[0028] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
[0029] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
[0030] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
[0031] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示している。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに連結された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
[0032] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[0033] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0034] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0035] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
[0036] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は浸漬液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0037] 本実施形態では、例えば、装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば、上記で言及したようなタイプのプログラム可能なミラーアレイを使用するか、又は反射マスクを使用する)反射タイプであってもよい。
[0038] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルと、例えば2つ以上のマスクテーブルを有するタイプのものとすることができる。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0039] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増やすために当技術分野では周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が存在するというほどの意味である。
[0040] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0041] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えていてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0042] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0043] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0044] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0045] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、基板上で露光前及び露光後プロセスを実行するための装置も含む、時にはリソセル又はクラスタとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成する。従来これらは、レジスト層を堆積させるためのスピンコータSC、露光レジストを現像するためのデベロッパDE、冷却プレートCH、及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ、又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を受け取り、それらを異なるプロセス装置間で移動させ、その後、リソグラフィ装置のローディングベイに送達する。これらのデバイスは、しばしば集合的にトラックと呼ばれ、それ自体が監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、監視制御システムSCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、異なる装置は、スループット及び処理効率を最大化するように動作可能である。
[0046] リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるために、後続の層間のオーバーレイエラー、ライン厚み、クリティカルディメンション(CD)などの特性を測定するために露光基板を検査することが望ましい。エラーが検出された場合、特に、同じバッチの他の基板が依然として露光されるように十分に速く迅速に検査が実行可能である場合、例えば、後続の基板の露光を調整することが可能である。また、既に露光された基板は、歩留まりを向上させるために取り去って再加工するか、又は場合によっては廃棄することが可能であり、それによって欠陥があることがわかっている基板上で露光を実行することが回避される。基板のいくつかのターゲット部分のみに欠陥がある場合、欠陥がないと見なされるターゲット部分のみで更なる露光を実行することができる。
[0047] メトロロジ装置は、基板の特性、特に、異なる基板又は同じ基板の異なる層の特性が層によってどのように変化するかを、決定するために使用される。メトロロジ装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合可能であるか、又はスタンドアロンデバイスとすることができる。最も迅速な測定を実行可能にするために、メトロロジ装置は、露光されたレジスト層内の特性を露光後すぐに測定することが望ましい。しかしながら、放射に露光されたレジストの部分と露光されていない部分との間で、屈折率の差が非常に小さいような場合、レジスト内の潜像は非常に低いコントラストを有し、すべてのメトロロジ装置が有益な潜像の測定を行うのに十分な感度を有するわけではない。したがって、通例、露光基板上で行われる第1のステップであり、レジストの露光された部分と未露光の部分との間のコントラストを増加させる、露光後ベークステップ(PEB)の後で、測定を行うことができる。この段階で、レジスト内の像は半潜像と呼ぶことができる。レジストの露光された部分又は未露光の部分のいずれも除去されていないか、又はエッチングなどのパターン転写ステップの後の、いずれかの時点で、現像されたレジスト像の測定を行うことも可能である。後者の可能性は、欠陥のある基板の再加工の可能性を制限するが、有用な情報も提供することができる。
[0048] メトロロジ装置が、図3(a)に示されている。ターゲットT、及びターゲットを照明するために使用される測定放射の回折光線が、図3(b)により詳細に示されている。図示されているメトロロジ装置は、暗視野メトロロジ装置として既知のタイプである。メトロロジ装置は、スタンドアロン型デバイスであるか、あるいは、例えば測定ステーションにあるリソグラフィ装置LA又はリソグラフィセルLCのいずれかに組み込むことができる。装置全体にわたっていくつかの分岐を有する光軸が、破線Oによって表されている。この装置では、ソース11(例えば、キセノンランプ)によって放出された光が、レンズ12、14及び対物レンズ16を備える光学システムによって、ビームスプリッタ15を介して基板W上へと誘導される。これらのレンズは、4F配置の二重シーケンスで配置される。異なるレンズ配置は、依然として基板像を検出器上へと提供し、同時に、空間周波数フィルタリングのための中間瞳面へのアクセスが可能であるという条件で、使用可能である。したがって、放射が基板上に入射する角度レンジは、ここでは(共役)瞳面と呼ばれる、基板平面の空間スペクトルを提示する平面内の空間強度分布を定義することによって、選択可能である。特にこれは、対物レンズ瞳面の後方投影像である平面内で、レンズ12と14との間に好適な形のアパーチャプレート13を挿入することによって実行可能である。図示された例では、アパーチャプレート13は13N及び13Sと標示された異なる形を有し、異なる照明モードを選択することが可能である。図3の例における照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nは、単なる記述のために「北」と指定された方向からオフアクシスを提供する。第2の照明モードでは、同様であるが、「南」と標示された反対方向から照明を提供するために、アパーチャプレート13Sが使用される。所望の照明モードの外側の不必要な光が所望の測定信号と干渉することになるため、瞳面の残余部は暗いことが望ましい。他の実施形態では、図4から図8を参照しながら下記で考察するように、13Hと標示されたアパーチャプレートなどの、異なる形のアパーチャプレート13が使用可能である。
[0049] 図3(b)に示されるように、ターゲットTは、対物レンズ16の光軸Oに垂直な基板Wに配置される。基板Wはサポート(図示せず)によって支持することができる。軸Oを外れた角度からターゲットTに当たる測定放射Iの光線が、ゼロ次光線(実線0)及び2本の1次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線−1)を生じさせる。小さなターゲットが過剰充填されると、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎないことに留意されたい。プレート13内のアパーチャは(有用な量の光が入ることを許すために必要な)有限幅を有するため、入射光線Iは実際にはあるレンジの角度を占有し、回折光線0及び+1/−1は幾分広がることになる。小さなターゲットの点像分布関数に従い、各次数+1及び−1は、図示されたような単一の理想的な光線ではなく、ある角度レンジにわたって更に広がることになる。ターゲットの格子ピッチ及び照明角度は、対物レンズに入る1次光線が中央の光軸と厳密に位置合わせされるように設計又は調整可能であることに留意されたい。図3(a)及び図3(b)に示される光線は、単に図面内でより容易に区別できるようにするために、幾分オフアクシスに示されている。
[0050] 図3の例では、基板W上のターゲットTによって回折された少なくとも0次及び+1次は、対物レンズ16によって収集され、ビームスプリッタ15を介して戻るように誘導される。図3(a)に戻ると、北(N)及び南(S)と標示された正反対のアパーチャを指定することによって、第1及び第2の両方の照明モードが示されている。測定放射の入射光線Iが光軸の北側からのものである場合、すなわち、アパーチャプレート13Nを使用する第1の照明モードが適用される場合、+1(N)と標示された+1回折光線が対物レンズ16に入る。これに対して、アパーチャプレート13Sを使用する第2の照明モードが適用される場合、−1回折光線(−1(S)と標示)がレンズ16に入る。
