[0008] 本発明の第1の態様によれば、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、装置は、測定放射を生成するように動作可能な測定放射源と、測定放射を用いてオブジェクトの頂部表面の少なくとも一部を照射するように動作可能な測定放射デリバリシステムと、頂部表面から散乱する測定放射の少なくとも一部を受け取るように動作可能であり、また、頂部表面から散乱する測定放射の少なくとも一部からオブジェクトのフィーチャの特徴を決定するように更に動作可能な、測定システムと、ポンプ放射を生成するように動作可能なポンプ放射源と、オブジェクト内に機械的応答を生成するようにポンプ放射を用いてオブジェクトの頂部表面の少なくとも一部を照射するように動作可能なポンプ放射デリバリシステムとを、備える。
[0009] 本発明の第1の態様に従った装置は、次に考察するように、2つの異なる動作モードでオブジェクトのフィーチャの特徴(例えば、フィーチャの位置)を決定するために使用可能な(位置検出器又はアライメントシステムとして機能し得る)装置を提供する。
[0010] フィーチャは、オブジェクトの頂部表面の上又は下方に配設可能である。
[0011] 本発明の第1の態様に従った装置は、フィーチャから直接散乱した測定放射を使用して、フィーチャの特徴を決定するように動作可能であり得る。これを、第1の動作モードと呼ぶことができる。第1の動作モードは、例えば、フィーチャが頂部表面の上又は近傍に配設されるときに使用可能である。これに関連して、フィーチャが頂部表面の上又は近傍に配設されているということは、測定放射が頂部表面から侵入することが可能なブジェクトの領域内にフィーチャが存在することを意味し得ることを理解されよう。
[0012] 追加又は代替として、本発明の第1の態様に従った装置は、ポンプ放射及び測定放射の両方をポンプ−プローブ配置として使用し、フィーチャの特徴を決定するように動作可能であり得る。第1にポンプ放射は、オブジェクト内に機械的応答を生成するために使用される。機械的応答は、例えば機械的波動とすることができる。こうした機械的波動は、音波、又は、例えば自由電子の拡散などの任意の他の熱伝搬を含むことができることを理解されよう。ポンプ放射によって発生した機械的波動は、オブジェクトを介して伝搬し得、その一部はフィーチャによって散乱され、頂部表面へと戻るように伝搬し得る。その後、測定放射は、フィーチャの1つ以上の特徴を間接的に決定するように、オブジェクトの頂部表面を探査するために使用される。これを、第2の動作モードと呼ぶことができる。第2の動作モードは、例えば、フィーチャが頂部表面の下方に配設されるとき、また特に、不透明材料(例えば、金属から形成される不透明層)が頂部表面とフィーチャとの間に配設されるときに、使用可能である。
[0013] したがって、本発明の第1の態様に従った装置は、第1及び第2の動作モードのうちのいずれか1つで動作可能な配置を提供する。したがって本配置は、任意選択として、典型的には従来技術の位置検出器によって提供される第1の動作モードに加えて第2の動作モードの機能性を提供する。
[0014] 更に、本発明の第1の態様に従った装置は、測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムを備える。したがって装置は、2つの異なる放射デリバリシステム(測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステム)を備える。こうした配置は、次に考察するように、いくつかの理由で、ポンプ放射及び測定放射が共通のデリバリシステムを共有する配置よりも有利である。
[0015] 第2の動作モードにおける動作は、不透明材料が頂部表面とフィーチャとの間に配設されるときでさえ、フィーチャの特徴の測定が可能であるため、有利である。しかしながら、フィーチャが頂部表面の上又は近傍に配設されるとき、第1の動作モードを使用することによってより高い確度が達成可能である。したがって、第1と第2の動作モードの間での切り替えが可能なことが望ましい。第1の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源はオフに切り替えられ、第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源はオンに切り替えられる。
[0016] オブジェクト内に機械的波動(例えば、音波)を発生させるために、典型的にはポンプ放射源の強度は高い。次に、ポンプ放射(典型的には、一連のレーザパルスを含む)の典型的な強度は、著しい加熱を生じさせる可能性がある。したがって、第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射はポンプ放射によって使用されるデリバリシステムの著しい熱膨張を生じさせ得る。しかしながら、第1の動作モードで動作しているとき、こうした加熱、及び結果として生じるポンプ放射によって使用されるデリバリシステムの熱膨張は生じない。ポンプ放射及び測定放射が共通のデリバリシステムを共有する場合、異なるレベルの熱膨張に起因して、第1と第2の動作モードで動作しているときにデリバリシステムにおいて著しい差が存在することになる。次にこれが、測定放射(共通のデリバリシステムを共有する)、及び、散乱した測定放射から導出される決定されたフィーチャの特徴に影響を及ぼす。本発明の第1の態様に従った装置は、この問題を回避する。
[0017] 加えて、別のポンプ放射デリバリシステムを介してポンプ放射を提供することによって、本発明の第1の態様に従った装置は、ポンプ放射源及びポンプ放射デリバリシステムを簡単な方法で既存のアライメントセンサにレトロフィットできるようにする配置を提供する。これにより、費用及び作業を最小限にしながら第2の動作モードの追加の機能性を提供するように、既存のアライメントシステムをアップグレードできるようになる。
[0018] 装置は、位置検出器及び/又はアライメントシステムの一部とすることができる。オブジェクトは、例えばシリコンウェーハとすることができる。フィーチャはアライメントマークとすることができる。アライメントマークは反射格子の形とすることができる。フィーチャの特徴は、例えば一般に頂部表面と平行な平面内でのフィーチャの位置とすることができる。
[0019] 測定システムはセンサ及びプロセッサを備えることができる。センサは、頂部表面から散乱した放射を検出するように、及び、フィーチャの位置に関する情報を含む信号を出力するように、動作可能とすることができる。プロセッサは、センサからの信号を受信できるように、及び、例えば基板テーブルに関して、それに基づいてフィーチャの位置を決定するように、構成可能である。
[0020] 測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムの両方を備える装置は、2つの異なる放射デリバリシステム(測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステム)を備える装置を意味するものと意図されることを理解されよう。これが、測定放射デリバリシステムの少なくとも一部がポンプ放射デリバリシステムの少なくとも一部から離れているか又は別個であることを意味することによって、更に理解されよう。しかしながら、測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムは、1つ以上の共通要素を共有できることを理解されよう。代替として、いくつかの実施形態において、測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムは、共通要素を共有しない場合がある。これは特に、測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムの両方を備える装置とは、オブジェクトに最も近い測定放射デリバリシステムの少なくとも一部が、オブジェクトに最も近いポンプ放射デリバリシステムの少なくとも一部から離れているか又は別個であることを意味するものであると意図される。
[0021] オブジェクト内に機械的応答を発生させるために、ポンプ放射は時間と共に変化する強度を有することができる。例えばポンプ放射は、パルス放射ビームとすることができる。一般に、ポンプ放射は任意の時間変調を有する強度を有することができる。
[0022] 測定放射デリバリシステム及びポンプ放射デリバリシステムは、オブジェクト面におけるポンプ放射の入射角が、オブジェクト面における測定放射の入射角とは異なるように、構成可能である。
[0023] 使用中、装置は、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するために使用されることを理解されよう。これを達成するために、使用中、オブジェクトは、測定放射デリバリシステムが測定放射を用いてオブジェクトの頂部表面を照射可能なように、及び、ポンプ放射デリバリシステムがポンプ放射を用いてオブジェクトの頂部表面を照射可能なように、配設することができる。オブジェクト面は、オブジェクトの頂部表面が使用中に配設される平面とすることができる。
[0024] ポンプ放射デリバリシステムは、ポンプ放射が非ゼロの入射角でオブジェクト面上に入射するように構成可能である。
[0025] 典型的には、ポンプ−プローブ配置において、ポンプ放射及びプローブ放射の両方がオブジェクト上に法線入射(すなわち、入射角ゼロで入射)する。更に、位置測定システムとの関連において、当業者であれば、オブジェクト内で発生した機械的波動(例えば、音波)は、一般に、オブジェクトの頂部表面に対して垂直に(頂部表面から離れてフィーチャへ、及び頂部表面へと戻るように)伝搬することが重要であることを理解されよう。これにより、フィーチャの形状(例えば、反射回折格子)が、又は少なくともフィーチャの変形コピーについて、頂部表面上の(頂部表面に平行な面における)実質的に同じ位置に再生成できるようになる。当業者であれば、非ゼロの入射角のポンプ放射を用いてオブジェクトの頂部表面を照明することは、頂部表面に対して垂直に伝搬しない機械的波動を生成することであると予想するため、当業者はこれを考慮しないことになる。
[0026] しかしながらこの先入観に反して、本発明の発明者等は、ポンプ放射が非ゼロの入射角で入射する場合であっても、オブジェクト内で励起され発生した音波は、依然としてオブジェクトの頂部表面に対して垂直に進むことに気付いた。これは、(およそ数千m/sの)オブジェクト内の音の速さが、光の速さより5桁小さいためである。
[0027] ポンプ放射が非ゼロの入射角でオブジェクト面上に入射するようにポンプ放射デリバリシステムを構成することによって、測定放射がオブジェクト上に法線入射(すなわち、ゼロ入射角で入射)するように測定放射デリバリシステムを構成することができる。これは、特定の回折次数が相互に干渉し合うこと、及び/又は、測定システムが、フィーチャ又は異なるピッチの範囲を伴うアライメントマークのために働くことを、保証するため、有利であり得る。
[0028] ポンプ放射デリバリシステムは光ファイバを含むことができる。
[0029] 装置はコントローラを更に備えることができる。コントローラは、測定放射源及びポンプ放射源を制御するように動作可能であり得る。コントローラは、ポンプ放射源がポンプ放射を生成していない第1の動作モード、又は、ポンプ放射源が少なくとも一部の時間にポンプ放射を生成している第2の動作モードの、いずれかで動作するように動作可能であり得る。
[0030] これに関連して、コントローラが第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源はポンプ放射を間欠的に生成している可能性があることを理解されよう。ポンプ放射はパルスレーザビームを含むことができる。
[0031] 測定放射源は、第1の測定放射又は第2の測定放射を生成するように動作可能であり得、コントローラは、測定放射源を制御して第1の動作モードで動作しているときに第1の測定放射を生成するように、及び、測定放射源を制御して第2の動作モードで動作しているときに第2の測定放射を生成するように、動作可能である。
[0032] 典型的には、ポンプ放射源は、様々な異なる材料内部に音波を発生させることが可能な超高速レーザを含むことができる。当業者であれば、これに関連して、超高速レーザという用語は、相対的に小さな時間持続期間を伴うパルスを出力するレーザを意味するものであることを理解されよう。超高速レーザという用語は、およそナノ秒、ピコ秒、フェムト秒又はそれ未満の時間持続期間を伴うパルスを出力するように動作可能なレーザを含むことができる。超高速レーザは、例えば、およそ数十ピコ秒又はそれ未満の時間持続期間を伴うパルスを出力するように動作可能であり得る。こうした超高速レーザは典型的にはモードロックレーザである。第2のモードで動作するとき、測定放射は、ポンプ放射と実質的に同じ時間持続期間を伴うパルスを含むことができる。これは、第2の測定放射とすることができる。第1のモードで動作するとき、測定放射は、ポンプ放射のパルスとは異なる時間持続期間を伴うパルスを含むことができる。
[0033] 測定放射システムがオブジェクトのフィーチャの特徴を決定する、測定放射の角度分布が制御可能であり得る。
[0034] フィーチャは、一般に、複数の回折次数内に測定放射を散乱させるように構成された、反射回折格子の形であり得る。フィーチャの特徴(例えば、フィーチャの位置)に関する情報は、±n次の回折次数に含まれ得、n=1、2、3・・・である。オブジェクトから散乱される任意の他の放射は、特徴を決定する際の確度に影響を及ぼす可能性のあるこの信号に対するバックグラウンドを形成することができる。信号に対するバックグラウンドを形成し得るこうした散乱放射は、(0次回折ビームを形成すると見なされ得る)任意の鏡面反射及び/又は拡散反射を含むことができる。したがって、鏡面反射ビーム(又は、言い換えれば0次回折ビーム)の方向を中心とする角度範囲内のオブジェクトから散乱する放射をブロックするように配置された0次絞りを提供することが望ましい可能性がある。これは、瞳フィルタと呼ぶことができる。0次絞り又は瞳フィルタは、調整可能であり得る。
[0035] コントローラは、コントローラが第1の動作モードで動作しているときに第1の角度分布から、及び、コントローラが第2の動作モードで動作しているときに第2の角度分布から、オブジェクトのフィーチャの特徴が決定されるように、測定放射システムがオブジェクトのフィーチャの特徴を決定する測定放射の角度分布を制御するように動作可能であり得る。
[0036] コントローラが第2の動作モードで動作しているとき、測定放射はフィーチャを直接探査していないが、フィーチャから散乱する機械的波動によって頂部表面上に形成される信号を探査している。したがって、コントローラが第2の動作モードで動作しているときに測定放射システムによって受信される信号は、コントローラが第1の動作モードで動作しているときに測定放射システムによって受信される信号に比べて減少する可能性がある。したがって、例えば、測定の信号対バックグラウンド比を向上させるように、第2の動作モードで動作しているときに0次ブロックのサイズを増加させることは有利であり得る。
[0037] ノイズに対する測定システムのセンサの感度は制御可能であり得る。
[0038] センサは、頂部表面から散乱する測定放射を検出するように、及び、フィーチャの位置に関する情報を含む信号を出力するように、動作可能であり得る。典型的には、センサはセンシング要素のアレイを備えることができる。センサは、フィードバックレジスタを備え得る制御エレクトロニクスを備えることができる。ノイズに対する測定システムのセンサの感度は、フィードバックレジスタの抵抗に依存することができる。フィードバック抵抗を制御可能にするために、可変レジスタ又はレジスタ及びスイッチのシステムを提供することができる。
[0039] コントローラは、コントローラが第1の動作モードで動作しているときにセンサはノイズに対する第1の感度を有し、コントローラが第2の動作モードで動作しているときにセンサはノイズに対する第2の感度を有するように、ノイズに対する測定システムのセンサの感度を制御するように動作可能であり得る。
[0040] 上記で説明したように、コントローラが第2の動作モードで動作しているときに測定放射システムによって受信される信号は、コントローラが第1の動作モードで動作しているときに測定放射システムによって受信される信号に対して、減少させることができる。したがって、例えば、測定の信号対バックグラウンド比を向上させるように、第2の動作モードで動作しているときに測定システムのセンサの感度を低下させることは有利であり得る。
[0041] 測定放射デリバリシステムは、第1の光路及び第2の光路を有する干渉計を備えることができる。干渉計は、測定放射源から測定放射を受け取るように配置され、第1の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第2の光路に沿って誘導される、第1の部分、及び、第2の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第1の光路に沿って誘導される、第2の部分を、測定放射から発生させるように配置され、また、出力放射を形成するために測定放射の第1及び第2の部分を再結合させるように配置された、偏光非依存ビームスプリッタを備えることができる。オブジェクトのフィーチャの特徴は、出力放射に依存して決定することができる。
[0042] 本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の装置を備えるリソグラフィ装置が提供される。
[0043] 本発明の第3の態様によれば、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、方法は、第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかを選択することであって、第1の動作モードが選択されたとき、オブジェクトの頂部表面の少なくとも一部は測定放射デリバリシステムを使用して測定放射を用いて照射され、第2の動作モードが選択されたとき、オブジェクトの頂部表面が測定放射で照射される前にオブジェクト内に機械的応答を生成するように、オブジェクトの頂部表面の少なくとも一部はポンプ放射デリバリシステムを使用してポンプ放射を用いて照射される、いずれかを選択すること、頂部表面から散乱する測定放射の少なくとも一部を受け取ること、及び、頂部表面から散乱する測定放射の少なくとも一部からオブジェクトのフィーチャの特徴を決定することを、含む。
[0044] 本発明の第3の態様に従った方法は、2つの異なる動作モードを提供する。
[0045] オブジェクトの頂部表面がポンプ放射によって照射されるとき、オブジェクトの頂部表面におけるポンプ放射の入射角は、オブジェクトの頂部表面における測定放射の入射角とは異なり得る。
[0046] オブジェクトの頂部表面がポンプ放射によって照射されるとき、ポンプ放射は非ゼロの入射角でオブジェクトの頂部表面上に入射することができる。
[0047] 第1の動作モードが選択されるとき、オブジェクトの頂部表面は第1の測定放射によって照射され得、第2の動作モードが選択されるとき、オブジェクトの頂部表面は第2の測定放射によって照射され得る。
