JP6915568B2 - 難燃性樹脂組成物及びその製造方法、難燃性樹脂組成物ペレット、並びに、成形品及び中空成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物及びその製造方法、難燃性樹脂組成物ペレット、並びに、成形品及び中空成形品 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及びその製造方法、難燃性樹脂組成物ペレット、並びに、当該難燃性樹脂組成物を含有する成形品及び中空成形品に関し、更に詳しくは特定のエチレン系重合体及び難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物及びその製造方法、難燃性樹脂組成物ペレット、並びに、当該難燃性樹脂組成物を含有する成形品及び中空成形品に関する。
ポリオレフィンは透明性や柔軟性が高く、耐薬品性や耐腐食性などに優れ、安価で、かつ成形性も良好であり、更に環境問題や資源再利用性にも適合している為、様々な生活資材や産業用資材として広く利用されている。例えば、射出成形、押出成形、中空(ブロー)成形などによって成形された、レジ袋や食品の包装材、農業用途のフィルム、パイプやホースなどの管状成形品、シャンプーや液体洗剤、食用油の容器、大型中空製品、シート製品等、用途は多岐にわたる。
一般にポリオレフィンは燃えやすいため、防災上の理由から難燃性が要求される用途がある。難燃性を向上させるため各種の難燃剤が添加され、様々な改良が図られている。難燃剤としてハロゲン系化合物を使用した組成物は、成形加工性の低下や成形品としたときの該成形品の機械的強度の低下は比較的少なく、高度の難燃性を有する成形品が得られるが、成形加工時や燃焼時に、腐食性や有毒性のガスが発生するという欠点がある。そのため、難燃剤としては、ハロゲンを含まない非ハロゲン系難燃剤の使用が求められている。
特許文献1には、耐ブリード性と優れた難燃性を付与することが出来る非ハロゲン系難燃剤として、特定の式で表される第1の(ポリ)リン酸塩化合物と特定の式で表される第2の(ポリ)リン酸塩化合物と有機第4級アンモニウムカチオンが導入された層状ケイ酸塩とを特定量で含有する難燃剤組成物が開示されている。
特許文献2には、自己消火性及び耐ドリップ性を確保しながら柔軟性をも有する難燃性樹脂組成物及びこれを用いた難燃性樹脂シートが開示されている。
特許文献3には、ポリオレフィン樹脂を100質量部に対して、特定の式で表される第1の(ポリ)リン酸塩化合物及び特定の式で表される第2の(ポリ)リン酸塩化合物の混合物をその合計含有量で10〜50質量部含有する耐候性難燃樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、製品に求められる要求性能は日々高まっており、上記従来技術の問題点において更なる性能改善が求められている。
特開2015−218302号公報 特開2015−34229号公報 特開2015−113413号公報
難燃剤の種類によっては、難燃性樹脂組成物の混合製造時に、難燃剤自体の分解や発泡等の現象が生じ、難燃性等目的とする特性を備えた材料を製造することができないといった問題が生じる。中でも、非ハロゲン系難燃剤として、ハロゲンを含まない有機系難燃剤を用いた場合、特に、中空成形性や耐衝撃性に優れる粘度の高い樹脂と混合する際に、難燃剤自体の分解や発泡等の現象が生じやすく、成形加工性の低下や、成形品としたときの該成形品の機械的強度の低下が著しいという問題があった。
すなわち、上記のような従来技術では、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物を未だ得ることはできておらず、待望されている。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点等に鑑み、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物、その製造方法、及びそのペレット、並びに、それらを含有する成形品及び中空成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエチレン系重合体と、有機系難燃剤を含む非ハロゲン系難燃剤とを、特定量含有し、特定の特性を満足する難燃性樹脂組成物により、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物及びそれよりなる成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、(A)エチレン単独重合体及びエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種であって下記の特性(i)〜(ii)を満足するエチレン系重合体と、(B)有機系難燃剤を含む非ハロゲン系難燃剤とを含有し、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、前記(B)難燃剤が5質量部以上44質量部以下であり、下記の特性(1)〜(3)を満足する難燃性樹脂組成物が提供される。
特性(i)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
特性(ii)密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(1)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
特性(2)JIS K6922−2:2010に準拠して測定される引張破壊強さが10MPa以上30MPa以下である。
特性(3)JIS K7111:2004に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上10kJ/m以下である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、下記の特性(4)を満足する難燃性樹脂組成物が提供される。
特性(4)190℃で測定される溶融張力(MT)が、40mN以上である。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、前記有機系難燃剤が、リン酸塩化合物を含む、難燃性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記リン酸塩化合物は、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である難燃性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜第4のいずれかの発明において、更に、金属石鹸を含有する難燃性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜第5のいずれかの発明において、中空成形用である難燃性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明の難燃性樹脂組成物の製造方法において、樹脂組成物の温度が185℃以上208℃以下で、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤とを混合することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明の難燃性樹脂組成物を溶融押出されてなる、難燃性樹脂組成物ペレットが提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明の難燃性樹脂組成物を含む成形品が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明の難燃性樹脂組成物を含む中空成形品が提供される。
本発明によれば、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物、その製造方法、及びそのペレット、並びに、それらを含有する成形品及び中空成形品を提供することができるという効果を奏する。
図1は典型的な伸長粘度のプロット図であり、伸長粘度の変曲点が観測される場合を説明する図である。 図2は典型的な伸長粘度のプロット図であり、伸長粘度の変曲点が観測されない場合を説明する図である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、(A)エチレン単独重合体及びエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種であって下記の特性(i)〜(ii)を満足するエチレン系重合体と、(B)有機系難燃剤を含む非ハロゲン系難燃剤とを含有し、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、前記(B)難燃剤が5質量部以上44質量部以下であり、下記の特性(1)〜(3)を満足するものである。
特性(i)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
特性(ii)密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(1)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
特性(2)JIS K6922−2:2010に準拠して測定される引張破壊強さが10MPa以上30MPa以下である。
