトトレキサート(methotrexate)、レフルノミド(leflunomide)、シクロホスファミド、サイトキサン(cytoxan)、イムラン(Immuran)、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えばFK506(タクロリムス(tacrolimus)))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)、ラパマイシン(シロリムス(sirolimus))、ミゾリビン(mizoribine)、デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin)、ブレキナー(brequinar)、およびマロノニトリロアミンド(malononitriloamindes)が挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、前記免疫調節剤は化学療法剤である。別の一態様においては、前記免疫調節剤は化学療法剤以外の免疫調節剤である。一部の態様においては、本発明に従って使用される前記治療は免疫調節剤ではない。
一部の態様においては、前記融合タンパク質と組み合わせて使用される前記治療は抗血管新生剤である。抗血管新生剤の限定されない例としては、血管新生を減ずる、または阻害する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、複合体、TNF−アルファに結合する抗体等の抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fab断片、F(ab)2断片、およびその抗原結合断片)、核酸分子(例えばアンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。抗血管新生剤の他の例として、例えば、米国特許出願公開第2005/0002934 A1号の277〜282段落に記載のものが挙げられ、その全体が参照により本明細書に取り込まれたのもとする。他の態様においては、本発明に従って使用される前記治療は抗血管新生剤ではない。
一部の態様においては、前記融合タンパク質と組み合わせて使用される前記治療は炎症剤である。抗炎症剤の限定されない例としては、炎症性疾患の治療において有用な薬剤を含む、当業者に周知のあらゆる抗炎症剤が挙げられる。抗炎症剤の限定されない例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド系抗炎症薬、抗コリン作用薬(例えば硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピン、および臭化イプラトロピウム(ATROVENT(商標)))、β2アゴニスト(例えばアブテロール(abuterol)(VENTOLIN(商標)およびPROVENTIL(商標))、ビトルテロール(bitolterol)(TORNALATE(商標))、レバルブテロール(levalbuterol)(XOPONEX(商標))、メタプロテレノール(metaproterenol)(ALUPENT(商標))、ピルブテロール(pirbuterol)(MAXAIR(商標))、テルブトライン(terbutlaine)(BRETHAIRE(商標)およびBRETHINE(商標))、アルブテロール(albuterol)(PROVENTIL(商標)、REPETABS(商標)、およびVOLMAX(商標))、フォルモテロール(formoterol)(FORADIL AEROLIZER(商標))、およびサルメテロール(salmeterol)(SEREVENT(商標)およびSEREVENT DISKUS(商標)))、ならびにメチルキサンチン(methylxanthines)(例えばテオフィリン(theophylline)(UNIPHYL(商標)、THEO−DUR(商標)、SLO−BID(商標)、およびTEHO−42(商標)))が挙げられる。NSAIDsの例としては、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(CELEBREX(商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(商標))、エトドラク(etodolac)(LODINE(商標))、フェノプロフェン(fenoprofen)(NALFON(商標))、インドメタシン(INDOCIN(商標))、ケトララク(ketoralac)(TORADOL(商標))、オキサプロジン(oxaprozin)(DAYPRO(商標))、ナブメントン(nabumentone)(RELAFEN(商標))、スリンダク(sulindac)(CLINORIL(商標))、トルメンチン(tolmentin)(TOLECTIN(商標))、ロフェコキシブ(rofecoxib)(VIOXX(商標))、ナプロキセン(naproxen)(ALEVE(商標)、NAPROSYN(商標))、ケトプロフェン(ketoprofen)(ACTRON(商標))、およびナブメトン(nabumetone)(RELAFEN(商標))が挙げられるが、これらに限定されない。このようなNSAIDsはシクロオキシゲナーゼ酵素(例えばCOX−1および/またはCOX−2)を阻害することにより機能する。ステロイド系抗炎症薬の例としては、グルココルチコイド、デキサメタゾン(DECADRON(商標))、コルチコステロイド(例えばメチルプレドニゾロン(MEDROL(商標)))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(PREDNISONE(商標)およびDELTASONE(商標))、プレドニゾロン(PRELONE(商標)およびPEDIAPRED(商標))、トリアムシノロン(triamcinolone)、アズルフィジン(azulfidine)、および、エイコサノイド(例えばプロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエン)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の態様においては、本発明に従って使用される前記治療は抗炎症剤ではない。
