JP6917244B2 - 蛍光体ホイール、ホイールデバイスおよびプロジェクター - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体ホイール、ホイールデバイスおよびプロジェクターに関する。
発光素子として、例えば青色LED素子に接触するように配置される、エポキシやシリコーンなどに代表される樹脂に蛍光体粒子を分散させた蛍光体プレートが知られている。そして、近年では、LEDに代えて、エネルギー効率が高く、小型化、高出力化に対応しやすい、レーザダイオード(LD)が用いられたアプリケーションが増えてきている。
レーザは局所的に高いエネルギーの光を照射するため、集中的にレーザ光が照射された樹脂は、その照射箇所が焼け焦げる。これに対し、蛍光体プレートを円板(ホイール)状として回転させることで、照射箇所を一点に留めず動的にすることで、レーザをはじめとしたエネルギーの高い励起源を用いた場合における蛍光体プレートの耐熱性と、それに起因する性能低下の課題は解決された。
さらに、特許文献1は、蛍光体ホイールに放熱板を備えることで、発熱による蛍光体の性能低下の問題を解決する技術が開示されている。また、特許文献2は、蛍光体層としてガラスマトリクスにより蛍光体を分散させ、金属ホイールと接合層を介して貼りつけ、蛍光体粒子の一部を金属ホイールと接触させることで放熱性を高めた技術が開示されている。
特開2012−008177号公報 特開2015−094777号公報
特許文献1は、放熱性を高めることで蛍光体ホイールの性能を高めたが、依然として樹脂を利用した技術を開示している。この技術では、回転系の停止などの異常や更なるハイパワー化により樹脂の耐熱温度以上に達し、蛍光体膜が焦げて破損するリスクは避けられない。また、特許文献2記載の技術は、接合層としてのみだが樹脂を用いており、これも同様に膜界面から破損するリスクが依然として残っている。よって、放熱性を高める手段と同時に、蛍光体ホイール自体の耐熱性の向上も求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ハイパワーの用途において高い発光強度を有し、温度消光による性能低下が発生しにくく、過剰な熱による破損リスクを低減できる蛍光体ホイール、ホイールデバイスおよびプロジェクターを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の蛍光体ホイールは、円板状に形成された基板と、前記基板上に設けられた蛍光体層と、を備える特定範囲の波長の光を他の波長の光に変換する蛍光体ホイールであって、前記蛍光体層は、透光性の無機材料と平均粒径15μm以上60μm以下の蛍光体粒子とで形成されると共に、80μm以上300μm未満の厚みを有し、前記蛍光体粒子の材料は、YAG:CeまたはLuAG:Ceのいずれか一方であり、前記蛍光体粒子のCe濃度は、0.60at%以下であることを特徴としている。
これにより、大粒径の蛍光体を用いて蛍光体層の膜厚を厚くすることができ、発光強度を高くできる。さらに、賦活剤であるCeの濃度を下げることで、高出力のレーザダイオードを励起源として用いても、温度消光を抑制することができ、また、励起光の吸収率を小さい範囲に制御できる。その結果、大粒径の蛍光体を用いて蛍光体層の膜厚を厚くすることと相俟って、蛍光体層の深い部分まで活用した蛍光変換が起こることとなり、発光強度はさらに向上する。また、蛍光体層を無機材料のみで構成することで、例えば、回転系の異常によるホイールの停止や、更なるハイパワー化、等による過剰な熱による破損リスクを低減できる。
(2)また、本発明の蛍光体ホイールにおいて、前記蛍光体粒子のCe濃度は、0.12at%以上であることを特徴としている。このように、Ce濃度が小さすぎないので、励起光の吸収率を十分に維持できる。その結果、励起光を十分に活用でき、発光強度はさらに向上する。
(3)また、本発明の蛍光体ホイールにおいて、前記蛍光体層は、100μm以上200μm以下の厚みを有することを特徴としている。これにより、発光強度を高く維持しつつ、蛍光体層の破損リスクを低減できる。
