JP7355723B2 - ヒヨコマメの根粒形成促進剤 - Google Patents
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Description
しかしながら、メチル化イソフラボン類が根粒に対して如何なる作用を及ぼすかは全く知られていない。
1)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を有効成分とするヒヨコマメの根粒形成促進剤。
2)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を有効成分とするヒヨコマメの収量増加剤。
3)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類及びヒヨコマメを宿主とする根粒菌を含有するヒヨコマメの根粒形成促進又は収量増加用組成物。
4)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの根粒形成促進方法。
5)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの収量増加方法。
6)下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの栽培方法。
本発明において、「根粒」とは、細菌(根粒菌)との共生によって植物の根に生じる瘤を意味する。根粒菌は、根粒中で大気中の窒素を還元してアンモニア態窒素に変換し、宿主へと供給するいわゆる共生的窒素固定を行う。
根粒菌は、共生可能な植物に対して特異性があるとされており、ヒヨコマメを宿主とする根粒菌としては、メソリゾビウム・シセリ(Mesorhizobium ciceri)、メソリゾビウム・メディテラネウム(Mesorhizobium mediterraneum)等が知られている。本発明において、「根粒菌」はヒヨコマメと共生できるものであれば限定されないが、好ましくはメソリゾビウム・シセリである。
このうち、根粒形成促進作用の点から、プラテンセインが好ましい。
したがって、本発明のメチル化イソフラボン類は、ヒヨコマメの根粒形成促進剤又はヒヨコマメの収量増加剤となり得、ヒヨコマメの根粒形成促進又はヒヨコマメの収量増加のために使用することができ、また、ヒヨコマメの根粒形成促進剤又はヒヨコマメの収量増加剤を製造するために使用できる。
また、「ヒヨコマメの収量増加」とは、ヒヨコマメから収穫される子実(豆)が増大することを意味し、例えば植物個体あたりの子実乾燥重若しくは子実数、又はその両方がメチル化イソフラボン類未処理群よりも増加することを意味する。
また、「ヒヨコマメの収量増加」には、ヒヨコマメから収穫されるタンパク収量が増加することも含まれる。「タンパク収量増加」とは、ヒヨコマメから収穫される子実(豆)に含まれるタンパク質の質量が増大することを意味し、例えば植物個体あたりの子実(豆)に含まれるタンパク質の質量がメチル化イソフラボン類未処理群よりも増加することを意味する。
上記組成物の形態は、液状又はゲル状組成物であってもよく、また固体状態(ブロック状、粉末状、顆粒状等)の組成物であってもよい。液状組成物の場合、そのまま、あるいは希釈して使用する濃縮タイプとすることができる。また、固体状態の組成物の場合は水に溶解して使用することもできる。
また、根粒菌とメチル化イソフラボン類の含有量比(メチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数cfu)は、好ましくは105~5×109、より好ましくは106~5×109、さらに好ましくは2×106~5×109、よりさらに好ましくは2×106~5×108である。
すなわち、植物体又は植物の根圏の土壌に本発明のヒヨコマメの根粒形成促進剤又は収量増加剤が接触するか、又は送達される限り特に制限されず、土壌への表面散布、潅注、鋤込み、植物への葉面散布、肥料に混合しての施用、水耕溶液への添加、又は、播種前の種子への塗布若しくは塗抹(例えば種子粉衣)等が挙げられる。
ここで、土壌は、ヒヨコマメの栽培が可能な土壌を用いればよく、ヒヨコマメの栽培が可能な土壌から調製した土壌菌液を添加した土壌を用いることもできる。ここで、土壌菌液は、土壌質量に対して0.1~10倍の質量の滅菌水を加えた土壌を濾過した濾液として調製することが出来る。
例えば、栽培基材1リットル容量あたりの本発明のメチル化イソフラボン類の使用量は、好ましくは0.001~1,000μg、より好ましくは0.01~100μg、さらに好ましくは0.1~10μg、よりさらに好ましくは0.1~1μgであればよい。ヒヨコマメを土耕栽培する場合であれば、土地10アールあたり、好ましくは0.0001~100g、より好ましくは0.001~10g、さらに好ましくは0.01~1g、よりさらに好ましくは0.01~0.1gの量で、土壌に本発明のメチル化イソフラボン類を添加すればよい。
