[検眼装置の構成]
図1は、検眼装置100の外観斜視図である。検眼装置100は、被検眼E(図2参照)の他覚による眼屈折特性の測定と、装置内部に設けられた複数の視標に基づく各種自覚検査(視力検査、レッドグリーンテスト、及びCCテスト等)とに用いられる検眼装置であり、本実施形態では特に自覚検査におけるCCテストに係る機能について説明する。また以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、検眼装置100の奥行き方向(前後方向)をZ方向として説明する。
図1に示すように、検眼テーブル101上には支柱102Aが立設されている。この支柱102Aの上端部には、アーム102Bの基端部が保持されている。そして、アーム102Bの先端部には、検眼装置100が吊り下げられた状態で保持されている。なお、支柱102Aは、上下方向に伸縮自在で且つその軸周り方向に回転自在である。このため、検眼装置100の上下方向の位置、及び支柱102Aを中心とした軸周り方向の位置を任意に調整することができる。
検眼装置100は、被検者の被検眼E(図2参照)の右眼に対応する右眼用検眼ユニット100Rと、被検眼Eの左眼に対応する左眼用検眼ユニット100Lと、を備える。右眼用検眼ユニット100Rには検眼窓103Rが形成され、左眼用検眼ユニット100Lには検眼窓103Lが形成されている。そして、右眼用検眼ユニット100R及び左眼用検眼ユニット100Lには、それぞれ被検眼Eの他覚測定及び自覚検眼を行う測定及び検眼光学系1(図2参照)が設けられている。この測定及び検眼光学系1には、各種検眼視標が含まれている。
また、図示は省略するが、検眼装置100の内部(右眼用検眼ユニット100R及び左眼用検眼ユニット100Lを保持している部分など)、或いは右眼用検眼ユニット100R及び左眼用検眼ユニット100Lには、各々をXYZ方向にそれぞれ移動及び被検眼Eの近傍を中心に回旋させる不図示のアライメント機構(例えば特開2017−93977号公報参照)が設けられている。
検眼テーブル101の下方には、測定及び検眼光学系1(図2参照)の各部を統括制御する制御部57が格納されている。この制御部57には、タブレット端末或いは操作レバー等のコントローラ104が有線接続又は無線接続されている。制御部57は、コントローラ104に入力された操作指示に従って、測定及び検眼光学系1の各部の駆動を制御する。
[測定及び検眼光学系の構成]
図2は、右眼用検眼ユニット100R及び左眼用検眼ユニット100Lにそれぞれ設けられている測定及び検眼光学系1の概略図である。なお、右眼用検眼ユニット100R及び左眼用検眼ユニット100Lの双方の測定及び検眼光学系1は基本的に同じ構成であるので、ここでは一方の測定及び検眼光学系1を例に挙げて説明を行う。また、以下の説明において、被検眼Eとは右眼及び左眼の両方を指すものとする。
測定及び検眼光学系1は、前眼部観察光学系2と、パターン光束投影光学系3と、受光光学系4と、XYアライメント光学系5と、視標光投影光学系6と、CC視標光投影光学系7と、を有している。また、測定及び検眼光学系1は、被検眼Eの前眼部を照明光(例えば波長950nmの赤外光)で照明する発光ダイオード(Light Emitting Diode)であるLED10を備える。
前眼部観察光学系2は、被検眼Eの前眼部の観察等に用いられる光学系であり、この前眼部を撮影する。前眼部観察光学系2は主光軸O1を有している。この前眼部観察光学系2では、主光軸O1上に沿って被検眼E側から順に対物レンズ8、ダイクロイックミラー9、ハーフミラー11、リレーレンズ12,13、ダイクロイックミラー14、結像レンズ15、及び撮像素子16が配置されている。なお、前眼部観察光学系2を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
LED10から出射された照明光は、被検眼Eの前眼部を照明し、前眼部で反射される。この反射光は、前眼部観察光学系2に入射し、この前眼部観察光学系2の各部を経て撮像素子16の撮像面に入射する。これにより、被検眼Eの前眼部の観察像が撮像素子16により撮像される。
なお、前眼部観察光学系2のダイクロイックミラー9及びダイクロイックミラー14は、例えば前眼部観察光学系2及び後述のXYアライメント光学系5等で使用される波長950nmの赤外光のみを透過し、可視光及び例えば後述のパターン光束投影光学系3で使用される波長850nmの近赤外光を反射する光学特性を有している。
パターン光束投影光学系3は、被検眼Eの他覚的な眼屈折力の測定に用いられるリング状のパターン光束を、被検眼Eの眼底に投影する。パターン光束投影光学系3は光軸O2を有している。このパターン光束投影光学系3では、光軸O2上に沿って被検眼Eに遠い側から近い側に向かって、LED17、コリメータレンズ18、円錐プリズム19、リング指標板21、結像レンズ22、瞳絞り23、フィールドレンズ24、穴あき三角プリズム25、回転可能なロータリプリズム26、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9、及び対物レンズ8が配置されている。
光軸O2は、穴あき三角プリズム25、ダイクロイックミラー27、及びダイクロイックミラー9により順次偏向されることで、主光軸O1と合致する。
LED17は、近赤外光(例えば波長850nm)を出射する。LED17、コリメータレンズ18、円錐プリズム19、及びリング指標板21は、不図示の駆動機構によって、光軸O2に沿って一体的に進退駆動される。また、瞳絞り23の一面には、LED17から入射する光束を透過させるリング状の透過部が形成されている。この透過部は、被検眼Eの瞳孔と共役(略共役を含む)な位置に形成されている。LED17からの測定光はリング状の光束となって被検眼Eの瞳孔を透過し、眼底上にリング指標板21の像が投影される。このリング状の像は、被検眼Eの眼屈折力によりその形状を歪められた状態で被検眼Eの眼底に投影される。
ダイクロイックミラー27は、後述の視標光投影光学系6及びCC視標光投影光学系7で使用される可視光を透過し、パターン光束投影光学系3で使用される近赤外光を反射する光学特性を有している。
なお、パターン光束投影光学系3を構成する他の各部については、公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
受光光学系4は、光軸O3を有しており、被検眼Eの眼底で反射された既述のリング状の投影像を撮像する。この受光光学系4では、光軸O3上に沿って、被検眼E側から順に対物レンズ8、ダイクロイックミラー9、ダイクロイックミラー27、ロータリプリズム26、穴あき三角プリズム25の穴部25a、フィールドレンズ28、ミラー29、リレーレンズ31、合焦レンズ32、ミラー33、ダイクロイックミラー14、結像レンズ15、及び撮像素子16が配置されている。
光軸O3の一端側は、ミラー29、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9により順次偏向されることにより、主光軸O1と合致する。また、光軸O3の他端側についても、ミラー33及びダイクロイックミラー14により順次偏向されることにより、主光軸O1と合致する。
穴あき三角プリズム25の底面、すなわち穴部25aの下端には絞り(不図示)が配置されている。この絞りは被検眼Eの瞳孔と共役(略共役を含む)な位置に配置されている。また、合焦レンズ32は、不図示の駆動機構により、光軸O3に沿って進退駆動される。この際に、この合焦レンズ32と共に、既述のパターン光束投影光学系3のLED17、コリメータレンズ18、円錐プリズム19、及びリング指標板21を一体に移動する構造を採用してもよい。
なお、受光光学系4を構成する他の各部については、公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。また、眼屈折力の測定に用いる光学系はこれに限らず、公知の眼屈折力測定光学系を用いることも可能である。
