JP2013242300A - 放射性物質汚染物の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】余分な廃棄物を発生させることなく効率的に放射性物質汚染土壌を除染し、また減量化することができる放射性物質汚染土壌の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】被処理物である放射性物質汚染土壌の中から予め定める粒度以上の粗粒土壌を分離する乾式分級工程と、粗粒土壌が取り除かれた放射性物質汚染土壌の粒子表面を削り取る研削工程と、研削工程で発生する微粉に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する微粉不溶化工程と、研削工程により得られる粒子表面が削り取られた研削土壌に少なくとも一部がナノサイズの大きさからなる、強磁性粉末と固化剤とに親和な金属粒子、及び前記強磁性粉末が前記固化剤に分散したナノ分散体を添加、混合し、放射性物質を不溶化すると共に濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程と、不溶化・濃縮分離可能化工程後の土壌を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程と、を含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、セシウムに汚染された土壌、瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずなどのような放射性物質に汚染された汚染物の処理方法及び処理装置に関する。
本発明において、放射性物質汚染物は、放射性物質汚染土壌、放射性物質に汚染された瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずのような放射性物質汚染産業廃棄物、又は放射性物質汚染土壌と放射性物質に汚染された瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずのような放射性物質汚染産業廃棄物との混合物、さらにはこれらと放射性物質を含有する焼却灰との混合物を言う。
東日本大震災に端を発する福島第1原発事故により、原発周辺地域への放射性物質の拡散が深刻な社会問題となっている。放出された放射性物質は主としてヨウ素(I)131、セシウムCs134、Cs137である。但し、I131は、半減期が8日と短いため、長期的問題となるのは半減期が約2年のCs134と半減期が約30年のCs137と考えられる。
原発から排出直後の放射性Cs(零価)は瞬時に酸化物や炭酸化物となり,それら潮解性のため徐々に水酸化物へ変化する。アルカリ金属であるCsの溶解性に、対アニオンの種類は影響しない。そのため大気中の放射性Csはいずれの形態でもCsとして雨粒等の水相へ移行し、降雨により土壌汚染を引き起こす。
他方、土壌中の放射性Csの存在形態は、大別して、(1)フミン物質等の有機物にイオン吸着、(2)土壌粒子表面にイオン吸着、(3)粘土などの層状鉱物内部に捕捉されるものに分類される。要するに、土壌表面に吸着、あるいは、土壌の層状構造内部に吸着した状態となる。上記(1)や(2)の放射性Csも、いずれ(3)として安定化されるが、その移行速度は共存する有機物質量等に依存するため明確には予測できない。事実、原子力委員会へ報告された資料(第34回原子力委員会資料第1号)では、事故より半年以上経過した現在でも、大部分の放射性Csが土壌粒子表面にあるとされた。
また、層状構造内部の放射性Csは比較的安定であるが,施肥による高濃度KやNH 及び2価の陽イオン(融雪剤や酸性雨水中の弱酸性下のCa2+等)の供給等の複合要因下では、放射性Csの再溶出の可能性がある。溶出した放射性Csは人に吸収されるリスクが高まるため、可能な限り放射性Csを長期間安定に不溶化することが望まれる。
既存の土壌処理技術としては,向日葵によるファイトレメディエーションやセメント固化があったに過ぎない。実証試験の結果、前者は殆ど効果が認められず、また、後者は津波被害による塩や油汚染を伴う汚染土壌の固化には課題も多い。
最近、既存の重金属処理技術の転用が図られ、その代表例として、水洗/篩分け法(京都大:豊原准教授ら、朝日新聞2011.8.17、例えば非特許文献1参照)、セルロース系ポリイオンによる固化(PIC)法(チェルノブイリ事故で利用)、酸抽出/紺青吸着法(産総研:八瀬 ナノシステム研究部門長ら、プレス発表2011.8.31、例えば非特許文献2参照)、水洗/粘土吸着法(東北大:石井教授ら、原子力委員会定例会議資料2011.9.6)、紺青直接吸着法(東工大:有冨教授ら,日テレ 2011、4.20、例えば非特許文献3参照)等がある。この他、平成23年度「除染技術実証試験事業」として多く除染技術が紹介されている(例えば非特許文献4参照)。
本発明者らは、ナノカルシウムを用い乾式で汚染土壌を処理するナノカルシウム法を開発し(例えば非特許文献5参照)、特許出願中である。ナノカルシウム法は、酸化カルシウム中にナノサイズの金属カルシウムを分散させたナノ分散体を汚染土壌に添加、混合し、放射性Csを不溶化させる方法である。さらに鉄粉を添加したナノ分散体を使用すれば、磁選により放射性物質を濃縮分離することができる。
http://www.asahi.com/science/update/0816/OSK201108160253.html http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110831/pr20110831.html www.news24.jp/articles/2011/04/20/07181347.html www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2012/siryo12/siryo1-3.pdf http://c-collabo.jp/act/img/nplan/cch23/rp_ic(2)_1.pdf
しかしながら前記処理方法にも課題がある。例えば,水洗/篩分け法、PIC法、及び粘土吸着法では、土壌中のCs洗浄に多量の水を必要とし、かつ、廃液処理を要すること、さらに含水粘土の篩分けが困難であり、分離に凝集剤を添加するため廃棄物が増すこと、酸抽出法では耐腐食性の高い装置部材の使用や中和等で高コストとなること、紺青直接吸着法では、紫外線分解等でシアンガスを発生する可能性があること等である。平成23年度「除染技術実証試験事業」として紹介されている除染技術も殆どが水を使用しており、排水処理が必要となる。
本発明者らが開発したナノカルシウム法は、少量のナノ分散体を汚染土壌に添加、混合するだけで放射性Csを不溶化させることができ、さらに磁選により放射性物質を濃縮分離することができる優れた方法であるが、大量の汚染土壌の処理に適用するには、薬剤であるナノ分散体の使用量も必然的に多くなる。大量の汚染土壌を安価に処理するには、薬剤の使用量が少なく、効率的に処理することができる処理プロセスの開発が必要である。
本発明の目的は、余分な廃棄物を発生させることなく効率的に放射性物質汚染物を除染し、また減量化することができる放射性物質汚染物の処理方法及び処理装置を提供することである。
