JP6918895B2 - メッキ除去方法、溶接方法、溶接物、構造物 - Google Patents

メッキ除去方法、溶接方法、溶接物、構造物 Download PDF

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Description

この発明は、メッキ除去方法、溶接方法、溶接物、構造物に関するものである。
例えば、表面にメッキを施した鋼材を溶接することが行われている。なお、表面にメッキを施した鋼材を溶接するための前処理としてメッキを除去することなども知られている(例えば、特許文献1〜特許文献8参照)。
特開昭62−179869号公報 特開平6−262362号公報 特開平7−236984号公報 特開2005−40806号公報 特開平2−310399号公報 特開平4−99123号公報 特開2003−112217号公報 特開平9−141238号公報
しかしながら、先ず、表面にメッキを施した鋼材をそのまま溶接した場合、溶接部に、メッキ材の混入によるブローホールなどの内部欠陥やピットなどの表面欠陥が発生し易かった。そのため、これらの溶接不良箇所に対する補修の手間が掛かっていた。また、補修のために鋼材の溶接部を切削したり再溶接したりする必要が生じ、鋼材に寸法精度の低下が発生してしまう。
また、溶接電極に溶融したメッキが付着すると、溶接電極と鋼材との接触面積が大きくなって溶接強度が低下するという問題や、上記接触面積の増大による溶接強度の低下に対応するために溶接電流を上げる必要が生じるという問題が生じていた。
更に、溶接電極にメッキが貼り付くことで溶接電極が損傷し易いという問題や、溶接電極の損傷を防止するためにメッキの貼り付きに強い高価な溶接電極を用いる必要が生じるという問題なども発生していた。
そこで、上記した特許文献1では、溶接部に突起部を用いて隙間を設けることによってメッキの巻き込みを防ぐようにしている。しかし、このようにした場合、溶接部に隙間を設けるための突起部が必要となり、溶接対象に対する設計上の制約が生じる。また、隙間の大きさの変化によってメッキの巻き込み防止効果に差が生じてしまい、溶接対象の寸法精度や溶接中の溶接対象の変形の仕方にも影響を生じる。更に、上記した隙間を設けるために、重ね合わせ溶接しか行うことができない。加えて、隙間を設けると、溶接部が冷える時に隙間が縮まろうとし、隙間が縮まることによって隙間の他の部分が意に反して開いてしまう(即ち、隙間を一定に保てない)などの不具合も発生する。
また、特許文献2のものは、溶接中にシールドガスに多量に酸素を混入させてメッキを多量の酸素で燃焼させるようにしている。しかし、このようにした場合、酸素を多量に混入させた特殊なシールドガスが必要になってコストが掛かると共に、シールドガスに多量に混入された酸素が溶接対象の内部に溶け込んで溶接対象の機械的特性を変化させるおそれが生じる。
特許文献3および特許文献4のものは、レーザ熱源を用いてメッキを除去させるようにしている。しかし、レーザ装置は高価であるため、レーザ装置を用いると、コストの低下を図るという目的を達成することができなくなる。また、レーザビームは加熱範囲が狭いため、ウィービングなどを行わなければならず、均質で安定した思い通りのメッキ除去部を得るのは容易ではないので、製品の品質向上に結び付き難い。
そして、特許文献5では、チタンまたはチタン合金に対し電解処理などを行って酸化スケールを除去するようにしている。特許文献6では、所要濃度の水素ラジカルを含んだ高温のガスで酸化物層を還元するようにしている。特許文献7では、金属材の表面に対して、多角形状粒子のみ、または多角形状粒子と略球形状粒子とを適正混合比率で混合した金属粒子を噴き付けることによって、金属材表面の酸化被膜を除去するようにしている。特許文献8では、Znを含むメッキ層が形成された鋼材の切断片を、硬質材料と共に、断面の直径が20cm以上のロータリーキルンに装入した後、0.1rpm以上の回転速度でロータリーキルンを回転させることでメッキ層を除去するようにしている。しかし、特許文献5〜特許文献8のものは、いずれも特別な設備が必要となるため、現場で前処理を行うことが難しく、しかも、部分的な処理を行うことが困難である。
