次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。まず、図1を参照して本実施形態の概要を説明する。
患者94は、伸縮可能な素材からなる着衣タイプの身体形状センサ90を装着する。身体形状センサ90は、上半身に装着する身体形状センサ(上)90aと下半身に装着身体形状センサ(下)90bとに分かれている。以下、身体形状センサ(上)90aと身体形状センサ(下)90bを特に区別しない場合は、身体形状センサ90として説明する。
身体形状センサ90は、伸縮可能な素材により構成される本体部に、複数ポリゴン状に配置された相対位置関係(伸長量)から装着している患者94の外形寸法を計測するセンサ部と、を有する。伸縮性のある着衣として、スポーツ用のコンプレッションウエアがリーズナブルに入手可能である。このようなコンプレッションウエア(本体部に相当)にメッシュ状(ポリゴン状)に複数のセンサ(例えばポジションセンサや画像処理用マーカ)を取り付けて、センサの相対位置をセンシングし、形状を算出する。ポイント間の伸長により電気出力が変わる伸長センサや歪みセンサを適用してもよい。専門的な採寸技術のない者(患者や介護者、医師、看護師等)でも簡単に取り扱え、容易に採寸可能であり、更に局所的な形状についても一定の精度で把握できる。このような身体形状センサ90として、例えば、特開2018−147013号公報に記載の技術を利用することができる。
患者端末40には、身体形状センサ90を制御するアプリケーション(図5で後述する)が導入されている。患者端末40は、この身体形状収集アプリケーション427を起動させ、身体形状センサ90のセンサ値を取得する(S1)。身体形状収集アプリケーション427は、取得したセンサ値から患者94の身体寸法及び形状を算出し(S2)、医療情報共有サーバ10の地域共有DB12に送信する(S3)。なお、患者端末40は、計測したセンサ値を地域共有DB12に送信し、地域共有DB12が身体寸法及び形状を算出してもよい。
地域共有DB12は、患者94の身体寸法及び形状を蓄積する(S4)。地域共有DB12には、身体寸法及び形状と疾病の関連がデータベースとして蓄積されており、医療情報共有サーバ10に接続する医療機関(医師)は、その身体寸法及び形状を診療時等において利用する(S5)。例えば、身体寸法及び形状から疾病を推定したり、それらの推移から特異な傾向が出来た場合に疾病発生を推定したり、健康管理(例えば肥満防止の生活習慣プログラム作成)に用いたり、薬の処方量最適化、薬の処方費用と生涯処方費用の算出などに利用する。医療機関で診察の結果、すなわち確定した疾病とそのときの身体寸法及び形状が地域共有DB12にフィードバックされ、地域共有DB12は、そのフィードバックを学習に反映させ、疾病推定精度を向上させる。学習として、機械学習やAI学習等の公知の技術を利用することができる。
医師などの医療従事者が家族歴等の患者情報を熟知することで、家族歴が重要な遺伝性疾患(血友病、特定のガン等)や体質性疾患(糖尿病、高血圧等)について、疾患の特定及びその治療を早期に行えるようになる。
現在の医療現場では、蓄積データと医師による処方とを対応付けた学習を行うものではなく、データの解析結果をガイドライン等予め決められた指標に照らし合わせて処方を決定し、それが医師処方量となる。このため、解析の結果、同じような状態と判断した対象者には、処方の時期と種類を一律に設定する。しかし、対象者(患者94)の詳細な状態は身体特徴や家族歴などにおいて様々であるため、処方が過剰になる者と不十分な者とが出てきてしまう。過剰な処方を行えばその分だけ医療費が無駄にかかってしまうことになるし、処方が足りなければ医療の質が足りていないということになる。近年、医療現場では患者それぞれの個性にかなった医療の取り組みとして、オーダメイド医療が進んでいる。オーダメイド医療では、患者の遺伝子情報を利用する等、個々人の医療情報に基づいて治療等を行うため、より患者に適した医療行為になり得ることが期待されており、患者の納得度や満足度を高めるための医療行為は近年重要視されている。医療現場では、患者の状況を把握するための医療行為として、医療面接を実施する。医療面接では、患者像をはじめ、主訴、現病歴、既往歴、家族歴等を患者に尋ね、電子カルテ等の診療録に記載する。一般に、現在の医療現場では、医療面接時に患者の家族歴等の患者情報を確認する手段は患者との対話に限られる。そのため、患者が医療従事者に患者情報を伝え忘れたり、医療従事者が聞き逃したりと、情報の漏れが多い。更に、患者自身が家族歴等を正確に把握していない場合や、医療面接の頻度が少ないことからも、従来の医療面接だけでは患者情報を十分に得ることが難しく、正確な診断をするための患者情報が不足する。これらの課題に対して、本実施形態では、客観的なデータ(身体形状や家族歴等)が医療現場に提供できる。
また、地域医療連携システムに、シンクライアント環境やエッジコンピューティング技術、5G通信技術を適用する。これらにより、高いセキュリティ確保を実現しつつ、低コストで導入する。すなわち、医療機関等の情報処理端末をシンクライアント端末とし、運営側の装置をシンクライアントサーバとすることで、各医療機関は低コストでシステム参入・運用を行える。また、エッジコンピューティング技術や5G通信技術により、緊急時の通信遅延といった懸念を解消する。
図2は本実施形態において実現する地域医療連携システム1の概略構成を示し、図3はその機能ブロック図である。図4は医療情報共有サーバ10の概略構成を示す機能ブロック図である。
地域医療連携システム1では、ある範囲の地域において複数の医療機関(ここでは医療施設92、薬局96、介護施設98を運営する事業者及び製薬会社97)は、医療情報共有サーバ10を用いて、患者94等の利用者に対して、医療・福祉の商品・サービスを提供する。なお、医療・福祉の商品・サービスを提供する者として、これらに限る趣旨ではなく、ここでは特に説明していないが、例えば、医療用品、歯科材料、衛生用品などの医療機器を提供するものについても適用でき、その場合には製薬会社97と同様の位置づけとすることができる。
「利用者」とは、医療施設92や薬局96を利用する患者94や、介護施設98を利用する高齢者を想定するが、それらに限る趣旨ではなく、事業者の商品・サービスを利用する全ての者を含むものであるが、以下では便宜的に「患者94」として説明する。医療施設92は、病院や診療所、歯科医院や眼科院等を含む広い概念である。なお、法令・ガイドライン等で定められているものについては、当然それらに則った処理を行うものであり、例えば、電子カルテや電子処方せん(処方せんデータ)において、医師等の電子署名、タイムスタンプが必須のデータについては、必要とされるタイミングにおいて電子署名等が付与、参照されるものである。
また、上述のように、患者94は、身体形状センサ90で自身の身体形状を計測し、計測結果を患者端末40を介して医療情報共有サーバ10に送信し蓄積する。
図2や図4に示すように、医療情報共有サーバ10は、統括装置11と、地域共有DB12と、医療情報共有サイト100と、通信IF19と、処方システム200と、を備える。統括装置11は、医療情報共有サーバ10の構成要素を統括的に制御する。
医療情報共有サイト100として、ポータルサイト101と、患者94と事業者のそれぞれのアクセス先となる医療機関用サイト110、患者用サイト140、薬局用サイト160、製薬機関用サイト170、介護施設用サイト180が設けられている。
ポータルサイト101は、医療情報共有サイト100の玄関として機能し、外部からアクセスする患者94や事業者は、それぞれの情報処理端末でこのポータルサイト101を経由してそれぞれ目的のサイトにアクセスする。
患者94は、自身のPC(パーソナルコンピュータ)やタブレット端末、スマートフォン等の患者端末40を用いて医療情報共有サーバ10にアクセスする。ここでは、図2に示すように、患者94のそれぞれが患者端末(1)40_1〜患者端末(n)40_nを用いて医療情報共有サーバ10にアクセスする。患者端末(1)40_1〜患者端末(n)40_nには、身体形状センサ(1)90_1〜身体形状センサ(n)90_nが接続され、それぞれの患者94の身体形状を計測する。患者端末(1)40_1〜患者端末(n)40_nを区別しない場合は、単に「患者端末40」として説明する。
身体形状センサ(1)90_1〜身体形状センサ(n)90_nを区別しない場合は、単に「身体形状センサ90」として説明する。
患者端末40がタブレット端末、スマートフォンの場合、専用のアプリケーションが導入され用いられてもよい。患者端末40は、患者用サイト140にアクセスして、事業者が提供する商品・サービスを利用する。例えば、医療施設92において診察を受ける場合に、医療施設92のWEBページにアクセスして診察を予約することができる。また、患者端末40には、例えば「お薬手帳」アプリや「身体データ管理」アプリが導入され、医療情報共有サーバ10と同期されて処方履歴を参照することができたり、身体形状センサ90による身体形状の計測結果を管理できたりする。
ここで図5を参照して、患者端末40の具体的構成について簡単に説明する。図4(a)が患者端末40の機能ブロック図であり、図4(b)が患者端末40に導入された専用のアプリケーション(地域医療共有アプリケーション)のホーム画面430の例である。ここでは、スマートフォンを例に説明し、主に地域医療連携システム1のサービスに関連する部分について説明し、一般的な機能・構成については適宜省略する。