本発明は、被処理物である放射性物質汚染物の表面を削り取り、該放射性物質汚染物に付着する放射性物質を取り除き、被処理物に比べ放射性物質の濃度が低い低濃度汚染物を得る研削工程を含むことを特徴とする放射性物質汚染物の処理方法である。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記放射性物質汚染物には少なくとも放射性物質汚染土壌が含まれ、前記研削工程が、土壌粒子相互の摩擦を利用し、土壌粒子の破砕を防止しつつ土壌粒子の表面を削り取る粒々研削工程であることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、さらに前記研削工程で発生する微粉に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する微粉不溶化工程を含むことを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、さらに前記研削工程後の低濃度汚染物に固化剤と強磁性粉末とを添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程と、前記不溶化・濃縮分離可能化工程後の放射性物質汚染物を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、さらに前記研削工程後の低濃度汚染物を乾式分級し、予め定める大きさの低濃度汚染物を得る研削物乾式分級工程と、前記研削物乾式分級工程で得られる低濃度汚染物に固化剤と強磁性粉末とを添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程と、前記不溶化・濃縮分離可能化工程後の放射性物質汚染物を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記不溶化・濃縮分離可能化工程において、前記固化剤及び前記強磁性粉末に代え、ナノ分散体を添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする放射性物質汚染物の処理方法であって、前記ナノ分散体は、固化剤中に強磁性粉末と、強磁性粉末と固化剤とに親和な少なくとも一部がナノサイズの金属粒子とが分散したものであることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記金属粒子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族元素、鉄及びこれらを含む合金のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記固化剤が酸化カルシウムであり、前記金属粒子が金属カルシウムであることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、放射性物質を不溶化する際に、さらに固化助剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化することを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記固化助剤がリン酸塩であることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記研削工程に先立ち、被処理物である放射性物質汚染物の中から予め定める大きさの放射性物質汚染物を得る乾式分級工程を含み、前記研削工程の被処理物は、前記乾式分級工程で得られる放射性物質汚染物であることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、さらに前記乾式分級工程に先立ち、被処理物である放射性物質汚染物の表面を削り取り、該放射性物質汚染物に付着する放射性物質を取り除き、被処理物に比べ放射性物質の濃度が低い低濃度汚染物を得る前研削工程を含み、前記乾式分級工程の被処理物は、該前研削工程後の低濃度汚染物であることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記放射性物質汚染物が、放射性物質汚染土壌、放射性物質汚染産業廃棄物、又は放射性物質汚染土壌と放射性物質汚染産業廃棄物との混合物、さらにこれらと放射性物質を含有する焼却灰との混合物であることを特徴とする。
また本発明の放射性物質汚染物の処理方法は、前記放射性物質汚染産業廃棄物が、少なくとも瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くず、又はこれらの破砕物のうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする。
また本発明は、少なくとも放射性物質汚染土壌を含む放射性物質汚染物を被処理物とし、被処理物である放射性物質汚染物を乾燥する乾燥器と、前記放射性物質汚染物を乾式分級する乾式分級機と、土壌粒子相互の摩擦を利用し土壌粒子の破砕を防止しつつ前記放射性物質汚染物の表面を削り取る研削装置と、表面が研削された放射性物質汚染物に、少なくとも一部がナノサイズの大きさからなる、強磁性粉末と固化剤とに親和な金属粒子、及び前記強磁性粉末が前記固化剤に分散したナノ分散体を添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする撹拌混合装置と、不溶化及び濃縮分離可能に処理された前記放射性物質汚染物を磁力選別する磁力選別装置と、前記研削装置から排出される微粉と固化剤とを混合し、放射性物質を不溶化する不溶化処理装置と、を含むことを特徴とする放射性物質汚染物の処理装置である。
本発明の放射性物質汚染物の処理方法を用いることで、余分な廃棄物を発生させることなく効率的に放射性物質汚染物を除染し、また減量化することができる。また本発明の放射性物質汚染物の処理装置を用いることで容易に本発明の放射性物質汚染物の処理方法を実施することができる。
本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。 分級した放射性物質汚染土壌の粒度分布を示した図である。 分級した放射性物質汚染土壌の粒度と放射能量との関係を示した図である。 本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。 本発明の第3実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。 本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。 本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。 本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法を実施可能な放射性物質汚染土壌の処理装置1の構成を示すプロセスフロー図である。 本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法における不溶化・濃縮分離可能化メカニズム(想定)を説明するための模式図である。 本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法における不溶化・濃縮分離可能化処理された土壌に含まれる放射性物質を物理的に濃縮分離するメカニズム(想定)を説明するための模式図である。 本発明の実施例で使用したナノ分散体の粒度分布を示す図である。
本発明の放射性物質汚染物の処理方法及び処理装置においては、放射性物質汚染土壌、放射性物質に汚染された瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずのような放射性物質汚染産業廃棄物、又は放射性物質汚染土壌と前記放射性物質汚染産業廃棄物との混合物、さらにはこれらと放射性物質を含有する焼却灰との混合物を被処理物とする。このため放射性物質に汚染された土壌以外に、放射性物質に汚染された瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずなどを除染、減量化することができる。
