図1は、本発明の第1実施形態の磁力選別装置1の概略構成を示す図であり、(A)が側面図、(B)が正面図である。図2は、本発明の第1実施形態の磁力選別装置1の選別装置31廻りの構成図であり、(A)が側面図、(B)が正面図である。図3は、本発明の第1実施形態の磁力選別装置1の被選別物201に作用する力を示す模式図である。
磁力選別装置1は、ドラム回転式の磁力選別装置であって、定量供給装置を介して連続的に供給される、粉粒体状の汚染物と強磁性粉末及び/又は常磁性粉末とが混合されてなる被選別物201を連続的に選別する。従来のドラム回転式磁選装置が、被選別物を磁着物と非磁着物との2区分に選別するのに対して、本実施形態の磁力選別装置1は、被選別物201を3区分に選別する。なお本実施形態では、被選別物201を3区分に選別するが、被選別物201を4区分以上に選別することも可能である。
磁力選別装置1は、公知のドラム回転式磁選機と同様に、内側に磁石が配置された回転ドラム11と、回転ドラム11を収容するケーシング21と、被選別物201を3区分に区分けする選別装置31と、ケーシング21を支持する架台51とを備える。
回転ドラム11は、回転自在な円筒状のドラム12と、ドラム12の内側に配置された磁石14とを含む。磁石14は、円筒状のドラム12の円周方向の右半分に、固定軸15に取付板(図示省略)を介して固定されている。磁石14は、永久磁石、電磁石のいずれであってもよい。固定軸15は、軸受16を介してケーシング21に固定されている。
ドラム12は、非磁性の円筒体であり、両側板13に軸受(図示省略)が設けられ、該軸受を介して固定軸15に回転自在に取付けられている。ドラム12の内周面と磁石14との間は、僅かな隙間が設けられている。ドラム12のうち磁石14と近接する領域、本実施形態では、右半分が磁場印加部となり、左半分が磁場無印加部となる。ドラム12は、一端にスプロケット等(図示省略)が取付けられ、該スプロケット等を介して駆動装置61と連結する。
ケーシング21は、長方体形状を有し、底面を除く他の5面には板材が取付けられ壁が形成されている。天井面22には、被選別物201の投入口23が設けられ、投入口23には、被選別物201を回転ドラム11の所定の位置に導くためのシュート24が設けられている。ケーシング21の底面は、全面開口し選別物202の排出口25となっている。
シュート24は、振動フィーダー107を介して定量供給される被選別物201を回転ドラム11の磁場印加部の上端近傍に供給するように設置されている。またシュート24は、ドラム12の幅方向に対して被選別物201を均等に供給すべく、幅がドラム12の幅と同一となっている。なお本実施形態では、被選別物201を連続的に定量供給する装置として振動フィーダー107を使用するが、被選別物201を連続的に定量供給可能であれば、ベルトフィーダー等他の装置であってもよい。被選別物201を連続的に定量供給する装置は、供給量を調節可能なものがよい。
固定軸15は、ケーシング21の中央部に、固定軸15を両側面に架け渡す形で固定されており、固定軸15に回転自在に固定されてる回転ドラム11も、ケーシング21の中央部に位置する。ケーシング21は、4本脚の架台51の上に固定されており、架台51により、ケーシング21の下方に選別装置31を設置するためのスペースが確保されている。
選別装置31は、排出口25から落下する選別物202を落下位置に応じて3区分に区分けするものであり、排出口25の下方に配置されている。選別装置31は、2つの仕切板32a、32bと、各仕切板32a、32bをスライド自在に支持するリニアレール36とを有し、各仕切板32a、32bは、排出口25から落下する選別物202に対応し、位置を可変させることのできる可動構造となっている。この可動式の仕切板32a、32bは、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。
仕切板32aは、上端を排出口25に臨ませる鉛直板33aと、鉛直板33aの下端に連結する傾斜板34aと、リニアレール36にスライド自在に係止する係止体35aとを含み構成される。鉛直板33aは、落下する選別物202を区分けする部材であり、傾斜板34aは、選別物202を分別回収槽38に送るシュートとして機能する。このため傾斜板34aは、鉛直板33aと連結する側が高くなるように設置されており、横断面形状がコ字状となっている。係止体35aは、板状の部材であり、鉛直板33aの両側面の端部に固定されている。
リニアレール36は、真っ直ぐな細長い板状の部材であり、架台51の両側面の端部にそれぞれ1本、架台51の正面及び背面に架け渡すように取付けられている。仕切板32aは、鉛直板33aが2本のリニアレール36の間に、係止体35aがリニアレール36の上に載るようにリニアレール36に直交配置されている。これにより仕切板32aは、係止体35aを介してリニアレール36に係止し、リニアレール36上を左右(図1(A)における左側、右側)に移動することができる(図1(A)参照)。
仕切板32bは、傾斜板34bの傾斜方向が、傾斜板34aの傾斜方向と逆向きとなっているが、仕切板32bの構造は、仕切板32aと同じである。
以上のように構成される選別装置31は、仕切板32a及び/又は仕切板32bの位置を左右に移動させることで、区分1、区分2及び区分3の大きさを簡単に変えることができる。仕切板32aを側面視において左に移動させることで区分1を大きくすることが可能となり、これにより区分1に非磁着物の他、磁着物の一部を回収することができる。また仕切板32aの鉛直板33aと仕切板32bの鉛直板33bとを接触させると、区分2をなくし、区分1と区分3の2区分とすることもできる。
架台51は、ケーシング21の下方に選別装置31を設置し、さらに分別回収槽38を配置できる高さを有する、4本脚53の架台である。架台の天井面52は、ケーシング21の底面に合せて開口している。架台51の側面部には、正面側、背面側及び両側面側それぞれの上半分に透明、あるいは、不透明なパネル54が取付けられている。なおパネル54に透明なパネルを使用すれば動作状況が確認できるので好ましい。傾斜板34aの先端側は、正面側のパネル54の下から架台51の正面側に突出する。傾斜板34bの先端側は、背面側のパネル54の下から架台51の背面側に突出する。
駆動装置61は、回転ドラム11を回転させる装置であり、駆動モータ62、減速機63及び減速機63と回転ドラム11とを結ぶ回転伝達具を含む。減速機63は、減速比を可変可能な減速機であり、これにより回転ドラム11の回転数を可変させることができる。回転伝達具は、減速機63側のスプロケット(図示省略)、回転ドラム11側のスプロケット(図示省略)、これらを結ぶチェーンやドライブシャフト等(図示省略)で構成され、減速機63の回転を回転ドラム11に伝達する。
上記実施形態では、可変タイプの減速機63を用いて回転ドラム11の回転数を可変させるが、インバータモータを使用して回転ドラム11の回転数を可変させてもよい。また回転伝達具も、上記実施形態に限定されるものではない。
磁力選別装置1で選別可能な被選別物201は、基本的に磁着物と非磁着物との混合物であればよく、特定の被選別物201に限定されるものではない。被選別物201としては、粉粒体状の汚染物と強磁性粉末及び/又は常磁性粉末との混合物が挙げられる。強磁性粉末等と粉粒体状の汚染物とを混合すると、汚染物の表面に強磁性粉末等が吸着し、これら混合物は、汚染物の粒径等により磁着物と非磁着物とになる。
