JP6910070B2 - チューブポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、弾性材製のチューブを扱くように押圧し、チューブ内の流体を移動させることで、移送対象の流体を吸引且つ吐出可能とする、チューブポンプに関する。
弾性変形可能なチューブの一部を、回転するロータで外から押圧すると共にその押圧箇所を移動させるようにして、チューブ内の流体をチューブの一端側から他端側へ繰り返し移送することで、ポンプとして移送対象の流体を吸引且つ吐出可能とするチューブポンプは、他のポンプに比べて単位時間当たりの流量は少ないものの、高い定量性を有し、また、移送対象の流体との接触をチューブ内面のみにとどめられることから、飲料供給用や、分析用、医療用等の多様な分野において利用されている。
こうしたチューブポンプは、一般的に、円弧状配置の曲面部分が含まれる壁状部を配設されるハウジングと、壁状部との間に隙間を設けるようにしてハウジングに回転可能に配設されるロータと、このロータを回転駆動するモータ等の駆動源とを備える構成である。そして、壁状部における円弧状曲面部分とロータとの間に弾性を有するチューブが着脱可能に挿入配設され、回転駆動されるロータがチューブをその一端側から他端側へ順次押圧することによって、チューブ内の移送対象の流体が移送される仕組みとなっている。
こうした従来のチューブポンプの一例として、特開2008−190333号公報に開示されるものがある。
特開2008−190333号公報
従来のチューブポンプは、前記特許文献に示されるように、開放状態ではロータ及び可動ガイドを露出させ、閉止状態ではロータ及び可動ガイドを覆うように構成されたカバーを有するものである。そして、カバーの開閉動作と可動ガイドの移動とを連動させることができ、カバーを開放すると可動ガイドがロータから離隔する向きに移動して、可動ガイドとロータとの間にチューブを装着しやすくする一方、カバーを閉じると、可動ガイドがロータに近接する向きに移動して、ロータでチューブを扱いて送液が可能な状態となる。
しかしながら、前記特許文献に記載の従来のチューブポンプでは、カバーに設けたローラが、可動ガイドの受圧部と突出部との間に位置することで、拘束を受け、カバーの開放する角度が規制されており、カバーの開放角度が十分でなく、チューブの着脱作業が行いにくいという課題を有していた。
また、カバーの回動中心がポンプ装置上部に位置してカバー端部と離れていることで、カバー開放時のカバーの前方への突出量が大きく、カバー開閉に必要なスペースが大きくなり、ポンプの適用環境に係る制約が大きくなる、という課題を有していた。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、チューブを被覆可能なカバーを閉止から開放に移行させた状態でカバーの回動範囲を大きくしてポンプ前方を広く開放するようにして、チューブの着脱の作業性を高められる、チューブポンプを提供することを目的とする。
本発明の開示に係るチューブポンプは、少なくとも略円弧状に配置される曲面部分が含まれる壁状部を配設されるハウジングと、前記壁状部の略円弧状曲面部分を含む一部との間に隙間を設けるようにしてハウジングに回転可能に配設されるロータと、当該ロータを回転駆動するモータと、壁状部の一部とロータとの間に挿入配設される弾性材製のチューブとを有し、回転するロータでチューブの一部を押圧すると共に押圧箇所を移動させて、移送対象の流体をチューブを通じて移送可能とするチューブポンプにおいて、前記壁状部の略円弧状曲面部分をなす半円形の円弧状曲面部を少なくとも含んで、前記ハウジングに対し前記ロータの回転中心軸と直角をなす所定の向きに直線移動可能とされて、ロータとの間隔を変更可能に配設され、且つ前記所定の向き以外の動きを拘束される可動ベースと、前記壁状部に囲まれる凹部の少なくとも一部を前記チューブが凹部から離脱しないよう被覆可能として、前記ハウジングにロータの回転中心軸と直角をなし且つ前記可動ベースの直線移動方向とも直角をなす軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジングに対し開閉可能とされるカバーと、一端を前記カバーに回動可能に連結されると共に、他端を前記可動ベースに回動可能に連結されるリンク部材とを備え、当該リンク部材の一端及び他端における回動中心軸は、ハウジングに対するカバーの回動中心軸と平行な向きとされ、前記リンク部材は、前記カバーが閉じた状態で、リンク部材の一端の回動中心位置が、カバーの回動中心位置よりロータに近い側に位置し、且つリンク部材他端の可動ベースに対する回動中心位置とカバーの回動中心位置とを通る仮想線上又は当該仮想線よりカバーを閉じる向きに進んだ側に位置するように設けられるものである。
