JP6916350B1 - 塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境遮断性に優れ、良好な防食性を示す塗膜を形成可能な塗料組成物を提供する。【解決手段】樹脂と、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークと、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料とを含有する塗料組成物であって、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークが平均粒子径20〜60μmのノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークであり、前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料が平均粒子径5〜50μm、アスペクト比10〜100であり、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレーク(A)と前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料(B)との質量比(A/B)が1/2〜1/18であることを特徴とする塗料組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物及び該塗料組成物から形成される塗膜に関し、特には、環境遮断性に優れ、良好な防食性を示す塗膜を形成可能な塗料組成物に関するものである。
塗膜の環境遮断性の向上を目的として、塗料中に鱗片状の顔料を配合させることが知られている。鱗片状顔料を塗膜中に規則的に配向させることで、水や酸素、塩化物などの腐食因子の侵入を阻害する効果が得られ、これにより、金属基材の発錆を抑えることができる。鱗片状顔料の中でも、アルミニウム顔料は特に遮断性に優れた材料である。
以下に挙げる文献では、アルミニウム顔料を含有する塗料組成物が提案されている。
特開昭58−34864号公報(特許文献1)には、リーフィングタイプのアルミニウム顔料含有エポキシ樹脂塗料組成物において、鱗片状雲母を含有することを特徴とするアルミニウム顔料含有エポキシ樹脂塗料組成物が記載され、これにより、アルミニウム顔料のリーフィング性を向上できるとしている。
特許文献1に用いられるリーフィングタイプのアルミニウム顔料は、塗膜表層で密に配向することから、優れた環境遮断性を塗膜に付与することができる。しかしながら、リーフィングタイプのアルミニウム顔料を下塗塗料に用いると、塗膜表面に存在するアルミニウム顔料が剥離しやすいため、その上に配置される上塗塗膜との付着性に課題が認められる。また、塗装直後よりアルミニウム顔料が塗膜表層に浮上することから、溶剤が揮発し難い。このため、塗膜の乾燥が不十分となり、塗膜の縮みやフクレ等の不具合を生じることがある。
特開平1−268765号公報(特許文献2)には、鋼材の表面に、リーフィング形アルミニウム顔料及び/又はノンリーフィング形アルミニウム顔料、防錆顔料、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂に相溶する併用樹脂を所定の量で含有する下塗塗料を塗布し、乾燥の後上塗塗料を塗布することを特徴とする鋼材の塗装方法が記載され、これにより、亜鉛めっきの新しいものから、亜鉛めっき表面が消耗し、白さびが生じたものや亜鉛合金層が露出し鉄さびが生じたもの、さらに表面が錆びて赤さびが生じた面に対して、優れた付着性と防食性を有し、さらに優れた耐候性と耐久性を有する塗装系を提供できるとしている。
特許文献2では、リーフィングタイプのアルミニウム顔料に加えて、ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料の使用についても提案されている。ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料は、リーフィングタイプと異なり、塗膜中で一様に分散していることから、上塗塗膜との付着性の低下や乾燥性不良が生じにくい。一方、ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料は、塗膜中で平行に配列させることが難しく、特に、厚膜での塗装においては、アルミニウム顔料の配向性を制御することがより一層困難になる。このため、塗料の用途が制限され、例えば、60μm前後の膜厚の形成が求められるような防食用の下塗塗料にノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料を配合するには、改善の余地がある。
特開2019−131844号公報(特許文献3)には、亜鉛複合被膜とコート被膜により防錆処理された金属部材であって、コート被膜のためのコート塗料は、有機溶媒と該有機溶媒に溶解している樹脂材料とを含むコート基材と、該コート基材中に分散保持されている体質顔料および防錆顔料とを含み、該防錆顔料はリーフィング加工を施さないアルミフレークを含むことを特徴とする金属部材が記載され、これにより、犠牲防食効果を有する亜鉛複合被膜の上層に薄肉に形成されるコート被膜の性能を向上させることで、コート被膜の部分欠落による外観不良を低減させることができ、また、亜鉛の犠牲防食効果を従来以上に発揮し、特に赤錆への防錆性能に優れた、防錆処理された金属部材を提供することが可能になるとしている。
特許文献3では、塗膜中に一様に分散するというノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料の性質を利用し、亜鉛の犠牲防食効果を向上させていると考えられる。具体的には、亜鉛複合被膜上に薄肉に形成させるコート被膜にノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料を配合すると、アルミニウム顔料がランダムな方向に配置され、コート被膜を貫通した状態とすることができ、これにより、アルミニウム顔料自体が犠牲防食に寄与できるとしている。一方、特許文献3は、塗膜中のアルミニウム顔料を平行に配列させることを意図するものではなく、また、微量水分などがコート被膜を通過し易くすることを目的としていることから、コート被膜の環境遮断性は十分とはいえない。