粉粒体状の汚染物としては、汚染物質が重金属、ダイオキシン類、PCB、農薬など残留性有機汚染物質(POPs)、放射性物質等であり、汚染物として前記汚染物質に汚染された土壌、焼却灰、瓦礫、廃プラスチック、木くず、さらにはこれらの混合物が挙げられる。放射性物質も特定の物質に限定されるものではなく、セシウムCs、プルトニウムPu、ウランU、ラジウムRaなど幅広い放射性物質を対象とすることができる。
強磁性粉末としてはFe−Ni合金,Fe−Co合金,Ni−Co合金,ステンレス(Fe−Ni−Cr),Mn−Al磁石,サマリウム磁石,ネオジウム磁石,マグネタイト,マグヘマタイト,Baフェライト等の粉末が挙げられる。常磁性粉末としては、アルミニウム,三酸化二クロム,酸化コバルト,一酸化鉄,水酸化第一鉄,ウスタイト,含水酸化鉄(δ以外)等の粉末が挙げられる。中でも酸化鉄を主成分とする強磁性粉末が好ましく、マグネタイト粉末がより好ましい。
以下に、強磁性粉末が汚染物に吸着する想定メカニズムを、汚染物を土壌として説明する。土壌は、同形置換効果により土壌表面が負に帯電しているため、土壌表面には正電荷をもつカチオンが集積している。このような状況下、負に帯電した強磁性粉末を添加すると、カチオン周辺に吸着し、結果として土壌に吸着する。電荷量が多ければカチオンと強く吸着することになる。一方で、自身の電荷反発及び土壌表層電荷との静電反発により、負の荷電量が多くなればなるほど分散力が増し、土壌表層に均一に拡散しようとする。
次に図3を用いて、回転ドラム11上で被選別物201に作用する力について説明する。ここでは汚染物が土壌粒子、強磁性粉末がマグネタイト粉末とし、これら混合物を被選別物201として説明する。
回転している回転ドラム11上に落下した被選別物201は、表面に強磁性粉末であるマグネタイトが付着しているため、回転ドラム11の磁場印加領域では、外部磁場Hより誘起される磁気力Mによりドラム12の表面に貼り付こうとする。また被選別物201には磁気力Mと反対方向に垂直抗力Nと遠心力Cが作用する。また被選別物201には、鉛直方向に重力Gが作用し、さらにドラム12表面との間に摩擦力Fが作用する。摩擦力Fは、ドラム12の回転方向とは逆向きである。
被選別物201に作用する力のうち、磁気力Mと摩擦力Fとは被選別物201をドラム12上に止め置く方向に作用し、逆に遠心力Cと重力G(但しθ<0)とは、被選別物201をドラム12上から引き離す方向に作用する。被選別物201はこれらのバランスよりドラム12表面に貼り付く。
ドラム12上の被選別物201の水平からの仰角をθ、摩擦係数をμとすると、図3においてドラム中心点線方向の力のつり合いは、式(1)〜(2)で示される。またドラム中心点線方向に垂直方向の力のつり合いは、式(3)〜(5)で示される。
式(1)が成立する仰角θで丁度つり合い(分別閾値θT;−90°<θT<90°)、θがこれよりも小さくなると被選別物201は、ドラム12表面から滑り落ちる。被選別物201に作用する力の大きさは、被選別物201の磁着特性により異なり、分別閾値θTも被選別物201により異なる。また被選別物201に作用する力の大きさは、磁力選別装置1の運転条件、磁力選別装置1の装置特性によっても変化する。
被選別物201の磁着特性としては、被選別物201の粒径、形状、比重、含水率、マグネタイトの付着量、表面帯電状態がある。
先に述べたように重力はsinθ>0、すなわちθ>0°である限りドラム12表面に押し付けるように作用する。θ<0においては、引き離す力になるのでドラム12表面から被選別物201を引き離すことに寄与する。また遠心力Cは、ドラム12の半径をR、被選別物201の速度をV、被選別物201の質量をM0とすると、式(6)が成立し、質量M0が大きいとドラム12表面から剥離し易くなる。
一般的に粒径の小さい粒子は、質量M0が小さいが、強磁性粉末の付着量も少なく、磁気力Mも小さくなる。粒子を球形と仮定し、その半径をrとすると表面積は半径rの2乗に比例し、体積は半径rの3乗に比例する。マグネタイト粉末は、土壌粒子に付着し易く、土壌粒子の表面積に比例して付着するものと考えられるため、マグネタイト粉末の付着量∝磁着力は、粒子半径rの2乗に比例し、粒子の質量M0は、半径rの3乗に比例する。磁着力は、粒径rのおおよそ2乗に比例するが、θ<0のときの引き剥がしに作用する重力は粒径rの3乗に比例して大きくなるので、粒径rが大きくなると磁着力より重力による剥離の効果が大きくなる。
以上のことから、被選別物201の粒径及び比重に関しては、それらが大きい程、ドラム12の下半分ではこれから外れ落下し易くなる。マグネタイト粉末の付着量に関しては、付着量が多いほど磁気力Mが大きくなり、ドラム12上から外れ難くなる。粒径の小さい被選別物201ほど自重が軽く、単位重量当たりのマグネタイト粉末の付着量が多くなるためドラム12上から外れ難くなる。逆に粒径が大きくなるに従って自重が重くなり、さらに単位重量当たりのマグネタイトの付着量が少なくなるためドラム12上から外れ易くなる。被選別物201の形状、含水率及び表面帯電状態は、摩擦力Fに影響を与える。
磁力選別装置1の運転条件としては、回転ドラム11の回転数及び被選別物201の供給速度(処理速度)がある。回転ドラム11の回転数は、回転数を上げるほど遠心力Cが大きくなり、被選別物201は、ドラム12上から外れ易くなる。被選別物201の供給速度は、ドラム12上の被選別物201の厚さに反映される。つまり被選別物201の供給速度が大きい程、ドラム12上の被選別物201の厚さは厚くなる。ドラム12上の被選別物201の厚さが厚くなると、上面側の被選別物201は、ドラム12との距離が大きくなり磁気力Mが作用し難くなり、結果、上面側の被選別物201は、ドラム12上から外れ易くなる。
次に回転ドラム11の回転速度と推定される回転ドラム11から離れ放出される粒子の軌跡との関係を説明する。図4は、磁力選別装置1の回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡を説明するための模式図である。
回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡は、仮定1:空気抵抗は無視できる、仮定2:回転ドラム11へ投下された粒子は、回転ドラム11上をドラム回転速度と同じ速度で移動する(回転ドラム11上の滑り、転がりを無視する)とすると、式(7)〜式(12)で示される。回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡は、式(7)〜式(12)で示されるように回転ドラム11の回転速度vの影響を受ける。
図5及び図6は、回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡と回転ドラム11の回転速度vとの関係を示す図である。図5及び図6において、回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡は、式(7)〜式(12)を用いて算出している。図5及び図6に示されるように回転ドラム11の回転速度vが上昇するに従って、同一高さh(m)における粒子の軌跡が広がる。これにより回転ドラム11の回転速度vを変更することで、区分けする粒子の粒径を変更することができる。図5及び図6は、計算により算出された粒子の推定される軌跡の一例であり、図5及び図6に示す数値に限定されるものではない。