XYアライメント光学系5は、被検眼Eに向けてアライメント指標光束を投影する。このアライメント指標光束は、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のアライメント状態として、主光軸O1と垂直な2方向(X方向及びY方向)のアライメント状態の検出に用いられる。XYアライメント光学系5は、LED34、リレーレンズ35、及びハーフミラー11を有している。
なお、XYアライメント光学系5を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
また、図示は省略するが、測定及び検眼光学系1は、被検眼Eに向けてアライメント指標光束を投影するZアライメント光学系を有している。このアライメント指標光束は、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のアライメント状態として、主光軸O1と平行な方向(Z方向)のアライメント状態の検出に用いられる。
XYアライメント光学系5及びZアライメント光学系(不図示)から被検眼Eに入射されたアライメント視標光束は、被検眼Eの角膜にて反射される。この角膜からの反射光は、既述の前眼部の観察像と共に、既述の前眼部観察光学系2を介して撮像素子16に結像され、前眼部の観察像及びプルキンエ像(輝点)等が取得される。これにより、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のXYZ方向のアライメント状態を検出することができる。
視標光投影光学系6は、本発明の第2投影光学系に相当するものであり、他覚屈折力測定時において、被検眼Eを固視又は雲霧させるために固視標等を被検眼Eに投影する。視標光投影光学系6は光軸O4を有している。この視標光投影光学系6では、光軸O4上に沿って被検眼Eに遠い側から近い側に向かって、検眼視標表示部36、結像レンズ37、合焦レンズ38、リレーレンズ39、ビームスプリッタ41、フィールドレンズ42、バリアブルクロスシリンダ(Variable Cross‐Cylinder)レンズであるVCCレンズ43、ミラー44、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9、及び対物レンズ8が配置されている。
光軸O4は、ミラー44及びダイクロイックミラー9により順次偏向され、主光軸O1と合致する。
検眼視標表示部36は、例えばバックライトを含むLCD(liquid crystal display)が用いられる。この検眼視標表示部36は、被検眼Eの他覚検査を実施する場合に、この被検眼Eの固視及び雲霧を行う風景チャート等を表示し、自覚検査を実施するために、ランドルト環、E文字視標等、検眼視標、及び後述の固視マーク58A,58B(図10参照)等を表示する。検眼視標表示部36により視標等が表示されると、この検眼視標表示部36から結像レンズ37及び合焦レンズ38等に向けて視標等の光束が出射される。
合焦レンズ38は、不図示の駆動機構により光軸O4に沿って進退駆動される。合焦レンズ38を被検眼E側に移動させることで、視標等の光束の屈折力をマイナス側に変位させることができる。また逆に、合焦レンズ38を被検眼Eから遠ざかる方向に移動させることで、視標等の光束の屈折力をプラス側に変位させることができる。従って、合焦レンズ38の進退駆動により、検眼視標表示部36に表示される視標等の被検眼Eに対する呈示距離を変更することができる。また、被検眼Eを固視又は雲霧させることができる。
VCCレンズ43は、互いに正負の屈折力を有する2つのシリンダレンズ、すなわち凸曲面を有するシリンダレンズと、凹曲面を有するシリンダレンズとにより構成される。2つのシリンダレンズは、不図示のパルスモータ等の駆動機構により、光軸O4を中心としてその軸周り方向にそれぞれ独立して回転させることができる。2つのシリンダレンズを相対的に回転させることで乱視量を調整することができ、2つのシリンダレンズを一体に回転させることで乱視軸角度を調整することができる。従って、VCCレンズ43は、被検眼Eの乱視を打消すことができる。また、VCCレンズ43は、例えば被検眼E上で0Dから8D(Diopter)の乱視量を発生させることができ、対物レンズ8を介して被検眼Eの瞳孔と共役(略共役を含む)な位置に配置される。
なお、視標光投影光学系6を構成する他の各部については、公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
CC視標光投影光学系7は、本発明の第1投影光学系に相当するものであり、被検眼Eに対して一対のCC視標像53A,53B(図3参照)を投影する。
CC視標光投影光学系7は、光軸O5を有している。このCC視標光投影光学系7では、光軸O5上に沿って被検眼Eに遠い側から近い側に向かって、LED45、拡散板46、CC視標板47、結像レンズ48、プリズム付きCCレンズ49、ミラー51、リレーレンズ52、ビームスプリッタ41、フィールドレンズ42、VCCレンズ43、ミラー44、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9、及び対物レンズ8が配置されている。
光軸O5は、ミラー51、ビームスプリッタ41、ミラー44、ダイクロイックミラー9により順次偏向されることで、主光軸O1と合致する。また、CC視標光投影光学系7のビームスプリッタ41、フィールドレンズ42、VCCレンズ43、ミラー44、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9、及び対物レンズ8は、既述の視標光投影光学系6と共通して使用される。すなわち、視標光投影光学系6とCC視標光投影光学系7とは、ビームスプリッタ41を介して各々の光路が合致する。
LED45は、白色光を拡散板46に向けて出射する。拡散板46は、LED45から入射される白色光を拡散してCC視標板47を照明する。この拡散板46によってCC視標板47を透過する白色光の照明ムラが低減される。
CC視標板47は、ガラス基板にCC検査用の点群状のドット視標パターン(他の視標パターンでも可)を描画したものである。CC視標板47は、拡散板46から入射される白色光を透過し、CC視標像53(図3参照)の視標光束L0(図3参照)を、結像レンズ48を通してプリズム付きCCレンズ49に入射する。
LED45、拡散板46、及びCC視標板47は、不図示の駆動機構により、光軸O5に沿ってCC視標ユニットとして一体的に進退駆動される。CC視標ユニット(LED45、拡散板46、及びCC視標板47)の進退駆動により、CC視標板47から被検眼Eに投影されるCC視標像53(図3参照)の呈示距離を変更することができる。なお、CC視標ユニットは、視標光投影光学系6(第2投影光学系)の合焦レンズ38と共通の駆動機構で進退駆動されてもよい。
なお、LED45、拡散板46、及びCC視標板47の位置を固定し、さらに合焦レンズ(不図示)を追加し、この合焦レンズを光軸O5に沿って進退駆動する構成としてもよい。また、既述のCC視標ユニットの代わりに、既述の視標光投影光学系6(検眼視標表示部36)と同様にLCD等を用いてもよい。
プリズム付きCCレンズ49は、本発明の光束分割部材に相当するものであり、リレーレンズ52に対してVCCレンズ43と共役(略共役を含む)な位置に設けられており、すなわち、被検眼Eの瞳孔と共役(略共役を含む、以下同じ)な位置に設けられている。このプリズム付きCCレンズ49は、詳しくは後述するが、結像レンズ48を通して入力されるCC視標像53(図3参照)の光束を、一対の光束群L1G,L2G(図8参照)に分割する。