特開2019−119884号公報(特許文献4)には、バインダー成分と、特定の平均粒子径を有する鱗片状アルミニウム顔料と、特定の平均粒子径を有する鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料とを含有する塗料組成物であって、前記バインダー成分(A)100質量部を基準として、前記鱗片状アルミニウム顔料(B)の含有量が10〜50質量部の範囲内であり、前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有量が0.5〜10質量部の範囲内であり、かつ前記鱗片状アルミニウム顔料(B)及び前記鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)の含有割合(B)/(C)が固形分質量比で2/1〜50/1の範囲内である、塗料組成物が記載され、これにより、高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができるとしている。
特許文献4に記載される塗料組成物は、自動車車体等への塗装に適用されるベースコートの形成に用いることが意図されている。自動車外装用であるため、ベースコートに求められる膜厚は薄く、特許文献4には、厚膜での塗装においてアルミニウム顔料の配向性を制御することについての教示は認められない。
特開昭58−34864号公報 特開平1−268765号公報 特開2019−131844号公報 特開2019−119884号公報
厚膜での塗装においては、アルミニウム顔料を多量に配合することで、アルミニウム顔料の配向性を制御し、塗膜の環境遮断性を向上させることは可能である。しかしながら、アルミニウム顔料は塗膜中に密に充填されることになるため、塗膜中での凝集破壊が生じる恐れがある。塗膜中での凝集破壊は、防食性の低下につながる。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークを用い、環境遮断性に優れ、良好な防食性を示す塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる塗料組成物から得られる塗膜を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の平均粒子径を有するノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークに、特定の平均粒子径及びアスペクト比を有する別の鱗片状顔料を特定の質量比で組み合わせることで、厚膜での塗装においても、環境遮断性に優れ、良好な防食性を示す塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の塗料組成物は、樹脂と、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークと、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料とを含有する塗料組成物であって、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークが平均粒子径20〜60μmのノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークであり、前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料が平均粒子径5〜50μm、アスペクト比10〜100であり、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレーク(A)と前記アルミニウム又はステンレスフレーク顔料以外の鱗片状顔料(B)との質量比(A/B)が1/2〜1/18であることを特徴とする。
本発明の塗料組成物の好適例においては、前記塗料組成物の不揮発分中における前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの量が2.0〜12.5質量%である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、防錆顔料をさらに含む。
また、本発明の塗膜は、上記の塗料組成物から得られる塗膜である。
本発明の塗膜の好適例においては、乾燥膜厚が30〜200μmである。
本発明の塗料組成物によれば、環境遮断性に優れ、良好な防食性を示す塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することができる。また、本発明の塗膜によれば、かかる塗料組成物から得られる塗膜を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の塗料組成物は、樹脂と鱗片状顔料とを含む塗料組成物である。
本発明の塗料組成物に用いる樹脂としては、塗料業界において通常使用されている樹脂を例示することができる。具体的には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中における樹脂の含有量は、例えば15〜50質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分である。本明細書においては、塗料組成物を105℃で60分乾燥させた際に残存する成分を不揮発分として取り扱う。
本発明の塗料組成物において、樹脂は、変性樹脂を含むことができる。変性された樹脂を用いることで、顔料の分散安定性を向上させることができる。変性樹脂の具体例としては、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等の変性がされている樹脂(好ましくはエポキシ樹脂、水酸基を含む樹脂等)が挙げられる。ここで、水酸基を含む樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中における変性樹脂の含有量は、例えば1〜40質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択され、塗料業界において通常使用されている硬化剤を使用できる。これら硬化剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤の含有量は、樹脂に含まれる硬化剤との反応性基の量に応じて適宜調整されるものであるが、本発明の塗料組成物において、不揮発分中における硬化剤の含有量は、例えば1〜15質量%であることが好ましい。
