JP6911991B2 - モルタル・コンクリート用混和材、水硬性組成物、セメント組成物及びコンクリート - Google Patents

モルタル・コンクリート用混和材、水硬性組成物、セメント組成物及びコンクリート Download PDF

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Description

本発明は、モルタル・コンクリート用混和材に関する。また本発明は、該混和材を含む水硬性組成物、セメント組成物及びコンクリートに関する。
近年、国や地方自治体の財政逼迫、インフラの安定的な供用などの観点から、鉄筋コンクリート(RC)構造物の長寿命化の必要性が高まっている。RC構造物の経年劣化の主たる要因の一つとして、塩害が挙げられる。塩害による劣化は、劣化因子である塩化物イオンがコンクリート中に浸透し、鉄筋腐食を促進させることでRC構造物の性能を低下させるものである。
塩化物イオンの浸透に対する抵抗性の高い、高耐久のコンクリートを製造するためには、混和材を添加する方法がよく知られている。一般的には、ポゾラン反応性を有するもの、潜在水硬性を有するもの等が選択されており、具体的には高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、火山灰、珪酸白土等が挙げられる。上記以外の混和材としては、例えばシリカフュームが挙げられる。シリカフュームはSiOを主成分とする微粒子である。
その他の混和材としては、例えばメタカオリンが挙げられる。メタカオリンはSiOやAlを主成分とする微粒子である。非特許文献1では、流動性の高い高強度コンクリートにシリカフューム及びメタカオリンを適用し、流動性や圧縮強度特性について検討を行っている。同文献は、メタカオリンのX回折分析を行った結果、鉱物としてQuartzとMicaが含まれていることを報告している。
また、特許文献1には、混和材としてシリカフュームとメタカオリンとを組み合わせて使用した場合、それぞれを単独で等量使用する場合よりも塩化物浸透抵抗性が高くなることが記載されている。
一方で、構造物の長寿命化には、塩害による劣化に加えて、凍害による劣化の重要性が挙げられる。凍害による劣化は、コンクリート中及びコンクリート表面に存在する水分が凍結融解作用によってセメント硬化体の内部組織及び表面を破壊して、耐久性や美観を低下させるものである。
凍害による劣化因子の影響を受けにくい高耐久のコンクリートを製造するため、AE剤を使用してコンクリート中の空気量を多くする方法が知られている。また、さらに凍害に対する抵抗性を高める方法として、混和材として中空微粒子や吸水性ポリマーを使用する方法が知られている。特許文献2では、中空微粒子と吸水性ポリマーを併用して使用した場合に、任意の配合で凍結融解抵抗性を高めることが可能と記載されている。
特開2016−88777号公報 特表2015−519279号公報
安台浩、金炳基、「高性能減水剤によるメタカオリンコンクリートの特性」、コンクリート工学年次論文集、平成18年、Vol.28、No.1、p.191−196
RC構造物の長寿命化によるライフサイクルコストの更なる低減を目指すためには、圧縮強度等の基礎的な性能を損なわずに、塩化物浸透抵抗性を更に向上させることが必要とされる。
一方で、凍結融解抵抗性の付与を目的とした混和材の添加が、塩化物浸透抵抗性に及ぼす影響は不明である。
本発明は、圧縮強度、凍結融解抵抗性、フレッシュ性状などの基礎的な性能を損なうことなく、塩化物浸透抵抗性に優れるモルタル・コンクリートを得ることが可能な、モルタル・コンクリート用混和材を提供することを目的とする。本発明はまた、該混和材を含む水硬性組成物、セメント組成物及びコンクリートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、セメントの一部を置換する混和材として、少なくともシリカフュームとメタカオリンとを併用することが上記目的の達成に有用であることを見出した。その上で、シリカフュームと種々異なるメタカオリンとを組み合わせた場合のコンクリートの塩化物浸透抵抗性、X線回折分析により定量したメタカオリンの組成、凍結融解抵抗性の付与を目的とした様々なポリマー粒子を含むコンクリートの凍結融解抵抗性及び塩化物浸透抵抗性などを調査した。その結果、特定の鉱物組成を有するメタカオリンと、特定のポリマー粒子とを、それぞれ特定量で併用したコンクリートであれば、従来技術よりも優れた性能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シリカフューム、メタカオリン、及びポリマー粒子を含むモルタル・コンクリート用混和材であって、ポリマー粒子が、アクリロニトリル系ポリマーからなる中空微粒子又はアクリル酸塩/アクリルアミド系ポリマーからなる吸水性高分子であり、シリカフューム及びメタカオリンの合計量100質量部中の、シリカフュームの含有量が30〜70質量部であり、メタカオリンの含有量が30〜70質量部であり、シリカフューム及びメタカオリンの合計量100質量部に対して、中空微粒子を0.5〜7.5質量部又は吸水性高分子を0.4〜1.2質量部含み、メタカオリン100質量部中のムライトの含有量が5質量部以下であり、且つカオリナイトの含有量が0.1質量部以上である、モルタル・コンクリート用混和材に関する。このような混和材をセメントの一部に置換して使用することで、圧縮強度、凍結融解抵抗性、フレッシュ性状などの基礎的な性能を損なうことなく、塩化物浸透抵抗性に非常に優れたセメント組成物及びコンクリートを得ることができる。
