JP6916637B2 - 硬化物の塗布方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物を吐出する吐出装置、および硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法に関する。
従来、硬化性樹脂組成物を吐出する吐出装置が種々提案されている。特許文献1,2には、粘性液体(硬化性樹脂組成物)を充填したプラスチック容器を加圧タンクに収容し、当該加圧タンク内を圧縮空気で加圧することによって柔軟性を有するプラスチック容器を押し潰して、塗布ノズルから粘性液体を吐出して塗布する塗布装置(吐出装置)が記載されている。
また、特許文献3には、液体タンクに充填した湿気硬化型接着剤(硬化性樹脂組成物)を、圧力移動プランジャーによる圧力によってシリンダに充填し、当該シリンダからノズルを介して湿気硬化型接着剤を吐出する液体吐出装置(吐出装置)が記載されている。
特開2012−192343号公報(2012年10月11日公開) 特開2012−223715号公報(2012年11月15日公開) 特開2014−217795号公報(2014年11月20日公開)
特許文献1,2に記載されている塗布装置では、吐出されないでプラスチック容器に残留する粘性液体が多くなり、当該粘性液体のロスを招くという問題点を有している。
また、特許文献3に記載されている塗布装置では、液体タンクに充填した湿気硬化型接着剤の硬化を抑制することに関しては、何ら考慮がなされていない。
本発明は、カートリッジを用いることにより、用途等に応じて硬化性樹脂組成物を簡便に取り換えることができ、また、タンクに供給した硬化性樹脂組成物の硬化を抑制することができると共に、硬化性樹脂組成物のロスが実質的に生じない吐出装置、および当該吐出装置を用いた、硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討した結果、硬化性樹脂組成物が充填されてプランジャーで封止された容器であるカートリッジと、カートリッジを収容して上記硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給する一次タンクとを備えた吐出装置において、一次タンク内を気体によって加圧することによって、容器内壁との接触面に潤滑剤が塗布されている上記プランジャーを摺動させて、硬化性樹脂組成物を二次タンクに向かって供給する構成とすることにより、用途等に応じて硬化性樹脂組成物を簡便に取り換えることができ、また、一次タンクに供給した硬化性樹脂組成物の硬化を抑制することができると共に、硬化性樹脂組成物のロスが実質的に生じない吐出装置、および当該吐出装置を用いた、硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔11〕に記載の発明を含む。
〔1〕 硬化性樹脂組成物が充填されてプランジャーで封止された容器であるカートリッジと、当該カートリッジを収容して上記硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給する一次タンクと、当該一次タンクから供給された硬化性樹脂組成物が充填され、当該硬化性樹脂組成物を吐出する吐出口を有する二次タンクとを備えた吐出装置であって、上記プランジャーは、一次タンクの供給方向に向かって上記容器内を摺動可能となっており、上記一次タンクは、気体による加圧によって上記プランジャーを摺動させてカートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに向かって供給するようになっており、上記プランジャーにおける容器内壁との接触面に潤滑剤が塗布されている、吐出装置。
〔2〕 上記潤滑剤が0.2mm以上の厚さでプランジャーの接触面に塗布されている、〔1〕に記載の吐出装置。
〔3〕 上記潤滑剤の100℃における粘度が100Pa・s以下である、〔1〕または〔2〕に記載の吐出装置。
〔4〕 上記気体による加圧が0.1MPa〜0.7MPa(ゲージ圧)の範囲内である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の吐出装置。
〔5〕 硬化性樹脂組成物の吐出開始時から吐出終了時までの期間のうちの90%以上の時間で、上記気体による加圧が行われるようになっている、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の吐出装置。
〔6〕 上記硬化性樹脂組成物がシラノール縮合反応型の硬化性液状樹脂を含有している、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の吐出装置。
〔7〕 硬化性樹脂組成物が充填されてプランジャーで封止された容器であるカートリッジを収容した一次タンクから、上記硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給し、二次タンクから吐出口を介して当該硬化性樹脂組成物を吐出することにより、硬化性樹脂組成物からなる硬化物を形成する硬化物の製造方法であって、上記プランジャーは、一次タンクの供給方向に向かって上記容器内を摺動可能であり、プランジャーにおける容器内壁との接触面に潤滑剤が塗布されており、上記一次タンク内を気体によって加圧することによって上記プランジャーを摺動させて、カートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに向かって供給する工程を含む、硬化物の製造方法。
〔8〕 上記気体による加圧が0.1MPa〜0.7MPa(ゲージ圧)の範囲内である、〔7〕に記載の硬化物の製造方法。
