JP6917192B2 - 口腔用組成物 - Google Patents
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例えば、塩化亜鉛を用いた洗口剤が、口臭の原因の一つである揮発性硫黄化合物(VSC)産生の基質となるタンパク質の分解を抑制し、口臭抑制効果をもたらし得ることが検討されている(非特許文献1)。また、特許文献1には、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、サリチル酸亜鉛およびチオシアン酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛塩と、フッ素物塩を併用した口腔衛生組成物が、口臭を抑制し、かつ歯肉炎および歯根膜疾病の予防に有効であることが記載されている。
(A)グリチルレチン酸、トコフェロール、及びトコフェロール誘導体から選ばれる1種又は2種以上の油溶性薬効成分 0.01質量%以上1.5質量%以下、
(B)セタノール(b1)、及びステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコール 4質量%以上30質量%以下、
(C)ノニオン界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下、
(D)平均粒径0.1〜1.0μmの亜鉛化合物0.01質量%以上1.5質量%以下、
(E)水
を含有し、25℃におけるpHが7.0〜12.0である口腔用組成物に関する。
本発明の口腔用組成物は、成分(A)として、グリチルレチン酸、トコフェロール、及びトコフェロール誘導体から選ばれる1種又は2種以上の油溶性薬効成分を0.01質量%以上1.5質量%以下含有する。これにより、抗炎症作用、歯槽骨吸収抑制作用、ヒスタミン遊離抑制作用、血行促進作用等をもたらすことができ、また歯周炎や歯周病等の予防改善作用をもたらすこともできる。
また、成分(A)として、なかでもグリチルレチン酸を含むことが好ましく、グリチルレチン酸の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、またさらに好ましくは0.04質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下である。
また、成分(b1)及び成分(b2)以外の炭素数12以上22以下の高級アルコールである、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコールは、味の観点から、ラウリルアルコールの含有量及びミリスチルアルコールの含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比((ラウリルアルコール+ミリスチルアルコール)/(B))が、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。
また、炭素数24以上の高級アルコールは、安定性の観点から、炭素数24以上の高級アルコールの含有量と成分(B)の含有量との質量比(炭素数24以上の高級アルコール/(B))が、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.01以下であり、さらに好ましくは0.005以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、炭素数24以上の高級アルコールを含有しないことがよりさらに好ましい。
成分(A)としてグリチルレチン酸を含む場合、グリチルレチン酸の含有量と成分(B)の含有量との質量比(グリチルレチン酸/(B))は、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.002以上であり、さらに好ましくは0.003以上である。また、グリチルレチン酸の含有量と成分(B)の含有量との質量比(グリチルレチン酸/(B))は、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。
そして、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、好ましくは0.002〜0.2あり、より好ましくは0.004〜0.15であり、さらに好ましくは0.005〜0.1である。成分(A)としてグリチルレチン酸を含む場合、グリチルレチン酸の含有量と成分(B)の含有量との質量比(グリチルレチン酸/(B))は、好ましくは0.001〜0.1であり、より好ましくは0.002〜0.05であり、さらに好ましくは0.003〜0.01である。
これらのうち、成分(A)の歯茎や口腔内粘膜への吸着性能の観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを併用することがさらに好ましい。
かかるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノミリスチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、優れた起泡性を発揮しつつ低温安定性を高める観点から、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを用いることがさらに好ましい。
成分(D)は、上記成分(A)〜(C)により形成されたαゲルが崩壊するのを抑制し、成分(A)の歯茎や口腔内粘膜への吸着性能を効果的に高める観点から、平均粒径0.1〜1μmであるのが好ましい。粒径がこの範囲の亜鉛化合物は、研磨力を有さないものである。
《亜鉛化合物の平均粒径の求め方》
粉体比表面積測定装置SS−100形(島津社製)を用いて、比表面積を測定する。平均粒径は比表面積より、Kozeny-carmanの式により換算する。なお、式中の記号は、表1に示すものである。
成分(E)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下である。そして、成分(E)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは30〜95質量%であり、より好ましくは40〜92質量%であり、さらに好ましくは50〜92質量%であり、よりさらに好ましくは55〜92質量%である。
成分(F)のアニオン界面活性剤としては、(f1)炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩が好ましい。
(f1)炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩は、成分(A)の歯茎や口腔内粘膜への吸着性能の観点、及び良好な香味を確保する観点から、炭素数12以上であって、好ましくは炭素数14以上であり、より好ましくは16以上であり、炭素数22以下であって、好ましくは炭素数20以下であり、より好ましくは18以下である。また、成分(f1)を構成する脂肪酸は、直鎖であってもよく分岐鎖であってもよいが、成分(A)の歯茎や口腔内粘膜への吸着性能の観点から、直鎖であるのが好ましい。成分(f1)として、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、少なくともステアリン酸又はその塩を含有することがさらに好ましい。また、成分(f1)を構成する塩としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリ金属;アルギニン等の塩基性アミノ酸;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウム;アンモニウム等が挙げられる。なかでも、安定性の観点から、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリ金属が好ましい。