ある態様においては、前記治療はアルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、アントラサイクリン、トポイソメラーゼII阻害薬、または分裂抑制剤である。アルキル化剤の例としては、ブスルファン(busulfan)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、イホスファミド(ifosfamide)、デカルバジン(decarbazine)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メルファラン(melphalan)、およびテモゾロミド(themozolomide)が挙げられるが、これらに限定されない。ニトロソウレアの例としては、カルムスチン(carmustine)(BCNU)およびロムスチン(lomustine)(CCNU)が挙げられるが、これらに限定されない。代謝拮抗物質の例としては、5−フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、メトトレキサート(methotrexate)、ゲムシタビン(gemcitabine)、シタラビン(cytarabine)、およびフルダラビン(fludarabine)が挙げられるが、これらに限定されない。アントラサイクリンの例としては、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン(idarubicin)、およびミトキサントロン(mitoxantrone)が挙げられるが、これらに限定されない。トポイソメラーゼII阻害剤の例としては、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)(VP−16)、およびテニポシド(teniposide)が挙げられるが、これらに限定されない。分裂抑制剤の例としては、タキサン(taxanes)(パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel))およびビンカアルカロイド(ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、およびビノレルビン(vinorelbine))が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の態様においては、前記融合タンパク質は、癌幹細胞および/または癌細胞を破壊するために、X線、ガンマ線、および他の放射線源の使用を含む放射線治療と組み合わせて使用される。特定の態様においては、前記放射線治療は体外照射または遠隔放射線治療として施され、この際、該放射線は遠隔線源から照射される。他の態様においては、前記放射線治療は内部治療または近接照射療法として施され、この際、放射線源が体内の癌幹細胞、癌細胞、および/または腫瘍塊の近傍に設置される。
癌の種類
いずれの種類の癌も本発明に従って予防、治療、および/または管理することができる。本発明に従って予防、治療、および/または管理することができる癌の限定されない例としては、急性白血病、急性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病、例えば、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病性白血病、ならびに骨髄異形成症候群、等であるが限定されない白血病;慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、およびヘアリーセル白血病、等であるが限定されない慢性白血病;真正赤血球増加症;ホジキン病および非ホジキン病、等であるが限定されないリンパ腫;くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫、および髄外性形質細胞腫、等であるが限定されない多発性骨髄腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症;良性単クローン性高ガンマグロブリン血症;重鎖病;形質細胞様樹状細胞癌、NK芽細胞性リンパ腫(皮膚NK/T細胞リンパ腫および無顆粒性(CD4+/CD56+)皮膚腫瘍としても知られる)、等の樹状細胞癌;好塩基球白血病;骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫、等であるが限定されない、骨および結合組織の肉腫;神経膠腫、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、上衣腫、乏突起膠腫、非グリア腫瘍(nonglial