〔9〕 硬化性樹脂組成物の吐出開始時から吐出終了時までの期間のうちの90%以上の時間で、上記気体による加圧を行う、〔7〕または〔8〕に記載の硬化物の製造方法。
〔10〕 上記硬化性樹脂組成物がシラノール縮合反応型の硬化性液状樹脂を含有している、〔7〕〜〔9〕の何れか一項に記載の硬化物の製造方法。
〔11〕 硬化物が塗膜である、〔7〕〜〔10〕の何れか一項に記載の硬化物の製造方法。
本発明の一態様によれば、用途等に応じて硬化性樹脂組成物を簡便に取り換えることができ、また、一次タンクに供給した硬化性樹脂組成物の硬化を抑制することができると共に、硬化性樹脂組成物のロスが実質的に生じない吐出装置、および当該吐出装置を用いた、硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係る吐出装置の概略の正面図である。 上記吐出装置が備える一次タンクの断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。尚、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、「質量」と「重量」は同義語であると見なす。さらに、「加圧」とは1気圧(大気圧)を超えた圧力にする状態を意味し、「脱圧」とは加圧を解除して1気圧(大気圧)に戻す状態を意味する。また、「加圧」と「陽圧」は同義語であると見なす。
〔吐出装置〕
本発明の実施の形態に係る吐出装置は、図1,2に示すように、硬化性樹脂組成物10が充填されてプランジャー12で封止された容器14であるカートリッジ11と、当該カートリッジ11を収容して上記硬化性樹脂組成物10を二次タンク2に供給する一次タンク1と、当該一次タンク1から供給された硬化性樹脂組成物10が充填され、当該硬化性樹脂組成物10を吐出するノズル(吐出口)4を有する二次タンク2とを備えた吐出装置であって、上記プランジャー12は、一次タンク1の供給方向(図2では下方向)に向かって容器14内を摺動可能となっており、上記一次タンク1は、気体による加圧によって上記プランジャー12を摺動させてカートリッジ11内の硬化性樹脂組成物10を二次タンク2に向かって供給するようになっており、上記プランジャー12における容器14内壁との接触面に潤滑剤13が塗布されている構成である。一次タンク1と二次タンク2は、連結部3で互いに連結されている。一次タンク1は、当該一次タンク1内に気体を供給する供給口を備えた螺着式の蓋1aを有している。カートリッジ11は、容器14における供給方向側(図2では下側)の先端部11aの中央部分が解放状態で一次タンク1に収容される。尚、吐出装置は、その動作を制御する制御装置(図示しない)を備えている。また、吐出装置の大きさは、その用途等に応じて適宜設定される。
一次タンク1は、硬化性樹脂組成物10を保管する保管タンクとしての機能も備えている。一次タンク1の蓋1aには、一次タンク1内を気体によって加圧する第一の加圧ポンプ(図示しない)が接続されている。二次タンク2は、硬化性樹脂組成物10を貯蔵する貯留ユニットとしての機能も備えている。二次タンク2には、硬化性樹脂組成物10を吐出させるために二次タンク2内を気体によって加圧する第二の加圧ポンプ(図示しない)が接続されている。尚、第一および第二の加圧ポンプを用いる代わりに、一つの加圧ポンプを用い、分岐させて第一および第二の加圧ポンプと同等の構成とすることもできる。
本発明の実施の形態に係る吐出装置は、より好ましくは硬化性樹脂組成物を塗布する塗布装置である。吐出装置の一態様である塗布装置では、ノズル4は、硬化性樹脂組成物10を吐出して例えば電子機器や基板、発熱体の表面に塗布することが可能な構成になっている。
以下、吐出装置が備える各構成に関してさらに説明する。
<一次タンク>
カートリッジを収容する一次タンクは、例えばステンレス(SUS等)からなる有底円筒形状の耐圧容器であり、その供給方向の先端(底)部分に連結部が連結され、カートリッジの挿入部分に蓋が螺着されている。一次タンクは、カートリッジを収容した後、密閉され、第一の加圧ポンプによって空気等の気体が供給されて内部が加圧されることにより、カートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給するようになっている。
上記気体による加圧は、0.1MPa〜0.7MPa(ゲージ圧)の範囲内であることが好ましく、0.2MPa〜0.6MPa(ゲージ圧)の範囲内であることがより好ましい。従って、一次タンクは、少なくとも0.7MPa程度(ゲージ圧)の圧力に耐え得る構造であることが望ましい。
また、一次タンクでは、加圧および脱圧を繰り返すと、圧力の変化によってカートリッジが変形して、容器内壁とプランジャーとの間に隙間が生じ、この隙間から気体がカートリッジ内に入り込んで硬化性樹脂組成物が硬化するおそれがある。それゆえ、一次タンクは、カートリッジの使用期間である、硬化性樹脂組成物の吐出開始時から吐出終了時までの期間のうちの90%以上の時間で、より好ましくは実質的に100%以上の時間で、上記気体による加圧が行われるようになっていることが望ましい。本明細書においては、上記90%以上の時間で気体による加圧が行われることを「常時加圧」と称する。
本発明の実施の形態に係る一次タンクは、硬化性樹脂組成物を直接、充填する構成となっておらず、カートリッジを収容するようになっているので、用途等に応じて硬化性樹脂組成物(即ち、カートリッジ)を簡便に取り換えることができ、使用後の清掃も簡便である。
<二次タンク>
