以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本実施形態に係るHEMS装置10を含む電力管理システム1の全体の概略構成について説明する。電力管理システム1は、住宅20内の電力を管理するシステムである。電力管理システム1は、分電盤201と、PCS(Power Conditioning System)203と、蓄電装置205と、HEMS装置10と、を備えている。電力管理システム1は、太陽光発電装置204が発電する電力及び電力系統40から供給される電力を分配すると共に余剰の電力を蓄電装置205に蓄電する。電力管理システム1は、複数の電気機器206及び充放電装置50によって消費される電力を管理する。
PCS203は、太陽光発電装置204により発電される直流電力を住宅で使用可能な交流電力に変換する。太陽光発電装置204は、住宅20の屋上に配置された太陽光パネルを有し、当該太陽光パネルにより太陽光のエネルギーを直流電力に変換することで発電する。PCS203は、変換した交流電力を分電盤201に供給する。
分電盤201は、電力系統40及びPCS203から供給される交流電力を、蓄電装置205、充放電装置50、及び電気機器206に供給する。電気機器206には、例えば、空調装置、照明装置、掃除機、扇風機などの家庭内で用いられる各種電気機器が含まれている。
分電盤201は、主開閉器202を備えている。主開閉器202は、電路を開閉する電力機器である。主開閉器202は、電気使用契約に基づく最大電流を超過すると、電路を遮断する。
分電盤201は、蓄電装置205、充放電装置50、及び電気機器206の各種電気機器等の個別の消費電力、並びに住宅20の全体の消費電力を検出する機能を有している。また、分電盤201は、PCS203から供給される電力、すなわち太陽光発電装置204の発電電力を検出する機能も有している。
蓄電装置205は、電力系統40及びPCS203から分電盤201を介して供給される交流電力を充電に適した電力に変換した上で充電する。蓄電装置205は、蓄電電力を、分電盤201を介して充放電装置50や電気機器206に供給することが可能である。
充放電装置50は、電力系統40やPCS203、蓄電装置205等から分電盤201を介して供給される交流電力に基づいて、車両60のバッテリ604を充電する。また、充放電装置50は、車両60のバッテリ604の放電に基づいて、分電盤201を介して蓄電装置205や電気機器206の各種電気機器に電力を供給することも可能である。
充放電装置50は、充放電ECU501と、操作部502と、スイッチング素子503と、接続部504と、を備えている。
操作部502は、充放電装置50の各種操作を行う部分である。操作部502では、例えば車両60のバッテリ604の充電の開始及び停止、並びにバッテリ604の放電の開始及び停止等を操作することができる。
スイッチング素子503は、オン状態になることにより、分電盤201と接続部504とを接続状態にする。これにより、分電盤201と接続部504との間での電力の授受が許可された状態となる。また、スイッチング素子503は、オフ状態になることにより、分電盤201と接続部504とを遮断状態にする。これにより、分電盤201と接続部504との間での電力の授受が禁止された状態となる。
車両60は、不図示のモータを走行用の動力源とする電気自動車である。この電気自動車としては、プラグインハイブリッド車も含まれる。車両60は、車両ECU601と、車両用空調装置602と、電力変換部603と、バッテリ604と、スイッチング素子605と、被接続部606と、を備えている。
車両ECU601は、車両60の発進、加速、減速、停止、操舵といった運転動作を統括するものである。車両ECU601は、CPUといった演算部や、RAM及びROMといった記憶部、データの授受を行うためのインターフェイス部を備えるコンピュータとして構成されている。
車両用空調装置602は、冷媒を用いる蒸気圧縮式の冷凍サイクル及びヒータコアを有する空調装置である。車両用空調装置602は、車両60に搭載され、車両60の車室内に空調風を供給する。車両用空調装置602は、車両60のバッテリ604の電力を用いて作動する。車両用空調装置602は、車両ECU601から送信される制御信号に基づいて、当該制御信号の内容に応じた各種作動を行う。車両用空調装置602は、暖房モード、冷房モード、デフロスタモード等の運転モードで運転が可能であり、車両ECU601の制御信号に基づいて、当該制御信号に応じた運転モードで作動する。尚、デフロスタモードは、車両60の窓(例えば、フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、又はリアウィンドウ)に空調風を供給する運転モードである。
車両用空調装置602は、暖房モードで作動し、車両60の車室内に温風を供給することにより、車両60の窓における着霜又は着雪を防止する機能を果たす。車両用空調装置602は、デフロスタモードで作動し、車両60の窓に直接的に風を供給することにより、車両60の窓における着霜又は着雪を防止する機能を果たすこともできる。