本発明の効果をより安定的且つより高水準に達成する観点から、メタカオリン100質量部中の非晶質の含有量が80質量部以上であることが好ましい。
本発明の効果をより安定的且つより高水準に達成する観点から、中空微粒子の平均粒子径が10〜30μmであることが好ましい。
本発明の効果をより安定的且つより高水準に達成する観点から、吸水性高分子100質量部中のSの含有量が0.05質量部以上であり、Siの含有量が1.0質量部以下であり、吸水性高分子の平均粒子径が5〜25μmであり、所定の模擬上澄水中に浸せき3時間後の吸水性高分子の吸水倍率が15〜40g/gであることが好ましい。
本発明は、また、上記のモルタル・コンクリート用混和材及び結合材を含む水硬性組成物であって、結合材がセメントを含み、結合材100質量部に対して、シリカフュームを1〜15質量部含み、メタカオリンを1〜15質量部含み、中空微粒子を0.05〜0.75質量部又は吸水性高分子を0.04〜0.4質量部含む、水硬性組成物を提供する。
本発明は、また、塩化物浸透抵抗性に優れるセメント組成物を提供する。すなわち、本発明は、上記の水硬性組成物、水、細骨材、減水剤及びAE剤を含み、減水剤の含有量が、水硬性組成物100質量部に対して0.2〜2.0質量部であり、AE剤の含有量が、水硬性組成物100質量部に対して0.0005〜0.050質量部である、セメント組成物を提供する。
本発明は、また、塩化物浸透抵抗性に優れるコンクリートを提供する。すなわち、本発明は、上記のセメント組成物及び粗骨材を含むコンクリートであって、コンクリート1m中に、結合材を200〜700kg、水を130〜200kg、シリカフュームを5〜40kg、メタカオリンを5〜40kg、中空微粒子を0.2〜4.0kg又は吸水性高分子を0.1〜2.4kg、減水剤を0.4〜8kg、AE剤を0.002〜0.3kg、細骨材を500〜1500kg、及び粗骨材を500〜1500kg含む、コンクリートを提供する。このコンクリートは、最低温度が0℃未満且つ最高温度が0℃を超える環境下、又は、塩化物と接触する環境下で用いられる構造物用であることが好ましい。
本発明によれば、圧縮強度、凍結融解抵抗性、フレッシュ性状などの基礎的な性能を損なうことなく、塩化物浸透抵抗性に優れるモルタル・コンクリートを得ることが可能な、モルタル・コンクリート用混和材を提供することができる。また、本発明によれば、該混和材を含む水硬性組成物、セメント組成物及びコンクリートを提供することができる。本発明のモルタル・コンクリート用混和材を用いることで、圧縮強度発現性及び塩化物浸透抵抗性を高水準に達成できるセメント組成物及びコンクリートが提供される。
また、本発明により、圧縮強度、凍結融解抵抗性、フレッシュ性状などの基礎的な性能を損なうことなく、塩化物浸透抵抗性に優れるモルタル・コンクリートを得ることができる。このようなモルタル・コンクリートは、例えば、寒冷地等、最低温度が0℃未満であり最高温度が0℃を超えるような凍結融解が繰り返し生じる環境、凍結防止剤(NaClやCaCl等の塩化物)が散布される環境、又は臨海部など海水の作用を受ける環境で用いられると特に有用である。このような環境下にある、道路、橋梁、港湾、護岸等の構造物に適用すると、高い耐久性を発揮する。すなわち、本発明によって得られるモルタル・コンクリートは、寒冷地用モルタル、寒冷地用コンクリート、耐塩害モルタル及び耐塩害コンクリートとして好適である。また、本発明によって得られるモルタル・コンクリートは、コンクリート二次製品に好適で、例えば、埋設型枠、擁壁、水路、ボックスカルバート、床版などに適用でき、レディーミクストコンクリートを用いた現場打ち構造物にも適用できる。
図1は、吸水性高分子SAP1に対する赤外吸収スペクトルである。 図2は、吸水性高分子SAP2に対する赤外吸収スペクトルである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<モルタル・コンクリート用混和材>
本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材は、シリカフューム、メタカオリン、及びポリマー粒子を含む。
(シリカフューム)
シリカフュームは、金属シリコン、フェロシリコン、電融ジルコニア等を製造する際に発生する、排ガス中のダストを集塵して得られる副産物である。シリカフュームの主成分は、アルカリ溶液中で溶解する非晶質のSiOであり、その含有率は90〜98質量%程度である。このようなシリカフュームを用いることで、モルタル及びコンクリートにおける高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性を確保できる。
シリカフュームのブレーン比表面積を特に限定するものではないが、マイクロフィラー効果及び反応性向上と、流動性確保の観点から、好ましくは10000〜30000cm/gであり、より好ましくは11000〜28000cm/gであり、更に好ましくは12000〜26000cm/gであり、特に好ましくは13000〜24000cm/gである。同様の観点から、シリカフュームのBET比表面積は、好ましくは50000〜250000cm/gであり、より好ましくは100000〜240000cm/gであり、更に好ましくは120000〜230000cm/gであり、特に好ましくは140000〜220000cm/gである。
