JP6910637B2 - 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法 - Google Patents

電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6910637B2
JP6910637B2 JP2017077893A JP2017077893A JP6910637B2 JP 6910637 B2 JP6910637 B2 JP 6910637B2 JP 2017077893 A JP2017077893 A JP 2017077893A JP 2017077893 A JP2017077893 A JP 2017077893A JP 6910637 B2 JP6910637 B2 JP 6910637B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
electrodes
bathtub
powder
electrolysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017077893A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018178183A (ja
Inventor
義紘 吉岡
義紘 吉岡
Original Assignee
三洋展創工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三洋展創工業株式会社 filed Critical 三洋展創工業株式会社
Priority to JP2017077893A priority Critical patent/JP6910637B2/ja
Publication of JP2018178183A publication Critical patent/JP2018178183A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6910637B2 publication Critical patent/JP6910637B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

本発明は、電気分解電極としての利用に好適な電極、その電極を利用した電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法に関する。
風呂に入るという文化は、我が国においては様々な局面で根付いている、と言うことができる。温泉、銭湯、個人用の風呂から、近年には足湯、手湯まで、幅広い需要及び展開が見られる。最近においては、洗わないで済ませる風呂や、マイクロ・ナノバブルを応用したウルトラバブルバスと称されるものなど、新たなタイプの浴槽も提案され、利用が広がりつつある。
しかし、硬度コントロールや、アルカリ付与、酸素・水素ガスの利用、炭酸ガスの利用などを行う、これらの斬新な浴槽は、いずれも外部からのガス、アルカリ、硬度成分の供給に頼ったものであり、大きな発生装置や、ボンベ、原料を必要とするため、コンパクトなものがなくコストも高い、という問題点が認められる。例えば、マイクロバブルにより使用者の生体活性を改良する方法とその成果を記述した文献があり、それには血流効果、温熱効果が、泡の効果として記述されているが、これを実現するには、空気を取り入れてバブル化して湯水中に噴射する大掛かりな装置を要する。
一方、炭酸ガスを手軽に利用することを可能にする技術として、重曹等を固めて錠剤化したものが知られている。この錠剤を、浴槽中の湯水に投入することにより、炭酸ガスを発生させることができる。しかし、その炭酸ガス濃度は低く、高々50PPM程度であり、効果最小量とされる400ppmには程遠い値に止まっている。
特開2016-107197号公報
水中にガスを簡便に発生させる機構の一つとして、電気分解が知られる。しかし、必要相当量のガスを発生させるには、水に電解質を溶解させておく必要がある。電気分解に用いられる電極の殆どは、金属材料を主とする金属電極である。特に、水の電気分解用として最近注目されている電極は、チタンに白金などの貴金属を付加した合金又はメッキ品である。
これに対し、本願発明者は、導電性である黒鉛粉末等の炭素粉末とともに、特定の塩、酸、又は塩基の粉末を、バインダー樹脂で固めたコンパウンド電極を形成することにより、相当量のガスを発生することのできる電気分解用の電極を、低廉な価格で提供できるのではないか、との着想を得た。しかし、導電性カーボンや、黒鉛を使った電極は、過去においても見られたが、適切なバインダー材料が知られておらず、電気分解によって摩滅や脱落が早く起こるため、用いられる機会も少ないものとなっていた。また、従来の材料に代わる、新規な提案は現在もなお見当たらない。特許文献1に開示される、黒鉛粉末をフェノール樹脂等で固めた電極も、本願発明者は試験しているが、同様の問題が認められた。すなわち、従来から知られている、炭素粉末をバインダー樹脂で固めた電極は、強度、耐久性の点で問題があり、また電解水が変色するという問題点もあって、実用的ではない。
金属電極が有する優れた電気伝導性、成型性、強度、耐久性という利点を生かしつつ、炭素粉末をバインダー樹脂で固めた構造の電極を実現することは容易ではなく、多くの原料から要求性能にあったものを選択し、最適条件に合わせる努力を重ねる必要があり、地道な努力を要した。特に導電性のレベルをどこにおくか、その材料を何にするか、高充填をしても強度が十分に得られるか、耐久性はあるか、などを、何度も電気分解を試みては評価し、最適配合を探る必要があった。
本発明は、かかる試行錯誤を繰り返すことによりなされたものであり、電気分解用にふさわしい導電性、耐久性等の特性を備える電極、及びその製造方法、さらに当該電極を利用した電気分解機能付き浴槽を提供することを目的とする。
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、電極であって、炭素粉末と、当該炭素粉末を結合させて固める樹脂バインダーとを含み、前記樹脂バインダーはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
この構成によれば、炭素粉末を結合させて固める樹脂バインダーに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられているので、炭素粉末を樹脂バインダーにより固めた従来技術による電極に比べて、良好な電気伝導性を確保しつつ、強度及び耐久性が向上した電極が実現する。電気分解用電極としての使用に適するほか、モーター用ブラシなど、他の用途にも適する。
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による電極であって、塩、酸、塩基、鉱物、香料、及び薬剤の粉末のうちの少なくとも1つを、前記炭素粉末と混ぜ合わされ前記樹脂バインダーで固められた形態で、さらに含む。
