[0008] 本発明の第1の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、方法は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取ること、及び、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定することを含み、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が、パルスポンプ放射ビームの単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比よりも大きいように、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布が選択され、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0009] 本発明の第1の態様は、オブジェクトの表面の下方に配設されたフィーチャを間接的にプロービング又は測定する方法に関し、この方法は、測定時間期間中のフィーチャの測定を向上させるように、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布の選択(selection)、選好(choice)、及び/又は最適化を含む。
[0010] パルス放射ビームは、(時間的に分解又は重複され得る)放射の複数のパルスを含むことを理解されよう。パルス放射ビームの時間強度分布は、(a)各パルスの形状及び(b)パルスの各ペア間の時間に依存することを更に理解されよう。パルスの形状は1つ以上のパラメータによって特徴付けることができる。例えば各パルスは、一般にガウス形状とすることができ、こうしたパルスの形状は、幅パラメータ及び高さパラメータによって特徴付けることができる。異なるパルスは異なる形状を有し得ることを更に理解されよう。パルスの1つのペア間の時間が、パルスの別のペア間の時間とは異なり得ることを更に理解されよう。
[0011] 本明細書で使用される場合、「音響波の反射」という用語は、結果として音響波の方向の変化を生じさせる、任意の散乱プロセスをカバーすることが意図される。特に、鏡面反射及び回折を含むことができる。
[0012] 一般に、異なる音響特性を伴う材料の2つの層間のあらゆるインターフェースは音響反射を生成することになる。すなわち、任意のこうしたインターフェース上に入射する音響波の一部は反射する(及び、別の部分は透過する)ことになる。反射する部分の振幅及び反射する部分の(入射波に対する)位相シフトは、それぞれの層の材料特性に依存する。オブジェクトの表面に形成される信号は、多くのこうした反射の重ね合わせであり、それらの相対位相に依存して、強め合うように又は弱め合うように干渉するものとすることができる。
[0013] パルスポンプ放射ビームの単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比に関して、測定時間期間における信号対バックグラウンド比における増加を達成する、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、一般に、オブジェクトの構造に特有なものとなることを理解されよう。例えばこれは、オブジェクトが形成される材料の層の数、並びに、材料の層の厚み及び音響特性に依存することができる。
[0014] 所与の構造を備える所与のオブジェクトの場合、下記の方法を実行することによって、特定の時間強度分布が信号対バックグラウンド比における所望の増加を達成するか否かを決定することができる。
[0015] 第1に、オブジェクトの表面は、オブジェクト内に音響波を生成するようにポンプ放射ビームの単一パルスによって照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面に生成される信号の強度又はコントラストが決定される。例えば、いくつかの実施形態において、フィーチャは特定のピッチを伴う反射回折格子とすることができ、その結果として、表面上に、実質的に格子と同じピッチを有する表面音響波又は変調を生じさせることができる。こうした実施形態の場合、表面に生成される信号の強度又はコントラストは、表面音響波又は変調の振幅に関係し得る。
[0016] 第2に、オブジェクトの表面は、オブジェクト内に音響波を生成するように、テストされるべき時間強度分布によって照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面に生成される信号の強度又はコントラストが決定される。
[0017] 第3に、テストされるべき時間強度分布を使用して取得された信号の強度又はコントラストは、ポンプ放射ビームの単一パルスを使用して取得された信号の強度又はコントラストと比較される。テストされるべき時間強度分布を使用して取得された信号の強度又はコントラストが、ポンプ放射ビームの単一パルスを使用して取得された信号の強度又はコントラストよりも大きい場合、時間強度分布は、本発明の第1の態様について、信号対バックグラウンド比における所望の増加を達成した。
[0018] 測定時間期間は、フィーチャから反射され、オブジェクト内の任意の他のインターフェースからは反射されない、パルスポンプ放射ビーム初期パルスによって生成された音響波の一部が、表面に到達する間の時間期間に対応し得る。
[0019] パルスポンプ放射ビームの初期パルスから、表面から遠くへ伝搬し得る音響波が生成される。この音響波の一部は、フィーチャへと真っ直ぐ伝搬し、フィーチャから反射し、表面へと真っ直ぐ戻るように伝搬することができる。これは、初期パルスによって生成される1次信号を言い表すことができる。測定時間期間は、この1次信号が表面に到達する時間に対応し得る。したがって、測定時間の範囲は、初期パルスによって生成された音響パルスの時間範囲に対応し得る、及び/又は、オブジェクトを介した音響波の伝搬によって引き起こされる1次信号の任意の時間的広がりを考慮し得る。加えて、表面のパルスポンプ放射ビームの初期パルスの到達と1次信号の到達との間の時間遅延は、音響波が表面からフィーチャへ、そして再度表面へと飛ぶ時間に対応し得る。これは、オブジェクト内の材料の層又は各層の速さ、及び、オブジェクト内の材料の層又は各層の厚みに関係する。
[0020] 本明細書で使用される場合、初期パルスが1次信号を開始するパルスを意味することが意図されることを理解されよう。これは、表面上に入射する第1のパルスである場合、又は第1のパルスでない場合がある。いくつかの実施形態において、方法は、複数の測定時間期間内の表面から散乱する測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定することを含むことができる。各測定時間期間は、パルスポンプ放射ビームの異なる初期パルスからの1次信号の到達時間に対応し得る。
[0021] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャから反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第2のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャから反射されたものである、反射部分、との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するものであり得る。
[0022] こうした配置は、一般に、フィーチャからの音響波の反射によって生成される信号を強化する。これは、パルスポンプ放射ビームの強度が低減された測定可能信号を達成できるため、有利である。有利なことに、これは、個々のパルスによってオブジェクトが損傷するリスクを低減することができる(例えば、各パルスはオブジェクトの損傷閾値を下回るエネルギーを有することが保証可能である)。
[0023] 加えて、フィーチャから反射され、表面に信号を生成する、所与のパルスによって生成された音響波の反射部分は、フィーチャによって反射される前、及び/又は反射された後に、材料の2つの層の間の1つ以上のインターフェースによって反射されている可能性があることを理解されよう。一般に、第1及び第2のパルスによって生成された音響波の反射部分は、少なくとも部分的に強め合って干渉し、表面から遠くへ、及び表面に向かって戻る、異なるパス長を進む。
[0024] 2つの反射部分が表面において強め合って干渉するために、表面における2つの反射部分の到達の間に少なくとも何らかの時間的重複が存在すべきであり、2つの信号は実質的に同相であるべきであることを理解されよう。
[0025] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)フィーチャ上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するものであり得る。
[0026] こうした配置は、一般に、(フィーチャから反射されていない)バックグラウンド信号を抑制する。こうしたバックグラウンド信号は、オブジェクト内の材料の異なる層間のインターフェース間での反射から生成され得る。これらのバックグラウンド信号は、オブジェクトの表面上に形成される信号のコントラストを低減させることができる。
[0027] フィーチャ上に入射しない所与のパルスによって生成された音響波の反射部分は、材料の2つの層の間の1つ以上のインターフェースによって反射されていることを理解されよう。一般に、少なくとも部分的に弱め合って干渉する第1及び第2のパルスによって生成された音響波の反射部分は、表面から遠くへ、及び表面に向かって戻る、異なるパス長を進む。
[0028] 2つの反射部分が表面において弱め合って干渉するために、表面における2つの反射部分の到達の間に少なくとも何らかの時間的重複が存在すべきであり、2つの信号は実質的に位相外れであるべきであることを理解されよう。
[0029] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、測定時間期間内の信号対バックグラウンド比が一般に最大化されるように選択することができる。
[0030] 信号対バックグラウンド比の最大化は、信号対バックグラウンド比の(このパラメータ空間における)局所最大値に対応するか又は近似する、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布の1つ以上のパラメータの選択を含み得ることを理解されよう。
[0031] 本発明の第2の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、装置は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、ポンプ放射源と、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、測定放射源と、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取るように動作可能であり、また更に、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システムと、を備え、ポンプ放射源は、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布が、測定時間期間内に、信号対バックグラウンド比が、パルスポンプ放射ビームの単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比よりも大きいように配置され、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0032] 本発明の第2の態様に従った装置は、本発明の第1の態様に従った方法を実装するために適している。本発明の第2の態様に従った装置は、必要に応じて、本発明の第1の態様に従った方法の任意のフィーチャを組み込むことができる。
[0033] 測定システムは、センサ及びプロセッサを備えることができる。センサは、表面から散乱する放射を検出するように、及び、フィーチャの位置に関する情報を含む信号を出力するように、動作可能とすることができる。プロセッサは、センサからの信号を受信するように、及び、それに基づいて、例えば基板テーブルに対するフィーチャの位置を決定するように、構成することができる。
[0034] 本発明の第3の態様によれば、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いて、表面の下方に配設されたフィーチャを有するオブジェクトの表面を照射するためのパルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定するための方法が提供され、方法は、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が、パルスポンプ放射ビームの単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比よりも大きいように、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定することを含み、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0035] 本発明の第3の態様に従った方法は、本発明の第1の態様に従った方法を実施可能にする。
[0036] 本発明の第4の態様によれば、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いて、表面の下方に配設されたフィーチャを有するオブジェクトの表面を照射するためのパルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定するための方法が提供され、方法は、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が実質的に最大であるように、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定することを含み、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0037] 次に、本発明の第3及び第4の態様に従った方法の更なる任意選択のフィーチャを考察する。
[0038] 測定時間期間は、フィーチャから反射され、オブジェクト内の任意の他のインターフェースからは反射されない、パルスポンプ放射ビーム初期パルスによって生成された音響波の一部が、表面に到達する間の時間期間に対応し得る。
[0039] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャから反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第2のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャから反射されたものである、反射部分、との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するように、決定することができる。
[0040] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)フィーチャ上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するように、決定することができる。
[0041] パルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定するための方法は、解析的、反復的、又はその両方の組み合わせとすることができる。
[0042] 本発明の第3又は第4の態様の方法は、オブジェクトの構造に基づいて、表面から遠くへ、及び表面に向かって戻る、複数の音響経路を決定すること、決定された各音響経路について、音響パルスが音響経路に沿って伝搬するために要する時間と、音響経路に沿って伝搬する音響パルスの減衰ファクタ及び相変化とを決定すること、パルスポンプ放射ビームについて、各経路に沿って伝搬する各パルスからの寄与の重ね合わせとして、表面における音響信号を決定すること、及び、測定時間期間内に、フィーチャからの音響波の反射によって表面において生成される信号の、フィーチャから反射されていない音響波の反射によって表面において生成されるバックグラウンド信号に対する比が強化されるように、時間強度分布の1つ以上のパラメータを決定することを、含むことができる。
[0043] こうした方法は、オブジェクトの知識を使用して、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定する。方法は、数値モデル、例えばコンピュータ実装数値モデルを使用することができる。
[0044] 時間強度分布の1つ以上のパラメータは、フィーチャから反射する経路からの1つ以上の寄与間に少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するように、及び/又は、フィーチャ上に入射しない経路からの1つ以上の寄与間に少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するように、決定することができる。
[0045] 本発明の第3又は第4の態様の方法は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射することであって、パルスポンプ放射ビームは、1つ以上のパラメータのセットによって記述される時間強度分布を有する、照射すること、オブジェクトの表面の下方のフィーチャを示す信号を少なくとも部分的に増加させるように、及び/又は、バックグラウンド信号を少なくとも部分的に減少させるように、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布の1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つを、反復的に変動させることを、含むことができる。
[0046] 例えば、1つ以上のパラメータは、各パルスの形状及び/又はパルスの各ペア間の時間を特徴付ける、1つ以上のパラメータを含むことができる。