[0051] 第2のビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分ける。第1の測定分岐において、光学システム18は、ゼロ次及び1次の回折ビームを使用して、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上のターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。画像処理が次数を比較及び対比することができるように、各回折次数はセンサ上の異なるポイントに当たる。センサ19によってキャプチャされた瞳面像は、メトロロジ装置の合焦及び/又は1次ビームの強度測定の規格化に使用可能である。瞳面像は、再構成などの多くの測定目的にも使用可能である。
[0052] 第2の測定分岐において、光学システム20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットTの像を形成する。第2の測定分岐において、瞳面と共役の平面内に開口絞り21が提供される。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が−1又は+1の1次ビームからのみ形成されるように、ゼロ次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によってキャプチャされた像は像を処理するプロセッサPUに出力され、プロセッサPUの機能は、実行される特定タイプの測定に依存する。「像」という用語は、本明細書では広義に使用されることに留意されたい。したがって、−1及び+1の次数のうちの1つのみが存在する場合、格子線の像は形成されないことになる。
[0053] 図3に示される特定の形のアパーチャプレート13及びフィールド絞り21は、単なる例である。本発明の別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、実質的に1つの1次回折光のみをセンサに渡すために、オフアクシスアパーチャを伴う開口絞りが使用される。更に他の実施形態では、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次、及びより高次のビーム(図3には図示せず)を測定において使用することができる。
[0054] 測定放射をこれらの異なるタイプの測定に適合可能にするために、アパーチャプレート13は、ディスクの周辺に形成された多くのアパーチャパターンを備えることができ、このディスクは所望のパターンを定位置に移動させるように回転する。アパーチャプレート13N又は13Sは、1つの方向(セットアップに応じてX又はY)に配向された格子を測定するためにのみ使用可能であることに留意されたい。直交格子の測定のために、90°及び270°を介したターゲットの回転が実装可能である。
[0055] 図3(c)は、既知の実施に従って基板上に形成された(複合)ターゲットを示す。本例におけるターゲットは、メトロロジ装置のメトロロジ放射照明ビームによって形成される測定シーン又は測定スポット24内にすべてがあるように、共に接近して位置決めされた4つの格子25aから25dを備える。したがって、4つの格子はすべて同時に照明され、センサ19及び23上に同時に結像される。オーバーレイの測定専用の例では、格子25aから25d自体が、基板W上に形成された半導体デバイスの異なる層内にパターニングされた格子を重ねることによって形成された複合格子である。格子25aから25dは、複合格子の異なる部分が形成された層間のオーバーレイの測定を容易にするために、異なってバイアスされたオーバーレイオフセット(層間の意図的な不一致)を有することができる。こうした技法は当業者にとって周知であり、これ以上は説明しない。図に示されるように、格子25aから25dは、入射放射をX及びY方向に回折するように、それらの配向も異なるものとすることができる。一例において、格子25a及び25cは、それぞれ+d、−dのバイアスを伴うX方向の格子である。格子25b及び25dは、それぞれ+d、−dのオフセットを伴うY方向の格子である。これらの格子の別の像を、センサ23によってキャプチャされる像内で識別することができる。これは、ターゲットの単なる一例である。ターゲットは4つよりも多いか又は少ない格子を含むか、又は単一の格子のみを含むことができる。
[0056] 図3(d)は、図3(a)の装置内で図3(c)のターゲットを使用して、センサ23上に形成された、センサ23によって検出可能な、像の例を示す。瞳面像センサ19は、異なる個別の格子25aから25dを解像することができないが、像センサ23はそれが可能である。暗い矩形はセンサ上のイメージフィールドを表し、その内部の対応する円形エリア26内に、基板上で照明されたスポット24が結像される。この内部の矩形エリア27aから27dは、小さなターゲット格子25aから25dの像を表す。ターゲットがプロダクトエリア内に配置される場合、プロダクトフィーチャもこのイメージフィールドの周辺において可視であり得る。イメージプロセッサ及びコントローラPUは、格子25aから25dの別々のイメージ27aから27dを識別するために、パターン認識を使用してこれらの像を処理する。このようにして、像は、センサフレーム内の特定のロケーションにおいて非常に精密に位置合わせされる必要はないため、全体として、測定装置のスループットを大幅に改善する。
[0057] 格子の別々の像が識別されると、例えば識別エリア内で選択されたピクセル強度値を平均化又は合計することによって、それらの個別の像の強度を測定することができる。像の強度及び/又は他の特性を、互いに比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの異なるパラメータを測定することができる。オーバーレイ性能は、こうしたパラメータの重要な例である。
[0058] 本明細書の導入部で述べたように、構造が、製造されるべきデバイスフィーチャの解像度にあるとき、ターゲット構造内のオーバーレイ及び他の非対称の測定は困難である。これは、ゼロ次よりも高い回折放射をキャプチャすることが困難なためである。例えば、図3(a)から図3(d)に示されたタイプの配置において、+1及び−1の回折次数のいずれか又は両方の反射の角度は、対物レンズ16によってキャプチャされる両方について非常に高くなるか、あるいは、これらの次数はエバネッセント(非増殖型)になる。
[0059] ターゲット非対称は、極端に小さいが、ゼロ次反射ビーム(すなわち、鏡面反射ビーム)に寄与する。ゼロ次反射ビームは、対物レンズ16によって相対的に容易にキャプチャされる。高感度のゼロ次反射ビームへの非対称寄与、並びに対象となる他のパラメータを測定するために、干渉法を使用することができる。この原理に基づく実施形態を、下記で説明する。
[0060] 一実施形態に従い、リソグラフィプロセスによって基板上に形成された構造を測定するためのメトロロジ装置が提供される。一実施形態において、メトロロジ装置は、(瞳面内に検出器が配置される)第1の測定分岐のみが提供される場合、広義には図3のメトロロジ装置と同様である。しかしながら、検出は必ずしも瞳面内で実行されるとは限らない。他の実施形態において、検出器は、像面内に配置されるか、又は像面と瞳面との間の平面内に配置される。メトロロジ装置は、放射を構造上に合焦させ、反射後、放射を(矢印100を介して)検出システム102へと誘導する、光学システム(図4及び図5を参照しながら下記で説明する)を備える。例示の検出システム102に関する更なる詳細は、図13から図17を参照しながら下記に示される。検出システム102が、瞳面フィールド分布内の少なくとも2つの異なるポイントからの放射間の干渉の結果として生じる、放射強度を検出するような、光学システムが構成される。干渉は、対象となるパラメータに関する情報を含む検出される放射強度の成分が、(1つ以上の他の成分に対応する、少なくとも部分的に弱め合う干渉に起因して)検出される放射強度の1つ以上の他の成分に関連して強化されるものである。光学システムは、異なるポイント間の必要な空間コヒーレンスを瞳面フィールド分布に導入することができるため、インコヒーレントな放射源を使用して機能を実装することができる。一実施形態において、検出される放射強度は、構造からのゼロ次反射から生じる。したがってこの手法は、高解像度フィーチャ(例えば、製造されるべきデバイス構造の解像度にあるフィーチャ)を測定するのに好適である。
[0061] 図4から図7、図13、図14、及び図16を参照しながら考察する実施形態は、共通パス干渉法の形を使用して上記の機能を実装し、ビームスプリッタによって分割された光は、ビームスプリッタを2回目に通過した後に干渉される前に、異なる方向に共通パスをたどる。これらの実施形態において対象となるパラメータはオーバーレイであるが、原理は、対象となる他のパラメータに適用可能である。
[0062] 図4は、入力放射ビーム34を光学ユニット40(図5から図7に図示)に提供するための、メトロロジ装置の光学要素を示す。ソース11(例えば、光ファイバの出力端)は、レンズ12、14A、及び14Bを備えるレンズシステムを通過する、放射ビームを提供する。レンズ12、14A、及び14Bは、図3に示されるレンズ12及び14に対応する。図3のレンズ12及び14と同様に、レンズ12、14A、及び14Bは4F配置の二重シーケンスで配置可能である。瞳面フィールド分布が形成される瞳面は、32と標示されている。ソース(例えば、光ファイバの端部)の像が形成される像面は、35と標示されている。瞳面32内にアパーチャプレート13が提供される。アパーチャプレート13は、例えば(上から見た)挿入図13Hによって示される形を取ることができる。アパーチャプレート13は、所望の瞳面フィールド分布をビームスプリッタ48に提供される入力放射34に付与するものであり、下記でより詳細に説明される。入力放射34は、任意選択として、ポラライザによって偏光することができる(例えば、線形偏光)。
[0063] 図6、図7、図13、及び図14に示されるような実施形態において、光学ユニット40はビームスプリッタ48を備える。ビームスプリッタ48は、入力放射ビーム34を第1の放射ビーム及び第2の放射ビームに分割する。光学ユニット40は、光学システム(図5に示される)の一部であり、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームを基板W上に誘導し、基板Wから反射された放射を、ビームスプリッタ48を介して(矢印100を介して)(例えば、1つ以上のCCD又はCMOSセンサを備えることができる)検出システム102に誘導する。検出システム102は瞳面内を検出することができる。したがって検出システム102は、基板Wからの反射後、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームの組み合わせの瞳面フィールド分布における強度を記録することができる。下記で更に詳細に説明するように、検出システム102は、第1の放射ビームと第2の放射ビームとの間の干渉の結果生じる放射を検出する。一実施形態において、干渉は、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームが、ターゲット構造の対称成分からの反射についての検出ポイントにおいて、ターゲット構造の非対称成分からの反射よりも、より弱め合うように(例えば、完全に弱め合うように)干渉するものである。それによって、ターゲット構造内の非対称に関する情報を含まないバックグラウンド信号が、除去又は削減される。ターゲット構造内の非対称に関する情報を含む信号の一部は保持される。それによって、非対称が測定可能な感度は増加する。第1の放射ビームと第2の放射ビームとの間の干渉は、瞳面フィールド分布における異なるポイント間の干渉を含む。これらの実施形態において、互いに干渉し合うはずの瞳面フィールド分布におけるポイントの対は、対称の(ポイント対称についての)共通ポイント又は(ミラー対称についての)共通軸に関して対称的に配置される。瞳面フィールド分布が対称の共通ポイント又は共通軸に関して完全に対称であるとき、ポイントの対は同じ振幅を有し、それらの間に180度の位相シフトを適用することによって、弱め合うように干渉させることができる。したがって、対称バックグラウンド信号を効率的に除去することが可能であり、対称からの逸脱があれば高感度で検出可能である。下記で説明する図6は、瞳面フィールド分布における異なるポイントが対称的に干渉されるミラーである一例である。下記で説明する図7は、瞳面フィールド分布における異なるポイントが対称的に干渉されるポイントである一例である。