また回転ドラム11の回転速度vを大きくすると、粒子粒径の空間分布幅が広がるため、分級粒径閾値の分解能を細かく設定することができる。特に、磁力選別装置1は、仕切板32a及び/又は仕切板32bの位置を左右に移動させることで、区分1、区分2及び区分3の大きさを簡単に変えることができる選別装置31を備えるので、回転ドラム11の回転速度vを大きくして使用すれば、被選別物(汚染物)を所望の濃度に容易に選別することができる。
磁力選別装置1の装置特性としては、ドラム表面の磁束密度があり、被選別物201の磁着比率は、ドラム12表面の磁束密度に比例して増加する。磁石14に電磁石を使用し、ドラム表面の磁束密度を調節することで被選別物201の磁着比率を制御することができる。またドラム12の材質、表面状態も被選別物201の磁着に影響を与える。
以上のように回転ドラム11上において被選別物201に作用する力は、被選別物201の性状、磁力選別装置1の運転条件、磁力選別装置1の装置特性等によって異なるため、回転ドラム11の表面磁束密度、被選別物201の供給速度、回転ドラム11の回転速度、土壌粒子とマグネタイト粉末との混合割合、土壌粒子の含水率のうち、少なくとも1つを調節することで、被選別物201の落下位置を調節することができる。
次に、放射性物質汚染土壌とマグネタイト粉末との混合物を被選別物201として磁力選別装置1の動作を説明する。ここで、放射性物質汚染土壌とマグネタイトとの混合物のうち、放射性物質汚染土壌の表面にマグネタイト粉末が付着しているものを磁気土粒子と呼ぶ。
混合装置を用いて十分に混合された放射性物質汚染土壌とマグネタイト粉末との混合物は、ホッパー105に充填された後、振動フィーダー107を介して磁力選別装置1に連続的に定量供給される。
シュート24を通じて、回転している回転ドラム11上の磁場印加部の上端に落下した被選別物201のうち、粒径のかなり大きい磁気土粒子、あるいはマグネタイト粉末が付着し損ねた汚染土壌は、仰角が0°<θ<90°の範囲でドラム12上を滑落する。これら粒子は、選別装置31の仕切板32aで仕切られる区分1で回収される。
粒径が中程度の磁気土粒子は、仰角θ<0°にてドラム12表面上から脱着分離し、放射線状に落下し、区分2で回収される。粒径が小さい磁気土粒子は、ドラム12の磁場印加部端仰角θ≒−90°にてドラム12表面上から脱着分離し、放射線状に落下し、区分3で回収される。
放射性物質汚染土壌は、粒径の小さいものほど汚染濃度が高いことが知られている(例えば特開2013−242210号公報、表1)。上記のように粒径の小さい放射性物質汚染土壌は、区分3に、粒径の大きい放射性物質汚染土壌は、区分1に、その中間の粒径の放射性物質汚染土壌は区分2に回収されるため、放射性物質汚染土壌の濃縮、除染等を行うことができる。なお上記実施形態では、選別装置31が区分けする区分数を3としたが、区分数を4以上とすることも可能であり、これにより放射性物質汚染土壌の濃縮、除染等をより適切に行うことができる。
放射性物質汚染土壌以外の汚染物であっても、汚染物質が主として粉粒体状の固体表面に固着、吸着又は付着した汚染物は、通常、粒径の小さい物ほど汚染物質の濃度が高くなる。このような汚染物も放射性物質汚染土壌と同様に濃縮、除染等を行うことができる。
上記のように第1実施形態の磁力選別装置1は、選別物の落下位置に対応し選別物を3区分以上に区分けすることができるので、汚染物の濃度に対応した選別を行うことができる。また汚染物の性状、例えば比重、含水率が変化しても選別装置である仕切板32a、32bの位置を可変可能なため汚染物を所望の濃度に区分けすることができ、さらに被選別物201の供給速度、回転ドラム11の回転速度等を調節することで汚染物を所望の濃度に選別することができる。
図7は、本発明の第2実施形態の磁力選別装置2の概略構成を示す図であり、(A)が側面図、(B)が正面図である。図8は、本発明の第2実施形態の磁力選別装置2の選別装置41廻りの構成図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第2実施形態の磁力選別装置2の基本構成は、本発明の第1実施形態の磁力選別装置1と同じであるが、選別装置41の構造が異なる。選別装置41は、選別装置31と同様に、排出口25から落下する選別物202を落下位置に応じて3区分に区分けするものであり、機能は選別装置31と同じである。
選別装置41も選別装置31と同じく排出口25の下方に配置されている。選別装置41も選別装置31と同様に、2つの仕切板42a、42bと、各仕切板42a、42bをスライド自在に支持するリニアレール36とを有する。各仕切板42a、42bは、排出口25から落下する選別物202に対応し、位置を可変させることのできる可動構造となっており、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。
仕切板42aは、仕切板32aと同じく上端を排出口25に臨ませる鉛直板33aを有し、仕切板42bは、仕切板32bと同じく上端を排出口25に臨ませる鉛直板33bを有する。仕切板42a、42bも選別装置31と同様に、係止体35a、35bを有し、係止体35a、35bが鉛直板33a、33bの両側面の端部に固定されている。
選別装置31では、仕切板32a、32bは、鉛直板33a、33bそれぞれに連結する傾斜板34a、34bを有するが、選別装置41では、仕切板42a、42bは、鉛直板33aと鉛直板33bとに跨るように連結した蛇腹体46及び傾斜板44を有する。
蛇腹体46は、帆布などのような柔軟性を有する部材が折り畳まれ蛇腹状に形成された部材であり、一端部が鉛直板33aの下辺に、他端部が鉛直板33bの下辺に連結する。蛇腹体46は、鉛直板33a及び/又は鉛直板33bが左右に移動し、鉛直板33aと鉛直板33bとの間隔が変化しても追従し、鉛直板33aと鉛直板33bとを結ぶ。蛇腹体46は、蛇腹体46上に落下した選別物202を排出可能に傾斜して取付けられている。
傾斜板44は、蛇腹体46上に落下した選別物202を架台51の外に排出するための部材であり、蛇腹体46の下に傾斜して取付けられている。
選別装置31では、仕切板32a、32bの傾斜板34a、34bを介して区分1及び区分3に落下する選別物202をそれぞれ架台51の外に排出し、区分2に落下する選別物202は架台51の内側で回収する。これに対して選別装置41では、仕切板32a、32bを結ぶ蛇腹体46及び傾斜板44を介して区分2に落下する選別物202を架台51の外に排出し、区分1及び区分3に落下する選別物202は架台51の内側で回収する。
本発明の第2実施形態の磁力選別装置2と本発明の第1実施形態の磁力選別装置1とでは、選別装置31、41の構造が異なり、これに伴い選別物202の回収位置が異なるが、被選別物201の選別原理、選別要領、及び磁力選別装置の動作、作用効果は、磁力選別装置2と本発明の第1実施形態の磁力選別装置1とで同じである。
本発明の第1及び第2実施形態の磁力選別装置1、2は、共に2つの仕切板32a、32b、42a、42bを備え、これにより被選別物201を3つの区分に区分け可能とする。さらにこの2つの仕切板32a、32b、42a、42bは、位置を左右に移動可能なため区分1、区分2及び区分3の大きさを簡単に変えることができる。これにより所望の粒径の選別物202を得ることができることは既に説明の通りである。