ところで、このような機能に鑑みると、車室内に温風を供給する暖房モードの方が車室内全体を温めることができることから、窓のみに温風を供給するデフロスタモードよりも好適である。但し、暖房モードでは、デフロスタモードの場合よりも車両用空調装置602における電力消費が大きくなるため、少ない消費電力で着霜又は着雪を防止する場合には、デフロスタモードが好適である。本実施形態においては、デフロスタモードは、車両用空調装置602の運転モードのうち暖房モードよりも作動強度が小さい運転モードに相当する。
電力変換部603は、バッテリ604を充電する場合には、充放電装置50から被接続部606を介して供給される交流電力を直流電力に変換してバッテリ604に供給する。また、電力変換部603は、バッテリ604を放電させる場合には、バッテリ604に蓄えられている直流電力を交流電力に変換するとともに、変換した交流電力を被接続部606及び接続部504を介して充放電装置50に供給する。
バッテリ604は、充電及び放電の可能なリチウムイオン電池等の二次電池で構成されている。バッテリ604は、車両60に搭載されているモータや車両用空調装置602等の各種電気機器の電力源として用いられる。
スイッチング素子605は、オン状態になることにより、被接続部606と電力変換部603とを接続状態にする。これにより、充放電装置50とバッテリ604との間での電力の授受が許可された状態となる。また、スイッチング素子605は、オフ状態になることにより、被接続部606と電力変換部603とを遮断状態にする。これにより、充放電装置50とバッテリ604との間での電力の授受が禁止された状態となる。
被接続部606は、充放電装置50の接続部504が接続される部分である。被接続部606に充放電装置50の接続部504が接続されることにより、充放電装置50と車両60との間で電力の授受が可能になるとともに、車両ECU601と充放電ECU501との間で通信が可能となる。
次に、充放電装置50及び車両60の動作について説明する。
ユーザは、バッテリ604の充電を行う際には、車両60の被接続部606に充放電装置50の接続部504を接続した後、充放電装置50の操作部502に対して充電開始操作を行う。充放電ECU501は、操作部502に対して充電開始操作が行われたことを検知した場合には、充電開始信号を車両ECU601に送信する。
車両ECU601は、不図示の接続状態センサの出力信号に基づいて被接続部606に充放電装置50の接続部504が接続されていることを検知する。車両ECU601は、被接続部606に充放電装置50の接続部504が接続されていることを検知している状態で、充放電ECU501から送信される充電開始信号を受信すると、準備処理を実行する。具体的には、車両ECU601は、準備処理として、スイッチング素子605をオン状態にする。車両ECU601は、準備処理が完了した場合には、準備完了信号を充放電ECU501に送信する。
充放電ECU501は、車両ECU601から送信される準備完了信号を受信すると、スイッチング素子503をオン状態にする。充放電ECU501は、スイッチング素子503をオン状態にした後、準備完了信号を車両ECU601に送信する。車両ECU601は、充放電ECU501から送信される準備完了信号を受信すると、バッテリ604の充電を自動的に制御する充電制御を実行する。具体的には、車両ECU601は、充電制御として、充放電装置50から車両60に供給される電力によりバッテリ604が充電されるように電力変換部603を制御する。
車両ECU601は、バッテリ604が満充電になった場合には、充電完了処理を実行する。具体的には、車両ECU601は、充電完了処理として、スイッチング素子605をオフ状態にした後、充電終了信号を充放電ECU501に送信する。充放電ECU501は、充電終了信号を受信すると、スイッチング素子503をオフ状態にした後、電力遮断信号を車両ECU601に送信する。
尚、充放電装置50の操作部502に対して充電終了操作が行われた場合、その旨の信号が充放電ECU501から車両ECU601に送信される。この場合にも、車両ECU601は同様の充電完了処理を実行する。
一方、ユーザは、バッテリ604の放電を行う際には、車両60の被接続部606に充放電装置50の接続部504を接続した後、充放電装置50の操作部502に対して放電開始操作を行う。それ以降、充放電ECU501から送信される準備完了信号を受信するまでに車両ECU601により実行される処理は、バッテリ604の充電が行われる場合と同様である。
車両ECU601は、準備完了信号を受信すると、バッテリ604の放電を自動的に制御する放電制御を実行する。具体的には、車両ECU601は、放電制御として、バッテリ604を放電させるように電力変換部603を制御する。
車両ECU601は、バッテリ604が完全放電状態になった場合には、放電完了処理を実行する。放電完了処理の具体的な手順は、充電完了処理と同様の手順である。尚、充放電装置50の操作部502に対して放電終了操作が行われた場合、その旨の信号が充放電ECU501から車両ECU601に送信される。この場合にも、車両ECU601は同様の放電完了処理を実行する。
