JP6916608B2 - 鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 - Google Patents

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Description

本発明は鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具に関するものである。
使い捨てカイロをはじめとした携帯用発熱体は、鉄の急激な酸化反応による発熱を利用したものであり、コストも低廉に抑えられるため、昨今における活用分野はきわめて広い。
こうした携帯用発熱体は、鉄粉だけの構成とした場合、発熱温度や持続時間が十分ではないことから、鉄粉のほかに食塩や水や保水材および活性炭などを併用することにより改善がなされてきた。従来までは、塩と保水剤、活性炭や添加物の構成に創意工夫をこらし、様々な改善がなされてきた。
しかしながら、そもそもの発熱体である鉄粉に関しては、存在した鉄粉に表面処理を行って炭素を付着させ、炭素が3%以下で見掛密度が1.5〜3.5g/cmである鉄粉を使用することを示唆した事例(特許文献1)や、また鉄粉と共存させる物質を見いだすことにとどまっており、発熱体を構成する鉄粉の形態を改善しようとする事例はきわめて少なく限定されていた。
特開2001−254101号公報
ところで、こうした発熱体、とりわけカイロの場合には、使用したいときにすぐに所望の温度に到達して利用可能になることが望まれる。しかしながら、例えば特許文献1の実施例の昇温温度は1.5℃/分となっており、少なくとも急速に所望温度に到達できているとは言いがたい。
そこで本発明者等は、発熱体を構成する鉄粉そのものを改良することによって、昇温速度の速い発熱体を構成することが出来るようになると考え、発熱性能の良い鉄粉を提供することを本発明の解決すべき課題として定めた。
本願を構成する第1の発明に係る鉄粉は、金属鉄の含有量が85質量%以下であり、金属鉄/全鉄(質量%)が0.85以下で、かつレーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される平均粒子径(D50)が30μm〜200μmであることを特徴とする。なお、本明細書において示す「〜」は、特に断りのない限り、その前後に記載の数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
第2の発明の構成は、第1の発明に加え、レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される粒度分布[(D90−D10)/D50]の値を2.0以上とする。
第3の発明の構成は、第1または第2の発明に加え、レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される比表面積値を1500cm/g以上とする。
第4の発明の構成は、第1ないし第3の発明に加え、酸素の含有量を10質量%以下、4質量%以上とする。
第5の発明の構成は、第1ないし第4の発明において提供される鉄粉と、水と塩類と炭素を少なくとも含む発熱体である。
第6の発明の構成は、第5の発明において提供される発熱体が組み込まれた温熱用具である。
本発明の鉄粉を使用することにより、所望の温度に短時間で到達可能な発熱体を形成することが出来る。ひいては到達温度や持続時間が調整された応用物品を提供することが出来るようになる。
本発明に係る発熱体用鉄粉は具体的には次のような構成によりなる。
(鉄粉の構成)
本発明に係る鉄粉の粒子径は、日本工業規格(JIS Z−8825:2013)に「粒子径解析?レーザ回折・散乱法」として規定されている方法に基づいて計測する。レーザ回折散乱法を用いた粒子径分析結果の妥当性は、本発明に係る鉄粉の場合では、例えば走査型電子顕微鏡にて500倍程度の倍率で粒子観察し、100個程度の粒子の平均粒子径との比較によって行う。ここで、粒子が球形ではない場合には、写真で得られる粒子の面積から円に換算したときの粒子径との比較をもって行う。
本明細書においてレーザ回折型粒度分布は、乾式の粒度分布測定装置であるへロス・ロドス(HELOS&RODOS)を用いた、体積基準の結果を採用した。なお、本発明で得られた粒子は必ずしも球形ではないので、その測定原理から明らかなように球形粒子を前提とした分布(球等価粒子径分布)として得られる。
上記前提に従った測定によって得られる鉄粉粒子の平均粒子径(D50径)は30μm〜200μm、好ましくは40μm〜150μm、より好ましくは50μm〜125μmである。粒子径が小さい場合は、鉄粉の活性が高いので保管中に発熱して性能が損なわれる危険性や、場合によっては発火の恐れがあるため好ましくない。また、工業的に生産する場合においては、生産された鉄粉を保管する際に危険物となり得るので、50質量%以上の鉄粉が53μm以上であることが好ましい。一方、粒子が大きすぎる場合には、粒子の活性が低いので、酸化反応が進みにくく、本発明の効果を享受することが難しいので好ましくない。