患者端末40は、ユーザIF421と、表示部422と、通信IF423と、生体情報取得部424と、GNSS(GPS)等を用いた位置情報取得部425と、地域医療連携システム1を利用する際に用いる地域医療共有アプリケーション427とを備える。
生体情報取得部424は、例えば、光センサを用いた血圧センサや脈拍センサ等であって近年スマートフォンに搭載されている公知の機能を用いることができる。また、近年、カメラで顔画像を撮影し、微妙な変化から心拍数を検出する技術も搭載されており、そのような技術を用いることもできる。
認証装置426は、一般的なID/パスワードによる認証処理の他、生体情報を用いた認証処理機能を備える。すなわち、認証装置426は、指紋認証を行う指紋認証部426aと、顔画像による認証を行う顔認証部426bと、声紋による認証を行う声紋認証部426cと、虹彩による認証を行う虹彩認証部426dとを有する。なお、認証に用いる生体情報はいずれか一つでもよいし複数組み合わせてもよい。
患者94の操作によって地域医療共有アプリケーション427が起動すると、図4(b)に示すように、患者端末40の表示部422には、ホーム画面430が表示される。この例では、「患者/一般」選択アイコン431と、「救急119」アイコン432と、「救急かかりつけ病院」アイコン433と、「身体データ管理」アイコン434とが、選択可能に設けられている。
「患者/一般」選択アイコン431が押下されると、図10で後述するサービス例(画面例)による処理が行われる。「救急119」アイコン432が押下されると、携帯電話回線によって救急指令センター装置5に接続される。「救急かかりつけ病院」アイコン433が押下されると、登録済みのかかりつけ病院と接続される。なお、かかりつけ病院については、病院DB131に診察時間等が登録されている。そこで、診察時間以外の時間帯には、アイコン表示を診察時間外である旨が判別可能に表示してもよい。なお、かかりつけ医療機関として「かかりつけ病院」を選択可能のアイコンを例示したが、その他に「かかりつけ薬局」や「介護福祉士やヘルパー」等の常習的に利用している医療機関や、さらに「親族」への接続アイコンが設けられてもよい。
「身体データ管理」アイコン434が押下されると、身体形状センサ90により患者94の身体形状を計測する処理が起動する。図6を参照して患者94の身体形状を取得する処理例を説明する。「身体データ管理」アイコン434の押下により(S11)、身体形状のデータ取得手段の選択画面が表示される(S12)。例えば、患者94は、身体形状センサ90を用いるか、外部データベース5等の他装置に記録されているデータを用いるかを選択する。外部データベース5が選択されると(S13のN)、所定の外部データベース5に記録されている身体形状のデータを取得する(S14)。このとき、データ自体でなく、データのアクセス先を入手してもよい。
身体形状センサ90を用いる場合(S13のY)、身体形状センサ90を装着してオン状態にし(S15)、データ計測を行い(S16)、計測したデータを用いて身体形状を算出する(S17)。身体形状のデータが取得できたら(S14,S17)、身体形状のデータは、患者94のIDと紐付けられて患者端末40から医療情報共有サーバ10(地域共有DB12)に送信される(S18)。なお、医療機関92や介護施設98で計測する場合には、当然に医療機関端末20や介護施設端末80に同様の機能が導入され実行される。
図2及び図4の説明に戻る。
医療施設92は、医療機関端末20を備え、ネットワーク2を介して医療情報共有サーバ10に接続する。ここでは、図3に示すように、複数の医療施設92のそれぞれに医療機関端末(1)20_1〜医療機関端末(n)20_nが設置されている。医療機関端末(1)20_1〜医療機関端末(n)20_nを区別しない場合は、単に「医療機関端末20」として説明する。
このとき、医療機関端末20は、ポータルサイト101から医療機関用サイト110にアクセスして、医療施設92用に用意された機能を利用する。医療施設92用に用意された機能とは、例えば、電子カルテシステム、臨床検査システム、医療会計システム、レセプト支援システム等の医療系システムがある。以下では、主に電子カルテシステムに着目して説明する。詳細は後述するが、電子カルテシステムやその他の機能は、例えば、シンクライアント環境(特にVDI(バーチャルデスクトップ環境)方式)として医療情報共有サーバ10と協働で実現している。
医療施設92は、自己の診療において作成した電子カルテ30を地域共有DB12に記録し、各医療施設92は地域共有DB12に記録されている電子カルテ30を相互に参照して利用可能になっている。また、電子カルテシステムは、医療情報共有サーバ10がASP(アプリケーションサービスプロバイダー)として提供する電子処方せんシステムと連係しており、処方せんを出力する際に、電子処方せんとして出力することができる。さらに、他の事業者が医療情報共有サーバ10の地域共有DB12に記録したデータを一定条件下で参照することができる。
なお、地域医療連携システム1は、エッジコンピューティング技術が適用された構成であってもよい。エッジコンピューティング技術や5G通信技術を適用するシステムを導入することで、地域医療連携システム1の利便性・セキュリティ確保を確保し、さらにシステム構築・変更を容易にできる。特に緊急救急システムでは、患者94の緊急性を考慮すると通信遅延を避けつつビデオ通信や詳細画像の通信といった重い通信を行い、かつ、人DB120や事業者B130のようなデータ保管場所をその地域内(またはその近隣)にしておきたいというニーズに応えることができる。具体的には、エッジサーバは地域医療連携システム1の事務局・拠点に分散配置して個人情報関係データ(人DB120、事業者B130のデータ)を処理する。それ以外の処理については、上位クラウドのサーバで処理する。これによって、個人情報保護規制にも柔軟に対応できる。
薬局96は、薬局端末60を備え、ネットワーク2を介して医療情報共有サーバ10に接続する。ここでは、図3に示すように、複数の薬局96のそれぞれに薬局端末(1)60_1〜薬局端末(n)60_nが設置されている。薬局端末(1)60_1〜薬局端末(n)60_nを区別しない場合は、単に「薬局端末60」として説明する。
このとき、薬局端末60は、ポータルサイト101から薬局用サイト160にアクセスして、薬局96用に用意された機能を利用する。薬局96用に用意された機能とは、例えば、電子処方せんシステムがある。電子処方せんシステムは、医療情報共有サーバ10がASPサーバとして機能し、医療施設92が電子処方せんを登録し、薬局96が電子処方せんを取得する。
製薬会社97は製薬機関端末70を備え、ポータルサイト101から製薬機関用サイト170にアクセスして、製薬会社97用に用意された機能を利用する。製薬会社97用に用意された機能とは、医薬品の在庫管理・受発注機能、処方せん蓄積情報、薬事情報の登録機能、医療関係者への通知機能などである。ここでは、図3に示すように、複数の製薬会社97のそれぞれに製薬機関端末(1)70_1〜製薬機関端末(n)70_nが設置されている。製薬機関端末(1)70_1〜製薬機関端末(n)70_nを区別しない場合は、単に「製薬機関端末70」として説明する。
介護施設98は介護施設端末80を備え、ポータルサイト101から介護施設用サイト180にアクセスして介護施設98用に用意された機能を利用する。介護施設98用に用意された機能とは、例えば、ケアマネジメントシステム(アセスメント・計画書・月間計画を一体入力;介護支援経過記録の取込み機能)、訪問介護・看護支援システム、通所介護・看護支援システム、介護老人ホーム支援システムなどがある。ここでは、図3に示すように、複数の介護施設98のそれぞれに介護施設端末(1)80_1〜介護施設端末(n)80_nが設置されている。介護施設端末(1)80_1〜介護施設端末(n)20_nを区別しない場合は、単に「介護施設端末80」として説明する。
上述の事業者の情報処理端末、すなわち、医療機関端末20、薬局端末60、製薬機関端末70、介護施設端末80がシンクライアント端末として、医療情報共有サーバ10がその管理サーバとして、シンクライアント環境が構成される。
そのシンクライアント環境は、例えば、管理サーバの医療情報共有サーバ10上に仮想デスクトップ環境を生成し事業者の情報処理端末から仮想デスクトップ環境を操作する仮想化技術(以下、「VDI方式」)により構築されていることがより好ましい。適用される具体的な仮想化技術として、上述のように本出願人による特許第6384847号に開示の技術を用いる。なお、全てがシンクライアント環境として実現される必要はなく、例えば、製薬会社97はその業態の性質上特定の地域医療に特化されないことから、製薬機関端末70は一般的なPCで構成され、ウェブ上で所定の機能が実行されてもよい。なお、地域医療連携システム1の一部又は全てがクラウド環境にて構築されても一定の効果を実現できる。
つづいて主に図4を参照して地域共有DB12の具体的構成について説明する。地域共有DB12は、事業者システム支援サーバ13と、クライアント用共通ソフトウェア14と、登録管理部15と、認証部16と、疾病推測部17と、センサデータ取得部18と、人DB120と、事業者DB130と、技術情報DB135と、を備える。
