以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具の枠体に収められる障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建具1を室外側から見た様子を示す図である。図1に示す建具1は、建物開口部に固定される枠体10と、枠体10に複数のヒンジ15を介して開閉可能に取り付けられる外開きの障子20と、を備える防火仕様の勝手口ドアである。
まず、枠体10の構成について説明する。枠体10は、上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14が矩形に枠組みされて構成される。上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の枠(上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が枠の押し出し方向に沿って連続している。
図2は、本実施形態の建具1の縦断面図である。上枠11の内部は、複数の空間に区画されている。上枠11内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部11a,11b,11cとすると、見込方向中央に位置する中空部11bに金属製の上枠芯材110が配置される。また、上枠11の室内側下部には、下方に延びる延出部11eが形成され、延出部11eの室外側の見付面にはクッション材11gを嵌合固定する嵌合部11fが設けられる。
本実施形態の上枠芯材110は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部11bに配置される。上枠芯材110の下面と中空部11bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90aが配置される。加熱発泡材90aは、火災等によって所定の温度に達すると発泡して隙間を塞ぐものである。
下枠12の内部も、上枠11と同様に複数の空間に区画されている。下枠12内部で見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部12a,12b,12cとすると、見込方向中央に位置する中空部12bに金属製の下枠芯材120が配置される。本実施形態の下枠芯材120は、角筒状の長尺部材である。また、下枠12の室内側上部には、上方に延びる延出部12eが形成され、該延出部12eにもクッション材12gを嵌合固定する嵌合部12fが形成される。
図3は、本実施形態の建具1の横断面図である。吊元側縦枠13も、その内部が複数の空間に区画されている。吊元側縦枠13内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部13a,13b,13cとすると、見込方向中央に位置する中空部13bに金属製の縦枠芯材130が配置される。吊元側縦枠13の室内側には見付方向戸先側に延びる延出部13eが形成され、該延出部13eにクッション材13gを嵌合固定する嵌合部13fが設けられる。
本実施形態の縦枠芯材130は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部13bに配置される。縦枠芯材130の戸先側の面と中空部13bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90bが配置される。
また、枠体10の吊元側縦枠13と障子20の吊元側縦框33の間には、上下方向に間隔をあけて複数のヒンジ15が配置される(図1参照)。中空部13aには、ヒンジ15を固定するネジ13iを締結する裏板部材13hが配置される。本実施形態では、ヒンジ15を締結するネジ13iは、裏板部材13hを貫通して中空部13bの縦枠芯材130まで達しており、ヒンジ15は縦枠芯材130にも締結固定される。
戸先側縦枠14の内部も、複数の空間に区画されている。複数の空間のうち、見込方向で並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部14a,14b,14cとすると、見込方向中央に位置する中空部14bに金属製の縦枠芯材140が配置される。本実施形態の縦枠芯材140は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部14bに配置される。縦枠芯材140の吊元側の面と中空部14bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90cが配置される。戸先側縦枠14の室内側にも見付方向吊元側に延びる延出部14eが形成され、該延出部14eにクッション材14gを嵌合固定する嵌合部14fが設けられる。
また、戸先側縦枠14の吊元側を向く見込面には、後述する障子20のロックピン52が嵌合するロックピン受け金具16が固定される。ロックピン受け金具16は、上下方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態のロックピン受け金具16は、締結部材としてのネジを介して縦枠芯材140に締結固定される。
枠体10の左上及び右上には、枠側コーナー金具46がそれぞれ配置される。枠側コーナー金具46は、L字状の金属部材であり、枠体10の外側に配置される。枠側コーナー金具46は締結部材としてのネジによって枠体10の内側の芯材に締結固定される。本実施形態では、枠体10の戸先側上部では上枠芯材110と縦枠芯材140が枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側上部では上枠芯材110と縦枠芯材130が連結される。