以下、放射性物質汚染土壌を被処理物として具体的な実施形態を説明するが、本発明は、上記のように放射性物質汚染土壌の他、瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くずなどの放射性物質汚染産業廃棄物等を被処理物とするものであり、以下に示す実施形態において、放射性物質汚染土壌に代え、放射性物質汚染産業廃棄物、放射性物質汚染土壌と放射性物質汚染産業廃棄物との混合物などを同様の方法で処理することができる。
図1は、本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、被処理物である放射性物質汚染土壌の中から予め定める粒度未満の放射性物質汚染土壌を乾式分級により分離し、放射性物質汚染土壌を除染する。
被処理物である放射性物質汚染土壌は、特定の土壌に限定されるものではない。また汚染物質である放射性物質も特定の物質に限定されるものではなく、セシウムCs、プルトニウムPu、ウランU、ラジウムRaなど幅広い放射性物質を対象とすることができる。
被処理物である放射性物質汚染土壌中の水分が10重量%を超えるときは、乾式分級に先立ち、放射性物質汚染土壌を乾燥させ、放射性物質汚染土壌中の水分を10重量%以下とする。好ましい水分量は、1〜5重量%である。放射性物質汚染土壌中の水分が10重量%を越えると放射性物質汚染土壌同士が凝集し、または粒度の大きな放射性物質汚染土壌に粒度の小さい放射性物質汚染土壌が付着した状態となり易い。特に粒度の小さい土壌は、凝集、付着し易いので、水分が10重量%を越えるような放射性物質汚染土壌を乾式分級すると、粒度の小さい土壌を十分に分級することができず好ましくない。
乾式分級は、予め定める粒度に分級することが可能であれば、分級方法、装置型式は特に限定されない。分級効率が高く、安価で処理速度の大きい乾式分級装置であることが好ましいことは改めて言うまでもない。必要に応じて集じん装置を併設してもよい。乾式分級装置としては、篩、振動篩、重力分級機(風力分級機)、サイクロンなどの遠心分級機、ルーバー型分級機などの慣性分級機を使用可能であり、分級する粒度、処理速度等を考慮し、適宜選択することができる。
図2及び図3は、放射性物質汚染土壌を分級し、粒度毎の放射能量を測定し、粒度分布、及び放射性物質汚染土壌の粒度と放射能量との関係を示した図である。また表1は、放射性物質汚染土壌中のCs137及びCs134の濃度を粒度別に示したものである。
図2に示すように放射性物質汚染土壌は、粒度0.5〜2mmのものが多いが、Cs137及びCs134は、図3に示すように粒度0.125mm以下の土壌にも多く含まれている。また表1に示すように粒度が小さい程、放射性物質汚染土壌中のCs137及びCs134の濃度は大きい。一方、7mmを超える土壌中のCs137及びCs134の濃度は非常に小さい。上記放射性物質汚染土壌の場合、0.25mmの粒度で放射性物質汚染土壌を分級し、0.25mm未満の放射性物質汚染土壌を分離すれば除染率が48%、減量率が76%となる。
ここで除染率は、分級前の放射性物質汚染土壌に含まれるCs137及びCs134の量に対する分離された放射性物質汚染土壌に含まれるCs137及びCs134の量である。また、減量率は、分級前の放射性物質汚染土壌重量に対する残存する放射性物質汚染土壌重量、ここでは0.25mm以上の放射性物質汚染土壌重量である。
分級する粒度は、予め放射性物質汚染土壌をサンプリング、分級し、粒度毎の放射能量を測定し、その結果に基づいて決定することが好ましい。分級する粒度は、必ずしも1点である必要はないが、表1にも示されるように粒度が小さくなるに従って、放射性物質汚染土壌中のCs137及びCs134の濃度は高くなるので、ある1点の粒度、例えば0.25mmで分級し、0.25mm以上の汚染土壌と0.25mm未満の汚染土壌とに区分することが効率的である。
上記のように第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、被処理物である放射性物質汚染土壌の中から予め定める粒度未満の放射性物質汚染土壌を乾式分級により分離し、放射性物質汚染土壌を除染する方法であるから湿式処理方法と異なり、水の処理が不要であり、容易に実施することができる。本方法は、除染率が十分に高いとは言えないが、操作が簡単であるので大量処理に適しており、放射性物質汚染土壌の前処理として好適に使用することができる。
図4は、本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、被処理物である放射性物質汚染土壌に、土壌粒子の凝集固化を抑え、かつ粒度の小さい放射性物質汚染土壌を優先的に吸着可能な吸着剤を添加、混合し、該吸着剤に粒度の小さい放射性物質汚染土壌を吸着させ、これらを乾式分級し、予め定める粒度未満の放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染土壌を吸着した前記吸着剤を分離し、放射性物質汚染土壌を除染する。第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と共通する部分は説明を省略し、本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と異なる部分を中心に説明する。
本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法の基本的な考え方は、本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同じであるが、放射性物質汚染土壌に吸着剤を添加、混合し、該吸着剤に粒度の小さい放射性物質汚染土壌を吸着させた後、これらを乾式分級する点が本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と異なる。
吸着剤には、物理的作用により放射性物質汚染土壌を吸着する物理吸着剤を使用する。表面に微細な凹凸、細孔を有する物理吸着剤と放射性物質汚染土壌とを撹拌混合させると、土壌粒子の凝集固化を抑え、放射性物質汚染土壌の一部が、物理吸着剤の表面に付着し、又は物理吸着剤の凹凸、細孔内に入り込む。特に粒度の小さい放射性物質汚染土壌は、物理吸着剤の表面に付着し、又は物理吸着剤の凹凸、細孔内に入り込み易いので、粒度の小さい放射性物質汚染土壌が優先的に物理吸着剤に捕捉される。一般的に物理的作用を利用した物理吸着剤は、化学的作用を利用した化学吸着剤に比較して吸着力は弱いが、吸着速度が速いので本放射性物質汚染土壌のような大量の処理に適している。
また吸着剤と放射性物質汚染土壌とを一緒に撹拌混合すると、これらは互いに接触し、吸着剤は、放射性物質汚染土壌の表面を拭き取るように作用する。このため吸着剤と放射性物質汚染土壌とを一緒に撹拌すると、粒度の大きい放射性物質汚染土壌から粒度の小さい放射性物質汚染土壌が拭き取られる。
表1に示すように放射性物質は、粒度の小さい放射性物質汚染土壌に多く含まれるため、粒度の小さい放射性物質汚染土壌を取り除くことは、除染率を高める上で効果的である。また一般的に粒度が小さくなると分級が難しくなるが、本方法では、粒度の小さい放射性物質汚染土壌は、吸着剤に吸着されるので分級の点からも吸着剤を放射性物質汚染土壌に添加、混合することは好ましい。
吸着剤は、放射性物質汚染土壌のうち粒度の小さい放射性物質汚染土壌を吸着させるものであるから、吸着剤が備える凹凸、細孔径が極端に大きくても、逆に極端に小さくても好ましくない。吸着除去しようとする放射性物質汚染土壌を吸着し易い大きさの凹凸、細孔径を有する吸着剤が好ましい。