事業者システム支援サーバ13は、シンクライアント環境のシンクライアントサーバ(管理サーバ)として機能する。シンクライアント環境として様々な形式のものが提案されているが、上述のようにVDI方式を採用する。VDI方式は、1台の高性能なサーバ上にハイパーバイザーを導入し、その上で仮想デスクトップ用の仮想マシンを利用者数分動かす。シンクライアント端末は、認証サーバおよび接続ブローカーを経由して、各ユーザに割り当てられた仮想デスクトップに接続する。
クライアント用共通ソフトウェア14は、シンクライアント環境における各事業者のシンクライアントの情報処理端末(例えば医療機関端末20)に用いられる各種ソフトウェア(アプリケーション)を保持する。すなわち、事業者システム支援サーバ13がシンクライアントサーバとして仮想デスクトップを稼働させる場合に、その仮想デスクトップ上で稼働させるアプリケーションを保持する。
登録管理部15は、地域医療連携システム1を利用する患者94や、医療施設92や薬局96等の事業者や、それら事業者に所属する医師、薬剤師等を登録する。より具体的には、患者94の患者情報(利用者情報)については、患者94自身が登録するか、医療施設92や薬局96等の事業者を利用する場合に、患者94の同意のもと、それら事業者が登録する。
なお、登録する患者情報、事業者およびそれに所属する者の登録情報・登録処理の具体例については、図7〜図11で後述する人DB120や事業者DB130等の説明とともに行う。
認証部16は、事業者(医療施設92、薬局96、製薬会社97、介護施設98)や患者94が地域医療連携システム1にアクセスする際に、登録管理部15で登録された認証情報(認証手段の種類およびそれによる登録情報)にもとづき、認証処理を行う。
人DB120は、地域医療連携システム1を使用する者、すなわち利用者である患者94および事業者に所属する者の各種情報を記録し保持する。具体的には、人DB120は、患者DB121と、医療関係者DB122と、薬剤師DB123と、介護士DB124と、電子カルテDB125と、処方せんDB126と、身体形状DB127と、家系図DB128とを備える。
図7に示す患者DB121の例を参照して、患者94の利用者情報の具体的な内容及び登録管理部15による登録処理について説明する。
患者94自身が登録する場合は、患者94は地域医療連携システム1が運営するポータルサイト101から患者用サイト140の登録用ページにアクセスすることで、登録管理部15による登録処理が行われ、人DB120の患者DB121に所定事項が登録される。また、未登録の患者94が医療施設92等を利用した場合に、その医療施設92等が登録してもよい。
図示のように、患者94が登録する患者情報の項目として、「名前(氏名)」「社会保障番号」「生年月日」「住所・電話番号」「認証情報」を必須登録情報とし、必須登録情報が登録されると、患者共通IDが付される。また、任意登録情報として、例えば「緊急連絡先」「延命治療意思」「臓器提供意思」「要注意事項」「注意薬情報/副作用情報」「ヘルパー」「介護先」「かかりつけ病院」などがある。「延命治療意思」「臓器提供意思」について登録があることで、患者94が死亡した場合等に、医療施設92においてそれら意思の確認が円滑になる。
また、「緊急連絡先」「ヘルパー」「介護先」が登録されていることで、患者94に確認が難しい状態でも、家族・親類等への連絡が可能となる。また、「要注意事項」として既往症や手術歴等を登録することで、患者94に確認が難しい状況において、医療施設92にて避けるべき処置を把握でき、治療を円滑にできる。「注意薬情報/副作用情報」では、患者94が自身の薬の履歴から副作用等により避けたいと考える薬があれば理由とともに登録する。「かかりつけ薬局」があることで、医師が処方せんを出す場合に、薬の在庫状況を事前に把握できたりする。また、後述の医療機関端末20で稼働する電子カルテシステムや薬局端末60で稼働する処方せんシステムにおいて、医師や薬剤師が登録してもよい。このとき登録者の情報(医師IDや薬剤師ID)も関連づけて登録される。
認証情報は、複数種類の認証手段で登録できる。例えば、「パスワード」(図中「pass」と表記する)等の暗号手段や、「指紋認証」、「顔認証」、「声紋認証」、「虹彩認証」などの生体情報がある。スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末では、「指紋認証」、「顔認証」、「声紋認証」、「虹彩認証」などの様々な生体認証機能を利用できる。
社会保障番号として、例えば、健康保険番号や政府管理の個人番号があり、その他の公的番号として運転免許証番号が用いられてもよい。現実の運用を考慮すると、健康保険番号が医療施設92を利用した場合にのみ保険証による確認後に正式登録されることが望ましい。それまでの期間、社会保障番号は未登録状態で利用者情報は仮登録とする運用が想定できる。正式登録に移行することができる場所(機関)として、公的な身分証明書の提示が必要とされる上記の医療施設92や薬局96等がある。また、地方公共団体が地域医療連携システム1へ参加する場合には、地方公共団体事務所(役所)で正式登録がなされてもよい。
図7の例では、患者共通ID「C0002」の患者94の利用者情報は、必須登録情報として名前「EFGI」、社会保障番号「11112223−123」、生年月日「1939年01月23日」、住所・電話番号「△○区×□9−9」、認証情報「パスワード、指紋」であることが分かる。さらに、任意登録情報として、緊急連絡先「03−234−xxxx/子」、生活状況「一人暮らし、施設入居」、認知症「〇」、感染症「C型、×(無)」、延命治療意思「×(無し)」、臓器提供意思「角膜」、要注意事項「ボルト」が登録されている。この患者94を初めて治療する際に、要注意事項「ボルト」とあることから、例えば、MRI治療時にMRI適合か否かを事前に確認することができる。また、注意薬情報「アレロック/頭痛」とあることから、この患者94がアレロックを服用した際に頭痛が発生する副作用があることが分かる。
なお、患者94は、登録時に、名前等の所定の必須開示項目以外について開示範囲を設定可能にしてもよく、どの項目をどの種の事業者(医療施設92、薬局96、製薬会社97、介護施設98)、さらに事業者のどのような属性の人(医者、看護師、薬剤師、事務担当者など)に開示するかを決めることができる。例えば、医療施設92に対しては全ての項目を開示し、薬局96に対して必須開示項目以外は開示しないとすることができる。また、医療施設92のうち医師には全ての事項を開示し、看護師について必須開示項目以外は開示しないとすることができる。患者情報の各項目は、例えばそれぞれの特性によりオプトイン・オプトアウトのいずれかに初期設定され、ユーザにより設定変更可能であってもよい。また、緊急救命の際の開示項目については、そのような初期設定やユーザが変更した設定に基づいてもよいし、全てを開示するようにしてもよい。また、近親者の診断の際に参照可能な範囲を指定してもよい。例えば、「3親等以内の親類の診断において参照許可する」といった設定がなされても良い。
患者94の利用者情報は、上記の他に、例えば、生体情報取得部424で計測した血圧値や心拍データがある。これらデータを蓄積することで、データに特異なデータが生じた時に警告を発したり、関連の者に通知したりすることができ、早期予防が可能となる。また、救急要請を行った場合に、搬送時の救急隊員の判断の助けとなる。
つづいて、図8〜図10を参照して、事業者における登録情報について説明する。医療施設92や薬局96、製薬会社97、介護施設98が登録する場合は、あらかじめ地域医療連携システム1の管理者から所定の権限を与えられた者が、それぞれの機関の所属者を登録する。地域医療連携システム1の管理者として、例えば、その地域の医師会(またはそれから委任された者)がある。
図8に示す医療関係者DB122の例を参照して、医療関係者の登録情報(事業者情報)を具体的に説明する。医療施設92に所属する者(すなわち医療関係者)の登録項目として、「名前」「属性(医師、看護師、その他等)」「所属(所属1、所属2、・・・)」、「専門」、「認証情報」、「モバイル端末ID(MACアドレス)」があり、登録されると医療関係者IDが付与される。他の事業者に移動した場合は、所属変更処理がなされる。また、複数の事業者に所属することもでき、「所属1」「所属2」のように所属先が複数登録される。医師に関しては「専門分野」を登録できる。なお、医師や看護師、薬剤師のように国家資格等によって定められる職種については、医師会等の所定の機関によって登録されるようにしてもよい。
図8の例では、医療関係者ID「D0003」で示される者について、名前「CCDD」、属性「医師」、所属1「Aクリニック」、所属2「Bクリニック」、専門「内科」、認証情報「パスワード、顔認証、指紋認証」、モバイル端末ID「21:43:65:87:09:BA」となっている。この情報から、医療関係者ID「D0003」の者は、内科の医師であり、「Aクリニック」と「Bクリニック」に所属することが分かる。また、MACアドレス「21:43:65:87:09:BA」のモバイル端末でシンクライアント端末21と接続して、または、インターネット等のネットワーク2を経由して直接アクセス可能である。