次に、障子20の構成について説明する。障子20は、ガラス25と、ガラス25を囲うように構成される框体30と、を含むように構成される戸体である。
ガラス25は、室外側に配置される室外側ガラス25aと、室外側ガラス25aに対して隙間をあけて室内側に配置される室内側ガラス25bと、を備える複層ガラスである。室外側ガラス25aと室内側ガラス25bの間にはスペーサ26等が配置される。本実施形態では、室外側ガラス25aは網入ガラスで構成され、室内側ガラスはLow-E(Low Emissivity)ガラスで構成される。
框体30は、上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34が矩形に枠組みされて構成される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の框(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が框の押し出し方向に沿って連続している。
上框31の内部は、複数の空間に区画されている。上框31内部の複数の空間のうち、見込方向に並ぶ空間を室外側から室内側の順に中空部31a,31b,31cとすると、見込方向中央に位置する中空部31bに金属製の上框芯材310が配置される。
本実施形態の上框芯材310は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部31bに配置される。上框芯材310の下面と中空部31bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90dが配置される。また、上框芯材310のU字の内側における室内側を向く面にも帯状の加熱発泡材90eが配置される。
上框31の室外側上部には、上枠11の一部に見込方向で対面する延出部31fが形成される。この延出部31fの上枠11に対面する側には、クッション材31gを嵌合固定する嵌合部31hが設けられる。延出部31fの内側に形成される中空部31iには金属(例えば、スチール)製の室外側芯材312が配置される。
本実施形態の室外側芯材312は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室外側を向くように中空部31iに配置される。また、室外側芯材312の室内側の面と中空部31iの内壁の間には帯状の加熱発泡材90fが配置される。
また、上框31の外側面には、上框31の長手方向に沿って延びる嵌合溝31jが形成される。嵌合溝31jには、金属(例えば、アルミニウム材)製の台座部315が嵌合固定される。上框31の嵌合溝31jの室内側に位置する中空部31kには室内側芯材313が配置される。上框31の室外側下部には押し縁部材36を嵌合する嵌合部31mが設けられ、上框31の室内側下部にはガラス止め部材37を嵌合する嵌合部31nが設けられる。
下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の基本的構成は上框31と同様である。以下の説明において上框31と同様の構成については共通の規則性(アルファベット)で符号を付してその説明を省略する場合がある。
下框32は、見込方向に並ぶ複数の中空部32a,32b,32cのうち、見込方向中央に位置する中空部32bに下框芯材320が配置される。下框芯材320は金属によって筒状に成形される。下框32の室外側下部には延出部32fが形成され、該延出部32fの室内側にはクッション材32gを嵌合固定する嵌合部32hが設けられる。延出部32fの上方には樹脂製の押し縁部材36用の嵌合部32mが設けられる。下框32の室内側上部にはガラス止め部材37用の嵌合部32nが設けられる。
下框32の下面に形成される嵌合溝32jには、樹脂製の下がり止め部材38が配置される。樹脂製の下がり止め部材38は、通常使用時の障子20の下がりを防止するためのものであり、その下部が室内側から室外側に向かうにつれて下側に近づくように傾斜した形状で成形される。また、火災発生時の障子20の下がりを防止するため、下框32には樹脂製の下がり止め部材38とは別部材として金属製の下がり止め部材39が設けられる。
吊元側縦框33は、見込方向に並ぶ複数の中空部33a,33b,33cのうち、見込方向中央に位置する中空部33bに縦框芯材330が配置される。本実施形態の縦框芯材330は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が室内側を向くように中空部33bに配置される。縦框芯材330の吊元側縦枠13側の面と中空部33bの内壁の間には帯状の加熱発泡材90gが配置される。また、縦框芯材330のU字の内側における室内側を向く面にも帯状の加熱発泡材90hが配置される。
吊元側縦框33には吊元側縦枠13側に延出する延出部33fが形成される。延出部33fの室内側にはクッション材33gを嵌合固定する嵌合部33hが設けられる。また、延出部33fの内側には中空部33iが形成される。吊元側縦框33の吊元側の面に形成される嵌合溝33jには、台座部315が嵌合固定される。また、吊元側縦框33における台座部315の室内側に位置する中空部33kには金属(例えば、スチール)製の室内側芯材313が配置される。吊元側縦框33の室外側の戸先側には押し縁部材36用の嵌合部33mが設けられ、室内側の戸先側にはガラス止め部材37用の嵌合部33nが設けられる。
戸先側縦框34は、見込方向に並ぶ複数の中空部34a,34b,34cのうち、見込方向中央に位置する中空部34bに縦框芯材340が配置される。本実施形態の縦框芯材340は、断面形状が略U字状の長尺部材であり、U字の開口側が戸先側縦枠14の見込面を向くように中空部34bに配置される。縦框芯材340のU字の内側における戸先側縦枠14側を向く面には帯状の加熱発泡材90iが配置される。