このように本発明の開示によれば、チューブが押し付けられる壁状部の一部をなす可動ベースを、ロータとの間隔を変更可能としてハウジングに配設すると共に、チューブが離脱しないよう被覆するカバーを、ロータの回転中心軸と直角をなし且つ可動ベースの移動方向とも直角をなす軸線を中心に所定角度範囲回動可能としてハウジングに配設し、カバーの開閉に連動させてハウジング上で可動ベースを動かす機構を、カバーと可動ベースにそれぞれ連結したリンク部材を用いるものとして、開閉に係るカバーの回動への制約を少なくし、カバーの回動可能な角度範囲を大きくすることにより、カバー開放の際に可動ベースとロータの正面からカバーを大きくずらして可動ベースとロータを広く開放することとなり、可動ベースとロータとの間にチューブを出し入れする作業の際に、カバー等が作業の障害となりにくく、前記作業をスムーズに行うことができ、作業性を向上させられる。
また、本発明の開示に係るチューブポンプは必要に応じて、前記凹部の前記可動ベース寄りとなる一部をチューブが凹部から離脱しないよう被覆可能として、可動ベースに前記カバーの回動中心軸と平行な軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジングに対し開閉可能とされる補助カバーを備え、前記カバーが、側部にカバーの回動中心軸と直角をなす向きへ連続する案内溝を設けられ、前記補助カバーが、一端部を前記カバーの案内溝に係合されて、カバーに対し一端部を回動可能且つ直線移動可能に連結されるものである。
このように本発明の開示によれば、ハウジングに対し、カバーと共に補助カバーを開閉可能に設けて、これらで凹部を覆うようにして、ハウジングに対するカバーの大きさの占める割合を相対的に小さくすることにより、カバーを小型化して、カバーの回動中心位置とカバー端部間の距離、すなわちカバーの回動半径を小さくでき、カバー開閉時にカバーが回動するのに必要なスペースを小さくして、チューブ交換作業を考慮してポンプ周囲に確保すべき空間を必要最小限に抑えられ、ポンプの取り扱いに必要なスペースも含めてポンプのコンパクト化が図れる上、ポンプ設置に係る制約を少なくしてポンプの適用範囲を拡大できる。
本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプの正面図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプの左側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプにおけるカバー開放過程の第一段階説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプにおけるカバー開放過程の第二段階説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプのカバー最大開放状態における左側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプのカバー最大開放状態における正面図である。 本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプにおけるチューブ取外し状態説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るチューブポンプの概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るチューブポンプにおけるカバー開放過程説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るチューブポンプにおけるカバー最大開放状態の概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るチューブポンプにおけるチューブ取外し状態説明図である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るチューブポンプを前記図1ないし図7に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るチューブポンプ1は、壁状部15に囲まれる凹部11を設けられるハウジング10と、壁状部15との間に隙間を設けるようにして凹部11に回転可能に配設されるロータ20と、このロータ20を回転駆動するモータ30と、ハウジング10に対しロータ20の回転中心軸と直角をなす所定の向きに直線移動可能として配設される可動ベース40と、凹部11の一部を被覆可能として、ハウジング10に所定角度範囲回動可能に配設されるカバー50と、一端をカバー50に回動可能に連結されると共に、他端を可動ベース40に回動可能に連結されるリンク部材60と、凹部11の可動ベース40寄りとなる一部を被覆可能として、可動ベース40に所定角度範囲回動可能に配設される補助カバー70と、壁状部15とロータ20との間に挿入配設される弾性材製のチューブ80とを備える構成である。