(4)また、本発明の蛍光体ホイールにおいて、前記基板は、アルミニウムで形成されていることを特徴としている。このように、熱伝導率の高いアルミニウムを用いた蛍光体ホイールを構成することで、蛍光体層で発生した熱を基板に効率的に放熱することができる。その結果、過剰な熱による破損リスクをさらに低減できる。
(5)また、本発明のホイールデバイスは、プロジェクターに用いられるホイールデバイスであって、上記(1)から(4)のいずれかに記載の蛍光体ホイールと、前記蛍光体ホイールを回転させるモーターと、を備えることを特徴としている。これにより、発光強度の高い、過剰な熱による破損リスクを低減したホイールデバイスを構成でき、回転系の停止などの異常に対しても破損リスクを低減できる。
(6)また、本発明のプロジェクターは、励起光を照射する光源と、前記光源からの励起光を受ける上記(5)記載のホイールデバイスと、画像を表示する表示デバイスと、前記ホイールデバイスから射出された光を用いて前記表示デバイスに表示された画像を外部に投射する投射光学系と、を備えることを特徴としている。これにより、発光強度の高い、過剰な熱による破損リスクを低減したホイールデバイスを用いたプロジェクターを構成でき、回転系の停止などの異常に対しても破損リスクを低減できる。また、光源装置を低速回転で用いた静音設計のプロジェクターとすることもできる。
本発明によれば、ハイパワーの用途において高い発光強度を有し、温度消光による性能低下が発生しにくく、過剰な熱による破損リスクを低減できる蛍光体ホイールを構成できる。
(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の蛍光体ホイールを模式的に表した断面図、斜視図および平面図である。 蛍光体ホイールの蛍光体層部分の断面を拡大した模式図である。 本発明のホイールデバイスを表す模式図である。 本発明のプロジェクターの一部を表す概念図である。 本発明の蛍光体ホイールの製造方法を示すフローチャートである。 蛍光体ホイールに対する発光強度試験のための反射型の評価システムを示す断面図である。 試料の各種条件と、24W時の発光強度および1時間評価後の剥離の有無の結果を表す表である。 試料11、A、Bについて、レーザパワー密度(レーザ入力)を横軸に取ったときの発光強度を表すグラフである。 蛍光体ホイールの低回転時の発光強度試験および測定後の蛍光体層の焦げの有無の結果を示す表である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[蛍光体ホイールの構成]
図1(a)〜(c)はそれぞれ、蛍光体ホイール10を模式的に表した断面図、斜視図および平面図である。蛍光体ホイール10は、基板12上に蛍光体層14が形成されている。蛍光体ホイール10は、光源から照射された励起光を吸収し励起して波長の異なる変換光を発生させ、放射光を射出する。例えば、青色の励起光を吸収し蛍光体層14で変換された青色の励起光と異なる変換光を放射させるとともに、青色の励起光を反射させて、変換光と励起光を合わせて、または、変換光のみを利用し、様々な色の光に変換できる。
基板12は、円板状に形成される。基板12の材料は、アルミニウム、鉄、銅等を用いることができる。基板12のすべてを、光を反射する材料で製造することもできるが、光の反射を考慮しない材料の一面に銀などの光を反射する材料をメッキなどで設けてもよい。また、高エネルギーの光が照射されて温度が高くなるので、熱伝導性が高い方がよい。そのため、基板12は、アルミニウムで形成されていることが好ましい。
図2は、蛍光体ホイール10の蛍光体層14部分の断面を拡大した模式図である。蛍光体層14は、基板12上に膜として設けられ、蛍光体粒子16および結合材20(透光性の無機材料)により形成されている。結合材20は、蛍光体粒子16同士および蛍光体粒子16と基板12とを固定している。これにより、高エネルギー密度の光の照射に対して、放熱板として機能する基板12と接合しているため効率よく放熱でき、蛍光体の温度消光を抑制できる。また、上記それぞれの固定は、化学結合であることが効率よく放熱するためには好ましい。