戸先側縦框34には戸先側縦枠14側に延出する延出部34fが形成される。延出部34fの室内側にはクッション材34gを嵌合固定する嵌合部34hが設けられる。延出部34fの内側に形成される中空部34iには室外側芯材312が配置される。また、室外側芯材312の室内側の面と中空部34iの内壁の間には帯状の加熱発泡材90jが配置される。戸先側縦框34の室外側の吊元側には押し縁部材36用の嵌合部34mが設けられ、室外側の吊元側にはガラス止め部材37用の嵌合部34nが設けられる。
戸先側縦框34の戸先側面に形成される嵌合溝34jにはスライドプレート51が嵌合される。スライドプレート51は、室外側ハンドル55及び室内側ハンドル56の操作に連動して戸先側縦框34の長手方向(上下方向)に移動可能に構成される。スライドプレート51の戸先側の見込面にはロックピン52が形成されており、ロックピン52が戸先側縦枠14に固定されるロックピン受け金具16に係合することで、障子20が閉鎖位置で固定される。
框体30の内側(ガラス25側)の見込面にはガラス外れ止め部材40及び加熱発泡材91が配置される。ガラス外れ止め部材40は、框体30を構成する上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の見込面のそれぞれに複数配置され、室外側へのガラス25の外れを防止する金属製部材である。
本実施形態のガラス外れ止め部材40は、締結部材としてのネジによって框体30の内側の芯材(上框芯材310、下框芯材320、縦框芯材330及び縦框芯材340)に締結固定される。加熱発泡材91は、帯状の部材であり、ガラス25の4周を囲うように上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34のそれぞれに配置される。
また、框体30の内側のコーナー(内隅)には框側コーナー金具65がそれぞれ配置される。框側コーナー金具65は、締結部材としてのネジによって框体30の内側の芯材(上框芯材310、下框芯材320、縦框芯材330及び縦框芯材340)に締結固定される。より具体的には、框体30の戸先側上部では、上框芯材310と縦框芯材340が框側コーナー金具65によって連結され、吊元側上部では、上框芯材310と縦框芯材330が框側コーナー金具65によって連結される。框体30の戸先側下部では、下框芯材320と縦框芯材340が框側コーナー金具65によって連結され、吊元側下部では、下框芯材320と縦框芯材330が框側コーナー金具65によって連結される。
また、枠体10に開閉可能に吊り込まれる障子20は、上枠11と上框31を接続するアーム部材61によって所定以上開かないように開閉範囲が規制される。
次に、障子20の外側の構成について説明する。図4は、本実施形態の障子20が開いた状態の建具1を示す斜視図である。図4に示すように、障子20の戸先側に配置されるスライドプレート51には、ロックピン52の他、シリンダ錠60のデッドボルト603を突出させるための開口部604や戸先側縦框34の反りを防止するための反り防止金具95等が配置される。これに対して戸先側縦枠14にはスライドプレート51に対応する構成として、上から順に、上側のロックピン52が係合するロックピン受け金具16、上側のデッドボルト603が挿入されるシリンダ錠固定金具17、反り防止金具95が係合する反り防止受け金具96、下側のデッドボルト603が挿入されるシリンダ錠固定金具17、下側のロックピン52が係合するロックピン受け金具16が配置される。
図5は、本実施形態の障子20の上部を示す斜視図である。図6は、本実施形態の上框31の内部の構成を示す拡大縦断面図である。図5及び図6に示すように、障子20の上部には芯材連結金具70が左右方向に2箇所配置される。
芯材連結金具70は、水平方向に沿う第1面70aと上下方向に沿う第2面70bを有する断面L字状の金属(例えば、スチール)製のプレート部材である。芯材連結金具70は、台座部315の両端のそれぞれに計2個配置されている。本実施形態の台座部315は、その長手方向が上框31の嵌合溝31jの長手方向の全長より短い長さで構成されている。従って、台座部315の両端に配置される芯材連結金具70は、上框31の嵌合溝31jの両側よりもやや中央側に位置する。そして、芯材連結金具70は、その第1面70aが上框31の嵌合溝31jを跨って台座部315の上面に対面するとともに、第2面70bが延出部31fの室内側の面に対面した状態で上框31に固定される。
芯材連結金具70の第1面70aは、締結部材としてのネジ701,702によって見込方向で間隔をあけて2箇所締結される。第1面70aの室内側に締結されるネジ701は、上框31の外側から中空部31kに配置される室内側芯材313に締結される。ネジ701よりも室外側で締結されるネジ702は、台座部315を貫通した状態で中空部31bに配置される上框芯材310に締結される。
芯材連結金具70の第2面70bは、締結部材としてのネジ703によって上框31の外側から中空部31iの室外側芯材312に締結される。本実施形態では、芯材連結金具70の第2面70bを上框31に固定するためのネジ703の締結方向は見込方向(水平方向)になっており、第1面70aを上框31に固定するためのネジ701,702の締結方向は上下方向となっている。
また、図5に示すように、上框31と戸先側縦框34によって構成される戸先側上部のコーナーと、上框31と吊元側縦框33によって構成される吊元側上部のコーナーと、のそれぞれの外隅には加熱発泡材92が配置される。
戸先側上部に配置される加熱発泡材92は、上框31の嵌合溝31jから戸先側縦框34の嵌合溝34jに跨るように配置されている。加熱発泡材92における上框31の嵌合溝31jに納まる部分92aは、固定部材としてのネジ920によって上框31に機械的に固定され、戸先側縦框34の嵌合溝34jに納まる部分92bは、ネジ921によって戸先側縦框34に機械的に固定される。