図9に示す薬剤師DB123の例を参照して、薬局96の従業者の登録情報(事業者情報)を具体的に説明する。薬局96に所属する者の登録項目として、「名前」「所属」、「認証情報」があり、登録後に薬剤師IDが付与される。例えば、薬剤師ID「F0001」の薬剤師について、名前「GGHH」、所属「A薬局」、認証情報「パスワード、指紋」が登録されていることが分かる。他の事業者に移動した場合は、所属変更処理がなされる。なお、薬剤師以外についても登録可能としてもよいが、その場合、アクセス可能な患者94の利用者情報について制限を持たせてもよい。
つぎに、図10の介護士DB124を参照して、介護施設98の従業者(介護士やケアマネージャ等)の登録情報(事業者情報)を具体的に説明する。介護施設98に所属する者の登録情報として、「名前」「所属」「属性」「認証情報」があり、登録後に介護士IDが付与される。例えば、介護士ID「G0004」の従業者について、名前「QQRR」、所属「B老人ホーム」、属性「ケアマネ、介護士」、認証情報「パスワード、指紋」が登録されていることが分かる。他の事業者に移動した場合は、所属変更処理がなされる。
図4に戻り、電子カルテDB125は、医療施設92で作成された電子カルテのデータが、その患者94と関連づけられて記録される。処方せんDB126は、医療施設92で作成された処方せんのデータが患者94及び管理番号と関連づけられて記録される。処方せんDB126は、薬局96が薬を患者94に出すときに薬局端末60で参照され、実際に出した際の具体的な情報(日時、薬名、メーカ、量等)が追記される。患者94の電子カルテや処方履歴が記録されているため、後述の診療等の際に医師の判断が容易になるだけでなく、意識不明の状態の患者94が救急車等で搬送されてきた場合に、本人確認さえできればどのような治療がなされてどのような薬が処方されているかが分かるため、無駄な検査を省き、早急な処置が可能となる。
身体形状DB127は、患者94毎に、身体形状センサ90で計測した身体形状のデータが計測日時とともに記録されている。
家系図DB128には、患者94の家系図情報が記録されている。すなわち、ある患者94と親類関係(より具体的には遺伝的な繋がりがある血族関係)にある所定親等数内の他の患者94のID、親等数、性別が関連づけられ記録されている。他の患者94の同意が得られている場合には、医師の診断において、例えば電子カルテ上に「他の患者94」の既往歴等とともに開示される。
技術情報DB135は、薬事情報DB136と、医療情報DB137と、疾病身体形状関連DB138と、症例情報DB139とを備える。薬事情報DB136には、医薬品に関する安全情報が記録されている。安全情報は、該当の製薬会社97によって登録・更新されたり、地域医療連携システム1の管理者等によって登録・更新される。医療情報DB137には、公的機関や医師会による感染症の情報や、地域医療連携システム1に参加している事業者による情報が記録・更新される。疾病身体形状関連DB138には、身体形状と疾病の関係が記録されている。例えば、短期間で身体形状が大きくなった「体全体が浮腫む」状態であれば、何らかの「腎臓疾患」が発生している可能性があるや、「膝が変形している」場合に「変形性膝関節症」の虞があるといった関係が記録されている。身体形状の変化の程度や、変化のスピード等も関連づけられ記録されている。医師が診療した場合に、フィードバックされ、学習が行われる。症例情報DB139には症例情報が記録・更新される。症例情報とは、例えば、患者の症状や治療内容、転帰など、およびその患者の身体特徴情報(性別や年齢,身長,体重,体格など)とを関連づけられたデータである。また、症例情報DB139の症例情報は、電子カルテDB125や処方せんDB126、身体形状DB127と関連づけられるが、患者を特定する個人情報については必要に応じて匿名化又は無効化(関連づけしない状態)される。
つづいて、図4と図11を参照して事業者DB130を説明する。事業者DB130は、事業者自体の情報を登録・記録するものであり、地域医療連携システム1の管理者によって登録される。具体的には、事業者DB130は、病院DB131と、薬局DB132と、製薬機関DB133と、介護施設DB134とを備える。
図中の病院DB131のように、医療施設92の登録情報として、「医療機関ID」「名称」「種別」「診療科」「予約連携」「住所」「電話番号」「代表者(ID)」「所属者(ID)」「登録端末(MAC)」「予約」「申請」がある。「種別」とは医療施設92の種別であり、病院であるか診療所(種別:04)であるかの種別や、病院であれば特定機能病院(種別:01)、地域医療支援病院(種別:02)、その他の一般病院(種別:03)等の種別である。「予約連携」とは、救急患者等が発生した場合等に、電話等の従来の連絡手段の他に、地域医療連携システム1を用いて医療施設92同士が連絡を取り合う緊急連携機能(連携:11)や医療施設92間での予約機能(連携:12)に参加するか否かである。その他に、医療施設92のホームページアドレス等が登録されてもよい。「予約」は、患者94がその医療施設92を予約する機能の有無を示す。なお、「申請」は、患者94が各種申請を行う機能を提供する機能の有無を示す。
例えば、医療機関ID「20001」の医療機関端末20について、名称「Aクリニック」、種別「04:診療所」、診療科「内科、アレルギー科」、連携「11:緊急連携、12:予約連携」、住所「○○市××8−7」、電話番号「XX−123−34XX」、代表者の名前(ID)「AABB(D0001)」、所属者(ID)「BBCC(D0002)、CCDD(D0003)、・・・」、登録端末のMACアドレス「12:34:56:78:90:12、・・・」、予約「〇」、申請「〇」であることが分かる。したがって、例えば、登録端末の情報から、医療機関ID「2001」の病院では、MACアドレス「12:34:56:78:90:12」の端末(医療機関端末20)がシンクライアント端末として、医療情報共有サーバ10にアクセスすることになる。また、医療機関ID「2001」の医療機関端末20は、地域医療連携システム1が提供する緊急連携機能及び医療施設92間での予約機能に参加していることが分かる。さらに、患者94は、Aクリニックの診療予約や各種の申請を利用できる。
薬局DB132、製薬機関DB133、介護施設DB134についても同様に、各事業者の登録情報として、「事業者(薬局ID、製薬機関ID、介護施設ID)」「名称」「住所」「電話番号」「代表者(ID)」「所属者(ID)」「登録端末(MAC)」がある。それらの事業者からは、登録端末(MAC)の情報処理端末(薬局端末60、製薬機関端末70、介護施設端末80)からのみ医療情報共有サーバ10にアクセスできる。
以上の構成の地域医療連携システム1によって提供されるサービス等の具体例を説明する。図12は、患者94が医療機関用サイト110にアクセスして利用できるサービスの例を示した図である。患者94は、患者端末40でネット閲覧用アプリケーションを起動し、医療機関用サイト110のポータルサイト101にアクセスする。また、地域医療共有アプリケーション427が導入されている場合は、地域医療共有アプリケーション427を起動させてホーム画面430からポータルにアクセスする。ネット閲覧用アプリケーションの「患者/一般」ボタン101Aや地域医療共有アプリケーション427のホーム画面430の「患者/一般」選択アイコン431を押下することで、表示は患者/一般用ポータルサイトへ遷移する。「身体データ管理」アイコン434を押下することで、身体形状センサ90による身体形状のデータ取得処理画面に遷移する。
患者/一般用ポータルサイトでは、画面上部に「病院リスト」「薬局リスト」「マイページ」の選択ボタンが設けられている。「病院リスト」が選択されると、地域医療連携システム1に参加している医療施設92が、診療科毎にリスト表示される。「薬局リスト」が押下されると、同様に、地域医療連携システム1に参加している薬局96の一覧が表示される。なお、患者94が登録済みで認証処理を行ってアクセスしている場合には、患者94の住所から近い順や、利用履歴が多い医療施設92の順で表示されてもよい。
図示の病院リスト画面A11の例では、内科の病院一覧が示されている。一覧では、病院名、住所が記載されており、さらに、一部の病院名の横には予約ボタンと申請ボタンが設けられている。例えばAクリニックの予約ボタンが押下されると、Aクリニックに関する病院個別予約画面A12に遷移する。図示の病院個別予約画面A12では、予約登録タブが選択されており、数日間(ここでは1/23〜1/26)の予約状況(混雑状況)が「〇(予約枠有り)」、「△(予約枠少)」、「×(予約不可)」、「−(休診)」で示されている。「〇」「△」については押下可能になっており、押下することで、所定の予約画面(図示せず)に遷移する。なお、予約確認タブが選択されると、予約済みの場合には、予約した内容が表示される。
病院リスト画面A11の下側には、予約可能病院リストボタンが設けられている。このボタンを押下することで、予約可能病院リスト画面A13が表示される。診療科毎の予約可能病院の予約可能状況/混雑状況が「〇」「△」「×」「−」で選択可能に一覧表示されており、所望の病院/日時を押下することで、所定の予約画面に遷移する。
このように、ポータルに実装し地域の外来予約システムを地域でシェアするサービスを実現できる。患者94は、初診外来を希望する日に他の患者の予約状況から混んでいる時間帯を目視で判明でき、また、混み具合から比較的空いている時間帯を選んで予約できる。地域連携のオーダリングであるため、同じ科の病院一覧から現在の病院の混み具合や患者94の待ち時間が目視でき、空いている病院をリアルタイムで簡単に探せる。医療施設92は、予約データから多角的に経営の分析・改善を行える。
