JP6914542B2 - 炭化装置 - Google Patents

Description

本発明は、炭化装置に関する。

従来から木や様々なものを炭化するために種々の炭化装置が提案されている。
この例として、流動固形燃料が焼成される平面形態が円形の燃焼用ポットと、燃焼用ポットの上方に設けられた円筒状の燃焼室と、燃焼用ポットの全周について所要の空隙を空けて囲うように形成されたホッパー部と、燃焼用ポットの中央部に燃焼用の加圧空気を供給するように、先端部に加圧空気が噴出する複数の空気排出孔を備え、燃焼室の上端面壁から垂下されて軸心を中心に回転可能に構成したものがある（特許文献１）。また、燃焼槽本体の燃焼室と製炭室を区分する仕切り板を着脱可能にすると共に、燃焼槽本体の排気口を下方および上方に変更できるようにして製炭器兼ごみ焼却装置を構成したものがある（特許文献２）。

特開２０１８−８７６５６号公報 特開平７−２５８６５３号公報

しかし、従来の炭化装置は、燃焼後炉内から炭化物を取り出す際、炭化炉の熱を冷ます必要があった。炭化炉内が冷めないうちに扉を開けてしまうと、炭化炉内に酸素が流入し、炭化物が発火してしまう。そのため、例えば炭化処理に９０分、その後冷却工程に１２０分要するとすると、一つの処理が完結するまでに合計で3時間半必要となり、さらに炉内の炭化物を取り出し、新たな対象物を入れる入れ替えの時間が発生してしまう。そのため、1日で行える炭化処理量が制限されてしまい、作業効率が極めて悪いという問題があった。

本発明は、効率よく炭化処理を行うことができる炭化装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る炭化装置は、炭化対象物を収納する炭化炉本体と、上記炭化炉本体を加熱する加熱部と、を有し、上記炭化炉本体は、上記炭化対象物を入れた状態で、上記加熱部により加熱された後に、上記炭化炉本体内を密閉した状態で、上記加熱部から分離可能に配置されていることを特徴とする。

上記炭化炉本体は、上端部にガスを排出する開口が形成されており、上記開口を覆う覆体により密閉する構成となっていてもよい。

上記炭化炉本体は、上部が広口に開口しており、この開口に着脱可能に取り付けられた蓋体をさらに有し、上記蓋体の上面には炭化対象物から出たガスを排気するための開口が形成されており、上記覆体は、上記蓋体の開口を覆って密閉可能に構成されていてもよい。

上記炭化炉本体の底部中央に穴が形成されており、上記穴に連通し、上記炭化炉本体内を貫通して、上記加熱部の排気ガスを排気する筒体が設けられていてもよい。

本発明によれば、炭化炉本体がカートリッジ式となっているため、炭化処理が終わった時点で、炭化物が入った炭化炉を取り外すことができる。これにより、すぐに次の炭化炉本体をセットすることで次の炭化処理を行うことができる、効率的な処理を行うことができる。

本実施形態にかかる炭化装置の構造を現した模式図。 本実施形態にかかる炭化炉本体の分解斜視図。 本実施形態にかかる炭化装置の外観斜視図。

本発明にかかる炭化装置を適用した炭化処理システムの実施形態を図に示す。
図１、図３において、本実施形態の炭化処理システム１は、炭化対象物を中に保持して炭化処理を行う炭化炉１０と、この炭化炉１０を加熱する加熱部を構成する加熱装置２０と、炭化炉１０から排出されたガスの消臭・消煙を行う消臭・消煙装置３０と、この消臭・消煙装置３０からの排気を油水分離装置５０に送るエジェクター４０と、エジェクター４０により送りこまれた排気から油と水を分離する油水分離装置５０と、油水分離装置５０により分離された後の気体の消臭を行う消臭装置６０と、消臭装置６０で処理された気体を、排気口８０を通じて廃棄するためのブロアモーター７０を有している。
なお、本例では、図３に示すように、上カバー１０１、中カバー１０２、下カバー１０３により装置がカバーされている。

加熱装置２０は、本例では薪式であり、図１及び図３に示すようにその一端部に薪や炭などを投入するための投入口２１が設けられている。
また、加熱装置２０の内部には、バーナー２２も設けられており、ガスなどを燃焼させて加熱ができるように構成されている。
そして、この加熱装置２０の上部には、炭化炉１０を載置するための天板２３が設けられている。この天板２３は網状又は格子状、簀の子上など適宜な穴が形成されており、これにより薪やバーナーの熱が炭化炉１０に伝わりやすくなっている。
なお、加熱装置２０の下には、図１に示すようにジャッキなどによる昇降装置２２を設けて加熱装置２０の位置を調整できるようにしてもよい。