吊元側上部に配置される加熱発泡材92は、上框31の嵌合溝31jから吊元側縦框33の嵌合溝33jに跨るように配置されている。加熱発泡材92における上框31の嵌合溝31jに納まる部分92aが固定部材としてのネジ920によって機械的に固定され、吊元側縦框33の嵌合溝33jに納まる部分も同様にネジによって機械的に固定される。
また、戸先側上部に配置される加熱発泡材92の室外側には室外側補強プレート47が配置され、室内側には室内側補強プレート48が配置される。
室外側補強プレート47は、板状部材をL字状に切り取った金属部材であり、見付面に沿うように配置される。室外側補強プレート47は、延出部31f,34fの室内側で上框31と戸先側縦框34の接合面に跨っている。室外側補強プレート47の上框31に沿う部分が上框31の中空部31iの室外側芯材312にネジ471によって締結固定されるとともに、室外側補強プレート47の戸先側縦框34に沿う部分が戸先側縦框34の中空部34iの室外側芯材312に別のネジ471によって締結固定される。
室内側補強プレート48は、コーナーに沿うように折り曲げられた断面L字状の金属部材であり、上框31と戸先側縦框34の接合面を延出部31f,34fの見込面側で跨るように配置される。室内側補強プレート48の上框31に沿う部分が上框31にネジ481によって締結固定されるとともに、戸先側縦框34の見込面に沿う部分が戸先側縦框34に別のネジ481によって締結固定される。
次に、障子20の戸先側の構成について説明する。図7は、本実施形態の戸先側縦框34の内部の構成を示す斜視図である。図7では、戸先側縦框34が鎖線によって示されている。図8は、本実施形態の戸先側縦框34の内部に配置される縦框芯材340及び裏板86〜89の形状を示す分解斜視図である。図9は、本実施形態の戸先側縦框34の内部の構成を示す横断面図である。なお、縦框芯材340の各部において、見込方向室外側に位置する面を室外側面340a、見込方向室内側に位置する面を室内側面340b、室外側面340aと室内側面340bを吊元側で接続する面を接続面340c、として以下説明する。
図7に示すように、戸先側縦框34の戸先面には、室外側ハンドル55及び室内側ハンドル56の操作に連動してスライドプレート51を上下させるハンドル機構57の一部やシリンダ錠60の一部等、ドアの機能部品が埋設される。戸先側縦框34の戸先面には、各機能部品の取付位置に中空部34bに連通する取付孔(図示省略)が形成されており、これらの取付孔に機能部品が挿入される。本実施形態のスライド部材としてのスライドプレート51は、戸先側縦框34の戸先側縦枠14との対向面に設けられており、その見込面が戸先側縦枠14の見込面に対向する。
ハンドル機構57は、室外側ハンドル55及び室内側ハンドル56に連動する機構が内蔵される本体ケース571と、本体ケース571の戸先側の上側に配置される取付片572aと、下側に取り付けられる取付片572bと、を含んで構成される。本体ケース571は、戸先側縦框34に埋設された状態で、縦框芯材340の室外側面340a、室内側面340b及び接続面340cに囲まれるU字の内側に相当する部分に位置する。取付片572a,572bは、何れも、本体ケース571から縦框芯材340の見込面に沿って上下方向に延びるように形成されており、戸先側縦框34に埋設された状態で戸先側縦框34の戸先面に対向する面を有する。
シリンダ錠60は、デッドボルト603等の鍵操作に連動する機構が内蔵される本体ケース601と、本体ケース601の戸先側の上側に配置される取付片602aと、下側に取り付けられる取付片602bと、を含んで構成される。本体ケース601は、戸先側縦框34に埋設された状態で、縦框芯材340の室外側面340a、室内側面340b及び接続面340cに囲まれるU字の内側に相当する部分に位置する。取付片602a,602bは、何れも、本体ケース601から上下方向に延びるように形成されており、戸先側縦框34に埋設された状態で戸先側縦框34の戸先面に対向する面を有する。
取付片572a,572b及び取付片602a,602bに締結部材としてのネジ610が締結されることにより、本体ケース571,601が戸先側縦框34に固定される。本実施形態では、戸先側縦框34の中空部34bには裏板86〜89が配置されており、ネジ610は戸先側縦框34を貫通した状態で裏板86〜89に締結される。
図8に示すように、裏板86〜89は、何れも、縦框芯材340の内側で見付方向戸先側に位置する第1面86a〜89aと、見込方向室外側に位置する第2面86b〜89bと、を有する断面L字状の金属(例えば、アルミニウム)製の部材である。本実施形態では、戸先側縦框34の中空部34bに、上から順に、裏板86、上側のシリンダ錠60の本体ケース601、裏板87、ハンドル機構57の本体ケース571、裏板88、下側のシリンダ錠60の本体ケース601、裏板89が並んでいる。
図9に示すように、裏板86は、その第2面86bが縦框芯材340の室外側面340aにリベット611によって締結固定される。その他の裏板87〜89についても同様に、リベット611によって第2面87b〜89bが縦框芯材340の室外側面340aに締結固定される。リベット611によって縦框芯材340と裏板87〜89は一体的な構成となる。
本実施形態の中空部34cの室外側の内壁には、上下方向に延びるリブ34pが左右方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3本)形成されている。縦框芯材340の室外輪の面に位置するリベット611の頭部は、リブ34pの間に位置しており、リブ34p及び中空部34cの内壁に干渉しない位置関係となっている。