一方で、第1及び第2実施形態の磁力選別装置1、2の選別装置31、41は、共に仕切板32a、32b、42a、42bの高さは固定されており、高さを変更することはできない。ここで第1及び第2実施形態の磁力選別装置1、2の選別装置31、41の変形例として、仕切板32a、32b、42a、42bの高さを可変可能な構造とすれば、高さを変更することで所望の粒径の選別物202を得ることができる。つまり仕切板32a、32b、42a、42bの高さ可変構造は、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。このことは図5及び図6、式(7)〜式(12)からも明らかである。
仕切板32a、32b、42a、42bの高さを可変させる方法としては、仕切板32a、32b、42a、42b全体の設置高さを可変させる方法、鉛直板33a、33bを伸縮構造とし、鉛直板33a、33bの高さのみを変更する方法がある。後者の場合には、回転ドラム11に近い最上端の位置が可変できればよい。鉛直板33a、33bの伸縮構造としては、例えば、鉛直板33a、33bを複数枚の板で構成し、これらをスライド可能とすればよい。このような方法は、選別装置31、41の構造をそのまま踏襲し、簡単に実施することができる。また仕切板32a、32b、42a、42bを左右に、さらに高さを可変可能とすることで、より確実に所望の粒径の選別物202を得ることができる。
さらに第1及び第2実施形態の磁力選別装置1、2は、選別装置31、41を以下のように変形してもよい。第1及び第2実施形態の磁力選別装置1、2では、選別装置31、41に2つの仕切板32a、32b、42a、42bを使用し、これにより被選別物201を所望の粒径に区分けしているが、より簡便な選別装置とするのであれば、1つの仕切板を左右及び/又は上下に可変可能な構造としてもよい。このような構造も区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。1つの仕切板の場合、区分数は2区分となるが、位置が固定された従来の選別装置と異なり、仕切板を左右及び/又は上下に可変させることで汚染土壌など被選別物201の性状等が変化した場合であっても、それに対応した選別が可能となる。
図9は、本発明の第3実施形態の磁力選別装置3の概略構成を示す側面図、図10は、本発明の第3実施形態の磁力選別装置3の概略構成を示す正面図である。但し、図10では、選別器80を省略している。図11は、本発明の第3実施形態の磁力選別装置3の被選別物201に作用する力を示す模式図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
磁力選別装置3は、複数のハーフパイプ状のシュートを備える選別器を用いた磁力選別装置であって、定量供給装置である振動フィーダー107を介して連続的に供給される、粉粒体状の汚染物と強磁性粉末及び/又は常磁性粉末とが混合されてなる被選別物201を連続的に選別する。
本実施形態の磁力選別装置3は、隣り合うように配置された2基の選別器70、80と、選別器70、80の一端部に設置された可動堰91、95と、選別器70、80を所定の高さに設置する架台55、56とを備える。
選別器70は、ハーフパイプ状のシュート71と、シュート71の裏面(背面)に設置された制動磁石78を備える。
シュート71は、横断面の中心角が約210°の非磁性材からなるハーフパイプ状のシュートである。シュート71は、鉛直軸の上方を0°とし時計廻りで角度を表したとき、横断面において可動堰取付側73の端部が約90°、被選別物流入側72の端部が約300°であり、被選別物流入側72が高く、可動堰取付側73が低くなっている。但し、シュート71の横断面の形状、角度は、これに限定されるものではない。またシュート71は、軸方向において分別回収槽38側が低くなるように傾斜して設置されており、分別回収槽38側が選別物202の排出口76となる。
制動磁石78は、シュート71上を移動(横断)する被選別物201の速度を制御する磁石であり、シュート71を横断面に見て、可動堰取付側73近傍の傾斜部74の裏面でかつ、軸方向に見て被選別物流入側72に取付けられている。制動磁石78の長さは、シュート71の長さの1/3〜1/4程度である。シュート71のうち制動磁石78が配置されている領域が、磁場印加部75であり、その他の領域は磁場無印加部となる。制動磁石78は、永久磁石、電磁石のいずれでもよい。
本実施形態では、制動磁石78として棒状の複数本の磁石が、間隔を空け2箇所に取付けられている。磁場印加部75の連続通過距離を長くし過ぎると、この部分で被選別物201が磁着される可能性があるため、これを避けるべく制動磁石78の設置を間欠的としている。制動磁石78の設置は、シュート71の背面が容易であるが、より強力な磁場を被選別物201に印加する必要がある場合には、シュート71の内側表面に埋め込んでもよい。この他、制動磁石78の設置個所、数量、表面磁束密度等は、被選別物201に合わせて適宜選択することができる。
なお、制動磁石78に磁着物が堆積した場合は、次の要領で対処すればよい。制動磁石78に電磁石を使用する場合には、図に明示しないブロア(エアガン)、スキマー(かきとり器)などを設け、電流を遮断し磁力を喪失させた後にブロア(エアガン)、スキマーなどを動作させ磁着物を除去する。同様に、制動磁石78に永久磁石を使用する場合には、永久磁石をシュート71表面から機械的に離隔させた後、図に明示しないブロア(エアガン)、スキマー(かきとり器)などを動作させ磁着物を除去する。
選別器80の基本構成は、選別器70と同じであり、ハーフパイプ状のシュート81と、シュート81の裏面に設置された制動磁石88を備える。
シュート81は、シュート71とほぼ同じ形状であるが、シュート71に比較して直径(横断面の大きさ)が小さい。シュート81の設置要領は、シュート71と同じである。またシュート81にも、シュート71と同じ要領で、横断面に見て可動堰取付側83近傍の傾斜部84の裏面でかつ、軸方向に見て被選別物流入側82に制動磁石88が取付けられている。制動磁石88の取付け要領は、制動磁石78と同じであり、シュート81のうち制動磁石88が配置されている領域が、磁場印加部85であり、その他の領域は磁場無印加部となる。
シュート71及びシュート81には、それぞれ被選別物流入側72、82の端部、可動堰取付側73、83の端部に架台取付部77、87が設けられている。シュート71及びシュート81は、互いの軸線方向(長手方向)を平行として隣り合うように並べて架台55、56に固定されている。具体的には、シュート71の可動堰取付側73の端部とシュート81の被選別物流入側82の端部とが隣り合うように同じ高さで設置されている。
可動堰91は、シュート71からシュート81に飛び移る被選別物201を選別するためのものであり、可動板92と可動板92を上下動可能に保持するホルダ93とを含む。ホルダ93は、シュート71の可動堰取付側73の架台取付部77の端部で、かつシュート71の反排出口側に設置され、可動板92を鉛直に支持する。可動板92は、矩形の板であり、ホルダ93に差し込まれ、ホルダ93に設けられた固定ボルト(図示省略)で固定される。可動板92の軸方向の長さは、制動磁石78の長さの60〜70%程度である。