[0048] 第1の動作モードが選択されるとき、オブジェクトのフィーチャの特徴は測定放射の第1の角度分布から決定され得、第2の動作モードが選択されるとき、オブジェクトのフィーチャの特徴は測定放射の第2の角度分布から決定され得る。
[0049] 測定システムのオブジェクトのフィーチャの特徴の決定において使用されるセンサのノイズに対する感度は、第1及び第2のどちらの動作モードが選択されるかに依存して選択することができる。
[0050] 本発明の第4の態様によれば、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、装置は、測定放射を生成するように動作可能な測定放射源と、第1の光路及び第2の光路を有する偏光非依存干渉計であって、干渉計は、測定放射源から測定放射を受け取るように配置され、第1の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第2の光路に沿って誘導される、第1の部分、及び、第2の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第1の光路に沿って誘導される、第2の部分を、測定放射から発生させるように配置され、また、出力放射を形成するために測定放射の第1及び第2の部分を再結合させるように配置された、偏光非依存ビームスプリッタを備える、偏光非依存干渉計と、オブジェクト内に機械的応答を生成するように、ポンプ放射を用いてオブジェクトの頂部表面を照射するためのポンプ放射を生成するように動作可能な、ポンプ放射源と、出力放射を受け取るように、及びそれに依存してオブジェクトのフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システムと、を備える。
[0051] 本発明の第4の態様に従った装置は、オブジェクトのフィーチャの特徴(例えば、フィーチャの位置)を決定するために使用可能な、(位置検出器又はアライメントシステムとして機能し得る)装置を提供する。本発明の第4の態様に従った装置は、ポンプ放射及び測定放射の両方をポンプ−プローブ配置として使用して、フィーチャの特徴を決定するように動作可能であり得る。ポンプ放射は、オブジェクト内に機械的応答を生成するために使用される。機械的応答は、例えば機械的波動とすることができる。こうした機械的波動は、音波、又は、例えば自由電子の拡散などの任意の他の熱の伝搬を含むことができることを理解されよう。ポンプ放射によって発生した機械的波動は、オブジェクトを介して伝搬し得、その一部はフィーチャによって散乱し、頂部表面へと戻るように伝搬し得る。測定放射は、フィーチャの1つ以上の特徴を間接的に決定するように、オブジェクトの頂部表面を探査するために使用される。このポンプ−プローブ配置は、例えば、フィーチャが頂部表面の下方に配設されたとき、特に、不透明材料(例えば、金属から形成された不透明層)が頂部表面とフィーチャとの間に配設されたときに、使用可能である。
[0052] 各々が同じコンポーネント光路からであるが、異なる順序で形成される、2つの異なる経路に沿って、測定放射の第1及び第2の部分を誘導することによって、測定放射は、2つの異なる時点でオブジェクトの表面上に入射可能であり、その後、干渉するように組み合わせることができる。例えば、測定放射の第1の部分は、ポンプ放射源からのポンプ放射が表面上に入射する前に、表面上に入射可能であるのに対して、測定放射の第2の部分は、ポンプ放射源からのポンプ放射が表面上に入射した後に、表面上に入射可能である。こうした配置を用いる場合、測定放射の第1の部分は、オブジェクトの一般的に時間非依存の表面トポグラフィに依存した情報を含み得るのに対して、測定放射の第2の部分は、このオブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィと、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号との、両方に依存した情報を含み得る。測定放射源のこれら2つの部分を組み合わせることによって、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号を、オブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィから分離することが可能であり得る。
[0053] 有利なことに、偏光非依存のビームスプリッタを備える干渉計を使用することによって、干渉計は、オブジェクトの表面を照射するため、又はオブジェクトによって散乱した放射を収集するためのいずれかに使用される、任意の光学系によって引き起こされる偏光状態におけるいずれの変化にも非感受性である。更に、これにより、(干渉計を使用して形成される)入力測定放射の第1及び第2の部分が、同じ偏光を伴うアライメントセンサ光学系に入ることが可能となる。これは、入力測定放射ビームの偏光状態を変化させること、及び/又は、その出力が入力放射ビームの偏光状態に依存することが可能な、既存の位置検出器のための光学系を、干渉計と組み合わせることが可能であるため、特に有利である。
[0054] 装置は、位置検出器及び/又はアライメントシステムの一部とすることができる。オブジェクトは、例えばシリコンウェーハとすることができる。フィーチャはアライメントマークとすることができる。アライメントマークは、反射格子又は回折格子の形とすることができる。フィーチャの特徴は、例えば、全体として頂部表面に平行な平面内のフィーチャの位置とすることができる。
[0055] 第1の光路は、偏光非依存ビームスプリッタと第1の反射光学要素との間に画定される、双方向光路とすることができる。第2の光路は、偏光非依存ビームスプリッタと第2の反射光学要素との間に画定される、双方向光路とすることができる。第1及び第2の部分が偏光非依存ビームスプリッタから伝搬し、オブジェクトの表面から散乱し、偏光非依存ビームスプリッタへと戻るように伝搬するとき、第3の光路に沿って伝搬するものと見なすことができる。
[0056] 本発明の第5の態様によれば、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するための方法が提供され、方法は、測定放射を生成すること、測定放射を第1の光路及び第2の光路を有する偏光非依存干渉計に誘導することであって、干渉計は偏光非依存ビームスプリッタを備える、誘導すること、第1の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第2の光路に沿って誘導される、第1の部分、及び、第2の光路に沿って誘導され、次いでオブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、その後第1の光路に沿って誘導される、第2の部分を、測定放射から発生させること、及び、ポンプ放射を生成し、オブジェクト内に機械的応答を生成するようにポンプ放射を用いてオブジェクトの頂部表面を照射することであって、ポンプ放射は、測定放射の第1の部分の後、及び測定放射の第2の部分の前にオブジェクトの表面を照射する、照射すること、出力放射を形成するために測定放射の第1及び第2の部分を再結合すること、及び、出力放射の時間的部分に依存してオブジェクトのフィーチャの特徴を決定することであって、時間的部分は、第1の光路に沿って伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、第2の光路に沿って伝搬するために要する時間に対応する、出力放射の一部に対応する、フィーチャの特徴を決定することを、含む。
[0057] 第1及び第2の部分が、偏光非依存ビームスプリッタから伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、偏光非依存ビームスプリッタへと戻るように伝搬するとき、第3の光路に沿って伝搬するものと見なすことができる。
[0058] 第1の光路に沿って伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、第2の光路に沿って伝搬するために要する時間は、第1、第2、及び第3の光路の全光路長さ、及び測定放射の伝搬速さに依存することを理解されよう。測定放射が測定放射源から偏光非依存ビームスプリッタまで伝搬するために、非ゼロの時間を要し、時間は、測定放射源と偏光非依存ビームスプリッタとの間の全光路長さ(及び、測定放射の伝搬速さ)に依存することを、更に理解されよう。出力放射が偏光非依存ビームスプリッタから検出器又はセンサまで伝搬するために、非ゼロの時間を要し、時間は、偏光非依存ビームスプリッタと検出器又はセンサとの間の全光路長さ(及び、測定放射の伝搬速さ)に依存することを、更に理解されよう。
[0059] 第1の光路に沿って伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、第2の光路に沿って伝搬するために要する時間に対応する、出力放射の一部とは、(例えば、測定放射源によって)発生された後、ある時間に(例えば、センサ又は検出器によって)受信される、出力放射の一部を意味することが意図され、時間は、第1、第2、及び第3の光路に沿って測定放射源からビームスプリッタへ伝搬し、その後、ビームスプリッタから検出器又はセンサへ伝搬するために要する時間に対応することを理解されよう。
[0060] 本発明の第5の態様に従った方法は、本発明の第4の態様に従った装置を使用する方法とすることができる。このポンプ−プローブ方法は、例えば、フィーチャが頂部表面の下方に配設されるとき、また特に、不透明材料(例えば、金属から形成される不透明層)が、頂部表面とフィーチャとの間に配設されるときに、使用可能である。
[0061] 測定放射の第1の部分は、オブジェクトの一般的に時間非依存の表面トポグラフィに依存した情報を含み得るのに対して、測定放射の第2の部分は、このオブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィと、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号との、両方に依存した情報を含み得る。測定放射源のこれら2つの部分を組み合わせることによって、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号を、オブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィから分離することが可能であり得る。
[0062] 偏光非依存のビームスプリッタを備える干渉計を使用することによって、測定放射の一部がビームスプリッタ上に入射するごとに、入射放射の第1の断片(例えば、およそ半分)は第1の光路に沿って誘導されることになり、入射放射の第2の断片(例えば、およそ半分)は第2の光路に沿って誘導されることになることを理解されよう。例えば、測定放射がビームスプリッタ上に最初に入射するとき、測定放射のおよそ半分は第1の光路に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分は第2の光路に沿って誘導されることになる。第1及び第2の光路の各々は、ビームスプリッタと反射光学要素との間に画定される双方向光路を含む。第1の光路に沿って誘導された測定放射の一部がビームスプリッタに戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる。第2の光路に沿って誘導された測定放射の一部がビームスプリッタに戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる。第3の光路に沿って誘導された測定放射の一部がビームスプリッタに戻るとき、入射放射のおよそ半分は第1の光路に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分は第2の光路に沿って誘導されることになる。偏光非依存のビームスプリッタを備える干渉計を使用することによって、システムによって出力される測定放射の複数の部分が存在することになること、及び、一般に、測定放射のこれらの部分は異なる時点でシステムによって出力されることを、理解されよう。第1の光路に沿って伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、第2の光路に沿って伝搬するために要する時間に対応する、出力放射の一部に対応する、出力放射の時間的部分に依存して、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定することによって、方法は、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号を、オブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィから分離することが可能である。
[0063] 当業者であれば容易に明らかとなるように、上記又は下記に示す本発明の様々な態様及び特徴は、本発明の様々な他の態様及び特徴と組み合わせることができる。
[0064] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
[0065] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)あるいはメトロロジ又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0066] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する等のため、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得るデバイスを指すものとして広義に解釈されるものとする。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しない場合があることに留意するべきである。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路等のターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0067] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリクス構成を使用し、ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾けることができる。このようにして、反射ビームがパターニングされる。
[0068] 支持構造はパターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空条件下での静電クランプを使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0069] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は浸漬液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0070] 本明細書で使用される「照明システム」という用語は、放射ビームを誘導し、整形し、又は制御する屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントを含んでよく、そのようなコンポーネントも以下においては集合的に又は単独で「レンズ」とも呼ばれることがある。
[0071] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するように、基板が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[0072] 図1Aは、本発明の特定の実施形態に従ったリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
放射(例えば、UV放射又はDUV放射)のビームPBを調節するための照明システム(イルミネータ)IL、
フレームMF、
パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するための支持構造(例えば、マスクテーブル)MT、
各々が、それぞれ基板(例えば、レジストコートウェーハ)W1、W2を保持するための、2つの基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT1、WT2、及び、
パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに付与されたパターンを、2つの基板テーブルWT1、WT2のうちの1つによって保持される基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に結像するように構成された、投影システム(例えば屈折投影レンズ)PL、とを備える。
[0073] フレームMFは、振動などの外部影響から実質的に隔離された振動隔離フレームである。例えば、フレームMFは、ベースフレームの振動からフレームMFを隔離するように、音響制振マウント(図示せず)を介して接地上のベースフレーム(図示せず)によって支持可能である。これらの音響制振マウントは、ベースフレームによって、及び/又は隔離されたフレームMF自体によって導入される、振動を隔離するようにアクティブに制御可能である。
[0074] 図1Aに示されるデュアルステージリソグラフィ装置において、アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSは左側に提供され、投影システムPLは右側に提供される。投影システムPL、アライメントシステムAS、及びトポグラフィ測定システムTMSは、隔離されたフレームMFに接続される。
[0075] 支持構造MTは、第1の位置決めデバイスPMを介してフレームMFに移動可能に取り付けられる。第1の位置決めデバイスPMは、パターニングデバイスMAを移動させるため、及び、これをフレームMF(及び、フレームMFに接続された投影システムPL)に対して正確に位置決めするために、使用可能である。
[0076] 基板テーブルWT1、WT2は、それぞれ第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2を介して、フレームMFに移動可能に取り付けられる。第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2は、それぞれ、基板テーブルWT1、WT2によって保持される基板W1、W2を移動させるため、及び、基板W1、W2を、フレームMF(及び、フレームMFに接続された、投影システムPL、アライメントシステムAS、及びトポグラフィ測定システムTMS)に対して正確に位置決めするために、使用可能である。支持構造MT及び基板テーブルWT1、WT2は、まとめてオブジェクトテーブルと呼ぶことができる。第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2は、各々、放射ビームが基板Wのターゲット部分Cにわたってスキャンするように、放射ビームに対してスキャン経路に沿って基板テーブルWT1、WT2を移動させるように動作可能な、スキャン機構と見なすことができる。