二次タンクは、例えばステンレス(SUS等)からなる耐圧容器であり、連結部で一次タンクと連結され、その先端(底)部分における開口部の吐出口には、流路の開閉および調節を行う調整弁であるバルブを介してノズルが設けられている。これにより、二次タンクは、硬化性樹脂組成物を定量塗布する機能を有している。尚、耐圧容器の形状は、特に限定されるものではない。
二次タンクは、一次タンクから供給された硬化性樹脂組成物をその内部に一旦貯留し、第二の加圧ポンプで加圧されることによって当該硬化性樹脂組成物をノズルから吐出するようになっている。二次タンクにおける硬化性樹脂組成物の吐出量および吐出時間は、第二の加圧ポンプによる加圧および脱圧が制御装置によって制御されることによって調節されるようになっている。
尚、二次タンクの容量は一次タンクの容量と比較して小さく、カートリッジの使用期間においては、一次タンクから供給された硬化性樹脂組成物が長時間、二次タンク内に貯留されることはない。
<カートリッジ>
カートリッジは、円板状のプランジャーで封止された有底円筒形状の容器であり、一次タンクに収容されるときには、容器における供給方向側の先端部(以下、「天面部」と称する)の中央部分は解放状態とされる。カートリッジの大きさは、一次タンクの大きさに合わせて調整すればよく、具体的には、カートリッジの出し入れに支障の無い範囲で、一次タンク内壁との間に隙間が実質的に生じない大きさとすればよい。但し、カートリッジは、一次タンクへの挿入の容易さ、および作業者の作業性等を考慮して、片手で取り扱い可能なサイズであることが好ましい。尚、使用前のカートリッジは、上記天面部の中央部分がシール等の封止材で封止されており、当該封止材は使用の直前に除去される。また、使用後のカートリッジは廃棄される。
容器に硬化性樹脂組成物が充填され、容器の内周面の端部(供給方向とは逆側の端部)に潤滑剤が塗布された後、プランジャーで封止されることにより、カートリッジが構成される。
(容器)
硬化性樹脂組成物が充填される容器としては、例えば、シーラントカートリッジ、ペール缶、グリース缶、一斗缶等が挙げられる。具体的には、容器としては、例えば、供給方向側の長さ約200mm、外径約50mm、厚さ約1.15mmの、高密度ポリエチレン(HDPE)製の有底円筒形状の容器、または、アルミニウム箔を積層した紙製の有底円筒形状の容器が挙げられる。
そして、高密度ポリエチレン製の有底円筒形状の容器を用いる場合には、ガスバリア性を高めるために、例えば、厚さ約16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ約7μmのアルミニウム箔と、厚さ約20μmの低密度ポリエチレンフィルムとを積層することによって形成されたアルミラミネートフィルムを容器の側面部に用い、例えば、厚さ約16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ約40μmのアルミニウム箔と、厚さ約20μmの低密度ポリエチレンフィルムとを積層することによって形成されたアルミラミネートフィルムを容器の天面部に用いた高密度ポリエチレン製の有底円筒形状の容器が好適である。
但し、容器の大きさおよび材質は、カートリッジの取り扱い性や充填される硬化性樹脂組成物の組成等を考慮して、適宜設定すればよい。
(プランジャー)
容器を封止し、加圧されることによって供給方向側に摺動可能なプランジャーは、外形が円板状であり、加圧時における姿勢を安定させて容器内の硬化性樹脂組成物を安定に押し出すことができるように、硬化性樹脂組成物が充填される側の面が凹んだ「コ」字形状を有している。プランジャーとしては、例えば、供給方向側の長さ約20mm、外径約48mm、厚さ約1.2mmの高密度ポリエチレン製プランジャー、または、長さ約20mm、外径約48mm、厚さ約0.2mmのスチール若しくはSUS製プランジャーが挙げられる。
但し、プランジャーの大きさおよび材質は、容器の大きさおよび材質や充填される硬化性樹脂組成物の組成等を考慮して、適宜設定すればよい。
そして、プランジャーにおける上記容器内壁(内周面ともいう)との接触面には、潤滑剤が塗布されている。つまり、プランジャーの側面(接触面)には、容器の内周面との隙間を埋めて硬化性樹脂組成物と気体との接触(即ち、湿分との接触による硬化性樹脂組成物の硬化)を防ぐと共にプランジャーを円滑に摺動させることができるように、半固形状の潤滑剤が塗布されている。
上記接触面に塗布される潤滑剤の厚さは、潤滑剤の粘度等に応じて設定すればよいものの、具体的には、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。厚さの上限値は、2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。潤滑剤の厚さが0.2mm以上であれば、塗布による効果を十分に発現することができる。
上記潤滑剤の100℃における粘度は、通常、100Pa・s以下であり、80Pa・s以下であることがより好ましく、30Pa・s以下であることがさらに好ましい。潤滑剤の100℃における粘度が100Pa・s以下であれば、塗布による効果を十分に発現することができる。粘度の下限値は、接触面に塗布した後、当該接触面に留まることができるように、0.001Pa・s以上であることが好ましいものの、特に制限は無い。上記粘度は、B型粘度計を用いて測定した値である。
潤滑剤は、上記粘度を有し、硬化性樹脂組成物の物性や硬化性に悪影響を及ぼさない組成であればよく、特に限定されるものではない。上記潤滑剤としては、例えば、炭化水素系潤滑剤が好適である。また、例えば、グリースとして市販されている三井化学(株)製のハイワックスを、上記潤滑剤として好適に用いることができる。さらに、上記潤滑剤は、武蔵エンジニアリング(株)製のSVMシリーズを用いて塗布することができる。