また、プリズム付きCCレンズ49の周囲には、例えばリングギア54が形成されている。リングギア54は、パルスモータ56の出力軸に設けられた駆動ギア55と噛合する。これにより、パルスモータ56を駆動して駆動ギア55を回転させると、この駆動ギア55を介してプリズム付きCCレンズ49が回転される。なお、パルスモータ56の代わりに、出力軸の回転角を検出できるモータ、又は駆動入力値に対応した回転をするモータ等を用いてもよい。これにより、プリズム付きCCレンズ49を、VCCレンズ43により発生する乱視軸角度に合わせて回転させることができる。
プリズム付きCCレンズ49により分割された一対の光束群L1G,L2G(図8参照)にそれぞれ対応する一対のCC視標像53A,53B(図10参照)は、ミラー51、リレーレンズ52、ビームスプリッタ41、フィールドレンズ42、VCCレンズ43、ミラー44、ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー9、及び対物レンズ8を経て、互いに分離した状態で被検眼Eに投影される。
[プリズム付きCCレンズ]
以下、プリズム付きCCレンズ49の詳細について説明を行う。最初に比較例1の一般的な自覚検眼機であるレフラクターヘッド等に搭載されるプリズム付きCCレンズ200(図3参照)、及び比較例2の同様のプリズム付きCCレンズ200(図5参照)の説明を行った後、本実施形態のプリズム付きCCレンズ49について説明を行う。
<比較例1のプリズム付きCCレンズ>
図3は、比較例1のプリズム付きCCレンズ200の構成及び作用を説明するための説明図である。なお、比較例1では、プリズム付きCCレンズ200が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられておらず、プリズム付きCCレンズ200が被検眼Eの瞳孔と略一定の距離をあけて配置されている。
図3に示すように、プリズム付きCCレンズ200は、CCレンズ201と、2種類のプリズム202A,202Bとを備える。CCレンズ201は、光軸O5上においてこの光軸O5に対して表裏面が直交する姿勢で配置されている。
図4は、比較例1のCCレンズ201の概略図である。図4に示すように、CCレンズ201は、第1CCレンズ201Aと、第2CCレンズ201Bとにより2分割された構造を有する。
第1CCレンズ201Aは、乱視度数が±0.5DのCCレンズ300Aに相当する光学特性を有している。一方、第2CCレンズ201Bは、CCレンズ300Aとは乱視軸角度が90°(略90°を含む)異なるCCレンズ300Bに相当する光学特性を有している。なお、CCレンズ300A及びCCレンズ300Bの一方を、反転あるいは90°回転させると、他方と一致する。これにより、第1CCレンズ201Aを透過した像と、第2CCレンズ201Bを透過した像とは、乱視軸角度が90°異なる。
図3に戻って、第1CCレンズ201Aの出射面にはプリズム202Aが設けられ、第2CCレンズ201Bの出射面にはプリズム202Bが設けられている。2種類のプリズム202A,202Bは互いの基底(プリズムベース)が対向して配置されている。このため、プリズム202A,202Bからそれぞれ異なる方向に光束が出射される。
プリズム付きCCレンズ200に入射したCC視標像53の視標光束L0は、プリズム付きCCレンズ200により、第1CCレンズ201A及びプリズム202Aを透過した第1光束L1と、第2CCレンズ201B及びプリズム202Bを透過した第2光束L2とを含む一対の光束L1,L2に分割される。一対の光束L1,L2は、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bとして被検眼Eに向けて投影される。これにより、一対のCC視標像53A,53Bが被検眼Eの眼底の異なる位置に投影される。従って、プリズム付きCCレンズ200によって、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bを同時に被検眼Eで視認できる。
この際に比較例1では、一対の光束L1,L2が被検眼Eの瞳孔の近傍で交差するように、被検眼Eの瞳孔からのプリズム付きCCレンズ200の距離とプリズム202A,202Bの偏角とが設定されている。このため、一対の光束L1,L2はそれぞれ被検眼Eの瞳孔の全体(略全体を含む)を透過して被検眼Eの眼底に達する。このため、詳しくは後述するが、被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDA(図6参照)が発生していた場合でも、一対の光束L1,L2の一方だけが特異エリアDAの影響を受けることはない。
比較例1では、プリズム付きCCレンズ200が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられていないので、図2のような構成の測定及び検眼光学系1においては、視標の呈示距離によって、プリズム付きCCレンズ200の感度(見かけの光学特性)が変化してしまう。その結果、被検眼Eの屈折力(例えば強度近視眼の被検眼E、正視に近い被検眼E、及び強度遠視の被検眼E等)によって検眼精度に差が生じてしまう。このため、本願発明の検眼装置100のように、プリズム付きCCレンズ200は、被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられていることが好ましい。
<比較例2のプリズム付きCCレンズ>
図5は、比較例2のプリズム付きCCレンズ200の構成及び作用を説明するための説明図である。図5の符号VAに示すように、比較例2のプリズム付きCCレンズ200は、リレーレンズ52に対してVCCレンズ43と共役であり、その結果、被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられている。このため、図5の符号VBに示すように、比較例2では、CC視標像53の視標光束L0が、プリズム付きCCレンズ200によって被検眼Eの瞳孔の位置で一対の光束L1,L2に分割される。
図6は、比較例2のプリズム付きCCレンズ200の課題を説明するための説明図である。なお、図6中の符号VIAは、既述の比較例1において一対の光束L1,L2が入射する被検眼Eの瞳孔(符号PUで表示、以下同じ)の正面図であり、符号VIBは符号VIAで示した瞳孔の断面図である。また、図6中の符号VICは、比較例2において一対の光束L1,L2が入射する被検眼Eの瞳孔の正面図であり、符号VIDは符号VICで示した瞳孔の断面図である。
図6の符号VIA,VIBに示すように、比較例1では、既述の通り、一対の光束L1,L2が被検眼Eの瞳孔の近傍で交差するので、一対の光束L1,L2はそれぞれ被検眼Eの瞳孔の全体(略全体を含む)を透過して眼底に達する。このため、被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDA(収差)が発生している場合でも、一対の光束L1,L2の双方が特異エリアDAをそれぞれ透過するので、一対の光束L1,L2の一方だけが特異エリアDAの影響を受けることはない。
一方、図6の符号VIC,VIDに示すように、比較例2では、プリズム付きCCレンズ200が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられている。このため、被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDAが発生している場合、一対の光束L1,L2の一方(ここでは光束L2)が特異エリアDAを透過するのに対して、一対の光束L1,L2の他方(ここでは光束L1)は特異エリアDAを透過しない。従って、一対の光束L1,L2の一方は特異エリアDAの影響を受けるのに対して、他方は特異エリアDAの影響を受けない。その結果、比較例2において被検眼Eに呈示される一対のCC視標像53A,53Bは、比較例1の自然視状態(一対の光束L1,L2が瞳孔全体を透過)の場合とは異なり、見え方に差が生じるおそれがある。その結果、比較例2では、被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDAが発生している場合、正しい検眼を行うことができないおそれがある。