この本実施形態に係るチューブポンプ1における、回転するロータ20でチューブ80の一部を押圧すると共に押圧箇所を移動させて、移送対象の流体をチューブ80を通じて移送可能とする基本的な仕組みについては、公知のチューブポンプと同様であり、詳細な説明を省略する。
前記ハウジング10は、ポンプ設置面に固定可能とされる矩形又は方形の略容器状に形成され、矩形又は方形の一辺をなす部位に可動ベース40をスライド可能に取り付けられると共に、前記凹部11となる容器内部分の略中央にロータ20を回転可能に取り付けられ、さらに、凹部11を覆うようにカバー50及び補助カバー70を配設される構成である。
ハウジング10内には、可動ベース40における半円形の円弧状曲面部を含む側面とハウジング10の内側面による壁状部15が生じており、前記凹部11はこの壁状部15に囲まれるように設けられている。
このハウジング10の凹部11における壁状部15の可動ベース部分とロータ20との間に、チューブ80が着脱交換可能に挿入配設される。
そして、チューブ80の吸入側と吐出側の各端部は、チューブ80をハウジング10の凹部11に挿入した支持状態で、ハウジング10における可動ベース40のある側とは反対側の辺部分に設けられた切欠きを通じてハウジング10の外側に露出するように配置される。
前記ロータ20は、チューブ80を押圧するローラ部25が外周部分に複数所定間隔で取り付けられた回転体で形成され、ハウジング10の凹部11の略中央に位置するようにしてハウジング10に回転可能に取り付けられる構成であり、壁状部15との間にチューブ80を配設可能な隙間を設けるようにされる。
前記各ローラ部25は、ロータ20の回転に伴い、所定径の円周上を周回移動しながら、チューブ80の一部を押圧して、チューブ80が押圧位置で閉塞状態となるまで壁状部15に押し付けるものである。これら各ローラ部25が、チューブ80を押圧しつつ順次移動することで、チューブ80内の流体を吐出側の端部に向けて送り出すこととなる。
前記モータ30は、公知のギヤードモータであり、ハウジング10の凹部11とは反対側の部位に取り付けられ、ハウジング10を貫通させた出力軸をロータ20に連結されて、ロータ20を回転可能とする構成である。このモータ30がロータ20を駆動して所定方向に回転させることで、ローラ部25を周回移動させてチューブ80の押圧を順次行える仕組みである。
前記可動ベース40は、壁状部15の一部をなす円弧状曲面部を含む部材として形成され、ハウジング10に対しロータ20の回転中心軸と直角をなす所定の向きに直線移動可能とされて、ロータ20との間隔を変更可能に配設され、且つ前記所定の向き以外の動きを拘束される構成であるものである。
この可動ベース40は、リンク部材60を介してカバー50と連結されることで、カバー50の開閉と連動して移動可能とされており、カバー50を開放側へ動かすと、可動ベース40がハウジング10上でロータ20から離れる側に移動して、可動ベース40とロータ20との間隔を広げられる仕組みであり、作業者によるチューブ80を可動ベース40とロータ20との間に挿入したり、逆にチューブ80を可動ベース40とロータ20との間から取り外すような作業の能率を向上させられる。
前記カバー50は、凹部11の一部をチューブ80が凹部11から離脱しないよう被覆可能な大きさとして形成され、ハウジング10にロータ20の回転中心軸と直角をなす軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジング10に対し開閉可能とされるものである。このカバー50は、凹部11のうち可動ベース40から遠い側の領域とロータ20の略半分を覆うように配設され、端部をハウジング10の側面部に回動可能に連結させて、開閉可能とされる仕組みである。カバー50の側部には、カバー50の回動中心軸と直角をなす向きへ連続する案内溝51が設けられる。
前記リンク部材60は、略棒状体として形成され、一端をカバー50に回動可能に連結されると共に、他端を可動ベース13に回動可能に連結されて配設される構成である。
このリンク部材60は、一端をカバー50の回動中心位置近傍の所定箇所に連結される。また、リンク部材60の他端は、カバー50の回動中心位置Oに対し可動ベース40の直線移動方向にずれた位置となる、可動ベース40のロータ20に対する遠位側の端部所定箇所に連結される。
これらリンク部材60の一端及び他端における回動中心軸は、ハウジング10に対するカバー50の回動中心軸と平行な向きとされており、リンク部材60は、カバー50、可動ベース40と共に一種のスライダクランク機構を構成して、カバー50の開閉の動きに連動させて可動ベース40を直線移動可能としている。