可動堰95は、シュート81から飛び出す被選別物201を選別するためのものであり、基本構造は可動堰91と同じである。可動堰95は、可動堰91と同様に可動板96と可動板96を上下動可能に保持するホルダ97とを含み、ホルダ97は、シュート81の可動堰取付側83の架台取付部87の端部で、かつシュート81の反排出口側に可動堰91のホルダ93と同じ要領で設置されている。可動板96は、可動板92と同じ要領で、ホルダ97に上下動可能に固定されている。
次に図11を用いて、シュート71の磁場印加部75を移動する被選別物201に作用する力について説明する。ここでは汚染物が土壌粒子、強磁性粉末がマグネタイト粉末とし、これら混合物を被選別物として説明する。
振動フィーダー107から供給された被選別物201は、シュート71の反排出口側であって被選別物流入側72に落下する。これより被選別物201は、シュート71上を滑り落ちながら可動堰取付側73に向け移動し、さらに慣性Iにより傾斜部74を駆け上がる。シュート71は、排出口76側が低くなるように傾斜して設置されているので、被選別物201には、シュート71の排出口76側に向け移動する力も作用する。
被選別物201がシュート71の磁場印加部75に達すると、表面に強磁性粉末であるマグネタイト粉末が付着しているため、磁気力Mと遠心力Cが作用しシュート71の表面に吸着しようとする。また被選別物201には磁気力Mと反対方向に垂直抗力Nが作用する。また被選別物201には、鉛直方向に重力Gが作用し、さらにシュート71の壁面との間に、慣性Iと反対方向に摩擦力Fが作用する。
慣性Iは、被選別物201が傾斜部74を駆け上がるように作用し、磁気力Mと遠心力Cは、被選別物201をシュート71の壁面に留め置くように作用し、摩擦力F及び重力Gは、被選別物201が傾斜部74から下り落ちるように作用する。被選別物201が磁場印加部75を駆け上がり、さらに可動板92を乗り越えるか否かは上記の力の作用による力学的エネルギーのバランスで決まる。
粒子の力学的エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)は、摩擦力のする仕事により減少する。磁気力Mの作用により摩擦が増大すると力学的エネルギーが減少するため、運動エネルギーが0となり位置エネルギーが最大となる点が、初期の落下開始位置より低くなる。制動力(摩擦力)は、粒子質量に比例するため、粒径が大きい、比重が大きいことは制動力増加につながり、力学的エネルギーの減少、上昇可能位置の低下につながる。
以上のことから被選別物201のうち、粒径の大きい被選別物201は、自重に対するマグネタイト等粉末付着量が比較的小さく自重当たりの磁気力Mが比較的小さくなるため、摩擦力Fが小さくなり、これによる力学的エネルギー損失が小さいため、磁場印加部75を駆け上がり、さらに可動板92を乗り越え易い。また振動フィーダー107とシュート71との距離を大きくし、被選別物201をシュート71に対して高い位置から供給した場合も、力学的エネルギーが大きくなり、磁場印加部75を駆け上がり、さらに可動板92を乗り越え易い。
制動磁石78に関しては、設置個所を多くし磁場印加部75を広くし、あるいは磁気力Mを高めると、被選別物201は、磁場印加部75を駆け上がり難く、可動板92を乗り越え難くなる。マグネタイト粉末の付着量が多い場合も同様である。このため制動磁石78に電磁石を使用した場合には、シュート71表面の磁束密度を調節することで被選別物201を選別することができる。永久磁石の場合は、シュート表面と磁石の離隔距離を機械的に変化することで同様の効果を得ることができる。
シュート71に関しては、シュート71の直径が大きい程、被選別物201がシュート71上を移動する距離が長くなり、摩擦力Fにより被選別物201の運動エネルギーが低下する。よって被選別物201は、傾斜部74、磁場印加部75を駆け上がり難く、可動板92を乗り越え難くなる。またシュート71の傾斜部74の長さが長い程、また傾斜部74の角度が急な程、被選別物201は、可動板92を乗り越え難くなる。またシュート71の表面状態は、摩擦力Fに影響を与える。摩擦力Fは、被選別物201の形状、含水率及び表面帯電状態によっても異なる。
可動堰91に関しては、可動板92の上端部の位置が高い程、被選別物201は、可動板92を乗り越え難くなる。以上、選別器70及び可動堰91について説明したが、選別器80及び可動堰95も同様である。
以上のようにシュート71、81上において被選別物201に作用する力は、被選別物201の性状、運転条件、磁力選別装置3の装置特性等によって異なるため、シュート71、81の表面磁束密度、被選別物201の供給速度、被選別物201の供給位置(高さ)、可動板92、96の高さ、土壌粒子とマグネタイト粉末との混合割合、土壌粒子の含水率のうち、少なくとも1つを調節することで、被選別物201が乗り越える堰を調節することができる。
次に、放射性物質汚染土壌とマグネタイト粉末との混合物を被選別物201として磁力選別装置3の動作を説明する。ここで、放射性物質汚染土壌とマグネタイト粉末との混合物のうち、放射性物質汚染土壌の表面にマグネタイト粉末が付着しているものを磁気土粒子と呼ぶ。
混合装置を用いて十分に混合された放射性物質汚染土壌とマグネタイト粉末との混合物は、ホッパー105に充填された後、振動フィーダー107を介して選別器70に連続的に定量供給される。
振動フィーダー107から供給された被選別物201は、シュート71の反排出口側であって被選別物流入側72に落下する。被選別物201は、シュート71上を滑りながら可動堰取付側73に移動する。このとき粒径の小さい磁気土粒子は、マグネタイト粉末の付着量が多く磁気力Mが大きいためこれによる摩擦力Fが大きくなるので力学的エネルギー損失が大きく、可動堰91を乗り越えることができない。可動堰91を乗り越えることのできない被選別物201は、シュート71を軸方向に下り排出口76から区分1に設置された分別回収槽38に落下する。但し、粒径の小さい汚染土壌であっても、マグネタイトが付着し損ねた汚染土壌は、制動磁石78による制動が作用しないため、可動堰91を乗り越えることができる。
粒径の大きい被選別物201は、マグネタイト粉末の付着量が少なく磁気力Mの作用が小さいため力学的エネルギーの損失が小さく、可動堰91を乗り越え、シュート81の反搬出口側であって被選別物流入側82に落下する。この被選別物201のうち、粒径の比較的小さい被選別物201は、可動堰95を乗り越えることができず、シュート81を軸方向に下り排出口から区分2に設置された分別回収槽38に落下する。可動堰95を乗り越えた被選別物201は、区分3の分別回収槽38に回収される。
本実施形態の磁力選別装置3では、各区分に設置された分別回収槽38の上部に、篩39が設置され、篩下が分別回収槽38に回収されるようになっている。なお、篩39は、設置しなくてもよい。
上記のように第3実施形態の磁力選別装置3は、ハーフパイプ状のシュート上を移動する被選別物(汚染物)201の力学的エネルギーにより、被選別物201を選別するので、汚染物の濃度に対応した選別、あるいは被選別物201の性状に応じた選別ができる。選別器を複数基設置すれば汚染物を3区分以上に区分けすることができる。さらに磁力選別装置3は、高さを可変可能な可動堰91、95を備えるので、汚染物の比重、含水率など汚染物の性状が変化しても可動堰91、95の高さを調節することで、汚染物を所望の濃度に区分けすることができる。
