発明の開示発明が解決しようとする課題本技術分野では、提供された画像レンダリング能力で高い画像/投影品質を有する網膜画像投影を提供するヒョジシステムの新規な構成が必要とされている。
従来の投影システムでは、最大の画像解像度は、一般に、いくつかの要因、すなわち、画像生成要素(投影ユニット)、例えば、グラフィック処理ユニット(GPU)のような制御ユニットによって供給される処理力、及び、GPUから投影ユニットへのデータ伝送の帯域幅、によって制限される。したがって、従来のアイ・プロジェクション・システムを利用する人間の視界の空間分解能に相当する画素密度を有する画像投影を提供することは、非常に高い計算能力、及び、典型的には、小さな投影/表示ユニットのアレイの両方を必要とする。
より具体的には、人間の眼の最大解像度を有する画像を提供することは、典型的には、各眼に対して約20メガピクセル以上を含む画像フレームを投影する必要があるだろう。さらに、人間の知覚と一致する時間分解能を提供するために(画像の動きが滑らかでシームレスであると認識されるように)、表示された画像は、60Hz以上のレートでレンダリングされる必要があるだろう。これは、制御ユニットと投影ユニットとの間、及び、記憶ユーティリティ、及び、制御ユニットの間で、画像レンダリング、及び、データ転送の高いレート(例えば、24ビットカラーの色深度を有する画像の投影を考慮して、28Gbit/秒のオーダー)を必要とする。このような高いデータ転送速度は、一般に、当該技術の眼投影装置の状態の能力を超えており、いずれにしても、システムの重量、サイズ、コスト、及び、エネルギー消費を増加させる可能性がある。
本発明は、1つ以上の画像投影モジュール/ユニットを利用して、空間的に変化する画像投影品質を有する画像を網膜上に投影する新規な画像投影システムを提供する。これに関連して、本明細書では、「画像投影品質」という語句は、網膜上への画像投影のピクセル密度(例えば、単位立体角当たりのDPI、又は、ドット)を指し、また、場合によっては、投影された画像における色深度レベルにも言及するために使用される。このために、いくつかの実施形態では、2つ以上の投影モジュールは、それぞれ2以上のレベルの色深度を有する画像部分を提供する。
特定の実施形態では、本発明の技術は、ユーザの眼の中心窩領域上における高画素密度画像部分の投影、すなわち、高い角度分解能、また、投影面上における同様の高いインチ当たりのドット数(DPI)、を有すること、また、画像部分の投影は、ユーザの網膜の周囲(例えば、傍中心窩領域)上における低画素密度(下側角度分解能/DPI)での画像部分の投影を利用する。これにより、投影システムの画像レンダリング、データ伝送、及び、ストレージの必要性を低減しながら、ユーザの眼による投影された画像の効果的な高解像度知覚が提供される。よって、より低画素密度(角度分解能)画像は、より低い知覚能力を有する網膜領域(傍中心窩)に、提供される一方、高画素密度画像は、画像細部を収集し、また、ユーザの脳にそれらを転送できる網膜領域(中心窩)に、提供される。
同様に、本発明の特定の実施形態は、色深度の知覚が、他の(傍中心窩)領域よりも、眼の網膜の中心窩領域において、はるかに高いという事実を利用する。これらの実施形態では、中心窩上に投影される画像部分は、周囲に投影される画像部分よりも高い色深度で投影される。
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、画像の特定の部分は、高いDPI、及び/又は、高い色深度で投影された画像を認識できる網膜の特定の領域(すなわち、中心窩)上に、高い画像投影品質(高い角度分解能、及び/又は、高い色深度)で投影され、また、画像の特定の他の部分は、知覚が、より低いDPI、及び/又は、より低い色深度に限定される網膜の領域(例えば、網膜の末梢/傍窩領域)上に、より低い画像投影品質で投影される。
本発明のいくつかの実施形態は、1つ以上の画像投影モジュール(例えば、単一の画像投影ユニット、又は、2つの画像投影ユニットを含む)、及び、網膜上に投影するための光学撮像多重化モジュールを利用し、画像部分が、異なる、個別の広さ、狭さ、角広がりを有する画像部分から構成される。狭い角広がりの画像部分(すなわち、ここでは、第1の画像部分とも呼ばれ、例えば、水平軸、及び、垂直軸の各々に沿って3度〜10度の立体角をカバーする)は、より高い画像投影品質(より高い角度分解能/DPI、及び/又は、より高い色深度)を有し、ユーザが高品質の画像を知覚できるように、網膜の中央(中心窩)領域上に投影される。広い角広がりを有する画像部分(すなわち、ここでは、第2の画像部分とも呼ばれ、例えば、水平軸、及び、垂直軸の各々に沿って60度〜170度の間の立体角をカバーする)は、より低い画像投影品質(おそらくより高いフレームレートを有するが)を有し、網膜の周辺(例えば、いわゆる傍中心窩領域)に投影される。これにより、画像が網膜全体にわたって均一に同じ高品質で投影された場合に必要とされる、データ量、及び、処理要件、及び/又は、システムのサイズ/重量、及び/又は、コストを低減する一方、人間の眼の解剖学的特性を利用すること、知覚された高品質で画像を投影することが可能になる。
したがって、本発明の技術は、アイ・プロジェクション・システムからのユーザ経験を最大にしながら、アイ・プロジェクション・システムのデータ転送、及び、処理要件を劇的に低減する(ユーザは、そうすることができる網膜の領域を通して高解像度画像を、依然として、知覚する)。
知られているように、人間の眼の網膜の内部被膜は、光感受性組織を有する。中心窩と呼ばれる網膜の領域は、高密度な円錐型の感光性神経細胞を有し、鮮明な視覚に関与する。この目的のために、本発明の技術は、広い視野を維持しながら、網膜に向けられる周辺画像を提供し、また、レンダリングの複雑さを低減するために、より低い画像解像度を有する一方、ユーザの中心窩に向けられる高い解像度画像を利用する。したがって、本発明の技術は、中心窩に高解像度で画像投影を焦点合わせし、及び、より低い解像度での投影を提供し、したがって、均一な画素密度レンダリングと比較して、低減された処理、及び、データ伝送要件で高解像度投影を提供する。
本発明のアイ・プロジェクション・システムは、少なくとも2つの(例えば、第1、及び、第2の)画像投影ユニットからユーザの眼(すなわち、少なくとも1つの眼)に画像(すなわち、ここでは画像部分とも呼ばれる)を向けるように構成された光学モジュールを有している。光学モジュールは、第1、及び、第2の画像部分を多重化し(空間的、及び/又は、時間的に結合し)、画像投影モジュールから提供された第1の画像部分をユーザの眼(中心窩)の第1の領域に向けるように構成され、また、第2の画像部分を網膜の周囲/周辺領域に向けるように構成されている。いくつかの実施形態によれば、光モジュールは、一般に、光多重化モジュール(例えば、ここでは、結合ユニットとして相互交換可能に参照される時間的、及び/又は、空間的光多重化装置であり、また、典型的には空間的、及び/又は、時間的ビーム結合装置を有している)、及び、リレーユニット(ここでは、光リレーとしても参照される)を有してもよく、光モジュールの光路に沿ってカスケード順序で配置され、画像投影ユニットからの画像投影を方向付け、及び、ユーザの眼に(同時、又は、非同時に)組み合わせてそれらを投影するようにしてもよい。より具体的には、結合/多重化ユニットは、少なくとも第1、及び、第2の投影ユニットによって生成された投影された画像部分に関連付けられた光ビームを、ユーザの眼に方向付けられ/投影される共通の一般的な光路に沿って伝播する全投影画像フレームを代表する結合された光学フィールド(ここでは、合成画像投影とも呼ぶ)に結合する。ここで、光学フィールド、及び、結合された光学フィールドという語句は、眼に向かう画像投影の光路を横切って測定される光の強度プロファイル、及び、可能であれば、色コンテンツの指定に用いられる。結合された光学フィールドを形成する光ビームは、結合ユニットから光リレーに伝送され、そのことが、ユーザの眼に光学フィールドを方向付けるようにしてもよい。
ここで使用される光リレー(すなわち、リレーユニット)という用語は、一方の入力ポートで画像投影を受け取り、入力ポートからある距離だけ位置するリレーの出力ポートに画像投影を中継することが可能であり、一方で、中継された画像投影の特定の光学倍率を適用することができる撮像タイプの光中継モジュールを指すことを理解すべきである。実際には、典型的には、光中継モジュールは、いかなる正味の光パワーを有していなくてもよい(その焦点距離は無限であってもよい)、それを介して中継される画像投影(そのビーム)の焦点特性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、いくつかのリレーは、ある光パワー(すなわち、有限の焦点距離)で構成され得る
光リレーは、一般的に、光リレーの光路に沿ってそれらの間に所定の距離を置いて配置されるレンズセットと呼ばれる、少なくとも2つのレンズ・グループを有している。少なくとも1つの(第1/入口)レンズセットは、光リレーの入口ポートを画定し、少なくとも1つの他の(第2/出口)レンズセットは、光リレーの出口ポートを画定する。この点に関して、レンズセットという用語は、ここでは、1つ以上のレンズのセット/グループを指定するために使用されると理解されるべきであり、これは、1つ以上の(屈折により焦点パワーが得られる)屈折レンズ、(回折により焦点パワーが得られる)回折レンズ、(曲面からの反射によって焦点パワーが得られる)ミラーレンズ、及び/又は、それらの組み合わせを有してもよい。レンズセットは、1つ以上のレンズがある一定の光パワー(一定の有限の焦点距離)を有し、光路に沿ったその光学的位置を規定する所定の主光学面(例えば、レンズセットの同じ光学/焦点特性を有する「薄いレンズ」の等価な位置を規定する)に関連付けられている。いくつかの実施形態では、光リレーの倍率特性は、第1/入口レンズセット、及び、第2/出口レンズセットの焦点距離間の比(例えば、追加の光学的パワー素子がそれらの間の光路に配置されない限り)に関連付けられる。光リレーが、正味の焦点パワーを有さないためには、第1/入口レンズセットと第2/出口レンズセットとの間の距離(それらの主光学面間の距離)は、それらの間に追加の集束光学素子(追加の光パワー素子)がない場合に、それらの焦点距離の合計に等しくなければならない。
より具体的には、いくつかの実施形態では、光リレーは、網膜上に直接投影されるように、光フィールドにリレーするように構成される。眼の網膜上へ画像を直接的に投影するために構成され、また、動作できるそのようなリレーを含むこのような光学モジュールの構成、及び、処理方法の例は、例えば、PCT特許公開公報WO2015/132775、及び、IL特許出願第241033号に記載されおり、両者は、ともに、本特許出願の譲受人に譲渡され、また、参照により本明細書に組み込まれる。
この点について、以下に使用される直接投影という用語は、伝播する光フィールドがユーザの網膜上の画像平面に焦点合わせされるように光フィールド(例えば画像)を投影すること関連付けられていることが理解されるべきである。例えば、光学モジュール、及び/又は、その光リレーは、光フィールドの光ビームが、それらが実質的に平行化され、及び/又は、それらがアイレンズ自体によって網膜上に焦点合わせされるように、アイレンズに到達するように構成されてもよい。代替的、又は、追加的に、そのような直接的な投影は、その断面直径が実質的に眼の入射瞳孔よりも小さく(例えば、2倍以上)なるように(それによって、網膜上の像投影の高い被写界深度を得る)、光フィールドを網膜に向かって投影することによって達成されてもよい。
いくつかの実施形態では、光モジュールは、軌跡モジュール(例えば、IL特許出願第241033号に記載されているような視線追跡光デフレクター、及び/又は、瞳孔位置光デフレクターを提示するための、移動可能、又は、回転可能な光デフレクター)を有し、又は、関連付けられ、それは、ユーザの眼の視線(LOS)に応じて、及び/又は、本発明のアイ・プロジェクション・システムに関する眼球/瞳孔の相対的な横方向の位置に応じて、画像投影の光路を調整するように構成され、また、動作できる。この目的のために、システムは、ユーザの眼のLOS、及び/又は、視線方向の変化を検出し、及び、軌跡モジュールによって提供される光路の偏向を決定するために、一般的な光路の向きを変更する軌跡モジュールに、対応するデータを提供するように構成されたアイ追跡ユニットを利用し、及び/又は、有してもよい。したがって、画像(光学フィールド)は、眼の視線(LOS)の向きの変化、及び/又は、アイ・プロジェクション・システムに関する瞳孔の/眼の位置の変化に応じて変化する一般的な光路に沿って、システムによって、投影されてもよい。この目的のために、軌跡モジュールは、アイ・プロジェクション・システムに関するユーザの眼の向きに応じて(例えば、眼の光軸/視線(LOS)の方向に応じて)、光モジュールに沿った光伝播の一般的な光路を変化させるように構成されてもよい。光リレー、及び、アイ追跡光デフレクター(例えば、瞳孔位置ビームデフレクター、及び、視線方向ビームデフレクター)を有し、眼の位置、及び、その視線方向が、アイ・プロジェクション・システムに関して変化してもよい一方、眼の網膜に画像投影を方向付けることに利用されるこのような光学システムの例は、例えば、IL特許出願第241033号に記載されており、それは、本特許出願の譲受人に共譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる。
このため、軌跡モジュール、アイ・トラッキング・ユニット、及び、光リレー・ユニットを使用することにより、光モジュールの光路は、2つ以上の画像部分と結合された光フィールドが、一般的な光路に沿ってユーザの瞳孔に向けて伝播されるように変化させることができる。
投影された光フィールドは、ユーザは視線方向を変えることができ、及び/又は、アイ・プロジェクション・システムと眼との間の相対的な位置関係は変化する一方、ユーザの眼が、網膜上の適切な位置に結合された画像を形成することができるように、様々な角度方向から瞳孔の位置に到達するように方向付けられ得る。上述のように、光フィールドは、第1の画像部分が網膜の選択された部分(すなわち、中心窩)上に画像の一部を形成し、及び、第2の画像部分が網膜の他の領域(傍中心窩)上に画像の部分を形成するように構成されている。また、ユーザが視線方向を移動させたり、眼に対してシステムをわずかに移動させたりしても、生成された網膜上の画像部分の位置は、固定され続けてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、第1、及び、第2の画像部分(中心窩、及び、傍中心窩の部分)の時間的シーケンスを生成し、投影するように動作可能な単一の画像投影ユニットを含むことに留意されたい。
代替的に、又は、追加的に、一部の実施形態では、本発明のシステムは、それぞれ、第1、及び、第2の画像部分を生成し、また、投影する少なくとも2つ、第1、及び、第2の画像投影ユニットを有している。後者の場合、第1、及び、第2の画像投影ユニットは、一般的に、異なる特性を有してもよい。例えば、異なる視野を投影するために、画像投影ユニットは、異なる角度範囲にまたがって、光線/ビームを、光モジュールに向けて、出力するように構成され、また、動作できるようにしてもよい。また、画像投影ユニットは、異なる角解像度、及び/又は、異なる色深度を有する画像を出力するように構成されてもよい。例えば、第1の画像投影ユニットは、高い角分解能、及び、高い色深度でRGB画像(画像部分)を提供するように適合されてもよく、また、第2の画像投影ユニットは、より低い色深度、又は、場合によっては、モノクロでRGB画像部分を、及び/又は、低い角分解能で画像部分を提供するように適合されてもよい。色深度の変化は、第1の投影ユニットが、例えば、32ビット、又は、24ビットの色深度で画像を提供するようなものであってもよく、及び、1つ以上の第2の投影ユニットは、例えば、16ビット又は、8ビットの色深度で画像を提供するようなものであってもよい。