特性(3)JIS K7111:2004に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上10kJ/m以下である。
以下、本発明を、項目毎に、詳細に説明する。
1.(A)エチレン系重合体
本発明に用いられるエチレン系重合体は、エチレン単独重合体及びエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種であって下記の特性(i)〜(ii)を満足する。
本発明に用いられるエチレン系重合体は、更に下記の特性(iii)〜(iv)を満足することが好ましい。
特性(i)
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、本発明の効果を奏する点から、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下であるものを選択する。
このMFRが上記下限値より小さいと、樹脂圧力や樹脂温度が上昇し易く、樹脂組成物の混練時や成形時において発熱し易くなるおそれがある。樹脂組成物の混練時に発熱すると、ペレット製造時に分解や発泡等の現象を生じさせるおそれがある。(A)エチレン系重合体のMFRは、0.1g/10分以上が好ましく、0.2g/10分以上が更に好ましい。
一方、このMFRが上記上限値より大きいと、ドローダウンしやすくなり中空成形する際の成形加工性が悪化したり、加工した中空成形品の衝撃強度が十分発現し難くなるおそれがある。(A)エチレン系重合体のMFRは、0.9g/10分以下が好ましく、0.8g/10分以下が更に好ましい。
MFRは、JIS K6922−2:1997に準拠して測定することができる。
MFRは、主に(A)エチレン系重合体の重合時の水素量、重合温度、連鎖移動剤の使用等により調整することができる。
特性(ii)
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、本発明の効果を奏する点から、密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であるものを選択する。
密度が上記下限値より小さいと、中空成形性が低下したり、剛性が不足するおそれがある。(A)エチレン系重合体の密度は、0.942g/cm以上が好ましく、0.945g/cm以上が更に好ましい。
一方、密度が上記上限値より大きいと、最終樹脂組成物において耐衝撃性能が低下するおそれがある。エチレン系重合体の密度は、0.965g/cm以下が好ましく、0.960g/cm以下が更に好ましい。
密度は、JIS K7112:1999に準拠し、D法で測定することができる。
密度は、主に(A)エチレン系重合体の重合時のα−オレフィンの量により調整することができる。
特性(iii)
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、更に下記の特性(iii)を満足することが好ましい。
特性(iii):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)が6以上20以下である。
GPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)は、重合体の各種物性、成形性の改良に関わり、成形品の外観等の改良にも関係する。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が前記範囲内にあると、より優れた中空成形性を発揮することができる。また、前記分子量分布(Mw/Mn)が6以上であると、成形時の樹脂圧力が適切になって、流動不安定現象を生じ難くなり、外観不良を抑制しやすい点から好ましい。前記分子量分布(Mw/Mn)は更に好ましくは8以上である。一方、前記分子量分布(Mw/Mn)が20以下であると、中空成形品としての衝撃強度を良好にしやすい。前記分子量分布(Mw/Mn)は更に好ましくは15以下である。
分子量分布を所定の範囲とするには、分子量分布を制御できる触媒や適当な重合条件を採用することにより達成することができる。また、バイモーダル又はマルチモーダルの重合体の場合は、各成分の分子量を調整することにより制御することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量及び分子量分布の測定は、下記の条件により測定することができる。
[測定条件]
使用機種:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
流速:1.0mL/分
注入量:0.3mL
[試料の調製]
4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学社製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行う。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認する。
[較正曲線の作成]
4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(1)〜(4)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学社製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行う。
(1)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(2)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(3)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(4)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1秒でクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録する。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットする。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1200とする。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とする。
[分子量の計算]
前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1秒でクロマトグラムを記録する。
このクロマトグラムから、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出する。但し、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記の式にて補正する。クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS Windows(登録商標)XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行う。
H’=H/[1.032+189.2/M(PE)]
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記の式を用いる。
M(PE)=0.468×M(PS)
特性(iv)
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、更に下記の特性(iv)を満足することが好ましい。
特性(iv):190℃で測定される溶融張力(MT)が、40mN以上300mN以下である。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体の溶融張力(MT)が前記範囲内にあると、ドローダウンし難くなり、より優れた中空成形性を発揮することができる。
溶融張力は、更に好ましくは60mN以上であり、より更に好ましくは80mN以上である。
溶融張力は、溶融させたエチレン系重合体を一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定され、下記条件により測定することができる。
[測定条件]
使用機種:東洋精機製作所社製、キャピログラフ1B
ノズル径:2.095mm
ノズル長さ:8.0mm
流入角度:180°(flat)
押出速度:15mm/分
引き取り速度:6.5m/分
測定温度:190℃
特性(v)
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、更に下記の特性(v)を満足することが好ましい。
特性(v):ガラス転移温度(Tg)が、25℃以下である。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体のガラス転移温度(Tg)が前記範囲内にあると、成形体の破壊時の安全性に寄与することができる。
ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下であり、更に好ましくは−30℃以下であり、より更に好ましくは−50℃以下である。
ガラス転移温度(Tg)は、成形体の破壊様式に関わり、成形体の使用環境よりも高い場合、ガラスの様に破壊し鋭利な破断面を形成しやすく、容器や建築部材などへの適用した場合、怪我につながる恐れがあり好ましくない。