[0047] パラメータの初期セットが選択可能であり、オブジェクトの表面は、パラメータの初期セットによって記述される時間強度分布を有するパルスポンプ放射ビームによって照射することができる。測定時間期間の間、オブジェクトの表面の1つ以上の態様を監視し、表面の下方の(既知の)フィーチャに基づいて、予測される信号又は所望の信号と比較することができる。基づいて決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違が閾値より上である場合、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つが変更可能であり、オブジェクトの表面は、変更されたパラメータのセットによって記述される時間強度分布を有するパルスポンプ放射ビームによって照射可能である。測定時間期間の間、オブジェクトの1つ以上の態様又は表面を監視し、表面の下方の(既知の)フィーチャに基づいて、予測される信号又は所望の信号と比較することができる。
[0048] このプロセスは、決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違が閾値より下になるまで反復可能である。いくつかの実施形態において、プロセスは、決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違において局所最小値が見つかるまで反復可能である。
[0049] こうした実施形態を用いて、パラメータの初期セットは解析的又は半解析的手法を使用して選択可能である。
[0050] 本発明の第3又は第4の態様の方法は、オブジェクト内に音響波を生成するように、ポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、オブジェクトの表面において生成される信号を測定すること、及び、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布を決定するために決定された信号を使用することを、含むことができる。
[0051] 例えば、オブジェクト内に音響波を生成するように、ポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するステップは、放射の単一パルスを用いてオブジェクトの表面を照射することを含むことができる。
[0052] オブジェクトの表面において生成される信号を測定するステップは、異なる音響経路に沿って、表面から遠くへ、及び表面に向かって戻るように伝搬する、反射された音響波に対応する複数のエコーを測定することを含むことができる。これは、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、及び、表面から散乱する測定放射ビームの少なくとも一部を受信することによって、達成可能である。ポンプ放射ビームを用いたオブジェクトの表面の照射と、測定放射ビームを用いたオブジェクトの表面の照射との間の、時間遅延を調節することによって、異なる音響経路に沿って表面から遠くへ、及び表面に向かって戻るように伝搬する、反射された音響波に対応する複数のエコーを決定することが可能である。
[0053] 本発明の第5の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、方法は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取ること、及び、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定することを含み、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャから反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャから反射されたものである、反射部分、との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するものである。
[0054] 本発明の第6の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、方法は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取ること、及び、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定することを含み、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布は、(i)フィーチャ上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するものである。
[0055] 本発明の第7の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、装置は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、ポンプ放射源と、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、測定放射源と、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取るように動作可能であり、また更に、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システムと、を備え、ポンプ放射源は、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布が、測定時間期間内で、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャから反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャから反射されたものである、反射部分、との間に、少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するものであるように、配置される。
[0056] 本発明の第8の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、装置は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、ポンプ放射源と、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、測定放射源と、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取るように動作可能であり、また更に、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システムと、を備え、ポンプ放射源は、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布が、測定時間期間内で、(i)フィーチャ上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するものであるように、配置される。
[0057] 本発明の第9の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、方法は、
オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射すること、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取ること、及び、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定することを含み、ポンプ放射ビームの時間強度分布は、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が実質的に最大であるように選択され、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0058] 本発明の第9の態様に従った方法は、必要に応じて、本発明の第1の態様に従った方法の任意のフィーチャを組み込むことができる。
[0059] 本発明の第10の態様によれば、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、フィーチャはオブジェクトの表面の下方に配設され、装置は、オブジェクト内に音響波を生成するように、パルスポンプ放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、ポンプ放射源と、測定放射ビームを用いてオブジェクトの表面を照射するように動作可能な、測定放射源と、表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け取るように動作可能であり、また更に、測定時間期間内に表面から散乱した測定放射ビームの少なくとも一部から、オブジェクト内のフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システムと、を備え、ポンプ放射源は、パルスポンプ放射ビームの時間強度分布が、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が実質的に最大であるように配置され、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャからの音響波の反射によって表面に生成される信号の、(b)フィーチャから反射されなかった音響波の反射によって表面に生成されるバックグラウンド信号に対する比である。
[0060] 本発明の第10の態様に従った装置は、本発明の第9の態様に従った方法を実装するために適している。本発明の第10の態様に従った装置は、必要に応じて、本発明の第9の態様に従った方法の任意のフィーチャを組み込むことができる。
[0061] 当業者であれば容易に明らかとなるように、上記又は下記に示す本発明の様々な態様及びフィーチャは、本発明の様々な他の態様及びフィーチャと組み合わせることができる。
[0062] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
[0063] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)又はメトロロジ又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0064] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する等のため、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得るデバイスを指すものとして広義に解釈されるものとする。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しない場合があることに留意するべきである。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路等のターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0065] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリクス構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。このようにして、反射ビームがパターニングされる。
[0066] 支持構造はパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空条件下での静電クランプを使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0067] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、適宜、例えば露光放射の使用、あるいは浸漬液の使用又は真空の使用などの他の要因に対する、屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0068] 本明細書で使用される「照明システム」という用語は、放射ビームを誘導し、整形し、又は制御する屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントを含んでよく、そのようなコンポーネントも以下においては集合的に又は単独で「レンズ」とも呼ばれることがある。
[0069] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するように、基板が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[0070] 図1Aは、本発明の特定の実施形態に従ったリソグラフィ装置を概略的に示す。装置は、
放射(例えばUV放射又はDUV放射)のビームPBを調節するための照明システム(イルミネータ)IL、
フレームMF、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するための支持構造(例えばマスクテーブル)MT、
各々が基板(例えばレジストコートウェーハ)W1、W2をそれぞれ保持するための、2つの基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT1、WT2、及び、
2つの基板テーブルWT1、WT2のうちの1つによって保持される基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付与されたパターンをイメージングするように構成された、投影システム(例えば屈折投影レンズ)PL、
を、備える。
[0071] フレームMFは、振動などの外的影響から実質的に分離される振動分離フレームである。例えば、フレームMFは、フレームMFをベースフレーム(図示せず)の振動から分離するように、音響的制振マウント(図示せず)を介して接地上のベースフレームによって支持することができる。これらの音響的制振マウントは、ベースフレームによって、及び/又は分離フレームMF自体によって導入される振動を分離するように、積極的に制御することができる。
[0072] 図1Aに示されるデュアルステージリソグラフィ装置において、アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSは左側に提供され、投影システムPLは右側に提供される。投影システムPL、アライメントシステムAS、及びトポグラフィ測定システムTMSは、分離フレームMFに接続される。
[0073] 支持構造MTは、第1の位置決めデバイスPMを介してフレームMFに移動可能に取り付けられる。第1の位置決めデバイスPMを使用して、パターニングデバイスMAを移動させ、フレームMF(及び、フレームMFに接続された投影システムPL)に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。
[0074] 基板テーブルWT1、WT2は、それぞれ第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2を介して、フレームMFに移動可能に取り付けられる。第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2を使用して、それぞれ基板テーブルWT1、WT2によって保持される基板W1、W2を移動させ、フレームMF(及び、フレームMFに接続された、投影システムPL、アライメントシステムAS、及びトポグラフィ測定システムTMS)に対して、基板W1、W2を正確に位置決めすることができる。支持構造MT及び基板テーブルWT1、WT2は、集合的にオブジェクトテーブルと呼ぶことができる。第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2は、放射ビームが基板Wのターゲット部分C全体にわたってスキャンするように、各々、基板テーブルWT1、WT2を放射ビームに対してスキャンパスに沿って移動させるように動作可能な、スキャン機構と見なすことができる。
[0075] したがって、図1Aに示されるリソグラフィ装置は2つの基板テーブルWT1、WT2を有するタイプであり、デュアルステージ装置と呼ぶことができる。こうした「マルチステージ」機械において、2つの基板テーブルWT1、WT2は並列に使用され、基板テーブルのうちの1つで予備工程が実施されている一方で、他方の基板テーブルは露光に使用されている。予備工程は、レベルセンサLSを使用して基板の表面をマッピングすること、及び、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマークの位置を測定することを、含むことができる。これによって、装置のスループットを実質的に向上させることができる。位置センサIFが、測定ステーション並びに露光ステーションにある間に、基板テーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションにおいて基板テーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサを提供することができる。
[0076] 図1Aにおいて、基板テーブルWT1は左側に配設され、基板テーブルWT2は右側に配設されている。この構成において、基板テーブルWT1を使用して、それによって保持される基板W1に関して、その基板W1の露光の前に、アライメントシステムAS(下記でより詳細に説明する)及びトポグラフィ測定システムTMSを使用して、様々な準備ステップを実施することができる。同時に、基板テーブルWT2を、基板テーブルWT2によって保持される別の基板W2の露光に使用することができる。基板テーブルWT2によって保持される基板W2が露光され、基板テーブルWT1によって保持される基板W1に関する準備ステップが実施されると、2つの基板テーブルWT1、WT2は場所を交換する。その後、基板テーブルWT1によって保持される基板W1が放射に露光され、以前に放射に露光された基板テーブルWT2によって保持される基板W2は新しい基板に交換され、新しい基板に関して様々な予備工程が実行される。