吸着剤自身の大きさは、特定の大きさのものに限定されるものではないが、大き過ぎると放射性物質汚染土壌との接触効率が小さくなり好ましくない。容易に分級できる範囲内で可能な限り小さいものが好ましい。放射性物質汚染土壌に対する吸着剤の添加量は特に限定されないが、必要以上に多く添加すると撹拌混合及び乾式分級の処理時間が長くなり処理速度が低下するので、この点に留意して添加量を決定することが好ましい。上記特性を備える吸着剤としては、紙、綿、もみ殻、炭、ゼオライトなどが例示される。
放射性物質汚染土壌に吸着剤を添加、混合し、該吸着剤に放射性物質汚染土壌を吸着させた後は、第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同じ要領で乾式分級し、予め定める粒度未満の放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤を分離すればよい。なお、乾式分級は、必ずしも1種類の乾式分級装置のみで行う必要はなく、2種類以上の乾式分級装置を使用してもよいことは当然である。
上記方法により本発明の第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同等以上の効果が得られる。
上記吸着剤において、可燃性の吸着剤を使用すれば、乾式分級後に放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤を燃やすことで焼却灰として回収することができる。このような方法を併用すれば、減容化することができるので好ましい。
図5は、本発明の第3実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。本発明の第3実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同様の吸着剤を添加した後に乾式分級(乾式分級工程:ステップS1)を行い、さらに分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌、及び放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤を焼却(焼却工程:ステップS2)し得られる焼却灰に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する(不溶化工程:ステップS3)。
ここでは吸着剤に可燃性の吸着剤を使用する。分級方法は、本発明の第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法に示した分級方法と同一であるので説明を省略する。図5では、粒度の小さい放射性物質汚染土壌と放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤とを別々に分級する例を示しているが、これらが混合された状態であってもよい。この場合には、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌と吸着剤との混合物を焼却する。
不溶化工程では、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌及び焼却灰に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する。固化剤は、放射性物質汚染土壌及び焼却灰に含まれる水分と反応し、自身が固化する過程で放射性物質汚染土壌の粒子表面をコーティングする。固化剤は、固化した後は水に不溶である。固化剤によって粒子表面がコーティングされた放射性物質汚染土壌は、水に不溶であるので放射性物質の溶出を防ぐことができる。
上記機能を発揮する固化剤であれば、特定の固化剤に限定されないが、少量で固化し、かつ安価なものが好ましく、酸化カルシウム(CaO)を好適に使用することができる。この他、固化剤として酸化マグネシウム(MgO)が例示される。固化剤は、粒度の小さいものが接触性、撹拌混合性の点から好ましい。
不溶化工程の被処理物である放射性物質汚染土壌及び焼却灰に含まれる水分は少ないが、これらに含まれる水分は零ではないので固化剤を添加すると、固化剤は放射性物質汚染土壌等に含まれる水分と反応する。なお、放射性物質汚染土壌等に含まれる水分が不足する場合には、固化剤を添加する前に放射性物質汚染土壌等に少量の水を噴霧すればよい。撹拌混合装置は、公知の紛体を撹拌混合する装置を使用することができる。
本発明の第3実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法では、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌及び焼却灰に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する例を示したが、分級された粒度の大きい放射性物質汚染土壌にも固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化するようにしてもよい。また放射性物質汚染土壌の不溶化は、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤に対しても好適に適用することができるので、本発明の第1及び第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法に不溶化工程を組み込んでもよい。
前記不溶化工程において、固化助剤を同時に添加してもよい。固化助剤は、放射性物質汚染土壌の固化を助長すると共に放射性物質の溶出を防止する機能を備える。ここで使用可能な固化助剤としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸二水素塩、その他リン酸塩が例示され、リン酸二水素ナトリウムを好適に使用することができる。リン酸二水素ナトリウムを使用し固化した放射性物質汚染土壌は、表面が中性に近づき、水溶液のpHが中性であることを確認済である。このため最終処分場等での長期保管前に他の場所で仮置きされる場合の、溶出や飛散による拡散や生物・植物への取り込みを減少させられる可能性がある。固化剤と固化助剤とを同時に添加、混合し、放射性物質を不溶化するときも、固化剤のみを添加して放射性物質を不溶化するときと同じ要領で行うことができる。
分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌、分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤、又は分級された粒度の小さい放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染土壌を吸着した吸着剤を焼却した焼却灰に固化剤、固化助剤を添加、混合し、これらを不溶化させれば、放射性物質の溶出が防止され、これらの保管が容易となる。
なお、上記実施形態において、被処理物に、廃プラスチック、木くず、紙くずのような放射性物質汚染産業廃棄物、又は放射性物質汚染土壌と前記放射性物質汚染産業廃棄物との混合物のように可燃物が含まれている場合には、分級された大きさの小さい被処理物を焼却した焼却灰に、固化剤、固化助剤を添加、混合し、これらを不溶化させることが好ましい。
図6は、本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、放射性物質汚染土壌を乾燥する乾燥工程(ステップS11)と、乾燥した放射性物質汚染土壌から予め定める粒度以上の粗粒土壌を分離する乾式分級工程(ステップS12)と、粗粒土壌が取り除かれた放射性物質汚染土壌の粒子表面を削り取り、該放射性物質汚染土壌に付着する放射性物質を取り除く研削工程(ステップS13)と、を含む。
