JP6919981B2 - マメ科植物の水耕栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイズ等のマメ科植物を養液により栽培する、マメ科植物の水耕栽培方法に関する。
ダイズ等のマメ科植物は、土壌中の根粒菌に光合成産物であるエネルギーを与えることで根粒菌と共生し、根粒菌のもつ空中窒素固定能を利用して、窒素化合物を得る。このマメ科植物と根粒菌の共生を開始するシグナル分子として、マメ科植物は根からフラボノイドを分泌している。例えば、マメ科植物のダイズは、イソフラボン類を分泌することで、土壌中に存在する根粒菌を刺激し、窒素固定のための根粒を形成させる。
フラボノイド(イソフラボン)は、女性ホルモンのエストラゲンに分子構造が似ており、女性ホルモンと似たような働きをすることから、更年期障害の軽減等に効果があるとされ、骨粗鬆症や循環器系疾患の予防にも効果があるとされている。イソフラボンは「配糖体」(グリコシド型)と「非配糖体」(アグリコン型)に大別される。
ダイズ由来のイソフラボン(ダイズイソフラボン)は、一般的に大豆種子から工業的に抽出され、特定保健用食品や化粧品として利用されている。このように利用されているダイズイソフラボンの多くは「配糖体」である。イソフラボン「配糖体」は、腸内細菌がもつ酵素の働きで、糖が分解されて「非配糖体」となり、小腸や胃から吸収される。「配糖体イソフラボン」の体内吸収率は非常に低く(約2割)、大部分は体外排出される。一方、「非配糖体イソフラボン」には糖がないことから、腸内細菌の働きには関係なく、胃腸ですみやかに吸収されるため、吸収率が高く(約3倍)、吸収速度も速く効果的である。
「非配糖体イソフラボン」の工業的製造方法は、麹で発酵させた発酵種子の胚芽抽出物から抽出・濃縮を経て得る方法(特許文献1)、ダイズ種子から抽出した「配糖体イソフラボン」をグルコシダーゼ酵素により糖分解して得る方法(特許文献2)などが報告されている。
国際公開WO2003/077904 特開2005-224162号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載された方法は、抽出した配糖体イソフラボンを非配糖体イソフラボンに変換する工程が必要でありコストが高いといった問題がある。そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、非配糖体イソフラボンを含むマメ科植物を栽培することができる、マメ科植物の水耕栽培方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、マメ科植物の水耕栽培において所定の時期に窒素飢餓状態とすることで、驚くべきことに、主として根部に非配糖体イソフラボンが含まれるといった新規な知見を得ることができ、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)窒素成分、リン成分及びカリウム成分を含む第1の養液によりマメ科植物を栽培し、当該マメ科植物の栄養生長期後期から生殖生長期前期までの間に上記第1の養液から、上記第1の養液と比較して少なくとも窒素成分が低減した第2の養液又は水により当該マメ科植物を栽培する、マメ科植物の水耕栽培方法。
(2)上記第1の養液から上記第2の養液又は水に切り替える時期を、マメ科植物の開花期とすることを特徴とする(1)記載のマメ科植物の水耕栽培方法。
(3)上記マメ科植物はダイズであることを特徴とする(1)記載のマメ科植物の水耕栽培方法。
(4)窒素成分、リン成分及びカリウム成分を含む第1の養液によりマメ科植物を栽培し、当該マメ科植物の栄養生長期後期から生殖生長期前期までの間に上記第1の養液から、上記第1の養液と比較して少なくとも窒素成分が低減した第2の養液又は水により当該マメ科植物を栽培し、栽培したマメ科植物から非配糖体イソフラボンを採取する、非配糖体イソフラボンの製造方法。
(5)上記第1の養液から上記第2の養液又は水に切り替える時期を、マメ科植物の開花期とすることを特徴とする(4)記載の非配糖体イソフラボンの製造方法。
(6)上記マメ科植物はダイズであることを特徴とする(4)記載の非配糖体イソフラボンの製造方法。