(メタカオリン)
メタカオリンは、カオリン鉱物をか焼することによって得られる非晶質性の粉末である。メタカオリンの主成分は、SiO及びAlである。メタカオリンにおけるSiOの含有率を特に限定するものではないが、好ましくは40〜60質量%であり、より好ましくは49〜54質量%である。メタカオリンにおけるAlの含有率は好ましくは40〜50質量%であり、より好ましくは42〜47質量%である。メタカオリンはSiO及びAl以外の成分として、微量のFe、TiOなどの微量成分を含有する。このようなメタカオリンを用いることで、モルタル及びコンクリートにおける高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性を確保できる。
メタカオリンのブレーン比表面積を特に限定するものではないが、マイクロフィラー効果及び反応性向上と、流動性確保の観点から、好ましくは15000〜40000cm/gであり、より好ましくは19000〜38000cm/gであり、更に好ましくは23000〜35000cm/gであり、特に好ましくは25000〜33000cm/gである。同様の観点から、メタカオリンのBET比表面積は、好ましくは50000〜250000cm/gであり、より好ましくは80000〜200000cm/gであり、更に好ましくは100000〜180000cm/gであり、特に好ましくは120000〜170000cm/gである。
(ムライト)
ムライト(Mullite)は、カオリン鉱物を高温焼成することで生成される結晶質鉱物である。ポゾラン反応性材料は、一般に結晶性が低いほど反応性が高く、硬化物の緻密化に貢献すると考えられる。優れた塩化物浸透抵抗性を得るためにはメタカオリン原料の焼成工程で生成する結晶性のムライト量が少ないことが効果的である。ただし、工業的にムライト量が0である必要はなく、少量含まれていてもよい。メタカオリン100質量部中のムライトの量は、5質量部以下であり、好ましくは0〜4.0質量部であり、より好ましくは0.1〜3.0質量部であり、更に好ましくは0.2〜2.0質量部である。
(カオリナイト)
カオリナイト(Kaolinite)は、カオリン鉱物の1つであり、粘土鉱物の中では膨潤性の低い鉱物として知られている。カオリナイトの多くはメタカオリン原料の焼成工程でメタカオリンへと転移するが、コンクリート中に微量に含まれると、その膨潤性による硬化物の緻密化により、またそのイオン交換能により、塩化物浸透抵抗性の向上が期待できる。カオリナイトの量が多過ぎると、反応性が低下するほか、コンクリートの流動性に悪影響を及ぼすと考えられる。メタカオリン100質量部中のカオリナイトの量は、0.1質量部以上であり、好ましくは0.2〜5.0質量部であり、より好ましくは0.3〜3.0質量部であり、更に好ましくは0.5〜1.0質量部である。
(その他の鉱物)
メタカオリン中に含まれていてもよいその他の鉱物としては、ルチル(Rutile)、クオーツ(Quartz)、γ−アルミナ(Alumina gamma)、マスコバイト(Muscovite)、アナターゼ(Anatase)等が挙げられる。塩化物浸透抵抗性の観点から、メタカオリン100質量部中のそれぞれの鉱物の量は、以下のとおりとすることができる。
ルチル:好ましくは0.05〜0.5質量部であり、より好ましくは0.1〜0.4質量部であり、更に好ましくは0.15〜0.3質量部である。
クオーツ:好ましくは0.3〜2.0質量部であり、より好ましくは0.3〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.5〜1.3質量部である。
γ−アルミナ:好ましくは0〜5.0質量部であり、より好ましくは0〜3.0質量部であり、更に好ましくは0〜2.0質量部である。
マスコバイト:好ましくは0.3〜5.0質量部であり、より好ましくは0.5〜2.5質量部であり、更に好ましくは0.5〜2.3質量部である。
アナターゼ:好ましくは0.3〜2.0質量部であり、より好ましくは0.5〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.6〜1.0質量部である。
(非晶質)
非晶質とは、結晶のように原子や分子が規則正しい構造をもたず、不規則な配列をしている固体であり、アモルファスとも呼ばれる。一般に結晶性の高い物質は安定しており、化学反応性が低い。非晶質量が多ければ反応性が高く、硬化物の緻密化に貢献するため、優れた塩化物浸透抵抗性を得るためにはメタカオリン中の非晶質量が多いことが効果的である。メタカオリン100質量部中の非晶質の量は、80質量部以上であり、好ましくは85〜99質量部であり、より好ましくは90〜98質量部であり、更に好ましくは95〜97質量部である。
(ポリマー粒子)
本実施形態におけるポリマー粒子は、アクリロニトリル系ポリマーからなる中空微粒子又はアクリル酸塩/アクリルアミド系ポリマーからなる吸水性高分子(吸水性微粒子)である。
(中空微粒子)