図12は、本発明の第4実施形態の汚染物乾式処理システム101の概略構成図である。図12に示す汚染物乾式処理システム101は、放射性物質汚染物の処理施設の一部として組み込まれている。ここでは被選別物が放射性物質汚染土壌であるが、被選別物は放射性物質汚染土壌に限定されるものではない。
汚染物乾式処理システム101は、放射性物質汚染土壌を放射性物質の濃度により区分するための乾式連続処理システムであり、図1に示した磁力選別装置1を含む。その他、放射性物質汚染土壌と薬剤であるマグネタイト粉末とを連続的に混練する混練機103、混練機103にマグネタイト粉末を定量供給する薬剤フィーダー104、混練機103で混練された混合物の含水率を調節する含水率調節装置109、被選別物を磁力選別装置1に連続的に定量供給する振動フィーダー107を含む。振動フィーダー107は供給量を可変可能である。混練機103に代え、混合装置を使用してもよい。
放射性物質汚染土壌の処理施設において、汚染物が、搬入され仮置きヤードに設置されたベッセル(図示省略)内に仮置きされる。処理施設には、搬入された汚染物から木くずなどの粗大物を除去する一次分級装置が設けられ、汚染物乾式処理システム101には、木くずなどの粗大物が取り除かれた汚染土壌が供給される。
一次分級装置は、ホッパー153、振動篩155、ベルトコンベヤ157を含む。ベッセル内に仮置きされた汚染物は、バックホー(図示省略)により振動篩155の上部に設置されたホッパー153に供給され、振動篩155でふるい分けされる。粗大物は、汚染物乾式処理システム101に送られることなく回収される。
粗大物が取り除かれた汚染土壌は、ベルトコンベヤ157を介して混練機103の上部に設置されたホッパー105に供給される。ホッパー105には、薬剤フィーダー104からマグネタイト粉末が定量供給され、汚染土壌及びマグネタイト粉末は、混練機103で混練される。混練機103の出口部には、混練機103から排出される汚染土壌及びマグネタイト粉末の混合物の含水率を調節する含水率調節装置109が設けられ、ここで混合物の含水率が調節される。含水率調節装置109は、乾燥器及び加湿器を備える。含水率調節装置109は、混練機103に組み込まれていてもよい。
含水率調節装置109を介して含水率が調節された混合物は、被選別物201として振動フィーダー107を介して磁力選別装置1に送られる。混練機103は、特定の混練機に限定されるものではないが、連続処理が可能であり小型で混練性能に優れるものが好ましい。このような混練機として真空押出成形機がある。汚染物乾式処理システム101において、含水率調節装置109を省略することもできるが、含水率調節装置109を設けることで汚染土壌の性状が変化しても、汚染土壌を適切に区分けすることができる。
磁力選別装置1は、放射性物質の濃度が8,000Bq/kg未満の低汚染土壌と放射性物質の濃度が8,000Bq/kg以上の高汚染土壌とに選別し、ベッセル151に排出する。低汚染土壌を排出する傾斜板34の出口には、篩121が設置され、ベッセル151には、篩121上のみ貯留される。一方、篩121下は、返送装置123を介してホッパー105に返送される。低汚染土壌として排出された汚染土壌であって、篩121を通過したものは、マグネタイト粉末が付着していない可能性があるので、ホッパー105に返送する。ベッセル151に貯留された汚染土壌は、放射線モニタ161で濃度が確認された後、それぞれ搬出される。
高汚染土壌についても、傾斜板34の出口に篩121を設け、篩上を返送装置123を介してホッパー105に返送するようにしてもよい。但し、高汚染土壌は、粒径が小さいため篩による分級が難しい。実用的には、低汚染土壌のみ分級、返送すればよく、汚染土壌が3区分以上に分類される場合には、汚染濃度の最も小さい区分のみを対象とすればよいであろう。
放射性物質汚染物の処理施設は、汚染物乾式処理システム101を含め、各機器がテントあるいは建屋内に設置され、ここには発塵を防止するための散水器163、加湿器165、放射線モニタ161が取付けられている。またテントあるいは建屋の外には、テントあるいは建屋内と連通する集塵機、水供給装置(図示省略)等が設けられている。
上記実施形態の汚染物乾式処理システム101は、磁力選別装置1を備えるので汚染物を常温でかつ無廃水で区分けすることができる。さらに汚染物乾式処理システム101は、磁力選別装置1で回収された、汚染濃度の低い区分の選別物202を篩121で分級し、篩下を混練機103に返送する返送装置123を備えるので、汚染物をより適切に区分けすることができる。なお上記実施形態では、磁力選別装置として第1実施形態の磁力選別装置1を使用するが、第2実施形態、第3実施形態の磁力選別装置2、3、さらには後述の第5〜第8実施形態の磁力選別装置4、5、6、7であってもよい。
さらに他の実施形態の磁力選別装置を示す。
図13は、本発明の第5実施形態の磁力選別装置4の概略構成を示す側面図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第5実施形態の磁力選別装置4の基本構成は、本発明の第1実施形態の磁力選別装置1と同じであるが、選別装置301の構造が異なる。選別装置301は、選別装置31と同様に、排出口25から落下する選別物202を落下位置に応じて複数の区分に区分けし、さらに選別物202を回収可能に構成されている。
選別装置301は、6個の分別回収槽302からなり、選別装置31と同じく排出口25の下方に、これらが隙間なく並べて設置されている。本実施形態では、分別回収槽302の数が6個であるから選別物202を6区分に分別回収することができるが、分別回収槽302の数は6個に限定されるものではなく、区分けする区分数以上であればよい。好ましくは、分別回収槽302の数は3個以上である。これにより汚染物を所望の濃度に区分けすることができる。
各分別回収槽302の大きさ(幅)は、同一を基本とするが異なっていてもよい。各分別回収槽302の大きさ(幅)は、特定の幅に限定されるものではないが、幅が区分けされる選別物202の粒径を決めるため、幅の狭いものを使用すればより細かく分級することができる。つまり本実施形態の磁力選別装置4にあっては、複数個の分別回収槽302が、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。
磁力選別装置4の選別装置301は単純な構成ではあるが、選別物202を確実に複数の区分に区分けすることができる。また各分別回収槽302の個数、各分別回収槽302の大きさ(幅)を適切に設定することで所望の粒径の選別物202を回収することができる。
図14は、本発明の第6実施形態の磁力選別装置5の概略構成を示す側面図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1、図13に示す第5実施形態の磁力選別装置4と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第6実施形態の磁力選別装置5は、基本構成が本発明の第1実施形態の磁力選別装置1と同じであり、磁力選別装置5の選別装置311の構造が、磁力選別装置4の選別装置301と類似する。選別装置311は、分別回収槽302を用いて、排出口25から落下する選別物202を落下位置に応じて複数の区分に区分けし回収する点において、選別装置301と共通するが、選別装置311は、さらに分別回収槽302に分別された選別物202を混合する混合装置312を備える。