尚、容器の内周面の端部(供給方向とは逆側の端部)に潤滑剤を塗布した後、容器にプランジャーを挿入する代わりに、プランジャーの接触面に潤滑剤を塗布することも可能である。本明細書においては、容器の内周面の端部に潤滑剤を塗布した場合においても、プランジャーの接触面に潤滑剤を塗布した場合と同様に、プランジャーの接触面に潤滑剤が塗布されていると見なして、当該潤滑剤の厚さ等を規定している。
<硬化性樹脂組成物>
本実施の形態に係る硬化性樹脂組成物は、カートリッジに充填され、吐出後に塗膜等の硬化物を形成する樹脂組成物であって、硬化性液状樹脂を含有している。上記硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化性液状樹脂を硬化させるための硬化触媒、開始剤、熱老化防止剤、可塑剤、増量剤、チクソ性付与剤、貯蔵安定剤、脱水剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、難燃剤、電磁波吸収剤、充填材、溶剤等の各種添加剤が、用途に応じて適宜添加されていてもよい。
そして、上記硬化性樹脂組成物は、例えば電子機器や基板、発熱体の表面に塗布されて塗膜を形成する用途等に用いる場合には、熱伝導性充填材をさらに含有していることが好ましい。熱伝導性充填材を含有する硬化性樹脂組成物は、硬化物の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上となる樹脂組成物であることがより好ましく、0.8W/(m・K)以上となる樹脂組成物であることがさらに好ましく、1.0W/(m・K)以上となる樹脂組成物であることが特に好ましい。また、上記硬化性樹脂組成物は、硬化物の熱伝導率が100W/(m・K)以下となる樹脂組成物であることがより好ましい。これにより、上記硬化性樹脂組成物を電子機器等の表面に塗布して塗膜を形成したときに、当該塗膜によって電子機器等で発生した熱を効率的に逃がすことができる。尚、本明細書においては、硬化物の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上となる硬化性樹脂組成物を、熱伝導性硬化性樹脂組成物と称する場合がある。
(硬化性液状樹脂)
硬化性液状樹脂は、分子内に反応性基を有し、その反応性基の反応によって硬化することが可能な液状樹脂である。上記硬化性液状樹脂の具体例としては、例えば、硬化性アクリル系樹脂、硬化性メタクリル系樹脂、硬化性ポリプロピレンオキサイド系樹脂に代表される硬化性ポリエーテル系樹脂;硬化性ポリイソブチレン系樹脂に代表される硬化性ポリオレフィン系樹脂;シリコーン系樹脂;等が挙げられる。反応性基の具体例としては、例えば、エポキシ基、加水分解性シリル基、ビニル基、アクリロイル基、SiH基、ウレタン基、カルボジイミド基、或いは、無水カルボン酸基とアミノ基との組み合わせ、等の反応性官能基が挙げられる。
そして、組み合わされた2種類の反応性基の反応、或いは、反応性基と上記硬化触媒との反応、によって硬化する硬化性液状樹脂を得る場合には、2液型組成物として準備した後、例えば電子機器や基板、発熱体に塗布するときに2液を混合して当該硬化性液状樹脂とする。加水分解性シリル基の反応によって硬化する硬化性液状樹脂の場合には、空気中の水分(湿分)との反応によって硬化することから、一液型室温硬化性組成物とすることも可能である。ビニル基とSiH基と白金触媒(硬化触媒)との組み合わせによって硬化する硬化性液状樹脂、アクリロイル基とラジカル開始剤(開始剤)との組み合わせによって硬化する硬化性液状樹脂、等の場合には、一液型硬化性組成物或いは二液型硬化性組成物とした後、架橋温度にまで加熱したり、紫外線や電子線等の架橋エネルギーを付与したりすることによって、硬化させることもできる。一般的に、放熱構造体全体を或る程度加熱することが容易である場合には、加熱硬化型組成物を用いることが好ましく、放熱構造体の加熱が困難である場合には、二液型硬化性組成物を用いるか、湿分硬化型組成物を用いることが好ましいものの、これらに限定されるものではない。
硬化性液状樹脂の中でも、シラノール縮合反応型の硬化性液状樹脂がより好ましい。また、硬化性液状樹脂の中でも、低分子量シロキサンによる電子機器内の汚染の問題が少ないこと、耐熱性に優れていること等から、硬化性アクリル系樹脂または硬化性ポリプロピレンオキサイド系樹脂を用いることが好ましい。硬化性アクリル系樹脂としては、公知の様々な反応性アクリル樹脂を用いることができる。この中でも、分子末端に反応性基を有するアクリル系オリゴマーを用いることが好ましい。硬化性アクリル系樹脂としては、リビングラジカル重合、特に原子移動ラジカル重合にて製造された硬化性アクリル系樹脂と、硬化触媒との組み合わせが最も好ましい。このような硬化性アクリル系樹脂の例として、(株)カネカ製のカネカXMAPが知られている。また、硬化性ポリプロピレンオキサイド系樹脂としては、公知の様々な反応性ポリプロピレンオキサイド樹脂を用いることができる。このような反応性ポリプロピレンオキサイド樹脂の例として、(株)カネカ製のカネカMSポリマーが知られている。硬化性液状樹脂は、2種類以上を併用することもできる。
(熱伝導性充填材)