ガラス転移温度(Tg)は、主に高分子のモノマーおよびコモノマーの種類と構成比率より調整することができ、エチレン系重合体のガラス転移点温度(Tg)は低いことが知られており好ましい。
ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査熱量計を用いて、下記の条件により測定することができる。
[測定条件]
約10mgの試料を窒素雰囲気下で30℃から昇温速度50℃/分で200℃まで昇温し、その温度で10分間保持。さらに降温速度10℃/分で−75℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温。ガラス転移温度(Tg)は、2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接線と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めることができる。
(A)エチレン系重合体は、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。なお、重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40mol%、好ましくは0〜30mol%である。
なお、本発明に用いられる(A)エチレン系重合体に使用されるエチレンは、通常の化石原料由来の原油から製造されるエチレンであってもよいし、植物由来のエチレンであってもよい。植物由来のエチレン及びポリエチレンとしては、例えば、特表2010−511634号公報に記載のエチレンやそのポリマーが挙げられる。植物由来のエチレンやそのポリマーは、カーボンニュートラル(化石原料を使わず大気中の二酸化炭素の増加につながらない)の性質を持ち、環境に配慮した製品の提供が可能である。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、上記の特性を満たすことができれば、各種の重合触媒を用いて重合することができる。本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、フィリップス触媒等のクロム含有触媒、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒等、従来公知の触媒を使用して重合することにより製造することができ、好ましくはクロム含有触媒及び/又はチーグラーナッタ触媒を使用して重合することができる。クロム触媒由来のポリエチレンは、比較的分子量分布が広く、かつ長鎖の分岐構造を有する分子構造から、中空成形し易い特性、具体的には溶融張力やスウェル比が大きいといった特徴を有するためである。また、チーグラーナッタ触媒由来のポリエチレンは、適度に広い分子量分布を有し、優れた溶融成形加工特性と、機械的強度を有するためである。
クロム系触媒の好ましい例としては、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム系触媒であり、一般にフィリップス触媒として知られており公知である。この触媒の概要は、M.P.McDaniel著,Advances in Catalysis,Volime 33,47頁,1985年,Academic Press Inc.、M.P.McDaniel著,Handbook of Heterogeneous Catalysis,2400頁,1997年,VCH、M.B.Welchら著,Handbook of Polyolefins:Synthesis and Properties,21頁,1993年,Marcel Dekker等の文献に記載されている。
前記無機酸化物担体としては、周期表第2、4、13又は14族の金属の酸化物が好ましい。具体的にはマグネシア、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、トリア、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ又はこれらの混合物が挙げられる。なかでもシリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナが好ましい。シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナの場合、シリカ以外の金属成分としてチタン、ジルコニウム又はアルミニウム原子が0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜7質量%、更に好ましくは1〜5質量%含有されたものが用いられる。
これらのクロム系触媒に適する担体の製法、物理的性質及び特徴は、C.E.Marsden著,Preparation of Catalysts,Volume V,215頁,1991年,Elsevier Science Publishers、C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年等の文献に記載されている。
焼成活性化前の前のクロム系触媒の担体の比表面積としては、250〜1000m/g、好ましくは300〜900m/g、更に好ましくは400〜800m/gとなるように無機酸化物担体を選択することが好ましい。比表面積が250m/g未満の場合は、分子量分布が狭くかつ長鎖分岐が多くなることと関係すると考えられるが、耐久性、耐衝撃性がともに低下するおそれがある。また、比表面積が1000m/gを超える担体は、製造が難しくなるおそれがある。
無機酸化物担体の細孔体積としては、一般的なクロム系触媒に用いられる担体の場合と同様に、0.5〜3.0cm/g、好ましくは1.0〜2.0cm/g、更に好ましくは1.2〜1.8cm/gの範囲のものが用いられる。細孔体積が0.5未満の場合は、重合時に重合ポリマーによって細孔が小さくなり、モノマーが拡散できなくなってしまい活性が低下するおそれがある。細孔体積が3.0cm/gを超える担体は、製造が難しくなるおそれがある。
また、無機酸化物担体の平均粒径としては、一般的なクロム系触媒に用いられる担体と同様10〜200μm、好ましくは20〜150μm、更に好ましくは30〜100μmの範囲のものが用いられる。
上記無機酸化物担体にクロム化合物を担持させる。クロム化合物としては、担持後に非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となる化合物であればよく、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等が挙げられる。具体的には三酸化クロム、三塩化クロム、塩化クロミル、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(tert−ブチル)クロメート等が挙げられる。なかでも三酸化クロム、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合でも、後に述べる非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、最終的には三酸化クロムを用いた場合と同様に無機酸化物担体表面の水酸基と反応し、少なくとも一部のクロム原子は6価となってクロム酸エステルの構造で固定化されることが知られている(V.J.Ruddickら著,J.Phys.Chem.,Volume100,11062頁,1996年、S.M.Augustineら著,J.Catal.,Volume 161,641頁,1996年)。
無機酸化物担体へのクロム化合物の担持は、含浸、溶媒留去、昇華等の公知の方法によって行うことができ、使用するクロム化合物の種類によって適当な方法を用いればよい。担持するクロム化合物の量は、クロム原子として担体に対して0.2〜2.0質量%、好ましくは0.3〜1.7質量%、更に好ましくは0.5〜1.5質量%である。
クロム化合物の担持後に焼成して活性化処理を行う。焼成活性化は水分を実質的に含まない非還元性雰囲気、例えば酸素又は空気下で行うことができる。この際、不活性ガスを共存させてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブス等を流通させ十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で行う。焼成活性化は350〜900℃、好ましくは420〜850℃、更に好ましくは450〜800℃にて、30分〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、更に好ましくは2時間〜24時間行う。この焼成活性化により、無機酸化物担体に担持されたクロム化合物のクロム原子が少なくとも一部は6価に酸化されて担体上に化学的に固定される。350℃未満で行うと、重合活性はなくなるおそれがある。一方、900℃を超える温度で焼成活性化を行うと、シンタリングが起こり、活性が低下するおそれがある。
このようにして得られた、クロム系触媒を使用することにより、(A)エチレン系重合体に好適なエチレン系重合体を製造することができる。
一方、チーグラーナッタ触媒は、チタニウムを活性種とする重合触媒であって、従来公知のものの中から、適宜選択して用いることができる。チーグナーラッタ触媒としては、中でも、マグネシウム・チタニウム複合型チーグラーナッタ触媒が好ましい。マグネシウム・チタニウム複合型チーグラーナッタ触媒は、粒子形状に優れると共に優れた重合活性を有する。