場合によっては、画像投影ユニットは、画像投影を走査するように構成されてもよく、その出力される画像は、画像が出力される角度範囲にわたって、光線を走査(例えば、ラスタリング)することによって、生成され、その角度範囲を通って、画像が出力される一方、画像(画像部分)を符号化する光フィールドを生成し、また、投影するために、光線の強度、及び、場合によっては色内容を変調するように、構成されてもよい。
第1、及び、第2の画像投影ユニットが使用される場合には、第1、及び、第2の画像投影ユニットは、異なる技術に基づいて構成されてもよい。例えば、第1の画像投影ユニットは、その強度、及び/又は、色の内容を変調しながら、所望の角度範囲にわたって光線を走査(例えば、ラスタリング)することによって、第1の(中心窩)画像部分を生成するための走査画像投影として構成してもよい。走査ベースの画像投影を使用することは、非走査ベース(例えば、SLMベース)の投影ユニットに比べて、パワー、及び、強度の点で有利であり得る。第2の画像投影ユニットは、上述のような走査画像投影システムとして構成されてもよく、又は、1つ以上の空間光変調器(液晶アレイ、及び/又は、マイクロミラーアレイのようなSLM)を利用して、それによって投影された複数の画素の強度、及び、場合によっては有彩色含有量を同時に変調する領域画像投影システムとして構成されてもよい。ラスタ走査、及び/又は、空間光変調を用いて、画像を形成する画像投影ユニットの構成、及び、動作の例は、画像投影の技術分野で一般に知られており、それらの構成、及び、動作の原理は、ここでは詳細に説明する必要はない。
本発明によれば、画像投影モジュール(単一、及び/又は、第1、及び、第2の画像投影ユニットを含む)は、互いに空間的に相補的な(2つの)第1、及び、第2の相補的な画像部分(光フィールド)を、それぞれ、出力し、網膜の表面上の連続的な画像投影を形成するように構成され、また、動作できることに留意されたい。
このために、光モジュールは、光モジュールの一般的な光軸に関する角度/横方向の範囲を覆うための第1の画像部分の投影を、網膜に向けられたときにその中心窩領域上に入るように、投影/調整するように適合されてもよい。光学モジュールは、また、第2の画像部分の投影を、一般的な光軸の周りに延在するより広い角度/横方向の視野を覆うように投影/調整するように適合されてもよい一方、光学モジュールの一般的な光軸に関する環状領域(又は、より一般的には、フレーム、又は、ドーナツ状の領域)を、第2の画像部分が網膜に向けられたとき、それが、少なくとも網膜の周囲で降り注ぐように、部分的に、スパニング/カバーするように適合されてもよい。
この点に関して、画像投影モジュール、及び/又は、光モジュールは、第1、及び、第2の画像部分が互いに空間的に補完し(例えば、それらが重複するか、又は、共通の境界を有するように)、光モジュールが、結果として得られる光フィールド(画像部分)を適切に、空間的、及び/又は、時間的に、結合させて、結合された画像投影(結合された光フィールド)を形成できるように、第1、及び、第2の画像部分の投影を生産(生成、及び/又は、光学的に操作)するように適合される。結果として得られる結合される光フィールドは、中央領域における(像平面における)中心窩画像部分と、その周辺部分における(像平面における)傍中心窩画像部分とに対応し、空間的に連続した画像を、共に、提供する。
いくつかの実施形態では、第1、及び、第2の画像部分は、それらの間の境界においてある程度重なるように投影され、その結果、結合された光フィールドは、画像部分間での実質的に滑らかな移行を提供する。これを達成するために、画像投影モジュールは、第2の画像部分(例えば、環状の光フィールド)を、それらの横方向/角度範囲が、第1の(例えば、中央の)画像部分(光フィールド)と空間的にオーバラップするように結合される一方、オーバラップしている境界における第1、及び、第2の画像部分の画像内容は、おそらく異なる品質を有する可能性があるが)類似するように、投影するように適合されてもよい。このために、第1、及び、第2の画像部分との間の一部のオーバラップは、少なくとも第1の画像部分の周囲(環状境界)に沿って、第1の画像部分の高品質と第2の画像部分の低品質との間の滑らかで、継ぎ目のない移行を提供することに利用されてもよい。
本発明の技術は、ユーザが凝視する領域に対応する視野の中心領域のための高解像度画像を生成することに必要な計算能力を向けることによって、レンダリング処理を低減する。画像、及び、ユーザの視野の周囲は、より低い解像度でレンダリングされ、投影されてもよい。これは、投影画像の傍中心窩部分は、ユーザの注意の周辺にあり、光受容体細胞がより低密度であり、低空間密度、及び、低解像度のデータを提供する、ユーザの眼の傍中心窩領域(ここでは、一般に、網膜と呼ぶ)によって捕捉されるからである。
ユーザの眼に向けられた画像は、一般的に、眼の向きにしたがってレンダリングされ、また、画像/光フィールドは、追跡ユニットによって調整されるので、ユーザは、ユーザに臨場感を提供する大きな視野(効果的に、画像境界含まない)を認識できる完全な仮想現実(又は、拡張現実)を体験できることに留意されたい。
したがって、本発明の一つの広範な態様によれば、網膜画像投影に利用されるシステムが提供される。本システムは、眼の網膜の中心窩、及び、周辺領域に、それぞれ、投影される画像の第1、及び、第2の部分のそれぞれに対応する少なくとも第1、及び、第2の画像部分を投影するように構成された画像投影モジュールを有している。システムは、また、画像投影モジュールに光学的に結合され、少なくとも第1、及び、第2の画像部分の投影を結合して、眼の網膜に向けられる一般的な共通光路に沿って伝播するための結合された投影を生成するように構成され、また、動作できる光多重化モジュールを有している。光多重化モジュールは、空間的、及び、時間的の多重化のうちの少なくとも1つにおいて、結合された投影の横方向の範囲が、結合された投影における第2の画像部分の横方向の範囲と同様になるように、第1、及び、第2の画像部分の投影を結合し、結合された投影における第1の画像部分の横方向の広がりが、結合された投影の横方向の範囲内であるように構成され、また、動作できる。したがって、結合された投影を眼の網膜に向けると、第1の画像部分の投影は、網膜の中心窩領域を覆い、第2の画像部分の投影は、網膜の少なくとも周辺領域を覆う。
いくつかの実施形態によれば、システムは、第1、及び、第2の画像部分が、結合された投影において、それぞれ高い空間画素密度、及び、より低い空間画素密度を有するように構成され、それによって、結合された投影を最適化し、また、それぞれ、網膜の中心窩、及び、周辺領域のより高い空間解像度、及び、より低い空間解像度にそれぞれ対応するように構成される。
いくつかの実施形態によれば、システムは、第1、及び、第2の画像部分が、それぞれ、結合された投影において、より低い、及び、より高いフレームレートで投影されるように構成される。これにより、網膜の中心窩、及び、周辺領域のそれぞれの低い、及び、より高い時間分解能に対応するように、結合された投影を最適化する。
いくつかの実施形態によれば、画像投影モジュールは、少なくとも第1、及び、第2の画像投影ユニットを有している。第1、及び、第2の画像投影ユニットは、少なくとも第1、及び、第2の画像部分の空間的に分離された投影に対して構成され、動作可能である。光多重化モジュールは、第1の画像投影ユニットによって投影された第1の画像部分が合成投影の中央領域にあり、第2の画像投影ユニットによって投影された第2の画像部分が、結合された投影の中央領域を囲む環状領域にわたって横方向に延びるように、少なくとも第1、及び、第2の画像部分を空間的に結合するように構成され、また、動作できる。
一部の実施形態では、第2の画像投影ユニットは、第1の画像投影ユニットによって投影された第1の画像部分の角度範囲よりも大きい角度範囲で第2の画像部分を投影するように構成される
いくつかの実施形態では、光多重化モジュールは、第1、及び、第2の画像部分の(空間的に分離された)投影を取得するように構成され、また、動作できるビーム結合器を含み、それらはそれぞれ、より小さい、より大きい角度範囲を有し、それらを組み合わせて合成(画像)投影を出力するように動作可能である
いくつかの実施形態によれば、ビーム結合装置は、ウェッジ・デフレクター(例えば、ウェッジ型ビーム結合器/一方向反射ウェッジ表面)を有している。ウェッジ・デフレクターは、第1、及び、第2の画像投影ユニットの一方からの投影光が、ウェッジ・デフレクターの一方の面から反射され、他方の面から反射されながら光路に沿って伝播するように、選択された傾斜角度で互いに傾斜した前面、及び、後面で構成されている。ウェッジ・デフレクターの表面は、光路の外側の方向に向かっている。ビーム結合器のこの構成は、ゴースト反射を光路に沿った伝播の抑制/防止を提供する。
システムの様々な実施形態によれば、光多重化モジュールは、ビーム結合器の下流に配置された光中継モジュール(以下、語句、下流は、システムの光路を通った画像投影モジュールからの光伝播に沿う方向として解釈されるべきであり、上流は反対方向と理解されるべきである)を有している。光リレーは、結合された投影をシステムの光学的出力に向けて中継するように構成され、また、動作できる。
一部の実施形態によれば、第1、及び、第2の画像部分は、光リレーの上流、及び、外側で、結合されている。これにより、光リレーは、減少された収差(例えば、減少された幾何学的収差)を有する非テレセントリックリレーとして構成されてもよい。
いくつかの実施形態によれば、光リレーは、屈折、及び/又は、回折リレーとして構成される。この場合、光リレーは、それらの焦点距離の和に一致する光学的距離を有する光路に沿って配置された少なくとも第1、及び、第2のレンズセットを有している。第1、及び、第2のレンズセットの各々は、少なくとも1つの屈折、及び/又は、回折レンズを有してもよい。
いくつかの実施形態の目的のために、光リレーは、それぞれの光パワーを有する少なくとも第1、及び、第2の反射面を有する反射型リレーとして構成される。このような反射型光リレーは、結合された投影における色収差を低減する。少なくとも第1、及び、第2の反射面は、リレー(一般的にはシステム)の光路に沿って、それらの間の光学的距離がそれらの焦点距離の和に一致するように配置されてもよい。
いくつかの実施形態によれば、光リレーは、第1の反射面と第2の反射面との間の物理的距離が、光リレーの光路に沿って測定されたそれらの間の光学的距離よりも小さいことを特徴とする折り畳み式反射型光リレーとして構成される。このことは、コンパクトな光リレーの構成であり、コンパクトなアイ・プロジェクション・システムでの使用に適している。
いくつかの実施形態によれば、反射型リレーは、第1の反射面と第2の反射面との間のリレー内の光路を画定するように配置された1組の1つ以上のデフレクターを有している。
いくつかの実施形態によれば、光リレーの第1、及び、第2の反射面は、共通の平面に沿って配置される。偏向面のセットは、以下を有している。
−それぞれ、前記第1の反射面から上流、及び、前記第2の反射面から下流に、光路に沿って配置され、それぞれ、前記光リレーの入力、及び、出力光ポートを規定する第1、及び、第2のビーム・スプリッタ、
−前記第1、及び、第2の反射面の間で所望の光学的距離で前記光路を規定するために配置される1つ以上のデフレクター。
本発明のいくつかの実施形態によれば、画像投影モジュールは、単一の画像投影ユニットを有している。単一の画像投影ユニットは、全フレームレートの第1の部分に投影された第1の画像部分と、全フレームレートの第2の部分に投影された第2の画像部分とを有する一連のフレームを投影するために、ある全フレームレートで構成され、また、動作できる。そのような実施形態では、光多重化モジュールは、調整可能な拡大率で構成されたアダプティブ拡大光リレーモジュールを有している。アダプティブ拡大光リレーモジュールは、単一の画像投影ユニットからの光伝播の方向に関して単一の画像投影ユニットの下流に配置される。アダプティブ拡大光中継モジュールは、第1、及び、第2の画像部分のそれぞれの投影に異なる第1、及び、第2の拡大率を作用させるように、単一の画像投影ユニットによる第1、及び、第2の画像部分の投影のタイミングと時間同期で動作できる。これにより、第1、及び、第2の画像部分の時間多重化された結合された投影を、第1の画像部分よりも大きな角度範囲を有する第2の画像部分と、光学リレーから出力できる。
いくつかの実施形態によれば、アダプティブ拡大光中継モジュールは、光路に沿って配置された少なくとも第1、及び、第2のレンズ・グループを有している。第1、及び、第2のレンズ・グループの少なくとも1つのグループは、少なくとも2つの状態の間で調整可能な、その焦点距離、及び、その有効な主光学面の位置を有するアダプティブ・グループとして構成される。第1、及び、第2のグループは、それらの有効な主光学面の間の光学的距離が、これらの2つの状態におけるそれらの光学的距離の合計に等しくなるように配置されて、その結果、アダプティブ拡大光学リレーは、これらの2つの状態において異なる拡大率を提供するように調整されてもよい。
いくつかの実施形態によれば、アダプティブ・レンズグループは、それぞれの有効な主光学平面が光路に沿った異なる位置にあり、各レンズのいくつかの(例えば、2つの)動作モード間で切り替え可能なそれぞれの有効焦点距離を有するように配置された、少なくとも第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットを有している。例えば、アダプティブ・レンズセットのいくつかの動作モードは、以下を有してもよい。
(i)各アダプティブ・レンズセットのLENS−OFF動作モードは、前記アダプティブ・レンズセットの無限焦点距離を提供し、また、
(ii)アダプティブ・レンズセットのLENS−ON動作モードは、前記アダプティブ・レンズはある有限の焦点距離を有することを提供する。
いくつかの実施形態によれば、前記アダプティブ・リレーの第1、及び、第2のレンズ・グループは、アダプティブ・レンズグループ、及び、固定された焦点距離、及び、その主光学面の固定された位置を有する非アダプティブ・レンズ・グループを有している。そのような実施形態では、前記リレーの拡大状態は、第1、及び、第2の拡大状態を有しており、そこでは、アダプティブ・グループの第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットは、それぞれ、そのLENS−ON動作モードとLENS−OFF動作モードとの異なる組み合わせに設定される。したがって、第1、及び、第2の拡大状態において、アダプティブ・グループは、光路に沿った、異なる有効焦点距離、及び、有効な主光学面の異なる位置を有し、それによって、光リレーの異なる光学倍率を提供する。
いくつかの実施において、2つの状態におけるアダプティブ・グループの有効主光学面の異なる位置間の光学距離は、2つの状態におけるアダプティブ・グループの有効焦点距離の間の差に一致する。これは、光リレーが、その2つの動作状態において、類似の光パワー(同様の有限の光学的長さ、又は、無限の焦点距離(光パワーなし)を有することを提供できる。
いくつかの実施形態では、アダプティブ拡大光リレーは、以下のように構成される。
―第1の拡大状態では、第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットは、それぞれ、LENS−ON動作モードとLENS−OFF動作モードに設定され、それによって、アダプティブ拡大光リレーの第1の拡大率を提供し、また、
―第2の拡大状態では、第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットは、それぞれ、LENS−OFF動作モードとLENS−ON動作モードに設定され、それによって、アダプティブ拡大光リレーの第2の拡大率を提供する。