熱伝導性硬化性樹脂組成物(およびその硬化物)に用いられる熱伝導性充填材としては、熱伝導率、入手の容易性、充填性、毒性、および、絶縁性や電磁波吸収性等の電気特性等の種々の観点から、例えば、グラファイト、ダイヤモンド等の炭素化合物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物;炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化ケイ素等の金属炭化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;結晶性シリカ;アクリロニトリル系ポリマー焼成物、フラン樹脂焼成物、クレゾール樹脂焼成物、ポリ塩化ビニル焼成物、砂糖の焼成物、木炭の焼成物等の有機性ポリマー焼成物;Znフェライトとの複合フェライト;Fe−Al−Si系三元合金;金属粉末;等が挙げられる。これらの中でも、窒化ホウ素、酸化アルミニウムがより好ましい。
また、熱伝導性充填材は、硬化性液状樹脂に対する分散性が向上することから、シランカップリング剤(ビニルシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、イソシアナートシラン、クロロシラン、アミノシラン等)やチタネートカップリング剤(アルコキシチタネート、アミノチタネート等)、または、脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸;ソルビン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸等)や樹脂酸(アビエチン酸、ピマル酸、レボピマール酸、ネオアピチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、コルム酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等)等によって、その表面が処理されていることが好ましい。
熱伝導性充填材の使用量は、硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の熱伝導率を高くすることができることから、硬化性樹脂組成物に占める熱伝導性充填材の容積率(容量%)が25容量%以上となる量であることが好ましい。熱伝導性充填材の使用量が25容量%よりも少ない場合には、硬化物の熱伝導性が十分でなくなる傾向がある。より高い熱伝導率を望む場合には、熱伝導性充填材の使用量を、30容量%以上とすることがより好ましく、40容量%以上とすることがさらに好ましく、50容量%以上とすることが特に好ましい。また、熱伝導性充填材の使用量は、90容量%以下であることが好ましい。熱伝導性充填材の使用量が90容量%よりも多い場合には、硬化前の熱伝導性硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることがある。
ここで、熱伝導性充填材の容積率(容量%)とは、硬化性液状樹脂分(熱伝導性充填材を除いた硬化性樹脂組成物)および熱伝導性充填材の、それぞれの重量分率と比重とから算出される数値であり、次式(1)によって算出される。尚、式(1)では硬化性液状樹脂分を単に「樹脂分」と記載し、熱伝導性充填材を単に「充填材」と記載した。
充填材の容積率(容量%)=(充填材の重量分率/充填材の比重)÷[(樹脂分の重量分率/樹脂分の比重)+(充填材の重量分率/充填材の比重)]×100 …(1)。
硬化性液状樹脂分に対する熱伝導性充填材の容積率を高める一手法としては、粒子径が互いに異なる2種類以上の熱伝導性充填材を併用することが好適である。この場合には、粒子径がより大きい熱伝導性充填材として粒子径が10μmを超える熱伝導性充填材を用い、粒子径がより小さい熱伝導性充填材として粒子径が10μm以下の熱伝導性充填材を用いることが好ましい。
また、2種類以上の熱伝導性充填材を併用する場合には、これら熱伝導性充填材は、同一組成の熱伝導性充填材であってもよく、互いに異なる組成の熱伝導性充填材であってもよい。
さらに、最大粒子径の小さな熱伝導性充填材を適宜組み合わせることによって硬化物の薄膜性を担保することができる。上記最大粒子径は、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。最大粒子径の小さな熱伝導性充填材を用いることにより、狭い隙間にも硬化性樹脂組成物を流し込むことができる。
〔硬化物の製造方法〕
本発明の実施の形態に係る硬化物の製造方法は、硬化性樹脂組成物が充填されてプランジャーで封止された容器であるカートリッジを収容した一次タンクから、上記硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給し、二次タンクから吐出口を介して当該硬化性樹脂組成物を吐出することにより、硬化性樹脂組成物からなる硬化物を形成する硬化物の製造方法であって、上記プランジャーは、一次タンクの供給方向に向かって上記容器内を摺動可能であり、プランジャーにおける容器内壁との接触面に潤滑剤が塗布されており、上記一次タンク内を気体によって加圧することによって上記プランジャーを摺動させて、カートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに向かって供給する工程を含む方法である。具体的には、本発明の実施の形態に係る吐出装置を用いた硬化物の製造方法においては、先ず、一次タンクが第一の加圧ポンプによって加圧され、硬化性樹脂組成物が連結部を介して二次タンクに供給される。そして、二次タンクに供給された硬化性樹脂組成物は、第二の加圧ポンプによって加圧され、ノズルを介して吐出され、例えば電子機器や基板、発熱体の表面に塗布される。
塗布された上記硬化性樹脂組成物は、空気中の水分(湿分)との接触によって硬化し、硬化物を形成する。硬化性樹脂組成物を例えば電子機器や基板、発熱体の表面に塗布して硬化させた場合には、硬化物として塗膜が形成される。