[0077] したがって、図1Aに示されるリソグラフィ装置は、2つの基板テーブルWT1、WT2を有するタイプであり、デュアルステージ装置と呼ぶことができる。こうした「マルチステージ」機械において、2つの基板テーブルWT1、WT2は並列に使用され、予備工程が基板テーブルのうちの1つで実施される間に、他の基板テーブルは露光に使用される。予備工程は、レベルセンサLSを使用して基板の表面をマッピングすること、及びアライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマークの位置を測定することを含み得る。これにより、装置のスループットを大幅に増加させることができる。位置センサIFが、測定ステーション並びに露光ステーションにある間に、基板テーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションで基板テーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサを提供することができる。
[0078] 図1Aにおいて、基板テーブルWT1は左側に配設され、基板テーブルWT2は右側に配設されている。この構成において、基板テーブルWT1は、これによって保持される基板W1に関して、その基板W1の露光の前に、アライメントシステムAS(下記でより詳細に説明する)及びトポグラフィ測定システムTMSを使用して、様々な予備工程を実施するために使用することができる。同時に、基板テーブルWT2は、基板テーブルWT2によって保持される別の基板W2の露光に使用可能である。基板テーブルWT2によって保持される基板W2が露光され、基板テーブルWT1によって保持される基板W1に関して予備工程が実施されると、2つの基板テーブルWT1、WT2は場所をスワップする。その後、基板テーブルWT1によって保持される基板W1は放射に露光され、以前に放射に露光された基板テーブルWT2によって保持される基板W2は新しい基板に交換され、新しい基板に関して様々な予備工程が実行される。
[0079] したがって、2つの基板テーブルWT1、WT2の各々は、図1Aの左側又は右側のいずれかに配設可能である。特に記載のない限り、下記では、基板テーブルWT1は概してその時点で左側に配設されている基板テーブルを指し、基板テーブルWT2は概してその時点で右側に配設されている基板テーブルを指す。
[0080] 図1Bは、図1Aの2つの基板W1、W2のいずれかを表し得る基板Wの平面図を示す。下記において、特に記載のない限り、リソグラフィ装置の左側及び右側の基板は基板Wと呼ばれる。図1Cは、パターニングデバイスアライメントマーク(概略的に、ボックスM1、M2として示される)が提供された、パターニングデバイスMAの平面図を示す。
[0081] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば、透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば、上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)。
[0082] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。イルミネータILは、放射システムと呼ばれる場合がある。あるいは、放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと総称される場合がある。
[0083] イルミネータILは、ビームの強度分布を変更することができる。イルミネータは、イルミネータILの瞳面内の環状領域において強度分布が非ゼロであるように、放射ビームの半径範囲を制限するように配置可能である。追加又は代替として、イルミネータILは、瞳面内の等しい間隔で配置された複数のセクタにおいて強度分布が非ゼロであるように、瞳面内のビームの分布を制限するように動作可能でもある。イルミネータILの瞳面内の放射ビームの強度分布は、照明モードと呼ぶことができる。
[0084] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整する調整手段AMを備えていてもよい。通常、照明システムの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。イルミネータILは、イルミネータの瞳面内でビームの角度分布を変化させるように動作可能でもある。例えばイルミネータILは、強度分布が非ゼロである瞳面内のセクタの数、及び角度範囲を、変更するように動作可能であり得る。イルミネータILの瞳面内のビームの強度分布を調整することによって、異なる照明モードを達成することができる。例えば、イルミネータILの瞳面内の強度分布の半径及び角度範囲を制限することによって、強度分布は、当分野で周知の、例えば双極、四極、又は六極分布などの、多極分布を有することができる。所望の照明モードは、その照明モードを提供する光学系をイルミネータIL内に挿入することによって取得可能である。
[0085] イルミネータILは、ビームの偏光を変更するように動作可能であり得、調整手段AMを使用して偏光を調整するように動作可能であり得る。イルミネータILの瞳面にわたる放射ビームの偏光状態を、偏光モードと呼ぶことができる。異なる偏光モードの使用により、基板W上に形成されるイメージ内に、より強いコントラストを達成させることが可能になる。放射ビームは非偏光とすることができる。代替として、イルミネータILは、放射ビームを線形に偏光させるように配置可能である。放射ビームの偏光方向は、イルミネータILの瞳面にわたって変動可能であり、すなわち放射の偏光方向は、イルミネータILの瞳面内の異なる領域において異なり得る。放射の偏光状態は、照明モードに依存して選択することができる。
[0086] 加えて、イルミネータILは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他のコンポーネントを備える。イルミネータILは、その断面に所望の均一性及び強度分布を有する、調節された放射ビームPBを提供する。
[0087] 調節された放射ビームPBの形状及び(空間)強度分布は、イルミネータILの光学系によって定義される。スキャンモードにおいて、調節された放射ビームPBは、パターニングデバイスMA上に一般に矩形の放射帯域を形成するように可能である。放射帯域は、露光スリット(又はスリット)と呼ぶことができる。スリットは、長い方の辺(その長さと呼ぶことができる)及び短い方の辺(その幅と呼ぶことができる)を有し得る。スリットの幅はスキャン方向(図1におけるy方向)に対応し得、スリットの長さは非スキャン方向(図1におけるx方向)に対応し得る。スキャンモードにおいて、スリットの長さは、単一の動的露光において露光可能なターゲット部分Cの非スキャン方向の範囲を制限する。これに対して、単一の動的露光において露光可能なターゲット部分Cのスキャン方向の範囲は、スキャン動作の長さによって決定される。
[0088] 「スリット」、「露光スリット」、又は「帯域又は放射」という用語は、リソグラフィ装置の光軸に対して垂直な平面内でイルミネータILによって生成される放射の帯域を言い表すために、相互交換可能に使用することができる。この平面は、パターニングデバイスMA又は基板Wのいずれかにあるか、又はこれらに近いものとすることができる。「スリットプロファイル」、「放射ビームのプロファイル」、「強度プロファイル」、及び「プロファイル」という用語は、特にスキャン方向での、スリットの(空間)強度分布の形状を言い表すために、相互交換可能に使用することができる。
[0089] イルミネータILは、2つのマスキングブレード(図1AにBとして概略的に標示)を備える。2つのマスキングブレードの各々は、一般にスリットの長さに平行であり、2つのマスキングブレードはスリットの反対側に配設される。各マスキングブレードは、放射ビームPBの経路内に配設されていない陥凹位置と、放射ビームPBをブロックする挿入位置との間で、独立に移動可能である。マスキングブレードは、パターニングデバイスMA(及び、基板W)の面と共役な、イルミネータILの面内に配設される。こうした面は、フィールド面と呼ぶことができる。したがって、マスキングブレードを放射ビームの経路内に移動させることによって、放射ビームPBのプロファイルを鋭利に断ち切り、したがって、スキャン方向の放射ビームPBのフィールドの範囲を制限することができる。マスキングブレードを使用して、露光領域のどの部分が放射を受け取るかを制御することができる。
[0090] パターニングデバイスMAは、リソグラフィ装置のフィールド面内にも配設される。一実施形態において、マスキングブレード及びパターニングデバイスMAの両方が実質的に同じ面内にあるように、マスキングブレードをパターニングデバイスMAの近傍に配設することができる。代替として、マスキングブレードをパターニングデバイスMAから分離させて、各々がリソグラフィ装置の異なるフィールド面内にあるようにすること、及び、マスキングブレードとパターニングデバイスMAとの間に好適な合焦光学系(図示せず)を提供することが、可能である。
[0091] イルミネータILは、強度アジャスタIA(図1Aに概略的に表示)を備える。強度アジャスタIAは、次に説明するように、放射ビームの対向側面の放射ビームを減衰するように動作可能である。強度アジャスタIAは、対に配置された複数の可動フィンガを備え、各対はスリットの各側に1つのフィンガを備える(すなわち、フィンガの各対はy方向に分離される)。フィンガの対はスリットの長さに沿って配置される(すなわち、x方向に延在する)。各可動フィンガは、スキャン方向(y方向)に独立に移動可能である。すなわち、フィンガは、スリットの長さに対して垂直な方向に移動可能である。使用中、各可動フィンガはスキャン方向に独立に移動可能である。例えば、各可動フィンガは、少なくとも、放射ビームの経路内に配設されていない陥凹位置と、放射ビームを部分的にブロックする挿入位置との間で、移動可能であり得る。フィンガを移動させることによって、スリットの形状及び/又は強度分布を調整することができる。
[0092] フィールドは、フィンガが放射ビームPBを鋭利に切り取らないように、フィンガの周辺部にあり得る。フィンガの対を使用して、スリットの長さに沿って放射ビームPBの異なるレベルの減衰を適用することができる。
[0093] フィンガを使用して、例えば、スリットの幅にわたる放射ビームPBの強度プロファイルの全体が、スリットの長さに沿って実質的に一定であることを保証することができる。
[0094] イルミネータILを出る放射ビームPBは、支持構造MT上に保持されるパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射する。パターニングデバイスMAを横断すると、ビームPBは投影システムPLを通過し、基板Wのターゲット部分C上にビームを合焦させる。第2の基板位置決めデバイスPW2及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス)の助けを借りて、異なるターゲット部分CをビームPBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWT2をフレームMFに対して正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決めデバイスPW及び別の位置センサ(図1Aには明示的に示されていない)を使用して、例えば、マスクライブラリからの機械的取り出し後、又はスキャンの間に、パターニングデバイスMAをフレームMFに関して正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT及びWT1、WT2の移動は、位置決めデバイスPM、PW1、及びPW2の一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現されることになる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
[0095] 投影システムPLは、放射ビームPBに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを伴うイメージを形成することができる。例えば、縮小係数4を適用することができる。
[0096] スキャンモードにおいて、第1の位置決めデバイスPMは、スキャン経路に沿って、イルミネータILによって調節された放射ビームPBに対して支持構造MTを移動させるように動作可能である。実施形態において、支持構造MTは、一定のスキャン速度vMTでスキャン方向に線形に移動される。前述のように、スリットは、その幅がスキャン方向(図1のy方向と一致する)に延在するように、配向される。任意のインスタンスにおいて、スリットによって照明されるパターニングデバイスMA上の各ポイントは、基板Wの平面内の単一の共役ポイント上に投影システムPLによってイメージングされることになる。支持構造MTがスキャン方向に移動する際、パターニングデバイスMA上のパターンは、支持構造MTと同じ速度でスリットの幅にわたって移動する。特に、パターニングデバイスMA上の各ポイントは、速度vMTでスキャン方向にスリットの幅にわたって移動する。この支持構造MTの動作の結果として、パターニングデバイスMA上の各ポイントに対応する基板Wの平面内の共役ポイントは、基板テーブルWT2の平面内のスリットに対して移動することになる。
[0097] 基板W上にパターニングデバイスMAのイメージを形成するために、基板テーブルWT2は、パターニングデバイスMA上の各ポイントの基板Wの平面内の共役ポイントが基板Wに対して静止しているように移動される。投影システムPLに対する基板テーブルWT2の速度(大きさ及び方向の両方)は、投影システムPLの(スキャン方向の)縮小及びイメージ反転特徴によって決定される。特に、投影システムPLの特徴が、基板Wの平面内に形成されるパターニングデバイスMAのイメージがスキャン方向に反転されるようなものである場合、基板テーブルWT2は支持構造MTへと反対方向に移動されるはずである。すなわち、基板テーブルWT2の動作は、支持構造MTの動作に対して逆平行のはずである。更に、投影システムPLが縮小係数αを放射ビームPBに適用した場合、所与の時間期間内に各共役ポイントが進行する距離は、パターニングデバイス上の対応するポイントが進行する距離よりも係数αだけ短くなる。したがって、基板テーブルWT2の速度|vWT|の大きさは|vMT|/αとなるはずである。
[0098] ターゲット部分Cの露光の間、イルミネータILのマスキングブレードは、放射ビームPBの幅を制御するために使用可能であり、次に、パターニングデバイスMA及び基板Wそれぞれの平面内の露光領域の範囲を制限する。すなわち、イルミネータのマスキングブレードは、リソグラフィ装置のフィールド絞りとして働く。
[0099] スキャンモードを使用して、リソグラフィ装置は、基板Wのターゲット部分Cを、放射に対して実質的にエリアを固定して露光するように動作可能である。例えばターゲット部分Cは、一部、1つ、又はいくつかのダイを備える。単一のウェーハは、複数の工程で放射に露光可能であり、各工程はターゲット部分Cの露光と、それに続く基板Wの移動を含む。第1のターゲット部分Cの露光後、リソグラフィ装置は、別のターゲット部分Cを放射に露光できるように、投影システムPLに対して基板Wを移動するように動作可能であり得る。例えば、基板W上の2つの異なるターゲット部分Cの露光の間に、基板テーブルWT2は、露光領域を介していつでもスキャンできるように次のターゲット部分を位置決めするために、基板Wを移動するように動作可能であり得る。
[00100] 代替として、示された装置は別のモードで使用可能であり、支持構造MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持しながら本質的に静止しており、ビームPBに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される間、基板テーブルWT2は移動又はスキャンされる。このモードでは、一般に、パルス放射源が採用され、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWT2の各移動後、又はスキャン中の連続放射パルス間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のようなタイプのプログラム可能ミラーアレイなどの、プログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
[00101] 上述の使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は完全に異なる使用モードも使用することができる。
[00102] 更に下記で説明するように、アライメントシステムASは、左側の基板テーブルWT1上に保持される基板W上に提供された(図1BにおいてボックスP1、P2によって概略的に示される)アライメントマークの位置を測定する。加えて、トポグラフィ測定システムTMSは、左側の基板テーブルWT1上に保持される基板Wの表面のトポグラフィを測定するために使用される。第1の基板位置決めデバイスPW1及び位置センサ(図1Aには明示的に示されていない)は、フレームMF(並びに、アライメントシステムAS及びそれに接続されたトポグラフィ測定システムTMS)に対して基板テーブルWT1を正確に位置決めするために使用可能である。
[00103] トポグラフィ測定システムTMSは、基板W1の高さを示す信号s1を出力するように動作可能であり得る。アライメントシステムASは、基板W1又は基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークの位置を示す信号s2を出力するように動作可能であり得る。出力信号s1、s2はプロセッサPRによって受信される。
[00104] トポグラフィ測定システムTMSによって出力される信号s1は、基板W1の高さを決定するためにプロセッサPRによって分析可能である。プロセッサPRは、基板W1のトポグラフィのマップを発生させるために使用することができる。プロセッサPRはメモリを備えることができ、基板W1全体のトポグラフィに関する情報を記憶するように動作可能であり得る。基板W1の表面のトポグラフィは、高さマップと呼ぶことができる。基板W(図1Aの右側)の露光の間、投影システムPLの焦点面内に基板Wを維持することが望ましい。これを達成するために、基板テーブルWT2をz方向に移動させることが可能であり、基板テーブルWT2のこの移動は、(トポグラフィ測定システムTMSによって事前に決定された)基板Wの表面のトポグラフィに依存して決定される。
[00105] アライメントシステムASによって出力される信号s2は、基板W1及び基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークの位置を決定するために、プロセッサPRによって分析可能である。第1の基板位置決めデバイスPW1は、位置センサIF(位置センサIF又は測定ステーション専用の別の位置センサのいずれか)が基板テーブルWT1を測定する間に、今度は、各アライメントマークをアライメントシステムASの下方に位置決めするために、基板テーブルWT1を移動するように動作可能であり得る。初期工程として、第1の基板位置決めデバイスPW1は、基板テーブルWT1上の1つ以上のアライメントマークをアライメントシステムASの下方に位置決めするために使用可能であり、アライメントマークの各々の位置が決定される。その後、第1の基板位置決めデバイスPW1は、基板W1上の1つ以上のアライメントマークをアライメントシステムASの下方に位置決めするために使用可能であり、アライメントマークの各々の位置が決定される。例えば、各アライメントマークがアライメントセンサASの真下にある間に、位置センサによって決定された基板テーブルWT1の位置を記録することができる。事実上、基板テーブルWT1上のアライメントマークの位置を測定することにより、位置センサ(例えば、センサIF)によって決定された基板テーブルWT1の位置を(アライメントシステムASが接続されるフレームMFに対して)較正することが可能になる。基板W1上のアライメントマークの位置を測定することによって、基板テーブルWT1に対する基板W1の位置を決定することが可能になる。
