JP6912686B1 - タイヤ試験装置 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、特許文献1に記載の発明は、過渡的な横剛性を求めることによってタイヤの性能を評価するようになっている。この特許文献1に記載の発明は、スリップ角を経時的に変化させながら、カメラでタイヤの側面を撮影し、その撮影画像からタイヤの過渡的な横変形量を求めるとともに、タイヤの支持機構(スピンドル軸の軸力センサ)で軸力を測定してタイヤの過渡的な横力を求める。そして、求めた横変形量と横力とから横剛性を算出し、横剛性のピーク値を用いてタイヤの官能評価を行っている。
しかしながら、特許文献1は、タイヤの横力をタイヤ支持機構の軸力から求めているので、横剛性をタイヤ全体としてしか求めることができず、十分な解析には利用できないという問題があった。
具体的には、特許文献1に記載の発明は、タイヤ全体の横剛性を算出しているため、タイヤがスリップ角(スリップアングル)に対してどれだけ力を出せるのかを解析することができるものの、タイヤの接地部の各々の剛性を把握することはできない。その結果、特許文献1に記載の発明では、タイヤ特性の十分な解析ができない。また、特許文献1に記載の発明では、所望する性能が得られるタイヤパターンの設計・開発に必要なデータが得られない。
この構成によれば、タイヤに設けられたリブ毎に、横剛性を算出できるため、タイヤに設けられたリブのどこが力を出しているのか、或いは、出していないのかを把握することができる。そのため、本発明のタイヤ試験装は、タイヤ開発やサスペンションの設計をする上で、非常に重要なツールになる。
この構成によれば、ユーザは、表示部の画像を視ることで、タイヤのリブ毎の特性を簡単に確認するこができる。
また、ブロック領域毎の前後剛性は、タイヤのトレッド表面を縦溝(リブ溝)と横溝(ラグ溝)で区切られた各ブロック領域ごとの剛性分担率であり、接地面内での剛性分担率のばらつきを評価することで、パターン設計や偏摩耗解析などに寄与できることが期待できる。また、前後剛性は、タイヤ制駆動力の時間遅れに繋がるとされており、車両制駆動時の応答速度における重要パラメータの一つであるため、タイヤ単体の評価に留まらず、ABS等のタイヤの制駆動力を利用した車両制御システムの改良に役立つデータになる可能性がある。
先ず、本発明の第1実施形態のタイヤ試験装置10について説明する。
図1は、本発明の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)が適用されたタイヤ試験装置10の外観図であり、図2、図3はそれぞれ、試験対象であるタイヤ12とタイヤ試験装置10のドラム14との関係を示す平面図、側面図である。
なお、各算出部(接地力算出部20A、変位量算出部20B、変化量算出部20C及び横剛性算出部20D)の機能は、上記のCPUが前記プログラムの演算処理を実行することにより実現される。なお、各算出部の演算処理については後述する。
第1実施形態では、最初に、タイヤ駆動制御部22がタイヤ12の角度SAを「0deg(タイヤ12が直進状態になる角度)」に調整するものとする。
なお、第1実施形態では、タイヤ12の角度SAが「0deg」の接地力データの蓄積が終了すると、S1に戻って、タイヤ駆動制御部22がタイヤ12の角度SAを「1deg(タイヤが横スリップ状態になる角度)」に調整して、S2、S3の処理を繰り返して、タイヤ12の角度SAが「1deg」のタイヤ12の略全周における接地力データを蓄積する。
S5では、変位量算出部20Bが、接地力データ(フットプリント)のなかのZ軸方向の接地力Fzのデータ(Fz分布データ)を用いてリブ領域(リブ)の判定を行う。リブ領域の判定では、変位量算出部20Bが、Fz分布データに対して閾値を用いた2値化処理をして、2値化処理されたデータ(接地力分布)を用いて接触・非接触の判定処理をする。
また、変位量算出部20Bは、判定処理で接触と判定した点を接触点とし、接触点と判定された点群から、リブ領域ごとに左右端の座標点を求め、左右端の間の範囲をリブ領域と判定する。また、変位量算出部20Bは、各リブ領域の中心線(タイヤの幅方向(Y軸方向の中心線)を求める。具体的には、変位量算出部20Bは、SA=0の接地力Fzのデータ(Fz分布データ)から各リブ領域の中心線(タイヤの幅方向(Y軸方向の中心線)を求めると共に、SA=1の接地力Fzのデータ(Fz分布データ)から各リブ領域の中心線(タイヤの幅方向(Y軸方向の中心線)を求める。