更に、特表2014−531324号公報では、重ね合わせた複数のワークピースの継手へ向けて継手内に浸透されるようにレーザビームを照射しているが、このような場合には、継手内のワークピースが溶けて何らかの孔隙率が存在するレーザ溶接ビードが形成されてしまうため、ワークピースの鋼材部分を溶かさずに重ね合わせた部分のメッキ層だけをうまく除去することができなかった。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、
メッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部に対し、加熱によってメッキ部を部分的に除去または酸化させてメッキ除去部を形成すると共に、
該メッキ除去部は、アークエネルギーによる加熱を行う加熱手段によって形成され、
該加熱手段は、先端部を尖らせていない溶接電極を有するTIG溶接トーチであり、
該TIG溶接トーチは、温度センサの検出温度に基づき温度制御しながら、TIGアーク溶接に必要な溶接電流よりも低い印加電力で、前記メッキ除去部を形成するメッキ除去方法を特徴とする。
本発明によれば、上記構成によって、表面にメッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部に対して、容易且つ確実にメッキ除去部を得ることができる。
実施例にかかるユニット建物の斜視図である。 図1のユニット建物に使われている建物ユニットの斜視図である。 図2の建物ユニットの、上側の接合部の部分拡大図である。 図2の建物ユニットの、下側の接合部の部分拡大図である。 表面にメッキ部を有する鋼材の接合部を部分拡大した縦断面図である。 アークエネルギーを用いたメッキ除去方法を示す図5と同様の縦断面図である。 高周波誘導加熱を用いたメッキ除去方法を示す図5と同様の縦断面図である。 メッキ除去部が形成された鋼材を示す図5と同様の縦断面図である。 TIGアーク溶接を行う場合のタングステン電極の側面図である。 メッキ除去方法を行う場合のタングステン電極の側面図である。 メッキ除去部が形成された鋼材に対してスポット溶接を示す側面図である。 メッキ除去部が形成された鋼材に対して溶接(例えば、TIGアーク溶接や炭酸ガスアーク溶接など)を行った場合を示す図5と同様の側面図である。 メッキ除去部を形成していない鋼材に対して溶接(例えば、TIGアーク溶接や炭酸ガスアーク溶接など)を行った場合に生じる溶接欠陥を示す図5と同様の側面図である。 メッキ除去部を形成していない鋼材に対して溶接を行っている状態を示す図11と同様の側面図である。 メッキ除去部を形成していない鋼材に対して溶接を行った直後の状態を示す図11と同様の側面図である。 メッキ除去部を形成せずに溶接を行った場合の溶接電極の先端の状態を示す斜視図である。 メッキ除去部を形成してから溶接を行った場合の溶接電極の先端の状態を示す斜視図である。 溶接の強度と打点数との関係を示すグラフである。
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図17は、この実施の形態を説明するためのものである。
<構成>以下、構成について説明する。
図1は、ユニット建物1を示している。このユニット建物1は、予め工場で製造した建物ユニット2を建築現場へ複数搬送して、建築現場で複数の建物ユニット2を横方向に並べたり縦方向に積み重ねたりすることによって、短期間のうちに建物を構築できるようにしたものである。なお、図では、建物ユニット2によって構成された建物本体の上部に対し、太陽電池パネル4を備えた屋根パネルを取付けて成る屋根が設置されている。
上記した建物ユニット2は、例えば、図2に示すように、4本の鋼製のユニット柱5の上端部間を4本の鋼製の天井梁6で矩形状に連結すると共に、4本の鋼製のユニット柱5の下端部間を4本の鋼製の床梁7で矩形状に連結して成るボックスラーメン構造のユニットフレーム8を有するものとされる。
そして、図3に示すように、上記したユニット柱5と天井梁6とは、鋼製のジョイントピース11を用いて接合されている。ユニット柱5と天井梁6とは、溶接によって一体化されている(溶接部12(例えば、アーク溶接部12a、スポット溶接部12bなど))。また、ユニット柱5の上端部には、上側に設置される別の建物ユニット2を位置決めするための位置決め孔などを有する鋼製のプレート13が溶接によって取付けられている(溶接部12(例えば、アーク溶接部12aなど))。なお、溶接部12は、加熱による界面の軟化・溶融によって互いの組織が混ざり合い連続化され一体化された組織構造を有する接合部または固定部のことである。