また、病院リスト画面A11において、病院名の横に「申請ボタン」が設けられている場合、そのボタンを押下することで、申請画面A14に遷移する。申請画面A14では、申請書関係タブが選択されている場合には、診断書、証明書、紹介状等を申請でき、領収関係タブが選択されている場合には、診療明細書や領収証明書等を申請できる。
「マイページ」が選択されると、その患者94の利用者情報が表示される。すなわち、通院履歴、薬の処方履歴、登録事項を表示できる。図示のマイページ画面A15の例では通院タブが選択されており、「2018年1月23日 Aクリニック」の利用を先頭にして4件の通院履歴が表示されている。それぞれのリストを押下することで、利用時の電子カルテ(医療施設92が閲覧可とした事項)や処方せんを閲覧できる。すなわち、患者94は、電子カルテDB125や処方せんDB126に記録されている自身のデータを全て又は一定範囲において閲覧できる。また、マイページ画面A16の例では薬の処方履歴を示す薬タブが選択されており、「2018年1月23日」に、「XY調剤薬局」で「Aクリニック」で出された処方せんにより薬を受け取ったことが表示されている。このマイページ画面A16で下段領域の「一覧表示」ボタンを押下することで、直近の所定期間の処方履歴の一覧が表示される。
つぎに、図13を参照して医療施設92における医師の電子カルテシステム使用例を説明する。図13は医療機関端末20のシンクライアント端末21に表示される電子カルテ30の画面例である。画面上側領域301に、ログインユーザとして担当医の名前「AABB」及び医療者ID「D0001」が表示されている。その下には、患者プロフィール領域302が設けられており、患者94の名前「EFGI」、生年月日/年齢/性別「2000.01.01生/18歳/男性」、患者ID「C0002」、その医療施設92の診察券番号「00035」、既往歴「高血圧」、アレルギー「−(無し)」が表示されている。
患者プロフィール領域302の右側には、「身体形状データ」ボタン321と「家系図データ」ボタン322とが設けられている。
「身体形状データ」ボタン321が押下されると、身体形状DB127に蓄積されている身体形状データが表示される。例えば、身体形状データを用いて描画された立体人体モデルを360度回転可能な態様で表示させたり、異常が見られる部位や過去の傾向と異なる傾向を示す部位をマークして表示させたりする。また、疾病推測部17が推測した疾病についても警告を表示させる。医師は、患者94を診察する際に、この身体形状のデータあることで、患者94が申告しない/意識していない身体の変化を客観的に把握でき、疾病の早期発見に繋がる。また、遠隔医療の際にも、直接目視できない部位について、画像等では認識が難しい場合でも、例えば「腫れ」の程度を客観的に把握できる。
「家系図データ」ボタン322が押下されると、家系図DB128から、親族(血族)関係にある他の患者94のデータ(年齢、性別、既往歴等)が参照される。例えば、近親者に糖尿病患者がいれば、診察している患者94についても糖尿病になる可能性が高いと判断し、早期の治療、注意を行える。また、診断が難しい場合でも、近親者のデータを参照することで、的確な診断や検査を行える。
患者プロフィール領域302の下側には、「受付」「診察」「会計」の3つのボタン303が設けられており、ここでは「診察」が選択されている。さらにそれらボタンの下側領域には、診療記録領域304が設けられている。診療記録領域304の左1/3が前回診療領域311、右2/3が今回診療領域で、その左半分がSOAP記載領域312、右半分がORDER記載領域313である。ORDER記載領域313では、薬選択欄を表示させて処方する薬をリストから選択記入する。
診療記録領域304の右側には、利用履歴領域305が設けられている。利用履歴領域305では、タブ選択により自病院履歴領域306と他診察等領域307とを指定して表示できる。ここでは他診察等領域307が選択されており、他診察等領域307では、他診察履歴領域308と、処方せん履歴領域309が設けられている。
他診察履歴領域308には、同じ患者94の患者ID(ここでは「C0002」)をキーとして電子カルテDB125から電子カルテのデータが参照・抽出され、他の医療施設92の診察履歴が過去所定期間(例えば1年間)について表示される。処方せん履歴領域309には、同じ患者94の患者IDをキーとして処方せんDB126から処方せんのデータが参照・抽出される他の医療施設92による処方履歴が過去所定期間(例えば1年間)について表示される。
医師は、患者94を診察する場合や薬を処方する場合に、身体形状データから患者94の客観的な体型を把握でき、処方量の調整が可能である。また、体形の変化に合わせた処方量の調整も行える。投薬の作用又は副作用により、体重や筋肉量,脂肪量,骨密度などが変わることがある。薬の作用が要因で変化した場合は、効果の出方により薬の量を調整できる。副作用が原因で変化した場合は、薬の変更や減量等の対応が行える。また、他の医療施設92の診察履歴や薬の処方履歴を同一画面で参照できる。さらに、患者94がどのような治療を受けてきたのかを知ることで、適切な治療方法を選択できる。特に、原因が不明の病気にかっていたような場合、紹介状があれば過去の治療履歴をその内容から又は患者94から確認できる。しかし、紹介状が無い場合や患者94が今回の治療で特にその病気とは異なり意識していない場合でも、診療に当たる医師が、過去の病気を考慮に入れて適切な治療法、処方する薬を選択できる。古い薬を使用している場合や既に無くなってしまった場合に、新たに患者94に処方する薬を絞り込む参考になる。また、家系図データから近親者の既往歴を把握できることで、遺伝的な傾向を示す疾患について正しく考慮にいれ診断できる。また、患者94の体形の歪みを検出することもできるため、いわゆる未病の段階でも、矯正治療を行える。小さな歪みの段階で発見できるので、簡単な治療で済み、治療費も抑制できる。
処方量の調整は、医療情報共有サーバ10内にある処方システム200の機能(処方量算出部)として、薬事情報DB136に記録されている医薬品情報(製薬会社が持つ治験データや製造販売後調査データ,有害事象データなどおよび薬品被投与者の身体特徴情報(性別や年齢,身長,体重,体格など)と医療機関がもつ症例情報DB139に記録されている患者の症例情報(症状や治療内容,転帰など)および患者の身体特徴情報(性別や年齢,身長,体重,体格など)とを基礎データとして算出される。これらのデータをもとに相関情報を解析することで最適な処方量の処方量1を算出することができる。
実際の処方量1は、患者94の身体特徴情報を前記相関情報に当てはめて算出された、最適な薬の分量となる。
前記相関情報に当てはめて算出の一例としては、「患者の年齢における標準的な体格(身長,体重、脂肪量など)より著しく差がある患者の場合、標準的な薬の処方量では、過不足又は過剰となる場合がある。よって、患者の体格に合わせて薬の量を増減する必要がある。当該患者に処方すべき薬の量を、当該患者の身長と体重から算出できるBMI(ボディマス指数)や過去の類似症例における患者の身体特徴情報,過去の類似症例における患者の症例情報などを用いた相関情報から導く。」「薬によっては、患者の身体特徴情報により細かく投与量が決まっているものもある。このような薬の場合、患者の身体特徴情報と過去の類似症例における患者の身体特徴情報,過去の類似症例における患者の症例情報などを用いた相関情報から導く。」「身長や体重が同程度の身体特徴情報を持つ患者同士でも、体重の増減などによる体格の変化や加齢などによる筋肉量の変化などの要因で、患者ごとに薬の量を調整する必要がある。この場合でも、患者の身体特徴情報と過去の類似症例における患者の身体特徴情報,過去の類似症例における患者の症例情報などを用いた相関情報から導く。」などがある。
前記処方量1は、相関情報をもとに算出しているため、流通している薬の分量(単位投与量)と必ずしも一致しない。処方システム200は、医薬品の処方上限量や単位投与量などを考慮し、処方量1に近似する実際に処方可能な薬の分量を算出したものが処方量2である。
処方量1や処方量2,医師処方量における薬の価格(処方費用)の算出は、処方システム200の機能の1つである、処方費用算出部で行える。
処方費用算出部は、算出した処方費用と、患者の年齢と平均寿命とから一生涯における薬の費用の総額(生涯処方費用)の算出を行なってもよい。一生涯としたが、5年や10年など一定期間における薬の費用の総額の算出を行ってもよい。
例えば、月に千円かかる薬を生涯服用する必要がある患者がいたとする。患者の年齢が50歳で平均寿命が80歳とされている場合、30年間薬を飲むため、一生で36万分の薬を飲むこととなる。
しかし、従来この36万円という金額について患者以外に注視されることが無かった。36万円という金額を下げようと取り組む機関はなかった。
図14は、処方量算出部と処方費用算出部とを備えた処方システム200の概略構成を示す機能ブロック図である。