tumor)、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および原発性脳リンパ腫、等であるが限定されない脳腫瘍;腺管癌、腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、髄様乳癌(medullary breast cancer)、粘液腺乳癌、管状乳癌、乳頭乳癌、パジェット病、および炎症性乳癌、等であるが限定されない乳癌;褐色細胞腫および副腎皮質癌、等であるが限定されない副腎癌;乳頭性または濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌、および未分化甲状腺癌、等であるが限定されない甲状腺癌;インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは島細胞腫瘍、等であるが限定されない膵臓癌;クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症および尿崩症(diabetes insipius)、等であるが限定されない下垂体癌;虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、および毛様体黒色腫(cilliary body melanoma)のような眼黒色腫、ならびに網膜芽腫、等であるが限定されない眼癌;扁平上皮癌、腺癌、および黒色腫、等の膣癌;扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病、等の外陰癌;扁平上皮癌および腺癌、等であるが限定されない子宮頸癌;子宮内膜癌および子宮肉腫、等であるが限定されない子宮癌;卵巣上皮癌、境界型腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質性腫瘍、等であるが限定されない卵巣癌;扁平上皮癌、腺癌、腺様濾胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌、等であるが限定されない食道癌;腺癌、菌状発育性(ポリープ状)、潰瘍性、表在性拡大型、びまん性拡大型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫、等であるが限定されない胃癌;結腸癌;直腸癌;肝細胞癌および肝芽腫、等であるが限定されない肝臓癌;腺癌等の胆嚢癌;乳頭性、結節性、およびびまん性、等であるが限定されない胆管癌;非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、および小細胞肺癌、等の肺癌;胚腫瘍(germinal tumor)、精上皮腫、未分化、古典的(典型的)、精母細胞性、非セミノーマ性、胚性癌腫、奇形腫癌、絨毛腫(卵黄嚢腫瘍)、等であるが限定されない精巣癌;前立腺上皮内癌、腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫、等であるが限定されない前立腺癌;ペナル癌(penal cancers);扁平上皮癌等であるが限定されない口腔癌;基底癌(basal cancers);腺癌、粘膜表皮癌、および腺様嚢胞癌、等であるが限定されない唾液腺癌;扁平上皮癌および疣贅性、等であるが限定されない咽頭癌;基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、黒子悪性黒色腫、ならびに末端性黒子性黒色腫、等であるが限定されない皮膚癌;腎細胞癌、腺癌、副腎腫(hypemephroma)、線維肉腫、および移行上皮癌(腎盂および/または尿管(uterer))、等であるが限定されない腎臓癌;ウイルム腫瘍;ならびに、移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、および癌肉腫、等であるが限定されない膀胱癌;が挙げられる。さらに、癌の例としては粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮性肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、および乳頭腺癌が挙げられる(このような疾患の総説としては、Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia and Murphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., United States of Americaを参照のこと)。
前記予防的および/または治療的に有効なレジメンはまた、各種の癌や他の異常増殖疾患の治療、予防、および/または管理にも有用であり、それら疾患の例として以下が挙げられる(しかし、それらに限定されない):膀胱、胸部、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺、および皮膚等の癌;扁平上皮癌等;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫、等のリンパ球系統の造血系腫瘍(hematopoietic tumors);急性および慢性の骨髄性白血病および前骨髄球性白血病、等の骨髄細胞系列の造血系腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫(rhabdomyoscarcoma)、等の間葉起源の腫瘍;黒色腫、セミノーマ、奇形癌(tetratocarcinoma)、神経芽腫、および神経膠腫、等の他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫、および神経鞘腫、等の中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫(rhabdomyoscarama)、および骨肉腫、等の間葉起源の腫瘍;ならびに、黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫(keratoactanthoma)、セミノーマ、甲状腺濾胞癌、および奇形癌、等の他の腫瘍。