以下、本実施形態の照明器具用のコントローラ(以下、コントローラと略す。)及び照明システムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態のコントローラ1は、図1に示すように、コントロールユニット2と操作ユニット3を備える。ただし、本実施形態のコントロールユニット2と操作ユニット3とは、後述するように電気的及び機械的に切り離すことが可能である。したがって、操作ユニット3と切り離された単体のコントロールユニット2がコントローラに相当する場合もある。
操作ユニット3は、ユニット本体30と、複数の操作部材31と、制御回路部32と、第2ケーブル33と、第2コネクタ34とを備えている(図1及び図2参照)。
ユニット本体30は、合成樹脂材料によって長尺の矩形箱状に形成されている。ユニット本体30の前面には、複数の操作部材31(第1操作部材311、第2操作部材312、第3操作部材313、第4操作部材314)がユニット本体30の長手方向に沿って一列に並ぶように設けられている(図1参照)。第1〜第4操作部材311〜314は、例えば、ユニット本体30の前面に対して、ユニット本体30の前後方向(図1における紙面に垂直な方向)に沿って移動可能であり、操作力が加えられている間だけユニット本体30の前面から後方に向かって移動する。
ユニット本体30の長手方向の一方の側面(上面)から第2ケーブル33が引き出されている。第2ケーブル33は、複数の絶縁線心がシースに被覆された電気ケーブルで構成されている。第2ケーブル33の先端に第2コネクタ34が設けられている。第2コネクタ34は、レセプタクルコネクタ(例えば、オー・ディー・ユー社製ミニ・メッドのレセプタクルコネクタ)である。
制御回路部32は、マイクロコントローラ320、第1スイッチ321、第2スイッチ322、第3スイッチ323、第4スイッチ324、第1表示部325、第2表示部326、発光部327を有している(図2参照)。
第1スイッチ321〜第4スイッチ324は、例えば、表面実装スイッチで構成されている。第1スイッチ321〜第4スイッチ324の各々は、マイクロコントローラ320が有する複数の入力ポートのうちの対応する入力ポートに1つずつ接続されている。第1スイッチ321は、第1操作部材311によって押操作されてオンする。第2スイッチ322は、第2操作部材312によって押操作されてオンする。第3スイッチ323は、第3操作部材313によって押操作されてオンする。第4スイッチ324は、第4操作部材314によって押操作されてオンする。マイクロコントローラ320の各入力ポートには、第1スイッチ321〜第4スイッチ324の各々がオンしているときに信号(オン信号)が入力される。
マイクロコントローラ320は、プロセッサ、メモリ、周辺機器などを1チップ化した半導体集積回路として構成されている。マイクロコントローラ320は、メモリに格納されているプログラムをプロセッサに実行させることによって、種々の処理を行うことができる。周辺機器には信号入力用の入力ポート、信号出力用の出力ポート、タイマ、AD変換回路などが含まれる。
マイクロコントローラ320は、第1スイッチ321から入力ポートにオン信号が入力されたとき、オン信号の入力時点においてメモリに記憶している照明器具5の状態に応じた操作信号を生成する。すなわち、マイクロコントローラ320は、オン信号の入力時点においてメモリに記憶している照明器具5の状態が消灯状態であれば、点灯指示の操作信号を生成し、かつ、メモリの照明器具5の状態を点灯状態に書き換える。また、マイクロコントローラ320は、オン信号の入力時点においてメモリに記憶している照明器具5の状態が点灯状態であれば、消灯指示の操作信号を生成し、かつ、メモリの照明器具5の状態を消灯状態に書き換える。マイクロコントローラ320は、点灯指示及び消灯指示の操作信号を第2ケーブル33を介してコントロールユニット2に伝送(送信)する。
また、マイクロコントローラ320は、PWM(Pulse Width Modulation)信号からなる操作信号を生成し、生成した操作信号を第2ケーブル33を介してコントロールユニット2に伝送(送信)する。PWM信号のデューティ比が照明器具5の光量(調光レベル)に対応している。例えば、マイクロコントローラ320は、調光レベルを100%(定格の光量)とするときにデューティ比を5%未満に設定し、調光レベルを下限値(例えば、5%)とするときにデューティ比を98%より大きい値(ただし、100%を除く。)に設定する。さらに、マイクロコントローラ320は、5%(下限値)から100%(定格値)の間の調光レベルとするときに、デューティ比を98%〜5%の間の対応するデューティ比に設定する。