こうして、カバー50の開閉に連動して可動ベース40が動く機構を、カバー50と可動ベース40間にリンク部材60を介在させたものとすることで、開閉に係るカバー50の回動への制約を少なくして、カバー50の回動可能な角度範囲を大きくすることができ、カバー開放時に可動ベース40とロータ20の正面からカバー50を大きくずらして可動ベース40とロータ20を広く開放可能となり、可動ベース40とロータ20との間にチューブ80を出し入れする作業において、カバー等が作業の障害となりにくく、作業をスムーズに行うことができ、作業性の向上が図れる。
また、リンク部材60は、カバー50が閉じた状態で、リンク部材60の一端の回動中心位置P1が、カバー50の回動中心位置Oよりロータ20に近い側に位置し、且つリンク部材60他端の可動ベース40に対する回動中心位置P2とカバー50の回動中心位置Oとを通る、可動ベース40の直線移動方向と平行な仮想線Lより、カバー50を閉じる向きに進んだ側に位置するように設けられる(図2参照)。
これにより、ポンプ使用時にロータ20のチューブ80を押圧する力が可動ベース40の円弧面に加わり、可動ベース40がロータ20から離れる向きに力を受ける場合でも、カバー50は閉止側に力を受ける状態となって閉止状態を維持するのに伴い、リンク部材60や可動ベース40も静止状態を維持でき、力を受けた可動ベースが誤って動いてチューブの押圧が適切に行えない状態となるのを防げる。
前記補助カバー70は、前記カバー50では覆われない、凹部11の可動ベース40寄りとなる一部を、チューブ80が凹部11から離脱しないよう被覆可能として、可動ベース40にカバー50の回動中心軸と平行な軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジング10に対し開閉可能とされるものである。
この補助カバー70は、可動ベース40におけるリンク部材60他端の連結位置に、リンク部材60他端と回動中心軸を一致させた状態で回動可能に連結されて配設される。また、補助カバー70は、可動ベース40への連結位置から離れた一端部を、カバー50の案内溝51に挿入係合して、カバー50に対し一端部を回動可能且つ直線移動可能に連結されると共に、一端部が案内溝51から外れないようにされる。
これにより、カバー50を開放すると、このカバー50に一端部を連結した補助カバー70も連動して動いて開放状態となり、逆にカバー50を閉じる場合には、補助カバー70も連動して閉止側に動くこととなる。
前記チューブ80は、弾性材製の管体とされ、壁状部15とロータ20との間に挿入配設され、ポンプ作動時に回転するロータ20で押圧箇所を動かされつつ一部を押圧されて、移送対象の流体を移送可能とする、チューブポンプ用の公知のチューブであり、詳細な説明を省略する。
次に、前記構成に基づくチューブポンプにおけるチューブの着脱について説明する。
まず、カバー50が閉じた状態から、作業者がハウジング10に対しカバー50を開くように動かすと、カバー50のハウジング10への連結位置を中心とする回転に伴い、カバー50の案内溝51に一端部を係合させた補助カバー70も、その可動ベース40への連結位置を中心として回転する動きを強制されることとなり、カバー50と共に補助カバー70も開放状態に移行する(図2、図3、図4、図5参照)。
また、カバー50の開放側への回転に伴い、リンク部材60を介して連動する可動ベース40も、ロータ20から離れる向きに直線移動する。この可動ベース40の移動により、可動ベース40とロータ20との間隔が広がり、可動ベース40とロータ20との間を含む、壁状部15とロータ20との間の凹部11に、チューブ80を支障なく出し入れ可能な状態となる(図7参照)。
カバー50を開放側に最大限回転させた状態(図5、図6参照)では、カバー50は可動ベース40とロータ20の正面からずれていることで、可動ベース40とロータ20との間にチューブ80を出し入れする作業に際し、カバー50が作業の障害となることはなく、作業者はスムーズにチューブ80の出し入れが行えることとなる。
凹部11に、交換対象の古いチューブ80が存在している場合にはこれを取り出した後、空いている凹部11に新たなチューブ80を入れる。合わせて、チューブ80の端部を、ハウジング10の可動ベース40から離れた側の辺部分に設けられた切欠きを通じてハウジング10の外側に突出させる。
ハウジング10の凹部11にチューブ80が正しく配置された状態を得たら、作業者はカバー50を閉じるように動かす。