一部の態様においては、アポトーシスにおける異常と関連した癌が、本発明の方法に従い、予防、治療、および/または管理される。このような癌の例としては、濾胞性リンパ腫;p53変異に伴う癌腫;胸部、前立腺、および卵巣のホルモン依存性腫瘍;ならびに、家族性大腸腺腫症および骨髄異形成症候群等の前癌病変;が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様においては、皮膚、肺、肝臓、骨、脳、胃、結腸、胸部、前立腺、膀胱、腎臓、膵臓、卵巣、および/または子宮の悪性もしくは異常増殖性の変化(化生および異形成等)または過剰増殖性疾患が、本発明の方法に従い、予防、治療、および/または管理される。他の特定の態様においては、肉腫、黒色腫、または白血病が、本発明の方法に従い、予防、治療、および/または管理される。ある態様においては、前記対象は急性骨髄性白血病(AML)を有する。他のある態様においては、前記対象は骨髄異形成症候群(MDS)を有する。他の態様においては、前記対象は慢性骨髄単球性白血病(CMML)を有する。他の特定の態様においては、骨髄異形成症候群が、本発明の方法に従い、予防、治療、および/または管理される。
癌の治療における主な目的は、その腫瘍を標的とした十分な水準の適切な治療を、全身毒性を伴わずに可能にすることである。
ある態様においては、癌の治療の前記方法は、対象において、(i)癌細胞を減少させること、(ii)癌細胞を増加させないこと、(iii)癌細胞の生存能力を減少させること、(iv)癌細胞の増殖を減少させること、を含む。
ある態様においては、本開示の方法によって治療される前記対象は、前記疾患と診断され、治療を受けている対象である。ある態様においては、本開示の方法によって治療される前記対象は、癌と診断され、癌治療を受けている対象である。
ある態様においては、前記対象は、癌からの寛解にある対象である。ある態様においては、前記対象は、癌が再発した対象である。ある態様においては、前記対象は、癌治療に失敗した対象である。
キット
本明細書に記載の病状を治療するために有用な材料を含んだ製品およびキットが、本明細書において提供される。前記製品は、本明細書に記載の化合物の、ラベル付き容器を含んでいてよい。適した容器の例として、ボトル、バイアル、および試験管が挙げられる。前記容器はガラスまたはプラスチッ等の各種素材から形成されたものであってよい。前記容器には、癌の治療または予防のために有効なワクチンを有する組成物を収容することができる。前記容器上のラベルは、前記組成物が特定の病状を治療するために有用であることを示すものであってよく、投与のための指示も示すものであってよい。
一つまたは複数の態様においては、本発明は治療的有効量のワクチンを含んだキットを提供することができる。前記ワクチンのいずれの態様も、一つまたは複数の本開示の実施に従って一つまたは複数のキットに含めることができることが理解されるべきである。
免疫応答
前記ポリペプチドによって対象において引き起こされた免疫応答の、全長タンパク質によって引き起こされた免疫応答との比較を、当業者に利用可能な任意の手段によって行ってもよい。以下の実施例において用いられている一つのシンプルな方法は、マウス等のモデル対象を免疫することと、それに続いて致死量の大腸菌を用いたチャレンジを行うことを含む。適切な比較のため、当業者は、必然的にフロイントの完全アジュバント等の同一アジュバントを選択するであろう。このような試験において、本発明の免疫原性ポリペプチド断片は、もし、例えば、該ポリペプチドが、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも70%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも80%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも85%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも90%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも95%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも97%、全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも98%、または全長タンパク質によって提供される保護の少なくとも99%を提供する場合に、実質的に同様な免疫応答を対象において引き起こすであろう(すなわち、前記の致死的なチャレンジに対して実質的に同一の保護を提供するであろう)。