[0064] 一実施形態において、検出器に到達する反射した第1の放射ビーム及び反射した第2の放射ビームは、基板W上のターゲット構造からのゼロ次反射から生じる。したがって、この手法は、高解像度フィーチャ(例えば、製造されるべきデバイス構造の解像度にあるフィーチャ)の測定に適している。
[0065] 図4から図7、図13、図14、及び図16の実施形態において、光学システム60は、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームが、第1の分岐61及び第2の分岐62を備える共通光路の周辺で反対方向に伝搬するものである。図示された実施形態において、第1の分岐61及び第2の分岐62は共通の光学要素(例えば、レンズ42A、42B、及び44)を有するが、放射は各分岐内のこれらの共通光学要素の異なる部分を介して伝搬する。共通光路は、第1の放射ビームの光軌道及び第2の放射ビームの光軌道が互いに(エンジニアリング閾値内で)重畳可能であるという意味で共通である。共通光路における第1の放射ビーム及び第2の放射ビームの光軌道間の唯一の違いは、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームが反対方向に移動することである。共通光路は閉光路である。第1の放射ビームは、第1の分岐61に沿ってビームスプリッタ48から基板Wへと(図示された例では下方へと)伝搬し、第2の分岐62に沿って基板Wからビームスプリッタ48へと(図示された例では上方へと)戻る。第2の放射ビームは、第2の分岐62に沿ってビームスプリッタ48から基板Wへと(図示された例では下方へと)伝搬し、第1の分岐61に沿って基板Wからビームスプリッタ48へと(図示された例では上方へと)戻る。第1の放射ビーム及び第2の放射ビームは基板上の同じロケーション上に合焦され、基板W上に像(例えば、ソース11の像)を形成する。検出器38における第1の放射ビームと第2の放射ビームとの間の弱め合う干渉を(位相シフトが適用されない場合と比べて)増加させるために、第2の放射ビームに対する位相シフトが第1の放射ビームに適用される。一実施形態において、位相シフトは、第2の放射ビームの断面全体に対して第1の放射ビームの断面全体に均一に適用される。特定の1つのクラスの実施形態において、位相シフトは180度に等しい。位相シフトは、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む検出される放射強度の成分を、検出される放射強度の1つ以上の他の成分に比べて、干渉によって強化させるようなものである。
[0066] 第1の放射ビーム及び第2の放射ビームの共通光路に起因して、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームが反射されるターゲット構造が完全に対称(例えば、ポイント対称又はミラー対称)である場合、検出システム102において、適用される位相差が180度の場合、瞳面フィールド分布におけるすべてのポイントについて完全な弱め合う干渉を達成することができる。例えばオーバーレイに起因して、ターゲット構造内のいずれの非対称も、不完全な弱め合う干渉を生じさせることになる。不完全な弱め合う干渉は、非対称の測定を取得するために使用可能な、検出システム102における信号を提供する。したがって干渉法は、望まないバックグラウンド信号を除去し、非対称が測定可能な感度を向上させる。
[0067] バックグラウンドが除去可能な範囲は、ビームスプリッタ48及び/又は光学欠陥などの光学要素のアライメント確度に依存することになる。欠陥アライメントは、(相互に正確に重なっていないか、又は正確に同じ方向に伝搬していない、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームから反射されるビームに起因した)フリンジにつながることになる。欠陥光学系は、例えばビームスプリッタ48が正確に50/50のビーム分割を提供しない場合、不完全なバックグラウンド抑制につながることになる。
[0068] 図5の例では、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームはどちらも、レンズ42A、42B、及び44によって基板W上に合焦される。レンズ42Aと42Bとの間の像面は34と標示される。基板Wも像面内に位置決めされる。レンズ42Bと44との間の瞳面は32と標示される。第1の放射ビーム及び第2の放射ビームから反射される放射は、レンズ18A及び18Bを介してビームスプリッタ48を2回通過した後、検出器38に誘導される。レンズ18Aと18Bとの間の像面は34と標示される。
[0069] 一実施形態において、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームは基板W上に対称的に誘導される。対称は結果として、基板Wからの第1の放射ビーム及び第2の放射ビームの反射の前に、(第1の放射ビームの瞳面フィールド分布と同じ平面内にある)第2の放射ビームの瞳面フィールド分布に関してミラー対称又はポイント対称の、第1の放射ビームの瞳面フィールド分布を生じさせることができる。光学システムは、第1の放射ビームからの像及び第2の放射ビームからの像が、それぞれ、互いにミラー対称又はポイント対称である瞳面フィールド分布を有する放射によって形成されるように、第1の分岐又は第2の分岐内を伝搬する放射の瞳面フィールド分布の少なくとも1つのフリップ又は回転を実行する。
[0070] 図6の例において、第1の放射ビームからの像及び第2の放射ビームからの像が、それぞれ、互いに関してミラー対称な瞳面フィールド分布を有する放射によって形成されるように、第1の分岐内を伝搬する放射の瞳面フィールド分布がフリップ(反射)される。このタイプの実施形態において、瞳面フィールド分布のフリップによって導入される追加の光路長を補償するために、光路長補償器50を提供することができる。図6の特定の例では、瞳面は、第1の分岐61内の瞳面フィールド分布修正ユニット46によってフリップされる。その後、光路長補償器50は第2の分岐62内に位置決めされる。
[0071] 瞳面フィールド分布修正ユニット46は様々な手法で実装可能である。図示された構成において、放射の方向を(水平から下方へ)変更し、及び、瞳面フィールド分布をフリップする、所望の機能を達成する、光学要素の任意の組み合わせが使用可能である。機能は、例えば、2つの適切に配向されたミラー又はペンタプリズムを使用して実装可能である。
[0072] 光路長補償器50は、様々な手法で実装可能である。ビームスプリッタ48から基板W上のターゲット構造への光路長を、(瞳面フィールド分布修正ユニット46を介する迂回を補償することによって)第1の放射ビーム及び第2の放射ビームについて同じにする、所望の機能を達成する、光学要素の任意の組み合わせが使用可能である。これは、ターゲット構造が像面内にあり、したがって合焦している(ターゲット構造の最適な測定を可能にする)ことを保証するために必要である。図6の特定の例では、光路長補償器50は4つのミラーを備える。光路長補償器50は、代替として、直角プリズム、又は直角プリズムとミラーとの組み合わせを使用して、実装可能である。光路長補償器50は、固定する(例えば、瞳面フィールド分布修正ユニット46に完全に一致させる)か、又は、(柔軟性のために)長さを調節可能とすることができる。原則として、ガラスの板(屈折率が高いため)を使用することができる。
[0073] 図7は、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームを基板W上に対称的に誘導する、代替の実装を示す。ミラー対称が達成される図6の実施形態とは対照的に、図7の配置は、結果として、基板Wからの第1の放射ビーム及び第2の放射ビームの反射の前に、第2の放射ビームの瞳面フィールド分布に関してポイント対称の、第1の放射ビームの瞳面フィールド分布を生じさせる。図7の例では、これは、第1の分岐61内に追加のフリップ(ミラー反射)を付加するために、図6の配置を修正することによって達成される。図示された例では、追加のフリップはダブプリズム80によって実装される。代替実施形態では、追加のフリップは、例えば光路長補償器50のミラーのうちの1つの代わりに、ルーフトップアミチプリズムを使用して実装される。代替として、追加のフリップは第2の分岐62内に提供される。代替として、例えば、分岐のうちの1つにおける−90度回転、及び、他方の分岐における+90度回転を実装することによる、瞳面フィールド分布の回転によって、効果が達成可能である。ポイント対称は、ターゲットと相互作用した反対方向からの干渉光ビームに対応するため、望ましい。これは、ターゲット自体の対称が、瞳面フィールド分布内のミラー対称が適切であり得ることを意味する、位置合わせされた格子ターゲットには必要ない場合がある。しかしながら、オーバーレイターゲットが位置合わせされていないとき、又は、プロダクトフィーチャを測定することが望ましいとき、瞳面フィールド分布がポイント対称であることを保証するために、図7のような実施形態を使用することが必要な場合がある。
[0074] ビームスプリッタ48は、様々な手法で実装可能である。図示された例では、プレートビームスプリッタが使用される。他の実施形態では、キューブビームスプリッタ又はペリクルビームスプリッタが使用される。最大の弱め合う干渉の場合、50/50ビームスプリッタが好ましい。
[0075] オーバーレイのみなど、非対称のみを測定するとき、通常は180度の位相シフトが使用されることになる。しかしながら、別の位相シフトを使用することは、バックグラウンド信号の不完全な抑制を意味することになる。これは、バックグラウンド信号から情報を取得することが望ましい場合に有益であり得る。例えば、ターゲットの対称特性(例えば、クリティカルディメンション)に関する情報が取得可能である。一実施形態において、メトロロジ装置は、位相シフトが選択的に制御可能なように構成される。したがって、バックグラウンドのレベルが所望に応じて調節可能であるか、又は、測定が主に非対称特性に敏感なモードと主に対称特性に敏感なモードとの間で切り替え可能である。一実施形態において、位相シフトは、少なくとも一時的に180度に近いが、正確に180度ではない(例えば、180度プラスマイナス1度、任意選択で2度、任意選択で5度、任意選択度で10度、任意選択で20度のシフト)ように配置される。位相シフトの制御は、例えばビームスプリッタ48の好適な適合によって実装可能である。
