以下では、本発明の実施の形態に係る照明器具について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、垂直又は一致などの要素間の関係性を示す用語、及び、円形又は円環などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、z軸方向を鉛直方向とし、z軸に垂直な方向(xy平面に平行な方向)を水平方向としている。なお、z軸の正方向を鉛直上方としている。
(実施の形態)
[概要]
まず、本実施の形態に係る照明器具の概要について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る照明器具1の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る照明器具1の分解斜視図である。なお、図2では、照明器具1が備える3枚の取付バネ90を図示していない。また、器具本体10と枠体20とを固定した状態で図示している。
図3は、本実施の形態に係る照明器具1の断面図である。図3は、具体的には、照明器具1の光軸Jを含む断面を示している。
図4は、本実施の形態に係る照明器具1の断面の要部拡大図である。具体的には、図4は、図3の一点鎖線で囲まれた矩形の領域IVを拡大して示している。なお、図4では、さらに、フィルム部材70の突出部72が挿入される溝80の近傍を拡大して示している。
本実施の形態に係る照明器具1は、例えば、建物の天井などに埋め込み配設されることにより、床又は壁などの下方に向けて光を照射するダウンライトなどの埋込型照明器具である。本実施の形態では、照明器具1は、照明器具1から光が出射する方向(すなわち、光出射方向)を前方とし、この光出射方向の反対方向を後方としている。例えば、照明器具1が設置される天井面を基準にすると、天井面よりも床側の方向、すなわち、下方(z軸の負方向)が前方であり、天井面よりも上側の方向、すなわち、上方(z軸の正方向)が後方である。
図1〜図4に示すように、照明器具1は、器具本体10と、枠体20と、光源30と、取付部材33と、接続部材37と、反射部材40と、レンズ50と、C形部材60と、フィルム部材70と、溝80と、取付バネ90とを備える。以下では、照明器具1が備える各構成要素の詳細について説明する。
[器具本体]
器具本体10は、光源30が内部に配置される部材である。本実施の形態では、器具本体10は、光源30が取り付けられる取付台である。器具本体10は、光源30が発生する熱を放熱するヒートシンクとしても機能する。したがって、器具本体10は、例えば、金属材料などの熱伝導率の高い材料によって構成されている。具体的には、器具本体10は、アルミニウムからなるアルミダイカスト製である。図3に示すように、器具本体10は、セード部11と、取付部12と、放熱部13とを備える。
セード部11は、光源30からの光が内側を通過する筒状部の一例である。具体的には、セード部11は、取付部12の周縁に設けられ、光源30の光軸Jを囲んでいる。セード部11の前方側端部から照明器具1の出射光が出射される。
図4に示すように、セード部11の内面には、C形部材60を支持する溝14が設けられている。溝14は、光軸Jを中心として、深さ方向が径方向に一致する円環状に設けられている。なお、深さ方向は、例えば、図4に示す断面においてはx軸の負方向であり、溝の開口から底面に向かう方向である。
取付部12は、光源30が取り付けられる台状の部分である。図3に示すように、取付部12の前方側には、光源30が配置され、取付部12の後方側には、放熱部13が設けられている。これにより、光源30で発生する熱が、放熱部13に効率良く伝達される。
放熱部13は、光源30で発生する熱を放熱する部分であり、複数のフィンを備える。放熱部13は、取付部12の後方側に設けられている。
[枠体]
枠体20は、器具本体10を天井などの被取付部に取り付けるための部材である。本実施の形態では、枠体20は、器具本体10のセード部11を囲む略円筒状の部材である。
図2及び図3に示すように、枠体20は、鍔21を有する。鍔21は、枠体20の前方端から、径方向の外側に向かって延設された円環状の部分である。照明器具1は、天井板に設けられた貫通孔(取付穴)に挿入された状態で、鍔21と複数の取付バネ90とが貫通孔周りの天井板を挟持することにより、天井板に取り付けられる。
本実施の形態では、固定された枠体20に対する器具本体10の相対角度を変えることによって、器具本体10からの出射光の出射方向を変えることができるように構成されている。具体的には、枠体20は、器具本体10に対して所定の軸を基準として回動可能に固定されている。本実施の形態に係る照明器具1は、いわゆるユニバーサルダウンライトである。
