JP6916608B2 - 鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 - Google Patents
鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6916608B2 JP6916608B2 JP2016216907A JP2016216907A JP6916608B2 JP 6916608 B2 JP6916608 B2 JP 6916608B2 JP 2016216907 A JP2016216907 A JP 2016216907A JP 2016216907 A JP2016216907 A JP 2016216907A JP 6916608 B2 JP6916608 B2 JP 6916608B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- iron powder
- iron
- particle size
- mass
- size distribution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Thermotherapy And Cooling Therapy Devices (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
本発明に係る鉄粉の粒子径は、日本工業規格(JIS Z−8825:2013)に「粒子径解析?レーザ回折・散乱法」として規定されている方法に基づいて計測する。レーザ回折散乱法を用いた粒子径分析結果の妥当性は、本発明に係る鉄粉の場合では、例えば走査型電子顕微鏡にて500倍程度の倍率で粒子観察し、100個程度の粒子の平均粒子径との比較によって行う。ここで、粒子が球形ではない場合には、写真で得られる粒子の面積から円に換算したときの粒子径との比較をもって行う。
通常知られている鉄原料の還元は温度1000℃以上の高温環境下で行うのが通常であるが、本発明に係る鉄粉は、鉄鉱石をはじめとする鉄原料と還元剤とをロータリーキルン中で700℃〜1000℃、好ましくは750℃〜1000℃、より好ましくは750℃〜950℃の環境下で転動させながら還元することにより得るのが好ましい。還元を進めるためには、温度を高くすることが好ましいが、ロータリーキルン中にて1000℃以上で還元を行うと、炉体に還元後の鉄の居付きが発生し、収率が低下すると共に、本発明の効果が得られないので適切ではない。また、還元温度が低すぎると、還元時間が著しく長時間になるので適当ではない。転動させながら還元する時間(あるいは炉体内の滞留時間)は、1時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上である。ただし、還元対象の鉄鉱石などの鉄原料が物理的に少ない時にはこの限りではない。
以上のようにして得られた鉄粉は公知の構成により発熱体を構成できる。具体的には、本発明に係る鉄粉と、水と、塩類と、炭素とを少なくとも含むようにする。このような構成において、水は保水剤によって保持されていてもよい。保水剤としては、多孔質物質(活性炭など)や吸水性樹脂を使用することができる。
本発明に係る温熱用具は、前記発熱体が組み込まれたものであればその構成に特に限定はなく、例えば上述のように発熱体のみであってもよい。また、必要に応じて、さらに付加的な要素を追加することができる。これらの各種の要素は公知であり、発熱体に一体化されていてもよく、あるいは、使用時に組み合わせるように別部材として提供されてもよい。
粒径が10mm程度の鉄鉱石17.5kg/h(酸化鉄:Fe2O3換算で109.6mol/hとなるようにした)に、コークス7.5kg/h(炭素:C換算で625mol/h)を添加して混合を行った。そして、この混合物を雰囲気調整を行わず、外燃式のロータリーキルン炉内に投入し加熱した。炉内温度が1000℃以下になるように調整したところ、炉内の最低温度は700℃、最高温度は980℃であった。この炉内温度を維持しながら、ロータリーキルンの回転数を1.4rpm程度とし、2時間還元(滞留)処理を施すことで還元鉄粉を得た。得られた還元鉄粉を磁力選鉱により、反応されずに残存したコークスと鉄粉とに分離し、不純成分を除去した後に振動ミル(中央加工機製CD−15:処理条件1200rpm×振幅8mm)による粉砕を行い、目開き263μm(60メッシュ)の篩にかけて、鉄粉を得た。得られた鉄粉の粒度分布データを表1に示す。また、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を下記の測定方法で測定した。測定結果を表2に合わせて示す。
実施例1で得られた鉄粉について、酸素存在下において温度600℃で1時間酸化処理を施した以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた酸化処理鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
実施例1で得られた不純成分除去後の鉄粉について、振動ミル(中央加工機製CD−15:処理条件1200rpm×振幅8mm)を1筒として粗粉砕を施して粒径が粗めになるようにし、酸素存在下において温度600℃で1時間酸化処理を施した以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた酸化処理鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
実施例1において、還元炉を内燃式ロータリーキルン炉からトンネルキルン炉に変更し、還元温度を1050〜1250℃で調整し、還元時間を8時間とした以外は実施例1と同様にして鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
比較例1において、目開き91μm(180メッシュ)篩にかけて、91μm篩下の鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