HEMS装置10は、CPUといった演算部や、RAM及びROMといった記憶部を備えるコンピュータとして構成されている。HEMS装置10は、分電盤201と通信可能に接続されている。HEMS装置10は、分電盤201から各種電力情報を取得するとともに、取得した電力情報に基づいて住宅20の電力を管理している。
例えば、HEMS装置10は、分電盤201から、蓄電装置205、電気機器206、及び充放電装置50のそれぞれの消費電力や、太陽光発電装置204の発電電力等の電力情報を取得する。HEMS装置10は、これらの電力情報に基づいて蓄電装置205、電気機器206、及び充放電装置50のそれぞれの動作をユーザの操作によらずに自動的に制御することにより、住宅20の全体の消費電力を節約する電力制御等を実行する。
HEMS装置10は、ハードウェア的な構成要素として、タッチパネル11と、スピーカ12と、を備えている。
タッチパネル11は、住宅20のユーザにより操作される装置である。タッチパネル11は、入力操作及び表示が可能となっている。本実施形態に係るHEMS装置10は、タッチパネル11によって入力されるログインID及びパスワードの入力に基づきユーザの認証を行う認証機能を有している。本実施形態に係るHEMS装置10では、ユーザの認証の成立に基づいて、HEMS装置10に関する各種表示や操作を行うことが可能となる。
例えば、HEMS装置10は、ユーザの認証の成立に基づいて、住宅20の全体の消費電力や、太陽光発電装置204の発電電力、蓄電装置205の充放電電力、電気機器206の消費電力、及び充放電装置50の充放電電力等をタッチパネル11に表示する。また、本実施形態に係るHEMS装置10では、タッチパネル11を操作することにより、太陽光発電装置204、蓄電装置205、電気機器206、及び充放電装置50を個別に操作することもできる。
スピーカ12は、各種報知を行うための装置である。スピーカ12は、音声を発することにより、ユーザに各種メッセージを通知する。
HEMS装置10は、温度センサ208及び湿度センサ209から温度データ及び湿度データを受信することができるように構成されている。HEMS装置10は、情報端末207と情報通信可能なように構成されている。HEMS装置10は、ネットワーク30を介して気象サーバ31から情報を受信可能なように構成されている。
温度センサ208は、周囲の温度Tを検出するとともに、検出した温度Tに応じた信号を出力する。温度センサ208は、車両60の周辺の温度を検出できるように、住宅20に設置されている。
湿度センサ209は、周囲の湿度Hを検出するとともに、検出した湿度Hに応じた信号を出力する。湿度センサ209は、車両60の周辺の湿度を検出できるように、住宅20に設置されている。
情報端末207は、例えばユーザが所持するスマートフォンやタブレット端末である。情報端末207では、タッチパネル11の場合と類似のユーザ認証、各種表示、及び各種操作を行うことが可能となっている。
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係るHEMS装置10の機能的な構成について説明する。HEMS装置10は、機能的な構成要素として、支障情報取得部101と、支障判断部102と、空調指示出力部103と、情報通知部104と、使用状況取得部105と、使用状況記録部106と、を備えている。
支障情報取得部101は、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生するか否かの情報である支障予報情報を取得する部分である。支障情報取得部101は、ネットワーク30を介して支障予報情報を受信することが可能となっている。天候情報としては、例えば、気温、湿度、風速、天気などの情報が含まれる。
支障判断部102は、支障情報取得部101が取得した支障予報情報に基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する支障判断処理を実行する部分である。支障予報情報が、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生することを示している場合、支障判断部102は、所定時間後に視界支障状態となると判断する。支障予報情報が、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生することを示していない場合、支障判断部102は、所定時間後に視界支障状態とならないと判断する。