この構成によれば、電気分解用電極として使用したときに、混ぜ合わされている塩、酸、塩基、鉱物、香料、及び薬剤の種類に応じて、電解質発生による電気分解の促進、ガス発生、消毒成分の発生等の付加機能が発揮される。
本発明のうち第3の態様によるものは、第2の態様による電極であって、前記塩、酸、及び塩基、鉱物、香料、及び薬剤の粉末のうちの前記少なくとも1つは、水に溶けて二酸化炭素を放出する塩の粉末である。
この構成によれば、電気分解用電極として使用したときに、二酸化炭素が発生する。
本発明のうち第4の態様によるものは、第1から第3のいずれかの態様による電極であって、十分に大きい塊(かたまり)の平坦な表面における5mm間隔の2点間の電気抵抗が、3Ω〜50Ωの範囲である。
この構成によれば、電気分解用電極として使用するのに特に好ましい導電性が得られる。
本発明のうち第5の態様によるものは、第1から第4のいずれかの態様による電極であって、前記炭素粉末が黒鉛の粉末である。
この構成によれば、電気伝導性、強度及び耐久性に一層優れた電極が実現する。
本発明のうち第6の態様によるものは、第1から第5のいずれかの態様による電極であって、前記炭素粉末と前記樹脂バインダーとを含む電極本体部が板状であり、当該板状の電極本体部の一方主面を覆う絶縁体をさらに含む。
この構成によれば、互いに向き合う一対の電気分解用電極として使用したときに、イオンの発生を、主として一対の電極間の領域に制限することができる。
本発明のうち第7の態様によるものは、第1から第6のいずれかの態様による電極を製造する製造方法であって、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、クレゾールノボラック系のフェノール樹脂である硬化剤と、黒鉛粉末とを混合することと、混合されたものを加熱して硬化させることと、を含む。
この構成によれば、良好な電気伝導性を確保しつつ、強度及び耐久性が向上した、本願発明による電極を、容易に製造することができる。
本発明のうち第8の態様によるものは、第7の態様による電極の製造方法であって、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が160g/eq〜220g/eqであり、粘度が1000mPa・s以下であり、前記硬化剤は、OH当量が100g/eq〜150g/eqであり、前記黒鉛粉末の粒度分布は、5μm〜30μmの粒子が80%以上を占める分布であり、前記混合をするときの重量比率は、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂100部に対し、前記硬化剤が20部〜80部であり、前記黒鉛粉末は、100部〜230部である。
この構成によれば、電気伝導性、強度及び耐久性に一層優れた電極が実現する。
本発明のうち第9の態様によるものは、第8の態様による電極の製造方法であって、前記混合をするときに、0.1部〜8部の硬化促進剤としての触媒をも、混合する。
この構成によれば、硬化が促進されるので、製造がより容易となる。
本発明のうち第10の態様によるものは、第8又は第9の態様による電極の製造方法であって、前記混合をするときに、塩、酸、塩基、鉱物、香料、及び薬剤の粉末のうちの少なくとも1つをも、併せて50部以下の重量比で混合する。
この構成によれば、電気伝導性、強度及び耐久性に優れるとともに、電解質発生による電気分解の促進、ガス発生、消毒成分の発生等の付加機能を発揮する電極を、製造することができる。
本発明のうち第11の態様によるものは、電気分解機能付き浴槽であって、入浴すること、又は身体の一部を浸すことが可能な大きさの浴槽本体と、前記浴槽本体の内側に配置された少なくとも一組の電極と、前記少なくとも一組の電極に個別に接続され、当該少なくとも一組の電極に電力を供給するための少なくとも一組の導電体と、を備えている。そして、前記少なくとも一組の電極のうちの少なくとも一部は、第1から第6のいずれかの態様による電極である。
この構成によれば、電気分解により湯水の加温、ガスの発生、消毒成分の発生等を実現する浴槽が実現する。
本発明のうち第12の態様によるものは、第11の態様による電気分解機能付き浴槽であって、前記浴槽本体の内側のうち、前記少なくとも一組の電極が配置された領域と、入浴するため又は身体の一部を浸すための領域とを、湯水の通過を許して仕切る、仕切りをさらに備え、それにより身体又は身体の一部が前記少なくとも一組の電極に触れることを防ぐ。
この構成によれば、身体又は身体の一部が少なくとも一組の電極に触れることを防止できる。
本発明のうち第13の態様によるものは、第11又は第12の態様による電気分解機能付き浴槽であって、前記浴槽本体は、足湯のために足を浸すことが可能な大きさであり、前記少なくとも一組の電極は、前記足の踵よりも指の方において、互いに広い幅をもって対向する形状である。
この構成によれば、電気分解による湯水の加温、ガスの発生、消毒成分の発生等が、足の踵よりも指の方において、より強く現れるので、足湯の効果がより高められる。
以上のように本発明によれば、電気分解用にふさわしい導電性、耐久性等の特性を備える電極、及びその製造方法、さらに当該電極を利用した電気分解機能付き浴槽が実現する。
本発明の一実施の形態による電極の製造方法において、電極の抵抗を計測する方法を示す概略説明図である。 本発明の一実施の形態による電極の製造方法を例示する工程図である。 本発明の一実施の形態による電極の形状を例示する斜視図である。 本発明の別の実施の形態による電極の形状を例示する斜視図である。 本発明のさらに別の実施の形態による電極の形状を例示する斜視図である。 本発明のさらに別の実施の形態による電極の形状を例示する斜視図である。 本発明の一実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する斜視図である。 本発明の別の実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する斜視図である。 本発明のさらに別の実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する分解斜視図である。 図9の浴槽の仕切りの下方に配置される部品を示す平面図である。 実証試験に用いた浴槽の写真である。 実証試験の結果を示すグラフである。
1.電極とその製造方法
初めに、本発明による電極とその製造方法の好ましい形態について説明する。本願発明者は、様々な原料、製法を試みることにより、電気伝導性が適度にあり、電気特性が安定し、脱落や欠けのない電極を見出すことに成功し、さらに微粉体を混合することにより、付加機能を実現できる高充填コンパウンド電極の製造に成功した。なお、反応前の状態は混合物であるが、当分野においては「コンパウンド」と称され、混合物を反応させた後の生成物も「コンパウンド」と称される。本明細書では、「コンパウンド」の用語について、かかる当分野の慣例に倣っている。