すなわち、上記本発明のメチル化イソフラボン類を有効成分として含む組成物、例えば肥料、微生物資材、土壌改良剤、播種用資材、植物用サプリメント等の場合、該組成物の使用量は、該組成物中に含まれるメチル化イソフラボン類の濃度に依存する。例えば、該組成物中に含まれる該メチル化イソフラボン類の濃度が0.005質量%である場合、該組成物の土地10アールあたりの使用量は、好ましくは2~2,000,000g、より好ましくは20~200,000g、さらに好ましくは200~20,000g、よりさらに好ましくは200~2,000gとなる。
本発明のヒヨコマメの根粒形成促進剤又は収量増加剤は、一度に前記範囲の量を施用してもよく、複数回に分けて施用してもよい。
また、当該組み合わせ施用におけるメチル化イソフラボン類の施用量は、ヒヨコマメの種子1粒あたり好ましくは0.001μg以上、より好ましくは0.01μg以上、さらに好ましくは0.1μg以上であり、且つ、好ましくは1,000μg以下、より好ましくは100μg以下、さらに好ましくは10μg以下、よりさらに好ましくは5μg以下である。また、好ましくは0.001~1,000μg、より好ましくは0.01~100μg、さらに好ましくは0.1~10μg、よりさらに好ましくは0.1~5μgである。
また、当該組み合わせ施用における根粒菌及びメチル化イソフラボン類のヒヨコマメの種子1粒あたりの施用量は、好ましくは根粒菌が104~1011cfu且つメチル化イソフラボン類が0.001~1,000μg、より好ましくは根粒菌が105~1010cfu且つメチル化イソフラボン類が0.01~100μg、さらに好ましくは根粒菌が106~109cfu且つメチル化イソフラボン類が0.1~10μg、よりさらに好ましくは根粒菌が2×106~5×108cfu且つメチル化イソフラボン類が0.1~5μgである。
また、当該組み合わせ施用における根粒菌とメチル化イソフラボン類の施用量比(メチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数(cfu)は、好ましくは105~5×109、より好ましくは106~5×109、さらに好ましくは2×106~5×109、よりさらに好ましくは2×106~5×108である。
さらに別の一実施形態においては、前記播種前や播種と同時及び/又は播種後における栽培基材(例えば、土壌、培土、培地、養液栽培用溶液、水等)への本発明のヒヨコマメの根粒形成促進剤又は収量増加剤の添加と、播種前の種子への該ヒヨコマメの根粒形成促進剤又は収量増加剤の塗布若しくは塗抹(例えば種子粉衣)を組み合わせてもよい。
尚、播種前の種子への該ヒヨコマメの根粒形成促進剤又は収量増加剤の塗布若しくは塗抹(例えば種子粉衣)においては、ピートモス等の担体のほか、展着剤や界面活性剤等を使用することが好ましい。
<1>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を有効成分とするヒヨコマメの根粒形成促進剤。
<2>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を有効成分とするヒヨコマメの収量増加剤。
<3>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類及びヒヨコマメを宿主とする根粒菌を含有するヒヨコマメの根粒形成促進又は収量増加用組成物。
<4>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの根粒形成促進方法。
<5>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの収量増加方法。
<6>下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類を土壌又は植物に施用する工程を含む、ヒヨコマメの栽培方法。
<7>さらに土壌又は植物にヒヨコマメを宿主とする根粒菌を組み合わせて施用する、<4>~<6>のいずれかに記載の方法。
<8>予め根粒菌とメチル化イソフラボン類を含有する微生物資材を調製し、当該資材をヒヨコマメの種子若しくはヒヨコマメを栽培する土壌へ施用する、<7>に記載の方法。
<9>根粒菌がメソリゾビウム属(genus Mesorhizobium)の根粒菌、好ましくはメソリゾビウム・シセリ(Mesorhizobium ciceri)又はメソリゾビウム・メディテラネウム(Mesorhizobium mediterraneum )である、<7>又は<8>に記載の方法。
<10>土壌がヒヨコマメの栽培が可能な土壌から調製した土壌菌液を添加した土壌である、<4>~<9>のいずれかに記載の方法。