いくつかの実施形態によれば、各第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットは、少なくとも1つの調整可能な液晶回折レンズを有している。
単一の画像投影ユニットが使用されるいくつかの実施形態によれば、単一の画像投影ユニットは、少なくとも3つの単原色の光を利用することによって、第1、及び、第2の画像部分の1連のフレームを投影するように構成される。この場合、調整可能な液晶回折レンズは、少なくとも3つの単原色に対して同一の光パワーを有し、それによって色収差を抑制するように構成され、また、動作できる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、投影制御部を有している。投影制御部は、第1、及び、第2の画像部分を示すデータを取得し、網膜の中心窩、及び、周辺部分に、それぞれ、投影されるように、(例えば、網膜上に投影される画像全体を示すデータを取得し、それを、第1、及び、第2の画像部分にセグメント化するように、)構成され、また、動作できる。前記制御部は、また、以下のように構成され、また、動作できる。
(i)第1の画像部分を投影するための単一の画像投影ユニットを、中心窩の知覚速度を超えるために、少なくとも25FPS(より好ましくは少なくとも30FPS)の第1のフレームレートで投影するように動作させ、また、第1の画像部分の投影に同期して、第1の画像部分の投影に第1の拡大率を作用するように、アダプティブ拡大光中継モジュールを動作させる。前記光リレーは、前記第1の拡大率が、網膜の中心窩領域上の第1の画像部分を投影するために提供するように構成され、また、
(ii)第2の画像部分を投影するための単一の画像投影ユニットを、網膜の周辺領域の知覚速度を超えるために、少なくとも60FPS(より好ましくは少なくとも90FPS)の第2のフレームレートで投影するように動作させ、また、第2の画像部分の投影に同期して、第2の画像部分の投影に第2の拡大率を作用するように、アダプティブ拡大光中継モジュールを動作させる。前記光リレーは、前記第2の拡大率が前記第1の拡大率よりも大きくなるように構成され、また、前記網膜の周辺領域を覆うために、前記第2の画像部を投影するように適合される。
いくつかの実施形態によれば、システムは、少なくとも第1、及び、第2の画像部分を、それぞれ、投影するように構成され、また、動作できる少なくとも第1、及び、第2の画像投影ユニットを有し、また、システムは、少なくとも第1、及び、第2の画像投影ユニットに光学的に結合され、また、少なくとも第1、及び、第2の画像投影ユニットの投影の光路を、一般的な光路に沿って結合し、第1、及び、第2の画像部分のそれぞれの投影に関連する、第1、及び、第2の画像投影ユニットからの光ビームは、ユーザの眼に向かって伝播するように方向付けられ、網膜上に、第1、及び、第2の画像部分を有する空間的に結合された画像を、投影するように構成され、また、動作できるアイ・プロジェクション光学モジュールを有している。
一部の実施形態では、第2の画像投影ユニットは、第1の画像投影ユニットによって投影された第1の画像部分の角度範囲よりも大きい角度範囲で第2の画像部分を投影するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、第1の画像投影ユニットは、網膜の第1の、中央、領域上に、第1の画像部分を投影し、第1の領域が網膜の中心窩領域を覆い、また、第2の領域が、前記中心窩領域を囲む網膜の傍中心窩領域の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい。
第1、及び、第2の投影ユニットは、さらに、網膜の中心窩領域上の比較的に高画像投影品質の画像部分、及び、網膜の周辺領域上の比較的低画像投影品質の画像部分の投影を可能にするように構成さて、また、動作できてもよい。画像投影品質は、画像投影の角度分解能、及び、色深度のうちの少なくとも1つに関連付けられてもよい。
一部の実施形態によれば、第1、及び、第2の画像投影ユニットの少なくとも一方は、網膜上の画像符号化光ビームを走査することによって画像を投影するように構成され、また、動作できる走査ベースの画像投影ユニットであってもよい。
いくつかの実施形態によれば、システムは、さらに、眼の視線方向の変化を検出するように構成され、また、動作できるアイ追跡モジュールに関連付けられた制御ユニットを有し、また、前記アイ・プロジェクション光学モジュールは、前記眼に向かう前記画像投影の一般的な光路を調整するように構成され、また、動作できる軌道モジュールを有し、また、前記制御ユニットは、検出された視線方向の変化に応じて、前記軌道モジュールを動作させるように構成されている。
アイ追跡モジュールは、システムに関する眼の瞳孔の横方向の位置の変化を検出するように構成され、また、動作でき、また、前記制御ユニットは、瞳孔の前記横方向の位置の検出された変化に応じて、前記軌道モジュールを動作させるように適合される。
制御ユニットは、前記検出された変化を補償するために前記軌道モジュールを動作させるように構成され、また、動作でき、それによって、網膜上の一定の位置に投影された結合された画像を維持するように動作できる。
いくつかの実施形態によれば、前記アイ・プロジェクション光学モジュールは、前記光フィールドの断面が前記ユーザの瞳孔よりも小さくなるように(例えば、全幅の半分最大で、又は、25%強度で)、前記入射光を、前記瞳孔を介通って前記ユーザの眼、及び、前記網膜に方向付けるように構成される。これにより、ユーザの瞳に対してより小さい直径を有するアイボックスが提供される。アイ・プロジェクション光学モジュールは、アイ追跡モジュールから取得されたユーザの瞳孔の注視位置のデータに応じて、アイボックスの位置、及び、角度の少なくとも1つを変化させ、それによって、射出瞳を、ユーザの眼の光軸と整列させるように構成されてもよい。
さらに別の実施形態によれば、システムは、また、ユーザの眼に投影されるべき結合された画像の内容を示す画像データを取得し、また、第1、及び、第2の画像部分が、単一、及び/又は、第1、及び、第2の画像投影ユニットによって、中央、及び、周辺に投影できる相補的な画像部分であるように、前記画像データを、少なくとも前記第1、及び、第2の画像部分にセグメント化し、これにより、網膜上に結合された画像投影を投影するように構成され、また、動作できる制御ユニットを有してもよい。
光投影モジュールは、第1の画像投影ユニットによって生成され、また、第1の画像部分の投影に関連する第1の光フィールドが、前記光投影モジュールの光軸に垂直な平面の中心領域に沿って伝播し、また、第2の投影ユニットによって生成された第2の光フィールドが、前記中央領域に関する前記平面の周辺領域で伝播するように、第1、及び、第2の画像投影ユニットの画像投影を結合するように構成された光結合/多重化要素を有してもよい。
この目的のために、第1、及び、第2の光フィールドは、それぞれ、高画像投影品質、及び、より低画像投影品質で投影され、第2の投影ユニットは、画像投影をドーナツ状視野に提供し、それによって、画像投影を傍中心窩領域に提供するように構成される。
追加的に、又は、代替的に、前記第1、及び、第2の光フィールドは、前記中央領域と前記周辺領域との間の境界領域で重なることができ、それによって、前記境界領域における前記第1、及び、第2の画像部分の重複部分の投影を提供する。第1、及び、第2の画像部分は、第1、及び、第2の画像投影ユニットによって投影される重複部分が、類似の画像内容に対応するように、位置合わせされてもよい。
一部の実施形態によれば、システムは、ヘッドマウントディスプレイユニットで使用するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態によれば、システムは、仮想、又は、拡張現実体験を提供するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、アイ・プロジェクション光学モジュールは、周囲の周囲光を遮断しながら、第1、及び、第2の投影ユニットによって投影された画像をユーザの眼に方向付けるように構成できる。
いくつかの実施形態では、アイ・プロジェクション光学モジュールは、周囲の周囲光の透過を可能にしながら、第1、及び、第2の投影ユニットによって投影された画像をユーザの眼に方向付け、それによって、透明なディスプレイを提供するように構成されてもよい。
上述したように、従来技術では、新規なアイ・プロジェクション・システムの構成が必要とされている。本発明のいくつかの実施形態による、画像をユーザの眼に投影するためのアイ・プロジェクション・システム100、及び、方法250を、概略的に示す図1A、及び、図1Bを参照する。アイ・プロジェクション・システム100は、画像を生成し、生成された画像をユーザの目10に投影するように構成されている。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態によれば、アイ・プロジェクション・システム100は、ユーザの眼の網膜上に直接画像を投影するように構成された網膜投影システムとして構成され、また、動作できる。アイ・プロジェクション・システムは、網膜上の画像を投影するように適合され、網膜の中心窩、及び、周辺領域に降り注ぐ(投影される)画像の一部(例えば、ここでは、第1、及び、第2の画像部分と呼ぶ)は、異なる空間解像度(異なるピクセル密度)、及び/又は、異なる時間分解能(異なるフレームレート)で網膜上のそれぞれの位置に投影されてもよい。
簡単のために、単一の眼に画像を投影するためのアイ・プロジェクション・システムの構成要素をこの図に示すが、一般的に、画像投影システムは、右眼画像と左眼画像との間の特定の相違を許容しながら、三次元体験を提供する一方で、ユーザの両眼に画像を投影するように構成してもよいことを理解すべきである。この目的のために、システムは、ユーザの両眼に投影するために図示された構成要素の一部、又は、全部を重複して有してもよい。
したがって、図1Aに示すように、本発明のいくつかの実施形態によれば、網膜像投影に用いられるアイ・プロジェクション・システムは、以下を有する。
(i)眼10の網膜の中心窩、及び、周辺領域にそれぞれ投影される画像の第1、及び、第2の部分にそれぞれ対応する少なくとも第1、及び、第2の画像部分を投影するように構成されて動作可能な画像投影モジュール11、
(ii)画像投影モジュール11に光学的に結合され、それによって投影された少なくとも第1、及び、第2の画像部分を取得し、また、少なくとも第1、及び、第2の画像部分の投影を結合(多重化)して、ユーザの眼10の網膜に向かって方向付けられた一般的な共通光路に沿って伝播するように出力される結合された画像投影を生成するように構成され、また、動作できる光多重化モジュール125。
この目的のために、図4A〜図4G、及び、図5A〜図5Bを参照して、特に、記述されるように、本発明の様々な実施形態において、光多重化モジュール125は、眼10の網膜上に投影される結合された画像を生成するために、第1、及び、第2の画像部分の投影を結合するために、空間的な、及び/又は、時間的な多重化を実施するように構成され、また、動作できてもよい。このように、光多重化モジュール125は、結合された投影/画像の横方向の範囲が、結合された投影/画像における第2の(周辺の)画像部分の横方向の範囲と同じようになるように、空間的な、及び、時間的な多重化のうちの少なくとも1つにおいて、第1、及び、第2の画像部分を結合するように構成され、また、動作できる。例えば、第2/周辺の画像部分は、結合された画像の横方向の全範囲に広がっていてもよい一方、結合された画像投影の中央領域/部分に広がっていても、いなくてもよく、また、場合によっては、結合された画像投影のフレーム領域に広がるようにのみ投影されてもよい。さらに、光多重化モジュール125は、結合された画像投影における第1の画像部分の横方向の範囲が、結合された投影の横方向の範囲よりも小さく、また、結合された投影の横方向の範囲内で、第1、及び、第2の画像部分を多重化するように構成され、また、動作できる。したがって、結合された投影(結合された画像)を眼の網膜に向かって方向付けると、結合された画像は、第1(中心窩)の画像部分の投影が、眼10の網膜の中心窩領域を覆い、また、第2の画像部分の投影が、眼10の網膜の少なくとも周辺領域を覆うように、方向付けられてもよい。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システム100(すなわち、画像投影モジュール11、及び/又は、光多重化モジュール125)は、結合された画像/投影においてそれぞれ高い空間画素密度、及び、より低い空間画素密度を有するように、第1、及び、第2の画像部分を生成し、及び/又は、結合するように構成され、また、動作できる。これにより、結合された画像/投影の第1、及び、第2の画像部分が、それぞれ、投影される網膜のそれぞれの中心窩、及び、周辺領域のより高い、及び、より低い空間解像度に、それぞれ、対応するように、結合された投影は、最適化される。
この目的のために、光多重化モジュール125は、結像光学系を有する結像多重化モジュールであり、また、少なくとも第1、及び、第2の画像部分を結合し、その結合された画像を形成するように適合されていることを理解すべきである。これは、多重化ビームにわたって画像内容を維持するための要件がない場合がある非結像光ビーム多重化モジュール/技術(例えば、時には、光通信で使用される)とは異なる。より具体的には、結像多重化モジュールは、2つの、第1、及び、第2の画像部分の「投影ビーム」を、(時間的に、又は、空間的に)多重化し、結合する一方、これらのビームによって投影された画像部分を実質的に損なわない/変化させないように、このビームに渡る光の強度プロファイル/分布を実質的に損なうことなく(すなわち、保存する)ことで特徴付けられる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システム100(すなわち、画像投影モジュール11、及び/又は、光多重化モジュール125)は、結合された画像/投影において、第1、及び、第2の画像部分が、それぞれ、より低い、及び、より高いフレームレートを有するように、第1、及び、第2の画像部分を生成し、及び/又は、合成するように構成され、また、動作できる。これにより、合成された画像/投影は、眼の網膜の中心窩、及び、周辺領域のより低い、及び、より高い時間分解能に、それぞれ、対応するように最適化される。
システム100は、また、結合された画像/投影に対応する光をユーザの眼10に方向付け、ユーザの網膜12上に画像を形成するように構成され、また、動作できる光モジュール120を有してもよい。ユーザの眼10の網膜に画像の投影を方向付けるように構成された光モジュールの例は、場合によっては、視線方向、及び/又は、眼の横方向の位置を追跡して、画像投影を網膜上の所望の/適切な位置に方向付ける一方、例えば、本特許出願の譲受人に共譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる特許出願公開WO2017/132775号、及び、WO2017/037708号に開示されている。
このような光モジュールは、典型的に/選択的に、光リレー126を有してもよい一方、場合によっては、眼の相対的な位置(横方向の位置)、及び、眼の相対的な視線方向(目の視界方向の線)の変化を追跡するために、アイ・プロジェクション・システム100に対する眼の視線、及び、位置は変化/変更する一方、投影された画像(本例では結合された画像投影)が、網膜上の正しい位置に降り注ぐように、アイ・プロジェクション・システム100に対して、画像投影の一般的な光路を方向付け/調整するための1つ以上の調節可能なデフレクターを有している。この目的のために、光モジュール120は、眼の視線、及び/又は、横方向の位置を監視し、また、それに応じて対応する調整可能なデフレクターを操作するためのアイ追跡システム/モジュール(上述のPCT特許公開公報に記載されている)を有してもよい。