[0077] したがって、2つの基板テーブルWT1、WT2の各々は、図1Aの左側又は右側のいずれに配設することも可能である。特に記載されていない限り、下記において、基板テーブルWT1は、通常、その時点で左側に配設されている基板テーブルを示し、基板テーブルWT2は、通常、その時点で右側に配設されている基板テーブルを示す。
[0078] 図1Bは、図1Aの2つの基板W1、W2のいずれかを表し得る基板Wの平面図を示す。下記において、特に記載されていない限り、リソグラフィ装置の左側及び右側の基板は基板Wと呼ばれることになる。図1Cは、パターニングデバイスアライメントマーク(概略的に、ボックスM1、M2として示される)が提供された、パターニングデバイスMAの平面図を示す。
[0079] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)。
[0080] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。イルミネータILは、放射システムと呼ばれる場合がある。あるいは、放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと総称される場合がある。
[0081] イルミネータILは、ビームの強度分布を改変することができる。イルミネータは、イルミネータILの瞳面における環状領域内の強度分布が非ゼロであるように、放射ビームの半径範囲を制限するように配置可能である。追加又は代替として、イルミネータILは、瞳面において等しい間隔で配置された複数のセクタにおける強度分布が非ゼロであるように、瞳面におけるビームの分布を制限するように動作可能でもあり得る。イルミネータILの瞳面における放射ビームの強度分布は、照明モードと呼ぶことができる。
[0082] イルミネータILは、ビームの強度分布を調整するための調整手段AMを備えてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。イルミネータILは、イルミネータの瞳面内のビームの角度分布を変えるように動作可能であってもよい。例えば、イルミネータILは、強度分布が非ゼロである瞳面内のセクタの数及び角度範囲を変更するように動作可能であってもよい。イルミネータの瞳面内のビームの強度分布を調整することにより、異なる照明モードを実現することができる。例えば、イルミネータILの瞳面における強度分布の半径方向及び角度範囲を制限することにより、強度分布は、当分野で知られているように、例えば双極子、四重極又は六重極分布などの多極分布を有してもよい。所望の照明モードは、その照明モードを提供する光学機器をイルミネータILに挿入することにより得られる。
[0083] イルミネータILは、ビームの偏光を改変するように動作可能であり得、調整手段AMを使用して偏光を調整するように動作可能であり得る。イルミネータILの瞳面全体にわたる放射ビームの偏光状態は、偏光モードと呼ぶことができる。異なる偏光モードを使用することで、基板W上に形成されるイメージ内でより強いコントラストを達成することが可能になる。放射ビームは偏光されなくてよい。代替として、イルミネータILは、放射ビームを線形に偏光するように配置可能である。放射ビームの偏光方向は、イルミネータILの瞳面全体にわたって変動可能であり、すなわち、放射の偏光方向は、イルミネータILの瞳面内の異なる領域において異なる可能性がある。放射の偏光状態は、照明モードに応じて選択可能である。
[0084] 更に、イルミネータILは、一般に、インテグレータINやコンデンサCOなど、様々な他のコンポーネントを備える。イルミネータILは、その断面に所望の均一性及び強度分布を有する調整された放射ビームPBを提供する。
[0085] 調節された放射のビームPBの形状及び(空間)強度分布は、イルミネータILの光学系によって定義される。スキャンモードにおいて、調節された放射ビームPBは、パターニングデバイスMA上に通常は矩形の放射帯域を形成するようなものであり得る。放射のビームは、露光スリット(又はスリット)と呼ぶことができる。スリットは、より長い寸法(その長さと呼ぶことができる)及びより短い寸法(その幅と呼ぶことができる)を有することができる。スリットの幅は、スキャン方向(図1におけるy方向)に対応することが可能であり、またスリットの長さは非スキャン方向(図1におけるx方向)に対応することが可能である。スキャンモードにおいて、スリットの長さは、単一の動的露光において露光可能なターゲット部分Cの非スキャン方向の範囲を制限する。対照的に、単一の動的露光において露光可能なターゲット部分Cのスキャン方向の範囲は、スキャン動作の長さによって決定される。
[0086] 「スリット」、「露光スリット」、又は「帯域又は放射」という用語は、リソグラフィ装置の光軸と垂直な平面において、イルミネータILによって生成される放射の帯域を示すために、言い換え可能に使用できる。この平面は、パターニングデバイスMA又は基板Wのいずれかに、又はいずれかの近くにあり得る。「スリットプロファイル」、「放射ビームのプロファイル」、「強度プロファイル」、及び「プロファイル」という用語は、特にスキャン方向において、スリットの(空間)強度分布の形状を示すために、言い換え可能に使用できる。
[0087] イルミネータILは、2つのマスキングブレイドを備える(図1Aでは、概略的にBとして示される)。2つのマスキングブレイドの各々は、一般に、スリットの長さに平行であり、2つのマスキングブレイドはスリットの両側に配設される。各マスキングブレイドは、放射ビームPBのパス内に配設されていない収縮位置と、放射ビームPBをブロックする挿入位置との間で、独立に移動可能である。マスキングブレイドは、パターニングデバイスMA(及び、基板W)の平面と共役な、イルミネータILの平面内に配設される。こうした平面は、フィールド面と呼ぶことができる。したがって、マスキングブレイドを放射ビームのパス内に移動させることによって、放射ビームPBのプロファイルを鋭利に切り取り、したがって、スキャン方向の放射ビームPBのフィールドの範囲を制限することができる。マスキングブレイドを使用して、露光領域のいずれの部分が放射を受け取るかを制御することができる。
[0088] パターニングデバイスMAは、リソグラフィ装置のフィールド面内にも配設される。一実施形態において、マスキングブレイドは、マスキングブレイド及びパターニングデバイスMAの両方が実質的に同じ平面内に存在するように、パターニングデバイスMAに近接して配設可能である。代替として、マスキングブレイドは、各々がリソグラフィ装置の異なるフィールド面内に存在するようにパターニングデバイスMAから分離可能であり、好適な合焦光学系(図示せず)をマスキングブレイドとパターニングデバイスMAとの間に提供可能である。
[0089] イルミネータILは、強度アジャスタIA(図1Aに概略的に示される)を備える。次に説明するように、強度アジャスタIAは、放射ビームの両側で放射ビームを減衰するように動作可能である。強度アジャスタIAは、ペアに配置された複数の移動可能なフィンガを備え、各ペアはスリットの各側に1つのフィンガを備える(すなわち、フィンガの各ペアはy方向に分離される)。フィンガのペアは、スリットの長さに沿って配置される(すなわち、x方向に延在する)。各移動可能フィンガは、スキャン方向(y方向)に独立に移動可能である。すなわち、フィンガは、スリットの長さと垂直な方向に移動可能である。使用の際、各移動可能フィンガはスキャン方向に独立に移動可能である。例えば、各移動可能フィンガは、移動可能フィンガが放射ビームのパス内に配設されていない少なくとも収縮位置と、移動可能フィンガが放射ビームを部分的にブロックする挿入位置との間で、移動可能であり得る。フィンガを移動させることによって、スリットの形状及び/又は強度分布を調整することができる。
[0090] フィールドは、フィンガが放射ビームPBを鋭利にカットしないように、フィンガの半影内とすることができる。フィンガのペアを使用して、スリットの長さに沿って放射ビームPBの異なるレベルの減衰を適用することができる。
[0091] 例えばフィンガを使用して、スリットの幅全体にわたる放射ビームPBの強度プロファイルの積分が、スリットの長さに沿って実質的に一定であることを保証することができる。
[0092] イルミネータILを出る放射ビームPBは、支持構造MT上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射する。ビームPBは、パターニングデバイスMAを横断して投影システムPLを通過し、投影システムPLはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦する。第2の基板位置決めデバイスPW2及び位置センサIF(例えば干渉デバイス)の助けを借りて、基板テーブルWT2は、例えばビームPBのパス内で異なるターゲット部分Cを位置決めするように、フレームMFに関して正確に移動可能である。同様に、第1の位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(図1Aでは明示的に示されていない)を使用して、例えば、マスクライブラリからの機械的取り出しの後、又はスキャン中に、パターニングデバイスMAをフレームMFに関して正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT及びWT1、WT2の動きは、位置決めデバイスPM、PW1、及びPW2の一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現される。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせ可能である。
[0093] 投影システムPLは、放射ビームPBに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを伴うイメージを形成する。例えば、縮小係数4が適用可能である。
[0094] スキャンモードにおいて、第1の位置決めデバイスPMは、イルミネータILによって調節された放射ビームPBに関して、スキャンパスに沿って支持構造MTを移動させるように動作可能である。一実施形態において、支持構造MTは、一定のスキャン速度vMTでスキャン方向に線形に移動される。前述のように、スリットは、その幅がスキャン方向(図1のy方向と一致する)に延在するように配向される。任意のインスタンスにおいて、スリットによって照明されるパターニングデバイスMA上の各点は、投影システムPLによって、基板Wの平面内の単一の共役点上にイメージングされることになる。支持構造MTがスキャン方向に移動する際、パターニングデバイスMA上のパターンは、支持構造MTと同じ速度でスリットの幅を横切って移動する。特に、パターニングデバイスMA上の各点は、スキャン方向にスリットの幅を横切って速度vMTで移動する。この支持構造MTの動きの結果として、パターニングデバイスMA上の各点に対応する基板Wの平面内の共役点は、基板テーブルWT2の平面内のスリットに関して移動することになる。
[0095] 基板W上にパターニングデバイスMAのイメージを形成するために、基板テーブルWT2は、パターニングデバイスMA上の各点の基板Wの平面内の共役点が、基板Wに関して静止したままであるように移動される。投影システムPLに対する基板テーブルWT2の速度(大きさ及び方向の両方)は、投影システムPLの(スキャン方向での)縮小及びイメージ逆転特徴によって決定される。特に、投影システムPLの特徴が、基板Wの平面内に形成されるパターニングデバイスMAのイメージがスキャン方向に反転されるものである場合、基板テーブルWT2は支持構造MTへと反対方向に移動されるべきである。すなわち、基板テーブルWT2の動きは、支持構造MTの動きに対して逆平行であるべきである。更に、投影システムPLが放射ビームPBに縮小係数αを適用する場合、所与の時間期間内に各共役点が進行する距離は、パターニングデバイス上で対応する点が進行する距離よりも係数αだけ短くなる。したがって、基板テーブルWT2の速度|vWT|の大きさは、|vMT|/αとなるべきである。
[0096] ターゲット部分Cの露光の間、イルミネータILのマスキングブレイドを使用して、放射ビームPBのスリットの幅を制御することが可能であり、次にこのスリットの幅が、それぞれパターニングデバイスMA及び基板Wの平面内の露光領域の範囲を制限する。すなわち、イルミネータのマスキングブレイドは、リソグラフィ装置のためのフィールド絞りとして働く。
[0097] スキャンモードを使用して、リソグラフィ装置は、実質的に固定された基板Wのターゲット部分Cを放射に露光させるように動作可能である。例えば、ターゲット部分Cは1つ又はいくつかのダイの一部を含むことができる。単一のウェーハを複数のステップにおいて放射に露光させることが可能であり、各ステップは、ターゲット部分Cの露光、及びそれに続く基板Wの動きを含む。第1のターゲット部分Cの露光の後、リソグラフィ装置は、投影システムPLに対して基板Wを移動させるように動作可能であり、別のターゲット部分Cを放射に露光させることができるようになる。例えば、基板W上の2つの異なるターゲット部分Cの露光間に、基板テーブルWT2は、次のターゲット部分を位置決めするために基板Wを移動させるように動作可能であり、露光領域を介してスキャンする準備が整うことになる。
[0098] 代替として、示される装置は別のモードで使用可能であり、支持構造MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持し、本質的に静止したままであり、ビームPBに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される間に、基板テーブルWT2は移動又はスキャンされる。このモードでは、一般に、パルス放射源が採用され、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWT2の各動きの後、又は、スキャン中の連続する放射パルスの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上記で言及したようなタイプのプログラム可能ミラーアレイなどの、プログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
[0099] 前述の使用モード又は完全に異なる使用モードの組み合わせ及び/又は変形も、採用可能である。
[00100] 更に下記で説明するように、アライメントシステムASは、左側の基板テーブルWT1上に保持される基板W上に提供されたアライメントマーク(図1Bにおいて、ボックスP1、P2によって概略的に示される)の位置を測定する。加えて、トポグラフィ測定システムTMSを使用して、左側の基板テーブルWT1上に保持される基板Wの表面のトポグラフィが測定される。第1の基板位置決めデバイスPW1及び位置センサ(図1Aでは明示的に示されていない)を使用して、フレームMF(及び、これに接続されたアライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMS)に対して基板テーブルWT1を正確に位置決めすることができる。
[00101] トポグラフィ測定システムTMSは、基板W1の高さを示す信号s1を出力するように動作可能であり得る。アライメントシステムASは、基板W1又は基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークの位置を示す信号s2を出力するように動作可能であり得る。出力信号s1、s2は、プロセッサPRによって受信される。
[00102] トポグラフィ測定システムTMSによって出力される信号s1は、基板W1の高さを決定するために、プロセッサPRによって分析可能である。プロセッサPRを使用して、基板W1のトポグラフィのマップを生成することができる。プロセッサPRはメモリを備えることができ、基板W1全体のトポグラフィに関する情報を記憶するように動作可能であり得る。基板W1の表面のトポグラフィは、高さマップと呼ぶことができる。(図1Aの右側の)基板Wの露光の間、基板Wを投影システムPLの焦点面内に維持することが望ましい。これを達成するために、基板テーブルWT2をz方向に移動させることが可能であり、基板テーブルWT2の移動は、(トポグラフィ測定システムTMSによって事前に決定されたように)基板Wの表面のトポグラフィに応じて決定される。
[00103] アライメントシステムASによって出力される信号s2は、基板W1及び基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークの位置を決定するために、プロセッサPRによって分析可能である。第1の基板位置決めデバイスPW1は、次に位置センサIF(位置センサIF又は測定ステーション専用の別の位置センサのいずれか)が基板テーブルWT1を測定する間、アライメントシステムASの下方で各アライメントマークを位置決めするために、基板テーブルWT1を移動させるように動作可能であり得る。初期ステップとして、第1の基板位置決めデバイスPW1を使用して、アライメントシステムASの下方で基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークを位置決めすることが可能であり、各々のアライメントマークの位置が決定される。その後、第1の基板位置決めデバイスPW1を使用して、アライメントシステムASの下方で基板W1上の1つ以上のアライメントマークを位置決めすることが可能であり、各々のアライメントマークの位置が決定される。例えば、各アライメントマークがアライメントセンサASの真下にある間に、位置センサによって決定された基板テーブルWT1の位置を記録することができる。事実上、基板テーブルWT1上のアライメントマークの位置の測定により、位置センサ(例えばセンサIF)によって決定された基板テーブルWT1の位置を(アライメントシステムASが接続されているフレームMFに対して)較正することが可能になる。基板W1上のアライメントマークの位置の測定により、基板テーブルWT1に対する基板W1の位置を決定することが可能になる。
[00104] プロセッサPRは、デジタル信号処理システムと見なすことができる。プロセッサPRは、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むことができる。