例えば、水酸基を含む樹脂に対しては、イソシアネート系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に対しては、アミン系硬化剤が好適に使用できる。具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、トリアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びジアミノジフエニルメタン等の芳香族ポリアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、及びトリプロピレングリコールジアミン等の他のポリアミン化合物と、これらアミン化合物のアミノ基を変性してなる変性ポリアミン化合物とが挙げられる。なお、アミン化合物の変性には、既知の方法が利用でき、変性反応の例としては、アミノ基のアミド化、アミノ基とカルボニル化合物のマンニッヒ反応、アミノ基とエポキシ基の付加反応等が挙げられる。ここで、アミノ基にエポキシ基等が付加したタイプの変性ポリアミン化合物をアダクトタイプの変性ポリアミン化合物といい、アミノ基にエポキシ基が付加したエポキシアダクトタイプの変性ポリアミン化合物が好ましい。
本発明の塗料組成物は、樹脂としてエポキシ樹脂と硬化剤としてアミン系化合物を含む塗料組成物であることが好ましい。かかる塗料組成物によれば、金属基材、特には鋼板、亜鉛めっき鋼板への付着性に優れる塗膜を形成することが可能になる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、およびフェノールノボラック型に代表される一般的なエポキシ樹脂を用いることができる。汎用タイプのエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名「エピコート♯828」(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194、分子量約380、油化シェル化製)、「エピコート♯834−90X」(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量230〜270、分子量約470、油化シェル社製)、「エピコート♯1001」(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500、分子量約900、油化シェル社製)、「エピコート♯1004」(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975、分子量約1600、油化シェル社製)、「エピコート♯1007」(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量1750〜2200、分子量約2900、油化シェル社製)、「エピコート♯807」(ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量160〜175、分子量約330、油化シェル社製)商品名「エピコート♯154」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量176〜180、分子量約540、油化シェル社製)等が挙げられる。
また、可撓性タイプのエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名「YR−450」(ゴム変性エポキシ樹脂、エポキシ当量400〜500、分子量約800〜1000、東都化成社製)、DIC株式会社製EPICLON EXA−835LV」、「EPICLON 850S」、「EPICLON N740」、「EPICLON EXA−830CRP」、「EPICLON EXA−830LVP」、「EPICLON HP−820」、三菱化学株式会社製の「jER 828」、「jER 806」、「jER 1001」、「jER 801N」、「jER 807」、「jER 152」、「jER 604」、「jER 630」、「jER 871」、「jER YX8000」、「jER YX8034」、「jER YX4000」、日本触媒株式会社製の「アクリセット BPA−328」、日産化学株式会社製の「TEPIC SP」、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、東都化成株式会社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールシリーズ、共栄社化学株式会社製のエポライトシリーズ等が挙げられる。
アミン系硬化剤の市販品としては、例えば、ラッカマイドWN−405、ラッカマイドWN−620、ラッカマイドWH−614、ラッカマイドF4、ラッカマイドWH−650(DIC社製)、トーマイド215−70X、トーマイド225−X、トーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935、フジキュアー4011、フジキュアー4025、フジキュアー4030(T&K TOKA社製)、バーサミン340 1N、バーサミン551、バーサミン552(BASFジャパン社製)、サンマイド150−65、サンマイドWH―910、アンカミン2280、アンカミン2643、アンカマイド350A、(エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、JERキュアXD#639、JERキュアST11、JERキュアST12、JERキュアST13、JERキュアSL11、JERキュアWD11M60(三菱ケミカル社製)、アデカハードナーEH−235R−2、アデカハードナーEH−4163X(商品名、ADEKA社製)、ベジケムグリーンV115、ベジケムグリーンV125、ベジケムグリーンV140、ベジケムグリーンG747(築野食品工業製)、ジェファーミンD-230、ジェファーミンT−403(ハンツマン社製)、ニューマイド511−55、ニューマイド3510(ハリマ化成製)、ダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020、ダイトクラールX−5663H、ダイトクラールX−6102(大都産業社製)、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA(サーフェース・スペシャリティージャパン社製)等が挙げられる。