分別回収槽302については、磁力選別装置4の選別装置301と同様に考えることができるので説明を省略する。
混合装置312は、各分別回収槽302の底部に設けられ選別物202を排出する出口管313と、各出口管313が連結する集合管314と集合管314と連結する混合調製槽315とを含む。各出口管313はそれぞれ、管路の途中にバルブ316を有し、出口部が集合管314と連結する。分別回収槽302からの選別物202の排出は重力によるものであってもよいが、分別回収槽302又は出口管313内にスクリューフィーダ等を設け定量排出を可能とすれば、所望の性状の選別物202、例えば所定の濃度の汚染物を容易に回収することができる。
混合調製槽315は、集合管314から排出される選別物202を受入れるタンクである。混合調製槽315の底部にはキャスター317が設置され、選別装置311全体が一体的に移動可能に構成されている。本実施形態の選別装置311は、キャスター317を備え、移動可能に構成されているが、固定式であってもよい。
選別装置311を使用する際は、選別装置301と同じく排出口25の下方に分別回収槽302が位置するように配置し、6個の分別回収槽302に選別物202を分別回収する。分別回収槽302に分別回収した選別物202の混合操作は、分別回収槽302に選別物202を分別回収しつつ行ってもよく、分別回収槽302に選別物202を分別回収した後に行ってもよい。選別物202を分別回収した後に混合操作を行う場合は、選別装置311を別の場所に移動させた後に行ってもよい。
第6実施形態の磁力選別装置5は、選別装置311が分別回収槽302の他、分別回収した選別物202を混合可能な混合装置312を備えるので、混合装置312を介して分別回収した選別物202を2種類以上混合することで所望の性状の選別物202、例えば所定の濃度の汚染土壌を容易に回収することができる。つまり本実施形態の磁力選別装置5にあっては、混合装置312が、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。選別物202を混合可能な混合装置312の構成・構造については、本実施形態に限定されるものではない。また選別物202を混合する混合装置312については、他の実施形態の選別、第3実施形態の磁力選別装置3にも適用することができる。
図15は、本発明の第7実施形態の磁力選別装置6の概略構成を示す図であり、(a)が側面図、(b)は選別装置321の作用効果を説明するための模式図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1、図13に示す第5実施形態の磁力選別装置4と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第7実施形態の磁力選別装置6は、基本構成が本発明の第1実施形態の磁力選別装置1と同じであり、磁力選別装置6の選別装置321の構造が、磁力選別装置4の選別装置301と類似する。選別装置321は、分別回収槽302を用いて、排出口25から落下する選別物202を落下位置に応じて複数の区分に区分けし回収する点において、選別装置301と共通するが、選別装置321は、さらに分別回収槽302の設置高さを変更可能な高さ可変装置322を備える。
分別回収槽302については、磁力選別装置4の選別装置301と同様に考えることができるので説明を省略する。
高さ可変装置322は、キャスター付きのリフター323であり、上部に分別回収槽302を支持する支持板324を備える。各分別回収槽302は、支持板324上に隙間なく並べて載置される。本実施形態ではキャスター付きのリフター323を使用するが、固定式のリフターであってもよい。
磁力選別装置6の使用方法は、第5実施形態の磁力選別装置4と基本的に同じであるが、分別回収槽302の設置高さを変更可能なため選別物202の所望の粒径への区分がより容易に行える。つまり本実施形態の磁力選別装置6にあっては、分別回収槽302の設置高さを変更可能な高さ可変装置322が、区分けする粒径を変更可能な粒径可変機構として機能する。
回転ドラム11から離れ放出される粒子の推定される軌跡は、図4〜図6及び式(7)〜式(12)及び図15(b)に示す通りである。図15(b)に示す推定される粒子の軌跡のうち、一番右側の軌跡は、粒子が回転ドラム11上を滑り落下する場合を想定したものである。この点は、図13及び図14においても同じである。
粒子の水平方向の軌跡は、排出口25からの距離により異なり、回転ドラム11の右端(図15(b)のA)を基準にすれば、排出口25から距離(高さ方向)が離れるほど、粒子は左側に移行し、かつ粒子粒径の空間分布幅が広がる。このため図15(b)に示すように分別回収槽302の位置を回転ドラム11に近付ける程、区分けする区分数が少なくなる。逆に分別回収槽302の位置を回転ドラム11から遠ざける程、多くの区分数に区分けすることが可能となり、さらにより粒径の小さい選別物202を回収することができる。
高さ可変装置322は、本実施形態の選別装置321のほか、他の実施形態の選別装置、混合装置312を備える選別装置311にも適用することができる。
図16は、本発明の第8実施形態の磁力選別装置7の概略構成を示す図である。図1から図3に示す第1実施形態の磁力選別装置1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。被選別物201、選別物202のうち微細粒子は、回転ドラム11から離れ空間部に放出された後の沈降速度が遅く、風の影響を受け易い。このような微細粒子は、汚染物濃度が高いため、汚染濃度の低い粒径の大きい選別物202を回収する分別回収槽38に混入することは好ましくない。第8実施形態の磁力選別装置7は、これを解消すべくなされたものである。
磁力選別装置7は、磁力選別装置本体の他に磁力選別装置本体を覆い収容するケーシング331と、選別物202が排出口25から排出され分別回収槽38に回収される過程でケーシング331内の空間に漂う選別物202を吸引し回収する集塵装置351とを備える。本実施形態では、磁力選別装置本体として第1実施形態の磁力選別装置1を使用するが、磁力選別装置本体は、他の実施形態の磁力選別装置であってもよく、第3実施形態の磁力選別装置3であってもよい。
本実施形態においてケーシング331は、磁力選別装置本体を覆い収容するが、少なくとも選別物202が排出口25から排出され分別回収槽38に回収される過程で周囲に飛散しないように、排出口25及び選別装置31を覆ってもよい。第3実施形態の磁力選別装置3の場合、装置全体をケーシング331内に収納すればよい。
ケーシング331の一方の側壁には、集塵装置351の吸気ダクト352が設けられている。吸気ダクト352の吸込口353を、粒径の小さい選別物202を回収する分別回収槽38に近い側壁側に配置し、ケーシング331内の空気を微細粒径の選別物202を回収する分別回収槽38側方向に吸引するのがよい。これにより吸引過程で浮遊した選別物202が沈降した場合であっても、その選別物202は、汚染濃度の低い粒径の大きい選別物202を回収する分別回収槽38には混入せず好ましい。