光リレー126は、一般的に、結像光学系リレーであり、入力ポート/瞳孔で入力された画像をリレーして、異なる位置(例えば、出力瞳/ポート)で出力する一方、ある光学的拡大率で出力する。光リレーは、いかなる正味の焦点パワーを有していなくてもよく、したがって、それによって中継される光への焦点に影響を及ぼさないように構成され、かつ動作可能であるが、倍率に影響を及ぼす可能性がある。これに関連して、光リレー126は、結像光学系リレー(非結像系(ビーム)リレーとは反対)であり、それによって中継されたビーム間の画像情報を保存するように構成されていることを理解すべきである。
本発明の様々な実施形態では、光リレー126が使用される本発明の様々な実施形態では、光合波モジュール125は、光リレー126の上流側に配置されてもよく(例えば、図4B参照)、光リレー126の下流側に配置されてもよく(例えば、図4E参照)、及び/又は、光リレー126自体と一体化されてもよい(例えば、図4C、及び、図5B参照)。
システム100は、一般的に、少なくとも1つの制御ユニット200を有し、又は、接続されてもよい。制御ユニット200は、典型的には、眼10に投影される入力ビデオ、及び/又は、画像データを取得し、また、入力ビデオ、及び/又は、画像データを処理して、場合によっては、異なる解像度、及び/又は、異なるフレームレートで、眼の網膜の中心窩、及び、周辺領域に伝送される第1、及び、第2の画像部分の画像データをレンダリングするように構成される。そして、制御ユニット200は、順次、所望の解像度、及び、フレームレートで、第1、及び、第2の画像部分を生成し、また、投影し、それらが、空間的に、及び/又は、時間的に多重化/結合されて、結合された画像投影を形成し、網膜上に投影される光モジュール120に光学的に伝播する画像投影モジュール11の第1、及び、第2の画像部分を提供し/通信する。
この目的のために、画像データを処理し、少なくとも第1、及び、第2の画像部分をレンダリングすることは、上述の処理方法250を実行することを有してもよい。制御ユニット200は、ユーザの眼に投影されるべき「投影画像フレーム」(ここでは、結合された画像とも呼ばれる)の内容を示す画像データを取得するための処理251を実行するように構成され、また、動作できてもよい。「投影画像フレーム」は、ある期間にわたって網膜上に繰り返し投影されるべき静止画像であってもよく、及び/又は、網膜上に投影される1連のビデオ画像の一部であるビデオフレームであってもよい。画像データは、例えば、網膜上に投影されるべき画像のコンテンツ、及び、レイアウトを有してもよい(ここで、コンテンツは、網膜上に同時に投影されるべき1つ以上の画像の情報であってもよく、また、レイアウトは、これら1つ以上の画像の投影の配置/レイアウトに関する情報を有してもよい)。レイアウトデータは、例えば、網膜上の画像の横方向の位置を示す横方向の位置決めデータ、例えば、眼のLOSと像平面との間の交点を表す画像中のアンカー点に関するデータ)を有してもよい。
制御ユニット200は、画像データを処理して、網膜上に投影されるべき結合された光フィールド(画像内容)を示す「投影画像フレーム」を決定/生成するための任意の選択的処理252を実行するように適合されてもよい。例えば、いくつかの場合において、「投影画像フレーム」は、画像データに含まれる複数の画像を、レイアウトデータに従ってフレーム内に配置しながら、連結することによって形成される。
選択的処理253において、制御ユニットは、眼の光軸(LOS)に対して「投影画像フレーム」を位置決めするための位置決め動作を実行する。言い換えれば、「投影画像フレーム」の位置合わせされた位置を示す位置決め/位置合わせデータは、眼のLOSに対して相対的である(例えば、位置決め/位置合わせデータは、眼のLOS軸によって交差されるべき「投影画像フレーム」内の点を示してもよい)。
処理254では、制御ユニット200は、「投影画像フレーム」を1つ以上のセグメント(少なくとも第1、及び、第2の画像部分)にセグメント化し、それは、網膜の中心(中心窩)領域上に、及び、網膜の周辺(傍中心窩)領域に、それぞれ投影される。したがって、処理254において、制御ユニット200は、処理253で取得された位置決め/位置合わせデータを利用して、「投影画像フレーム」をセグメント化し、画像の各セグメントが降り注ぐ網膜上の位置を決定し、また、それによって、「投影画像フレーム」において、網膜上の中心窩、及び、傍中心窩領域に、それぞれ、降り注ぐ第1の画像部分と第2の画像部分との間の境界を決定する。
このため、第1の画像部分には、第1の網膜領域上にある部分が分割され、第2の画像部分には、窩網膜領域上にある部分が分割されている。
したがって、制御ユニット200は、「投影画像フレーム」を、網膜の中心窩、及び、傍中心窩領域に、それぞれ、投影される少なくとも2つの画像部分にセグメント化する。
この点に関し、このようなセグメント化を実行するために、制御ユニットは、画像投影モジュール11の投影パラメータを示し、また、第1、及び、第2の画像部分を投影する際の光モジュールの光学パラメータを示す投影ユニット構成データを利用することができることに留意すべきである。
例えば、2つの(第1、及び、第2の)画像投影ユニット130、140、及び、投影された画像部分を連結するための空間画像多重化部125.1を有する実施形態(図4A〜図4Eの実施形態を参照)では、第1、及び、第2の画像投影ユニット130、140、及び/又は、それらの以下の拡大光学系(例えば、それぞれ、主/拡大リレーモジュール122a、及び、122b)の開口数(NAs)を考慮/処理して、各投影ユニットによって覆われている網膜の領域上のデータ、及び、それらの角度範囲を決定してもよい。これにより、制御ユニット200は、画像投影ユニット130、140の間で「投影画像フレーム」を適切にセグメント化し、また、分割できる。
代替的に、又は、追加的に、第1、及び、第2の画像部分のシーケンス(例えば、インターリーブ/インターレース・シーケンス)を投影する単一の画像投影ユニット130、及び、第1、及び、第2の画像部分が、それぞれ、投影される時間に、異なる光学的拡大率を、時間的に、適用する時間的画像多重化部125.2を有する実施形態(図5A、図5Bの実施形態を参照)では、単一の画像投影ユニット130、及び/又は、第1、及び、第2の画像部分の各々の投影にそれぞれ適用される異なる光学的拡大率の開口数は、第1、及び、第2の画像部分の各々の投影によって覆われる網膜の領域上のデータ、及び、それらの角度範囲を決定するために考慮される。これにより、制御ユニット200は、「投影画像フレーム」を第1、及び、第2の画像部分に適切にセグメント化し、また、分割できる。
処理225において、制御部200は、画像投影部130、140、それぞれによって投影される第1、及び、第2の画像部のレンダリングを実行する。制御ユニット200は、投影ユニット構成データを利用し、それは、画像投影モジュール11(すなわち、ユニット130、及び/又は、140)によって提供される角度分解能、及び、色深度のような投影パラメータを示してもよく、それに応じて、それぞれの第1、及び、第2の画像部分をレンダリングしてもよい。これに関連して、上述したように、網膜の中心窩領域への画像の投影のために構成された第1の画像投影ユニット130は、網膜の傍中心窩領域への画像の投影のために構成された第2の画像投影ユニット140によって提供される角分解能(DPI)、及び/又は、色深度よりも、より高い角度分解能(より高いDPI)、及び/又は、改善された色深度で、網膜上に画像を投影するように構成されてもよい。代替的に、又は、追加的に、制御ユニット200は、第1、及び、第2の画像部分を異なる(例えば、それぞれより低い、より高い)フレームレートで投影するように、画像投影モジュール11を動作させるように適合されてもよい。
次に、処理256において、制御ユニットは、第1、及び、第2の画像部分を示すレンダリングデータを、画像投影モジュール11(例えば、図4A〜図4Eの実施形態では、第1、及び、第2の画像投影ユニット130、140のそれぞれ、及び/又は、図5A、及び、図5Bの実施形態では、単一の画像投影ユニット130)に、それによる投影のために、提供する。
これに関連して、本発明によるアイ・プロジェクション・システム100は、人間の眼の解剖学的構造の特徴を利用する。人間の眼の解剖学的構造を示す図2を参照する。人間の目の構造は一般に知られているので、ここでは詳細には説明しないが、(図1の)網膜12が光を集めて脳に伝達されるデータを生成する感光領域と言えることで十分である。網膜は、光強度(白黒ビジョン)、及び、波長(カラービジョン)に敏感な複数の光受容細胞を有している。より具体的には、網膜は、明度(光強度)に敏感な桿状細胞(rods)、及び、彩度(色、又は、波長)に敏感な錐状体細胞(cones)有している。網膜の中央の領域は、より大きな密度の錐状体細胞(波長感受性細胞)を有し、また、中心窩(図1の符号14)として知られている。
中心窩は、視野の中央、又は、注目の中心に位置するものの詳細な画像を提供できる。一般に、中心窩領域は、より高い空間周波数、又は、より高い解像度を提供し、おそらくより高い色感知力を提供する一方、傍中心窩領域は、低解像度画像認識(シーンの周辺にぼやけた表示を脳に提供する)、及び、おそらくより低い色感知力を提供する一方で、移動、急激な照明変化、及び、入力光フィールド内の勾配に敏感である。この目的のために、傍中心窩領域は、25〜30FPSと同等、又は、それよりも十分低いようなフレームレートに敏感でない中心窩領域よりも、低フレームレート(60FPSよりも低いフレームレート、及び、場合によっては、90FPSよりも低いフレームレートは、傍中心窩領域によって、点滅するように知覚される)に敏感である。したがって、画像投影モジュール(例えば、画像投影モジュールユニット130、及び/又は、140)は、網膜上に投影される結合された光フィールド(「投影画像フレーム」)の相補的な第1、及び、第2の部分の投影のために構成され、また、動作できる。網膜の中心窩領域に向けられる第1の画像部分は、高い画像投影品質で投影される、すなわち、高い角分解能、及び/又は、高い色深度を有するように、第1の画像部分をレンダリング/投影する一方で、より低いフレームレートで投影される第2の画像部分は、網膜の傍窩領域に方向付けられる。第2の画像部分は、より低い画像投影品質、すなわち、第1の画像部分と比較して、低減された角分解能、及び/又は、低減された色深度で投影される一方、おそらく、より高いフレームレートで投影され、傍中心窩領域による知覚される点滅が低減される。
これによって、網膜の解剖学的、及び、知覚的特性に適し、かつ、システムによって処理される必要のある画像データの量を低減する結合された画像投影が提供される。
この目的のために、本発明のいくつかの実施形態によれば、画像投影システムは、投影面(すなわち、網膜のそれぞれの中心窩領域)上で、画像情報によって時間的に変調された光ビームを走査(ラスタ走査)することによって、画像が投影される走査画像投影構成によって構成される1つ以上の画像投影ユニット(例えば、130、及び/又は、140)を有してもよい。画像投影ユニット130、140のこのような走査画像投影構成は、画像投影システム11のコンパクトな寸法を有する高品質の画像投影を容易に実現する。
光学モジュール120は、画像投影システム11によって投影された第1、及び、第2の画像部分を結合/多重化し、また、それらの対応する光線を、方向付けて、ユーザの眼10の中に投影される画像を形成するように、構成されている。
この点に関して、本発明のいくつかの実施形態によれば、方法250のセグメント化処理254において、制御ユニット200は、「投影画像フレーム」を、それらの間の境界領域に沿って一部が重なる2つ(以上)のセグメント(第1、及び、第2の画像部分)にセグメント化することに留意すべきである。したがって、このような実施形態では、画像投影システム11は、これらの第1、及び、第2の画像部分をそれらの間の境界領域で重なるように、網膜上に、投影するように構成され、また、動作できる。これにより、境界上では、第1、及び、第2の画像部分ユニットによって、同じような画像情報が、重複して、また、それぞれ高い画像投影品質、及び、低い画像投影品質で、投影される。
光モジュール120(光多重化モジュール125)は、画像投影モジュール11によって生成された第1、及び、第2の画像部分を、それらの間の重なりが維持されるように、結合するように構成されてもよい。さらに、光モジュール120は、画像部分の間の境界が、ユーザの網膜における中心窩の解剖学的境界に、実質的に対応するように投影された画像部分を方向付けるように構成され、また、動作できてもよい。システムは、網膜上の中心窩画像の相対的な大きさ/角度広がり、及び/又は、網膜上のその境界位置を示す網膜設定/較正パラメータを有してもよい。網膜設定/較正パラメータは、網膜上の画像の第1の部分の投影の位置、及び、横方向の範囲を調整、及び/又は、適合するように(例えば、ユーザの特定の解剖学的特徴/パラメータを満たすように)、(例えば、事前較正を介して、及び/又は、ユーザの選択を介して)調整されてもよい。代替的に、又は、追加的に、網膜設定/較正パラメータは、ユーザの大部分の解剖学的構造に適合するように、予め調整されても/プリセットされても、及び/は、固定されてもよい。
様々な実施形態では、結合された画像/投影に投影される第1、及び、第2の画像部分との間の重なりは、網膜の中心窩領域上に投影された画像のより高い品質と、その傍中心窩領域上に投影される画像部分のより低い品質との間の滑らかで自然な遷移のユーザの知覚を容易にするために、および/または、ユーザ間の不正確さおよび解剖学的な変化を補償するために重要である
制御ユニット200は、また、眼10の方位、及び/又は、位置に関するアイ追跡データ(例えば、IL特許出願第241033号に開示されているようなアイ追跡モジュールから得られる)に応答してもよく、また、眼10の動きに応じて画像投影の光路を補正するために、画像投影の一般的な経路を変更するために、光モジュール120に適切なコマンドを提供してもよい。例えば、光モジュール120は、例えば、調節可能な視線追跡ビームデフレクター、及び/又は、調整可能な瞳孔位置ビームデフレクター(例えば、IL特許出願第241033号に記載されているように構成され、また、動作できてもよい)を有してもよい軌道モジュール124を有してもよい。制御ユニット200は、これらのデフレクターの1つ、又は、両方の位置を調整して、眼の視線方向(LOSの方向)に応じて画像投影の一般的な伝播経路を変更し、及び/又は、眼の光軸と光モジュール120の出力光軸との間の相対的な横方向の変位、及び/又は、相対的な角度の向きを変更するように、例えば、それらの間の固定された相対的な配向、及び/又は、変位を維持するように、構成され、また、動作できてもよい。実際に、固定され相対的な配向、及び、変位が、眼の光軸と光モジュール120の出力光軸との間に維持されるとき、画像投影モジュール11からの画像/画像部分は、網膜上の固定位置に投影される。
代替的に、又は、追加的に、いくつかの実施形態では、制御ユニット200は、投影された画像をシフト、及び/又は、ワープするために、画像投影モジュール11を操作する(例えば、図5A、図5Bの単一の画像投影ユニット130を操作し、及び/又は、図4A〜図4Eの第1、及び、第2の投影ユニット130、140の両方を協調的に操作する)ことによって、眼の光軸と光学モジュール120との間の相対的な配向、及び/又は、変位のいくつかの/わずかの変化/シフトを補償し、その結果、投影された光フィールド(結合された画像/投影)が、相対的な配向/変位の変化に対抗する方法で、シフト/ワープされるように構成され、また、動作できてもよい。例えば、小さい眼球運動を補償するためのこのような技術の使用は、図6を参照して、以下でより詳細に例示される。