電極の電気伝導性を評価する簡便な方法として、電極の抵抗を計測した。ある程度寸法の大きい電極であれば、平坦な面上の2点間の抵抗値は、電極の寸法に依存しない値となる。これは、図1に示すように、半無限大の媒体1の電気抵抗を、平坦面3の上に置かれるプローブ5,7によって測定するのに等しい。抵抗値を測定する器具として、三和製のテスターSP−18Dを使用した。測定する2点間の間隔は5mmとした。
試作と計測を繰り返す中で、活発に電気分解が進行するためには、抵抗値が0である必要はなく、むしろ3Ω(オーム)〜50Ωの範囲が好ましく、さらには3Ω〜20Ωの範囲が、より好ましいことを、本願発明者は発見した。抵抗値がおおよそ10Ωになるように加えた導電性フィラーは、微粉体である必要はあるが、細密充填をさせるためには、寸法に多少の分布があった方がよく、特に、5μm(ミクロン)〜30μmの粒子が80%以上を占める分布が望ましいことが判明した。30μmより大きい粒子が多い場合には、脱落や欠けが多く、5μmより小さい粒子が多いと歩留まりが悪く、抵抗値が大きくなる傾向にある。導電性フィラーは、ケッチェンブラック等でも良いが、黒鉛が最も混合し易く、高充填配合に適していることが分かった。
コンパウンドのバインダーには、成型体を成型し易く、相応の圧力を加えることができ、長時間の加熱をすることにより、完全硬化を果たす原料を吟味する必要があった。また、バインダーは、導電性フィラーである黒鉛を粘土状にまとめる必要があり、バインダーとなる原料、硬化剤、触媒、架橋促進剤などは、できるだけ少なくし、しかも、生状態の加工性が良好で、硬化後に減量せず、縮み、割れ、崩壊の原因とならないことが重要である。また、バインダーは、反応前において、黒鉛粉末の粒子間に入り込み易いことが求められ、常温において液状であって、粘度が低いことが望まれる。
熱硬化反応をする原料としては、フェノール系、エポキシ系、水ガラス系、未焼成粘土系、セメント系等多くの原料が想定された。本願発明者は、いずれの原料をも試みた。その結果、加工性に優れ、高充填、高強度を満足するものとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、最も好ましいことを見いだした。
試行錯誤を経て明らかとなったコンパウンド電極の原料の好ましい例は、以下の通りである。
(1)プレポリマーとしてのビスフェノールA型液状エポキシ樹脂;
(2)硬化剤としてのクレゾールノボラック系のフェノール樹脂;
(3)導電性フィラーとしての黒鉛粉末;及び
(4)硬化促進剤としての触媒。
プレポリマーであるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂については、エポキシ当量が160g/eq〜220g/eqの範囲であることが望ましく、180g/eq〜190g/eqであることが、更に望ましい。また、25°Cにおける粘度は、1500mPa・s以下であることが望ましく、200mPa・s〜1000mPa・sであることが、更に望ましい。一例として、DIC株式会社製エピクロン#840が使用可能である。
硬化剤であるクレゾールノボラック系のフェノール樹脂については、OH当量が100g/eq〜150g/eqであることが望ましく、100g/eq〜110g/eqであることが、更に望ましい。軟化点は、50°C〜120°Cであることが望ましく、60°C〜100°Cであることが、更に望ましい。一例として、明和化成株式会社製HF−1Mが使用可能である。混合比は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を100部として、20部〜80部であることが望ましく、40部〜65部であることが、更に望ましい。本明細書において、「部」は分子数比ではなく、重量比を表す。
導電性フィラーである黒鉛については、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を100部として、100部から230部であることが望ましく、150部〜200部であることが、更に望ましい。黒鉛は、人造黒鉛であることが更に望ましい。人造黒鉛の一例として、株式会社中越黒鉛工業所製#G−150が使用可能である。
硬化促進剤は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を100部として、0.1部〜8部であることが望ましく、1部〜5部であることが、更に望ましい。硬化促進剤には、一例として、トリフェニルホスフィン(TPP;例えば和光純薬株式会社製)を使用可能である。なお、コンパウンドの配合決定に際し、本願発明者は、高充填を意識し過ぎる余り、可塑剤や溶剤の添加を試したこともあるが、電気分解用電極として使用した場合には、成分の流出が起こり易く、望ましい電極を得ることができなかった。
コンパウンドへの黒鉛の高充填配合を達成する上で、黒鉛の粒度に加えて、プレポリマーの粘度も影響する。プレポリマーの粘度が1000mPa・s以下であれば、黒鉛を180部まで混合することができ、黒鉛として、前述した30μm以下の粒度分布を持つ人造黒鉛を用いることにより、230部まで混合することが可能であった。黒鉛とエポキシ原料(プレポリマーと硬化剤)の重量比が、黒鉛100部に対し、エポキシ原料が100部〜150部であっても、電気抵抗として3Ω〜30Ωを確保することができ、酸・アルカリ・ガスを発生する付加機能物質を、相当量加える余裕を確保することもできた。すなわち、コンパウンド電極の望ましい原料として、さらに次の成分を加えることができる。
(5)付加機能物質としての塩、酸、塩基、及び鉱物の粉末。
付加機能物質は、電気分解を行うときに、水に溶けてガス発生等の所要の付加機能を発揮する成分である。付加機能物質は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を100部として、50部以下であることが望ましい。付加機能物質として、粉砕品、造粒品のいずれもコンパウンドに混合することが可能である。粉砕品は、粒度に分布を有しており、範囲を定めるために分級が行われる。付加機能物質には、仕上がった電極の使用に伴い、気体又は液体となって電極から抜け出るものもあれば、例えば香料成分の担体として残留するものもある。抜け出る付加機能物質については、粉末の粒子径は50μm以下であることが望ましく、30μm以下であることが、更に望ましい。担体等として残留する付加機能物質については、30μm〜400μmの粒子径の粒子として残留しても良い。
炭酸ガス発生剤としての付加機能物質は、例えば、重曹(重炭酸ナトリウム)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウムなどである。ガス発生助剤として知られる有機酸、オキソ酸も使用することができる。ガス発生助剤は、炭酸ガス発生剤とともに、同一の電極に混合しても良いが、異なる極性を持って相対する電極に、分けて混合してもよい。