乾燥工程は、第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同様に、粒度の大きい放射性物質汚染土壌に粒度の小さい放射性物質汚染土壌が付着すること、放射性物質汚染土壌同士が凝集することを防止するためのものであり、第1実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同様に水分量を10重量%以下、より好ましくは1〜5重量%とする。放射性物質汚染土壌に含まれる水分量が10重量%以下であれば、乾燥工程は不要である。
乾式分級工程は、乾燥した放射性物質汚染土壌から予め定める粒度以上の粗粒土壌を分離する工程である。放射性物質汚染土壌は、表1に示すように粒度が大きい土壌ほど放射性物質の含有量は少なく、後述の実施例に示すように7mmを超えるような粗粒土壌に含まれる放射性物質の量は非常に少ない。よってこのような粗粒土壌は、除染することなく低濃度汚染土壌として取り扱うことができる。
また後工程である研削工程において、土壌粒子相互の摩擦を利用し、土壌粒子の破砕を防止しつつ土壌粒子の表面を削り取る粒々研削(粒々摩擦)方式を採用する場合には、被処理物である放射性物質汚染土壌の粒度分布がシャープなことが好ましい。粒度が揃い、粒度分布がシャープであれば、粒々研削において土壌粒子が破砕し難い。
研削工程は、粗粒土壌が取り除かれた放射性物質汚染土壌の粒子表面を削り取り、該放射性物質汚染土壌に付着する放射性物質を取り除く工程である。放射性物質汚染土壌に含まれる放射性物質は、土壌表面に多く存在するため、放射性物質汚染土壌の表面を削り取ることで除染率及び減量率を高めることができる。
研削工程で使用する研削装置は、特定の装置に限定されないが、土壌粒子を破砕することなく、表面のみを研削できる装置が好ましい。土壌粒子が破砕されると、粒度が小さい土壌粒子及び微粉(以下、土壌粒子が破砕されることに伴い発生する粒度が小さい土壌及び微粉を破砕小粒子と記す)が発生する。破砕小粒子のうち土壌粒子の表面の研削に伴い発生する微粉(研削微粉)と同程度の大きさの破砕小粒子は、研削微粉と分級することができない。放射性物質汚染土壌に含まれる放射性物質は、土壌表面に多く、逆に内部には少ないため、破砕小粒子は、研削微粉と比較して放射性物質の含有量が少ない。このため破砕小粒子が多く発生し、これが研削微粉と一緒に分離されると、除染率はあまり増加せず、逆に減量率が低下するので好ましくない。
放射性物質汚染土壌粒子の破砕を防止しつつ表面を研削する装置としては、土壌粒子を互いに接触させ、互いの表面を研磨する粒々摩擦を利用した研削装置が好ましい。なお、粒々摩擦を利用した研削装置には、加圧した状態で粒々摩擦を行う加圧摩擦方式の装置もある。このような研削装置としては、鋳物砂などの再生が可能な砂再生装置(太洋マシナリー株式会社)、精米機などがある。
粒子表面を研削する研削装置の種類、型式によっては、研削物である微粉を分離する機能を備えないものもあるが、そのような場合には、別途、乾式分級装置、集じん装置で微粉を分離すればよい。
本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、全体的に粒度が大きく放射性物質濃度が比較的小さい放射性物質汚染土壌の処理に好適に使用することができる。粒度が大きい放射性物質汚染土壌の場合、比表面積が小さいため土壌表面を削り取ることで効率的に除染することができる。さらに本発明の第1又は第2実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と組み合わせ、所定の粒度の放射性物質汚染土壌のみを研削工程の被処理物としてもよい。これにより研削すべき放射性物質汚染土壌の量が少なくなり、効率的に処理することができる。
第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法において、研削工程により発生する研削物である微粉は、先に示した不溶化処理の方法で不溶化処理することが好ましい。また表面が削り取られた放射性物質汚染土壌も先に示した不溶化処理の方法で不溶化処理することが好ましい。
図7は、本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理手順を示すフロー図である。図8は、本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法を実施可能な放射性物質汚染土壌の処理装置1の構成を示すプロセスフロー図である。
本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理工程に、さらに3つの工程が加わる。この3つの工程は、研削工程で発生する微粉に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する微粉不溶化工程(ステップS14)と、研削工程により得られる表面が削り取られた放射性物質汚染土壌(研削土壌)に薬剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化すると共に濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程(ステップS15)と、不溶化・濃縮分離可能化工程後の土壌を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程(ステップS16)である。
図8に示す放射性物質汚染土壌の処理装置1は、連続式の処理装置である。放射性物質汚染土壌は、乾燥器3に送られ、水分量が10重量%以下、好ましくは1〜5重量%に乾燥される(乾燥工程)。図8では、蒸気を加熱媒体とするロータリーキルン方式の乾燥器を示すが、乾燥器は加熱媒体を含め、特定の型式のものに限定されることなく、処理量、
放射性物質汚染土壌の水分量に応じて種々の乾燥器を使用することができる。乾燥時、外部に粉塵が排出されるおそれがあるときは集じん装置を設ける。なお、水分量が10重量%未満の放射性物質汚染土壌を被処理物とするときには、乾燥工程を省略することができるので、乾燥器3を設ける必要はない。
乾燥器3から排出される乾燥した放射性物質汚染土壌は振動篩5に送り、予め定める粗粒土壌を分離する(乾式分級工程)。
粗粒土壌が分離された放射性物質汚染土壌は、研削装置7に送り、放射性物質汚染土壌の表面を削り取る(研削工程)。研削装置7は、本発明の第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法のところで説明した研削装置を使用する。
研削工程で発生する研削物である微粉は、撹拌混合装置9へ送り、ここで固化剤及び固化助剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する(微粉不溶化工程)。ここでは、固化剤の他に、固化助剤を添加しているが、固化剤のみを添加、混合し放射性物質を不溶化させてもよい。微粉の不溶化処理は、先に示した本発明の第3実施形態の不溶化工程と同様に行うことができる。撹拌混合装置9は、公知の紛体を撹拌混合可能な装置を使用することができる。
一方、研削工程で表面が研削された放射性物質汚染土壌(研削土壌)は、撹拌混合装置11へ送り、ここにナノ分散体と固化助剤とを薬剤として添加、混合し、放射性物質を不溶化すると共に濃縮分離可能にする。微粉の不溶化工程と研削土壌の不溶化・濃縮分離可能化工程で使用する固化助剤は、先に示した固化助剤と同じものを使用することができる。なお固化助剤は、省略することができる。
ナノ分散体は、固化剤中に強磁性粉末と、強磁性粉末と固化剤とに親和な少なくとも一部がナノサイズの金属粒子とが分散したものである。ここで固化剤には、先に示した固化剤と同じものを使用することができる。
強磁性粉末は、次工程で磁力選別を行うために添加する。強磁性粉末は、特定の強磁性粉末に限定されず公知の強磁性粉末、例えば鉄粉を使用することができる。強磁性粉末は、安価なものが好ましく、この点において鉄粉は好ましい。