中空微粒子は、粒子中心が空洞となった粒子である。建築・土木分野の用途としては、軽量化や塗料への添加など様々な用途で広く使用されているが、モルタル、コンクリートにおいては凍結融解抵抗性の向上を目的に使用される。塩化物浸透抵抗性を損なうことなく、優れた凍結融解抵抗性を有するモルタル、コンクリートを得るためには適切な含有量および粒子径の中空微粒子を選択することが望ましい。本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材において、中空微粒子の含有量は、シリカフューム及びメタカオリンの合計量100質量部に対して0.5〜7.5質量部が好ましく、1〜6.5質量部がより好ましく、2〜5.5質量部がさらに好ましい。中空微粒子の平均粒子径は、10〜30μmが好ましい。
中空微粒子はアクリロニトリル系ポリマーから形成されている。アクリロニトリル系ポリマーとしては、モノマー単位としてアクリロニトリルを含有するポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリル系共重合体が挙げられる。
中空微粒子は、分散性の観点から、その表面がタルク、炭酸カルシウム等の無機粉体で被覆されていてよい。
(吸水性高分子)
吸水性高分子は、架橋構造の親水性物質であり、水と接触することにより吸水し膨潤する材料である。衛生材料用途として広く使用されていることが知られているが、建築・土木分野の用途としては、止水材や吸水材用途として使用されている。モルタル・コンクリートではその吸水性に着目して、凍結融解抵抗性を向上させることを目的とした使用方法が知られている。塩化物浸透抵抗性を損なうことなく、優れた凍結融解抵抗性を得るためには適切な含有量、粒子径及び吸水量の吸水性高分子を選択することが望ましい。吸水性高分子100質量部中のSの含有量は0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。吸水性高分子100質量部中のSiの含有量は1.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材において、吸水性高分子の含有量は、シリカフューム及びメタカオリンの合計量100質量部に対して0.4〜1.2質量部が好ましく、0.6〜1.0質量部がより好ましい。吸水性高分子の平均粒子径は5〜25μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
以下の模擬上澄水中に浸せき3時間後の、吸水性高分子の吸水倍率は15〜40g/gであることが好ましい。
模擬上澄水:pHが11〜14であり、且つCaイオン濃度が300〜3000mg/L、Naイオン濃度が10〜1000mg/L、Kイオン濃度が10〜1000mg/L、SOイオン濃度が300〜3000mg/L、及びClイオン濃度が10〜200mg/Lである。
本実施形態において、吸水性高分子はアクリル酸塩/アクリルアミド系ポリマーから形成されている。アクリル酸塩/アクリルアミド系ポリマーは、モノマー単位としてアクリル酸塩及びアクリルアミドを含有する共重合体である。
本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材において、混和材中に含まれる反応性の高いSiO量とAl量のバランスをとる観点から、シリカフュームの含有量は30〜70質量部であるが、好ましくは35〜65質量部であり、より好ましくは40〜60質量部であり、更に好ましくは45〜55質量部であり、特に好ましくは47〜53質量部である。
メタカオリンの含有量は30〜70質量部であるが、好ましくは35〜65質量部であり、より好ましくは40〜60質量部であり、更に好ましくは45〜55質量部であり、特に好ましくは47〜53質量部である。
<水硬性組成物>
本実施形態に係る水硬性組成物は、上記のモルタル・コンクリート用混和材と、結合材とを含む。
(結合材)
結合材はセメントを含む。セメントとして、ポルトランドセメント、高炉セメントが挙げられる。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントが挙げられる。これらのうち一種を単独で使用してもよく二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末等を適時セメントに加えて使用しても良い。
ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜4800cm/g、より好ましくは2800〜4000cm/g、更に好ましくは3000〜3600cm/g、特に好ましくは3200〜3500cm/gである。ポルトランドセメントのブレーン比表面積が2500cm/g未満では、モルタル硬化物及びコンクリート硬化物の強度が低くなる傾向にあり、4800cm/gを超えると低水セメント比での流動性が低下する傾向にある。
本実施形態に係る水硬性組成物において、上記結合材100質量部に対するシリカフュームの量及びメタカオリンの量は、それぞれ1〜15質量部であり、好ましくは2〜12質量部であり、より好ましくは3〜10質量部であり、更に好ましくは4〜8質量部である。シリカフュームの含有量及びメタカオリオンの含有量がそれぞれ1質量部未満であると、塩化物浸透抵抗性及び圧縮強度の向上効果が弱まる傾向にあり、含有量がそれぞれ15質量部を超えると、所定のフレッシュ性状の確保(流動性、空気量等)が難しくなるほか、中性化に対する抵抗性が低下する傾向にある。