カバー50を動かすと、カバー50のハウジング10への連結位置を中心とした閉止側への回転に伴い、リンク部材60を介して連動する可動ベース40が、上記とは逆に、ロータ20に近付く向きに直線移動する。この可動ベース40の移動により、可動ベース40とロータ20との間隔が狭まり、可動ベース40とロータ20との間を含む、壁状部15とロータ20との間の凹部11から、チューブ80が容易に外れず、且つロータ20でチューブ80を適切に押圧して流体の移送が行える状態に移行する。さらに、カバー50の閉止側への回転に伴い、補助カバー70もその可動ベース40への連結位置を中心として閉止側へ回転する動きを強制され、カバー50と共に補助カバー70も閉止状態に移行する。
こうしてカバー50で覆われる凹部11からチューブ80が外れることはなく、壁状部15とロータ20との間にチューブ80を保持して、ロータ20で確実にチューブ80を押圧可能な状態となる。
この他、ハウジング10の外に突出させたチューブ80の端部については、流体の供給源や送給先に連通する各管路90と接続して、ポンプの上流側の管路90に対しポンプで流体を無理なく継続的に吸引でき、且つポンプの下流側の管路90に対しポンプから無理なく継続的に流体を吐出可能な状態とされる。
続いて、チューブポンプによる移送対象流体の移送状態について説明する。
使用者によりチューブポンプ1の運転開始の操作がなされると、ハウジング10に取り付けられたモータ30が作動し、ロータ20の回転により、ロータ20に所定間隔で取り付けられた複数のローラ部25がそれぞれ周回移動を行う。
ロータ20の可動ベース40に面する側で、各ローラ部25は、チューブ80を押圧して可動ベース40の円弧状曲面部に押し付けつつ、チューブ80の吸引側端部から吐出側端部に向かう方向に順次移動する。このローラ部25によるチューブ押圧箇所の移動に伴って、内部の流体で膨らんだチューブ80は、ローラ部25で順次しごかれる状態となり、チューブ80内の流体がローラ部25の移動に合わせて少しずつチューブ80内を進行して、最終的に吐出側の端部から外部の管路90に送り出される。こうしてチューブ80から管路90を通じて移送対象の流体を移送できることとなる。
チューブ80から流体が継続的に送り出されることで、チューブ80の入口側には吸引圧力が生じており、チューブ80には上流側の管路90から流体が流入する。そして、モータ30が作動してロータ20が回転し、ローラ部25がチューブ80を押圧しながら移動する間、流体の移送も継続する。
使用者によりチューブポンプ1の運転を停止させる操作がなされると、モータ30が停止して、流体の移送が終了する。
このように、本実施形態に係るチューブポンプは、チューブ80が押し付けられる壁状部15の一部をなす可動ベース40を、ロータ20との間隔を変更可能としてハウジング10に配設すると共に、チューブ80が離脱しないよう被覆するカバー50を、ロータ20の回転中心軸と直角をなし且つ可動ベース40の直線移動方向とも直角をなす軸線を中心に所定角度範囲回動可能としてハウジング10に配設し、カバー50の開閉に連動させてハウジング10上で可動ベース40を動かす機構を、カバー50と可動ベース40にそれぞれ連結したリンク部材60を用いるものとして、開閉に係るカバー50の回動への制約を少なくし、カバー50の回動可能な角度範囲を大きくすることから、カバー開放の際に可動ベース40とロータ20の正面からカバー50を大きくずらして可動ベース40とロータ20を広く開放することとなり、可動ベース40とロータ20との間にチューブ80を出し入れする作業の際に、カバー等が作業の障害となりにくく、前記作業をスムーズに行うことができ、作業性を向上させられる。
また、ハウジング10に対し、カバー50と共に補助カバー70を開閉可能に設けて、これらで凹部11を覆うようにして、ハウジング10に対するカバー50の大きさの占める割合を相対的に小さくすることで、カバー50を小型化して、カバー50の回動中心位置とカバー端部間の距離、すなわちカバー50の回動半径を小さくでき、カバー開閉時にカバー50が回動するのに必要なスペースを小さくして、チューブ交換作業を考慮してポンプ周囲に確保すべき空間を必要最小限に抑えられ、ポンプの取り扱いに必要なスペースも含めてポンプのコンパクト化が図れる上、ポンプ設置に係る制約を少なくしてポンプの適用対象を拡大できる。
なお、前記実施形態に係るチューブポンプにおいて、カバー50の回動中心位置とリンク部材60の他端の回動中心位置は、可動ベース40の直線移動方向に平行な一直線上に並ぶように配置する構成としているが、これに限らず、カバー50が閉じた状態におけるリンク部材60の一端の回動中心位置が、リンク部材60他端の回動中心位置とカバー50の回動中心位置とを通る仮想線上に、又は、この仮想線よりカバー50を閉じる向きに進んだ側に位置するように設けられていれば、カバー50の回動中心位置は、リンク部材60の他端の回動中心位置に対し、可動ベース40の直線移動方向に並ばずにずれた配置とされる構成であってもかまわない。こうした場合でも、前記実施形態同様、ポンプ使用時にロータ20のチューブ80を押圧する力が可動ベース40の円弧面に加わり、可動ベース40がロータ20から離れる向きに力を受けても、カバー50は閉止側に力を受ける状態となって閉止状態を維持し、リンク部材60や可動ベース40も静止状態を維持して、ポンプの正常な作動を確保できる。
