JP3026067B2 - 植物成長促進菌及びそれを用いた植物栽培方法 - Google Patents

植物成長促進菌及びそれを用いた植物栽培方法

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JP3026067B2
JP3026067B2 JP08083094A JP8309496A JP3026067B2 JP 3026067 B2 JP3026067 B2 JP 3026067B2 JP 08083094 A JP08083094 A JP 08083094A JP 8309496 A JP8309496 A JP 8309496A JP 3026067 B2 JP3026067 B2 JP 3026067B2
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温条件下でも使
用可能なVA菌根菌及びそれを用いた植物栽培方法に関
する。このVA菌根菌は、農業、林業、園芸などの広い
分野に利用可能である。
【0002】
【従来の技術】VA菌根菌(VAM菌と同義)は植物の
根に共生すると、植物の成長を促進する働きをすること
が知られている。しかし、これまで報告されたVA菌根
菌は約15℃以下になると共生活性が著しく低くなる。
N.C.シェンク(N.C.Schenck)は、ジャイガスポラ・コ
ラロイディア(Gigaspora coralloidea)、ジャイガス
ポラ・ヘテロガマ(Gigaspora heterogama)及びグロマ
ス・モッセ(Glomus mosseae)の3種類の菌について胞
子発芽率と温度との相関を調べ、菌種により最適温度が
異なるものの、3種とも温度が15℃になると発芽率が
急激に低下することを報告している(Mycologia 67,1189
-1192頁,1975)。
【0003】N.C.シェンク(N.C.Schenck)らは、ジャ
イガスポラ・グレガリア(Gigasporagregaria)、ジャ
イガスポラ・ペルシダ(Gigaspora pellucida)、グロ
マス・モッセ(Glomus mosseae)、グロマス・クララム
Glomus clarum)、グロマス・クラロイディウム(Glo
mus claroideum)及びアカウロスポラ・ラエビス(Acau
rospora laevis)の6種類の菌について共生率(共生活
性)と地温との相関を調べ、菌種により最適温度が異な
るが、6種とも18℃になると共生率(共生活性)が急激
に落ちることを報告している(New Phytologist 92,193-
201頁,1982)。
【0004】P.S.ラジュ(P.S.RAJU)らは、グロマス・
イントララディセス(Glomus intra radices)及びグロ
マス・マクロカルパム(Glomus macrocarpum)が温度2
0℃でも共生活性が低下することを報告している(Plant
and Soil 121,165-170頁,1990)。
【0005】更に、J.S.ボーン(J.B.Baon)らは、グロ
マス・イントララディセス(Glomusintraradices)が、
15℃で共生活性が低下し、10℃では全く共生活性を
示さないことを報告している(Journal of Plant Nutrit
on 17,479-492頁,1994)。
【0006】このように、これまでに報告されてきたV
A菌根菌は低温になると休眠状態に入るため共生活性が
低下し、温度15℃以下の低温条件下ではVA菌根菌を
植物の根に共生させて活用することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低温条件下でも共生活性を有するVA菌根菌と、そ
れを使用した植物栽培方法、換言すれば、低温下でも植
物の成長を促進する上で有用なVA菌根菌と、それを用
いた植物の栽培方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため多年にわたり鋭意研究し、植物の根に共生
し植物成長促進作用を有するグロマス・アグリゲイタム
種に属するVA菌根菌OG−105、前記VA菌根菌O
G−105を植物の根に共生させることを特徴とする植
物栽培方法の発明をするに至った。 前記OG−105株
は、下記の特徴(1)〜(6)のうちいずれかの特徴を
備えている。 (1) 人工気象器の明期時間/暗期時間の割合が1/
2で、明期気温が13℃、暗期気温が10℃において、
植物の根に対して共生活性を有する (2) 植物の根に対する共生率が少なくとも2%であ
り、かつ上記(1)の特徴を有する。 (3) 人工気象器の明期時間/暗期時間の割合が1/