マグネシウム・チタニウム複合型チーグラーナッタ触媒は、更に有機アルミニウム化合物により改質されたものであることが好ましい。このような改質されたチーグラーナッタ触媒を用いることにより、短鎖分岐が少ないポリエチレンを製造することができる。有機アルミニウム化合物により改質されたマグネシウム・チタニウム複合型チーグラーナッタ触媒は、特開2012−72229号公報を参考に製造することができる。
(A)エチレン系重合体の重合方法は従来公知の方法を適宜用いることができる。例えば、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法あるいは気相重合法など、いずれの方法を採用することができるが、特にスラリー重合法が好ましく、パイプループ型反応器を用いるスラリー重合法、オートクレーブ型反応器を用いるスラリー重合法、いずれも用いることができる。なかでもパイプループ型反応器を用いるスラリー重合法が好ましい(パイプループ型反応器とこれを用いるスラリー重合の詳細は、松浦一雄・三上尚孝編著、「ポリエチレン技術読本」、148頁、2001年、工業調査会に記載されている)。
液相重合法は、通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。気相重合法は、不活性ガス共存下にて、流動床、攪拌床等の通常知られる重合法を採用でき、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。
液相重合法における重合温度は、一般的には0〜300℃であり、実用的には20〜200℃、好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃、特に好ましくは70〜110℃である。反応器中の触媒濃度およびエチレン濃度は重合を進行させるのに十分な任意の濃度でよい。例えば、触媒濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約0.0001〜約5重量%の範囲とすることができる。同様にエチレン濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約1%〜約10%の範囲とすることができる。同様にエチレン濃度は、気相重合の場合、全圧として0.1〜10MPaの範囲とすることができる。また、水素を共存させて重合を行うことも可能であり、耐久性、耐衝撃性、剛性のバランスに優れたエチレン系重合体を製造するためには、水素とエチレンを特定の比率とした条件下で重合させるのがよい。水素は、一般的には分子量を調節するためのいわゆる連鎖移動剤としての働きを有する。
重合方法としては、反応器を一つ用いてエチレン系重合体を製造する単段重合だけでなく、生産量を向上させるため、または分子量分布やコモノマー組成分布を広げるため、少なくとも二つ以上の反応器を直列あるいは/および並列に連結させて多段重合を行うこともできる。多段重合の場合、複数の反応器を連結させ、第一段の反応器で重合して得られた反応混合物を続いて第二段以降の反応器に連続して供給する直列多段重合が好ましい。直列多段重合法では、前段の反応器での重合反応混合物が後段以降の反応器に連結管を通して連続的排出により移送される。
上記多段重合の具体的実施形態を、二つの反応器を使用する二段重合を例に説明する。
二段重合の場合、第一段反応器および第二段反応器で同一の重合条件で製造してもよいし、あるいは第一段反応器および第二段反応器で同一のMFR、密度のエチレン系重合体を製造してもよいが、分子量分布を広げる場合には、両反応器で製造するエチレン系重合体の分子量に差をつけるのが好ましい。第一段反応器で高分子量成分、第二段反応器で低分子量成分を、または第一段反応器で低分子量成分、第二段反応器で高分子量成分をそれぞれ製造するいずれの製造方法でもよいが、第一段反応器で高分子量成分、第二段反応器で低分子量成分を製造する方法の方が、第一段から第二段への移行にあたり中間の水素のフラッシュタンクを必要としないため生産性の面でより好ましい。
第一段においては、エチレン単独または必要に応じて他のα−オレフィンをコモノマーとした共重合を、水素濃度のエチレン濃度に対する比、重合温度または両者により分子量を調節しながら、またコモノマー濃度のエチレン濃度に対する重量比で密度を調節しながら重合反応を行う。
第二段においては、第一段から流れ込む反応混合物中の水素および同じく流れ込むエチレンがあるが、必要に応じてそれぞれ新たな水素、エチレンを加えることができる。従って、第二段においても、水素濃度のエチレン濃度に対する比、重合温度または両者により分子量を調節しながら、またコモノマー濃度のエチレン濃度に対する比により密度を調節しながら重合反応を行うことができる。触媒や有機アルミニウム化合物のような有機金属化合物についても、第一段から流れ込む触媒により二段目で引き続き重合反応を行うだけでなく、第二段で新たに触媒、有機アルミニウム化合物のような有機金属化合物またはその両者を供給してもよい。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、本発明で規定の範囲を満たせば、単一の重合器、直列もしくは並列に接続した複数の反応器で順次連続して重合、及び複数のエチレン重合体を別々に重合した後に混合したものであってもよい。
本発明に用いられる(A)エチレン系重合体は、本発明で規定の範囲を満たし易い点から、例えば、クロム触媒由来のエチレン系重合体とチーグラーナッタ触媒由来のエチレン系重合体の混合物も好適に用いられる。
2.(B)難燃剤
本発明に用いられる(B)難燃剤は、ハロゲンを含まない非ハロゲン系難燃剤であって、有機系難燃剤を含む。
本発明に用いられる有機系難燃剤はハロゲンを含まない有機系難燃剤であり、例えば、リン系、グアニジン系、メラミンシアヌル酸誘導体などの種々の有機系難燃剤をいずれも用いることができる。
有機系難燃剤としては、難燃性の発現効果が高いことから、有機リン酸エステル化合物やリン酸塩化合物及びこれらの混合物からなるリン系難燃剤が好ましく、特にリン酸塩化合物を含むことが好ましい。
有機リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノール−A−ビスジフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビスジフェニルホスフェート等が挙げられる。
リン酸塩化合物としては、例えばリン酸化合物と、分子内に少なくとも1個のアミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られる塩などが挙げられる。リン酸塩化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン酸塩化合物として、炭化を促進するリン成分と、消火・発泡を促進する窒素成分を含有する化合物又は混合物は、イントメッセント系難燃剤として機能し、難燃性が高い点から好適に用いられる。一方で、このようなイントメッセント系難燃剤は加熱等により発泡し易いことから、前記(A)特定の特性(i)〜(ii)を満足するエチレン系重合体と混合することが特に困難であった。
上記リン酸化合物としては、例えばピロリン酸、三リン酸などのポリリン酸やオルトリン酸などのモノリン酸が挙げられる。
上記アミン化合物としては、例えば、N,N,N',N'−テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン及び1,10−ジアミノデカンなどの脂肪族ジアミン、ピペラジン、trans−2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどのピペラジン環を含むアミン化合物、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン及び2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン環を含むアミン化合物などが挙げられる。
上記リン酸化合物はポリリン酸を含むことが好ましい。即ち、リン酸塩化合物はポリリン酸塩を含むことが好ましい。この場合、リン酸塩化合物がポリリン酸を含まない場合に比べて、より高い難燃性が得られる。
本発明の難燃剤で用いられるリン酸塩化合物は、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
中でも、本発明の難燃剤で用いられるリン酸塩化合物は、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、及びポリリン酸メラミン塩からなる群から選択されるメラミン塩(b−1)と、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択されるピペラジン塩(b−2)との混合物であることが好ましい。
また、上記(b−1)と上記(b−2)との含有比率(質量基準)は、(b−1)/(b−2)=20/80〜50/50であることが好ましく、(b−1)/(b−2)=30/70〜50/50であることが更に好ましい。
前記メラミン塩としては、中でも難燃性の点からピロリン酸メラミンが好ましい。前記メラミン塩を混合物で使用する場合は、ピロリン酸メラミンの含有割合が高いほど好ましい。また、ピロリン酸メラミンの、ピロリン酸とメラミンの比は、モル比で1:1.5〜1:2.5が好ましく、さらに1:2が最も好ましい。
これらリン酸とメラミンとの塩はそれぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とメラミンを反応させることによって得ることもできるが、本発明で用いられるメラミン塩は、オルトリン酸1メラミンを加熱縮合させて得られたピロリン酸メラミン又はポリリン酸メラミンが好ましく、特にピロリン酸メラミンが好ましい。