(7)上記マメ科植物の根部より非配糖体イソフラボンを採取することを特徴とする(4)記載の非配糖体イソフラボンの製造方法。
(8)上記非配糖体イソフラボンはダイゼイン及び/又はゲニステインであることを特徴とする(4)記載の非配糖体イソフラボンの製造方法。
本発明に係るマメ科植物の水耕栽培方法によれば、通常の養液を用いた水耕栽培によって栽培されたマメ科植物と比較して非配糖体イソフラボン含量の高いマメ科植物を得ることができる。非配糖体イソフラボンを含むマメ科植物は、非配糖体イソフラボン生産の原料として、或いはそれ自体を食品や医薬組成物等に広く利用することができる。
また、本発明に係る非配糖体イソフラボンの製造方法では、第1の養液と第2養液とを用いた水耕栽培により得られたマメ科植物より非配糖体イソフラボンを採取する。このため、本発明に係る非配糖体イソフラボンの製造方法によれば、低コストで非配糖体イソフラボンを得ることができる。
以下、本発明に係るマメ科植物の水耕栽培方法及び非配糖体イソフラボンの製造方法(以下、まとめて本発明に係る方法と称する場合がある)を詳細に説明する。
本発明に係る方法では、先ず、窒素成分、リン成分及びカリウム成分を含む第1の養液を使用してマメ科植物を栽培する。その後、本発明に係る方法では、マメ科植物の生育段階が栄養生長期後期から生殖生長期前期までの間に上記第1の養液から、上記第1の養液と比較して少なくとも窒素成分が低減した第2の養液又は水により当該マメ科植物を栽培する。すなわち、本方法では、栽培しているマメ科植物が栄養生長期後期から生殖生長期前期にあるときに第1の養液から第2の養液又は水に切り替えて栽培を継続する。
ここでマメ科植物とは、特に限定されず、広くマメ科に分類される植物を包含する意味である。特に、マメ科植物としては、土壌栽培された際に根粒を形成するマメ科植物とすることが好ましい。なお、根粒を形成する根粒菌には特に限定されず、例えばリゾビウム属細菌が挙げられる。また、マメ科植物としては、例えば、キドニー・ビーン、赤インゲン、白インゲン、ブラック・ビーン、うずら豆、とら豆及びライマメ等のインゲンマメ属・インゲンマメ種;ベニバナインゲン等のインゲンマメ属・ベニバナインゲン種;エンドウ等のエンドウ属;キマメ等のキマメ属;緑豆等のササゲ属・ササゲ種;アズキ等のササゲ属・アズキ種;ソラマメ等のソラマメ属;大豆等のダイズ属;ヒヨコマメ等のヒヨコマメ属;レンズマメ等のヒラマメ属;ラッカセイ等のラッカセイ属;ルピナス豆等のルピナス属;グラスピー等のレンリソウ属;イナゴマメ等のジャケツイバラ亜科イナゴマメ属;ネジレフサマメノキ及びヒロハフサマメノキ等のネムノキ亜科パルキア属に属する植物を挙げることができる。その他にもマメ科植物としては、具体的に、ヒカマ(クズイモ属)、ローズウッド・紫檀(ツルサイカチ属)、萩(ハギ属)、レンゲ(ゲンゲ属)、藤(フジ属)、クズ(クズ属)、クローバー・アルファルファ(シャジクソウ属)、 アラビアガム(アカシア属)及びタマリンド(タマリンド属)等を挙げることができる。本発明に係る方法は、上述した具体的なマメ科植物を水耕栽培する際に適用することができる。なかでも、本発明に係る方法はダイズの水耕栽培に適用することが最も好ましい。
ここで、第1の養液とは、窒素成分、リン成分及びカリウム成分を含む組成であり、通常の水耕栽培に利用される養液を意味する。通常の水耕栽培では、栽培対象の植物、栽培時期等によって組成比は異なるが、植物が根から吸収する必須元素(窒素、リン、カリ、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン)を含む養液を使用する。第1の養液は、ダイズ等のマメ科植物を水耕栽培する際に使用される通常の養液とすることができる。
第2の養液とは、上述した第1の養液(通常の水耕栽培に使用する養液)と比較して窒素成分が低減された組成の養液である。第2の養液に含まれる窒素成分は、第1の養液に含まれる窒素成分と比較して半分量(50%)とすることができ、30%とすることが好ましく、20%とすることが好ましく、10%とすることがより好ましく、5%とすることが更に好ましく、0%とすることが最も好ましい。すなわち、第2の養液には窒素成分が含まれていないことが最も好ましい。