[0076] 代替又は追加として、対称特性の測定は、ビームスプリッタ48を選択的に除去するため、又は、ビームスプリッタを2面ミラーなどの異なるコンポーネントに選択的に置き換えるために、装置を提供することによって達成可能である。代替又は追加として、ビームスプリッタ48は、50/50以外の割合のビーム分割を有する(結果として、ターゲット構造の対称成分に関して不完全な弱め合う干渉を生じさせることになる)ように構成可能である。
[0077] 図6及び図7の実施形態において、反射された第1の放射ビームと反射された第2の放射ビームとの間に、2つのビームが反射されるか又はビームスプリッタを介して透過される2つの異なる手法によって、180度の位相シフトが提供される。図示された特定の例では、第1の放射ビームは、ビームスプリッタ48の一方の側(左側)からの反射によって出力され、共通光路の周辺を伝搬した後、ビームスプリッタ48の反対側(右側)からの反射によって検出器38へと誘導される。これには、2つの反射(1つは内部、1つは外部)が含まれる。これに対して第2の放射ビームは、ビームスプリッタ48を介する透過によって出力され、共通光路の周辺を伝搬した後、ビームスプリッタ48を介した2回目の透過によって検出器38へと誘導される。したがって、光路長が同じ場合、ビームスプリッタからの1つの外部反射によって導入される180度の位相シフトは、2つの放射ビーム間に所望の180度の位相シフトを提供する。
[0078] 一実施形態において、ビームスプリッタ48への入力放射34は、瞳面フィールド分布の第2の領域のみを残すために瞳面フィールド分布の第1の領域が除去されている、瞳面フィールド分布を備える。図4から図7、図13、図14、及び図16の実施形態において、第1の領域はアパーチャプレート13Hによって除去される。一実施形態において、第1の領域及び第2の領域は反対向きの半円である。この手法は、最大の割合の放射が基板Wの対称照明に寄与できるようにするため、望ましい。レンズ44では、全円の瞳面フィールド分布が提供される。半分は第1の放射ビームによって提供され、他方の半分は第2の放射ビームによって提供される。このタイプの実施形態では、瞳面フィールド分布のフリップは、瞳面の第1の領域の半円の直線エッジに関する反射(図6)、及び/又は、瞳面の第1の領域の半円のミラー対称の線に関する反射(図7)を含むことができる。
[0079] 図6は、光学ユニット40への入力放射34の入力と、基板Wからの反射後の放射ビームの光学ユニット40からの出力と、の間の光路内の様々なポイントにおける瞳面フィールド分布を示す。光学ユニット40への入口ポイントにおける入力放射34の瞳面フィールド分布は、(上から見た場合)70と標示される。矢印は放射の伝搬方向(この場合、下方)を示す。図面内には、図内の光学システムを介した瞳面フィールド分布の配向を視覚的に追跡するのを容易にするために、瞳面フィールド分布の参照部分を識別するための、円形、四角形、及び三角形が提供される(それらは、実際の瞳面フィールド分布内には存在しない)。
[0080] 上述のように、入力放射34は、ビームスプリッタによって第1の放射ビーム及び第2の放射ビームに分割される。
[0081] 第1の放射ビームは第1の分岐61をたどり、瞳面フィールド分布修正ユニット46を通過した後、光学ユニット40から下方へ出る。この段階での瞳面フィールド分布は、(上から見た場合)71Aと標示される。図を見るとわかるように、瞳面フィールド分布71Aは、瞳面フィールド分布70のミラー像である。ミラー対称の軸は、半円の直線エッジである。第1の放射ビームは光学ユニット40と基板Wとの間の光学系(第1の分岐61の残りの部分)を通過して、基板W上に像を形成する。その後、第1の放射ビームは基板Wから反射され、第2の分岐62に沿って上方へと伝搬する。反射された第1の放射ビームは、基板Wと光学ユニット40との間の光学系を通過する。光学ユニットへの入口での反射された第1の放射ビームの瞳面フィールド分布は、(上から見た場合)71Bと標示される。光学ユニット40と基板Wとの間の光学系は、瞳面フィールド分布71Bを提供するためのポイント対称法における瞳面フィールド分布71Aの再配置につながる。反射された第1の放射ビームは光路長補償器50を上方へと通過し、ビームスプリッタ48からの反射された後、光学ユニット40から出力される。この(左から水平に見た)段階での瞳面フィールド分布は、71Cと標示される。
[0082] 第2の放射ビームは、共通光路の周辺を第1の放射ビームとは反対方向に伝搬する。ビームスプリッタ48を介した伝搬及び光路長補償器50を介した伝搬の後の、第2の放射ビームの瞳面フィールド分布は、(上から見た場合)72Aと標示される。瞳面フィールド分布72Aは、瞳面フィールド分布70と同一である。第2の放射ビームは、光学ユニット40と基板Wとの間の光学系(第2の分岐62の残りの部分)を通過して、基板W上に像を形成する。その後、第2の放射ビームは基板Wから反射され、第1の分岐61に沿って上方へと伝搬する。反射された第2の放射ビームは、基板Wと光学ユニット40との間の光学系を通過する。光学ユニット40への入口での反射された第2の放射ビームの瞳面フィールド分布は、(上から見た場合)72Bと標示される。光学ユニット40と基板Wとの間の光学系は、瞳面フィールド分布72Bを提供するためのポイント対称法における瞳面フィールド分布72Aの再配置につながる。反射された第2の放射ビームは瞳面フィールド分布修正ユニット46を通過し、ビームスプリッタ48を介した2回目の透過の後、光学ユニット40から出力される。この(左から水平に見た)段階での瞳面フィールド分布は、72Cと標示される。
[0083] 図7は、図6と同じポイントでの瞳面フィールド分布を示す。上記で考察した追加のフリップは、瞳面フィールド分布71Aを、瞳面フィールド分布72Aに関してミラー対称ではなくポイント対称にする。
[0084] 瞳面フィールド分布71C及び72Cは同じ配向を有し、互いに正確に(エンジニアリング閾値の範囲内で)重なる。これによって、図6及び図7内の71B及び72Bの組み合わせによって定義される瞳面フィールド分布内で、互いに関してミラー対称又はポイント対称であるポイントの対から生じる放射を干渉させる。その後、対応する放射強度を検出システム102で検出することができる。図6及び図7の概略図において、71B及び72Bの2つの三角形が干渉し、71B及び72Bの2つの四角形が干渉し、71B及び72Bの2つの円形が干渉することになる。瞳面フィールド分布71B及び72Bが互いに正確に同じである場合(ターゲット構造がいかなる非対称も誘起しないため)、弱め合う干渉は瞳面フィールド分布全体を暗くすることになる。半分の瞳の2つのコピーが空間的に重複するため、瞳全体にわたって空間コヒーレンスを有する必要はない。上記で考察したように、瞳面フィールド分布内に非対称があれば不完全な弱め合う干渉を生じさせることになり、それによって明るい領域が提供される。明るい領域は検出システム102によって検出され、ターゲット構造内の非対称に関する情報を提供することができる。
[0085] 代替の実施形態において、光学瞳対称化(OPS)システムを使用して、ターゲット構造の対称成分からの反射に対して弱め合う干渉を提供し、ターゲット構造の非対称成分(オーバーレイなど)からの反射に対して強め合う干渉を提供する、メトロロジ装置が提供される。OPSシステムを実装する方法の詳細は、国際出願第WO2016/096310A1号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0086] 一実施形態において、図4の構成は瞳面フィールド分布の第1の領域を除去するためのアパーチャプレート13Hを備えなくてもよいという点、及び光学ユニット40は図8に示されるように構成されるという点を除いて、図4から図5を参照しながら上記で説明したメトロロジ装置が提供される。図8の光学ユニット40は、OPSシステムを備える。光学ユニット40は、放射ビーム34を第1の放射ビーム及び第2の放射ビームに分割する、第1のビームスプリッタ83を備える。光学ユニット40は、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームを再結合する、第2のビームスプリッタ84を更に備える。第1の放射ビームは、第1のビームスプリッタ83と第2のビームスプリッタ84との間を、第1の光分岐81に沿って伝搬する。第2の放射ビームは、第1のビームスプリッタ83と第2のビームスプリッタ84との間を、第2の光分岐82に沿って伝搬する。第1の光分岐81及び第2の光分岐82は、第1の放射ビームのフィールド分布を、第2の放射ビームのフィールド分布に関連して2本の直交軸の周りでフリップ又は回転させる。図8の例では、第1の放射ビームは、第1の分岐81内の第1の軸の周りで、第1のダブプリズム85を使用してフリップされる。第2の放射ビームは、第2の分岐82内の、第1の軸に垂直な第2の軸の周りで、第2のダブプリズム86を使用してフリップされる。代替の実装では、第1の分岐内で第1の放射ビームを−90度回転させ、第2の分岐内で第2の放射ビームを+90度回転される、光学要素が提供される。第1の光分岐81に沿った光路長は、第2の光分岐82に沿った光路長に等しい。
[0087] 放射ビームは、第1のビームスプリッタ83及び第2のビームスプリッタ84を通過した後、(例えば、図5に示されるように構成可能な光学システム60を介して)ターゲット構造から反射される。構造上に合焦される放射ビームの瞳面フィールド分布は、ポイント対称である。次いで放射ビームは、ターゲット構造からの(反対方向の)反射の後、追加として、第1のビームスプリッタ83及び第2のビームスプリッタ84を通過する。その結果として、ターゲット構造の対称成分からの反射に対して弱め合うように干渉し、ターゲット構造の非対称成分からの反射に対して強め合うように干渉する、第1の放射ビーム及び第2の放射ビームによって、第1のビームスプリッタ83からの第1の出力87が形成される。したがって第1の出力87は、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む検出される放射強度の成分が、1つ以上の他の成分(例えば、対称成分)に関連して強化されるものである。
[0088] 放射は、1)第1の光分岐81を介してターゲット構造へ、及び第2の光分岐82を介して第1のビームスプリッタ83へ戻る、2)第2の光分岐82を介してターゲット構造へ、及び第1の光分岐81を介して第1のビームスプリッタ83へ戻る、3)第1の光分岐81を介してターゲット構造へ、及び第1の光分岐82を介して第1のビームスプリッタ83へ戻る、並びに、4)第2の光分岐82を介してターゲット構造へ、及び第2の光分岐82を介して第1のビームスプリッタ83へ戻る、という、4つの異なるルートを介して、図8のOPSシステムを介して伝搬可能である。ルート1及び2は、共に、図4から図7を参照しながら考察した、共通パス干渉法実施形態と同様である。ルート3及び4は、共に、二重マッハツェンダー干渉計に似ているものと見なされる。どちらのルートの対も、ターゲット構造の対称成分からの反射について180度の位相差を提供し、それによって弱め合う干渉につながる。非対称成分は強め合うように干渉し、それによって、第1の出力87を介して検出された信号に寄与することができる。