[00106] プロセッサPRは、デジタル信号処理システムであると見なすことができる。プロセッサPRは、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを備えることができる。
[00107] アライメントシステムAS及びトポグラフィ測定システムTMSからのデータに加えて、プロセッサPRは、第1の基板位置決めデバイスPW1から、及び/又は位置センサ(例えば、センサIF)からの基板テーブルWT1位置情報(図1Aにおける信号s3を参照のこと)も受信する。基板は基板テーブルWT1に(典型的にはクランプを介して)固定されるため、アライメントシステムASからの情報を使用して、基板テーブルWT1に関する位置情報を基板Wに関する位置情報に変換することができる。
[00108] 装置は、記載される様々なアクチュエータ及びセンサのすべての移動及び測定を制御する、リソグラフィ装置コントロールユニット(図示せず)を備えることができる。リソグラフィ装置コントロールユニットは、装置の動作に関連する所望の計算を実装するための信号処理及びデータ処理能力を含むことができる。プロセッサPRは、リソグラフィ装置コントロールユニットの一部を形成することができる。実際には、リソグラフィ装置コントロールユニットは、各々がリアルタイムのデータ獲得、装置内のサブシステム又はコンポーネントの処理及び制御を取り扱う、多くのサブユニットのシステムとして実現可能である。例えば、1つの処理サブシステムが、第1及び第2の基板位置決めデバイスPW1、PW2のサーボ制御に専念することができる。別々のユニットが、粗動及び微動のアクチュエータ、又は異なる軸を取り扱うことさえも可能である。別のユニットは、位置センサIF(及び、使用される場合は、測定ステーション用の別の位置センサ)の読み出し専用となる可能性がある。装置の全体制御は、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータ、及び、リソグラフィ製造プロセスに関与する他の装置と通信する、中央処理ユニットによって制御可能である。
[00109] 図2A及び図2Bは、オブジェクト6のフィーチャ4の特徴を決定するための装置2の概略図である。
[00110] 装置2は、ポンプ放射源10、測定放射源12、及び測定システム14を備える。下記で更に詳細に説明するように、ポンプ放射源10及び測定放射源12は、どちらも、オブジェクト6の頂部表面8を照射するときに用いることが可能な放射を生成するように動作可能である。ポンプ放射源10及び測定放射源12は、ポンプ放射源10からの放射が測定放射源12からの放射に比べて異なる光路を介してオブジェクト6の頂部表面8に送達されるように、異なるデリバリシステムを有する。
[00111] フィーチャ4は、図2Aに示されるように、オブジェクト6の頂部表面8の上又は近傍に配設可能である。代替として、フィーチャ4は、図2Bに示されるように、オブジェクト6の頂部表面8の下方に配設可能である。
[00112] オブジェクト6は、例えばシリコンウェーハ(例えば、図1Bで基板Wとして概略的に示される)とすることができ、フィーチャ4はアライメントマーク(例えば、図1Bで基板アライメントマークP1、P2として概略的に示される)とすることができる。アライメントマークは、反射格子の形とすることができる。典型的には、材料の少なくとも1つ以上の層を、こうしたアライメントマークを覆って提供することができる。例えば、集積回路の製造において先行工程中に発生するレジスト層、反射防止コーティング、及び/又はプロセス層を、アライメントマークの頂部上に(すなわち、アライメントマークよりも頂部表面8に近く)配設することができる。一般に、こうしたアライメントマークは、オブジェクト6の頂部表面8から1μmから10μmの間に配設可能である。更に下記で説明するように、本明細書で使用される場合、フィーチャ4が頂部表面8の上又は近傍に配設されていることへのいずれの言及も、フィーチャ4は、測定放射20が頂部表面8からオブジェクト6内に侵入することが可能なオブジェクトの領域内にあることを意味し得る。同様に、本明細書で使用される場合、フィーチャ4が頂部表面8の下方に配設されていることへのいずれの言及も、フィーチャ4は、測定放射20が頂部表面8からオブジェクト6内に侵入することが不可能なオブジェクトの領域内にあることを意味し得る。
[00113] 測定放射源12は、測定放射20を生成するように動作可能である。オブジェクト6の頂部表面8は、測定放射20を用いて照射可能である。図2A及び図2Bで示される実施形態において、測定放射20は測定放射ビーム20の形であり、反射光学要素22(例えば、ミラー)を介して頂部表面8内に投影される。
[00114] 反射光学要素22は、測定放射20を用いてオブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部を照射するように動作可能な、測定放射デリバリシステム23の少なくとも一部を形成するものと見なし得る。図2A及び図2Bは概略表現であること、及び、実際には、測定放射デリバリシステム23は追加の光学コンポーネント(反射及び/又は屈折光学系)を備え得ることを理解されよう。測定放射デリバリシステム23は、測定放射源12とオブジェクト6の頂部表面8との間に配設されたすべての光学コンポーネントを備えるものと見なし得ることを理解されよう。
[00115] 測定放射デリバリシステム23が、測定放射20を用いてオブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部を照射するように動作可能であることへのいずれの言及も、測定放射デリバリシステム23が、測定放射20を用いて、使用中、オブジェクト6の頂部表面8と一致する平面の少なくとも一部を照射するように動作可能であることを意味するものと理解すべきであることを理解されよう。使用中、オブジェクト6の頂部表面8と一致する平面を、オブジェクト面と呼ぶことができる。
[00116] 測定システム14は、頂部表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24を受け取るように動作可能である。これに関連して、頂部表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24は、測定放射ビーム20が頂部表面8からオブジェクト6内へと侵入することが可能な頂部表面8の近傍の本体6の領域から散乱可能であることを理解されよう。測定システム14は、頂部表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24から、オブジェクト6のフィーチャ4の特徴を決定するように、更に動作可能である。例えば、測定システム14は、オブジェクト6の頂部表面8から散乱する測定放射ビーム20の一部24から、オブジェクト6内のフィーチャ4(例えば、アライメントマーク)の位置を決定するように動作可能であり得る。
[00117] 測定システム14は、センサ26及びプロセッサ28を備える。センサ26は、頂部表面8から散乱する放射24を検出するように、及び、フィーチャ4の位置に関する情報を含む信号30を出力するように、動作可能である。プロセッサ28は、センサ26から信号30を受信するように、及び、それに基づいて、例えば基板テーブルに対するフィーチャ4の位置を決定するように、構成される。
[00118] ポンプ放射源10は、ポンプ放射16を生成するように動作可能である(図2Bを参照のこと)。オブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部は、ポンプ放射16を用いて照射可能である。図2A及び図2Bに示された実施形態において、ポンプ放射16は、ポンプ放射デリバリシステム17を介して頂部表面8を通って投影されるポンプ放射ビーム16の形である。ポンプ放射デリバリシステム17は、オブジェクト6内に機械的応答を生成するために、ポンプ放射ビーム16を用いてオブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部を照射するように動作可能である。本発明の実施形態の下記の説明において、オブジェクト6内の機械的応答は音波である。しかしながら、一般に機械的応答は、ポンプ放射ビーム16の吸収によって生じる任意の形のオブジェクト6の加熱又は熱膨張を含む、オブジェクト6によるポンプ放射ビーム16の吸収の結果として生じる任意の物理的効果であり得ることを理解されよう。一般医、機械的応答は、例えば機械的波動(進行波又は定常波のいずれか)とすることができる。こうした機械的波動は、音波、又は例えば自由電子の拡散などの任意の他の熱伝搬を含み得ることを理解されよう。図2A及び図2Bは概略的表現であること、及び、ポンプ放射デリバリシステム17は、ポンプ放射源10とオブジェクト6の頂部表面8との間に配設されるすべての光学コンポーネント(反射及び/又は屈折光学系)を備えるものと見なし得ることを理解されよう。
[00119] オブジェクト6内に機械的応答を発生させるために、ポンプ放射ビーム16は、時間と共に変動する強度を有することができる。例えばポンプ放射ビーム16は、パルス放射ビームとすることができる。本発明の実施形態の下記の説明において、ポンプ放射ビーム16はパルス放射ビームである。しかしながら、一般に、ポンプ放射ビーム16は任意の時間変調を有する強度を有し得ることを理解されよう。
[00120] ポンプ放射デリバリシステム17がポンプ放射16を用いてオブジェクト6の頂部表面8を照射するように動作可能であることへのいずれの言及も、ポンプ放射デリバリシステム17が、ポンプ放射16を用いて、使用中、オブジェクト6の頂部表面8と一致するオブジェクト面の少なくとも一部を照射するように動作可能であることを意味するものと理解すべきであることを理解されよう。
[00121] 使用中、ポンプ放射16が使用されているとき、パルスポンプ放射ビーム16は、フィーチャ4の上方に配設された頂部表面8のビームスポット領域18上に入射する。ポンプ放射源10は超高速レーザとすることができる。こうした超高速レーザは、多種多様な材料の内部に音波を発生させることが可能であることが既知である。このプロセスにおいて、パルスポンプ放射ビーム16の光エネルギーは、オブジェクト6の領域内で光誘起応力に変換される。内部に音波が発生するオブジェクト6のこの領域は、頂部表面8にあり得るか、又はその近傍にあり得る。内部に音波が発生する領域は、パルスポンプ放射ビーム16が頂部表面8から侵入することが可能な領域となることを理解されよう。例えばこれは、頂部表面8の下に配設される不透明層とすることができる。すなわち、内部に音波が発生する領域は、オブジェクト6内の一番上の材料ではない(すなわち、頂部表面8に最も近い層ではない)層とすることができる。例えば、内部に音波が発生する層の頂部上に(すなわち、層よりも頂部表面8の近くに)レジストの層が存在し得る。追加又は代替として、内部に音波が発生する層の上方に(すなわち、層よりも頂部表面8の近くに)、例えば反射防止コーティングなどの、材料の1つ以上の層が存在し得る。内部に音波が発生する領域の深度は特徴深度として知られ、オブジェクト6の材料特性及びパルスポンプ放射ビーム16の特徴の両方に依存する。このプロセスは、オブジェクト6内にコヒーレントな音波を生成することができる。音波は、内部に音波が発生する領域から離れて伝搬し得、また特に、頂部表面8から離れて、及び不透明材料の1つ以上の層を介して、伝搬し得る。追加又は代替として、音波は定常波とすることができる。
[00122] 当業者であれば、これに関連して、超高速レーザという用語は、相対的に小さな時間持続期間を伴うパルスを出力するレーザを意味するものであることを理解されよう。超高速レーザという用語は、およそナノ秒、ピコ秒、フェムト秒又はそれ未満の時間持続期間を伴うパルスを出力するように動作可能なレーザを含むことができる。超高速レーザは、例えば、およそ数十ピコ秒又はそれ未満の時間持続期間を伴うパルスを出力するように動作可能であり得る。こうした超高速レーザは典型的にはモードロックレーザである。
[00123] ポンプ放射ビーム16の十分に短いパルスの場合、発生する音響パルスの幅、又は時間範囲は、大部分は、(頂部表面8から特徴深度内の材料の層における)ラチスが、電子(すなわち、電子−フォノン結合)を加熱するポンプパルスにいかに高速に反応することができるか、及び、層の媒体内で電子がいかに遠くまで進行できるかによって、決定される。典型的には、音響パルスの時間範囲はおよそ10psである。次に、発生する音波の周波数は、音波のパルスの時間持続期間の逆数にほぼ等しい。およそ10psの時間範囲を伴う音響パルスの場合、周波数はおよそ100GHzとなる。パルスポンプ放射ビーム16の単一パルスにとって最適な持続期間は、特定材料において使用可能な最高音響周波数にほぼ逆比例し得る。典型的な材料において使用可能な最高音響周波数は、およそ100GHzであり得、結果として、およそ10psのパルスポンプ放射ビーム16の単一パルスにとって最適な持続期間を生じさせる。同様のエネルギーでより短いパルスは、オブジェクト6の損傷につながる可能性がより高い。
[00124] 音波は、伝搬する際に介する材料に依存した音の速さで伝搬する。金属における典型的な音の速さは数千m/sである。例えば金における音の速さは、およそ6000m/sである。所与の材料における音波の波長は、音波の周波数に対するその材料における音の速さの比によって与えられる(上記で説明したように、オブジェクト6の頂部表面8に近い材料の特性に主に依存する)。1000から10,000m/sの範囲内の音の速さ、及びおよそ100GHzの周波数の場合、音波の波長はおよそ10から100nmとなる。およそ100psの時間範囲を伴う音響パルスの場合、周波数はおよそ10GHzとなる。1000から10,000m/sの範囲内の音の速さ、及びおよそ10GHzの周波数の場合、音波の波長はおよそ100から1000nmとなる。
[00125] 本明細書に含まれる、パルスポンプ放射ビーム16のパルスの時間持続期間、発生する音波の周波数、オブジェクト内の音の速さ、及び音波の波長のうちの、いずれかの量についての特定の値又は範囲のいずれの考察も、単なる例であることを理解されよう。本発明の実施形態は、上記で考察した量とは異なる量の値を有し得ることを理解されよう。
[00126] 装置2は、次に考察するように、2つの異なる動作モードでオブジェクト6のフィーチャ4の特徴(例えば、フィーチャ4の位置)を決定するために使用可能である。
[00127] 図2Aに概略的に示されるように、装置2は、フィーチャ4から直接散乱した測定放射24を使用してフィーチャ4の特徴を決定するように動作可能であり得る。これを、第1の動作モードと呼ぶことができる。第1の動作モードは、例えば、フィーチャ4が頂部表面8の上又は近傍に配設されるときに使用可能である。これに関連して、フィーチャ4が頂部表面8の上又は近傍に配設されているということは、測定放射20が頂部表面8から侵入することが可能なオブジェクトの領域内にフィーチャ4が存在することを意味し得ることを理解されよう。
[00128] 追加又は代替として、図2Bに概略的に示されるように、装置2は、ポンプ放射16及び測定放射20の両方をポンプ−プローブ配置として使用し、フィーチャ4の特徴を決定するように動作可能であり得る。第1にポンプ放射16は、オブジェクト6内に音波を生成するために使用される。ポンプ放射16によって発生した音波は、オブジェクト6を介して伝搬し得、その一部はフィーチャ4によって散乱され、頂部表面8へと戻るように伝搬し得る。その後、測定放射20は、フィーチャ4の1つ以上の特徴を間接的に決定するように、オブジェクト6の頂部表面8を探査するために使用される。これを、第2の動作モードと呼ぶことができる。第2の動作モードは、例えば、フィーチャ4が頂部表面8の下方に配設されるとき、また特に、不透明材料(例えば、金属から形成される不透明層)が頂部表面8とフィーチャ4との間に配設されるときに、使用可能である。
[00129] したがって、第2の動作モードで動作するとき、装置2は、ポンプ−プローブ法と呼ぶことができる方法を実装するために使用可能である。ポンプ放射デリバリシステム17は、オブジェクト6内に音波を生成するように、パルスポンプ放射ビーム16を用いてオブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部を照射するように動作可能である。測定放射デリバリシステム23は、これらの光学的に発生した音波を検出又は探査するために使用可能な、測定放射ビーム20を用いて、オブジェクト6の頂部表面8の少なくとも一部を照射するように動作可能である。(1)伝搬応力は金属ラチスの変位を生じさせること、及び、(2)音波に関する応力は、光弾性効果を介した誘電率の変化を誘発すること、という、光学方法を用いて観測可能な2つの効果を発生させることが知られている。
[00130] 測定システム14によって頂部表面8から散乱する測定放射ビーム20の少なくとも一部24から、オブジェクト6のフィーチャ4の特徴を決定することは、第1と第2の動作モードで異なる可能性があることを理解されよう。
[00131] 一実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、約50fsの時間範囲を伴うパルスを含むことができる。別の実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、およそ1psの時間範囲を伴うパルスを含むことができる。パルスポンプ放射ビーム16は、所望に応じて任意の好適な波長を有し得る。パルスポンプ放射ビーム16の波長は、基板W上のフォトレジストの露光を減少させるように選択可能である。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、約400nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、基板W上のフォトレジストの露光を更に減少させるように400nmよりも大きな波長を有し得る。いくつかの実施形態において、パルスポンプ放射ビーム16は、400から800nmの範囲内の波長を有し得る。
[00132] 少なくとも装置が第2の動作モードで動作しているとき、測定放射ビーム20は、パルスポンプ放射ビーム16のパルスの時間範囲と同じ桁数の時間範囲を伴うパルスを含むことができる。測定放射ビーム20は、所望に応じて任意の好適な波長を有し得る。測定放射ビーム20の波長は、基板W上のフォトレジストの露光を減少させるように選択可能である。いくつかの実施形態において、測定放射ビーム20は、400から800nmの範囲内の波長を有し得る。例えばいくつかの実施形態において、測定放射ビーム20はおよそ500nmの波長を有し得る。