電子カルテシステム上で医師が処方の指示を行うと、地域医療連携システム1を介して前記処方量2(処方データ)を患者94があらかじめ登録している薬局96に自動送付する。薬局96は、送付されてきた処方データをもとにして患者94へ薬の提供を行う。なお、電子カルテシステム上では、自動送付の登録の有無や送付先の薬局96が表示されるようになっている。登録薬局は、患者94のかかりつけ薬局96のほか、提供可能な薬局96が薬の提供条件を患者94に提示し、患者94が選んでもよい。なお、本実施形態では、「処方量を送付する」とは、「処方せんに処方量を記載した処方データを送付する」という意味であり、より具体的には、処方データの取り扱いが許されている対象の端末(薬局端末60など)に送信する、またはそれら対象がアクセス可能なDBに保存する、という意味である。また、「処方データの取り扱いが許されている対象」とは、現時点において法令等で処方データを扱うことが許されている対象にかぎらず、将来的に許される可能性がある対象者も含むものとして説明する。
図15に、患者端末40に表示される提供条件の一覧の例を示す。また、図16に、ある薬提供者(製薬会社B)の提供条件の詳細な例を示す。図15の製薬会社Bの「詳細を見る」を押下することで、図16の内容が患者端末40に表示される。
薬局96は、薬の販売価格や薬の受け渡し方法,薬の処方量などの薬の提供条件を決めるために、薬局端末60を用いて、患者94の処方情報や疾病名などの情報を医療情報共有サーバ10にアクセスして取得してもよい。医療情報共有サーバ10から取得できるデータは、年代,性別,疾病名,身長体重,処方薬と処方量など、個人を特定できないデータのみとしてもよい。
地域医療連携システム1上の処方提案DB210は、薬局96上の薬局端末60にて作成された薬の提供条件を保存する。処方提案DB210は、例えば処方せんDB126に備わる。
患者94は、薬の提供を受ける薬局96の設定を患者端末40から行う。また、複数の薬局96から提供条件の提示を受ける場合、薬局96ごとの提供条件の一覧が患者端末40上に選択可能に表示される。
電子カルテシステムにおいて、薬局96に代え、製薬会社97(製薬機関端末70)に処方データを送付し、製薬会社から直接患者94に薬を提供してもよい。この際、製薬会社97に送付する処方データは匿名加工されたものを送る。製薬会社97(製薬機関端末70)に前記処方量2を送付する際、合わせて前記処方量1を送付してもよい。また、製薬会社97は、患者94へ薬の提供を行う際、前記処方量2の用量に代え、前記処方量1の用量で提供を行ってもよい。製薬会社97は、患者94に対し前記処方量1で薬の提供を行った場合、実際の処方量を医療機関92(電子カルテシステム)に提供してもよい。製薬会社97が患者94に提供する際の前記処方量1は、前記相関情報により算出した量だけでなく、前記処方量2との間の量としてもよい。
上記では、薬の処方量は、前記相関情報で算出した量(処方量1),処方量1をもとに算出した実際に処方可能な量(処方量2)及び処方量1と処方量2との間の量としたが、これらに限定されず、医師が指示した量でもよい。
算出した処方量1および処方量2および、処方した患者94の身体特徴情報や症例をシステムに保存してもよい。また、保存したものをより適切な単位投与量の薬を作成してもらうために製薬会社97に提供してもよい。
製薬会社97は、患者94に対し定期的に薬の提供を行う、サブスクリプション方式の契約(サブスクリプション)を行ってもよい。
サブスクリプション方式の契約の内容は、一定期間以上、同一の薬の処方が見込まれる場合、製薬会社97から患者94に対して定期的に薬を送る契約。契約期間中に用法用量が変わっても、薬が変わらない限り値段の変更を行わないようにしてもよい。
サブスクリプションの契約先は、製薬会社97に限定されず、薬局96や製薬卸業者,病院などの薬の流通にかかわるありとあらゆる業者でもよい。
製薬会社97等のサブスクリプション契約提供者は、地域医療共有システム1を用いて対象利用者を検索してもよい。
前記検索は、人DB120上にある電子カルテDB125や処方せんDB126に対して、薬品名や疾病名を用いて行う。製薬会社97等は、検索で得られた情報をもとに、直接または、情報を管理している機関や地域医療システム参加機関を通じて患者94に連絡を行う。
高血圧患者の処方を例に説明すると、高血圧患者に対して医療機関92で利用者(患者94)に対して「薬A」を1日3回1回5mg1錠と、「薬B」を1日3回10mg(5mg2錠)とをそれぞれ1か月分(4週間分)を医師が出した医師処方量である。薬A、薬Bとも流通品の単位処方量は、1錠2.5mgと5mgの薬しか流通していないためにこの処方量となる。そのため、医師処方量はこのような2.5mgの整数倍での処方量となる。これを肝機能が正常化し血圧が正常値になるまでの服用が生じる。または生涯に亘る服用となる。
処方システム200による処方量の違いの例を説明する。利用者の体形等の統計情報をもとに処方システム200では、薬Aを1回4mg、薬Bを9mg処方するのが理想である(処方量1)と算出した。しかし、前述のように、単位処方量は、1錠2.5mgと5mgのため、処方システム200が算出した処方可能な処方量は、いわゆる流通約薬における処方量とすると、医師処方量と同じ、薬Aを1回5mg、薬Bを10mgとなる(処方量2)。「医師処方量や処方量2」と、「処方システム200が利用者の体形等の統計情報で算出した処方量1」とを比較すると、薬Aは1日3mg、薬Bは1日3mg、1年おいては、薬AやB共に1095mgの処方量の違いが出る。(十年という尺度でみると、服用量が各11gの違いがでる。薬の代金が安くなると推測される。)
この処方量と一生涯服用するための生涯処方費用に着目したのが本考案である。
患者が、この薬を薬局又は製薬会社から提供を受けるための提供方法をサブスクリプションによる契約を締結により安く提供することが可能となる。
ここから生涯服用する薬の生涯処方費用に着目し、サブスクリプションにおける薬の提供契約により生涯処方費用を下げられる例を説明する。
薬局96と製薬会社97との2つの契約先によるサブスクリプション契約方法となる。
(1)薬局96とのサブスクリプション
薬局96とのサブスクリプション契約の場合、医師処方量や処方量2による、流通薬の提供方法になる。この提供方法だと、流通構造が変わらないため、薬局が薬を仕入れる価格に変化は生じない、そのため、推定される契約は、薬局との長期にわたる専属契約を行うことにより処方する薬の費用を下げるような契約となり、せいぜい数パーセントから数十パーセント程度の処方費用削減が限界と推測されますが、生涯処方費用からするとサブスクリプションのメリットは多少恩恵を得ることができます。
(2)製薬会社97とのサブスクリプション
製薬会社97とのサブスクリプション契約の場合は、上記同様に医師処方量や処方量2による、流通薬による提供方法と、処方システム200が利用者の体形等の統計情報で算出した処方量1による提供方法との2種類による提供を行うことができる。ここでは「医師処方量」と「処方システム200が相関情報を用いて算出した量」との違いになる。この量の違いが金額に反映されることとなる。さらに、別の側面から見ると薬の流通構造が大幅に簡略されることがわかる。流通構造という側面においては、サブスクリプション契約において、生産者と利用者がつながるため、大幅なコスト削減にとなる。
薬局Aや製薬会社Bが、作成したサブスクリプション方式による提供条件の具体例を次に示す。
(1)薬局Aの提案
5年間の契約が必要だが、薬Aと薬Bとも通常の価格の1割引きで提供する。(生涯処方費用より安くなる価格で提供する。)
(2)製薬会社Bの提案
薬A及び薬Bを5年間処方量が変わっても価格を変えずに提供を行い、製薬会社96から利用者へ直接提供する。処方量の違いで、医師が処方した医師処方量(薬A5mg、薬B10mg)と、処方システム200で理論的に算出した処方量1(薬A4mg、薬B9mg)との2種類になる。
この2種類によるサブスクリプション契約の場合は、どちらも利用者と製薬会社とが直接結ぶ流通構造となるため従来の流通構造より中間コストが大幅削減された価格での提供となる。また、医師処方量で提供する方法よりも、処方量1で提供する方法の方が、薬の量が少ないため前記よりも安く提供できることは言うまでもない。この場合、流通構造により中間コストが削減される分と、薬の量が少ないコストによる分との相乗により、5割引(推定)での提供となる。(生涯処方費用より大幅に安くなる価格での提供ができる。)
従来の薬の流通は、「製薬会社→薬局→利用者」という流通構造に卸という中間業者の存在がある。それに対して、サブスクリプション契約になると、「製薬会社→利用者」という新しい流通構造が自然に構築できる事になる。このように、サブスクリプション契約を行うことで、製薬会社と利用者の間にあった中間マージンの削減といった事が本システムのサブスクリプション契約により可能となる。結果、利用者にとっては大幅なコスト削減に繋がることになる。利用者にとっては生涯処方費用の削減は喜ばしいことである。今まで利用者の生涯処方費用についてのコンサルタントを受ける事や、薬の提供方法である流通構造の変化とを、システムで実現する物はなかった。
さらに、サブスクリプション契約を行う薬局96や製薬会社97にとって、契約者(固定客)により利益確定に繋がるメリットが発生する。こういった契約を増やすことで利益を事業計画に盛り込め、契約者を増やすと事業の安定にも繋がることになる。
各薬の提供者が作成し提案したサブスクリプション契約の内容は、処方提案DB210に記録される。記録された提案は、利用者端末(患者端末40)で確認でき、図15に示すような、上述した提案条件の一覧が表示される。利用者は、利用者端末(患者端末40)上に表示される上記条件のうち、購入(契約)したいものを選択し薬の購入(契約)を行う。