[0089] 図9は、放射ビームがターゲット構造からの反射後のみ通過する(及び反射前は通過しない)ように、図8のOPSシステムが位置決めされる、代替実施形態を示す。このタイプの実施形態では、構造上に入射する放射内に空間コヒーレンスを導入するために他の配置が提供可能、及び/又は、ソース11が空間的にコヒーレントな放射を出力するように構成可能である。この場合のメトロロジ装置は、図4の構成は瞳面フィールド分布の第1の領域を除去するためのアパーチャプレート13Hを備えなくてもよいという点、図5の光学ユニット40は単一のビームスプリッタからなるという点、及び、図9のOPSシステムは図5に示されるレンズ18Bの後に提供されるという点を除いて、図4から図5を参照しながら上記で述べた通りである。この実施形態では、第1の検出器38Aは、第2のビームスプリッタ84の第1の出力87から放射出力を検出する。第2の検出器38Bは、第2のビームスプリッタ84の第2の出力88から放射出力を検出する。この場合、OPSシステムは、マッハツェンダー干渉計の原理に従って動作する。第1の光分岐81及び第2の光分岐82におけるパス長が等しいとき、第1の出力87は弱め合う干渉に起因して暗くなり、第2の出力88は強め合う干渉に起因して明るくなる。図8の実施形態と同様に、ダブプリズム85及び86は、瞳の2つのコピーが干渉するときにポイント対称であるように、第1の放射ビーム及び第2の放射のフィールド分布をフリップする。第1の検出器38Aにおいて、光は弱め合うように干渉され、(ターゲット構造の非対称成分からの反射から)非対称信号のみが残される。これにより、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む検出される放射強度の成分が、他の成分に対して強化される。第2の検出器38Bにおいて、光は強め合うように干渉される。これにより、第2の検出器38Bは、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む成分が他の成分に対して抑制される、放射強度を検出することができる。したがって第2の検出器38Bは、例えば瞳の対称部分を測定するために使用可能である。
[0090] 図6から図9を参照しながら上記で説明した干渉法システムは、完全に均衡が取れており、測定される放射強度は、ターゲット非対称(例えば、オーバーレイ)の関数として概ねコサイン曲線をたどる。コサイン曲線の対称とは、強度の単一の値のみが取得される場合、検出される非対称の符号が不明瞭であることを意味する。第1の符号を伴う所与の大きさの非対称(例えば、+X方向のオーバーレイ)は、反対の符号を伴う同じ大きさの非対称(例えば、−X方向のオーバーレイ)と同じ強度を生じさせることになる。この問題に対処するための手法の1つは、非ゼロの名目上の非対称を伴うメトロロジターゲット、例えば、オーバーレイバイアスを有するメトロロジターゲットを使用することである。この手法は、特別なメトロロジターゲットを必要とし、相対的に柔軟性がなく、どれだけ多くの追加の情報が提供されるかに関して制限されている。放射の光学特徴におけるオフセットを適用することによって柔軟性が高まる代替の手法を、下記で説明する。
[0091] 一実施形態において、光学システムは、ターゲット構造からの反射の前及び/又は後の放射に、光学特徴の複数の異なるオフセットを適用するように構成される。異なるオフセットは、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射に関連して、瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射に、対応する複数の異なるオフセットが提供されるように適用される。瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射と、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射との間の干渉の結果として生じる、対応する複数の放射強度を検出する、検出システム102が提供される。各放射強度は、複数の異なるオフセットのうちの異なる1つに対応する。瞳面フィールド分布内の第1と第2のポイントの複数の異なる対から反射される放射間の干渉の結果として生じる放射強度のセットを、検出することができる。放射強度の各セットは、複数の異なるオフセットの各々についての放射強度を備える。一実施形態において、ポイントの各対は、ミラー対称の同じラインに関して互いにミラー対称的に位置決めされるか、又は、同じ対称ポイントに関して互いにポイント対称的に位置決めされる。一実施形態において、複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つは、(例えば、図13から図15を参照しながら下記で考察するように)同じ測定分岐内の異なる時点で測定される。この手法は、コンパクトな装置を使用して複数のオフセットでの測定を実行可能にする。別の実施形態において、複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つが、(例えば、図16及び図17を参照しながら下記で考察するように)異なる測定分岐内で同時に測定される。この手法は、複数のオフセットでの測定を迅速に実行可能にする。
[0092] 手法は、瞳面フィールド分布内の異なるポイントからの放射が、(図6及び図7のような)共通パス干渉法ベースアーキテクチャ、及び(図8及び図9のような)OPSベースアーキテクチャを使用して干渉される実施形態を含む、上記で考察した実施形態のうちのいずれかに適用可能である。1つのクラスの実施形態において、異なるオフセットは位相における異なるオフセットを含む。別のクラスの実施形態において、異なるオフセットは振幅における異なるオフセットを含む。更に別のクラスの実施形態において、異なるオフセットは振幅及び位相のオフセットの組み合わせを含む。
[0093] 上記で詳細に考察したように、瞳面フィールド分布内の異なるポイントからの放射間の干渉は、対象となるパラメータに関する情報を含む検出される放射強度の成分が、検出される放射強度の1つ以上の他の成分に関連して強化されるようなものとすることができる。本質的に、干渉は、1つ以上の他の成分からの寄与を、弱め合う干渉によって少なくとも部分的に打ち消す。2つの異なるポイントからの放射間の位相又は振幅においてオフセットを適用することによって、打ち消しが発生する範囲を調整する。図10は、干渉によって生成された検出される強度Iが、3つの異なるオーバーレイ値について適用される位相バイアスθの関数としてどのように変動するかの予測を示す。曲線111はゼロオーバーレイに対応し、曲線112は正のオーバーレイに対応し、曲線113は負のオーバーレイに対応する。曲線111〜113の各々は、時間的コヒーレンスの制限に起因して、より大きなバイアスについての減衰を伴う形、cos(π+bias)を取る。ターゲット構造における非対称(例えば、オーバーレイ)に起因した位相非対称が、曲線を左又は右へシフトさせる。シフトの大きさが、ターゲット構造における非対称の大きさに関する情報を提供する。シフトの方向が、ターゲット構造における非対称の符号に関する情報を提供する。図示された特定の例において、正のオーバーレイは曲線を左へシフトし(曲線112)、負のオーバーレイは曲線を右へシフトする(曲線113)。
[0094] 異なる位相バイアスにおいて干渉強度の複数の測定を行うことで、曲線への適合を可能にする。6つのこうした測定の例示の線図が、図11に示されている。これらのポイントに曲線を適合することで、ターゲット構造のオーバーレイが、図10の曲線112に最も近接に一致することが示される。したがって、ターゲット非対称の大きさ及び符号の両方を高い確度で取得することができる。適用された振幅及び/又は位相オフセットに対して理論的に生成される干渉強度の曲線に正確に一致させる能力が、複数の適用されたオフセットを使用せずに可能となるよりも詳細な、分析されるターゲット構造に関する情報を、より一般的に決定するための基準を提供する。
[0095] 一実施形態において、異なるオフセットは、第1の方向の少なくとも1つのオフセット(例えば、2つのポイントのうちの第2のポイントに関連する干渉に寄与する2つのポイントのうちの第1のポイントからの放射の振幅を増加させること、又は、第2のポイントに関連する第1のポイントからの放射の位相角度を増加させること)、及び、第1の方向とは反対の、第2の方向の少なくとも1つのオフセット(例えば、第1のポイントからの放射の振幅を第2のポイントに関連して減少させること、又は、第1のポイントからの放射の位相角度を第2のポイントに関連して減少させること)を含む。一実施形態において、2つのオフセットは互いにサイズは等しいが、符号は逆である。この手法によって、必要なオフセットを最低2つに抑えて、オフセットに対する強度の曲線の導関数が正確に取得できるようになる。図12は、ポイント114及び115において2回の測定が実行された、例示の手法を示す。直線116を2つのポイントに適合することで、測定されるターゲット構造が曲線112(すなわち、正のオーバーレイ)に対応するターゲット構造に最も近接に似ていることを識別する、ゼロオフセットでの曲線の導関数の推定を生み出す。導関数は、負のオーバーレイ(曲線113)について反対の符号を有することになり、それによって、ターゲット構造内の検出される非対称(この場合はオーバーレイ)の符号の感度の高い測定が提供される。導関数は、非対称(例えば、オーバーレイ)の大きさに関する情報も提供する。より大きな導関数は、より大きな非対称(例えば、オーバーレイ)に対応する。
[0096] 異なるオフセットを様々な方法で適用することができる。いくつかの例を下記で説明する。
[0097] 1つのクラスの実施形態において、異なるオフセットは、偏光依存光学要素131によって少なくとも部分的に定義される。偏光依存光学要素131は、放射の偏光に基づいて、偏光依存光学要素131を通過する放射の振幅又は位相を修正する。こうした実施形態において、瞳面フィールド分布の第1のポイントからの放射、又はこの第1のポイントを形成する放射は、瞳面フィールド分布の第2のポイントからの放射、又はこの第2のポイントを形成する放射とは異なる偏光を伴う偏光依存光学要素131を通過する。したがって偏光依存光学要素131は、第1のポイントからの放射を、第2のポイントからの放射とは異なるように修正し、それによって望ましいオフセットを適用することができる。
[0098] 図13は、図6の光学ユニット40が第1の分岐61内の偏光依存光学要素131を含むように修正される、例示の実装を示す。偏光依存光学要素131は、代替として第2の分岐62内に位置決めすることができる。ターゲット構造が放射の偏光を(例えば、格子からの)反射時に少なくとも部分的に変換し、対象となるパラメータに関する情報がこの偏光変換の方向依存性に含まれる場合、図13のループの周りを時計回りに(すなわち、第2の分岐62を下に、及び第1の分岐61を上に)伝搬する放射の偏光特性が、偏光依存光学要素131において、反時計回りに(すなわち、第1の分岐61を下に、及び第2の分岐62を上に)伝搬する放射の偏光特性とは潜在的に異なるため、偏光依存光学要素131はオフセットを適用することができる。これは、時計回りの放射は、ターゲット構造からの反射の後、偏光依存光学要素131に遭遇するが、反時計回りの放射は、ターゲット構造からの反射の前に、偏光依存光学要素131に遭遇するためである。例として、入力放射34が単にX偏光であるとき、Y偏光放射は、(ターゲット構造の偏光変換特性に起因して)反射放射内にのみ存在することになる。偏光依存光学要素131が、X偏光放射に関連してY偏光を遅らせる場合、これは、(Y偏光が存在する)反射後に偏光依存光学要素131に遭遇する、時計回りに進行する放射のみに影響を及ぼすことになる。反時計回りに進行する放射は、Y偏光が存在しない、したがって遅れない場合、ターゲットからの反射の前に偏光依存光学要素131のみを通過する。これは、時計回り及び反時計回りの伝搬方向における放射間のオフセットにつながる。瞳面フィールド分布が干渉を発生させるために引き続いて重畳される場合(図6及び図7の71C及び72Cを参照)、適用されるオフセットは、瞳面フィールド分布の第1のポイントから(例えば、反時計回りの放射によって提供される、ターゲット構造上に入射する放射を定義する、71Aと標示される瞳面フィールド分布の一部におけるポイントから)導出される反射放射に、瞳面フィールド分布の第2のポイントから(例えば、時計回りの放射によって提供される、71Aと標示される瞳面フィールド分布の一部における上述のポイントと対称的に反対の、72Aと標示される瞳面フィールド分布の一部におけるポイントから)導出される反射放射に関連して提供される、光学特性(位相又は振幅)のオフセットを続行する。オフセットが位相におけるオフセットを含む場合、偏光依存光学要素131は、上記の例のように位相差板を備えることができる。オフセットが振幅におけるオフセットを含む場合、偏光依存光学要素131は、ダイアテニュエータ(線形ダイクロイック光学系、偏光依存損失光学系、又は弱ポラライザとしても既知である)を備えることができる。