本発明の塗料組成物に用いる鱗片状顔料は、箔のような薄く平らな形状をした顔料であり、その具体例としては、亜鉛、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、アルミニウム等の金属顔料や、ガラスフレーク、タルク、マイカ、カオリンクレー、雲母状酸化鉄等が挙げられる。なお、金属顔料には、ステンレス等の合金の顔料も含まれる。また、鱗片状顔料、例えばタルクやマイカは、酸化チタン等の金属酸化物で表面処理されていてもよい。特に、アルミニウム(アルミフレーク)又はステンレスフレークは、環境遮断性の向上を目的とした鱗片状顔料として好適である。これら鱗片状顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークと、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料とを含有する塗料組成物である。
アルミニウム顔料としては、リーフィングの性質を持つアルミニウム顔料(リーフィングタイプ)やノンリーフィングの性質を持つアルミニウム顔料(ノンリーフィングタイプ)が知られる。リーフィングとは、塗膜を作製したとき、塗膜表面にアルミニウム顔料が浮上し平行に配列する現象を指し、ノンリーフィングとは、塗膜を作製しても塗膜表面にアルミニウム顔料が浮上せず塗膜中に分散している現象を指す。リーフィングタイプのアルミニウム顔料やノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料は、いずれも市販品を使用できるが、これらアルミニウム顔料は、通常、脂肪酸などで表面処理することによって、リーフィングの性質やノンリーフィングの性質を付与されている。具体例としては、オレイン酸で表面処理したアルミニウム顔料がノンリーフィングタイプとして使用されている。
また、ステンレスフレークとしては、ステンレスの種類は特に制限されず、従来公知のステンレス、例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、2相系ステンレスなどを用いることができる。
本発明の塗料組成物は、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークを含むものである。ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークは、上塗塗膜との付着性の低下や乾燥不良が生じ難いが、平行に配列された状態で塗膜中に分散させることが困難であり、環境遮断性を付与する効果が発揮し難い。しかしながら、本発明の塗料組成物によれば、特定の平均粒子径を有するノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークに特定の平均粒子径及びアスペクト比を有する別の鱗片状顔料を特定の質量比で組み合わせることで、厚膜での塗装においても、環境遮断性に優れる塗膜を形成できる。本明細書において、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークを第1の鱗片状顔料ともいう。
本明細書において、環境遮断性とは、被塗物が曝露される環境中に存在し、金属に対する腐食性を示す水や酸素、塩化物イオン等の成分を遮断することで、金属の腐食を抑制する機能を意味する。
ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークは、環境遮断性を向上させる観点から、平均粒子径が20〜60μmであることが好ましい。本発明の塗料組成物によれば、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの平均粒子径を20μm以上とすることで、環境遮断性を向上させることができる。一方、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの平均粒子径が大きすぎると、塗膜内での鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの配列を制御することが困難になるため、その平均粒子径は60μm以下であることが好ましい。
本明細書において、鱗片状顔料の平均粒子径とは、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布から求められる。鱗片状顔料の粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークは、環境遮断性を向上させる観点から、アスペクト比が30〜120であることが好ましい。
本明細書において、鱗片状顔料のアスペクト比とは、鱗片状顔料の平均粒子径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)をいう。ここで、平均粒子径とは、上記の通り、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布から求められる。鱗片状顔料の粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。また、本明細書において、平均厚みとは、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて100個以上の鱗片状顔料の厚みを測定し、これらの厚みの平均値をいう。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中におけるノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの量は、環境遮断性を向上させる観点から、2.0〜12.5質量%であることが好ましく、5〜12.5質量%であることが更に好ましい。