アルカリ放出剤としての付加機能物質は、例えば、重曹(重炭酸ナトリウム)、パームチット、ゼオライトなどである。鉱物としての付加機能物質は、例えば、ゲルマニウム、岩盤石、硼砂、トルマリン、チリ硝石などである。また、塩としての付加機能物質は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(さらし粉)、塩化ナトリウム(NaCl)、過塩素酸ナトリウムなどである。これらの付加機能物質は、例えば、塩素がガス、次亜塩素ガスを放出したり、赤外線、ホウ酸を放出することができる。特に、重曹、ゼオライトなどのアルカリ放出物質は、水の浄化作用を発揮し、水をきれいにする。アルカリ放出物質は、アルカリを放出するために、電気分解において通電がし易くなるので、効率が向上する。付加機能物質については、後においても詳述する。
コンパウンド電極の望ましい原料として、さらに次の成分を加えることができる。
(6)金型離型剤。
電極の製造過程において、固形化した電極を金型から取り出す作業を容易化するために、コンパウンドに離型剤を混合しておいてもよい。離型剤には、例えば、ワックス、シリコーンなどが使用可能であり、ワックスとして、特にカルバナワックスを使用可能である。重量比は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を100部として、1部以下であることが望ましい。離型を容易化する別の方法として、離型剤を用いる代わりに、テフロン(登録商標)シートなどのフッ素樹脂シートを用いても良い。
コンパウンド電極の原料に関する上記の好ましい例について、電極の好ましい製造工程を、図2を参照しつつ例示する。この例示は、小規模製造の一例であり、本願発明者が実験室で採用した方法である。電極を製造するには、まず、各種の原料を準備し、計量する。次に、準備した黒鉛及び付加機能物質の粉末11を、例えばポリエチレン製の柔軟な袋12に入れ(図2(a))、口を縛り、上下に交互に振ることによって、粉末11を十分に混合する(図2(b))。それと並行ないし前後して、常温において液状であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を、金属性の容器13に入れ、ヒータ15により、50°Cから100°Cの範囲の温度に加熱する(図2(c))。次に、ペレット状のエポキシ硬化剤、TPP、カルナバワックスを順次入れて行き、攪拌することにより混合させる。次に、コンパウンドが黄色透明となって混ざり合った段階において、混合済みの粉末11を加え、ミキサー17により粒状に仕上げる(図2(d))。粒は米粒大の大きさ(すなわち、mmのオーダー)であることが望ましい。コンパウンドの形成に使用する物質は、同等の組成を有するものであれば、メーカー、純度は問わない。
次に、造粒により生成された粘土状の米粒大コンパウンドを、篩(ふるい)19に掛け、粒の大きさを平均化する(図2(e))。次に、篩19を通過した粘土状の米粒大のコンパウンド20を、あらかじめ用意した金型21に入れ、圧力をかけて押し固める。プレスにより押し固めた状態で、熱を加えて硬化をさせても良いが、金型21から取り外し難いことが予想される場合には、離型紙又はフイルムを挟んだり、生の状態で金型21から外し、オーブンの中で硬化を行ったり、しても良い。硬化完全化のために、成型後の熱処理を、160°C〜180°Cの温度下で、30分〜2時間程度行うことにより、より強固な結合体を得ることができる。
図3に例示するように、硬化が完了した電極23に、結線がし易いように、ねじ穴をあけて端子25を接続する。金型21に生のコンパウンド20を入れる場合に、厚さ方向の中央部にチタン板を入れたり、網状の導電体を入れたりした後に、成型を行い硬化させても良い。
本実施の形態によるコンパウンド電極は、高密度充填を可能にする能力を持つため、既述の通り、付加機能物質を加えることにより、電極としての役割だけでなく、付加機能を付与することもできる。別の物質は、粉体であれば何であってもよく、水に溶けるものであっても良いし、水と反応するものであっても良い。
電気分解を利用した浴槽への適用を考えると、例えば炭酸ガスを利用した炭酸ガス風呂が想定される。炭酸ガスをボンベから導入して泡状に水へ放出される提案が、従来からなされているが、炭酸ガスは水に溶け易く、すぐにバブルとなって飛散してしまい、その効能の持続性が問題となっている。本願発明者は、電極に炭酸ガスを発生し易い物質を混合して電気分解を起こせば、炭酸ガスを持続的に水中に保持することが出来るであろうと考えた。コンパウンドに重曹(炭酸水素ナトリウム)を練りこんだ電極を作り、通電したところ、炭酸ガスが持続的に放出された。電解液中の炭酸ガスの量を計測したところ、十分な濃度の炭酸ガスが存在することを確認することができた。
このように、水に溶けてガスを発生させるほか、アルカリ粉末をコンパウンドに練り込むことにより水中にアルカリを放出することもできる。アルカリ粉末は、例えば水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどである。アルカリ粉末は、水に溶けて電解液となり、水中に電気が通りやすくなる。それにより、電気分解が促進され、例えば酸素、水素の発生が促進される。塩(えん)の粉末を、コンパウンドに練り込むこともできる。例えば、塩化ナトリウムの粉末を練り込んだ電極を作ることができ、電気分解に使用することにより、水中に塩素を発生させ、消毒効果を発揮させることができる。
また、一対の電極の一方には炭酸ガス発生物質を、他方には弱酸、例えばクエン酸、コハク酸、リンゴ酸等をコンパウンド化した電極を用いることにより、炭酸ガスの発生が促進されることも明らかとなった。電極に発生する酸素、水素が水中に出るとき、炭酸ガスが押し出され、弱酸が溶けて炭酸ガス発生物質と反応し、効率よく発散されることも判明した。
電極を電気分解に使用する場合には、正負一対の電極を相対させて使用するのが一般的である。電気分解により発生するイオンが、浴槽利用者の皮膚に触れないようにしたい場合、あるいは逆に、皮膚に集中的にイオンを触れさせたい場合には、イオンの発生を、主として一対の電極間の領域に制限することが望ましい。そのためには、図4に例示するように、一方主面が絶縁体27で覆われた板状の電極23を使用することが、一つの解決手段となる。絶縁体27で覆われない方の主面が互いに向き合うように、一対の電極を配置することにより、イオンの発生を、主として一対の電極間の領域に制限することができる。例えば、導電性フィラーを含有するコンパウンド20を、導電性フィラーを含有しないコンパウンドとともに金型21に入れ、同時成型することにより片面導電、片面絶縁の電極を作ることができる。別の解決手段として、図5に例示するように、極性の異なる電極41,43を、断面同心円状に配置することも可能である。さらに、図6に例示するように、外側の電極43の外周面を絶縁体45で覆った形態を採ることも可能である。