消臭・消煙装置３０は、バーナー３１、３１と、このバーナー３１、３１により、炭化炉１０から排出された排気ガスを燃焼させる燃焼室３２と、燃焼室３２で燃焼された排気の排出音を消音する消音室３３を有している。
この燃焼室３２内でバーナー３１，３１により排気ガスを約１２００℃程度まで加熱し、燃焼させて消臭を行い、排気管３４を通じて排気する。また、消音室３３では排気ガスを細い流路を通すことで消音を行うようになっている。

エジェクター４０は、循環ポンプ４１で排気管３４を通じて送られてきた排気ガスを油水分離装置５０内に送り込む。
油水分離装置５０は排気ガスに含まれる油及び水を分離して消臭装置６０に送る。この油水分離装置５０は二酸化炭素、水の攪拌反応を利用して二酸化炭素と水を分離する。

消臭装置６０では、炭などの多孔質により排気ガスの臭い成分を取り除く。
そしてブロアモーター７０により排気口８０から外に排出する。

次に炭化炉１０について図２を参照して説明する。
図２において、炭化炉１０は、炭化炉本体１１と、この炭化炉本体１１の底部から突設して設けられた円筒体１２と、炭化炉本体１１の上部開口を覆う蓋体１３と、蓋体１３の中央部の穴を覆い密閉する覆体としてのキャップ１４を有している。
炭化炉本体１１は、上面が広口に開口した中空の円筒状に形成されている。炭化炉本体１１の底部中央には孔１１aが形成されており、この孔１１aに連結して炭化炉本体１１内を貫通する円筒体１２が設けられている。この円筒体１２の上端は、炭化炉本体１１の上端部開口よりも高く、炭化炉本体１１に蓋体１３が取り付けられた際でも、蓋体１３上から円筒体１２が上端から突出する高さを有している。
この円筒体１２により、加熱装置２０からの排気ガスによる熱を炭化炉本体１１内の対象物に満遍なく行きわたらせて加熱できる。また、円筒体１２が消臭・消煙装置３０内に突出していることで、加熱装置２０の熱気を消臭・消煙装置３０内に直接送ることができ、消臭・消煙装置３０の消臭・消煙効果をより高くすることができるようになっている。
なお、炭化本体１１及び円筒体１２の形状は、円筒状でなくとも、中空の角柱状であってもよく、その形状は任意である。

また、炭化炉本体１１の外周上部には、係止片１１ｂが設けられている。この係止片１１ｂは過熱状態の炭化炉本体１１を、炭化処理システム１内から取り出す際に、クレーン（図示しない）などの吊り上げフック１５などに引っ掛けるためのものである。この係止片１１ｂには穴が形成され、この穴に吊り上げ金具１５のフックを引っ掛けて炭化炉本体１１を取り出す際に用いられる。
なお、この係止片１１の形状や、これを設ける位置、また設ける個数などは任意である。

蓋体１３は、炭化炉本体１１の上部開口を覆うためのものであり、図２に示すように中空の半球状に形成されている。また蓋体１３の上部中央部分には、円筒体１２を通すための穴１３aが設けられている。この穴１３aの径は、円筒体１２の径よりも大きく形成されており、円筒体１２の外周との間に図１に示すように隙間Sが形成されるようになっている。
これにより、円筒体１２からの排気ガスと、炭化炉本体１１内の炭化対象物から排出されたガスとが、消臭・消音装置３０に送られる構造となっている。
なお、この蓋体１３の形状も中空半球状でなくとも、炭化炉本体１１の形状に合わせて中空の多角形状としてもよい。

キャップ１４は、炭化炉本体１１を炭化処理システム１から取り出す際に、炭化炉本体１１内に空気が入ることを防止するため、穴１３aを塞ぐためのものである。そのため、炭化炉１１を使用中は、このキャプ１４は取り外された状態となっている。
このキャップ１４は、耐熱性の金属などにより構成されており、穴１３aを覆う下部の大径部14と、この大径部１４aの上部に設けられ、円筒体１２の上部開口を覆う小径部１４ｂと有している。
なお、蓋体１３にキャップ１４が取り付けられたときに、キャップ１４が容易に取れないように蓋体１３又は／及び円筒体１２に係合、螺合する構造としてもよい。

次に、本実施形態にかかる炭化処理システム１の使い方について説明する。
図１において、まずは炭化炉本体１１を炭化処理システム１から取り外した状態で、蓋体１３を開けて、中に炭化対象物を入れる。そして、蓋体１３を閉めた状態で炭化炉本体１１を天板２３上に設置する。