このような比較例2に対して、本実施形態のプリズム付きCCレンズ49は、被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられ且つ被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDAが発生している場合であっても、精度のよい検眼を可能にする構成を備える。
<本実施形態のプリズム付きCCレンズ>
図7は、プリズム付きCCレンズ49をCCレンズ150側から見た正面図である。図8は、プリズム付きCCレンズ49の断面図である。図7及び図8に示すように、プリズム付きCCレンズ49は、CCレンズ150と2種類のプリズム151A,151Bとを備える。
CCレンズ150は、複数の第1CCレンズ150Aと、複数の第2CCレンズ150Bとが、いわゆる市松模様状(チェッカーパターン状)に配列された構造を有している。すなわち、各第1CCレンズ150A及び各第2CCレンズ150Bは、CCレンズ150の面内(視標光束L0の光軸O5に垂直な面内)においてそれぞれ均等に配置されている。
なお、複数の第1CCレンズ150Aは、本発明の複数の第1光学特性領域及び複数の第1クロスシリンダレンズに相当し、複数の第2CCレンズ150Bは、本発明の複数の第2光学特性領域及び複数の第2クロスシリンダレンズに相当する。
各第1CCレンズ150Aは、既述の図4に示したCCレンズ300Aに対応する光学特性を有し、且つ各第2CCレンズ150Bは、既述の図4に示したCCレンズ300Bに対応する光学特性を有している。このため、CC視標像53の視標光束L0は、第1CCレンズ150Aを透過すると第1光束L1となり、第2CCレンズ150Bを透過すると第2光束L2となる。第1光束L1及び第2光束L2は乱視軸角度が90°異なる。
この際に、各第1CCレンズ150A及び各第2CCレンズ150Bは市松模様状に配列、すなわち双方がモザイク状に配列されているので、各第1CCレンズ150Aは互いに分離し、且つ各第2CCレンズ150Bも互いに分離している。このため、視標光束L0が各第1CCレンズ150Aをそれぞれ透過すると、各第1CCレンズ150Aから互いに分離した複数の第1光束L1を含む第1光束群L1Gが出射される。また、視標光束L0が各第2CCレンズ150Bをそれぞれ透過すると、各第2CCレンズ150Bから互いに分離した複数の第2光束L2を含む第2光束群L2Gが出射される。
プリズム151Aは、比較例1及び比較例2で説明したプリズム202Aと基本的に同じものであり、複数の第1CCレンズ150Aごとに個別に設けられている。これにより、各第1CCレンズ150Aからそれぞれ出射される第1光束群L1Gの各光束L1は、各プリズム202Aによってそれぞれ同一方向に屈折される。
プリズム151Bは、比較例1及び比較例2で説明したプリズム202Bと基本的に同じものであり、複数の第2CCレンズ150Bごとに個別に設けられている。これにより、各第2CCレンズ150Bからそれぞれ出射された第2光束群L2Gの各光束L2は、各プリズム202Bによりそれぞれ同一方向で且つ各光束L1とは異なる方向に屈折される。
このようにプリズム付きCCレンズ49は、第1CCレンズ150A及びプリズム151Aと、第2CCレンズ150B及びプリズム151Bと、を市松模様状に配列した構造(比較例2のプリズム付きCCレンズ200を小型化したものをアレイ状に配列した構造)を有する。このため、プリズム付きCCレンズ49は、視標光束L0を、第1光束群L1Gと第2光束群L2Gとを含む一対の光束群L1G,L2Gであって且つ乱視軸角度が90°(略90°を含む)異なる一対の光束群L1G,L2Gに分割する。
一対の光束群L1G,L2Gは、CC視標光投影光学系7のミラー51から対物レンズ8を経て、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53B(本発明の一対の視標像に相当、図10参照)として、互いに分離された状態で被検眼Eに向けて投影される。これにより、本実施形態のプリズム付きCCレンズ49を用いた場合にも、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bを被検眼Eで同時に視認できる。
図9は、プリズム付きCCレンズ49により分割された一対の光束群L1G,L2Gが入射する被検眼Eの瞳孔(符号PU)の正面図である。図9及び既述の図8に示すように、プリズム付きCCレンズ49によって、視標光束L0は一対の光束群L1G,L2Gに分割、すなわちモザイク状のパターンの各第1光束L1と、モザイク状のパターンの各第2光束L2とに分割される。
このため、プリズム付きCCレンズ49が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられ且つ被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDAが発生している場合、各第1光束L1及び各第2光束L2の各々の一部が特異エリアDAの影響を受けることになる。このため、プリズム付きCCレンズ49は、比較例2のプリズム付きCCレンズ200とは異なり、被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられている場合であっても特異エリアDAの影響を同様に受けることになる。
[固視マークの投影]
図10は、CC視標光投影光学系7による被検眼Eへの一対のCC視標像53A,53Bの投影に合わせて、視標光投影光学系6により被検眼Eへ投影される固視マーク58A,58Bを説明するための説明図である。
図10の符号XAに示すように、CC視標光投影光学系7は、被検眼Eに対して一対の光束群L1G,L2Gを投影することにより、被検眼Eは所定の位置関係(図中では斜めに配置)で配置された一対のCC視標像53A,53Bを視認することができる。この一対のCC視標像53A,53Bは、プリズム付きCCレンズ49の回転角度、すなわち被検眼Eの乱視軸角度に一致する。
なお、一対のCC視標像53A,53Bはプリズム付きCCレンズ49の影響でボケた状態で被検眼Eに呈示されている。このため、一対のCC視標像53A,53Bのボケ具合を比較し双方のボケがほぼ同じになるようにVCCレンズ43の各シリンダレンズの相対角度を調整することで、被検眼Eの正確な乱視量及び乱視軸角度を決定できる。
図10の符号XBに示すように、視標光投影光学系6の検眼視標表示部36は、被検眼Eに投影される一対のCC視標像53A,53Bにそれぞれ対応する位置に、CC視標像53Aを識別するための固視マーク58Aと、CC視標像53Bを識別するための固視マーク58Bとを表示する。固視マーク58A,58Bは、本発明の識別情報に相当するものであり、例えば数字(「1」、「2」)が用いられる。これにより、CC視標光投影光学系7から被検眼Eへ投影されるCC視標像53Aの投影位置に対応する位置に、視標光投影光学系6から固視マーク58Aが投影される。また、CC視標光投影光学系7から被検眼Eへ投影されるCC視標像53Bの投影位置に対応する位置に、視標光投影光学系6から固視マーク58Bが投影される。その結果、被検眼Eに対して、一対のCC視標像53A,53Bと固視マーク58A,58Bとが同時に投影される。