炭酸ガス、弱酸、アルカリ等を放出する必要がなく、水の温度のみを高めたい場合、あるいは酸素、水素のみを発生させたい場合には、従来周知のメッキされた金属電極等を使い、付加機能を発揮させたい場合には、このような従来型の電極の上に、本発明による付加機能付きのコンパウンド電極を、1枚あるいは複数枚重ねて使用することができる。すなわち、炭酸ガスを発生させるためのコンパウンド電極、弱酸あるいはアルカリを放出するコンパウンド電極、あるいは癒し効果のある匂いを放出するコンパウンド電極などを、従来の板状の電極の一方主面もしくは両主面に、接触させて固定した電極を使用することもできる。このように付加機能を発揮する電極を組み合わせることにより、電極の寿命を延ばすことも可能であり、それにより機能の選択もでき、コスト上のメリットもさらに向上する。
2.電気分解機能付き浴槽
図7は、本発明の一実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する斜視図である。この浴槽101は、足湯のための浴槽である。浴槽101は、浴槽本体51の内側に、浴室53と電気分解室55とを仕切る板状の仕切り57が設けられている。浴室53は、足湯のために足を湯水54に浸すための領域であり、電気分解室55は、湯水54の電気分解を行うための領域である。一例として、浴槽本体51の側壁は、電気分解室55において、浴室53よりも厚くなるように内側に張り出しており(図視略)、それにより、仕切り57が浴槽本体51の内側の所定の高さに保持される。仕切り57には、湯水54及び湯水54中の気体が通過できる多数の小孔59が形成されている。電気分解室55には、本発明の実施の形態による電極61が配置されている。電極61には、例えば、図3〜図6に例示した電極を採用可能である。電極61は、浴槽本体51の側壁を液密に貫通する導電体65と、導電体65に電気的に接続されるリード線66とを通じて、電源67に電気的に接続される。導電体65は、一例として円柱状に表されているが、図3に例示した端子25であってもよい。電極61に通電することにより、浴槽本体51内の湯水54の加温、ガスの発生、消毒成分の発生などの効果が得られる。それにより使用者70は、通常の足湯とは異なり、快適で質の高い足湯を楽しむことができる。浴槽101は、例えば大きさを調整することにより、手湯のための浴槽として使用することも可能である。
図8は、本発明の別の実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する斜視図である。この浴槽102は、全身入浴のための浴槽である。浴槽102は、浴槽本体71の内側に、浴室73と電気分解室75とを仕切る板状の仕切り77が設けられている。浴室73は、全身入浴のめの領域であり、電気分解室75は、湯水74の電気分解を行うための領域である。一例として、浴槽本体71の側壁の内面には、鉛直方向に沿った溝が形成されており(図視略)、仕切り77はこの溝によって所定の位置に保持される。仕切り77には、仕切り57と同様に、湯水74及び湯水74中の気体が通過できる多数の小孔が形成されている(図視略)。電気分解室75には、本発明の実施の形態による電極81が配置されている。電極81には、例えば、図3〜図6に例示した電極を採用可能である。電極81は、導電体85及びリード線86を通じて、電源87に電気的に接続される。導電体85は、一例として円柱状に表されているが、図3に例示した端子25であってもよい。電極81に通電することにより、浴槽本体71内の湯水74の加温、ガスの発生、消毒成分の発生などの効果が得られる。それにより使用者は、通常の入浴とは異なり、快適で質の高い入浴を楽しむことができる。
図9は、本発明のさらに別の実施の形態による電気分解機能付き浴槽の構造を例示する斜視図である。この浴槽103は、浴槽101と同様に、足湯のための浴槽である。浴槽103は、浴槽本体91の内側に、足を湯水99に浸すための領域である浴室と、湯水99の電気分解を行うための領域である電気分解室とを仕切る板状の仕切り92が設けられる。一例として、仕切り92の底面には、両端部が湾曲した板状のスペーサ93が連結している。スペーサ93は、例えば、仕切り92とともに、樹脂の一体成型によって形成される。仕切り92を浴槽本体91の内側に投入したときに、スペーサ93の底面は、浴槽本体91の底壁に当接する。それにより、スペーサ93は、仕切り92を浴槽本体91の底壁から浮いた位置に支持するとともに、仕切り92の下方に電気分解室を確保する。仕切り92には、湯水99及び湯水99中の気体が通過できる多数の小孔94が形成されている。電気分解室には、本発明の実施の形態による電極95が配置される。電極95は、一例として長板状であり、長手方向の一端から他端へ向かうほど、幅が広くなるように、略台形の輪郭形状をなしている。電極95が、電気分解によりガスを発生する電極である場合に、幅が広い部分ほど多くのガスが発生する。足の踵よりも指に近い方ほど、多くのガスを浴びるのが望ましい。このため、電極95は、足の指側に幅広の端部が向くように配置される。
図10は、仕切り92の下方に配置される部品を示す平面図である。一例として、各スペーサ93には、正負一組の電極95が、管状のスペーサ98を挟んで、ボルト96及びナット97により、取り付けられている。ボルト96、ナット97及びスペーサ98は、例えば、電気絶縁性の樹脂製である。ボルト96が貫通するスペーサ98は、一組の電極95及びスペーサ98のそれぞれの間に、一定の間隔を保持する働きをする。図10には、足湯を使うユーザの足の輪郭90をも、模式的に示している。
図9に戻って、電極95は、導電体185及びリード線186を通じて、浴槽本体91の上端部外側に設けられたコネクタ187に、電気的に接続される。導電体185は、一例として円柱状に表されているが、図3に例示した端子25であってもよい。リード線186は、仕切り92に立設された管状体189を挿通し、コネクタ187に接続される。コネクタ187には、別のリード線191が電気的に接続され、このリード線191は、電源プラグ193に接続される。電源プラグ193を、直流5V〜30Vの電源に接続することにより、電気分解のための電力が電極95に供給される。電極95に通電することにより、浴槽本体91内の湯水99の加温、ガスの発生、消毒成分の発生などの効果が得られる。それにより使用者は、通常の足湯とは異なり、快適で質の高い足湯を楽しむことができる。浴槽103も、例えば大きさを調整することにより、手湯のための浴槽として使用することも可能である。
浴槽101,102,103において、浴槽本体51,71,91の材質は金属、プラスチック、陶器、FRP等あるいはそれらの複合体であっても良く、透明であっても不透明であっても良く、色彩のあるものでも無色であっても良い。浴槽本体51,71,91の材質は、電気絶縁性があり、熱変形しないものが望ましい。仕切り57,77,92及び管状体189の材質も同様である。浴槽102において、浴槽本体71のうち、電気分解室75を形成する部分は、ポンプの位置や配管を考慮すると、加工し易い耐熱性のプラスチックが、より望ましい。浴槽本体51,71,91のうち、浴室53,73を形成する部分の大きさは、使用部位の大きさより幾分大きく、全身、もしくは希望する部位が十分に浸る液量を確保できる大きさであれば足りる。浴槽本体51,71,91の上部に蓋は特に必要なく、足湯、手湯の場合のように槽内の水の容積が少ない場合は、排水口もなくても良い。