なお、最初に炭化対象物を炭化炉本体１１に入れる場合は、先に炭化炉本体を天板２３上に設置してから、炭化対象物を炭化炉内に入れるようにしてもよい。

そして、蓋体１３の上部を消臭・消煙装置３０に接続して密閉し、加熱装置２０及び炭化炉本体１１内から排出されたガスが消臭・消煙装置３０に送られるようにセットする。
この状態で加熱装置２０にボイラー２２や薪などにより加熱を行うことで、炭化炉本体１１が加熱され密閉された炭化対象物が炭化処理される。

所定時間の加熱が完了すると加熱装置２０の加熱を停止する。
この状態で、蓋体１３から消臭・消煙装置３０を外すことで、蓋体１３の開口１３aと円筒体１２の上部開口を露出させてキャップ１４を嵌めて塞ぐ。
これにより炭化炉本体１１の内部は空気が入らず密閉状態を保ったままとすることができる。

そして、図示しないクレーンなどにより、吊り上げ金具１５，１５のフックを係止片１１ｂに取り付けて、炭化炉本体１１を炭化炉システム１内から取り出す。
これにより、キャップ１４を嵌めたままの状態で、炭化炉本体１１を冷ます。

この間に次の炭化炉本体１１の中に炭化対象物を入れておき、これを吊り上げ金具１５により吊り上げて天板２３上に設置する。あとは、同様に消臭・消煙装置３０を取り付けて、次の炭化処理工程を行う。

このように、上述の実施形態では、一つの炭化炉本体１１を加熱後取り出して冷ましている間に、次の炭化対象物を入れた炭化炉本体１１をセットして処理を継続できる。
そのため、炭化炉自体が冷めることを待つまでものなく、次の炭化工程に移ることができる、作業効率を向上させることができる。
また、炭化処理システム１内の余熱を利用して、次の炭化処理を行うことができるため、効率的に処理を継続できる。

また、取り出した加熱された炭化炉本体１１は、キャップに１４により密閉されているため、炭化炉内に空気が入って発火してしまうこともなく炭化処理ができる。
また、炭化炉本体１１だけを取り出して外気にさらすことで、より早く冷却処理ができる。

また、炭化炉本体１１は、蓋体１３を外してしまえば広口に開口しているため、その中に炭化対象物を簡単に入れることができるし、また炭化したものを取り出す際にも容易に取り出し等ができるようになっている。

また、円筒体１２が炭化炉本体１１内を貫通しているため、炭化炉本体１１内の炭化対象物を満遍なく加熱することができる。

上述の実施形態では、炭化炉本体１１を加熱装置２０から分離可能に構成した例について説明しており、そのほかの消臭・消煙装置３０、エジェクター４０、油水分離装置５０、消臭装置６０、ブロアモーター７０などを設けるか否かも任意であるし、またこれらを既知の別の構成に置換等することも任意である。

１ 炭化処理システム
１０ 炭化炉
１１ 炭化炉本体
１２ 円筒体
１３ 蓋体
１４ キャップ
１５ 吊り上げフック
２０ 加熱装置
３０ 消臭・消煙装置
４０ エジェクター
５０ 油水分離装置
６０ 消臭装置
７０ ブロアモーター
８０ 排気口

Claims (4)

1. 炭化対象物を収納する炭化炉本体と、
   上記炭化炉本体を加熱する加熱部と、
   上記炭化炉及び上記加熱部により生じた排気ガスの消臭及び消音処理を行う消臭・消音部と、を有し、
   上記炭化炉本体は、その底部中央に穴が形成されるとともに、この穴に連通し、上記炭化炉本体内の中央部を貫通して、上記加熱部の排気ガスを排気する筒体が設けられているとともに、上記炭化炉本体の上部には、広口の開口が形成され、この開口には上記筒体が貫通し、上記開口及び上記筒体からの排気が上記消臭・消音部に接続されており、上記炭化炉本体は、上記炭化対象物を入れた状態で、上記加熱部により加熱された後に、上記炭化炉本体内を密閉した状態で、上記加熱部から分離するために、上記開口及び上記筒体の開口を覆う蓋体が取り付けられるように構成されている、
   ことを特徴とする炭化炉装置。
2. 上記消臭・消音部は、上記加熱部の排気ガスを細い流路に通すことで消音をする、
   請求項１記載の炭化炉装置。
3. 上記排気ガスに含まれる油及び水を、水の攪拌反応を利用して二酸化炭素と水に分離する油水分離部、をさらに有する、
   請求項１又は２記載の炭化炉装置。
4. 上記加熱部の下部に、上記加熱部の位置を調整できるように配置された昇降部、をさらに有する、
   請求項１乃至３のいずれかに記載の炭化炉装置。

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