前記ピペラジン塩としては、中でも難燃性の点から、ピロリン酸ピペラジンが好ましく、混合物で使用する場合は、ピロリン酸ピペラジンの含有割合が高いほど好ましい。また、ピロリン酸ピペラジンの、ピロリン酸とピペラジンの比は、モル比で1:0.5〜1:1.5が好ましく、さらに1:1が最も好ましい。
これらリン酸とピペラジンの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とピペラジンを反応させることで得られることもできるが、本発明で用いられるピペラジン塩は、2オルトリン酸1ピペラジンを加熱縮合させて得られたピロリン酸ピペラジン又はポリリン酸ピペラジンが好ましく、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
リン酸塩化合物を含む難燃剤の市販品としては、株式会社ADEKA製、商品名:アデカスタブFP2000、FP2100、FP2200などが挙げられる。
本発明に用いられる(B)難燃剤は、ハロゲンを含まない非ハロゲン系難燃剤であれば、有機系難燃剤のみで構成されてもよいし、更に無機系難燃剤や難燃助剤との混合物で構成されてもよい。
本発明の効果が損なわれない限り、例えば、特開2015−218302号公報に記載されているような有機第4級アンモニウムカチオンが導入された層状ケイ酸塩、酸化亜鉛等の難燃助剤、シリコンゴム類、層状ケイ酸塩等のドリップ防止剤が更に含まれていても良い。
本発明に用いられる(B)難燃剤は、難燃剤の中に前記有機系難燃剤を80質量%以上含有することが好ましく、85質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することがより更に好ましい。中でも、本発明に用いられる(B)難燃剤は、難燃剤の中に前記リン酸塩化合物を80質量%以上含有することが好ましく、85質量%以上含有することが更に好ましく、90質量%以上含有することがより更に好ましい。
3.(C)その他の成分
本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、更にその他の成分を含んでいても良い。
その他の成分としては、例えば、分散剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、防曇剤、有機或いは無機顔料などの公知の添加剤や、エチレン系共重合体に該当しない他のポリオレフィン、熱可塑性樹脂等の公知の樹脂、合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状の強化材を添加することが出来る。強化材としては、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト等の板状や粒状の強化材が挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、(B)難燃剤の(A)エチレン系重合体中の分散性を向上するために、分散剤を含有することが好ましい。(B)難燃剤の(A)エチレン系重合体中の分散性を向上することによって、難燃性樹脂組成物の引張破壊強さや、衝撃強度や溶融張力が良好になる。
分散剤としては、親水基と疎水基を有する界面活性剤が用いられ、分子量やイオン性により分類され、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等が挙げられ、より具体的には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(AES)、アルコールエトキシレート(AE)等の低分子量のものや、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリルアミドなどの官能基を有するモノマーの重合体等の高分子を主成分とするもの等が挙げられる。
分散剤としては、難燃剤の種類にも依るが、エチレン系重合体との親和性の観点から、ノニオン系界面活性剤や、分子構造中にメチレン連鎖を含むエチレン・無水マレイン酸共重合体等を主成分とするものが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、(A)特性(i)〜(ii)を満足するエチレン系重合体を用いることから、ペレット製造時にダイス出口で局所発熱が起こり易い傾向がある。そのため、本発明の難燃性樹脂組成物は、滑剤を更に含有することが好ましい。滑剤を含有することによって、ペレット製造時のメヤニ発生が抑制され、長期間の連続生産が可能となり、また、メヤニがペレットに混在してそのペレットから成形した成形品の外観や物性を損ねることを抑制することができる。
滑剤としては、例えば、炭化水素系ワックス、脂肪族アマイド系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、金属石鹸、フッ素系樹脂やアクリル系樹脂に代表される高分子系滑剤などがあげられる。メヤニ低減効果が高く、またペレット製造時に熱劣化し難く、熱劣化した滑剤が製品に混入することも抑制し易い点から、金属石鹸が特に好ましい。
また、滑剤は、予めエチレン共重合体等に混合して添加されても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物は、熱や機械的せん断力等の作用による劣化を抑制するために、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられ、中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)メシチレン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロピオン酸)エチレンビス(オキシエチレン)、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
4.難燃性樹脂組成物
本発明の難燃性樹脂組成物は、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、前記(B)難燃剤が5質量部以上44質量部以下で含有する組成物である。本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性と耐衝撃性の点から、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、前記(B)難燃剤が12質量部以上40質量部以下で含有する組成物であることが更に好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記その他の成分のうち添加剤は含有していなくても良いが、含有させる場合の添加剤の含有量はそれぞれ、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、更に0.05質量部以上0.2質量部以下であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性及び中空成形性に優れる点から、強化材を除く難燃性樹脂組成物中の前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計含有量は、95質量%以上であることが好ましく、更に98質量%以上であることが好ましい。
更に、本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性及び中空成形性に優れる点から、難燃性樹脂組成物中の前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計含有量は、95質量%以上であることが好ましく、更に98質量%以上であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、以下の特性(1)〜(3)を満足することが重要である。
特性(1)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
特性(2)JIS K6922−2:2010に準拠して測定される引張破壊強さが10MPa以上30MPa以下である。
特性(3)JIS K7111:2004に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上10kJ/m以下である。
特性(1)
本発明の難燃性樹脂組成物は、MFRが0.05g/10分以上、1.0g/10分以下である。
このMFRが上記下限値より小さいと、流動性が低下することにより、成形時における押出機モーター負荷やせん断による樹脂発熱量が増大するおそれや、流動不安定現象が発生しやすくなるため成形品の外観を損なうおそれがある。難燃性樹脂組成物のMFRは、0.08g/10分以上が好ましく、0.1g/10分以上が更に好ましい。
一方、このMFRが上記上限値より大きいと、ドローダウンしやすくなり中空成形する際の成形加工性が悪化したり、耐衝撃性が達成できず、長期耐久性が低下するおそれがある。難燃性樹脂組成物のMFRは、0.7g/10分以下が好ましく、0.5g/10分以下が更に好ましい。
難燃性樹脂組成物のMFRは、(A)エチレン系重合体の水素量及び温度、並びに(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量や混合方法等により調整することができる。