このように、本発明によるアイ・プロジェクション・システムは、一般に、網膜の中心窩領域への分解能が増大した画像投影を提供するように構成される一方、比較的低い(例えば、通常の)解像度を有する画像投影を、中心窩の周囲の傍中心窩領域に提供するように構成されている。これにより、高解像度画像を実際に利用し、それを必要とするユーザの目の領域に高解像度画像を提供しながら、高解像度の画像に対する画像レンダリング/処理の複雑さを低減できる。
図3は、本発明のアイ・プロジェクション・システムによって生成された2部分画像を示す。完全な画像は、周辺画像データを提供し、一般的に注意の中心を取り囲む傍中心窩の/網膜の画像部分1400、及び、画像データの主要部を提供し、また、ユーザの注意の中心に対応する中心窩の画像部分1300を有する2つの画像部分(一般に少なくとも2つ、周辺画像部分は、いくつかの投影ユニットによって生成されるいくつかのサブ画像から構成されてもよいように)を有している。
中心窩の画像部分1300は、典型的には、傍中心窩の画像部分1400に対してより高い解像度であってもよい。中心窩の画像部分1300、及び、傍中心窩の画像部分1400の実際の画素数は、同一であっても、又は、より高くてもよい。画像解像度の差は、典型的には、各画像部分によって覆われる異なる領域(視野)に起因して提供されてもよい。具体的には、中心窩の画像部分は、一般的に、実際の中心窩の領域、又は、それより少し大きい領域で、網膜の周囲領域に対してはかなり小さい領域を覆うように投影されてもよい。図3に示されるような画像部分は、円形の視野を例示していることに留意されたい。しかし、一般的に、視野は、長方形、楕円形、又は、任意の他の形状にできる。投影された画像の中心窩領域1300は、中心窩の視野を覆うように、円形、又は、楕円形であることが好ましく、したがって、眼のこの領域の鮮明の視覚能力を最適化する。また、図3に例示されているのは、ユーザの瞳における中心窩1300、及び、傍中心窩1400の画像部分の角度範囲である。典型的には、中心窩の画像部分の角度範囲は、α1inであり、また、3°〜10°の間であり、好ましくは、約5°であってもよい。さらに、瞳入力における傍中心窩の画像部分の角度範囲α2inは、20°よりも大きくてもよく、また、典型的には約120°〜180°であってもよい。
図4A〜図4C、及び、図4Eを併せて参照すると、少なくとも第1、及び、第2の画像投影ユニット/モジュール130、140(以下、投影ユニットとも称する)を有するアイ・プロジェクション・システム100のいくつかの実施形態、その画像(中心窩、及び、周辺の画像部分)が空間的に多重化されているものが、示されている。第1、及び、第2の画像投影ユニット130、140は、少なくとも第1、及び、第2の画像部分に関する空間的に分離された投影のために構成され、また、動作できる。これらの実施形態では、光モジュール120の光多重化モジュール125は、第1、及び、第2の画像投影ユニット/モジュール130、140からの画像(第1、及び、第2の画像部分)を空間的に結合し、結合された画像を形成するように構成され、また、動作できる空間的多重化部125.1を有し、結合された画像は、(i)結合された画像の横方向の完全な範囲内の第1の画像投影モジュール130からの第1の画像部分(例えば、結合された投影/画像の中心を覆っており、また、結合された投影/画像の中心領域を通して広がっていない)、及び、(ii)より大きな横方向の範囲にわたって投影され、境界、したがって、結合された投影/画像の横方向の範囲を画定する第2の画像投影モジュール140、を有している。
言い換えると、光多重化モジュールは、第1の画像部分が結合された画像/投影の中央領域にあり、第2の画像部分が結合された投影/画像の中央領域を囲む環状領域にわたって横方向に延びるように、少なくとも第1、及び、第2の画像部分を空間的に結合する。したがって、合成された投影/画像において、第2の画像部分が第1の画像部分を枠にはめるように、第1の画像部分は、第2の画像部分よりも小さい横方向の広がりを有する。目に投影される際には、第2の画像部分は、網膜の周辺領域を覆うように方向付けられ、また、第1の画像部分は、網膜の中心窩領域を覆うように方向づけられる。
いくつかの実施形態によれば、第1の画像投影ユニット130から出力される(例えば、対応するから拡大リレーモジュール122aから出力される)第1の画像部分内の画素密度が、第2の画像投影部140から出力される(例えば、対応する拡大リレーモジュール122bから出力される)第2の画像部分の画素密度よりも高くなるように、第1の画像投影ユニット、及び、第2の画像投影ユニット130、140は、それらのそれぞれの開口数にしたがって(及び/又は、それらの対応する拡大リレーモジュール122a、122bの開口数にしたがって)、構成される。これにより、網膜の周辺領域に高解像度の画像部分を処理し、また、投影する必要性を除去する一方、網膜の中心窩領域は、高解像度の画像で投影される。例えば、画像投影モジュール130、140が同じような空間分解能を提供する場合であっても、画像投影モジュール140からの第2の画像部分は、より大きな領域上に延在する(例えば、網膜の周辺領域を覆うように構成される)ので、網膜上に投影されたとき、その画素密度は、網膜の中心窩(中央)領域のみを覆うように構成された第1の画像部分に比べて、小さくなる。
選択的に、一部の実施形態では、第1、及び、第2の画像投影モジュール130、140は、異なるフレームレートで、第1、及び、第2の画像部分を、それぞれ、投影するように構成され、また、動作できてもよい。例えば、網膜の周辺領域は、低いフレームレート(又は、点滅する画像)に対して非常に敏感であるため、第2の画像投影モジュール130は、より高いフレームレート(例えば、50FPSより大きく、より好ましくは60FPS以上、さらにより好ましくは少なくとも90FPS)で動作するように構成される一方、網膜の中心窩の割合は、低いフレームレート(又は、点滅する画像)に敏感ではないため、第1の画像投影モジュール130は、毎秒25〜30フレーム(FSP)の低いフレームレートで動作するように構成されてもよい。このことは、それぞれ、より低い、及び、より高いフレームレートで、それぞれの画像部分を投影するために、画像投影モジュール130、140の特定の構成によって達成されてもよい。
光モジュール120は、また、投影ユニットによって投影された画像に対応する光をユーザの眼10に向かって方向付け、ユーザの網膜12上に画像を形成するように構成されてもよい。この目的のために、光モジュール120は、光モジュールを通る光伝播の方向に関して、空間多重化モジュール125.1の前、後、及び/又は、一体化されて配置されてもよい光リレー126を有してもよい。これらの実施形態は、図4A〜図4Gを参照して、以下で、より詳細に示され、また、記述される。
上述したように、システムは、また、一般的に、少なくとも1つの制御ユニット200を有しても、又は、接続可能であってもよい。制御ユニット200は、典型的には、画像データをレンダリングし、第1、及び、第2の投影ユニット130、140によって投影される画像データを送信するように構成される。この目的のために、2つ以上の(第1、及び、第2の)投影ユニット130、140によって投影される画像データのレンダリングは、上述のような方法250の処理を実行することを有してもよい。
したがって、画像ユニット130、140は、網膜上に投影される結合された光フィールド(「投影画像フレーム」)の相補的な、第1、及び、第2の部分の投影のために構成され、また、動作できる。第1の画像投影ユニット130は、網膜の中心窩領域に方向付けられるべき第1の画像部分を、高い画像投影品質で投影できるように(すなわち、高い角分解能、及び/又は、高い色深度を有するように、第1の画像部分を、レンダリング/投影できるように)、構成され、また、動作できる。第2の画像投影ユニットは、より低い画像投影品質(すなわち、第1の画像部分のものと比較して、低減された角分解能、及び/又は、低減された色深度)で、(網膜の傍中心窩領域に方向付けられるべき)第2の画像部分を投影するように構成される。
例えば、画像投影ユニット130は、ピクセル当たりの立体角の約4分2以下である高い角分解能で投影画像フレームの特定の部分を投影するように構成され、また、動作できてもよい。画像投影ユニット140は、ピクセル当たりの立体角の約10分2以上である低い角分解能で、投影画像フレームのある部分を投影するように構成され、また、動作できてもよい。いくつかの実施形態では、画像投影ユニット130は、それぞれの画像部分を、RGB色内容(例えば、少なくとも8ビット(256色)以上(例えば、24ビット)の色深度)で、投影するように構成される。網膜の周囲に画像を投影するために利用される画像投影ユニット140は、そのそれぞれの画像部分を、より低い色深度(例えば、4ビットの色深度(16色))で、及び/又は、色情報無しで、又は、最小(例えば、グレースケール画像)で、投影するように構成されてもよい。
上述したように、画像投影ユニット130、及び/又は、140は、画像が、投影面上(すなわち、網膜の領域上)でのビームの走査に同期して、画像ピクセル情報で、時間的に、変調された光ビームの走査(例えば、ラスタ走査)を介して、投影される走査画像投影構成/モードで動作するように構成され、また、動作できてもよい。画像投影ユニット130、及び/又は、140のこのような走査画像投影構成は、画像投影システム11のコンパクトな大きさで、高品質の画像投影を実現することを容易にする。一部の実施形態では、両方の画像投影ユニット130、及び/又は、140は、走査画像投影ユニットとして構成される。代替的に、又は、追加的に、いくつかの実施形態では、画像投影ユニット140は、走査画像投影構成、及び/又は、例えば、網膜の傍中心窩領域上に、そのそれぞれの第2の画像部分を投影する空間光変調器(SLM)を用いる空間画像投影技術のいずれかで構成されてもよい。
図4B、図4C、及び、図4Eを参照すると、3つのアイ・プロジェクション・システム100が示され、そこでは、それぞれ、2つの投影ユニット130、140が含まれ、また、それぞれ異なる品質(解像度、及び/又は、色深度)、及び/又は、異なるフレームレートで、第1、及び、第2の画像部分を投影するように構成され、また、動作できる。これらの実施形態では、すべての実施形態において、光モジュールが、2つの投影ユニット130、140からの第1、及び、第2の画像部分を空間的に結合するように動作できる空間光多重化モジュール125.1として構成された光多重化モジュール125、及び、眼に向かって投影される適切な位置に、投影を、中継するための光リレーを有する光モジュール120の異なる具体的な構成を例示している。
空間光多重化モジュール125.1は、少なくとも1つのビーム結合器M(例えば、半透明デフレクター/ミラー、及び/又は、偏光デフレクター(例えば、投影ユニット130、140が、異なる光偏光の偏光された光を放射するように構成されている場合)、及び/又は、当該技術分野で知られている任意の他の適切なビーム結合器)、及び、おそらく1つ以上の追加のデフレクターを有し、各光路OP1、OP2に沿って、各投光部130、140から伝播する光を合成し、共通の光路GOPに沿って伝播する。一般に、ビーム結合器Mは、視野の断面の中央領域内で、第2の投影ユニット140からの光透過を遮断するように構成されてもよい。しかし、いくつかの構成では、ビーム結合器Mは、それを通って通過する光を部分的に透過させるように構成し、したがって、第2の投影ユニット140によって生成された光の少なくとも一部を、視野の中心で、通過させることを可能にしてもよい。いくつかのさらなる実施形態では、ビーム結合器Mは、中央領域で遮断し、また、その周辺で透過し、第1、及び、第2の投影ユニット130、140によって生成された画像の間の画像投影において滑らかに移行できるようにしてもよい。
図4Bの実施形態では、空間光多重化モジュール125.1は、システム100を通る光伝播方向に関して、光リレー126の後/上流に配置される。図4Eの実施形態では、空間光多重化モジュール125.1は、光伝播方向に関して、光リレー126の前に配置される。図4Cの実施形態では、空間光多重化モジュール125.1は、光リレー126と一体化されている。この場合、リレーモジュール126は、2つ(一般的に、少なくとも2つ)の入力ポート/レンズセットL1a、L1b、及び、単一の出力レンズセット/ポートL2、及び、光路OP1、及び、OP2との間の接合部のビーム結合器Mを有している。
上述したように、結合された投影では、第2(傍中心窩)の画像部分は、一般に、中心窩の画像部分をフレーム化するように、第1(中心窩)の画像部分よりも横方向に大きくすべきである。このため、本発明の一部の実施形態では、第2の画像投影ユニット140は、第1の画像投影ユニット130によって投影された第1の画像部分の角度範囲よりも大きい角度範囲(拡大率)で第2の画像部分を投影するように構成される。
しかしながら、図4Bに示されているように、それぞれの第1、及び、第2の投影ユニットの出力角度範囲α1max、及び、α2maxは、図3に示されるような、眼10の瞳孔/入口における、それぞれの中心窩、及び、傍中心窩の画像部分の所望の角度範囲α1in、及び、α2inを提供するように構成されても、いなくてもよい。したがって、一部の実施形態では、第2の画像投影ユニット140自体は、第2の画像部分を十分に大きな角度範囲で提供するように構成されていない。したがって、図4B、及び、図4Eに示すように、選択的に、光モジュール120は、投影ユニット134、140から、第1、及び、第2の画像部分のそれぞれの光路に沿って配置され、また、瞳孔入力において眼に入射する第1(中心窩)の画像部分の角度範囲α1inが、上述のように、3°〜10°(典型的には、約5°)であり、また、瞳孔入力において第2(傍中心窩)の画像部分の角度範囲α2inが、20°より大きい(典型的には、約120°〜180°)であってもよいように、それぞれの第1、及び、第2の画像部分上で処理し、それらの開口数を調整するように構成され、また、動作できる2つ拡大リレーモジュール122a、122bを有している。このために、拡大リレーモジュール122a、122bは、それぞれの投影ユニット130、140の開口数に応じて構成され、また、動作でき、それぞれの第1、及び、第2の画像部分の投影を拡大して、眼に入射する中心窩、及び、傍中心窩の画像部分の上記の角度範囲を得る。これに関連して、一般的に、拡大リレー122a、122bはオプションであり、画像投影ユニット130、140が、それら自身によって正しい開口数を提供するように構成されている場合には不要であることが理解されるべきである。さらに、各画像投影ユニット130、140から出力される第1、及び/又は、第2の画像部分が、適切に拡大されていない(適切な開口数を有しない)画像投影ユニット130、140においては、結合された画像の総合的な拡大が、また、第1、及び、第2の画像部分が、共通の一般的な光経路GOPに沿って空間的に、又は、時間的に結合された後に、実行されてもよいことから、拡大リレー122a、122bのそれぞれ、又は、両方は、各画像部分の適切な拡大率、より重要には、それらの間の比率を調整するために、システムに含められてもよい。
図4Eの実施形態では、空間光多重化モジュール125.1は、選択的な拡大リレー122a、122bの下流に配置され、他の光リレーからは上流に位置することに留意されたい。この場合、光リレーは、任意に適切に拡大され、また、空間光多重化装置125.1によって、互いに多重化/結合された後の第1、及び、第2の画像部分を取得し、また、それらが眼10に投影される所望の位置に、それらを中継する。このような実施形態では、第1、及び、第2の画像投影ユニットの両方の開口数が適切に設定されていない場合であっても、拡大リレー122a、122bの少なくとも1つは省略されてもよい。これは、このような場合であっても、システム100は、第1、及び、第2の画像部分の角度範囲の比を調整するための1つの拡大リレー122a、122bのみで構成されてもよく、また、共通リレー126は、結合された投影/画像を所望の角度範囲に拡大するように適合されてもよいからである。