本発明の塗料組成物によれば、後述する特定の平均粒子径及びアスペクト比を有する別の鱗片状顔料と組み合わせることで、アルミニウム顔料又はステンレスフレークの配合量が比較的少量であっても、塗膜中で規則的に配列することが可能であるため、アルミニウム顔料又はステンレスフレークが密に充填されることなく、長期に亘り良好な環境遮断性、更には良好な防食性を示すことができる。また、本発明の塗料組成物において、第1の鱗片状顔料を多量に配合させたとしても、環境遮断性の更なる向上効果が期待できるものではなく、また、塗膜中での凝集破壊が生じる恐れもある。この点からも、第1の鱗片状顔料の量は上記特定した範囲内にあることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料を含むものである。本明細書において、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料を第2の鱗片状顔料ともいう。第2の鱗片状顔料としては、タルクやマイカが好適に挙げられるが、タルクが特に好適である。タルクは親油性表面を有していることから有機溶剤や樹脂との濡れ性に優れ、塗料中で良好な分散性を示すため、塗膜中において比較的規則的に配向する傾向が認められる。そのため、タルクに倣って鱗片状アルミニウム顔料やステンレスフレークが規則的に配向しやすくなる。
第2の鱗片状顔料は、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの配向性を向上させる観点から、平均粒子径が5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることが更に好ましい。
第2の鱗片状顔料は、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの配向性を向上させる観点から、アスペクト比が10〜100であることが好ましく、20〜100であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中における第2の鱗片状顔料の量は、10〜40質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物において、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレーク(第1の鱗片状顔料)とアルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料(第2の鱗片状顔料)の質量比(第1の鱗片状顔料/第2の鱗片状顔料)は、1/2〜1/18であることが好ましく、1/2〜1/12であることが更に好ましい。第1の鱗片状顔料/第2の鱗片状顔料が上記特定した範囲にある場合、第1の鱗片状顔料は、厚膜であっても、塗膜中で規則的に配向され、塗膜の環境遮断性を向上させることができる。第1の鱗片状顔料/第2の鱗片状顔料が1/2より大きいと(即ち、第2の鱗片状顔料に対して第1の鱗片状顔料の量が多すぎると)、第1の鱗片状顔料が塗膜中で密に充填されることになるため、塗膜中での凝集破壊が生じる恐れがある。一方、第1の鱗片状顔料/第2の鱗片状顔料が1/18より小さいと(即ち、第1の鱗片状顔料に対する第2の鱗片状顔料の量が多すぎると)、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークによる環境遮断性の向上効果が得られ難くなる。
本発明の塗料組成物においては、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの配向性を向上させる観点から、第2の鱗片状顔料の平均粒子径は、第1の鱗片状顔料の平均粒子径より小さいことが好ましい。第2の鱗片状顔料の平均粒子径が小さいと、第1の鱗片状顔料の空隙を埋めるように配向しやすくなるため、第1の鱗片状顔料がより規則的に配向することが可能となる。
本発明の塗料組成物は、鱗片状顔料以外の顔料として、防錆顔料を含むことができる。防錆顔料は、公知の材料が使用でき、例えば、亜鉛粉末、酸化亜鉛、メタホウ酸バリウム、珪酸カルシウム、リン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛アルミニウム、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、バナジン酸/リン酸混合顔料等が挙げられる。本発明の塗料組成物において、不揮発分中における防錆顔料の含有量は、3〜10質量%であることが好ましい。なお、これら防錆顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、鱗片状顔料以外の顔料として、着色顔料や体質顔料を含むことができる。着色顔料及び体質顔料の具体例としては、酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、クレー、アルミナ、ミョウバン、白土、水酸化マグネシウム、及び酸化マグネシウム等の無機顔料や、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ナフトールレッド、キナクリドンレッド、ベンズイミダゾロンイエロー、ハンザイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、及びジオキサジンバイオレット等の有機顔料が挙げられる。これら顔料は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分の含有量は、50〜90質量%であることが好ましく、65〜80質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒としては、有機溶媒、水又はそれらの混合溶媒を使用できる。ここで、有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の各種有機溶媒が使用できる。なお、有機溶媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭化水素系溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられ、より具体的には、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ミネラルスピリット、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、テルペン油等を例示することができる。また、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルカルビトール等が挙げられる。なお、エチレングリコールモノエチルエーテルやメチルカルビトールのように水酸基とエーテル結合の両方を有する溶媒は、上記のとおり、エーテル系溶媒に分類される。