前記特性(1)は、前記(A)エチレン系重合体の特性(i)と同様にして測定することができる。
特性(2)
本発明の難燃性樹脂組成物は、JIS K6922−2:2010に準拠して測定される引張破壊強さが10MPa以上30MPa以下である。
前記引張破壊強さが上記下限値未満であると、成形体としての十分な強度を保つことが困難になったり、強度維持のために成形品の肉厚を厚くする必要が生じてしまう。難燃性樹脂組成物の前記引張破壊強さは、12MPa以上が好ましく、15MPa以上が更に好ましい。
一方、前記引張破壊強さが上記上限値以下であると、エチレン系重合体の融点が成形に適した温度範囲に収まり、剛性と成形性のバランスを維持しやすくなる。難燃性樹脂組成物の前記引張破壊強さは、25MPa以下であってもよく、22MPa以下であってもよい。
難燃性樹脂組成物の引張破壊強さは、(A)エチレン系重合体の密度、並びに(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量や混合方法等により調整することができる。また、(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量が同じであっても、難燃剤が均一に分散されていなかったり、発泡することにより当該引張破壊強さが低くなってしまうことから、難燃剤の分散や発泡の度合いを示す指標にもなる。
なお、前記引張破壊強さは、JIS K6922−2に準拠して試験片を作製し、測定することが出来る。
特性(3)
本発明の難燃性樹脂組成物は、JIS K7111:2004に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上10kJ/m以下である
前記シャルピー衝撃強度が上記下限値より小さいと、成形品の耐衝撃性が不足するおそれがある。難燃性樹脂組成物の前記シャルピー衝撃強度は、2.3kJ/m以上が好ましく、3.0kJ/m以上が更に好ましい。
一方、前記シャルピー衝撃強度が上記上限値以下であると、エチレン系重合体のメルトフローレートが成形に適した流動性の範囲に収まり、耐衝撃性と成形性のバランスを維持しやすくなる。
シャルピー衝撃強度は、(A)エチレン系重合体の分子量と分子量分布、並びに(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量や混合方法等により調整することができる。
なお、前記シャルピー衝撃強度は、JIS K7111:2004に準拠し、タイプ1の試験片を作製し、打撃方向はエッジワイズ、ノッチのタイプはタイプA(0.25mm)として、23℃・50%RHで測定することができる。
特性(4)
本発明の難燃性樹脂組成物は、更に、下記の特性(4)を満足することが、耐ドローダウン性などの中空成形性の点から好ましい。
特性(4)密度が0.97g/cm以上1.20g/cm以下である。
本発明の難燃性樹脂組成物の密度が上記下限値より小さいと、難燃剤の配合量が少ないことを意味し、難燃性が不足するおそれがある。難燃性樹脂組成物の密度は、0.98g/cm以上が好ましく、0.99g/cm以上が更に好ましい。
一方、難燃性樹脂組成物の密度が上記上限値より大きいと、難燃性が過剰に配合されていることを意味し、耐衝撃性能が低下するおそれがある。難燃性樹脂組成物の密度は、1.19g/cm以下が好ましく、1.18g/cm以下が更に好ましい。
難燃性樹脂組成物の密度は、(A)エチレン系重合体の密度、(B)難燃剤の密度、並びに(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量や混合方法等により調整することができる。
難燃性樹脂組成物の密度は、前記(A)エチレン系重合体の特性(ii)の密度と同様に測定することが出来る。
特性(5)
本発明の難燃性樹脂組成物は、更に、下記の特性(5)を満足することが、耐ドローダウン性などの中空成形性の点から好ましい。
特性(5):190℃で測定される溶融張力(MT)が、40mN以上である。前記溶融張力は、更に好ましくは50mN以上であり、より更に好ましくは60mN以上である。
難燃性樹脂組成物の溶融張力は、(A)エチレン系重合体の溶融張力、並びに(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤の配合量や混合方法等により調整することができる。
難燃性樹脂組成物の溶融張力は、前記(A)エチレン系重合体の特性(iv)の溶融張力と同様に測定することが出来る。
特性(6)
本発明の難燃性樹脂組成物は、更に、下記の特性(6)を満足することが、成形品の剛性と成形時における適切な成形温度のバランス維持の点から好ましい。
特性(6):融点(Tm)が、120℃以上である。前記融点(Tm)は、更に好ましくは125℃以上であり、より更に好ましくは130℃以上である。
融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)にて測定することができ、0.2mmの厚さのプレスシートを円形に切り出した試料約5mgをアルミパンに詰め、窒素雰囲気下、200℃まで昇温後、5分間同温度で保持し、10℃/分で30℃まで冷却し、その後同温度で5分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温し、融解に伴う熱量の変化が極大となる温度を融点(Tm)として求めることができる。
特性(7)
本発明の難燃性樹脂組成物は、更に、下記の特性(7)を満足することが、中空成形性の点から好ましい。
特性(7):温度170℃、伸長歪速度0.1(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測される。
本明細書において、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点の有無は、歪硬化度の測定において観察できるものである。
上記歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られ、例えば、公知文献:Polymer 42(2001)8663に測定方法及び測定機器の詳細が記載されている。
本発明に係る樹脂組成物の測定に当り、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法:
・装置:Rheometrics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:170℃
・歪み速度:0.1/秒
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
算出方法:
170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(t)(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義する。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断される。
図1、図2は典型的な伸長粘度のプロット図である。図1は伸長粘度の変曲点が観測される場合であり、図中にηMax(t1)、ηLinear(t1)を示した。図2は伸長粘度の変曲点が観測されない場合である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記特性(1)〜(3)を備えたポリエチレン系樹脂組成物であるため、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた難燃性樹脂組成物とすることが可能である。
更に、好ましくは、上記特性(1)〜(3)に加え、上記特性(4)〜(7)のうち一つ以上を備えた難燃性樹脂組成物は、上記効果を更に良く奏するものとなる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物であることから、中空成形用の難燃性樹脂組成物として好適に用いられ、中でも難燃性が求められる容器や建築材料に用いられる中空成形用の難燃性樹脂組成物として好適に用いられる。
5.難燃性樹脂組成物の製造方法
本発明の難燃性樹脂組成物は、前記(A)エチレン系重合体及び前記(B)難燃剤を所定の配合割合で溶融混合することにより、また必要に応じて他の成分を添加して溶融混合することにより製造することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、樹脂組成物の温度が185℃以上208℃以下で、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤とを混合する工程を有することが、難燃剤の分解や発泡等の現象を生じさせることなくペレットを成形し易い点から好ましい。
樹脂組成物の温度が上記上限値よりも高い温度で、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤とを混合すると、難燃剤の分解や発泡等の現象が生じやすくなる傾向がある。このような難燃剤の分解や発泡等の現象が生じると、難燃性樹脂組成物は、前記特性(2)や特性(3)を満足できなくなる傾向がある。
また、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、更に、ペレットの乾燥工程を有することが好ましい。難燃剤を多く含むペレットは、吸水しやすくなり、成形加工時に発泡しやすくなる恐れがある。