蛍光体層14は、基板12の中心から所定の距離に一定の幅を有する円環状に形成されることが好ましい。蛍光体層14が円環状に形成されることで、励起光の照射部分およびその近傍のみに蛍光体層14が形成されることとなり、蛍光体ホイールの軽量化およびコストの削減ができる。
蛍光体層14の厚みは、80μm以上300μm未満である。また、100μm以上200μm以下であることが好ましい。蛍光体層14の膜厚は、厚くなると膜内の比較的広い領域で蛍光変換が起こるようになり、高い発光強度を有するからである。蛍光体層14の膜厚は、厚すぎると蓄熱による問題が増加するが、回転ホイール構造による高い放熱性および低Ce濃度蛍光体(後述)の使用による発熱量低下により解決される。また、蛍光体層14の膜厚は、厚すぎると蛍光体粒子16の脱粒や蛍光体層14の剥離のリスクが増加するが、300μm未満であれば問題ない。
蛍光体粒子16は、発光中心としてセリウム(Ce)が添加されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)またはルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LuAG:Ce)のいずれか一方で構成される。このとき、発光中心のCe濃度を以下のように定義する。すなわち、YAGの組成式はYAl12であるが、このうちのイットリウム(Y)の一部をCeで置き換えたYAGをYAG:Ceと表し、その組成式を一般的に(Y3−XCe)Al12と表す。そして、組成式全体の原子の数に対するCeの割合を単位「at%」で表す。例えば、X=0.1のとき、0.1/(3+5+12)×100=0.5となるので、これを0.5at%と定義する。
LuAGはYAGのすべてのYをルテチウム(Lu)で置き換えたものであり、組成式はLuAl12である。そのため、LuAG:CeのCe濃度も上記と同様に定義し、単位「at%」で表す。
蛍光体粒子16のCe濃度は、0.60at%以下である。このように、Ce濃度が小さい蛍光体を用いることで、個々の蛍光体粒子16の励起光の吸収率が低下し、蛍光体層14の深い部分まで活用した蛍光変換が起こり、全体としての発光強度は向上する。また、Ce濃度が小さい蛍光体を用いることで、蛍光体で生じる熱の発生ポイントを分散させ、蛍光変換時に生じる熱の密度を減らし放熱性を高めることが可能となり、蛍光体層14全体の温度上昇を防ぐことができる。その結果、高いエネルギーを有するレーザ等による励起においても、蛍光体の発光性能が低下する温度まで到達しにくくなり、ハイパワーでも高い発光強度を維持できる。
また、蛍光体粒子16のCe濃度は、0.12at%以上であることが好ましい。Ce濃度が小さすぎると、励起光の吸収率が低下しすぎた結果、全体としての発光強度が低下することがあるからである。
蛍光体粒子のCe濃度は、ICPまたはXRFで分析することができる。いずれの方法においても、Ce濃度が既知の蛍光体を検量線として使用することで行なう。Ce濃度は、複数回の分析値の平均値として求めてもよい。
蛍光体粒子16は、光源光(励起光)を吸収して、変換光を放射する。YAG:Ceは、光源光(励起光)を吸収して、黄色の変換光を放射する。LuAG:Ceは、光源光(励起光)を吸収して、緑色の変換光を放射する。例えば、光源光が青色または紫色であるときは、光源光と変換光を合わせて、白色の放射光を放射することができる。
蛍光体粒子16の平均粒径は、15μm以上60μm以下であり、18μm以上30μm以下であることが好ましい。15μm以上なので、変換光の発光強度が大きくなり、ひいては蛍光体ホイール10の発光強度が大きくなるからである。また、60μm以下なので、蛍光体ホイール10を回転させた際の蛍光体粒子16の脱粒を抑制できる。また、個々の蛍光体粒子16の温度を低く維持でき、温度消光を抑制できる。なお、本明細書において平均粒径とは、メジアン径(D50)であるか、または、SEM画像の解析で得られた粒子における平均粒径である。メジアン径(D50)である平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置の乾式測定または湿式測定を用いて計測することができる。