枠体20は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって形成することができる。枠体20は、例えば、アルミダイカスト製であるが、アルミ板の板金加工によって形成されてもよい。
[光源]
光源30は、発光モジュールであって、所定の光を放射状に出射する光源である。本実施の形態では、光源30は、LED(Light Emitting Diode)を有する発光モジュールである。光源30は、例えば白色光を出射するように構成されている。
例えば、光源30は、COB(Chip On Board)型LEDで構成されている。具体的には、光源30は、図2及び図3に示すように、基台31と、基台31上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数のLED32と、複数のLED32を封止する封止部材とを備える。封止部材には、例えば蛍光体が含まれている。なお、本実施の形態では、封止部材は全てのLED32を一括封止しているが、これに限られない。ライン状に配列された複数のLED32の配列方向に沿って複数本のライン状に封止部材を形成してもよい。
光源30は、器具本体10の取付部12に取り付けられる。照明器具1において、光源30の光軸Jの方向は鉛直方向(各図のz軸方向)である。
基台31は、複数のLED32を実装するための実装基板であって、例えばセラミックス基板、樹脂基板又は絶縁被覆されたメタルベース基板などである。また、基台31は、例えば平面視において矩形形状である平面を有する板状であり、基台31の底面(後方面)が器具本体10の取付部12に取り付けられる。なお、基台31には、複数のLED32(光源30)を発光させるための直流電力を外部から受電するための一対の電極端子(正電極端子及び負電極端子)が形成されている。
[取付部材]
取付部材33は、光源30を器具本体10の取付部12に取り付けるための部材である。図2に示されるように、取付部材33は、規制部34及び爪状部35を備える。
規制部34は、光源30の光軸Jに垂直な方向(x軸方向及びy軸方向)の位置を規制する。規制部34は、中央に開口部を有する矩形枠状の形状を有する。規制部34の中央に形成された開口部は、光源30に対応する形状を有し、当該開口部に光源30が配置される。
取付部材33は、取付部12の光源30が配置される側(前方側)の面に配置され、図2に示す接続部材37及びねじ38によって、取付部12に固定される。より具体的には、取付部材33の規制部34には、貫通孔36が形成されており、ねじ38を、貫通孔36を介して取付部12に形成されたねじ穴に捻じ込むことにより、取付部材33が取付部12に対して固定される。これにより、取付部材33及びその開口部に配置された光源30が取付部12に固定される。
爪状部35は、反射部材40を支持するための爪状の部分であり、図3に示すように、反射部材40の被係止孔41を係止する。本実施の形態では、取付部材33は、2つの爪状部35を備える。爪状部35は、略L字型の形状を有しており、爪状部35の端部の光軸Jから離れる向き突出した傾斜面(突起)が、被係止孔41に挿入されることにより、爪状部35が被係止孔41を係止する。
取付部材33は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂材料を用いて形成することができる。
[接続部材]
接続部材37は、光源30へ電流を供給する配線(不図示)が接続される部材である。本実施の形態に係る照明器具1は、図2に示されるように、2つの接続部材37を備え、一方の接続部材37に高電位側の配線が、他方の接続部材37に低電位側の配線が、それぞれ接続される。接続部材37には、光源30へ電流を供給する電極(不図示)が設けられている。当該電極が光源30に形成された電極端子に接続される。
また、接続部材37は、光源30の位置を規制する機能も有する。接続部材37には、ねじ38が貫通する貫通孔が形成されており、当該貫通孔に挿入されたねじ38によって、接続部材37が取付部12及び取付部材33に固定される。その際、図3に示すように、接続部材37の光軸J側の端部が、光源30を取付部12に向けて押さえることにより、光源30の光軸Jに沿った方向(z軸方向)における位置を規制する。
接続部材37の筐体は、例えば、PBT、PCなどの樹脂材料を用いて形成することができる。また、接続部材37の電極は、銅などの導電性部材を用いて形成することができる。
[反射部材]