(本発明の第2の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係るチューブポンプにおいては、カバー50と共に補助カバー70を開閉可能に設けて、これらカバー50と補助カバー70でチューブ80を覆える構成としているが、これに限られるものではなく、ハウジングの凹部が一部覆われていなくても、凹部の開放部分からチューブが外れるおそれがない場合には、第2の実施形態として、図8ないし図11に示すように、ハウジング10に対し傾動可能なカバー50は設ける一方、前記第1の実施形態で示したような補助カバーは採用せず、ハウジング10の凹部11の一部のみを、カバー50で開閉可能に覆う構成とすることもでき、ポンプの構造をより簡略化できる。
この態様のチューブポンプ2も、補助カバーを設けない点以外は、前記第1の実施形態と同様に、ハウジング10と、ロータ20と、モータ30と、可動ベース40と、カバー50と、リンク部材60と、チューブ80とを備える構成である。
また、ポンプとしての基本的な仕組みも、回転するロータ20でチューブ80の一部を押圧すると共にその押圧箇所を移動させて、移送対象の流体をチューブ80を通じて移送可能とするものであり、公知のチューブポンプと同様である。
1、2 チューブポンプ
10 ハウジング
11 凹部
15 壁状部
20 ロータ
25 ローラ部
30 モータ
40 可動ベース
50 カバー
51 案内溝
60 リンク部材
70 補助カバー
80 チューブ
90 管路

Claims (2)

  1. 少なくとも略円弧状に配置される曲面部分が含まれる壁状部を配設されるハウジングと、前記壁状部の略円弧状曲面部分を含む一部との間に隙間を設けるようにしてハウジングに回転可能に配設されるロータと、当該ロータを回転駆動するモータと、壁状部の一部とロータとの間に挿入配設される弾性材製のチューブとを有し、回転するロータでチューブの一部を押圧すると共に押圧箇所を移動させて、移送対象の流体をチューブを通じて移送可能とするチューブポンプにおいて、
    前記壁状部の略円弧状曲面部分をなす半円形の円弧状曲面部を少なくとも含んで、前記ハウジングに対し前記ロータの回転中心軸と直角をなす所定の向きに直線移動可能とされて、ロータとの間隔を変更可能に配設され、且つ前記所定の向き以外の動きを拘束される可動ベースと、
    前記壁状部に囲まれる凹部の少なくとも一部を前記チューブが凹部から離脱しないよう被覆可能として、前記ハウジングにロータの回転中心軸と直角をなし且つ前記可動ベースの直線移動方向とも直角をなす軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジングに対し開閉可能とされるカバーと、
    一端を前記カバーに回動可能に連結されると共に、他端を前記可動ベースに回動可能に連結されるリンク部材とを備え、
    当該リンク部材の一端及び他端における回動中心軸は、ハウジングに対するカバーの回動中心軸と平行な向きとされ、且つ、リンク部材の他端は、前記可動ベースにおける、可動ベースの直線移動方向についてカバーのハウジングに対する回動の中心位置よりロータに対する遠位側の箇所に連結され、
    前記リンク部材は、前記カバーが閉じた状態で、リンク部材の一端の回動中心位置が、カバーの回動中心位置よりロータに近い側に位置し、且つリンク部材他端の可動ベースに対する回動中心位置とカバーの回動中心位置とを通る仮想線上又は当該仮想線よりカバーを閉じる向きに進んだ側に位置するように設けられることを
    特徴とするチューブポンプ。
  2. 前記請求項1に記載のチューブポンプにおいて、
    前記凹部の前記可動ベース寄りとなる一部をチューブが凹部から離脱しないよう被覆可能として、可動ベースに前記カバーの回動中心軸と平行な軸線を中心に所定角度範囲回動可能に配設され、ハウジングに対し開閉可能とされる補助カバーを備え、
    前記カバーが、側部にカバーの回動中心軸と直角をなす向きへ連続する案内溝を設けられ、
    前記補助カバーが、一端部を前記カバーの案内溝に係合されて、カバーに対し一端部を回動可能且つ直線移動可能に連結されることを
    特徴とするチューブポンプ。
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