また、SEM画像の解析による平均粒径は、以下の手法で計測できる。蛍光体層14の平面方向と垂直な断面について、例えば、1000倍にてSEM画像を取得する。そして、得られたSEM画像に対して、2値化などの画像解析を行ない、画像から蛍光体粒子16と認められる100個以上の粒子の断面積を算出し、その累積分布から平均粒径を求めることができる。画像から蛍光体粒子と認められる100個以上の粒子の断面積を算出するときには、蛍光体層14に含まれる蛍光体粒子16について全体的な平均粒径となるように、蛍光体層14における複数個所の断面画像(例えば3枚以上)を取得することとする。
結合材20は、無機バインダが加水分解または酸化されて形成されたものであり、透光性を有する無機材料により構成されている。結合材20は、例えばシリカ(SiO)、リン酸アルミニウムで構成される。結合材20は無機材料からなるので、レーザダイオード等の高エネルギーの光が照射されても変質しない。また、結合材20は透光性を有するので、励起光や変換光を透過させることができる。無機バインダとしては、エチルシリケート、リン酸アルミニウム水溶液等を用いることができる。
なお、透光性を有する物質とは、0.5mmの対象物質に対して、可視光の波長領域(λ=380〜780nm)で光を垂直に入射したとき、反対側から抜けた光の放射束が入射光の80%を超える特性を有する物質をいう。
蛍光体ホイール10は、大粒径の蛍光体を用いて蛍光体層の膜厚を厚くしていること、低Ce濃度の蛍光体を使用していること、および無機材料のみで構成されていることにより、ハイパワーの用途に適している。ハイパワーの用途に用いたときに、発光強度を高くできるとともに、過剰な熱による破損リスクを低減できる。
[ホイールデバイスの構成]
図3は、ホイールデバイス50を表す模式図である。ホイールデバイス50は、蛍光体ホイール10およびモーター60を備える。蛍光体ホイール10は、上記の蛍光体ホイール10である。
モーター60は、蛍光体ホイール10を回転させ、蛍光体ホイール10の蛍光体層14の励起光が照射される位置を変動させる。これにより、蛍光体層14の一部に励起光が照射され続けることがないため、蛍光体層14の発熱を抑制できる。また、回転をしている間は、蛍光体層14および放熱板として機能する基板12に空気があたり続けるため、これによっても蛍光体層14の発熱を抑制できる。
[プロジェクターの構成]
図4は、プロジェクター100の一部を表す概念図である。プロジェクター100は、光源110、ホイールデバイス50、表示デバイス120および投射光学系130を備える。
光源110は、ホイールデバイス50に用いられる蛍光体を励起する励起光を照射する。ホイールデバイス50に用いられる蛍光体は、YAG:CeまたはLuAG:Ceであるため、光源110が照射する励起光は、青色光または紫色光が好ましい。また、ホイールデバイス50に用いられる蛍光体ホイール10はハイパワーの用途に適しているため、光源110は、レーザダイオードであることが好ましい。
ホイールデバイス50は、上記のホイールデバイス50である。ホイールデバイス50は、光源110からの励起光を受け、励起光を吸収し励起して波長の異なる変換光を発生させ、変換光のみまたは変換光と励起光からなる放射光を射出する。
表示デバイス120は、プロジェクター100が投影する画像を表示する。表示デバイス120は、液晶パネル、デジタルミラーデバイス(DMD)などを用いることができる。
投射光学系130は、ホイールデバイス50から射出された放射光を用いて表示デバイス120に表示された画像を外部に投射する。投射光学系130は、複数のレンズ131からなり、ズームやピントの調整をする。
プロジェクター100は、上記の構成のほか、レンズ131、ダイクロイックミラー132などにより構成される。また、プロジェクター100の設計に応じて、図に記載していない、ミラー、ダイクロイックミラー、レンズ、プリズムなどを使用することもできる。プロジェクター100は、発光強度の高い、過剰な熱による破損リスクを低減したホイールデバイス50を用いて構成されるので、回転系の停止などの異常に対しても破損リスクを低減できる。また、ホイールデバイス50を低速回転で用いた静音設計のプロジェクターとすることもできる。