2で、明期気温が12℃、暗期気温が10℃において、
植物の根に対し共生活性を有する (4) 植物の根に対する共生率が少なくとも1%(特
に、少なくとも2%)であり、かつ上記(3)の特徴を
有する。 (5) 人工気象器の明期時間/暗期時間の割合が1/
2で、明期気温が25℃、暗期気温が20℃で、土壌1
リットル中の有効態リン酸が100mgにおいて、植物
の根に共生率15%以上(特に、30%以上)で共生活
性を有し、かつ上記(1)〜(4)のいずれかの特徴を
有する。) 人工気象器の明期時間/暗期時間の割合が1/
2で、明期気温が25℃、暗期気温が20℃で、土壌1
リットル中の有効態リン酸が200mgにおいて、植物
の根に共生率10%以上で共生活性を有し、かつ上記
(1)〜(4)のいずれかの特徴を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、VA菌根菌OG−105
詳細に説明する。本発明者はVA菌根菌が低温条件
下で共生活性を保持することが難しいという問題点を解
決するため、北海道から九州に至る多数の地域の土壌か
ら、植物に共生しているVA菌根菌を多数採取し、それ
らから顕微鏡で見ながらVA菌根菌の胞子を取出し、別
途用意した植物(レタス)の根に共生させて培養すると
共に、植物の成長を観察することによって植物の成長促
進効果があるか否かで1次スクリーニングをし、数十の
VA菌根菌を選別取得した。
【0010】1次スクリーニングで植物の成長促進効果
があった数十のVA菌根菌について、土壌表面から深さ
2cmの土壌の温度を連続して約15℃に保った土壌で
レタス、ゼラニウム及びスダングラスを栽培し、共生活
性を比較することにより、15℃でも共生活性を保持し
ているVA菌根菌を選抜した(2次スクリーニング)。
【0011】そして、2次スクリーニングで選抜したV
A菌根菌から、更に選抜を進め上記(1)〜(6)のグ
ロマス・アグリゲイタム(Glomus aggregatum)種に属す
るVA菌根菌を約5年かかって特定し、OG−105株
と命名した。OG−105株がグロマス・アグリゲイタ
ム(Glomus aggregatum)種に属することは、文献「マイ
コロギア」(Mycologia 77(4),619-630頁,1985,R.E.KOS
KE,THE NEW YORK BOTANICAL GARDEN)に従って胞子壁構
造、胞子の形態、胞子の色及び大きさ等から同定した。
選抜したVA菌根菌OG−105株は、通常の増殖方法
(最低地温20℃以上)により大量培養を行ったが、増殖
した胞子についても上記低温条件下で共生活性が保持さ
れていることを確認した。
【0012】このようなVA菌根菌OG−105株は自
然界に存在するものの、その入手が容易でないため、受
託機関である生命工学工業技術研究所に寄託すべきであ
る。しかし、OG−105株は植物に共生しないと増殖
できないいわゆる絶対共生菌であり、宿主植物と共生し
た状態でなければ培養できない。このような保存の技術
的問題から、OG−105株の受託は同研究所により拒
否された。なお、出願人は同研究所と同じ条件で当該微
生物を分譲する用意がある。
【0013】VA菌根菌OG−105株の特徴は次の通
りである。
【0014】(1)成熟した胞子の形態 胞子大きさは、長径が20〜160μm(形状が球状も
しくは亜球状の場合には、ほぼ40〜120μm)で、
胞子の形状は球状、亜球状又は不定形で、胞子の色は透
明〜淡黄色〜薄い褐色である。また、少なくとも半分以
上の胞子は共生する植物の根の中に形成され、胞子壁に
は1枚又は2枚の層状壁があるという特徴を有する。胞
子の形態を、図面代用顕微鏡写真として図1、図2、図
3及び図4に示す。
【0015】(2)生理学的性質 [低温条件下での植物の根に対する共生活性] 本発明のVA菌根菌(OG−105株)は、従来のVA
菌根菌が共生できない15℃以下(例えば、10〜15
℃)の低温条件下でも植物の根に対して高い共生活性を
示す。例えば、本発明のVA菌根菌は明期時間/暗期時
間の割合が1/2で、明期気温が12℃又は13℃、暗
期気温が10℃という過酷な条件下でも植物の根に対し
て共生活性を有する。なお、温度「15℃」と「12℃
又は13℃」の差は、わずか3℃又は2℃であるが、実
栽培においては植物にとって3℃又は2℃の違いは極め
て大きい。しかも、従来のVA菌根菌の使用限界である
温度「15℃」と、本願明細書でいう温度「12℃又は
13℃」ではその意味が異なり、植物の栽培環境におい
て、後者は厳しい条件である。
【0016】人工気象器の明期時間/暗期時間の割合が