本実施形態に係る水硬性組成物において、上記結合材100質量部に対する中空微粒子の量は、0.05〜0.75質量部であり、好ましくは0.08〜0.7質量部であり、より好ましくは0.1〜0.6質量部である。中空微粒子の含有量が0.05質量部未満であると、凍結融解抵抗性の向上効果が得難くなる傾向にあり、含有量が0.75質量部を超えると、圧縮強度が低下する傾向にある。
本実施形態に係る水硬性組成物において、上記結合材100質量部に対する吸水性高分子の量は、0.04〜0.4質量部であり、好ましくは0.05〜0.2質量部であり、より好ましくは0.06〜0.1質量部である。吸水性高分子の含有量が0.04質量部未満であると、凍結融解抵抗性の向上効果が得難くなる傾向にあり、含有量が0.4質量部を超えると、所定の流動性の確保が難しくなる傾向にある。
<セメント組成物>
本実施形態に係るセメント組成物は、上記の水硬性組成物と、水と、細骨材と、減水剤と、AE剤とを含む。
(水)
水として、水道水、蒸留水、上澄水、スラッジ水又は脱イオン水などを使用すればよい。水と結合材の質量比(水/結合材)は好ましくは0.21〜0.70であり、より好ましくは0.23〜0.68であり、更に好ましくは0.25〜0.66であり、特に好ましくは0.27〜0.63である。この質量比が0.21未満であると、所定のフレッシュ性状(流動性、空気量等)や成形性の確保が難しくなる傾向にあり、0.70を超えると、圧縮強度や耐久性が低下する傾向にある。
本実施形態に係るセメント組成物において、水と水硬性組成物の質量比(水/水硬性組成物)は好ましくは0.30〜0.65であり、より好ましくは0.30〜0.63であり、更に好ましくは0.30〜0.60であり、特に好ましくは0.30〜0.55である。この比が0.65を超えると、圧縮強度や耐久性が低下する傾向にある。
(細骨材)
細骨材として、川砂、陸砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等を併用することができる。細骨材は、モルタルスラリーの流動性の観点から、粒径0.15mm以下の粒群を、好ましくは70〜98質量%、より好ましくは72〜97質量%、更に好ましくは75〜96質量%含む。細骨材は、粒径0.15mm以下の粒群を上記範囲で含むとともに、粒径0.075mm以下の粒群を、好ましくは16〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%、更に好ましくは25〜70質量%含む。なお、微粒分の調製方法は、特に限定されないが、例えば、2種類以上の粒度の異なる細骨材を混ぜ合わせることによって調製可能である。
(減水剤)
上記減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等を使用することができる。低水セメント比での流動性確保の観点から、減水剤として、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を用いることが好ましく、ポリカルボン酸系の高性能減水剤を用いることがより好ましい。本実施形態に係るセメント組成物における減水剤の配合量は、水硬性組成物の合計量100質量部に対して好ましくは0.2〜2.0質量部、より好ましくは0.2〜1.5質量部、更に好ましくは0.2〜1.0質量部である。
(AE剤)
上記AE剤としては、界面活性剤系、樹脂酸系等が挙げられる。本実施形態に係るセメント組成物におけるAE剤の配合量は、水硬性組成物の合計量100質量部に対して好ましくは0.0005〜0.050質量部、より好ましくは0.0006〜0.050質量部、更に好ましくは0.0007〜0.050質量部、特に好ましくは0.0008〜0.050質量部である。
(化学混和剤)
本実施形態に係るセメント組成物は、化学混和剤として、上記減水剤及びAE剤に加えて他の化学混和剤を含んでよい。他の化学混和剤としては、消泡剤、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤などが挙げられる。求められる性能に応じてこれらのうち、一種を単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記の組成からなるセメント組成物は、建築材料としてそのまま好適に使用でき、またセメント組成物と粗骨材とを混合してなるコンクリートとしても好適に使用できる。以下、かかるコンクリートについて説明する。
<コンクリート>
本実施形態に係るコンクリートは、上記のセメント組成物と、粗骨材を含む。上記本実施形態に係るセメント組成物に、粗骨材を適量組み合わせることにより、コンクリートを調製することできる。組み合わせる粗骨材の量及び水の量は、目標圧縮強度、じん性、及び目標スランプに応じて適宜変えればよい。
(粗骨材)
粗骨材としては、例えば、砂利、砕石、石灰石骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材等を使用することができる。また、上記粗骨材は、5mmの篩いに85質量%以上残留する粒径を有することがより好ましい。
所望の効果を得る観点から、コンクリートを構成する各成分の単位量(コンクリート1m中に含まれる成分量)は以下の範囲とすることが好ましい。
・結合材(好適にはポルトランドセメント):200〜700kg/m
・水:130〜200kg/m
・シリカフューム:5〜40kg/m
・メタカオリン:5〜40kg/m