上下のシリンダ錠60及びハンドル機構57は、裏板86〜89が固定された縦框芯材340が戸先側縦框34の中空部34bに挿入された状態で、それぞれの取付孔(図示省略)から戸先側縦框34の内側に挿入される。上側のシリンダ錠60は、その取付片602aに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板86の第1面86aの下端部に締結されるとともに、取付片602bに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板87の第1面87aの上端部に締結される。
ハンドル機構57は、その取付片572aに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板87の第1面87aの下端部に締結されるとともに、取付片572bに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板88の第1面88aの上端部に締結される。下側のシリンダ錠60は、その取付片602aに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板88の第1面88aの下端部に締結されるとともに、取付片602bに締結されるネジ610が戸先側縦框34を貫通して裏板89の第1面89aの上端部に締結される。
図10は、本実施形態の戸先側縦框34の下部を示す斜視図である。図11は、本実施形態の戸先側縦框34の下部の内部の構成を示す拡大縦断面図である。図10に示すように、最も下側に配置される裏板89にはシリンダ錠60を締結するネジ610の他に芯材連結金具71を締結するネジ713が締結される。
裏板89は、縦框芯材340よりも下側に延び出ている(図7参照)。裏板86〜88は、その上下の端面が水平面に沿う形状となっているのに対し、裏板89の下端面89cは、戸先側に向かうに従って下側に向かうように傾斜する形状となっている。裏板89の下端面89cが、下框32と戸先側縦框34との接着面300に沿うように傾斜していることにより、第1面89aの縦框芯材340よりも下側に延出する長さを大きく確保しつつ、下框32の中空部32bに入り込まない形状となっている。これによって、裏板89が障害となることなく戸先側縦框34と下框32の端面の溶着作業を行うことができる。
本実施形態の芯材連結金具71は、室内側で戸先側縦框34の見込面に沿う第1面71aと、室外側で戸先側縦框34の見付面(延出部34fの室内側面)に沿う第2面71bと、第1面71aと第2面71bの間で嵌合溝34jの形状に応じて屈曲する凹状部71cと、を有する金属(例えば、スチール)製のプレート部材である。
芯材連結金具71は、戸先側縦框34の外側に配置された状態で、第1面70aがネジ711によって中空部34kに配置される室内側芯材313に締結固定されるとともに、第2面71bがネジ712によって中空部34iに配置される室外側芯材312に締結固定される。また、芯材連結金具71の凹状部71cは、中空部31bの裏板89における縦框芯材340よりも下側に延び出ている部分にネジ713によって締結固定される。第1面71a及び凹状部71cを締結するネジ711,713の締結方向は左右方向となっており、第2面71bを締結するネジ712の締結方向は見込方向となっている。
次に、スライドプレート51に配置される反り防止金具95及び戸先側縦枠14に配置される反り防止受け金具96について説明する。図12は、本実施形態のスライドプレート51に固定された反り防止金具95及びその周囲を示す斜視図である。図13は、本実施形態のスライドプレート51、反り防止金具95及び裏板955の取付状態を示す斜視図である。
図12に示すように、反り防止金具95は、スライドプレート51の見込面に沿って延びる固定部951と、固定部951の上端から上方に向かうに従ってスライドプレート51の見込面から離れるように傾斜する傾斜部952と、傾斜部952の上端から上下方向に沿って延びる係合部953と、係合部953からスライドプレート51の見込面側に向かって水平方向に屈曲する屈曲部954と、から構成される。
反り防止金具95は、その固定部951がスライドプレート51の戸先側の見込面に締結部材としてのネジ956によって固定される。固定部951には、2本のネジ956が上下方向に間隔をあけて2箇所締結される。図13に示すように、スライドプレート51の裏側は凹状に形成されており、ネジ956を締結するための裏板955が配置される。本実施形態のスライドプレート51は金属(例えば、アルミニウム材)製であり、裏板955も金属(例えば、スチール)製のものが用いられる。また、ネジ956は、スライドプレート51が嵌合溝34jに嵌合された状態で該嵌合溝34jの底面に接触しない長さのものが用いられる。
次に、反り防止受け金具96について説明する。図14は、本実施形態の戸先側縦枠14の内側の見込面を示す斜視図である。上下二カ所に配置されるロックピン受け金具16は、何れも、戸先側縦枠14の見込面に配置される設置部161と、設置部161によって支持される係合部162と、を備える。設置部161は、ネジ165によって中空部14bの縦枠芯材140に固定される。係合部162には、下方が開放された切欠部163が形成される。
上述の通り、スライドプレート51は、戸先側縦框34の嵌合溝34jに上下方向でスライド移動可能に配置されており、該スライドプレート51が上下方向に移動することによってロックピン52が上下動して切欠部163に係合又は切欠部163から離脱することにより、ロックピン受け金具16とロックピン52の係合・解除が行われる。室外側ハンドル55又は室内側ハンドル56を操作によってロックピン52が切欠部163に入り込んだ位置がスライドプレート51の係合位置となる。スライドプレート51が係合位置にある状態では、障子20を開こうとしてもロックピン52が切欠部163の端面に見込方向で干渉し、障子20が開こうとする動きが規制される。室外側ハンドル55又は室内側ハンドル56を操作によってロックピン52が切欠部163から抜け出る解除位置までスライドプレート51が下方に移動すると障子20を開くことができる状態となる。