[0099] 一実施形態において、位相差板は可変位相差板である。可変位相差板を使用することで、複数の異なる位相オフセットを適用するために、位相オフセットを容易に微細に調節すること、及び/又は、実質的に異なる値に効率的に変更することが可能になる。可変位相差板は、ソレイユバビネ補償器、又はポッケルスセルを備えることができる。ポッケルスセルは、ナノ秒の時間スケールで制御可能である。第1の分岐61及び/又は第2の分岐62内に位置決めされた偏光依存光学要素131の使用は、部品を移動させる必要がないことに起因して、アライメントへの影響を最小限にして実装可能である。
[00100] X偏光入力の特定の例において、ポラライザ120を通過後、時計回りパスX偏光出力Xout及びY偏光出力Youtが、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。入力、ビームスプリッタ48、ターゲット構造、偏光依存光学要素131内の位相差板、偏光依存光学要素131内のダイアテニュエータ、ビームスプリッタ48、ポラライザ120)。
[00103] ポラライザ120を通過後、反時計回りパスからの出力は、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。入力、ビームスプリッタ48、偏光依存光学要素131内のダイアテニュエータ、偏光依存光学要素131内の位相差板、ターゲット構造、ビームスプリッタ48、ポラライザ120)。
[00106] 再結合された放射の干渉からの強度は、下記のように与えられる。
[00108] 上記で考察した実施形態において、ビームスプリッタ48は非偏光ビームスプリッタであった。これは、いくつかの実施形態において、対象となる非対称(例えば、オーバーレイに起因する非対称)が通常は、
と
との間、又は
と
との間で、非対称(すなわち、瞳面フィールド分布内の反対の位置、−k及び+kからの反射間の非対称であり、両方の反射について、XからY又はYからXへの偏光内に同じ変化を含む)であるため、適切であり得る。図6及び図7に示したような配置において、ビームスプリッタ48を偏光ビームスプリッタに置き換えることで、通常は、
対
又は
対
の測定につながり、相反/時間反転の理由に起因するオーバーレイに起因して、非対称に敏感でなくなる。
[00109] しかしながら、図14に示されるように、λ/2板122と組み合わせる場合、偏光ビームスプリッタが使用可能である。図14の光学ユニット40は、次の点を除いて、図13に示された光学ユニット40と同じである。ビームスプリッタ48は、ビームスプリッタ48Aに置き換えられている。45°で配向されたλ/2板122が、偏光依存光学要素131の代わりに第1の分岐61内に提供されている(代替として、第1の分岐61から偏光依存光学要素131を省き、45°で配向されたλ/2板122を第2の分岐62内に提供することもできる)。可変位相差板131A及び更なるλ/2板131Bが、偏光ビームスプリッタ48Aの下流の測定分岐150内に提供されている。
[00110] この実施形態における入力放射34は、偏光ビームスプリッタ48Aに関連して45°の偏光を有する。これは、ポラライザ、又はポラライザと45°のλ/2板との組み合わせによって達成可能である。偏光ビームスプリッタ48Aは、入力放射34の50%を透過し、入力放射34の50%を反射することになる。一例において、X偏光放射は透過され、Y偏光放射は反射される。λ/2板122は、この例では、第1の分岐61及び第2の分岐62の両方がX偏光放射を用いてターゲット構造を照明するように、Y偏光放射をX偏光放射に変換させる。ターゲット構造と相互作用した後、非対称(例えば、オーバーレイに起因する)に関する情報を含む放射の一部はY偏光放射に変換されることになる。時計回り方向では、Y偏光放射はλ/2板122によってX偏光放射に変換され、続いてこれが、偏光ビームスプリッタ48Aを介して出力分岐内に透過される。反時計回り方向では、ターゲット構造からのY偏光放射は偏光ビームスプリッタ48Aによって反射され、出力分岐にも入る。したがって、ターゲットにおいて偏光変換された放射は、出力分岐に沿って検出システムに向けて伝搬するが、変換されていない放射は伝搬しない。
[00111] 偏光ビームスプリッタ48Aのすぐ下流にある測定分岐150において、第1の分岐61及び第2の分岐62によって形成されるループ内での時計回り伝搬からの放射は、X偏光を有する。反時計回り伝搬からの放射はY偏光を有する。X偏光放射を−45°偏光に変換するため、及びY偏光放射を+45°偏光に変換するために、更なるλ/2板131Bが22.5°に配向される。時計回り伝搬からの放射を反時計回り伝搬からの放射と干渉させることができるように、ポラライザ120(又は、代替として、更なる偏光ビームスプリッタ)は、−45°及び+45°の偏光をX及び/又はY軸上に投影するように構成される。ポラライザ120が+45°で配向される場合、λ/2板131Bは省略することも可能である。
[00112] 上記で説明した偏光ビームスプリッタ48Aの使用により、位相又は振幅のオフセットを適用するための手法の代替範囲が広がる。図示された例では、可変位相差板131Aが測定分岐150内に位置決めされる。時計回り伝搬からの放射は、可変位相差板131Aを通過するとき、反時計回り伝搬からの放射に対して垂直な偏光を有し、それによって、干渉の前に位相オフセットを放射に適用することができる。振幅オフセットを適用するためのオプションはいくつかある。例えば、測定分岐150内のλ/2板131Bは回転可能であり、結果として、放射は50/50以外の割合でX及び/又はY軸上に投影される。したがって、可変位相差板131A及びλ/2板131Bは、図13を参照しながら上記で考察した機能と等価の機能を偏光依存光学要素131に提供する。他の実施形態において、振幅オフセットは、λ/2板131Bを回転させる代わりに、又はこれに加えて、ポラライザ120を回転させることによって制御される。代替又は追加として、入力放射34の偏光を、偏光ビームスプリッタ48Aに到達する前に調節することが可能であり、これによって、偏光ビームスプリッタ48Aからの第1の反射において、50:50以外の分割割合が生じることになる。入力放射34の偏光の調節は、偏光ビームスプリッタ48Aの上流にある、λ/2板161及び/又はポラライザ162の回転によって達成可能である。したがって、偏光ビームスプリッタ48Aと、位相差板(例えば、λ/2板161)及びポラライザ162のいずれか又は両方との間の異なる角度によって、異なるオフセットを少なくとも部分的に定義することができる。
[00113] 図14の例において第1の分岐61及び第2の分岐62によって形成されるループを介した時計回りの伝搬は、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。入力、偏光ビームスプリッタ48A、ターゲット構造、λ/2板122、偏光ビームスプリッタ48A)。
[00116] 反時計回りの伝搬は、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。入力、偏光ビームスプリッタ48A、λ/2板122、ターゲット構造、偏光ビームスプリッタ48A)。
[00119] 測定分岐150において、時計回り伝搬からの放射からの出力は、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。時計回り寄与からの入力、可変位相差板131A、λ/2板131B、ポラライザ120)。
[00122] 測定分岐150において、反時計回り伝搬からの放射からの出力は、下記のように与えられる(等式の右側での寄与は、右から左の順に以下の通りである。反時計回り寄与からの入力、可変位相差板131A、λ/2板131B、ポラライザ120)。
[00125] 再結合された放射の干渉からの強度は、下記のように与えられる。
[00127] したがって、異なる位相オフセットは、可変位相差板131A内に、位相φx及びφyを定義する異なる遅れ量を設定することによって適用可能である。異なる振幅オフセットは、λ/2板131Bの配向(角度αを定義する)について異なる値を設定することによって適用可能である。
[00128] 上記の実施形態は、ビームスプリッタ48Aの異なる分割割合を提供することによって、異なるオフセットを少なくとも部分的に定義することが可能であることも示す。上記の例では、異なる分割割合は、偏光ビームスプリッタ48A上に入射する放射の偏光を回転させることによって達成された。いくつかの他の可能性がある。例えば、勾配ビームスプリッタを移動させることによって、可変の位相及び振幅のオフセットが適用可能である。
[00129] 図15は、図9を参照しながら上記で考察したOPSシステムの干渉法原理に基づいて、位相及び/又は振幅オフセットを適用するための代替手法を示す。図9の実施形態と同様に、また、図13及び図14の例とは対照的に、図15の実施形態では、瞳面フィールド分布内の異なるポイントからの放射を干渉するために放射を分割及び再結合することは、全体として、ターゲット構造からの放射の反射後に実行される。図15の実施形態は、図9の第1及び第2の光分岐81及び82のマッハツェンダー干渉計機能に対応する機能が、自己参照干渉計153によって実装されるという点を除いて、図9の実施形態と同様である。したがって、図15の実施形態は、図4の構成が瞳面フィールド分布の第1の領域を除去するためのアパーチャプレート13Hを備えなくてもよいという点、ソース11は空間的にコヒーレントな放射を出力するように構成されるという点、図5の光学ユニット40は単一のビームスプリッタからなるという点、及び、図15に示されるようなコンポーネントは図5に示されたレンズ18Bの後に提供されるという点を除いて、図4から図5を参照しながら上記で説明したメトロロジ装置内で実装可能である。
[00130] 自己参照干渉計153は、偏光ビームスプリッタを伴うマッハツェンダー干渉計として解釈可能な複合プリズムを備える。自己参照干渉計153の1本のアームにおいて、瞳面フィールド分布及び偏光は+90度回転される。他方のアームにおいて、瞳面フィールド分布及び偏光は−90度回転される。回転は複数の反射によって達成される。自己参照干渉計153の出力は、瞳面フィールド分布の2つの重畳コピーを備え、それらがポイント対称であるように互いに関連して回転される。2つのコピーは互いに対して直交する偏光を有する。