浴槽101,102,103において、電極61,81,95として、炭酸ガス発生剤を含む本発明によるコンパウンド電極を使用することにより、湯水54,74,99中の炭酸ガス濃度として、400ppm〜500ppmを容易に保持することができる。コンパウンド電極における炭酸ガス発生剤の配合量を高くすることにより、治療に必要とされる濃度1000ppm〜1500ppmを得ることも可能である。ヨーロッパの温泉はアルカリ硬度が300以上であり、炭酸ガス濃度も400ppm以上である。日本の温泉はアルカリ泉が多く、炭酸泉が少ないことを考えると、本発明による電極及び浴槽を使用することにより、容易に天然温泉を身近に導入することができることが、理解されるであろう。湯水54,74,99の温度も、初期は常温であっても、電気分解開始後20分程度を経ると、35°C〜40°C程度の温度を得ることができる。かかる温度の持続時間も、十分に確保可能である。
電源67,87の出力電圧は、好ましくは、直流5V〜30Vであり、更に好ましくは直流10V〜25Vである。浴槽103(図9)の電極95に接続される電源(図示略)においても同じである。従って、屋外において、太陽電池あるいは蓄電池を使用することも可能である。電気分解は、低電圧により十分に対応可能であるという、便利さがある。電極61、81,95に通電する電圧の極性が一定であると、長い使用にともない、電極61,81,95に汚れが付着することがある。これを回避するために、電極61、81に印加する電圧の極性を、時折に反転させるのが望ましい。このため、電源67,87あるいは電極95に接続される電源(図示略)には、極性を反転させる手動スイッチ、あるいは自動で反転させる回路を設けるのが望ましい。
電極61、81,95に接続される導電体65,85,185は、湯水54,74,99に触れる部分であるため、できるだけ短く設定するのが望ましく、かつ、電気分解による摩滅の少ない材料、例えばチタンを用いるのが望ましい。さらには、導電体65,85,185の表面を、例えばシリコーン樹脂等の管で覆ったり、エポキシ樹脂により被覆することが、より望ましい。湯水54,74,99に触れないリード線66,86,191は、例えば、銅製のワイヤを絶縁性の樹脂により被覆した被覆銅線を使用することができる。浴槽103において、湯水99に触れるリード線186は、例えばチタン製のワイヤを、絶縁性の樹脂により被覆した被覆線を使用することができる。相対する電極61,81,95同士は接近させた方が良いが、電極間距離は5mm〜30mmであることが好ましく、5mm〜20mmであることが更に好ましい。浴槽102において、電極81は、効率よく使うために、湯水74の中に完全に沈めて使用するのが望ましい。
水の電気分解における電極61,81,95の役割の1つは、電極61,81,95の表面において、酸素又は水素ガスを放出することである。これらのガスの一部は、泡となって大気中に逃げるが、一部は水に再溶解をする。泡となったガスを、人もしくは動物の皮膚から吸収したり、皮膚に纏わりつく場合に、活性化を発揮したり、汚れを除去したりすることが知られている。持続して酸素あるいは水素を水中に泡として放出することが望まれるが、本発明によるコンパウンド電極を使用することにより、ミクロな泡が盛んに放出されることも、本願発明者は確認している。
電極61,81,95が盛んに泡を作る効果は、湯水54,74,99が純水である場合よりも、水道水、硬度の高いアルカリ水、天然水、及び温泉水である方が大きい。硬度が高いほど温度上昇も大きい。純粋の水に近いほど導電性は低くなり、泡の発生も少なくなり、温度の上昇も小さくなる。本発明のコンパウンド電極を用いる湯水54,74,99は、硬水あるいはアルカリ水等が望ましい。コンパウンド電極を導電成分が不足しがちな湯水54,74,99に用いる場合には、コンパウンドを作成するときに、粉末のアルカリ成分を混合したり、炭酸ガスを発生し易い重曹等を混合したりしたコンパウンド電極を用いるのが望ましい。粉末のアルカリ成分としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化珪素等が望ましい。これらのアルカリ成分は、水に溶けることによりアルカリ性を示すものであって、常温において粉末であれば足りる。粉末のアルカリ成分は、アルカリ物質を放出する有機物であっても良い。必要に応じて、匂いを放出する香料又は薬剤の粉末を、コンパウンドに混合してもよい。
電極61,81,95は、浴槽本体51,71,91の大きさに応じて、大きさを設定することが可能である。また、電極61,81,95は、2枚のみならず、それ以上の個数を組み合わせても良い。コンパウンド電極は、コストが金属電極より低廉であるため、使い捨ても可能であり、面積の広いものも作り易い。
図9の足湯装置103とほぼ同等の装置を組み立てた。実施例1〜5の間において、電極の組成のみ変え、他の条件はほぼ同一条件下でそれぞれの評価を実施した。付帯設備(電源、極性反転装置等)の内容は同等として説明は割愛した。本発明の比較例は実質的に存在しないので、比較対象、比較例については記述しない。
相対する電極(幅40mm×長さ180mm)を、人の足の裏に相当する位置に合わせ、主面同士が平行となるように2列に並べて配置し、かつ電極間の間隔を15mmにセットし、塩化ビニル樹脂製の仕切り92のスペーサ93に取りつけた。電極の固定ネジ、リード線186の端子側の固定部品(導電体185)には、チタンを使用した。リード線186には被覆導線を用い、チタン部品とこの被覆銅線との結合部分の表面は、エポキシ樹脂で覆い絶縁した。リード線191は2mm太さの被服銅線を使用し、電源側を安定化電源装置の直流出力端子に結線した。浴槽本体91には、丸みを帯びた外寸約横290mm×縦310mm×高さ220mmのポリプロピレン製の容器を使用し、容量は10リットルであるが、6リットルの水を入れ試験をした。電源電圧は、代表値として20ボルトに設定した。
実証試験に用いた装置の写真を図11に示す。実験に用いる水は、成分を明確にする為、市販されている飲料水を使用した。電気分解を容易にするため水の硬度は高いものの方が望ましく、下記に示すものを使用した。日本の飲料水は軟水であり、電気分解の効果は少ない。また、純水は電気を通さないため、そのままでは使えない。硬度成分を加えた水を自由に作り、使うことも可能である。海外の水は硬水が多く、天然水の硬度も高いが、入浴等には常用されている。日本では軟水が好まれるため、軟水が多い。
名称:コントレックス
発売元:ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
原産地:コントレックスヴィル