S6では、先ず、接地力算出部20Aが、接地力データ(フットプリント)のなかのY軸方向の接地力Fyのデータ(Fy分布データ)に対して、S5で求めた「リブ領域毎の左右端の座標点」を使用してリブ領域を特定する。また、接地力算出部20Aは、Y軸方向の接地力Fyのデータ(Fy分布データ)を用いて、特定した範囲(リブ領域)ごとに接地力Fyの積算値を求める。なお、接地力算出部20Aは、SA=0の接地力Fyのデータ(Fy分布データ)を用いて、リブ領域ごとの接地力Fyの積算値を求めると共に、SA=1の接地力Fyのデータ(Fy分布データ)を用いて、リブ領域ごとの接地力Fyの積算値を求める。
その後、変位量算出部20Cが、求めた積算値をSA=0、SA=1で比べて、その差分を変化量ΔFyとして算出する。図8は、接地力の変化量ΔFyの算出処理を説明する図である。なお、図8(a)は、接地力データ(フットプリント)がリブごとに枠で囲まれて特定された状態を示している。図8(b)は、特定された範囲内で接地力の積算値を求めた結果をリブごとに示している。図8(a)及び(b)はそれぞれ、上側がSA=0のデータであり、下側がSA=1のデータである。一方、図8(c)は、SA=0とSA=1の差分を変位量ΔFyとして、範囲(リブ)ごとに求めた結果を示している。
S7では、横剛性算出部20Dが、S5で求めた接地位置の変位量Dyと、S6で求めた接地力の変化量ΔFyと、下記の(式1)とを用いて、範囲(リブ領域)ごとの横剛性分担率Ky ribを求める。具体的には、横剛性算出部20Dが、下記の(式1)に、S5で求めた接地位置の変位量Dyと、S6で求めた接地力の変化量ΔFyとを代入して、リブ毎の横剛性分担率Ky ribを算出する。
Ky rib=ΔFy/Dy・・・・(式1)
ここで、図9は、表示例を示している。なお、図9(a)は接地位置の変位量Dyを示しており、図9(b)は接地力の変化量ΔFyを示しており、図9(c)は横剛性Kyを示している。この図において、縦方向は、全体における各リブでの割合を記載している。なお、縦方向は、それぞれの単位を用いた数値で示しても良い。
また、第1実施形態によれば、タイヤ12のリブ毎に幅方向の分担率Ky ribが算出されるため、タイヤ12に設けられたリブのどこが力を出しているのか、或いは、出していないのかを把握することができる。そのため、第1実施形態のタイヤ試験装置10は、タイヤ特性の解析、タイヤパターンの設計開発やサスペンションの設計をする上で、非常に重要なツールになる。
次に、本発明の第2実施形態のタイヤ試験装置について説明する。
なお、第2実施形態の説明では、説明の便宜上、上述した第1実施形態と同様の構成(或いは相当する構成)については同じ符号を付けて説明を省略、或いは簡略化する。
第2実施形態のタイヤ試験装置10は、第1実施形態と同様、タイヤ12の接地力を計測するドラム式の試験装置であり、ドラム軸13を中心に回転するドラム14の外周面(ドラム面)に試験対象のタイヤ12を接地させることで試験によりタイヤ12の接地力が計測されるように構成されている(図1参照)。
ここで、図10は、第2実施形態のタイヤ試験装置10の制御ブロック図を示している。
なお、上記の各構成部のうち、タイヤ駆動制御部220及び算出部200以外の構成部(接地力センサ部16、タイヤ角度センサ部23、ドラム駆動制御部24、ドラム角度センサ部25、記憶部26、表示部27、入力部28)は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
さらに、タイヤ駆動制御部220は、設定されたスリップ率になるように、タイヤ支持機構18の駆動を制御して、タイヤ12の転動を制御する。このスリップ率は、下記の(式2)に示すように定義する。
スリップ率=(ドラム速度-タイヤ速度)/ドラム速度・・・(式2)
なお、上記の各速度は、ドラム14とタイヤ12との接地中心点における接線速度とする。
また、タイヤ駆動制御部220には、目標の「スリップ率」が設定されている。この「スリップ率」は、例えば、作業者が、入力部28を操作して、事前設定処理として、タイヤ駆動制御部220に目標の「スリップ率」を設定する。第2実施形態では、タイヤ駆動制御部220に、2種類のスリップ率(直進時のタイヤ12の動きを再現する「スリップ率=0%」、制動時のタイヤ12の動きを再現する「スリップ率=2%」)を設定している場合を例にする。なお、2種類のスリップ率は、一例である。
なお、算出部200は、プログラムの演算処理を実行するCPU、メモリ等を有する回路であり、メモリには、前記プログラムが記憶されている。そして、各算出部(接地力算出部200A、変位量算出部200B、変化量算出部200C及び前後剛性算出部200D)の機能は、上記のCPUが前記プログラムを実行することにより実現される。