[00131] 図15の実施形態では、光学システム40内への入力放射34の偏光に関して交差する、ポラライザ151が提供される。したがってポラライザは、光学システム40内への入力放射34に関して共偏光された放射を除去する。これは例えば、対象となるパラメータがオーバーレイである場合、オーバーレイに関する情報は、主に光学システム40内への入力放射34に関して交差偏光された放射内に存在することが予想されるため、有用であり得る。対象となる他のパラメータについて、情報は共偏光された放射内に存在可能であり、この場合、ポラライザ151は省略可能である。λ/2板152は、ポラライザ151(提供されている場合)の下流に位置決めされる。この実施形態において、λ/2板152は、λ/2板152を通過する放射の偏光を45°回転させるために、22.5°で配向される。次いで、放射は自己参照干渉計153を通過し、測定分岐150へ出力される。測定分岐150は可変位相差板131Aを備える。可変位相差板131Aは、2つの直交偏光間の位相差を設定する。これを使用して、自己参照干渉計153内の望まないパス長差を補償すること、又は、下記で説明するように、複数の異なる位相オフセットを適用することができる。測定分岐150は、2つのコピーの偏光を(偏光の直交性を維持しながら)45°回転させるように構成された、λ/2板131Bを更に備える。λ/2板131Bからの出力は偏光ビームスプリッタ157に入る。偏光ビームスプリッタ157は、瞳面フィールド分布の両方のコピーを2つの直交偏光成分に分解し、そのうちの1つは透過され、他方は反射される。その結果、瞳面フィールド分布の2つのコピーは互いに干渉し合うことになる。干渉は、(同様に構成された検出器38A及び38Bについて、図9を参照しながら上記で説明したように)2つの検出器158及び159のいずれか又は両方で測定される。例えば、検出器158において、放射は弱め合うように干渉し、(ターゲット構造の非対称成分からの反射から)非対称信号のみが残される(オフセットの影響は無視する)。これにより、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む検出される放射強度の成分が、他の成分に関連して強化される。検出器158において、放射は強め合うように干渉される。これにより、検出器158は、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報を含む成分が他の成分に関連して抑制される、放射強度を検出することができる。したがって検出器158は、例えば瞳の対称部分を測定するために使用可能である。したがって、対象となるパラメータ(例えば、オーバーレイ)に関する情報は、2つの検出器158、159のうちの1つのみを使用して取得可能であるため、検出器158、159の両方を提供することは不可欠ではない。
[00132] 図15の配置は、振幅オフセットを適用するために使用可能である。一実施形態において、λ/2板131Bは回転可能にされる。名目上の22.5°角度から外れてλ/2板131Bを回転させることで、偏光ビームスプリッタ157の分割割合を50/50から逸脱させ、瞳面フィールド分布の一方のコピーに他方の瞳面フィールド分布に関連して振幅オフセットを適用し、それによって、検出器158、159のうちの1つによって検出される瞳面フィールド分布のポイントの干渉し合う対からの放射間に振幅オフセットを適用する。代替又は追加として、λ/2板152を回転させ、自己参照干渉計153内の偏光ビームスプリッタにおける分割割合を変更することができる。自己参照干渉計153内の偏光ビームスプリッタにおける分割割合の変更は、振幅オフセットも適用する。
[00133] 図15の配置を使用して、位相オフセットを適用することができる。一実施形態において、可変位相差板131Aを通過する際に相互に直交して偏光される、瞳面フィールド分布の2つのコピー間の位相差を設定するために、可変位相差板131Aが使用される。したがって、可変位相差板131A及びλ/2板131Bは、図14の可変位相差板131A及びλ/2板131Bと等価の機能、並びに、図13の偏光依存光学要素131と等価の機能を提供する。
[00134] 図15の一実施形態において、要素131Aは、瞳の半分が0°でλ/4の遅れに至り、他方の半分には遅れがない、固定位相差板である。更に図15のこの実施形態において、偏光要素157はウォラストンプリズムである。図15のこの実施形態は、4つの代表的な瞳を混合することを含む単一の測定ステップにおいて、対象となるパラメータの測定を容易にする。
[00135] 図15の更なる実施形態において、ウォラストンプリズムとの組み合わせで自己参照干渉計が使用される。図15のこの実施形態では、対象となるパラメータを計算するために代表的な2つの瞳のみが必要である。
[00136] 位相及び/又は振幅のオフセットを適用するための様々な配置を、図13から図15を参照しながら上記で考察してきた。図14及び図15の可変位相差板131A及び/又はλ/2板131B、あるいは、図13の偏光依存光学要素131などの、要素の設定を変更することによって、複数の異なる位相及び/又は振幅のオフセットを、異なる時点で適用することができる。図16及び図17は、複数の異なる振幅及び/又は位相のオフセットにおける測定を並行して達成できるようにする、例示の実装を示す。
[00137] 図16は、測定分岐150内で可変位相差板131A、λ/2板131B、及びポラライザ120によって提供される機能が、複数の測定分岐150A〜D内に別々に提供されている点を除き、複数の異なる振幅及び/又は位相のオフセットにおいて、図14に示されたタイプの構成を使用して並行して測定を行うように構成された、検出システム102を示す。偏光ビームスプリッタ48Aからの放射出力(矢印100)を4つの異なる測定分岐150A〜Dの間で同時に分配するための、4つのビームスプリッタ142A〜Dが提供される。各測定分岐150A〜D内で、図14の可変位相差板131A及びλ/2板131Bの機能を実行するために、可変位相差板131AA〜D及びλ/2板131BA〜Dが提供される。この実施形態では、複数の異なる振幅及び/又は位相のオフセットを提供するために、異なる時点で異なるように調節するのではなく、各測定分岐150A〜D内の可変位相差板131AA〜D及びλ/2板131BA〜Dは、他の測定分岐150A〜Dの各々に関連して異なる振幅及び/又は位相のオフセットを提供するように調節される。図14のポラライザ120の機能は、本実施形態では、各測定分岐150A〜D内の偏光ビームスプリッタ145A〜Dによって提供される。各測定分岐150A〜Dにおける偏光ビームスプリッタ145A〜Dからの出力は、各測定分岐150A〜Dについて異なる特定の振幅及び/又は位相のオフセットが適用され、瞳面フィールド分布内の異なるポイントからの放射間の干渉に対応する放射強度を検出する、少なくとも1つの検出器146A〜D、147A〜Dによって検出される。
[00138] 図17は、測定分岐150内で、可変位相差板131A、λ/2板131B、偏光ビームスプリッタ157、並びに検出器158及び159によって提供される機能が、複数の測定分岐150A〜D内に別々に提供されているという点を除き、複数の異なる振幅及び/又は位相のオフセットにおいて、図15に示されたタイプの構成を使用して並行して測定を行うように構成された、検出システム102を示す。自己参照干渉計153から出力された放射を、4つの異なる測定分岐150A〜D間で同時に分配するために、4つのビームスプリッタ142A〜Dが提供される。各測定分岐150A〜D内で、図15の可変位相差板131A及びλ/2板131Bの機能を実行するために、可変位相差板131AA〜D及びλ/2板131BA〜Dが提供される。この実施形態では、複数の異なる振幅及び/又は位相のオフセットを提供するために、異なる時点で異なるように調節するのではなく、各測定分岐150A〜D内の可変位相差板131AA〜D及びλ/2板131BA〜Dは、他の測定分岐150A〜Dの各々に関連して異なる振幅及び/又は位相のオフセットを提供するように調節される。各測定分岐150A〜Dにおける偏光ビームスプリッタ157A〜Dからの出力は、各測定分岐150A〜Dについて異なる特定の振幅及び/又は位相のオフセットが適用され、瞳面フィールド分布内の異なるポイントからの放射間の干渉に対応する放射強度を検出する、少なくとも1つの検出器157A〜D、158A〜Dによって検出される。
[00139] 上記の実施形態は、第1の層内に第1のコンポーネントを有し、第2の層内に第2のコンポーネントを有する層構造を備えるターゲット構造内で、第1の層と第2の層との間の分離がλ/20よりも大きく、λは入力放射ビームの波長である場合に、非対称の測定に特に有用に適用可能である。これは例えば、リソグラフィ現像ステップの後であるが、後続のエッチングステップの前に、方法がターゲット構造に適用されるケースであり得る。非対称に対する感度が高いということは、たとえ(層間の分離が大きいことに起因して)ゼロ次反射に対する寄与が極端に小さいと予想される場合などであっても、高解像度構造について、非対称(例えば、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間のオーバーレイ)が測定可能であることを意味する。追加又は代替として、測定回数を著しく減少させることができる。
[00140] 本明細書で開示する概念は、監視の目的で構造のリソグラフィ後測定を超えるユーティリティを見つけることができる。例えば、こうした検出器アーキテクチャは、パターニングプロセス中に基板を位置決めするためにリソグラフィ装置で使用される、瞳面検出に基づく将来のアライメントセンサ概念において使用可能である。
[00141] 上記で説明したターゲットは、測定の目的で特別に設計及び形成されたメトロロジターゲットとすることができる。しかしながら、高解像度ターゲットを測定するための能力は、実施形態が、基板上に形成されたデバイスの機能部分であるターゲットにも適用可能であることを意味する。多くのデバイスは、規則的な格子状構造を有する。本明細書で使用される「ターゲット格子」及び「ターゲット」という用語は、実行される測定のために構造が明確に提供されていることを必要としない。
[00142] メトロロジ装置は、図2を参照しながら上記で考察したリソグラフィセルLCなどの、リソグラフィシステム内で使用可能である。リソグラフィシステムは、リソグラフィプロセスを実行するリソグラフィ装置LAを備える。リソグラフィ装置は、後続のリソグラフィプロセスを実行するときに、例えば、後続のリソグラフィプロセスを向上させるために、リソグラフィプロセスによって形成された構造のメトロロジ装置による測定の結果を使用するように構成可能である。
[00143] 実施形態は、構造上のターゲットを測定する方法及び/又はリソグラフィプロセスに関する情報を取得するために測定を分析する方法を記述する、機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含む、コンピュータプログラムを含むことができる。こうしたコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)も提供可能である。既存のリソグラフィ又はメトロロジ装置が既に製造中及び/又は使用中である場合、本発明は、本明細書に記載した方法をプロセッサに実行させるために、更新済みのコンピュータプログラム製品を提供することによって実装可能である。