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答および体液性免疫応答の両者を誘発するものであってよい。この免疫応答は、好ましくは、長期間持続する(中和)抗体、および抗原への再曝露において迅速に応答しうる細胞媒介性免疫を誘導する。
2種類のT細胞、CD4およびCD8細胞は、細胞媒介性免疫および体液性免疫を開始および/または増強するのに必要であると一般的に考えられている。CD8 T細胞はCD8コレセプターを発現することができ、一般には細胞傷害性Tリンパ球(CTLs)と呼ばれている。CD8 T細胞はMHCクラス1分子上に提示される抗原を認識し、相互作用することができる。
CD4 T細胞はCD4コレセプターを発現することができ、一般にはヘルパーT細胞と呼ばれている。CD4 T細胞はMHCクラスII分子に結合した抗原性ペプチドを認識することができる。MHCクラスII分子との相互作用の際、CD4細胞はサイトカイン等の因子を分泌することができる。
これらの分泌型サイトカインは、免疫応答に関与する、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージ、およびその他の細胞を活性化することができる。
融合タンパク質の生成
一態様においては、シンドビス融合タンパク質が、Sf9昆虫細胞において、バキュロウイルス発現によって生成される。バキュロウイルスは特定の無脊椎動物種にのみ感染することができ、哺乳類に対しては非病原性である。細菌タンパク質発現とは異なり、バキュロウイルス系で発現したタンパク質は、哺乳類発現系において産生されるものと同様に、プロセシングを受け、折りたたまれ、修飾される。さらに、バキュロウイルスで発現するタンパク質は容易にスケールアップでき、組換えタンパク質を大量に製造することができる。昆虫細胞株は、懸濁培養において良好に増殖するものが利用可能であり、大規模バイオリアクター内で組換えタンパク質の生産が可能となる。昆虫および哺乳類細胞は両者ともN結合グリコシル化が可能であるが、具体的なグリコシル化経路は異なっている。昆虫細胞において産生されるN−グリカンは、高マンノース(high-mannose)または低マンノース性(paucimannosidic)構造のいずれかを有する場合があり、これらは両者とも末端マンノース残基を有する。哺乳類細胞で産生されるNーグリカンは、高マンノース構造、またはガラクトースおよびシアル酸で終結する複合構造のいずれかを有する場合がある。樹状細胞(「DC」)受容体(樹状細胞特異的細胞間接着分子−3−捕捉非インテグリン(Dendritic Cell-Specific Intercellular adhesion molecule-3-Grabbing Non-integrin))DC−SIGNへのSINVの結合は、そのエンベロープ糖タンパク質の高マンノースグリコシル化を必要とする。哺乳動物細胞で産生されたウイルスは、さらなる酵素修飾なしにはDC−SIGNに結合しない。従って、昆虫細胞での融合タンパク質の産生により、TAAのDCへの効果的なターゲティングが達成される。
前記VGPをコードする遺伝子は、遺伝子合成および昆虫細胞発現向けのコドン最適化によって産生される。前記組換え融合タンパク質は、フレキシブルリンカーによって接続されたpE2およびE1シンドビス糖タンパク質の細胞外ドメインが第二のリンカーによってTAAに連結されたものからなる(図4参照)。一態様においては、TAAはNY−ESO−1である。ある態様においては、別のTAAがコード配列に挿入される。あるいは、2個またはそれ以上の並列のTAAで構築物が生成され、これがより強力な免疫応答をもたらす。pE2のE3成分は、前記タンパク質の分泌のためのシグナルペプチドとして働き、E1およびE2の結合を助け、成熟タンパク質からフューリンによって自然に切断される。アルファウイルス糖タンパク質は、E2およびE1のヘテロ二量体複合体の三量体を形成する成熟分泌タンパク質として産生され、SINVエンベロープ上に見られる三量体糖タンパク質スパイクを模倣する。前記第二のフレキシブルリンカーは、E2/E1の多量体化を妨げることなく、NY−ESO−1の正確なフォールディングを可能にする。さらに、NY−ESO−1の最初の80アミノ酸はグリシンに富み、ほぼT細胞抗原を欠くため、一態様においては、第81〜180位のアミノ酸残基のみが構築物に含められた。ある態様においては、前記TAAは、NY−ESO−1の第1〜180、81〜100、100〜150、150〜180位のアミノ酸残基を含む。精製の目的のため、前記タンパク質のC末端にHisタグが付加された。前記の新規タンパク質が分析され、非変性ゲルおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって、その多量体構造が決定される。さらに、前記タンパク質に特異的なELISAおよびウェスタンブロット分析が開発される。前記タンパク質は、市販の抗体によって検出されるいくつかの抗原性標的(NY−ESO−1、Hisタグ、ならびにSINV E1およびE2)を有する。