同様に、図4に示すように、ユニット柱5と床梁7とは、鋼製のジョイントピース14で接合されている。ユニット柱5と床梁7とは、溶接によって一体化されている(溶接部12(例えば、アーク溶接部12a、スポット溶接部12bなど))。また、ユニット柱5の下端部には、建物の基礎や下側に設置される別の建物ユニット2を位置決めするための位置決め孔などを有する鋼製のプレート(図示せず)が溶接によって取付けられている。
そして、上記したユニット柱5や、天井梁6や、床梁7や、ジョイントピース11,14や、プレート13などには、それぞれ、図5に示すような、表面にメッキ部18が施された鋼材19などが使われている。
そして、以上のような基本的または全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。
(1)この実施例のメッキ除去方法は、図6〜図8に示すように、メッキ部18を有する鋼材19の表面に対し、加熱(図6または図7参照)によってメッキ部18を部分的に除去または酸化させてメッキ除去部21(図8参照)を形成する。
ここで、鋼材19の材質およびメッキ部18の材質はどのようなものであっても良いが、好ましくは、鋼材19はメッキ部18よりも融点が高いものとする。例えば、鋼材19を鉄系のものとした場合、鋼材19の融点はほぼ1500°程度となる。また、メッキ部18を亜鉛メッキとした場合、メッキ部18の融点はほぼ420°程度、メッキ部18の沸点はほぼ900°程度となる。よって、鋼材19を溶かさず、メッキ部18を蒸発または酸化させて除去するためには、330°〜1500°の範囲内の温度で加熱することが必要となる。
なお、メッキ除去部21は、図6に示すように、溶接しようとする複数の鋼材19を予め溶接する形に組み合わせてから形成するようにしても良いし、または、図7に示すように、溶接しようとする鋼材19に対し、メッキ除去部21を個別に形成してから、図8に示すように、溶接しようとする複数の鋼材19を溶接する形に組み合わせるようにしても良い。
(2)上記鋼材19が、立体的な形状のもの(立体物)とされても良い。
ここで、立体的な形状は、単純な棒材や面材よりも複雑な形状のものであれば何でも良い。立体的な形状の鋼材19は、少なくとも1つ有していれば良い。例えば、図3や図4の場合、一方の鋼材19(ユニット柱5やジョイントピース11,14など)が、例えば、角筒状やC断面などのような立体的な形状となっている。
(3)図6、図7に示すように、上記メッキ除去部21は、アークエネルギーによる加熱、または、高周波誘導加熱のいずれかを行う加熱手段31,32によって形成されるようにするのが好ましい。
ここで、アークエネルギーによる加熱を行う加熱手段31は、例えば、図6に示すような、TIG溶接トーチ40とすることができる。そして、このTIG溶接トーチ40を、溶接ワイヤを供給せずに、(TIGアーク溶接を行う時の溶接電流よりも)印加電流を落とした状態でアーク41を発生させるようにして使用するようにする。
TIG溶接トーチ40は、タングステン電極などの溶接電極42と、この溶接電極42を溶接部12へ向けて送る筒状のコレットボディ43(電極ガイド)と、このコレットボディ43の外周を取り囲むように設けられると共に、溶接部12へ向けてアルゴンガスなどのシールドガス44を噴射するノズル45と、を有するものとされる。そして、溶接電源46からの溶接電流を、コレットボディ43と鋼材19との間に印加させるようにする。TIG溶接トーチ40は、手持ちで操作しても良いし、予め移動経路がティーチングされた溶接ロボットを用いて操作させるようにしても良い。
なお、TIGアーク溶接を行う場合、タングステン電極などの溶接電極42は、図9に示すように、先端部(左端部)を研いで尖らせた状態にして使用するのに対し、メッキ除去部21を形成するための加熱の場合には、特にタングステン電極の先端部を研いで尖らせる必要はなく、図10に示すように、研がないままの状態で使うことができる。但し、アークエネルギーによる加熱を行う加熱手段31は、TIG溶接トーチ40に限るものではない。