また、支障判断部102は、温度センサ208によって出力された温度T及び湿度センサ209によって出力された湿度Hに基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する支障判断処理を実行することもできる。この温度T及び湿度Hは、車両60の周辺が降霜又は降雪の生じる環境であるか否かを判断するときの条件項目として用いられる。以下、温度センサ208によって出力された温度T及び湿度センサ209によって出力された湿度Hを含む車両60の周辺環境の情報を、周辺環境情報という。尚、周辺環境情報として、太陽光発電装置204の発電電力が含まれていても良い。この場合、支障判断部102は、温度T及び湿度Hを考慮しつつ、例えば、太陽光発電装置204の発電電力量が所定値以上の場合に、天気が雨ではないので降霜又は降雪が生じると判断し、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となると判断する。
支障判断部102は、支障予報情報を取得した後に周辺環境情報を取得した場合、支障予報情報に変えて周辺環境情報に基づいて支障判断処理を実行することも可能である。周辺環境情報が、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生することを示している場合、支障判断部102は、所定時間後に視界支障状態となると判断する。周辺環境情報が、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生することを示していない場合、支障判断部102は、所定時間後に視界支障状態とならないと判断する。
空調指示出力部103は、支障判断部102の判断結果に基づいて、車両用空調装置602を作動させる指示情報を出力する部分である。本実施形態では、空調指示出力部103が出力する指示情報に基づいて、車両ECU601が、当該指示情報の内容に応じた制御信号を車両用空調装置602に送信する。これにより、車両用空調装置602が、当該制御信号の内容に応じた作動を行う。本実施形態においては、HEMS装置10は、車両用空調装置602を制御する情報を出力する空調制御装置に相当する。
本実施形態に係るHEMS装置10においては、支障判断部102の判断結果が、所定時間後に視界支障状態になるというものである場合に、空調指示出力部103は、車両60への着霜又は着雪を低減させるように車両用空調装置602を作動させる支障回避制御を実行するための回避指示情報を出力する。一方、支障判断部の判断結果が、所定時間後に視界支障状態にならないというものである場合、空調指示出力部103は、回避指示情報を出力しない。
情報通知部104は、車両60のユーザに情報を通知する部分である。支障判断部102の判断結果が、所定時間後に視界支障状態になるというものである場合に、情報通知部104は、その旨を通知する。情報通知部104は、タッチパネル11、スピーカ12、及び情報端末207のそれぞれに制御信号を送信し、所定時間後に視界支障状態になる旨及び視界支障状態を回避するために車両用空調装置602を作動させる予定である旨をユーザに通知する。
タッチパネル11及び情報端末207は、情報通知部104から送信される制御信号に基づいて、所定時間後に視界支障状態になることを表示する。スピーカ12は、情報通知部104から送信される制御信号に基づいて、所定時間後に視界支障状態になることを音声で通知する。ユーザに通知するメッセージとしては、例えば、「mm/ddは着霜や着雪のおそれがある為、車両のバッテリを充放電装置へ接続して下さい。06:00に車内暖房を開始し自動で霜や雪を溶かします」というものである。
使用状況取得部105は、電気使用契約内における電気機器群である電気機器206及び充放電装置50の電気使用状況を取得する部分である。
使用状況記録部106は、電気使用契約内における電気機器群である電気機器206及び充放電装置50の電気使用状況を記録する部分である。
上記の通り、HEMS装置10は、所定時間後に着霜又は着雪によって車両60の視界確保に支障が発生するか否かの情報である支障予報情報に基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する支障判断処理を実行する、支障判断部102を備える。HEMS装置10は、支障判断部102の判断結果に基づいて、車両用空調装置602を作動させる指示情報を出力する空調指示出力部103を更に備える。空調指示出力部103は、支障判断部102の判断結果が、所定時間後に視界支障状態になるというものである場合に、車両60への着霜又は着雪を低減させるように車両用空調装置602を作動させる支障回避制御を実行するための回避指示情報を出力する。一方で、空調指示出力部103は、支障判断部102の判断結果が、所定時間後に視界支障状態にならないというものである場合、回避指示情報を出力しない。
本実施形態では、支障予報情報を取得し、視界支障状態となるか否かを判断することで、所定時間後において車両60の視界確保に支障が発生するか否かを判断することができる。所定時間後において車両60の視界確保に支障が発生すると判断された場合に、支障回避制御を実行するための回避指示情報を出力するので、車両用空調装置602を作動させることで車両60への着霜又は着雪を低減させることができ、視界を確保することができる。一方、所定時間後において視界確保に支障が発生しない場合には支障回避制御を実行するための回避指示情報を出力しないので、電気エネルギーを無駄使いしない。