反射部材40は、図3に示すように、光源30からの光が入射される側(z軸の正側)の端部から、当該光が出射される側の端部に向かって内径が漸次大きくなるように構成された略筒状の形状を有する。反射部材40の内面において、光源30からの光が反射される。
図2及び図3に示すように、反射部材40の外面側には、取付部材33の爪状部35に係止される被係止孔41が設けられている。被係止孔41は、反射部材40の外面側に立設された壁面に設けられた孔である。被係止孔41が爪状部35に係止されることにより、反射部材40は、取付部材33に係止される。これにより、反射部材40は、取付部材33を介して器具本体10の取付部12に取り付けられる。
図2に示すように、反射部材40の光出射側の端部には、3つの係止部42が設けられている。係止部42は、レンズ50を係止する部分である。
反射部材40は、例えばPBTなど硬質の白色樹脂材料を用いて形成することができる。なお、反射部材40は、内面にアルミニウムなどの金属膜が設けられてもよい。
[レンズ]
レンズ50は、光源30とフィルム部材70との間に配置され、光源30からの光の配光を制御する透光性の光学素子である。本実施の形態では、レンズ50は、レンズ50に入射する光を集光する集光レンズである。また、レンズ50は、光出射側に形成されたレンズ構造がフレネル化されたフレネルレンズである。
図3に示すように、レンズ50は、光源30の前方に配置される。具体的には、レンズ50は、光源30と所定の間隔をあけて、光源30の光出射側に配置される。したがって、レンズ50は、光源30から出射してレンズ50に入射する光の配光を制御する。レンズ50は、例えば、光源30から出射する光をコリメートする。レンズ50の光軸は、例えば、光源30の光軸Jと略一致している。
レンズ50は、所定のレンズ作用を有するように、所定の形状で形成されている。また、レンズ50は、透光性材料を用いて形成されている。具体的には、レンズ50は、アクリル(PMMA)、PCなどの透明樹脂材料又はガラス材料などの透明材料を用いて、金型などによって所定の形状に成形される。
レンズ50の光出射側の端部には、図2に示すように、3つの被係止部51が設けられている。3つの被係止部51がそれぞれ、3つの係止部42によって係止されることにより、レンズ50が反射部材40に保持される。本実施の形態では、レンズ50は、さらに、セード部11に保持されたC形部材60によって支持されている。
[C形部材]
C形部材60は、フィルム部材70に対して光源30と反対側に設けられたC字形状の枠部の一例である。図3に示すように、C形部材60は、器具本体10のセード部11内に配置されている。具体的には、図4に示すように、C形部材60は、セード部11の内面に設けられた溝14内に配置されている。
本実施の形態では、C形部材60は、レンズ50を保持する弾性部材である。C形部材60は、例えば、C形バネである。
図5は、本実施の形態に係る照明器具1が備えるC形部材60の平面図である。具体的には、図5は、光出射側(z軸の負側)から見たときのC形部材60の平面視形状を示している。
図5に示すように、C形部材60の平面視形状は、一部が開放された円環形状である。つまり、C形部材60は、C字の開放部分である開放部61を有する。C形部材60の開放部61を両端から押し狭めることで、C形部材60は、弾性変形可能である。C形部材60の外径を押し縮めた状態でセード部11内に挿入し、溝14の位置まで押し入れることにより、推し縮められたC形部材60は、その復元力によって溝14に嵌め入れられる。このようにして、C形部材60は、セード部11に固定される。
C形部材60がセード部11に固定された状態で、C形部材60の平面視における中心は、例えば光軸Jを通過する。C形部材60の内径R1は、セード部11の内径より小さい。
本実施の形態では、C形部材60の開放部61は、フィルム部材70を回転スライド挿入させる際の挿入口として機能する。開放部61の周方向に沿った長さL1は、フィルム部材70の突出部72の周方向に沿った長さL2(図6を参照)より短い。
C形部材60は、例えば、アルミニウム又はステンレスなどの金属材料を用いて形成されている。あるいは、C形部材60は、樹脂材料を用いて形成されていてもよい。
[フィルム部材]
フィルム部材70は、光源30からの光が通過する透光性の光学部材である。例えば、フィルム部材70は、光源30からの光の配光を調整する。本実施の形態では、フィルム部材70は、例えば、異方性拡散シートであり、所定の方向において、当該所定の方向と垂直な方向より光を大きく拡散させるスプレッドフィルタである。
フィルム部材70は、溝80に回転可能に保持されている。具体的には、フィルム部材70は、光軸Jを中心に回転可能である。