[蛍光体ホイールの製造方法]
蛍光体ホイールの製造方法の一例を説明する。図5は、本発明の蛍光体ホイールの製造方法を示すフローチャートである。最初に、円板状に形成された基板を準備する(ステップS1)。これとは別に、印刷用ペーストを作製する。まず、所定のCe濃度および平均粒径を有する蛍光体粒子を準備する(ステップS2)。蛍光体粒子は、YAG:CeまたはLuAG:Ceのいずれか一方である。
次に、準備した蛍光体粒子を秤量し、溶剤に分散させ、無機バインダと混合し、印刷用ペーストを作製する(ステップS3)。混合にはボールミル等を用いることができる。溶剤は、α−テルピネオール、ブタノール、イソホロン、グリセリン等の高沸点溶剤を用いることができる。
また、無機バインダは、エチルシリケート等の有機シリケートであることが好ましい。有機シリケートを用いることで蛍光体粒子が印刷用ペースト全体に分散し、適切な粘度の印刷用ペーストを作製することができる。例えば、無機バインダとしてエチルシリケートを用いるときは、水および触媒の質量に対して、エチルシリケートを70wt%以上100wt%以下、好ましくは80wt%以上90wt%以下の質量とする。その他、無機バインダは、加水分解あるいは酸化により酸化ケイ素となる酸化ケイ素前駆体、ケイ酸化合物、シリカ、およびアモルファスシリカからなる群のうちの少なくとも1種を含む原料を、常温で反応させるか、または、500℃以下の温度で熱処理することにより得られたものであってもよい。酸化ケイ素前駆体としては、例えば、ペルヒドロポリシラザン、エチルシリケート、メチルシリケートを主成分としたものが挙げられる。
印刷用ペーストの作製後、基板上に印刷用ペーストを塗布してペースト層を形成する(ステップS4)。印刷用ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法、ディスペンサーによる描画法、インクジェット法を用いることができる。スクリーン印刷法を用いると、厚みの薄いペースト層を安定的に形成できるので好ましい。ペースト層は、円環状に形成することが好ましい。また、ペースト層の厚みは、焼成後に80μm以上300μm未満になるように調整することが好ましい。
そして、ペースト層を形成した基板を大気炉を用いて焼成し、蛍光体層を作製する(ステップS5)。焼成温度は、150℃以上500℃以下であることが好ましく、焼成時間は、0.5時間以上2.0時間以下であることが好ましい。また、昇温速度は、50℃/h以上200℃/h以下であることが好ましい。また、焼成前に乾燥工程を設けてもよい。
このような製造工程により、蛍光体層全体に蛍光体粒子が均一に分散した蛍光体ホイールを容易に製造できる。得られた蛍光体ホイールは、ハイパワーで発光強度を高くできるとともに、過剰な熱による破損リスクを低減できる。
[実施例]
(試料の作製方法)
円板状に形成したアルミニウムに銀コートされたアルミニウム基板を準備した。これとは別に、平均粒径6μm〜72μm、0.04at%〜0.90at%のCe濃度を有する蛍光体粒子(YAG:Ce粒子)を準備した。これらの蛍光体粒子を秤量し、α−テルピネオール(溶剤)を混合して分散材を作製し、エチルシリケート(無機バインダ)と混合して印刷用ペーストを作製した。
次に、スクリーン印刷法を用いて基板に印刷用ペーストを、焼成後に20〜300μmの厚みになるよう塗布した。塗布後に100℃で20分乾燥させた後、無機バインダで封孔処理をした。最後に大気炉を用いて150℃/hで350℃まで昇温し、30分焼成して試料が完成した。
上記試料のCe濃度は、ICPを用いて、Ce濃度が既知の蛍光体を検量線として使用し、行なった。また、蛍光体層の膜厚(厚み)は、各試料のSEM断面写真を1000倍の倍率で撮影し、等間隔で10本の垂線を引き、蛍光体層のトップ面から基板のトップ面までの距離を測定し、10本の線の平均長さから蛍光体層の膜厚を算出した。
(試料の評価方法)