一次タンク内の加圧に用いる気体は、空気であることが好ましい。当該空気は、調湿されている必要はなく、例えば、コンプレッサーから供給される圧縮空気が好適である。但し、気体として、必要に応じて窒素ガスを用いることもできる。
上記気体による加圧は、0.1MPa〜0.7MPa(ゲージ圧)の範囲内であることが好ましく、0.3MPa〜0.6MPa(ゲージ圧)の範囲内であることがより好ましい。また、上記気体による加圧は、上述した常時加圧であることが好ましい。
加圧および脱圧、硬化性樹脂組成物の吐出等の、硬化物の製造方法における吐出装置の一連の動作は、制御装置によって制御すればよいものの、作業者が適宜手動で行うことも可能である。
尚、本発明は、以下の通りに表現することもできる。
{1}一次タンク、カートリッジ、二次タンクおよび吐出口を有する硬化性樹脂組成物の塗布装置であって、一次タンク内には、カートリッジ、硬化性樹脂組成物、プランジャー、グリースおよび気体が配置され、カートリッジの内部は、プランジャーにより吐出部側と吐出部の反対側に分割され、カートリッジの吐出部側には硬化性樹脂組成物が配置され、カートリッジの吐出部の反対側には気体が配置され、カートリッジの内壁とプランジャーが接触する部分にグリースが配置されている塗布装置。
{2}一次タンク内に配置されたカートリッジ中の気体部分の圧力を陽圧とすることにより、カートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給し、さらに二次タンクから吐出口に硬化性樹脂組成物を供給する、硬化性樹脂組成物の塗膜の製造方法であって、一次タンク内には、カートリッジ、硬化性樹脂組成物、プランジャー、グリースおよび気体が配置され、カートリッジの内部は、プランジャーにより吐出部側と吐出部の反対側に分割され、カートリッジの吐出部側には硬化性樹脂組成物が配置され、カートリッジの吐出部の反対側には気体が配置され、カートリッジの内壁とプランジャーが接触する部分にグリースが配置されている、硬化性樹脂組成物の塗膜の製造方法。
{3}硬化性樹脂組成物が、シラノール縮合反応タイプの硬化性液状樹脂を含有するものである、{2}記載の塗膜の製造方法。
{4}硬化性樹脂組成物の塗布開始から塗布終了までの時間の90%以上で、硬化性樹脂組成物が充填されたカートリッジ中の気体部分を陽圧とする、{2}記載の塗膜の製造方法。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(塗布装置の構成)
実施例で用いた吐出装置としての塗布装置の構成は、以下の通りである。
一次タンク(武蔵エンジニアリング(株)製:SCS−330シリーズ)と、二次タンク(武蔵エンジニアリング(株)製:PCV−12、若しくはNordson EFD 社:NCV−17)とを、配管(連結部)を介して接続した。上記二次タンクの開口部の吐出口に、塗布ノズルを接続した。そして、一次タンクおよび二次タンクに、圧縮空気を送り込むゲージ付のコンプレッサーおよび制御装置(武蔵エンジニアリング(株)製:VALVE MASTER ME-5000VT、若しくはNordson EFD 社:スクリューバルブコントロール)をそれぞれ接続した。具体的には、第一の加圧ポンプを制御装置に接続すると共に、制御装置を介して一次タンクと接続した。また、第二の加圧ポンプを制御装置に接続すると共に、制御装置を介して二次タンクと接続した。これにより、塗布装置とした。
(塗布の方法)
先ず、熱伝導性硬化性樹脂組成物を充填した有底円筒形状のカートリッジを、一次タンクに挿入した。そして、一次タンクに接続したコンプレッサーのゲージ圧を制御することにより、カートリッジに掛ける圧力が一次タンクの耐圧範囲を超えないようにした。また、二次タンクに接続した制御装置で二次タンク内の圧力を調整することにより、塗布ノズルから吐出される熱伝導性硬化性樹脂組成物の吐出量を制御することによって塗布量を調整した。これにより、熱伝導性硬化性樹脂組成物を塗布した。
(カートリッジの作成方法)
先ず、シリンジに、グリース(潤滑剤)を霧状に噴射するためのバルブを接続した。次いで、上記シリンジにグリースを充填し、バルブからグリースを霧状に噴射させて、容器の内周面の端部(供給方向とは逆側の端部)にグリースを塗布した後、グリースに触れないようにして熱伝導性硬化性樹脂組成物を充填した。その後、プランジャーを容器に挿入して、カートリッジを作成した。
上記グリースとして、三井化学(株)製のハイワックスシリーズを使用した。使用したグリースの140℃における粘度は、600mPa・sであった。上記粘度は、B型粘度計を用いて測定した値である。
上記グリースは、容器の内周面の上記端部から供給方向に向かって20mm以上の幅となるように、かつ、少なくとも0.2mm以上の厚さとなるように均一に塗布した。
尚、カートリッジの大きさは、一次タンク内壁との間に隙間が実質的に生じない大きさとした。
(カートリッジ内で硬化した熱伝導性硬化性樹脂組成物の量の測定方法)
充填前の空のカートリッジの重量(容器、プランジャーおよびグリースの重量)と、熱伝導性硬化性樹脂組成物を充填した塗布試験前のカートリッジの重量(熱伝導性硬化性樹脂組成物、容器、プランジャーおよびグリースの重量)とを測定した。
続いて、カートリッジの天面部の中央部分を封止しているシールを剥がした後、当該カートリッジを一次タンクに挿入し、蓋をして第一の加圧ポンプとの接続部および二次タンクとの連結部を閉鎖した。これにより、一次タンクが完全に密閉されていることを確認した上で、第一の加圧ポンプから一次タンクへ圧縮空気を送り込み、一次タンク内全体を加圧した。また、第二の加圧ポンプから二次タンクへ圧縮空気を送り込み、二次タンク内全体を加圧した。尚、圧縮空気には、湿度を調節していない空気(大気)を用いた。