[00105] アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSからのデータに加えて、プロセッサPRは、第1の基板位置決めデバイスPW1から、及び/又は位置センサ(例えばセンサIF)から、基板テーブルWT1位置情報(図1Aにおける信号s3を参照のこと)も受信する。基板は基板テーブルWT1に(典型的にはクランプを介して)固定されているため、アライメントシステムASからの情報を使用して、基板テーブルWT1に関する位置情報を基板Wに関する位置情報に変換することができる。
[00106] 装置は、説明される様々なアクチュエータ及びセンサのすべての動き及び測定を制御する、リソグラフィ装置制御ユニット(図示せず)を備えることができる。リソグラフィ装置制御ユニットは、装置の動作に関連して所望の計算を実施するための信号処理及びデータ処理能力を含むことができる。プロセッサPRは、リソグラフィ装置制御ユニットの一部を形成することができる。実際には、リソグラフィ装置制御ユニットは、各々が装置内のサブシステム又はコンポーネントのリアルタイムデータ獲得、処理、及び制御を取り扱う、多くのサブユニットのシステムとして実現可能である。例えば、1つの処理サブシステムを、第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2のサーボ制御専用とすることができる。別々のユニットが、粗動及び微動のアクチュエータ、又は異なる軸を取り扱うことさえも可能である。別のユニットを、位置センサIF(及び、使用される場合、測定ステーション用の別の位置センサ)の読み出し専用とすることができる。装置の全体制御は、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータ、及びリソグラフィ製造プロセスに関与する他の装置と通信している、中央処理ユニットによって制御可能である。
[00107] 図2は、オブジェクト6内のフィーチャ4の特徴を決定するための装置2の概略図であり、フィーチャ4はオブジェクト6の表面8の下方に配設されている。オブジェクト8は、例えば、シリコンウェーハ(例えば、図1Bでは基板Wとして概略的に示されている)とすることができ、フィーチャ4はアライメントマーク(例えば、図1Bでは基板アライメントマークP1、P2として概略的に示されている)とすることができる。アライメントマークは、反射格子の形とすることができる。装置は、ポンプ放射源10、測定放射源12、及び測定システム14を備える。
[00108] ポンプ放射源10は、オブジェクト6内で音響波を生成するために、パルスポンプ放射ビーム16を用いてオブジェクト6の表面8を照射するように動作可能である。特に、パルスポンプ放射ビーム16は、フィーチャ4の上方に配設された表面8のビームスポット領域18上に入射する。パルスポンプ放射ビーム16は超高速レーザである。こうした超高速レーザは、多様な異なる材料内部で音響波を生成可能であることが既知である。このプロセスにおいて、パルスポンプ放射ビーム16の光エネルギーは、オブジェクト6の領域内で光誘起応力に変換される。内部で音響波が生成されるオブジェクト6のこの領域は、表面8にあるか、又はこれに近接するものとすることができる。内部で音響波が生成される領域は、パルスポンプ放射ビーム16が表面8から浸入可能な領域となることを理解されよう。例えばこれは、表面8の下に配設された不透明層とすることができる。すなわち、内部で音響波が生成される領域は、オブジェクト6内の最上位材料ではない(すなわち、表面8に最も近い層ではない)層とすることができる。例えば、内部で音響波が生成される層の頂部に(すなわち、表面8のより近くに)レジストの層が存在し得る。追加又は代替として、内部で音響波が生成される層の上に(すなわち、表面8のより近くに)、例えば、反射防止コーティングなどの1つ以上の材料の層が存在し得る。内部で音響波が生成される領域の深さは特徴深さとして既知であり、オブジェクト6の材料特性及びパルスポンプ放射ビーム16の特徴の両方に依存する。このプロセスは、オブジェクト6内部にコヒーレントな音響波を生成することができる。音響波は、内部で生成される領域から遠くへ伝搬可能であり、特に、表面8から遠くへ、及び不透明透明材料の1つ以上の層を介して、伝搬可能である。追加又は代替として、音響波は定常波とすることができる。
[00109] 当業者であれば、これに関連して、超高速レーザという用語は、100ナノ秒以下程度の持続時間でパルスを出力するレーザを意味することを理解されよう。超高速レーザは、例えば、数百ピコ秒以下程度の持続時間でパルスを出力するように動作可能であり得る。こうした超高速レーザは、典型的にはモードロックレーザである。
[00110] 生成される音響パルスの幅又は時間範囲は、ほとんどが、ラチスがいかに速く電子を加熱するポンプパルスに反応できるか(すなわち、電子フォノン結合)、及び、電子がいかに遠くまで層の媒体内を進行できるかによって、決定される。典型的には、音響パルスの時間範囲は10ps程度である。次に、生成される音響波の周波数は、音響波のパルスの持続時間の逆数にほぼ等しい。10ps程度の時間範囲を伴う音響パルスの場合、周波数は100GHz程度となる。
[00111] 音響波は、伝搬する際に介する材料に応じて音速で伝搬する。材料における典型的な音速は、数千m/sである。例えば、金における音速は6000m/s程度である。所与の材料における音響波の波長は、音響波の周波数(前述のように、主に、オブジェクト6の表面8に近い材料の特性に依存する)に対するその材料における音速の比によって与えられる。1,000から10,000m/sのレンジ内の音速、及び、100GHz程度の周波数の場合、音響波の波長は10から100nm程度となる。100ps程度の時間範囲の音響パルスの場合、周波数は10GHz程度となる。1,000から10,000m/sのレンジ内の音速、及び、10GHz程度の周波数の場合、音響波の波長は100から1,000nm程度となる。
[00112] 本明細書に含まれる、パルスポンプ放射ビーム16のパルスの持続時間、生成される音響波の周波数、オブジェクトにおける音速、及び音響波の波長の、いずれについての量の特定の値又はレンジのいかなる考察も、単なる例であることを理解されよう。本発明は、上記で考察した値とは異なるこれらの量の値を有し得ることを理解されよう。
[00113] 測定放射源12は、測定放射ビーム20を用いてオブジェクト6の表面8を照射するように動作可能である。図2に示される実施形態において、測定放射ビーム20は、反射型光学素子22(例えばミラー)を介して表面8内に投影される。
[00114] 測定システム14は、表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24を受け取るように動作可能である。これに関連して、表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24は、表面8に最も近い本体6の領域から散乱し得、この領域は、内部で音響波が生成された層の表面を含むことができることを理解されよう。測定システム14は更に、測定時間期間内に表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24から、オブジェクト6におけるフィーチャ4の特徴を決定するように動作可能である。測定システム14は、測定時間期間内に表面8から散乱する測定放射ビーム20の一部24から、オブジェクト6におけるフィーチャ4(例えばアライメントマーク)の位置を決定するように動作可能であり得る。
[00115] 図2に示される装置2は、ポンププローブ装置と呼ぶことができ、ポンププローブ法と呼ぶことができる方法を実装するために使用可能である。ポンプ放射源10は、オブジェクト6内で音響波を生成するために、パルスポンプ放射ビーム16を用いてオブジェクト6の表面8を照射するように動作可能である。測定放射源12は、測定放射ビーム20を用いてオブジェクト6の表面8を照射するように動作可能であり、測定放射ビーム20は、これらの光学的に生成される音響波を検出又はプローブするために使用可能である。音響波は、(1)伝搬歪みが金属ラチスの変位を引き起こすこと、及び、(2)音響波に関係する応力が光弾性効果を介して誘電率の変化を誘起することの、2つの効果を生じさせることが既知であり、これら2つの効果は光学方法を用いて観察可能である。
[00116] 測定システム14は、センサ26及びプロセッサ28を備える。センサ26は、表面8から散乱する放射24を検出するように、及び、フィーチャ4の位置に関する情報を含む信号30を出力するように、動作可能である。プロセッサ28は、センサ26から信号30を受信するように、及び、それに応じて、例えば基板テーブルに対するフィーチャ4の位置を決定するように、構成される。
[00117] 一実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、約50fsの時間範囲を伴うパルスを含むことができる。別の実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、約1psの時間範囲を伴うパルスを含むことができる。パルスポンプ放射ビーム16は、所望に応じて、任意の好適な波長を有することができる。パルスポンプ放射ビーム16の波長は、基板W上のフォトレジストの露光を減少させるように選択可能である。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は約400nmの波長を有することができる。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、基板W上のフォトレジストの露光を更に減少させるように、400nmを超える波長を有することができる。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、400から800nmのレンジ内の波長を有することができる。
[00118] 測定放射ビーム20は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスの時間範囲と同じ大きさの時間範囲を伴うパルスを含むことができる。測定放射ビーム20は、所望に応じて任意の好適な波長を有することができる。測定放射ビーム20の波長は、基板W上のフォトレジストの露光を減少させるように選択可能である。いくつかの実施形態において、測定放射ビーム20は400から800nmのレンジ内の波長を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、測定放射ビーム20は500nm程度の波長を有することができる。
[00119] パルスポンプ放射ビーム16によって生成される音響波は、オブジェクト6を介して伝搬可能であり、その一部はフィーチャ4によって反射され、表面8へ戻るように伝搬可能である。本発明の実施形態は、電磁放射が伝搬不可能な(例えば、金属から形成される不透明層を有する)不透明材料を備える、オブジェクトへの特定の適用例を有する。音響波は、こうした不透明層を介してフィーチャ4をプローブできるようにする。
[00120] 本発明の実施形態は、複数の材料の層を備えるオブジェクト、例えば、集積回路の複数の層がその上に形成されている基板Wへの、特定の適用例を有する。一般に、異なる音響特性を伴う材料の2つの層間のあらゆるインターフェースは、音響反射を生成することになる。すなわち、任意のこうしたインターフェース上に入射する音響波の一部は反射する(及び、別の部分は透過する)ことになる。反射する部分の振幅及び反射する部分の(入射波に対する)位相シフトは、それぞれの層の材料特性に依存する。複数のプロセス層を含むシリコンウェーハの場合、隣接する層間の各インターフェースが音響反射を生じさせ、オブジェクト6の表面8においてフィーチャ4(例えばアライメント格子)からの信号を不明瞭にする可能性のある非常に複雑な音響エコーが形成されることにつながる。更に、多くの反射層の存在は、表面8の下方に配設されるフィーチャ4から達成可能な音響信号を減衰させることになる。
[00121] オブジェクト6の表面8に形成される信号は、多くのこうした反射の重ね合わせであり、それらの相対位相に依存して、強め合うように又は弱め合うように干渉するものとすることができる。下記では、信号対バックグラウンド比は、(a)フィーチャ4からの音響波の反射によって表面8に生成される信号の、(b)フィーチャ4から反射されなかった音響波の反射によって表面8に生成されるバックグラウンド信号に対する比として、定義される。再度、これに関連して、表面8で生成される信号は、表面8に最も近い本体6の領域内で生成される信号を含むことが可能であり、この領域は、音響波が生成された層の表面を含み得ることを理解されよう。
[00122] 本発明の実施形態は、オブジェクト6の表面8の下方に配設されたフィーチャ4を間接的にプロービング又は測定する装置及び関連付けられた方法に関し、この方法は、測定時間期間中のフィーチャ4の測定を向上させるように、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布の選択、選好、及び/又は最適化を含む。例えば、ポンプ放射源10は、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布が、測定時間期間内に、信号対バックグラウンド比が実質的に最大化されるようなものとなるように、配置可能である。追加又は代替として、ポンプ放射源10は、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布が、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が、パルスポンプ放射ビームの単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比よりも大きいように配置可能である。このように、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布を選択することによって、フィーチャ4の特徴(例えばその位置)を決定するために十分な信号の強度を依然として達成しながら、パルスポンプ放射ビーム16の各個々のパルスのエネルギードーズ量を低減させることができる。実際に、パルスポンプ放射ビーム16の各個々のパルスのエネルギードーズ量は、オブジェクト6の損傷閾値を下回ることができる。
[00123] パルス放射ビームが複数の放射のパルスを含むことを理解されよう。パルス放射ビームの時間強度分布は、(a)各パルスの形状及び(b)パルスの各ペア間の時間に依存することを更に理解されよう。パルスの形状は1つ以上のパラメータによって特徴付けることができる。例えば各パルスは、一般にガウス形状とすることができ、こうしたパルスの形状は、幅パラメータ及び高さパラメータによって特徴付けることができる。異なるパルスは異なる形状を有し得ることを更に理解されよう。パルスの1つのペア間の時間が、パルスの別のペア間の時間とは異なり得ることを更に理解されよう。複数のパルスは時間的に分解可能であることを、更に理解されよう。代替として、連続パルスは、組み合わされた波形を形成するように部分的に重複可能である。
[00124] 測定時間期間(信号対バックグラウンド比における増加が達成される)は、フィーチャ4から反射し、オブジェクト6内の任意の他のインターフェースからは反射しない、パルスポンプ放射ビーム16の初期パルスによって生成された音響波の一部が、表面8に到達する時間期間に対応し得る。パルスポンプ放射ビーム16の初期パルスから、表面8から遠くへ伝搬する音響波が生成される。この音響波の一部が、フィーチャ4へと真っ直ぐに伝搬され、フィーチャ4から反射し、表面8へと真っ直ぐに戻るように伝搬される。これは、初期パルスによって生成される1次信号と呼ぶことができる。測定時間期間は、この1次信号が表面8に到達する時間に対応し得る。
[00125] 本明細書で使用される場合、初期パルスとは1次信号を開始するパルスを意味するものと意図されることを理解されよう。これは、表面8上に入射する第1のパルスであるか、又は第1のパルスでないものとし得る。いくつかの実施形態は、複数の測定時間期間内に表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24から、オブジェクト6内のフィーチャ4の1つ以上の特徴を決定することを含むことができる。例えば、パルスポンプ放射ビーム16は、2つより多くのパルスを有するパルス列を含むことができる。本明細書で使用される場合、初期パルスとは、1次信号を開始する任意のパルスを意味するものと意図されることを理解されよう。複数の測定時間期間の各々が、パルスポンプ放射ビーム16の異なる初期パルスからの1次信号の到達時間に対応し得る。
[00126] いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布は、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャ4から反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第2のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャ4から反射されたものである、反射部分、との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するようなものであり得る。次にこれについて、図3から図7を参照しながら例示する。
[00127] 図3は、表面8の下方に配設されたフィーチャ4を備えるオブジェクト6の一部の概略断面図である。この例において、フィーチャ4は反射回折格子の形である。フィーチャ4の上に配設されたオブジェクト8の一部32は、2つの層34、36を備える。前述のように、典型的には、音響波は、表面8に最も近い層ではない、オブジェクト6の領域内で生成可能である。例えば、内部で音響波が生成される層の上に(すなわち、表面8のより近くに)提供された材料の1つ以上の層(例えば、レジスト及び反射防止コーティング)が存在し得る。理解しやすいように、こうした層は図3には示されていない。