また、高周波誘導加熱による加熱を行う加熱手段32は、例えば、図7に示すような高周波誘導加熱装置47とする。そして、この高周波誘導加熱装置47は、誘導コイル48に対して高周波電源装置49を接続したものなどとされる。誘導コイル48は、鋼材19の形状や、鋼材19に形成しようとするメッキ除去部21の大きさや形状などに応じた最適なものを予め用意しておくようにする。
なお、図6の場合に高周波誘導加熱による加熱を行う加熱手段32を用いたり、また、図7の場合にアークエネルギーによる加熱を行う加熱手段31を用いたりしても良いのは勿論である。また、上記したTIG溶接トーチ40や高周波誘導加熱装置47は、温度センサで温度を検出して制御を行うのは勿論である。
(4)そして、図11、図12Aに示すように、メッキ部18を有する鋼材19をアーク溶接またはスポット溶接で溶接する溶接方法を行う。
この際、上記したメッキの除去方法によってメッキ部18を有する鋼材19の表面に、(前処理として)予め部分的なメッキ除去部21を形成し(メッキ除去工程)、その後、図11に示すように、鋼材19のメッキ除去部21を溶接する(溶接工程)。なお、図11はスポット溶接の例である。
ここで、必要な場合には、図7に示すようにメッキ除去工程で個別にメッキ除去部21を形成した鋼材19を、図8に示すように組み合わせる工程(鋼材組合工程)を溶接工程の前に入れても良い。
溶接の前処理としてのメッキ除去部21は、溶接部12の周囲に対して、溶接部12よりも一回り程度大きくなるように形成する。アーク溶接は、例えば、図6に示したTIG溶接トーチ40をそのまま用いて行うことができる(TIGアーク溶接、図12A参照)。または、炭酸ガスアーク溶接やその他の種類のアーク溶接などを行うこともできる。
また、スポット溶接は、例えば、図11に示すような、重ね合わせた二枚の鋼材19を挟む一対の溶接電極42を備えたスポット溶接機51を用いるようにする。
(5)上記溶接方法によって、(メッキ部18を有する鋼材19の表面に部分的に設けられた)メッキ除去部21に溶接部12(溶接による組織構造)を備えた溶接物61を形成する(図2参照)。
この場合、溶接物61は、上記した建物ユニット2のユニットフレーム8などとすることができる。但し、溶接物61は、ユニットフレーム8に限るものではない。
なお、この溶接物61は、別の言い方をすると、表面にメッキ部18を有する複数の鋼材19に対して部分的に設けられているメッキ除去部21どうしの間に、加熱による界面の軟化・溶融によって互いの組織が混ざり合い連続化された組織構造を有する接合部または固定部である溶接部12が設けられていることで、複数の鋼材19が一体化されているものとなる。
または、この溶接物61は、表面にメッキ部18を有する複数の鋼材19と、各鋼材19に対して部分的に設けられているメッキ除去部21と、メッキ除去部21どうしの間に設けられている、加熱による界面の軟化・溶融によって互いの組織が混ざり合い連続化された組織構造を有する接合部または固定部である溶接部12とを備えて、複数の鋼材19が一体化されているものとなる。
(6)上記溶接物61によって構造物71を構築する(図1参照)。
この場合、構造物71は、上記したユニット建物1などとすることができる。但し、構造物71は、ユニット建物1に限るものではない。
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(作用効果1)メッキ部18を有する鋼材19の表面を加熱することによってメッキ除去部21を形成した。これにより、鋼材19の表面における不要なメッキ部18(のメッキ)を部分的に除去することができる。そして、加熱によるメッキ部18の部分的な除去は、現場でも簡単に行うことができるため、現場作業中に必要となった時に、その場で、必要な部分に必要なメッキ除去部21を自由に設けることが可能となる。メッキ部18は、加熱によって蒸発または酸化されることで除去される。メッキ部18の除去の確認は、例えば、放射温度計で鋼材19の表面温度を計測したり、熱画像計測装置で鋼材19の加熱範囲の温度を計測したりすることによって行うことができる。
なお、上記したメッキの除去方法を行うことにより、鋼材19のメッキ除去部21には、酸化皮膜が形成されるが、メッキ部18を除去する程度の温度で加熱されてできた酸化皮膜(酸化鉄や酸化亜鉛など)は、その後の作業(例えば、溶接など)に対して特に影響しないようなものであることが分析によって確認された。