図11は、被検眼Eに同時に投影される一対のCC視標像53A,53Bと固視マーク58A,58Bとの一例を説明するための説明図である。図11に示すように、被検眼Eに対して、固視マーク58AはCC視標像53Aの投影位置に対応する位置(近傍位置)に投影され、且つ固視マーク58BはCC視標像53Bの投影位置に対応する位置(近傍位置)に投影される。これにより、被検者は、CC視標像53Aの近傍位置に固視マーク58Aを視認することができ、且つCC視標像53Bの近傍位置に固視マーク58Bを視認することができる。
固視マーク58A,58Bは、符号XIAに示す数字「1」「2」の他に、符号XIBに示すようなLeft及びRightの各々の頭文字である「L」「R」、符号XIC及び符号XIDに示すような方向を示す漢字文字である「左」「右」「上」「下」、及び符号XIEに示すような一対のCC視標像53A,53Bをそれぞれ囲み且つ互いに色(線種でも可)異なる「円枠」などが例として挙げられる。なお、固視マーク58A,58Bは、上述の各パターンに限定されるものではなく、互いに形状が異なる各種記号又は文字等であってもよい。
[制御部]
図1に戻って、測定及び検眼光学系1には制御部57が接続されている。制御部57は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及びメモリ等から構成された演算回路であり、コントローラ104に入力された操作指示に基づき測定及び検眼光学系1の各部を統括制御する。
制御部57は、既述のLED10、LED17、LED34、検眼視標表示部36、及びLED45の各々における発光又は表示を制御する。また、制御部57は、LED17、コリメータレンズ18、円錐プリズム19、及びリング指標板21を含む光源ユニットの進退駆動と、合焦レンズ32及び合焦レンズ38の各々の進退駆動と、LED45、拡散板46、及びCC視標板47の進退駆動と、をそれぞれ制御する。さらに、制御部57は、VCCレンズ43、プリズム付きCCレンズ49、及びロータリプリズム26の各々の回転を制御する。
さらにまた、制御部57は、既述のXYアライメント光学系5及びZアライメント光学系(不図示)から被検眼Eへのアライメント視標光束の入射に応じて、前眼部観察光学系2の撮像素子16により撮像された前眼部の観察像及びプルキンエ像等に基づき、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のXYZ軸方向のアライメント状態を検出する。そして、制御部57は、検眼装置100に設けられた不図示のアライメント機構を駆動して、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のアライメント(オートアライメント)を実行する。なお、オートアライメントを実行する代わりに、既述の前眼部の観察像及びプルキンエ像等に基づき、検者が手動でアライメント(手動アライメント)を行ってもよい。
さらにまた、制御部57は、プリズム付きCCレンズ49の回転角の変化に応じて、検眼視標表示部36で表示される既述の固視マーク58A,58Bの表示位置、すなわち被検眼Eに対する固視マーク58A,58Bの投影位置を変化させる。
図12は、制御部57による被検眼Eに対する固視マーク58A,58Bの投影位置の変化制御を説明するための説明図である。図12の符号XIIA、符号XIIB、符号XIIC、及び符号XIIDに示すように、制御部57は、プリズム付きCCレンズ49の回転角が変化すると、被検眼Eに対する一対のCC視標像53A,53Bの投影位置の変化に追従するように、検眼視標表示部36による固視マーク58A,58Bの表示位置を変化させる。これにより、被検眼Eに対する固視マーク58A,58Bの投影位置を、一対のCC視標像53A,53Bの投影位置の変化に追従して変化させることができる。
図1に戻って、制御部57は、プリズム付きCCレンズ49がVCCレンズ43で発生させる乱視軸角度に連動して回転するように、既述のパルスモータ56の駆動を制御してもよい。
さらにまた、制御部57は、前眼部観察光学系2の撮像素子16によって被検眼Eからの反射光(リング状のパターン光束)を撮像した撮像信号に基づき、被検眼Eの眼屈折力を公知の手法により演算することができる。
[検眼装置の作用]
次に、上記構成の検眼装置100による被検眼Eの検眼処理について説明を行う。
最初に、検眼装置100に対して被検者の被検眼Eが所定の検眼位置に位置決めされる。次いで、検者がコントローラ104に対して検査開始指示を入力すると、制御部57は、視標光投影光学系6の検眼視標表示部36に風景等の固視標を表示させ、この視標光投影光学系6を介して、被検眼Eを固視させるための固視標を被検眼Eへ投影する。
続けて、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のアライメントが開始される。制御部57は、XYアライメント光学系5のLED34を点灯させ、このXYアライメント光学系5を介して、XYアライメント用のアライメント視標光束を被検眼Eに対して投影する。また、制御部57は、不図示のZアライメント光学系のLEDを点灯させ、このZアライメント光学系を介して、Zアライメント用のアライメント視標光束を被検眼Eに対して投影する。さらに、制御部57は、LED10を点灯させて、被検眼Eに照明光を照射する。
XYアライメント光学系5、不図示のZアライメント光学系、及びLED10からそれぞれ被検眼Eに入射された各光束は、被検眼Eの前眼部にて反射される。この反射光は、前眼部観察光学系2を介して撮像素子16の撮像面に結像され、プルキンエ像及び前眼部の観察像が撮像素子16により撮像される。そして、撮像素子16は、プルキンエ像及び前眼部の観察像の撮像信号を制御部57へ出力する。
制御部57は、撮像素子16から入力された撮像信号に基づき、不図示のアライメント機構を駆動して、被検眼Eに対する測定及び検眼光学系1のXYZ方向のオートアライメントを実施する。なお、オートアライメントを行う代わりに検者による手動アライメントを行ってもよい。
オートアライメント完了後、制御部57は被検眼Eの眼屈折力の他覚検査を開始させる。制御部57は、パターン光束投影光学系3のLED17を点灯させ、このパターン光束投影光学系3の瞳絞り23等を介して、リング状のパターン光束(リング状の投影像)を被検眼Eに投影する。このリング状の投影像は、被検眼Eの眼屈折力により形状を歪められた状態で、被検眼Eの眼底に投影される。そして、この眼底に投影されたリング状の投影像は、受光光学系4を介して撮像素子16の撮像面に結像され、撮像素子16によって撮像される。撮像素子16は、リング状の投影像の撮像信号を制御部57へ出力する。
制御部57は、撮像素子16から入力される撮像信号に基づき、リング状の投影像の形状を解析する。次いで、制御部57は、この投影像の解析結果と、既述のLED17、コリメータレンズ18、円錐プリズム19、リング指標板21、及び合焦レンズ32の移動量とに基づいて、公知の手法により被検眼Eの眼屈折力を演算する。これにより、被検眼Eの他覚検査が完了する。
なお、被検眼Eの眼屈折力の他覚検査の方法は上記の方法に限らない。例えば、被検眼Eの眼底に小輝点を投影し、この眼底から反射した光束を受光経路内に配置した光学素子により検出し、この検出結果に基づき被検眼Eの眼屈折力を演算してもよい。
他覚検査の終了後、この他覚検査で求められた測定結果に基づき自覚検査が実施される。検者がコントローラ104に対して検査開始指示を入力すると、制御部57は、他覚検査結果より得られた遠点での眼屈折力SCA値(Spherical、Cylinder、Axis)に基づき、被検眼Eの屈折異常を矯正するように合焦レンズ38を光軸O4に沿って移動し、且つVCCレンズ43の各々のシリンダレンズを相対的に回転しセットする。また、制御部57は、視標光投影光学系6の検眼視標表示部36に視力検査用の視標(ランドルト環又はE文字視標等)を表示させ、この視標光投影光学系6を介して視力検査用の視標を被検眼Eへ投影する。
被検者は、ランドルト環の切れ目又はE文字の向きを口答もしくはレバー等の傾倒方向等で応答する。