粒径が10mm程度の鉄鉱石476kg/h(酸化鉄:Fe2O3換算で2.98kmol/h)に、コークス224kg/h(炭素:C換算で18.7kmol/h)を添加して混合を行った。この混合物を雰囲気調整を行わず、内燃式のロータリーキルン炉内に投入し加熱した。炉内温度が1000℃以下になるように加熱調整したところ、炉内の最低温度は700℃、最高温度は980℃であった。この炉内温度を維持しながら、ロータリーキルンの回転数を0.35rpm程度とし、8時間還元(滞留)処理を施し還元鉄粉を得た。得られた還元鉄粉を磁力選鉱により、反応されずに残存したコークスと鉄粉とに分離し、不純成分を除去した後に粗粉砕(振動ミル)を施して鉄粉を得た。次いで、この鉄分を目開き263μm(60メッシュ)篩と目開き109μm(150メッシュ)篩とにかけて、263μm篩下且つ109μm篩上の鉄粉を得た。得られた鉄粉について、実施例1と同様にして粒度分布データ、見掛密度(AD)、真密度、組成及び発熱特性を測定した。測定結果を表1及び表2に合わせて示す。
鉄粉の粒度分布をシンパテック社製のHELOS&RODOS粒度分布測定装置(HELOS/BF)を用い、分散装置:RODOS(送り速度:50%、ロート高さ:3mm、分散圧:1bar)、レーザ回折測定:HELOS(光学濃度:5%〜10%、トリガー条件:通常測定、レンズの焦点距離:200mm、設定密度:2.8g/cm3、形状係数:1.000、計算モード:LD)として分析した。この装置評価により、体積基準で、累積10%の粒径D10(μm)、累積50%の平均粒子径D50(μm)、累積90%の粒径D90(μm)、ザウター平均粒子径(体面積平均径 D32(μm):全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒子径)、体積メジアン径(μm)、粒度分布から算出した比表面積(cm2/g)を得た。また、粒度分布[(D90−D10)/D50]の値を算出した(表1中の「分布」)。
JIS−Z−2504:2012(金属粉−見掛密度測定方法)の記載に従って、測定を行った。
全自動ピクノメーター(カンタクローム社製 ウルトラピクノメーター;ULTRA PYCNOMETER 1000)を用いて測定した。
走査型電子顕微鏡(日本電子社製 JSM−6510LA)にて、粒子形態を確認した。
全鉄(T.Fe)
試料0.25gを分取し、硫酸(1:3)50mLに完全に溶解させた後に、アルミ箔を加える。その後、純水を添加して液を100mLとする。アルミ箔を取り除いた後に、再度純水を添加して液を150mLとした。その後、液に1/10規定過マンガン酸カリウム標準溶液で滴定を行い、下記式(1)に従って全鉄量を算出した。
試料0.50gを分取し、臭素−メタノール溶液(臭素10mLをメタノールで希釈して500mLとした)50mLへ加え、30分間溶解させた。得られた溶液と残渣をろ過によって分離し、残渣を洗液に黄色の着色が見られなくなるまで洗浄した。
まず、容量分析用標準試薬の亜鉛0.6538g(亜鉛は予め塩酸(1:1)、水、アセトンの順で洗浄し、110℃で5分間乾燥したものを用いる)に水50mL、塩酸(1:1)10mLを加えて溶解し、冷却した後に純水にて500mLに希釈した亜鉛溶液を準備した(A液)。次にエリオクロムブラックT0.2gをトリエタノールアミン15mLと特級エタノール5mLの混合溶液に溶解して、エリオクロムブラックT溶液を作成した(B液)。
炭素と硫黄は、炭素・硫黄分析装置(LECO製 CS−200)を用いて算出した。
試料中の酸素は、酸素・窒素分析装置(LECO製 TCH600)を用いて算出した。
鉄粉の酸化に際しての初期到達温度は次のように求めた。はじめにサンプル約40gをバット上に広げ、大気中室温環境下で1時間曝すことで、周囲の温度になじませる。サンプルを20g分取して、樹脂(ポリプロピレン製)に入れる。3%食塩水を2mL添加して、樹脂製のへらを用いて均一に30秒で混合する。混合したサンプルを風の影響を受けない環境下に混合後直ちにおいて、温度計を設置する。この温度計を設置した時間を反応開始0分とした。その後、1分経過後に温度を読み取り記録した。
これに対して、金属鉄(M.Fe)の含有量が86.5質量%以上で、全鉄に対する金属鉄の割合(M/T)が0.93以上と高い比較例1〜3の鉄粉では、反応開始後1分後の到達温度は高くても47.0℃であり、いずれも実施例に比べて低かった。
Claims (6)
- 金属鉄の含有量が73.8質量%以下であり、金属鉄(質量%)/全鉄(質量%)が0.85以下で、かつレーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される平均粒子径(D50)が30μm〜200μmであり、真密度が6.50g/cm3以下であることを特徴とする鉄粉。
- レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される粒度分布[(D90−D10)/D50]の値が2.0以上である請求項1記載の鉄粉。
- レーザ回折型粒度分布測定装置によって計測される比表面積値が1500cm2/g以上である請求項1又は2に記載の鉄粉。
- 酸素の含有量が10質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄粉。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の鉄粉と、水と、塩類と、炭素とを少なくとも含むことを特徴とする発熱体。
- 請求項5に記載の発熱体が組み込まれた温熱用具。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015219367 | 2015-11-09 | ||
JP2015219367 | 2015-11-09 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017089005A JP2017089005A (ja) | 2017-05-25 |
JP6916608B2 true JP6916608B2 (ja) | 2021-08-11 |
Family
ID=58770397