次に、第一の加圧ポンプにより一次タンクを加圧し、第二の加圧ポンプによって二次タンクの加圧を制御した状態で、第一,第二の加圧ポンプの圧力を、表1に記載されている圧力に設定した。そして、第一,第二の加圧ポンプの運転条件(塗布条件)を設定して塗布試験の開始準備を整えた後、カートリッジ内の熱伝導性硬化性樹脂組成物を全て塗布するのに十分な時間(例えば12時間)、継続して塗布試験を実施した。
所定の時間経過後(例えば24時間後)に、一次タンクからカートリッジを取り出し、塗布後のカートリッジの重量(残存している熱伝導性硬化性樹脂組成物、容器、プランジャーおよびグリースの重量)を測定した。そして、空のカートリッジの重量および塗布試験前のカートリッジの重量との差分から、カートリッジに残存している熱伝導性硬化性樹脂組成物の量、つまり、カートリッジ内で硬化した熱伝導性硬化性樹脂組成物の量(ロスの量)を算出した。
〔合成例1〕
容量250Lの反応機に、窒素ガス雰囲気下で、CuBr(1.09kg)、アセトニトリル(11.4kg)、アクリル酸ブチル(26.0kg)、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(2.28kg)を加え、70〜80℃で30分間程度攪拌した。得られた混合液に、ペンタメチルジエチレントリアミンを加え、反応を開始した。反応を開始してから30分間経過した後から、2時間かけて、アクリル酸ブチル(104kg)を連続的に追加した。また、反応の途中でペンタメチルジエチレントリアミンを適宜添加し、内温(反応液の温度)が70℃〜90℃になるようにした。反応に使用したペンタメチルジエチレントリアミンは、総量で220gであった。反応を開始してから4時間経過後、80℃で減圧下、加熱攪拌することによって揮発分を除去した。得られた残留物に、アセトニトリル(45.7kg)、1,7−オクタジエン(14.0kg)、およびペンタメチルジエチレントリアミン(439g)を添加して、8時間攪拌を続けた。その後、得られた混合物を80℃で減圧下、加熱攪拌することによって揮発分を除去した。
得られた濃縮物にトルエンを加え、濃縮物に含まれる重合体を溶解させた後、ろ過助剤としての珪藻土、吸着剤としての珪酸アルミニウムおよびハイドロタルサイトを加え、酸素−窒素混合ガス雰囲気下(酸素濃度6%)、内温(溶液の温度)100℃で加熱攪拌した。溶液中の固形分をろ過して除去し、ろ液を内温100℃で減圧下、加熱攪拌することによって揮発分を除去した。
さらに、得られた濃縮物に、吸着剤としての珪酸アルミニウムおよびハイドロタルサイト、並びに熱劣化防止剤を加え、減圧下、加熱攪拌した(平均温度約175℃、減圧度10Torr以下)。その後、吸着剤としての珪酸アルミニウムおよびハイドロタルサイトをさらに追加し、酸化防止剤を加えて、酸素−窒素混合ガス雰囲気下(酸素濃度6%)、内温150℃で加熱攪拌した。
得られた濃縮物にトルエンを加え、濃縮物に含まれる重合体を溶解させた後、溶液中の固形分をろ過して除去し、ろ液を減圧下で加熱攪拌して揮発分を除去した。これにより、アルケニル基を有する重合体を得た。
このアルケニル基を有する重合体に、ジメトキシメチルシラン(アルケニル基に対して2.0モル当量)、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1.0モル当量)、および白金錯体触媒であるビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)のキシレン溶液(重合体1kgに対して白金10mgとなる量)を混合し、窒素ガス雰囲気下、100℃で加熱攪拌して反応させた。そして、アルケニル基が消失したことを確認した後、反応混合物を濃縮して、末端にジメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)からなる樹脂(I−1)を得た。得られた重合体の数平均分子量は約26,000、分子量分布は1.3であった。重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数をH-NMR分析により求めたところ、約1.8個であった。
〔合成例2〕
数平均分子量が約2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が25,500の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た。尚、水酸基末端ポリプロピレンオキシドの数平均分子量は、送液システムとして東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、カラムとして東ソー(株)製のTSK−GEL Hタイプを用い、溶媒としてTHFを用いて測定した値のポリスチレン換算値である。
続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して、1.2倍当量のメトキシナトリウムのメタノール溶液を添加した後、メタノールを留去し、さらに塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次いで、未反応の塩化アリルを減圧脱揮によって除去した。
得られた未精製のアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対して、n−ヘキサン300重量部、および水300重量部を混合して攪拌した後、遠心分離によって水を除去した。得られたヘキサン溶液に水300重量部をさらに混合して攪拌した後、再度、遠心分離によって水を除去した。その後、ヘキサンを減圧脱揮によって除去した。これにより、末端がアリル基である数平均分子量約25,500の2官能ポリプロピレンオキシドを得た。