(作用効果2)鋼材19を、立体的な形状のものとした。そして、立体的な形状をした鋼材19の表面のメッキ部18に対して加熱によって部分的なメッキ除去部21を形成するようにした。これにより、立体的な形状をした鋼材19の表面に形成されたメッキ部18に対してもメッキ除去部21を形成できるようになる。よって、メッキの除去方法を適用できる範囲を広げることができる。
(作用効果3)メッキ除去部21を、アークエネルギーによる加熱、または、高周波誘導加熱のいずれかを行う加熱手段31,32によって形成した。アークエネルギーによる加熱、および、高周波誘導加熱は、いずれも発熱量が高く、且つ、加熱条件(熱量や場所など)を電気的に任意に設定することができるため、共に、瞬時に必要な場所のみを必要温度に加熱することが可能となる。よって、鋼材19を溶かすこともなく、鋼材19に与える熱歪を小さく抑えつつメッキ除去部21を容易且つ短時間に形成することができるので、アークエネルギーによる加熱、または、高周波誘導加熱は、他の加熱方法を用いた場合と比べて特に有利であり、また、最も理想的である。
しかも、アークエネルギーによる加熱や、高周波誘導加熱は、一度に加熱できる範囲(加熱範囲)が広く、また、温度制御がやり易いため、必要な部分全体を安定して必要な温度に加熱することができる。よって、短時間のうちに均質でムラのないメッキ除去部21を容易且つ確実に得ることができる。しかも、上記したような立体的な形状の鋼材19を処理するのにも適している。
例えば、メッキ除去部21を得るために、レーザによる加熱を行うことも考えられるが、レーザ装置は高価であるため、コスト低下を図ることができない。また、レーザビームは加熱範囲が狭い(ビーム径が小さい)ため、広く加熱するためにウィービングなどを行わなければならず、思い通りのメッキ除去部21を得るのは容易ではないので、製品の品質向上に結び付き難い。
これに対し、上記したアークエネルギーによる加熱や、高周波誘導加熱は、レーザ装置と比べると装置(TIG溶接トーチ40や高周波誘導加熱装置47)が格段に安価であり、また、加熱範囲が比較的広いのでウィービングなどを行う必要もない。よってコスト低下や品質向上や処理の効率化などを確実に得ることができる。また、溶接部12の形状を特に変える必要もなく、鋼材19や溶接部12がどのような形状をしていても加熱姿勢を変えながらの処理ができるので柔軟に対応することが可能であり、また、例えば、酸素を高濃度に含んだもののような特別で高価なシールドガスなども必要としない。
(作用効果4)鋼材19に前処理として形成したメッキ除去部21の部分を、アーク溶接またはスポット溶接で溶接するようにした。これにより、メッキ除去部21を形成しないで溶接を行った場合(図12B参照)のように、溶接部12に、メッキ部18(のメッキ)の混入によるブローホール81などの内部欠陥やピット82などの表面欠陥が発生するのを防止することができ、これらの溶接不良箇所に対する補修の手間を無くすことができる。
また、図13に示すように、溶接電極42に対して溶融したメッキ部18(のメッキ)が付着すると、溶接電極42と鋼材19との接触面積が大きくなって(図11のS1<図13のS2)溶接強度が低下するという問題や、上記接触面積の増大による溶接強度の低下に対応するために溶接電流を上げる必要が生じるという問題や、溶接電極42にメッキ部18(のメッキ)が貼り付くことで図14,図15に示すように、溶接電極42が損傷し易くなるという問題(損傷部83)や、溶接電極42の損傷を防止するため、メッキの貼り付きに強い高価な溶接電極42を用いる必要が生じるという問題などが発生する。
しかし、鋼材19に予めメッキ除去部21を設けて、メッキ除去部21の部分を溶接するようにすれば、上記した各問題が一気に全て解消されるため、溶接強度の向上や、溶接電流の抑制や、溶接電極42の寿命延長や、安価な溶接電極42の使用などを同時に得ることができる(図16参照)。よって、高品質な溶接部12を、少ない消費エネルギーや少ないコストで歩留まり良く確実に得ることができる。
そして、実際に、メッキ除去部21を設けた後に溶接を行った結果、アーク溶接の場合には、ブローホール81やピット82などが発生されなくなることが確認された、そのため、補修の頻度も減らすことが可能となった。よって、溶接の作業工数が大幅に減った。更に、補修のために鋼材19の溶接部12を切削したり再溶接したりする必要がなくなるので、鋼材19の寸法精度の低下が防止された。しかも、TIG溶接トーチ40を用いることにより、メッキ除去部21の形成とアーク溶接とを連続して行うことが可能となった。