本実施の形態では、図3に示すように、フィルム部材70は、レンズ50とC形部材60との間に配置されている。具体的には、レンズ50、フィルム部材70及びC形部材60は、光源30側からこの順でセード部11の内部に配置されている。
本実施の形態では、フィルム部材70は、照明器具1に対して単独で着脱自在である。つまり、照明器具1を構成する部材のいずれも取り外すことなく、フィルム部材70を取り付け及び取り外すことが可能である。
図6は、本実施の形態に係る照明器具1が備えるフィルム部材70の一例を示す平面図である。具体的には、図6は、光出射側(z軸の負側)から見たときのフィルム部材70の平面視形状を示している。また、図6では、1つの突出部72を拡大して図示している。
図6に示すように、フィルム部材70は、円板部71と、複数の突出部72とを有する。本実施の形態では、フィルム部材70は、3つのみの突出部72を有する。
円板部71は、平面視形状が略円形の平板状の部分である。円板部71が溝80に保持された状態で、円板部71の平面視における中心は、例えば光軸Jを通過する。円板部71の径R2は、C形部材60の内径R1以下の長さである。つまり、円板部71の径R2は、C形部材60の内径R1に等しくてもよい。あるいは、円板部71の径R2は、C形部材60の内径R1より僅かに短くてもよい。
複数の突出部72は、円板部71の周縁に設けられており、図4に示すように、溝80に挿入される。本実施の形態では、複数の突出部72は、円板部71の周縁から径方向に沿って外側に突出している。図6に示すように、複数の突出部72は、円板部71の周縁の3ヶ所のみに等間隔で設けられている。3つの突出部72の各々の平面視形状は、互いに等しい。3つの突出部72は、光軸Jを中心とする回転対称の位置に配置されている。具体的には、3つの突出部72の各々の突出方向(図6の二点鎖線で示す)がなす角度は、120°である。
複数の突出部72の各々は、円板部71の周縁の長さL2の円弧の部分を、径方向に沿って外側に延設された部分である。突出部72の幅Wは、略均一である。突出部72は、円板部71の周方向に長尺で、長さL2及び幅Wの帯状の部分である。なお、図6のでは、突出部72の拡大部分において、円板部71の周縁に沿った仮想的な円を破線で図示している。
なお、突出部72の幅Wは、突出部72の径方向の長さである。具体的には、突出部72の幅Wは、円板部71の中心(光軸J)から、突出部72の突出方向における先端部までの長さR3と、円板部71の半径との差分に相当する。すなわち、W=R3−(R2/2)である。本実施の形態では、長さR3は、C形部材60の内径R1の半分より短く、溝80の底面83が構成する円環の半径以下である。
複数の突出部72の各々の、円板部71の周方向に沿った長さL2は、C形部材60の開放部61の周方向に沿った長さL1より長い。例えば、長さL2は、長さL1の1.2倍以上であるが、1.5倍以上でもよく、あるいは、2倍以上でもよい。なお、長さL2は、円板部71の外周に相当する長さπ×R2の1/3より短い。長さL2は、π×R2の1/6より短くてもよく、1/8より短くてもよい。
図6に示すように、円板部71の周縁は、複数の突出部72の各々との接続部分において、複数の直線部73を有する。1つの突出部72に対して、2つの直線部73が設けられている。2つの直線部73は、対応する突出部72の突出方向に対して直交する直線である。なお、直線部73と突出部72との接続部分には、アールが設けられているが、アールは設けられていなくてもよい。また、円板部71の周縁には、直線部73が設けられていなくてもよい。
円板部71の周縁は、直線部73が設けられていることで、円板部71の円周の一部が切り欠かれた形状となる。これにより、突出部72の突出量を長くすることができるので、円板部71と突出部72との接続部分で、突出部72が折り曲がりやすくなる。なお、突出量は、例えば、2つの直線部73を結ぶ線と突出部72の突出方向における先端部との距離で示される。
本実施の形態では、フィルム部材70は、厚みが均一の平板である。具体的には、フィルム部材70の両面がそれぞれ面一である。フィルム部材70は、可撓性を有する。少なくとも円板部71と複数の突出部72の各々との接続部分において、フィルム部材70は折り曲げ可能である。
図7は、本実施の形態に係る照明器具1が備えるC形部材60とフィルム部材70との大きさを対比して示す平面図である。具体的には、図7は、光出射側(z軸の負側)から見たときのC形部材60及びフィルム部材70の平面視形状を示している。図7では、フィルム部材70の形状を分かりやすくするため、ドットの網掛けを付している。