また、腫瘍関連抗原NY−ESO−1由来の短縮ペプチドに連結されたシンドビスウイルスの細胞外ドメインE3、E2、およびE1タンパク質からなる組換えタンパク質である、ウイルス糖タンパク質複合体が提供される。シンドビスウイルス構造タンパク質E3、E2、6K、およびE1のアミノ酸配列(NCBIウェブサイト参照配列 NP_062890.1)。E2およびE1タンパク質の膜貫通ドメインを、コーディング配列から除去した。該E2およびE1タンパク質を、6K領域をフレキシブルグリシン/セリンリンカー(GGGGSGGGGSGGGGSGGGG)(配列番号13)で入れ替えることによって結合した。NY−ESO−1のアミノ酸配列(NCBIウェブサイト参照配列 NP_001318.1)。NY−ESO−1のN末端は極めてグリシンに富み、ほぼT細胞抗原を欠くため、一態様においては、該タンパク質の最初の78アミノ酸を欠失させた。一態様においては、シンドビスE3/E2/E1配列を、TEV切断部位(ENLYFQ)(配列番号14)および第2のグリシン/セリンリンカー(GGGGGSGGGGSGGGGS)(配列番号15)によって前記の短縮102アミノ酸NY−ESO−1タンパク質に連結した。一態様においては、精製の目的のため、前記組換えタンパク質のC末端に6×Hisタグを付加した。該組換えタンパク質をコードするDNA配列を、Genscript(Piscataway,NJ)、およびSf9細胞における発現に対して最適化されたコドンによって合成した。DH10Bac株を使用して組換えバクミドを生成した。Cellfectin IIを使用してSf9昆虫細胞にバクミドをトランスフェクトし、該細胞をSf−900II培地中で5〜7日間、27℃でインキュベートした。遠心後の上清を回収し、P1ウイルス株と名付けた。細胞にさらにP1を感染させ、高力価P2株を生成した。Sf9細胞にP2ウイルスをトランスフェクトし、培地を72時間後に回収した。上清を、プロテアーゼ阻害剤を含む50mM Tris、150mM NaCl、pH8.0、に対して透析し、タンパク質をNiカラムで精製し、抗Hisウェスタンブロットによって分析した。
受容体結合分析
SINVは腫瘍細胞(ラミニン受容体)および樹状細胞(DC−SIGN)の両者の受容体に結合する。前記融合タンパク質は、前記ウイルス表面上のE2/E1ヘテロ二量体三量体(heterodimeric trimer)の立体構造を維持しつつ、これらと同じ受容体に結合する。DC−SIGN結合に対しては、プロテインAマイクロビーズおよびDC−SIGN Fc融合タンパク質を使用したアッセイを用いる。DC−SIGNで最大限被覆したビーズに融合タンパク質が結合した後、VGPに対する蛍光標識二次抗体(抗Hisまたは抗NY−ESO−1)をフローサイトメトリーによる検出のために使用する。結合は複数のタンパク質濃度で分析し、抗DC−SIGN抗体等の他のDC−SIGNターゲティング法との比較を行う。96ウェルプレートリーダーを備えたフローサイトメーターを使用し、これらのアッセイをハイスループットな様式で行うことができる。ウイルスタンパク質は、DC−SIGNに対する抗体と同様な親和性で、DCに対して抗原をターゲティングさせる。さらに、前記融合タンパク質のDCへの結合をヒト(DC−SIGNを発現)およびマウス(L−SIGN)両者から分析する。受容体遮断抗体およびマンノース多糖類であるマンナンを用いて、前記相互作用の特異性を証明する。ラミニン受容体結合については、様々な度合いのラミニン受容体発現を示す複数の腫瘍細胞株を用いて結合を分析する。この結合は、ラミニン受容体に対する抗体を用いて、または該受容体に対する天然リガンドであるラミニンを過剰量用いて、ブロックすることができる。この融合タンパク質は、バイスタンダー細胞(bystander cells)よりも優先的にこれらの細胞に結合し、腫瘍関連抗原をDCに効果的に送達して、プロセシングおよび提示を誘発する。
In Vitroアッセイ
SINVは、該ウイルスにコードされる腫瘍関連抗原に対するNK細胞の動員とT細胞の活性化を通じて、腫瘍細胞に対する免疫系の応答を強化する。これらの効果のうち後者は、該ウイルスにより、DC−SIGN受容体を介して、抗原がDCに送達されることで達成される。強力なT細胞応答を誘導するために、DCは、まず、ウイルス、細菌、または寄生体に一般的に見られる病原体関連分子パターン(PAMPs)の検出を介して活性化される必要がある。活性化されたDCでは、MHC分子ならびに共刺激分子(costimulatory molecules)B7−1およびB7−2の発現レベルが増加する。従って、前記組換え融合タンパク質が、DC活性化を誘導するための十分な免疫原性を有するかどうか、あるいはそれをアジュバントに結合する必要があるかどうか、評価する必要がある。
特定の免疫細胞型の純粋な集団であるヒト末梢血単核球(PBMC)を磁性ビーズ選択により得て、VGP/NY−ESO−1の直接的な効果を評価する。DCおよびNK細胞の活性化は、細胞表面上の活性化マーカーのフローサイトメトリー分析およびサイトカイン分泌のELISAによる検出によって測定することができる。腫瘍特異的応答を調節する能力を、癌患者から得られたT細胞を使用して評価する。これらの患者は腫瘍抗原に曝露されており、腫瘍特異的T細胞の割合が健康なドナーと比べ上昇している。前記患者からのDCを前記組換え融合タンパク質で一晩処理する。その間に、該タンパク質は吸収され、プロセシングされ、関連するエピトープが細胞表面上に提示される。DCと患者T細胞が数日間共培養され、その時点でT細胞の抗原特異的応答が分析されることになる。CFSE標識T細胞を用いて、T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより測定する。ELISPOTアッセイを用いて、活性化されたNY−ESO−1特異的T細胞を検出する。NY−ESO−1特異的T細胞は、DCによって提示された特異的エピトープを認識すると、IFNγを産生し、これが、ELISPOTプレートのウェルを被覆する抗体による検出のために捕捉される。ヒトにおいて前記融合タンパク質からのペプチドがプロセシングされ、樹状細胞に提示されて、T細胞応答が刺激されることが、これらのアッセイによって示される。