1/2(すなわち、1日当たりの明期時間が8時間,暗
期時間が16時間)、及び暗期気温が10℃の条件にお
いて、発明のVA菌根菌の共生活性は次の通りである。
なお、共生率は、グリッドライン法(New Phytologist,
84, 489-500頁, 1980)に準じて測定できる。 明期気温が13℃であっても、植物の根に対して共生
活性を有し、植物の根に対する共生率は少なくとも2%
(例えば、2〜10%)程度である。 明期気温が12℃であっても、植物の根に対して共生
活性を示し、植物の根に対する共生率は、少なくとも1
%(例えば、1〜6%)程度、好ましくは少なくとも2
%(例えば、2〜6%)程度である。
【0017】さらに、本発明のVA菌根菌は、暗期気温
が5〜12℃、特に従来のVA菌根菌が共生できない7
〜10℃においても、高い共生活性(例えば、共生率5
〜15%程度の共生活性)を示す。なお、15℃を越え
る温度(例えば、20〜35℃程度)では共生活性が向
上する。本発明のVA菌根菌は、15℃を越える温度で
も従来のVA菌根菌に比べて高い共生活性を示す。 [有効態リン酸濃度と根に対する共生活性との関係]人
工気象器の明期時間/暗期時間の割合が1/2、明期気
温が25℃、暗期気温が20℃の条件において、有効態
リン酸濃度と根に対する共生活性との関係は次の通りで
ある。 土壌1リットル中の有効態リン酸が100mgでは、
植物の根に対する共生率は15%以上(例えば、15〜
50%程度)、好ましくは30%以上(例えば、30〜
50%程度)である。 土壌1リットル中の有効態リン酸が200mgでは、
植物の根に対する共生率は10%以上(例えば、10〜
20%程度)ある。 土壌1リットル中の有効態リン酸が300mg(従来
のVA菌根菌が共生できない有効態リン酸濃度)であっ
ても、植物の根に対する共生率は5%以上(例えば、5
〜15%程度)ある。
【0018】[土壌中の有効態リン酸濃度] VA菌根菌は一般に土壌中の有効態リン酸濃度が高まる
につれて共生活性が低くなることが知られている。この
ためVA菌根菌は有効態リン酸濃度が高い培土中では共
生しにくく植物育成効果が期待できない。しかし、本
明のVA菌根菌(OG−105株)は、土壌1リットル
中の有効態リン酸が50〜300mg程度、特に100
mg以上(100〜300mg、特に150〜300m
g程度)である場合にも共生しやすく植物育成効果があ
る。なお、本明細書で「有効態リン酸濃度」とは、土壌
養分分析法(土壌養分測定法委員会編、養賢堂、1970
)に記載されているオルセン(Olsen)法で測定したリ
ン酸濃度である。
【0019】[土壌pHへの順応性] VA菌根菌は、同菌種であってもアルカリ性土壌から分
離した菌はアルカリ性土壌に適応し、酸性土壌では共性
活性が低い。逆に、酸性土壌から分離した菌は酸性土壌
に適応し、アルカリ性土壌では共性活性が低い。日本の
土壌は酸性の傾向があるため、日本で採取したVA菌根
菌は酸性土壌に順応しやすい。しかし、日本にはアルカ
リ性の土壌もあるし、アルカリ性の培土も市販されてい
る。このため、アルカリ性の土壌でも共性活性があるV
A菌根菌が望まれている。発明のVA菌根菌(OG−
105株)は、他の菌種と比べてpHへの順応性が高
く、土壌pHが2〜10(例えば、2〜9)である場合
にも高い発芽率で発芽できる(発芽は共生活性の前提で
ある)。特に、従来のVA菌根菌では発芽率が大きく低
下するpH8〜10(例えば、8〜9)程度の領域で
も、本発明のVA菌根菌の発芽率は大きい。本発明のV
A菌根菌は、例えば、pH4〜9の領域において、約8
0%以上という高いレベルの発芽率を維持できる。
【0020】[植物栽培方法]このように本発明のVA
菌根菌は、従来のVA菌根菌に比べて、広い温度範囲
(特に15℃以下の低温域)、広い有効態リン酸濃度
(特に高い有効態リン酸濃度)及び広いpH領域(特に
pH8以上の領域)において、植物の根に対して高い共
生活性を示す。そのため、本発明のVA菌根菌は、早
春、秋季や冬季における植物の栽培や成育、リン成分濃
度の高い土壌での植物の栽培や成育、酸性土壌やアルカ
リ性土壌での植物の栽培や成育に有用である。
【0021】本発明の方法では、VA菌根菌を植物の根
に共生させて植物を栽培する。植物の栽培は、VA菌根
菌を含む土壌を用いて行なうことができる。土壌中のV
A菌根菌の濃度は、植物の成育などを促進できる範囲、
例えば、植物を栽培する土壌1リットル中に約1000
〜15000個(例えば、約3000〜約15000
個)、好ましくは約3000〜約12000個(例え
ば、約3000〜約9000個)含まれるようにして使