鉄粉を構成する金属鉄の含有割合は85質量%以下、好ましくは75質量%以下である。通常高い発熱性能を得るためには、金属鉄の含有割合が高い方が好ましいと考えがちであるが、本発明者等の検討によれば、鉄粉全体における金属鉄の含有割合は高いよりはむしろやや低い方が好ましいという結論に至った。しかしながら金属鉄の含有割合は低すぎると安定な酸化鉄となってしまうので、少なくとも50質量%以上、好ましくは55質量%以上としておくのが好ましい。この金属鉄の含有割合は、鉄粉を得た後に酸素存在下で熱処理する条件を変化させることによって調整することが出来る。
鉄粉を構成する酸素の含有割合は高すぎると鉄粉そのものの活性を鈍らせるので、10質量%以下であることが好ましく、下限は4.0質量%以上、好ましくは5.0質量%以上である。酸素の含有量についても金属鉄と同じく、通常であれば酸素の含有量は少ない方が適切と考えがちであるが、本発明者等の検討により、鉄粉全体における酸素の含有割合は高い方が好ましいということが分かった。
さらには、本発明に係る鉄粉における全鉄(金属鉄、酸化鉄といった鉄の形態を問わない全体の鉄)の含有量は鉄粉の95質量%よりも低い値を示すのが好ましい。加えて、金属鉄/全鉄(質量%)の値が小さくなりすぎると構成成分が酸化鉄形態を大部分が占めることになり、活性が低下するので好ましくない。そこで本発明では、金属鉄/全鉄(質量%)を0.85以下と定めた。金属鉄/全鉄(質量%)の下限は0.60以上、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.70以上とするのが良い。
加えて、その他の原料由来であり、鉄粉中に不可避に含まれる成分は可能な限り少ないことが好ましい。具体的には炭素は3.0質量%以下、好ましくは2.5質量%以下であるのがよい。硫黄についても0.03質量%以下、より好ましくは0.025質量%以下であるのがよい。加えて、酸素および鉄以外の構成成分は鉄粉全体の10質量%以下、好ましくは7.5質量%以下とするのがよい。こうした構成にすることによって、発熱効率の増大が期待できる。
本発明に係る鉄粉の粒度分布は、前述のレーザ回折型粒度分布測定において体積基準で、累積10%の粒径D10(μm)、累積50%の平均粒径D50(μm)、累積90%の粒径D90により算出される粒度分布、すなわち[(D90−D10)/D50]の値が2.0以上であることが好ましい。この値が2.0未満であることは粒子分布がシャープであることを示し、粒子が単位体積中に詰まる量が少なくなるとともに、大気中の酸素との反応性が低下するおそれがあるので好ましくない。
また本発明に係る鉄粉の比表面積値は、前述のレーザ回折型粒度分布測定において1500cm/g以上であるのが好ましい。比表面積値が1500cm/g未満であると、粒子表面が平滑であるといえ、大気との接触面積が小さくなるので、発熱特性が低下する傾向が見られるので好ましくない。
また本発明に係る鉄粉の真密度は7.30g/cm以下であるのが好ましい。これにより昇温時間が短時間となるからである。より好ましい真密度は6.75g/cm以下であり、さらに好ましくは6.50g/cm以下である。真密度が高すぎると、粒子における空隙が少なくなっていることを示すので、大気との接触が少なくなっているおそれがあり、短時間での到達温度が低くなるので好ましくない。
(鉄粉の製造方法)
通常知られている鉄原料の還元は温度1000℃以上の高温環境下で行うのが通常であるが、本発明に係る鉄粉は、鉄鉱石をはじめとする鉄原料と還元剤とをロータリーキルン中で700℃〜1000℃、好ましくは750℃〜1000℃、より好ましくは750℃〜950℃の環境下で転動させながら還元することにより得るのが好ましい。還元を進めるためには、温度を高くすることが好ましいが、ロータリーキルン中にて1000℃以上で還元を行うと、炉体に還元後の鉄の居付きが発生し、収率が低下すると共に、本発明の効果が得られないので適切ではない。また、還元温度が低すぎると、還元時間が著しく長時間になるので適当ではない。転動させながら還元する時間(あるいは炉体内の滞留時間)は、1時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上である。ただし、還元対象の鉄鉱石などの鉄原料が物理的に少ない時にはこの限りではない。