上下二カ所に配置されるシリンダ錠固定金具17は、何れも、戸先側縦枠14の見込面に配置される設置部171と、設置部171によって支持される係合部172と、を備える。設置部171は、ネジ175によって中空部14bの縦枠芯材140に固定される。係合部172は開口を有する枠状に形成される。シリンダ錠60の鍵操作を行うことによって本体ケース601からデッドボルト603が突出すると、該デッドボルト603はスライドプレート51に形成される開口部604(図4参照)を貫通して係合部172の開口に入り込み、スライドプレート51の移動を規制する状態となる。これによって障子20が施錠された状態となる。
反り防止受け金具96は、その高さが戸先側縦枠14の上下方向の略中央に位置しており、障子20が閉鎖位置にある状態においてハンドル機構57の取付位置の近傍(やや下方)となっており、反り防止金具95の取付位置の高さに対応している。
図15は、本実施形態の戸先側縦枠に固定された反り防止受け金具96及びその周囲を示す斜視図である。図16は、本実施形態のスライドプレート51の反り防止金具95と戸先側縦枠14の反り防止受け金具96の位置関係を見込方向室内側から示した図である。図17は、本実施形態のスライドプレート51の反り防止金具95と戸先側縦枠14の反り防止受け金具96の位置関係を戸先側縦枠14側から示した図である。なお、図16及び図17では、障子20が閉鎖している状態でスライドプレート51が係合位置にある状態が示されている。
図15に示すように、本実施形態の反り防止受け金具96は、戸先側縦枠14の見込面に配置される設置部961と、設置部961によって支持される受け面962と、を備える。
設置部961は、ネジ965によって戸先側縦枠14の中空部14bの縦枠芯材140に締結固定されており、矩形の板状に構成される。図16に示すように、縦枠芯材140の吊元側の面には加熱発泡材90cが配置されており、ネジ965は加熱発泡材90cを貫通して縦枠芯材140に締結される。
受け面962は、設置部961の見込方向室外側の端部から見付方向吊元側に屈曲するように形成される。受け面962の上端部には上方向に進むに従って室外側に向かうように傾斜する傾斜部962aが形成され、下端部には下方向に進むに従って室外側に向かうように傾斜する傾斜部962bが形成される。
障子20が閉鎖位置にあり、かつ、スライドプレート51が係合位置にある状態では、反り防止金具95の係合部953に対して反り防止受け金具96の受け面(係合部)962が室外側に位置している。即ち、反り防止金具95と反り防止受け金具96は、見込方向視で重なる位置関係となっている(図16参照)。
図17に示すように、ロックピン52がロックピン受け金具16の切欠部163に係合する係合位置(設定位置)から該切欠部163から離脱する離脱位置までの長さを長さd1とする。本実施形態のロックピン52は、スライドプレート51に固定される軸部521と、軸部521よりも径が大きな抜け止め部522と、を含んで構成されている(図11参照)。なお、本実施形態では、軸部521が切欠部163に干渉する位置として設計された位置であり、切欠部163の奥側よりも手前側に軸部521が位置するようになっている。即ち、係合位置は切欠部163の最も奥側に位置しなければならないわけではない。
次に、ロックピン52を保持する保持部としての切欠部163の形状とロックピンの係合関係について説明する。図18は、本実施形態のロックピン受け金具16の切欠部163を戸先側縦枠14側から示した拡大図である。図18に示すように、保持部としての切欠部163は、傾斜部163a、直線部163b及び円弧部163cを有する。円弧部163cは、切欠部163の最も奥側に位置し、ロックピン52の上方への移動を規制する部位である。直線部163bは、円弧部163cの室外側(障子20が開く側)に位置し、ロックピン52の軸部521の移動を見込方向で規制する。傾斜部163aは、切欠部163の入口の室外側に位置し、直線部163bの下端部から下がるにつれて室外側に向かうように傾斜している。
切欠部163において、傾斜部163aを除いた長さL1の範囲にロックピン52の軸部521が位置する場合、障子20が開こうとしても移動方向に直交する方向に延びる直線部163bによって軸部521の移動が確実に阻止される。上述の係合位置では、ロックピン52の軸部521の中心が直線部163bの長さL2の範囲にある。ロックピン52の軸部521が係合位置から長さL3移動すると傾斜部163aに至ることなる。切欠部163の長さL2の範囲に位置する限り、直交する方向に延びる直線部163bによって軸部521の移動が阻止される。
これに対して反り防止金具95と反り防止受け金具96が見込方向で重なる範囲における上下方向の長さ(かかり代)を長さd2とする(図17参照)。本実施形態では、反り防止金具95と反り防止受け金具96のかかり代の長さd2の方が上述の直線部163bの長さL2よりも長くなるように構成される。長さd2>長さL2の関係が成立することにより、火災発生時の溶融等によって障子20の戸先側が下がって軸部521の中心が傾斜部163aの位置まで下がって直線部163bの長さL2の範囲から外れたとしても、かかり代の長さd2の範囲では、反り防止金具95と反り防止受け金具96によって障子20の開きを確実に防止できるのである。