<12>ヒヨコマメの収量増加剤を製造するための、下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類の使用。
<13>ヒヨコマメの根粒形成促進又は収量増加用組成物を製造するための、下記式(1)で表されるメチル化イソフラボン類及びヒヨコマメを宿主とする根粒菌の使用。
<15><1>~<14>において、ヒヨコマメは、好ましくはカブリ種である。
<16><1>、<2>、<11>又は<12>の剤が組成物である場合において、当該組成物中のメチル化イソフラボン類の含有量は、組成物全質量中、好ましくは0.000001質量%以上、より好ましくは0.00001質量%以上、さらにより好ましくは0.0001質量%以上であり、且つ好ましくは1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下である。また、好ましくは0.000001~1質量%、より好ましくは0.00001~0.1質量%、さらにより好ましくは0.0001~0.01質量%、且つ好ましくは0.0001~0.001質量%である。
<17><3>の組成物において、根粒菌の菌数は、組成物1gあたり、好ましくは104cfu以上、より好ましくは105cfu以上、さらに好ましくは106cfu以上であり、好ましくは1011cfu以下、より好ましくは1010cfu以下、さらに好ましくは109cfu以下、且つ好ましくは5×108cfu以下であるか、好ましくは又は104~1011cfu、より好ましくは105~1010cfu、さらに好ましくは106~109cfu、且つ好ましくは2×106~5×108cfuである。
<18><3>の組成物において、根粒菌及びメチル化イソフラボン類の含有量は、組成物1gあたり、好ましくは根粒菌数が104~1011cfu且つメチル化イソフラボン類が0.01~10,000μg、より好ましくは根粒菌が105~1010cfu且つメチル化イソフラボン類が好ましくは0.1~1,000μg、より好ましくは根粒菌が106~109cfu且つメチル化イソフラボン類が1~100μg、より好ましくは根粒菌が2×106~5×108cfu且つメチル化イソフラボン類が好ましくは1~10μgである。
<19><3>の組成物において、根粒菌とメチル化イソフラボン類の含有量比(メチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数(cfu)は、好ましくは105~5×109、より好ましくは106~5×109、さらに好ましくは2×106~5×109、よりさらに好ましくは2×106~5×108である。
<20><4>~<10>のいずれかの方法において、メチル化イソフラボン類の使用量は、ヒヨコマメを栽培するための栽培基材中の濃度として、好ましくは0.000001~1質量ppm、より好ましくは0.00001~0.1質量ppm、0.0001~0.01質量ppm又は0.0001~0.001質量ppmである。
<21><7>又は<8>の方法において、施用する根粒菌の菌数は、ヒヨコマメの種子1粒あたり好ましくは104cfu以上、より好ましくは105cfu以上、さらに好ましくは106cfu以上、且つ好ましくは107cfu以上であり、且つ、好ましくは1011cfu以下、より好ましくは1010cfu以下、さらに好ましくは109以下、且つ好ましくは5×108cfu以下である。また、好ましくは104~1011cfu、より好ましくは105~1010cfu、さらに好ましくは106~109cfu、且つ好ましくは2×106~5×108cfuである。
<22><7>又は<8>の方法において、施用するメチル化イソフラボン類の量は、ヒヨコマメの種子1粒あたり好ましくは0.001μg以上、より好ましくは0.01μg以上、さらに好ましくは0.1μg以上であり、且つ、好ましくは1,000μg以下、より好ましくは100μg以下、さらに好ましくは10μg以下、且つ好ましくは5μg以下であるか、又は好ましくは0.001~1,000μg、より好ましくは0.01~100μg、さらに好ましくは0.1~10μg、且つ好ましくは0.1~5μgである。
<23><7>又は<8>の方法において、施用する根粒菌及びメチル化イソフラボン類のヒヨコマメの種子1粒あたりの施用量は、好ましくは根粒菌が104~1011cfu且つメチル化イソフラボン類が0.001~1,000μg、より好ましくは根粒菌が105~1010cfu且つメチル化イソフラボン類が0.01~100μg、さらに好ましくは根粒菌が106~109cfu且つメチル化イソフラボン類が0.1~10μg、且つ好ましくは根粒菌が2×106~5×108cfu且つメチル化イソフラボン類が0.1~5μgである。