マイクロコントローラ320は、第2スイッチ322から入力ポートにオン信号が入力されるごとにデューティ比を数%(例えば、6〜7%)ずつ上昇させ、第3スイッチ323から入力ポートにオン信号が入力されるごとにデューティ比を数%ずつ下降させる。つまり、第2操作部材312が押操作されると調光レベルが上昇して照明器具5の光量が増加する。反対に第3操作部材313が押操作されると調光レベルが下降して照明器具5の光量が減少する。
マイクロコントローラ320は、操作信号(PWM信号)のデューティ比に応じて第1表示部325を制御する。第1表示部325は、発光ダイオードからなる複数(例えば、15個)の表示素子を有している。マイクロコントローラ320は、デューティ比が低くなるほど(調光レベルが高くなるほど)、同時に発光させる表示素子の個数を増やすように第1表示部325を制御する。つまり、第1表示部325は、同時に発光する表示素子の個数で照明器具5の光量(調光レベル)を表示する。なお、第1表示部325の複数の表示素子から放射される光は、ユニット本体30の前面における第2操作部材312と第3操作部材313の隣に設けられている15個の表示窓300を通してユニット本体30の前方へ照射される(図1参照)。
第2表示部326は発光ダイオードからなる表示素子を有している。第2表示部326は、マイクロコントローラ320の動作中にマイクロコントローラ320に制御されて発光する。つまり、第2表示部326は操作ユニット3が給電されていることを表示する。なお、第2表示部326の表示素子から放射される光は、ユニット本体30の前面における左上隅に設けられている窓穴301を通してユニット本体30の前方へ照射される(図1参照)。
発光部327は、例えば、照明用白色LEDからなる発光素子3270を有している。マイクロコントローラ320は、発光素子3270の消灯時に第4スイッチ324からオン信号が入力されると発光部327を制御して発光素子3270を点灯させる。また、マイクロコントローラ320は、発光素子3270の点灯時に第4スイッチ324からオン信号が入力されると発光部327を制御して発光素子3270を消灯させる。発光素子3270は、ユニット本体30の下部に配置されている。ユニット本体30の前面下部には半透明の透光カバー302が設けられている。つまり、発光部327の発光素子3270が発する光(照明光)は透光カバー302を透過する際に拡散されることによって広い範囲を照明することができる。
次に、コントロールユニット2を説明する。
コントロールユニット2は、箱形の筐体20と、筐体20から引き出された第1ケーブル21と、筐体20の外における第1ケーブル21の先端に設けられた第1コネクタ22とを備えている(図1参照)。コントロールユニット2は、筐体20の前面を覆うように筐体20に対して着脱可能に取り付けられるカバー23を更に備えている。
筐体20内には、信号端子部25と、信号回路部26と、電源回路27と、電源端子部29とが収容されている(図2参照)。電源回路27は、例えば、全波整流器とスイッチング電源回路を有し、電源端子部29を介して外部電源7から供給される交流電力を直流電力(電源電圧5Vの直流電力)に変換するように構成されている。外部電源7は、例えば、商用の交流電源である。電源回路27は、電源接続部28を介して第1ケーブル21に直流電力を出力する。
信号回路部26は、例えば、マイクロコントローラで構成されることが好ましい。信号回路部26は、第1ケーブル21及び電線接続部28を介して操作ユニット3から受信する操作信号に対応した制御信号を生成する。制御信号は、操作信号と同じくPWM信号からなる。信号回路部26は、操作信号(PWM信号)のデューティ比が98%〜5%の範囲内であるときは、操作信号のデューティ比と同じデューティ比のPWM信号からなる制御信号を生成する。一方、信号回路部26は、点灯指示の操作信号を受信した場合、デューティ比を5%未満の値(例えば、3%)としたPWM信号からなる制御信号を生成する。また、信号回路部26は、消灯指示の操作信号を受信した場合、デューティ比を98%より大きい値(例えば、100%)としたPWM信号からなる制御信号を生成する。信号回路部26で生成される制御信号は、信号端子部25から信号線を介して照明器具5に伝送される。なお、信号回路部26は、電源回路27から供給される直流電力によって動作し、電源回路27から直流電力が供給されなければ停止する。