用することが好ましい。このような土壌を調製する場
合、取扱を容易にするとともにVA菌根菌を植物栽培土
壌により均一に混入するため、土壌1gに300個程度
のVA菌根菌を含むVA菌根菌含有土壌を一旦調製し、
それを植物栽培土壌に施すのが好ましい。
【0022】土壌として培養土を用いる場合、培養土と
しては、植物の栽培に用いられる種々の用土、例えば、
赤玉土、鹿沼土、川砂、山砂などの天然土壌;バーミキ
ュライト、パーライトなどの加工品;腐葉土、ピートモ
ス、バーク、クリプトモスなどの植物由来の培養土;市
販の混合培養土などが挙げられる。土壌は肥料を含んで
いてもよい。肥料としては、例えば、窒素肥料、リン酸
肥料、カリ肥料、有機質肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥
料、苦土肥料、マンガン質肥料、ホウ素質肥料、および
複合肥料(配合肥料、化成肥料、固形肥料、吸着肥料、
液体肥料など)などが挙げられる。肥料の混入量は、肥
料の形態や種類、施用回数、環境条件などに応じて選択
できる。
【0023】本発明のVA菌根菌は、広範囲の種々の植
物、例えば、ナス科(ナス、トマト、ピーマン等)、ウ
リ科(キュウリ、メロン、カボチャ等)、マメ科(大
豆、エンドウ等)、ユリ科(ネギ、ニンニク、タマネ
ギ、ユリ等)、セリ科(ニンジン、セロリ、ミツバ
等)、バラ科(バラ、イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラン
ボ等)、キク科(キク、ガーベラ、レタス等)、サクラ
ソウ科(シクラメン、プリムラ等)、ミカン科(ミカ
ン、キンカン等)、ブドウ、茶、タバコ、芝、綿、オク
ラ、ゼラニウム、パンジーなどに適応できる。これらの
例示植物について、本発明のVA菌根菌(OG−105
株)が共生可能でありかつ植物成長促進効果があること
、実験的に確認されている。なお、ラン科(シンビジ
ューム、デンドロビューム等)、アブラナ科(キャベ
ツ、大根等)、アカザ科(ホウレンソウ等)、ツツジ科
(ツツジ、サツキ等)などには共生しにくい場合があ
る。
【0024】植物の栽培は、慣用の方法、例えば、植物
の種子の播種、苗などの移植などの方法により行なうこ
とができ、天然の環境下に限らず人工的な環境下で植物
を栽培又は成育してもよい。
【0025】
【実施例】以下に、実施例により本願発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定又は拘束される
ものではない。以下の実施例で使用するVA菌根菌グロ
マス・アグリゲイタム(Glomus aggregatum)に属するO
G105株は上記スクリーニングにより得られた菌株で
ある。
【0026】実施例1 つくば市から採取した土壌から選抜したVA菌根菌(
lomus aggregatum)OG105株を、
通常の増殖方法(最低地温20℃以上)で増殖した後、
VA菌根菌含有土壌(1g中にOG−105株を約30
0個含有)を調製した。以下の方法で共生活性を調べ
た。1リットルの培土メトロミックス350(レース
社の商品名、以下同じ)に対して上記VA菌根菌含有土
壌を30gを混入(培土1リットル中にOG105株を
約9000個含む割合)して完全混和し、菌混和培土を
得た。この菌混和培土を128穴プラグプレートに充填
し、レタス種子を播種し、通常の潅水条件で人工気象器
(温度、日照時間、照度が可変設定できる植物栽培用の
機器)内で4週間で栽培した後、根の共生率と地上部の
新鮮重を測定した。結果を表1に示す。なお、上記「共
生率」は、グリッドライン法(New Phytolo
gist ,84, 489−500頁,1980)に
準じて測定した、植物の根の全長に対する共生した根の
長さの割合(%)を意味し、「新鮮重」は地表面で植物
を切った場合の地表面より上の植物の重量を意味する
(以下同じ)。上記人工気象器の設定条件は、明期は8
時間(12000ルクス)で気温は10℃、12℃、1
5℃、20℃、25℃、30℃の5段階とし、暗期は1
6時間で気温は10℃とした。人工気象器内の気温と、
土壌表面から2cm土壌中に入った点の温度の関係を調
べたところ、両者はほとんど同じであった。
【0027】比較例1 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例1と同じ条件で実験をした。結
果を表1に示す。
【0028】比較例2 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例1と同じ条
件で実験をした。結果を表1に示す。