金属粒子は、強磁性粉末と固化剤とに親和性を有する金属粒子であり、強磁性粉末と固化剤との結び付きを高める。金属粒子を添加することなく、強磁性粉末と固化剤、又は強磁性粉末と固化剤と固化助剤とを使用し不溶化・濃縮分離可能化処理することも可能であるが、強磁性粉末と固化剤との結び付きを高め、さらに化学的作用により放射性物質の不溶化率を高める点から金属粒子を添加することが好ましい。一方で、金属粒子を使用しない場合、薬剤のコストを下げることができるので、研削土壌に含まれる放射性物質の濃度、目的などに応じて適宜、上記処理方法を選択すればよい。
強磁性粉末と固化剤との結び付きを高めると共に、放射性物質に対して化学的に作用する金属粒子としては、アルカリ金属、金属カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの第3族元素、鉄及びこれら元素を含む合金が例示される。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよく、中でも金属カルシウム、アルミニウムを好適に使用することができる。
ナノ分散体は、固化剤、強磁性粉末及び金属粒子の混合物を、金属粒子の少なくとも一部がナノサイズとなるように粉砕することで得ることができる。金属粒子は、全部がナノサイズであってもよい。ここでナノサイズとは、粒径が数nm〜サブミクロンの大きさをいう。
ナノ分散体は、ナノサイズの金属粒子を含む金属粒子が、固化剤に分散した分散体であり、ナノサイズの金属粒子の表面は固化剤でコーティングされている。一般的に金属をナノサイズまで微細化すると、環境中では酸化し失活するが、このナノ分散体においては、ナノサイズの金属粒子の表面を覆う固化剤が、該金属粒子の大部分が酸素、二酸化炭素又は水と直接接触することを阻止するので、ナノサイズの金属粒子は、大気中においても高い活性を維持することができる。このようなナノ分散体、又はナノ分散体と固化助剤との混合物は、研削土壌の不溶化・濃縮分離可能化剤として好適に使用することができる。
研削土壌に対するナノ分散体の添加量は、土壌中の放射性物質濃度によって異なるが、後述の実施例で示すように放射性物質汚染土壌の2〜10重量%程度とすることができる。ナノ分散体中の各薬剤の比率は、強磁性粉末/金属粒子/固化剤を重量比で2/2/5とすることができる。固化助剤の添加量は、放射性物質汚染土壌に対して5重量%程度とすることができる。
撹拌混合装置11は、特定の装置に限定されるものではない。ナノ分散体と固化助剤と研削土壌とを均一に撹拌混合できればよい。撹拌混合装置11としては、ボールミル様の横型円筒回転式混合器、コンクリートミキサー様の撹拌混合装置が例示される。撹拌混合装置11は、ナノ分散体と固化助剤と研削土壌とを均一に撹拌混合するとき、研削土壌が粉砕、破砕されないタイプのものが好ましい。土壌粒子が破砕されると、破砕小粒子が発生する。破砕小粒子が、破砕していない土壌粒子に混じると減量率の低下につながるので好ましくない。
撹拌混合時間は、撹拌混合装置11及び被処理物である放射性物質汚染土壌の量により異なるが、後述の実施例に示すように0.5〜4時間程度とすることができる。また撹拌混合操作は、常温、大気圧下で行えばよい。上記操作により、放射性物質は不溶化及び濃縮分離可能にされる。
不溶化及び濃縮分離可能にされた研削土壌は、磁力選別装置13に送られ、ここで磁力選別により高濃度汚染土壌と低濃度汚染土壌とに分離される。不溶化及び濃縮分離可能にされた研削土壌のうち、強磁性粉末が多く含まれる土壌は、磁石に吸着するので磁石を用いて吸着分離することができる。磁力選別装置13は、特定の装置に限定されるものではなく、処理量等に応じて適宜選択し使用することができる。磁力選別装置13としては、マグネットドラムセパレータが例示される。
後述の実施例に示すように、市販の磁石を用いて吸着させると、約50〜60重量%の土壌が磁石に吸着された。また実験の結果、不溶化及び濃縮分離可能化された土壌に含まれる放射性物質の約80〜90%は、磁石に吸着された方の土壌(磁着土壌)に含まれていた。これは、土壌に含まれる放射性物質の多くが、比表面積の大きいシルト、粘土に付着しており、さらに粒径の小さいシルト、粘土は、比表面積が大きいため強磁性粉末を含む薬剤が付着し易いためと考えられる。このため磁力選別工程は、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程でもある。
本法における放射性物質の濃縮・不溶化・分離プロセスは次のように考えられる。以下、放射性物質をセシウムCs、強磁性粉末を鉄Fe、金属粒子を金属カルシウムCa、固化剤を酸化カルシウムCaO、固化助剤をリン酸二水素ナトリウムとし説明する。図9は、化学的作用により放射性物質が不溶化・濃縮分離可能化されるメカニズム(想定)を説明するための模式図であり、図10は、不溶化・濃縮分離可能化処理された土壌に含まれる放射性物質を物理的に濃縮分離するメカニズム(想定)を説明するための模式図である。
先ずCa2+が未処理土壌(研削土壌)表面に存在するCsと置換し(Ca2+は、極少量であるが放射性元素量に比べれば過剰量)、次いで2次粒子中へCsが水と共に吸収され,さらに水に不溶な水酸化カルシウム被膜が形成し2次粒子全体も固化される。
固化された2次粒子に磁石を近づけると、2次粒子に内包された鉄粒子により磁石に吸着される。粒径の小さいシルト、粘土は、比表面積が大きく鉄粒子を多く含み、さらに自重も軽いため磁石に吸着される。一方、礫、砂は、比表面積が小さく鉄粒子の含有量も相対的に少なく、さらに自重も重いため磁石に吸着されない。土壌に含まれる放射性物質の多くが、比表面積の大きいシルト、粘土に付着しているため磁力選別より汚染土壌(=
Csを濃縮・吸着した2次粒子が主成分)を濃縮・分離可能とすることができる。
本発明の第5実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法は、本発明の第1〜第4実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法に比較して、工程数は多いが、除染率及び減量率とも高めることができる。また第3実施形態の放射性物質汚染土壌の処理方法と同様に、余分な廃棄物を発生させることなく土壌に含まれる放射性物質を不溶化させることができる。
上記不溶化・濃縮分離可能化工程では、固化助剤をナノ分散体と一緒に撹拌混合し、放射性物質を不溶化・濃縮分離可能化させているが、固化助剤は、不溶化・濃縮分離可能化工程の最初から添加せず、不溶化・濃縮分離可能化工程の途中、あるいは不溶化・濃縮分離可能化工程終了後でかつ磁力選別工程の前に添加、撹拌混合し、研削土壌を不溶化及び濃縮分離可能にさせてもよい。
また不溶化・濃縮分離可能化工程の段階では、固化助剤を添加せず、磁着土壌に固化助剤を添加、混合し固化させてもよい。ここで磁着土壌のみに固化助剤を添加し固化するのは、磁着土壌に放射性物質が濃縮されているからである。固化助剤を添加することで、放射性物質の溶出を完全に防止することができる。また磁着土壌は、粒径が小さいので固化助剤により固化させることで取扱いが容易となる。
磁石に吸着されなかった方の研削土壌(残渣)も同様に、固化助剤を添加、混合し固化させてもよいことはもちろんであるが、(1)不溶化・濃縮分離可能化工程後の放射性物質汚染土壌に含まれる放射性物質の約80〜90%は、磁着土壌に含まれている、(2)残渣は、粒径が比較的大きく取扱いも容易である、(3)残渣も表面が固化剤でコーティングされるため放射性物質は溶出し難い、ので残渣は、溶出試験結果などに基づき、必要に応じて固化助剤を使用した固化を行えばよい。これにより固化助剤の使用量を抑制することができる。