本実施形態に係るHEMS装置10においては、支障情報取得部101は、ネットワーク30を介して前記支障予報情報を受信する。支障情報取得部101は、ネットワーク30を介して支障予報情報を受信するので、例えば天候情報を専門に提供する気象サーバ31を利用することが可能となり、着霜又は着雪が見込まれる状況を的確に把握することができる。
本実施形態に係るHEMS装置10においては、支障情報取得部101は、車両60周辺の温度及び湿度を含む周辺環境情報を取得する。支障判断部102は、支障予報情報に周辺環境情報を加え又は周辺環境情報に変えて、支障判断処理を実行する。
支障判断部102は、支障予報情報に加え、周辺環境情報にも基づいて支障判断処理を実行するので、例えば支障予報情報では支障なしとの予報だったものの、周辺環境情報から判断して着霜又は着雪が見込まれる場合に、支障回避制御を実行し視界を確保することができる。一方、支障判断部102は、支障予報情報に変えて、周辺環境情報に基づいて支障判断処理を実行することもできるので、例えば、支障予報情報を受信できない場合や支障予報情報の信頼度が低い場合であっても、必要に応じた支障回避制御の実行が可能となる。
HEMS装置10は、車両60のユーザに情報を通知する情報通知部104を更に備える。支障判断部102の判断結果が、所定時間後に視界支障状態になるというものである場合に、情報通知部104は、その旨を通知する。所定時間後において車両60の視界確保に支障が発生すると判断された場合に、その旨を車両60のユーザに通知することができるので、ユーザは車両60と空調指示出力部103とを通信可能な状態にすることができる。
続いて、図3〜図5を参照しながら、HEMS装置10の制御動作について説明する。図3のステップS101では、支障情報取得部101は、最初に支障予報情報を取得するタイミングであるか否かを判断する。最初に支障予報情報を取得するタイミングは、予め定められたタイミングである。例えば、ユーザによる車両60と空調指示出力部103との接続作業を考慮して十分に時間的余裕があるように、所定時間後の車両60の使用開始時よりも十分に早いタイミングに設定される。車両60の使用開始時よりも十分に早いタイミングとは、例えば、車両60の使用日前日の夕方頃である。最初に支障予報情報を取得するタイミングであれば、ステップS102の処理に進む。最初に支障予報情報を取得するタイミングでなければ、ステップS101の処理を繰り返す。
ステップS102では、支障情報取得部101が、支障予報情報を取得する。取得された支障予報情報は、HEMS装置10の記憶部に記憶される。
ステップS102に続くステップS103では、支障判断部102が、支障予報情報に基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する。支障判断部102が視界支障状態となると判断した場合には、ステップS104の処理に進む。支障判断部102が視界支障状態とならないと判断した場合には、図4のステップS107の処理に進む。
ステップS104では、情報通知部104が、タッチパネル11、スピーカ12、及び情報端末207のそれぞれに制御信号を送信し、所定時間後に視界支障状態になる旨及び車両用空調装置を作動させる予定である旨をユーザに通知する。
ステップS104に続くステップS105では、HEMS装置10は、充放電装置50の接続部504が車両60の被接続部606に接続している状態であるか否かを判断する。充放電装置50の接続部504が車両60の被接続部606に接続している状態であれば、ステップS106の処理に進む。充放電装置50の接続部504が車両60の被接続部606に接続していない状態であれば、ステップS104の処理に戻る。
ステップS106では、支障情報取得部101が、車両60の使用開始の直前に支障予報情報を取得するタイミングであるか否かを判断する。直前に支障予報情報を取得するタイミングは、予め定められたタイミングである。例えば、車両60の使用開始時が午前6時過ぎの場合、その約1時間前である車両60の仕様日の午前5時頃に設定される。車両60の使用開始の直前に支障予報情報を取得するタイミングであれば、図4のステップS107の処理に進む。車両60の使用開始の直前に支障予報情報を取得するタイミングでなければ、ステップS106の処理を繰り返す。
図4のステップS107では、支障情報取得部101が、支障予報情報を取得する。取得された支障予報情報は、ステップS102にて取得された支障予報情報を更新するように、HEMS装置10の記憶部に記憶される。
ステップS107に続くステップS108では、支障判断部102が、支障予報情報に基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する。支障判断部102が視界支障状態となると判断した場合に、ステップS109の処理に進む。支障判断部102が視界支障状態とならないと判断した場合に、ステップS113の処理に進む。