[00128] 図3には、表面8から遠くへ、及び表面8に戻る、第1及び第2の音響経路38、40も概略的に示されている。第1及び第2の音響経路38、40の各々は、フィーチャ4からの反射を含む。第1の音響経路38は、表面8からフィーチャ4へと真っ直ぐ伝搬し、フィーチャ4から反射して、表面8へと真っ直ぐ戻るように伝搬する、音響波の一部に対応する。この第1の音響経路は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスによって生成される1次信号に対応する。第2の音響経路40は、フィーチャ4からの反射に加えて、フィーチャ4の上に配設された材料の2つの層34、36の間のインターフェース42から、及び表面8からも反射する、音響波の一部に対応する。特に、第2の音響経路40は、表面8から伝搬し、インターフェース42から反射し、表面8から反射し、フィーチャ4から反射し、表面8へと真っ直ぐ戻るように伝搬する、音響波の一部に対応する。この第2の音響経路40は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスによって生成される2次信号に対応するものと見なすことができる。
[00129] 図4は、装置2によって使用可能なパルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布44を示す。時間強度分布44は、時間分布Δt1を伴う2つのガウス様パルス46、48を含む。
[00130] 図5は、パルスポンプ放射ビーム16の第1のパルス46によって表面8において生成される音響信号50、及び、パルスポンプ放射ビーム16の第2のパルス48によって表面8において生成される音響信号52を示す。パルスポンプ放射ビーム16の第1のパルス46によって表面8において生成される音響信号50は、第1の音響経路38(図3を参照)に対応する1次信号54、及び、第2の音響経路40に対応する2次信号56を含む。同様に、パルスポンプ放射ビーム16の第2のパルス48によって表面8において生成される音響信号52は、第1の音響経路38(図3を参照)に対応する1次信号58、及び、第2の音響経路40に対応する2次信号60を含む。2次信号56、60は、一般に1次信号54、58よりも低い振幅である。
[00131] 図5には、2つの測定時間期間62、64も示されており、その各々が、1次信号54、58が表面8に到達する時間に対応する。測定時間期間62、64の時間範囲は、一般に、生成される音響波のパルスの時間範囲に対応し、例えば、10ps程度であり得る。いくつかの実施形態において、測定時間期間62、64の時間範囲は、オブジェクト6を介した音響波の伝搬によって生じる1次信号の任意の時間的広がりを考慮するように、表面8において生成される音響パルスの時間範囲よりも大きい可能性があることを理解されよう。表面8におけるパルスポンプ放射ビーム16のパルス46、48の到達と、1次信号54、58の到達との間の時間遅延は、音響波が表面8からフィーチャ4へ、及び再度表面8へと飛ぶ時間に対応する。これは、材料の2つの層34、36の各々における音速、及び材料の2つの層34、36の各々における厚みに関係する。
[00132] 各1次信号54、58は、対応する2次信号56、60(すなわち、パルスポンプ放射ビームの同じパルスから発せられる2次信号)から、時間Δt2だけ離れている。時間Δt2は、1次信号54、58と比較して、2次信号56、60が表面8に到達するために要する追加の時間である。一般に、時間Δt2は、横断した材料の任意の追加層の厚み及びこうした層における音速に依存する。この例では、時間Δt2は、層34の厚みを層34内の音速で割ったものの2倍に等しい。
[00133] オブジェクト6の表面8において形成される全音響振幅66が、図6に示されている。全音響振幅66は、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス46、48によって表面8において生成される、音響信号50、52の重ね合わせである。全音響振幅66は、第1の音響経路38に対応する1次信号54に対応するピーク54、及び、第2の音響経路40に対応する2次信号60に対応するピーク60を含む。第1の音響経路38に対応する2次信号56及び第2の音響経路40に対応する1次信号58は、強め合うように干渉して測定時間期間64内に拡張ピーク68を形成している。
[00134] 図7は、測定放射ビーム20によって決定可能なプローブ信号70を示す。プローブ信号70は、全音響振幅66のピーク54、68、60の各々に対応するピーク72、74、76を含む。プローブ信号70は、典型的には音響振幅66の2乗でスケーリングされる。したがって、前述のような強め合う干渉は、結果として、前述のような強め合う干渉に起因して、測定時間期間64内の音響振幅66信号のエンハンスメント(ピーク68及び54を比較)よりも大きな、測定時間期間64内のプローブ信号72のエンハンスメント(ピーク74及び72を比較)を生じさせる。強め合うように干渉する2つの信号がほぼ等しい振幅を有する場合、測定時間期間64内のプローブ信号において、4倍のエンハンスメントが達成可能である。
[00135] 音響信号の2つの反射部分について表面8において強め合うように干渉するために、表面での2つの反射部分の到達の間に少なくとも何らかの時間的重複が存在するべきであり、2つの信号は実質的に同相であるべきであることを理解されよう。第1の音響経路38に対応する2次信号56と第2の音響経路40に対応する1次信号58との時間的重複は、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス46、48の時間的分離Δt1を、1次信号54、58と比較して2次信号56、60が表面8に達するために要する追加の時間Δt2に等しくなるように選択することによって、保証される。
[00136] 図4から図7に示される配置では、第1の音響経路38に対応する2次信号56と第2の音響経路40に対応する1次信号58との間に、完全な時間的重複が存在する。こうした配置では、第1の音響経路38に対応する2次信号56及び第2の音響経路40に対応する1次信号58を、実質的に同相にするために、第2の音響経路内での追加の反射によって生じる全位相変化はゼロであるものとする。一般に、第1の媒体を介して伝搬する音響波が第2の媒体とのインターフェースから反射するとき、(入射波の位相に対する)反射波の位相における変化は、2つの媒体の音響インピーダンスに依存する。第1の媒体の音響インピーダンスが第2の媒体の音響インピーダンスよりも高い場合、180°の位相変化が存在することになるのに対して、第1の媒体の音響インピーダンスが第2の媒体の音響インピーダンスよりも低い場合、位相変化はないことになる。したがって、第1の音響経路38に対応する2次信号56及び第2の音響経路40に対応する1次信号58を、実質的に同相にするために、層34の音響インピーダンスは、層36とオブジェクト6が浸漬される媒体との両方の音響インピーダンスよりも低いか、又は、層36とオブジェクト8が浸漬される媒体との両方の音響インピーダンスよりも高いかの、いずれかであるものとする。層34の音響インピーダンスが、層36とオブジェクト6が浸漬される媒体との両方の音響インピーダンスよりも低い場合、インターフェース42からの反射又は表面8からの反射のいずれかにおいて、位相変化がないことになる。層34の音響インピーダンスが、層36とオブジェクト6が浸漬される媒体との両方の音響インピーダンスよりも高い場合、インターフェース42からの反射において180°の位相変化が存在し、表面8からの反射において180°の位相変化が存在することになるため、結果として最終的に位相変化は存在しない。
[00137] いくつかの実施形態において、オブジェクト6は、アライメントマークをカバーする複数のプロセス層を含むシリコンウェーハとすることができる。こうした実施形態について、周囲媒体は空気又は真空とすることができ、一般に、相対的に低い音響インピーダンスを有することになる。代替として、前述のように、図3に示される配置の周囲媒体はレジストの層とすることができる。
[00138] 代替実施形態において、第1の音響経路38に対応する2次信号56及び第2の音響経路40に対応する1次信号58は、たとえ、第2の音響経路内の追加の反射によって生じる全位相変化がゼロでない場合、例えば、次に説明するようにおよそ180°の場合であっても、実質的に同相とすることができる。これは、例えば、一方のインターフェースでは位相変化がなく、他方のインターフェースではおよそ180°の位相変化が存在する場合に当てはまる。例えば、音響波が連続波形(すなわち、一定の振幅及び周波数を伴う波)の形である配置を考えてみる。こうした配置では、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス46、48の時間的分離Δt1は、音響波長の半分だけ、1次信号54、58に比べて2次信号56、60が表面8に達するために要する追加の時間Δt2とは異なるように、選択可能である。すなわち、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス46、48の時間的分離Δt1は、音響波の追加の半分の期間が層34の2重パス内部に収まるように選択可能である。代替として、音響波が単一の短パルスの形である配置を考えてみる。こうした単一の短パルスは、典型的には、短期間の負の歪み(すなわち、圧縮)か、それに続く短期間の正の歪み(すなわち、膨張)のいずれかを含む。180°の位相シフトは、膨張に続いて圧縮となるようにこの信号を反転させる。2つのこうした信号が完全に重複する場合、それらは弱め合うように干渉することになる。しかしながら、例えば、2つのパルスの圧縮部分が重複するように、パルスが部分的に重複する場合、結果として生じる信号は、膨張とそれに続く拡張圧縮、それに続く膨張を含むことになる。実際に、生成される音響波は、これらの2つの極端なケース(連続波形又は単一の短パルス)のいずれかによって十分に説明される可能性は低く、むしろこれらの2つの極端なケースの間のどこかにあることになる。しかしながら、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス46、48の時間的分離Δt1の適切な選好による任意のケースにおいて、第1の音響経路38に対応する2次信号56及び第2の音響経路40に対応する1次信号58は、第2の音響経路内の追加の反射によって生じる全位相変化に関係なく、強め合うように干渉するように配置可能である。
[00139] パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布が、測定時間期間内で、(i)第1のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第1のパルスによって生成された音響波の反射部分はフィーチャ4から反射されたものである、反射部分と、(ii)第2のパルスによって生成された音響波の反射部分であって、第2のパルスによって生成された音響波の反射部分もフィーチャ4から反射されたものである、反射部分、との間に、少なくとも部分的に強め合う干渉が存在するようなものである配置は、一般に、フィーチャ4からの音響波の反射によって生成される信号を強化する。これは、パルスポンプ放射ビーム16の強度が低減された測定可能信号を達成できるため、有利である。有利なことに、これは、個々のパルスによってオブジェクト6が損傷するリスクを低減することができる(例えば、各パルスはオブジェクト6の損傷閾値を下回るエネルギーを有することが保証可能である)。
[00140] いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布は、(i)フィーチャ4上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ4上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、測定時間期間内に少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するものであり得る。次に、図8から図11を参照しながらこれを示す。
[00141] 図8は、表面8の下方に配設されるフィーチャ4を備えるオブジェクト6の一部の概略断面図である。図8に示されるオブジェクトは、一般に、図3に示されるオブジェクトと同じ形であり、フィーチャ4(この例では、反射回折格子)の上に配設されるオブジェクト8の一部32は、2つの層35、37を備える。しかしながら、2つの層35、37が(下記で考察するような)適切な音響特性を有するために、一般に、図8に示されるオブジェクトの層35、37は、図3に示されるオブジェクト6の層34、36とは異なる材料を含み得ることを理解されよう。前述のように、典型的には音響波は、表面8に最も近い層ではないオブジェクト6の領域内に生成可能である。例えば、内部で音響波が生成される層の上に(すなわち、表面8のより近くに)提供された材料の1つ以上の層(例えば、レジスト及び反射防止コーティング)が存在し得る。理解しやすいように、こうした層は図8に示されていない。
[00142] 図8には、表面8から遠くへ、及び表面8へと戻る、第1、第2、及び第3の音響経路78、80、82も、概略的に示されている。第1の音響経路78はフィーチャ4からの反射を含み、したがって信号と呼ぶことができる。第2及び第3の音響経路80、82はフィーチャ4からの反射を含まず、したがってバックグラウンド信号と呼ぶことができる。
[00143] 第1の音響経路78は、表面8からフィーチャ4へと真っ直ぐ伝搬し、フィーチャ4から反射して、表面8へと真っ直ぐ戻るように伝搬する、音響波の一部に対応する。この第1の音響経路は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスによって生成される1次信号に対応する。
[00144] 第2の音響経路80は、フィーチャ4の上に配設された材料の2つの層35、37の間のインターフェース43へと伝搬し、表面8へと戻るように反射する、音響波の一部に対応する。第3の音響経路82は、表面8から伝搬し、インターフェース43から反射し、表面8から反射し、インターフェース43から反射し、表面8へと戻るように伝搬する、音響波の一部に対応する。この第2及び第3の音響経路80、82は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスによって生成される2次信号に対応するものと見なすことができる。
[00145] 図9は、装置2によって使用可能な、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布84を示す。時間強度分布84は、時間的分離Δt3を伴う2つのガウス様パルス86、88を備える。
[00146] 図10は、パルスポンプ放射ビーム16の第1のパルス86によって表面8において生成される音響信号90、及び、パルスポンプ放射ビーム16の第2のパルス88によって表面8において生成される音響信号92を示す。パルスポンプ放射ビーム16の第1のパルス86によって表面8において生成される音響信号90は、第1の音響経路78(図8を参照)に対応する1次信号94、第2の音響経路80に対応する2次信号96、及び第3の音響経路82に対応する別の2次信号98を備える。同様に、パルスポンプ放射ビーム16の第2のパルス88によって表面8において生成される音響信号92は、第1の音響経路78に対応する1次信号100、第2の音響経路80に対応する2次信号102、及び第3の音響経路82に対応する別の2次信号104を備える。
[00147] 図10には、第1のパルス86によって生成される1次信号94が表面8に到達する時間に対応する、測定時間期間106も示されている。測定時間期間106の時間範囲は、一般に、生成される音響波のパルスの時間範囲に対応し、例えば10ps程度であり得る。いくつかの実施形態において、測定時間期間106の時間範囲は、オブジェクト6を介した音響波の伝搬によって生じる1次信号の任意の時間的広がりを考慮するように、表面8において生成される音響パルスの時間範囲よりも大きい可能性があることを理解されよう。加えて、表面8におけるパルスポンプ放射ビーム16のパルス86の到達と、1次信号94の到達との間の時間遅延は、音響波が表面8からフィーチャ4へ、及び再度表面8へと飛ぶ時間に対応する。これは、材料の2つの層35、37の各々における音速、及び材料の2つの層35、37の各々における厚みに関係する。
[00148] 図10から、第3の音響経路82に対応する1次信号94と2次信号98との間に、有意な時間的重複が存在することがわかる。これには、測定時間期間106内で受け取る信号対バックグラウンド比を減少させる傾向がある。
[00149] オブジェクト6の表面8において形成される全音響振幅108が、図11に示される。全音響振幅108は、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス86、88によって、表面8において生成される音響信号90、92の重ね合わせである。全音響振幅108は、第1のパルス86によって生成されるような第2の音響経路80に対応する、1次信号94及び2次信号96を備える。全音響振幅108は、第2のパルス88によって生成されるような第3の音響経路82に対応する、1次信号100及び2次信号104を更に備える。
[00150] 第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98及び第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102は、弱め合うように干渉している。
[00151] 音響信号の2つの反射部分を表面8において弱め合うように干渉させるためには、表面における2つの反射部分の到達間に少なくとも何らかの時間的重複が存在すべきであり、2つの信号は実質的に位相外れであるべきであることを理解されよう。
[00152] 第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98と、第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102との時間的重複は、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス86、88の時間的分離Δt3を、第2の音響経路80に対応する2次信号96、102と比較して、第3の音響経路82に対応する2次信号98、104が表面8に達するために要する追加の時間Δt4に等しくなるように選択することによって、保証される。