筐体20は、図3及び図7に示すように、後ボディ200と前ボディ201が結合されることで矩形箱状に形成される。後ボディ200は、前面が開口する矩形箱状の合成樹脂成形体で構成される。また、前ボディ201は、後面が開口する矩形箱状の合成樹脂成形体で構成される。前ボディ201の左側及び右側の側壁における上下両端には、後方へ突出する一対の突片202がそれぞれ設けられている。これら4つの突片202の各々に矩形の穴2020が設けられている(図7参照)。一方、後ボディ200の左側及び右側の側壁における上下両端の表面には、それぞれ左右方向に突出する一対の突起2000がそれぞれ設けられている。すなわち、後ボディ200と前ボディ201が前後方向に突き合わされ、後ボディ200の各突起2000が前ボディ201の各突片202の穴2020にはめ合わされることにより、後ボディ200と前ボディ201が結合されて筐体20が組み立てられる。
また、筐体20は、取付枠4に取り付けられた状態で造営材(例えば、壁)などに埋め込み配設可能に構成されている。
取付枠4は、例えば、日本工業規格C8375「大角形連用配線器具の取付枠」で規格化されている合成樹脂製取付枠に相当する(図7参照)。取付枠4の中央に矩形の窓孔41が開口し、この窓孔41内に筐体20がはめ込まれる。窓孔41の左右両側に在る側壁には、2個で1組のかん合孔42が長手方向に沿ってそれぞれ3組ずつ設けられている。また、窓孔41の上下両側には、取付片43がそれぞれ設けられている。各取付片43には、ボックスねじが挿通される長穴44が中央に設けられ、長穴44の斜め上及び斜め下に円形のねじ挿通孔45がそれぞれ設けられている。取付枠4は、壁などに埋め込まれたスイッチボックスにボックスねじで固定されるか、あるいは、挟み金具(図示せず)を用いて壁板(石こうボードなど)に固定される。
一方、前ボディ201の左右両側の側壁の表面には、取付枠4のかん合孔42とはめ合わされる爪2010が、それぞれ上下方向に間隔を空けて並ぶように設けられている。なお、取付枠4は、窓孔41内に、最大で3個の配線器具を上下方向に並べて取付可能に構成されている。そして、最大3個まで取付可能な配線器具の大きさを1個モジュール寸法と称する。つまり、本実施形態における筐体20は、1個モジュール寸法の3倍の大きさである3個モジュール寸法に形成されている。
後ボディ200内にプリント配線板260が収容される(図7及び図8参照)。プリント配線板260の後面には、電源回路27を構成する複数の回路部品270と、信号端子部25と、電源端子部29とが実装されている。信号端子部25と電源端子部29は、一対のねじなし端子(速結端子とも呼ばれる。)を有する端子台で構成されている。プリント配線板260の前面には、信号回路部26を構成する複数の回路部品261と、電線接続部28の一部(レセプタクルコネクタ280)とが実装されている(図7参照)。電線接続部28は、レセプタクルコネクタ280と、レセプタクルコネクタ280に対して抜き差し可能に接続されるプラグコネクタ281とで構成されている。なお、プラグコネクタ281が有する複数のコンタクト受けには、第1ケーブル21に含まれる複数の絶縁線心210のうちの対応する絶縁線心210が1つずつ接続されている。
ここで、筐体20の後面(後ボディ200の後面)の左上隅に角孔2001が設けられている。この角孔2001を通して信号端子部25の前面(信号線が挿入される穴250の開口した面)が筐体20の後面に露出している(図4参照)。また、筐体20の後面の右下隅にも角孔2002が設けられている。この角孔2002を通して電源端子部29の前面(電源線が挿入される穴290の開口した面)が筐体20の後面に露出している(図4参照)。
筐体20の前面(前ボディ201の前面)には、前ボディ201の左右方向の幅よりも左右方向の幅が狭いボス部203が前方へ突出している(図7参照)。ボス部203の前面の上部には、第1凹所2030が設けられている。そして、第1凹所2030の底面(背面)に設けられる穴2031を通して電線接続部28のレセプタクルコネクタ280が第1凹所2030内に突出している(図8参照)。