[00144] 本書では、ICの製造にリソグラフィ装置を使用することについて具体的に言及可能であるが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は、集積光学システムの製造、磁気ドメインメモリのためのガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの、他の適用例を有し得ることを理解されたい。当業者であれば、こうした代替の適用例との関連において、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語は、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語の同義と見なし得ることを理解されよう。本明細書で言及される基板は、例えばトラック(典型的にはレジストの層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/又は検査ツールにおいて、露光の前又は後に、処理することができる。適用可能であれば、本明細書における開示は、こうした基板処理ツール及び他の基板処理ツールに適用可能である。更に基板は、例えば多層ICを作成するために複数回処理可能であるため、本明細書で使用される基板という用語は、すでに複数の処理済み層を含む基板を指す場合もある。
[00145] 上記では、本発明の実施形態を光学リソグラフィとの関連において具体的に言及してきたが、本発明は、他の適用例、例えばインプリントリソグラフィにおいても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことを理解されよう。インプリントリソグラフィにおいて、パターニングデバイス内のトポグラフィは、基板上に作成されるパターンを定義する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層にプレスされ、その上で、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを印加することによってレジストが硬化される。レジストが硬化された後、パターニングデバイスはレジストから外され、パターンが残る。
[00146] 本発明に従った更なる実施形態を、下記の番号付けした各条項で更に説明する。
1.対象となるパラメータを決定するために基板上に形成された構造を測定するためのメトロロジ装置であって、
放射を構造上に合焦させるように、及び構造から反射した放射を検出システムに誘導するように構成された光学システムを備え、
光学システムは、構造からの反射の前及び/又は後に、光学特徴の複数の異なるオフセットを放射に適用するように構成されるため、対応する複数の異なるオフセットは、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射に関連して、瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射に提供され、
検出システムは、瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射と、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射との間の干渉の結果として生じる、対応する複数の放射強度を検出するように構成され、各放射強度は、複数の異なるオフセットのうちの異なる1つに対応する、
基板上に形成された構造を測定するためのメトロロジ装置。
2.干渉は、対象となるパラメータに関する情報を含む検出される放射強度の成分が、検出される放射強度の1つ以上の他の成分に関連して強化されるものである、条項1の装置。
3.異なるオフセットは、異なる振幅オフセット又は異なる位相オフセットのうちのいずれか又は両方を含む、条項1又は2の装置。
4.異なるオフセットは、第1の方向の少なくとも1つのオフセット、及び、第1の方向と反対の第2の方向の少なくとも1つのオフセットを含む、条項1から3のうちのいずれかの装置。
5.異なるオフセットは、放射の偏光に基づいて、偏光依存光学要素を通過する放射の振幅又は位相を修正するように構成された、偏光依存光学要素によって少なくとも部分的に定義され、また、
光学システムは、瞳面フィールド分布の第1のポイントからの放射、又はこの第1のポイントを形成する放射が、瞳面フィールド分布の第2のポイントからの放射、又はこの第2のポイントを形成する放射とは異なる偏光を伴う偏光依存光学要素を通過するように構成される、
条項1から4のいずれかの装置。
6.偏光依存光学要素は位相差板を備える、条項5の装置。
7.位相差板は可変位相差板である、条項6の装置。
8.偏光依存光学要素はダイアテニュエータを備える、条項5から7のいずれかの装置。
9.ダイアテニュエータは可変ダイアテニュエータである、条項8の装置。
10.光学システムは偏光ビームスプリッタを備え、異なるオフセットは、偏光ビームスプリッタと位相差板及びポラライザのうちのいずれか又は両方との間の、異なる相対角度によって少なくとも部分的に定義される、条項1から9のいずれかの装置。
11.異なるオフセットは、ビームスプリッタの異なる分割割合によって少なくとも部分的に定義される、条項1から10のいずれかの装置。
12.光学システムは、瞳面フィールド分布内の第1及び第2のポイントの複数の異なる対からの反射放射間の干渉の結果として生じる、放射強度のセットを、検出システムに検出させるように構成され、放射強度の各セットは、複数の異なるオフセットの各々についての放射強度を含む、条項1から11のいずれかの装置。
13.ポイントの各対は、ミラー対称の同じラインに関して互いにミラー対称的に位置決めされるか、又は、同じ対称ポイントに関して互いにポイント対称的に位置決めされる、条項12の装置。
14.光学システムは、瞳面フィールド分布の第1及び第2のポイントからの反射放射間に干渉を生じさせるために、放射ビームを複数の放射ビームに分割し、その後、複数の放射ビームを再結合するように構成される、条項1から13のいずれかの装置。
15.放射ビームを複数の放射ビームに分割することは、第1の瞳面フィールド分布の複数のコピーを作成し、また、
光学システムは、第1の瞳面フィールド分布の複数のコピーを使用して、第2の瞳面フィールド分布を形成する、
条項14の装置。
16.第1の瞳面フィールド分布の複数のコピーは、第2の瞳面フィールド分布を形成するために、互いに関連して回転又はフリップされる、条項15の装置。
17.光学システムは、放射ビームを第1の放射ビーム及び第2の放射ビームに分割するように構成されたビームスプリッタを備え、光学システムは、
第1の放射ビーム及び第2の放射ビームは、第1の分岐及び第2の分岐を備える共通光路の周りを反対方向に伝搬し、第1の放射ビームは第1の分岐に沿ってビームスプリッタから基板へ伝搬し、また第2の分岐に沿って基板からビームスプリッタへ戻り、第2の放射ビームは第2の分岐に沿ってビームスプリッタから基板へ伝搬し、また第1の分岐に沿って基板からビームスプリッタへ戻るように構成される、
条項1から16の装置。
18.光学システムは、第1の放射ビームからの像及び第2の放射ビームからの像が、互いにミラー対称又はポイント対称である瞳面フィールド分布を有する放射によって、それぞれ形成されるように、第1の分岐又は第2の分岐内を伝搬する放射の瞳面フィールド分布の少なくとも1つのフリップ又は回転を実行するように構成される、条項17の装置。
19.ビームスプリッタへの放射ビーム入力は、瞳面フィールド分布の第2の領域のみを残すために瞳面フィールド分布の第1の領域が除去された、瞳面フィールド分布を備える、条項17又は18の装置。
20.第1の領域及び第2の領域は反対向きの半円である、条項19の装置。
21.複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つは、異なる測定分岐内で同時に測定される、条項1から20の装置。
22.複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つは、同じ測定分岐内で異なる時点に測定される、条項1から21の装置。
23.対象となるパラメータはオーバーレイを含む、条項1から22の装置。
24.リソグラフィシステムであって、
リソグラフィプロセスを実行するように構成されたリソグラフィ装置、及び、
条項1から23のいずれかのメトロロジ装置、
を備える、リソグラフィシステム。
25.対象となるパラメータを決定するために、基板上に形成された構造を測定する方法であって、
放射を構造上に合焦させること、及び、構造から反射した放射を検出するために検出システムを使用することを含み、
光学特徴の複数の異なるオフセットは、構造からの反射の前及び/又は後に、放射に適用され、対応する複数の異なるオフセットは、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射に関連して、瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射に提供され、
検出システムは、瞳面フィールド分布の第1のポイントから導出される反射放射と、瞳面フィールド分布の第2のポイントから導出される反射放射との間の干渉の結果として生じる、対応する複数の放射強度を検出し、各放射強度は、複数の異なるオフセットのうちの異なる1つに対応する、
基板上に形成された構造を測定する方法。
26.複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つが同時に測定される、条項25の方法。
27.複数の異なるオフセットに対応する複数の放射強度のうちの少なくとも2つが異なる時点に測定される、条項25又は26の方法。
28.可変位相差板及び可変ダイアテニュエータのうちのいずれか又は両方は、異なる時点での測定の間に、第1のポイントからの反射放射に適用されるオフセットを、第2のポイントからの反射放射に関連して変更するために使用される、条項27の方法。
29.方法は、リソグラフィ現像ステップの後であるが、後続のエッチングステップの前に、構造に適用される、条項25から28のいずれかの方法。
30.対象となるパラメータは構造内の非対称を含む、条項25から29のいずれかの方法。
31.対象となるパラメータはオーバーレイを含む、条項25から30のいずれかの方法。
32.検出される放射強度は構造からのゼロ次反射の結果として生じる、条項25から31のいずれかの方法。
[00147] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[00148] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
[00149] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。本明細書における表現又は用語は限定でなく例示による記載のためのものであるので、本明細書の表現又は用語は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることは理解されよう。
[00150] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。