また、図11に示すようなスポット溶接の場合には、メッキ部18(のメッキ)の付着による溶接電極42の損傷が軽微となった(図16参照)。また、図17に示すように、繰り返し溶接による溶接強度の低下が小さくなった(図中、線Xはメッキ除去部21を形成した場合、線Yはメッキ除去部21を形成していない場合)。よって、溶接強度の低下を解消するために溶接電流を上げる必要がなくなり、溶接電極42の発熱が抑えられるようになったので、溶接電極42の寿命が更に延び、溶接電極42に掛かるコストも抑えられた。しかも、溶接電極42を交換するために、工場のラインを停止する回数も少なくなったので、生産効率が大幅に向上した。
(作用効果5)メッキ部18を有する鋼材19に予め部分的なメッキ除去部21を設けて、メッキ除去部21を溶接することで、メッキ除去部21に溶接部12を有する溶接物61を形成した。これにより、欠陥のない溶接部12を有する品質の高い溶接物61を安定して得ることができる。または、溶接物61の品質を上げることができる。
(作用効果6)上記溶接物61を用いて構造物71を構築した。これにより、品質の高い溶接物61から成る品質の高い構造物71を得ることができる。または、構造物71の品質を上げることができる。
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
18 メッキ部
19 鋼材
21 メッキ除去部
31 加熱手段
32 加熱手段
40 溶接トーチ
47 高周波誘導加熱装置
51 スポット溶接機
61 溶接物
71 構造物

Claims (6)

  1. メッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部に対し、加熱によってメッキ部を部分的に除去または酸化させてメッキ除去部を形成すると共に、
    該メッキ除去部は、アークエネルギーによる加熱を行う加熱手段によって形成され、
    該加熱手段は、先端部を尖らせていない溶接電極を有するTIG溶接トーチであり、
    該TIG溶接トーチは、温度センサの検出温度に基づき温度制御しながら、TIGアーク溶接に必要な溶接電流よりも低い印加電力で、前記メッキ除去部を形成することを特徴とするメッキ除去方法。
  2. メッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部に対し、加熱によってメッキ部を部分的に除去または酸化させてメッキ除去部を形成すると共に、
    前記メッキ除去部は、高周波誘導加熱行う加熱手段によって形成され
    該加熱手段は、高周波誘導加熱装置であり、
    該高周波誘導加熱装置は、温度センサの検出温度に基づき温度制御しながら前記メッキ除去部を形成することを特徴とするメッキ除去方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のメッキ除去方法であって、
    前記鋼材が、立体的な形状のものであり、
    前記加熱手段は、前記鋼材の立体的な形状に合わせて加熱姿勢を変えながら前記メッキ除去部を形成することを特徴とするメッキ除去方法。
  4. メッキ部を有する鋼材をアーク溶接またはスポット溶接で溶接する溶接方法であって、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のメッキ除去方法によってメッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部における溶接部を形成する部分に予め溶接部よりも一回り程度大きくなるように部分的なメッキ除去部を形成し、その後、鋼材のメッキ除去部を溶接することを特徴とする溶接方法。
  5. 請求項4の溶接方法によって形成され、メッキ部を有する鋼材の、鋼材を複数重ね合わせた面のメッキ部は、溶接部よりも一回り程度大きくなるように部分的に設けられているメッキ除去部に溶接部を備えていることを特徴とする溶接物。
  6. 請求項5に記載の溶接物によって構築されたことを特徴とする構造物。
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