[00153] 図9から図11に示される配置では、第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98と、第2のパルス88からの第3の音響経路80に対応する2次信号102との間に、完全な時間的重複が存在する。こうした配置では、第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98、及び第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102を、実質的に位相外れにするために、第3の音響経路82内での追加の反射によって生じる全位相変化はおよそ180°とすることができる。これは、層35の音響インピーダンスが、層37とオブジェクト6が浸漬される媒体との音響インピーダンスの間である場合に達成可能である。代替として、第3の音響経路82内での追加の反射によって生じる全位相変化はおよそゼロであり得、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス86、88の時間的分離Δt3を調節して、第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98と、第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102とが、弱め合うように干渉するのを保証することができる。
[00154] 第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98と、第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102との間の最大の弱め合う干渉を保証するために、パルスポンプ放射ビーム16の2つのパルス86、88の強度は、第1のパルス86からの第3の音響経路82に対応する2次信号98、及び第2のパルス88からの第2の音響経路80に対応する2次信号102の強度が、実質的に等しいように選択される。
[00155] パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布が、測定時間期間内で、(i)フィーチャ4上に入射しない第1のパルスによって生成された音響波の反射部分と、(ii)フィーチャ4上に入射しない第2のパルスによって生成された音響波の反射部分との間に、少なくとも部分的に弱め合う干渉が存在するようなものである配置は、一般に、(フィーチャ4から反射されない)バックグラウンド信号を抑制する。こうしたバックグラウンド信号は、オブジェクト6内の材料の異なる層間のインターフェース35の間の反射から生成可能である。これらのバックグラウンド信号は、オブジェクト6の表面8上に形成される信号のコントラストを減少させることができる。
[00156] パルスポンプ放射ビーム16の単一パルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比に対して、測定時間期間内での信号対バックグラウンド比の増加を達成する、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布は、一般に、オブジェクト6の構造に特有であることを理解されよう。例えばこれは、オブジェクト6が形成される材料の層の数、並びに、材料の層の厚み及び音響特性に依存し得る。しかしながら、当業者であれば、前述の例を異なるオブジェクト6構造にどのように拡張し、結果として、フィーチャ4から反射された異なる信号間での(図3から図7を参照しながら前述したような)強め合う干渉、及び/又は、フィーチャ4から反射されていない異なる信号間での(図8から図11を参照しながら前述したような)弱め合う干渉を生じさせることが可能であるかが明らかとなろう。
[00157] いくつかの実施形態において、測定時間期間内に表面8において生成される信号対バックグラウンド比が一般に最大化されるように、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布を選択することができる。信号対バックグラウンド比の最大化は、信号対バックグラウンド比の(本パラメータ空間における)局所最大値に対応するか、又はこれに最も近い、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布の1つ以上のパラメータの選択を含み得ることを理解されよう。こうしたパラメータは、例えば、パルスのペア間の時間的分離及び/又はパルスポンプ放射ビーム16の順次パルスの相対強度を、含むことができる。
[00158] 前述の(図3から図11を参照しながら説明した)例では、パルスポンプ放射ビーム16は複数の時間的に分解されたパルスを含むが、いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16の連続パルスは、組み合わされた波形を形成するために部分的に重複可能であることを理解されよう。こうした実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布は、発振波形を伴う単一パルスを含むことがわかり得る。こうした実施形態において、ポンプ放射源10は、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布が、測定時間期間内に信号対バックグラウンド比が実質的に最大化されるようなものとなるように、配置可能である。例えば、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布は、1つ以上の調節可能パラメータを有することができ、ポンプ放射源10は、測定時間期間内で、信号対バックグラウンド比が実質的に最大化されることを保証するように、パラメータが最適化されるように、配置可能である。
[00159] 前述の(図3から図11を参照しながら説明した)例では、パルスポンプ放射ビーム16は2つのパルスを含むように説明しているが、代替の実施形態では、パルスポンプ放射ビーム16は2つよりも多くのパルスを含み得ることを理解されよう。例えば、パルスポンプ放射ビーム16は複数のパルス列を含むことができる。更に、当業者であれば、図3から図11を参照しながら上記で説明した原理を、1つのパルス又は2つより多くのパルスを伴う実施形態のためにどのように拡張すれば、フィーチャ4から反射された異なる信号間での(図3から図7を参照しながら前述したような)強め合う干渉、及び/又は、フィーチャ4から反射されていない異なる信号間での(図8から図11を参照しながら前述したような)弱め合う干渉を使用して、測定時間期間内に表面8において生成される信号対バックグラウンド比を強化できるかを理解されよう。
[00160] 所与の構造を伴う所与のオブジェクト6の場合、特定の時間強度分布が、下記の方法を実行することによって、信号対バックグラウンド比の所望の増加を達成するか否かを判別することができる。
[00161] 次に、特定の時間強度分布が、パルスポンプ放射ビーム16の単一のパルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比に対して、測定時間期間内に信号対バックグラウンド比の増加を達成するか否かを判別するための、第1の方法を説明する。
[00162] 第1に、表面8から遠くへ伝搬するオブジェクト6内の音響波を生成するために、オブジェクト6の表面8がポンプ放射ビーム16の単一パルスを用いて照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面において生成される信号の強度又はコントラストが決定される。例えば、いくつかの実施形態において、フィーチャは特定のピッチを伴う反射回折格子であり得、結果として表面8上に実質的に同じピッチを有する変調を生じさせることになる。こうした実施形態の場合、表面において生成される信号の強度又はコントラストは、変調の振幅に関係し得る。
[00163] 第2に、オブジェクト6の表面8は、表面8から遠くへ伝搬する音響波をオブジェクト内に生成するために、テストされるべき時間強度分布を用いて照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面8において生成される信号の強度又はコントラストが決定される。
[00164] 第3に、テストされるべき時間強度分布を用いて取得された信号の強度又はコントラストが、ポンプ放射ビーム16の単一のパルスを使用して取得された信号の強度又はコントラストと比較される。テストされるべき時間強度分布を用いて取得された信号の強度又はコントラストが、ポンプ放射ビーム16の単一のパルスを使用して取得された信号の強度又はコントラストよりも大きい場合、時間強度分布は信号対バックグラウンド比において所望の増加を達成した。
[00165] 次に、特定の時間強度分布が、測定時間期間内に信号対バックグラウンド比を最大化するか否かを判別するための、第2の方法を説明する。
[00166] 第1に、表面8から遠くへ伝搬するオブジェクト6内の音響波を生成するために、オブジェクト6の表面8が、テストされるべき時間強度分布を用いて照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面において生成される信号の強度又はコントラストが決定される。例えば、いくつかの実施形態において、フィーチャは特定のピッチを伴う反射回折格子であり得、結果として表面8上に実質的に同じピッチを有する変調を生じさせることになる。こうした実施形態の場合、表面において生成される信号の強度又はコントラストは、変調の振幅に関係し得る。
[00167] 続いて、テストされるべき時間強度分布の1つ以上のパラメータが変更され、また、表面8から遠くへ伝搬する音響波をオブジェクト内に生成するために、結果として生じる変更された時間強度分布を用いて、オブジェクト6の表面8が照射され、続いて、測定時間期間の間に、表面8において生成される信号の強度又はコントラストが決定される。テストされるべき時間強度分布の1つ以上のパラメータは、パラメータ空間内で複数の異なる方法によって変更可能である。
[00168] 第3に、テストされるべき時間強度分布を用いて取得された信号の強度又はコントラストが、テストされるべき時間強度分布の1つ以上のパラメータを変更した結果から生じる、変更された時間強度分布を使用して取得された信号又は各信号の、強度又はコントラストと比較される。テストされるべき時間強度分布を用いて取得された信号の強度又はコントラストが、テストされるべき時間強度分布の1つ以上のパラメータを変更した結果から生じる、変更された時間強度分布を使用して取得されたすべての信号の、強度又はコントラストよりも大きい場合、時間強度分布は信号対バックグラウンド比において所望の増加を達成した。
[00169] 本発明のいくつかの実施形態に従い、表面8から遠くへ伝搬する音響波をオブジェクト6内に生成するように、パルスポンプ放射ビーム16を用いて表面8の下方に配設されたフィーチャ4を有するオブジェクト6の表面8を照射するために、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布を決定するための方法が提供される。
[00170] 方法は、測定時間期間内に、信号対バックグラウンド比が、パルスポンプ放射ビーム16の単一のパルスを使用して達成される信号対バックグラウンド比よりも大きいように、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布を決定することを含み得る。
[00171] パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布を決定するための方法は、次に考察するように、解析的、反復的、又はその両方の組み合わせとすることができる。
[00172] 方法は、オブジェクト6の構造に基づいて、表面8から遠くへの、及び表面8へと戻る、複数の音響経路を決定することを含み得る。例えば、図3に示される音響経路38、40及び図8に示される音響経路78、80、82を決定することができる。決定された各音響経路について、(a)音響パルスが音響経路に沿って伝搬するために要する時間、及び、(b)音響経路に沿って伝搬する音響パルスについての減衰ファクタ及び位相変化を、決定することができる。パルスポンプ放射ビーム16について、表面8における音響信号は、各音響経路に沿って伝搬する各パルスからの寄与の重ね合わせとして決定することができる。最終的に、時間強度分布の1つ以上のパラメータは、測定時間期間内に信号対バックグラウンド比が強化又は最適化されるように決定することができる。
[00173] 追加又は代替として、パルスポンプ放射ビーム16の好適な時間強度分布を決定するための方法は、表面8から遠くへ伝搬する音響波をオブジェクト6内に生成するように、パルスポンプ放射ビーム16を用いてオブジェクト6の表面8を照射することを含み得、パルスポンプ放射ビーム16は、1つ以上のパラメータのセットによって記述される時間強度分布を有する。表面8の下方に配設されるフィーチャ4を示す表面8上の信号の、強度、品質、又は信号対バックグラウンド比は、並行して監視することができる。オブジェクト6の表面8の下方のフィーチャ4を示す信号を、少なくとも部分的に強化又は増加するように、及び/又は、バックグラウンド信号を少なくとも部分的抑制又は減少するように、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布の1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つを反復的に変更することができる。
[00174] 例えば、1つ以上のパラメータは、各パルスの形状及び/又はパルスの各ペア間の時間を特徴付ける、1つ以上のパラメータを含むことができる。
[00175] パラメータの初期セットを選択することが可能であり、パラメータの初期セットによって記述される時間強度分布を有するパルスポンプ放射ビーム16を用いて、オブジェクト6の表面8を照射することが可能である。測定時間期間の間、オブジェクト6の表面8の1つ以上の態様を監視し、表面8の下方の(潜在的に既知の)フィーチャ4に基づいて、予測されるか又は所望の信号と比較することができる。基づいて決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違が閾値より上である場合、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つが変更可能であり、オブジェクト6の表面8は、変更されたパラメータのセットによって記述される時間強度分布を有するパルスポンプ放射ビーム16を用いて照射可能である。測定時間期間の間、オブジェクト6の1つ以上の態様又は表面8を監視し、表面8の下方のフィーチャ4に基づいて、予測される信号又は所望の信号と比較することができる。
[00176] このプロセスは、決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違が閾値より下になるまで反復可能である。いくつかの実施形態において、プロセスは、決定された信号と予測される信号又は所望の信号との間の相違において局所最小値が見つかるまで反復可能である。
[00177] こうした実施形態を用いて、パラメータの初期セットは解析的又は半解析的手法を使用して選択可能である。
[00178] 前述のように、本発明の実施形態は、特に多層オブジェクト6の場合、パルスポンプ放射ビーム16の時間強度分布の調整又は最適化を含む。パルスポンプ放射ビーム16のための最適なパルスシーケンスは、一般に、オブジェクト6の組成に強く依存することになる。一般に、本発明の実施形態は、任意の好適なパルス整形デバイスを使用することができる。次に、使用可能なパルス整形デバイスの例を考察する。
[00179] 一般的な実施形態は、必要なパルスシーケンスを生成するために、光学パルス整形器を使用することができる。分散遅延線内部で液晶セル又は変形可能ミラーのいずれかを使用する、空間光変調器などのデバイスは、タイミング、振幅、及び位相を制御して、ほとんどの任意のパルス形状及びパルスシーケンスを生成することができる。これらのデバイスにおいて、超短パルスは複数のスペクトル成分に分散可能であり、これらにはプログラム可能液晶マスクを使用して異なる位相シフトが与えられる。その後、スペクトル成分は再結合され、時間ドメイン内の整形パルスとなる。変形可能ミラー又は電気光学変調器に基づく他のパルス整形ソリューションも使用可能である。音響通過時間は、典型的には10psから1nsの範囲内であり得、高分解能パルス整形器でカバーすることができる。
[00180] よりシンプルなデバイスは、ビームスプリッタのアレイ、マイケルソン及びファブリペロー干渉計、及びビート周波数を作成するために干渉を使用するデバイスを含むことができる。
[00181] 図12は、パルス整形のために使用可能なマイケルソン干渉計110の概略図である。単一のガウス様パルスを含む入射放射ビーム112は、ビームスプリッタ114によって2つの部分に分けられる。第1の部分は第1のミラー116上に入射し、第2の部分は第2のミラー118上に入射しる。第1及び第2のミラー116、118から反射された部分は、ビームスプリッタ114によって再結合され、放射ビーム120として出力される。2つのミラーまでのパス長の差に起因して、出力放射ビームは2つの時間的に分解されたパルスを含む。2つのパルス間での時間的分解は、矢印122、124によって示されるように、2つのミラー116、118のうちの1つ以上を移動させることによって調節可能である。追加又は代替として、2つの個別のパルスの振幅及び幅などの特性は、好適な光学素子(例えば、アブソーバ又は分散素子)を、パルスのうちの1つのみが辿る光路のうちの1つ又は両方に挿入する(すなわち、パルスは空間的に、例えばミラー116、118の近くに分離される)ことによって、個別に調節可能である。
[00182] マイケルソン干渉計110は、より多くのビームスプリッタを使用することによって、より多くのパルスを生成するように拡張可能である。例えばミラー118を、パルスのうちの1つを2つの別々のパルスに分けた後、ミラー116から反射されたパルスと再結合するように配置された、別のビームスプリッタ及びミラーのペアに置き換えることができる。こうした配置によって、調節可能な遅延を伴う3つのパルスのセットを生成することができる。このようにして、より多くのビームスプリッタを使用することによって任意の数のパルスを生成するように、デバイスを拡張することができる。