また、図17に示すように、軸部521が切欠部163の内側に入り込んだ係合位置から切欠部163から離脱し、障子20が開くときに傾斜部163aを含めて切欠部163に干渉しない位置までの距離を長さd1とする。本実施形態では、この長さd1よりも長さd2の方が長くなるように、反り防止金具95と反り防止受け金具96の形状や取付位置が設定されている。即ち、長さd2>長さd1の関係も成立している。これによって、障子20の戸先側が長さL2よりも下がってロックピン52がロックピン受け金具16の係合が解除されかかった場合でも、反り防止金具95と反り防止受け金具96の係合によって障子20の開きを防止できる。なお、通常の障子20の開操作では、ハンドル機構57によってスライドプレート51が長さd2の範囲を超えるように下に移動するので、障子20を開くときに反り防止金具95と反り防止受け金具96が干渉することはない。
以上説明した上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は、障子20が閉鎖位置にある状態で枠体10に対向し、内側に中空部34bが形成される戸先側縦框34と、中空部34bに配置され、戸先側縦框34の長手方向(上下方向)かつ見付方向に沿って延びる室外側面(見付面)340a及び長手方向かつ見込方向に沿って延びる接続面(見込面)340cを有し、室外側面340aと接続面340cによって囲まれる空間の戸先側縦枠14側が開放される縦框芯材340と、中空部34bに配置され、室外側面340aと接続面340cに囲まれる空間に位置する本体ケース571,601及び本体ケース571,601から戸先側縦框34の枠体側の見込面に対向する取付片572a,572b,602a,602bを有するハンドル機構57、シリンダ錠60等の取付部品と、縦框芯材340の室外側面340a及び接続面340cに囲まれる空間で取付片572a,572b,602a,602bの位置に対応する面を有する第1面86a〜89a及び室外側面340aに対向する第2面86b〜89bを有する金属製の裏板86〜89と、縦框芯材340の室外側面340aに裏板86〜89の第2面86b〜89bを締結するリベット(第1締結部材)611と、戸先側縦框34の外側から取付片572a,572b,602a,602bをそれぞれ貫通し中空部34bの裏板86〜89に締結されるネジ(第2締結部材)610と、を備える。
これにより、縦框芯材340に固定される金属製の裏板86〜89によってハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60等の取付部品(機能部品)が保持されることになるので、火災発生時に戸先側縦框34が溶融しても、ハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60が脱落して室外側と室内側が貫通する事態の発生を効果的に防止できる。
また、本実施形態では、裏板86〜89は戸先側縦框34の長手方向で間隔をあけて複数配置され、ハンドル機構57の本体ケース571の上下それぞれに取付片572a,572bが配置され、シリンダ錠60の本体ケース601の上下それぞれに取付片602a,602bが配置される。
これにより、ハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60等の取付部品が戸先側縦框34の長手方向の両側で締結固定されるので取付部品の保持力を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、ハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60は戸先側縦框34の長手方向で間隔をあけて複数配置され、裏板87は、第1面87aの上側の端部が上側に位置するシリンダ錠60の取付片602bを通じてネジ610が締結されるとともに、第1面87aの下側の端部が下側に位置するハンドル機構57の取付片572aを通じてネジ610が締結される。同様に、裏板88は、第1面88aの上側の端部が上側に位置するハンドル機構57の取付片572bを通じてネジ610が締結されるとともに、第1面88aの下側の端部が下側に位置するシリンダ錠60の取付片602bを通じてネジ610が締結される。
これにより、裏板87,88に対してはシリンダ錠60及びハンドル機構57の2つの部品が取り付けられることになるので、1つの裏板87,88を異なる取付部品の裏板として機能させることができ、部品点数及び工数の増大を防止できる。
また、本実施形態では、戸先側縦框34の中空部34bを形成する内壁であって縦框芯材340の室外側面340aに対向する面には戸先側縦框34の長手方向に延びるリブ34pが1又は複数形成されており、リベット611は、リブ34pに見込方向で重ならない位置で当該室外側面340aを貫通して内側の裏板86〜89の第2面86b〜89bに締結される。
これにより、リベット611によって縦框芯材340に裏板86〜89を固定できるとともに、中空部34bの室外側の内壁と縦框芯材340の間でリベット611によって形成される隙間にリベット611の頭部を位置させることができる。裏板86〜89を固定した縦框芯材340を戸先側縦框34の中空部34bに挿入するときも、リベット611が中空部34bの内壁にリブ34pの頭部が干渉しなくなるので、挿入工程をスムーズに行うことができる。
また、本実施形態では、裏板89は、第1面89aが室外側面340aの端面よりも戸先側縦框34の長手方向で延び出るように形成される。
これにより、縦框芯材340の長さに限定されることなく、建具1の構成に応じて裏板89の範囲を調整することができる。