集塵装置351は、ケーシング331内に漂う選別物202を吸引し回収する装置であり、一端がケーシング331の側壁に取付けられた吸気ダクト352、吸気ダクト352内に配置された集塵ファン354、集塵ファン354の後流側に設置され、吸引した空気中の選別物202を吸着する集塵磁石355、脱磁集塵箱356、HEPAフィルター357等を含む。但し、集塵装置351の構成はこれに限定されるものではなく、ケーシング331内の空間に漂う選別物202を磁選分級中の選別物202に影響を与えないように吸引し回収できればよい。
集塵ファン354は、気流が磁選分級中の選別物202に影響を与えないようにゆっくり吸気する。集塵磁石355には、サニタリー磁石などを使用可能であり、永久磁石、電磁石のいずれであってもよい。永久磁石の場合、集塵面に対して機械的に磁石表面あるいは磁石に接続するヨークを密着・離隔できるようにする。
集塵磁石355は、吸気ダクト352内の傾斜面に設置されており、傾斜面の下方に脱磁集塵箱356が配置されている。磁石筐体表面に選別物202が吸着した後に、永久磁石の場合は機械的離隔によって、電磁石の場合は通電電流を遮断することによって磁石筐体表面の磁場を切り、吸着した選別物202を脱磁集塵箱356に流下させ回収する。
HEPAフィルター357は、吸気ダクト352の最後流端に設置されており、図示を省略したブロワーが接続し、作業環境、安全を確保する。HEPAフィルター357に代え、バグフィルターを使用してもよい。以上のようにケーシング331及び集塵装置351を設けることで微細粒子が風の影響を受け、汚染濃度の低い粒径の大きい選別物202を回収する分別回収槽38に混入することを防止することができる。また作業環境、安全を確保することもできる。
以上、第1〜第8実施形態により本発明の磁力選別装置、磁力選別装置の使用方法、汚染物乾式処理システムを説明したが、本発明の磁力選別装置、磁力選別装置の使用方法、汚染物乾式処理システムは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態の磁力選別装置1〜7は、汚染物乾式処理システム101と異なり、低汚染土壌を篩分けし、篩下を混練機103に返送する返送装置123を備えていないが、これを組み込んでもよい。
また第1、2及び第4〜第8実施形態の磁力選別装置は、ドラム回転式の磁選機であるが、本発明の磁力選別装置は、プーリー型磁選機へも適用することができる。
図面を参照しながら好適な磁力選別装置、磁力選別装置の使用方法、汚染物乾式処理システムを説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
乾燥真砂土(含水率0.5wt%)2mm目篩通過分に非放射性Cs133を投与し、これに磁性鉄粉を坦持したものを供試体とし、第1実施形態に示す磁力選別装置1を用いて選別実験を行った。回転ドラム11の直径は300mm、幅は300mmである。回転ドラム11の表面磁束密度は、表面磁束密度300mT,500mTの2種類で行った。仕切板32a、32bの左右方向の位置は、回転ドラム11の中心点を基準に鉛直板33bの位置を回転ドラム11の中心点から左に0mm、鉛直板33aの位置を回転ドラム11の中心点から右に120mmとした。また鉛直板33a、33bの上端の位置は、回転ドラム11の下端から40mmとした。
磁性鉄粉の添加量は乾燥真砂土に対して0.1wt%,0.2wt%,0.5wt%,1wt%添加した。回転ドラム11に対する供試体の供給量は、供給小(約373kg/h),供給大(626kg/h)とした。回転ドラム11の回転速度(周速)は、遅(約28m/min),速(約70m/min)とした。
図17に、回転ドラム11の表面磁束密度300mTの場合の磁性鉄粉の添加量と磁着割合との関係を示した。図17(a)は、各区分の質量割合を、(b)は、各区分のCs133存在割合を、(c)は、各区分の濃縮度を表す。図中、速は回転ドラム11の回転速度(周速)であり、磁着(A)が区分3、磁着(B)が区分2、残渣(N)が区分1で回収されたものであり、磁着(A+B)は、区分2+区分3である。
低汚染濃度分の残渣(N)の質量割合は、87.85〜89.95%とほぼ同じで、どの条件でも良好な高濃度の汚染物の減容化が果たされているといえる。残渣(N)のCs133の存在割合は、58.68〜62.85%でほぼ同じで、どの条件でも40%近いCs133が磁着(A)分、磁着(B)分へ移行していることがわかる。
濃縮度については、残渣(N)は、0.66〜0.72でほぼ同じであった。小粒径分の磁着(A)分の濃縮度は、3.54〜4.36で鉄粉量が0.5wt%のほうが大きくなる傾向がある。中粒径分の磁着(B)分の濃縮度は、2.86〜3.72で磁着(A)分と同様の傾向を示した。鉄粉量を1.0wt%から0.5wt%に減じても磁着分(汚染濃縮分)に回収されるCs133量はほぼ変わらず、濃縮度にいたっては少量添加のほうが大きくなるので、減容・濃縮の観点から優位である。
図18に、回転ドラム11の表面磁束密度300mTの場合の回転ドラムの周速と磁着割合との関係を示した。図18(a)は、各区分の質量割合を、(b)は、各区分のCs133存在割合を、(c)は、各区分の濃縮度を表す。図中、速,遅は回転ドラム11の回転速度(周速)であり、磁着(A)が区分3、磁着(B)が区分2、残渣(N)が区分1で回収されたものであり、磁着(A+B)は、区分2+区分3である。
鉄粉0.5wt%添加のもと、供給量、周速度を変えた条件同士を比較する。低汚染濃度分の残渣(N)の質量割合は、86.85〜89.95%とほぼ同じで、どの条件でも良好な高濃度の汚染物の減容化が果たされているといえる。磁着(A)分の質量割合は、回転ドラムの周速度が速いと大きくなり、替わりに磁着(B)分は小さくなる傾向がある。この結果は、図5及び図6とも一致する。残渣(N)のCs133の存在割合は、51.39〜61.68%である。回転ドラムの周速度が遅いとCs133が磁着(A)分,磁着(B)分へ移行し易いことがわかる。
濃縮度については、残渣(N)は0.59〜0.69、小粒径分の磁着(A)分は、4.31〜5.14で、供給小、回転ドラムの周速度が遅いの場合で最高値を示している。その他のケースはほぼ同レベルである。中粒径分の磁着(B)は、3.24〜3.89で磁着(A)分と同様の傾向を示す。回転ドラムの周速度が遅いの場合、磁着(A)分に対するCs133の存在割合は回転ドラムの周速度が速い場合より小さいが、磁着(B)分のCs133の存在割合がかなり増加するため、磁着(A)+磁着(B)分のCs133の移行率(回収率)は48.61%に及ぶ。
図19に、回転ドラム11の表面磁束密度500mTの場合の磁性鉄粉の添加量と磁着割合との関係を示した。図19(a)は、各区分の質量割合を、(b)は、各区分のCs133存在割合を、(c)は、各区分の濃縮度を表す。図中、磁着(A)が区分3、磁着(B)が区分2、残渣(N)が区分1で回収されたものである。
磁性鉄粉の添加量を減じると、残渣(N)の質量割合が増加していき、磁性鉄粉の添加量0.1〜0.2wt%でほぼ飽和の傾向が見られる。逆に磁着(A)分、磁着(B)分は、おおよそ減少の傾向が見受けられる。磁性鉄粉1.0wt%時の磁着(A)分のCs133の存在割合は56.32%と大きいが、これは比較的大きな粒径分まで含んでいるがためである。残渣(N)の濃縮度は、0.48〜0.66で、磁性鉄粉量が減るとやや大きくなる。磁着(A)分の濃縮度は、磁性鉄粉0.2wt%で最大となっており、磁着(B)は、磁性鉄粉0.1wt%で最大となっている。