100mlあたり硬度成分:1448mg/L(硬水)
PH値:7.4
成分:ナトリウム0.9mg、カルシウム46.8mg、マグネシウム7.45mg、カリウム0.28mg
実証試験の条件を表1に、結果を表2にまとめて示す。表1において、「サンソ」は酸素を、「スイソ」は水素を意味している。また、表1において、「主要機能の発現内容」欄、及び「付加機能の発現内容」欄は、表2と同様に、実証実験の結果を示している。
Figure 0006910637
Figure 0006910637
また、実証試験の結果得られた、電流及び水温の測定値の時間変化を、図12のグラフに示す。
(実施例1)
金属メッキの電極として、厚さ4mm×幅40mm×長さ180mmのチタン板の両面に、白金を0.15μm〜0.2μmの厚さにメッキした電極板を作成し、片足分2枚セット、計4枚を配し、足湯としての性能が発現できるかを、まず調べた。使用電極の素性を表1上部に示した。抵抗値は0Ωであった。実験の結果、問題なく通電し、電気的な仕事量、アンペアも変化し、酸素ガスと水素ガスの発生が見られ、温度も徐々に上昇した。その結果は、表1,2及び図12のグラフに示している。
(実施例2)
本発明のコンパウンド電極を、プレポリマー、硬化剤、黒鉛、触媒等を混合し、練りを加えてコンパウンド化し、プレスにより成型し、165℃で硬化させることにより、電気抵抗13Ω、厚さ5mm×幅40mm×長さ180mmの電極として作成した。この電極を用いて、実施例1と同じ方法で電気分解に供した。
コンパウンド配合は、次の通りである。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製エピクロン#840):100部
クレゾールノボラック系フェノール樹脂(明和化成製HF-1M):40部
導電性フィラー:人造黒鉛(中越黒鉛工業所製#G−150):160部
触媒:トリフェニルホスフィン(TPP:和光純薬製):3部
硬化反応では、完全化を図るために、165°C2時間の熱処理を行った。その結果、問題なく通電し、電気的な仕事量については、一般的な入浴時間(長くても40分程度を想定)において、必要とされる電流値、すなわち0.5アンペア以上から2アンペア程度を示し、酸素ガスと水素ガスの発生が見られ、温度も上昇した。その結果は、表1,2及び図12のグラフに示している。
(実施例3)
本発明によれば、付加機能物質をコンパウンド化した電極を作成し、使用することができる。その代表として、炭酸ガス発生機能を持たせることに注目した電極を、実施例2に準じた方法により、厚さ5mm×幅40mm×長さ180mmの電極として作成した。電極の配合には、実施例2のコンパウンド化の最後の練りの段階において、重炭酸ソーダ(和光純薬製)粉末を50部加え、コンパウンド化を行い、硬化反応のための加熱は、165°Cで行った。実証実験により、電極から炭酸ガスを放出することができ、水中における濃度を高めることに成功した。
(実施例4)
付加機能物質として、アルカリ放出剤等を用いることも可能であり、電極の持続時間の向上や、より良い炭酸ガス発生効果が見込まれる。そのための実施例として、分かりやすい1つの実験例を、実施例4として示す。炭酸ガスの放出を促進する弱酸の添加電極を作り、相対する電極の片方に実施例3の重曹の入った電極、もう片方にクエン酸(配合量は重曹の代わりにクエン酸を20部加えた)コンパウンド電極を着け、その効果を検証した。炭酸ガスの濃度は800ppmまで上昇し、効果が認められた。そのほかにもコンパウンド化の混合、練りの時点で加えることのできる成分であれば、芳香臭や、色素、等の癒しの成分も使用可能である。
(実施例5)
メッキ電極の表面に黒鉛電極を接合した場合の電気分解の実験例を、実施例5として示す。黒鉛電極はメッキ電極に比しコストが安いため、付加機能物質をコンパウンド化しても、なお低廉である。黒鉛電極に機能性物質を混合した場合は、炭酸ガスの放出が終わった時に、その黒鉛電極を取り替えることが出来る。黒鉛電極の取り外しを可能とするために、金属メッキ電極と合わせて使用している。メッキ電極の片面に実施例3の黒鉛電極を接合し、ネジで固定して複合電極とした。炭酸ガスの放出に支障はなく、温度の上昇も得られた。
表2に記載する結果について、説明を補足する。「発生ガス」に関し、大きい泡の発生が観測されたのは、炭酸ガスの泡が水面で破裂したためと思われる。「+側,−側の電流値」については、電流計を使用しても、クランプメーターを使用しても、ほぼ同じ数値を示した。「液温」は、アルコール温度計を右足先端部に相当する部位につけ、ある時間間隔ごとに測った。「炭酸ガス量」は、分圧より評価した。市販のシンヨー技研製の溶存炭酸水濃度測定器を使用した。「PH」の評価には、リトマス試験紙を使用した。
媒体1 、 3 平坦面、 5,7 プローブ、 11 粉末、 12 袋、 13 容器、 15 ヒータ、 17 ミキサー、 19 篩(ふるい)、 20 コンパウンド、 21 金型、 23 電極、 25 端子、 27 絶縁体、 41,43 電極、 45 絶縁体、 51 浴槽本体、 53 浴室、 54 湯水、 55 電気分解室、 57 仕切り、 59 小孔、 61 電極、 65 導電体、 66 リード線、 67 電源、 70 使用者、 71 浴槽本体、 73 浴室、 74 湯水、 75 電気分解室、 77 仕切り、 81 電極、 85 導電体、 86 リード線、 87 電源、 90 輪郭、 91 浴槽本体、 仕切り92、 スペーサ93、 94 小孔、 95 電極、 96 ボルト、 97 ナット、98 スペーサ、 99 湯水、 101,102,103 浴槽、 185 導電体、 186 リード線、 187 コネクタ、 189 管状体、 191 リード線、 193 電源プラグ。

Claims (6)

  1. ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、クレゾールノボラック系のフェノール樹脂である硬化剤と、黒鉛粉末と、水に溶けて二酸化炭素を放出する塩の粉末とを混合することと、
    混合されたものを、押し固めつつ又は押し固めた後に、加熱して硬化させることと、を含み、
    前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が160g/eq〜220g/eqであり、粘度が1000mPa・s以下であり、
    前記硬化剤は、OH当量が100g/eq〜150g/eqであり、
    前記黒鉛粉末の粒度分布は、5μm〜30μmの粒子が80%以上を占める分布であり、
    前記混合をするときの重量比率は、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂100部に対し、前記硬化剤が20部〜80部であり、前記黒鉛粉末は、100部〜230部であり、前記塩の粉末は、50部以下であり、
    前記混合することは、可塑剤と溶剤とのいずれも添加することなく混合する、電極の製造方法。