[00133] パルスポンプ放射ビーム16によって発生する音波は、オブジェクト6を介して伝搬し得、その一部はフィーチャ4によって反射され、頂部表面8へと戻るように伝搬することが可能である。装置2の第2の動作モードは、電磁放射がそれを介して伝搬できない(例えば、金属から形成される不透明層を有する)不透明材料を含むオブジェクトへの特定の適用を有する。音波は、こうした不透明層を介したフィーチャ4の探査を可能にする。約100nmの厚みを伴う金属層の下に配設された(すなわち、頂部表面8とフィーチャ4との間に金属層が配設された)反射回折格子を備えるフィーチャ4の場合、頂部表面8上に形成される音響信号は、約0.1sの時間内に1nm未満の確度で位置測定を達成するのに十分強力であり得る。
[00134] 装置2は、複数の材料の層を備えるオブジェクト、例えば、集積回路の複数の層が上に形成された基板Wへの、特定の適用を有し得る。
[00135] オブジェクト6内に音波が発生したとき、一般に、異なる音響特性を伴う2つの材料層の間のあらゆるインターフェースが音響反射を生成することになる。すなわち、任意のこうしたインターフェース上に入射する音波の一部が反射されることになる(及び、別の部分は伝送されることになる)。反射部分の振幅及び反射部分の位相シフト(相対入射波)は、それぞれの層の材料特性に依存する。複数層を備えるシリコンウェーハの場合、近傍の層間の各インターフェースは音響反射を発生させる。オブジェクト6の頂部表面8において形成される信号は、多くのこうした反射の重畳であり得、オブジェクト6の頂部表面8において潜在的に複雑な音響エコーが形成されることにつながる。
[00136] 装置2は、第1及び第2の動作モードのうちのいずれか1つにおいて動作可能な配置を提供する。したがってこの配置は、任意選択として、典型的には従来技術の位置検出器又はアライメントセンサによって提供される、第1の動作モードに加えて第2の動作モードの機能性を提供する。
[00137] 更に、装置2は、測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17の両方を備える。したがって装置2は、2つの異なる放射デリバリシステム(測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17)を備える。こうした配置は、次に考察するように、ポンプ放射16及び測定放射20がいくつかの理由で共通のデリバリシステムを共有する配置よりも有利である。
[00138] 第2の動作モードにおける動作は、不透明材料が頂部表面8とフィーチャ4との間に配設されているときでさえ、フィーチャ4の特徴の測定を可能にするため、有利である。しかしながら、フィーチャ4が頂部表面8の上又は近傍に配設されているとき、第1の動作モードを使用することによって、より高い確度が達成され得る。したがって、第1と第2の動作モードを切り替えることができることが望ましい可能性がある。第1の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源10はオフに切り替えられ、第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源10はオンに切り替えられる。
[00139] オブジェクト6内に音波を発生させるために、典型的にはポンプ放射源10の強度は高い。次に、音波を誘発するために必要なポンプ放射10(典型的には一連のレーザパルスを含む)の典型的な強度は、著しい加熱を生じさせる可能性がある。したがって、第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射16はポンプ放射16によって使用されるデリバリシステムの著しい熱膨張を生じさせ得る。しかしながら、第1の動作モードで動作しているとき、こうした加熱、及び結果として生じるポンプ放射16によって使用されるデリバリシステムの熱膨張は生じない。ポンプ放射16及び測定放射20が共通のデリバリシステムを共有する場合、異なるレベルの熱膨張に起因して、第1と第2の動作モードで動作しているときにデリバリシステムにおいて著しい差が存在することになる。次にこれが、測定放射20(共通のデリバリシステムを共有する)、及び、散乱した測定放射24から導出される決定されたフィーチャ4の特徴に影響を及ぼす。図2A及び図2Bに示された装置2は、この問題を回避する。
[00140] 加えて、別のポンプ放射デリバリシステム17を介してポンプ放射16を提供することによって、装置2は、ポンプ放射源10及びポンプ放射デリバリシステム17を簡単な方法で既存のアライメントセンサにレトロフィットできるようにする配置を提供する。これにより、費用及び作業を最小限にしながら第2の動作モードの追加の機能性を提供するように、既存のアライメントシステムをアップグレードできるようになる。
[00141] 別のデリバリシステム(ポンプ放射デリバリシステム17及び測定放射デリバリシステム23)を介して、ポンプ放射16及び測定放射20を提供することで、2つのデリバリシステムの各々の光学系を、デリバリする放射にとってより適切に最適化することが可能となる。例えば、デリバリシステムの各々における光学要素の波長依存パラメータ(例えば、多層コーティング、焦点長さなど)が、これらの波長のうちの異なる波長に適合できるようにしながら、ポンプ放射16及び測定放射20が異なる波長を有することを可能にし得る。更に、一般に、2つの異なる放射ビームのビームスポットのサイズが異なることが望ましい場合があることを理解されよう。加えて、オブジェクト6の頂部表面8から散乱するいずれのポンプ放射16も、測定システム14によって受け取られることが望ましくない場合がある。
[00142] 測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17の両方を備える装置2とは、装置2が2つの異なる放射デリバリシステム(測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17)を備えることを意味するものと意図されることを理解されよう。これにより、測定放射デリバリシステム23の少なくとも一部がポンプ放射デリバリシステム17の少なくとも一部から分離しているか又は別個であることを意味することを更に理解されよう。しかしながら、測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17は、1つ以上の共通要素を共有し得ることを理解されよう。特に、装置2が測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17の両方を備えるということは、オブジェクト6に最も近い測定放射デリバリシステム23の少なくとも一部が、オブジェクト6に最も近いポンプ放射デリバリシステム17の少なくとも一部から分離しているか又は別個であることを意味することが意図される。
[00143] 図2A及び図2Bからわかるように、測定放射デリバリシステム23及びポンプ放射デリバリシステム17は、(図2Bにおけるオブジェクト6の頂部表面8に一致する)オブジェクト面におけるポンプ放射16の入射角が、オブジェクト面における測定放射20の入射角とは異なるように構成される。更に、ポンプ放射デリバリシステム17は、ポンプ放射16が非ゼロの入射角でオブジェクト面上に入射するように構成される。
[00144] 典型的には、ポンプ−プローブ配置において、ポンプ放射及びプローブ放射の両方が、オブジェクト上に法線入射(すなわち、ゼロ入射角での入射)する。更に、位置測定システム(例えば、リソグラフィシステム内で使用するためのアライメントセンサ)との関連において、当業者であれば、オブジェクト6内で発生する音波は、一般に、オブジェクト6の頂部表面8に対して垂直に(頂部表面からフィーチャへと離れて、及び頂部表面へと戻るように、の両方に)伝搬することが重要であることを理解されよう。これにより、フィーチャ4の形状(例えば、反射回折格子)が、又は少なくともフィーチャ4の変形コピーについて、頂部表面8上の(頂部表面8に平行な面における)実質的に同じ位置に再生成できるようになる。オブジェクト6内に発生する音波が、オブジェクト6の頂部表面8に対して垂直でない方向に伝搬する場合、測定ビーム20を使用して探査される頂部表面8上に生成されるいずれの信号も、頂部表面8に平行な面内でフィーチャ4に関してシフトされ得る。こうした効果は、位置測定の誤差に寄与することになる。当業者であれば、非ゼロの入射角のポンプ放射を用いてオブジェクト6の頂部表面8を照明することは、頂部表面8に対して垂直に伝搬しない音波を生成することであると予想し得るため、当業者はこれを考慮しないことになる。
[00145] しかしながら、この先入観に反して、本発明の発明者等は、たとえポンプ放射16がオブジェクト6の頂部表面8において非ゼロの入射角で入射する場合であっても、オブジェクト6内で励起され発生した音波は、依然としてオブジェクト6の頂部表面8に対して垂直に進行することになるものと了解した。これは、(およそ数千m/sの)オブジェクト6内の音の速さが光の速さよりも5桁小さいためである。
[00146] ポンプ放射16が非ゼロの入射角でオブジェクト面上に入射するようにポンプ放射デリバリシステム17を構成することによって、測定放射20がオブジェクト6上に法線入射(すなわち、ゼロ入射角で入射)するように測定放射デリバリシステム23を構成することができる。これは、特定の回折次数が相互に干渉し合うこと、及び/又は、測定システム14が、フィーチャ又は異なるピッチの範囲を伴うアライメントマークのために働くことを、保証するため、有利であり得る。
[00147] 一実施形態において、ポンプ放射デリバリシステム17は光ファイバを含む。
[00148] 次に、図2A及び図2Bに示される装置2の動作を、図3を参照しながら更に説明する。図3に示されるように、装置2はコントローラ32を更に備える。コントローラ32は、第1の動作モードと第2の動作モード(すなわち、上記で説明したポンプ−プローブ法)との間で動作を切り替えるために、装置2のコンポーネントを制御するように動作可能である。
[00149] コントローラ32は、測定放射源12及びポンプ放射源10を、それぞれ制御信号34、36を介して制御するように動作可能である。コントローラ32は、第1の動作モード又は第2の動作モードのいずれかで動作するように動作可能である。コントローラ32が第1の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源10はポンプ放射16を生成しない。コントローラが第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源10は、少なくとも一部の時間においてポンプ放射16を生成する。これに関連して、コントローラ32が第2の動作モードで動作しているとき、ポンプ放射源10はポンプ放射16を間欠的に(例えば、パルスレーザビームとして)生成している可能性があることを理解されよう。
[00150] コントローラ32は、測定放射の1つ以上の特徴又はパラメータを制御するように動作可能であり得る。例えば測定放射源12は、第1の測定放射又は第2の測定放射の少なくともいずれかを生成するように動作可能であり得る。コントローラ32は、第1の動作モードで動作しているとき、第1の測定放射を生成するために測定放射源12を(例えば、制御信号34を介して)制御するように、及び、第2の動作モードで動作しているとき、第2の測定放射を生成するために測定放射源を制御するように、動作可能であり得る。
[00151] 前述のように、典型的にはポンプ放射源10は、様々な異なる材料の内部に音波を発生させることが可能な超高速レーザを備える。装置2が第2の動作モードで動作しているとき、測定放射20は、ポンプ放射16と実質的に同じ時間持続期間を伴うパルスを備え得る。これを第2の測定放射とすることができる。任意選択として、装置2が第1の動作モードで動作しているとき、測定放射20は、ポンプ放射16のパルスとは異なる時間持続期間を伴うパルスを備え得る。これを第1の測定放射とすることができる。
[00152] いくつかの実施形態において、測定放射システム14がオブジェクト6のフィーチャ4の特徴を決定する、測定放射24の角度分布が制御可能であり得る。
[00153] フィーチャ4は、一般に、測定放射20を複数の回折次数に散乱させるように構成された反射回折格子の形とすることができる。図4から図6を参照しながら更に下記で説明するように、フィーチャ4の特徴(例えば、フィーチャ4の位置)に関する情報は、±n次の回折次数に含まれ得、n=1、2、3、・・・である。オブジェクト6から散乱する任意の他の放射は、特徴を決定することが可能な確度に影響を与える可能性がある、この信号に対するバックグラウンドを形成し得る。信号に対するバックグラウンドを形成し得るこうした散乱する放射は、任意の鏡面反射(0次回折ビームを形成するものと見なし得る)及び/又は拡散反射を含むことができる。したがって、鏡面反射ビーム(又は等価として、0次回折ビーム)の方向を中心とする角度範囲内でオブジェクト6から拡散される放射をブロックするように配置された、0次絞りを提供することが望ましい可能性がある。これを、瞳フィルタと呼ぶことができる。0次絞り又は瞳フィルタは調整可能であり得る。
[00154] コントローラ32は、測定放射システム14が制御信号38を介してオブジェクト6のフィーチャ4の特徴を決定する、測定放射24の角度分布を制御するように動作可能であり得る。コントローラ32は、コントローラ32が第1の動作モードで動作しているときに第1の角度分布から、及び、コントローラ32が第2の動作モードで動作しているときに第2の角度分布から、オブジェクト6のフィーチャ4の特徴が決定されるように、動作可能であり得る。
[00155] コントローラ32が第2の動作モードで動作しているとき、測定放射20はフィーチャ4を直接探査しておらず、むしろ、フィーチャ4から散乱する音波によって頂部表面8上に形成される信号を探査している。したがって、コントローラ32が第2の動作モードで動作しているときに測定放射システム14によって受信される信号(すなわち、散乱放射24)は、コントローラ32が第1の動作モードで動作しているときに測定放射システム14によって受信される信号(すなわち、散乱放射24)と比べて、減少し得る。したがって、例えば、測定の信号対バックグラウンド比を向上させるように、第2の動作モードで動作しているときの0次ブロックのサイズを増加させることが有利であり得る。
[00156] いくつかの実施形態において、ノイズに対する測定システム14のセンサ26の感度は制御可能である。典型的には、センサ26は感知要素のアレイを備えることができる。センサ26は、フィードバックレジスタを備え得る制御エレクトロニクスを備えることができる。ノイズに対する測定システムのセンサ26の感度は、フィードバックレジスタの提供に依存し得る。フィードバック抵抗を制御可能にするために、可変レジスタ又はレジスタ及びスイッチのシステムが提供可能である。
[00157] コントローラ32は、コントローラ32が第1の動作モードで動作しているとき、センサ26はノイズに対する第1の感度を有し、コントローラ32が第2の動作モードで動作しているとき、センサ26はノイズに対する第2の感度を有するように、ノイズに対する測定システム14のセンサ26の感度を制御するように動作可能であり得る。上記で説明したように、
コントローラ32が第2の動作モードで動作しているときに測定放射システム14によって受信される信号(すなわち、散乱放射24)は、コントローラ32が第1の動作モードで動作しているときに測定放射システム14によって受信される信号(すなわち、散乱放射24)と比べて、減少し得る。したがって、例えば、測定の信号対バックグラウンド比を向上させるように、第2の動作モードで動作しているときのノイズに対する測定システム14のセンサ26の感度を減少させることが有利であり得る。これは、第1の動作モードで動作しているときに第1のフィードバック抵抗を使用すること、及び、第2の動作モードで動作しているときに第2のフィードバック抵抗を使用することによって達成可能であり、第2のフィードバック抵抗の値は第1のフィードバック抵抗の値よりも大きい。第2の(より大きな)フィードバック抵抗を使用しているときのセンサ26の帯域幅又は速さは、第1の(より小さな)フィードバック抵抗を使用しているときの動作に比べて減少し得る。
[00158] 光誘起された音波を使用してオブジェクト6内のフィーチャ4を探査するための、前述の装置及び方法において、パルスポンプ放射ビーム16の任意の好適な波長を使用することができる。発生する音響波長のスペクトルは、例えば、放射の侵入深さが波長と共に著しく変動する場合、パルスポンプ放射ビーム16の波長に依存し得る。次に、発生する音響波長のスペクトルは、ポンプの最適な時間形状に対して影響を与える可能性がある。しかしながら、こうした影響はより高次の影響であると考えられる。したがって、頂部表面8(典型的には音波が発生する場所である)における所与の材料に最適な波長が存在し得るが、方法が波長の選択に非常に敏感になるとは予想されない。
[00159] 多数の反復層を伴うオブジェクト8において、こうした構造内に形成され得る定常音波に対応する、特定の音響共振周波数が予想可能である。これらの周波数は、第2の動作モードで動作しているときに(使用するか又は回避するかのいずれかを)考慮することが重要であり得る。オブジェクト内の近傍層(例えば、上方及び下方の層)に関して大きな音響インピーダンス不一致を有する単一層に対して、音響共振が生じる。例えば、2つの低密度層(例えば、フォトレジスト又は二酸化ケイ素)間に配設される高密度層(例えば、金属層)について、音響共振を予想することが可能である。こうした配置は、結果として、高密度層の両側に音響インピーダンス不一致を生じさせる。
[00160] 等しく間隔を置いて配置されたパルスの列を備えるパルスポンプ放射ビーム16は、いくつかの実施形態において有用であり得る、より狭い音響スペクトルを生じさせることができる。例えば、最適な音響スペクトル内に発生する音響エネルギーの量を最適化することが有利であり得る。最適な音響スペクトルは、例えば、フィーチャ4の構造を解決するのに十分短い音響波長(例えば、回折格子4の深度の2倍の長さを超えない波長)を備えることができる。追加又は代替として、最適な音響スペクトルは、例えば、受入れ不能な量が減衰されないように十分長い波長を備えることができる。
[00161] 測定システム14によって実行される測定は、任意の好適な検出ジオメトリを使用することができ、単一ピクセル検出器、あるいは干渉計検出又はカメラベース検出システムとすることが可能である。
[00162] 測定放射源12及び測定システム14は、所望に応じて、任意の既知のアライメントシステム又はアライメントセンサの一部を形成することができる。例えばいくつかの実施形態において、測定システム14は、正及び負の回折次数の位相を比較することによって、アライメント格子の位置を決定するように動作可能であり得る。例えば、プラス及びマイナスの1次回折ビーム(及び/又は、プラス及びマイナスの3次、5次などの回折ビーム)の位相を比較することができる。この比較は、自己参照干渉計を使用して正及び負の回折ビームを相互に干渉させることによって実行可能である。全信号は、例えばフォトダイオードについて測定することができる。アライメント格子をスキャンすることによって、結果として周期的アライメント信号が生じ、そこからアライメント位置が取り出される。次に、図4から図6を参照しながらこうしたシステムの例を説明する。