[00183] 図13は、パルス整形のために使用可能なファブリペロー干渉計126の概略図である。単一のガウス様パルスを含む入射放射ビーム128は、複数の部分に分けられ、その後、2つの部分反射ミラー130、132を使用して再結合される。複数の部分が進行するパス長の差に起因して、出力放射ビーム134は複数の時間的に分解されたパルスを含む。パルス間での時間的分解は、矢印136、138によって示されるように、ミラー130、132のうちの1つ以上を移動させることによって調節可能である。
[00184] 図14は、パルス整形のために使用可能なビート周波数を作成するために干渉を使用するデバイス140の概略図である。2つの入射放射ビーム142、144は、ビームスプリッタ146を使用して組み合わせられる。入射放射ビーム142、144の各々が単一のガウス様パルスを含む。2つの入射放射ビーム142、144は異なる周波数を有し、第1の入射ビーム142は第1の周波数ω1を有し、第2の入射ビーム144は第2の異なる周波数ω2を有する。ビート周波数ω2−ω1を調節して、出力放射ビーム148内で2つのピークの所望の時間的分離を達成することができる。例えばこれは、オブジェクト6内での共振、例えば、基本的又はより高位の共振、あるいはオブジェクト6内の不透明層の音響モードに一致するように調節可能である。
[00185] 光学的に誘起された音響波を使用して、オブジェクト6内のフィーチャ4をプロービングするための、前述の装置及び方法において、任意の好適な波長のパルスポンプ放射ビーム16を使用することができる。生成される音響波長のスペクトルは、例えば、放射の浸入深さが波長と共に顕著に変動する場合、パルスポンプ放射ビーム16の波長に依存し得る。ここで、生成される音響波長のスペクトルは、ポンプの最適な時間形状に効果がある可能性がある。しかしながら、こうした効果は高次効果であると考えられる。したがって、表面8(典型的には、音響波が生成される場所である)における所与の材料にとって最適な波長が存在し得るが、方法が波長の選好に非常に敏感であるとは考えられない。
[00186] より多くの数の反復層を備えるオブジェクト8において、こうした構造内に形成され得る定常音響波に対応する、特定の音響共振周波数が予測可能である。それらの周波数は、表面8上で信号対バックグラウンド比をいつ最適化するかを考慮するため(使用するか又は回避するか)にとって重要であり得る。音響共振は、オブジェクト内の近接層(例えば、上方及び下方の層)に関して大きな音響インピーダンスの不一致を有する、単一層に発生する。例えば音響共振は、2つの低密度層(例えば、フォトレジスト又は二酸化ケイ素)間に配設される高密度層(例えば金属層)に予測される。こうした配置は、結果として、高密度層の両側に音響インピーダンスの不一致を生じさせる。
[00187] パルスポンプ放射ビーム16の単一パルスに最適な持続時間は、特定の材料内で使用可能な最高音響周波数にほぼ反比例し得る。同様のエネルギーでより短いパルスは、多光子効果を介したオブジェクト8への損傷につながる可能性がより高い。
[00188] 等間隔を置いて配置されたパルス列を含むパルスポンプ放射ビーム16は、いくつかの実施形態において、有用な可能性のあるより狭い音響スペクトルを生じさせることができる。例えば、最適な音響スペクトル内で生成される音響エネルギーの量を最適化することが有利であり得る。最適な音響スペクトルは、例えば、フィーチャ4の構造を分解するのに十分短い音響波長(例えば、回折格子4の深さの2倍よりも長くない波長)を含むことができる。追加又は代替として、最適な音響スペクトルは、例えば、受入れ不可能な量が減衰されないように十分に長い波長を含むことができる。
[00189] 測定システム14によって実行される測定は、任意の好適な検出ジオメトリを使用することが可能であり、単一ピクセル検出器、又は干渉計型検出器、又はカメラベース検出システムとすることができる。
[00190] 測定放射源12及び測定システム14は、所望に応じて、任意の既知のアライメントシステム又はアライメントセンサの一部を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、測定システム14は、正及び負の回折次数の位相を比較することによって、アライメント格子の位置を決定するように動作可能であり得る。例えば、正及び負の1次回折ビーム(及び/又は、正及び負の3次、5次、などの回折ビーム)の位相を比較することができる。この比較は、自己参照干渉計を使用して、正及び負の回折ビームを相互に干渉させることによって実行可能である。例えば、フォトダイオード上の全信号が測定可能である。アライメント格子のスキャンは、結果として周期的なアライメント信号を生じさせ、ここからアライメント位置が取り出される。次に、こうしたシステムの例を、図15から図17を参照しながら説明する。
[00191] 図15(a)は、それぞれX位置及びY位置の測定のために基板W上に提供可能な、アライメントマーク202、204の例を示す。この例における各アライメントマークは、基板に印加されるか又は基板内にエッチングされるプロダクト層又は他の層内に形成される、一連のバーを含む。バーは、アライメントマークを十分に周知の空間周期(ピッチ)を伴う回折格子と見なすことができるように、規則的な間隔を置いて配置され、格子線として働く。X方向のアライメントマーク202上のバーは、X方向に周期性を与えるためにY軸に平行であり、Y方向のアライメントマーク204のバーは、Y方向に周期性を与えるためにX軸に並行である。アライメントシステムAS(図1に図示)は、正弦波などの周期的に変動する信号を取得するために、放射のスポット206(X方向)、208(Y方向)を用いて各アライメントマークを光学的にスキャンする。装置のフレームMFに対して固定される、アライメントセンサに対するアライメントマークの位置、したがって基板Wの位置を測定するために、この信号の位相が解析される。スキャン動作は概略的に幅広の矢印によって示され、スポット206又は208の漸進的位置は点線の輪郭内に示される。アライメントパターンにおけるバー(格子線)のピッチは、典型的には、基板上に形成されるべきプロダクトフィーチャのピッチよりもはるかに大きく、アライメントシステムASは、基板にパターンを付与するために使用される露光放射よりもはるかに長い放射の波長(又は、通常は複数の波長)を使用する。しかしながら、多数のバーによって、反復信号の位相を正確に測定できるため、微細位置情報を取得することができる。
[00192] 粗及び微細マークが提供可能であるため、アライメントセンサは、周期信号の異なるサイクル、並びにサイクル内の正確な位置(位相)を区別することができる。この目的のために異なるピッチのアライメントマークも使用可能である。これらの技法も当業者に周知であるため、本明細書では詳細に説明しない。こうしたセンサの設計及び動作は当分野で周知であり、各リソグラフィ装置はセンサの独自の設計を有することができる。アライメントシステムASは通常、米国出願第6961116号(den Boef等)に記載された形であり得る。図15(b)は、同様のアライメントシステムで使用するための修正アライメントマークを示し、X位置及びY位置は、照明スポット206又は208を用いる単一光学スキャンを介して取得可能である。アライメントマーク210は、X軸及びY軸の両方に対して45°で配置されたバーを有する。この組み合わされたX及びY測定は、米国公開特許出願第2009/195768A号(Bijnen等)に記載された技法を使用して実行可能である。
[00193] アライメントマーク202、204、210は、不透明であり得る、例えば1つ以上のプロセス層によってカバーされた、オブジェクトの表面の下方にあり得ることを理解されよう。図2に示された装置2及び関連付けられた方法は、下にあるアライメントマークに依存する音響波を使用して、こうしたオブジェクトの表面上に信号を生成するために使用することができる。これは、アライメントシステムASが放射のビームスポット206、208を用いて光学的にスキャンする信号である。前述のように、音響波は、少なくとも2つの異なる光学方法を用いて観察可能な信号を生成する。第1に、伝搬歪みは、金属ラチスの変位を発生させる可能性がある。例えば、定常表面音響波を、下にあるアライメントマークをミラーリングするオブジェクト6の表面8上に生成することができる。この表面音響波は、アライメントセンサASのための回折格子として働くことができる。追加又は代替として、音響波に関係する応力は、光弾性効果を介して誘電率の変化を引き起こし、その結果、オブジェクト6の表面8によって散乱される(例えば、反射される)放射の量に局所的相違を生じさせる可能性がある。アライメントセンサASは、位置を決定するために表面8の反射性におけるこれらの相違を使用することができる。
[00194] 図16は、既知のアライメントセンサASの概略的ブロック図である。照明源220は、1つ以上の波長の放射の測定ビーム222を提供し、これはスポットミラー223によって、対物レンズ224を介して、基板W上に配置された、アライメントマーク202などのアライメントマーク上へと迂回される。図15に概略的に示されるように、前述の米国出願第6961116号に基づく本アライメントセンサの例では、アライメントマーク202を照明するときに用いる照明スポット206は、アライメントマーク自体の幅よりも直径がわずかに小さいものとすることができる。
[00195] アライメントマーク202によって回折された放射は、対物レンズ224によってピックアップされ、情報担持ビーム226内にコリメートされる。自己参照干渉計228は、前述の米国出願第6961116号に開示されたタイプであり、ビーム226を処理し、(各波長について)別々のビームをセンサアレイ230上へと出力する。スポットミラー223はこの時点でゼロ次絞りとして好都合に働くため、情報担持ビーム226は、アライメントマーク202からのより高次の回折放射のみを含むことになる(これは、測定にとって不可欠ではないが、信号対雑音比を向上させる)。センサ格子230内の個々のセンサからの強度信号232は、図1のプロセッサPRの一部を形成し得る、処理ユニットPUに提供される。ブロック228における光学処理とユニットPUにおける計算処理とを組み合わせることによって、参照フレームRFに対する基板上のX位置及びY位置についての値が出力される。処理ユニットPUは、設計の選好及び利便性の問題として、図1に示される制御ユニットLACUとは別個とするか、又は、同じ処理ハードウェアを共有することができる。ユニットPUが別の場合、信号処理の一部はユニットPU内で実行し、別の部分はユニットLACU内で実行することができる。
[00196] 既に述べたように、図示されたタイプの単一の測定は、アライメントマークの1ピッチに対応する一定のレンジ内に、アライメントマークの位置を固定するのみである。これと共により粗な測定技法を使用して、正弦波のいずれの周期がマーク付けされた位置を含むものであるかを識別する。アライメントマークを作成した材料、及びアライメントマークがその上及び/又は下に存在する材料に関係なく、アライメントマークの確度の向上及び/又はロバストな検出のために、より粗及び/又は微細なレベルにおける同じプロセスを、異なる波長で繰り返すことができる。波長は、同時に処理するために、光学的に多重化及び多重分離化すること、及び/又は、時分割又は周波数分割によって多重化することができる。本開示の例は、いくつかの波長での測定を活用して、アライメントマークの非対称性に対する感受性が低減された、実用的且つロバストな測定装置(アライメントセンサ)を提供することになる。
[00197] 測定プロセスにより詳細に言及すると、図16においてVWと標示された矢印は、スポット206がアライメントマーク202の長さLを横断する際のスキャン速度を示す。この例において、アライメントシステムAS及びスポット206は、実際には静止したままであり、速度VWで移動するのは基板Wである。したがって、アライメントセンサは、参照フレームRF(図1)に堅固且つ正確に取り付け、基板Wの移動方向とは反対の方向でアライメントマーク202を効果的にスキャンすることが可能である。基板Wを基板テーブルWT及び基板位置決めデバイスPW上に取り付けることによって、その移動の際に制御される。図示されるすべての移動は、X軸に平行である。スポット208を伴うアライメントマーク204をY方向にスキャンするために、同様の動作が適用される。
[00198] 米国公開特許出願第2012−0212749A1号で考察されるように、リソグラフィ装置に求められる高い生産性のためは、基板上の多数の位置におけるアライメントマークの測定をできる限り迅速に実行する必要があり、これは、スキャン速度VWが高速であること、それに対応して各アライメントマーク位置の獲得に使用可能な時間TACQが短いことを示唆している。単純に、式TACQ=L/VWが適用される。先行米国出願第2012−0212749A1号は、獲得時間を長くするために、スポットの反対のスキャン動作を付与するための技法を記載している。所望であれば、同じスキャンスポット技法を、本明細書で開示したタイプのセンサ及び方法に適用することが可能である。
[00199] 図17は、前述の先行米国公開第6,961,116号及び第2009/195768号に記載される内容の修正版である、アライメントセンサの光学システムを示す。ここでは、とりわけ、確度を上げるためにアライメントマークのピッチを小さくすることが可能なオフアクシス照明モードのオプションを紹介している。光学システムは、別のスキャトロメータ計器を用いるのではなく、アライメントセンサを用いてスキャトロメトリタイプの測定を実行可能にすることもできる。図17では、わかりやすくするために、オフアクシスモード及びオンアクシスモードの照明を提供する際の詳細は省略されている。本開示では、複数の波長及び偏光の詳細を示すことがより注目されている。
[00200] 図17に示される光学システム全体にわたり、いくつかの分岐を有する光軸Oが破線によって示されている。図16の概略図と比較しやすいように、図17に示される光学システムのいくつかの部分は、図16で用いられるものと同様の参照記号で標示されているが、接頭辞は「2」ではなく「4」である。したがって、光源420、照明ビーム422、対物レンズ424、情報担持ビーム426、自己参照干渉計428、及び検出器配置430であることがわかる。検出器配置からの信号は処理ユニットPUによって処理され、処理ユニットPUは、下記で説明する新規なフィーチャを実装するように、及び、各アライメントマークについて(改善された)位置測定POSを出力するように、修正されている。
[00201] この、より詳細な概略図に示されている追加のコンポーネントは以下の通りである。照明サブシステム440において、光源420からの放射は、光ファイバ442を介して照明プロファイリング光学系446へと送達される。これは入力ビーム422を、ビームスプリッタ454を介して、瞳面Pを有する対物レンズ424へと送達する。対物レンズ424は、ウェーハW上のアライメントマーク202/204/210上にスポット406を形成する。アライメントマークによって回折された情報担持ビーム426は、ビームスプリッタ454を介して干渉計428へと渡される。干渉計428は、直交偏光を用いて情報担持ビームを2つの部分に分け、これらの部分を互いに関して光軸を中心に180°回転させ、これらを出力ビーム482に結合する。下記でより詳細に説明するように、出力ビーム482は検出器配置430に入る。
[00202] 本例には、非対称測定配置460が含まれる。配置460は、干渉計の前に位置決めされた第2のビームスプリッタ462を介して、情報担持ビーム426の一部464を受け取る。別の米国特許出願第20125227061号は、検出器430を介して取得した位置情報を使用する非対称の測定のための技法を記載している。非対称測定配置460は任意選択であり、したがって他の実施形態では省略可能であることを理解されよう。
[00203] 照明プロファイリング光学系446は様々な形を取ることが可能であり、そのうちのいくつかが、先行米国特許出願第2015109624号でより詳細に開示されている。そこで開示されている例において、検出器側で空間分解能の必要なしに縮小格子ピッチの使用が可能な、アライメントセンサ(より一般的には、位置測定装置)が示されている。照明モードの使用によって、これらの装置は、現行の検出器設計を変更せずに、例えば1μm未満から20ミクロンのピッチまで、広範囲の異なるピッチを伴うアライメントマークの位置を測定することができる。先行米国出願第2015109624号に記載された例に共通の特定のフィーチャは、制限範囲の入射角(瞳面内の制限半径範囲)でオフアクシス照明を使用するためのオプションである。オフアクシス照明によって、放射源の範囲は、瞳の周辺部分、すなわち、光軸からある程度離れた距離に制限されるものとなる。照明を瞳の最周辺部に制限することで、アライメントマークの最小可能ピッチは実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAまで減少し、ここでλは使用される放射の波長であり、NAは計器(例えば、アライメントセンサ、又はより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。先行米国出願第2015109624号に記載される例は、装置のビームスプリッタにおけるスポットミラーの特定の分布も使用し、これによって、所望の照明を提供すること、及び、ゼロ次回折放射のための視野絞りとして動作することの、両方が可能となる。照明モードを変更せずに、X、Y、及びXYのうちのいずれかのアライメントマーク上での位置合わせを可能にする、「ユニバーサル」照明プロファイルが設計可能であるが、これは必然的に、装置内の性能及び/又は何らかの複雑さにおいて、ある程度の妥協を伴うものである。代替として、専用モードが設計可能であり、異なるアライメントマークタイプで使用するように選択可能にすることができる。照明の異なる偏光も選択可能である。