還元剤としては、石炭を主として用い、コークス(骸炭)、無煙炭、半無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭などを用いるとよい。なかでもコークス(骸炭)、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭などを用いるとよい。このときに、前述の還元剤(還元剤が石炭であれば、全量を炭素とみなして換算する)を、鉄原料(全量を酸化鉄とみなして換算する)に対して少なくともモル比で等倍以上、好ましくは1.5倍以上、一層好ましくは2倍量以上添加して、還元処理を行うことが好ましい。発明者らの検討によれば、還元剤を等倍未満の添加とすると、鉄粉への還元そのものが進行しづらく、所望の還元された鉄粉を得ることが出来ない。ただし、あまりにも多くの炭を入れすぎても還元は促進されず、また得られた鉄粉と残存炭との分離が行いがたくなるので好ましくない。添加量としては、鉄原料に対して10倍量以下、好ましくは7.5倍量以下である。
得られた鉄粒子は、冷却処理を施した後に取り出して、必要に応じて篩い分けで粗大な粒子を除いたり、還元で使用されなかったコークスなどからなる還元剤と鉄を磁気選別により分別処理を行う工程を経るようにする。特に磁選工程を経るようにすれば、過剰に添加した還元剤と鉄粉を効率よく分別することができる。ひいては粒度分布を改善したり、鉄粉に混在する炭素を低減させたりすることができるようになるので好ましい。
こうして得られた鉄粉を、酸素の存在下で温度500℃〜800℃、好ましくは550℃〜750℃、より好ましくは550℃〜700℃で酸化処理することにより、鉄粉に含有される酸素量を調整できる。このようにして鉄粉に含有される酸素量を所定範囲に調整することにより、発熱性に適した鉄粉とすることができる。酸化処理における酸素濃度条件は大気雰囲気で行うのがよく、また酸化処理時間は15分から6時間以内とするのが好ましい。
(発熱体の構成)
以上のようにして得られた鉄粉は公知の構成により発熱体を構成できる。具体的には、本発明に係る鉄粉と、水と、塩類と、炭素とを少なくとも含むようにする。このような構成において、水は保水剤によって保持されていてもよい。保水剤としては、多孔質物質(活性炭など)や吸水性樹脂を使用することができる。
また、塩類としては電解質のものが好ましく、従来から発熱成形体用として知られているものが制限なく使用できる。例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物などが例示でき、これらの中でもコストや化学的安定性、供給安定性の面から塩化ナトリウムをはじめとする塩化物の使用が推奨される。
構成に含まれる炭素とは知られるように、表面に存在する微孔に空気を取り込むことで、酸化反応のもととなる酸素の供給を促すために添加される。こうした効果を奏する炭素(化合物)であれば、公知の物質をいずれも使用することが出来る。例えば活性炭などが例示できる。
発熱体の形態としては、粉末状の発熱体の構成物を袋体に充填した、例えば使い捨てカイロの形態であっても良いし、前記粉末の移動を抑制するためにシートの中に上記の発熱体の構成物を取り込ませシート状としたものでも良い。通常、発熱体の構成物を収容する袋体は、少なくとも一部分が通気性を有するように形成されている。このような形態の発熱体は、そのまま温熱用具として使用することもできる。また、本発明の発熱体に使用する鉄粉としては、初期の発熱特性に優れた本発明に係る鉄粉と、徐々に発熱する従来型の鉄粉とを併用してもよい。これらの鉄粉を併用することによって、継続して長時間発熱特性が得られるようになる。また、発熱体は、酸素を遮断する外袋に密閉して使用時まで保存される。このような外袋としては従来公知のものがここでも使用できる。
(温熱用具の構成)
本発明に係る温熱用具は、前記発熱体が組み込まれたものであればその構成に特に限定はなく、例えば上述のように発熱体のみであってもよい。また、必要に応じて、さらに付加的な要素を追加することができる。これらの各種の要素は公知であり、発熱体に一体化されていてもよく、あるいは、使用時に組み合わせるように別部材として提供されてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
粒径が10mm程度の鉄鉱石17.5kg/h(酸化鉄:Fe換算で109.6mol/hとなるようにした)に、コークス7.5kg/h(炭素:C換算で625mol/h)を添加して混合を行った。そして、この混合物を雰囲気調整を行わず、外燃式のロータリーキルン炉内に投入し加熱した。炉内温度が1000℃以下になるように調整したところ、炉内の最低温度は700℃、最高温度は980℃であった。この炉内温度を維持しながら、ロータリーキルンの回転数を1.4rpm程度とし、2時間還元(滞留)処理を施すことで還元鉄粉を得た。得られた還元鉄粉を磁力選鉱により、反応されずに残存したコークスと鉄粉とに分離し、不純成分を除去した後に振動ミル(中央加工機製CD−15:処理条件1200rpm×振幅8mm)による粉砕を行い、目開き263μm(60メッシュ)の篩にかけて、鉄粉を得た。得られた鉄粉の粒度分布データを表1に示す。また、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を下記の測定方法で測定した。測定結果を表2に合わせて示す。