図7に示すように、C形部材60の内周と、フィルム部材70の円板部71の周縁とは、略一致している。C形部材60の後方には、フィルム部材70の複数の突出部72のみが位置している。
突出部72の周方向の長さL2が、C形部材60の開放部61の長さL1より長いので、図7に示すように、突出部72を、開放部61に対して光軸Jに沿った方向に押し入れることができない。本実施の形態では、フィルム部材70を回転スライドさせながら、複数の突出部72を開放部61に挿入することで、フィルム部材70を溝80に保持させる。詳細については、図8を用いて後で説明する。
[溝]
溝80は、深さ方向が径方向に一致する円環状の溝である。図4に示すように、溝80は、2つの側面81及び82と、底面83とを有する。なお、溝80の深さ方向とは、側面81及び82の底面83の反対側の端部(開口端)から底面83に向かう方向である。具体的には、図4において、溝80の深さ方向は、x軸の正方向である。本実施の形態では、溝80は、C形部材60と、セード部11とによって形成されている。
図4に示すように、C形部材60は、溝80の光源30とは反対側の側面81を構成している。具体的には、C形部材60の光源30側の面が、溝80の側面81に相当する。
また、セード部11の一部が側面82を構成している。具体的には、側面82は、セード部11の内面に設けられた溝14の光源側の側面に相当する。
底面83は、セード部11の内面に設けられた溝14の底面の一部である。底面83は、セード部11の内面に沿って円環状に設けられている。底面83が形成する円環の半径は、図6に示すフィルム部材70の長さR3以上である。
なお、レンズ50が、溝80の光源30側の側面82を構成していてもよい。具体的には、レンズ50の光出射面の外周縁に沿った円環状の部分が、溝80の側面82に相当する。つまり、フィルム部材70は、レンズ50とC形部材60とに挟持されていてもよい。
[取付バネ]
取付バネ90は、天井に設けられた取付穴に照明器具1を取り付けるために用いられる。具体的には、取付バネ90の復元力を利用して、取付バネ90と枠体20の鍔21とで天井板を挟持することで、照明器具1を取り付けることができる。
取付バネ90は、鉄などの金属材料を用いてプレス加工などによって長尺状の細板形状に成形されている。本実施の形態では、図1に示すように、照明器具1は、3つの取付バネ90を備えるが、取付バネ90の個数及び位置はこれに限定されない。
[フィルム部材の取り付け方法]
続いて、フィルム部材70の取り付け方法について説明する。
図8は、本実施の形態に係る照明器具1において、フィルム部材70の取り付け方法を示す斜視図である。なお、図8では、照明器具1が備える構成要素のうち、フィルム部材70、セード部11、C形部材60及び溝80のみを模式的に抜き出して示している。また、フィルム部材70が備える3つの突出部72をそれぞれ、突出部72a、突出部72b及び突出部72cとして図示している。また、図8の(a)〜(d)の各々に示す白抜きの矢印は、フィルム部材70を動かす方向(例えば、回転方向)を示している。
本実施の形態では、C形部材60の開放部61を利用して、フィルム部材70を回転スライドさせながら、C形部材60の後方に設けられた溝80にフィルム部材70を挿入する。
図8の(a)に示すように、フィルム部材70の突出部72aをC形部材60の開放部61に対して斜め方向に挿入する。具体的には、フィルム部材70を回転させるようにして、突出部72aの周方向の一端から開放部61に挿入する。開放部61に挿入された突出部72aは、そのままC形部材60の後方(挿入方向における奥側)に位置する溝80にスライド挿入される。このとき、フィルム部材70は可撓性を有するので、突出部72aを円板部71に対して折り曲げながら、かつ、円板部71を挿入しやすい形状に折り曲げながら、突出部72aを容易に溝80にスライド挿入することができる。
次に、図8の(b)に示すように、突出部72aの全体が溝80に挿入された状態で、フィルム部材70を回転させる。フィルム部材70を回転させながら、次の突出部72bを同様にして、開放部61に挿入する。
そのままフィルム部材70を回転させることで、図8の(c)に示すように、突出部72bの全体も溝80に挿入される。突出部72a及び突出部72b各々の全体が溝80に挿入された状態で、さらにフィルム部材70を回転させることで、最後の突出部72cを同様にして、開放部61に挿入する。