本発明の難燃性樹脂組成物は、常法に従い、例えば、樹脂、難燃剤、添加剤等のブレンド物をタンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて均一に混合し、ロール、バンバリーミキサー、コニーダ、一軸押出機、二軸押出機などで機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種成形機により成形を行って所望の成形品とすることができる。
何れの製造方法でも、上記の本発明の配合組成であれば、中空成形性に優れた成形材料が得られるが、良好な混練状態と溶融混練時の難燃剤の分解が少ない成形材料が得られるロール、バンバリー、コニーダ、二軸押出機で製造する方法が望ましい。
また、上記の方法により得られるポリエチレン樹脂組成物には、常法に従い、他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、分散剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、強化材等の公知の添加剤を配合することができる。
いずれの場合でも、上記ポリエチレン樹脂組成物に、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
6.難燃性樹脂組成物ペレット
本発明の難燃性樹脂組成物ペレットは、前記本発明の難燃性樹脂組成物を溶融押出されてなる、難燃性樹脂組成物ペレットである。
本発明の難燃性樹脂組成物ペレットは、本発明の難燃性樹脂組成物の好適な一実施形態であり、前記特性(1)〜(3)を満足するものである。
また、本発明の難燃性樹脂組成物ペレットは、製造時に分解や発泡等の現象を生じさせることなく製造されたものであることから、ペレット中に空隙が含まれることが抑制されたものである。
製造時に分解や発泡等の現象を生じ、空隙が含まれているペレットの場合、前記特性(1)〜(3)を満足することが困難になり、良好な中空成形性を得ることが困難である。
本発明の難燃性樹脂組成物ペレットは、例えば、押出機より押出された樹脂組成物を、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断して製造される。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1mm〜10mm、より好ましくは1.5mm〜7mm、さらに好ましくは2mm〜5mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1mm〜5mm、より好ましくは1.5mm〜4mm、さらに好ましくは2mm〜3mmである。
7.成形品、及び中空成形品
本発明の成形品は、前記本発明に係る難燃性樹脂組成物を含む成形品である。
また、本発明の中空成形品は、前記本発明に係る難燃性樹脂組成物を含む中空成形品である。
本発明の成形品は、本発明の難燃性樹脂組成物を原料として、各種成形法により製造することができる。本発明の難燃性樹脂組成物は中空成形性が良好であることから、本発明の成形品は、主に中空成形法等により成形された中空成形品であることが好ましい。
本発明の中空成形品は、前記本発明の難燃性樹脂組成物を公知の中空成形機を用いた中空成形によって得ることができる。
中空成形の成形条件としては、得られる中空成形品に合わせて適宜選択されれば良いが、例えば、成形温度が160℃〜220℃の条件下で実施されることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、中空成形性が良好で、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れるので、これを用いた本発明の成形品乃至中空成形品は、難燃性、及び耐衝撃性に優れる。
従って、このような特性を必要とする、建築材料、機械部品、自動車部品、各種の樹脂トレーや容器などに好適に用いられ、より具体的には、例えば、競技場、球場、体育館等の椅子、仮設トイレ、バッテリーケース、建機、農機用のルーフ、ボンネット、自動車用バンパー、エンジンカバー、フェンダー、外装パネル、パイプ、ダクト、灯油タンク、農機具用タンク、医療用タンク、各種容器等の用途に好適に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
1.測定方法
実施例で用いた測定方法は以下の通りである。
(1)温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR):
JIS K6922−2:1997に準拠して測定した。
(2)密度:
JIS K7112:1999に準拠し、D法で測定した。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量及び分子量分布の測定:
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[測定条件]
使用機種:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
流速:1.0mL/分
注入量:0.3mL
[試料の調製]
4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
[較正曲線の作成]
4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(1)〜(4)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。
(1)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(2)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(3)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(4)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録した。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットした。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1200とした。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とした。
[分子量の計算]
前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラムを記録した。この
クロマトグラム森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出した。ただし、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記の式にて補正した。クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS Windows(登録商標)XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行った。
H′=H/[1.032+189.2/M(PE)]
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記の式を用いた。
M(PE)=0.468×M(PS)
(4)溶融張力:
溶融張力(MT)は、溶融させたエチレン系重合体又は樹脂組成物を一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定され、下記条件により測定した。
[測定条件]
使用機種:東洋精機製作所社製、キャピログラフ1B
ノズル径:2.095mm
ノズル長さ:8.0mm
流入角度:180°(flat)
押出速度:15mm/分
引き取り速度:6.5m/分
測定温度:190℃
(5)融点(Tm):
融点は、示差走査熱量計(DSC)にて測定した。0.2mmの厚さのプレスシートを円形に切り出した試料約5mgをアルミパンに詰め、窒素雰囲気下、200℃まで昇温後、5分間同温度で保持し、10℃/分で30℃まで冷却し、その後同温度で5分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温し、融解に伴う熱量の変化が極大となる温度を融点(Tm)として求めた。
(6)歪硬化度(λmax):
プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成した試験片を用い、レオメータ(Rheometrics社製Ares)を用い、170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度の測定を行い、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点の有無により、長鎖分岐構造の有無の確認を行った。
[測定条件]
装置:Rheometrics社製Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
[算出方法]
170℃、歪み速度0.1/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(単位:秒)、縦軸に伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)を両対数グラフでプロットした。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義した。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断し、変曲点を有する場合を○、有しない場合を×とした。