得られた精製後のアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対して、触媒として白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液(白金の含有量は3重量%)150ppmと、トリメトキシシラン0.95重量部とを添加して、90℃で5時間反応させた。これにより、トリメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシドからなる樹脂(I−2)を得た。重合体1分子当たりに導入されたトリメトキシシリル基の数をH-NMR分析により求めたところ、約1.3個であった。
〔熱伝導性硬化性液状樹脂の調製〕
合成例1で得られた樹脂(I−1)50重量部、合成例2で得られた樹脂(I−2)50重量部、可塑剤としてのジ−イソノニル−シクロヘキサン−ジカルボキシレート(DINCH)(BASF社製)100重量部、酸化防止剤(Irganox 1010)1重量部、および熱伝導性充填材としてのアルミナ(DENKA(株)製)1,500重量部を、手動でかき混ぜることによって十分に攪拌混練した。その後、混練物を、5Lバタフライミキサーを用いて加熱混練しながら真空引きを行って脱水した。脱水完了後に混練物を冷却し、脱水剤(A171)2重量部、および硬化触媒であるネオデカン酸スズ4重量部を混合した。これにより、熱伝導性硬化性液状樹脂を調製した。
〔実施例1〜4、比較例1〜9〕
得られた熱伝導性硬化性液状樹脂を表1に記載のカートリッジに充填し、加圧タンクの圧力や、カートリッジの種類(材質)、グリースの塗布の有無、塗布条件等の各種条件を変更して、塗布試験を実施した。各種条件と共に、得られた結果(カートリッジ内での硬化の有無、ロスの量)を表1に示した。
表1において、二次タンクを使用していない場合(比較例1〜9)には「−」と記載した。つまり、比較例1〜9では一次タンクだけを使用した。カートリッジの種類(材質)における「HDPE」は、供給方向側の長さ約200mm、外径約50mm、厚さ約1.15mmの、高密度ポリエチレン(HDPE)製の有底円筒形状の容器と、供給方向側の長さ約20mm、外径約48mm、厚さ約1.2mmの高密度ポリエチレン製プランジャーとからなるカートリッジを指す。カートリッジの種類(材質)における「紙」は、供給方向側の長さ約200mm、外径約50mm、厚さ約1.15mmの、アルミニウム箔を積層した紙製の有底円筒形状の容器と、供給方向側の長さ約20mm、外径約48mm、厚さ約1.2mmの高密度ポリエチレン製プランジャーとからなるカートリッジを指す。塗布条件における[1]は、加圧ポンプによる加圧(15秒間)と脱圧(13秒間)とを繰り返して塗布する塗布条件を指し、[2]は、常時加圧して塗布する塗布条件を指す。
Figure 0006916637
表1から明らかなように、一次タンクだけを使用して、加圧ポンプによる加圧と脱圧とを繰り返して塗布する塗布条件では、グリースを塗布しても、或いは圧力を変更しても、カートリッジ内で熱伝導性硬化性液状樹脂が硬化し、ロスが発生した(比較例1〜9)。これに対して、一次タンクおよび二次タンクを使用して、グリースを塗布し、加圧ポンプによる加圧と脱圧とを繰り返して塗布する塗布条件では、カートリッジ内で熱伝導性硬化性液状樹脂が硬化せず、ロスは発生しなかった(実施例1〜4)。
本発明に係る吐出装置、および硬化物の製造方法は、例えば電子機器や基板、発熱体の表面に塗布されて塗膜を形成する用途等において好適に用いられる。
1 一次タンク
2 二次タンク
4 ノズル(吐出口)
10 硬化性樹脂組成物
11 カートリッジ
12 プランジャー
13 潤滑剤
14 容器

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂組成物が充填されてプランジャーで封止された容器であるカートリッジを収容した一次タンクから、上記硬化性樹脂組成物を二次タンクに供給し、二次タンクから吐出口を介して当該硬化性樹脂組成物を吐出することにより、硬化性樹脂組成物からなる硬化物を形成する硬化物の塗布方法であって、
    上記硬化性樹脂組成物がシラノール縮合反応型の硬化性樹脂を含んでおり、
    上記プランジャーは、一次タンクの供給方向に向かって上記容器内を摺動可能であり、プランジャーにおける容器内壁との接触面に潤滑剤が塗布されており、
    上記一次タンク内を常時気体によって加圧することによって上記プランジャーを摺動させて、カートリッジ内の硬化性樹脂組成物を二次タンクに向かって供給する工程を含む、硬化物の塗布方法。
  2. 上記潤滑剤が0.2mm以上の厚さでプランジャーの接触面に塗布されている、請求項1に記載の硬化物の塗布方法
  3. 上記潤滑剤の100℃における粘度が100Pa・s以下である、請求項1または2に記載の硬化物の塗布方法
  4. 前記プランジャーは、外形が円板状であり、硬化性樹脂組成物が充填される側の面が凹んだ「コ」字形状を有している、請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化物の塗布方法。
  5. 上記気体による加圧が0.1MPa〜0.7MPa(ゲージ圧)の範囲内である、請求項1〜4の何れか1項に記載の硬化物の塗布方法。
  6. 硬化性樹脂組成物の吐出開始時から吐出終了時までの期間のうちの90%以上の時間で、上記気体による加圧を行う、請求項1〜5の何れか1項に記載の硬化物の塗布方法。
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