完成した各試料をモーターに固定し、約12000rpmの回転速度で回転させた状態で、最大24Wの入力となるレーザによる励起で、発光強度試験を行なった。励起光の波長は445nm、集光レンズにより照射径は0.15mmに調整した。図6は、蛍光体ホイールに対する発光強度試験のための反射型の評価システムを示す断面図である。図6に示すように、評価システム700は、光源710、平凸レンズ720、両凸レンズ730、バンドパスフィルタ735、パワーメータ740で構成されている。蛍光体ホイール10からの放射光を集光して測定できるように各要素が配置されている。なお、図6の試料Sは、回転する試料の蛍光体層部分を表している。
バンドパスフィルタ735は、波長480nmを閾値として光をカットするフィルタであり、反射した励起光(吸収光)を測定する際には波長の大きい側をカットするフィルタが用いられる。また、変換光の発光強度を測定する際には波長の小さい側をカットするフィルタが用いられる。このように、透過した励起光を変換光と切り分けるために、両凸レンズとパワーメータの間に設置される。
このように構成されたシステムにおいて、平凸レンズ720に入った励起光は、蛍光体ホイールの試料S上の焦点へ集光される。そして、試料Sから生じた放射光を両凸レンズ730で集光し、その集光された光についてバンドパスフィルタ735でカットした光の強度をパワーメータ740で測定する。この測定値を変換光の発光強度とする。レーザ光をレンズで集光し、照射面積を絞ることで、低出力のレーザでも単位面積あたりのエネルギー密度が上げられる。このエネルギー密度をレーザパワー密度とする。
図7は、試料の各種条件と、24W時の発光強度および24Wで1時間評価後の剥離の有無の結果を表す表である。24W時の発光強度は、試料1の蛍光体ホイールの発光強度を100としたときの相対値で表した。この値は、100以上であることが好ましいが、大きく低下するものでなければ問題は生じない。また、24Wで1時間評価後の剥離が、わずかでもあったものは、長期間の使用に耐えないので不合格と判断した。
なお、以下の記載では、蛍光体粒子の平均粒径が6μm以下のとき小粒径と、6μmより大きく14μm以下のとき中粒径と、14μmより大きいとき大粒径と記載する。また、蛍光体粒子のCe濃度が0.60at%以下のとき低Ce濃度と、0.60at%より大きいとき高Ce濃度と記載する。また、蛍光体層の膜厚が80μm以上のとき厚膜と、80μm未満のとき薄膜と記載する。
試料1、2は、蛍光体層に樹脂を用いているため、回転系の停止などの異常や更なるハイパワー化により樹脂の耐熱温度以上に達し、蛍光体膜が焦げて破損するリスクがある。
試料3〜6は、小粒径または中粒径で高Ce濃度の蛍光体粒子を用いて、蛍光体層の膜厚を変化させた試料である。これによると、平均粒径が小さく、Ce濃度が高かったため、蛍光体層の膜厚に関わらず発光強度が低下した。このため、平均粒径は大きい方が、Ce濃度は低い方が好ましいことが分かる。
試料7、11、12、13、9や試料14、15、試料16、17など同一の平均粒径、Ce濃度で蛍光体層の膜厚を変化させた試料を比べると、膜厚は大きい方が発光強度が大きくなる。このため、蛍光体層の膜厚は、大きい方が好ましいことが分かる。
試料7と試料11とを比べると、試料11は、発光強度は低下しなかったが、試料7は、蛍光体層が薄膜だったため、発光強度がわずかに低下した。このため、蛍光体層の膜厚は、80μmより大きいことが好ましいことが分かる。
試料9と試料13とを比べると、試料13は、厚膜でも剥離を生じなかったが、試料9は、蛍光体層の膜厚が大きすぎたため、わずかに蛍光体の剥離を生じた。このため、蛍光体層の膜厚は、300μm未満であればよいことが分かる。
試料8と試料19とを比べると、試料19は、大粒径でも剥離を生じなかったが、試料8は、平均粒径が大きすぎたため、わずかに蛍光体の剥離を生じた。このため、平均粒径は、60μm以下であればよいことが分かる。
試料10と試料18とを比べると、試料18は、低Ce濃度で発光強度が向上したが、試料10は、それよりCe濃度が低かったため、発光強度がわずかに低下した。このため、Ce濃度は、0.12at%以上であることが好ましいことが分かる。