また、第2の養液は、窒素成分以外の元素については第1の養液と同程度含まれていても良いし、第1の養液と比較してより多く含まれていても良いし、第1の養液と比較して少なくても良い。第2の養液は、第1の養液と水とを混合することで調整することができる。
或いは第2の養液に代えて水を使用することもできる。すなわち、本方法では、栽培しているマメ科植物が栄養生長期後期から生殖生長期前期にあるときに第1の養液から水に切り替えて栽培を継続することが好ましい。
特に本方法において、栄養生長期後期から生殖生長期前期の間で第1の養液から第2の養液又は水に切り替えて栽培を継続している。ここで、栄養生長期後期とは、開花期から始まる生殖生長期に入る前段であって、例えば、開花期の10日前とすることができ、開花期の5日前とすることもできる。また、生殖生長期前期とは、開花期から始まる生殖生長期の前段であって、例えば開花期から10日後までとすることができ、開花期から5日後までとすることもできる。
例えば栽培対象がダイズである場合、表1に示すように、発育段階が分類されている。
Figure 0006919981
したがって、本方法をダイズの水耕栽培に適用する場合、第1の養液から第2の養液又は水に切り替える時期を、例えば、栄養生長期のV5期に入った時期から生殖生長期のR3に入った時期までとすることができ、V5期〜R1期の間とすることが好ましく、R1期の間とすることが好ましく、R1期に入った直後とすることが最も好ましい。なお、これら発育段階は、目視により判別することができる。
以上で説明した本方法では、マメ科植物を養液により栽培する水耕栽培であるため、土壌培養と異なり根粒菌と共生しない状態で栽培されることとなる。なお、土壌栽培の前期では、例えば播種(種まき)後3ヶ月間においてイソフラボンが土壌中の根粒菌との共生を開始するシグナル化合物として、根から土壌中に分泌される。よって、土壌栽培の場合には、マメ科植物の根の中にイソフラボンは僅かにしか存在しない(後述する実施例参照)。土壌栽培の場合、栽培後期である播種後3ヶ月過ぎから収穫する5ヶ月までの間には、イソフラボンは莢やその後莢中の子実に配糖体として蓄えられる。次のダイズ世代が播種された際、生育する時に根粒菌共生のための準備と考えられる。
これに対して、上述した本方法では、第1の養液中に根粒菌が含まれず、且つ第1の養液中に窒素化合物が含まれているため、根粒菌を共生するためにイソフラボンを養液中に分泌しない。したがって、本方法を適用してマメ科植物を栽培した場合には、特に、根部にイソフラボンが滞留すると考えられる。
また、本方法では、特定の時期に第1の養液から第2の養液又は水に切り替えて栽培を継続している。これは、播種時から窒素化合物が含まれる第1の養液で栽培してきたマメ科植物にとって、第2の養液又は水に切り替えられることで根の周りの窒素化合物がなくなり(窒素飢餓状態)、窒素成分を求めて根粒菌共生を行う準備としてイソフラボンが多く根部に蓄積される結果と考えられる。ただし、本方法では、第2の養液又は水に根粒菌が存在しないため、蓄積されたイソフラボンが分泌されず、そのまま大量に滞留すると考えられる。
さらに、本方法では、第1の養液から第2の養液又は水への切り替え時期を栄養生長期後期から生殖生長期前期の間、特に開花期(R1期、表1参照)とした。これは、花が咲き、その後、莢ができ、結実する生殖生長期の開始に当たり、最終的に子実に貯蔵される窒素成分が多く必要になる時期のためである。上記のように、根粒菌との共生の準備において、極端な窒素飢餓状態におかれるため、イソフラボン量が増加すると考えられた。
本方法によれば、通常の水耕栽培により栽培したマメ科植物には含まれない非配糖体イソフラボンを含むマメ科植物を栽培することができる。特に、本方法により栽培されたマメ科植物は、主として根部に非配糖体イソフラボンを多く含むこととなる。したがって、本方法により栽培したマメ科植物の根部から非配糖体イソフラボンを採取することができる。なお、定法に従ってマメ科植物(特にその根部)から非配糖体イソフラボンを採取することができる。非配糖体イソフラボンとしては下記式(1)に示されるダイゼイン(De)及び下記式(2)に示されるゲニステイン(Ge)を挙げることができる。