【0029】比較例3 VA菌根菌を用いない以外は、実施例1と同じ条件で実
験をした。結果を表1に示す。なお、培土中にVA菌根
菌が含まれていなかったことを確認するため、共生率を
測定した。
【0030】
【表1】 表1から明らかなように、比較例と比べて実施例1は、
温度30℃、25℃でも共生率および新鮮重が大きく効
果的であるが、温度が20℃、15℃、12℃と低温に
なるにつれて、その差はさらに顕著になる。本発明のV
A菌根菌は、低温でもその効果があり、植物栽培に有用
であることが実証された。
【0031】実施例2 人工気象器の設定条件を、明期は25℃(12000ル
クス)で、暗期10℃とし、明期−暗期の設定時間をそ
れぞれ4hrs−20hrs、6hrs−18hrs、8hrs−16h
rs、10hrs−14hrs、12hrs−12hrs、14hrs−
10hrs、16hrs−8hrsとした以外は、実施例1と同
じ条件で実験をした。結果を表2に示す。
【0032】比較例4 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例22と同じ条件で実験をした。
結果を表2に示す。
【0033】比較例5 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例2と同じ条
件で実験をした。結果を表2に示す。
【0034】比較例6 VA菌根菌を用いない以外は、実施例2と同じ条件で実
験をした。結果を表2に示す。なお、培土中にVA菌根
菌が含まれていなかったことを確認するため共生率を測
定した。
【0035】
【表2】 表2から明らかなように、比較例に比べて実施例2で
は、暗期の割合が大きくても共生率が大きく、効果が顕
著である。このことは暗期の温度が10℃と低いためで
ある。
【0036】実施例3 人工気象器の設定条件を、明期は8時間で20℃(12
000ルクス)、暗期はそれぞれ16時間で設定温度を
7℃、10℃、12℃、15℃及び25℃の5段階にす
る以外は、実施例1と同じ条件で実験した。結果を表3
に示す。
【0037】比較例7 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例3と同じ条件で実験をした。結
果を表3に示す。
【0038】比較例8 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例3と同じ条
件で実験をした。結果を表3に示す。
【0039】比較例9 VA菌根菌を用いない以外は、実施例3と同じ条件で実
験をした。結果を表3に示す。なお、培土中にVA菌根
菌が含まれていなかったことを確認するため共生率を測
定した。
【0040】
【表3】 表3から明らかなように、比較例に比べて実施例3で
は、暗期の温度が15℃以下、特に12℃以下でも共生
率が大きく、植物栽培に効果的である。
【0041】実施例4 OG−105株が高有効態リン酸濃度の土壌中でも共生
活性が高いことを確認するため、以下の実験を行なっ
た。予め過リン酸石灰で表4に示す有効態リン酸濃度
(Olsen法;土壌養分測定法委員会編、養賢堂、1970)
に調整した培土メトロミックス350(グレース社の商
品名)を使用した以外は、実施例1と同じ条件で実験し
た。人工気象器の設定条件は、明期は8時間(1200
0ルクス)で気温設定は25℃で、暗期は16時間で気
温設定20℃とした。結果を表4に示す。
【0042】比較例10 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例4と同じ条件で実験をした。結
果を表4に示す。
【0043】比較例11 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例4と同じ条
件で実験をした。結果を表4に示す。
【0044】比較例12 VA菌根菌を用いない以外は、実施例4と同じ条件で実
験をした。結果を表4に示す。なお、培土中にVA菌根
菌が含まれていなかったことを確認するため共生率を測
定した。
【0045】
【表4】 比較例と実施例4とを比較すると、実施例4では、有効
態リン酸濃度が、培土1リットル当たり50〜300m
gにおいて大きな効果があり、特に100〜300m
g,150〜300mg,200〜300mgにおい
て、その差が顕著になる。
【0046】実施例5 OG−105株が高pH土壌中でも発芽活性が高いこと
を確認するため、以下の実験を行なった。なお、発芽活
性が高いことは共生活性が高いことの前提となる。つく
ばから採取した土壌から選抜したVA菌根菌(Glomus ag