[00163] 図4(a)は、それぞれX位置及びY位置の測定について、基板W上に提供可能なアライメントマーク202、204の例を示す。この例における各アライメントマークは、基板に印加されるか又はエッチングされるプロダクトレイヤ又は他の層内に形成される一連のバーを備える。バーは規則的に間隔を空けて配置され、アライメントマークを、十分に周知の空間的周期(ピッチ)を伴う回折格子として見なすことができるような格子線として作用する。X方向のアライメントマーク202上のバーは、X方向の周期性を提供するためにY軸に平行であり、Y方向のアライメントマーク204のバーは、Y方向の周期性を提供するためにX軸に平行である。アライメントシステムAS(図1に示される)は、正弦波などの周期的変動信号を取得するために、放射のスポット206(X方向)、208(Y方向)を用いて各アライメントマークを光学的にスキャンする。この信号の位相は、アライメントセンサに対するアライメントマークの、及びしたがって基板Wの、位置を測定するために分析され、アライメントセンサは装置のフレームMFに対して固定される。スキャン移動は幅広矢印によって概略的に示され、スポット206又は208の進行位置は点線の輪郭内に示される。アライメントパターン内のバー(格子線)のピッチは、典型的には、基板上に形成されることになるプロダクトフィーチャのピッチよりもかなり大きく、アライメントシステムASは、基板にパターンを印加するために使用されることになる露光放射よりもかなり長い放射の波長(又は、通常、複数の波長)を使用する。しかしながら、多数のバーは反復信号の位相の正確な測定を可能にするため、微細な位置情報が取得できる。
[00164] 粗いマーク及び微細なマークが提供できるため、アライメントセンサは、周期信号の異なるサイクル、並びにサイクル内の正確な位置(位相)を区別することができる。このため、異なるピッチのアライメントマークも使用可能である。これらの技法も当業者に周知であるため、本明細書では詳細に説明しない。こうしたセンサの設計及び動作は当分野で周知であり、各リソグラフィ装置はそれ自体のセンサの設計を有し得る。アライメントシステムASは、一般に、米国特許第6961116号(den Boef等)に記載された形とすることができる。図4(b)は、同様のアライメントシステムと共に使用するための修正済みアライメントマークを示し、照明スポット206又は208を用いる単一の光学スキャンを介して、X位置及びY位置が取得可能である。アライメントマーク210は、X軸及びY軸の両方に対して45度で配置されたバーを有する。この組み合わせられたX及びY測定は、公開された米国特許出願第2009/195768A号(Bijnen等)に記載された技法を使用して実行可能である。
[00165] 上記の考察から、アライメントマーク202、204、210は、例えば、不透明であり得る1つ以上のプロセス層によって覆われた、オブジェクトの頂部表面の下方にあり得ることを理解されよう。第2の動作モードで動作するとき、図2A及び図2Bに示される装置2、及び関連付けられた方法は、音波を使用して、下にあるアライメントマークに依存する、こうしたオブジェクトの頂部表面上に信号を発生させるために使用可能である。これが、アライメントシステムASが放射のビームスポット206、208を用いて光学的にスキャンする信号である。上記で説明したように、音波は、少なくとも2つの異なる光学方法を用いて観測可能な信号を生成する。第1に、伝搬応力が金属ラチスの変位を生じさせる可能性がある。例えば、定常頂部表面音波が、オブジェクト6の頂部表面8上に発生し得、下にあるアライメントマークをミラーリングする。この頂部表面音波は、アライメントセンサASのための回折格子として作用し得る。追加又は代替として、音波に関する応力は光弾性効果を介して誘電率の変化を誘発し、その結果、オブジェクト6の頂部表面8によって散乱する(例えば、反射する)放射の量に局所的差異を生じさせる可能性がある。頂部表面8の反射性におけるこれらの差異は、位置を決定するためにアライメントセンサASによって使用可能である。
[00166] 図5は、既知のアライメントセンサASの概略ブロック図である。照明源220は、対物レンズ224を介してスポットミラー223によって、基板W上に配置された、アライメントマーク202などのアライメントマーク上へそらされる、1つ以上の波長の放射の測定ビーム222を提供する。図5に概略的に示されるように、前述の米国出願第6961116号に基づく本アライメントセンサの例において、アライメントマーク202が照明される際に使用される照明スポット206は、アライメントマーク自体の直径、ひいては幅がわずかに小さい可能性がある。
[00167] アライメントマーク202によって回折される放射は、対物レンズ224によってピックアップされ、情報保持ビーム226にコリメートされる。自己参照干渉計228は、前述の米国出願第6961116号に開示されたタイプであり、ビーム226を処理し、(各波長について)別々のビームをセンサアレイ230上へと出力する。この時点でスポットミラー223は、便宜上、0次絞りとして働くため、情報保持ビーム226は、アライメントマーク202からのより高次の回折放射のみを備えることになる(これは測定にとって必須ではないが、信号対ノイズ比を向上させる)。センサ格子230内の個別のセンサからの強度信号232は処理ユニットPUに提供され、図1のプロセッサPRの一部を形成し得る。ブロック228における光学処理及びユニットPUにおける計算処理の組み合わせによって、基準フレームRFに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。処理ユニットPUは、設計選択及び利便性の問題として、図1に示されるコントロールユニットLACUから分離し得るか、又は、同じ処理ハードウェアを共有し得る。ユニットPUが分離している場合、信号処理の一部はユニットPU内で、及び別の部分はユニットLACU内で、実行可能である。
[00168] 既に述べたように、図示されたタイプの単一の測定は、アライメントマークの1ピッチに対応する、ある範囲内のアライメントマークの位置を確定するのみである。正弦波のどの周期がマークされた位置を含む周期であるかを識別するために、これに関連して、より粗い測定技法が使用される。アライメントマークが作られた材料、並びに、アライメントマークがその上及び/又は下方に存在する材料に関係なく、より粗いレベル及び/又はより微細なレベルでの同じプロセスを、アライメントマークの増加した確度のため及び/又は堅固な検出のために、異なる波長で反復することができる。波長は、同時に処理するために光学的に多重化及び多重分離すること、及び/又は、時分割又は周波数分割によって多重化することが可能である。本開示における例は、アライメントマーク非対称に対する感度が低下した実用的でロバストな測定装置(アライメントセンサ)を提供するために、いくつかの波長における測定を活用することになる。
[00169] 測定プロセスをより詳細に参照すると、図5においてVWと標示された矢印は、スポット206がアライメントマーク202の長さLを横断する際のスキャン速度を示す。この例において、アライメントシステムAS及びスポット206は実際には静止したままであるが、速度VWで移動する基板Wである。したがって、アライメントセンサは、基板Wの移動方向とは反対の方向にアライメントマーク202を効果的にスキャンしながら、基準フレームRF(図1)に堅固及び正確に取り付けることが可能である。基板Wは、この移動において、基板テーブルWT及び基板位置決めシステムPW上に取り付けることによって、制御される。図示されたすべての移動はX軸に並行である。同様の処置は、スポット208を伴うアライメントマーク204をY方向にスキャンするために適用される。
[00170] 公開された米国特許出願第2012−0212749A1号で考察されるように、リソグラフィ装置に必要な高い生産性要件は、基板上の多数の位置におけるアライメントマークの測定をできる限り迅速に実行することを必要とし、これは、スキャン速度VWが高速であり、これに応じて各アライメントマーク位置の獲得に使用可能な時間TACQが短いことを示唆する。簡潔に言えば、式TACQ=L/VWが適用される。前の出願第2012−0212749A1号は、獲得時間を長くするために、スポットの反対のスキャン動作を与えるための技法を記載している。所望であれば、本明細書で開示されたタイプのセンサ及び方法において、同じスキャンスポット技法を適用することができる。
[00171] 図6は、前述の前の公開米国出願第6,961,116号及び米国出願第2009/195768号に記載されたシステムの修正版である、アライメントセンサの光学システムを示す。これは、とりわけ、確度を上げるためにアライメントマークの縮小ピッチを可能にする、オフアクシス照明モードのオプションを紹介している。光学システムは、別のスキャトロメータ計器ではなくアライメントセンサを用いて、スキャトロメトリタイプの測定を実行可能にすることもできる。図6では、オフアクシス及びオンアクシスモードの照明を提供することの詳細は省いている。本開示の場合、複数の波長及び偏光の詳細を示すことに重点が置かれている。
[00172] 図6に示される光学システム全体を通る、いくつかの分岐を有する光軸Oが、破線によって示されている。図5の概略図との比較を容易にするために、図6に示される光学システムのいくつかの部分は図5に示されるのと同様の参照符号で標示されているが、接頭辞は「2」ではなく「4」である。したがって、光源420、照明ビーム422、対物レンズ424、情報保持ビーム426、自己参照干渉計428、及び検出器配置430となる。検出器配置からの信号は処理ユニットPUによって処理され、下記で説明する新規なフィーチャを実装するように、及び、各アライメントマークについて(改良された)位置測定POSを出力するように、修正されている。
[00173] このより詳細な概略図に示される追加のコンポーネントは、以下の通りである。照明システム440において、光源420からの放射は光ファイバ442を介して照明成形光学系446に送達される。これは、ビームスプリッタ454を介して、瞳面Pを有する対物レンズ424へ入力ビーム422をデリバリする。対物レンズ424は、ウェーハW上のアライメントマーク202/204/210上に、スポット406を形成する。アライメントマークによって回折された情報保持ビーム426は、ビームスプリッタ454を介して干渉計428へと渡される。干渉計428は、直交偏光を伴う2つの部分に情報保持ビームを分割し、これらの部分を光軸の周りで互いに180°回転させ、それらを出射ビーム482に組み合わせる。出射ビーム482は、下記でより詳細に説明するように、検出器配置430に入る。
[00174] 本例には、非対称測定配置460が含まれる。配置460は、干渉計の前に位置決めされた第2のビームスプリッタ462を介して、情報保持ビーム426の一部464を受け取る。別の米国特許出願第20125227061号は、検出器430を介して取得された位置情報を使用する非対称の測定のための技法を記載している。非対称測定配置460は任意選択であり、したがって、他の実施形態では省いてもよいことを理解されよう。
[00175] 照明成形光学系446は様々な形を取ることが可能であり、そのうちのいくつかが、前の米国特許出願第2015109624号においてより詳細に開示されている。そこで開示された例では、検出器側での空間解像度を必要とせずに、減少した格子ピッチの使用が可能な、アライメントセンサ(より一般には、位置測定装置)が示されている。照明モードを使用することによって、これらの装置は、現行の検出器設計を変更せずに、例えば、1μm未満から20ミクロンのピッチまでの広範囲の異なるピッチを伴うアライメントマークの位置を測定することができる。前の米国出願第2015109624号に記載された例に共通の特定のフィーチャは、制限範囲の入射角(瞳面内の制限半径範囲)においてオフアクシス照明を使用するためのオプションである。オフアクシス照明によって、放射源領域は瞳の周辺部分、すなわち、光軸からある程度離れた距離に限定される。照明を瞳の最周辺部に限定することで、アライメントマークの最小可能ピッチを、実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAまで減少させ、λは使用される放射の波長であり、NAは計器(例えば、アライメントセンサ又はより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。前の米国出願第2015109624号に記載された例は、装置のビームスプリッタ内のスポットミラーの特定分布も使用し、所望の照明を提供すること、及び0次回折放射に対するフィールド絞りとして作用することの、両方が可能である。照明モードを変更せずに、X、Y、及びXYアライメントマークのいずれかについて位置合わせを可能にする、「ユニバーサル」照明プロファイルを設計することができるが、これは必然的に、性能における何らかの妥協及び/又は装置における何らかの複雑化をもたらす。代替として、専用モードを設計し、異なるアライメントマークと共に使用するために選択可能とすることができる。照明の異なる偏光も選択可能である。
[00176] 装置は概して、これら特定のオフアクシス照明プロファイルを提供することに限定されてはいない。装置は、異なるプロファイルの使用を優先する、既知又は未開発の両方の、他の使用モードを有することができる。例えば、装置は、図4(a)及び図4(b)に示された異なるアライメントマークタイプについて、オンアクシス及びオフアクシスの照明モードの選択を提供することができる。オフアクシス照明はより微細な格子と共に使用することを対象とするが、オンアクシス照明プロファイルは、既存のアライメントマーク及び測定方法に適合するために有用であり得る。第1に、オンアクシスモードの例を参照すると、図5の既知のセンサで使用される場合、それ以外は暗い瞳内に中央の明るいスポットを有するオンアクシス照明プロファイルによって、基板に垂直な照明が提供される。このプロファイルは、装置の照明ビーム422における任意選択の設定である。この例では、0次ビームが干渉計428に入る前にブロックされるように光軸に沿って戻ることが望ましいが、非対称測定配置460(提供された場合)へ転送されることも望ましい。干渉計428の前に0次をブロックすることは必須ではないが、位置信号の信号対ノイズ比を向上させる。したがって、この実施形態では、第2のビームスプリッタ462にスポットミラーを含めることが可能である。第1のスプリッタ454は銀めっきされず、中央スポットの強度の50%程度のみがアライメントマークに転送され得ることが認められる。配置460が省略される代替の実施形態において、このプロファイルは照明プロファイラ446によって直接生成され、第1のビームスプリッタ454内のスポットミラーによって対物レンズ424へと全強度で伝送され得る。所望のプロファイルを得るために、様々な代替が想定可能である。
[00177] オフアクシス照明プロファイルは、所望の信号を生成するために、対向するセグメントは干渉計428にとってコヒーレントなはずであることを踏まえて、実際的な計器を形成するためにいくつかの方法で生成可能である。特に、広帯域光源が含まれるとき、光源放射のコヒーレンス長さ/時間は非常に短くなる。単色レーザ源を用いる場合であっても、米国出願第6961116号は、例えば、望ましくない複数の反射からの干渉をなくすために、短いコヒーレンス時間が好ましいことを教示している。そのため、光源から各セグメントまでの光路長さは、非常に緊密に一致するはずである。所望のプロファイルに直接対応する開口を、拡大平行ビーム内に配置することができるが、結果として相対的に大きな光損失が生じることになる。光損失を回避するために、前述の前の米国出願第2015109624号では、様々な代替ソリューションが提供される。
[00178] 照明源442から出現する照明は単色であってよいが、典型的には本来広帯域であり、例えば白色光、又は多色である。照明源442は電磁放射を放出するように動作可能な照明源であることを理解されよう。この放射は可視光及び/又は可視スペクトル外の電磁放射、例えば赤外線放射を含むことができる。下記において、「放射」という用語は「光」という用語と同義であり、交換可能に使用できることを理解されよう。同様に、こうした放射の波長(又は波長の範囲)は、放射が可視スペクトルからのものであるか否かに関わらず、放射の「カラー」と呼ぶことができる。ビーム内の波長のダイバーシティは、既知のように、測定のロバスト性を増加させる。既知の1つのセンサは、例えば4つの波長のセットを使用し、4つの波長の各々が500nmから900nmの範囲内にある。これらの4つの波長はそれらのカラー名で呼ぶことが可能であり、緑(緑色光を含む)、赤(赤色光を含む)、近赤外(近赤外放射を含む)、及び遠赤外(遠赤外放射を含む)とすることができる。本発明を実装するセンサにおいて、同じ4つの波長が使用可能であるか、又は異なる4つ、あるいは4つより多いか又は少ない波長を使用してもよい。
[00179] 再度図6を参照し、次に、複数波長の放射を使用する測定に関係し、偏光効果の管理に関係する、装置の態様を説明する。照明サブシステム440において、光源420は、4つの波長の放射を生成するために提供された、緑(Gと標示)、赤(R)、近赤外(N)、及び遠赤外(F)と命名された4つの個別の光源を備える。以下の考察では、便宜上、これら4つの異なる波長での放射を4色光と呼び、それらが電磁スペクトルの可視部分又は不可視部分のどちらにあるかは、本目的にとって重要ではない。光源は線形に偏光され、G及びN放射は互いに同様に配向され、R及びF放射は、G及びN放射の偏光に対して直交に偏光される。
[00180] 4色は偏光保持ファイバによってマルチプレクサ502に伝送され、ここで単一の4色ビームに組み合わせられる。マルチプレクサは矢印504で示されるように、線形偏光を維持する。矢印504及び同様の矢印は、緑及び赤の成分の偏光を示すために、図面全体を通じてG及びRと標示される。N及びFの成分は、それぞれ、G及びRの成分と同様に配向される。
[00181] この組み合わせられたビームは、好適なデリバリ光学系506を介してビームスプリッタ454へと進む。既に説明したように、このビームは、ビームスプリッタ内部にある、部分反射表面又は全反射表面(例えば、0.5mm直径スポットミラー)から反射する。対物レンズ424はビームを狭ビームに合焦し、これが、ウェーハW上のアライメントマーク202によって形成される格子によって反射及び回折される。光は、例えば開口数NA=0.6で、対物レンズ424によって集められる。このNA値により、各カラーについて、16μmピッチの格子から少なくとも10次の回折を集めることができる。