・中空微粒子:0.2〜4.0kg/m又は吸水性高分子:0.1〜2.4kg/m
・減水剤:0.4〜8kg/m
・AE剤:0.002〜0.3kg/m
・細骨材:500〜1500kg/m
・粗骨材:500〜1500kg/m
結合材の単位量は上記のとおり好ましくは200〜700kg/mであり、より好ましくは200〜650kg/mであり、更に好ましくは250〜625kg/mであり、特に好ましくは300〜600kg/mである。
水の単位量は上記のとおり好ましくは130〜200kg/mであり、より好ましくは140〜190kg/mであり、更に好ましくは145〜185kg/mであり、特に好ましくは150〜180kg/mである。
シリカフュームの単位量は上記のとおり好ましくは5〜40kg/mであり、より好ましくは8〜35kg/mであり、更に好ましくは10〜30kg/mであり、特に好ましくは15〜25kg/mである。シリカフュームの単位量が5kg/m未満であると、塩化物浸透抵抗性及び圧縮強度の向上効果が得難くなる傾向にあり、40kg/mを超えると、所定のフレッシュ性状の確保(流動性、空気量等)が難しくなるほか、中性化に対する抵抗性が低下する傾向にある。
メタカオリンの単位量は、上記のとおり好ましくは5〜40kg/mであり、より好ましくは8〜35kg/mであり、更に好ましくは10〜30kg/mであり、特に好ましくは15〜25kg/mである。メタカオリンの単位量が5kg/m未満であると、塩化物浸透抵抗性及び圧縮強度の向上効果が得難くなる傾向にあり、40kg/mを超えると、所定のフレッシュ性状の確保(流動性、空気量等)が難しくなるほか、中性化に対する抵抗性が低下する傾向にある。
中空微粒子の単位量は、上記のとおり好ましくは0.2〜4.0kg/mであり、より好ましくは0.3〜3.5kg/mであり、更に好ましくは0.4〜3.0kg/mであり、特に好ましくは0.5〜2.0kg/mである。中空微粒子の単位量が0.2kg/m未満であると、凍結融解抵抗性の向上効果が得難くなる傾向にあり、4.0kg/mを超えると、圧縮強度が低下する傾向にある。
吸水性高分子の単位量は、上記のとおり好ましくは0.1〜2.4kg/mであり、より好ましくは0.2〜2.0kg/mであり、更に好ましくは0.3〜1.6kg/mであり、特に好ましくは0.34〜1.2kg/mである。中空微粒子の単位量が0.1kg/m未満であると、凍結融解抵抗性の向上効果が得難くなる傾向にあり、2.4kg/mを超えると、所定の流動性の確保が難しくなる傾向にある。
減水剤の単位量は、上記のとおり好ましくは0.4〜8kg/mであり、より好ましくは0.4〜7kg/mであり、更に好ましくは0.4〜6kg/mであり、特に好ましくは0.4〜5kg/mである。減水剤の単位量が0.4kg/m未満であると、所定のフレッシュ性状の確保(流動性、空気量等)が難しくなる傾向にあり、8kg/mを超えると、凝結遅延が生じる可能性がある。
AE剤の単位量は、上記のとおり好ましくは0.002〜0.3kg/mであり、より好ましくは0.0025〜0.3kg/mであり、更に好ましくは0.003〜0.3kg/mであり、特に好ましくは0.0035〜0.3kg/mである。消泡剤の単位量が0.002kg/m未満の場合又は0.3kg/mを超える場合、所定のフレッシュ性状の確保(流動性、空気量等)が難しくなる傾向にある。
細骨材の単位量は、上記のとおり好ましくは500〜1500kg/mであり、より好ましくは530〜1300kg/mであり、更に好ましくは560〜1100kg/mであり、特に好ましくは600〜1000kg/mである。
粗骨材の単位量は上記のとおり好ましくは500〜1500kg/mであり、より好ましくは600〜1400kg/mであり、更に好ましくは700〜1300kg/mであり、特に好ましくは800〜1200kg/mである。
本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材を、例えば結合材、水、細骨材及び化学混和剤と混合することで、塩化物浸透抵抗性、凍結融解抵抗性及び圧縮強度発現性に優れるセメント組成物を容易に得ることができる。また、この混和材を、例えば結合材、水、細骨材、粗骨材及び化学混和剤と混合することで、塩化物浸透抵抗性、凍結融解抵抗性及び圧縮強度発現性に優れるコンクリートを容易に得ることができる。
実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[1.使用材料]
以下の表1、表2及び表3に示す材料を使用した。
Figure 0006911991
Figure 0006911991
Figure 0006911991
[2.使用材料の分析試験]
(1)粉末X線回折分析
表2に示したメタカオリンについて、粉末X線回折分析により鉱物組成を測定した。X線回折装置は、ブルカージャパン社製D2 PHASER 2nd Genを使用した。X線の測定条件は管電圧30kV、管電流10mA、ステップ間隔0.02°、計測時間0.5sとした。測定材料に対して内部標準物質(Al)を9:1の割合で混合して、振動ミルにかけた試料について、リートベルト解析ソフトMDI JADE 6を用いて、検出物の定量を行った。結果を表4に示す。
(2)比表面積測定試験
表2に示したメタカオリンについて、BET法に準じた比表面積の測定を行った。比表面積測定装置は、日本ベル社製BELSORPを使用した。結果を表4に示す。