gregatum)OG105株を、通常の方法(最低気温20
℃以上)で増殖したのち胞子を回収した。回収した胞子
を、表5に示すpHに調整した1%寒天培地上に置床し
た後、25℃暗所で10日間培養し、実体顕微鏡下で観
察することにより発芽率をカウントした。結果を表5に
示す。
【0047】比較例13 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例5と同じ条件で実験をした。結
果を表5に示す。
【0048】比較例14 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例5と同じ条
件で実験をした。結果を表5に示す。
【0049】
【表5】 表5から明らかなように、比較例と比べると実施例5で
は、広いpH領域で高い発芽率を示し、pHが8以上で
も発芽活性が顕著に高い。
【0050】実施例6 実施例1に記載した方法で作成した供試サンプルを30
g/Lの培土メトロミックスと完全に混和して700m
lの園芸用ポットに充填し、ゼラニウム種子を播種し
た。通常の灌水条件で人工気象器内で10週間培養した
後、根の共生率、葉数、草丈、株径を測定した。人工気
象器の設定条件は、明期12時間(12000ルク
ス)、気温設定25℃で、暗期は12時間で気温設定1
0℃とした。結果を表6に示す。
【0051】比較例15 VA菌根菌としてグロマス・クララム(Glomus clarum)
を用いた以外は、実施例6と同じ条件で実験をした。結
果を表6に示す。
【0052】比較例16 VA菌根菌としてジャイガスポーラ・マルガリータ(Gig
aspora margarita)を用いた以外は、実施例6と同じ条
件で実験をした。結果を表6に示す。
【0053】比較例17 VA菌根菌を用いない以外は、実施例6と同じ条件で実
験をした。結果を表6に示す。なお、培土中にVA菌根
菌が含まれていなかったことを確認するため共生率を測
定した。
【0054】
【表6】 表から明らかなように、比較例に比べて実施例6では、
共生率だけでなく、葉数、草丈、株径が大きく、植物の
成育促進効果が大きい。
【0055】
【発明の効果】本発明のVA菌根菌は低温条件下でも共
生活性を有する。そのため、低温下でも植物の成長を促
進する上で有用である。すなわち、一般にVA菌根菌は
15℃以上の温度で植物と共生できるが、15℃以下の
温度では共生しにくいため、これまで報告のあったVA
菌根菌は秋季及び冬季の作物に使用すると、低温のため
共生活性が低下し(休眠状態になり)、成長促進効果を発
現させることは困難であった。これに対して、本発明の
VA菌根菌は明期時間/暗期時間の割合が1/2で、明
期気温が12℃又は13℃、暗期気温が10℃という過
酷な条件下でも植物の根に対して共生活性を有する。こ
のため、本発明のVA菌根菌を使用する方法では、従来
使用できなかった低温でも条件下でもVA菌根菌を共生
させ、植物の成長を促進し、収量増加、開花促進などの
効果が得られる。さらに、本発明のVA菌根菌は有効態
リン酸濃度が高い土壌でも使用できるとともに、土壌の
pHへの順応性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は菌根をミキサーで潰した後の胞子の状態
を示した生物の形態を表す図面代用写真である。
【図2】図2は潰した胞子の状態を示した生物の形態を
表す図面代用写真である。
【図3】図3は潰した胞子の状態を示した生物の形態を
表す図面代用写真である。
【図4】図4は潰した胞子の状態を示した生物の形態を
表す図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 63/00 C12N 1/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の根に共生し植物成長促進作用を有
    するグロマス・アグリゲイタム種に属するVA菌根菌O
    G−105。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のVA菌根菌を植物の根に
    共生させることを特徴とする植物栽培方法。
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CN107027620B (zh) * 2016-10-27 2020-08-25 江西省农业科学院农产品质量安全与标准研究所 一种同时富含硒和γ-氨基丁酸的植物的选育方法

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