ステップS109では、空調指示出力部103は、時刻t1までに電気機器群を構成する電気機器206の消費電力が増加する傾向にあるか否かを判断する。空調指示出力部103は、使用状況取得部105が分電盤201から取得する電力情報に基づいて、時刻t1までに電気機器206の消費電力が増加する傾向にあるか否かを判断する。時刻t1は、車両60の使用開始の直前の時刻(例えば、車両60の使用日の午前6時)である。空調指示出力部103は、使用状況記録部106が記録している過去の消費電力情報も用いて、時刻t1までに電気機器206の消費電力が増加する傾向にあるか否かを判断してもよい。
時刻t1までに電気機器206の消費電力が増加する傾向がなければ、まだユーザが活動開始していないため車両60の使用開始が早まることはなく通常通りであると判断し、ステップS110の処理に進む。時刻t1までに電気機器206の消費電力が増加する傾向が見られれば、既にユーザが通常よりも早めに活動開始していると判断することができるため、車両60の使用開始が通常よりも早まると判断し、図5のステップS115の処理に進む。
ステップS110では、空調指示出力部103は、時刻t1までに太陽光発電装置204によるPV(Photovoltaic)発電が開始しているか否かを判断する。空調指示出力部103は、分電盤201から取得するPCS203の電力情報に基づいて、PV発電が開始しているか否かを判断する。PV発電が開始されていれば、晴天であるということなので、降霜条件を満たす可能性が高いため、図5のステップS115の処理に進む。PV発電が開始されていなければ、ステップS111の処理に進む。尚、PV発電が開始されていなければ、曇天又は雨天である可能性が高く降霜条件を満たさない蓋然性が高いと判断することもできるので、処理を終了させてもよい。
ステップS111では、空調指示出力部103は、時刻t1以降に消費電力が増加した過去の実績があるか否かを判断する。空調指示出力部103は、使用状況記録部106に記録されている電気機器206の電気使用状況に基づいて、時刻t1以降に電気機器206の消費電力が増加した過去の実績があるか否かを判断する。例えば、空調指示出力部103は、所定回数以上又は所定頻度以上で消費電力が増加した実績が過去にある場合に、「実績がある」と判断する。
時刻t1以降に電気機器206の消費電力が増加した過去の実績がなければ、今回も時刻t1以降に電気機器206の消費電力が増加する可能性は低いと判断し、ステップS112の処理に進む。時刻t1以降に電気機器206の消費電力が増加した過去の実績があれば、今回も時刻t1以降に電気機器206の消費電力が増加する可能性が高いので、主開閉器202の電路遮断を避けるため、処理を早める必要があると判断し、図5のステップS115の処理に進む。
ステップS112では、空調指示出力部103は、現在時刻が時刻t1を経過しているか否かを判断する。時刻t1を経過していれば、図5のステップS115の処理に進む。時刻t1を経過していなければ、ステップS112の処理を繰り返す。
ステップS113では、空調指示出力部103は、時刻t1を経過しているか否かを判断する。時刻t1を経過していれば、ステップS114の処理に進む。時刻t1を経過していなければ、ステップS113の処理を繰り返す。
ステップS114では、支障判断部102が、車両60の周辺環境は車両60に降霜又は降雪が生じる条件である降霜条件を充足しているか否かを判断する。具体的には、支障判断部102が、周辺環境情報に基づいて、車両60の周辺が降霜又は降雪の生じる環境である否かを判断する。周辺環境情報は、上記の通り、温度T及び湿度Hを含む車両60の周辺環境の情報である。
周辺環境情報が、車両60の周辺が降霜又は降雪の生じる環境であることを示している場合、支障判断部102は、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となると判断し、図5のステップS115の処理に進む。周辺環境情報が、車両60の周辺が降霜又は降雪の生じる環境であることを示していない場合、支障判断部102は、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態とならないと判断し、一連の処理を終了する。
図5のステップS115では、空調指示出力部103は、車内温度が温度Thighより低いか否かを判断する。車内温度は、車両60の内部に設けられる不図示の温度センサなどにより検出されるものである。温度Thighは、車両60への着霜もしくは着雪が生じない程度に十分高い温度として設定された閾値である。車内温度が温度Thigh以上であれば、空調指示出力部103は、車両60への着霜もしくは着雪が生じないと判断し、ステップS116の処理に進む。車内温度がThighよりも低ければ、空調指示出力部103は、車両60への着霜もしくは着雪が生じると判断し、ステップS119の処理に進む。
ステップS116では、車両用空調装置602が暖房モードで作動中であれば、空調指示出力部103は、車両用空調装置602の暖房作動を停止するための処理を実行する。具体的には、空調指示出力部103が、車両用空調装置602の暖房作動停止を指示する指示情報を車両ECU601に出力する。これに基づいて、車両ECU601が、車両用空調装置602の暖房作動を停止する処理を実行する。これにより、車両用空調装置602の作動時間が、当該処理を実行しない場合よりも短縮される。