[00204] 概して、装置は、必ずしもこれらの特定のオフアクシス照明プロファイルを提供することに限定されるものではない。異なるプロファイルの使用に有利な、既知の、又は未だ開発されていない、他の使用モードを有することができる。例えば装置は、図15(a)及び図15(b)に示される異なるアライメントマークタイプについて、オンアクシス及びオフアクシスの照明モードを選択することができる。オフアクシス照明は、より微細な格子で使用することを対象とする一方で、オンアクシス照明プロファイルは、既存のアライメントマーク及び測定方法との互換性に関して有用であり得る。第1に、図16の既知のセンサにおいて使用されるオンアクシスモードの例を参照すると、暗い瞳内の中央に明るいスポットを有するオンアクシス照明プロファイルによって、基板に垂直な照明が提供される。このプロファイルは、装置の照明ビーム422における任意選択の設定である。この例では、光軸に沿って戻るゼロ次ビームが、干渉計428に入る前にブロックされることが望ましいが、非対称測定配置460(提供されている場合)に転送されることも望ましい。干渉計428の前にゼロ次をブロックすることは必須ではないが、位置信号の信号対雑音比を向上させる。したがって、本実施形態では、第2のビームスプリッタ462内にスポットミラーを含めることができる。第1のスプリッタ454は銀めっきされておらず、中央スポットの強度の50%程度のみをアライメントマークに転写することが受け入れられる。配置460が省略される代替の実施形態において、このプロファイルは、照明プロファイラ446によって直接生成され、第1のビームスプリッタ454内のスポットミラーによって、全強度で対物系424に伝送することができる。所望のプロファイルを取得するために、様々な代替を予想することが可能である。
[00205] オフアクシス照明プロファイルは、所望の信号を生成するために対向するセグメントが干渉計428にとってコヒーレントであるべきであることを踏まえて、実際の計器を形成するために多くのやり方で生成することが可能である。特に、広帯域源が含まれる場合、放射源放射のコヒーレンス長さ/時間は非常に短くなる。たとえ単色レーザ源を用いる場合であっても、米国出願第6961116号は、例えば、望ましくない複数の反射からの干渉をなくすために、短いコヒーレンス時間が好ましいことを教示している。したがって、レーザ源から各セグメントまでの光路長は、非常に緊密に一致するべきである。所望のプロファイルに直接対応する開口を、幅が拡大された平行ビーム内に配置することができるが、その結果として、相対的に大きな光損失が生じることになる。前述の先行米国出願第2015109624号では、光の損失を回避するための様々な代替ソリューションが提供されている。
[00206] 照明源442から出現する照明は単色であってよいが、典型的には本来広帯域であり、例えば白色光又は多色である。照明源442は、電磁放射を放出するように動作可能な源であることを理解されよう。この放射は、可視光、及び/又は可視スペクトル外の電磁放射、例えば赤外線放射を含むことができる。下記において、「放射」という用語は、「光」という用語と同義であり、言い換え可能に使用できることを理解されよう。同様に、こうした放射の波長(又は、波長のレンジ)は、放射が可視スペクトルからのものであるか否かに関わらず、放射の「色」と呼ぶことができる。ビーム内の波長の多様性は、既知のように、測定のロバスト性を増加させる。1つの既知のセンサは、例えば4つの波長のセットを使用し、4つの波長の各々が500nmから900nmのレンジ内にある。これら4つの波長は、それらの色名によって呼ぶことができ、緑(緑色光を含む)、赤(赤色光を含む)、近赤外(近赤外の放射を含む)、及び遠赤外(遠赤外の放射を含む)とすることができる。本発明を実装するセンサにおいて、同じ4つの波長を使用すること、異なる4つ、あるいは4つよりも多いか又は少ない波長を使用することが可能である。
[00207] 再度図17を参照し、次に、放射の複数の波長を使用する測定、及び偏光効果の管理に関係する態様を説明する。照明サブシステム440において、光源420は、緑(Gと標示)、赤(R)、近赤外(N)、及び遠赤外(F)の、4つの波長の放射を生成するために提供された、4つの個別の光源を備える。便宜上、下記の考察では、これら4つの異なる波長の放射は4色光と呼ばれ、本目的では、電磁スペクトルの可視部分にあるか又は不可視部分にあるかは重要ではない。光源は線形に偏光され、G及びNの放射は互いに同じ向きであり、R及びFの放射はG及びNの放射の偏光に対して垂直に偏光される。
[00208] 4つの色は、偏波保持ファイバによってマルチプレクサ502に移送され、ここで単一の4色ビームに結合される。マルチプレクサは、矢印504で示されるように、線形偏光を維持する。矢印504及び同様の矢印は、緑及び赤の成分の偏光を示すために、図面全体にわたってG及びRと標示される。N及びFの成分は、それぞれG及びRの成分と同じ向きである。
[00209] この組み合わせビームは、好適な送達光学系506を介してビームスプリッタ454へと進む。前述のように、このビームは次に、ビームスプリッタ内部にある部分反射又は全反射表面(例えば、直径0.5mmのスポットミラー)から反射する。対物レンズ424は、このビームを狭ビームに合焦し、狭ビームは、ウェーハW上のアライメントマーク202によって形成される格子によって、反射及び回折される。光は、例えば開口数NA=0.6で、対物レンズ424によって集光される。このNA値によって、少なくとも10次の回折を、各色について16μmピッチの格子から集光することができる。
[00210] 次いで、情報担持ビーム426を形成する反射及び回折光は、自己参照干渉計428へと移送される。この例では、前述のように、ビームは、情報担持ビームの一部464を非対称測定配置460に供給するために、ビームスプリッタ462が提供されている場合はこれによって分けられる。非対称測定情報を搬送する信号466は、配置460から処理ユニットPUへと渡される。干渉計の直前で、偏光は半波長板510によって45°回転される。この時点から、明確にするために、偏光矢印は1色についてのみ示される。すでに上記で説明した、米国特許第6961116号における干渉計は、各色の半分が透過され、各色の半分が反射される、偏光ビームスプリッタからなる。次いで、各半分は、干渉計内部で3回反射され、放射フィールドを+90°及び−90°だけ回転し、相対的に180°回転する。次いで、2つのフィールドが互いの頂部で重ね合され、干渉可能になる。+90°及び−90°のイメージのパス差を補償するために、位相補償器512が存在する。次いで偏光は、別の半波長板514(X又はY軸に対して22.5°に設定された主軸を有する)によって、45°回転される。半波長板510、514は波長に鈍感であるため、4つの波長すべての偏光は45°だけ回転される。
[00211] 更なるビームスプリッタ516が、光信号をA及びBとして指定された2つのパスに分ける。一方のパスは2つの回転されたフィールドの和を含み、他方は差を含む。初期偏光方向に応じて、和はパスA又はパスBで終わる。したがってこの例では、Green及びNIR信号についての和信号は一方のパス内で終わり、Red及びFIRは他方で終わる。各色について、対応する差信号は他方のパス内で終わる。放射源は、放射、例えば電磁放射を放出するように動作可能な放射源であることを理解されよう。放射は可視光を含むことができる。代替として、放射は、可視スペクトル外の電磁放射、例えば赤外線放射を含むことができる。上記の説明において、「放射」という用語は「光」という用語と同義であることを理解されよう。したがって、光へのいずれの言及も、可視スペクトル外の電磁放射を包含することができる。
[00212] この配置は、各色の照明について1つの偏光を使用するように選択することに留意されたい。1つの色について2つの偏光を用いる測定は、読取り間で偏光を変更することによって(又は、読取り内での時分割多重化によって)実行可能である。しかしながら、色及び偏光における何らかの多様性から恩恵を受けながら、高スループットを維持するために、各色が線形に偏光され、一方の色のサブセットは1つの偏光方向を有し、別の色のサブセットは異なる偏光方向を有するという、異なる色のセットは、多様性と測定スループットとの間に良好な妥協点を示す。スループットに影響を与えずに多様性を増加させるために、本明細書で提示される4色スキームと同様であるが、偏光が混合された、より多くの色、例えば8色又は16色を使用する実装を想定することができる。
[00213] 各パスA及びBについての光は、それぞれの集光レンズアセンブリ484A及び484Bによって集光される。次いで、この光は、基板上のスポット外からの光のほとんどを除外する開口518A又は518Bを介して進む。2本のマルチモードファイバ520A及び520Bは、各パスの集められた光をそれぞれデマルチプレクサ522A及び522Bに移送する。デマルチプレクサ522A、522Bは、各パスを元の4色に分けるため、合計8つの光信号が、検出器配置430内の検出器430A及び430Bに送達されることになる。実際の一実施形態において、ファイバは、デマルチプレクサと検出器回路板上の8つの検出器要素との間に配置される。この例において、検出器は、空間分解能を提供しないが、装置が基板W上のアライメントマーク202をスキャンする際に、各色について時変強度信号IA及びIBを送達する。信号は実際には位置依存信号であるが、装置とアライメントマークとの間の物理的スキャン動作(図16を想起のこと)と同期した時変信号(波形)として受信される。
[00214] 処理ユニットPUは、8つの検出器から強度波形を受信し、これらを、既知の装置内で位置測定POSを提供するように処理する。異なる波長及び入射偏光に基づいて選択するために8つの信号が存在することから、装置は、多様な状況で使用可能な測定を取得することができる。この点で、アライメントマーク202は、異なる材料及び構造のいくつかの層の下に埋め込むことが可能であることに留意されたい。いくつかの波長は、他よりも良好な異なる材料及び構造に浸入することになる。処理ユニットPUは、通常、波形を処理し、最も強い位置信号を提供している波形に基づいて位置測定を提供する。残りの波形は無視してよい。単純な実装において、各測定タスクについての「レシピ」は、ターゲット構造の高度な知識、及び実験的調査に基づいて、使用する信号を指定することができる。より高度なシステムにおいて、予備知識なしに、最良の信号を識別するために、「Color Dynamic」又は「Smooth Color Dynamic」アルゴリズムを使用して、自動選択を実行することが可能である。これは、Jeroen Huijbregtse等によって「Overlay Performance with Advanced ATHENATM Alignment Strategies」, Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XVII, Daniel J.Herr, Editor, Proceedings of SPIE Vol.5038 (2003)において説明されている。
[00215] 各レンズ484A、484Bは、図16の既知のアライメントセンサと同様の配置である、各検出器430A、430Bの各要素上にフィールド全体を集光する。この例及び既知のアライメントセンサにおける検出器は、事実上、単一のフォトダイオードであり、前述のスキャン動作による以外、いかなる空間情報も提供しない。所望であれば、共役瞳面内に空間分解能を有する検出器が追加可能である。これにより、アライメントセンサハードウェアを使用して、例えば、角度分解スキャトロメトリ法が実行可能となる。
[00216] 2つの異なる偏光を使用して位置を測定することが望ましい場合、アライメントマークを複数回スキャンする必要があり得る。XYアライメントマークのスキャンの途中で、照明モードを切り替える必要もあり得る。しかしながら、他の実施形態では、2つの測定を同時に実行できるように、光信号の多重化が使用可能である。同様に、照明モードを切り替えることなく、XYアライメントマークの異なる部分をスキャン及び測定することができるように、多重化が適用可能である。こうした多重化を実行するためのシンプルな方法は、周波数分割多重化によるものである。この技法において、スポット及び/又は偏光の各ペアからの放射は、位置情報を担持する時変信号の周波数よりもはるかに高いように選択される、特性周波数を用いて変調される。各検出器430A、430Bに到達する回折及び処理済みの光信号は、2つの信号の混合となるが、これらは、放射源放射のそれぞれの周波数に調節されるフィルタを使用して、電子的に分離することができる。時分割多重化も使用可能であるが、これには、放射源と検出器との間に正確な同期化が必要となる。各周波数での変調は、単純な正弦波又は方形波とすることができる。
[00217] 位置感知のためであるか、又は何らかの他の形のメトロロジのためであるかに関わらず、円偏光を用いてアライメントマークを照明することが望ましい場合、ビームスプリッタ454と対物レンズ424との間に4分の1波長板(図示せず)を挿入することができる。これには、線形偏光を円偏光に変える効果(及び、アライメントマークによる回折後に、再度元に戻す効果)がある。スポット位置は、アライメントマークの方向に従って、以前と同様に選択される。円偏光の方向(時計回り/反時計回り)は、照明源420、光ファイバ442、又は照明プロファイリング光学系446において、異なる線形偏光を選択することによって、変更可能である。
[00218] Huijbregtse等による論文には、複合ターゲット内で複数の格子を使用することも記載されている。各格子は、例えば、より高い回折次数(3次、5次、7次)を強化する、異なるプロファイルを有する。位置測定は、これらの格子のうちの異なるものから、並びに、個別の格子上の異なる色信号から、導出可能である。本開示において、単純なバーパターンを伴うが、セグメント化されたフィーチャを有する、単一の格子が存在することが想定される。当業者であれば、異なるパターンを伴う複数の格子を有する実施形態を想定するために、本開示を容易に拡張することができる。
[00219] 放射源は、放射、例えば電磁放射を放出するように動作可能な放射源であることを理解されよう。放射は可視光を含むことができる。したがって、「放射」という用語は、「光」という用語と同義であり得ることを理解されよう。
[00220] 位置測定装置と共に使用されるアライメント方法について特に言及してきたが、本明細書で説明する非対称測定方法は、基板の複数の層間での重複を測定するためにも使用可能であることを理解されよう。例えば、方法は、基板の異なる層の粗なフィーチャと微細なフィーチャとの間の重複を測定する際に適用可能である。
[00221] 本書では、特にリソグラフィ装置との関連において本発明の実施形態に言及している場合があるが、本発明の実施形態は他の装置で使用可能である。本発明の実施形態に従った放射源は、例えば、医療用デバイス内のメトロロジシステムの一部として、例えば医学的応用に使用可能である。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、あるいは、ウェーハ(又は他の基板)又はマスク(又は他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する、任意の装置の一部を形成することができる。こうしたリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
[00222] アライメントセンサを制御し、それによって検出された信号を処理し、これらの信号からリソグラフィパターニングプロセスを制御する際に使用するのに好適な位置測定を計算する、処理ユニットPUは、典型的には何らかの種類のコンピュータアセンブリを含むが、詳細には説明しないことを理解されたい。コンピュータアセンブリは、リソグラフィ装置外部の専用コンピュータとすることが可能であり、アライメントセンサ専用の処理ユニットとすることが可能であるか、又は代替として、全体としてリソグラフィ装置を制御する中央制御ユニットLACUとすることが可能である。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラム製品をロードするために配置可能である。これにより、コンピュータプログラム製品がダウンロードされたとき、コンピュータアセンブリは、アライメントセンサASを備えるリソグラフィ装置の前述の使用を制御できるようになる。
[00223] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[00224] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[00225] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、赤外線放射(例えば、800nm〜2.5μmの間の波長を有する)、可視放射(例えば、380nm〜800nmの間の波長を有する)、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)、及び、極端紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmのレンジ内の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含する。例えば、図1Aに示されるリソグラフィ装置を使用する、基板の露光との関連において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmのレンジ内の波長を有する)、並びに、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むことができる。図5に示されるスーパーコンティニウム放射源600によって出力されるスーパーコンティニウム放射ビームBoutとの関連において、「放射」及び「ビーム」という用語は、赤外線放射(例えば、800nm〜2.5μmの間の波長を有する)、可視放射(例えば、380nm〜800nmの間の波長を有する)を含むことができる。
[00226] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
[00227] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
[00228] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。