対照的に、図4Bの実施形態では、光リレー126は、空間光多重化モジュール125.1の上流に配置され、拡大リレー122a、122bを有してもよく、又は、拡大リレー122a、122bによって構成されてもよい。この場合、拡大リレー122a、122bは、第1、及び、第2の画像部分を、光多重化装置に関して正しい位置/距離に中継し、そこで、それが結合され、また、そこから、それらが、共通のグローバル光路GOPに沿って、眼10に向かって伝播するように構成され、また、動作可能できてもよい。
したがって、図4B、及び、図4Eの両方の実施形態において、第1、及び、第2の投影ユニットは、選択的に、それによって提供される第1、及び、第2の画像部分のそれぞれの角度範囲、及び/又は、前記角度範囲の間の比を調整するために、対応する拡大リレーモジュール122a、122bに関連付けられてもよい。
図4Cの実施形態では、光リレー126自体は、それぞれの投影ユニット130、140から第1、及び、第2の画像部分を取得するための入力ポート/レンズセット(例えば、レンズ)と、結合された画像を出力するための出力ポート/レンズセットとに関連付けられている。この場合、光リレー126は、一般的な光路GOPに結合された2つの入力ポートから出力ポートに、光路OP1、OP2の各々に沿って、異なる光学拡大率を提供するように構成され、また、動作できてもよい。このような拡大率は、当該技術分野において一般に知られているように、光リレー126の入力の各々のレンズセットの焦点距離と、出力でのレンズセットの焦点距離との比に関連付けられている。したがって、この場合、異なる拡大率は、異なる光路に提供されてもよく、また、画像投影ユニットが、非適切な/整合な角度範囲で、第1、及び、第2の画像部分を提供する場合であっても、拡大リレー122a、122bの使用は、回避されてもよい。
図4B、図4C、及び、図4Eの例に示されるように、空間光多重化モジュール125.1は、典型的には、ビーム結合器M(当業者に理解され得る任意の適切なタイプのものであってもよい)、及び、場合によっては、例えば、各投影ユニット130、140からの個別光路OP1、及び/又は、OP2のうちの少なくとも1つを、第1、及び、第2の投影ユニット130、140によって生成された画像投影を結合するように構成されたビーム結合器Mに方向付けるように調整された1つ以上のデフレクターM1を有している。これに関して、結合される投影/画像を生成するために2つ以上の投影ユニットが使用される場合には、1つ以上のビーム結合器が、このような投影ユニットからの投影を結合するために、光路に、追加的に、含まれてもよく、また、各投影ユニットが光を透過し、投影された光の伝播方向に垂直な断面に沿った対応する領域で、画像部分(すなわち、光フィールド)を形成するように、並列に、又は、カスケードに、統合/結合されてもよい。
特に図4B、及び図4Eの例を参照すると、第1、及び、第2の投影ユニット130、140の各々は、画像、又は、図中、第1の投影ユニット130に関して、側端の光線R1a、R1bによって、また、第2の投影ユニット140に関して、側端の光線R2a、R2bによって、マークされた画像ストリームを示す光を出力する。
第1の投影ユニット130からの出力光は、リレーモジュール122aの入力レンズセットに移送され、また、軌道モジュール124に中継される。より具体的には、投影された画像上の異なる画素、又は、異なる点が、光伝播の対応する異なる角度と関連付けられるように、投影ユニットから、光線は、出力される。このようにして、側端の光線R1a、R1bは、投影された画像上の2つの端点に対応する。リレーユニット122aの第1のレンズセットL1aは、光を屈折させ、また、それを、軌道モジュール124上に入力光を最収束する第2のレンズセットL2aに向かって、方向付ける。リレーユニット122aの出力には、図に示されるように、1つ以上のビーム結合器M1、M2が配置される。ビーム結合器M1、M2は、第1の投光ユニットによって投光された光を、第2投光ユニット140によって投光された光の光路に、結合するように構成されている。同様に、リレーユニット122bは、典型的には、第1、及び、第2のレンズセットL2a、L2bを有し、また、第2の投光ユニット140からの光投影を、略同様の方法で、中継するように構成されている。代表的な光線R2a、R2bが、投影ユニット140の側端の光線を示している。一般的に、リレーユニット122a、122bは、適切に選択されたそのレンズセットの異なる光パワーで構成され、また、ビーム結合器M1、M2は、第1の投影ユニット130によって投影された画像が、画像投影の中心領域で、図3に示されるように、第2の投影ユニット140によって投影された画像の部分によって囲まれるより小さな領域をとるように配置される。さらに、一般的に、両方の中継ユニット122a、122b、及び、ビーム結合器M1、M2は、画像部分を結合し、共通の像平面(例えば、軌道ユニット124上の)を形成するように構成されることに留意すべきである。これは、確実に、ユーザの眼の共通の焦点合わせするためである。
なお、リレーユニット122a(ここでは詳細に説明しない122b、126のような他のリレーユニットと同様に)は、追加のレンズセットを有してもよく、また、簡略化のために2つのレンズセットのリレーユニット(2つのレンズリレー)として、ここでは、図示されていることに留意されたい。また、リレーユニットの光学パラメータは、一般的に知られているように、所望の解像度、及び、シャープネスで適切に画像化されて提供するように選択され、及び/又は、標準的な光学設計ツールによって決定され得ることにも留意されたい。
第1、及び、第2の投影ユニット130、140によって生成される投影された画像部分によって形成される合結合された画像投影は選択的に、軌道モジュール124に方向付けられる。軌道モジュール124は、例えば、眼球運動の追跡に応じて決定された一般的な光路で、その上に入射する光を方向付けるように、その向きを変えるように構成されている、1つ以上の移動光デフレクター/ミラー(例えば、視線追跡ビームデフレクター、及び/又は、上述の瞳孔位置ビームデフレクター)を有してもよい。軌跡モジュール124、及び、眼球追跡の技術は、任意の公知の構成であってもよく、上述したように、本出願の譲受人に譲渡されたIL特許出願第241033号に例示的な構成が記載されている。
図4Cは、リレーモジュール126内で、第1、及び、第2の投影ユニット130、140から投影された第1、及び、第2の画像部分を、結合するように構成された第1のリレーモジュール126のさらなる構成を示している。この場合、リレーモジュール126は、一般的に、テレセントリックリレーとして構成され、また、動作できるべきである。これは、この場合、リレーがテレセントリックでなければ、結合された画像は、第1の近似幾何学的収差よりも高次の光学収差を有するからである。
リレーモジュール122は、第1、及び、第2の投影ユニット130、140のための別個の入力/第1のレンズセットL1a、及び、L1bを利用する一方、共通の出力/第2のレンズセットL2を利用する。図示のように、第2の投影ユニット140からの出力は、レンズセットL1b、L2を通って、選択的な軌道モジュール124に中継される。レンズセットL1b、及び、L2の位置、及び、光パワーは、ユーザの周辺視野に関する所望の角分解能を提供するために、投影された光(側端の光線R2a、R2bによって例示される)の角分布を提供するように選択される。側端の光線R1a、R1bによって例示される第1の投影ユニット130の光出力は、発散光を、ビーム結合器Mに向かって伝播する平行光線のセットに、変換する入力レンズセットL1aによって収集される。ビーム結合器Mは、上述のように、単一の面(例えば、反射面)又は、複数の面を利用してもよく、又は、部分的な反射面(例えば、ビームスプリッター型)として構成されてもよい。
第1の投影ユニット130の出力光を方向付け、第2の投影ユニット140から出力される光の断面の中心に向けて伝搬させるように構成され、
結合された画像/投影は、レンズセットL2によって集光され、及び/又は、方向付けられ、順次、それを方向付ける選択的な軌道モジュール124に、眼10に向かう、適切な横、及び、角度方向で、方向付け/さらに伝播する。
なお、例えば、図4A、図4B、図4C、及び、図4Eのような、1つ(以上)のビーム結合器Mを利用するビーム結合技術は、第1の投影ユニット130による画像投影(中心窩画像)と第2の投影ユニット140による画像投影(傍中心窩)との間の一定の重複を提供するように構成してもよいことに留意すべきである。この目的のために、1つ以上のビーム結合器は、光の50%反射、及び、50%透過を提供するビーム分割面として、及び/又は、表面の周辺で高い透過(反射)、及び、表面の中央で高い反射(透過)を有する非均一ビーム結合器面として、構成されてもよい。このようにして、中心窩の画像と傍中心窩の画像との間の移行は、比較的滑らかにされる。また、グラフィック処理ユニット(GPU)は、典型的には、上述のような滑らかな移行を提供するように、異なる画像部分をレンダリングするように構成されても留意されたい。例えば、GPUは、画像部分の境界の画像輝度を調整し、画像結合に起因するはっきりとした勾配を回避する一方、画像をレンダリングするように構成されてもよい。
上述したように、ビーム結合器Mは、一般的に、反射/半反射素子(あるいは、偏光依存リフレクター/ミラー)である。従来、このようなビーム結合器Mは、反射/部分反射コーティングで一方の面にコーティングされた実質的に透明な材料(例えば、ガラス、又は、プラスチック、及び/又は、複屈折材料)の厚板で形成されている。従来のビーム結合器では、前面、及び、後面は、典型的には、互いに平行にされている。実際には、一次反射は、コーティングされた表面(例えば、ビーム結合器の後面)から得られるが、しかし、いくらかの量の反射(ここでは、ゴースト反射とも呼ばれる)は、ビーム結合器の他方(低/非反射)の表面から得られる。
本発明者らは、図4B、図4C、及び、図4Eに示すようなシステム100の特定の実施形態では、平行な前後面を有するビーム結合器Mを使用して、(ビーム結合器Mの主反射面からの)一次反射、及び、(ビーム結合器Mの低反射面からの)ゴースト反射の両方を、共通のグローバル光路GOPに沿って、そこからユーザの目に沿って伝播するように方向付けしてもよいことに留意されたい。主反射、及び、ゴースト反射は、互いに、ほぼ一致しないため、ゴースト反射は、ユーザに不快感をもたらし、及び/又は、網膜上の画像投影をぼやけさせる原因となる。
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、図1Dに自己説明的に示されているように、ビーム結合器Mは、平行ではなく、もう一方に対して傾斜している前面SM、及び、後面SGを有する一方向反射くさびデフレクターとして構成されるので、一次反射MFは、グローバル光路GOPに沿って伝播する一方、その少/非反射面SGからのゴースト反射GHSは、グローバル光路GOPの外側の方向に伝播し、また、ユーザの眼10に伝播し続けることがない。
実際、ビーム結合器Mのこのような実施は、図4A〜図4C、及び、図4Eのいずれの実施形態に用いてもよい。前面SMと背面SGとの間の傾斜角Ωは、グローバル光路GOPからのゴースト反射を除去するのに十分に大きく(例えば、典型的には、少なくとも3度の角度で)大きく、すなわち、第1、及び、第2の画像投影ユニットの一つから投影された光が、ウェッジ・デフレクターの前記面の一方から反射されて、光路に沿って伝播するのに十分に大きい一方、ウェッジ・デフレクターの前記面の他方から、光路の外側に向かって、反射されることにより、ゴースト反射がグローバル光路GOPに沿って伝播することが抑制されるように構成される。
しかし、ウェッジ型ビーム結合器Mは、ゴースト反射を抑制するために使用してもよいが、この構成は、システム100の全ての実装形態で実用的でないこともある。例えば、このようなウェッジ型ビーム結合器Mの使用は、システム100のコンパクトな、及び/又は、軽量な実装が望まれる場合には、あまり適しておらず、特に、ビーム結合器がシステム100の光路の下流側に位置し、光リレー126と一体化され、及び/又は、そこから後/下流に位置する図4B、及び、図4Cの実施形態に基づき実装される場合には、あまり適していないことを理解すべきである。これは、ビーム結合器Mが、さらに下流に配置されれば、より大きくなるからである(一般的に、像投影の横方向の範囲は拡大し、また、光路の下流に伝播するほど大きくなるので)。したがって、必要とされる相対的に大きな傾斜角Ωのために、図4B、及び、図4Cの実施形態においてウェッジ型ビーム結合器Mを実施することは、システム100のコンパクトな/軽量な実施には、あまり適しておらず、結果的に、大きく、分厚く、及び/又は、重いビーム結合器Mとなり得る。
しかしながら、第1、及び、第2の画像部分が、光リレー126の上流、及び、外側から組み合わされている図4Eの実施形態では、空間光多重化モジュール125.1のビーム結合器Mから下流に、光リレー126(すなわち、光リレー126で、画像投影の横方向の範囲が、典型的には、有意に広がる)が配置される。したがって、この場合、第1、及び、第2の画像部分の投影は、ビーム結合器Mを合流/交差するときに、比較的に狭いウエスト部を有するので、ビーム結合器は、比較的に、小さく/狭く、また、したがって、コンパクトな/軽量なシステムが求められるシナリオにおいても、小型のウェッジ・デフレクター・ビーム結合器が、ゴースト反射の抑制に用いられ得る。したがって、システム100のいくつかのコンパクトな/軽量な実施形態では、図4Eの実装は、特に、ゴースト反射の抑制に関して好ましい。
さらに、空間光多重化モジュール125.1が、光リレー126と一体化されている図4Cの実装では、第1、及び、第2の画像部分は、光リレー126内で、すなわち、その出口レンズセットL2、及び、その入口(第1の)レンズセットL1a、L1bとの間で統合されることに留意されたい。しかし、これは、光リレー126が、テレセントリック光リレーモジュールとして構成されることを必要とする。この目的のために、語句「テレセントリック」、及び/又は、「テレセントリック光システム/モジュール」は、当該技術分野におけるそれらの従来の意味で理解されるべきである。
しかしながら、図4Cの光リレー126のテレセントリック性は、テレセントリック性が必要とされる図4B、及び、図4Eの光リレー126と比較して、1つ以上の追加の光学素子/レンズを有する、より複雑な光学レンズセット(例えば、L1a、L1b、及び/又は、L2)は、緩和/不必要であり、及び/又は、結果として、より高い収差(例えば、球面収差、及び/又は、色収差の増大)をもたらすことを必要とする。このため、いくつかの目的に関しては、図4Cの実施形態は、より優れており、コストがかかり、コンパクトでなく、及び/又は、重くなり得る、より複雑な光学システム(より多くの要素)を必要とするので、その他の目的に関しては、適さないかもしれない。したがって、光学的リレーの複雑さ、コスト、サイズ、重量、光学収差、及び/又は、それらの組み合わせに関して、図4B、及び、図4Eの実施形態は、より優れた結果を、特に、システム100を使った消費者向け商品に関して、提供できるかもしれない。それでも、システム100のいくつかの専門的な実施のためには、図4Cの実施形態が、好ましいと理解されるべきである。