Figure 0006911991
表3に示した吸水性高分子について、以下に示す(3)〜(6)の試験を行った。結果を表5、表6、図1、図2に示す。なお、図1は、吸水性高分子SAP1に対する赤外吸収スペクトルであり、図2は、吸水性高分子SAP2に対する赤外吸収スペクトルである。
(3)模擬上澄水中での吸水量試験
JIS K 7223「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」を参考にして吸水量の測定を行った。吸水量の測定には模擬上澄水を使用した。模擬上澄水は、20℃の環境下にて、普通ポルトランドセメントと上水道水を質量比1:4で混合し、ハンドミキサで十分に撹拌し、密封して24時間以上静置した後に、上澄水のみ採取して作製した。模擬上澄水のpHは12.4であり、模擬上澄水中の成分は、Na=86.5mg/L、K=420mg/L、SO=1430mg/L、Ca=1290mg/L、Cl=59.0mg/Lであった。吸水性高分子を模擬上澄水に浸せきさせてから3時間後の吸水倍率を測定した。
(4)赤外分光分析(IR)
赤外分光分析より得られる吸収ピークより、吸水性高分子の構造を推定した。測定装置は、Agilent technologies製3100を使用した。測定方法は、KBr透過法とした。横軸に波数、縦軸に透過率をプロットした。
(5)蛍光X線分析
蛍光X線分析より主要元素の測定を行った。測定装置は、リガク社製ZSX Primusを使用した。定量方法は、FP法とした。
(6)熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析(Py−GC/MS)
熱分解−ガスクロマトグラフ/質量分析より吸水性高分子のポリマー成分を調べた。吸水性高分子をHe雰囲気下で、設定温度550℃に保持させた加熱炉内に導入し、発生したガスを直接、ガスクロマトグラフ質量分析装置で分離定性した。測定装置は、島津製作所社製QP−5000を使用した。
Figure 0006911991
Figure 0006911991
[3.コンクリートの配合]
上記材料を用いた、コンクリートの配合を以下の表7に示す。シリカフュームとメタカオリンの比は1:1とした。シリカフュームとメタカオリンの合計量に対する、中空微粒子の比は0〜5質量%、吸水性樹脂の比は0〜1.68質量%とした。目標空気量は、4.5〜5.5%とした。目標空気量が得られるよう、AE剤の量を調整した。
Figure 0006911991
[4.コンクリートの調製及び試験方法]
(1)コンクリートの練り混ぜ
表7に示した配合のコンクリートの練り混ぜは次の手順で行った。すなわち、水平二軸強制練りミキサ内に、細骨材、粗骨材、セメント及び混和材を投入して30秒間空練りした後、水(混和剤を含む)を加えて120秒間練り混ぜた。
(2)コンクリートのフレッシュ性状
フレッシュコンクリートの性状試験として、スランプ及び空気量を測定した。スランプ試験はJIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」、空気量の測定はJIS A 1128「コンクリートの空気量の圧力による試験方法―空気室圧力方法」に準じて実施した。
(3)コンクリート供試体の養生
コンクリート供試体の養生は、材齢初期に蒸気養生にて実施した。20℃で4時間の前置きの後、昇温速度10℃/hrにて昇温、60℃で3時間保持し、降温速度10℃/hrにて降温させた。材齢1日以降は20℃の恒温室で気中養生した。
(4)拡散係数測定試験
塩化物イオンの実効拡散係数の測定は、土木学会規準JSCE−G571−2010「電気泳動によるコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験方法(案)」に準拠して行った。直径10cm、高さ20cmの円柱供試体の中央部から5.0cmの円盤型供試体を切り出し、円周面をエポキシ樹脂でシーリングした後、真空飽和処理を行い、供試体を水で飽和させた。電気泳動セルに供試体を設置して直流定電圧15Vを電極間に印加し、陽極側(0.5mol/L・NaCl水溶液)および陰極側(0.3mol/L・NaOH水溶液)の塩化物イオン濃度等を経時的に測定して、実効拡散係数を算出した。
(5)圧縮強度試験
JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて行い、材齢28日での圧縮強度を測定した。
(6)スケーリング試験
RILEM CDF法を参考に試験を行った。10×10×40cmのコンクリート供試体から、乾式カッターで10×10×15cmの角柱供試体を切り出し、10mmの深さの3%NaCl溶液に5mmまで浸漬してステンレス容器内に設置した。試験対象面(NaCl溶液浸漬面)は10×10cmの型枠面とした。凍結融解サイクルはJIS A 1148に準じて行い、300サイクル経過後のスケーリング量(試験面から剥離したコンクリート質量)の測定を行った。
[5.試験結果]
コンクリートのフレッシュ性状、材齢28日での圧縮強度、塩化物イオン実効拡散係数、およびスケーリング量を以下の表8に示す。
なお、中空微粒子、吸水性高分子を添加していないNo.1、2との比較によって評価結果を判定した。評価の基準は以下のとおりとした。
◎:塩化物イオン実効拡散係数がNo.1、2を下回り、且つスケーリング量が0.01g/cmを下回る。