サブスクリプション契約により患者94に薬を提供することは、製薬会社97と患者94との両方に利点がある。
(1)製薬会社97は、患者94とサブスクリプション契約を結ぶことによりある程度の薬の需要を読むことができ、その分の利益見込みができること、結果として、工場の原料調達計画や生産調整が行いやすくなる。固定客を増やすことで経営が安定させることへのシフトが始まる。
(2)患者94は、製薬会社97とサブスクリプション契約することにより、生産者から直接購入できる流通となり、生涯服用する薬を従来より安く買えることができる。また、製薬会社から購入することにより、正規の薬を使用することができる。
地域医療連携システム1上のサブスクリプション契約DB220は、契約したサブスクリプションの内容を保存する。サブスクリプション契約DB220は、例えば、処方せんDB126に備わる。サブスクリプション契約DB220に保存される内容は、患者のかかりつけ病院や医師に加え契約先の薬の提供者が提案した内容(図16に記載の内容)、すなわち、サブスクリプションの契約先(製薬会社97や薬局96,製薬卸業者,病院など)と薬の提供価格や提供方法,契約期間,解約条件、契約日などが保存される。
サブスクリプション契約DB220に保存された情報は、患者端末40や医療機関端末20、薬局端末60などを用いることにより確認することができる。
サブスクリプション契約の支払いは、「薬局96などで薬を受け取る際に支払う」「クレジットカード払いや銀行引き落としなどの自動決済で支払う」などを用いて行う。製薬会社との契約における支払いは本システムが対応してもよい。自動決済は、クレジットカード払いや銀行引き落としに限らず、本システムと連携して発行された決済手段を用いてもよい。本考案のサブスクリプション契約DB220は、支払いにおける管理もしてもよい。
前述の考案では、製薬会社97等のサブスクリプション契約提供者が、地域医療共有システム1を用いて対象利用者を匿名加工されている状態で検索することにより、サブスクリプション契約を提案したい患者94を見つけ、患者94に対しサブスクリプション契約の提案を行う形で説明してきた。医療情報共有サーバ10の運用管理者は、患者94やその患者の処方薬を探しだし、患者94への薬のサブスクリプション契約の提案依頼を製薬会社97等に対して依頼し、患者94に対してもサブスクリプション契約の提案を行い、製薬会社97と患者94とのサブスクリプション契約の仲介を行ってもよい。
医療情報共有サーバ10の運用管理者が、製薬会社97等に対して、患者94への薬のクリプション契約の提案依頼するにあたり、対象となる患者94を検索で見つけ、情報を取得する必要がある。この情報の取得方法は、製薬会社97等が情報取得に用いた手法と同様に、人DB120上にある電子カルテDB125や処方せんDB126を匿名加工されている状態で検索し取得する。
また、前述の考案では、サブスクリプションの提案の内容を患者端末40に表示することで患者94に提案するとしたが、医療機関端末20にサブスクリプションの提案の内容を表示させて、医師が患者94にサブスクリプションの提案する形でもよい。
医療情報共有サーバ10の運用管理者が、本システムと連携して発行された決済手段の運用を行い、製薬会社97等に対する患者94への薬のクリプション契約の提案依頼することにより、患者94の患者情報の取得保存から、薬のサブスクリプション提案やサブスクリプション契約の管理までの一連の流れを医療情報共有サーバ10の運用管理者が統括することができる。図17に一連の流れを統括したイメージの一例を示す。
従来、処方薬を製造する製薬会社の顧客は医療機関であり、医療機関で働く医師に対して商品を紹介し提供するというのが製薬会社のビジネスモデルとなっていた。また慢性患者が生涯に亘り服用し続ける処方薬を計算し、利用者へ生涯処方薬コストを見直す提案やアドバイスする事業は存在しなかった。これら2つを融合するため患者の症例情報などのデータベースを管理運営している、医療情報共有サーバ10の運用管理者が行うことで、薬の生産者である製薬会社と、薬を服用する利用者とを直接結ぶ新しい構造を創るビジネスモデルである。
また、利用者のかかりつけ病院の医師が、自分の患者に飲ませる「薬の生涯価格」を見るようになれば患者の将来飲む薬のコストに、配慮することが可能となる。このようになれば、医師自身が、サブスクリプション契約を推奨していき、患者への医療コストを下げていく医師のコストダウン意識が浸透していくようになると推測できる。利用者が生涯にわたり従来より安い値段で薬を服用できるようになる。これは、医療業態における流通は、複数のしがらみで高コストとなっており、この構造を医師が自ら流通を変えることにより医療における構造改革が起こり、患者にとってメリットがあると考えている。
また、様々な疾患を抱えている高齢者等の患者94では、複数の薬が処方され多剤服用や多剤併用の状態(いわゆるポリファーマシー)の場合がある。例えば、複数の医療機関92から合計で5種類の薬が処方されていた場合に、ある医療機関92の医師は総合的に勘案した場合に3種類で充分と判断し、処方を変更することで、処方量を抑制させることができ、最終的には薬剤費用を低減できる。このようなときに、医療機関端末20の電子カルテシステムの機能として、先に処方している医療機関92に対して変更を通知・受信する機能を付与することで、その患者94に対する最新の治療方針、処方方針を先の医療施設92も把握できる。また、患者94が介護施設98を利用している場合に、介護施設98の介護施設端末80においても、そのような通知を受信する機能を有することで、患者94に関連する人の間で薬の変更を共有できる。
患者94は、過去の治療履歴について、記憶が曖昧になって正確な情報(病気名や薬名)を伝えられないこともあり、場合によっては、誤った不適切な情報を伝える虞もあるが、そのような状況を防止できる。さらに、同一・類似の薬効の薬が別の医療施設92で重複して多く処方されていることを発見しやすい。この種の状況は、不法な薬の転売を目的としたことも多くあるため、医師が早期に不法な処方を防止できる。なお、処方せんDB126に、不適切な処方の有無を判断する監視機能を設けてもよい。転売目的となる薬は一定程度判明しているので、監視対象となる薬を登録し、重複処方が発生した場合に、医療施設92の電子カルテシステムや薬局96の処方せんシステムで警告を出し、医師等の確認を取ってもよい。
患者94は、災害による避難、疾病による入院など様々な理由で居所を一時的に変える場合がある。居所の変更をサブスクリプション契約先に連絡をする必要があるが、連絡手段がないなどの理由により連絡できないことがある。サブスクリプション契約先に連絡できないと、薬の送付先の変更が行えずサブスクリプション契約した薬の受け取れないこととが想定される。一定期間以上、薬の受け取りが行われない場合において、サブスクリプション契約先は、患者94及びの患者94関係者に対し連絡を行い状況確認する機能を地域医療連携システム1に設けてもよい。患者94の関係者とは、家族やかかりつけ病院,かかりつけ薬局、利用介護施設などがあげられる。連絡すべき相手は、患者94の状況により異なるため、あらかじめ地域医療連携システム1上に登録してもよい。患者94の状況と連絡先の例として、「患者94は認知症のため、患者94本人に連絡せず患者94の家族や患者94の後見人に連絡する」「患者94は介護施設に入居しているため、患者94と介護施設に連絡する」などがあげられる。サブスクリプション契約先に代わり地域医療連携システム1が自動的に行うようしてもよい。上記では、一定期間以上薬の受け取りが行われない場合としたが、大規模災害発生時等、多くの利用者が薬の受取りが困難になると予想される場合に、安否確認と送付先の確認を行うために利用者及び利用者の関係者に連絡する機能を有してもよい。
地域医療連携システム1において身体形状DB127に蓄積されている身体形状データは、処方量の調整の他に、例えば、身体障がい者が使用する義肢などの装具の作成に用いられてもよい。一般に、装具の作成時に利用者の装具を作成する部分に石膏包帯を巻いて陰性モデルを作成する。陰性モデルに石膏を流し入れて、陽性モデルを作り、そのモデルを利用して装具を作成する。装具の再作成のたびに陰性モデルから作成するため利用者の負担が大きい。そこで、陽性モデルのデータを保存しておくまたは、身体スキャンデータ(身体形状データ)を保存しておけば、次回作成時そのデータを利用して装具を作成できる。
装具の作成以外にも、ガンマナイフ,重粒子線治療,陽子線治療などの放射線治療を行う際に作成するプロテクターや固定器具などの作成にも身体形状DB127に蓄積されている身体形状データ用いることができる。プロテクターや固定器具などの作成時において、プロテクターや固定器具などを作るための型取りを行わず、身体形状データを利用してプロテクターや固定器具などの作成を行う。
また、宇宙服や潜水服といった利用者の体形に合わせる必要がある特殊作業服の調製にも身体形状DB127に蓄積されている身体形状データ利用できる。例えば、「服の各部位ごとに、複数の大きさのパーツの中から利用者の体形に合わせた最適なパーツが自動的に選定される」「体型に合わせて特殊作業服を作成する」などの利用法がある。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施形態では、医療情報共有サーバ10内の各種DBに情報を保存するとしている。保存先は、例示であり、行動履歴や購買履歴といったものを含んだり又はひも付いたデータを個人から預託され、他の事業者とのマッチングや匿名化したうえでの情報提供を行う機関(情報銀行)内のDBなどでもよい。情報銀行という固有名詞を記載したが本考案の出願時点では個人情報を用いてビジネスを正当に扱える業態は情報銀行である事が政府より公表されている。