  2. 前記混合をするときに、0.1部〜8部の硬化促進剤としての触媒をも、混合する、請求項に記載の電極の製造方法。
  3. 入浴すること、又は身体の一部を浸すことが可能な大きさの浴槽本体と、
    前記浴槽本体の内側に配置された少なくとも一組の電極と、
    前記少なくとも一組の電極に個別に接続され、当該少なくとも一組の電極に電力を供給するための少なくとも一組の導電体と、を備え、
    前記少なくとも一組の電極のうちの少なくとも一部は、請求項1又は2に記載の電極の製造方法によって製造された電極である、電気分解機能付き浴槽。
  4. 前記浴槽本体の内側のうち、前記少なくとも一組の電極が配置された領域と、入浴するため又は身体の一部を浸すための領域とを、湯水の通過を許して仕切る、仕切りをさらに備え、それにより身体又は身体の一部が前記少なくとも一組の電極に触れることを防ぐ、請求項に記載の電気分解機能付き浴槽。
  5. 前記浴槽本体は、足湯のために足を浸すことが可能な大きさであり、前記少なくとも一組の電極は、前記足の踵よりも指の方において、互いに広い幅をもって対向する形状である、請求項又はに記載の電気分解機能付き浴槽。
  6. 前記少なくとも一組の電極は、請求項1又は2に記載の電極の製造方法によって製造された前記電極のほかに、弱酸の粉末を含む電極を含んでおり、
    前記弱酸の粉末を含む電極は、
    炭素粉末と、当該炭素粉末を結合させて固める樹脂バインダーとを含み、前記樹脂バインダーはビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、前記弱酸の粉末を、前記炭素粉末と混ぜ合わされ前記樹脂バインダーで固められた形態で、さらに含む、請求項3から5のいずれかに記載の電気分解機能付き浴槽。
JP2017077893A 2017-04-11 2017-04-11 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法 Active JP6910637B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017077893A JP6910637B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017077893A JP6910637B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018178183A JP2018178183A (ja) 2018-11-15
JP6910637B2 true JP6910637B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=64282526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017077893A Active JP6910637B2 (ja) 2017-04-11 2017-04-11 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6910637B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08243141A (ja) * 1995-03-09 1996-09-24 Toyo Tanso Kk 二酸化炭素を溶解させた浴湯の調製方法及び調製装置
JP2000087275A (ja) * 1998-09-11 2000-03-28 Toto Ltd 炭酸生成電解装置
KR20010080532A (ko) * 1999-09-22 2001-08-22 히라이 가쯔히꼬 다공질, 도전성시트 및 그 제조방법
JP3127624U (ja) * 2006-09-27 2006-12-07 株式会社栄宝 足浴装置
JP2012170884A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Toyo Tanso Kk 有機酸含有溶液分解処理方法及び有機酸含有溶液分解処理装置並びに有機酸含有溶液分解処理用電極

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018178183A (ja) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN207949926U (zh) 口腔电力清洁装置
JPH0824865A (ja) イオン水、その製造方法および製造装置
JP2008539836A (ja) 食器および他の台所用品を浄化、殺菌および消毒する方法および浄化装置
KR20080055981A (ko) 전위를 가진 구강위생기구
KR101893186B1 (ko) 융합형 전기분해를 통한 수소의 다목적 용도로 이용 가능한 전기분해장치
CN1832904A (zh) 利用水中等离子体放电的离子化水供应装置
CN101805046A (zh) 碱性还原水无隔膜电解装置
JP4801877B2 (ja) 水素水製造用攪拌具
JP6910637B2 (ja) 電極、電気分解機能付き浴槽、及び電極の製造方法
JP5094122B2 (ja) 1種以上のガスを生成する方法および装置
JP2003334557A (ja) 携帯可能な殺菌洗浄水生成方法と其の装置
JP5210455B1 (ja) 洗浄水生成装置
KR101697870B1 (ko) 토르마린을 이용한 미세전류 전달 장치 및 이를 포함하는 이온영동장치
CN104520242B (zh) 生成气泡和泡沫的装置和方法
KR101298731B1 (ko) 구강 상처 치유 효과가 있는 가글액 제조기
ATE371630T1 (de) Verfahren und vorrichtung zur elektrochemischen wasserdesinfektion
JP5080536B2 (ja) 鉱石等粉混合体
CN212175059U (zh) 微米次氯酸电解装置
KR101956575B1 (ko) 살균제 또는 세정제를 생성할 수 있는 전기분해 장치 및 그것을 위한 전기분해 방법
CN106473094A (zh) 一种烧结制氢活化材料
CN102206833A (zh) 一种电解方法及电解装置
CN201996425U (zh) 手动加热牙缸
CN113165914A (zh) 杀菌电极及其制造方法以及使用该电极的杀菌装置
JP2001347270A (ja) 電解装置
CN201746367U (zh) 碱性还原水无隔膜电解装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210402

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6910637

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150