ボス部203の前面中央における第1凹所2030の下に第2凹所2032が設けられている。第2凹所2032は、筐体20の前方から見て逆T字状に形成され、第1凹所2030の下側の側壁2033を貫通して第1凹所2030とつながっている(図8及び図9参照)。
ボス部203の前面下部には、ボス部203の前面に開口部を有する溝204が設けられている。溝204は、筐体20の前方から見て上下方向を長手方向とする長方形状に形成され、第2凹所2032の下側の側壁2034を貫通して第2凹所2032とつながっている(図8及び図9参照)。ただし、溝204の底面(背面)のうち溝204の長手方向の中央よりも下側の部分(以下、傾斜部2040と呼ぶ。)が下に向かうに連れて前方へ傾斜している(図8参照)。
さらに、ボス部203の前面下部における溝204の左右両隣には、台形状に形成された一対の壁205がボス部203の前面から前方へ向かって平行に突出している(図7及び図9参照)。
第2凹所2032及び溝204に第1ケーブル21が収められる。ここで、第1ケーブル21には、ケーブル固定部24を構成する突出部240が設けられている。本実施形態においては、突出部240は、バンドとバンドを固定するヘッドが合成樹脂で一体成形された結束バンドで構成されている。すなわち、第1ケーブル21のシース211に巻き付けられた結束バンド(特にヘッドの部分)が突出部240となる。突出部240は、第2凹所2032内に納められる(図9参照)。ただし、突出部240は結束バンドに限定されず、例えば、金属製の線材が第1ケーブル21のシース211の周方向に沿って巻き締められて構成されてもよい。
ケーブル固定部24は、突出部240と、ボス部203に設けられた第2凹所2032の下側の側壁2034とで構成されている。つまり、溝204の幅(左右方向の幅)が突出部240を含む第1ケーブル21の径よりも狭いので、第1ケーブル21が外に(下向きに)引かれたときに突出部240が側壁2034に当たって第1ケーブル21の外向き(下向き)の移動が規制される。その結果、第1ケーブル21に生じる張力が、第1ケーブル21におけるケーブル固定部24よりも後端側の部分に及びにくくなるので、電線接続部28と接続されている絶縁線心210の断線の発生を抑制することができる。つまり、本実施形態においては、第2凹所2032の下側の側壁2034が規制部に相当する。
ここで、ボス部203には、前方から見て溝204の開口部と重なるように、ボス部203の前面と溝204の左右両側面の境界部分から突出する2つの突起206が設けられている(図9参照)。さらに、一対の壁205の前端における下端部分に、前方から見て溝204の開口部と重なるように突出する2つの突起207が設けられている。したがって、第1ケーブル21は、後方に押されて各突起206、207に接触するシース211がたわみ、シース211が各突起206、207を乗り越えることによって第2凹所2032及び溝204に収められる。そして、第2凹所2032及び溝204に収められた第1ケーブル21は、4つの突起206、207によって第2凹所2032及び溝204からの退出が抑制されている。
第1コネクタ22は、第2コネクタ34と抜き差し可能に接続されるプラグコネクタ(オー・ディー・ユー社製ミニ・メッドのプラグコネクタ)である。第1コネクタ22の複数のコンタクトには、第1ケーブル21の複数の絶縁線心210のうちの対応する絶縁線心210が1つずつ接続されている。
ところで、筐体20の前面にはカバー23が着脱可能に取り付けられる(図1、図3、図5参照)。カバー23は、合成樹脂材料により、後面が開口したへん平な矩形の箱形に形成されている。カバー23の下端部分は、カバー23の上端部分に比べて前方へ突出している。以下、カバー23の前方へ突出した下端部分を膨出部230と呼ぶ場合がある。膨出部230の下面には逆U字形の挿通孔2300が設けられている(図5参照)。また、膨出部230の上面には、くぼみ2301が設けられている(図6参照)。
また、カバー23の左側及び右側の側壁における上下両端には、後方へ突出する一対の突片231がそれぞれ設けられている。これら4つの突片231の各々の後端には、左右方向のうち前方から見てカバー23の外に出る向きに突出する爪2310が設けられている(図7参照)。