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016216907A Active JP6916608B2 (ja) | 2015-11-09 | 2016-11-07 | 鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6916608B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024014023A1 (ja) * | 2022-07-11 | 2024-01-18 | Jfeスチール株式会社 | 酸素反応剤用鉄基粉末および酸素反応剤 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1147585A (ja) * | 1997-07-30 | 1999-02-23 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 脱酸素剤 |
-
2016
- 2016-11-07 JP JP2016216907A patent/JP6916608B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017089005A (ja) | 2017-05-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6286620B2 (ja) | 鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 | |
JP3817742B2 (ja) | タンタル粉体、その製造方法、及びそれから得ることができる焼結したアノード | |
KR20000071176A (ko) | 탄탈 분말, 그의 제조 방법 및 그로부터 얻어진 소결 양극 | |
JP2006049288A5 (ja) | ||
JP5495165B1 (ja) | 溶射材料 | |
JP2016106160A (ja) | 酸化マグネシウム粒子、樹脂組成物、ゴム組成物及び成形体 | |
JP6916608B2 (ja) | 鉄粉並びにそれを用いた発熱体及び温熱用具 | |
JP2016191143A (ja) | リチウム抽出方法 | |
CN104245592B (zh) | 四氧化三锰及其制造方法 | |
CN109890754A (zh) | 碳质材料和其制造方法 | |
CN102869610B (zh) | 填料颗粒、树脂组合物、脂膏和涂料组合物 | |
KR101801455B1 (ko) | 구리피리티온 집합체 및 그 용도 | |
JP2008031526A (ja) | 銀微粒子の製造方法 | |
JP6802077B2 (ja) | ナノダイヤモンドの製造方法 | |
Järvinen et al. | Characterisation of dolomites before and after reactivity measurement with HCl solution | |
JP2018138643A (ja) | 土壌改質用組成物および土壌改質方法 | |
JP4243089B2 (ja) | マグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法 | |
JP6845085B2 (ja) | ナノダイヤモンドの製造方法 | |
CN110357576A (zh) | 掺混水玻璃提升黏土砖的性能及重金属固化效果的方法 | |
Draper et al. | Facile nanoparticle dispersion detection in energetic composites by rare earth doped in metal oxide nanostructures | |
WO2011095847A2 (en) | The method of use of inorganic fractions from the sewage sludge containing transition metals | |
JPH0764591B2 (ja) | 無機ガラス発泡体の製造法 | |
JP2009057258A (ja) | 硝安油剤爆薬 | |
JP2015193530A (ja) | 活性炭、その製造方法及び当該活性炭を用いた水銀成分の吸着方法 | |
CN106215684A (zh) | 对烟气脱硫处理的方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191028 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200708 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200728 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20200925 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201029 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210216 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210422 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20210422 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20210430 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20210511 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210629 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210716 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6916608 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |