JP6910607B2 - ピンフィン、ピンフィン群及びタービン翼 - Google Patents
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対向する第1及び第2壁面の間を流れる冷却媒体に前記第1及び第2壁面からの熱を伝えるピンフィンであって、
前記第1壁面から前記第2壁面に向かって突出する第1突部と、前記第2壁面から前記第1壁面に向かって突出する第2突部とを備え、
前記冷却媒体の流れ方向に沿った方向であって、前記第1及び第2突部のそれぞれの先端面における最大寸法を規定する方向を第1方向、前記第1壁面及び前記第2壁面に沿った方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向と定義し、
前記第1及び第2突部のそれぞれにおいて、前記第1方向における寸法を長さ寸法、前記第2方向における寸法を幅寸法と定義した場合に、
前記第1及び第2突部のそれぞれは、
長さ寸法の中間位置よりも前記冷却媒体の流れの上流側の第1位置において、幅寸法が最大となる基端部、及び
前記基端部よりも前記先端面側に位置する中間部であって、前記第1位置において、前記基端部よりも小さい幅寸法を有し、且つ、前記第1位置よりも前記冷却媒体の流れの下流側において、幅寸法が最大となる中間部、
を含む。
すなわち、上記(1)の構成では、基端部の幅寸法が、長さ寸法の中間位置よりも冷却媒体の流れの上流側の第1位置において最大となるので、第1及び第2壁面に沿って流れる冷却媒体が第1位置に向かうにつれてそれぞれ第1及び第2壁面から第1及び第2突部の先端面側に向かうように誘導される。第1位置よりも下流側では基端部の幅寸法が小さくなるので、上述したように先端面側に向かって誘導された冷却媒体は、第1位置を通過すると、先端面側から第1及び第2壁面側に向かうように流れの向きが変化する。このとき、上記(1)の構成では、中間部の幅寸法が第1位置よりも冷却媒体の流れの下流側において最大となるので、第1位置を通過した冷却媒体の上述した流れの向きの変化を促進する。
したがって、上記(1)の構成により、冷却媒体の流れ方向と直交する方向へ冷却媒体が移動することで冷却媒体の混合が促進される。
しかし、上述したように、上記(1)の構成によれば、冷却媒体の流れ方向と直交する方向へ冷却媒体が移動することで冷却媒体の混合が促進されるので、第1及び第2壁面から冷却媒体への熱伝達が下流側で低下するおそれがなく、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
すなわち、一般的に、冷却媒体の流れに対して直交する方向に延在する柱状部材では、冷却媒体の流れの上流側では柱状部材の表面における冷却媒体の流速が速いため冷却媒体への熱伝達が良好であるが、冷却媒体の流れの下流側では柱状部材の表面から冷却媒体の流れが剥離して冷却媒体の流速が低下するため冷却媒体への熱伝達が良好ではない。
しかし、上記(1)の構成では、中間部の幅寸法が第1位置よりも冷却媒体の流れの下流側において最大となるので、中間部において冷却媒体の流速が低下する領域を縮小できる。換言すると、上記(1)の構成では、中間部の上流側の表面において冷却媒体の流速が速い領域、すなわち熱伝達が良好となる領域を拡大できる。
したがって、上記(1)の構成によれば、中間部において冷却媒体へ効率的に熱が伝達されるので、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
したがって、上記(1)の構成によれば、基端部において冷却媒体へ効率的に熱が伝達されるので、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
上記(2)の構成によれば、中間部において上述したような冷却媒体の流速が低下する領域をさらに縮小できるので、熱伝達が良好となる領域をさらに拡大できる。
したがって、上記(2)の構成によれば、中間部において冷却媒体へより効率的に熱が伝達されるので、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
上記(3)の構成では、中間部の近傍で冷却媒体が下流側に向かって流れやすくなるので、上述したように先端面側に向かって誘導された冷却媒体が下流に向かって流れやすくなり、冷却媒体の圧力損失を低減できる。これにより、冷却媒体の流量低下を抑制できるので、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
すなわち、例えば、対向する第1及び第2壁面とピンフィンとをロストワックス精密鋳造によって一体的に形成する場合、対向する第1壁面と第2壁面とで挟まれた空間のうち、ピンフィンを除いた空間と同形状の中子を用いてろう型を成型する。一般的に、中子を製造する場合には、半割れの型を用いて製造するので、中子を半割れの型から抜くことができるようにしなければならず、中子の形状が制約を受ける。
上記(4)の構成によれば、第1及び第2壁面の間を流れる冷却媒体の流れも中間面に関して対称となるので、第1及び第2壁面の双方を効率的に冷却できる。
上記(5)の構成によれば、先端面同士が接続された第1及び第2突部が第1及び第2壁面の補強部材としての役割を果たすので、第1及び第2壁面の強度を向上できる。
上記(6)の構成によれば、第1及び第2突部におけるそれぞれの先端面が冷却媒体と接触するので、第1及び第2突部における冷却媒体との接触面積を増やすことができる。これにより、第1及び第2突部から冷却媒体へ効率的に熱が伝達されるので、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
前記第1及び前記第2突部は、前記冷却媒体の流れの上流側において前記第1方向に沿った少なくとも1つの切れ込み部を有し、
前記切れ込み部は、前記第1及び第2壁面から離れるにつれて前記第2方向の寸法が大きくなる。
上記(7)の構成によれば、第1及び第2突部が冷却媒体の流れの上流側において第1方向に沿った少なくとも1つの切れ込み部を有しているので、冷却媒体は、切れ込み部へ誘導される。また、第1及び第2壁面から離れるにつれて切れ込み部の第2方向の寸法が大きくなるので、切れ込み部へ誘導された冷却媒体は、第1及び第2壁面から離れるように誘導される。これにより、冷却媒体の流れ方向と直交する方向へ冷却媒体が移動することで冷却媒体の混合が促進されるので、第1及び第2壁面から冷却媒体への熱伝達が促進され、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
上記(1)乃至(7)の何れかの構成の複数のピンフィンを備えるピンフィン群であって、
前記複数のピンフィンは、
前記第2方向に間隔をあけて配列される複数の前記ピンフィンを含む第1ピンフィン列と、
前記第1ピンフィン列に対して前記第1方向における前記冷却媒体の流れの下流側において、前記第2方向に間隔をあけて配列される複数の前記ピンフィンを含む第2ピンフィン列と、含む。
前記第1突部と前記第2突部とは、前記先端面同士で接続されており、
前記第1ピンフィン列における任意のピンフィンを第1ピンフィン、
前記第2ピンフィン列における前記第1ピンフィンと最も近接するピンフィンを第2ピンフィン、
前記第1ピンフィンの前記先端面における幅寸法の最大値の1/2をR1、
前記第2ピンフィンの前記先端面における幅寸法の最大値の1/2をR2、
前記第1ピンフィンの前記先端面における幅寸法の中間位置と、前記第2ピンフィンの前記先端面における幅寸法の中間位置との前記第2方向における離間距離をDa、と定義した場合に、Da−R1−R2>0の関係を満たす。
前記第1ピンフィン列における任意のピンフィンを第1ピンフィン、
前記第2ピンフィン列における前記第1ピンフィンと最も近接するピンフィンを第2ピンフィン、
前記第1ピンフィンの前記基端部における幅寸法の最大値の1/2をR3、
前記第2ピンフィンの前記基端部における幅寸法の最大値の1/2をR4、
前記第1ピンフィンの前記基端部における幅寸法の中間位置と、前記第2ピンフィンの前記基端部における幅寸法の中間位置との前記第2方向における離間距離をDb、と定義した場合に、Db−R3−R4<0の関係を満たす。
上記(10)の構成によれば、第1ピンフィン列及び第2ピンフィン列を第1方向に投影した場合に、基端部の少なくとも一部において第1ピンフィン列と第2ピンフィン列とがオーバーラップする領域が形成されるので、上述したような冷却媒体の混合がピンフィン列を通過するたびに繰り返される。したがって、第1及び第2壁面から冷却媒体への熱伝達が良好となり、第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
上記構成(1)乃至(7)の何れかの構成の複数のピンフィンと、
前記ピンフィンとは異なる形状を有する複数の通常ピンフィンと、を備えるピンフィン群であって、
前記複数のピンフィンは、前記複数の通常ピンフィンよりも、前記冷却媒体の流れの下流側に設けられる。
上記(11)の構成では、冷却媒体に熱を効率的に伝達できる複数のピンフィンが複数の通常ピンフィンよりも、冷却媒体の流れの下流側に設けられるので、冷却媒体の流れの下流側においても第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
前記第1及び第2壁面との間に形成される冷却通路を内部に有するタービン翼であって、
前記冷却通路には、上記構成(8)乃至(11)の何れかの構成のピンフィン群が設けられる。
上記(12)の構成によれば、タービン翼の第1及び第2壁面を効率的に冷却できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
圧縮機102は、圧縮機車室110と、圧縮機車室110の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口112と、圧縮機車室110及び後述するタービン車室122を共に貫通するように設けられたロータシャフト108と、圧縮機車室110内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口112側に設けられた入口案内翼114と、圧縮機車室110側に固定された複数の圧縮機静翼116と、圧縮機静翼116に対して交互に配列されるようにロータシャフト108に植設された複数の圧縮機動翼118と、を含む。なお、圧縮機102は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機102において、空気取入口112から取り込まれた空気は、複数の圧縮機静翼116及び複数の圧縮機動翼118を通過して圧縮されることで圧縮空気が生成される。そして、圧縮空気は圧縮機102から後段の燃焼器104に送られる。
具体的には、翼部3の内部には隔壁10a,10b,10c,10d,10eが設けられており、隔壁10a,10b,10c,10d,10eと腹側壁13と背側壁14とによって囲まれた冷却通路4a,4b,4c,4d,4e,4f,4gが形成される。
前縁側蛇行型冷却通路6の冷却空気の入口6aはタービン動翼1の根元側に設けられ、冷却空気の出口6bは翼部3の外周側(先端側)の端部に設けられている。
後縁側蛇行型冷却通路7の冷却空気の入口7aはタービン動翼1の根元側に設けられ、冷却空気の出口7bは翼部3の後縁19に設けられている。冷却空気の出口7bは、冷却通路4gにおける冷却空気の流れに対する下流側の端部である。
前縁側蛇行型冷却通路6では、入口6aから流入した冷却空気は、冷却通路4a,4b,4cを順に流れることで翼部3の先端側と根元側との間で蛇行し、出口6bからタービン動翼1の外部に流出する。
後縁側蛇行型冷却通路7では、入口7aから流入した冷却空気は、冷却通路4d,4e,4fを順に流れることで翼部3の先端側と根元側との間で蛇行し、冷却通路4gを後縁19側に向かって流れ、出口7bからタービン動翼1の外部に流出する。
図4は、一実施形態の冷却通路4gを冷却空気の流れの上流側から下流側に向かって見たときの翼部3の断面の一部を示す図であり、図5は、一実施形態の冷却通路4g内に設けられているピンフィン群200の一部についての斜視図である。なお、ピンフィン群200を構成する各ピンフィン201の形状の理解を容易にするために、図4及び後で説明する各図において、実際には表れないワイヤーフレームの線を併用してピンフィン201の外形を表すことがある。
一実施形態のピンフィン201は、腹側壁13の内壁面13aから背側壁14の内壁面14aに向かって突出する第1突部210と、背側壁14の内壁面14aから腹側壁13の内壁面13aに向かって突出する第2突部220とを備える。一実施形態では、第1突部210及び第2突部220は、腹側壁13の内壁面13aと背側壁14の内壁面14aとの中間面31、すなわち、内壁面13aと内壁面14aとの中間に位置する仮想の面までそれぞれ延在し、第1突部210の先端面211と、第2突部220の先端面221とが中間面31において接続されている。すなわち、一実施形態では、第1突部210と第2突部220とによってピンフィン201が一体的に形成されている。
一実施形態では、ピンフィン201は、中間面31に関して第1突部210と第2突部220とが対称である。
説明の便宜上、冷却空気の流れ方向に沿った方向であって、第1及び第2突部210,220のそれぞれの先端面211,221における最大寸法LCmax(図6参照)を規定する方向をx方向とし、内壁面13a,14a(図4参照)に沿った方向であってx方向と直交する方向をy方向とする。また、中間面31に直交する方向をz方向とする。
上述のように定めたx、y、z方向を図4以降の各図において方向を表す際に用いることとする。
また、第1及び第2突部210,220のそれぞれにおいて、x方向における寸法を長さ寸法又は単に長さと呼び、y方向における寸法を幅寸法又は単に幅と呼び、z方向における寸法を高さ寸法又は単に高さと呼ぶ。また、以下の説明では、x方向を長さ方向とも呼び、y方向を幅方向とも呼び、z方向を高さ方向とも呼ぶ。
また、一実施形態では、第1突部210と第2突部220とが中間面31を境にx方向及びy方向にずれていないが、後述する作用効果を奏する範囲内であれば、第1突部210と第2突部220とが中間面31を境にx方向やy方向にずれていてもよい。
同様に、第2突部220は、内壁面14aから所定の高さ寸法の範囲内の部位である基端部222と、中間面31から所定の高さ寸法の範囲内の部位である中間部223とを備える。以下の説明では、基端部222が内壁面14aから立ち上がる部分、すなわち基端部222の最も内壁面14a側の位置における第2突部220の断面を基端面224と呼ぶ。また、以下の説明では、第2突部220の先端面221の外縁と基端面224の外縁とを接続する面を側面225と呼ぶ。
以下、主に図6,7,8を参照して、一実施形態の第1突部210の形状について説明する。なお、上述したように、一実施形態の第2突部220が一実施形態の第1突部210と中間面31に関して対称であるので、第2突部220の形状の説明については省略する。
図7は、一実施形態の第1突部210をz方向から見たときの断面を表す図であり、図7(a)は、先端面211の形状を表し、図7(b)は、基端面214の形状を表す。図8は、第1突部210をz方向から見た図である。
図7(a)に示すように、一実施形態の先端面211は、冷却空気の流れの上流側の上流部211f及び下流側の下流部211rが外側に向かって凸となる、丸みを帯びた形状を呈する。なお、上流部211f及び下流部211rが外側に向かって凸となる、角張った形状を呈していてもよい。
上述したように、一実施形態の第1突部210では、先端面211における長さ寸法のうち、幅方向の中間位置における長さ寸法が最大寸法LCmaxとなる。
なお、先端面211の形状の理解を容易にするために、図7(a)において、最大寸法LCmaxを直径とする仮想の円C1を2点鎖線で表す。
一実施形態では、先端面211における幅寸法は、最大寸法LCmaxよりも小さく、幅方向の中間位置における長さ方向の中間位置OCよりも冷却空気の流れの下流側、すなわち、図7(a)の右側において最大値WCmaxをとる。
一実施形態では、先端面211は、中間位置OCを含みx方向に延在する線分CLcを対称軸として線対称である。
図7(b)に示すように、一実施形態の基端面214は、冷却空気の流れの上流側の上流部214f及び下流側の下流部214rが外側に向かって凸となる、丸みを帯びた形状を呈する。なお、上流部214f及び下流部214rが外側に向かって凸となる、角張った形状を呈していてもよい。
なお、基端面214の形状の理解を容易にするために、図7(b)において、長さ方向の最大寸法LBmaxを直径とする仮想の円C2を2点鎖線で表す。なお、一実施形態では、基端面214の長さ方向の最大寸法LBmaxは、先端面211における長さ方向の最大寸法LCmaxと等しい。したがって、円C2と図7(a)における円C1とは、直径が等しい。
一実施形態では、基端面214における幅寸法は、幅方向の中間位置における長さ方向の中間位置OBよりも冷却空気の流れの上流側、すなわち、図7(b)の左側において最大値WBmaxをとる。
一実施形態では、基端面214は、中間位置OBを含みx方向に延在する線分CLbを対称軸として線対称である。
一実施形態では、図8に示すように、先端面211の中間位置OCと基端面214の中間位置OBとは、z方向から見たときの位置が一致する。
例えば図6に示すように、一実施形態の第1突部210の側面215は、先端面211及び基端面214の外縁同士をなだらかに接続する面で形成されている。なお、後述する作用効果を奏する範囲内であれば、側面215に角張った領域が存在してもよい。
なお、一実施形態では、上述したように、側面215が形状の異なる先端面211と基端面214との外縁同士をなだらかに接続する面で形成されていることから、基端部212におけるxy平面と平行な面で切断した断面の形状は、z方向の位置によって異なる。また、一実施形態では、基端部212における第1位置は、z方向の位置によって異なる。
なお、z方向の位置にかかわらず、基端部212におけるxy平面と平行な面で切断した断面の形状が同じであってもよい。この場合、基端部212における第1位置は、z方向の位置にかかわらず1か所に定まる。
なお、図7(a)、図8において符号P2を付して表したx方向の位置は、先端面211における第2位置である。一実施形態では、上述したように、側面215が形状の異なる先端面211と基端面214との外縁同士をなだらかに接続する面で形成されていることから、中間部213におけるxy平面と平行な面で切断した断面の形状は、z方向の位置によって異なる。また、一実施形態では、中間部213における第2位置は、z方向の位置によって異なる。
なお、z方向の位置にかかわらず、中間部213におけるxy平面と平行な面で切断した断面の形状が同じであってもよい。この場合、中間部213における第2位置は、z方向の位置にかかわらず1か所に定まる。
一実施形態のピンフィン群200では、複数のピンフィン201が、規則的に配置されている。具体的には、ピンフィン群200は、ピンフィン201、すなわち第1突部210及び図9において不図示の第2突部220がy方向に沿って所定のピッチPyで配置された第1ピンフィン列202及び第2ピンフィン列203を備える。
第1ピンフィン列202と第2ピンフィン列203とは、x方向に所定のピッチPxで繰り返し配置されている(図5,9参照)。第1ピンフィン列202の各ピンフィン201と第2ピンフィン列203の各ピンフィン201とは、所定のずれ量D=0.5Pyでy方向にずれて配置されている。
図10は、一実施形態の冷却通路4gをy方向に沿って見たときの翼部3の断面の一部を模式的に示す図である。図11は、ピンフィン201の近傍における冷却空気の流れを表す図であり、図11(a)は、先端面211の近傍、すなわち中間面31の近傍における冷却空気の流れを矢印45,46によって表す図であり、図11(b)は、基端面214の近傍、すなわち、内壁面13aの近傍における冷却空気の流れを矢印47,48によって表す図である。
一実施形態では、上述したように、中間部213,223の幅寸法が第1位置よりも冷却空気の流れの下流側の第2位置において最大となる。したがって、第1位置を通過した冷却空気の上述した流れの向きの変化を促進する。なお、図10では、第2位置として先端面211,221における第2位置P2を図示している。
このようにして、一実施形態では、冷却空気の流れ方向と直交する方向、すなわちz方向へ冷却空気が移動することで冷却空気の混合が促進される。
しかし、一実施形態のピンフィン群200によれば、上述したように、冷却空気の流れ方向と直交する高さ方向へ冷却空気が移動することで冷却空気の混合が促進されるので、内壁面13a,14aの表面近傍を流れる冷却空気の温度上昇を抑制できる。これにより、内壁面13a,14aから冷却空気への熱伝達が下流側で低下することを抑制できるので、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
すなわち、一般的に、冷却媒体の流れに対して直交する方向に延在する柱状部材では、冷却媒体の流れの上流側では柱状部材の表面における冷却媒体の流速が速いため冷却媒体への熱伝達が良好であるが、冷却媒体の流れの下流側では柱状部材の表面から冷却媒体の流れが剥離して冷却媒体の流速が低下するため冷却媒体への熱伝達が良好ではない。
しかし、一実施形態のピンフィン201では、中間部213,223の幅寸法が第1位置よりも冷却空気の流れの下流側の第2位置において最大となる。これにより、中間部213,223において冷却空気の流速が低下する領域を縮小できる。換言すると、図11(a)の矢印51で示すように、中間部213,223の上流側の表面において冷却空気の流速が速い領域、すなわち熱伝達が良好となる領域を相対的に拡大できる。
特に、一実施形態では、中間部213,223の幅寸法は、長さ寸法の中間位置OB,OCよりも冷却空気の流れの下流側において最大となるので、中間部213,223において上述したような冷却空気の流速が低下する領域をさらに縮小でき、熱伝達が良好となる領域をさらに拡大できる。
したがって、一実施形態のピンフィン群200では、ピンフィン201の中間部213,223において冷却空気へ効率的に熱が伝達されるので、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
したがって、一実施形態のピンフィン群200では、ピンフィン201の基端部212,222において冷却空気へ効率的に熱が伝達されるので、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
なお、図11(b)の矢印52で示した領域は、基端部212,222の上流側の表面において矢印47で示した冷却空気の流速が速く、熱伝達が良好な領域である。
すなわち、一実施形態のピンフィン群200では、y方向に間隔をあけて配列される複数のピンフィン201を含むピンフィン列がx方向に複数列存在するので、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
上述したように、冷却空気は、第1及び第2突部210,220の基端部212,222の近傍を通過する際に、図10の矢印42で示すように、内壁面13a,14aから中間面31側に向かうように誘導され、その後、矢印43,44で示すように、中間面31側から内壁面13a,14a側に向かうように誘導されることで混合が促進される。
一実施形態のピンフィン群200では、上述したオーバーラップ領域33が存在することで、上述したような冷却空気の混合が第1及び第2ピンフィン列202,203を通過するたびに繰り返される。したがって、内壁面13a,14aの表面近傍を流れる冷却空気の温度を下げることができるので、内壁面13a,14aから冷却空気への熱伝達が良好となり、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
すなわち、例えば、タービン動翼1をロストワックス精密鋳造によって製造する場合、ピンフィン群200については、対向する腹側壁13と背側壁14とで挟まれた空間のうち、ピンフィン群200を除いた空間、すなわち冷却空気が流れる領域と同形状の中子を用いてろう型を成型する。
一般的に、中子を製造する場合には、半割れの型を用いて製造するので、中子を半割れの型から抜くことができるようにしなければならず、中子の形状が制約を受ける。
図13は、中子300の製造に用いる半割れの型350の一部についての斜視図である。半割れの型350は、中子300の開口301に対応する突部351を複数有する。半割れの型350の突部351の形状は、一実施形態の第1及び第2突部210,220の形状と同形状である。
(1)例えば、上述した一実施形態のピンフィン201の形状は一例であり、様々なバリエーションが存在する。そのバリエーションの一つを図14に示す。図14は、上述した一実施形態の第1突部210に対応する他の実施形態の第1突部210Aの斜視図である。
第1突部210Aは、一実施形態の第1突部210の先端面211、基端部212、中間部213、基端面214、及び側面215にそれぞれ対応する、先端面211A、基端部212A、中間部213A、基端面214A、及び側面215Aを備える。
側面215Aは、形状の異なる先端面211Aと基端面214Aとの外縁同士をなだらかに接続する面で形成されている。
なお、第1突部210の先端面211と、第2突部220の先端面221とが離間している場合、各先端面211,221は平面であってもよく、曲面であってもよい。
図15は、他の実施形態に係る第1突部210Bの斜視図である。
他の実施形態の第1突部210Bと不図示の第2突部とは、互いに対向した状態で、離間して配置されている。なお、他の実施形態に係る第2突部は、図15に示した他の実施形態の第1突部210Bと中間面31(図4参照)に関して対称であるので、第2突部の形状についての説明は省略する。
説明の便宜上、冷却空気の流れ方向に沿った方向であって、中央側突部261が延在する方向をx方向とし、内壁面13a,14a(図4参照)に沿った方向であってx方向と直交する方向をy方向とし、x方向及びy方向のそれぞれに対して直交する方向をz方向とする。以下の説明では、上述した一実施形態の場合と同様に、x方向における寸法を長さ寸法又は単に長さと呼び、y方向における寸法を幅寸法又は単に幅と呼び、z方向における寸法を高さ寸法又は単に高さと呼ぶ。また、以下の説明では、x方向を長さ方向とも呼び、y方向を幅方向とも呼び、z方向を高さ方向とも呼ぶ。
図15,16に示すように、中央側突部261は、冷却空気の流れの上流側となる上流部261aにおいて、x方向と直交する方向の断面の断面積、すなわちyz平面に平行な断面の断面積が、x方向に沿って冷却空気の流れの下流側に向かうにつれて増加するように形成されている。また、中央側突部261の上流部261aのy方向及びz方向の寸法は、冷却空気の流れの下流側となる下流部261bのy方向及びz方向の寸法よりも小さい。
中央側突部261は、x方向に沿った寸法がy方向に沿った寸法よりも大きい。
また、他方側突部263は、y方向の一方側とは反対側の他方側において中央側突部261と離間している。
中央側突部261と、一方側突部262及び他方側突部263とが接続する接続範囲において、中央側突部261の延在方向と直交する方向の断面、すなわち、例えば図16(b)に示す断面において、中央側突部261は、一方側突部262及び他方側突部263よりも大きい高さ寸法を有する。
以下の説明では、基端部272が内壁面13aから立ち上がる部分、すなわち基端部272の最も内壁面13a側の位置における第1突部210Bの断面を基端面274と呼ぶ。基端面274は、図16(b)のB−B矢視断面である。
図17においてハッチングを施した領域は中間部断面277であり、図16(b)のC−C矢視断面、すなわち、中間部273の所定の高さ位置における第1突部210Bの断面である。
中間部273は、上記第1位置において、基端部272よりも小さい幅寸法を有する。また、中間部273では、上記第1位置よりも冷却空気の流れの下流側の第2位置において、幅寸法が最大となる。また、中間部273の幅寸法は、長さ寸法Lの中間位置P10よりも冷却空気の流れの下流側において最大となる。
なお、図17において符号P12を付して表したx方向の位置は、中間部断面277における第2位置である。
内壁面13a(図4,16参照)に沿って流れてきた冷却空気は、第1突部210Bに到達すると、矢印71で示すように、中央側突部261と一方側突部262との間、及び中央側突部261と他方側突部263との間、すなわち、切れ込み部267,268に誘導される。
また、上述したように、一方側突部262の下流部262b及び他方側突部263の下流部263bは、それぞれ中央側突部261側に向かって延在していて、中央側突部261に接続している。そのため、切れ込み部267,268に誘導された冷却空気は、矢印72で示すように、内壁面13aから離れ、一方側突部262の下流部262b及び他方側突部263の下流部263bに乗り上がる。
そのため、一方側突部262の下流部262b及び他方側突部263の下流部263bに乗り上がった冷却空気は、矢印73で示すように、各下流部262b,263bをそれぞれ乗り越えて下流側へ流れる。
このように、冷却空気は、第1突部210Bの各下流部262b,263b、及び不図示の第2突部における、上記下流部262b,263bに相当する部分を乗り越える際に冷却空気の流れ方向と直交する方向、すなわちz方向へ移動する。これにより、冷却空気の混合が促進されるので、内壁面13a,14aから冷却空気へ効率的に熱が伝達され、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
また、中央側突部261のx方向に沿った寸法がy方向に沿った寸法よりも大きいので、上述した一実施形態における図11(a)の矢印51で示した領域と同様に、冷却空気の流速が速い領域、すなわち熱伝達が良好となる領域を、単なる円柱形状の突部と比較して相対的に拡大できる。これにより、冷却空気へ効率的に熱が伝達されるので、腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
冷却空気の流れの上流側では、冷却空気と腹側壁13及び背側壁14との温度差が大きいので、通常ピンフィンであっても腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。しかし、冷却空気の流れの下流側では、腹側壁13及び背側壁14から奪った熱によって冷却空気の温度が上昇するため、下流側に向かうにつれて腹側壁13及び背側壁14との温度差が小さくなり、冷却効率は低下する。しかし、冷却空気に熱を効率的に伝達できる複数のピンフィン201を複数の通常ピンフィンよりも、冷却空気の流れの下流側に設けることで、冷却空気の流れの下流側においても腹側壁13及び背側壁14を効率的に冷却できる。
なお、この場合には、図13に示した半割れの型350の突部351を図12に示した中子300の開口301から抜くことが難しい。しかし、図13に示した半割れの型350を用いるのではなく、たとえば、3Dプリンターのような製造装置を用いて中子300を製造してもよい。したがって、中間部213の幅寸法が、長さ方向の一部の位置において、基端部212の幅寸法よりも大きくても、上述した一実施形態と同様に、タービン動翼1を鋳造によって安価に製造できる。
また、タービン動翼1やタービン静翼124以外の冷却対象物が一実施形態のピンフィン群200と同様のピンフィン群を備えていてもよい。すなわち、例えば柱状のピンフィンを用いて気体や液体と熱の伝達を行っている従来の装置において、該ピンフィンに代えて一実施形態のピンフィン201を適用してもよい。
なお、冷却媒体は空気に限らず、各種の気体や液体を用いてもよい。
3 翼部
4 冷却通路
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g 冷却通路
6 前縁側蛇行型冷却通路
7 後縁側蛇行型冷却通路
13 腹側の壁部(腹側壁)
13a 内壁面
14 背側の壁部(背側壁)
14a 内壁面
31 中間面
100 ガスタービン
200 ピンフィン群
201 ピンフィン
202 第1ピンフィン列
203 第2ピンフィン列
210,210A,210B 第1突部
211 先端面
212 基端部
213 中間部
214 基端面
211A 先端面
212A 基端部
213A 中間部
214A 基端面
220 第2突部
221 先端面
222 基端部
223 中間部
224 基端面
261 中央側突部
262 一方側突部
263 他方側突部
267,268 切れ込み部
Claims (12)
- 対向する第1及び第2壁面の間を流れる冷却媒体に前記第1及び第2壁面からの熱を伝えるピンフィンであって、
前記第1壁面から前記第2壁面に向かって突出する第1突部と、前記第2壁面から前記第1壁面に向かって突出する第2突部とを備え、
前記冷却媒体の流れ方向に沿った方向であって、前記第1及び第2突部のそれぞれの先端面における最大寸法を規定する方向を第1方向、前記第1壁面及び前記第2壁面に沿った方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向と定義し、
前記第1及び第2突部のそれぞれにおいて、前記第1方向における寸法を長さ寸法、前記第2方向における寸法を幅寸法と定義した場合に、
前記第1及び第2突部のそれぞれは、
長さ寸法の中間位置よりも前記冷却媒体の流れの上流側の第1位置において、幅寸法が最大となる基端部、及び
前記基端部よりも前記先端面側に位置する中間部であって、前記第1位置において、前記基端部よりも小さい幅寸法を有し、且つ、前記第1位置よりも前記冷却媒体の流れの下流側において、幅寸法が最大となる中間部、
を含むピンフィン。 - 前記中間部の幅寸法は、長さ寸法の中間位置よりも前記冷却媒体の流れの下流側において最大となる請求項1に記載のピンフィン。
- 前記中間部の幅寸法は、前記第1方向の任意の位置において、前記基端部の幅寸法と同じか、前記基端部の幅寸法よりも小さい請求項1又は2に記載のピンフィン。
- 前記第1突部と前記第2突部とは、前記第1壁面と前記第2壁面との中間面に関して対称である請求項1乃至3の何れか1項に記載のピンフィン。
- 前記第1突部と前記第2突部とは、前記先端面同士で接続されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のピンフィン。
- 前記第1突部と前記第2突部とは、前記先端面同士が離間している請求項1乃至4の何れか1項に記載のピンフィン。
- 前記第1及び前記第2突部は、前記冷却媒体の流れの上流側において前記第1方向に沿った少なくとも1つの切れ込み部を有し、
前記切れ込み部は、前記第1及び第2壁面から離れるにつれて前記第2方向の寸法が大きくなる請求項6に記載のピンフィン。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載の複数のピンフィンを備えるピンフィン群であって、
前記複数のピンフィンは、
前記第2方向に間隔をあけて配列される複数の前記ピンフィンを含む第1ピンフィン列と、
前記第1ピンフィン列に対して前記第1方向における前記冷却媒体の流れの下流側において、前記第2方向に間隔をあけて配列される複数の前記ピンフィンを含む第2ピンフィン列と、含むピンフィン群。 - 前記第1突部と前記第2突部とは、前記先端面同士で接続されており、
前記第1ピンフィン列における任意のピンフィンを第1ピンフィン、
前記第2ピンフィン列における前記第1ピンフィンと最も近接するピンフィンを第2ピンフィン、
前記第1ピンフィンの前記先端面における幅寸法の最大値の1/2をR1、
前記第2ピンフィンの前記先端面における幅寸法の最大値の1/2をR2、
前記第1ピンフィンの前記先端面における幅寸法の中間位置と、前記第2ピンフィンの前記先端面における幅寸法の中間位置との前記第2方向における離間距離をDa、と定義した場合に、Da−R1−R2>0の関係を満たす請求項8に記載のピンフィン群。 - 前記第1ピンフィン列における任意のピンフィンを第1ピンフィン、
前記第2ピンフィン列における前記第1ピンフィンと最も近接するピンフィンを第2ピンフィン、
前記第1ピンフィンの前記基端部における幅寸法の最大値の1/2をR3、
前記第2ピンフィンの前記基端部における幅寸法の最大値の1/2をR4、
前記第1ピンフィンの前記基端部における幅寸法の中間位置と、前記第2ピンフィンの前記基端部における幅寸法の中間位置との前記第2方向における離間距離をDb、と定義した場合に、Db−R3−R4<0の関係を満たす請求項8又は9に記載のピンフィン群。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載の複数のピンフィンと、
前記ピンフィンとは異なる形状を有する複数の通常ピンフィンと、を備えるピンフィン群であって、
前記複数のピンフィンは、前記複数の通常ピンフィンよりも、前記冷却媒体の流れの下流側に設けられるピンフィン群。 - 前記第1及び第2壁面との間に形成される冷却通路を内部に有するタービン翼であって、
前記冷却通路には、請求項8乃至11の何れか1項に記載のピンフィン群が設けられるタービン翼。
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