一方、前ボディ201のボス部203の左側及び右側の側壁における上下両端の前面には、結合部208がそれぞれ設けられている。これら4つの結合部208は、おおむね角筒状に形成されており、前面と左側面又は右側面のうちボス部203と反対側の側面とに矩形の孔(第1孔2081と第2孔2082)がそれぞれ貫通している。さらに、第1孔2081と第2孔2082とは結合部208内でつながっている。
カバー23は、4つの突片231の各々が4つの結合部208の各々の第1孔2081に前方から挿入され、各突片231の爪2310の各々が、各結合部208の第2孔2082の前方の縁に引っ掛かることで筐体20に取り付けられる(図3参照)。また、マイナスドライバのような工具の先端をくぼみ2301に挿入した状態で工具をねじれば、各爪2310と結合部208との引っ掛かりが外れることにより、カバー23を筐体20から取り外すことができる。
筐体20に取り付けられたカバー23は、ボス部203の前面を覆っている(図1参照)。第1ケーブル21は、カバー23の下面に設けられた挿通孔2300に挿通されてカバー23の外に引き出される。ここで、カバー23の背面は、ボス部203の前面における上部の左右両端と、中央部の左右両端とに設けられた円錐台状の突部2035の前面に接触している(図8参照)。つまり、カバー23の背面とボス部203の前面との距離は、ボス部203の前面から突部2035の前面までの高さによって規定される。本実施形態においては、ボス部203の前面から突部2035の前面までの高さが約0.5mmである。したがって、カバー23が筐体20に取り付けられている状態では、第1ケーブル21が前方へ引かれたときに第1ケーブル21が第2凹所2032及び溝204の外に出る可能性が更に低くなる。
本実施形態における照明器具5は、コントローラ(コントロールユニット2又はコントロールユニット2と操作ユニット3)とともに照明システム10を構成している。照明器具5は、図10に示すように、病室8の壁80に取り付けられる、ブラケット型の照明器具である。ただし、本実施形態における照明器具はブラケット型以外の照明器具、例えば、天井に取り付けられる照明器具などであってもかまわない。
照明器具5は、壁80に固定される器具本体50と、器具本体50内に収容される光源と、器具本体50内に収容されて光源を点灯させる点灯装置とを備えている。器具本体50は、水平方向を長手方向とする長尺の箱状に形成されている。光源は、1つ以上の照明用白色LEDである。光源は、器具本体50の下面に設けられた透光窓51を通して器具本体50の下方に光を照射する。
点灯装置は、外部電源7から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路、電力変換回路を制御して光源を点滅及び調光する制御回路などを有している。また、制御回路は、信号線を介してコントロールユニット2の信号端子部25から伝送される制御信号(PWM信号)に応じて電力変換回路を制御し、電力変換回路から光源に供給される電流(直流電流)を増減及び停止させるように構成されている。
コントロールユニット2は、例えば、病室8に設置されている設備ユニット6に取り付けられる(図10参照)。設備ユニット6は、合成樹脂材料によって長尺の角筒状に形成され、病室8の壁際に設置される。設備ユニット6の高さ(長手方向の長さ)は、床から天井81までの高さに等しい。設備ユニット6内には、天井裏から引き込まれた電源線が収容される。設備ユニット6の前壁60には、スイッチやコンセントなどの配線器具70、インターホン装置、医療ガス設備などの種々の設備が埋め込み配設される。
コントロールユニット2は、筐体20に取り付けた取付枠4が設備ユニット6内に設けられているフレームにねじ止めされ、前壁60に設けられた窓にカバー23を挿入するようにして設備ユニット6に取り付けられる(図10参照)。なお、コントロールユニット2と外部電源7を接続する電源線、並びにコントロールユニット2と照明器具5を接続する信号線も設備ユニット6内に収容される。すなわち、本実施形態では、コントロールユニット2の筐体20が設備ユニット6を介して造営材である壁80に間接的に取り付けられている。ただし、筐体20は、壁80に設けられた埋め込み孔に埋め込まれるようにして壁80に直接取り付けられてもかまわない。なお、筐体20が壁80に直接取り付けられる場合、取付枠4及び壁80に設けられた埋め込み孔を隠すために取付枠4にフラッシプレートが取り付けられることが好ましい。