ステップS116に続くステップS117では、空調指示出力部103は、車内温度が温度Tlowより低いか否かを判断する。温度Tlowは、温度Thighよりも低温であり、この温度を下回ると車両60への着霜又は着雪が生じる温度として設定された閾値である。車内温度が温度Tlow以上であれば、空調指示出力部103は、車両60への着霜又は着雪が生じないと判断し、ステップS118の処理に進む。車内温度が温度Tlowより低ければ、空調指示出力部103は、車両60への着霜又は着雪が生じると判断し、ステップS115の処理に戻る。
ステップS118では、空調指示出力部103は、現在時刻が時刻t2よりも前であるか否かを判断する。時刻t2は、車両60の使用を開始する予定時刻、或いは当該予定時刻以前であって着霜又は着雪の解消が完了しているべき時刻としてユーザに設定されたものである。時刻t2より前であれば、ステップS115の処理に進む。時刻t2以降であれば、一連の処理を終了する。
ステップS119では、空調指示出力部103は、主開閉器202の電路遮断のおそれがあるか否かを判断する。具体的には、空調指示出力部103は、電気使用契約及び電気機器群を構成する電気機器206及び充放電装置50の電気使用状況に基づいて、主開閉器202の電路遮断のおそれがあるか否かを判断する。主開閉器202の電路遮断のおそれがあれば、ステップS120の処理に進む。主開閉器202の電路遮断のおそれがなければ、ステップS122の処理に進む。
ステップS120では、HEMS装置10は、主開閉器202の電路遮断のおそれがある程度の消費電力として、電気機器群を構成する電気機器206及び充放電装置50の電気使用状況を学習する処理を実行する。具体的には、使用状況記録部106に、電気機器206及び充放電装置50のそれぞれの消費電力を記録する。
ステップS120に続くステップS121では、空調指示出力部103は、暖房モードよりも作動強度が小さい運転モードであるデフロスタモードで車両用空調装置602を作動させる余地があるか否かを判断する。具体的には、空調指示出力部103は、電気使用契約及び現在の電気機器206の電気使用状況に基づいて、電気使用契約に基づく最大電流を超過することなく車両用空調装置602をデフロスタモードで作動させることが可能であるか否かを判断する。車両用空調装置602をデフロスタモードで作動させる余地がなければ、ステップS123の処理に進む。車両用空調装置602をデフロスタモードで作動させる余地があれば、ステップS124の処理に進む。
ステップS122では、空調指示出力部103は、車両用空調装置602を暖房モードで作動させるための処理を実行する。具体的には、空調指示出力部103が、車両用空調装置602の暖房作動を指示する回避指示情報を車両ECU601に出力する。回避指示情報は、車両60への着霜又は着雪を低減させるように車両用空調装置602を作動させる支障回避制御を実行するための情報である。これに基づいて、車両ECU601が、車両用空調装置602を暖房モードで作動させる制御処理を実行する。ステップS122の処理の後、ステップS115の処理に戻る。
ステップS123では、車両60への着霜又は着雪を低減させるために車両用空調装置602が暖房モードで作動中であれば、空調指示出力部103は、車両用空調装置602の暖房作動を停止するための処理を実行する。これにより、車両用空調装置602の作動時間が、当該処理を実行しない場合よりも短縮される。ステップS123の処理の後、ステップS115の処理に戻る。
ステップS124では、空調指示出力部103は、車両用空調装置602をデフロスタモードで作動させるための処理を実行する。具体的には、空調指示出力部103が、車両用空調装置602のデフロスタモードでの作動を指示する指示情報を車両ECU601に出力する。これに基づいて、車両ECU601が、車両用空調装置602をデフロスタモードで作動させる制御処理を実行する。ステップS124の処理の後、ステップS115の処理に戻る。
本実施形態に係るHEMS装置10において、空調指示出力部103は、情報通知部104による情報通知の後に回避指示情報を出力する。本実施形態では、所定時間後において車両60の視界確保に支障が発生すると判断された場合に、その旨を車両60のユーザに通知し、その後に回避指示情報を出力するので、ユーザが車両60と空調指示出力部103とを通信可能な状態とする時間を確保することができ、その後に回避指示情報を出力することができる。
本実施形態に係るHEMS装置10において、支障情報取得部101は、情報通知部104による情報通知の後に再度、支障予報情報を取得する。支障判断部102は、再度取得した支障予報情報に基づいて、車両60の視界確保に支障が発生する視界支障状態となるか否かを判断する。