Figure 0006919981
Figure 0006919981
以下、本発明を実施例を参照して更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実験方法〕
1.栽培方法
水耕栽培及び比較のために行った土壌栽培の栽培方法を以下に示す。すなわち、本実験では、通常、土壌(露地)栽培されるダイズであって、土壌栽培された大豆から配糖体イソフラボンが精製されることから、通常の土壌栽培法でのイソフラボン生成量と本方法によるイソフラボンの生成量とを比較した。栽培したダイズ品種は、愛知県も含め西日本にて広く栽培されている「フクユタカ」(株式会社アサヒ農園製)を用いた。本実験では、6月22日に播種した。
水耕栽培は、約60cm×40cm×30cm(深さ)の容器(約70L)で行い、観賞魚用エアポンプe〜AIR 6000WB(約800〜2,500cc/分/容器、ジェックス株式会社製)にてエアレーションを常時行った。養液は以下の処方で作製した。まず、大塚ハウス1号(大塚アグリテクノ株式会社製、N/P2O5/K2O=10.0/8.0/27.0%)及び大塚ハウス2号(同、N=11.0%)それぞれ3kg及び1.5kgを水に溶解した養液原液を10Lずつ作製し、それぞれA液、B液とした。1.5LずつのA液とB液を297Lの水で希釈して300Lにし、タンクに貯蔵し標準養液(第1の養液)とした。標準養液のEC値(電気伝導度、一般的な養液濃度の簡易指標)は2.8〜3.0mS/cmであった。標準養液は、栽培容器の減り具合を確認して逐次補充したが、R1期以降は2週間ごとに総入れ替えを実施した。これはダイズによる養分吸収の結果、生育にために必要な養分量を補充する意味のほかに、養液の汚れや発生する藻の影響を排除するためである。その際、EC値が上記値であることを確認した。なお後述するように、6つの発育時期にサンプリングを行うため、10本(10容器)程度を同時に栽培した。下記他の栽培方法でも同じである。
上記の栽培期間全体を通して標準養液を使用した比較例の水耕栽培と、本発明を適用して、栽培途中で標準養液を水に切り替える水耕栽培方法も行った。切り替え時期は、開花始期(R1期)とした。生育状態の観察の結果、表1の判定基準に従うと、開花始期は播種日から数えて64日目であった。本実験では、播種日から65日目に、標準養液を水(EC値=0)に切り替えて栽培し、以降2週間ごとに水の総入れ替えを実施した。水は水道水であり、肥料成分等は全く添加していない。
また、比較のために行った土壌栽培は、内径約40cm、深さ約40cmのポット(約50L)を使用し、用土としてトマトコンテナ培土(三河ミクロン株式会社製)を用いた。この用土は、主にトマト生産者が液肥で肥培管理をするために用いるもので、土壌微生物相は通常の土壌のままで、肥料は無添加である。主な原料は、ピートモス、軽石、バーク堆肥、山土、バーミキュライト、木炭であり、製造時のpH値は6.0前後、EC値は0.3mS/cm前後であった。肥料無添加であることから、施肥量の管理が可能であると考えた。この用土に炭酸苦土石灰(有限会社東光商事製)を100kg/10a(12g/ポット)施用した。
基肥は、くみあい粒状複合550号(大豆・甘薯用550号、JAあいち製、アンモニア性窒素/可溶性リン酸/水溶性加里=5.0/15.0/20.0%)を用いた。慣行施用量は40kg/10a(5g/ポット)とした。追肥はR1期に、基肥同様くみあい粒状複合550号を用いて行った。施用量は30kg/10a(3.75g/ポット)とした。
2.サンプリング方法
表1の判定基準に従い、V3期、V5期、R1期、R3期、R6期及びR8期のそれぞれの発育時期にサンプリングした。通常、配糖体イソフラボンは種子から採取するが、本実験では種々の植物器官にも存在するのではないかと考え、以下を実施した。サンプリングは、地際で茎を切断後、根を掘り出し、よく水洗いした。R8期のダイズについては、地上部の茎、莢を切断し、莢から子実を取り出し、莢と分けた。葉は落葉のため無い。根、茎、莢、子実は、それぞれ約1か月間別々に風乾した後、ミルサー FM-800DG(岩谷産業株式会社製)を用いて0.1mm程度に粉砕して、イソフラボン定量分析用試料とした。なおV3期、V5期、R1期、R3期、R6期及びR8期は、播種日から数えてそれぞれ、20日目、30日目、64日目、78日目、110日目及び154日目であった。