ここで、図11は、第2実施形態のタイヤ試験装置10の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。なお、図11では、接地力データの蓄積に関する処理(S11〜S14)と、前後剛性の算出に関する処理(S15〜S18)とを連続して行う例を示しているが、別々に行うようにしてもよい。
なお、第2実施形態では、直進時の「スリップ率=0%」の接地力データの蓄積と、制動時の「スリップ率=2%」の接地力データの蓄積とを行う場合を例にしている。そのため、S14では、接地力センサ部16は、「スリップ率」が「0%」接地力データの蓄積が終了すると、「スリップ率」が「2%」のデータが必要であると判断し、S11に戻る。
すなわち、タイヤ駆動制御部220が、転動しているタイヤ12のスリップ率を「2%」に設定し、その後、S12、S13の処理を繰り返す。そして、「スリップ率」が「2%」の接地力データの蓄積が終了すると、再度、S14の処理をする。この場合、接地力センサ部16は、「スリップ率」が「0%」の接地力データの蓄積と、「スリップ率」が「2%」の接地力データの蓄積とが終了しているため、別の「スリップ率」の接地力データが必要ないと判断して、S15の処理に進む。
なお、図12(a)はX軸方向の接地力Fxのデータであり、図12(b)はY軸方向の接地力Fyのデータであり、図12(c)はZ軸方向の接地力Fzのデータである。図12において、色の濃い部分ほど力が大きいことを示している。図示する分布形状から分るように、タイヤ12には、縦溝(リブ溝)及び横溝(ラグ溝)で区切られたブロックが形成されている。
以下、S15の処理について、図13及び図14を参照しながら説明する。
また、図14は、第2実施形態のタイヤ試験装置が接地力データから求めたタイヤのブロック領域の中心点からタイヤの前後方向の変位量を算出する処理を説明するための模式図であり、(a)が直進時の接地力データから求めたタイヤのブロック領域の中心点を示した模式図であり、(b)が制動時の接地力データから求めたタイヤのブロック領域の中心点を示した模式図である。
また、変位量算出部200Bは、判定処理で接触と判定した点を接触点とし、接触点と判定された点群から、リブごとに左右端の座標点を求め、左右端の間の範囲をリブ領域Ri(iは1以上の自然数)と特定する(図13(a)参照)。その後、変位量算出部200Bは、リブ領域Riの中心線(タイヤ12の幅方向(Y方向の中心線)を求める(図13(a)、(b)参照)。また、変位量算出部200Bは、判定したリブ領域Riごとに、タイヤ12の横溝で区切られた領域をブロック領域Bij(jは1以上の自然数)とする(図13(a)参照)。ここでは、リブ領域Riごとに、複数のブロック領域Bijが形成されている。すなわち、特定したリブ領域を幅方向に分割するブロック領域が特定されている。
さらに、変位量算出部200Bは、このブロック領域Bijが形成されているリブ領域Riの中心線上であり、且つそのブロック領域Bijの前後端の座標点を求め、前後端の中心点の位置をブロック中心点Bcpijとして算出する(図13(a)〜(d)参照)。
そして、変位量算出部200Bは、ブロック領域Bij毎に、直進時・ブロック中心点Bcpijと、制動時・ブロック中心点Bcpijとの差分を変位量として算出する。
また、本実施形態では、各ブロック領域Bijの変位量を識別するためのインデックスを「Dx_block(i,j)」と定義する。また、「i」に横方向に左から番号を割り当て、jにタイヤ回転軸の角度方向、これはタイヤの接地面での「縦方向」に、前から番号を割り当てる。たとえば、図中における右端、下端のブロックの移動量は、Dx_block(5,3)とする。Dx_block(5,3)は、タイヤ12の左から5番目のリブR5の縦方向に前(図中では上)から3番目のブロックB53の変位量を示している。
以下、S16の処理について詳細に説明する。
具体的には、接地力算出部200Aは、直進時(スリップ率=0%)の接地力データ(Fx分布データ)からタイヤ12の各ブロック領域Bijの接地力Fxの積算値(直進時FxBij)を求める。また、接地力算出部200Aは、制動時(スリップ率=2%)の接地力データ(Fx分布データ)からタイヤ12の各ブロック領域Bijの接地力Fxの積算値(制動時FxBij)を求める。
なお、図15では、(a)にタイヤ12の接地力の変化量ΔFx_block(i,j)のフットプリントを示したものであり、(b)にタイヤ12の接地力の変化量ΔFx_block(i,j)のグラフを示している。
Kx_block(i,j)=ΔFx_block(i,j)/ Dx_block(i,j)・・・(式3)
なお、第2実施形態では、接地面全体の前後剛性(Kx)について、各ブロック領域Bijの前後剛性分担率(ΔFx_block(i,j))の総和と、各ブロック領域Bijの変位量Dx_block(i,j)の平均とを用いて、以下の(式4)のように定義する。