また、本実施形態では、戸先側縦框34は、その下側の小口面が戸先側縦枠14に近づくに従って下がるように当該戸先側縦框34の長手方向に対して傾斜しており、該小口面に戸先側縦框34の長手方向に直交する方向で小口面に対応する形状の小口面を有する下框32が溶着により接合され、裏板89は、第2面89bが室外側面340aの端面よりも戸先側縦框34の戸先側縦框34の長手方向で延び出るように形成されるとともに、接合される戸先側縦框34及び下框32のそれぞれの小口面が溶着された接着面300の内側で、当該接着面300にそって第2面89bの下端面89cが傾斜する。
これにより、戸先側縦框34に溶着接合される下框32の中空部32bに延長した裏板89が入り込む事態を回避することができるので、裏板89のはみ出した部分が戸先側縦框34の小口面と下框32の小口面を突き合わせた状態で行う溶着作業の障害となることなく裏板89の範囲を調整することができる。
また、本実施形態では、戸先側縦框34は、中空部34bに対して室外側に位置する中空部34i及び室内側に位置する中空部34kを更に有し、中空部34i及び中空部34kには連結用芯材として室外側芯材312及び室内側芯材313がそれぞれ配置され、戸先側縦框34の外側の見込面には、戸先側縦框の外側からネジ713によって裏板89に締結されるとともにネジ711,712によって室外側芯材312及び室内側芯材313のそれぞれに連結される芯材連結金具71が配置される。
これにより、火災発生時の高温環境で戸先側縦框34の外側に延びる延出部31f,34fが溶融して室外側にめくれそうになっても、裏板89を利用して締結される芯材連結金具71によって連結される溶融し難い金属製の室外側芯材312及び室内側芯材313によってその動きが妨げられる。
また、本実施形態では、戸先側縦框34の中空部34bに裏板86〜89が配置されている。これにより、スライドプレート51をスライド移動可能に取り付けるとともに、ハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60等の複数の取付部品が取り付ける必要がある戸先側縦框34において、スライドプレート51の移動を妨げることなく、ハンドル機構57及び上下のシリンダ錠60の保持力を向上させて火災発生時の脱落を防止できる。
なお、裏板86〜89がハンドル機構57と上下のシリンダ錠60の間で途切れることなく配置されている例を説明したが、この構成に限定されない。ハンドル機構57や上下のシリンダ錠60等の部品間で裏板が途中で分割されている構成とすることもできる。
このように、本実施形態では、上框31に配置される芯材連結金具70と、戸先側縦框34に配置される芯材連結金具71と、が異なる形状となっており、配置箇所に応じた好適な形状が採用されている。なお、上框31において台座部315を省略又は嵌合溝31jの台座部315のない部分に芯材連結金具71を配置してもよいし、戸先側縦框34にスライドプレート51に干渉しない長さの台座部315を配置して芯材連結金具70を配置する構成としてもよい。
上記実施形態では、室外側の中空部34a及び室内側の中空部34bのそれぞれにより、戸先側縦框34の厚みが確保されており、スライドプレート51が戸先側縦框34の戸先面において見込方向略中央に位置する構成となっている。これによって火炎源が室外側又は室内側の何れにおいても、スライドプレート51が戸先側縦框34から離脱しにくい構成となっている。加えて、芯材連結金具70,71によって框体30が室内側に分離が防止されている。このように、火災発生時でも強固に保持されるスライドプレート51に反り防止金具95が固定されているので、戸先側縦框34の反りをより一層確実に防止できる構成が実現されている。
上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
図19は、変形例のスライドプレート51aに固定された反り防止金具97及びその周囲を示す斜視図である。本変形例では、スライドプレート51aへの反り防止金具97の固定方法が上記実施形態と異なっている。なお、反り防止金具97の構成は上記実施形態の反り防止金具95の構成と同様であり、固定部951と、傾斜部952と、係合部953と、屈曲部954と、から構成される。
図19に示すように、変形例のスライドプレート51aには反り防止金具97を取り付けるための貫通孔98が別途形成される。反り防止金具97は、係合部953が貫通孔98から突出するようにスライドプレート51aの裏側にセットされる。反り防止金具97は、スライドプレート51aの裏側に位置する固定部951がスライドプレート51aの表面からネジ956によって締結固定される。
即ち、変形例の建具1のスライドプレート51aには反り防止金具97を取り付けるための貫通孔98が形成され、反り防止金具97は、スライドプレート51aの裏側に位置する固定部951と固定部951から貫通孔98を通じて戸先側に突出する係合部953と、を有する。
この変形例の反り防止金具97によっても、上記実施形態の反り防止金具95と同様の効果を奏する。また、反り防止金具97をスライドプレート51aに固定するための裏板955を用意する必要がなくなるので、シンプルな構成で戸先側縦框34の反り防止を実現できる。また、スライドプレート51aに反り防止金具97を固定する作業で、裏板を押さえながら締結作業を行う必要がなくなるので、作業工程の容易化も実現できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態の枠体10及び框体30は、何れも樹脂製であるが、枠体10及び框体30の見込方向室外側及び室内側の少なくとも何れか一方に、アルミ等の金属製のカバー部材を追加的に配置する構成としてもよい。即ち、樹脂製の枠及び樹脂製の框は、その内部、室内側又は室外側に金属部材を取り付けたものであってもよい。
また、上記実施形態では、勝手口ドアを本発明の建具の一例として説明したがこの構成に限定されるわけではなく、スイング式の開閉ドアや開閉窓等、障子を開閉する構成を備える種々の建具に本発明を適用することができる。