図8は、試料11(大粒径、18μm)を基準に平均粒径のみを変更した、試料B(中粒径、14μm)、試料A(小粒径、6μm)を用いて作製した蛍光体ホイールについて、レーザパワー密度(レーザ入力)を横軸に取ったときの発光強度を表すグラフである。図8に示されるとおり、蛍光体ホイールに用いられる蛍光体粒子は、平均粒径が大きい方が、同じレーザパワー密度(レーザ入力)に対しての発光強度が大きくなる。このため、平均粒径は大きい方が有利である。また、いずれの試料も24Wの入力までに温度消光が生じていないため、更なるハイパワー化が可能である。
図9は、蛍光体ホイールの低回転時の発光強度試験および測定後の蛍光体層の焦げの有無の結果を示す表である。上記の試料1および試料12について、回転速度を約2000rpm、レーザ入力を10Wとしたときの発光強度と測定後の蛍光体層の焦げの有無を測定した。その結果、試料1は、10Wのレーザ入力に対し、発光強度は当初53であったが、1分後には50に低下した。また、測定後に蛍光体層の焦げの有無を調べたところ、リング状に焦げの発生を確認した。これは、蛍光体層に樹脂を用いているためであり、高回転時は24Wのレーザ入力でも焦げは発生しなかったが、低回転時は10Wのレーザ入力でも焦げが発生した。つまり、蛍光体層に樹脂を用いると、回転系の停止などの異常により樹脂の耐熱温度以上に達し、蛍光体膜が焦げて破損するリスクがあることが分かる。
これに対し、試料12は、10Wのレーザ入力に対し、発光強度は60であり、1分後も変化しなかった。また、測定後に蛍光体層の焦げの有無を調べたところ、焦げは発生しなかった。これにより、本発明の蛍光体ホイールは、回転系の停止などの異常があった場合でも、蛍光体膜が破損するリスクが低減されることが分かった。
以上の結果によって、本発明の蛍光体ホイールは、ハイパワーの用途において高い発光強度を有し、温度消光による性能低下が発生しにくく、過剰な熱による破損リスクを低減できることが分かった。
10 蛍光体ホイール
12 基板
14 蛍光体層
16 蛍光体粒子
20 結合材(無機材料)
50 ホイールデバイス
60 モーター
100 プロジェクター
110 光源
120 表示デバイス
130 投射光学系
700 評価システム
710 光源
720 平凸レンズ
730 両凸レンズ
735 バンドパスフィルタ
740 パワーメータ
S 試料

Claims (5)

  1. 円板状に形成された基板と、
    前記基板上に設けられた蛍光体層と、を備える特定範囲の波長の光を他の波長の光に変換する蛍光体ホイールであって、
    前記蛍光体層は、透光性の無機材料と平均粒径15μm以上60μm以下の蛍光体粒子とで形成されると共に、80μm以上300μm未満の厚みを有し、
    前記蛍光体粒子の材料は、YAG:CeまたはLuAG:Ceのいずれか一方であり、
    前記蛍光体粒子のCe濃度は、0.12at%以上0.60at%以下であり、
    前記透光性の無機材料はシリカ又はリン酸アルミニウムで構成されることを特徴とする蛍光体ホイール。
  2. 前記蛍光体層は、100μm以上200μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1記載の蛍光体ホイール。
  3. 前記基板は、アルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項に記載の蛍光体ホイール。
  4. プロジェクターに用いられるホイールデバイスであって、
    請求項1から請求項のいずれかに記載の蛍光体ホイールと、
    前記蛍光体ホイールを回転させるモーターと、を備えることを特徴とするホイールデバイス。
  5. 励起光を照射する光源と、
    前記光源からの励起光を受ける請求項記載のホイールデバイスと、
    画像を表示する表示デバイスと、
    前記ホイールデバイスから射出された光を用いて前記表示デバイスに表示された画像を外部に投射する投射光学系と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
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