本発明の塗料組成物において、溶媒の含有量は、10〜50質量%であることが好ましく、20〜35質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物には、その他の成分として、顔料分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、シランカップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。また、本発明の塗料組成物が、2液型の塗料組成物である場合は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、主剤や硬化剤を予め用意しておき、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用される。なお、硬化剤は、硬化剤そのままでもよいし、他の成分との混合物であってもよい。
本発明の塗料組成物は、該塗料組成物から形成される塗膜の酸素透過率が3,500cc・μm/m/day以下であることが好ましい。本明細書において、酸素透過率は、酸素透過率測定装置(例えばイリノイ社製8001)を用いて、等圧法(モコン法)にて測定される。具体的には、塗膜(単膜)を装置内の拡散チャンバー内に固定し、塗膜を透過する酸素の移動速度(OTR)を検出する。検出器の校正には、透過率既知の標準フィルムを用いる。
本発明の塗料組成物は、下塗塗料、特には防食用の下塗塗料として好適である。本発明の塗料組成物は、リーフィングタイプのアルミニウム顔料を使用せずにノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークを用いて環境遮断性を向上できることから、上塗塗膜との付着性を損なわずに、環境遮断性に優れ、更には防食性にも優れる塗膜を形成することができる。
本発明の塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。また、本発明の塗料組成物の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
本発明の塗料組成物から得られる塗膜の膜厚は、例えば30〜300μmであり、好ましくは30〜200μmであるが、本発明の塗料組成物は、60μm以上の厚膜での塗装においても、環境遮断性に優れる塗膜を形成することができる。本発明の塗料組成物から得られる塗膜は、本発明の一実施態様であり、これを本発明の塗膜とも称する。
本発明の塗料組成物により塗装できる基材としては、特に限定されるものではないが、鉄鋼、亜鉛めっき鋼(例えばトタン板)、錫めっき鋼(例えばブリキ板)、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属又は合金を少なくとも一部に含む金属系基材を好適に挙げることができる。その具体例としては、鋼板、鋼管、条鋼等の鋼材、鉄塔、橋梁施設、プラント等の鋼構造物が好適に挙げられる。特に、本発明の塗料組成物は、腐食が生じやすい箇所である橋梁の桁端部や支承部周辺等にも、適用可能である。
なお、基材は、その表面に防食処理等のプライマー処理が施されていてもよいし、表面の少なくとも一部に旧塗膜(本発明の塗料組成物により塗装を行う際に既に基材上に形成されている塗膜)が存在していてもよい。
本発明の塗料組成物から得られる塗膜上に、更に上塗塗膜が形成される場合、上塗塗膜は、通常、樹脂を含み、その具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を一種単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。
上塗塗膜の形成には、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料、主溶媒として水を用いる水系塗料、活性エネルギー線硬化型塗料等の従来から公知の各種塗料が利用可能である。上塗塗料には、樹脂以外の成分として、溶媒、硬化剤、着色剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、消泡剤、粘性調整剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、シランカップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。上塗り塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。
上塗塗料の塗装方法は、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、スプレー塗装等が利用できる。また、上塗り塗料の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
上塗塗膜の膜厚は、例えば10〜100μmである。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
1.使用材料
塗料組成物の調製のため、以下の材料を用いた。
[主剤]
(1)樹脂
・エポキシ樹脂溶液(DIC株式会社製、EPICRON5920−70MS、不揮発分70質量%)
(2)第一鱗片状顔料(鱗片状アルミニウム顔料、ステンレスフレーク)
・アルミペーストA(ノンリーフィングタイプ、東洋アルミニウム株式会社製、アルペースト54−452、平均粒子径;33μm、アスペクト比;41、不揮発分70質量%)
・アルミペーストB(ノンリーフィングタイプ、東洋アルミニウム株式会社製、アルペースト54−497、平均粒子径;48μm、アスペクト比;48、不揮発分65質量%)