コントロールユニット2の第1コネクタ22と操作ユニット3の第2コネクタ34とが接続されることにより、コントロールユニット2と操作ユニット3が第1ケーブル21と第2ケーブル33を介して電気的に接続される。コントロールユニット2は、第1ケーブル21及び第2ケーブル33を介して、操作ユニット3から操作信号を受信し、かつ、操作ユニット3へ直流電力(電源回路27の出力電力)を供給する。
ここで、操作ユニット3は、通常、病室8に設置されているベッド82の上で操作され、操作されていないときにベッド82の上に置かれる場合がある(図10参照)。ベッド82の上に置かれた操作ユニット3がベッド82から落ちた場合、あるいは操作ユニット3を載せたままでベッド82が移動させられた場合などに第2ケーブル33に大きな張力が生じる可能性がある。しかしながら、第2ケーブル33に生じる張力が大きいほど、第2コネクタ34を第1コネクタ22から引き離す向きの力も大きくなる。そして、本実施形態においては、第1コネクタ22と第2コネクタ34で構成されるコネクタの保持力が相対的に小さいので、第2コネクタ34に保持力よりも大きい張力が生じると、第2コネクタ34が第1コネクタ22から抜ける可能性が高い。
したがって、本実施形態では、第2ケーブル33が大きな力で引かれた場合、第1コネクタ22と第2コネクタ34が外れることにより、第1ケーブル21及び第2ケーブル33に大きな張力が生じにくい。その結果、本実施形態のコントローラ1(コントロールユニット2又はコントロールユニット2と操作ユニット3)は、ケーブル(第1ケーブル21又は第2ケーブル33)が断線する可能性の低減を図ることができる。同様に、本実施形態の照明システム10もケーブル(第1ケーブル21又は第2ケーブル33)が断線する可能性の低減を図ることができる。
ここで、コントロールユニット2の筐体20に第1コネクタ22が直接固定されると仮定すると、第2ケーブル33が引かれる向きと第1コネクタ22及び第2コネクタ34の抜き差し方向とが一致する可能性は相当に低くなると考えられる。そして、第2ケーブル33が引かれる向きと第1コネクタ22及び第2コネクタ34の抜き差し方向とが一致しない場合、第1コネクタ22と第2コネクタ34が外れにくくなるので、ケーブルの断線の可能性の低減を図ることが困難になる。
これに対して本実施形態のコントローラ1(コントロールユニット2又はコントロールユニット2と操作ユニット3)では、コントロールユニット2の筐体20から引き出された第1ケーブル21の先端に第1コネクタ22が設けられている。したがって、第1ケーブル21がたわむ(曲がる)ことにより、第2ケーブル33が引かれる向きに第1コネクタ22及び第2コネクタ34の抜き差し方向を追従させることができる。したがって、本実施形態のコントローラ1(コントロールユニット2又はコントロールユニット2と操作ユニット3)は、第1コネクタ22が筐体20に直接固定される場合と比較して、ケーブルの断線の可能性の低減を図ることができる。
上述のように本発明の第1の態様に係る照明器具用のコントローラ(1)は、照明器具(5)に対して制御信号を送信することによって照明器具(5)を制御する。コントローラ(1)は、制御信号を伝送するための信号線が電気的に接続される信号端子部(25)を備える。コントローラ(1)は、信号回路部(26)を備える。信号回路部(26)は、伝送路(第1ケーブル21と第2ケーブル33)を介して操作ユニット(3)から操作信号を受け取り、操作信号で指示される制御内容に対応した制御信号を生成し、生成した制御信号を信号端子部(25)から信号線を介して伝送する。コントローラ(1)は、信号端子部(25)及び信号回路部(26)を収容して造営材に直接的又は間接的に取り付けられる筐体(20)と、伝送路を形成し、少なくとも一部が筐体(20)の外に配置される第1ケーブル(21)とを備える。コントローラ(1)は、筐体(20)の外において第1ケーブル(21)の先端に設けられた第1コネクタと(22)と、第1ケーブル(21)を筐体(20)に固定するケーブル固定部(24)とを備える。第1コネクタ(22)は、操作ユニット(3)が有する第2ケーブル(33)の先端に設けられた第2コネクタ(34)に対して、第1ケーブル(21)及び第2ケーブル(33)の長手方向に沿って抜き差し可能に接続される。
第1の態様に係る照明器具用のコントローラ(1)は、第2ケーブル(33)が大きな力で引かれた場合、第1コネクタ(22)と第2コネクタ(34)が外れることにより、第1ケーブル(21)及び第2ケーブル(33)に大きな張力が生じにくい。その結果、第1の態様に係るコントローラ(1)は、ケーブル(第1ケーブル21)が断線する可能性の低減を図ることができる。