VGP処理の最も重要な効果は免疫系の活性化を介したものであると信ずるが、ラミニン受容体を介した直接的な腫瘍ターゲティングの役割も無視するわけにはいかない。SINVは、その侵入の際に、そしてウイルス複製が行われていない場合に、腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する。腫瘍細胞増殖および生存に対するVGPの効果をin vitroで調べる。様々な度合いのラミニン受容体発現を示すいくつかの腫瘍細胞株を用いて、前記処理の有効性に対して直接的なタンパク質−腫瘍相互作用が何らかの役割を持つ場合、それがどのようなものかを評価する。
In Vivo刺激アッセイ
活発に増殖する腫瘍を治療する試みを行う前に、VGP/NY−ESO−1によってin vivoで腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを示すことが重要である。正常マウスはNY−ESO−1に遭遇したことがないため、それは免疫系によって外来抗原として認識される。腹腔内注射によってマウスをVGP/NY−ESO−1で免疫すると、NY−ESO−1特異的T細胞および融合タンパク質特異的T細胞の活性化と増殖、ならびにNK細胞の活性化が起こる。この処理の有効性を確立するため、VGP/NY−ESO−1はVGP単独、NY−ESO−1単独、および抗DC−SIGN/NY−ESO−1(対照)よりも高い免疫原性を示す。チェックポイント阻害剤である抗CTLA−4およびPD−1は免疫治療上の高い能力を示し、また、本開示の治療と相乗的に働いて、さらに強い免疫応答を生じさせる。これらの遮断抗体の同時投与を行う場合と行わない場合について、本開示の治療の効果が評価される。
公知のMHC結合優先度に基づき、NY−ESO−1からのエピトープおよびVGPが特定のマウス系統のMHC分子によって提示される。あるいは、ヒトMHC分子を発現する、NY−ESO−1エピトープが知られているトランスジェニックマウスを使用することもできる。血液、脾臓、および流入領域リンパ節からの試料を、免疫刺激のチェックのために採取する。MHC四量体染色を用いて、NY−ESO−1およびVGP特異的T細胞の拡大した集団の存在を確認する。これらの細胞は未処理のマウスにも存在するが、検出閾値以下の微量でしか存在しない。免疫がうまくいくと、これらの細胞は増殖し、フローサイトメトリーによって容易に検出可能となる。さらに、フローサイトメトリーを用いて、それぞれ未処理および活性化細胞上にのみ存在する、CD62LおよびCD69等の表面マーカーを調べることにより、これらの四量体+ 細胞の活性化状態を分析する。VGP特異的T細胞の活性化はオフターゲット効果(off-target effect)と考えられるが、これら抗原は腫瘍そのものも標的とするであろうことから、それによって腫瘍に対する免疫応答がさらに改善される。
ELISPOTアッセイを用いて、これらのNY−ESO−1特異的T細胞がエフェクター機能を有することを判定する。CD8+ T細胞を、免疫したマウスの脾臓およびリンパ節から採取し、NY−ESO−1をあらかじめ取り込ませた抗原提示細胞とともに共培養する。これらのエピトープに対して特異的な活性化T細胞は、それに応じてIFNγ等のサイトカインを産生し、これがウェルの底部に被覆された抗体によって捕捉され、検出が行われる。これらの活性化T細胞のエフェクター機能を、細胞毒性アッセイを行うことによって分析する。ELISPOTアッセイと同様、免疫されたマウスからのCD8+ T細胞を、関連するペプチドをあらかじめ取り込ませた抗原提示細胞とともに共培養する。あるいは、レンチウイルスで形質導入を行い、NY−ESO−1を発現するようにした同系マウス細胞株を使用する。活性化CD8+ CTLはこれらのNY−ESO−1提示細胞を直接殺傷し、この細胞毒性は溶解した細胞からの細胞内タンパク質、例えば上清中の乳酸脱水素酵素の検出により、測定する。
他の免疫細胞集団に対する前記治療の効果を分析する。これはフローサイトメトリーによって達成することができる。具体的には、いくつかの免疫細胞型(CD4+およびCD8+ T細胞、DC、NK細胞、B細胞、マクロファージ)同士の割合および総細胞数に対する処理の効果を分析する。マウスによって生成された前記組換えタンパク質に対する抗体を、血清の分析によって評価する。プラスマ細胞は、NY−ESO−1およびVGPに対して特異的な抗体を生成する。ある態様においては、複数回の投与を行った際、これらの抗体は治療の有効性に干渉する場合がある。ある態様においては、これらの抗原が腫瘍そのものを標的とし、それをより抗原性にすることから、前記抗体は腫瘍の排除の手助けとなる。
腫瘍モデルへと進む前に、強力な抗腫瘍免疫応答を生成するため、適切な投与戦略(タンパク質の量、投与回数、投与頻度)を試験する。さらに、ELISAの展開によってマウス血清および組織におけるVGPを検出し、投与ならびにin vivoにおけるタンパク質輸送および安定性を評価する。
適切にT細胞を活性化するため、病原体関連分子パターン(PAMPs)の検出によってDCを活性化する。ある態様においては、VGP/NY−ESO−1をアジュバントに連結し、その免疫原性を高める。