(7)引張破壊強さ:
JIS K6922−2:2010に準拠して、圧縮成形により厚さ4mmのシートを作成し、多目的試験片1Bを作成し、23℃、50%RHの条件で引張スピード50mm/minにて測定を実施した。
(8)シャルピー衝撃強度:
JIS K7111:2004に準拠し、タイプ1の試験片を作製し、打撃方向はエッジワイズ、ノッチのタイプはタイプA(0.25mm)として、23℃、50%RHの条件で測定することができる。
(9)難燃性:
JIS K6922−2:2010に準拠して、圧縮成形により難燃性評価用試験片を成形し、UL94−V規格に従って難燃性を評価した(厚み3mmt)。
UL94−V規格に従って、燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるに従って難燃性は低下する。
(10)ペレットの発泡状態
目視により、ペレットに含まれる気泡量を評価した。
○:目視で発砲が確認されない。
×:目視で発砲が確認される。
2.実施例及び比較例
[樹脂組成物の製造]
[実施例1]
二軸押出機を使用し、エチレン系重合体(A−1)51kg/h、難燃剤(B−1)12kg/h、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、酸化防止剤(C−1)を0.1質量部添加混合した状態でフィードし、さらに、溶融後のセグメントに難燃剤(B−1)12kg/hをサイドフィーダーを用いてフィードし、樹脂温度191℃にて混練し、難燃性樹脂組成物を得た。難燃性樹脂組成物の各特性の評価結果を表1に示した。
なお、エチレン系重合体(A−1)としては、日本ポリエチレン社製、ノバテックHB235Rを使用した。エチレン系重合体(A−1)の特性については、表1に示す。
また、難燃剤(B−1)としては、ADEKA社製、アデカスタブFP−2200(ピロリン酸ジメラミン成分/ピロリン酸ピペラジン成分=約40/60(質量比)からなるリン酸アミン塩含有;特開2016−164217を参照)を使用した。
また、酸化防止剤(C−1)としては、BASF社製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤IRGANOX1010を使用した。
[実施例2〜5]
表1に示す組成物となるように条件設定し、混練時の樹脂温度及び樹脂処理量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に難燃性樹脂組成物を製造した。得られた難燃性樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。
[実施例6]
二軸押出機を使用し、エチレン系重合体(A−1)138kg/h、難燃剤(B−1)を8kg/h、更に、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、酸化防止剤(C−1)を0.1質量部添加混合した状態でフィードし、樹脂温度194℃にて混練し、難燃性樹脂組成物を得た。難燃性樹脂組成物の各特性の評価結果を表1に示した。
[実施例7〜8]
表1に示す組成物となるように条件設定し、混練時の樹脂温度及び樹脂処理量を表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様に難燃性樹脂組成物を製造した。得られた難燃性樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。
なお、滑剤(C−2)としては、理研ビタミン社製、リケマスターEXR−060(金属石鹸含有)を使用した。
また、分散剤(C−3)としては、丸菱油化工業社製、デノン1147(ノニオン系界面活性剤含有)を使用した。
[比較例1]
表1に示す組成物となるように条件設定し、混練時の樹脂温度及び樹脂処理量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に難燃性樹脂組成物を製造した。得られた難燃性樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。
[比較例2〜3]
表1に示す組成物となるように条件設定し、混練時の樹脂温度及び樹脂処理量を表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様に難燃性樹脂組成物を製造した。得られた難燃性樹脂組成物の物性及び評価結果を表1に示した。
なお、エチレン系重合体(A−2)としては、日本ポリエチレン社製、ノバテックHB216Rを使用した。エチレン系重合体(A−2)の特性については、表1に示す。
比較例1及び2の難燃性樹脂組成物は、(A)エチレン系重合体と(B)難燃剤との混練時に発熱して、ペレット成形時に発泡してしまった。このように発砲したペレットを用いて成形すると、成形時気泡が取り込まれた状態のパリソンが形成され、ブローアップ時に、気泡が破裂することによる外観不良や、成形品に穴が開いてしまうため、良好な成形品を得ることができなかった。
比較例3の難燃性樹脂組成物は、エチレン系重合体(A−2)のMFRが本発明で用いられるエチレン系重合体の特定範囲よりも小さく、(B)難燃剤との混練時に発熱して、ペレット成形時に発泡してしまった。このように発砲したペレットを用いて成形したところ、成形時気泡が取り込まれた状態のパリソンが形成され、ブローアップ時に、気泡が破裂することによる外観不良や、成形品に穴が開いてしまうため、良好な成形品を得ることができなかった。
Figure 0006915568
表中、「N.A.」とは、発泡が顕著で測定できなかったことを示す。
表中、「N.B.」とは、試験片が破壊しなかったことを示す。
以上の各実施例の良好な結果、及び各比較例との対照により、本開示の構成の有意性と合理性及び従来技術に対する卓越性が明確にされている。
本発明によれば、中空成形性が良好でありながら、ペレットを分解や発泡等の現象を生じさせることなく成形することができ、難燃性に優れ、耐衝撃性にも優れた、難燃性樹脂組成物、その製造方法、及びそのペレット、並びに、前記難燃性樹脂組成物を含有する難燃性及び耐衝撃性に優れる成形品及び中空成形品を提供することができるため、産業上極めて有用である。

Claims (10)

  1. (A)エチレン単独重合体及びエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種であって下記の特性(i)〜(ii)を満足するエチレン系重合体と、(B)有機系難燃剤を含む非ハロゲン系難燃剤とを含有し、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤の合計100質量部に対して、前記(B)難燃剤が5質量部以上44質量部以下であり、下記の特性(1)〜(3)を満足する難燃性樹脂組成物。
    特性(i)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
    特性(ii)密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下である。
    特性(1)温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.05g/10分以上1.0g/10分以下である。
    特性(2)JIS K6922−2:2010に準拠して測定される引張破壊強さが10MPa以上30MPa以下である。
    特性(3)JIS K7111:2004に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上10kJ/m以下である。
  2. 下記の特性(4)を満足する、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
    特性(4)190℃で測定される溶融張力(MT)が、40mN以上である。
  3. 前記有機系難燃剤が、リン酸塩化合物を含む、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記リン酸塩化合物は、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸ピペラジン塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 更に、金属石鹸を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 中空成形用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 樹脂組成物の温度が185℃以上208℃以下で、前記(A)エチレン系重合体と前記(B)難燃剤とを混合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を溶融押出されてなる、難燃性樹脂組成物ペレット。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を含む成形品。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を含む中空成形品。
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