・アルミペーストC(ノンリーフィングタイプ、東洋アルミニウム株式会社製、アルペースト1260MS、平均粒子径;9μm、アスペクト比;60、不揮発分64質量%)
・アルミペーストD(リーフィングタイプ、東洋アルミニウム株式会社製、アルペースト0300M、平均粒子径;16μm、アスペクト比;72、不揮発分66質量%)
・ステンレスフレーク(ノンリーフィングタイプ、東洋アルミニウム株式会社製、RFA4000、平均粒子径;30μm、アスペクト比;100、不揮発分100質量%)
(3)第二鱗片状顔料(アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料)
・タルクA(平均粒子径;15μm、アスペクト比;25)
・タルクB(平均粒子径;7μm、アスペクト比;15)
・タルクC(平均粒子径;3μm、アスペクト比;8)
・マイカA(平均粒子径;42μm、アスペクト比;70)
・マイカB(平均粒子径;75μm、アスペクト比;140)
(4)防錆顔料
・リン酸塩系化合物(テイカ株式会社製、K−WHITE #82)
・ホウ酸塩系化合物(堺化学工業株式会社製、メタ硼酸バリウムBUSAN 11−M1)
(5)添加剤
・顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、DISPERBYK−118、不揮発分80質量%)
・粘性調整剤(エレメンティス社製、BENTONE34、不揮発分97質量%)
・消泡剤(共栄社化学株式会社製、フローレンAC−901、不揮発分22質量%)
(6)溶剤
・石油系炭化水素溶剤(エクソンモービル社製、ソルベッソ100)
・アルコール系溶剤(イソブチルアルコール)
[硬化剤]
(1)硬化剤
・ポリアミン化合物溶液(大都産業株式会社製、ダイトクラール U−6181、不揮発分90質量%)
(2)溶剤
・石油系炭化水素溶剤(エクソンモービル社製、ソルベッソ100)
・アルコール系溶剤(イソブチルアルコール)
2.測定・評価方法
(1)環境遮断性
明細書中に記載の方法に従い、酸素透過率を求めた。なお、乾燥膜厚を60μmとした。
(2)塗膜強度
試験板に対し、JIS K 5600−5−7(プルオフ法)に従い、付着性試験を行い、塗膜強度を測定した。下記の塗板作製方法により得た試験板を評価に用い、単膜付着強度および複層膜付着強度を測定した。
なお、比較例で見られる単膜付着強度の低下は主に塗膜中での凝集破壊(塗膜表面の剥離も含む)に起因しており、複層膜付着強度の低下は塗膜中での凝集破壊に加え、上塗塗膜との付着性が悪いことにより生じると推察される。このため、比較例2、4及び6では、塗膜中で凝集破壊が生じていると考えられる。
(3)防食性
JIS K5600−7−1:1999の耐中性塩水噴霧性に準じて、試験片を塩水噴霧に5000時間さらし、該試験片に生じたサビ、フクレ等の発生程度を下記の基準に従って1000時間ごとに評価した。下記の塗板作製方法により得た試験板を評価に用いた。
◎:塗膜表面に異常がなく、塗膜外観が優れている。
○:塗膜表面の一部にさび及び膨れ等の異常が認められる。
×:塗膜表面の全体にさび及び膨れ等の異常が認められる。
(4)塗板作製方法
本塗料組成物を用いて、グリットブラスト板(3.2×70×150mm)に、乾燥膜厚が60μmとなるようスプレー塗装し、乾燥し、下塗塗膜を形成した。下塗塗膜を室温で1週間乾燥し、目的とする塗板(試験板)を得た。得られた塗板を単膜付着強度の測定に供した。同様に下塗塗膜を形成し、得られた塗板の裏面を下塗塗料として用いた塗料と同様の塗料でシールし、室温で1週間乾燥させた後、防食性試験に供した。
また、同様に下塗塗膜を形成した塗板に、上塗り塗料としてVフロン#100Hスマイル上塗(大日本塗料株式会社製ふっ素樹脂上塗塗料)を乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装した。得られた2層の塗膜を室温で1週間乾燥し、得られた塗板を複層膜付着強度の測定に供した。
3.実施例及び比較例
表1〜2に示す配合処方に従い、主剤及び硬化剤を調製した。また、得られた主剤及び硬化剤を混合して、塗料組成物を調製し、塗膜性能を評価した。結果を表1〜2に示す。なお、表1〜2中の塗料組成物の組成の単位は「質量部」である。
Figure 0006916350
Figure 0006916350

Claims (5)

  1. 樹脂と、鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークと、アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料とを含有する塗料組成物であって、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークが平均粒子径20〜60μmのノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料又はステンレスフレークであり、前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料が平均粒子径5〜50μm、アスペクト比10〜100であり、前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレーク(A)と前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料(B)との質量比(A/B)が1/2〜1/18であり、前記アルミニウム顔料又はステンレスフレーク以外の鱗片状顔料がタルク及びマイカから選択される少なくとも一種であることを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記塗料組成物の不揮発分中における前記鱗片状アルミニウム顔料又はステンレスフレークの量が2.0〜12.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 防錆顔料をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物から得られる塗膜。
  5. 乾燥膜厚が30〜200μmであることを特徴とする請求項4に記載の塗膜。
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