以上、第1から第5実施形態に示すように本発明の放射性物質汚染土壌の処理方法は、操作が簡単であり、余分な廃棄物を発生させることなく効率的に除染、減量化(減容化)することができる。また処理土壌を不溶化させ放射性物質の溶出を防止するので、放射性物質汚染土壌の処理方法として好ましい。さらに本発明の放射性物質汚染土壌の処理方法は、全ての操作を乾式で行うので、湿式の処理方法と異なり、排水、廃液も処理が不要である。
本発明の放射性物質汚染土壌の処理方法は、上記実施形態以外にも種々の形態が考えられ、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
第3実施形態に示す放射性物質汚染土壌の処理方法では、分級工程後の放射性物質汚染土壌に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化させているが、分級工程と不溶化工程の順番を逆にし、まず、被処理物である放射性物質汚染土壌に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化させ、その後、不溶化された前記放射性物質汚染土壌の中から予め定める粒度未満の放射性物質汚染土壌を乾式分級により分離し、放射性物質汚染土壌を除染するようにしてもよい。さらに不溶化工程と分級工程とを同時並行的に行ってもよい。
第5実施形態に示す放射性物質汚染土壌の処理方法では、研削工程後の研削土壌に薬剤を添加し不溶化・濃縮分離可能化させ、その後に、磁力選別により放射性物質を濃縮分離しているが、研削工程後の研削土壌を乾式分級し、予め定める粒度の研削土壌を得て、これを再度、研削した後に不溶化・濃縮分離可能化するというような、2段の研削工程を備える放射性物質汚染土壌の処理方法とすることもできる。この場合、後段の研削工程もこれまで説明した研削工程と同様に考えればよく、後段の研削工程後の不溶化・濃縮分離可能化工程、磁力選別工程もこれまで説明した不溶化・濃縮分離可能化工程、磁力選別工程と同様に考えることができる。
また第5実施形態に示す放射性物質汚染土壌の処理方法では、乾式分級工程後に研削工程を実施しているが、第5実施形態に示す放射性物質汚染土壌の処理方法において、乾式分級工程と研削工程との順番を入れ替え、乾燥した放射性物質汚染土壌の表面を削り取った後に乾式分級し、その後に不溶化・濃縮分離可能化工程、濃縮分離工程を実施してもよい。この方法は、特に、土壌が放射性物質に高濃度に汚染され、粗粒土壌に含まれる放射性物質の濃度が高い場合に好適に使用することができる。
<実施例1>
放射性物質汚染土壌の処理を、(1)乾燥工程、(2)土壌研削工程、(3)乾式分級工程、(4)不溶化・濃縮分離可能化工程、(5)磁力選別工程の順に行うことで実施した。以下、代表例としてRun−Aの手順を記載する。
(1)乾燥工程
放射性物質汚染土壌約15kgを乾燥器を用い、105℃の温度で45分間乾燥させ、水分量1.6重量%の放射性物質汚染土壌を得た。乾燥前の放射性物質汚染土壌の水分量は15.6重量%であった。乾燥後の放射性物質汚染土壌に含まれるCs137は、3681Bq/kg、Cs134は、2521Bq/kgであった。
(2)研削工程
内容積110Lのコンクリートミキサー(撹拌室傾斜70°)に乾燥した放射性物質汚染土壌12.29kgを充填し、2時間撹拌し放射性物質汚染土壌の表面を削り取った。このとき発生する微粉(粉塵)は、吸引器で吸引し、HEPAフィルタで捕捉し回収した。表面が削り取られた放射性物質汚染土壌は、11.83kg、HEPAフィルタで捕捉された微粉は、0.46kgであった。微粉に含まれるCs137は、7364Bq/kg、Cs134は、4991Bq/kgであった。この結果からも放射性物質が、土壌表面に付着、吸着していることが分かる。
(3)乾式分級工程
篩を用いて、表面が削り取られた放射性物質汚染土壌の中から7mm以上の粗粒土壌を分離した。
(4)不溶化・濃縮分離可能化工程
撹拌混合装置は、横型円筒回転式混合器を使用した。7mm以上の粗粒土壌を分離した放射性物質汚染土壌500gと不溶化・濃縮分離可能化薬剤であるナノ分散体(PCA151)50gとを、1.5Lの円筒容器に充填した。該円筒容器を密閉し、回転台にセットし、200rpmで1時間撹拌した。横型円筒回転式混合器は、転動ボールミル様の装置であるが、ボールミルと異なりボールは充填されていない。
不溶化・濃縮分離可能化薬剤であるナノ分散体(PCA151)は、以下の要領で調製した。強磁性粉末として、粒径0.15mmの鉄粉(キシダ化学株式会社)を、金属粒子として、純度99%、粒径2〜2.5mm、表面積0.43〜0.48m/gの金属カルシウム(キシダ化学株式会社)を使用した。825℃で2時間焼成した酸化カルシウムCaOと金属カルシウムCaと鉄粉FeとをFe/Ca/CaO=2/2/5の重量割合とし、これを遊星ボールミルで、アルゴンガス雰囲気下、600rpmで60分間、常温粉砕処理を行った。得られたナノ分散体(PCA151)の粒径分布を図11に示した。ナノ分散体の粒径は、ナノ粒子解析装置NANO SIGHT LM−20(ブラウン運動を測定し粒子径を測定)を用いて測定した。粒径は、概ね20〜500nmの範囲内であり、約60〜300nmのものが多く、中でも約120〜210nmのものが多かった。
(5)磁力選別工程
不溶化・濃縮分離可能化処理された研削土壌に対して、格子型磁力選別装置を用いて磁力選別した。磁石に吸着した土壌(磁着土壌)は284.28g、磁石に吸着しなかった土壌(残渣)は240.95gであり、磁着土壌の重量割合は、約54.1%であった。また磁着土壌に含まれるCs137は、3195Bq/kg、Cs134は、2224Bq/kgであった。一方残渣に含まれるCs137は、845Bq/kg、Cs134は、592Bq/kgであった。磁着土壌中のCs濃度は、残渣中のCs濃度の約3.8倍であり、磁力選別することで、放射性物質を濃縮分離することができることが分かる。
不溶化・濃縮分離可能化処理の条件を変更し、同様の実験を行った。Run−Eでは、AL含有のナノ分散体を使用した。表2に不溶化・濃縮分離可能化処理条件と除染率及び減量率を示した。また表3に代表例として、Run−Bの各操作における重量割合、該土壌に含まれるCs137及びCs134の割合を示した。ここで除染率、減量率は各々式(1)、式(2)により算出した。
実験の結果、除染率は、77.4〜88.1%、減量率は50.6〜61.4%であり、除染率の最高値は、88.1%であり、このときの減量率は50.6%であった。除染率が高いほど、減量率が小さい結果となった。不溶化・濃縮分離可能化処理の撹拌混合時間と除染率との関係では、撹拌混合時間が長いほど除染率が上昇する傾向が見られた。また不溶化・濃縮分離可能化薬剤の添加量を少なくすると除染率が低下し、減量率が上昇する傾向が見られた。
<実施例2>
放射性物質汚染土壌の処理を、(1)乾燥工程、(2)乾式分級工程、(3)研削工程、(4)不溶化・濃縮分離可能化工程、(5)磁力選別工程、(6)残渣不溶化・濃縮分離可能化工程、(7)磁力選別工程の順に行うことで実施した。実施例2は、不溶化・濃縮分離可能化された研削土壌を磁力選別し、得られた残渣を再度、不溶化・濃縮分離可能化処理し、これを磁力選別する点に特徴がある。各工程の要領は、実施例1と基本的に同じである。
表4に不溶化・濃縮分離可能化処理条件と除染率及び減量率を示した。除染率は82.9%、減量率は53.5%であった。実施例2の不溶化・濃縮分離可能化処理の撹拌混合時間が2時間であることを考えると、除染率及び減量率とも実施例1と同等であり、不溶化・濃縮分離可能化処理及び磁力選別を2回行うことの効果は見られなかった。
<実施例3>
放射性物質汚染土壌の処理を、(1)乾燥工程、(2)乾式分級工程、(3)研削工程、(4)不溶化・濃縮分離可能化工程、(5)磁力選別工程の順に行うことで実施した。実施例1と実施例3とでは、乾式分級工程と研削工程との順番が逆になっているが、各工程の要領は実施例1と基本的に同じである。