これにより、図8の(d)に示すように、3つの突出部72a〜72cが溝80に挿入される。フィルム部材70は、溝80によって回転可能に保持される。なお、図8では、反時計回りにフィルム部材70を回転させたが、時計回りに回転させてもよい。フィルム部材70を取り外す場合は、フィルム部材70を回転させながら、突出部72a〜72cを順に開放部61から滑り出させればよい。
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1によれば、フィルム部材70を容易に取り付け、及び、取り外すことができる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1は、光源30と、光源30からの光が通過する透光性のフィルム部材70と、フィルム部材70に対して光源30と反対側に設けられたC字形状の枠部の一例であるC形部材60と、深さ方向が径方向に一致する円環状の溝80とを備える。C形部材60は、溝80の、光源30とは反対側の側面を構成している。フィルム部材70は、円板部71と、円板部71の周縁に設けられ、溝80に挿入される複数の突出部72とを有する。フィルム部材70は、溝80に回転可能に保持されている。
これにより、C形部材60の開放部61を利用して、フィルム部材70を回転スライドさせながら溝80に挿入することができる。フィルム部材70を押し入れる場合に比べて、複数の突出部72が適切に溝80に挿入されたか否かを容易に判断することができるので、フィルム部材70の取り付けミスが発生する可能性を抑制することができる。また、溝80に保持されたフィルム部材70をC形部材60が支持することができるので、フィルム部材70の脱離を抑制することができる。このように、本実施の形態によれば、フィルム部材70の取付及び保持に対する信頼性が高い照明器具1を実現することができる。
また、例えば、複数の突出部72は、円板部71の周縁の3ヶ所のみに等間隔で設けられている。
これにより、3つの突出部72によって3ヶ所でバランス良くフィルム部材70が保持される。したがって、フィルム部材70の脱離が抑制されて、フィルム部材70の取付及び保持に対する信頼性の高い照明器具1を実現することができる。
また、例えば、複数の突出部72の各々の、円板部71の周方向に沿った長さL2は、C形部材60のC字の開放部分である開放部61の、周方向に沿った長さL1より長い。
これにより、フィルム部材70の突出部72の長さL2がC形部材60の開放部61の長さL1より長いので、フィルム部材70の取り付け後に照明器具1に振動などが加わったとしても、開放部61から突出部72が抜け落ちにくい。このため、フィルム部材70が脱離する可能性が極めて小さくなる。また、突出部72の長さL2が開放部61の長さL1より長いことで、開放部61を介して突出部72をそのまま押し入れることができなくなる。これにより、フィルム部材70の回転スライド挿入をユーザなどに促すことができる。
また、例えば、複数の突出部72は、円板部71の周縁から径方向に沿って外側に突出している。フィルム部材70は、厚みが均一の平板である。
これにより、フィルム部材70の保持に必要なスペースの厚さ、すなわち、溝80の幅を、フィルム部材70の板厚に実質的に等しくすることができるので、フィルム部材70のがたつきを抑制することができる。
また、例えば、円板部71の径R2は、C形部材60の内径R1以下の長さである。円板部71の中心から、複数の突出部72の各々の突出方向における先端部までの長さR3は、C形部材60の内径R1の半分より長い。
これにより、突出部72のみが溝80内に挿入されるので、フィルム部材70の回転スライド挿入を容易に行うことができる。
また、例えば、円板部71の周縁は、複数の突出部72の各々との接続部分において、対応する突出部72の突出方向に対して直交する直線部73を有する。
これにより、突出部72の長さを確保することができるので、突出部72の可撓性を高めることができる。具体的には、突出部72と円板部71との接続部分でフィルム部材70を折り曲げやすくなるので、フィルム部材70の回転スライド挿入が容易になる。
また、例えば、本実施の形態に係る照明器具1は、さらに、光源30からの光が内側を通過するセード部11を有する器具本体10と、光源30とフィルム部材70との間に配置されたレンズ50とを備える。レンズ50、フィルム部材70及びC形部材60は、光源30側からこの順でセード部11の内部に配置されている。C形部材60は、レンズ50を保持する弾性部材である。
これにより、C形部材60の弾性力によってレンズ50を強固に保持することができる。C形部材60を取り外さなくても、フィルム部材70の挿入を行うことができるので、C形部材60として、より弾性力の強い部材を利用することができる。したがって、レンズ50の保持力を更に高めることができる。