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本発明は、本明細書に記載の具体的態様によって範囲を限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本発明の各種改変も、以上の記載および添付の図面によって当業者にとって明らかになるであろう。このような改変は、添付の請求の範囲に含まれることが意図される。
本願中には、その全体を通して、特許、特許出願、および刊行物が引用されているが、特に全ての開示された化学構造も含め、その開示は参照により本明細書に取り込まれるものとする。上記刊行物または文書の引用は、前述のいずれのものについても、関連する先行技術である旨を承認することを意図するものではなく、また、これら刊行物または文書の内容または日付について何ら承認を構成するものでもない。本明細書に引用される全ての参考文献は、個々の刊行物、特許出願、または特許がそれぞれ具体的かつ個別に参照により取り込まれることを示された場合と同程度に、参照により本明細書に取り込まれるものとする。
上記明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の各種改変も、以上の記載から当業者にとって明らかになり、添付の請求の範囲内となるであろう。

Claims (17)

  1. アルファウイルス表面膜糖タンパク質E1、E2、および任意にE3、ならびにリンカーおよび少なくとも1個の腫瘍関連抗原、から本質的になる単離または組換え融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、
    (i)配列番号1に対して少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、または(ii)少なくとも配列番号1の位置66〜978におけるアミノ酸残基を含み、前記融合タンパク質は対象に投与された際に免疫応答を刺激する、前記融合タンパク質。
  2. アルファウイルス表面膜糖タンパク質E1、E2、および任意にE3、ならびにリンカーおよび少なくとも1個の腫瘍関連抗原、から本質的になる単離または組換え融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列から、配列番号1の、(i)第1〜65位;(ii)第979〜984位;または(iii)第1〜65位および第979〜984位;のアミノ酸残基を欠失させたものである、前記融合タンパク質。
  3. 配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸分子によってコードされる、請求項1記載の融合タンパク質。
  4. 対象におけるNK細胞、T細胞、または記憶T細胞を介して免疫応答を誘発することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含んだワクチン。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質および薬理学的に許容される担体を含んだ組成物。
  6. さらにアジュバントを含む、請求項5記載の組成物。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む、発現ベクター。
  8. 融合タンパク質を発現する、請求項7記載の発現ベクターを含む細胞。
  9. 一個の連続した遺伝子産物として発現される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  10. 二量体または三量体を形成することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  11. キャプシドタンパク質にさらに結合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  12. 前記アルファウイルス表面膜糖タンパク質がシンドビスアルファウイルスタンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  13. 請求項1〜3または9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含み、対象における免疫応答を誘導または調節するための組成物。
  14. 請求項1〜3または9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含み、対象における癌を治療するための組成物。
  15. 前記融合タンパク質が哺乳動物細胞系で生産される、請求項1〜3または9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  16. 前記融合タンパク質が昆虫細胞で生産される、請求項1〜3または9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  17. 前記融合タンパク質がバキュロウイルスベクターで発現され、前記融合タンパク質が昆虫細胞で発現される、請求項1〜3または9〜12のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
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