実験条件及び除染率、減量率を表5に示した。Run−Jは、乾式分級において篩を用いて3mm以上の粗粒土壌を分離し、研削工程では、3mm以上の粗粒土壌が除去された乾燥放射性物質汚染土壌を使用した。さらに不溶化・濃縮分離可能化工程では、研削工程と同じコンクリートミキサーを使用し、約13kgの研削土壌を不溶化・濃縮分離可能化処理した。
Run−Jでは、除染率が60.9%と小さく、逆に減量率が72.1%と高くなった。一方で、不溶化・濃縮分離可能化処理に実施例1と同じ撹拌混合装置を使用したRun―Kでは、実施例1の除染率及び減量率とほぼ同じ値であった。この結果から乾式分級工程と研削工程との順番は、除染率及び減量率に大きな影響を与えないといえる。
<実施例4>
放射性物質汚染土壌の処理を、(1)乾燥工程、(2)乾式分級工程、(3)研削工程、(4)研削土壌乾式分級工程、(5)研削土壌研削工程、(6)不溶化・濃縮分離可能化工程、(7)磁力選別工程の順に行うことで実施した。実施例3のRun−Kと比較すると(4)研削土壌乾式分級工程及び(5)研削土壌研削工程が追加されている。(4)の研削土壌乾式分級工程では、篩を用いて、表面が削り取られた放射性物質汚染土壌の中から3mm以上の研削土壌を分離し、(5)の研削土壌研削工程では、3mm未満の研削土壌の表面を削り取った。他の条件は、Run−Kと同じである。
実験の結果、除染率は75.3%、減量率は、62.5%であった。この結果から研削工程を2段階で行うことの効果は見られなかった。
1 処理装置
3 乾燥器
5 振動篩
7 研削装置
9 撹拌混合装置
11 撹拌混合装置
13 磁力選別装置

Claims (15)

  1. 被処理物である放射性物質汚染物の表面を削り取り、該放射性物質汚染物に付着する放射性物質を取り除き、被処理物に比べ放射性物質の濃度が低い低濃度汚染物を得る研削工程を含むことを特徴とする放射性物質汚染物の処理方法。
  2. 前記放射性物質汚染物には少なくとも放射性物質汚染土壌が含まれ、
    前記研削工程が、土壌粒子相互の摩擦を利用し、土壌粒子の破砕を防止しつつ土壌粒子の表面を削り取る粒々研削工程であることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  3. さらに前記研削工程で発生する微粉に固化剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化する微粉不溶化工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  4. さらに前記研削工程後の低濃度汚染物に固化剤と強磁性粉末とを添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程と、
    前記不溶化・濃縮分離可能化工程後の放射性物質汚染物を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  5. さらに前記研削工程後の低濃度汚染物を乾式分級し、予め定める大きさの低濃度汚染物を得る研削物乾式分級工程と、
    前記研削物乾式分級工程で得られる低濃度汚染物に固化剤と強磁性粉末とを添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする不溶化・濃縮分離可能化工程と、
    前記不溶化・濃縮分離可能化工程後の放射性物質汚染物を磁力選別し、放射性物質を濃縮分離する濃縮分離工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  6. 前記不溶化・濃縮分離可能化工程において、前記固化剤及び前記強磁性粉末に代え、ナノ分散体を添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする放射性物質汚染物の処理方法であって、
    前記ナノ分散体は、固化剤中に強磁性粉末と、強磁性粉末と固化剤とに親和な少なくとも一部がナノサイズの金属粒子とが分散したものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  7. 前記金属粒子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族元素、鉄及びこれらを含む合金のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  8. 前記固化剤が酸化カルシウムであり、前記金属粒子が金属カルシウムであることを特徴とする請求項6に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  9. 放射性物質を不溶化する際に、さらに固化助剤を添加、混合し、放射性物質を不溶化することを特徴とする請求項3から8のいずれか1項に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  10. 前記固化助剤がリン酸塩であることを特徴とする請求項9に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  11. 前記研削工程に先立ち、被処理物である放射性物質汚染物の中から予め定める大きさの放射性物質汚染物を得る乾式分級工程を含み、
    前記研削工程の被処理物は、前記乾式分級工程で得られる放射性物質汚染物であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  12. さらに前記乾式分級工程に先立ち、被処理物である放射性物質汚染物の表面を削り取り、該放射性物質汚染物に付着する放射性物質を取り除き、被処理物に比べ放射性物質の濃度が低い低濃度汚染物を得る前研削工程を含み、
    前記乾式分級工程の被処理物は、該前研削工程後の低濃度汚染物であることを特徴とする請求項11に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  13. 前記放射性物質汚染物が、放射性物質汚染土壌、放射性物質汚染産業廃棄物、又は放射性物質汚染土壌と放射性物質汚染産業廃棄物との混合物、さらにこれらと放射性物質を含有する焼却灰との混合物であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  14. 前記放射性物質汚染産業廃棄物が、少なくとも瓦礫、廃プラスチック、木くず、紙くず、又はこれらの破砕物のうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項13に記載の放射性物質汚染物の処理方法。
  15. 少なくとも放射性物質汚染土壌を含む放射性物質汚染物を被処理物とし、
    被処理物である放射性物質汚染物を乾燥する乾燥器と、
    前記放射性物質汚染物を乾式分級する乾式分級機と、
    土壌粒子相互の摩擦を利用し土壌粒子の破砕を防止しつつ前記放射性物質汚染物の表面を削り取る研削装置と、
    表面が研削された放射性物質汚染物に、少なくとも一部がナノサイズの大きさからなる、強磁性粉末と固化剤とに親和な金属粒子、及び前記強磁性粉末が前記固化剤に分散したナノ分散体を添加、混合し、放射性物質を不溶化及び濃縮分離可能にする撹拌混合装置と、
    不溶化及び濃縮分離可能に処理された前記放射性物質汚染物を磁力選別する磁力選別装置と、
    前記研削装置から排出される微粉と固化剤とを混合し、放射性物質を不溶化する不溶化処理装置と、
    を含むことを特徴とする放射性物質汚染物の処理装置。
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