情報通知部104による情報通知は、ユーザによる車両60と空調指示出力部103との接続作業を考慮すると、車両60の使用開始予定時である所定時間後よりもかなり時間的な余裕を持って行われることが好ましい。そのため、実際に車両60の視界確保が必要となる所定時間後までに、支障予報情報の内容が変更になる可能性がある。そこで本実施形態では、情報通知部104による情報通知の後に再度支障予報情報を取得し、再度取得した支障予報情報に基づいて視界支障状態となるか否かを判断することで、より的確に回避指示情報を出力することができる。
本実施形態に係るHEMS装置10において、空調指示出力部103は、電気使用契約内における電気機器群を構成する電気機器206及び充放電装置50の電気使用状況を勘案しながら車両用空調装置602の作動状況を調整するように回避指示情報を出力する。
電気使用契約内においては、電気機器群を構成する電気機器206及び充放電装置50が使用する電気の上限が定められている。従って、充放電装置50を除く電気機器206の電気使用量と、充放電装置50を介して電気の供給を受ける車両用空調装置602の電気使用量とを合計すると、電気使用契約上の電気使用量上限を超えてしまう恐れがある。そこで本実施形態では、電気使用状況を勘案しながら車両用空調装置602の作動状況を調整することで、電気使用契約上の電気使用量上限を超えないように回避指示情報を出力することができる。尚、電気機器206以外にも電力を消費する機器がある場合、例えば蓄電装置205に充電を行う場合は、電気機器群にそれら機器を含めて車両用空調装置602の作動状況が調整される。
本実施形態に係るHEMS装置10において、空調指示出力部103は、電気使用契約に基づいて最大電流を制限する主開閉器202によって電路が遮断されないように回避指示情報を出力する。
主開閉器202を設ける電気使用契約の場合、電気使用契約に基づく最大電流を超過すると、主開閉器202によって電路が遮断される。電気機器206及び充放電装置50を使用中に電路が遮断されると、諸々の復旧動作が必要となるため、電路の遮断は極力避けたい。そこで、空調指示出力部103は、主開閉器202による電路の遮断が起きないように回避指示情報を出力するので、車両用空調装置602の電力消費を抑制することができ、電気機器206の使用を中断することがなく、その範囲内で車両60の視界を可能な限り確保することができる。
本実施形態に係るHEMS装置10においては、空調指示出力部103は、車両用空調装置602の作動時間の変更及び/又は車両用空調装置602の作動強度の変更によって、主開閉器202の電路遮断を回避するように回避指示情報を出力する。
本実施形態では、所定時間後に着霜又は着雪が発生することを解消するために支障回避制御を実行しているが、所定時間後に着霜又は着雪を発生させないためには、必ずしも車両用空調装置602を連続的且つ車内暖房とデフロスタモードとを併存させたモードで作動させることが必要でない場合もある。そこで、本実施形態では、空調指示出力部103が、車両用空調装置602の作動時間の変更及び車両用空調装置602の作動強度の変更のうち少なくとも一方によって、主開閉器202の電路遮断を回避するように回避指示情報を出力する。これにより、所定時間後に着霜又は着雪を回避できることを条件として、車両用空調装置602の作動時間の変更及び/又は車両用空調装置602の作動強度の変更を行うことが可能となり、主開閉器202の電路遮断を回避することができる。
尚、空調指示出力部103が、車両用空調装置602の作動時間の変更及び車両用空調装置602の作動強度の変更のうちの一方のみによって、主開閉器202の電路遮断を回避するように回避指示情報を出力するように構成されていても良い。従って、例えば、図5に示されるHEMS装置10の処理において、ステップS121の処理とステップS124の処理が省略され、ステップS120の処理の後にステップS123の処理に進むようになっていても良い。
本実施形態に係るHEMS装置10において、空調指示出力部103は、使用状況記録部106に記録されている過去の電気機器206の電気使用状況を勘案しながら車両用空調装置602の作動状況を調整するように回避指示情報を出力する。
本実施形態では、使用状況記録部106を設けることで、過去の電気機器206の電気使用状況を把握することが可能となる。現在の電気機器206の電気使用状況に加え過去の電気使用状況も勘案することで、より確実に契約上の電気使用量上限を超えないように支障回避制御を実行することができる。
本実施形態に係るHEMS装置10においては、空調指示出力部103は、過去の電気機器206の電気使用状況に基づいて車両60の使用開始が早まると判断すると、車両用空調装置602の作動開始を早めるように回避指示情報を出力する。
車両60の使用開始が早まると、当初設定されている使用開始時刻よりも早く視界を確保することが必要となる。本実施形態では、過去の電気機器206の電気使用状況に基づいて車両60の使用開始が早まるかどうかを判断し、車両用空調装置602の作動開始を早めて支障回避制御を実行するように回避指示情報を出力することで、必要とされる時刻に視界を確保することができる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。