図4B、図4C、及び、図4Eにおいて、光学リレー126は、第1の(入口/入力)レンズセット(L1、L1a、L1b)、及び、第2の(出口/出力)レンズセット(L2、L2a、L2b)が、少なくとも1つの屈折(及び/又は、回折)レンズを有する屈折(例えば、及び/又は、おそらく、回折レンズセット)として実施される屈折、及び/又は、回折リレーとして、大まかに、示されていることに留意すべきである。実際に、光リレーから正味の光パワーが必要とされない、典型的な場合には、ペアの焦点距離の合計に一致する光路に沿った、入口、及び、出口レンズセットの各ペアの主光学面間の光学的距離で、第1、及び、第2の(出口/出力)レンズセット(L2、L2a、L2b)は、光路(OP1、OP2、及び/又は、GOP)に沿って配置される。
しかし、システム100の光リレー126は、必ずしも、屈折型、及び/又は、回折型の光リレーとして実装されていなくてもよいことを理解すべきである。実際、本発明のいくつかの実施形態では、光リレーは、入口、及び、出口のレンズセットの少なくとも一方が、少なくとも1つのミラーレンズ(例えば、所望の焦点距離を有する湾曲反射面)を有する反射型光リレーとして実装されてもよい。
反射型の光リレー126の使用は、以下のいずれかの点で有利であり得る。
(i)各レンズセット内の単一の光学素子を使用して、色収差が低減される(反射面は、一般的に、色収差を生じないため)。
(ii)屈折/回折レンズと比較して、反射面の重量が軽くなるため、重量が低減される。
(iii)第1、及び、第2のレンズセットの反射面を簡単に、また、コスト的に効果に製造できる。第1、及び、第2のレンズセットは、例えば、図4Fに示されるように、同じ基板/平面上で、一緒に、製造されてもよい。
(iv)例えば、図4Fに示すような折り畳み式光リレー構成を用いることにより、光リレー126をコンパクトな大きさにできる。
図4Fは、(例えば、図4B、図4C、及び、図4Eに示された屈折、及び/又は、回折型の光リレーの代わりに)本発明のシステム100に使用できる反射型の光リレー126を例示している。光リレー126は、それぞれの光パワー(光学的距離f1、f2)を有する第1、及び、第2の湾曲反射/鏡面S1、S2によって/とともに、それぞれ、実装される少なくとも第1の(入口)レンズセットL1、及び、第2の(出口)レンズセットL2を有する反射型リレーである。図示されているように、光リレーは、光中継器を通る光路GOPを規定するように配置された1つ以上デフレクター(ミラー)、例えば、M1、及び/又は、M2、及び、場合によっては1つ以上のビーム結合器(例えば、この例では、入口/入力、及び、出口/出力ビーム結合器内にあるIBC、及び、OBC)を、選択的に、有していてもよい。
光リレーが正味の光パワーを有しない実施形態では、選択的な1つ以上のデフレクター(ミラー)、及び/又は、ビーム結合器、例えば、M1、及び/又は、M2、及び/又は、IBC、及び/又は、OBC・及び/又は、レンズセットの反射/ミラーの面S1、S2は、屈折/回折リレーの場合と同様に、面S1、及び、面S2の間の光学的距離が、それらの焦点距離の合計(f1+f2)と一致するように、配置される。同様に、リレーの光学的拡大率は、f1/f2の比で与えられる。
図4Fの具体例では、反射型光リレー126は、折り返し反射型光リレーとして構成され、また、レンズセットL1、L2の第1、及び、第2の反射面S1、S2の間の物理的距離が、リレーを通った光路GOPに沿った光学距離よりも小さいことによって特徴付けられる。これは、光リレーのミラー、及び/又は、ビーム結合器の配置によって達成される。このような配置により、低減された色収差を有し、コンパクトで、軽量で、また、コスト効率の良い光リレーの構成が提供される。
さらに、図4Fの特定の例では、反射面S1、S2は、同一の基板上に作製できるように、共通の平面上に配置される。これにより、製造コストが低減され、より簡単に量産できる一方、この場合、製造後に互いに関する表面のそれぞれの位置合わせを必要とせずに、同一の手順によって、面S1、S2が、同一平面上に、一緒に、生成される。
第1、及び、第2の反射面S1、S2が共通の平面に沿って配置されているこの例では、それらの間の光路を規定する偏向面のセットは、それぞれ、第1の反射面S1から上流に、また、第2の反射面S2から下流に、光路に沿って位置し、リレー126の入力、及び、出力光ポートを、それぞれ、規定する第1、及び、第2のビームスプリッタ/コンバイナIBC、OBC、及び、第1の反射面S1と第2の反射面S2との間に所望の光学的距離で光路GOPを規定する調整されている1つ以上のデフレクター、例えば、M1、及び、M2を有している。
図4Fの反射型光リレーは、そこに図示されている屈折型、又は、回折型リレーの代わりに、反射型光リレーを用いる図4Eの実施形態に適合するように設計されていることに留意されたい。図4Gは、図4Bの実施形態に適合するように設計された反射型光リレーを、自己説明的に、例示する。図4Gのリレーでは、リレー126は、は、図4Fに示されたリレーとほぼ同様に構成される2つの別個のリレー122a、122bを有し、それによって、リレー122a、122bの各々は、光路OP1、OP2に沿って、それぞれ、伝搬する第1、及び、第2の画像オプションのうちの異なる1つの上で動作する。第1、及び、第2の画像部分は、図4Bに示されるように、リレー126の後に結合される。特に図示されていないが、本発明を知る当業者によって容易に理解されるが、反射型リレーは、光経路OP1、OP2を共通経路GOPに結合するビーム結合器Mが、光リレー126と一体化されている図4Cの実施形態のシステム100のためにも設計され得ることが理解されるべきである。
本システムの様々な実施形態では、屈折回折素子と反射光学素子の組み合わせも、光リレー126に含まれてもよい。回折素子が使用される場合、そのような素子は、好ましくは、投影モジュール11によって(例えば、レーザー、又は、それに関するLED発光モジュールによって)放射される波長の少なくとも個別の数に対して、同様の光パワー(光学的長さ)を提供するように同調されるべきである。これらは、典型的には、少なくとも3つの特定の波長R、G、及び、B(赤、緑及び、青)を有している。このような多色回折素子は、当該技術分野では容易に知られている。
上述したように、図4a〜図4Gは、ユーザの眼の網膜上に合成の/結合された画像を投影するための空間多重化を利用する本発明の技術のいくつかの非限定的な実例/実施形態を例示し、それにより、各結合された/合成の画像投影は、合成された画像が網膜上に投影されるときに、網膜の中心窩領域上に、より高い空間分解能(より高いDPI)、及び/又は、場合によっては、より低いフレームレートで、投影され、また、投影された画像の第2の部分は、網膜の周辺領域上に、より低い空間分解能(より低いDPI)、及び/又は、より高いフレームレートで、投影されるように、結合され、投影された画像に調整された第1の部分を有している。
これらの実施形態では、2つ(以上)の画像投影ユニット130、140は、第1、及び、第2の画像部分を、それぞれの光路OP1、OP2に沿って、投影することに用いられ、また、空間光多重化モジュールは、第1、及び、第2の画像部分の投影経路OP1、OP2を結合し、第1の画像部分は、結合される画像投影の横方向断面のある中央の/の中心領域にわたって投影されるように、及び/又は、第2の画像部分は、第1の画像部分よりも大きな横方向範囲で投影され、また、第1の画像投影の横方向の範囲を越えてフレーム化し/包囲し/延在するように、結合された画像投影の横方向断面に配置されるように、システムの共通のグローバル光路GOPに沿って伝播する結合された画像を形成すること用いられる。
第1、及び、第2の画像部分は、第1、及び、第2の投影ユニットによって同時に投影されてもよいし、同時に投影されなくてもよい(例えば、投影ユニットが同じフレームレートで動作するか、及び/又は、互いに同期して動作するか否かに応じて)。また、第1、及び、第2の画像部分は、眼に投影されるべきビデオのビデオフレームの一部であってもよく、システム100(例えば、制御ユニット)は、上述のように、結合された/合成の画像として、それぞれに含まれる一連のビデオフレームの連続的な投影によってビデオを投影するように構成されてもよい。すなわち、ビデオフレームの各々、又は、少なくともいくつかは、それぞれの中心窩、及び、傍中心窩/周辺の(第2の)領域に分割され、また、それぞれの画像投影ユニットによって投影される。ここで、本発明の2つの実施形態によるシステム100を示す図5A、及び、図5Bを参照すると、そこには、時間光多重化装置125.2である光多重化装置が、眼の網膜のそれぞれの中心窩、及び、傍中心窩の領域に投影されるべき各画像フレームの第1、及び、第2の画像部分を投影することに用いられる。これらの実施形態では、画像投影モジュール11は、一度に第1、及び、第2の画像部分の時間的シーケンスを各画像部分に投影するように構成され、また、動作できる単一の画像投影ユニット130のみを有してもよい。このシステムは、第1、及び、第2の画像部分が連続的に投影される単一の/グローバル光路GPOのみを有している。一般に、第1、及び、第2の画像部分は、単一の画像投影ユニット130の類似の角度範囲αmaxで、又は、(光伝搬の方向に関して)単一の画像投影ユニット130から下流のグローバル光経路GOPに沿って、投影されてもよい。光モジュール120は、単一の画像投影ユニットからの光伝播の方向に関して、前記単一の画像投影ユニットの下流に配置され、調整可能な倍率拡大率で構成されたアダプティブ拡大光リレーモジュール126を有する光多重化モジュールを有している。アダプティブ拡大光リレー260は、第1、及び、第2の画像部分を、第1、及び、第2お画像投影が、眼10に到達する際に、そのそれぞれの投影に関して、異なるそれぞれの角度範囲α1in、α2inをもたらす異なる拡大率で、時間的に多重化するように動作する時間多重化モジュールを有している。この目的ために、1つの画像投影ユニット130は、第1、及び、第2の画像部分が網膜上に投影され、網膜上のそれぞれの中心窩領域、及び、傍中心窩領域に、滑らかに(ちらつき感なしに)捕捉されるべきであるフレームレートFR1、FR2、と等しいか、又は、それよりも大きい一定の総合フレームレート(TRF)で、投影画像を投影するように構成され、また、動作できる。例えば、第1の画像部分を中心窩上に投影するためのフレームレートFR1は、少なくとも毎秒25フレーム(FPS)、典型的には、少なくとも30FPSが好ましく、また、傍中心窩領域上に投影されるに第2の画像部分を投影するためのフレームレートFR2は、少なくとも60FPS、典型的には、少なくとも90FPSが好ましい。制御部200は、総合フレームレートTRFの第1の部分FR1で投影された第1の画像部分と、総合フレームレートの第2の部分FR2で投影された第2の画像部分とを含む一連のフレームを投影する単一の投影ユニット130を動作させる。
本発明のこれらの実施形態で用いられるアダプティブ拡大光学リレー260は、光路GOPに沿った第1、及び、第2の画像部分の画像投影に、制御可能な様々な拡大率を導入する。アダプティブ拡大光リレー260は、それぞれの第1、及び、第2の画像部分の投影に関するフレームレートFR1、FR2の少なくとも小さいものと同等の最小レートMVR(以下、拡大変動率ともいう)、MVR≧Min{FR1、FR2}、典型的にはFR1>FR2なので、典型的にはMVR≧FR1で、少なくともその拡大率を変更するように、構成され、また、動作でき、また、時間的に、連続的に、動作させることができる。したがって、アダプティブ拡大光学リレーの拡大変動率MVRは、典型的には、少なくとも25FPSに一致する。制御ユニットは、単一の画像投影ユニット130による第1、及び、第2の画像部分の投影のタイミングが、光リレーによって提供される第1、及び、第2の拡大率に同期されるように、アダプティブ拡大光リレーモジュール126、及び、単一の画像投影ユニット130が、それらの間で時間同期で動作させるように構成され、また、動作できる。したがって、異なる第1、及び、第2の拡大率は、第1、及び、第2の画像部分のそれぞれの投影に影響を受ける。これにより、第1、及び、第2の画像部分の時間多重化され、結合された投影は、前記第1の画像部分よりも大きな角度範囲を有する第2の画像部分とともに、リレー126から出力される。
図5Bの実施形態をより具体的に説明すると、アダプティブ拡大光中継モジュール126は、光路GOPに沿って配置された少なくとも第1、及び、第2のレンズ・グループ/レンズセットGP1、GP2を、有している。一般に、第1、及び、第2のレンズ・グループのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの状態(例えば、そのそれぞれの有効主面が、面PP11、及び、面PP12との間で、対応して変化する一方、グループGP1の焦点距離が、f=f11、及び、f=f12の間で、変化する場合)の間で調整可能なその有効な主光学面のその焦点距離f、及び、位置を有するアダプティブ・グループGP1、GP2である。第2のグループは、例えば、固定された焦点距離f2、または、それがまたアダプティブである場合には、様々な焦点距離を有してもよい。この目的ために、2つの焦点状態f11、f12の間でアダプティブ・グループ(この例ではGP1)を変更する場合は、アダプティブ拡大光リレー126は、M1=f11/f2、及び、M2=f12/f2であるような2つの状態における焦点距離GP1、GP2の比である異なるそれぞれの拡大率M1、M2を提供する。
本実施例に示されるように、リレー126が光パワーを有さないいくつかの実施例では、第1、及び、第2のグループGP1、GP2は、リレーの各拡大状態において、グループGP1、GP2の有効主光学面間の光学距離が、それぞれの拡大状態における焦点距離の和に等しくなるように、配置される。図に示すように、第1の拡大状態における、第2のグループGP2の主光学面PP2、及び、第1のグループの主光学面PP1の間の距離は、f11+f2の状態で、第1のグループと第2のグループとの焦点距離の和に等しく、この状態でリレーによる正味の光パワーはない。したがって、第2の倍率状態での各グループGP1、GP2の有効な主光学面PP11、PP2の間の光学距離は、第2の拡大状態でのそれらの焦点距離の和f12+f2に等しい。
これに関連して、ある光パワーが、リレー126によって提供されるべき実装では、グループ、又は、それらの光学素子の間の距離は、異なるように調整されてもよいことを理解すべきである。
各アダプティブ・グループ(この場合では、GP1のみ)は、一般的に、変更可能な拡大率を提供するズームレンズセットの機能を提供することに留意されたい。しかしながら、従来の機械的ズームレンズは、典型的には、一般的に、少なくとも25FPSであるべきアダプティブ拡大光リレーの要求される拡大変動率MVRで、異なる拡大状態の間で、一般的には、作動させることができない。
この目的のために、本発明の特定の実施形態によれば、光リレーは、拡大率を変更するために必要な機械的な運動、又は、可動部品を必要とせずに、様々な拡大率が、電気的に制御されるように構成され、また、動作できる。
この目的のために、本発明のいくつかの実施形態によれば、アダプティブ・グループ(この例では、GP1)は、それぞれがいくつかの動作モードの間で切り替え可能なそれぞれの有効焦点距離(本実施例では、L1aの焦点距離は、f11と無限との間で切り替え可能であり、また、L1bの焦点距離は、f12と無限との間で切り替え可能である)を有する少なくとも2つの(第1、及び、第2の)適応レンズ/レンズセット(本実施例では、L1a、L1b)を有している。典型的には、各適応レンズ/レンズセットは、それぞれの有効な主光学面が、光路GOPに沿った異なる位置にあるように配置される。第2のグループGP2は、適応型であってもよく(アダプティブ・レンズ、又は、固定焦点レンズを有してもよい)、また、上述したように第1のグループのアダプティブ・レンズからそれぞれの距離に配置され、光リレー126を、システム100の特別な実装で求められるように、焦点パワーありで、または、なしで、もたらす。この目的のために、本実施例のアダプティブ光リレーは、アダプティブ・レンズの数に応じて、異なる数の異な拡大率状態を提供することができる。各アダプティブ・レンズグループ(例えば、GP1)は、各アダプティブ・レンズが設定可能な焦点モードの数を有している。