ここで、視力検査用の視標に対する応答で充分な視力(例えば視力値1.0以上)が得られない場合、検者はコントローラ104にて合焦レンズ38の移動操作、及びVCCレンズ43の角度変更操作等を行う。また、被検眼Eの乱視量及び乱視軸角度のズレは、被検眼Eに放射線状の視標を呈示して経線方向における「見え」の差異の有無を被検者に確認することにより、概略確認が可能である。そして、被検眼Eの乱視量及び乱視軸角度の詳細確認のため、CCテストが開始される。
図13は、検眼装置100によるCCテストの流れを示したフローチャートである。なお、ここでは既述のCC視標ユニット(LED45、拡散板46、及びCC視標板47)及び合焦レンズ38の位置調整は予め行われているものとする。
検者がコントローラ104にてCCテスト開始操作を行うと、制御部57はCC視標光投影光学系7のLED45を点灯させる(ステップS1)。これにより、CC視標ユニット(LED45、拡散板46、及びCC視標板47)から、結像レンズ48を通してCC視標像53の視標光束L0がプリズム付きCCレンズ49に入射する。
この視標光束L0は、既述の図7から図9に示したようにプリズム付きCCレンズ49によって、互いに乱視軸角度が90°異なる一対の光束群L1G,L2Gに分割される(ステップS2)。そして、一対の光束群L1G,L2Gは、CC視標光投影光学系7の各部(ミラー51から対物レンズ8)を経て、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bとして互いに分離された状態で被検眼Eに投影される(ステップS3)。これにより、被検者は、既述の図11に示したように、一対のCC視標像53A,53Bを被検眼Eで同時に視認できる。
また、制御部57は、被検眼Eに対する一対のCC視標像53A,53Bの投影位置に合わせて、視標光投影光学系6の検眼視標表示部36に固視マーク85A,85Bをそれぞれ表示させる。これにより、既述の図11に示したように、被検眼Eに投影される一対のCC視標像53A,53Bの各々の投影位置に対応する位置に、視標光投影光学系6から固視マーク58A,58Bが投影される(ステップS4)。その結果、被検者はCC視標像53Aの近傍位置に固視マーク58Aを視認し、且つCC視標像53Bの近傍位置に固視マーク58Bを視認することができる。
被検者は、固視マーク58A,58Bに基づき、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bを同時且つ互いに識別可能に視認することができるので、両者の一方がどの程度の明瞭さであったかを記憶して他方との比較を行う必要がなくなる。このため、被検者の負担を軽減できる。
この際に、固視マーク58A,58Bはプリズム付きCCレンズ49を透過していないので、双方とも同等の「見え」となる。これに対して、一対のCC視標像53A,53Bはプリズム付きCCレンズ49の影響でいずれか一方もしくは双方が同じ様にボケて視認される。このため、被検眼Eが固視マーク58A,58Bに注目して調節を行ったり、或いは一対のCC視標像53A,53Bではなく固視マーク58A,58Bに着目して「両方ともはっきり見える」と誤認したりする等の不具合が発生するおそれがある。
そこで、被検眼Eへの固視マーク58A,58Bの投影後、被検者が固視マーク58A,58Bを充分認識できる所定の時間が経過すると、制御部57は、検眼視標表示部36による固視マーク85A,85Bの表示を停止(消灯)させる(ステップS5)。これにより、視標光投影光学系6による被検眼Eへの固視マーク85A,85Bの投影が終了する。その結果、上述の不具合を回避することができる。
次いで、検者は、被検者に対して一対のCC視標像53A,53Bのどちらの像が明瞭に(はっきりと)見えるかを問いかけ、被検者からの応答に基づき、被検者が一対のCC視標像53A,53Bのどちらを明瞭に視認できのるかを判断する。
被検者は、一対のCC視標像53A,53Bの見え方が同程度であると判断した場合、その旨を検者に応答する(ステップS6でYES)。なお、被検者による応答は、音声であってもよいし、傾動可能なレバー或いは固視マーク58A,58Bを指定可能なボタン等であってもよい。
一方、被検者は、一対のCC視標像53A,53Bの明瞭さが異なる場合、より良く視認できた方に対応する固視マーク58A,58Bを検者に応答する(ステップS6でNO)。この場合、検者は、被検者の応答に基づき、条件を替えて再度被検者に確認する。
検者がコントローラ104に対して条件変更操作を行うと、制御部57は、VCCレンズ43の2つのシリンダレンズを相対的あるいは一体的に回転させることで、乱視量及び乱視軸角度を調整する。また、制御部57は、パルスモータ56の駆動を制御して、VCCレンズ43により発生する乱視軸角度に合わせて、プリズム付きCCレンズ49を回転させる(ステップS7)。
なお、プリズム付きCCレンズ49の回転によって、被検眼Eに投影される一対のCC視標像53A,53Bの位置関係が変化する。このため、制御部57は、検眼視標表示部36を制御して、既述の図12に示したように、被検眼Eに対する一対のCC視標像53A,53Bの投影位置の変化に追従するように、検眼視標表示部36による固視マーク58A,58Bの表示位置を変化させる(ステップS8)。
固視マーク58A,58Bの表示位置の変化に応じて、被検眼Eに対して、常に固視マーク58A,58Bが一対のCC視標像53A,53Bの投影位置にそれぞれに対応する位置に投影される。その結果、被検者は、一対のCC視標像53A,53Bの投影位置の位置変化に関係なく、明瞭に視認されている一対のCC視標像53A,53Bの近傍に位置する固視マーク58A,58Bを答えるだけでよい。これにより、被検者の負担が軽減されると共に、被検者の誤答を抑制することができ、測定時間の短縮及び作業性の向上を図ることができる。
既述のステップS5と同様に、被検者が固視マーク58A,58Bを充分認識できる所定の時間が経過すると、制御部57は、検眼視標表示部36による固視マーク85A,85Bの表示を停止(消灯)させる(ステップS9)。
次いで、被検者が一対のCC視標像53A,53Bのどちらを明瞭に視認できるかについての判断が再度行われる(ステップS6)。以下、被検者が一対のCC視標像53A,53Bの見え方が同程度であると判断するまで、既述のステップS6からステップS9までの処理が繰り返し実行される。
ステップS6でYESの場合、制御部57は、VCCレンズ43の各シリンダレンズの相対回転量及び一体回転量に基づき、被検眼Eの乱視量と乱視軸角度を演算する(ステップS10)。これにより、被検眼Eの乱視量及び乱視軸角度の検査が完了する。以下、必要に応じて、レッドグリーンテスト及び両眼開放検査等が実施されて自覚検査が終了する。
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態の検眼装置100では、プリズム付きCCレンズ49によって視標光束L0を乱視軸角度が90°異なる一対の光束群L1G,L2Gに分割できる。このため、既述の図8等に示したように、プリズム付きCCレンズ49が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられ且つ被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDAが発生している場合でも、一対の光束群L1G,L2Gを各々構成する各第1光束L1及び各光束L2のそれぞれは同様に特異エリアDAの影響を受ける。その結果、プリズム付きCCレンズ49を被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けた場合でも、特異エリアDAの影響を含め、精度の良い検眼を行うことができる。これにより、被検眼Eによる一対のCC視標像53A,53Bの同時視認と、精度のよい観察との両方を実現できる。