<24><7>又は<8>の方法において、施用する根粒菌とメチル化イソフラボン類の比(メチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数cfu)は、好ましくは105~5×109、より好ましくは106~5×109、さらに好ましくは2×106~5×109、且つ好ましくは2×106~5×108である。
初期肥効型培土(タキイセル培土TM-1、タキイ種苗(株))とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸(株))を体積比1:1で混合し、当該土壌約1.1Lをポット(ロングプラ120、日本ポリ鉢販売(株))に充填した。ヒヨコマメ(カブリ種)の種子を2粒ずつ、当該ポットに、土壌表面から約1~2cmの深さで播種した。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源(オーゲツ株式会社;型番:VGL-1200W)、光量400~440μmol/m2/sとした。播種から7日後に、1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水をバットに加えることで行った。25日間栽培を行った後、ポットから植物体を取り出し、水で根を洗浄してから根粒を採取した。採取した根粒について、植物個体あたりの根粒新鮮重及び根粒数の測定を行った。また、植物体を100℃で3日間乾燥させたのち、植物体の地上部乾燥重及び地下部乾燥重を測定した。
各図中のCont.、Nar1、For1、Bio1、Pra1はそれぞれコントロール区ならびにナリンゲニン、ホルモノネチン、ビオカニンA及びプラテンセインの1ppm溶液の施用区を表す。
また、地上部重は、コントロール区に対して、ホルモノネチン区で19%、ビオカニンA区で5%、プラテンセイン区で23%の増加傾向を示した(図3)。地下部重は、コントロール区に対して、ホルモノネチン区で34%、ビオカニンA区で5%、プラテンセイン区で11%の増加傾向を示したが、ナリンゲニン区では増加傾向は認められなかった(図4)。
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土、タキイ種苗(株))とバーミキュライト(あかぎ園芸(株))を体積比1:1で混合し、当該土壌をポット(直径30cm、高さ30cm)に充填した。当該ポットの中央付近に約1~2cmの深さで設けた4ヶ所の播種穴に、ヒヨコマメ(カブリ種)の種子を1粒ずつ、計4粒播種した。実施例1と同様に、濁度(OD600)の値を滅菌水で0.02(7.0×106CFU/ml)に調整したヒヨコマメ根粒菌(Mesorhizobium ciceri)NBRC100389T株の菌液を種子に滴下接種した。
各図のグラフは平均値±標準偏差を表す。各図中の略号は実施例1におけるものと同様である。子実重は、コントロール区に対して、プラテンセイン0.1ppm区で5%、同1ppm区で25%の増加傾向を示した(図5)。子実数は、コントロール区に対して、プラテンセイン0.1ppm区で92%、同1ppm区で55%の有意な増加を示した(図6)。なお、有意差検定はWilliams法を用いて行い、有意差(P<0.025)が認められた場合はアスタリスク(*)を付して表した。
実施例2で収穫したヒヨコマメの子実に含まれるタンパク質含量を測定し、タンパク収量に換算した結果を表1に示す。プラテンセイン1ppm区でタンパク収量が増加傾向を示した。なお、タンパク収量(g/株)は子実重(g/株)×{子実タンパク質含量(g/100g)/100}で求めた。ヒヨコマメの子実に含まれるタンパク質含量の測定は食品分析センターにて行った。測定には燃焼法を用い、定量される全窒素に対して窒素・タンパク質換算係数として6.25を乗じることによりタンパク質含量を算出した。
実際のヒヨコマメ栽培土壌には様々な微生物が存在しており、そのような条件下においても根粒菌の接種やメチル化イソフラボンの効果が発揮されることが望まれる。本実施例では圃場土から微生物を抽出した下記に説明する土壌菌液を培土に混和した条件、すなわち実際の栽培土壌に近い条件下で、根粒菌接種とメチル化イソフラボンの併用が根粒形成に与える影響を評価した。評価した試験区1~6は以下のとおりである。
試験区1.土壌菌液なし
試験区2.土壌菌液あり
試験区3.土壌菌液あり+根粒菌接種
試験区4.土壌菌液あり+根粒菌接種+プラテンセイン施用
試験区5.土壌菌液あり+根粒菌接種(前日にプラテンセインを培地に添加)
試験区6.土壌菌液あり+プラテンセイン施用