また、例えば、フィルム部材70は、スプレッドフィルタである。
これにより、ユーザなどの要求に応じて、照明器具1からの光の配光を容易に変更することができる。なお、フィルム部材70は、カラーフィルタであってもよい。例えば、フィルム部材70は、白色光を赤色、緑色、青色などの有色に変換するフィルタであってもよい。あるいは、フィルム部材70は、白色光の色温度を変換するフィルタであってもよい。
(変形例)
以下では、実施の形態の変形例について説明する。
上記の実施の形態では、筒状部とC字形状の枠部とが別体で構成されている例について示したが、これに限らない。本変形例では、C字形状の枠部が筒状部と一体に構成されている。以下では、実施の形態との共通点を中心に説明し、相違点の説明を省略又は簡略化する。
図9は、本変形例に係る照明器具の器具本体の筒状部111の斜視図である。本変形例では、筒状部111の一部が、C字形状の枠部160である。また、溝180は、筒状部111の内面に設けられている。
筒状部111は、実施の形態1に係るセード部11と同様に、略円筒状の部分である。なお、筒状部111の形状は、略円錐台筒状であってもよい。
C字形状の枠部160は、筒状部111の光出射側(前方)の端部111a及び内面111bを含む部分である。枠部160は、図9に示すように、開放部161を有する。開放部161は、筒状部111の前方の端部111aから内面111bの一部を後方に向かって切り欠いた形状を有する。
溝180は、枠部160の後方側に設けられている。溝180の前方側の側面181は、枠部160の一部、すなわち、筒状部111の一部が構成している。溝180の後方側の側面182は、筒状部111の一部が構成している。溝180と開放部161とは連続している。このため、実施の形態と同様に、フィルム部材70の突出部72を、開放部161に対して挿入し、フィルム部材70を回転させることで溝180に挿入することができる。
以上のように、本変形例に係る照明器具では、例えば、光源30からの光が内側を通過する筒状部111を有する器具本体を備える。枠部160は、筒状部111の一部である。溝180は、筒状部111の内面に設けられている。
これにより、部品点数を削減することができ、照明器具を軽量化することができる。
(その他)
以上、本発明に係る照明器具について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、フィルム部材70が備える突出部72の個数は3つに限られない。フィルム部材70は、2つのみの突出部72を備えてもよく、4つ以上の突出部72を備えていてもよい。また、複数の突出部72は、等間隔に設けられていなくてもよい。例えば、3つの突出部72のうち2つの突出部72は、他の1つの突出部72よりも狭い間隔で設けられていてもよい。
また、例えば、突出部72の周方向の長さL2は、C形部材60の開放部61の長さL1と等しくてもよい。あるいは、長さL2は、長さL1より短くてもよい。この場合、1つ目の突出部72は、フィルム部材70を回転させなくても開放部61に挿入することができる。
また、例えば、フィルム部材70の円板部71の一部が溝80内に配置されていてもよい。例えば、円板部71の径R2は、C形部材60の内径R1より大きくてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、光源30がCOB型のLEDモジュールである例を説明したが、これに限らない。例えば、光源30は、LED32として、SMD(Suface Mount Device)型のLEDを備えてもよい。あるいは、光源30は、LED32の代わりに、有機EL(Electro Luminescence)素子又はレーザ素子などの他の固体発光素子を備えてもよい。
また、例えば、照明器具1は、ダウンライトに限らず、スポットライト、シーリングライトなどであってもよい。
また、本発明は、例えば、照明器具1に対するフィルム部材70の取り付け方法としても実現することができる。具体的には、C字状の枠部(例えば、C形部材60)の開放部61に、フィルム部材70を回転させながら、フィルム部材70の複数の突出部72のうちの1つを斜め方向に挿入する。さらに、フィルム部材70を回転させながら、挿入した突出部72をC形部材60の後方に位置する溝80に沿ってスライドさせて、残りの突出部72を順次、開放部61を介して溝に挿入する。これにより、フィルム部材70を溝80に取り付けることができる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。