(実施例2)
実施例1で得られた鉄粉について、酸素存在下において温度600℃で1時間酸化処理を施した以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた酸化処理鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
(実施例3)
実施例1で得られた不純成分除去後の鉄粉について、振動ミル(中央加工機製CD−15:処理条件1200rpm×振幅8mm)を1筒として粗粉砕を施して粒径が粗めになるようにし、酸素存在下において温度600℃で1時間酸化処理を施した以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた酸化処理鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
(比較例1)
実施例1において、還元炉を内燃式ロータリーキルン炉からトンネルキルン炉に変更し、還元温度を1050〜1250℃で調整し、還元時間を8時間とした以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
(比較例2)
比較例1において、目開き91μm(180メッシュ)篩にかけて、91μm篩下の鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
(比較例3)
粒径が10mm程度の鉄鉱石476kg/h(酸化鉄:Fe換算で2.98kmol/h)に、コークス224kg/h(炭素:C換算で18.7kmol/h)を添加して混合を行った。この混合物を雰囲気調整を行わず、内燃式のロータリーキルン炉内に投入し加熱した。炉内温度が1000℃以下になるように加熱調整したところ、炉内の最低温度は700℃、最高温度は980℃であった。この炉内温度を維持しながら、ロータリーキルンの回転数を0.35rpm程度とし、8時間還元(滞留)処理を施し還元鉄粉を得た。得られた還元鉄粉を磁力選鉱により、反応されずに残存したコークスと鉄粉とに分離し、不純成分を除去した後に粗粉砕(振動ミル)を施して鉄粉を得た。次いで、この鉄分を目開き263μm(60メッシュ)篩と目開き109μm(150メッシュ)篩とにかけて、263μm篩下且つ109μm篩上の鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
本明細書における測定は、下記の手法を用いて行った。ただし、測定原理や条件、環境が変更されない限りにおいて、測定装置や解析プログラムのバージョンアップは許容される。
(粒度分布)
鉄粉の粒度分布をシンパテック社製のHELOS&RODOS粒度分布測定装置(HELOS/BF)を用い、分散装置:RODOS(送り速度:50%、ロート高さ:3mm、分散圧:1bar)、レーザ回折測定:HELOS(光学濃度:5%〜10%、トリガー条件:通常測定、レンズの焦点距離:200mm、設定密度:2.8g/cm、形状係数:1.000、計算モード:LD)として分析した。この装置評価により、体積基準で、累積10%の粒径D10(μm)、累積50%の平均粒子径D50(μm)、累積90%の粒径D90(μm)、ザウター平均粒子径(体面積平均径 D32(μm):全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒子径)、体積メジアン径(μm)、粒度分布から算出した比表面積(cm/g)を得た。また、粒度分布[(D90−D10)/D50]の値を算出した(表1中の「分布」)。
(見掛密度,「AD」)
JIS−Z−2504:2012(金属粉−見掛密度測定方法)の記載に従って、測定を行った。
(真密度)
全自動ピクノメーター(カンタクローム社製 ウルトラピクノメーター;ULTRA PYCNOMETER 1000)を用いて測定した。
(粒子形態評価)
走査型電子顕微鏡(日本電子社製 JSM−6510LA)にて、粒子形態を確認した。
(組成分析)
全鉄(T.Fe)
試料0.25gを分取し、硫酸(1:3)50mLに完全に溶解させた後に、アルミ箔を加える。その後、純水を添加して液を100mLとする。アルミ箔を取り除いた後に、再度純水を添加して液を150mLとした。その後、液に1/10規定過マンガン酸カリウム標準溶液で滴定を行い、下記式(1)に従って全鉄量を算出した。
なお、式(1)における力価はシュウ酸ナトリウム標準試薬0.180gを硫酸(1+3)10mLに溶解し、150mLに純水にて希釈した溶液を70℃〜80℃で1/10規定過マンガン酸カリウム標準溶液を用いて滴定し、式(2)にて得られた値である。
Figure 0006916608
Figure 0006916608
(金属鉄(M.Fe))