[00182] 情報保持ビーム426を形成する反射及び回折光は、次いで、自己参照干渉計428へと伝送される。この例では、既に説明したように、ビームは、情報保持ビームの一部464を、提供されている場合は非対称測定配置460へと供給するために、ビームスプリッタ462によって分割される。非対称測定情報を伝達する信号466は、配置460から処理ユニットPUへと渡される。干渉計の直前で、偏光は、半波長板510によって45°回転される。以後、偏光矢印は、明確にするために1色のみについて表示する。上記及び米国特許第6961116号で既に述べたように、干渉計は偏光ビームスプリッタからなり、各カラーの半分が伝送され、各カラーの半分は反射される。次いで、各半分は干渉計内部で3回反射され、放射フィールドを+90°及び−90°回転し、180°の相対回転を与える。次いで、2つのフィールドは互いの頂部上で重畳され、干渉可能となる。−90°及び90°イメージの経路差を補償するために、位相補償器512が存在する。次いで偏光は(主軸がX又はY軸に対して22.5°に設定された)別の半波長板514によって、45°回転される。半波長板510、514は、波長不感受性であるため、すべての4波長の偏光は45°回転される。
[00183] 更なるビームスプリッタ516が、光信号をA及びBと指定された2つの経路に分割する。一方の経路は2つの回転フィールドの和を含み、他方は差を含む。初期の偏光方向に応じて、和は経路A又は経路B内で終わる。したがって、この例では、緑及びNIR信号についての和信号は一方の経路内で終わり、赤及びFIRは他方の経路内で終わる。各カラーについて、対応する差信号は他方の経路内で終わる。放射源は、放射、例えば電磁放射を放出するように動作可能なソースであることを理解されよう。放射は可視光を含むことができる。代替として、放射は可視スペクトル外の電磁放射、例えば赤外線放射を含むことができる。上記の説明において、「放射」という用語は「光」という用語と同義であることを理解されよう。したがって、光へのいずれの言及も、可視スペクトル外の電磁放射を包含し得る。
[00184] この配置は、各カラーでの照明のために1つの偏光を使用することを選択することに留意されたい。1カラーについて2つの偏光を用いる測定は、読取り間で偏光を変更することによって(又は、読取り内での時分割多重化によって)実行可能である。しかしながら、カラー及び偏光における何らかのダイバーシティから恩恵を受けながら、高スループットを維持するために、各カラーは線形に偏光され、カラーの1つのサブセットが1つの偏光方向を有し、カラーの別のサブセットが異なる偏光方向を有する、異なるカラーのセットは、ダイバーシティと測定スループットとの間に良好な妥協点を示す。スループットに影響を与えずにダイバーシティを増加させるために、本明細書で提示される4カラー方式と同様であるが、混合偏光と共に、より多くのカラー、例えば8又は16のカラーを使用する実装を想定することが可能である。
[00185] A及びBの各経路についての光は、それぞれの集光レンズアセンブリ484A及び484Bによって集められる。次いでこの光は、基板上のスポット外からのほとんどの光を消去する、開口518A又は518Bを介して進む。2つのマルチモードファイバ520A及び520Bは、各経路の集めた光をそれぞれのデマルチプレクサ522A及び522Bに伝送する。デマルチプレクサ522A、522Bは、各経路を元の4カラーに分割するため、合計8つの光信号が、検出器配置430内の検出器430A及び430Bに送達されることになる。実用的な一実施形態において、ファイバは、デマルチプレクサと、検出器回路板上の8つの検出器要素との間に配置される。この例における検出器は、空間解像度を提供しないが、装置が基板W上のアライメントマーク202をスキャンする際に、各カラーについて時変強度信号IA及びIBをデリバリする。信号は実際には位置依存信号であるが、装置とアライメントマークとの間の物理的スキャン移動(図5を想起されたい)と同期された時変信号(波形)として受信される。
[00186] 処理ユニットPUは、8つの検出器から強度波形を受け取り、位置測定POSを提供するために、これらを既知の装置内と同様に処理する。異なる波長及び入射偏光に基づいて選択する信号が8つあるため、装置は、多様な状況において使用可能な測定を取得することができる。この点で、アライメントマーク202は、異なる材料及び構造の多数の層の下に埋め込み可能であることに留意されたい。いくつかの波長は、異なる材料及び構造に他よりも良好に侵入する。処理ユニットPUは、通常、波形を処理し、最も強い位置信号を提供している波形に基づいて位置測定を提供する。残りの波形は無視してよい。単純な実装では、各測定タスクについての「レシピ」は、ターゲット構造の予備知識及び実験的調査に基づいて、どの信号を使用するかを指定することができる。より高度なシステムでは、事前の知識なしに最良の信号を識別するために、「色彩管理」又は「平滑色彩管理」アルゴリズムを使用する自動選択が実行可能である。これは、Jeroen Huijbregtse等により「Overlay Performance with Advanced ATHENATM Alignment Strategies」、Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XVII,Daniel J.Herr, Editor,Proceedings of SPIE Vol.5038(2003)に記載されている。
[00187] 各レンズ484A、484Bは、フィールド全体を各検出器430A、430Bの各要素上に合焦させ、これは、図5の既知のアライメントセンサと同様の配置である。この例及び既知のアライメントセンサにおける検出器は、効果的な単一フォトダイオードであり、既に説明したスキャン動作による以外は、いかなる空間情報も提供しない。所望の場合は、共役瞳面内に空間解像度を有する検出器を追加することができる。これは例えば、アライメントセンサハードウェアを使用して、角度分解スキャトロメトリ法を実行させることができる。
[00188] アライメントマークは、例えば2つの異なる偏光を使用して位置を測定することを希望する場合、複数回スキャンすることが必要な場合がある。また、XYアライメントマークのスキャンの途中で照明モードを切り替えることも必要な場合がある。しかしながら他の実施形態において、2つの測定を同時に行うために、光信号の多重化を使用することができる。同様に、照明モードを切り替えずにXYアライメントマークの異なる部分をスキャン及び測定できるように、多重化を適用することが可能である。こうした多重化を実行するための簡単な方法は、周波数分割多重化によるものである。この技法において、スポット及び/又は偏光の各ペアからの放射は、位置情報を保持する時変信号の周波数よりもかなり高くなるように選択された、特性周波数を用いて変調される。各検出器430A、430Bに到達する回折及び処理済み光信号は、2つの信号の混合となるが、ソース放射のそれぞれの周波数に合わせたフィルタを使用して、電子的に分離することが可能である。時分割多重化も使用可能であるが、これは、ソースと検出器との間に正確な同期化が必要となる。各周波数での変調は、例えば単純な正弦波又は方形波とすることができる。
[00189] 位置感知又は何らかの他の形のメトロロジのために、円偏光を用いてアライメントマークを照明することが望ましい場合、ビームスプリッタ454と対物レンズ424との間に方形波板(図示せず)を挿入することができる。これには、線形偏光を円偏光に変化させる(及び、アライメントマークによる回折後に再度元に戻す)効果がある。スポット位置は、前述のようにアライメントマーク方向に従って選択される。円偏光の方向(時計回り/反時計回り)は、照明源420、光ファイバ442、又は照明成形光学系446において、異なる線形偏光を選択することによって変更可能である。
[00190] Huijbregtse等による論文には、複合ターゲット内での複数の格子の使用も記載されている。各格子は異なるプロファイルを有し、例えばより高い回折次数(3次、5次、7次)を強化している。位置測定は、これらの格子のうちの異なる格子から、並びに個別の格子上の異なるカラー信号から、導出可能である。本開示において、単純なバーパターンを伴うがセグメント化されたフィーチャを有する、単一格子が存在することが想定される。当業者であれば、異なるパターンを伴う複数の格子を有する実施形態を想定するために、本開示を容易に拡張することが可能である。
[00191] 図7A及び図7Bは、図6に示され上記で説明した、アライメントセンサと同様のアライメントセンサの光学システムを、概略的に示す。図7A及び図7Bは、放射源(図示せず)によって生成される入力放射ビーム622についての2つの直交線形偏光状態の伝搬を表す。図7A及び図7Bにおいて、異なる位置での放射の偏光状態は、四角の中の矢印で表される。アライメントセンサの光学システム内での放射の偏光状態のこの表現は、放射ビームを調査している観察者が見るような、放射の偏光状態を表し、線形偏光は真っ直ぐな矢印によって表され、円偏光は湾曲した矢印によって表される。
[00192] 図6との比較を容易にするために、図6に示された光学システムの部分に対応する図7A及び図7Bに示された光学システムの部分は、図6で使用された参照符号と同様の参照符号で標示されているが、接頭辞「4」の代わりに「6」、又は接頭辞「5」の代わりに「7」が用いられている。
[00193] 図7A及び図7Bには(これらの図を明確にするのを助けるために)示されていないが、入力放射ビーム622は、図6に示されるアライメントセンサと同様に多重化及び多重分離される、複数の放射の波長を備えることができることを理解されよう。例えば、前述の照明サブシステム440と同様の照明サブシステム(図示せず)が使用可能であり、前述の検出器配置430と同様の検出器配置(図示せず)が使用可能である。
[00194] 入力ビーム622は、ビームスプリッタ654及び4分の1波長板655を介して対物レンズ624に送達される。4分の1波長板655は、入射面偏光放射を円偏光放射に変換する。図7Aに示されるように、入力ビーム622が垂直に面偏光されるとき、4分の1波長板655はこれを左円偏光放射に変換する(図7A及び図7Bでは、アライメントセンサの光学システム内での放射の偏光状態の表現は、放射ビームを調査している観察者が見るような、放射の偏光状態を表すことに留意されたい)。同様に、図7Bに示すように、入力ビーム622が水平に面偏光されるとき、4分の1波長板655はこれを右円偏光放射に変換する。
[00195] 円偏光放射は、対物レンズ624によってウェーハW上のアライメントマーク202上に投影される。アライメントマーク202が非偏光格子を備えるものと想定すると、情報保持ビーム626を形成する散乱放射の偏光(すなわち、回折次数)は、πラジアン(180°)だけフリップされることになる。したがって、図7Aの入射左円偏光放射は、情報保持ビーム626内の右円偏光放射になり、図7Bの入射右円偏光放射は、情報保持ビーム626内の左円偏光放射になる。
[00196] 4分の1波長板654は放射を線形偏光放射に戻るように変換し、右円偏光放射は水平偏光放射に変換され(図7Aを参照のこと)、左円偏光放射は垂直偏光放射に変換され(図7Bを参照のこと)。
[00197] アライメントマークによって回折された情報保持ビーム626は、ビームスプリッタ654を通り、半波長板710を介して干渉計628へと渡される。半波長板710は、情報保持ビーム626が自己参照干渉計628内に渡される前に、(線形偏光された)情報保持ビーム626の偏光をπ/4ラジアン(45°)回転させる。
[00198] 自己参照干渉計628は、共に出射ビーム682を形成する直交偏光を伴う2つの鏡映回折イメージを発生させる。自己参照干渉計628は、一般に、図6を参照しながら説明した自己参照干渉計428の形を取ることができる。例えば、自己参照干渉計628は、一般に、入射放射の半分を伝送し、入射放射の半分を反射するように配置された、偏光ビームスプリッタからなる、米国出願第6961116号に開示された形とすることができる。次いで、放射の各半分は干渉計628内部で3回反射され、放射フィールドをそれぞれ+90°及び−90°回転し、180°の相対回転を与える。次いで、2つのフィールドは(直交偏光状態を有するため、まだ干渉しないが)互いの上に重畳される。
[00199] 出射ビーム482は、半波長板714を介して偏光ビームスプリッタ716上に入射する。出射ビーム682の両方の部分の偏光状態は、(主軸がX又はY軸に対して22.5°に設定された)半波長板714によって、π/4ラジアン(45°)回転される。
[00200] ビームスプリッタ716は、光信号をA及びBと指定された2つの経路に分割する。Aと指定された経路は垂直に偏光された放射を含むが、Bと指定された経路は水平に偏光された放射を含む。一方の経路は2つの回転フィールドの和を含み、他方は差を含む。初期偏光方向に応じて、和は経路A又は経路Bで終わる。入力ビーム622が(図7Aのように)垂直に面偏光されるとき、2つの回転フィールドの差は経路Aに沿って伝搬し、2つの回転フィールドの和は経路Bに沿って伝搬する。入力ビーム622が(図7Bのように)水平に面偏光されるとき、2つの回転フィールドの差は経路Bに沿って伝搬し、2つの回転フィールドの和は経路Aに沿って伝搬する。したがって、図7A及び図7Bに示されるアライメントセンサの光学システムは、出力が入力ビーム622の偏光状態に依存する光学システムの例であることを理解されよう。経路A及び経路Bには、2つの回転フィールドの和又は差を検出器上に合焦させるための、好適な合焦光学系684A、684Bを提供することができる。
[00201] 原理上、アライメントセンサは和信号又は差信号のいずれかを使用することができる。しかしながら、和チャネルは、結果として測定内にオフセットを生じさせる0次回折次数も含む。ダイナミックレンジの観点からすると、これは望ましくない場合があるため、差チャネルを使用する方が好ましい可能性がある。
[00202] 図8A及び図8Bは、本発明の実施形態に従った、アライメントセンサの一部を形成し得る偏光非依存干渉計800を概略的に示す。図8A及び図8Bにおいて、異なる位置における放射の偏光状態は四角の中の矢印によって表される。ここでも、アライメントセンサの光学システム内での放射の偏光状態のこの表現は、放射ビームを調査している観察者が見るような、放射の偏光状態を表す。
[00203] 干渉計800は、偏光非依存ビームスプリッタ802を備える。偏光非依存ビームスプリッタ802は、第2の偏光非依存ビームスプリッタ806を介して入力放射ビーム804を受け取るように配置される。入力放射ビーム804は、測定放射源からの測定放射を含むことができる。
[00204] 干渉計は、第1のミラー808及び第2のミラー810を更に備える。第1及び第2のミラー808、810は、各々、反射光学要素と見なすことができる。
[00205] 第1の光路812は、偏光非依存ビームスプリッタ802と第1のミラー808との間に画定される。第1の光路812は双方向光路であることを理解されよう。例えば、放射は偏光非依存ビームスプリッタ802から第1のミラー808へと伝搬し、第1のミラー808から反射し、偏光非依存ビームスプリッタ802へと戻ることができる。第1のミラー808からの反射時、放射の偏光状態はπラジアン(180°)回転される。同様に、第2の光路814は、偏光非依存ビームスプリッタ802と第2のミラー810との間に画定される。第2の光路814は双方向光路であることを理解されよう。例えば、放射は偏光非依存ビームスプリッタ802から第2のミラー810へと伝搬し、第2のミラー810から反射し、偏光非依存ビームスプリッタ802へと戻ることができる。第2のミラー810からの反射時、放射の偏光状態はπラジアン(180°)回転される。
[00206] 干渉計は、第3の光路816を更に画定し、第3の光路816は、偏光非依存ビームスプリッタ802とオブジェクト、例えばウェーハW上のアライメントマーク202との間に画定される、双方向光路である。第3の光路816は双方向光路であることを理解されよう。例えば放射は、偏光非依存ビームスプリッタ802から伝搬し、オブジェクト(例えば、ウェーハW上のアライメントマーク202)の表面を照射し、オブジェクトから散乱して、偏光非依存ビームスプリッタ802へと戻るように伝搬することができる。図8A及び図8Bに示される例では、第3の光路816に沿って伝搬した後、放射の偏光状態は(この例では、アライメントマーク202からの散乱の結果として)πラジアン(180°)回転される。
[00207] 偏光非依存であるビームスプリッタ802を備える、干渉計800内で、放射の一部がビームスプリッタ802上に入射するごとに、入射放射の第1の断片(例えば、およそ半分)は第1の光路に沿って誘導されることになり、入射放射の第2の断片(例えば、およそ半分)は第2の光路に沿って誘導されることになることを理解されよう。
[00208] 偏光非依存ビームスプリッタ802は、第2の偏光非依存ビームスプリッタ806を介して入力放射ビーム804を受け取るように配置される。図8A及び図8Bに示される例において、入射放射ビーム806は垂直に偏光されるが、代替実施形態では他の偏光状態が使用できることを理解されよう。一般に、入力放射ビーム804は線形に偏光され、所望又は必要に応じて、任意の偏光状態を有することができる。図9を参照しながら下記で更に考察するように、第3の光路816内に配設可能な任意の偏光依存光学系を踏まえて、入力放射ビーム804に好適な偏光状態を選択することができる。
[00209] 入力放射ビーム804が最初にビームスプリッタ802上に入射すると、例えば、入射放射のおよそ半分は(図8Aに示されるように)第1の光路812に沿って誘導されることになり、例えば、入射放射のおよそ半分は(図8Bに示されるように)第2の光路814に沿って誘導されることになる。
[00210] 第1の光路812に沿って誘導された放射の部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路816に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる(図を明確にするのを助けるために、図8Aには図示されていない)。同様に、第2の光路814に沿って誘導された放射の部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路816に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる(図を明確にするのを助けるために、図8Bには図示されていない)。
[00211] 第3の光路816に沿って誘導された放射の部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分(図8Aでは点線及び図8Bでは実線によって示される)は第1の光路812に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分(図8Aでは実線及び図8Bでは点線によって示される)は第2の光路814に沿って誘導されることになる。偏光非依存であるビームスプリッタ802を備える干渉計800を使用することによって、システムによって出力される放射の複数部分が存在すること、及び、一般に、測定放射のこれらの部分は異なる時点でシステムによって出力されることを理解されよう。
[00212] 偏光非依存ビームスプリッタ802は、入力放射ビーム804を受け取るように、及び、入力放射804から放射の複数部分を発生させるように、配置される。特に、図8A及び図8Bをそれぞれ参照しながら次に説明するように、放射の複数部分は第1の部分及び第2の部分を備える。