〇:塩化物イオン実効拡散係数及びスケーリング量がNo.1、2を下回る。
×:塩化物イオン実効拡散係数又はスケーリング量のいずれかがNo.1、2を上回る。
Figure 0006911991
[6.評価]
MK1を使用したNo.1と、MK2を使用したNo.2とを比較すると、塩化物イオン実効拡散係数及びスケーリング量ともに、No.2はNo.1を下回る。X線回折分析の結果、MK2は、塩化物浸透抵抗性に影響を及ぼすと考えられるムライト、カオリナイトが所定量であることが分かった。加えて、MK2は、X線回折分析では検出できない、非晶質成分を多く含んでいることが分かった。このような特徴を有するメタカオリンを一定量使用すると、塩化物浸透抵抗性とスケーリング抵抗性に優れたコンクリートを得ることができる。
さらに、MK2を使用し、且つ特定の中空微粒子又は吸水性高分子を使用した実施例(No.3、4、5、6)については、塩化物イオン実効拡散係数及びスケーリング量ともに、No.2を下回った。吸水性高分子については、平均粒子径が小さく、模擬上澄水中に浸せき3時間後の吸水倍率が大きいSAP1を一定量使用した場合に、所望の性能が得られた。上記の特徴を有するメタカオリンを一定量使用し、且つ特定の中空微粒子又は吸水性高分子を一定量使用したコンクリートでは、塩化物浸透抵抗性とスケーリング抵抗性を同時に高水準で達成することが可能となる。
以上より、本実施例の混和材を使用したコンクリートは、塩化物浸透抵抗性及びスケーリング抵抗性に優れるコンクリートであることが確認された。

Claims (8)

  1. シリカフューム、メタカオリン、及びポリマー粒子を含むモルタル・コンクリート用混和材であって、
    前記ポリマー粒子が、アクリロニトリル系ポリマーからなる中空微粒子又はアクリル酸塩/アクリルアミド系ポリマーからなる吸水性高分子であり、
    前記シリカフューム及び前記メタカオリンの合計量100質量部中の、前記シリカフュームの含有量が30〜70質量部であり、前記メタカオリンの含有量が30〜70質量部であり、
    前記シリカフューム及び前記メタカオリンの合計量100質量部に対して、前記中空微粒子を0.5〜7.5質量部又は前記吸水性高分子を0.4〜1.2質量部含み、
    前記メタカオリン100質量部中のムライトの含有量が4.0質量部以下であり、且つカオリナイトの含有量が0.3〜3.0質量部であり、
    前記メタカオリン100質量部中の非晶質の含有量が95質量部以上である、モルタル・コンクリート用混和材。
  2. 前記ポリマー粒子が、前記中空微粒子であり、
    前記中空微粒子の平均粒子径が10〜30μmである、請求項に記載のモルタル・コンクリート用混和材。
  3. 前記ポリマー粒子が、前記吸水性高分子であり、
    前記吸水性高分子100質量部中のSiの含有量が1.0質量部以下であり、
    前記吸水性高分子の平均粒子径が5〜25μmであり、
    pHが11〜14であり、且つCaイオン濃度が300〜3000mg/L、Naイオン濃度が10〜1000mg/L、Kイオン濃度が10〜1000mg/L、SOイオン濃度が300〜3000mg/L、及びClイオン濃度が10〜200mg/Lである模擬上澄水中に浸せき3時間後の前記吸水性高分子の吸水倍率が15〜40g/gである、請求項1に記載のモルタル・コンクリート用混和材。
  4. 前記ポリマー粒子が、前記中空微粒子であり、
    前記シリカフューム及び前記メタカオリンの合計量100質量部に対して、前記中空微粒子を2.5〜7.5質量部含む、請求項1又は2に記載のモルタル・コンクリート用混和材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモルタル・コンクリート用混和材及び結合材を含む水硬性組成物であって、前記結合材がセメントを含み、
    前記結合材100質量部に対して、前記シリカフュームを1〜15質量部含み、前記メタカオリンを1〜15質量部含み、前記中空微粒子を0.05〜0.75質量部又は前記吸水性高分子を0.04〜0.4質量部含む、水硬性組成物。
  6. 請求項5に記載の水硬性組成物、水、細骨材、減水剤及びAE剤を含み、
    前記減水剤の含有量が、前記水硬性組成物100質量部に対して0.2〜2.0質量部であり、
    前記AE剤の含有量が、前記水硬性組成物100質量部に対して0.0005〜0.050質量部である、セメント組成物。
  7. 請求項6に記載のセメント組成物及び粗骨材を含むコンクリートであって、前記コンクリート1m中に、
    前記結合材を200〜700kg、
    前記水を130〜200kg、
    前記シリカフュームを5〜40kg、
    前記メタカオリンを5〜40kg、
    前記中空微粒子を0.2〜4.0kg又は前記吸水性高分子を0.1〜2.4kg、
    前記減水剤を0.4〜8kg、
    前記AE剤を0.002〜0.3kg、
    前記細骨材を500〜1500kg、及び
    前記粗骨材を500〜1500kg含む、コンクリート。
  8. 最低温度が0℃未満且つ最高温度が0℃を超える環境下、又は、塩化物と接触する環境下で用いられる構造物用である、請求項7に記載のコンクリート。
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