3.イソフラボン定量分析方法
イソフラボン定量分析方法は、基本的に食安発第0823001号『大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針について』(平成18年8月23日、厚生労働省医薬食品局食品安全部長)によるが、株式会社カネカテクノリサーチに委託した。
試料の分析前処理法は以下のとおりである。
[1] 試料300mgに70%エタノール25mlを加え、30分間室温で撹拌
[2] 2,000rpmで10分間遠心分離を3回実施、3回分の上清を70%エタノールで100mlに定容
[3] 試料溶液を孔径0.2μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過後、HPLC測定を実施
またイソフラボンの定量分析を行ったHPLC(High Performance Liquid Chromatography)の測定条件は以下のとおりである。
[1] 装置:Waters社製AQUITY UPLC H-Class
[2] カラム: AQUITY UPLC HSS C18, 1.8μm, 2.1x100mm I.D.
[3] カラム温度:35℃
[4] 移動相:水/酢酸=100/3、水/アセトニトリル/酢酸=50/50/3
[5] 流量:0.6ml/min、注入量:1.5μl、
[6]検出:UV 254nm
4.分析結果
イソフラボンの分析結果を表2及び表3に示した。表2は根の中に含まれる各イソフラボン成分の含有量を、サンプリングした時期を追って示した。表3は、成熟(R8)期における茎、莢、子実での含有量を示した。表中の配糖体イソフラボン成分の略号のMDはマロニルダイジンを、MGIはマロニルグリシチン、Gはゲニスチン、MG はマロニルゲニスチンであり、非配糖体イソフラボンのDeはダイゼイン、Ge はゲニステインである。表中数字の単位はmg/g-乾燥重量で、根、茎、莢、子実の各植物器官の単位乾燥重量中に含まれる個々のイソフラボン成分量を示した。表中ブランクは検出限界以下(0.05mg/g乾燥重量)を示す。
Figure 0006919981
Figure 0006919981
表2の根の分析結果からは、標準溶液のみを用いた水耕栽培及び土壌栽培では、いずれの発育段階においても根の中に配糖体イソフラボンを検出することができないことが分かる。また、本発明を適用した水耕栽培においても、配糖体イソフラボンはほとんど検出されず、R6及びR8期に0.2mg/g乾燥重量とほんのわずかに検出したに過ぎないことが分かる。これに対して、本発明を適用した水耕栽培によれば、R3〜R8期に特異的に多く非配糖体イソフラボンが蓄積されていることが分かる。特にR6期において、ダイゼインとゲニステイン併せて非配糖体イソフラボンが、最大で4.89mg/g乾燥重量含まれていた。この結果を標準溶液のみを用いた水耕栽培及び土壌栽培と比較しても、本発明を適用した水耕栽培では、非配糖体イソフラボンを根に大量に蓄積できることが明らかである。
一方、表3からは、如何なる栽培方法であっても、茎や莢には配糖体イソフラボン及び非配糖体イソフラボンのいずれも検出できず、また子実には配糖体イソフラボンのみが検出され、非配糖体イソフラボンは検出されなかったことが分かる。
以上の結果から、ダイズといったマメ科植物から非配糖体イソフラボンを直接大量に採取する方法としては、開花期の前後に標準養液から水(窒素成分を低減した養液でも可)に切り替えて栽培を行うこと、非配糖体イソフラボンは根から採取することが重要であることが判明した。

Claims (1)

  1. 窒素成分、リン成分及びカリウム成分を含む第1の養液によりマメ科植物を栽培し、当該マメ科植物の主茎の第4複葉まで完全展開した第5節期から主茎上で1花開花した開花始期までの間に上記第1の養液から、上記第1の養液と比較して少なくとも窒素成分が低減した第2の養液又は水により当該マメ科植物を栽培する、マメ科植物の水耕栽培方法。
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