システムに含まれるアダプティブ・レンズは、任意の適切なタイプであってよいことに留意されたい。本実施例では、第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットL1a、L1bの各々は、上記の2つの焦点モードの間で動作/同調できる、少なくとも1つの同調可能な液晶回折レンズを有している。しかしながら、本発明のシステムにおいて、他のタイプの可変レンズを使用することもできることは、当業者には容易に理解されよう。
いくつかの実施形態では、各アダプティブ・レンズは、その焦点距離状態のいくつかの動作モードを取得することができる。本実施例では、各アダプティブ・レンズセットL1a、L1bは、2つの動作モードで構成されている。
(i)LENS−OFF動作モードは、アダプティブ・レンズセットの無限焦点距離を提供し、また、
(ii)LENS−ON動作モードは、有限焦点距離を提供し、第1のアダプティブ・レンズセットに関して、有限焦点距離は、ここでは第1の焦点距離と呼ばれるf11であり、また、第2のアダプティブ・レンズセットでは、有限焦点距離は、ここでは第2の焦点距離と呼ばれるf12である。
本実施例のアダプティブ拡大光リレーは、2つの拡大状態M1、M2の1つで動作するように構成され、その各々において、LENS−ON、及び、LENS−OFF動作モードの異なる組合せが、異なるアダプティブ・レンズセットに適用される。より具体的には、本実施例では、瞳孔入射角α1inを得るために第1の画像部に適用される第1の拡大率M1は、アダプティブ・レンズセットL1aをオン(LENS−ONモード)に切り替えることによって、また、アダプティブ・レンズセットL1bをオフ(LENS−OFFモード)に切り替えることによって得られ、また、瞳孔入射角α2inを得るために第2の画像部に適用される第2の拡大率M2は、アダプティブ・レンズセットL1aをオフ(LENS−OFFモード)に切り替えることによって、また、アダプティブ・レンズセットL1bをオン(LENS−ONモード)に切り替えることによって得られる。
いくつかの実施形態では、アダプティブ・グループは、2つの拡大状態におけるアダプティブ・グループの有効な主光学面の異なる位置の間の光学的距離が、2つの状態におけるアダプティブ・グループの有効な焦点距離の間の差に一致するように構成される。したがって、((焦点パワーがない)無限の焦点距離であるか、又は、(ある焦点パワーで)有限の焦点距離である)光リレーの同様の焦点距離は、2つの状態のリレーによって、得られる。
いくつかの実施形態では、第1、及び、第2のアダプティブ・レンズセットL1a、L1bの各々は、少なくとも1つの調整可能な液晶回折レンズを有している。画像投影ユニット130は、少なくとも3つの単原色(例えば、R、G、B)の光を用いることによって、一連のフレーム/画像/画像部分を投影するように構成される。この目的のために、システムで用いられる可変液晶回折レンズは、それぞれ、画像投影ユニット130によって用いられ/投影される少なくとも3つの単原色に対して、同一の光パワーを有するように構成され、また、動作できる。これによって、色収差を抑制できる。この点で、当業者には理解されるように、既に開発されたある種のアダプティブ回折レンズは、いくつかの波長に類似の焦点パワーを提供するように構成され、また、動作できる。このようなレンズは、特に、画像投影ユニット130が、必要な3原色以上のそれぞれの特定の別々の波長の単色光(例えば、レーザー)を用いる本発明のいくつかの実施形態では、色収差のない動作のために容易に構成され得る。
上述したように、システム100は、第1、及び、第2の画像部分を示すデータを取得し、網膜の中心窩、及び、周囲の領域にそれぞれ投影されるように、構成され、また、動作できる投影制御部(制御ユニット)200を有し、又は、に関連付けられている。本実施形態では、制御部200は、以下のように構成され、また、動作できる。
(i)第1の画像部分を、中心窩の知覚速度を超えるために、少なくとも25FPSである第1のフレームレートで、投影する単一の画像投影ユニット130を動作させ、また、第1の画像部分の投影に対する第1の拡大率M1に影響を与えるように、第1の画像部分の投影に同期して、アダプター拡大光リレーモジュールを動作させ、そこで、第1の拡大率は、網膜の中心窩領域上に第1の画像部分を投影するように適合されており、また、
(ii)第2の画像部分を、網膜の周辺領域の知覚速度を超えるために、少なくとも60FPSである第2のフレームレートで、投影する単一の画像投影ユニットを動作させ、また、第2の画像部分の投影に対する第2の拡大率M2に影響を与えるように、第2の画像部分の投影に同期して、アダプティブ拡大光リレーモジュールを動作させる。第2の拡大率は、第2の画像部分が網膜の周辺領域を覆うように、第2の拡大率よりも大きい。
一般的に、図1、図4A〜図4F、及び、図5A、及び、図5Bを参照しながらここで記述した本発明によれば、単一の投影ユニット130、及び/又は、第1、及び、第2の投影ユニット130、140は、任意のタイプの投影ユニットでもよく、また、好ましくは、走査レーザ投影ユニットとして構成されてもよい。一般的に、走査レーザタイプの投影ユニットは、投影画像のよりよい解像度と同様に、光強度に関してより高い効率を提供してもよい。典型的には、第1の/単一の、及び/又は、第2の投影ユニット130、140は、制御ユニット(図1の200)、又は、そのグラフィック処理ユニット(GPU)に送られる異なる画像データの投影を提供する一方、同様の仕様で構成されてもよい。光学モジュール120は、図3に大まかに例示されるように、第1、及び/又は、第2の投影ユニット130、140によって投影された第1、及び/又は、第2の画像部分を、時間的に、又は、空間的に、結合するように構成されるが、第2の画像部分の画像データは、中央の(中心窩)領域を含む完全な画像を示してもよく、又は、ドーナツ状の画像(すなわち、第1の投影ユニット130によって投影された画像が結合される穴領域を有する周辺画像)に対応する画像データを有してもよい。
上述したように、第1の/単一の画像投影ユニット130は、走査レーザ式投影ユニットであることが好ましい。このような投影ユニットでは、ラスタ光デフレクター(可動ミラー、例えば、MEMSを用いる)は、角度走査範囲(角度投影範囲)αmax内でレーザビームを走査するように構成されている。
光モジュール120は、第1の画像部から生成された光は、ユーザの瞳孔で、眼に入射する際に、角度範囲α1inを有し、また、第1の画像部からの光は、眼に入射する際に、角度範囲α1inよりも大きい角度範囲α2inを有するように、少なくとも第1、及び、第2の投影ユニットの光を、ユーザの瞳で結合し、また、方向付ける。有効的には、ユーザの瞳孔における光伝播の異なる角度は、視野内の異なる点に対応する。これは、光投影の角分解能が、一般的に、知覚される画像の解像度に対応するからである。発明者らは、人間の眼の解剖学的構造に基づいて、第1の投影ユニットによる光投影の入力角度範囲α1inは、好ましくは、約3°の範囲内にあるように構成されることを見出した。いくつかの構成では、光モジュール120、及び、それに関するリレーモジュール126は、約α1in=5°の角度範囲を提供し、網膜内の中心窩領域のカバレッジを確保するように構成される。角度範囲α1inは、ユーザの入力瞳孔における角分解能が1画素当たり2分を超え、好ましくは1画素当たり1分を超えるように、好ましくは、第1の投影ユニット130によって提供される画像解像度に応じて決定される。第2の画像部分は、一般的に、視野の周辺内に意味のある画像を提供するように投影される。したがって、第2の投影ユニット140による画像投影に関連する角度範囲α2inは、好ましくは20°より大きく、また、いくつかの構成では、70°よりも大きく、広い視野で、ユーザの画像投影を提供し、また、投影された画像内で存在感を提供してもよい。第1の画像部分、及び、第2の画像部分は、第1の画像部分の投影のより小さい角度範囲のために、より高い角/空間分解能がそれによって網膜の中心窩領域上に提供されるように、同様の画素数(同様の異なる角度点/光線の数)を有してもよい。
走査レーザ型投影ユニットを使用する場合、レーザビームは、一般的に、3つ以上の原色(例えば、赤、緑、及び、青)を発光する3つ以上のレーザユニットからの光ビームを有し、また、所望の画像データの画像化を提供するために、走査方位にしたがって各色の強度を変化するように構成されてもよい。光モジュール120は、ユーザの眼に投影された光を方向付けるように、第1、及び、第2の投影ユニットから出力された光を、中継するように構成されている。一般的に、光ユニット、より具体的には、それに関するリレーモジュール126は、ユーザの瞳孔(すなわち、アイボックス)における光の断面が、ユーザの瞳孔に対して小さい直径を有するように、ユーザの眼に、入力光を、方向付けるように構成される。より具体的には、光の断面直径(例えば、全幅、半値幅、又は、標準偏差測度)は、強い照明条件における瞳孔直径に対して、より小さい。これは、軌跡モジュール124が、検出された視線方向(LOS)、及び/又は、瞳孔の位置(例えば、アイ・プロジェクション・システム100に対する眼/LOS運動による)に応じて、アイボックス(システムの出口瞳孔)の位置、及び、角度を変化させるために、一般的な光路を、偏向させるからである。また、非レーザ、又は、非走査に基づきレーザを操作し、又は、いくつかの実施形態では、空間光変調画像投影ユニット(例えば、LCDベース)である投影ユニットの出力強度は、損傷を回避するために、十分に低いか、又は、減衰され、ユーザへの不快感を回避することが好ましいことにも留意すべきである。
この目的において、本発明にしたがって光モジュール120によって用いられる直接投影技術は、入力光フィールドが網膜上の像平面に伝播する方法で、眼の網膜上への画像の投影を提供することに留意すべきである。これは、一般的に、ユーザの目の焦点距離/アイボックスの大きさ、又は、瞳孔における光フィールドの断面、一般的に、瞳孔の直径よりも小さい、のような構成にかかわらず達成される(これは、一般的に、関心のある物体までの現実的、又は、仮想的な距離に基づいて制御される)。これにより、網膜上の焦点深度を高めた画像投影を提供できる。したがって、画像は、眼のレンズの実質的に任意の焦点状態で、網膜上に実質的に焦点合わせされるように投影される。例えば、画像は、実質的な焦点深度で投影され、網膜上に焦点が合わされたままにできる一方、眼のレンズは、4メートルから無限大の広い焦点距離の範囲内で任意の焦点状態にある。
一般に、本発明のいくつかの実施形態によれば、図4A〜図5Bに例示されるようなアイ・プロジェクション・システムは、ユーザの目への投影された画像の光学的な中継を利用する。この目的のために、本発明の技術は、投影ユニット(例えば、第1、及び、第2の投影ユニット)の投影された画像を、時間的に、及び/又は、空間的に、結合し、また、結合された光フィールドは、眼の運動を追跡する軌跡モジュール124を通って通過し、また、リレーモジュール126を通って眼に投光される。
したがって、光モジュール120は、眼の向き、照明条件、画像特性、ユーザの好みなどに関して、投影を最適化するように構成されてもよい。これは、異なる第1、及び、第2の画像部分投影が、画像部分を、ユーザの網膜に対応する領域に、方向付けるために、結合されるからである。投影された画像部分は、光リレーモジュールと一体化されても、又は、光リレーモジュールの上流、又は、下流に配置されてもよい1つ以上の空間的/時間的光多重化装置(例えば、ビーム結合器、及び/又は、アダプティブ・レンズ)を用いて結合される。後者は、典型的には、第1の投影ユニットによって投影された「中心窩」の画像における画素密度が、第2の投影ユニットによって投影された周囲の「網膜」の画像内の画素密度よりも大きくなるように、投影された画像の広がりを調整するように構成される。一般的に、中心窩画像は、各方向に約3°〜5°の視野の角度部分上に、480P、720P、1080P、又は、それ以上に対応する解像度で投影される。傍中心窩/網膜画像は、実質的に同様の画素数で、投影される。しかしながら、投影された画像は、ユーザの視野の所定の部分をとり、図3に示されるように、中心窩画像に対応する中心領域を残す一方、低い投影の密度でユーザの視野の所定の部分をとり、それによって、第1の投影ユニット130による中心窩画像の投影を可能にするように、ユーザの眼に中継される。
このように、光モジュールの構成により、眼の追跡、及び、画像特性に応じて、出口瞳孔、及び、一般的な光路の調整が可能になる。より低い解像度の周辺画像データをともなう中心窩に方向付けられた高い解像度の画像を提供することによって、システムは、計算の複雑さを低減する一方、経験を最適化できることにも留意されたい。さらに、小さな眼球運動を補償するために、アイ・プロジェクション・システムに関連するグラフィック処理ユニット(GPU)は、投影された実際の画像データよりもわずかに大きい領域に対応する画像データをレンダリングするように構成してもよい。したがって、レンダリングされた画像データは存在し、また、直接的に、投影時の眼の正確な位置に基づいて、投影ユニットに伝達されてもよい。これは、中心窩1300、及び、網膜1400の画像のレンダリングされた領域を示す図6に、例示されている。具体的には、領域1300、1400に対応する画像データは、ユーザの眼の中に投影される一方、GPUは、次のフレームに対応する画像データを処理する。GPUは、領域1300、1400よりも大きい領域1310、1410に対応する画像データを生成する。領域1310、1410は、画像部分1300、1400によって規定される視野の外側にある画像データ、ここでは肩画像データとして参照される、を有している。新たに処理された画像において、データが投影ユニット(130、140)に伝送されるとき、制御ユニット200は、眼球追跡技術を使用して、ユーザの瞳孔の正確な位置を示し、また、処理された画像の対応する部分が投影される。この技術は、既にレンダリングされた肩画像データを提供することによって、小さな眼球運動を補償する画像変動を可能にする。この目的のため、均一な解像度の投影で、ユーザの目の中心窩領域に高解像度(すなわち、画素当たりの立体角4分2未満)を提供することは、非常に大きい画素量を有する画像データ(ほぼ30メガピクセルを必要とする空間分解能の全半球画像)を生成することを必要とする。本発明の技術は、あまり敏感でない眼の領域への画像解像度を低減しながら、望ましくは、高い知覚された角分解能で、画像投影を提供することを可能にする。このように、中心窩画像は、画素当たり4分以下の角分解能を提供する高い画素密度を利用する一方、傍中心窩画像は、より低い角分解能(例えば、画素当たり約10分)を提供する。これにより、制御ユニット、及び、そのGPUは、より低い解像度画像に対応する画像データ、例えば、中心窩画像に関し約5メガピクセル、及び、傍中心窩画像に関し5メガピクセル、約10メガピクセルの総レンダリングされた画像データ、を提供する。
したがって、本発明は、ユーザの眼への画像投影のためのシステムを提供する。システムは、処理/レンダリングユニットから投影ユニットへの画像レンダリングの複雑さ、及び、データ転送を低減すると共に、ユーザに高い解像度の画像を提供するように構成される。システムは、一般的に、ユーザの網膜の対応する部分に方向付けられた2つ以上の画像部分に基づいて、結合される画像投影を生成するように構成され、また、網膜の異なる領域の局所的な感度を最適に活用するように構成される。当業者は、添付の特許請求の範囲内に、及び、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された本発明の実施形態に様々な変更、及び、変更を適用できることを容易に理解する。