そして、前後剛性算出部200Dが、下記の(式4)により、接地面全体の前後剛性(Kx)を算出する。
また、前後剛性分担率Kx_block(i,j)は、タイヤ12のトレッド表面を縦溝(リブ溝)と横溝(ラグ溝)で区切られた各ブロック領域Bijごとの剛性分担率であり、接地面内での剛性分担率のばらつきを評価することで、パターン設計や偏摩耗解析などに寄与できることが期待できる。
また、前後剛性分担率Kx_block(i,j)は、タイヤ制駆動力の時間遅れに繋がるとされており、車両制駆動時の応答速度における重要パラメータの一つであるため、タイヤ単体の評価に留まらず、ABS等のタイヤの制駆動力を利用した車両制御システムの改良に役立つデータになる可能性がある。
Claims (6)
- タイヤをドラムに接した状態で回転させて試験を行うドラム式のタイヤ試験装置であって、
前記ドラムの外周面に設けられるとともに前記ドラム及び前記タイヤの幅方向に並んで配置され、前記タイヤとの接地位置における接地力を計測する複数のセンサと、
前記タイヤを回転自在に支持するとともに、前記ドラムに対する前記タイヤの角度を調整することによって、前記接地位置と前記接地力を前記幅方向に変化させるタイヤ支持機構と、
前記センサで計測した接地力に基づいて、前記接地位置の前記幅方向の変位量と、該変位量に対応する前記幅方向の接地力の変化量とを求め、前記変位量と前記接地力の変化量から横剛性を算出する算出部と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。 - 前記算出部は、前記センサで計測した接地力に基づいて接地力分布を求め、該接地力分布から前記タイヤの接地面全体を前記幅方向に複数の範囲に分割し、該分割した範囲について前記幅方向の接地力の積算値の変化量と前記範囲の中心位置の変位量とを求め、前記積算値の変化量と前記中心位置の変位量とから前記範囲ごとの横剛性を算出することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置。
- 前記算出部は、前記センサで計測した接地力を用いて接地力分布を求め、該接地力分布から前記タイヤの接地面全体を前記幅方向に分割する複数のリブ領域に特定し、該特定したリブ領域毎にその中心位置の前記幅方向の変位量を算出すると共に、該リブ領域毎に該変位量に対応する前記幅方向の接地力の積算値の変化量を算出し、前記リブ領域毎に、前記中心位置の変位量及び前記接地力の積算値の変化量から該リブ領域毎に横剛性を算出することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験装置。
- 前記算出部が出力する画像を表示する表示部を備え、
前記算出部は、前記リブ領域毎に、前記算出した幅方向の変位量と、前記算出した幅方向の接地力の積算値の変化量と、前記算出した横剛性とを示す画像を生成して、前記表示部に生成した画像を表示することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ試験装置。 - タイヤをドラムに接した状態で回転させて試験を行うドラム式のタイヤ試験装置であって、
前記ドラムの外周面に設けられるとともに前記ドラム及び前記タイヤの幅方向に並んで配置され、前記タイヤとの接地位置における接地力を計測する複数のセンサと、
前記タイヤを回転自在に支持するとともに、前記ドラムの速度に対する前記タイヤの速度を調整することによって、前記接地位置と前記接地力を前記タイヤの前後方向に変化させるタイヤ支持機構と、
前記センサで計測した接地力に基づいて、前記接地位置の前記タイヤの前後方向の変位量と、該変位量に対応する前記前後方向の接地力の変化量とを求め、前記変位量と前記接地力の変化量から前後剛性を算出する算出部と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。 - 前記算出部は、前記センサで計測した接地力を用いて接地力分布を求め、該接地力分布から前記タイヤの接地面全体を前記幅方向に分割する複数のリブ領域に特定すると共に、該リブ領域毎に該リブ領域を前記幅方向に分割するブロック領域を特定し、該特定したブロック領域毎にその中心位置の前記タイヤの前後方向の変位量を算出すると共に、該ブロック領域毎に該変位量に対応する前記タイヤの前後方向の接地力の積算値の変化量を算出し、前記ブロック領域毎に、前記中心位置の変位量及び前記接地力の積算値の変化量から該ブロック領域毎に前後剛性を算出することを特徴とする請求項5に記載のタイヤ試験装置。
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