[プリズム付きCCレンズの他実施形態1]
上記実施形態のプリズム付きCCレンズ49では、その入出射面(視標光束L0の入射面及び一対の光束群L1G,L2Gの出射面)の一方にCCレンズ150が設けられ、且つ他方にプリズム151A,151Bが設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリズム付きCCレンズ49の入出射面のいずれか一方の面に、既述の第1CCレンズ150A及びプリズム151Aを複合した第1複合光学系160A(図14参照)と、既述の第2CCレンズ150B及びプリズム151Bを複合した第2複合光学系160B(図14参照)と、を形成してもよい。
図14の符号XIVAは、第1複合光学系160Aを有する第1レンズ170Aの断面図であり、符号XIVBは、第2複合光学系160Bを有する第2レンズ170Bの断面図である。図14に示すように、第1レンズ170Aの出射面は、第1複合光学系160Aとして機能し、すなわち既述の第1CCレンズ150A及びプリズム151Aと同等の機能を有する。
従って、第1レンズ170A及び第2レンズ170Bをそれぞれ図中の紙面上下方向の中央で切断して、第1レンズ170Aの上半分と第2レンズ170Bの下半分とを組み合わせることで、図15に示すように、既述の比較例1及び比較例2のプリズム付きCCレンズ200(図3及び図5参照)と同等の機能を有する比較例3のプリズム付きCCレンズ200Aが得られる。なお、図15は、比較例3のプリズム付きCCレンズ200Aの断面図である。
図16は、第1複合光学系160A及び第2複合光学系160Bを有する他実施形態1のプリズム付きCCレンズ80の製法を説明するための説明図である。図16の符号XVIAに示すように、第1レンズ170A及び第2レンズ170Bを各々の入射面又は出射面(すなわち、光軸O5に直交する面)側から見て格子状に細分化する。
次いで、図16の符号XVIBに示すように、細分化された第1レンズ170Aと細分化された第2レンズ170Bとを、光軸O5に直交する面内で市松模様状に配列して組み合わせて、プリズム付きCCレンズ80を構成する。これにより、プリズム付きCCレンズ80の出射面側には、複数の第1複合光学系160Aと複数の第2複合光学系160Bとが市松模様状に配列される。その結果、図16の符号XVICに示すように、プリズム付きCCレンズ80は、上記実施形態のプリズム付きCCレンズ49と同様に、視標光束L0を乱視軸角度が90°異なる一対の光束群L1G,L2Gに分割できる。
なお、プリズム付きCCレンズ80の出射面側に各第1複合光学系160A及び各第2複合光学系160Bをそれぞれ複数形成する代わりに、プリズム付きCCレンズ80の入射面側或いは両方に同等の光学機能を有する各複合光学系を複数形成してもよい。
[プリズム付きCCレンズの他実施形態2]
上記実施形態のCC視標光投影光学系7は、乱視度数(円柱度数)が±0.5Dの各第1CCレンズ150Aをそれぞれ透過した第1光束群L1Gにより形成されるCC視標像53Aと、乱視度数が±0.5Dの各第2CCレンズ150Bをそれぞれ透過した第2光束群L2Gにより形成されるCC視標像53Bと、を同時に被検眼Eに投影している。
この際に、CCテストでは、乱視度数が±0.5DのCCレンズ(図4の第1CCレンズ201A及び第2CCレンズ201B参照)を用いた粗調整と、乱視度数が±0.25DのCCレンズ(図18参照)を用いた微調整と、を検眼の状況に応じて使い分けて実施するのが通常である。このため、上記実施形態のCC視標光投影光学系7において、乱視度数が±0.5Dのプリズム付きCCレンズ49と、乱視度数が±0.25Dのプリズム付きCCレンズ49と、を視標光束L0の光路上に選択的に挿入する切替機構を設けることが考えられる。しかし、この場合、切替機構の複雑化により、検眼装置100のコストアップ、大型化、及び重量増の他、耐久性等に影響を及ぼすおそれがある。
そこで、CC視標光投影光学系7において、視標光束L0を一組の一対の光束群L1G,L2Gに分割するのではなく、2組以上の一対の光束群に分割してもよい。
図17は、他実施形態2のプリズム付きCCレンズ90をそのCCレンズ190側から見た正面図である。図17に示すように、プリズム付きCCレンズ90は、視標光束L0を一対の光束群L1G,L2Gと一対の光束群LAG,LBG(図19参照)とに分割、すなわち視標光束L0を4つの光束群に分割する。
プリズム付きCCレンズ90を構成するCCレンズ190は、複数の第1光学特性領域と複数の第2光学特性領域との組み合わせを2組有している。具体的に、CCレンズ190は、1組目として、複数の第1光学特性領域に相当する複数の第1CCレンズ190A1と、複数の第2光学系特性領域に相当する複数の第2CCレンズ190B1と、を備える。また、CCレンズ190は、2組目として、複数の第1光学特性領域に相当する複数の第1CCレンズ190A2と、複数の第2光学系特性領域に相当する複数の第2CCレンズ190B2と、を備える。
従って、CCレンズ190は、複数の第1CCレンズ190A1と、複数の第2CCレンズ190B1と、複数の第1CCレンズ190A2と、複数の第2CCレンズ190B2と、がそれぞれモザイク状のパターンで配列された構造を有している。このため、各第1CCレンズ190A1、各第2CCレンズ190B1、各第1CCレンズ190A2、及び各第2CCレンズ190B2は、CCレンズ190の面内(光軸O5に垂直な面内)においてそれぞれ均等に配置されている。
図18は、第1CCレンズ190A1及び第2CCレンズ190B1と、第1CCレンズ190A2及び第2CCレンズ190B2との光学特性を説明するための説明図である。図18の符号XVIIIA及び符号XVIIIBに示すように、第1CCレンズ190A1は既述のCCレンズ300Aに相当する光学特性を有し、第2CCレンズ190B1は既述のCCレンズ300Bに相当する光学特性を有する。このため、視標光束L0は、第1CCレンズ190A1を透過すると第1光束L1となり、第2CCレンズ190B1を透過すると第2光束L2となる。第1光束L1及び第2光束L2は乱視軸角度が90°異なる。
一方、第1CCレンズ190A2は、CCレンズ300Aとは光学特性が異なる乱視度数が±0.25DのCCレンズ300Cに相当する光学特性を有している。また、第2CCレンズ190B2は、CCレンズ300Bとは光学特性(ここでは乱視度数)が異なるCCレンズ300Dであって且つCCレンズ300Cとは乱視軸角度が90°(略90°を含む)異なるCCレンズ300Dに相当する光学特性を有している。このため、視標光束L0は、第1CCレンズ190A2を透過すると第1光束LAとなり、第2CCレンズ190B2を透過すると第2光束LBとなる。第1光束LA及び第2光束LBは乱視軸角度が90°異なる。
各第1CCレンズ190A1にはそれぞれプリズム191A1が個別に設けられ、各第2CCレンズ190B1にはそれぞれプリズム191B1が個別に設けられている。また、各第1CCレンズ190A2にはそれぞれプリズム191A2が個別に設けられ、各第2CCレンズ190B2にはそれぞれプリズム191B2が個別に設けられている。各プリズム191A1,191B1,191A2,191B2は、互いに異なる方向が基底(プリズムベース)となるように配置されており、各光束L1,L2、LA,LBをそれぞれ異なる方向に屈折する。
図19は、他実施形態2のプリズム付きCCレンズ90により分割された一対の光束群L1G,L2Gと一対の光束群LAG,LBGとが入射する被検眼Eの瞳孔(符号PU)の正面図である。既述の図17に示したように、各第1CCレンズ190A1は互いに分離して配置され、各第2CCレンズ190B1も互いに分離して配置されている。このため、図19に示すように、視標光束L0が各第1CCレンズ190A1をそれぞれ透過すると、各第1CCレンズ190A1から互いに分離した複数の第1光束L1を含む第1光束群L1Gが出射される。また、視標光束L0が各第2CCレンズ190B1をそれぞれ透過すると、各第2CCレンズ190B1から互いに分離した複数の第2光束L2を含む第2光束群L2Gが出射される。