本発明の第2の態様に係るコントローラ(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係るコントローラ(1)において、ケーブル固定部(24)は、第1ケーブル(21)が有するシース(211)に取り付けられてシース(211)の表面から突出する突出部(240)を有することが好ましい。ケーブル固定部(24)は、筐体(20)内において第1ケーブル(21)の長手方向に沿って突出部(240)と対向する位置に設けられる規制部(側壁2034)を有することが好ましい。規制部は、第1ケーブル(21)が長手方向に沿って筐体(20)の外に引かれたときに突出部(240)に当たって突出部(240)の移動を規制することが好ましい。
第2の形態に係るコントローラ(1)は、第1ケーブル(21)が筐体(20)の外に引かれたとき、ケーブル固定部(24)によって第1ケーブル(21)が筐体(20)に固定される。そのため、第2の態様に係るコントローラ(1)は、ケーブルの断線の可能性の更なる低減を図ることができる。
本発明の第3の態様に係るコントローラ(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係るコントローラ(1)において、筐体(20)は、筐体(20)の前面に開口部を有し、開口部を通して第1ケーブル(21)が挿入される溝(204)を有することが好ましい。筐体(20)は、筐体(20)の前面において開口部と重なるように設けられた複数の突起(206、207)を有することが好ましい。
第3の態様に係るコントローラ(1)は、溝(204)に収められた第1ケーブル(21)が溝(204)から退出することを突起(206、207)で抑制することができる。
本発明の第4の態様に係るコントローラ(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係るコントローラ(1)において、筐体(20)の前面に着脱可能に取り付けられ、筐体(20)の前面のうち開口部を含む少なくとも一部を覆うカバー(23)を備えることが好ましい。
第4の態様に係るコントローラ(1)は、筐体(20)の前面のうち開口部を含む少なくとも一部をカバー(23)で覆うことにより、第1ケーブル(21)の溝(204)からの退出を更に抑制することができる。
本発明の第5の態様に係るコントローラ(1)は、第1〜第4の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第5の態様に係るコントローラ(1)において、筐体(20)は、配線器具用の取付枠(4)に着脱可能に取り付けられる取付部(爪2010)を有することが好ましい。
第5の態様に係るコントローラ(1)は、配線器具用の取付枠(4)を用いて造営材に埋め込み配設可能となる。
本発明の第6の態様に係るコントローラ(1)は、第1〜第5の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第6の態様に係るコントローラ(1)において、操作ユニット(3)を更に備えることが好ましい。操作ユニット(3)は、に1つ以上の操作部材(31)が露出するユニット本体(30)と、ユニット本体(30)からユニット本体(30)の外に引き出される第2ケーブル(33)とを有することが好ましい。操作ユニット(3)は、ユニット本体(30)に収容され、操作部材(31)が操作されると操作部材(31)に対応した操作信号を生成し、操作信号を第2ケーブル(33)を介して送信する制御回路部(32)を有することが好ましい。
第6の態様に係るコントローラ(1)は、コントローラ(1)の第1ケーブル(21)と操作ユニット(3)の第2ケーブル(33)の双方が断線する可能性の低減を図ることができる。
本発明の第7の態様に係る照明システム(10)は、第1〜第6の態様のいずれか1つの態様に係る照明器具用のコントローラ(1)を有する。第7の態様に係る照明システム(10)と、コントローラ(1)の信号端子部(25)から信号線を介して伝送される制御信号によって点滅及び調光、あるいは点滅又は調光される照明器具(5)を有する。
第7の態様に係る照明システム(10)は、ケーブル(第1ケーブル21又は第2ケーブル33)が断線する可能性の低減を図ることができる。