(f2)のアニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;N-ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシン、N−パルミトイルサルコシン、N−ステアロイルサルコシン、N−イソステアロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシン等のアシルサルコシンのナトリウム塩又はカリウム塩;カプリルメチルタウリン、ラウリルメチルタウリン、ミリスチルメチルタウリン、パルミチルメチルタウリン、ステアリルメチルタウリン等のアシルメチルタウリンのナトリウム塩又はカリウム塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ラウリル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン塩、N−ミリストイルサルコシン塩、ラウリルメチルタウリン塩、及びミリスチルメチルタウリン塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムがより好ましい。
多価金属としては、例えばアルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンが挙げられ、これらを含む成分(H)としては、炭酸カルシウム等の水不溶性カルシウム化合物、リン酸水素カルシウム、不溶性メタリン酸カリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
成分(H)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明の口腔用組成物は成分(H)を含有しないのが好ましい。
また、本発明の口腔用組成物は、同様の観点から、ストロンチウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、及びマンガンから選ばれる多価金属の含有量が、金属原子換算量で、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下である。
なお、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、測定方法はJIS K5101−13−2(2004年制定)の方法により、吸収される煮あまに油の量により特定される値を意味する。
pHは、本発明の口腔用組成物10gに、新たに煮沸し冷却した水90mLを加え、よく振り混ぜた液のpHをpH/ION METER F53(HORIBA社製)で測定した値である。
粘度は、粘度測定用の容器に詰め、20℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(VISCOMETER TVB−10 東機産業)を用いて、ロータT−C、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定される。
本発明の口腔用組成物は、好ましくは口腔内に適用し、適用後に水を口腔内に含み嗽して用いる。適用後に水を口腔内に含嗽しても、歯茎又は口腔内粘膜に成分(A)を効果的に吸着させることができる。口腔内への適用方法は、塗布、歯ブラシによるブラッシング、又は含嗽のいずれであってもよく、塗布又は歯ブラシによるブラッシングが好ましい。
表3及び表4に示す処方にしたがい、各口腔用組成物を製造した。
具体的には、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を80℃(80〜82℃)に加温して混合し、約10分間撹拌した。次いで、成分(E)を添加して混合した後、その他の成分を添加して10分間混合した。室温まで冷後、成分(D)を添加して混合することにより、口腔用組成物を得た。
得られた各口腔用組成物を用い、下記方法にしたがってpH及びβ−グリチルレチン酸の吸着量を測定し、β−グリチルレチン酸の吸着の上昇率を求め、味を評価し、α−ゲルの形成の観察を行った。
結果を表2に示す。
各口腔用組成物10gに、新たに煮沸し冷却した水90mLを加え、よく振り混ぜた液について、25℃のpHをpH/ION METER F53(HORIBA社製)で測定した。
各口腔用組成物と、成分(D)を含有しない以外は同じ組成(差分は水分)の口腔用組成物を製造した。
調製してから24時間室温(25℃)で保存後の各口腔用組成物(成分(D)配合、成分(D)未配合とも)2.0gを、豚下顎臼歯部舌側角化歯肉に塗布し、3分間接触させてから、精製水を含浸させた歯科用綿花で3回清拭後、精製水5mLで5回洗浄した。その後、塗布部歯肉を直径6mmの生検トレパンで採取した。採取した歯肉片はメタノール1mLに浸漬し、90分間超音波(SIBATA)にてβ−グリチルレチン酸を抽出した。メタノール中のβ−グリチルレチン酸の量は液体高速クロマトグラフィー(LC/MS/MS)を用いて下記の条件によりにて測定した。
得られたβ−グリチルレチン酸の吸着量から、吸着の上昇率(成分(D)配合の口腔用組成物の吸着量/成分(D)未配合の口腔用組成物の吸着量)を求めた。
装置:
MS:AB sciex Triple Quad4500
HPLC:Shimazu Nexcera
溶離液:(表2)
カラム:Capcell core C182.7μm 2.1*50
MS/MS(469.2/425.4)検出
流量、温度:0.5mL/min、40℃
注入量:5μL
専門パネラーにより、各口腔用組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の金属味について、金属味を全く感じない場合を「○」、金属味を感じる場合を「×」として判定した。
得られた各口腔用組成物を用い、広角X線回折によりα−ゲルが形成されているか否かを確認した。具体的には、広角X線回折においてBragg角=21〜22°付近に鋭い1本の回折ピークが現れるか否かにより、α−ゲルの形成の有無を判断した。
具体的には、Bragg角=21〜23°付近に鋭い1本の回折ピークが認められ、α−ゲル構造が形成されてなる組成物であることが確認された場合を「○」と評価し、かかるピークが確認されなかった場合を「×」と評価した。
Claims (6)
- 次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)グリチルレチン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール及びニコチン酸トコフェロールから選ばれる1種又は2種以上の油溶性薬効成分 0.01質量%以上1.5質量%以下、
(B)セタノール(b1)、及びステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコール 4質量%以上30質量%以下、
(C)ノニオン界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下、
(D)平均粒径0.1〜1μmの亜鉛化合物 0.01質量%以上1.5質量%以下、
(E)水
を含有し、25℃におけるpHが7.0〜12.0である口腔用組成物。 - 成分(B)の含有量と、成分(C)の含有量との質量比((B)/(C))が、1〜20である請求項1記載の口腔用組成物。
- 成分(C)が、ソルビタン脂肪酸エステル(c1)、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(c2)から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
- 成分(A)、(B)及び香料以外の油剤(G)の含有量と、成分(B)の含有量との質量比((G)/(B))が、1未満である請求項1〜3に記載の口腔用組成物。
- 成分(b1)および成分(b2)の合計含有量{(b1)+(b2)}と、成分(D)の質量比{(b1)+(b2)}/(D)が、200〜1000である請求項1〜4に記載の口腔用組成物。
- 多価金属を含む研磨性粉体(H)の含有量が、5質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
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