中期肥効型培土(タキイ含水セル培土中期肥効型、タキイ種苗(株))とバーミキュライト細粒(あかぎ園芸(株))を体積比1:1で混合し、当該土壌をポリポット(直径10.5cm、高さ9cm)に充填した。栃木県内の圃場土500gに500mLの滅菌したmilliQ水を添加し、攪拌後、円形定量ろ紙 No.5A(ADVANTEC)でろ過したろ液を土壌菌液とし、この菌液を上記1ポットあたり45mL給水させた(試験区2~6)。土壌菌液なしの試験区1は滅菌水のみを同量給水させた。なお、土壌の水分量を調整するために別途水道水を1ポットあたり200mL給水させた。なお、各試験区の反復数は4~6とした(n=4~6)。ヒヨコマメ(カブリ種)の種子を各ポットに2粒ずつ、土壌表面から約1~2cmの深さで播種した。
Yeast-Mannitol(YM)培地(K2HPO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.2g、NaCl 0.1g、Yeast Extract 0.4g、Mannitol 10g、蒸留水1L(pH6.8))に1.5%の寒天(和光純薬工業(株))を加えて固形培地を調製し、当該固形培地上でヒヨコマメ根粒菌(Mesorhizobium ciceri)NBRC100389T株を30℃にて約72時間静置培養した。生育した根粒菌を一白金耳とり、容積500mLの坂口フラスコ中のYM液体培地50mLに植菌し、30℃にて約72時間振盪培養した。播種前日に濁度(OD600)の値を滅菌水で0.1(3.5×107CFU/mL)に調整した根粒菌培養液1mLを、播種時に、マイクロピペッターを用いて種子に滴下接種した(試験区3および4)。また、播種前日にプラテンセインが1.5ppm(終濃度0.1(v/v)%ジメチルスルホキシド含有)となるように培養液1mLあたり1.5μgのプラテンセインを添加し、24時間培養したものも上記と同様に濁度を調整して、播種時に1mL接種した(試験区5)。
1.5μgのプラテンセインを次の様に施用した。すなわち、プラテンセインが1.5ppm(終濃度0.1(v/v)%ジメチルスルホキシド含有)となるように溶解したプラテンセイン(Chromadex社)の溶液を、マイクロピペッターを用いて1mLずつ種子の上に滴下した(試験区4および6)。
栽培は屋内で行い、栽培条件は、明期16時間、25℃、LED光源、光量400~440μmol/m2/sとした。播種から7日後に、1ポットあたり1植物となるように間引きを行った。水やりは、ポットの下に置いたバットの水がなくなった後に、新たにポットの下部5cm程度が浸かる量の水道水をバットに加えることで行った。21日間栽培を行った後、ポットから植物体を取り出し、水で根を洗浄してから根粒を採取した。採取した根粒について、植物個体あたりの根粒新鮮重及び根粒数の測定を行った。また、植物体を100℃で3日間乾燥させたのち、植物体の地上部乾燥重及び地下部乾燥重を測定した。
測定結果を図7~8に示す。図中のグラフは平均値±標準偏差を表す。なお、有意差検定はTukey-Kramer法を用いて行い、各群間で異なる文字(a、ab、b)は有意差(P<0.05)が認められたことを示す。
試験区1、2およびプラテンセイン単独施用区である試験区6ではほとんど根粒が着生しなかった。試験区3では根粒菌接種により着生数が増加したが、効果は限定的であった。播種時にプラテンセインを根粒菌と同時に施用する試験区4、ならびにプラテンセインを根粒菌の培養液に事前に添加し24時間培養したものを接種する試験区5では、根粒数がそれぞれ試験区3に対して2.3倍および2.5倍であった(図7)。根粒重も同様に、試験区3に対して試験区4および5ではそれぞれ2.3倍および2.2倍であった(図8)。
以上のことから、プラテンセインを根粒菌と同時に施用した場合、および根粒菌培養液へプラテンセインを事前添加した場合のいずれにおいても、根粒菌単独接種またはプラテンセイン単独施用に対して根粒着生効果が相乗的に高まることが明らかとなった。
Claims (12)
- 根粒菌とメチル化イソフラボン類の含有量比であるメチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数cfuが105~5×109である、請求項3記載の組成物。
- 根粒菌及びメチル化イソフラボン類の含有量が、組成物1gあたり、根粒菌数が104~1011cfu、メチル化イソフラボンが0.01~10,000μgである、請求項3又は4記載の組成物。
- 前記メチル化イソフラボン類及びヒヨコマメを宿主とする根粒菌を含有する組成物を土壌又は植物に施用する、請求項9記載の方法。
- 根粒菌とメチル化イソフラボン類の施用量比であるメチル化イソフラボン類1μgに対する根粒菌数cfuが105~5×109である、請求項9又は10記載の方法。
- 土壌がヒヨコマメの栽培が可能な土壌から調製した土壌菌液を添加した土壌である、請求項6~11のいずれか1項記載の方法。
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