試料0.50gを分取し、臭素−メタノール溶液(臭素10mLをメタノールで希釈して500mLとした)50mLへ加え、30分間溶解させた。得られた溶液と残渣をろ過によって分離し、残渣を洗液に黄色の着色が見られなくなるまで洗浄した。
得られた洗液を含む溶液をメタノールで正確に200mLとした後、そこから10mLを分取した。それに塩酸(1:1)3mLと過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:0.1g/1mLの濃度に調整)5mLと、純水60mLを加えた後、酢酸アンモニウム(50w/v%)にて、pHが2.0±0.2になるように調整した。
得られた溶液へサリチル酸メタノール溶液(サリチル酸20gをメタノールで100mLになるように溶解した)2〜3滴を加えて、攪拌しながらEDTA溶液(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム7.5gで純水1000mLになるように溶解した)を加えて、光度滴定を行い、下記式(3)に従って金属鉄量(質量%)を算出した。(測定波長:530nm)また、全鉄に対する金属鉄の割合(M/T)を算出した。
なお、式(3)におけるEDTA溶液の標定は、次のように行う。
まず、容量分析用標準試薬の亜鉛0.6538g(亜鉛は予め塩酸(1:1)、水、アセトンの順で洗浄し、110℃で5分間乾燥したものを用いる)に水50mL、塩酸(1:1)10mLを加えて溶解し、冷却した後に純水にて500mLに希釈した亜鉛溶液を準備した(A液)。次にエリオクロムブラックT0.2gをトリエタノールアミン15mLと特級エタノール5mLの混合溶液に溶解して、エリオクロムブラックT溶液を作成した(B液)。
A液20mLを分取して、アンモニア水(1:1)10mLと純水30mLを加えた後、B液を指示薬として3滴加え、光度滴定(波長:530nm)を行うことで、式(3)におけるEDTA溶液の標定(f値の算出)を行った。
Figure 0006916608
(炭素(C),硫黄(S))
炭素と硫黄は、炭素・硫黄分析装置(LECO製 CS−200)を用いて算出した。
(酸素(O))
試料中の酸素は、酸素・窒素分析装置(LECO製 TCH600)を用いて算出した。
(発熱特性)
鉄粉の酸化に際しての初期到達温度は次のように求めた。はじめにサンプル約40gをバット上に広げ、大気中室温環境下で1時間曝すことで、周囲の温度になじませる。サンプルを20g分取して、樹脂(ポリプロピレン製)に入れる。3%食塩水を2mL添加して、樹脂製のへらを用いて均一に30秒で混合する。混合したサンプルを風の影響を受けない環境下に混合後直ちにおいて、温度計を設置する。この温度計を設置した時間を反応開始0分とした。その後、1分経過後に温度を読み取り記録した。
Figure 0006916608
Figure 0006916608
金属鉄の含有量が85質量%以下であり、金属鉄/全鉄(質量%)が0.85以下で、かつ平均粒子径が30μm〜200μmである実施例1〜3の鉄粉では、反応開始後1分後の到達温度は68.0℃以上となり昇温速度が速かった。
これに対して、金属鉄(M.Fe)の含有量が86.5質量%以上で、全鉄に対する金属鉄の割合(M/T)が0.93以上と高い比較例1〜3の鉄粉では、反応開始後1分後の到達温度は高くても47.0℃であり、いずれも実施例に比べて低かった。
本発明の鉄粉は昇温速度が速く、所望の温度に短時間で到達可能で有用である。

Claims (6)

  1. 金属鉄の含有量が73.8質量%以下であり、金属鉄(質量%)/全鉄(質量%)が0.85以下で、かつレーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される平均粒子径(D50)が30μm〜200μmであり、真密度が6.50g/cm以下であることを特徴とする鉄粉。
  2. レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される粒度分布[(D90−D10)/D50]の値が2.0以上である請求項1記載の鉄粉。
  3. レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される比表面積値が1500cm/g以上である請求項1又は2に記載の鉄粉。
  4. 酸素の含有量が10質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄粉。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の鉄粉と、水と、塩類と、炭素とを少なくとも含むことを特徴とする発熱体。
  6. 請求項5に記載の発熱体が組み込まれた温熱用具。
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