一方、既述の図17に示したように、各第1CCレンズ190A2も互いに分離して配置され、各第2CCレンズ190B2も互いに分離して配置されている。このため、図19に示すように、視標光束L0が各第1CCレンズ190A2をそれぞれ透過すると、各第1CCレンズ190A2から互いに分離した複数の第1光束LAで構成される第1光束群LAGが出射される。また、視標光束L0が各第2CCレンズ190B2をそれぞれ透過すると、各第2CCレンズ190B2から互いに分離した複数の第2光束LBで構成される第2光束群LBGが出射される。
このように他実施形態2のプリズム付きCCレンズ90は、視標光束L0を、互いに乱視軸角度が90°異なる1組目の一対の光束群L1G、L2Gと、互いに乱視軸角度が90°異なる2組目の一対の光束群LAG、LBGと、にそれぞれ分割する。そして、第1光束群L1G、第2光束群L2G、第1光束群LAG、及び第2光束群LBGは、それぞれ対応するプリズム191A1,191B1,191A2,191B2により、互いに異なる方向に屈折される。例えば、1組目の一対の光束群L1G、L2Gは例えば図19中において上下方向に互いに交差するように屈折される。また、2組目の一対の光束群LAG、LBGは例えば図19中において左右方向に互いに交差するように屈折される。
図20は、他実施形態2のプリズム付きCCレンズ90により被検眼Eに投影されるCC視標像を説明するための説明図である。図20に示すように、1組目の一対の光束群L1G,L2Gは、CC視標光投影光学系7のミラー51から対物レンズ8を経て、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53A,53Bとして互いに分離された状態で被検眼Eに向けて投影される。また、2組目の一対の光束群LAG,LBGについても同様に、乱視軸角度が90°異なる一対のCC視標像53C,53Dとして互いに分離された状態で被検眼Eに向けて投影される。これにより、一対のCC視標像53A,53Bと、一対のCC視標像53C,53Dと、がそれぞれ被検眼Eに同時に投影される。
なお、プリズム付きCCレンズ90を用いた場合、既述の視標光投影光学系6の検眼視標表示部36は、被検眼Eに投影される1組目の一対のCC視標像53A,53Bの投影位置にそれぞれ対応する位置に、CC視標像53Aを識別するための固視マーク58Aと、CC視標像53Bを識別するための固視マーク58Bとを表示する。また、検眼視標表示部36は、被検眼Eに投影される2組目の一対のCC視標像53C,53Dの投影位置にそれぞれ対応する位置に、CC視標像53Cを識別するための固視マーク58Cと、CC視標像53Dを識別するための固視マーク58Dとを表示する。
各固視マーク58A,58B,58C,58Dは、本発明の識別情報に相当するものである。固視マーク58A,58Bとしては例えば数字(「1」、「2」)が用いられ、固視マーク58C,58Dとしては例えばアルファベット(「A」、「B」)が用いられる。各固視マーク58A,58B,58C,58Dの態様は、既述の図11に示したように適宜変更してもよい。
被検眼Eに対して、CC視標像53Aの投影位置に対応する位置に視標光投影光学系6から固視マーク58Aが投影され、CC視標像53Bの投影位置に対応する位置に視標光投影光学系6から固視マーク58Bの光束が投影される。また同様に、被検眼Eに対して、CC視標像53Cの投影位置に対応する位置に視標光投影光学系6から固視マーク58Cが投影され、CC視標像53Dの投影位置に対応する位置に視標光投影光学系6から固視マーク58Dが投影される。その結果、被検者は、CC視標像53Aの近傍位置に固視マーク58Aを視認し、CC視標像53Bの近傍位置に固視マーク58Bを視認し、CC視標像53Cの近傍位置に固視マーク58Cを視認し、CC視標像53Dの近傍位置に固視マーク58Dを視認することができる。
なお、上記実施形態の図12で説明したように、制御部57は、被検眼Eに対する固視マーク58A,58Bの投影位置を、一対のCC視標像53A,53Bの投影位置の変化に追従して変化させる。また、制御部57は、被検眼Eに対する固視マーク58C,58Dの投影位置を、一対のCC視標像53C,53Dの投影位置の変化に追従して変化させる。
このように他実施形態2では、±0.5Dの乱視度数に対応した一対のCC視標像53A,53B及び固視マーク58A,58Bと、±0.25Dの乱視度数に対応した一対のCC視標像53C,53D及び固視マーク58C,58Dと、を同時に被検眼Eに投影することができる。このため、検者は、被検者に対して±0.5Dの乱視度数に対応した一対のCC視標像53A,53B(固視マーク58A,58B:「1」、「2」)の見え方の比較と、±0.25Dの乱視度数に対応した一対のCC視標像53C,53D(固視マーク58C,58D:「A」、「B」)の見え方の比較と、を選択的に行わせることができる。
従って、乱視度数が異なる2種類のプリズム付きCCレンズ49を視標光束L0の光路上に選択的に挿入する切替機構を設ける必要がなくなるので、検眼装置100の構成が簡略化される。その結果、検眼装置100の低コスト化、小型化、及び軽量化等が図れる。
また、プリズム付きCCレンズ90によって、視標光束L0を乱視軸角度が90°異なる一対の光束群L1G,L2Gと一対の光束群LAG,LBGとに分割することができる。このため、プリズム付きCCレンズ90が被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けられ且つ被検眼Eの瞳孔の一部に特異エリアDA(図8参照)が発生している場合でも、一対の光束群L1G,L2G及び一対の光束群LAG,LBGの各々は同様に特異エリアDAの影響を受ける。その結果、上記実施形態と同様に、プリズム付きCCレンズ90を被検眼Eの瞳孔と共役な位置に設けた場合であっても、特異エリアDAの影響を同様に受けるため、精度の良い検眼を行うことができる。
なお、他実施形態2では、視標光束L0を2組の一対の光束群(一対の光束群L1G,L2G及び一対の光束群LAG,LBG)に分割しているが、複数の第1CCレンズ(第1光学特性領域)及び複数の第2CCレンズ(第2光学特性領域)の組み合わせを複数組有するようにプリズム付きCCレンズを形成することにより、視標光束L0を3組以上の複数組の光束群(6以上の偶数の光束群)に分割してもよい。これにより、複数種類の乱視度数に対応した検眼を行うことができる。
また、既述の他実施形態1(図14から図16参照)で説明したように、他実施形態2のプリズム付きCCレンズ90の入出射面のいずれか一方に、CCレンズとプリズムとを複合した複数種類の複合光学系を形成してもよい。
[その他]
上記実施形態では、既述の図7に示したように、各第1CCレンズ150A及び各第2CCレンズ150Bが市松模様状に配置されているが、双方がCCレンズ150の面内においてそれぞれ均等に配置されていれば、双方の配置パターンは特に限定はされない。例えば、各第1CCレンズ150A及び各第2CCレンズ150Bが六角細密配置或いは放射線状配置等の各種パターンで配置されていてもよい。また、既述の図16に示した他実施形態1(各第1複合光学系160A及び各第2複合光学系160B)と、既述の図17に示した他実施形態2(各第1CCレンズ190A1、各第2CCレンズ190B1、各第1CCレンズ190A2、及び各第2CCレンズ190B2)とについても同様に、各種パターンで配置されていてもよい。
上記実施形態では、本発明の検眼装置として検眼装置100を例に挙げて説明を行ったが、少なくともCCテストを行う各種検眼装置に本発明を適用することができる。