[00213] 第1の部分は第1の光路812に沿って誘導され、次いで、基板Wの表面を照射し、表面から散乱した後、第2の光路814に沿って誘導される。第1の部分の伝搬経路は、図8A内に実線で示される。第2の部分は第2の光路814に沿って誘導され、次いで、基板Wの表面を照射し、表面から散乱した後、第1の光路812に沿って誘導される。第2の部分の伝搬経路は、図8B内に実線で示される。第1及び第2の部分は偏光非依存ビームスプリッタ802に組み合わせられ、出力放射ビーム818の一部を形成するために第2の偏光非依存ビームスプリッタ806を介して誘導される。第1及び第2の部分は同じ偏光を有し、組み合わせられたとき、干渉することになる。
[00214] 上記で説明したように、図8A及び図8Bに示される例では、第3の光路816に沿って伝搬した後、放射の偏光状態は(この例では、アライメントマーク202からの散乱の結果として)πラジアン回転される。しかしながら、第1及び第2の部分は、同じ偏光を有することになり、したがって、第3の光路816に沿って伝搬した後の偏光状態における純変化に関係なく、組み合わせられたとき、干渉することになることを理解されよう。例えば図9を参照しながら説明するように、いくつかの実施形態では、第3の光路816に沿って伝搬した後、放射の偏光状態はπ/2ラジアン(90°)回転される。
[00215] 第1及び第2の光路812、814は異なる長さを有する。第1の光路812は、第2の光路814よりも長い。したがって、放射が第1の光路812に沿って伝搬するには、第2の光路に沿って伝搬するよりも長くかかる。
[00216] 上記で説明した第1及び第2の部分に加えて、干渉計800は、出力放射ビーム818の一部を形成する入力放射804の追加部分も生成することになることを理解されよう。しかしながら、次に説明するように、これらの追加部分は出力放射ビーム818内の第1及び第2の部分(時間的に重複する)から時間的に分解されることになる。したがって、第1と第2の部分の間の干渉は、第1、第2、及び第3の光路812、814、816に沿って順番に(任意の順序で)伝搬するのに要する時間に対応する、出力放射ビーム818の時間的部分から決定することができる。
[00217] 上記で説明したように、入力放射ビーム804が最初にビームスプリッタ802上に入射すると、入射放射のおよそ半分は(図8Aに示されるように)第1の光路812に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分は(図8Bに示されるように)第2の光路814に沿って誘導されることになる。
[00218] 第1に、ビームスプリッタ802上へのこの第1の入射に続き、入射放射が(図8Aに示されるように)第1の光路812に沿って誘導されることを考えてみる。放射のこの部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路816に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる(図を明確にするのを助けるために、図8Aには図示されていない)。第3の光路816に沿って誘導された部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分(図8Aでは点線によって示される)は第1の光路812に沿って戻るように誘導されることになり、入射放射のおよそ半分(図8Aでは実線によって示される)は第2の光路814に沿って誘導されることになる。第1の光路812(又は、その一部)に沿って戻るように誘導された部分(図8Aでは点線によって示される)が、次に出力放射ビーム818の一部を形成するために干渉計を出る場合、第1の光路812に沿って2回、第3の光路816に沿って1回伝搬することになる。対照的に、入射放射804の第1の部分(図8Aでは実線によって示される)は、第1の光路812、第2の光路814、及び第3の光路816に沿って伝搬することになる。第1の光路812は第2の光路814よりも長いため、図8Aで点線によって示される放射の一部は、放射の第1の部分よりも後で干渉計800を出ることになる。
[00219] 第2に、ビームスプリッタ802上へのこの第1の入射に続き、入射放射が(図8Bに示されるように)第2の光路814に沿って誘導されることを考えてみる。放射のこの部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分は第3の光路816に沿って誘導されることになり、入射放射のおよそ半分はシステムによって出力されることになる(図を明確にするのを助けるために、図8Bには図示されていない)。第3の光路816に沿って誘導された部分がビームスプリッタ802に戻るとき、入射放射のおよそ半分(図8Bでは点線によって示される)は第2の光路814に沿って戻るように誘導されることになり、入射放射のおよそ半分(図8Bでは実線によって示される)は第1の光路812に沿って誘導されることになる。第2の光路814(又は、その一部)に沿って戻るように誘導された部分(図8Bでは点線によって示される)が、次に出力放射ビーム818の一部を形成するために干渉計800を出る場合、第2の光路814に沿って2回、第3の光路816に沿って1回伝搬することになる。対照的に、入射放射804の第2の部分(図8Bでは実線によって示される)は、第1の光路812、第2の光路814、及び第3の光路816に沿って伝搬することになる。第1の光路812は第2の光路814よりも長いため、図8Bで点線によって示される放射の一部は、放射の第2の部分よりも後で干渉計800を出ることになる。
[00220] 本発明の実施形態によれば、オブジェクトのフィーチャの特徴を決定するための装置が提供され、フィーチャはオブジェクトの頂部表面の上又は下方に配設され、図7A及び図7Bに示されたアライメントセンサと、図8A及び図8Bに示された干渉計とを備える。こうした装置900が図9に示されている。
[00221] 図9に示される装置900は、全体として、図2A及び図2Bに概略的に示され、上記で説明した、装置2の形を取ることができ、所望に応じて、装置2のフィーチャのいずれかを組み込むことができることを理解されよう。図7A及び図7Bに示されるアライメントセンサ及び図8A及び図8Bに示される干渉計800は、各々が上記で考察したものと実質的に同じであり得る、測定放射源12、測定システム14、及びポンプ放射源10と組み合わせられる。ポンプ放射源10、ポンプ放射16、ポンプ放射デリバリシステム17は、図9ではかなり概略的に示されている。
[00222] 図9に示される装置900は、測定放射804を生成するように動作可能な測定放射源12を備える。測定放射は干渉計800によって受け取られる入力放射ビーム804を形成することを理解されよう。
[00223] 図8A及び図8Bを参照しながら上記で説明したように、偏光非依存干渉計800は、第1の光路812及び第2の光路814を有し、測定放射源12から測定放射804を受け取るように、並びに第1及び第2の部分を発生させるように配置された、偏光非依存ビームスプリッタ802を備える。
[00224] ポンプ放射源10は、基板W内に機械的応答を生成するように、ポンプ放射16を用いて基板Wの頂部表面を(ポンプ放射デリバリシステム17を介して)照射するためのポンプ放射16を生成するように動作可能である。
[00225] 図9に示される装置900は、干渉計800から出力放射ビーム818を受け取るように、及び、それに依存してオブジェクトのフィーチャの特徴を決定するように動作可能な、測定システム14を更に備える。
[00226] 図7A及び図7Bに示されるアライメントセンサを、図8A及び図8Bに示される干渉計800と組み合わせるために、第3の光路816は偏光非依存ビームスプリッタ902を備える。
[00227] 測定放射804のうちの第1及び第2の部分の各々が第3の光路816に沿って中央の偏光非依存ビームスプリッタ802から離れて伝搬する際、測定放射のこれらの部分の各々の一部は、偏光非依存ビームスプリッタ902を通過し、ビーム伝送光学系を介して入力ビーム622としてアライメントセンサに送達される。この例では、ビーム伝送光学系は、合焦光学系904、光ファイバ906、コリメート光学系908、及びミラー910を備える。
[00228] 測定放射804の第1及び第2の部分の各々は、実質的に図7Aを参照しながら上記で説明したように、アライメントセンサを介して伝搬する。
[00229] 測定放射804の第1及び第2の部分の各々の一部は、合焦光学系684Aを介して経路Aを通って出力される。測定放射804の第1及び第2の部分の各々のこの部分は、ビーム伝送光学系を介して偏光非依存ビームスプリッタ902に送達される。この例では、ビーム伝送光学系は、光ファイバ912及びコリメート光学系914を備える。
[00230] 図9に示される装置900は、オブジェクトのフィーチャの特徴(例えば、アライメントマーク202の位置)を決定するために使用可能な(位置検出器又はアライメントシステムとして機能し得る)装置を提供する。装置900は、ポンプ放射16及び測定放射804の両方をポンプ−プローブ配置として使用してフィーチャの特徴を決定するように動作可能であり得る。ポンプ放射16は、オブジェクト(例えば、基板W)内に機械的応答を生成するために使用される。機械的応答は、例えば、機械的波動とすることができる。こうした機械的波動は、音波、又は、例えば自由電子の拡散などの任意の他の熱伝搬を含むことができることを理解されよう。ポンプ放射16によって発生した機械的波動はオブジェクトを介して伝搬し得、その一部は、フィーチャ(例えば、基板Wの頂部表面の下方に配設されたアライメントマーク)によって散乱され、頂部表面へ戻るように伝搬され得る。測定放射804は、フィーチャの1つ以上の特徴を間接的に決定するように、オブジェクトの頂部表面を探査するために使用される。このポンプ−プローブ配置は、例えば、フィーチャ(例えば、アライメントマーク202)が頂部表面の下方に配設されるとき、及び特に、不透明材料(例えば、金属から形成される不透明層)が頂部表面とフィーチャとの間に配設されるときに、使用可能である。
[00231] 各々が同じコンポーネント光路(すなわち、第1、第2、及び第3の光路812、814、816)からであるが、異なる順序で形成される、2つの異なる経路に沿って、測定放射804の第1及び第2の部分を誘導することによって、測定放射804は、2つの異なる時点でオブジェクトの表面上に入射可能であり、その後、干渉するように組み合わせることができる。例えば、測定放射804の第2の部分は、ポンプ放射源10からのポンプ放射16が表面上に入射する前に、表面上に入射可能であるのに対して、測定放射804の第1の部分は、ポンプ放射源10からのポンプ放射16が表面上に入射した後に、表面上に入射可能である。こうした配置を用いる場合、測定放射の第2の部分は、オブジェクトの一般的に時間非依存の表面トポグラフィに依存した情報を含み得るのに対して、測定放射の第2の部分は、このオブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィと、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号との、両方に依存した情報を含み得る。測定放射804の第1及び第2の部分を組み合わせることによって、発生した機械的波動の音響エコーによって発生する時間依存信号を、オブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィから分離することが可能である。
[00232] 第1の光路812に沿って伝搬し、オブジェクト202の表面を照射し、オブジェクト202の表面から散乱し、第2の光路814に沿って伝搬するために要する時間に対応する、出力放射の一部に対応する、出力放射ビーム818の時間的部分に依存して、オブジェクトのフィーチャの特徴(例えば、アライメントマーク202の位置)を(測定システム14を使用することによって)決定することにより、発生した機械的波動からの音響エコーによって発生する時間依存信号を、オブジェクトの一般に時間非依存の表面トポグラフィから分離することが可能である。
[00233] 第1の光路812に沿って伝搬し、オブジェクトの表面を照射し、オブジェクトの表面から散乱し、第2の光路814に沿って伝搬するために要する時間は、第1、第2、及び第3の光路812、814、816の全光路長さ、及び測定放射804の伝搬速さに依存することを理解されよう。測定放射804が測定放射源12から偏光非依存ビームスプリッタ802まで伝搬するために、非ゼロの時間を要し、時間は、測定放射源12と偏光非依存ビームスプリッタ802との間の全光路長さ(及び、測定放射の伝搬速さ)に依存することを、更に理解されよう。出力放射818が偏光非依存ビームスプリッタ802から測定システム14内の検出器又はセンサまで伝搬するために、非ゼロの時間を要し、時間は、偏光非依存ビームスプリッタ802と検出器又はセンサとの間の全光路長さ(及び、測定放射の伝搬速さ)に依存することを、更に理解されよう。
[00234] 第1、第2、及び第3の光路812、814、816に沿って伝搬するために要する時間に対応する、出力放射818の一部とは、(例えば、測定放射源12によって)発生された後、ある時間に(例えば、センサ又は検出器によって)受信される、出力放射818の一部を意味することが意図され、時間は、第1、第2、及び第3の光路812、814、816に沿って測定放射源12からビームスプリッタ802へ伝搬し、その後、ビームスプリッタ802から検出器又はセンサへ伝搬するために要する時間に対応することを理解されよう。
[00235] 有利なことに、偏光非依存であるビームスプリッタ802を備える干渉計800を使用することによって、干渉計800は、アライメントセンサ内のいずれかの光学系によって生じる偏光状態におけるいかなる変化にも不感受性である。更に、(干渉計800を使用して形成される)入力測定放射804の第1及び第2の部分が、同じ偏光を伴うアライメントセンサ光学系に入れるようにする。これにより、干渉計を、入力測定放射ビームの偏光状態を変更すること、及び/又は、その出力が入力放射ビームの偏光状態に依存することが可能な、既存の位置検出器のための光学系と組み合わせることが可能になるため、特に有利である。
[00236] 対照的に、偏光ビームスプリッタを備える干渉計は、入力放射ビームを、直交偏光状態を有する2つの部分に分割することができる。こうした配置の利点は、入力放射のほぼすべてが干渉パターンを形成するために使用できることである。しかしながら、こうした偏光干渉計を使用することは、2つの部分が直交偏光状態でアライメントセンサ光学系に入ることである。こうした配置は、図7A及び図7Bを参照しながら上記で説明したように、実質的にアライメントセンサに適合しない。偏光非依存のビームスプリッタ802を備える干渉計800を使用して、放射の第1又は第2のいずれかのぶぶんが偏光非依存であるビームスプリッタ802上に入射するごとに、放射のおよそ半分が失われる(及び、第1又は第2の部分の一部を形成するために伝搬しない)ことを理解されよう。したがって、偏光非依存であるビームスプリッタ802を備える干渉計800を使用することで、結果として、偏光ビームスプリッタを使用して達成される信号の8分の1の信号が生じることになる(第1及び第2の部分のそれぞれが、偏光非依存であるビームスプリッタ802上に3回入射するため)。
[00237] 放射源は、放射、例えば電磁放射を放出するように動作可能なソースであることを理解されよう。放射は可視光を含むことができる。したがって、「放射」という用語は「光」という用語と同義であり得ることを理解されよう。
[00238] 位置測定装置と共に使用されるアライメント方法に対して特に言及してきたが、本明細書で説明する方法は、基板の複数の層間でのオーバーレイを測定するためにも使用可能であることを理解されよう。例えば、方法は、基板の異なる層の粗いフィーチャと微細なフィーチャとの間のオーバーレイを測定するときに適用可能である。
[00239] 本明細書では、リソグラフィ装置との関連において本発明の実施形態に対して特に言及することができるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することもできる。本発明の実施形態に従った装置は、例えば医療用デバイス内のメトロロジシステムの一部として、例えば医学的応用のために使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、あるいは、ウェーハ(又は他の基板)又はマスク(又は他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ぶことができる。こうしたリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
[00240] アライメントセンサを制御し、それによって検出された信号を処理し、これらの信号から、リソグラフィパターニングプロセスを制御する際に使用するのに好適な位置測定を計算する、処理ユニットPUは、典型的には、詳細に説明されない何らかの種類のコンピュータアセンブリを含むことになることを理解されよう。コンピュータアセンブリは、リソグラフィ装置外部の専用コンピュータであってよく、アライメントセンサ専用の処理ユニットであってよく、又は代替として、全体としてリソグラフィ装置を制御する中央コントロールユニットLACUであってよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行可能コードを備えるコンピュータプログラム製品をロードするために配置可能である。これにより、コンピュータプログラム製品がダウンロードされるときに、コンピュータアセンブリが、前述のアライメントセンサASを備えるリソグラフィ装置の使用を可能にすることができる。
[00241] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[00242] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[00243] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、赤外線放射(例えば、800nm〜2.5μmの間の波長を有する)、可視放射(例えば、380nm〜800nmの間の波長を有する)、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)、及び、極端紫外線(EUV)放射(5〜20nmの範囲内の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含する。例えば、図1Aに示されるリソグラフィ装置を使用する、基板の露光との関連において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)、及び極端紫外線(EUV)放射(5〜20nmの範囲内の波長を有する)、並びに、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含むことができる。
[00244] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
[00245] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ることができる。
[00246] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。