以下、本実施形態の変形例の特徴を以下に付記する。
(1)本発明は、複数の医療機関が連携して所定の地域において医療を提供する医療システムであって、
ユーザの身体特徴の一つとして外形寸法を取得する身体特徴取得部と、
疾病と外形寸法との関連情報を記録する疾病外形関連DBと、
計測した前記外形寸法と前記関連情報とから前記ユーザに疾病の発生又はその可能性の有無を推測する疾病推測部と、
を備えることを特徴とする。
外形寸法とは、単なる身長や腹囲といった値ではなく、外形形状をおおよそ特定可能な程度のポイントの値である。例えば、身体の表面をメッシュ状に分割したときの交点(ノード)をポイントとして、それらポイントの相対位置関係を取得して人体モデルに適用することで、外形寸法が特定される。また、レーザスキャニング装置により外形寸法が特定されてもよい。さらに、伸縮性の素材で出来た密着性のウェアに複数のセンサを取りつけた装着タイプ測定装置で、それらセンサの相対位置関係(伸縮状態)から外形寸法が特定されてもよい。
患者の外形寸法から外形形状を特定できるので、患者の身体特徴をより正確に把握でき、医師の診療の際、また健康管理の際に、より適切な判断が可能となる。近年、遠隔医療の導入が始まっているが、画面上に映し出される画像(映像)だけでは正確な判断ができないことが多い。そのような場合、ユーザの申告値を採用することもできるが、正確性に欠けたり、そもそも身長体重以外の値については把握していないため、医師が身長体重の申告値を信用したうえで想像することになる。しかし、外形寸法を得られ人体モデルに適用することで、患者の外形を精度高く把握できる。疾病を早期または未病の段階で発見できるので、医療費の抑制にも繋がる。また、体形の歪みを検出することもできるため、いわゆる未病の段階でも、矯正治療を行うこともできる。小さな歪みの段階で発見できるので、簡単な治療で済み、治療費も抑制できる。
地域医療連携システムにおいて、このような技術を導入することで、システム参画者間でデータの共用ができ、例えば、介護施設で計測した高齢者の外形寸法のデータを医療施設(クリニックや病院等)で診断に利用するという連携により、その地域の健康維持・向上を低コストで効率的に行える。また、遠隔診療のようにビデオ画像を介した診察においても、患者の身体特徴を一定の精度で把握できる。すなわち、医師が触診できないような場合でも、患者に身体に異変が生じたことを外形からある程度把握できる。
(2)前記ユーザの身体の表面に設定された複数のポイントと、前記ポイントの位置関係を計測することで前記外形寸法を計測し、計測結果を前記身体特徴取得部へ送信する身体特徴計測部を備えてもよい。
身体特徴計測部は、例えば上述したレーザスキャニング装置や装着タイプ測定装置に通信機能を持たせたもので、ネットワーク経由で、計測値が前記身体特徴取得部へ送信される。
(3)前記複数のポイントは、ユーザの身体の表面の代わりに、前記ユーザの身体の全体または一部を再現した模型の表面に設定されてもよい。
すなわち、前記身体特徴計測部の計測対象をユーザの身体に代え、ユーザの体形の全体または一部を再現した模型としてもよい。
(4)前記身体特徴計測部は、
伸縮可能な素材により構成される本体部と、
前記本体部に、前記ポイントとして複数ポリゴン状に配置され相対位置関係(伸長量)から前記ユーザの外形寸法を計測するセンサ部と、
を有し、ユーザが装着した身体部分のサイズ及び形状を測定してもよい。
また、ユーザが装着した身体部分に代え、ユーザの体形を再現した模型に装着してサイズ及び形状を測定してもよい。
この身体特徴計測部は、例えば上述の装着タイプ測定装置に適用されるものである。近年、伸縮性のある着衣として、スポーツ用のコンプレッションウエアがリーズナブルに入手可能である。このようなコンプレッションウエアにメッシュ状(ポリゴン状)に複数のセンサ(例えばポジションセンサや画像処理用マーカ)を取り付けて、センサの相対位置をセンシングし、形状を算出することができる。また、ポイント間の伸長により電気出力が変わる伸長センサや歪みセンサを適用してもよい。専門的な採寸技術のない者(患者や介護者、医師、看護師等)でも簡単に取り扱え、容易に採寸可能である。
(5) 前記疾病推測部は、前記複数のポイントをもとに計測した前記外形寸法において局所的な特異形状を検知することで疾病の発生の有無を推測してもよい。
例えば、皮膚軟部腫瘍として、ほくろやアザ、いぼといった様に皮膚表面に変化を生じるものから、「脂肪のかたまり」の様な皮膚の下に出来た固まりで皮膚が盛り上がっているものまであります。原因となる細胞には実に様々なものがあり、中には悪性のものも存在する。癌や肉腫は早期に切除することが求められ、早期に対応が可能となる。局所的な特異形状、例えば、腎臓近くが腫れている、腫瘍により一部が膨出している等の形状を検知したときに、疾病の可能性が高いので、検査を提案するといったプロセスに迅速に移れる。
(6)前記外形寸法のデータを前記ユーザと関連づけて蓄積するユーザデータ記憶部を有し、
前記疾病推測部は、蓄積された前記外形寸法のデータの傾向に変化が生じた場合に、その変化に対応した疾病が発生したと推測してもよい。
疾病推測部は、蓄積されたデータをもとに学習(例えば機械学習やAI学習等の公知の学習技術を用いた学習)を行う。蓄積データが多くなるにしたがって推測精度向上が期待できる。例えば膨出した部位があっても変化が無い場合は特に問題ない場合もある。悪性腫瘍の場合は、変化が早いことが多く、時系列のデータが疾病特有の傾向を示した場合に、早期に疾病の有無の検査が必要であると推測し、例えば電子カルテ上に警告を表示することができる。時系列の変化として、身体の一部が膨出した場合や、特定部位(例えば肝臓部分)が膨出した場合、姿勢が曲がった場合等に、健康管理上問題となる変化が生じたものと判断する。あらかじめ対応関係を記したDBを用意し、反映・学習させる。精度が向上する。これは病院に導入するに留まらず、例えば、介護施設に導入することで、高齢者等が意識していない症状であっても、医師が遠隔で判断できたり、介護施設の職員による計測で要注意の状態が判明した場合に、医師の診察に委ねるという対応が早期に可能になる。なお、ユーザデータ記憶部は定期健康診断等の定期的な検査データが含まれてもよい。
(7)前記ユーザデータ記憶部は、前記ユーザの身体特徴の一つとして体重を記憶し、
前記疾病推測部は、前記疾病の推測に、前記ユーザの体重を反映させてもよい。
身体特徴として、外形形状とともに体重、さらには体脂肪率等のデータを反映させることで、一層精度向上が期待できる。また、健康指導等をきめ細かに行える。また、例えば慢性疾患の薬の処方量は患者の体重と表面積から算出することがある。このような場合、医師が頭の中で又は計算機等を用いて計算している場合もあれば、経験則から単に見た目で判断する医師もいる。しかし、患者の身体特徴である外形寸法や体重等から処方量(又はその範囲)を自動的に電子カルテシステムに表示させることで、実質的なバラツキを抑え患者に均一な医療を提供できる。また、患者の身体特徴である外形寸法や体重等から処方量の上限を定めることで、例えば、処方する点滴や注射の量を適正な範囲に抑え、いわゆるヒヤリ・ハットといった医療事故に繋がる事態を確実に回避できる。
(8)前記疾病推測部は、近親者の医療データまたは生物学的特徴データを取得し、前記疾病を予測する際に反映させてもよい。
家系のデータを疾病の予測に反映することで、疾病推測の精度を向上させることができる。家族歴・既往歴などは重要な医療情報であるが、近親者の生物学的特徴データ(言い換えると家系図情報)は、疾病予測において家族歴・既往歴以上に重要な要因である。従来遺伝的要因の関与がまったく考えられなかった疾患が、実は遺伝性疾患であることが明らかとなる場合もあり、明らかになる前の状態であっても、疾病の予測に家系図情報を反映させることで精度を向上させることができる。近親者が同じ地域に居住していることも多く、地域医療連携システムで同じデータベースに治療履歴や生物学的特徴データ(家系図情報)が蓄積されることが想定される。そのような場合、高いセキュリティを確保したまま相互のデータ利用が容易となる。当然、別の機関(バイオバンクや他の地域医療連携システム)のデータベースのデータが利用されてもよく、そのような場合、相互接続専用APIを導入し、セキュリティと利便性との両立を図ることが望ましい。
医療機関の情報処理端末と医療情報共有サーバを、上述のようなシンクライアント環境(例えば仮想デスクトップ環境等)で構築するような場合の他に、エッジコンピューティング技術や5G通信技術を適用するシステムを導入することで、地域医療連携システムのような医療システムの利便性・セキュリティ確保・システム構築容易性と言った効果を奏する。特に緊急救急システムでは、患者の緊急性を考慮すると通信遅延を避けつつビデオ通信や詳細画像の通信といった重い通信を行い、かつ、利用者DBのような情報記録場所をその地域内(またはその近隣)にしておきたいと言うニーズがあり、そのようなニーズに応えることもできる。